特許拒絶査定不服審判
2015-021359
携帯電子機器
- 審判番号
- 2015-021359
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-167719外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年12月01日
- 審決日
- 2017年02月13日
- 公報発行日
- 2017年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京セラ株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (H04M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-167719「携帯電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月 6日出願公開、特開2014- 27565〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は、平成24年7月27日の出願であって、平成27年5月15日付けで拒絶理由が通知され、同年7月9日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年8月27日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年12月1日に拒絶査定不服の審判が請求がされ、その後、当審より平成28年3月11日付けで拒絶理由が通知され、同年5月13日付けで意見書が提出され、さらに、同年8月25日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年10月27日付けで意見書が提出されたものである。
2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1および2に係る発明は、平成27年7月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1および請求項2に記載された事項により特定されるものと認める。
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「近距離通信を行う通信部と、
防犯ブザーの作動によって緊急報知モードとなった際に、前記近距離通信が可能なエリア内にある周辺機器に関する情報を取得するコントローラと
を有し、
前記コントローラは、
一定時間ごとに前記周辺機器の探索を実行し、前記周辺機器に関する情報を取得するとともに、当該一定時間ごとの前記周辺機器の探索を実行するたびに自機器の位置情報を取得し、
取得した位置情報を前記周辺機器に関する情報とともに特定の機器へアップロードする携帯電子機器。」
3.引用発明等
(1)引用発明
当審拒絶理由において引用された特開2008-205771号公報(以下、「引用例1」という。)には、「通信装置」(発明の名称)に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア.「【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報を送信可能な通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では子供の誘拐事件が多発しており、このような事件に巻き込まれた場合に子供が容易に助けを求められるようにする為に、携帯電話に防犯ブザーを搭載したものが実際に製品化されている。
【0003】
又、ユーザが携帯電話の所定のボタンを操作することにより、ブザーが鳴動すると共に現在位置の情報を受信し、所定の宛先へ送信する技術が提案されている(下記特許文献1参照)。」(2頁)
イ.「【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明を適用してなる実施例について説明する。図1は本実施例装置である通信装置(例えば、携帯電話装置)の斜視図であり、図2は本実施例装置のブロック図である。
【0009】
図1において、通信装置10は、例えば液晶表示装置からなるディスプレイ42とスピーカ26を搭載した第1の筐体2と、マイク30と入力部44を搭載した第2の筐体3とがヒンジ部4で接続され、前記第1の筐体2を前記第2の筐体3方向に回動させ、折りたたむことが可能である。
【0010】
図2に示すように、携帯電話装置10は、アンテナ16と接続された電話通信部12を備えている。この電話通信部12は、後述のベースバンド部14からの信号をアンテナ16を介して基地局へ発信し、あるいはアンテナ16を介して基地局からの電波を受信する。
