特許拒絶査定不服審判
2023-006013
電子機器のパスワード更新方法、装置、機器及び記憶媒体
- 審判番号
- 2023-006013
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-110576外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年04月13日
- 審決日
- 2023年09月20日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
- 【請求人代理人】伊藤 克博
- 分類
- P18 .121-Z (H04L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-110576「電子機器のパスワード更新方法、装置、機器及び記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年10月14日出願公開、特開2021-166401〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年7月2日(パリ条約による優先権主張 2020年12月17日 中華人民共和国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 4年 5月31日付け:拒絶理由通知書
令和 4年 9月 7日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年12月 6日付け:拒絶査定
令和 5年 4月13日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 5年 6月 1日 :前置報告
第2 令和5年4月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年4月13日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
電子機器に実行される電子機器のパスワード更新方法であって、
パスワード更新のトリガ条件を検出したことに応答して、第1パスワードをランダムに生成することと、
前記電子機器の登録パスワードを前記第1パスワードに更新することと、
前記電子機器の識別子及び前記第1パスワードを指示するためのパスワード更新メッセージをサーバ機器に送信して、ユーザに前記サーバ機器から前記第1パスワードを取得させることとを含み、
ここで、前記パスワード更新のトリガ条件を検出したことは、前記電子機器に電源が入ったことを検出したことを含む、電子機器のパスワード更新方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和4年9月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
電子機器に実行される電子機器のパスワード更新方法であって、
パスワード更新のトリガ条件を検出したことに応答して、第1パスワードをランダムに生成することと、
前記電子機器の登録パスワードを前記第1パスワードに更新することと、
前記電子機器の識別子及び前記第1パスワードを指示するためのパスワード更新メッセージを送信することとを含み、
ここで、前記パスワード更新のトリガ条件を検出したことは、前記電子機器に電源が入ったことを検出したことを含む、電子機器のパスワード更新方法。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記電子機器の識別子及び前記第1パスワードを指示するためのパスワード更新メッセージを送信すること」について、パスワード更新メッセージの送信先を「サーバ機器」に限定するとともに、「ユーザに前記サーバ機器から前記第1パスワードを取得させる」点を限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものであるところ、以下に再掲する。なお、A~Eの符号は、説明のために当審で付したものである。
「【請求項1】
A 電子機器に実行される電子機器のパスワード更新方法であって、
B パスワード更新のトリガ条件を検出したことに応答して、第1パスワードをランダムに生成することと、
C 前記電子機器の登録パスワードを前記第1パスワードに更新することと、
D 前記電子機器の識別子及び前記第1パスワードを指示するためのパスワード更新メッセージをサーバ機器に送信して、ユーザに前記サーバ機器から前記第1パスワードを取得させることとを含み、
E ここで、前記パスワード更新のトリガ条件を検出したことは、前記電子機器に電源が入ったことを検出したことを含む、電子機器のパスワード更新方法。」
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2016-535367号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。(下線は当審で付したものである。)
A「【0048】
図1は、一部の例示的な実施例のアクセス認証方法に係る実施環境を示す模式図である。図1に示したように、当該実施環境は、被アクセスデバイス120、アクセスデバイス140、サードパーティデバイス160、及び、登録側180を含んでもよい。
【0049】
