特許拒絶査定不服審判
2015-020919
通信システム
- 審判番号
- 2015-020919
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-256463外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年11月25日
- 審決日
- 2017年01月11日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 ディー・エヌ・エー
- 【請求人代理人】特許業務法人YKI国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-256463「通信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月30日出願公開,特開2016-119512〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本願は,平成26年12月18日の出願であって,
平成27年3月31日付けで審査請求がなされ,平成27年6月4日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して平成27年8月5日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,平成27年8月20日付けで審査官により拒絶査定がなされ(謄本送達:平成27年8月25日),これに対して平成27年11月25日付けで審判請求がなされ,平成28年9月8日付けで当審により拒絶理由が通知され,これに対して平成28年10月28日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたものである。
第2.本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,平成28年10月28日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された,次のとおりのものである。
「複数の情報端末間においてデータを複数のパケットに分割して送受信する通信システムであって,
前記複数の情報端末間において送受信されるパケットのパケットサイズを共有する第1のステップと,
前記複数の情報端末の一方において,送信対象となる情報を前記パケットサイズのパケットとして生成する第2のステップと,
前記第2のステップで生成されたパケットを前記一方の情報端末から他方の情報端末へ送信する第3のステップと,
前記他方の情報端末においてパケットを受信した際に,前記パケットサイズと異なるパケットであった場合に当該パケットは改竄されたものであると判定する第4のステップと,
を行うことを特徴とする通信システム。」
第3.引用刊行物に記載の事項
1.当審による平成28年9月8日付けの拒絶理由(以下,これを「当審拒絶理由」という」)に引用された,本願の出願前に既に公知である,特開2013-250978号公報(平成25年12月12日公開,以下,これを「引用刊行物1」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている
A.「【0027】
ユーザがオンラインゲームをプレーする場合,ゲームクライアント130は,ネットワーク120によってゲームサーバ110とゲームパケット140を送受信してもよい。具体的に,ゲームパケット140の送受信によってオンラインゲームに必要な情報をゲームクライアント130とゲームサーバ110が交換してもよく,これによってオンラインゲームを行うことができる。ゲームクライアント130とゲームサーバ110が送受信するゲームパケット140の構造はオンラインゲームごとに互いに異なってもよいが,一般的にゲームパケット140は,プロトコルIDフィールド141,パケットサイズフィールド142及び少なくとも1つのプロトコルフィールド143~145を含んでもよい。ここで,プロトコルIDフィールド141は,当該パケットがいずれの情報を含むかを示すプロトコルID情報を含んでもよい。例えば,プロトコルIDフィールド141を分析すれば,当該パケットがmoveパケットであるか,attackパケットであるか,またはloginパケットであるかを把握する。そして,パケットサイズ142は各ゲームパケットのサイズに関する情報を含んでもよく,少なくとも1つのプロトコルフィールド143~145は,ゲームパケットが送信しようとする具体的な情報(例えば,ゲームクライアントのキャラクター状態情報)を含んでもよい。」