【0011】
また、電話通信部12は、ベースバンド部14と接続されている。ベースバンド部14は、CDMA処理回路18と、音声コーデック20と、を有している。ここで、CDMA処理回路18は、符号分割多元接続、スクランブル、誤り制御、タイミング検出を行う。また、音声コーデック20は、音声を圧縮(符号化)、伸張(復号化)したり、アナログとデジタルの変換を行ったり、内部の増幅回路(図示省略)により受話音量やマイクロホンの感度を変更する。
【0012】
また、ベースバンド部14には、切替回路22が接続されている。この切替回路22には、増幅回路24を介して第1スピーカ26が接続されている。この第1スピーカ26は、増幅回路24で増幅されたベースバンド部14の電気信号を音声に変換する。この第1スピーカ26は、ユーザの耳にあてて通話に使用される。
【0013】
また、切替回路22には、増幅回路28を介してマイクロホン30が接続されている。このマイクロホン30は、通話に使用され、音声を電気信号に変換する。マイクロホン30により出力された電気信号は、増幅回路28で増幅されてベースバンド部14に出力される。
【0014】
また、切替回路22には、増幅回路32を介して第2スピーカ34が接続されている。この第2スピーカ34は、増幅回路32で増幅されたベースバンド部14の電気信号を音声に変換する。この第2スピーカ34は、受話音を周囲の人にも聞かせるための拡声用のスピーカとして使用可能であり、又、着信報知の鳴動用としても使用可能であり、更には、約100dBといった高音量のブザー音を鳴動する為にも使用可能である。このブザー音は例えば防犯ブザーとして使用される。
【0015】
切替回路22は、ベースバンド部14との接続を、第1スピーカ26用の増幅回路24とマイクロホン30用の増幅回路28側にするか、あるいは拡声用の第2スピーカ34用の増幅回路32とマイクロホン30用の増幅回路28側にするかを切り替える。
【0016】
また、携帯電話装置10は、GPSアンテナ56と接続されたGPS通信部58を備えている。GPS通信部では、GPSアンテナ56がとらえたGPS衛星からのGPSデータ(例えば、GPS衛星の航行スケジュールであるアルマナックデータや、GPS衛星の詳細軌道のデータであるエフェメリスデータ等)を受信し、制御回路36に出力する。制御回路36は、受信したGPSデータに基づいて携帯電話装置10の現在の位置情報(以下、位置情報と称す)が算出される。なお、制御回路36により算出された携帯電話装置10の位置情報は、RAM40に記憶されることもあれば、電子メールに添付して送信されることもある。又、位置情報を取得する為に他の方法も考えられる。例えば、携帯電話装置10で受信したGPS衛星からのGPSデータを通信事業者のサーバへ送り、サーバ側で経度や緯度等の位置情報を計算し、計算された位置情報を携帯電話装置10が受信する構成等が考えら
れる。
【0017】
このように、携帯電話装置10がGPS衛星からGPS情報を受信し、受信したGPS情報に基づいて位置情報を携帯電話装置10が内部で計算するというような位置情報の取得方法もあれば、サーバで計算された位置情報を受信するというような位置情報の取得方法もある。位置情報の取得方法はGPS衛生からのデータに基づいてでも良いし、携帯電話装置10の周囲に存在する基地局の位置(具体的には、ID等)に基づいて、携帯電話装置10のおおよその位置を算出しても良い。
【0018】
また、電話通信部12、ベースバンド部14、切替回路22及びGPS通信部58には、制御回路(制御部)36がそれぞれ接続されている。この制御回路36の制御により上述した切替回路22による切り替えが行われる。また、制御回路36によりベースバンド部14の音声コーデック20が制御され、音声コーデック20により第1スピーカ26及び第2スピーカ34の音量やマイクロホン30の感度が変更される。制御回路36は、ROM38と接続されており、ROM38に格納されているシステムプログラムに基づき各部を制御する。また、制御回路36は、制御回路36の動作に必要な所定の情報が記憶されているRAM40と接続されている。また、制御回路36によりGPS通信部58又は電話通信部12を介して外部の通信機(例えば、携帯電話装置)に対して現在位置情報を添付した電子メールを送信することができるようになっている。また、制御回路36にはタイマー(図示省略)が内蔵されており、外部の通信機(例えば、携帯電話装置)に対して現在位置情報を添付した電子メールを所定のタイミングで定期的に送信することができるようになっている。
・・・(省略)・・・
【0023】