被アクセスデバイス120は、Wi-Fi付きのインテリジェントデバイスであってもよく、当該インテリジェントデバイスは、カメラ、ルーター、インテリジェント・テレビ、等であってもよい。当該被アクセスデバイス120は、工場出荷設定回復機能が付いており、被アクセスデバイス120とユーザアカウントとのバインディング関係を解除できる。当該被アクセスデバイス120は、ルーターを介してインタネットに接続できる。
【0050】
アクセスデバイス140は、Appをインストールできる電子デバイスであってもよく、当該電子デバイスは、インテリジェント携帯電話、タブレットPC、インテリジェントテレビ、電子ブックリーダー、MP4(Moving Picture Experts Group Audio Layer IV)プレーヤー、ポータブルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、等であってもよい。
【0051】
サードパーティデバイス160は、バインディング、認証、等の機能を有するサーバ、ルーター、等であってもよい。サードパーティデバイス160がサーバである場合、一台のサーバであってもよく、或は、幾つかのサーバから構成されたサーバークラスタであってもよく、或は、一つのクラウドコンピューティング・サービスセンターであってもよい。
【0052】
登録側180は、Appをインストールできる電子デバイスであってもよく、当該電子デバイスは、インテリジェント携帯電話、タブレットPC、インテリジェントテレビ、電子ブックリーダー、MP4(Moving Picture Experts Group Audio Layer IV)プレーヤー、ポータブルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、等であってもよい。当該登録側180に登録されたユーザアカウントは、被アクセスデバイス120の所有者権限を有する。
【0053】
被アクセスデバイス120、アクセスデバイス140、サードパーティデバイス160、及び、登録側180の間は、無線ネットワークを介して接続されてもよく、当該無線ネットワークは、Wi-Fi、ブルートゥース、赤外線、等であってもよい。」
B「【0074】
図5Aは、例示的な別の一実施例に係るアクセス認証方法を示すフローチャートである。図5Aに示したように、当該アクセス認証方法、図1に示した実施環境に適用される。当該方法は、以下のステップを含む。
【0075】
ステップ501において、被アクセスデバイスによりアクセスパスワードを生成する。
【0076】
オプションとして、被アクセスデバイスは、アクセスパスワードをランダムに生成してもよい。
【0077】
オプションとして、被アクセスデバイスは、アクセスパスワードを定期的に変更するか、或は、当該被アクセスデバイスに対応する登録側から送信した、アクセスパスワードを変更するための命令を受信した後に、被アクセスデバイスのアクセスパスワードを変更してもよい。
【0078】
ステップ502において、被アクセスデバイスにより、サードパーティデバイスに当該アクセスパスワード、及び、被アクセスデバイスのデバイス識別子を送信する。
【0079】
ここで、デバイス識別子は、被アクセスデバイスを生産する時に付与された識別子であってもよく、当該デバイス識別子は、被アクセスデバイスを一義的に識別する。実際の適用において、当該デバイス識別子は文字列であってもよく、当該文字列は、数字、文字、或は、他の種類のキャラクターの中の少なくとも一種から構成させる。
(中略)
【0086】
ステップ505において、アクセスデバイスにより、被アクセスデバイスのデバイス識別子を取得する。
【0087】
アクセスデバイスは、被アクセスデバイスのデバイス識別子を取得する時に、被アクセスデバイスによりブロードキャストされた、被アクセスデバイスのデバイス識別子が付加されたブロードキャスト情報を受信して、ブロードキャスト情報中から被アクセスデバイスのデバイス識別子を取得してもよく、或は、被アクセスデバイス上の図形コードをスキャンすることにより、被アクセスデバイスのデバイス識別子を取得してもよい。
【0088】
本実施例においては、アクセスデバイスにより被アクセスデバイスのデバイス識別子を取得するための具体的な方式に対して、制限しないことを説明する必要がある。
【0089】
ステップ506において、アクセスデバイスにより、サードパーティデバイスに、当該デバイス識別子、及び、アクセスデバイスのユーザアカウントを送信する。
【0090】
ここで、ユーザアカウントは、ユーザによりサードパーティデバイスに登録したユーザアカウントであり、ユーザは、多数のアクセスデバイスにおいて当該ユーザアカウントにログインできる。
【0091】
アクセスデバイスは、被アクセスデバイスのデバイス識別子を取得する後に、当該デバイス識別子、及び、アクセスデバイスにログインしたユーザアカウントを、サードパーティデバイスに送信する。
【0092】
ステップ507において、サードパーティデバイスにより、アクセスデバイスから送信したデバイス識別子、及び、アクセスデバイスのユーザアカウントを受信する。
【0093】
ステップ508において、サードパーティデバイスにより、受信したデバイス識別子にユーザアカウントがバインディングされていないことが検出された場合、受信したアクセスデバイスのユーザアカウントと当該デバイス識別子とをバインディングする。
