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特許拒絶査定不服審判

2016-011226

通信システム、通信端末、及び通信方法

審判番号
2016-011226
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-118859外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年07月26日
審決日
2017年07月25日
公報発行日
2017年09月29日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-118859「通信システム、通信端末、及び通信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月 9日出願公開、特開2013-247463、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成24年5月24日の出願であって、平成27年8月27日付けで拒絶理由が通知され、同年11月2日付けで手続補正がされ、平成28年4月21日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年7月26日に拒絶査定不服審判の請求がされ、平成29年2月14日付けで当審より拒絶理由が通知され、同年4月20日付けで手続補正がされ、同年5月19日付けで当審より拒絶理由が通知され、同年6月12日付けで手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年4月21日付けの拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本請求項1-8に係る発明は、以下の引用文献A-Bに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 A.特開2011-141726号公報 B.特開2009-217805号公報(周知技術を示す文献) 第3 当審拒絶理由の概要 平成29年2月14日付けの当審拒絶理由(以下、「当審拒絶理由1」という。)と、同年5月19日付けの当審拒絶理由(以下、「当審拒絶理由2」という。)との概要は次のとおりである。 1.(進歩性)(当審拒絶理由1) 本願特許請求項1-8に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2011-141726号公報(拒絶査定時の引用文献A) 2.特開2010-278726号公報(原審の拒絶理由の周知技術) 3.特開2009-276961号公報(原審の拒絶理由の周知技術) 4.特開2009-217805号公報(拒絶査定時の引用文献B) 2.(サポート要件・明確性)(当審拒絶理由1、当審拒絶理由2) 本件出願は、特許請求の範囲の請求項1、4-8の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。 第4 本願発明 本願請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、平成29年6月12日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-8は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 テレビ電話により通信可能な2つの通信端末を備える通信システムであって、 前記2つの通信端末のうち一方の端末は、接触に関するデータを送信する送信モードにして、相手画像のうち、顔画像に対応する位置又は顔以外の部位(頭、首、肩等)の画像に対応する位置における接触を検知した場合、当該接触に関するデータを送信し、 前記2つの通信端末のうち他方の端末は、接触に関するデータを受信する受信モードにして、前記相手画像を表示すると共に、受信した前記接触に関するデータに基づく出力制御をすることを特徴とする通信システム。 【請求項2】 前記出力制御は、前記接触に関するデータに基づく前記接触に対応する軌跡の表示制御であることを特徴とする、請求項1に記載の通信システム。 【請求項3】 前記出力制御は、前記接触に関するデータに基づく触感呈示制御であることを特徴とする、請求項1に記載の通信システム。 【請求項4】 他通信端末とテレビ電話による通信をする通信部と、 相手画像を表示する表示部と、 接触を検出する触感センサと、 接触に関するデータを送信する送信モードにして、前記触感センサが前記相手画像のうち、顔画像に対応する位置又は顔以外の部位(頭、首、肩等)の画像に対応する位置における接触を検知した場合、当該接触に関するデータを前記通信部により前記他通信端末に送信する制御部と、 を有する通信端末。 