次にメインペアである。メインペアは、所定の操作(例えば、#キー押下)が行われた際や、位置情報送信設定フラグオン時に電源オフ操作が行われた際に、位置情報と画像情報を送信する相手先の情報(例えば、メールアドレス)である。尚、このメールアドレスはユーザのキー操作により入力可能である。」(3~5頁)
ウ.「【0031】
次に本実施例装置である通信装置の動作について説明する。
【0032】
本実施例装置は、所定の操作(例えば、#キーを2秒以上連続押下)を行うと、スピーカ34からブザー音が鳴動し、更に、GPS通信部58を介してGPS衛星と通信を行うことによりGPS衛星からデータ(以下GPSデータと称す)を受信し、受信したGPSデータから位置情報を計算すると共に撮像部70で撮影を行い、計算した位置情報と撮影した画像情報を予め設定した相手先(例えば、図3のメインペアの相手先)にメール添付し送信する。又、ブザー鳴動中(或いは位置情報送信中)には電源キー64の操作による電源オフを無効としており、正しい暗証番号を入力すると電源がオフする構成となっている。更に、ブザー音鳴動中(或いは位置情報送信中)に犯人により電源キーが操作(例えば2秒以上連続押下)されると、電源オフとはならず、擬似電源オフ状態になり、防犯ブザーの鳴動は停止すると共にディスプレイ42には何も表示されず、あたかも電源オフとなった状態になるが、位置情報の取得と送信は行うものである。
【0033】
図4は、犯人により電源キーが操作されてからの通信装置の状態を示す遷移図である。この遷移図に基づいて、電源キーが操作されてから通信装置がどのような状態になるか説明する。
【0034】
先ず、図4の状態100は、防犯ブザーが鳴動している状態である。この状態で、電源キーが2秒以上連続押下されると、状態101に移る。状態101では、ディスプレイ42に電源オフ時のアニメーション表示がなされる(実際には、通常の電源オフ時のアニメーションとこの状態101とのアニメーションとは表示を異ならせている。このような構成としたのは、犯人が電源オフした際に、ユーザがこの表示を見て、本当に電源オフとなったのか、或いは擬似電源オフ状態となったかを知るためである。)。
【0035】
続いて状態102では、ディスプレイ42に電源オフ時と同じように何も表示されない状態となっている。
【0036】
状態102の状態で、電源キーが2秒以上連続押下されると、電源がオンされ、ディスプレイ42に電源オン時のアニメーション表示がなされる。
一方、状態102の状態で電源キーの操作がされなければ、所定時間経過後に状態104に移り、GPS通信部58を介して衛星と通信を行い、GPSデータを受信すると共に、撮像部70により画像情報を取り込む。受信したGPSデータに基づいて位置情報を計算し、計算した位置情報は例えば経度緯度の情報でありこの情報と、取り込んだ画像情報とをRAM40に格納されたメインペアへメール送信する。尚、状態104の状態ではGPS情報を取得する際に、GPS情報を取得中である旨の表示を行い、位置情報を送信する際には、位置情報を送信中である旨の表示を行う。
【0037】
更に、ユーザが擬似電源オフ状態であることをより明確に知る為に、照明部46(バックライト)から少し照明を行っている。ユーザは、ディスプレイ42がぼんやりと明るくなっていることを認識することにより、擬似電源オフ状態であること知ることができる。尚、このようにディスプレイ42がぼんやりと明るくなる構成は、状態104だけに限らず、電源キーが操作されてからの状態101、102でも明るくしても良い。
【0038】
位置情報の送信が終了すると、状態102に戻る。このように、状態102の状態で電源キーが操作されない限り、状態102と状態104を所定時間毎繰り返し行う。
【0039】
次に擬似電源オフ状態について説明する。図5は、擬似電源オフ状態を詳細に説明するための図である。擬似電源オフ状態は少なくとも2つの状態からなり、電源オフ状態と電源オン状態からなる。この電源オフ状態は、通常の待ち受け状態における電源オフと同じ状態であり、通話やメールの送受信ができない、制御回路が電源キーの操作を監視している状態である。一方、電源オン状態は、ディスプレイ42に何も表示されない状態で位置情報の測定と位置情報の送信を行う状態である。図4で説明すると、状態102が電源オフ状態であり、状態104が電源オン状態となる。
【0040】
この擬似電源オフ状態では、図5に示すように、電源オフ状態と電源オン状態とが繰り返し実行される。
【0041】
次に本実施例装置を動作させる前の設定操作と、設定操作後の本実施例装置の動作を順に説明する。
【0042】