(中略)
【0099】
ステップ509において、サードパーティデバイスにより、アクセスデバイスにデバイス識別子に対応するアクセスパスワードを送信する。
【0100】
即ち、サードパーティデバイスは、当該アクセスデバイス(即ち、登録側)のユーザアカウントと被アクセスデバイスのデバイス識別子とをバインディングした後に、当該アクセスデバイスに、当該デバイス識別子に対応するアクセスパスワードを、直接、送信してもよい。これにより、当該アクセスデバイスが当該アクセスパスワードを用いて、直接、当該被アクセスデバイスにアクセスするようにする。
【0101】
ステップ510において、アクセスデバイスによりアクセスパスワードを受信する。
【0102】
オプションとして、アクセスデバイス(即ち、登録側)は、無線ネットワーク、或は、SMS、等の方法によって、クセスパスワードを受信してもよい。
【0103】
本実施例においては、アクセスデバイスによりアクセスパスワードを受信する具体的な方法に対して制限しないことを説明する必要がある。
【0104】
ステップ511において、アクセスデバイスにより、被アクセスデバイスにアクセスパスワードを送信する。
【0105】
アクセスデバイスは、アクセスパスワードを受信した後に、当該アクセスパスワードを用いて被アクセスデバイスにアクセスする。
【0106】
一適用ケースにおいて、アクセスデバイス(即ち、登録側)は、当該アクセスパスワードを用いて被アクセスデバイスにアクセスして、被アクセスデバイスにアクセスパスワードを送信してもよく、ここで、当該アクセスデバイスにより、無線ネットワークを介して取得したアクセスパスワードを、直接、被アクセスデバイスに送信してもよい。このようなケースにおいて、当該アクセスデバイスは、受信したアクセスパスワードを表示しないことで、被アクセスデバイスのアクセスパスワードの安全性を高めてもよい。
【0107】
オプションとして、当該アクセスデバイスは、被アクセスデバイスにアクセスパスワードを送信する時に、受信したアクセスパスワードをユーザに表示させ、また、パスワード入力ボックスをポップアップさせてもよい。ユーザにより受信したアクセスパスワードをパスワード入力ボックスに入力すると、当該アクセスデバイスは、ユーザが入力したパスワードを受信した後に、当該パスワードを被アクセスデバイスに送信する。
【0108】
ステップ512において、被アクセスデバイスにより当該アクセスパスワードを受信する。
【0109】
ステップ513において、被アクセスデバイスにより、当該アクセスパスワードが被アクセスデバイスにより生成したアクセスパスワードと同一であるか否かを検出する。
【0110】
被アクセスデバイスによりアクセスパスワードを変更した可能性があるため、受信したアクセスパスワードと被アクセスデバイスにより生成したアクセスパスワードとが同一であるか否かを検出する必要がある。
【0111】
ステップ514において、アクセスパスワードと被アクセスデバイスにより生成したアクセスパスワードとが同一であることが検出された場合、被アクセスデバイスは当該アクセスデバイスの被アクセスデバイスに対するアクセスを許可する。」
C「【図5A】
[図:0001407614000001.jpg]
」
(イ)引用文献1の記載について検討する。
a 上記(ア)Aの段落0049の「被アクセスデバイス120は、Wi-Fi付きのインテリジェントデバイスであってもよく、当該インテリジェントデバイスは、カメラ、ルーター、インテリジェント・テレビ、等であってもよい。」との記載から、引用文献1の「被アクセスデバイス」は、「カメラ、ルーター、インテリジェント・テレビ、等のインテリジェントデバイス」である。
また、上記(ア)Bの段落0075~0078の「ステップ501において、被アクセスデバイスによりアクセスパスワードを生成する。」、「オプションとして、被アクセスデバイスは、アクセスパスワードを定期的に変更するか、或は、当該被アクセスデバイスに対応する登録側から送信した、アクセスパスワードを変更するための命令を受信した後に、被アクセスデバイスのアクセスパスワードを変更してもよい。」、「ステップ502において、被アクセスデバイスにより、サードパーティデバイスに当該アクセスパスワード、及び、被アクセスデバイスのデバイス識別子を送信する。」との記載、及び、上記(ア)Cの図5Aの記載から、引用文献1には、「被アクセスデバイスによって実行される被アクセスデバイスのアクセスパスワード変更方法」が記載されている。
したがって、引用文献1には、「カメラ、ルーター、インテリジェント・テレビ、等のインテリジェントデバイスである被アクセスデバイスによって実行される被アクセスデバイスのアクセスパスワード変更方法」が記載されているといえる。
b 上記(ア)Bの段落0077の「オプションとして、被アクセスデバイスは、アクセスパスワードを定期的に変更するか、或は、当該被アクセスデバイスに対応する登録側から送信した、アクセスパスワードを変更するための命令を受信した後に、被アクセスデバイスのアクセスパスワードを変更してもよい。」との記載から、引用文献1には、「定期的に又はアクセスパスワードを変更するための命令を受信した後に、被アクセスデバイスのアクセスパスワードを変更」することが記載されている。
また、上記(ア)Bの段落0076の「オプションとして、被アクセスデバイスは、アクセスパスワードをランダムに生成してもよい。」との記載から、引用文献1には「アクセスパスワードをランダムに生成すること」が記載されている。
