特許拒絶査定不服審判
2016-003733
グラフィカルユーザインターフェースとの物理的相互作用を解釈するためのデバイス、方法及びコンピュータ可読媒体
- 審判番号
- 2016-003733
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-087262外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年03月10日
- 審決日
- 2016年12月27日
- 公報発行日
- 2017年07月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】イマージョン コーポレーション
- 【請求人代理人】三好 秀和
- 【請求人代理人】伊藤 正和
- 【請求人代理人】原 裕子
- 分類
- P18 .121-Z (G06F) / P18 .575-Z (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第126条第7項、特許法第159条第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014- 87262「グラフィカルユーザインターフェースとの物理的相互作用を解釈するためのデバイス、方法及びコンピュータ可読媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月18日出願公開、特開2014-170568〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本願は、平成22年1月29日(パリ条約による優先権主張 2009年1月29日 米国、2009年5月26日 米国、2009年7月14日 米国)を国際出願日とする特願2011-548330号の一部を平成26年4月21日に新たな特許出願としたものであって、平成27年6月18日付けで拒絶理由が通知され、同年10月1日付けで手続補正がなされたが、同年11月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成28年3月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
第2.平成28年3月10日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年3月10日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
〈補正前の請求項1〉
「デバイスであって、
仮想物理的空間を含むグラフィカルユーザインターフェースを表示するべく構成されたディスプレイと、
前記仮想物理的空間とのユーザ相互作用を検出するべく構成されたセンサーと、
前記ディスプレイ及び前記センサーと通信するプロセッサと
を含み、前記プロセッサは、
前記ユーザ相互作用と関連付けられたデータを含むセンサー信号を前記センサーから受け取り、
前記仮想物理的空間の共有を要求する遠隔信号を遠隔デバイスから受け取り、
前記ユーザ相互作用に少なくとも部分的に基づいてコマンドを決定し、
前記コマンドに少なくとも部分的に基づいて実行されるべき機能を決定し、
前記機能を実行するべく構成されるデバイス。」
から、
〈補正後の請求項1〉
「デバイスであって、
仮想物理的空間を含むグラフィカルユーザインターフェースを表示するべく構成されたディスプレイと、
前記仮想物理的空間とのユーザ相互作用を検出するべく構成されたセンサーと、
前記ディスプレイ及び前記センサーと通信するプロセッサと
を含み、前記プロセッサは、
前記ユーザ相互作用と関連付けられたデータを含むセンサー信号を前記センサーから受け取り、
前記仮想物理的空間の共有を要求する遠隔信号を遠隔デバイスから受け取り、
前記ユーザ相互作用に少なくとも部分的に基づいてコマンドを決定し、
前記コマンドに少なくとも部分的に基づいて実行されるべき機能を決定し、
前記機能を実行するべく構成され、
前記仮想物理的空間は、前記遠隔デバイスからの前記遠隔信号の受け取り前に前記グラフィカルユーザインターフェースに表示されているデバイス。」
とする補正事項を含むものである。下線は、補正箇所を示す。
上記補正事項は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「仮想物理的空間」について、「前記遠隔デバイスからの前記遠隔信号の受け取り前に前記グラフィカルユーザインターフェースに表示されてい」ると限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。
2.引用発明
原査定の拒絶理由に引用された特表2006-518507号公報(以下、「引用文献」という。)には、次のア.~ケ.のとおりの記載がある。下線は、注目箇所に当審が付した。
ア.
「【0009】
ディスプレイに関して、PCC装置は、写真又はビデオをレンダリングするためにカラーディスプレイを実装しなければならず、また、装置を依然として携帯可能(現在のPDAのサイズ)にするには、約4インチのスクリーンサイズが有益である。スクリーンは、全条件下において良好な可視性を保証するために照明されるが、現在の4インチスクリーンの解像度は、最低で240×320画素である。写真及びビデオを見ること以外に、ディスプレイは、装置を制御するために使用することが可能である。例えば、タッチスクリーンを追加することによって、オンスクリーンインタフェースによって装置を操作でき、また、スタイラスを用いても操作可能となる。」
イ.