図6は、設定操作を行う際のディスプレイ42の表示画面を示す図である。図6の(a)の状態で、入力部44の入力に基づいて(b)の表示に画面が切り替わる。(b)の表示状態で画面左下の電源オフを選択すると、(c)の表示に切り替わる。この(c)の表示状態で、位置送信設定と、電源ロックナンバーと、完全電源オフの3つの設定が行える。
【0043】
図6(c)の画面で、ユーザが位置送信設定を選択すると、図7の(a)の画面から(b)の画面へ切り替わる。ここで、第1ロックナンバーを入力すると、(c)の画面へ切り替わる。
【0044】
尚、(b)の画面における第1ロックナンバーと、電源ロックナンバー(第2ロックナンバー)は異なるロックナンバーである(勿論、ユーザの設定次第で、第1ロックナンバーと第2ロックナンバーを同一の番号にすることも可能である)。
【0045】
図7の(c)の画面で「ON」を選択すると、(d)の画面に移り、上述した擬似電源オフ状態で位置情報と画像情報を送信する間隔を設定することが可能である。尚、ここでは、15分、30分、60分の3つの間隔から所望の間隔を設定することが可能である。ここで、例えば30分の間隔を選択すると、(e)の画面に移り、30分の時間間隔を設定したことを示すメッセージを表示し、(f)の画面、即ち、(a)と同じ画面に移る。このようにして、位置と画像の送信設定のオンオフや、位置情報と画像情報を送信する間隔を設定することが可能である。
【0046】
・・・(省略)・・・
【0054】
S140ステップでは、制御回路36は、GPS通信部58を制御することによりGPSから各種データ(例えば、GPS衛星の航行スケジュールであるアルマナックデータや、GPS衛星の詳細軌道のデータであるエフェメリスデータ等)を受信し、経度緯度からなる位置情報を計算する。尚、位置情報を通信事業者が管理するサーバで計算し、サーバで計算された位置情報を受信する構成としても良い。又、S140ステップでは、制御回路36は、撮像部70を用いて撮影を行い画像情報を作成する。
【0055】
続くS150ステップでは、制御回路36は、RAM40に格納されているメインペアの宛先に、前記S140ステップで受信(或いは計算された)位置情報と作成した画像情報を自動的に添付して送信する。又、このS150ステップにおいて、RAM40にはメインペアの他にサブペアにもメールを送信するように設定されていれば、サブペアにも位置情報を添付してメール送信する。尚、メールを送信する際に、メールタイトルは予め設定したタイトル(例えば、「緊急です。助けてください」)を自動的に付加すると共に、メール本文には、予め設定した本文(例えば、「緊急事態発生、助けてください。警察にも連絡してください。」が自動的に付加される。このメールタイトルやメール本文はユーザが自由に作成し設定可能としても良いし、工場出荷時から予め通信装置に格納されているものをユーザが選択して設定可能としても良い。」(6~9頁)
エ.「【0076】
S330ステップでは、制御回路36は、電源キー64が操作されたと判定するとS340ステップへ処理を進め、そうでなければ、S250ステップへ処理を進める。
【0077】
S340ステップでは、制御回路36は、電源オン状態とし、図10のS100ステップへ処理を戻す。尚、S340ステップにおいて電源オン状態とする際に、電源オンのアニメーションがディスプレイ42に表示される。
【0078】
S350ステップでは、制御回路36は、前記S320ステップにおいてカウント開始したタイマーが所定の時間をカウントしたと判定するとS360ステップへ処理を進め、そうでなければ、S330ステップへ処理を戻す。
【0079】
S360ステップでは、制御回路36は、電源オン状態にし、S370ステップへ処理を進める。尚、ここでいう電源オン状態とは、通常の電源オン状態ではなく、図5に示す擬似電源オフ状態における電源オン状態である。
【0080】
続くS370ステップでは、制御回路36は、位置確認可能であると判定するとS390ステップへ処理を進め、そうでなければ、S380ステップへ処理を進める。尚、ここで位置確認可能であるか否かは、例えば衛星からの信号を受信できる状態であるか否かを判定することである。又、サーバで計算した位置情報を受信する構成であれば、基地局からの電波の届く範囲内にいるか否かが判定される。
【0081】
S380ステップでは、制御回路36は、位置確認失敗と判定すると共にディスプレイ42に例えば「位置確認失敗」と表示させ、タイマーをクリアしS450ステップへ処理を戻す。
【0082】
S390ステップでは、制御回路36は、位置確認動作を開始する。具体的には、GPS衛星からの信号を受信し位置を計算する、或いは位置情報を事業者のサーバから受信するようにしても良い。・・・(略)・・・
【0083】
