特許拒絶査定不服審判
2016-009308
マルチキャスト通信またはブロードキャスト通信において拡張したファイル配信を行う方法および装置
- 審判番号
- 2016-009308
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-152385外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年06月22日
- 審決日
- 2017年10月20日
- 公報発行日
- 2018年04月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】クゥアルコム・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】蔵田 昌俊
- 【請求人代理人】福原 淑弘
- 【請求人代理人】井関 守三
- 【請求人代理人】岡田 貴志
- 分類
- P18 .121-WZ (H04L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-152385「マルチキャスト通信またはブロードキャスト通信において拡張したファイル配信を行う方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月20日出願公開,特開2014-220840〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯・本願発明
本願は,2006年4月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2005年4月8日 米国,2006年4月6日 米国)を国際出願日とする出願である特願2008-505621号の一部を,平成23年3月24日に新たな特許出願とした特願2011-66429号の一部を,平成26年7月25日に更に新たな特許出願としたものであって,平成28年2月17日付けで拒絶査定がされ,これに対し,同年6月22日に拒絶査定不服審判が請求され,同時に手続補正がされ,その後,当審において平成29年4月28日付けで拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)が通知され,同年8月9日付けで手続補正がされたものである。
その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成29年8月9日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「第1通信セッションと,第2通信セッションとを含むアウトオブバンド通信方式を用いる通信システム内でブロードキャストのファイルをダウンロードする方法であって,
前記第1通信セッションにおいて,少なくとも1つのコンテンツファイルのファイル属性を受信することと,
前記第2通信セッションにおいて,前記ファイル属性とは別に,前記ブロードキャストの前記少なくとも1つのコンテンツファイルを受信することと,
を備え,前記ファイル属性は,前記少なくとも1つのコンテンツファイルよりも先に受信され,および前記少なくとも1つのコンテンツファイルを再構築するために使用され,前記通信システムはインターネットプロトコル(IP)をサポートし,前記方法はさらに,
前記ファイル属性を,第1ポート番号を介して前記IPのユーザデータグラムプロトコル(UDP)を通して受信することと,
前記少なくとも1つのコンテンツファイルを,第2ポート番号を介して前記IPの前記UDPを通して受信することと,
を備え,
前記第2通信セッション中の前記少なくとも1つのコンテンツファイルの前記受信は,前記第1通信セッション中に前記ファイル属性が正確に受信されたとの確認がされた後にのみ実行される,方法。」
2 引用発明
当審拒絶理由に引用された特開2003-304511号公報(以下,「引用例」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,映像(ビデオ)情報,音声(オーディオ)情報等の放送メディアを放送するための放送通信システム,放送通信方法,及び,これらに用いて好適な通信端末,サーバ装置,中継装置及びプログラムに関する。」
(2)「【0027】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の特徴は,受信した放送メディアを再生する通信端末であって,前記放送メディアの再生に先立って,該放送メディアの再生方法を示す再生情報を取得し,少なくとも一つの前記放送メディアを指定する放送通知情報を受信した場合,前記再生情報に基づいて,指定された該放送メディアを再生することを要旨とする。」
