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特許拒絶査定不服審判

2016-013440

携帯電子機器、位置情報送信プログラム及び位置情報送信システム

審判番号
2016-013440
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-103881外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年09月07日
審決日
2017年07月24日
公報発行日
2017年09月29日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-103881「携帯電子機器、位置情報送信プログラム及び位置情報送信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月14日出願公開、特開2013-232786、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成24年4月27日の出願であって、平成27年1月22日付けで拒絶理由が通知され、同年3月30日付けで手続補正がされ、同年10月23日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年12月25日付けで手続補正がされたが、平成28年6月2日付けで平成27年12月25日付けの手続補正について補正の却下の決定がされるとともに同日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成28年9月7日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成29年4月14日付けで当審より拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年6月15日付けで手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年6月2日付けの拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-9に係る発明は、以下の引用文献A-Eに基づいて、その発明の属する技術分野における通常の知識を有するもの(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献一覧 A.国際公開第2008/090844号 B.特開2009-260528号公報 C.特開2006-172109号公報 D.特開2004-233071号公報 E.特開2010-3283号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 本願請求項1-4,6、7に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2009-260528号公報(拒絶査定時の引用文献B) 2.特開2004-233071号公報(拒絶査定時の引用文献D) 3.特開平9-257905号公報(当審において新たに引用した文献) 4.特開2008-175913号公報(当審において新たに引用した文献) 5.特開2010-3283号公報(拒絶査定時の引用文献E) 第4 本願発明 本願請求項1-9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明9」という。)は、平成29年6月15日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-9は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 無線通信する通信部と、 位置測位に基づく位置情報を、前記通信部により特定の機器に対して送信する制御部と、を有し、 前記制御部は、所定の一斉配信型メッセージを受信すると、当該所定の一斉配信型メッセージの受信後に複数回の位置測位を連続して行った後に、前記複数回の位置測位により取得された複数の位置情報をまとめて、前記特定の機器に同時に送信する携帯電子機器。 【請求項2】 前記所定の一斉配信型メッセージは、対象エリア内の機器に対して一斉に送信される、請求項1に記載の携帯電子機器。 【請求項3】 前記所定の一斉配信型メッセージは、緊急地震速報、津波警報、災害情報及び避難情報のうち少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の携帯電子機器。 【請求項4】 前記制御部は、複数のGPS衛星から複数の電波信号を受信して前記位置測位を実行する、請求項1から3のいずれか1つに記載の携帯電子機器。 【請求項5】 無線通信を行う通信部を有する携帯電子機器に、位置測位に基づく位置情報を、前記通信部により特定の機器に対して送信させる位置情報送信プログラムであって、 受信したメッセージが所定の一斉配信型メッセージであるか否かを判断するステップと、 当該受信したメッセージが所定の一斉配信型メッセージであると、当該所定の一斉配信型メッセージの受信後に複数回の位置測位を連続して行った後に、前記複数回の位置測位により取得された複数の位置情報をまとめて、前記特定の機器に同時に送信させるステップと を含む位置情報送信プログラム。 