また、上記(ア)Bの段落0075の「ステップ501において、被アクセスデバイスによりアクセスパスワードを生成する。」、上記(ア)Bの段落0077の「オプションとして、被アクセスデバイスは、アクセスパスワードを定期的に変更するか、或は、当該被アクセスデバイスに対応する登録側から送信した、アクセスパスワードを変更するための命令を受信した後に、被アクセスデバイスのアクセスパスワードを変更してもよい。」との記載、及び、上記(ア)Cの図5Aの記載から、引用文献1には、「被アクセスデバイスのアクセスパスワードを、生成したアクセスパスワードに変更すること」が記載されている。
以上を総合すると、引用文献1には、被アクセスデバイスは、「定期的に又はアクセスパスワードを変更するための命令を受信した後に、アクセスパスワードをランダムに生成すること」、また、被アクセスデバイスは、「被アクセスデバイスのアクセスパスワードを、生成したアクセスパスワードに変更すること」が記載されている。
c(a)上記(ア)Aの段落0051の「サードパーティデバイス160は、バインディング、認証、等の機能を有するサーバ、ルーター、等であってもよい。」との記載から、引用文献1の「サードパーティデバイス」は「サーバ」であることが記載されている。
また、上記(ア)Bの段落0075の「ステップ501において、被アクセスデバイスによりアクセスパスワードを生成する。」との記載、上記(ア)Bの段落0078の「ステップ502において、被アクセスデバイスにより、サードパーティデバイスに当該アクセスパスワード、及び、被アクセスデバイスのデバイス識別子を送信する。」との記載及び上記bの検討から、引用文献1には、「被アクセスデバイスのデバイス識別子及び前記生成したアクセスパスワードをサードパーティデバイスに送信」することが記載されている。
そうすると、引用文献1には、「被アクセスデバイスのデバイス識別子及び前記生成したアクセスパスワードをサーバに送信」することが記載されているといえる。
(b)上記(ア)Bの段落0086~0087の「ステップ505において、アクセスデバイスにより、被アクセスデバイスのデバイス識別子を取得する。」、「アクセスデバイスは、被アクセスデバイスのデバイス識別子を取得する時に、・・・被アクセスデバイス上の図形コードをスキャンすることにより、被アクセスデバイスのデバイス識別子を取得してもよい。」との記載から、ステップ505のアクセスデバイスによる被アクセスデバイスのデバイス識別子の取得は、ユーザの操作により実行されるものである。
また、これに続く、上記(ア)Bの段落0089の「アクセスデバイスにより、サードパーティデバイスに、当該デバイス識別子、及び、アクセスデバイスのユーザアカウントを送信する」というステップ506の処理も、ユーザの操作によって実行されるものである。
そうすると、ステップ505及び506のデバイス識別子の取得と送信は、上記(a)も踏まえると、「ユーザにサーバから、アクセスパスワードを取得させる」処理であるということができる。
また、上記(ア)Bの段落0099~0101の「ステップ509において、サードパーティデバイスにより、アクセスデバイスにデバイス識別子に対応するアクセスパスワードを送信する。」、「ステップ510において、アクセスデバイスによりアクセスパスワードを受信する。」との記載、及び上記(ア)Bの段落0107の「オプションとして、当該アクセスデバイスは、被アクセスデバイスにアクセスパスワードを送信する時に、受信したアクセスパスワードをユーザに表示させ、また、パスワード入力ボックスをポップアップさせてもよい。ユーザにより受信したアクセスパスワードをパスワード入力ボックスに入力すると、当該アクセスデバイスは、ユーザが入力したパスワードを受信した後に、当該パスワードを被アクセスデバイスに送信する。」との記載から、引用文献1には、「サードパーティデバイスから受信したアクセスパスワードをユーザに表示させ、当該アクセスパスワードをユーザにパスワード入力ボックスに入力させる」ことが記載されている。
ここで、「アクセスパスワードをユーザに表示させ」ることは、言い換えれば、「ユーザにアクセスパスワードを取得させる」ことといえる。
以上のことから、引用文献1には、「ユーザにサーバからアクセスパスワードを取得させる」ことが記載されているといえる。
(c)上記(a)の「被アクセスデバイスのデバイス識別子及び前記生成されたアクセスパスワードをサーバに送信」する処理は、その結果として、上記(b)の「ユーザにサーバからアクセスパスワードを取得させる」ことを可能にする処理であるといえるから、上記(a)及び(b)の検討を総合すると、引用文献1には、「被アクセスデバイスのデバイス識別子及び前記生成したアクセスパスワードをサーバに送信して、ユーザにサーバから前記生成したアクセスパスワードを取得させる」ことが記載されているといえる。
(ウ)引用発明
上記(ア)、(イ)の検討によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「カメラ、ルーター、インテリジェント・テレビ、等のインテリジェントデバイスである被アクセスデバイスによって実行される被アクセスデバイスのアクセスパスワード変更方法であって、
定期的に又はアクセスパスワードを変更するための命令を受信した後に、アクセスパスワードをランダムに生成することと、
