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特許拒絶査定不服審判

2024-015630

シングルキャリア周波数分割多元接続(SC-FDMA)およびOFDMAを用いた柔軟性のある参照信号送信のための方法

審判番号
2024-015630
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-167642外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年09月30日
審決日
2025年09月18日
公報発行日
2026年03月27日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H04L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-167642「シングルキャリア周波数分割多元接続(SC-FDMA)およびOFDMAを用いた柔軟性のある参照信号送信のための方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 1月24日出願公開、特開2023- 11680〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 17項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2017年(平成29年)8月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年8月10日 (US)アメリカ合衆国 2017年3月31日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2019-507841号の一部を、令和4年10月19日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は概略、以下のとおりである。

令和4年11月18日 :上申書の提出
令和5年11月27日付け:拒絶理由通知書
令和6年 3月 5日 :意見書、手続補正書の提出
5月20日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
9月30日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和7年 2月19日付け:補正の却下の決定
2月19日付け:拒絶理由通知書
5月26日 :意見書、手続補正書の提出

第2 当審における拒絶の理由について

令和7年2月19日付け拒絶理由通知書での拒絶の理由は、概略以下のとおりである。

1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

記

●理由1(サポート要件)について

・請求項1~5、6~10

(1)請求項1の「離散フーリエ変換拡散-直交周波数分割多重(DFTS-OFDM)シンボル時間」について、発明の詳細な説明には直接的な記載は存在しない。

よって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

(2)請求項1の「動的スケジューリング情報」について、発明の詳細な説明には直接的な記載はなく、また、「動的スケジューリング情報」に対応する記載も見当たらない。

よって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

(3)請求項1を引用する請求項2~5、及び請求項1~5のカテゴリ違いの請求項6~10においても、前記(1)及び(2)と同様である。

(4)まとめ

よって、請求項1~10に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

そして、令和7年2月19日付け拒絶理由通知書において、「上記の理由1により、本願請求項1~10に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないことが明らかであるので、新規性及び進歩性の判断については留保する。」旨、付記している。

第3 本願発明

本願の請求項1~10に係る発明は、令和7年5月26日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

なお、請求項1を符号A~Eを付して分説し、以下「発明特定事項A」などのように参照する。

【請求項1】

A 無線送受信ユニット(WTRU)によって、基地局から動的スケジューリングのための第1の信号を受信することであって、動的スケジューリングのための前記第1の信号は、第1の物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信のための参照信号シンボルに対して用いる離散フーリエ変換拡散-直交周波数分割多重(DFTS-OFDM)シンボル位置とDFTS-OFDMシンボルの数とを示す、ことと、

B 前記WTRUによって、前記示されたDFTS-OFDMシンボルのシンボル位置および数の参照信号を有するDFTS-OFDMを用いて前記第1のPUSCH送信を送信することと、

C 前記WTRUによって、動的スケジューリングのための第2の信号を受信することと、

D 前記WTRUによって、動的スケジューリングのための前記第2の信号によって示されたDFTS-OFDMシンボルのシンボル位置および数の参照シンボルを有するDFTS-OFDMを用いて第2のPUSCH送信を送信することであって、前記シンボル位置または前記数は、動的スケジューリングのための前記第1の信号と動的スケジューリングのための前記第2の信号との間において異なる、ことと

E を備えることを特徴とする方法。

第4 原査定の拒絶の理由

原査定の請求項1についての新規性及び進歩性の拒絶の理由は、次のとおりである。

理由2(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1又は2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由3(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2及び引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2011-77647号公報
引用文献2:国際公開第2010/146985号