「【0016】
本発明の原理によると、ポータブル装置内に格納されたコンテンツのアドホック共有のためのシステム及び方法が提供される。このシステムは、単一のポータブル装置を、1つ以上の他のポータブル装置に接続するために通信リンクを確立する手段と、確立された通信リンクを介して接続されたユーザ間でのコンテンツ交換を容易にするよう接続されたユーザの各ポータブル装置の表示領域に可視化される共有空間を生成する手段と、共有空間におけるユーザコンテンツを表すアイテムの操作に応じて、通信リンクを介するユーザのポータブル装置への及び該ユーザのポータブル装置からのコンテンツの転送を制御することを各個々の接続されたユーザに可能にする手段を有する。」
ウ.
「【0018】
ポータブルコンテンツコンテナ(PCC)は、現在のPDAのサイズのオーダの寸法を有するポータブルマルチメディアプレイヤにおける次のステップである。アイテムを交換する機能性が追加されたPCCオーディオ/写真プレイヤのコンセプトは、PCCの1つの面と考えられるので、この機能性を図1に示す。図1を以下に説明する。特に、図1は、PCC12の環境10を示し、PCC12は、デジタルカメラといった入力装置14、18と、A/V再生装置15と、バックアップ装置19と、追加的に、2つのポータブル装置(PCC)12a、12b間の通信を有する。特に、各PCC12a、12bは、ユーザのポケットに簡単に収まり、以下に説明するオンスクリーンドラッグアンドドロップ操作のためのスタイラスが実装される軽量のポータブル装置である。音楽、写真、及びビデオは、インターネット、捕捉装置(例えば、デジタルカメラ14又はデジタルカムコーダ18)、及び他のPCCから得られる。このコンテンツは、装置自体上でレンダリングされることが可能であるが、TV及び/又はA/Vシステム15といったより良好な品質を供給する固定装置に有線又は無線で接続されてもよい。全てのコンテンツが無料で交換可能ではないので、デジタル権利の分野における解決策も含まれる。
【0019】
PCC12a、12bは、ワイヤレスでコンテンツを共有する機能性が追加されて、ポータブルマルチメディアプレイヤの継承者として考えられている。アドホック通信には、制限された範囲を有するWiFi(商標)接続が好ましいが、他の短距離ワイヤレス通信規格を用いてもよい。更に、ユーザは、音楽又は写真を実際に交換する前に連絡を取ることを好むと考えられる。従って、本発明は、コンテンツの交換に先行するフェースツーフェースの連絡、即ち、社会的接触を想定する。従って、ユーザは、接続する相手及びリンクを中断する時を決定できることによって自分が制御していると感じるよう「接続-交換-切断」の順序に従う。
【0020】
図2Aに示す第1の使用シナリオ20では、2人のユーザ、及び、それぞれの装置12a、12b間で交換されるコンテンツについての議論が、実際の共有の前に行われ、従って、これらのユーザは近い接触を有すると想定される。近いプロキシミティにあることはプライバシーを与え、また、連絡は容易である(互いに話すことは、他のどの連絡方法よりもより効果的である)。2人のユーザが近いプロキシミティにないとき、ユーザは、他のユーザによって検出されていることを認識しない場合がある。」
エ.