前記被アクセスデバイスのアクセスパスワードを、生成したアクセスパスワードに変更することと、
前記被アクセスデバイスのデバイス識別子及び前記生成したアクセスパスワードをサーバに送信して、ユーザにサーバから前記生成したアクセスパスワードを取得させることとを含む、被アクセスデバイスのアクセスパスワード更新方法。」
イ 参考文献1
(ア)本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特開2014-239522号公報(以下「参考文献1」という。)には、次の記載がある。(下線は当審で付したものである。)
A「【0164】
鍵更新部77はIPコネクション管理部70とIPコネクション管理部70から呼び出される第1コネクション部78を介してWebアプリ配布サーバ5に対して最新の鍵情報の取得要求を送信する機能を有する。鍵更新部77は鍵情報を受け取ると、情報出力装置3の不図示のストレージに格納される鍵情報を受け取った鍵情報で上書きする。鍵更新部77は情報出力装置3の起動時もしくは定期的に実行され、鍵情報を最新に保つことができる。」
ウ 参考文献2
(ア)本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特開2020-89788号公報(以下「参考文献2」という。)には、次の記載がある。(下線は当審で付したものである。)
A「【0422】
このように、電源投入の度に通信鍵(セッション鍵)が更新されてセキュリティを担保できる。さらに、通信鍵(セッション鍵)更新は、電源投入時以外に、更新周期毎(定期的)にも実行される。つまり、SC325bが通信鍵の更新周期を検知したときに通信鍵(セッション鍵)を更新する制御を行なう。具体的には、ホールサーバ801(または鍵管理サーバ800)から更新周期毎に鍵更新指令がCU3へ送信され、それを受けたCU3のSC325bが通信鍵要求を通信制御IC325aへ送信して前述と同様に通信鍵(セッション鍵)を更新する制御を行なう。この更新周期毎に鍵更新も乱数と現在時刻のデータとを用いて生成するため、電源投入時に更新された通信鍵(セッション鍵)とは異なる鍵に更新され、より一層セキュリティが向上する。」
エ 参考文献3
(ア)本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特開2004-259208号公報(以下「参考文献3」という。)には、次の記載がある。(下線は当審で付したものである。)
A「【0071】
(自動変更機能の実行例)
図14は、本発明のID、パスワード等の自動入力プログラムの自動変更機能の実行例を示すフローチャートである。この実行例においては、開始条件として、オペレーティングシステム(OS)が起動したとき、OSの起動中に日付が変わったとき、またはOSの起動中に変更期限条件が設定変更されたことを条件とする。ただし、ブラウザが起動していること、及びコンピュータとインターネットとが接続されていることは前提とならない。
【0072】
本発明のID、パスワード等の自動入力プログラムの自動変更機能の実行にあたっては、図14のように、最初に、自動変更機能は、データベースにURL及び入力欄情報と組にして保存されている入力情報の全てについて、その保存日時を参照する(S61)。次に、前記内部時計(カウント機能)でのカウントデータと、データベース内の全データの保存日時とを比較し(S62)、データベース内から、変更期限を迎えているURL及び当該URLと組になって保存されている入力情報を検出する(S63)。変更期限を迎えている入力情報がなければ、自動変更機能の実行は終了する(S63;N)。変更期限を迎えている入力情報を検出すると(S63;N)、自動変更部28は、設定が自動変更になっているか否か確認する(S64)。設定が自動変更であれば動作はS65に、設定が自動変更でなければ動作はS68に、それぞれ進む。
【0073】
S65では、自動変更機能が、設定されている条件に従って、乱数表を用いて、自動的に入力情報を変更する。変更が完了すると登録機能が、自動変更した入力情報を、インターネットを通じてその入力画面を備えるウェブサイトのサーバに登録して、次回以降は、変更された入力情報で認証が可能となるようにし(S66)、変更をデータベースに保存して(S67)、自動変更機能の実行が終了する。
【0074】
S68では、最初にユーザが編集を希望する入力情報を選択する。なお、S68は手動変更であって、前記編集機能が機能することとなる。入力情報を選択すると、ユーザが所望の変更を入力装置から入力する(S69)。入力されると、編集機能は、この変更を確定させるか否かをユーザに選択させる(S70)。変更の確定を選択すると(S70;Y)、動作が前記S66に進み、登録機能が、自動変更した入力情報を、インターネットを通じてその入力画面を備えるウェブサイトのサーバに登録して、次回以降は、変更された入力情報で認証が可能となるようにし(S66)、変更をデータベースに保存して(S67)、自動変更機能の実行が終了する。変更の確定をしない場合(S70;N)、ユーザは変更の入力をやり直すこととなる(S69)。
【0075】
これによって、例えば企業等のイントラネットのように、定期的にパスワードの変更を要求され、且つ変更後のパスワードが変更前のものと類似しないことを要求されるような場合であっても、有効にパスワードを変更できる。」