第5 引用文献、引用発明

1 引用文献2について

(1)引用文献2の記載

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。)。

「技術分野
[0001] 本発明は、伝搬路推定用シンボルの挿入位置が異なる複数種類のフレームフォーマットのいずれかを使用し、データを周波数領域に拡散して通信を行なう技術に関する。
背景技術
[0002] 次世代のセルラシステムでは、アップリンクの通信方式として、DFT-S-OFDMA(Discrete Fourier Transform Spread Orthogonal Frequency Division Multiple Access、SC-FDMA:Single Carrier Frequency Division Multiple Access、あるいは、DFT Precoded OFDMとも呼ばれる)が使用されることが検討されている。DFT-S-OFDM信号は、連続するサブキャリアに信号を配置し、シングルキャリア方式の信号の性質を持つ。」
「[0007] 図9は、信号を送信するためのフレームフォーマットの一例を示す図である。図9において、縦方向が周波数、横方向が時間を示す。図9では、24サブキャリアを使用する場合を示しており、1RBは12サブキャリアで構成されているものとしている。また、1フレームは14OFDMシンボルで構成される場合を示しており、4シンボル目と11シンボル目に伝搬路推定用信号が使用される。図9では、伝搬路推定用信号が挿入されるOFDMシンボルでは全てのサブキャリアが伝搬路推定用信号として使用される例を示す。
[0008] ここで示したフレームフォーマットは非特許文献1で示されている。ただし、非特許文献1で示されるフレームフォーマットを使用する通信方式はDFT-S-OFDMであり、Clustered DFT-S-OFDMが使用されることは前提としていない。
先行技術文献
非特許文献
[0009] 非特許文献1:3gpp ts 36.213
非特許文献2:R01-090020
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0010] 図9に示したようなフレームフォーマットを使用する場合、受信機では、2つの伝搬路推定用シンボルから、その他のOFDMシンボルにおける伝搬路を推定する必要がある。しかしながら、伝搬路推定用シンボルが送信される間隔は6OFDMあり、移動通信においては端末の移動速度が増加するに伴い、伝搬路の推定精度が劣化してしまう。
[0011] 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、複数の伝搬路推定用信号の挿入パターンを切り替えるシステムにおいて、端末が高速に移動するような場合でも、伝搬路推定制度の劣化を抑えることができる無線通信システム、送信機および無線通信方法を提供することを目的とする。」
「[0040] 以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下、移動局装置から基地局装置へデータを送信するアップリンクを用いて説明するが、本発明はこれに限るものではない。また、本発明は送信機会(フレーム単位やパケット単位)毎に送信フォーマットを変更して、データを送信することが可能な送信装置を前提として説明する。
[0041] 本発明では、伝搬路を推定するために送信される送受信機で既知の信号を伝搬路推定信号と称し、伝搬路推定信号は、サブキャリア単位で割り当てることが可能としている。また、伝搬路推定信号が含まれるシンボルを伝搬路推定用シンボルと称し、全てのサブキャリアが伝搬路推定信号ではない場合は、データを多重することも可能である。また、実施形態では通信方式として、DFT-S-OFDMあるいはClustered DFT-S-OFDMを使用することを前提としている。これらの通信方式は、データをDFTにより周波数領域に拡散したOFDM信号をいう捉え方をすることが可能である。
[0042] [第1の実施形態]
本実施形態では、最初に、基本的なフレームフォーマットに対し、高速移動通信のために拡張されるフレームフォーマットのデータ伝送用に使用されるサブキャリア数が同一となる拡張フレームフォーマットを示す。ただし、それぞれのフレームフォーマットでは伝搬路推定シンボルの挿入間隔が異なる。更に、アップリンクではPAPR特性が重要であることを考慮し、PAPR特性の劣化を極力抑えることが可能なフレームフォーマットについても示す。
[0043] 図1Aは、本実施形態における基本的なフレームフォーマットを示す図である。図1Aは、図9と同じ構成である。以下、このフレームフォーマットを「基本フレームフォーマット」と称する。図1Aにおいて、縦方向が周波数、横方向が時間を示す。本図では24サブキャリアを使用する場合を示しており、1RBは12サブキャリアで構成されているものとしている。また、1フレームは14OFDMシンボルで構成される場合を示しており、4シンボル目と11シンボル目に伝搬路推定用シンボルが使用される場合である。本図の場合、伝搬路推定用シンボルが挿入されるOFDMシンボルでは全てのサブキャリアが伝搬路推定信号として使用される例である。
[0044] 図1Bは、本発明における拡張フレームフォーマットの一例を示す図である。(以下、このフレームフォーマットを「拡張フレームフォーマットb」と称する)。図1Aに対して、伝搬路推定用シンボルは、2、4、6、9、11、13OFDMシンボルに挿入されている。ただし、伝搬路推定用シンボルでは、図1Aのように、すべてのサブキャリアが伝搬路推定用信号とはされず、3サブキャリア毎に伝搬路推定用信号としている。即ち、時間方向に3倍の密度で伝搬路推定用信号を挿入し、周波数方向に1/3の密度で伝搬路推定用信号を挿入することで、データ伝送に使用されるサブキャリア数を図1Aと図1Bとで一定にすることを保っている。」