(3)「【0084】(第1の実施形態)本発明の第1の実施形態について図1から図11を用いて説明する。本実施形態では,インターネットプロトコルである「RTP/UDP/IP」パケット(放送メディアパケット)の形式で,音声情報や映像情報等を含む放送メディアを伝送する放送通信システム1について説明する。
【0085】本実施形態では,受信端末20は,音声情報や映像情報等の放送メディアの再生に先立って,該放送メディアの再生方法を示す再生情報を取得し,放送通知情報(SAPメッセージ)を受信した場合に,前記再生情報に基づいて放送メディアを再生する。ここで,放送通知情報(SAPメッセージ)は,少なくとも一つの放送メディアを指定するものである。
【0086】コンテンツ送信サーバ10は,受信端末20による放送メディアの再生に先立って,放送通知情報(SAPメッセージ)によって指定されている放送メディアの再生方法を示す再生情報を送信する。
【0087】コンテンツ送信サーバ10は,放送通知情報(SAPメッセージ)によって指定される放送メディア(AMRを含むRTPパケットやMPEG4を含むRTPパケット)を送信する前に,放送メディアの再生方法を示す再生情報を送信する。
【0088】例えば,コンテンツ送信サーバ10は,放送通知情報(SAPメッセージ)を周期的に繰り返し送信して,放送通知情報(SAPメッセージ)を送信した直後に,カルーセルデータによって再生情報を送信することができる。ここで,カルーセルデータとは,同じデータを繰り返し送信する方式(データカルーセル方式)によって伝送されるデータのことをいう。
【0089】ここで,再生情報は,SAPメッセージの「payload(ペイロード)」内に記述されている「SDP情報(図4参照)」や,データカルーセル方式によって送信される「SMIL(Synchronized MultimediaIntegration Language)(図8参照)」等に含まれている。
【0090】また,再生情報は,放送メディアの再生の際に用いられる「レイアウト情報」や,放送メディアの再生の際に用いられる「タイミング情報」を含むことができる。
【0091】図2は,本実施形態における放送通信システム1におけるコンテンツ送信サーバ10と受信端末20との間のシーケンス図である。
【0092】図2に示すように,ステップ201において,コンテンツ送信サーバ10が,放送通知情報である「SAPメッセージ」を,受信端末20に送信する。SAPメッセージの内容については,後述の図3及び図4において詳細に説明する。ここで,SAPメッセージが通知される「IPアドレス」及び「ポート番号」は,受信端末20に既知のものとする。
【0093】ステップ202において,コンテンツ送信サーバ10が,「SMIL」を含むカルーセルデータを受信端末20に送信する。また,ステップ203において,コンテンツ送信サーバ10が,HTML形式のテキスト情報やアンカー情報を含むカルーセルデータを受信端末20に送信する。
【0094】例えば,JPEG等の静止画像情報やXML形式の構造化データは,UDP上でデータを繰り返し送るデータカルーセル方式にて伝送される(図35参照)。データカルーセル方式については,後述の図5乃至図7の説明において詳細に説明する。
【0095】ステップ204乃至207において,コンテンツ送信サーバ10が,音声情報(AMR)や映像情報(MPEG-4)を含むRTPパケット(放送メディアパケット)を受信端末20に送信する。
【0096】ここで,SAPメッセージ及びカルーセルデータは,UDP/IPパケットによって伝送され,音声情報及び映像情報は,UDP/IP上のRTPパケットによって伝送される(図35参照)。
【0097】そして,コンテンツ送信サーバ10は,SAPメッセージを,所定間隔をもって周期的に繰り返し伝送する。受信端末20は,SAPメッセージを受信することにより,放送メディアの再生を開始するので,SAPメッセージは,できうる限り短い周期にて伝送することが望ましい。
【0098】次に,図3及び図4を用いて,SAPメッセージについて説明する。図3は,SAPメッセージのフォーマットを示すものである。
【0099】図3において,「V」は,バージョン情報を示す。「A」は,アドレスタイプを示し,A=0の時,IPv4であり,A=1の時,IPv6である。「R」は,「Reserved」である。
【0100】「T」は,メッセージタイプを示し,T=0の時,放送開始を示す放送通知情報であることを意味し,T=1の時,放送終了を示す放送通知情報であることを意味する。
【0101】「E」は,「Encryption bit」である。「C」は,「Compression bit」である。「auth len」は,「optional authentication data」のサイズを示す。
【0102】「msg id hash」は,「originating source」に記述されたIPアドレスで示される発信元(コンテンツ送信サーバ10等)によって送信されるSAPメッセージを一意に特定するメッセージIDである。