B「【図14】
[図:0001407614000002.jpg]
」
オ 参考文献4
(ア)本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特開2008-233970号公報(以下「参考文献4」という。)には、次の記載がある。(下線は当審で付したものである。)
A「【0048】
つぎに、サーバ端末104は、ステップSA-3で接続要求を受信すると、出力部104a2で、生成部104a1で予め生成して記憶部104dで記憶したワンタイムパスワードを、出力媒体104cに、ユーザが視認および/または聴認可能に出力する(ステップSA-4)。なお、本動作では、ワンタイムパスワードを出力媒体104cに視認および/または聴認可能に出力するので、ユーザは、サーバ端末104の設置場所(具体的には出力媒体104cの設置場所)に出向いてワンタイムパスワードを視聴する必要がある。これゆえに、本システムは、クライアント端末102とサーバ端末104とが互いに容易に見通せる範囲(例えば同じ部屋)にあるような場面(例えば、サーバ端末104を固定で設置した会議室に、個人がクライアント端末102を持ち寄って会議を開催するような場面など)で有用である。
【0049】
また、ステップSA-4において、サーバ端末104は、更新部104a5で、記憶部104dで記憶したワンタイムパスワードを、例えばサーバ端末104の起動時/再起動時や指定した任意のタイミングで更新し、更新したワンタイムパスワードを出力してもよい。これにより、例えば以前取得したワンタイムパスワードを別のタイミング(例えばワンタイムパスワードを取得した日の次の日)で使用しても、既にそのワンタイムパスワードは更新されているので、セキュリティを保つことができ、かつ誤操作の防止もできる。
【0050】
図2の説明に戻り、クライアント端末102は、ステップSA-4で出力したワンタイムパスワードをユーザにより入力デバイス102dで入力されると、取得部102a2で、入力されたワンタイムパスワードを取得する(ステップSA-5)。
【0051】
つぎに、クライアント端末102は、通信部102bで、ステップSA-5で取得したワンタイムパスワードをサーバ端末104へ送信する(ステップSA-6)。
【0052】
つぎに、サーバ端末104は、通信部104bで、ステップSA-6で送信したワンタイムパスワードを受信する(ステップSA-7)。
【0053】
つぎに、サーバ端末104は、照合部104a3で、ステップSA-7で受信したワンタイムパスワードを、記憶部104dで記憶したワンタイムパスワードと照合する(ステップSA-8)。具体的には、サーバ端末104は、照合部104a3で、ステップSA-7で受信したワンタイムパスワードと記憶部104dで記憶したワンタイムパスワードとが一致するか否かを判定する。
【0054】
つぎに、サーバ端末104は、決定部104a4で、ステップSA-8での照合結果に基づいて、ステップSA-3で受信した接続要求を許諾するか否かを決定する(ステップSA-9)。具体的には、サーバ端末104は、決定部104a4で、ステップSA-8で「一致する」という判定結果が得られた場合には、ステップSA-3で受信した接続要求を許諾する。これにより、クライアント端末102とサーバ端末104との接続が確立する。」
B「【図2】
[図:0001407614000003.jpg]
」
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア)構成Aについて
引用発明の「カメラ、ルーター、インテリジェント・テレビ、等のインテリジェントデバイスである被アクセスデバイス」は、“電子的な機器”であるから、本件補正発明の「電子機器」に相当する。
また、引用発明の「アクセスパスワード」は、本件補正発明の「パスワード」に相当し、また、アクセスパスワード「変更」方法は、アクセスパスワード“更新”方法といえるから引用発明の「被アクセスデバイスによって実行される」「アクセスパスワード変更方法」は、“被アクセスデバイスに実行される”“アクセスパスワード更新方法”であるといえる。
したがって、引用発明の「カメラ、ルーター、インテリジェント・テレビ、等のインテリジェントデバイスである被アクセスデバイスによって実行される被アクセスデバイスのアクセスパスワード変更方法」は、後記するように、本件補正発明の構成B~構成Dに相当する構成を備えている点で、本件補正発明の「電子機器に実行される電子機器のパスワード更新方法」に対応する。
(イ)構成Bについて
a 引用発明の「定期的に又はアクセスパスワードを変更するための命令を受信した後に、アクセスパスワードを」「生成する」との動作を実現するためには、アクセスパスワード生成の周期の到達、又は、アクセスパスワードを変更するための命令の受信という、“パスワード更新のトリガ条件を検出”すること、並びに、当該検出に“応答してアクセスパスワードを生成する”ことが必要なのは、明らかである。そうすると、「パスワード更新のトリガ条件を検出したことに応答して、」パスワードを生成する点において、引用発明と本件補正発明は、相違しない。
b 引用発明のランダムに「生成」される「アクセスパスワード」は、本件補正発明のランダムに「生成」される「第1のパスワード」に相当するから、引用発明の「アクセスパスワードをランダムに生成すること」は、本件補正発明の「第1パスワードをランダムに生成すること」に相当する。