【請求項6】 通信ネットワークを介して相互に通信できる、第1の携帯電子機器と第2の携帯電子機器とサーバとを含む位置情報送信システムであって、 前記第1の携帯電子機器は、 所定の一斉配信型メッセージを受信すると、当該所定の一斉配信型メッセージの受信後に複数回の位置測位を連続して行った後に、前記複数回の位置測位により取得された複数の位置情報をまとめて、前記第2の携帯電子機器に対して同時に送信する制御部を有し、 前記第2の携帯電子機器は、 表示部と、 前記第1の携帯電子機器から位置情報を受信した場合に、受信した位置情報に対応するコンテンツを前記サーバから取得し、取得したコンテンツを前記表示部に表示させる制御部と を有する位置情報送信システム。 【請求項7】 無線通信する通信部と、 位置測位に基づく位置情報を、前記通信部により特定の機器に対して送信する制御部と、を有し、 前記制御部は、所定の一斉配信型メッセージを受信すると、当該所定の一斉配信型メッセージの受信後に複数回の位置測位を行った後に、前記複数回の位置測位により取得された複数の位置情報をまとめて、前記特定の機器に同時に送信する携帯電子機器。 【請求項8】 無線通信を行う通信部を有する携帯電子機器に、位置測位に基づく位置情報を、前記通信部により特定の機器に対して送信させる位置情報送信プログラムであって、 受信したメッセージが所定の一斉配信型メッセージであるか否かを判断するステップと、 当該受信したメッセージが所定の一斉配信型メッセージであると、当該所定の一斉配信型メッセージの受信後に複数回の位置測位を行った後に、前記複数回の位置測位により取得された複数の位置情報をまとめて、前記特定の機器に同時に送信させるステップと を含む位置情報送信プログラム。 【請求項9】 通信ネットワークを介して相互に通信できる、第1の携帯電子機器と第2の携帯電子機器とサーバとを含む位置情報送信システムであって、 前記第1の携帯電子機器は、 所定の一斉配信型メッセージを受信すると、当該所定の一斉配信型メッセージの受信後に複数回の位置測位を行った後に、前記複数回の位置測位により取得された複数の位置情報をまとめて、前記第2の携帯電子機器に対して同時に送信する制御部を有し、 前記第2の携帯電子機器は、 表示部と、 前記第1の携帯電子機器から位置情報を受信した場合に、受信した位置情報に対応するコンテンツを前記サーバから取得し、取得したコンテンツを前記表示部に表示させる制御部と を有する位置情報送信システム。」 第5 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について、 当審拒絶理由(平成29年4月14日付けの拒絶の理由)に引用された特開2009-260528号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0023】 ある携帯電話事業者によれば、気象庁から配信された一般向け緊急地震速報を、最大震度5弱以上と推定した地震の際に、強い揺れ(震度4以上)の地域(全国を約200の地域に区分)の携帯電話に、一斉にメール配信(一斉同報配信)するサービスが提供される。以下の実施形態では、この携帯電話事業者による上記一斉同報配信されるメールを緊急速報メールとして説明する。 【0024】 [緊急速報関連情報配信システムの構成] 図1は、この発明による携帯電話端末の実施形態を含む緊急速報関連情報配信システムの全体のシステム構成の概要を示すである。 【0025】 図1において、携帯電話事業者1は、気象庁2からの一般向け緊急地震速報に基づく上述した緊急速報メールのサービスを提供する機能を備えている。携帯電話端末TE1、TE2,TE3は、この発明による携帯電話端末の実施形態である。そして、この実施形態の緊急速報関連情報配信システムにおいては、さらに、データサーバ3および情報処理端末4が設けられる。 【0026】 図2は、この実施形態の携帯電話端末TE1,TE2,TE3のハードウエア構成例を示すブロック図である。すなわち、この実施形態の携帯電話端末TE1,TE2,TE3においては、制御バス101およびデータバス102からなるシステムバスに対して、制御部11と、通信回路12と、表示部13と、操作部14と、メモリ15と、スピーカ16と、マイクロホン17と、GPS機能部18とが接続されている。 【0027】 制御部11は、マイクロコンピュータにより構成されるもので、このマイクロコンピュータには、この実施形態の携帯電話端末の種々の処理を制御するためのソフトウエアプログラムが格納されている。制御部11は、そのソフトウエアプログラムにしたがって種々の制御処理を実行する。 【0028】 通信回路12は、基地局および携帯電話ネットワークを通じて電話通信やその他の情報通信を行なうための携帯電話通信用の無線通信部であり、アンテナ12ATを通じて通信データを送受する。」