「【0026】
コンテンツアイテムの交換に関して、ユーザは、通信したい装置を指示しなければならない。有線接続がない場合、接続したい所望の装置の指示に関して問題が起きる。コンテンツの性質が個人的なものであり得るので、ユーザには、自分のコンテンツは、特定のユーザのみに利用可能であるという安全の感覚が与えられる必要があり、このことは、偶然に他の装置が関連することない安全な方法での装置間のリンク付けを必要とする。上述したように、コンテンツをワイヤレスで転送することは、範囲内の全装置が転送データを捕捉可能であるので安全な伝送が関連する。従って、これを実現するために暗号化技術が使用される。ワイヤレス転送の前にデータを暗号化することによって、データは、「鍵」を有することなしに復号化されることが不可能である。具体的には、コンテンツ所有者がコンテンツを暗号化し、この処理に関する情報が鍵内に格納される。この鍵を用いて、受取人は、データを復号化し、そのデータを読み出し可能な形式に変換することが可能である。複数のユーザがいる状況において暗号化を用いることの利点は、鍵を有するユーザのみがデータを「読み出し」可能であるということである。コンテンツ所有者は、自分が選択するユーザに鍵を与えることができる。この鍵は、その所有者に関する個人情報(例えば、名前、アイコン)と組み合わされることが可能である。」
オ.
「【0028】
更に、赤外線通信は、1つの装置から別の装置にデータをワイヤレス「送信する」よう使用可能な接続規格である。これは、送信器を受信器に向けることを必要とし、また、短距離内でのみ作動する。赤外線接続において、2つのモードが使用され得る。即ち、IrDAデータと称するデータの送信のための最大1.0メートルの短距離接続。このモードは、赤外線ポートを別の赤外線ポートに目標を定めることを必要とする。このモードでは、ビームの角度及び強度は調整可能である。IrDA制御と称する第2のモードは、例えば、最大6メートルまで機能し、ワイヤレスマウス及びキーボードに使用される。これは、双方向性であり、同時に最大8つの装置まで可能にする。」
カ.
「【0030】
より具体的には、更に詳細に説明するように、物理的な接触も、鍵交換に使用され得る。例えば、各PCCは、赤外線ポートが具備される。赤外線ポートを一直線上にし、ボタンを押すと、装置間の識別及び鍵交換が開始される。装置が識別されると、より高い速度及びより広い範囲で転送するためにWiFi(商標)接続が使用される。従って、各装置は、非常に近いプロキシミティ(センチメートル)にあるときにその他の装置によって読み出し可能であるタグを含み得る。タグは、復号化鍵と、ユーザについての情報を含む。望ましくないリンクを阻止するために、装置は、互いに接触して保持され得る。この動作は、握手のように両方のユーザの完全な認識がある場合にのみ行われる。タグ上の情報は、ユーザが自分のプロファイルを変更する場合に再プログラミング可能である。更に、赤外線ビームが、リンク付けのために使用され得る。各装置には、赤外線ポートが具備される。赤外線ポートを一直線上にし、ボタンを押すことによって、装置間で鍵及び識別情報が交換される。装置が識別されると、より速い速度で及びより広い範囲で転送するためにWiFi(商標)接続が使用される。スタイラス交換も行われ得る。それにより、2人のユーザが会った後、タグを有する彼らのスタイラスを交換する。タグは、ユーザのそれぞれのタッチスクリーンの近くにそれを持ってくると読み出しされる。ユーザのIDについての情報及び鍵は、ここに格納される。別のユーザにスタイラスを与えることは、信頼を必要とする。スタイラスにおける追加のハードウェアが必要である。この場合、タッチスクリーンは、指によって操作することができない。
【0031】
グラフィカルユーザインタフェースに関して、交換されるべきコンテンツは、コンテンツが格納されている場所また行うことのできる動作に関してユーザに明らかなように表示される必要がある。以下に詳細に説明するように、デスクトップメタファーに似たグラフィカルユーザインタフェースが達成される。全てのコンテンツアイテムが、アイコンによって表され、実際の物理的な対象物のように動かしたり取り扱ったりすることが可能であることが好適である。現在のユーザも更に、アイコンによって表される。ここでは、アクセス可能性とアイテムとユーザ間の関係が視覚化される。いわゆる「空間」コンセプトでは、スクリーン上の様々な場所は、物理的な空間にマッピングされ、それにより、ユーザ及びコンテンツアイテムは、仮想空間内を動き回る。空間コンセプトは、様々な記憶場所を象徴する。各記憶場所(接触した装置)は、オンスクリーン空間によって表される。従って、例えば、スタンドアロンプレイヤとして機能する場合は、単一の空間(ユーザ自身の空間)のみが可視となる。以下により詳細に説明するように、ドラッグアンドドロップによって空間から空間にアイテムを動かすことは、装置間でのコピー及び転送を開始する。」
キ.