c 上記a、bの検討から、引用発明の「定期的に又はアクセスパスワードを変更するための命令を受信した後に、アクセスパスワードをランダムに生成すること」は、構成Bの「パスワード更新のトリガ条件を検出したことに応答して、第1パスワードをランダムに生成すること」に相当する。
したがって、引用発明と本件補正発明とは、構成Bの点で一致する。
(ウ)構成Cについて
引用発明の、変更前の「アクセスパスワード」は、本件補正発明の、「登録パスワード」に相当する。また、上記(イ)より、引用発明の「生成したアクセスパスワード」は、本件補正発明の「第1のパスワード」に相当する。また、引用発明の、アクセスパスワードを「変更すること」は、本件補正発明の、パスワードを「更新すること」に相当する。
そうすると、引用発明の「前記被アクセスデバイスのアクセスパスワードを、生成したアクセスパスワードに変更すること」は、構成Cの「前記電子機器の登録パスワードを前記第1パスワードに更新すること」に相当する。
したがって、引用発明と本件補正発明とは、構成Cの点で一致する。
(エ)構成Dについて
引用発明の「被アクセスデバイスのデバイス識別子」及び「サーバ」は、それぞれ、本件補正発明の「電子機器の識別子」及び「サーバ機器」に相当する。
また、引用発明は、「被アクセスデバイスのデバイス識別子及び前記生成したアクセスパスワードをサーバに送信」することで、当該デバイス識別子及び当該生成したアクセスパスワードをサーバに“指示”するといえるから、このとき送信されるメッセージは、当該デバイス識別子及び当該生成したアクセスパスワードを「指示するためのパスワード更新メッセージ」であるといえる。
したがって、引用発明の「前記被アクセスデバイスのデバイス識別子及び前記生成したアクセスパスワードをサーバに送信」することは、本件補正発明の「前記電子機器の識別子及び前記第1パスワードを指示するためのパスワード更新メッセージをサーバ機器に送信」することに相当する。
また、引用発明の「ユーザ」は本件補正発明の「ユーザ」に相当するから、上記(イ)の検討も踏まえると、引用発明の「ユーザにサーバから前記生成したアクセスパスワードを取得させること」は、本件補正発明の「ユーザに前記サーバ機器から前記第1パスワードを取得させること」に相当する。
したがって、引用発明の「前記被アクセスデバイスのデバイス識別子及び前記生成したアクセスパスワードをサーバに送信して、ユーザにサーバから前記生成したアクセスパスワードを取得させること」は、構成Dの「前記電子機器の識別子及び前記第1パスワードを指示するためのパスワード更新メッセージをサーバ機器に送信して、ユーザに前記サーバ機器から前記第1パスワードを取得させること」に相当する。
よって、引用発明と本件補正発明とは、構成Dの点で一致する。
イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「電子機器に実行される電子機器のパスワード更新方法であって、
パスワード更新のトリガ条件を検出したことに応答して、第1パスワードをランダムに生成することと、
前記電子機器の登録パスワードを前記第1パスワードに更新することと、
前記電子機器の識別子及び前記第1パスワードを指示するためのパスワード更新メッセージをサーバ機器に送信して、ユーザに前記サーバ機器から前記第1パスワードを取得させることとを含む、電子機器のパスワード更新方法。」
[相違点]
「パスワード更新のトリガ条件を検出したこと」について、本件補正発明においては、「前記電子機器に電源が入ったことを検出したことを含む」のに対し、引用発明においては、そのような特定がされていない点。
(4)判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点について
引用発明は、「定期的に又はアクセスパスワードを変更するための命令を受信した後に、アクセスパスワードをランダムに生成する」ものである。
ここで、パスワードや鍵を定期的に更新する構成において、装置の電源投入時や起動時にも併せて更新を実行するように構成することは、例えば参考文献1ないし4に記載されているように、当該技術分野における周知技術である。そして、装置の電源投入時や起動時にパスワードや鍵の更新を行う動作を実現するにあたっては、当該更新のトリガ条件として、装置の電源投入や起動を検出することが必要なことは、明らかである。
そうすると、引用発明の定期的にアクセスパスワードを生成する構成において、定期的の具体的なタイミングとして参考文献1ないし4に記載された周知技術を採用し、「パスワード更新のトリガ条件を検出したことは、電子機器に電源が入ったことを検出したことを含む」構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ そして、当該相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明並びに参考文献1ないし4に記載の周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものに過ぎず、格別顕著なものということはできない。
ウ したがって、本件補正発明は、引用発明並びに参考文献1ないし4に記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(5)請求人の主張について