(6~7頁) 「【0034】 GPS機能部18は、自端末の現在地位置を検出する機能を備える。 【0035】 この実施形態においては、制御部11が備えるソフトウエアプログラムの中には、以下のような処理機能が含まれる。 【0036】 先ず、携帯電話事業者1からの緊急速報メールサービスを受けることができる機能を備える。すなわち、携帯電話端末TE1,TE2,TE3は、携帯電話事業者から緊急速報メールを受信すると、当該緊急速報メールの属性情報から、受信したメールが緊急速報メールであることを検知する。そして、携帯電話端末TE1,TE2,TE3は、受信した緊急速報メールを自動的に開いて、その表示画面に表示する。 【0037】 そして、携帯電話端末TE1、TE2,TE3は、携帯電話事業者1からの緊急速報メールを受信すると、報知メールを作成して、予め登録されている相手先に対して自動送信する機能を備える。 【0038】 すなわち、先ず、携帯電話端末TE1,TE2,TE3は、受信したメールが緊急速報メールであることを検知すると、GPS機能部18を用いて、自端末の現在地位置情報を検出する。 【0039】 そして、携帯電話端末TE1,TE2,TE3は、緊急速報メールを受信したことを相手先知らせるための情報(例えばメッセージ情報)と、検出した現在地位置情報と、現在地位置情報を検出した時刻情報とを含む報知メール(以下、現在地お知らせメールという)を生成する。」(7~8頁) 「【0044】 予測震度範囲は、携帯電話事業者1の緊急速報の配信サービスが、気象庁から一般向け緊急地震速報が配信されたとき、震度4以上の地域の携帯電話に、一斉にメール配信するサービスであることから、震度4以上の数値とされる。この実施形態では、予測震度範囲の情報としては、震度「4~6」が提供される。 【0045】 そして、携帯電話端末TE1,TE2,TE3は、生成した現在地お知らせメールを、予め、メモリ15に登録されている相手先に自動送信する機能を備える。 【0046】 ここで、メモリ15に登録される相手先の情報としては、現在地お知らせメールを送りたい家族や友人、知人などの関係者の携帯電話端末の携帯メールアドレスや電話番号とされる。相手先の情報が携帯メールアドレスである場合には、現在地お知らせメールは、携帯メールで送られる。相手先の情報が携帯電話番号である場合には、現在地お知らせメールは、SMS(Short Message Service)で送られる。」(8頁) 「【0060】 以上のような条件の下に、気象庁2から一般向け緊急地震速報が配信されると、携帯電話事業者1は、携帯電話端末TE1に対して緊急速報メールを送る。 【0061】 携帯電話端末TE1は、この緊急速報メールを受け取ると、備えているGPS機能を用いて、自端末の現在地位置情報を検出する。そして、緊急速報メールを受信したことを相手先知らせるための情報と、検出した現在地位置情報と、現在地位置情報を検出した時刻情報とを含む現在地お知らせメールを生成する。そして、自端末に登録されているデータサーバ3と携帯電話端末TE2の携帯メールアドレスを読み出して、生成した現在地お知らせメールを、データサーバ3および携帯電話端末TE2に対して自動送信する。 【0062】 したがって、携帯電話端末TE2の使用者は、この現在地お知らせメールを受け取って、送信者が緊急地震速報が配信された地域の、特定の現在位置に居ることを知ることができる。」(11頁) したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 (引用発明) 「無線通信を行う通信回路と、 GPS機能部が検出した自端末の現在地位置情報を、前記通信回路により予め登録されている相手先の携帯電話端末に対して自動送信する制御部と、を有し、 前記制御部は、(携帯電話事業者からの)一斉同報配信の緊急速報メールを受信すると、当該一斉同報配信の緊急速報メールの受信後に現在地位置情報を検出し、当該現在地位置情報を前記予め登録されている相手先の携帯電話端末に対して(報知メールとして)送信する携帯電話端末。」 2.引用文献2~5について 当審拒絶理由に引用された特開2004-233071号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0051】 次に、図1に示した位置測位機能を利用する携帯電話システム、及び、図2に示したGPS搭載携帯電話で行なわれる測位計算結果を出力するための第二の処理方法について、その動作を示す図4のフローチャートを参照して説明する。ここで説明する測位方式は単独測位方式またはサーバアシスト方式の両方を対象とする。 【0052】 図4において、システム処理部16は測位開始の要求を受けた際、まず初期化プロセスとしてアウトプット(第二の処理方法によるPout2)、不確定さ(第二の処理方法によるAout2)および測位回数n2の初期化を行う(ステップS12)。 【0053】 つづいて、GPS信号をGPSアンテナ11、GPS無線部12およびGPS復号部13を利用して受信し、測位計算を行う(ステップS13)。個々の測位計算結果Pには測位精度の不確定さAが同時に得られる。この測位方法Pおよび不確定さAの計算は図3のステップS3における測位動作と同じである。 