S410ステップでは、制御回路36は、GPS衛星との通信により計算した位置情報を電子メールに添付しメインペア(或いはサブペアも含む)へ送信する。
【0084】
・・・(省略)・・・
【0087】
S450ステップでは、制御回路36は、ディスプレイ42の表示をクリアし、S320ステップへ処理を戻す。
【0088】
このように、図11の擬似電源オフ動作では、所定時間毎にGPSデータに基づいて計算された位置情報をメールに添付し所定の宛先に送っている。このように、待ち受け時に電源キーが操作されると、電源オフのアニメーションを表示し表示が消えるため、犯人は携帯電話の電源がオフになったと思い込む。しかしながら、実際には所定時間毎に位置情報を受信(或いは計算)し、その位置情報を自動的にメールに添付し所定の宛先へ送信している。この為、ユーザが犯人に気づかれずに現在の位置情報を所定の宛先へ送ることができ、位置情報を受信した側は、受信した位置情報に基づいてユーザを追跡することができる。」(11~12頁)
引用例1の摘記事項ア.~エ.の各記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、
a.摘記事項ア.の【0001】の「位置情報を送信可能な通信装置」と、摘記事項イ.の【0008】の「図1は本実施例装置である通信装置(例えば、携帯電話装置)」との各記載から、引用例1には、「携帯電話装置」が記載されている。
b.摘記事項ウ.の【0036】の「GPSデータを受信すると共に、撮像部70により画像情報を取り込む。」の記載より、「撮像部と、」、「を有し、」といえる。
c.摘記事項ウ.の【0032】の「所定の操作(例えば、#キーを2秒以上連続押下)を行うと、スピーカ34からブザー音が鳴動し、・・(省略)・・更に、ブザー音鳴動中(或いは位置情報送信中)に犯人により電源キーが操作(例えば2秒以上連続押下)されると、電源オフとはならず、擬似電源オフ状態になり、」と、同【0034】の「防犯ブザーが鳴動している状態である。」と、同【0055】の「サブペアにも位置情報を添付してメール送信する。尚、メールを送信する際に、メールタイトルは予め設定したタイトル(例えば、「緊急です。助けてください」)を自動的に付加すると共に、メール本文には、予め設定した本文(例えば、「緊急事態発生、助けてください。警察にも連絡してください。」が自動的に付加される。」との各記載より、「防犯ブザーが鳴動したのちに、緊急を報知する疑似電源オフ状態になると、」といえる。
d.摘記事項ウ.の【0036】の「状態102の状態で、電源キーの操作がされなければ、所定時間経過後に状態104に移り、・・(省略)・・、GPSデータを受信すると共に、撮像部70により画像情報を取り込む。」と、同【0054】の「又、S140ステップでは、制御回路36は、撮像部70を用いて撮影を行い画像情報を作成する。」の各記載と、図4に示されるように状態102と状態104を合わせて「疑似電源オフ状態」と称していることから、「防犯ブザーが鳴動したのちに、緊急を報知する疑似電源オフ状態になると、撮像部での撮影を行う制御回路と、」、「を有し、」といえる。
e.摘記事項ウ.の【0036】の「状態104に移り、GPS通信部58を介して衛星と通信を行い、GPSデータを受信すると共に、撮像部70により画像情報を取り込む。受信したGPSデータに基づいて位置情報を計算し、」と、摘記事項ウ.の【0038】の「位置情報の送信が終了すると、状態102に戻る。このように、状態102の状態で電源キーが操作されない限り、状態102と状態104を所定時間毎繰り返し行う。」との各記載と図4より、状態104において、位置情報の取得が行われ、取得された位置情報の送信が行われていること、取得された位置情報の送信の動作が終了すると状態102に戻ること、そしてこれを所定時間毎(一定の周期)で繰り返すことが読み取れるので、位置情報の取得は、所定時間毎に行われるといえる。
また、現在位置情報は、定期的に送信する際の、その時取得した位置情報であると解されるから、位置情報の受信を所定時間毎に繰り返す場合に、その都度、画像の取り込み(撮影)を行うと解される。
したがって、「前記制御回路は、」、「所定時間毎に」、「前記撮影部により画像情報を取り込むとともに、GPSデータを受信し、携帯電話装置の位置情報を受信したGPSデータから計算し、」といえる。
f.摘記事項イ.の【0018】の「制御回路36にはタイマー(図示省略)が内蔵されており、外部の通信機(例えば、携帯電話装置)に対して現在位置情報を添付した電子メールを所定のタイミングで定期的に送信することができるようになっている。」と、摘記事項ウ.の【0036】の「計算した位置情報は例えば経度緯度の情報でありこの情報と、取り込んだ画像情報とをRAM40に格納されたメインペアへメール送信する。」と、摘記事項エ.の【0088】の「所定時間毎に位置情報を受信(或いは計算)し、その位置情報を自動的にメールに添付し所定の宛先へ送信している。」との各記載より、「前記携帯電話装置の位置情報を、前記画像情報とともにメインペアの相手先へ送信する」といえる。