【請求項5】 表示部と、 他通信端末とテレビ電話による通信をする通信部と、 接触に関するデータを受信する受信モードにして、 前記通信部により他通信端末から接触に関するデータを送信する送信モードによって送られた、相手画像のうち、顔画像に対応する位置又は顔以外の部位(頭、首、肩等)の画像に対応する位置における接触に係るデータを受信すると、前記表示部に前記相手画像を表示すると共に、受信した前記接触に関するデータに基づき出力制御をする制御部と、 を有する通信端末。 【請求項6】 テレビ電話により通信可能な2つの通信端末を備える通信方法であって、 前記2つの通信端末のうち一方の端末が、接触に関するデータを送信する送信モードにして、相手画像のうち、顔画像に対応する位置又は顔以外の部位(頭、首、肩等)の画像に対応する位置における接触を検知した場合、当該接触に係るデータを送信するステップと、 前記2つの通信端末のうち他方の端末が、接触に関するデータを受信する受信モードにして、前記相手画像を表示すると共に、受信した前記接触に関するデータに基づく出力制御をするステップと、 を含む通信方法。 【請求項7】 通信端末が、他通信端末とテレビ電話による通信をするステップと、 前記通信端末が、相手画像を表示する表示ステップと、 前記通信端末が、前記相手画像のうち、顔画像に対応する位置又は顔以外の部位(頭、首、肩等)の画像に対応する位置における接触を検出するステップと、 前記通信端末が、接触に関するデータを送信する送信モードにして、前記相手画像のうち、顔画像に対応する位置又は顔以外の部位(頭、首、肩等)の画像に対応する位置における接触を検知した場合、当該接触に関するデータを他通信端末に送信するステップと、 を含む通信方法。 【請求項8】 通信端末が、他通信端末とテレビ電話による通信をする通信ステップと、 接触に関するデータを受信する受信モードにして、 前記通信端末が、他通信端末から接触に関するデータを送信する送信モードによって送られた、相手画像のうち、顔画像に対応する位置又は顔以外の部位(頭、首、肩等)の画像に対応する位置における接触に関するデータを受信すると、前記相手画像を表示すると共に、受信した前記接触に関するデータに基づき出力制御をする制御ステップと、 を含む通信方法。」 第5 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 当審拒絶理由1に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア.「【技術分野】 【0001】 本発明は、手書きの線画を送受信する携帯送信端末、携帯受信端末、携帯送受信システム、携帯送信方法、携帯受信方法、携帯送受信方法、携帯送信端末に実行させる携帯送信プログラム及び携帯受信端末に実行させる携帯受信プログラムに関する。」(3頁) イ.「【0050】 (実施形態3) 本実施形態に係る携帯送信端末及び携帯受信端末の一例を示す概観図を図15に示す。図15において、本実施形態に係る携帯送信端末100は、さらに、送信側カメラ120を備え、携帯受信端末200は、さらに、受信側カメラ220を備える。タッチパネル101は、下段に受信側カメラ220の撮影した画像を映し、上段に送信側カメラ120の撮影した画像を映す。画面207は、下段に送信側カメラ120の撮影した画像を映し、上段に受信側カメラ220の撮影した画像を映す。 【0051】 タッチペン102を使用してタッチパネル101の画像に手書きの線画を描くと、タッチパネル101はタッチペン102の接触があるか否かの接触状態を検出し、併せて、タッチパネル101のどの位置に接触しているかの接触位置を検出する。携帯送信端末100は、受信側カメラ220の撮影する画像に重ねて、線画を表示する。また、携帯送信端末100は、一筆の線画に属する接触位置を線画情報に変換して携帯受信端末200に送信する。この際、送信側カメラ120の撮影した画像も携帯受信端末200に送信する。携帯受信端末200は、受信した線画情報から一筆ごとの線画に逆変換し、受信した画像に線画を重ねて画面207に表示する。 【0052】 カメラ画像に重ねて線画を表示することによって、ユーザのテレビ電話利用に付加価値を与えることができる。ここでは、撮影、表示する画像は動画でも静止画でもよい。また、携帯送信端末100又は携帯受信端末200は、必ずしも自分側画像を表示する必要はなく、相手側画像を表示するだけでもよい。 【0053】 (実施形態4) 本実施形態に係る携帯送信端末及び携帯受信端末の一例を示す概観図を図16に示す。図16において、本実施形態に係る携帯送信端末100は、さらに、タッチパネル上でオブジェクト又はテキストを選択することができる。」(10頁) 摘記事項ア.イ.