「【0034】
図3A乃至3Eには、「接続維持」された変形を示す。図3Aに示す第1の実施例100では、装置が近いプロキシミティ(10センチメートル未満)に持ってこられると、リンクは自動的に確立される(図3A1)。この実施例では、赤外線送信器は、近くのプロキシミティにいるユーザと自動的にリンクを確立するために数秒間おきに伝送し得る。或いは、図3B1に示す更なる実施例101では、両方の装置12a、12bは互いに向けられ、ユーザは、装置が「近傍にある」(例えば、30センチメートル内)にあるときに、「リンク」ボタン17a、17bを押す。この実施例では、ユーザは赤外線送信器をアクティブにして、リンクを確立する。各装置は、確立された接続に関してフィードバックを与えることが好適であり、また、一度リンクが確立されると、装置は、その範囲内にいる必要はなくなる。即ち、ユーザは、より多くの距離を維持し得る。図3A2及び図3B2において矢印で示すように、また、より詳細に以下に説明するように、仮想共有空間75が、コンテンツアイテムをその空間にドラッグすることによってコンテンツアイテムを共有するよう使用される。ドラッグすることによって、コンテンツアイテムは、もう1人の接続されたユーザに見えるようになる。この空間は、新しいアイテムが出現する度に全ての接続されたユーザに対して更新される。例えば、スクリーン上のボタンを押すことによって、切断が行われる。」
ク.
「【0036】
図4A乃至4Cにより詳細に示す「ポイントアンドリンク」コンセプトに関して、2つのユーザは会うと、それぞれ赤外線ポートが付けられた自分たちの装置12a、12bを互いに向け、同時に、「接続」ボタン17a、17bを押す(図4A)。この動作は、偶然に別の装置に向けることによる望まない接続を阻止するよう近いプロキシミティにおいて行われなければならない。鍵及びユーザ情報を交換した後、WiFi(商標)接続が引き継ぎ、そして、ユーザは、「接続維持」状態が到達されたので、自分たちの装置を互いにもはや向けなくてよい。図4Bに示すように、接続が維持された状態の間に、ユーザは、アイテムを交換することができる。この状況では、「共有空間」75が作成され、これは、両方のユーザが交換する情報を保持する(仮想)空間である。この空間は、接触の間のみこの機能を有し、接続が中断されると消える。これをオンスクリーンインタフェースに関して言い換えると、接触後、空間75が出現し、ここでは、ユーザは、アイコン90として表されるコンテンツアイテムを自由に且つ安全に交換することができる。この空間に置かれるアイテム(アイコン)は、全ての接続されたユーザによってアクセス可能である。特に、この実施例では、図4Cに示すように、転送装置12aの個人空間25aからアイテム95を共有空間75にドラッグすることによって、そのアイテム95がもう1つの転送受取装置12bの共有空間上に見えるようにする。このアイテムは、もう1人のユーザによって、そのユーザの個人空間、例えば、空間25b内にドラッグされることが可能となる。ダウンロードされたアイテム95は、既にダウンロードされているアイテムから区別するためにコントラストされたアイテム95aとして共有空間内に表示される。つまり、アイテムが共有空間内に入れられると、オリジナルからコピーが作成される。共有空間は全ての接続された装置上で連続的に更新されるので、共有空間におけるコピーは、そこにコピーを置いたユーザを示すために装置所有者の装置上のオリジナルとは異なる。このことは、所有者が、自分自身にアイテムをダウンロードすることを阻止する。従って、装置上に格納されたコンテンツは、いわゆる個人空間である共有空間の外に表示されることを理解する。共有空間75からアイテムを、転送受取装置の(転送受取装置に格納されたアイテムを含む)「個人」空間25bにドラッグすることは、もう1つの装置からの転送を開始する。所有者以外の全ての接続されたユーザがアイテムをダウンロードすると、アイテムは、共有空間75から消える。各接続されたユーザは、ボタン17a、17bを再度押すことによっていつでも切断することが可能である。2人の接続されたユーザの場合、接続は、どちらか1人が切断すると接続は終了する。2人以上のユーザが接続される場合、1人のユーザは、他のユーザが依然として接続される間に離れることが可能である。切断するユーザによって共有空間に入れられたアイテムは消える。」
ケ.
