特許拒絶査定不服審判
2016-017514
ウェーハレベルパッケージング(WLP)で実施される高Q値インダクタ
- 審判番号
- 2016-017514
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-560224外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年11月24日
- 審決日
- 2017年09月15日
- 公報発行日
- 2018年03月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】クアルコム,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】黒田 晋平
- 分類
- P18 .113-Z (H01L) / P18 .121-Z (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-560224「ウェーハレベルパッケージング(WLP)で実施される高Q値インダクタ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月 4日国際公開、WO2014/133883、平成28年 4月 4日国内公表、特表2016-510172〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は、2014年2月21日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2013年3月1日 米国(US) 2013年3月6日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。
拒絶理由通知 :平成28年 1月28日(起案日)
意見書 :平成28年 5月 2日
手続補正 :平成28年 5月 2日
拒絶査定 :平成28年 7月12日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成28年11月24日
手続補正 :平成28年11月24日
理由補充 :平成29年 1月 5日
前置報告書 :平成29年 3月10日(起案日)
上申書 :平成29年 6月26日
2.本願発明
本願の請求項1ないし54に係る発明は、平成28年11月24日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし54に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項19に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「 【請求項19】
第1の金属層を備えた第1のダイと、
前記第1のダイに結合された一組のはんだボールと、
前記一組のはんだボールを介して前記第1のダイに結合された、第2の金属層を備えた第2のダイと
を備えるデバイスであって、
前記第1のダイの前記第1の金属層、前記一組のはんだボール、前記第2のダイの前記第2の金属層が、前記デバイス内のインダクタとして動作するように構成されるデバイス。」
なお、請求項19は、平成28年11月24日付け手続補正により補正されていない。
3.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2008-72121号公報(平成20年3月27日公開、以下「引用例」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)
(1)「【0001】
本発明は集積受動デバイス(IPD)に関し、より具体的には、改良された集積インダクタに関する。」
(2)「【0017】
図3を参照すると、嵌め合わせ基板11、21は、基板表面上に酸化物を成長させ、または全体的に付着させることにより、例えば二酸化ケイ素などの絶縁層31、32で被覆される。典型的には、同一の酸化物が両方の基板上に使用されるものである。しかし、基板が異なった材料からなる場合には、それぞれの基板上には異なった絶縁材料が有益である場合がある。」
(3)「【0018】
図4では、金属41、42からなるパターン層が基板上に形成される。材料およびパターン設計については上に論じている。金属層は、任意の適切なプロセスによって付着可能である。好ましい方法は、金属層を全体的に付着させ、次に、その層を例えばフォトリソグラフィのマスクなどの所望のパターンのマスクでマスキングし、露光された部分をエッチングで取り除くことである。これにより、ベース基板上にインダクタ本体41の一部分、およびカバー基板上にインダクタ本体42の一部分が残存する。インダクタのこの部分は、カバー基板を反転させてベース基板を覆うことによって(または、逆も同様に)接合される嵌め合わせ部分の半分として意図される。したがって、インダクタ本体部分41およびインダクタ本体部分42は、相互の鏡像である。」
(4)「【0021】
図5は、例えば二酸化ケイ素層などの誘電体層51および55が金属インダクタ本体41および42の上に形成され、電気的接点として金属層41および42を露出して、電極窓53および57が層51および55の中を通って形成される。窓53は窓57と位置を合わせられ、それにより、金属パターン41および電極窓53は、金属パターン42および電極窓57の鏡像を形成する。広く知られている技術が窓を形成するために使用可能である。また、任意の種々の適切な材料が誘電体層に選択されてもよい。インダクタ設計または他のIPDの適合工程が薄い誘電体層を必要とする場合には、例えば、この層がキャパシタの誘電体としてIPD上の他の場所でも使用される場合には、この層は、0.1ミクロン未満、または0.5ミクロン未満の厚みを有する二酸化ケイ素であってよい。例えば0.5~5ミクロンのより厚い二酸化ケイ素の層が使用されてもよい。例えばポリイミドの有機誘電体が使用される場合には、層の厚みは、通常、より厚く、例えば1~10ミクロンである。」
(5)「【0022】
図6に示すように、電気的接点61および62が電極窓内および電極窓上に形成される。これらははんだバンプの接点を含み、バンプ下地金属(UBM)を含む場合がある。接点の種類は、インダクタ本体の材料によって決まる。インダクタ本体が銅であり、接点61および62が銅である場合には、はんだバンプは銅の接点に直接に接合することができる。しかし、接点がアルミニウムの場合には、特殊なUBMが典型的に使用される。当業界における通常の実施法は、UBMの被覆剤をアルミニウムの接点パッドに適用し、はんだバンプまたはパッドをその被覆剤に適用することである。UBM技術で使用される金属または複数の金属は、アルミニウムと十分に接着すること、典型的なスズはんだ形成により濡れ性があること、および非常に導電性があることが必要である。これらの要求に合う構成物が、クロムと銅との合成物である。まず、クロムがアルミニウムに接着するように付着され、銅がはんだ濡れ性のある表面を形成するようにクロムの上に適用される。UBM層は従来の方法でスパッタリングされる。」