ア 請求人は審判請求書において、以下のとおり主張している。
「(4-2)引用文献1の段落[0101]~[0102]には、「ステップ509において、サードパーティデバイスにより、アクセスデバイスにデバイス識別子に対応するアクセスパスワードを送信する。即ち、サードパーティデバイスは、当該アクセスデバイス(即ち、登録側)のユーザアカウントと被アクセスデバイスのデバイス識別子とをバインディングした後に、当該アクセスデバイスに、当該デバイス識別子に対応するアクセスパスワードを、直接、送信してもよい。これにより、当該アクセスデバイスが当該アクセスパスワードを用いて、直接、当該被アクセスデバイスにアクセスするようにする」を開示しております。
引用文献1に開示されている内容から分かるように、サードパーティデバイスは、当該アクセスデバイスに、当該デバイス識別子に対応するアクセスパスワードを、直接、送信することにより、当該アクセスデバイスが当該アクセスパスワードを用いて、直接、当該被アクセスデバイスにアクセスするようにします。これに対して、補正後の請求項1におけるパスワード更新プロセスは、まず、パスワード更新のトリガ条件を検出したときに、電子機器が第1パスワードをランダムに生成し、そして、登録パスワードを前記第1パスワードに更新し、次に、電子機器の識別子及び第1パスワードを指示するためのパスワード更新メッセージをサーバ機器に送信して、ユーザにサーバ機器から前記第1パスワードを取得させることであり、サーバ機器がユーザにパスワードを直接送信することではありません。なお、前回の意見書に記載のように、引用文献1には、被アクセスデバイスがどのような条件下でアクセスパスワードを生成するかが開示されておりません。これに対して、本願の補正後の請求項1においては、電子機器はパスワード更新のトリガ条件を検出し、即ち前記電子機器に電源が入ったことを検出した場合のみに第1パスワードをランダムに生成します。したがって、引用文献1には、上記発明特定事項は開示されておりません。
また、上記発明特定事項に基づいて、補正後の請求項1の実際に解決される技術的問題は、どのように電子機器の登録パスワードを合理的に更新するかにより、電子機器の安全リスクを効果的に低下させることができます。引用文献1には 、パスワード更新のトリガ条件が開示されていないとともに、本願の発明のようにユーザがサーバ機器から前記第1パスワードを取得することではなく、サードパーティデバイスがアクセスデバイスにパスワードを直接送信するので、引用文献1の発明において、パスワードの送信中およびその後のアクセスデバイスへの保存中にパスワードが漏洩するリスクがまだあります。また、引用文献1は、本願で説明したような電源投入のトリガ条件を開示していないため、ハッカーが当該デバイスの電源を切ってハードウェアを交換することでパスワードを改ざんする危険性もあります。これに対して、本願は、ユーザにサーバからログインパスワードを取得させることによって、パスワードの送信中およびその後のユーザへの保存中にパスワード漏洩のリスクを回避し、本願は、電源を入れたらランダムなパスワードを改めて設定することにより、ハッカーが電子機器の電源を切ってハードウェアを交換することにより、パスワードを改ざんするリスクを回避することができます。
よって、補正後の請求項1の発明特定事項は引用文献1には開示されておらず、かつ当業者であっても引用文献1と組み合わせて上記発明特定事項を得るという示唆も得られません。
イ しかしながら、本件補正発明の「前記電子機器の識別子及び前記第1パスワードを指示するためのパスワード更新メッセージをサーバ機器に送信して、ユーザに前記サーバ機器から前記第1パスワードを取得させること」については、上記(3)ア(エ)で検討したとおり、引用発明との相違点ではない。
また、本件補正発明の「ここで、前記パスワード更新のトリガ条件を検出したことは、前記電子機器に電源が入ったことを検出したことを含む」という点については、上記(4)で判断したとおり、当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和5年4月13日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年9月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし27に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特表2016-535367号公報
引用文献2:国際公開第2018/100652号
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)アに記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記電子機器の識別子及び前記第1パスワードを指示するためのパスワード更新メッセージを送信すること」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明並びに参考文献1ないし4に記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明並びに参考文献1ないし4に記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-006013