[0045] 受信機においては、まず各伝搬路推定用シンボルにおいて、周波数領域に対して伝搬路を推定し、後に、時間領域に補間することにより全OFDMシンボルでの伝搬路を推定する。これは、周波数領域での伝搬路推定精度の劣化を許容し、時間領域での伝搬路推定精度を高めることが可能になることを意味する。ただし、周波数領域で必要となる伝搬路推定用信号数は、伝搬路の周波数選択性(周波数領域における伝搬路変動)に依存するものであり、伝搬路推定用シンボルで伝搬路推定用信号を削減することが殆ど劣化の要因にならない場合もある。

[0046] これらの2つのフレームフォーマットを使用する無線通信システムでは、例えば、移動局が基地局に移動速度に関するパラメータを通知し、基地局が使用するフォーマットを選択し端末に通知してデータ通信を行なうことで、端末の移動速度により通信速度を変更することなく、たとえ移動速度が速い環境でも、伝搬路推定精度の劣化を抑えた通信システムを構築することが可能となる。データの通信速度を変えなくてよいメリットには、フレームフォーマットの変更を、データの再送に依存させる必要がないということもある。これは、再送時には初送と同じデータ量を前提とする場合があるためである。」

「[0048] 図1Cは、他の拡張フレームフォーマットの一例を示す図であり、上記のような問題点を鑑みた拡張フレームフォーマットである。以下、このフレームフォーマットを拡張フレームフォーマットcと称する。伝搬路推定シンボルは3、6、10、13OFDMシンボルに挿入されている。図1Bと同様に、伝搬路推定用シンボルでは、図1Aのように全てのサブキャリアが伝搬路推定用信号とはされず、2サブキャリア毎に伝搬路推定信号としている。」

「[0051] 図2は、本発明の実施形態に係る送信機の概略構成を示すブロック図である。図2において、スクランブル部10は、送信データに対して秘匿化等のランダマイズを行なう。変調部11は、誤り訂正やディジタル変調を行なう。DFT Pre-coding部12は、DFTによるPre-codingを行なう。伝搬路推定用信号生成部13は、復調用の伝搬路推定用信号を生成する、マルチプレクス部14は、制御部18により送信データと伝搬路推定用信号を切り替える。また、マルチプレクス部14は、制御部18により送信データと伝搬路推定用信号を多重する。
[0052] リソースマップ部15は、送信するデータを送信するサブキャリアに割り当てる。また、DFT-S-OFDM信号を生成する際は連続したサブキャリアに対してマッピングを行ない、Clustered DFT-S-OFDM信号を生成する際は離散的なサブキャリアにデータをマッピングする。OFDM信号生成部16は、ガードインターバルを含むOFDM信号を生成する。RF部17は、D/A変換(ディジタル/アナログ変換)部からアンテナまでのアナログ回路で構成される。制御部18は、マルチプレクス部14の動作を制御する。
[0053] 基地局からデータフォーマットを指定されるようなシステムでは、基地局から図1Aに示すフレームフォーマットが指定された場合、マルチプレクス部14は、伝搬路推定シンボルを送信するタイミングで切り替え部として機能し、図1Bあるいは図1Cに示すフレームフォーマットが指定された場合は多重部として機能する。
[0054] 以上説明したように、第1の実施形態によれば、各種類のフレームフォーマットには、少なくとも、すべてのサブキャリアを伝搬路推定用信号とする伝搬路推定シンボルを有するフレームフォーマット(図1A参照)と、伝搬路推定用信号とデータとが多重される伝搬路推定シンボルを有するフレームフォーマットと(図1Bまたは図1C)が含まれるので、端末の移動速度や通信速度が大きい場合でも、伝搬路推定精度の劣化を抑えることが可能となる。」