【0103】「originating source」は,SAPメッセージの発信元のIPアドレスである。
【0104】ここで,「msg id hash」と「originating source」との組み合わせによって,SAPメッセージを一意に特定することができる。
【0105】「optional payload type」は,「payload」のデータタイプを示す。「payload」については,図4において詳細に説明する。
【0106】図4は,本実施形態におけるSAPメッセージ内の「payload」に記述された「SDP情報」の例を示す。
【0107】「v=0」は,「payload」のバージョンを示すものであり,「payload」を記述するルールを規定するための情報を示している。
【0108】「o=」は,発信元情報であり,発信元のIPアドレス情報(126.16.64.4)を含む。「s=」は,放送メディアのセッション名である。「c=」は,放送メディアを送信しているマルチキャストアドレス(送信先のIPアドレス情報)である。「t=」は,放送メディアの有効期間を示すものである。
【0109】「m=」は,当該SAPメッセージによって指定されている放送メディアを示す情報であり,図4に示すSAPメッセージは,放送メディアとして,1つの音声情報と1つの映像情報と1つのカルーセルデータを指定している。
【0110】すなわち,第1の放送メディアを指定する「m=audio 3456 RTP/AVP 0」という記述は,音声情報を「3456」で特定されるポート番号にて,RTPパケットによって伝送することを示している。
【0111】また,第2の放送メディアを指定する「m=video 2232 RTP/AVP 98」という記述は,映像情報を「2232」で特定されるポート番号にて,RTPパケットによって伝送することを示している。
【0112】また,「m=application 32416 udp dc」という記述は,繰り返し送信するカルーセルデータを,UDPパケットを用いて伝送することを示している。」
(4)「【0145】第2に,受信端末20は,SAPメッセージを参照することにより,音声情報や映像情報やカルーセルデータ等の放送メディアが送信されている「IPアドレス」や,各放送メディアを再生するために必要な「ポート番号」や「RTPペイロードタイプ」等の再生情報を取得する。
【0146】例えば,図4に示すSAPメッセージを受信した受信端末20は,「c=INIP4 224.2.17.12/127」という記述により,各放送メディアが送信されている「IPアドレス(マルチキャストアドレス)」を取得する。
【0147】また,受信端末20は,第1の放送メディアを指定する「m=audio 3456 RTP/AVP 0」という記述により,音声情報が,ポート番号「3456」によってRTPパケットを用いて送信されると解析する。
【0148】また,受信端末20は,第2の放送メディアを指定する「m=video 2232 RTP/AVP 98」という記述により,映像情報が,ポート番号「2232」によってRTPパケットを用いて送信されると解析する。
【0149】さらに,受信端末20は,「m=application 32416 udp dc」という記述より,ポート番号「32416」によって,UDPパケット上で,カルーセルデータが送信されると解析する。
【0150】第3に,上述の放送メディアについての解析を行った受信端末20は,各放送メディアの受信処理の準備を行い,放送メディアが放送されるのを待つ。」
(5)「【0266】図27の例では,コンテンツ送信サーバ10が,SAPメッセージ用チャネルを介してSAPメッセージ(SAP1,SAP2)を伝送し,番組1用チャネルを介して第1の放送メディア(RTP1-a,RTP1-b)を伝送し,番組2用チャネルを介して第2の放送メディア(RTP2-a,RTP2-b)を伝送している。すなわち,図27の例では,コンテンツ送信サーバ10は,番組毎に異なる無線チャネルを使用している。
【0267】この場合,コンテンツ送信サーバ10は,SAPメッセージにおいて放送メディア(番組)のIPアドレス(論理チャネル識別情報)だけ指定したのでは不十分であり,どの無線チャネルにどの放送メディアが流れているかについても特定する必要がある。そこで,コンテンツ送信サーバ10は,SAPメッセージ内のSDP情報の中で,無線チャネルを特定する情報(物理チャネル識別情報)を通知する。
【0268】例えば,コンテンツ送信サーバ10は,図28に示すように,SDPの「cフィールド」の中で「c=Channel ABCDE」というように無線チャネルを特定する情報を通知する。無線チャネルを特定する情報としては,CDMA通信方式のチャネライゼーションコードや周波数値等が考えられる。
【0269】受信端末20は,この無線チャネルを特定する情報に基づいて,放送メディアの流れている無線チャネルを特定し,当該放送メディアを視聴することが可能となる。