また、摘記事項イ.の【0023】の「メインペアは、所定の操作(例えば、#キー押下)が行われた際や、位置情報送信設定フラグオン時に電源オフ操作が行われた際に、位置情報と画像情報を送信する相手先の情報(例えば、メールアドレス)である。」の記載より、所定の宛先は、メインペアのことといえる。
以上上記a.~f.を総合すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
(引用発明)
「撮像部と、
防犯ブザーが鳴動したのちに、緊急を報知する疑似電源オフ状態になると、撮像部での撮影を行う制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、
所定時間毎に前記撮像部により画像情報を取り込むとともに、GPSデータを受信し、携帯電話装置の位置情報を受信したGPSデータから計算し、 前記携帯電話装置の位置情報を、前記画像情報とともにメインペアの相手先へ送信する携帯電話装置。」
(2)周知技術
当審拒絶理由において引用された引用文献2(特開2008-219314号公報)(【0032】、【0036】、【0055】)には、「近隣者通知プログラムおよび近隣者通知方法」(発明の名称)に関して、図面とともに以下の事項カ.キ.ク.が記載されている。
カ.「【0032】
近距離無線通信部24は、例えば、Bluetooth通信方式によって近辺の携帯電話装置1との間で近距離通信を行うもので、通信待機状態においてその電波到達エリア内(例えば、半径10m以内)に近距離無線通信付きの他の通信端末(以下、他の携帯電話装置1と呼称する)が入っていれば、その他の携帯電話装置1との間で自動交信が行われる(図1参照)。この場合、CPU11は、近距離無線通信部24を介して近辺に他の携帯電話装置1が存在しているか否かを監視し、近距離無線通信部24の自動交信によって他の携帯電話装置1が近辺に存在していることを検出した際に、近距離無線通信部24を介して当該端末から相手識別情報(相手ID)を受信取得するようにしている。そして、CPU11は、受信取得した「相手ID」に基づいて予め登録されている相手であるか否かを判別し、登録相手であれば、登録相手が近辺に居ることを示すメールを生成し、登録相手でなければ、不明相手が近辺に居ることを示すメールを生成して通知するようにしている。この場合のメール通知先は、予め任意に指定しておいた相手(例えば、母親などの家族)側の通信端末4である。」(8~9頁)
キ.「【0036】
制御ボタン30eは、児童が自分の近隣者の情報を保護者へ通知したい場合に押下されるボタンである。CPU30aは、無線IDタグセンサ部30cによって、周期的に近隣者の無線IDタグのタグ番号を取得し、近隣者通知装置10に送信するが、児童が任意に、近隣者の情報を保護者に通知したい場合がある。この場合、児童は、制御ボタン30eを押下することによって、任意に周囲の情報(近隣者情報)を近隣者通知装置10に送信することができる。」(7頁)
ク.「【0055】
「ID検出モード」下において「一括通知モード」が指定されている場合に、登録相手/不明相手が近辺に居ることを検出する毎に、その「相手ID」に対応付けて「現在位置」、「現在時刻」を記録メモリRMの対応する項目「相手ID」、「位置」、「検出時刻」に書き込んでおき、1時間毎の第2タイミングで記録メモリRMの内容を一括して読み出して通知するようにしたので、例えば、その通知を受けた親にあっては、一括通知の内容から子供の行動を分析することができる。更に、「即時通知モード」の場合に比べて、通信量及び通信時間の点でも有利なものとなる。」(13頁)
また、当審拒絶理由において引用された引用文献3(特開2007-172287号公報)(【0035】、【0036】)には、図面とともに以下の事項ケ.が記載されている。
ケ.「【0035】
無線IDタグセンサ部30cは、他の児童用端末31~34に搭載されている無線IDタグの電波を受信する。
無線IDタグ部30dは、無線IDタグを有している。無線IDタグは、上記で説明したように、固有のタグ番号を有している。無線IDタグには、例えば315MHz帯のアクティブタグ方式がある。この無線IDタグは、電池を内蔵しており、自ら情報のやり取りを行なうことができる。電波の到達距離は数十mである。また、無線IDタグには、UHF帯の高出力タイプのものがある。電波の周波数は950MHz帯で、電波の到達距離は約5mである。