[図1A]

「
[図:0001432718000001.jpg]
」

[図1B]

「
[図:0001432718000002.jpg]
」

[図1C]

「
[図:0001432718000003.jpg]
」

[図2]

「
[図:0001432718000004.jpg]
」

(2)引用発明

引用文献2は、「無線通信方法を提供することを目的とする」([0011])ものであるから、引用文献2に記載された発明(以下「引用発明」という。)は、「無線通信方法」である。また、図1Aは「1フレームは14OFDMシンボルで構成される場合」([0043])であり、図1A及び図1Bには、いずれも「1フレーム」、「1シンボル」の範囲が示され、「1フレーム」の範囲に「1シンボル」の範囲が14含まれていることが見てとれるから、図1Bも、図1Aと同様に「1フレームは14OFDMシンボルで構成」されているといえる。

よって、引用文献2には、移動局装置の無線通信方法について、次の引用発明が記載されていると認められる。なお、引用発明をa~jに分説し、「構成a」のようにして、以下参照する。

a 移動局装置から基地局装置へデータを送信するアップリンクにおいて、([0040])

b 送信機会(フレーム単位やパケット単位)毎に送信フォーマットを変更して、データを送信することが可能であり、([0040])

c 伝搬路を推定するために送信される送受信機で既知の信号を伝搬路推定信号と称し、伝搬路推定信号が含まれるシンボルを伝搬路推定用シンボルと称し、([0041])

d 伝搬路推定用シンボルにおいて、周波数領域に対して伝搬路を推定し、後に、時間領域に補間することにより全OFDMシンボルでの伝搬路を推定するものであり、([0045])

e DFT-S-OFDMあるいはClustered DFT-S-OFDMを使用し、([0041])

f 14OFDMシンボルで構成される1フレームにおいて、4シンボル目と11シンボル目に伝搬路推定用シンボルが使用される基本フレームフォーマットと、([0043])

g 14OFDMシンボルで構成される1フレームにおいて、伝搬路推定用シンボルは、2、4、6、9、11、13OFDMシンボルに挿入されている拡張フレームフォーマットbとがあり、([0044]、(2)冒頭)

h これらの2つのフレームフォーマットを使用し、([0046])

i 移動局が基地局に移動速度に関するパラメータを通知し、基地局が使用するフォーマットを選択し端末に通知してデータ通信を行なう([0046])

j 無線通信方法((2)冒頭)

2 引用文献1について

(1)引用文献1には、以下の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。)

「【技術分野】
【0001】
本発明は、送信および受信する基地局装置、移動局装置を有する移動通信システムにおいて、受信品質を向上するための前処理方法および、その受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、第3世代無線アクセス技術の進化(Long Term Evolution:以下、「LTE」と呼ぶ)や、さらなる通信速度の高速化へ向けたLTE Advance(以下、「LTE-A」と呼ぶ)についても検討が行なわれている。LTEにおいて、上りリンクにおけるユーザのデータ信号を送信する上りリンク共用チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)では、SC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)を想定して、基地局装置から時間、周波数で分割されるリソースが割り当てられる。
【0003】
PUSCHにおけるSC-FDMAシンボルには、上りリンク信号の復調に利用するデータ信号復調用途の参照信号(DMRS:DeModulation Reference Signal)が含まれている。DMRSは、移動局装置のPUSCHの送信に対して、基地局装置が復調するために必要な伝搬路推定をするために、(1SC-FDMAシンボル)x(割り当てられたRBの全帯域)にわたり挿入されている。」

第6 対比

1 本願発明と引用発明とを対比する。

(1)発明特定事項A「無線送受信ユニット(WTRU)によって、基地局から動的スケジューリングのための第1の信号を受信することであって、動的スケジューリングのための前記第1の信号は、第1の物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信のための参照信号シンボルに対して用いる離散フーリエ変換拡散-直交周波数分割多重(DFTS-OFDM)シンボル位置とDFTS-OFDMシンボルの数とを示す、ことと、」について