【0270】すなわち,本実施形態では,放送通知情報(SAPメッセージ)内のSDP情報に,放送メディアが送信される物理チャネル識別情報(CDMA通信方式のチャネライゼーションコードや周波数値等の無線チャネルを特定する情報)と論理チャネル識別情報(放送メディアのIPアドレス)との対応情報とが含まれている。」
引用例の上記記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると,
ア 上記(1),(2),(3)の【0087】及び【0095】,(4)の【0150】,(5)の【0266】の記載によれば,引用例には,「SAPメッセージ用チャネルによる送信と,番組用チャネルによる送信とを含む通信を用いる放送通信システム内でコンテンツ送信サーバが放送する放送メディアを受信する放送通信方法」が記載されていると認められる。
イ 上記(3)の【0088】,上記(4)の【0145】,及び上記(5)の【0266】の記載によれば,受信端末がコンテンツ送信サーバから受信する再生情報には,各放送メディアを再生するために必要な「ポート番号」や「RTPペイロードタイプ」等が含まれ,前記再生情報は,SAPメッセージ用チャネルを介して送信されるSAPメッセージに含まれていると認められる。
したがって,引用例には,「SAPメッセージ用チャネルにおいて,各放送メディアを再生するために必要な「ポート番号」や「RTPペイロードタイプ」等を含む再生情報を受信する」ことが記載されていると認められる。
ウ 上記(5)の【0266】及び図27の記載によれば,放送メディアは,番組用チャネルにおいて受信するものと認められる。
したがって,引用例には,「番組用チャネルにおいて,前記「ポート番号」や「RTPペイロードタイプ」等を含む再生情報とは別に,前記放送メディアを受信する」ことが記載されていると認められる。
エ 上記(4)の【0150】の記載によれば,受信したSAPメッセージを参照することにより再生情報を取得して放送メディアについての解析を行った受信端末は,各放送メディアの受信処理の準備を行い,放送メディアが放送されるのを待つのであるから,各放送メディアを再生するために必要な「ポート番号」や「RTPペイロードタイプ」等を含む再生情報は,放送メディアよりも先に受信されていることは明らかである。また,当該再生情報は放送メディアの再生のために使用されていることは明らかである。
したがって,引用例には,「前記「ポート番号」や「RTPペイロードタイプ」等を含む再生情報は,前記放送メディアよりも先に受信され,前記放送メディアの再生のために使用される」ことが記載されていると認められる。
オ 上記(3)の【0084】の記載によれば,引用例には,「前記放送通信システムは,インターネットプロトコル(IP)をサポートする」ことが記載されていると認められる。
カ 上記(3)の【0084】,【0092】,【0096】,【0109】-【0111】,及び上記(4)の【0145】の記載によれば,「ポート番号」や「RTPペイロードタイプ」等を含む再生情報を含むSAPメッセージは,受信端末に既知のポート番号を介してUDP/IPパケットによって伝送され,音声情報や映像情報等の放送メディアは,「3456」及び「2232」で特定されるポート番号を介して,UDP/IP上のRTPパケットによって伝送されて,受信端末が受信すると認められる。
したがって,引用例には,「前記「ポート番号」や「RTPペイロードタイプ」等を含む再生情報を,受信端末に既知のポート番号を介して前記IPのユーザデータグラムプロトコル(UDP)を通して受信する」こと及び「前記放送メディアを,「3456」及び「2232」で特定されるポート番号を介して前記IPの前記UDPを介して受信する」ことが記載されていると認められる。
したがって,引用例には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「SAPメッセージ用チャネルによる送信と,番組用チャネルによる送信とを含む通信を用いる放送通信システム内でコンテンツ送信サーバが放送する放送メディアを受信する放送通信方法であって,
前記SAPメッセージ用チャネルにおいて,各放送メディアを再生するために必要な「ポート番号」や「RTPペイロードタイプ」等を含む再生情報を受信することと,
前記番組用チャネルにおいて,前記再生情報とは別に,前記放送メディアを受信することと,
を備え,
前記再生情報は,前記放送メディアよりも先に受信され,前記放送メディアの再生のために使用され,
前記放送通信システムは,インターネットプロトコル(IP)をサポートし,前記放送通信方法は更に,
前記再生情報を,受信端末に既知のポート番号を介して前記IPのユーザデータグラムプロトコル(UDP)を通して受信することと,