【0036】
制御ボタン30eは、児童が自分の近隣者の情報を保護者へ通知したい場合に押下されるボタンである。CPU30aは、無線IDタグセンサ部30cによって、周期的に近隣者の無線IDタグのタグ番号を取得し、近隣者通知装置10に送信するが、児童が任意に、近隣者の情報を保護者に通知したい場合がある。この場合、児童は、制御ボタン30eを押下することによって、任意に周囲の情報(近隣者情報)を近隣者通知装置10に送信することができる。」(6~7頁)
また、当審拒絶理由において引用された引用文献4(特開2007-150904号公報)(【0036】)には、図面とともに以下の事項コ.が記載されている。
コ.「【0036】
その他、本実施形態の携帯電話端末2は、上記誘拐犯の端末である可能性が高い携帯電話端末の識別情報を、上記近距離無線通信によりバックグラウンドで取得し、その識別情報を管理サーバ13や警備会社や警察等の管理センタへ自動的に通知する機能を備えていても良い。さらに、誘拐実行犯の他に共犯者がいる場合も考えられるため、本実施形態の携帯電話端末2は、上記誘拐犯の端末である可能性が高い携帯電話端末と共に近隣に存在している別の携帯電話端末(つまり共犯者の端末である可能性が高い端末)についても上述同様に、上記緊急通知依頼メッセージの送信を行わないようにしたり、また、当該別の携帯電話端末(共犯者の端末)の識別情報をバックグラウンドで取得してその識別情報を管理サーバ13等へ自動通知するような機能を備えていても良い。」(7頁)
摘記事項カ.~コ.より、以下の事項は、周知技術であると認める。
(周知技術)
「携帯電話端末の周囲の状況を遠隔通知するため、近距離無線通信部を用いて、通信範囲内にある通信端末の探索を実行し、通信範囲内にある通信端末の情報を取得すること。」
4.対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比すると、
g.引用発明の「制御回路」、「所定時間」、「携帯電話装置」、「携帯電話装置の位置情報」は、それぞれ、本願発明の「コントローラ」、「一定時間」、「携帯電子機器」、「自機器の位置情報」に相当する。
h.引用発明の「防犯ブザーが鳴動」は、本願発明の「防犯ブザーの作動」に相当する。また、引用発明の「緊急を報知する疑似電源オフ状態」は、緊急を報知する状況であることは明らかであるので、引用発明の「緊急を報知する疑似電源オフ状態」と本願発明の「緊急報知モード」とは、「緊急報知する状況」という点で共通する。
そして、本願発明と引用発明は、ともに「防犯ブザーの作動」(防犯ブザーの鳴動)から始まって「緊急報知する状況」となるから本願発明の「防犯ブザーの作動によって緊急報知モードとなった際に、」と引用発明の「防犯ブザーが鳴動したのちに、緊急を報知する疑似電源オフ状態になると、」とは「防犯ブザーの作動によって緊急報知する状況となった際に、」で共通する。
i.引用発明の「画像情報」は、撮像部が取り込むことができる周辺の情報であるから、引用発明の「撮像部での撮影を行」って、「撮像部により画像情報を取り込む」ことと、本願発明の「周辺機器の探索を実行し」て、「近距離通信が可能なエリア内にある周辺機器に関する情報を取得する」こととは、以下の相違点を除いて、「取得可能な周辺の情報を取得する」点で共通するし、また、引用発明の「撮像部」と、本願発明の「近距離通信を行う通信部」とは、「取得可能な周辺の情報を取得するための手段」である点で共通する。
j.引用発明の「GPSデータを受信し、携帯電話装置の位置情報を受信したGPSデータから計算し、」は、本願発明の「自機器の位置情報を取得し」に含まれる。
k.引用発明の「前記携帯電話装置の位置情報を、前記画像情報とともに、メインペアの相手先へ送信する」と、本願発明の「取得した位置情報を周辺機器に関する情報とともに特定の機器へアップロードする」とは、「取得した位置情報を前記周辺の情報とともに特定機器へ送信する」点で共通する。
したがって、上記g.~k.を総合すると、本願発明と、引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。
(一致点)
「取得可能な周辺の情報を取得するための手段と、
防犯ブザーの作動によって緊急報知する状況となった際に、取得可能な周辺の情報を取得するコントローラと
を有し、
前記コントローラは、
一定時間毎に前記取得可能な周辺の情報を取得するとともに、当該一定時間毎に前記取得可能な周辺の情報を取得するとともに自機器の位置情報を取得し、
取得した位置情報を前記取得可能な周辺の情報とともに特定機器へ送信する
携帯電子機器。」