ア 引用発明の「移動局装置」(構成a)及び「端末」(構成i)は、いずれも本願発明の「無線送受信ユニット(WTRU)」に相当し、引用発明の「基地局装置」(構成a)及び「基地局」(構成i)は、いずれも本願発明の「基地局」に相当する。

イ 引用発明の「伝搬路推定信号」は、「伝搬路を推定するため」の「既知の信号」(構成c)であり、「伝搬路推定用シンボル」は、「伝搬路推定信号が含まれるシンボル」(構成c)である。

そして、本願の明細書には、「参照信号を搬送するサブキャリアは、チャネル推定に使用することができる」(【0072】)と記載されていることを踏まえれば、本願発明の「参照信号」は、チャネル推定に使用されるものと解される。また、「データ送信のための参照信号(RS:Reference Signal)は、2つの時間領域シンボル位置に割り当てることができる」(【0003】)ものであり、「信頼性のあるチャネル推定を達成するには、わずかな参照シンボルが必要になるだけである。」、「より信頼性のあるチャネル推定を達成するためには、より多くの参照シンボルが望ましい。」(【0067】)との記載を踏まえれば、本願発明の「参照シンボル」は、「参照信号」が割り当てられた「時間領域シンボル」を意味すると解される。

さらに、「各DFTブロックの出力において、サンプルをM3おきに破棄し、参照シンボル530によって置き換えることができる、ここで、M3=M1/M2である。これは、交互配置(インターリーブ)された出力をパンクチャすることによって行うことができる。例えば、DFTブロックの1つまたは複数の出力525をパンクチャすることができ、各パンクチャされた出力を、RSシンボルで置き換えることができる。」(【0068】)との記載を踏まえれば、本願発明の「参照シンボル」と「RSシンボル」すなわち「参照信号シンボル」とは、同じものであると解される。

そうすると、引用発明の「伝搬路推定信号」と本願発明の「参照信号」とは、「推定信号」である点で共通し、引用発明の「伝搬路推定用シンボル」と本願発明の「参照信号シンボル」及び「参照シンボル」とは、「推定信号シンボル」である点で共通する。

ウ 引用発明は「データを送信するアップリンク」(構成a)における「無線通信方法」(構成j)であるから、アップリンクにおけるデータ送信であり、本願発明の「物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信」と引用発明とは、「アップリンク送信」である点で共通する。

そして、引用発明では、「伝搬路推定用シンボルにおいて、周波数領域に対して伝搬路を推定し、後に、時間領域に補間することにより全OFDMシンボルでの伝搬路を推定する」(構成d)から、前記イを踏まえれば、引用発明の「伝搬路推定用シンボル」は、アップリンク送信のための推定信号シンボルということができる。

エ 引用発明は、「DFT-S-OFDMあるいはClustered DFT-S-OFDMを使用」(構成e)するものであり、これらはいずれも「DFTS-OFDM」に含まれる。

そして、「DFTS-OFDM」が、「離散フーリエ変換拡散-直交周波数分割多重(DFTS-OFDM)」を意味することは技術常識であるから、引用発明の「OFDMシンボル」(構成f、g)は、本願発明の「離散フーリエ変換拡散-直交周波数分割多重(DFTS-OFDM)シンボル」に相当する。

オ 引用発明は、「基本フレームフォーマット」(構成f)と「拡張フレームフォーマットb」(構成g)の「2つのフレームフォーマットを使用」(構成h)するものである。

ここで、「基本フレームフォーマット」は、「14OFDMシンボルで構成される1フレームにおいて、4シンボル目と11シンボル目に伝搬路推定用シンボルが使用され」(構成f)るフレームフォーマットであり、「拡張フレームフォーマットb」は、「14OFDMシンボルで構成される1フレームにおいて、伝搬路推定用シンボルは、2、4、6、9、11、13OFDMシンボルに挿入されている」(構成g)フレームフォーマットであるから、それぞれのフレームフォーマットは、フレームフォーマットに固有のOFDMシンボル位置とOFDMシンボルの数とを、伝搬路推定用シンボルに使用するものである。