(6)「【0023】
図7は、カバー基板21上のUBM62に適用されるはんだバンプ72を示している。代替としては、はんだバンプは、ベース基板上のUBM61に、または、ある場合には、両方の基板上のUBMに適用可能である。はんだバンプは、典型的に、はんだペーストのプロセスを使用して適用される。
(7)「【0024】
ベース基板およびカバー基板の両方が本質的に完成すると、図8に示すように、2つの基板は、一方の基板を他方の基板の表面に反転して接合すること、はんだバンプ72をベース基板11上のUBMに正確に合わせること、および2つの基板を一緒に接着するためはんだバンプをリフローすることにより、一緒に組み立てられる。その結果、2層のフリップ接合2重基板インダクタになる。この複層のインダクタは、いずれの複層基板も使用せずに形成されるということが理解されよう。」
(8)「【0033】
本明細書において、はんだバンプと称することは、はんだバンプ、はんだボール、はんだマイクロバンプ、はんだペースト法、BGA法などを含む様々なはんだ接着およびはんだ接着技術と関連することを意図する。」
上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。
(a)引用例には、「集積受動デバイス(IPD)」、より具体的には、「集積インダクタ」が記載されている(摘示事項(1))。
(b)嵌め合わせ基板11、21は、絶縁層31、32で被覆される(摘示事項(2))。嵌め合わせ基板11は、ベース基板であり、嵌め合わせ基板21は、カバー基板である(図3)。
(c)金属41、42からなるパターン層、すなわち、金属層が基板上に形成される。金属層は、ベース基板上にインダクタ本体41の一部分、およびカバー基板上にインダクタ本体42の一部分として形成される(摘示事項(3))。
(d)誘電体層51および55が金属インダクタ本体41および42の上に形成され、電気的接点として金属層41および42を露出して、電極窓53および57が層51および55の中を通って形成される(摘示事項(4))。
(e)電気的接点61および62が電極窓内および電極窓上に形成される。電気的接点61および62はバンプ下地金属(UBM)を含む(摘示事項(5))。
(f)はんだバンプ72がカバー基板21上のUBM62に適用される(摘示事項(6))。はんだバンプ72は複数である(図7)。
(g)ベース基板およびカバー基板は、一方の基板を他方の基板の表面に反転して接合すること、および2つの基板を一緒に接着するためはんだバンプをリフローすることにより、一緒に組み立てられる(摘示事項(7))。
(h)はんだバンプは、はんだボールを含む(摘示事項(8))。
以上を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「集積受動デバイス(IPD)であって、
ベース基板11、カバー基板21は、絶縁層31、32で被覆され、
金属層41、42がそれぞれの基板上に形成され、金属層は、ベース基板上にインダクタ本体41の一部分、およびカバー基板上にインダクタ本体42の一部分として形成され、
誘電体層51および55が金属層からなるインダクタ本体41および42の上に形成され、電気的接点として金属層41および42を露出して、電極窓53および57が層51および55の中を通って形成され、
電気的接点61および62が電極窓内および電極窓上に形成され、電気的接点61および62はバンプ下地金属(UBM)を含み、
複数のはんだボール72がカバー基板21上のUBM62に適用され、
ベース基板およびカバー基板は、一方の基板を他方の基板の表面に反転して接合すること、および2つの基板を一緒に接着するためはんだボールをリフローすることにより、一緒に組み立てられた集積受動デバイス(IPD)。」
4.対比・判断
そこで、本願発明と引用発明とを対比する。
(1)デバイス
引用発明の「集積受動デバイス(IPD)」は、「デバイス」に含まれる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「デバイス」である点で一致する。
(2)第1のダイと一組のはんだボール
引用例【0015】の基板の材料がシリコンまたはガリウム砒素である旨の記載より、引用発明のベース基板およびカバー基板は、ウェハから切り出したダイであることは、明らかである。そして、カバー基板21には、金属層42が形成され、複数のはんだボール72が適用されるから、「カバー基板21」は「第1のダイ」といえ、「金属層42」は「第1の金属層」といえ、「複数のはんだボール72」は「一組のはんだボール」といえる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「第1の金属層を備えた第1のダイと、前記第1のダイに結合された一組のはんだボールと、」を備える点で一致する。
(3)第2のダイ
ベース基板11には、金属層41が形成され、複数のはんだボール72をリフローすることによりカバー基板21と接着されるから、「ベース基板11」は「第2のダイ」といえ、「金属層41」は「第2の金属層」といえる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記一組のはんだボールを介して前記第1のダイに結合された、第2の金属層を備えた第2のダイ」を備える点で一致する。
(4)インダクタ
金属層は、ベース基板上にインダクタ本体41の一部分、およびカバー基板上にインダクタ本体42の一部分として形成され、複数のはんだボール72は、電気的接点61および62を介して金属層41と金属層42とを導通させるから、金属層とともにインダクタを構成することは明らかである。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記第1のダイの前記第1の金属層、前記一組のはんだボール、前記第2のダイの前記第2の金属層が、前記デバイス内のインダクタとして動作するように構成される」点で一致する。
そうすると、本願発明と引用発明とは、すべての点で一致し、相違点を有しない。
なお、仮に、引用例にはベース基板11とカバー基板21とがダイである旨の明記がないことをもって、本願発明と引用発明とが相違点を有すると認定したとしても、引用例【0015】の基板の材料がシリコンまたはガリウム砒素である旨の記載より、引用発明のベース基板およびカバー基板を、ウェハから切り出したダイとすることは、当業者が容易に想到し得る。
5.むすび
以上のとおり、本願の請求項19に係る発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。もしくは、本願の請求項19に係る発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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