(相違点1)一致点の「取得可能な周辺の情報を取得するための手段」が、本願発明では、「近距離通信を行う通信部」であるのに対して、引用発明では、「撮像部」である点。これに伴って、本願発明が、「前記周辺機器の探索を実行し、近距離通信が可能なエリア内にある周辺機器に関する情報を取得する」のに対して、引用発明では、「前記撮像部により画像情報を取り込む」点。さらに、一致点の「送信」の対象となる「前記取得可能な周辺の情報」が、本願発明では「前記周辺機器に関する情報」であるのに対し、引用発明では、「前記画像情報」である点。
(相違点2)一致点の「前記取得可能な周辺の情報を取得するとともに自機器の位置情報を取得し」に関して、本願発明が、「前記周辺機器の探索を実行するたび」に、すなわち、取得可能な周辺の情報を取得するたびに、「自機器の位置情報を取得し」ているのに対して、引用発明では、「前記撮影部により画像情報を取り込むとともに、GPSデータを受信」するもので、「画像情報を取り込む」たびに、すなわち、取得可能な周辺の情報を取得するたびに「位置情報を取得し」ているのか明らかでない点。
(相違点3)一致点の「特定機器へ送信する」について、本願発明が「特定の機器へアップロードする」のに対して、引用発明では、「メインペアの相手先へ送信する」点。
(相違点4)一致点の「緊急報知する状況」について、本願発明が、「緊急報知モード」であって、「モード」と称されているのに対して、引用発明の「緊急を報知する疑似電源オフ状態」が、「モード」とは称されていない点。
(2)判断
(相違点1)について検討する。
「3.引用発明等」の項中の「(2)周知技術」の項に記載したように、「携帯電話端末の周囲の状況を遠隔通知するため、近距離無線通信部を用いて、通信範囲内にある通信端末の探索を実行し、通信範囲内にある通信端末の情報を取得すること。」は、周知技術である。
そして、引用発明において、周知技術を参酌することにより、携帯電話装置において、撮像部に替えて、または、加えて、無線通信部を用いて、通信範囲内にある通信端末の探索を実行し、通信範囲内にある通信端末の情報を取得するよう構成することは、当業者が容易になし得たことである。
そして、そのように構成する場合に、「送信」の対象を、「画像情報」に替えて、または、加えて、「通信範囲内にある通信端末の情報」とすることは、当然の設計変更にすぎない。
(相違点2)について検討する。
引用発明において、「画像情報」の取り込み、すなわち、取得可能な周辺の情報を取得するための処理と、「GPSデータ」の受信及び計算の処理の、2つの処理を同時に行う場合に、各処理を実行するタイミングの制御を独立して制御するか、一方に同期して他方を実行するかしかなく、いずれを採用するかは当業者が適宜選択し得ることであるから、引用発明において、「撮像部により画像情報を取り込む」、すなわち、取得可能な周辺の情報を取得するたびに、「GPSデータを受信し、携帯電話装置の位置情報を受信したGPSデータから計算し」とすること、言い換えると、取得可能な周辺の情報を取得するたびに、「自機器の位置情報を取得し」とすることは、当業者が適宜なし得たことである。
(相違点3)について検討する。
引用発明の「メインペアの相手先に送信する」に関し、引用例1には、「続くS150ステップでは、制御回路36は、RAM40に格納されているメインペアの宛先に、前記S140ステップで受信(或いは計算された)位置情報と作成した画像情報を自動的に添付して送信する。」(段落【0055】)と記載されており、「メール」に添付して送られる場合、「メール」に添付された情報は、一旦、サーバ(特定機器)にアップロードされることが普通である。よって、(相違点3)は、実質的なものでない。
(相違点4)について検討する。
引用発明の「緊急を報知する疑似電源オフ状態」において、このような「状態」を「モード」と称することは任意であるから、引用発明の「緊急を報知する疑似電源オフ状態」を、「緊急報知モード」とすることは、当業者が適宜なし得たことである。
そして、引用発明に基づいて周知技術を参酌することにより、所定の時間間隔で通信範囲内にある通信端末の探索を実行するたびに位置情報を取得することでユーザの足取りを追うことができることは明らかである。よって、緊急事態が生じた際の児童の足跡の検討をつける(本願明細書段落【0065】)という本願発明の作用効果も、引用発明に基づいて周知技術を参酌することにより当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて周知技術を参酌することに
より当業者が容易に発明し得たものである。
5.むすび
本願発明は、引用発明に基づいて周知技術を参酌することにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2015-021359