「【0040】
本発明の特徴は、少なくされた努力、例えば、一回の動作で他のユーザがコンテンツにアクセス可能にすることである。従って、図4A乃至4C及び図6A乃至6Cに関して説明した実施例に、他の装置に格納されるアイテムの視覚化を可能にする第3の空間を追加することによって、アイテムを分配するときに所有者が必要とする努力を少なくし得る。ユーザは、共有空間にアイテムを置くことを依頼するのではなく、所有者の了解を得て、アイテムを自分自身でブラウズすることができる。
【0041】
従って、図7に示すように、他の装置(図示せず)との接触を確立した後、共有空間75と、相手側の装置のコンテンツを有する空間79(相手側空間)が、ユーザ装置12aのPCCディスプレイスクリーン13に追加される。接触の間は、空間は、作業領域を最大とするようサイズが変更可能である。互いに隣接する3つの空間25a、75、79の存在は、空間から空間に、例えば、垂直方向にコンテンツアイテムをドラッグ可能なモデルを作成する。必要のないときの空間の最小化及び空間の不在(接続されていないとき)は、このモデルに影響を与えない。アクセス不可空間は最小の寸法を有し、また、空間モデルを維持するためにサイズが変更可能ではない。実効作業空間を最大に維持するために、水平線が空間を分離する。ユーザに制御を与えるよう空間は手動でサイズが変更されてもよい。ユーザは、ドラッグアンドドロップ動作の達成を容易とするよう空間のサイズを決定可能である。
【0042】
更に、格納されたコンテンツは私的な性質を有するので、誰もがアクセス可能であってはならないものと理解すべきである。この解決策は、全てのユーザに対して全員の努力を最小限にするが、プライバシー及びセキュリティは依然として維持されることを理解する。
【0043】
本願に記載するように、別の装置との接触が確立されると、接続がうまくいったか否か、及び、接続は誰に対して確立されたのかに関するフィードバックが供給される。このことは、接続されたユーザをスクリーン上に表示することによって実現される。接続されたユーザの表示は、彼らの名前をリストに表示するか、又は、図8に示すように、その存在をアイコン88と共に示すことによって行われることが好適である。アイコン88でユーザの存在を示すことは、ユーザが、スクリーン13上でより空間をパーソナライズすることを可能にする。写真又はキャラクタ89を用いて、ユーザを識別し得る。これは、少数のユーザが同時に接続される場合は十分である。従って、「空間」コンセプトがコンテンツを記憶場所に関連付けるのと同様に、ユーザアイコンの使用に関しても同じことが言える。つまり、接続されたユーザのアイコンは、このユーザのコンテンツを示す空間に関連付けられる。一貫性があるように、所有者自身の空間もアイコンを表示する。ユーザは、自分が、相手側の接続された装置上でどのように視覚化されているのかを理解することができる。1つの実施例では、アイコンは、空間との関係を示すために空間の境界に置かれる。つまり、接続が確立されると、相手側のユーザのユーザアイコンは、スクリーン上に、好適には、例えば、空間分離線である空間の境界において出現する。2人のユーザがいる状況では、両方のユーザは、相手側のユーザのアイコンを自分のスクリーン上で見る。」
a.