及び図15より、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 (引用発明) 「テレビ電話利用するための携帯送信端末及び携帯受信端末からなる携帯送受信システムであって、 前記携帯送信端末は、前記携帯受信端末の受信側カメラで撮影した相手側画像を表示するタッチパネルにおける接触を検知すると、線画情報を前記携帯受信端末に送信し、 前記携帯受信端末は、前記受信側カメラで撮影した相手側画像を表示し、受信した前記線画情報から逆変換した線画を前記受信側カメラで撮影した相手側画像に重ねて表示する携帯送受信システム。」 2.引用文献2ないし引用文献4について (1)引用文献2 当審拒絶理由1に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 ウ.「【0023】 なお、振動デバイス2は、全二重通信を可能としても良いし、半二重通信でも良い。半二重通信の場合は、携帯電話1側で送受信の制御を行なう。例えば、携帯電話1がタイマを有し、入力時間を一定時間に限る方法が考えられる。また、入力の最後にEOF、またはそれと同等の意味を持つ入力信号を挿入することにより、入力を完了とすることも考えられる。」(4頁) (2)引用文献3 当審拒絶理由1に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。 エ.「【0058】 送信制御部7A1の送信信号生成部72で生成された送信信号は、送受信モード切替部73に送られる。送受信モード切替部73は、本装置の送信モードと受信モードを切り替える機能を有する。送受信モード切替部73の具体的構成は、多様である。 一例としては、本装置の筐体に設けた手動スイッチの切替により、本装置を送信専用装置としたり、受信専用装置としたりする。 また、別の例では、外部からの制御信号により、送信モードと受信モードを切り替える。例えば、外部から本装置に情報伝送する場合に、先ず、本装置を受信モードに設定する制御信号を送り、それに続いて所望の情報を伝送する。情報伝送が完了したならば、本装置を送信モードに設定する制御信号を外部から送り、本装置を送信モードとする。 さらに別の例では、内部の制御信号により、送信モードと受信モードを切り替える。例えば、送受信部8Aが外部からの信号を受信したことを検知したならば、自動的に本装置を受信モードに切り替え、受信を行う。受信完了した時点で、自動的に送信モードに切り替える。」(12頁) 摘記事項ウ.、エ.の記載より、「送信モードにして送信を行うようにすること(半二重モード)、それにともない他方を受信モードにして受信を行うようにすること。」は、周知技術である。 (3)引用文献4 当審拒絶理由1に引用された引用文献4には、「送信側の携帯電話でタッチ入力を検出した場合に、タッチ入力の属性情報を送信し、受信側の携帯電話は受信した前記タッチ入力の属性情報に基づいてアクチュエータを駆動すること。」(段落【0041】、【0052】、【0062】)が記載されていると認める。 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 引用発明における「携帯送信端末」、「携帯受信端末」は、それぞれ、本願発明1における「2つの通信端末のうちの一方の端末」、「2つの通信端末のうちの他方の端末」に含まれる。 引用発明における「携帯送受信システム」は、「テレビ電話利用」のためのものであり、「携帯送信端末」、「携帯受信端末」を備えるから、本願発明1における「通信システム」に含まれる。 引用発明の「受信側カメラで撮影した相手側画像」は、本願発明1の「相手画像」に相当する。 本願発明1の「相手画像のうち、顔画像に対応する位置又は顔以外の部位(頭、首、肩等)の画像に対応する位置における接触を検知した場合」と、引用発明の「前記携帯受信端末の受信側カメラで撮影した相手側画像を表示するタッチパネルにおける接触を検知すると」とは、「所定の対象における接触を検知した場合」で共通する。 また、引用発明における「前記受信側カメラで撮影した相手側画像を表示し、受信した前記線画情報から逆変換した線画を前記受信側カメラで撮影した相手側画像に重ねて表示する」と、本願発明1における「前記相手画像を表示すると共に、受信した前記接触に関するデータに基づく出力制御をする」とは、「前記相手画像を表示すると共に、受信した前記接触に関するデータに基づく前記接触に対応する軌跡の表示制御をする」点で共通する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「テレビ電話により通信可能な2つの通信端末を備える通信システムであって、 前記2つの通信端末のうち一方の端末は、所定の対象における接触を検知した場合、当該接触に関するデータを送信し、 前記2つの通信端末のうち他方の端末は、前記相手画像を表示すると共に、受信した前記接触に関するデータに基づく前記接触に対応する軌跡の表示制御をすることを特徴とする通信システム。」 (相違点1) 一致点の「当該接触に関するデータを送信」に関して、本願発明1では、「接触に関するデータを送信する送信モード」とするのに対して、引用発明では、線画情報を送信する場合のモード設定について特定されていない点。 それに伴い、本願発明1では、「接触に関するデータを受信する受信モード」とするのに対して、引用発明では、線画情報を受信する場合のモード設定について特定されていない点。 (相違点2) 一致点の「所定の対象」が、本願発明1では、「相手画像のうち、顔画像に対応する位置又は顔以外の部位(頭、首、肩等)の画像に対応する位置」であるのに対し、引用発明は、「前記携帯受信端末の受信側カメラで撮影した相手側画像を表示するタッチパネル」であって、「タッチパネル」に表示される「相手側画像」との関係で、「タッチパネル」の特定の位置に限定されるものではない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み(相違点2)について検討する。 (相違点2)に係る本願発明1の「相手画像のうち、顔画像に対応する位置又は顔以外の部位(頭、首、肩等)の画像に対応する位置」とする構成は、引用文献2-4のいずれにも記載も示唆もされておらず当業者に自明の構成でもない。 そして、本願発明1は、上記構成により、「音声情報や映像情報以外の情報である自己画像に対する接触に関する情報を伝達することにより、コミュニケーションをより一層円滑化することができる。」(段落【0066】)という作用効果を奏するものである。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-8について 請求項2、請求項3は、ともに請求項1を引用しており、請求項4-8も(相違点2)に相当する「相手画像のうち、顔画像に対応する位置又は顔以外の部位(頭、首、肩等)の画像に対応する位置」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明2-8は、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第7 当審拒絶理由(サポート要件・明確性)について 当審拒絶理由1、当審拒絶理由2における(サポート要件・明確性)について検討する。 (1)当審では、請求項1、6の「前記2つの通信端末は、接触に関するデータを送信する送信モードにして、」について、発明の詳細な説明【0039】では、2つの通信端末のうちの一方の端末(例えば、通信端末1)が、フェイスタッチ送信モードの場合には、他方の端末(例えば、通信端末2)は、フェイスタッチ受信モードとなることが記載されているから、上記「2つの通信端末」が、「送信モード」になるという記載は、発明の詳細な説明の記載と対応していないとの拒絶理由(当審拒絶理由1の「1(1)」)を通知しているが、平成29年6月12日付けの手続補正において、補正された結果、請求項1、6の「前記2つの通信端末のうち一方の端末は、接触に関するデータを送信する送信モードにして、」、「前記2つの通信端末のうち他方の端末は、接触に関するデータを受信する受信モードにして、」となっているから、この拒絶理由は解消した。 (2)当審では、請求項1、4-8の「相手画像に対応する位置」について、「相手画像」が、(i)表示される画像の中で、相手の体に対応する部分を意味するのか、あるいは(ii)画像を表示する画面全体を意味するのか不明確であるとの拒絶理由(当審拒絶理由1の「1(2)」)を通知し、さらに、平成29年4月20日付け手続補正のうち請求項1、4-8の「相手画像のうち、顔画像に対応する位置又は顔以外(頭、首、肩等)の画像に対応する位置における接触を検知した場合」について、「顔以外の画像」が、(i)顔以外の部位(頭、首、肩等)の画像を意味するのか、あるいは(ii)相手画像のうち顔以外の表示画面を意味するのか不明確であるとの最後の拒絶理由(当審拒絶理由2の「1」)を通知しているが、平成29年6月12日付けの手続補正において、請求項1、4-8の「相手画像のうち、顔画像に対応する位置又は顔以外の部位(頭、首、肩等)の画像に対応する位置」と補正された結果、この拒絶理由は解消した。 (3)当審では、請求項5、8の「通信端末」、「他通信端末」のいずれが、「送信モード」であるのか不明確であるとの拒絶理由(当審拒絶理由1の「1(3)」)を通知しているが、平成29年6月12日付けの手続補正において、補正された結果、請求項5、8の「接触に関するデータを受信する受信モードにして、」と、 「送信モードによって送られた、」となっているから、この拒絶理由は解消した。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-011226

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