B.「図2を参照すると,一実施形態に係る不正ユーザを検出するためのオンラインゲームパケット生成方法(以下,オンラインゲームパケット生成方法)は,プロトコルID情報,パケットサイズ情報,及びゲームクライアントのキャラクター状態情報を含むオンラインゲームパケットの生成情報を取得する(S210)。ここで,プロトコルID情報は,当該パケットがどのような種類のパケットであるかを示す情報である。そして,パケットサイズ情報は,ゲームサーバとゲームクライアントが送受信するパケットの大きさに関する情報を含んでもよい。」(段落【0030】より引用)
C.「【0035】
オンラインゲームパケットが第1タイプである場合,オンラインゲームパケットの生成情報は,プロトコルID情報,パケットサイズ情報及びゲームクライアントのキャラクター状態情報を含んでもよい。そして,オンラインゲームパケット生成方法は,予め決定されたプロトコルインデックステーブルを取得してもよい。ここで,プロトコルインデックステーブルは,少なくとも1つのプロトコルインデックス番号及び少なくとも1つのプロトコルインデックス番号それぞれに対応するプロトコルフィールド構造に関する情報を含んでもよい。そして,ゲームサーバ及びゲームクライアントは,プロトコルインデックステーブルを予め取得してもよい。したがって,ゲームサーバ及びゲームクライアントは,オンラインゲームパケットを受信した場合にプロトコルインデックステーブルを用いてオンラインゲームパケットを解釈する。そして,実施形態に係るプロトコルインデックステーブルは,セキュリティのために予め決定された規則によって生成または変更されてもよく,この場合,ゲームサーバ及びゲームクライアントは同じ内容のプロトコルインデックステーブルを取得してもよい。
【0036】
そして,オンラインゲームパケット生成方法は,プロトコルインデックステーブルに基づいてキャラクター状態情報を用いてプロトコルインデックスフィールド及び少なくとも1つのプロトコルフィールドのデータ値を生成する。具体的に,オンラインゲームパケット生成方法は,生成情報を用いてプロトコルIDフィールド及びパケットサイズフィールドのデータ値を生成してもよい。そして,予め決定されたプロトコルインデックステーブルに基づいてゲームクライアントのキャラクター状態情報に対応するプロトコルインデックス番号及びプロトコルフィールド構造に関する情報を抽出してもよい。・・・・(以下省略)・・・」
D.「実施形態に係るオンラインゲームパケットの場合,プロトコルIDが同じ場合でも様々なパケット構造を有し得るため,不正ユーザはパケット構造を分析することができない。したがって,オンラインゲームパケット生成方法は,実施形態に係るオンラインゲームパケットを用いて不正ユーザの不正行為を防止することができ,オンラインゲームパケットが変形された不正ユーザを検出することができる。」(段落【0038】より引用)
E.「オンラインゲームパケットを受信したゲームサーバまたはゲームクライアントは,予め決定されたプロトコルインデックステーブル320を用いてオンラインゲームパケットを解釈する。」(段落【0048】より引用)
2.当審拒絶理由に引用された,本願の出願前に既に公知である,特開2006-338145号公報(平成18年12月14日公開,以下,これを「引用刊行物2」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
F.「【0039】
正当性判定部206は,クエリ送信処理部205で各サーバ100に送信したクエリに対する応答を受信して当該応答の正当性を判定する。この正当性判定は,一台以上のサーバ100間でのクエリ処理の正当性を判定するものである。具体的には,サーバ100が3台以上ある場合には多数決で決める方法や,受信した応答を所定のルールに基づいて判断する方法がある。例えば,クライアント500からの「参照」要求に対して「更新成功」という応答が返ってきた場合,正常であればそのような応答はあり得ないので(参照成功など参照に関する応答のはず),この応答は正しくないと判断する。また,当該応答に係るパケット中にデータ長フィールドがある場合,このデータ長フィールドの値と実際に受信したパケット長を比較し,異なる場合は正しくないと判断する。また,複数のサーバ100の中からMasterサーバを予め1台決めておき,このサーバ100からの応答を常に正しいと判断する。また,上記複数の方法を併用する方法もある。例えば,3台で多数決を行った結果,応答の中身が全てバラバラであり,多数派の応答を決められない場合はMasterサーバの応答を正しいと判断する。正常稼働しているサーバ100が1つだけの場合は,そのサーバ100からの応答を正常と判断する。なお,正常稼働しているサーバ100の台数はサーバ管理表201を参照することにより認識できる。正当性判定部206は,正当性判定の結果,正当でない応答を返したサーバ100を検出すると,サーバ管理表201及び送信キュー203から当該サーバ100についてのエントリを削除する。これにより,当該サーバ100にはクエリが送信されなくなるので,該サーバ100はシステムから切り離されたことになる。」