【0054】 個々の測位計算回数n2を加算カウントし(ステップS14)、過去の測位計算結果履歴の順次押し出し(シフト移動)を行う(ステップS15)。なお、押し出されたデータが消失しないように、第二の処理方法によるアウトプットである測位処理結果Pout2および不確定さAout2を最終段であるデータP22およびA22に保存する(ステップS15)。 【0055】 次に、個々の測位計算結果P(=P21)および不確定さA(=A21)を過去に第二の処理方法によって処理された結果Pout(=P22)およびAout(=A22)と測位回数n2により個々の測位計算結果に重み付けを行ったうえで平均化処理を行う(ステップS16)。第二の処理方法の測位処理結果は新しく算出されたPout2となる(ステップS17)。」(10~11頁) 当審拒絶理由に引用された特開平9-257905号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、カーナビゲーションなどに利用される、全世界測位システム(以下、GPSと称す)により地理的現在位置を取得できる現在位置取得装置に係り、特に簡易型携帯電話システム(以下、PHSと称す)から取得した情報によっても現在位置を取得できる現在位置取得装置に関する。」(2頁左覧) 「【0014】[ 第3の実施の形態]次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図5は本発明の第3の実施の形態の現在位置取得装置の動作内容を示すフローチャートである。この実施の形態のシステム制御部4も基地位置情報設定手段をしているが、この基地位置情報設定手段は一つの基地局について複数回、GPSから現在位置情報を取得し複数の現在位置情報の平均値を基地位置情報とする。」(4頁右欄) 当審拒絶理由に引用された特開2008-175913号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0027】 GPSセンサ22は、太陽電池24からも電力が供給されるようになっており、その電力によって位置検出作動を実行して自身の位置を検出し、検出した位置をEEPROM(図示せず)などの書き換え可能な不揮発性メモリに記憶しておく。上記EEPROMは、GPSセンサ22内に内蔵されていてもよいし、ICタグ20内に別途設けられていてもよい。本実施形態のGPSセンサ22は固定位置検出用のセンサであり、複数回の位置測定結果の平均値を最終的な現在位置として記憶する。さらに、GPSセンサ22は、ループアンテナ21から電力が供給されたときには、情報出力作動を実行して、予め記憶しておいた現在位置を表す現在位置情報をループアンテナ21へ出力する。」(6頁) 以上より、「携帯電話機において、複数回連続したGPS測位に基づいて位置情報を算出すること。」は、周知の技術である。 また、当審拒絶理由に引用された特開2010-3283号公報(以下、「引用文献5」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0003】 人、または車などの目標物を追跡するための従来の追跡システムは、対象デバイスと追跡デバイスとを含む。対象デバイスは、GPSサービスプロバイダからその緯度と経度(たとえば、北緯23.7788度、東経120.5566度)を取得できるように機能すると共に、対象デバイスにより取得された緯度と経度を、ショートメッセージングサービス(SMS : short messaging service)を介して追跡デバイスに送信できるように機能する。追跡デバイスは、地理情報システム(GIS : geographic information system)モジュールを含み、追跡デバイスによって追跡デバイスのGISモジュールのデータベースから取り出され、対象デバイスによって追跡デバイスに送信された緯度と経度に対応する電子地図を表示できるように、および対象デバイスによって追跡デバイスに送信された緯度と経度を参照して、電子地図上に対象デバイスの位置を表示できるように機能する。」(4頁) 「【0009】 図1および2を参照すると、本発明による追跡システムの第1の好ましい実施例が、対象デバイス1、追跡デバイス2、およびサーバ7を含むように示されている。」(4頁) 「【0032】 サーバ7は、サーバ7のネットワーキングモジュール71が追跡デバイス2による電子地図を含むウェブページへのアクセス要求を検出すると、URLに含まれる位置情報に基づいて電子地図を含むウェブページを作成する。この実施例では、サーバ7は、まず位置情報に対応する電子地図を、サーバ7のGISモジュール73のデータベース、または他のサーバのGISモジュールのデータベースから取り出し、次いでサーバ7により取り出された電子地図上に、位置情報を参照して対象デバイス1の位置を表示することによって、電子地図を含むウェブページを作成する。」(6~7頁) 以上より、「対象デバイス,追跡デバイス、サーバ(地理情報システム)を含む追跡システムにおいて、追跡デバイスが、対象デバイスから受信した位置情報(緯度と経度)に対応する電子地図をサーバから取得して表示すること。」