前記放送メディアを,「3456」及び「2232」で特定されるポート番号を介して前記IPの前記UDPを介して受信することと,
を備える,放送通信方法。」
3 対比
本願発明と引用発明とを対比すると,
(1)IEEEから刊行され当業者に周知であるIEEE 100 The Authoritative Dictionary of IEEE Standards Terms, Seventh Edition等を参酌すると,一般に,「アウトオブバンド通信方式」は,制御信号とデータとを異なるチャネルで伝送する方式を意味するものと解され,「インバンド」は,制御信号とデータとが同じチャネルで伝送される方式を意味するものと解されるから,引用発明の「SAPメッセージ用チャネルによる送信と,番組用チャネルによる送信とを含む通信を用いる放送通信システム」は,明らかに「アウトオブバンド通信方式を用いる通信システム」といえる。
また,引用発明の「放送」が「ブロードキャスト」を意味することは明らかであり,本願発明の「少なくとも1つのコンテンツファイル」と引用発明の「放送メディア」とは,「ファイル」であるか否かは別として,「ブロードキャストのコンテンツ」である点で共通する。
また,本願発明の「ブロードキャストのファイルをダウンロードする」ことは,発明の詳細な説明の【0009】,【0010】,【0014】の記載によれば,ブロードキャストされたコンテンツを受信することを含むと認められる。
したがって,本願発明の「第1通信セッションと,第2通信セッションとを含むアウトオブバンド通信方式を用いる通信システム内でブロードキャストのファイルをダウンロードする方法」と,引用発明の「SAPメッセージ用チャネルによる送信と,番組用チャネルによる送信とを含む通信を用いる放送通信システム内でコンテンツ送信サーバが放送する放送メディアを受信する放送通信方法」とは,下記の相違点1,2は別として,「通信システム内でブロードキャストのコンテンツをダウンロードする方法であって」の点で共通している。
(2)本願発明の「少なくとも1つのコンテンツファイルを再構築する」ことと,引用発明の「放送メディアを再生する」こととは,その対象が「ファイル」であるか否かは別として,「ブロードキャストのコンテンツを処理する」ことである点で共通する。そして,本願発明の「少なくとも1つのコンテンツファイルのファイル属性」と,引用発明の「「ポート番号」や「RTPペイロードタイプ」等を含む再生情報」とは,「コンテンツを処理するために必要な情報」である点で共通している。
(3)上記(1),(2)のとおりであるから,本願発明の「前記第1通信セッションにおいて,少なくとも1つのコンテンツファイルのファイル属性を受信することと,前記第2通信セッションにおいて,前記ファイル属性とは別に,前記ブロードキャストの前記少なくとも1つのコンテンツファイルを受信することと,を備え,前記ファイル属性は,前記少なくとも1つのコンテンツファイルよりも先に受信され,および前記少なくとも1つのコンテンツファイルを再構築するために使用され」と,引用発明の「前記SAPメッセージ用チャネルにおいて,各放送メディアを再生するために必要な「ポート番号」や「RTPペイロードタイプ」等を含む再生情報を受信することと,前記番組用チャネルにおいて,前記再生情報とは別に,前記放送メディアを受信することと,を備え,前記再生情報は,前記放送メディアよりも先に受信され,前記放送メディアの再生のために使用され」は,下記の相違点1~3は別して,「前記コンテンツを処理するために必要な情報を受信することと,前記コンテンツを処理するために必要な情報とは別に,前記ブロードキャストのコンテンツを受信することと,を備え,前記コンテンツを処理するために必要な情報は,前記コンテンツよりも先に受信され,および前記コンテンツを処理するために使用され」の点で共通している。
(4)本願発明と引用発明とは,「前記通信システムはインターネットプロトコル(IP)をサポートし」ている点で差異は無い。
また,引用発明において,「受信端末に既知のポート番号」を「第1ポート番号」と称し,「「3456」及び「2232」で特定されるポート番号」を「第2ポート番号」と称することは任意である。
したがって,本願発明と引用発明とは,「前記コンテンツを処理するために必要な情報を,第1ポート番号を介して前記IPのユーザデータグラムプロトコル(UDP)を通して受信することと,前記少なくとも1つのコンテンツファイルを,第2ポート番号を介して前記IPの前記UDPを通して受信することと,を備える」点で差異は無い。
したがって,本願発明と引用発明とは,両者は,以下の点で一致し,また,相違している。
(一致点)
「アウトオブバンド通信方式を用いる通信システム内でブロードキャストのコンテンツをダウンロードする方法であって,
前記コンテンツを処理するために必要な情報を受信することと,
前記コンテンツを処理するために必要な情報とは別に,前記ブロードキャストのコンテンツを受信することと,