段落【0016】の記載によれば、引用文献には、「ポータブル装置であって、1つ以上の他のポータブル装置に接続するために通信リンクを確立する手段と、確立された通信リンクを介して接続されたユーザ間でのコンテンツ交換を容易にするよう接続されたユーザの各ポータブル装置の表示領域に可視化される共有空間を生成する手段と、共有空間におけるユーザコンテンツを表すアイテムの操作に応じて、通信リンクを介するユーザのポータブル装置への及び該ユーザのポータブル装置からのコンテンツの転送を制御することを各個々の接続されたユーザに可能にする手段とを備えるポータブル装置。」が記載されている。
b.
段落【0009】,【0018】の記載によれば、上記a.の「ポータブル装置」は、ディスプレイを備え、ディスプレイは、タッチスクリーンを有し、オンスクリーンインタフェースによりポータブル装置は操作されるものである。
c.
段落【0031】の記載によれば、上記a.の「ポータブル装置」は、「コンテンツアイテムが、アイコンによって表示され、物理的な対象物のように動かしたり取り扱ったりすることが可能であり、ドラッグアンドドロップによって空間から空間にアイテムを動かすことにより、装置間でコピー及び転送を開始するグラフィカルユーザインタフェース」を有しており、該「空間」は「仮想空間」である。
d.
段落【0019】,【0020】,【0026】,【0028】,【0030】,【0034】,【0036】の記載によれば、上記a.の「1つ以上の他のポータブル装置に接続するために通信リンクを確立する手段」は、「コンテンツの共有前にポータブル装置12a、12bの2人のユーザがそれぞれの装置間で交換されるコンテンツについて議論し、両方のポータブル装置12a、12bの赤外線ポートを互いに向かい合わせ、互いにリンクボタン17a、17bを押して赤外線送信機をアクティブにし、赤外線通信により、リンクを確立する手段」である。
e.
段落【0034】,【0036】の記載によれば、上記a.の「共有空間におけるユーザコンテンツを表すアイテムの操作に応じて、通信リンクを介するユーザのポータブル装置への及び該ユーザのポータブル装置からのコンテンツの転送」は、「仮想空間において、個人空間から共有空間にユーザコンテンツを表すアイテムをドラッグすることにより、そのアイテムがもう1つのポータブル装置12bの共有空間上に見えるようになり、もう1人のユーザが、そのアイテムをそのユーザの個人空間にドラッグすることにより、コンテンツの転送」のことである。
f.
上記a.~e.によれば、引用文献には、
「ポータブル装置であって、
ディスプレイを備え、ディスプレイは、タッチスクリーンを有し、オンスクリーンインタフェースによりポータブル装置は操作されるものであり、
コンテンツアイテムが、アイコンによって表示され、物理的な対象物のように動かしたり取り扱ったりすることが可能であり、ドラッグアンドドロップによって仮想空間から仮想空間にアイテムを動かすことにより、装置間でコピー及び転送を開始するグラフィカルユーザインタフェースを有し、
コンテンツの共有前にポータブル装置12a、12bの2人のユーザがそれぞれの装置間で交換されるコンテンツについて議論し、両方のポータブル装置12a、12bの赤外線ポートを互いに向かい合わせ、互いにリンクボタン17a、17bを押して赤外線送信機をアクティブにし、赤外線通信により、リンクを確立する手段と、
確立された通信リンクを介して接続されたユーザ間でのコンテンツ交換を容易にするよう接続されたユーザの各ポータブル装置の表示領域に可視化される共有空間を生成する手段と、
仮想空間において、個人空間から共有空間にユーザコンテンツを表すアイテムをドラッグすることにより、そのアイテムがもう1つのポータブル装置12bの共有空間上に見えるようになり、もう1人のユーザが、そのアイテムをそのユーザの個人空間にドラッグすることにより、コンテンツの転送を制御することを各個々の接続されたユーザに可能にする手段と、
を備えるポータブル装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
3.対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「ポータブル装置」は、本願補正発明と同様の「デバイス」ともいい得るものでる。