は公知の技術(以下、「公知技術」という。)である。 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と、引用発明とを対比すると次のことがいえる。 引用発明における「通信回路」は、本願発明1における「通信部」に相当する。 引用発明における「携帯電話端末」は、本願発明1における「携帯電子機器」に含まれる。 引用発明の「GPS機能部が検出した自端末の現在地位置情報を、前記通信回路により予め登録されている相手先の携帯電話端末に対して自動送信する制御部」は、本願発明1の「位置測位に基づく位置情報を、前記通信部により特定の機器に対して送信する制御部」に含まれる。 本願発明1の「制御部は、所定の一斉配信型メッセージを受信すると、当該所定の一斉配信型メッセージの受信後に複数回の位置測位を連続して行った後に、前記複数回の位置測位により取得された複数の位置情報をまとめて、前記特定の機器に同時に送信する」と、引用発明の「制御部は、(携帯電話事業者からの)一斉同報配信の緊急速報メールを受信すると、当該一斉同報配信の緊急速報メールの受信後に現在地位置情報を検出し、当該現在地位置情報を前記予め登録されている相手先の携帯電話端末に対して(報知メールとして)送信する」とは、「制御手段は、所定の一斉配信型メッセージを受信すると、当該所定の一斉配信型メッセージの受信後に位置測位を行った後に、当該位置の測位に基づく位置情報を前記特定の機器に対して送信する」で共通する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「無線通信を行う通信部と、 位置測位に基づく位置情報を、前記通信部により特定の機器に対して送信する制御手段と、を有し、 前記制御手段は、所定の一斉配信型メッセージを受信すると、当該所定の一斉配信型メッセージの受信後に位置測位を行った後に、当該位置測位に基づく位置情報を前記特定の機器に対して送信する携帯電子機器。」 (相違点1) 一致点の「制御手段」が行う「位置測位」について、本願発明1が、「複数回」、「連続して」行うのに対して、引用発明1は、「複数回」行うことは記載されていない点。 (相違点2) 一致点の「制御手段」が行う「位置情報」の「送信」について、本願発明1が、「前記複数回の位置測位により取得された複数の位置情報をまとめて、前記特定の機器に同時に」であるのに対して、引用発明にはそのような特定がない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み(相違点2)について検討する。 本願発明1の相違点に係る「前記複数回の位置測位により取得された複数の位置情報をまとめて、前記特定の機器に同時に」という発明特定事項は、引用文献2-5のいずれにも記載されておらず、当業者に自明のものでもない。そして、(相違点2)に係る構成により、明細書段落【0046】の「さらに、本実施形態によれば、携帯電話機1が複数回の測位に基づく位置情報を送信するので、本実施形態に係るシステムを利用する他の携帯電話機がある場合、他の携帯電話機との間で位置情報の送信タイミングが重複する可能性を低減できる。このため、例えば、緊急地震速報などの緊急時であっても、通信トラフィックの混雑を緩和できる。」という作用効果を奏するものである。 したがって、本願発明1の(相違点2)に係る構成について、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術事項から当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 2.本願発明2ないし本願発明4について 請求項2-4は、直接的あるいは間接的に請求項1を引用するものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-5に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3.本願発明5ないし本願発明9について 本願発明5ないし本願発明9は、本願発明1の「前記複数回の位置測位により取得された複数の位置情報をまとめて、前記特定の機器に同時に」と同一の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-5に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 平成29年6月15日付けの補正により、補正後の請求項1-9は、「前記複数回の位置測位により取得された複数の位置情報をまとめて、前記特定の機器に同時に」という発明特定事項を有するものとなった。当該発明特定事項は、原査定における引用文献A-Eには記載されておらず、当業者に自明な事項でもないので、本願発明1-9は、原査定における引用文献A-Eに基づいて当業者が容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-013440

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