そうすると、引用発明における伝搬路推定用シンボルに使用されるOFDMシンボル位置とOFDMシンボルの数は、使用するフレームフォーマットにより特定されるものであり、使用するフレームフォーマットは、伝搬路推定用シンボルに使用されるOFDMシンボル位置とOFDMシンボルの数とを特定しているということができる。

カ 引用発明において「使用するフォーマット」は「基地局が」「端末に通知」(構成i)するから、基地局は「使用するフォーマット」が「基本フレームフォーマット」であることを示す情報、或いは「使用するフォーマット」が「拡張フレームフォーマットb」であることを示す情報(以下、合わせて「使用するフォーマットの情報」という。)を送信し、端末(「無線送受信ユニット(WTRU)」)において「使用するフォーマットの情報」を受信していると解される。

そして、引用発明では、「使用するフレームフォーマットは、伝搬路推定用シンボルに使用されるOFDMシンボル位置とOFDMシンボルの数とを特定している」(前記オ)から、「使用するフォーマットの情報」により、伝搬路推定用シンボルに使用されるOFDMシンボル位置とOFDMシンボルの数とを特定できるものであり、したがって、「使用するフォーマットの情報」は、伝搬路推定用シンボルに使用されるOFDMシンボル位置とOFDMシンボルの数とを示しているということができる。

また、「使用するフォーマットの情報」は、基地局が送信し端末において受信するから「信号」ということができる。

キ 引用発明は、「データを送信するアップリンク」(構成a)におけるものであり、「使用するフレームフォーマットは、伝搬路推定用シンボルに使用されるOFDMシンボル位置とOFDMシンボルの数とを特定している」(前記オ)から、「使用するフォーマットを」「通知」(構成i)することは、アップリンクをスケジューリングすることに含まれる。

そして、引用発明は、「送信機会(フレーム単位やパケット単位)毎に送信フォーマットを変更して、データを送信する」(構成b)ものであり、「移動局が基地局に移動速度に関するパラメータを通知し、基地局が使用するフォーマットを選択し端末に通知」(構成i)するから、フォーマットは動的に変更されているということができ、したがって、アップリンクのスケジューリングは動的であるということができる。

そうすると、前記カの「使用するフォーマットの情報」である「信号」は、「動的スケジューリングのための」「信号」ということができる。

ク 前記カの「使用するフォーマットの情報」である「信号」について、「使用するフォーマット」が「基本フレームフォーマット」であることを示す情報を「第1の信号」と称し、「使用するフォーマット」が「拡張フレームフォーマットb」であることを示す情報を「第2の信号」と称することは任意である。

また、前記ウの「アップリンク送信」について、「基本フレームフォーマット」を使用してデータを送信するアップリンク送信を「第1のアップリンク送信」と称し、「拡張フレームフォーマットb」を使用してデータを送信するアップリンク送信を「第2のアップリンク送信」と称することは任意である。

ケ 前記ア~クをまとめると、本願発明と引用発明とは、「無線送受信ユニット(WTRU)によって、基地局から動的スケジューリングのための第1の信号を受信することであって、動的スケジューリングのための前記第1の信号は、第1のアップリンク送信のための推定信号シンボルに対して用いる離散フーリエ変換拡散-直交周波数分割多重(DFTS-OFDM)シンボル位置とDFTS-OFDMシンボルの数とを示す」点で共通する。

他方、「アップリンク送信」について、本願発明は「物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信」であることを特定しているのに対し、引用発明は、当該事項が特定されておらず、また、「推定信号シンボル」について、本願発明は「参照信号シンボル」であることを特定しているのに対して、引用発明は「伝搬路推定用シンボル」であり、「参照信号シンボル」とは特定されていない。

(2)発明特定事項B「前記WTRUによって、前記示されたDFTS-OFDMシンボルのシンボル位置および数の参照信号を有するDFTS-OFDMを用いて前記第1のPUSCH送信を送信することと、」について