(2)引用発明の「ディスプレイ」は、「タッチスクリーンを有し、オンスクリーンインタフェースによりポータブル装置は操作され」、「コンテンツアイテムが、アイコンによって表示され、物理的な対象物のように動かしたり取り扱ったりすることが可能であり、ドラッグアンドドロップによって仮想空間から仮想空間にアイテムを動かすことにより、装置間でコピー及び転送を開始するグラフィカルユーザインタフェース」を有するから、引用発明の「ディスプレイ」は、本願補正発明の「仮想物理的空間を含むグラフィカルユーザインターフェースを表示するべく構成されたディスプレイ」に相当する。
また、引用発明のグラフィカルユーザインタフェースは、仮想空間において、コンテンツを表すアイテムのユーザによるドラッグアンドドロップ操作をタッチスクリーンにより検出するものであり、タッチスクリーンは、センサーといえるから、引用発明の「タッチスクリーン」は、本願補正発明の「前記仮想物理的空間とのユーザ相互作用を検出するべく構成されたセンサー」に相当する。
(3)引用発明の「ポータブル装置」が、「プロセッサ」を備えていることは明らかであり、プロセッサがポータブル装置の各々の手段を制御することも明らかであるから、プロセッサが、「ディスプレイ」と「タッチスクリーン」と通信していることは明らかである。
よって、引用発明は、本願補正発明と同様に「前記ディスプレイ及び前記センサーと通信するプロセッサ」を有しているといえる。
(4)引用発明の「タッチスクリーン」は、ユーザによるドラッグ等の操作による信号をプロセッサに送っていることは明らかであるから、引用発明は、本願補正発明と同様に、「プロセッサ」が「前記ユーザ相互作用と関連付けられたデータを含むセンサー信号を前記センサーから受け取」ることは明らかである。
(5)引用発明の「コンテンツの共有前にポータブル装置12a、12bの2人のユーザがそれぞれの装置間で交換されるコンテンツについて議論し、両方のポータブル装置12a、12bの赤外線ポートを互いに向かい合わせ、互いにリンクボタン17a、17bを押して赤外線送信機をアクティブに」することにより、赤外線信号を他のポータブル装置から受け取ることは、共有を要求するための信号を受け取っているといえるから、本願補正発明の「前記仮想物理的空間の共有を要求する遠隔信号を遠隔デバイスから受け取」ることとは、いずれも、「共有を要求する遠隔信号を遠隔デバイスから受け取」ることに相当し、当該受け取る動作をプロセッサが行うことは自明の事項である。
(6)引用発明における「仮想空間において、個人空間から共有空間にユーザコンテンツを表すアイテムをドラッグすることにより、そのアイテムがもう1つのポータブル装置12bの共有空間上に見えるようになり、もう1人のユーザが、そのアイテムをそのユーザの個人空間にドラッグすることにより、コンテンツの転送を制御すること」は、タッチスクリーンに対するユーザの操作により、転送というコマンドの決定、機能の実行をしているといえるから、本願補正発明と同様に「前記ユーザ相互作用に少なくとも部分的に基づいてコマンドを決定し、前記コマンドに少なくとも部分的に基づいて実行されるべき機能を決定し、前記機能を実行する」ものといえ、当該動作は、プロセッサが行うことは明らかである。
(7)引用発明において、「個人空間」がリンク確立前に生成されていることは明らかである。
したがって、本願補正発明と引用発明とは、次の一致点、相違点を有している。
[一致点]
「デバイスであって、
仮想物理的空間を含むグラフィカルユーザインターフェースを表示するべく構成されたディスプレイと、
前記仮想物理的空間とのユーザ相互作用を検出するべく構成されたセンサーと、
前記ディスプレイ及び前記センサーと通信するプロセッサと
を含み、前記プロセッサは、
前記ユーザ相互作用と関連付けられたデータを含むセンサー信号を前記センサーから受け取り、
共有を要求する遠隔信号を遠隔デバイスから受け取り、
前記ユーザ相互作用に少なくとも部分的に基づいてコマンドを決定し、
前記コマンドに少なくとも部分的に基づいて実行されるべき機能を決定し、
前記機能を実行するべく構成されるデバイス。」
[相違点1]
「共有を要求する遠隔信号」が、本願補正発明では「仮想物理的空間」を共有するためのものであるのに対し、引用発明では「コンテンツ」を共有するためのものである点。
[相違点2]
本願補正発明では、「仮想物理的空間は、前記遠隔デバイスからの前記遠隔信号の受け取り前に前記グラフィカルユーザインターフェースに表示されている」のに対し、引用発明では、「仮想空間」のうち、「個人空間」は通信リンクを確立する前に生成され、「共有空間」は通信リンクを確立した後に生成される点。