第4.引用刊行物に記載の発明
1.上記Aの「ユーザがオンラインゲームをプレーする場合,ゲームクライアント130は,ネットワーク120によってゲームサーバ110とゲームパケット140を送受信してもよい」という記載から,引用刊行物1には,
“ゲームクライアントと,ゲームサーバとの間で,ゲームパケットを送受信する,オンラインゲームシステム”が記載されていることが読み取れる。
2.上記Aの「ゲームクライアント130とゲームサーバ110が送受信するゲームパケット140の構造はオンラインゲームごとに互いに異なってもよいが,一般的にゲームパケット140は,プロトコルIDフィールド141,パケットサイズフィールド142及び少なくとも1つのプロトコルフィールド143~145を含んでもよい」という記載,同じく,上記Aの「パケットサイズ142は各ゲームパケットのサイズに関する情報を含んでもよく」という記載から,引用刊行物1においては,
“ゲームパケットのパケットサイズフィールドに,ゲームパケットのサイズに関する情報が含まれる”ものであることが読み取れる。
3.上記Bの「オンラインゲームパケット生成方法(以下,オンラインゲームパケット生成方法)は,プロトコルID情報,パケットサイズ情報,及びゲームクライアントのキャラクター状態情報を含むオンラインゲームパケットの生成情報を取得する」という記載,同じく,上記Bの「パケットサイズ情報は,ゲームサーバとゲームクライアントが送受信するパケットの大きさに関する情報を含んでもよい」という記載,上記Cの「オンラインゲームパケットの生成情報は,プロトコルID情報,パケットサイズ情報及びゲームクライアントのキャラクター状態情報を含んでもよい」という記載,及び,同じく,上記Cの「生成情報を用いてプロトコルIDフィールド及びパケットサイズフィールドのデータ値を生成してもよい」という記載から,引用刊行物1においては,
“生成情報にゲームパケットの大きさに関する情報及びゲームクライアントのキャラクター状態情報が含まれ,前記生成情報を用いて,プロトコルIDフィールド及びパケットサイズフィールドの情報が生成される”ものであることが読み取れる。
4.上記Cの「ゲームサーバ及びゲームクライアントは,プロトコルインデックステーブルを予め取得してもよい」という記載,及び,同じく,上記Cの「ゲームサーバ及びゲームクライアントは同じ内容のプロトコルインデックステーブルを取得してもよい」という記載から,引用刊行物1においては,
“ゲームサーバ及びゲームクライアントは,同じ内容のプロトコルインデックステーブルを予め取得する”ことが読み取れる。
5.上記Cの「予め決定されたプロトコルインデックステーブルに基づいてゲームクライアントのキャラクター状態情報に対応するプロトコルインデックス番号及びプロトコルフィールド構造に関する情報を抽出してもよい」という記載,及び,上記Eの「オンラインゲームパケットを受信したゲームサーバまたはゲームクライアントは,予め決定されたプロトコルインデックステーブル320を用いてオンラインゲームパケットを解釈する」という記載から,引用刊行物1においては,
“ゲームパケットを受信したゲームサーバまたはゲームクライアントは,予め決定されたプロトコルインデックステーブルに基づいてゲームクライアントのキャラクター状態情報に対応するプロトコルインデックス番号及びプロトコルフィールド構造に関する情報を抽出して,ゲームパケットを解釈する”ものであることが読み取れる。
6.上記Dの「オンラインゲームパケット生成方法は,実施形態に係るオンラインゲームパケットを用いて不正ユーザの不正行為を防止することができ,オンラインゲームパケットが変形された不正ユーザを検出することができる」という記載と,上記5.において検討した事項から,引用刊行物1においては,
“ゲームパケットを受信したゲームサーバまたはゲームクライアントは,予め決定されたプロトコルインデックステーブルに基づいてゲームクライアントのキャラクター状態情報に対応するプロトコルインデックス番号及びプロトコルフィールド構造に関する情報を抽出して,ゲームパケットを解釈することで,ゲームパケットが変形された不正ユーザを検出することができる”ことが読み取れる。
7.以上,1.~6.において検討した事項から,引用刊行物1には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。
“ゲームクライアントと,ゲームサーバとの間で,ゲームパケットを送受信する,オンラインゲームシステムであって,
前記ゲームパケットのパケットサイズフィールドに,前記ゲームパケットのサイズに関する情報が含まれ,
生成情報に前記ゲームパケットの大きさに関する情報及び前記ゲームクライアントのキャラクター状態情報が含まれ,前記生成情報を用いて,プロトコルIDフィールド及びパケットサイズフィールドの情報が生成され”
前記ゲームサーバ及び前記ゲームクライアントは,同じ内容のプロトコルインデックステーブルを予め取得し,”