を備え,前記コンテンツを処理するために必要な情報は,前記コンテンツよりも先に受信され,および前記コンテンツを処理するために使用され,前記通信システムはインターネットプロトコル(IP)をサポートし,前記方法はさらに,
前記コンテンツを処理するために必要な情報を,第1ポート番号を介して前記IPのユーザデータグラムプロトコル(UDP)を通して受信することと,
前記少なくとも1つのコンテンツファイルを,第2ポート番号を介して前記IPの前記UDPを通して受信することと,
を備える,方法。」
(相違点1)
一致点の「ブロードキャストのコンテンツ」の受信及び処理に関し,本願発明は,「ブロードキャストのファイル」,「少なくとも1つのコンテンツファイル」を受信及び処理するのに対し,引用発明はブロードキャストのコンテンツを少なくとも1つのファイルとして受信及び処理することが明らかでなく,これに伴い,一致点の「前記コンテンツを処理するために必要な情報は」「前記コンテンツを処理するために使用され」に関し,本願発明は,「前記ファイル属性は」「前記少なくとも1つのコンテンツファイルを再構築するために使用され」であるのに対し,引用発明はファイルに係る当該事項が明らかでない点。
(相違点2)
一致点の「コンテンツを処理するために必要な情報」及び「コンテンツ」の受信に関し,本願発明は,それぞれ「第1通信セッション」及び「第2通信セッション」において受信するのに対し,引用発明は,それぞれ「SAPメッセージ用チャネル」及び「番組用チャネル」において受信するものの,「通信セッション」については明らかではない点。
(相違点3)
本願発明は「前記第2通信セッション中の前記少なくとも1つのコンテンツファイルの前記受信は,前記第1通信セッション中に前記ファイル属性が正確に受信されたとの確認がされた後にのみ実行され」なる構成を備えているのに対し,引用発明は当該構成が明らかでない点。
4 検討
(相違点1について)
端末がサーバからコンテンツをダウンロードして再生する通信システムにおいて,前記端末及び前記サーバが,前記コンテンツを少なくとも1つのファイルとして扱うこと,並びにインターネットプロトコル(IP)をサポートする通信システムにおいてファイルを伝送する際に,送信側で当該ファイルを複数のパケットに分割して送信し,受信側で前記複数のパケットとして前記ファイルを受信して元のコンテンツを復元するために再構築する処理を行うことは,いずれも当業者により一般的に行われていることにすぎない。 また,その場合,ファイルを「再構築する処理」をするために必要な情報を,「ファイル属性」と称することは任意である。
そうすると,ブロードキャストのコンテンツをブロードキャストの少なくとも1つのファイルとして受信し,当該少なくとも1つのコンテンツファイルを再構築するためにファイル属性を使用すること,すなわち,相違点1は,格別困難なことではなく,当業者が容易になし得ることである。
(相違点2について)
インターネットプロトコル(IP)をサポートする通信システムにおいて,通信セッション単位で通信を行うことは,当業者における技術常識であり,異なるチャネルに異なる通信セッションを対応付けることは格別困難なことではない。
また,引用発明では,SAPメッセージ用チャネルにおける受信は受信端末に既知のポート番号を介しての受信に対応付けられ,番組用チャネルにおける受信は「3456」及び「2232」で特定されるポート番号を介しての受信に対応付けられることは明らかであるところ,「多種のアウトオブバンドセッションを,前述した時間分離ではなく異なるポート番号によって識別することもできる。」ことは,本願明細書の【0078】に記載のとおりである。
してみると,相違点2は格別困難なことではなく,当業者が容易になし得ることにすぎない。
(相違点3について)
上記「2 エ」の項で述べたように,引用発明においては,受信したSAPメッセージを参照することにより再生情報を取得して放送メディアについての解析を行った受信端末は,各放送メディアの受信処理の準備を行い,放送メディアが放送されるのを待つ,換言すれば,受信端末は,再生情報を受信して放送メディアについての解析を行った後に,前記再生情報とは別に,放送メディアを受信するものである。
そして,取得した再生情報に基づいて放送メディアについての解析を行う以上,再生情報を正確に受信した後に解析を始めることは明らかであるから,再生情報を正確に受信した後に,放送メディアを受信しているといえるし,また,そのようにすることは普通に行われ得ることに過ぎない。
したがって,相違点3には実質的な相違は無い,また,相違があるとしても当業者が容易になし得ることである。
そして,本願発明の作用効果も,引用発明に基づいて当業者が予測し得る範囲のものであり,格別なものではない。
4 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2016-009308