4.判断
上記[相違点1]、[相違点2]について、検討する。
引用文献の段落【0040】、【0041】には、図7に関連して、「他の装置に格納されるアイテムの視覚化を可能にする第3の空間を追加」し、「他の装置との接触を確立した後に、共有空間75と、相手側の装置のコンテンツを有する空間79(相手側空間)が、ユーザ装置12aのPCCディスプレイスクリーン13に追加され」、ユーザは、「所有者の了解を得て、アイテムを自分自身でブラウズすることができる」ことが記載されている。
よって、引用文献には、通信リンクが確立される前に「ユーザ装置12a」のディスプレイスクリーンに表示されていた「個人空間25a」は、通信リンクの確立により共有され、相手側のユーザ装置12bに「相手側の装置のコンテンツを有する空間79(相手側空間)」として表示され、ユーザ装置12bにおいてアイテムを操作可能となることが開示されており、このことは、通信リンクの確立後に他の装置と共有される個人空間25aは、通信リンクの確立前にディスプレイスクリーンに表示されていることを意味している。
また、引用文献の段落【0040】、【0041】の記載によれば、仮想空間のうち、共有空間75は、通信リンクの確立により、生成され、相手側の装置と共有され、仮想空間のうち、個人空間25aは、通信リンクの確立により、相手側の装置と共有されるから、引用発明において、通信リンクを確立するための赤外線通信の信号は、「仮想物理的空間の共有を要求する遠隔信号」ともいい得るものである。
したがって、引用発明において、遠隔信号を仮想物理的空間の共有を要求するものとすること、また、「仮想物理的空間は、前記遠隔デバイスからの前記遠隔信号の受け取り前に前記グラフィカルユーザインターフェースに表示されている」ものとすることは当業者が容易に想到し得た事項である。
以上判断したとおり、本願補正発明における上記相違点1,2に係る構成はいずれも当業者が容易に想到し得たものであり、また、各相違点を総合しても本願補正発明は当業者が想到することが困難なものとはいえない。
そして、本願補正発明の作用効果も、引用文献の記載から当業者が予測できる範囲のものである。
以上のとおり、本願補正発明は引用発明及び引用文献の記載に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
5.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項の規定により準用する特許法第126条第7項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
第3.本願発明について
1.本願発明
平成28年3月10日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成27年10月1日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「デバイスであって、
仮想物理的空間を含むグラフィカルユーザインターフェースを表示するべく構成されたディスプレイと、
前記仮想物理的空間とのユーザ相互作用を検出するべく構成されたセンサーと、
前記ディスプレイ及び前記センサーと通信するプロセッサと
を含み、前記プロセッサは、
前記ユーザ相互作用と関連付けられたデータを含むセンサー信号を前記センサーから受け取り、
前記仮想物理的空間の共有を要求する遠隔信号を遠隔デバイスから受け取り、
前記ユーザ相互作用に少なくとも部分的に基づいてコマンドを決定し、
前記コマンドに少なくとも部分的に基づいて実行されるべき機能を決定し、
前記機能を実行するべく構成されるデバイス。」
2.引用発明
引用発明は、上記「第2.」の「2.引用発明」の欄に記載したとおりである。
3.対比・判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から、「仮想物理的空間」の限定事項である「前記遠隔デバイスからの前記遠隔信号の受け取り前に前記グラフィカルユーザインターフェースに表示されてい」るとの相違点2に係る構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2」の「3.」ないし「4.」に記載したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-003733