引用発明において、「基本フレームフォーマット」は、「14OFDMシンボルで構成される1フレームにおいて、4シンボル目と11シンボル目に伝搬路推定用シンボルが使用され」るフレームフォーマットであり(構成f)、「伝搬路推定用シンボル」は「伝搬路推定信号が含まれるシンボル」である(構成c)から、「基本フレームフォーマット」を使用(構成f、h)する「データを送信するアップリンク」(構成a)は、「14OFDMシンボルで構成される1フレームにおいて、4シンボル目と11シンボル目」に「伝搬路推定信号」を有するということができる。

そうすると、前記(1)ア~クを踏まえると、本願発明と引用発明とは、「前記WTRUによって、前記示されたDFTS-OFDMシンボルのシンボル位置および数の推定信号を有するDFTS-OFDMを用いて前記第1のアップリンク送信を送信する」点で共通する。

他方、「アップリンク送信」について、本願発明は「物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信」であることを特定しているのに対し、引用発明は、当該事項が特定されておらず、また、「推定信号」について、本願発明は「参照信号」であることを特定しているのに対して、引用発明は「伝搬路推定信号」であり、「参照信号」とは特定されていない。

(3)発明特定事項C「前記WTRUによって、動的スケジューリングのための第2の信号を受信することと、」について

引用発明は、「基本フレームフォーマット」と「拡張フレームフォーマットb」の2つのフレームフォーマットを使用する(構成f~h)ものであり、「使用するフォーマットの情報」である「信号」を端末において受信する(前記(1)カ)から、端末が「拡張フレームフォーマットb」であることを示す「使用するフォーマットの情報」を受信するものである。

そうすると、前記(1)ア~クを踏まえると、本願発明と引用発明とは、「前記WTRUによって、動的スケジューリングのための第2の信号を受信する」点で一致する。

(4)発明特定事項D「前記WTRUによって、動的スケジューリングのための前記第2の信号によって示されたDFTS-OFDMシンボルのシンボル位置および数の参照シンボルを有するDFTS-OFDMを用いて第2のPUSCH送信を送信することであって、前記シンボル位置または前記数は、動的スケジューリングのための前記第1の信号と動的スケジューリングのための前記第2の信号との間において異なる、ことと」について

引用発明において、「基本フレームフォーマット」は、14OFDMシンボルで構成される1フレームにおいて、4シンボル目と11シンボル目に伝搬路推定用シンボルが使用されるフレームフォーマットであり、「拡張フレームフォーマットb」は、14OFDMシンボルで構成される1フレームにおいて、伝搬路推定用シンボルは、2、4、6、9、11、13OFDMシンボルに挿入されているフレームフォーマットである(構成f、g)から、伝搬路推定用シンボルに使用されるOFDMシンボル位置とOFDMシンボルの数は、それぞれ異なっている。

また、「拡張フレームフォーマットb」は14OFDMシンボルで構成される1フレームにおいて、伝搬路推定用シンボルは、2、4、6、9、11、13OFDMシンボルに挿入されているフレームフォーマットであり、「伝搬路推定用シンボル」を有するものであるから、前記(1)イを踏まえれば、「推定信号シンボル」を有するということもできる。

したがって、前記(1)ア~クを踏まえると、本願発明と引用発明とは、「前記WTRUによって、動的スケジューリングのための前記第2の信号によって示されたDFTS-OFDMシンボルのシンボル位置および数の推定信号シンボルを有するDFTS-OFDMを用いて第2のアップリンク送信を送信することであって、前記シンボル位置または前記数は、動的スケジューリングのための前記第1の信号と動的スケジューリングのための前記第2の信号との間において異なる」点で共通する。

他方、「アップリンク送信」について、本願発明は「物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信」であることを特定しているのに対し、引用発明は、当該事項が特定されておらず、また、「推定信号シンボル」について、本願発明は「参照シンボル」であることを特定しているのに対して、引用発明は「伝搬路推定用シンボル」であり、「参照シンボル」とは特定されていない。

(5)発明特定事項E「を備えることを特徴とする方法。」について

引用発明の「無線通信方法」(構成j)は、本願発明の「方法」に相当する。

(6)一致点・相違点

前記(1)~(5)によれば、本願発明と引用発明とは、次の点で一致し、相違するといえる。

(一致点)

無線送受信ユニット(WTRU)によって、基地局から動的スケジューリングのための第1の信号を受信することであって、動的スケジューリングのための前記第1の信号は、第1のアップリンク送信のための推定信号シンボルに対して用いる離散フーリエ変換拡散-直交周波数分割多重(DFTS-OFDM)シンボル位置とDFTS-OFDMシンボルの数とを示す、ことと、

前記WTRUによって、前記示されたDFTS-OFDMシンボルのシンボル位置および数の推定信号を有するDFTS-OFDMを用いて前記第1のアップリンク送信を送信することと、

前記WTRUによって、動的スケジューリングのための第2の信号を受信することと、

前記WTRUによって、動的スケジューリングのための前記第2の信号によって示されたDFTS-OFDMシンボルのシンボル位置および数の推定信号シンボルを有するDFTS-OFDMを用いて第2のアップリンク送信を送信することであって、前記シンボル位置または前記数は、動的スケジューリングのための前記第1の信号と動的スケジューリングのための前記第2の信号との間において異なる、ことと

を備えることを特徴とする方法。

(相違点)

相違点1:「アップリンク送信」について、本願発明は「物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信」(発明特定事項A及びD)であることを特定しているのに対して、引用発明は、当該事項を特定していない点

相違点2:「推定信号」について、本願発明は「参照信号」(発明特定事項B)であることを特定しているのに対して、引用発明は「伝搬路を推定するため」の「伝搬路推定信号」であり、さらに、「推定信号シンボル」について、本願発明は「参照信号シンボル」(発明特定事項A)及び「参照シンボル」(発明特定事項D)であるのに対して、引用発明は「伝搬路推定用シンボル」である点

第7 判断

1 相違点について

(1)相違点1

引用文献2は、「背景技術」として、「次世代のセルラシステムでは、アップリンクの通信方式として、」と記載されることから、セルラシステムにおけるものと解される。

そして、セルラシステムの一つであるLTEにおいて、「上りリンクにおけるデータ信号」を、「上りリンク共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)」で「送信」することは、引用文献1に記載(【0002】)される事項であるから、引用発明に当該事項を適用して、引用発明の「データを送信するアップリンク」を、「上りリンク共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)」(本願発明の「物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)」に相当する。)によるアップリンクとすることは、当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点2

引用文献2は、「背景技術」として、「次世代のセルラシステムでは、アップリンクの通信方式として、」と記載されることから、セルラシステムにおけるものと解される。

そして、セルラシステムの一つであるLTEにおいて、「上りリンクにおけるデータ信号」を、「上りリンク共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)」で「送信」し、「伝搬路推定をするため」に「PUSCH」に含まれる「参照信号(DMRS:DeModulation Reference Signal)」を用いることは、引用文献1に記載(【0003】)される事項であるから、引用発明に当該事項を適用して、引用発明の「伝搬路推定信号」を「参照信号」とし、「伝搬路推定用シンボル」を「参照信号シンボル」及び「参照シンボル」とすることは、当業者が容易になし得たことである。

2 効果について

本願発明の効果は、引用発明及び引用文献1に記載された事項と比較して格別のものとは認められない。

3 請求人の主張について

令和7年5月26日に提出された意見書は、令和7年2月19日付け拒絶理由通知書での拒絶の理由に対するものであり、留保した新規性及び進歩性について主張されていない。

また、審判請求書の主張は、令和7年2月19日付け補正の却下の決定により却下された令和6年9月30日に提出された手続補正書で補正された特許請求の範囲の記載に基づくものであり、採用できない。

そして、令和6年3月5日に提出された意見書において、「引用文献2の通知は「動的」ではありません。」旨主張する。

しかしながら、前記第第6の1(1)キのとおり、引用発明は、「送信機会(フレーム単位やパケット単位)毎に送信フォーマットを変更して、データを送信する」(構成b)ものであり、「移動局が基地局に移動速度に関するパラメータを通知し、基地局が使用するフォーマットを選択し端末に通知」(構成i)するから、フォーマットは動的に変更されているということができ、したがって、アップリンクのスケジューリングは動的であるということができるものである。

したがって、請求人の当該主張は採用することができない。

4 小括

よって、本願発明は、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第8 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、当業者が引用文献2に記載された発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2024-015630

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