前記ゲームパケットを受信した前記ゲームサーバまたは前記ゲームクライアントは,予め決定された前記プロトコルインデックステーブルに基づいて前記ゲームクライアントのキャラクター状態情報に対応するプロトコルインデックス番号及びプロトコルフィールド構造に関する情報を抽出して,前記ゲームパケットを解釈することで,前記ゲームパケットが変形された不正ユーザを検出することができる,ゲームシステム。”
第5.本願発明と引用発明との対比
1.引用発明における「ゲームクライアント」と「ゲームサーバ」とは,「オンライン」で,「ゲームパケット」を送受信しているのであるから,本願発明の「複数の情報端末」に相当し,引用発明における「オンラインゲームシステム」が,本願発明における「通信システム」に相当する。
2.引用発明においても,「ゲームクライアント」と「ゲームサーバ」との間で送受信される「データ」は,「パケット」として送受信されていることは明らかであるから,
上記1.において検討した事項と併せると,
引用発明における「ゲームクライアントと,ゲームサーバとの間で,ゲームパケットを送受信する,オンラインゲームシステム」と,
本願発明における「複数の情報端末間においてデータを複数のパケットに分割して送受信する通信システム」とは,
“複数の情報端末間においてデータをパケットにして送受信する通信システム”
である点で共通する。
3.引用発明において,「ゲームサーバ及び前記ゲームクライアントは,同じ内容のプロトコルインデックステーブルを予め取得」することは,「ゲームサーバ」と,「ゲームクライアント」との間で,送受信する「パケット」を「解釈する」ために必要な情報を共有することに他ならないので,
本願発明における「前記複数の情報端末間において送受信されるパケットのパケットサイズを共有する第1のステップ」と,
“複数の情報端末間において送受信されるパケットに関する情報を共有する第1のステップ”である点で共通する。
4.引用発明において,「生成情報を用いて,プロトコルIDフィールド及びパケットサイズフィールドの情報が生成され」ることは,「ゲームパケット」を生成する工程の一部であることは明らかであり,「パケットサイズフィールドの情報」とは,「ゲームパケットの大きさ」に他ならないから,引用発明においても,「ゲームパケットの大きさ」に示されたサイズのパケットが生成されることは明らかである。
従って,上記において検討した,引用発明において,“ゲームパケットの大きさに示されたサイズのパケットを生成すること”と,
本願発明における「複数の情報端末の一方において,送信対象となる情報を前記パケットサイズのパケットとして生成する第2のステップ」とは,
“複数の情報端末の一方において,送信対象となる情報を予め定められたパケットサイズのパケットとして生成する第2のステップ”である点で共通する。
5.引用発明においては,上記4.において検討した「パケット」を,「ゲームパケットを受信した前記ゲームサーバまたは前記ゲームクライアント」,即ち,“ゲームサーバまたは前記ゲームクライアント”の何れかで「受信」するのであるから,該「パケット」を,該「パケット」を生成した側から送信していることは明らかである。
よって,引用発明における当該“送信する”ことが,
本願発明における「第2のステップで生成されたパケットを前記一方の情報端末から他方の情報端末へ送信する第3のステップ」に相当する。
6.引用発明において,「予め決定された前記プロトコルインデックステーブルに基づいて前記ゲームクライアントのキャラクター状態情報に対応するプロトコルインデックス番号及びプロトコルフィールド構造に関する情報を抽出して,前記ゲームパケットを解釈することで,前記ゲームパケットが変形された不正ユーザを検出する」ことは,
“ゲームクライアントと,ゲームサーバの間で,予め共有したプロトコルインデックステーブルに基づいて,受信したパケットに含まれる情報が,前記テーブルの情報と一致しない場合に,受信したパケットが変形されていることを検出する”ものであるから,
本願発明における「他方の情報端末においてパケットを受信した際に,前記パケットサイズと異なるパケットであった場合に当該パケットは改竄されたものであると判定する第4のステップ」とは,
“他方の情報端末においてパケットを受信した際に,前記パケットに含まれる情報が,予め共有した情報と異なるパケットであった場合に当該パケットは改竄されたものであると判断する第4のステップ”である点で共通する。
7.以上1.~6.において検討した事項から,本願発明と,引用発明との一致点,及び,相違点は,次のとおりである。
[一致点]
複数の情報端末間においてデータをパケットにして送受信する通信システムであって,
前記複数の情報端末間において送受信されるパケットに関する情報を共有する第1のステップと,
複数の情報端末の一方において,送信対象となる情報を予め定められたパケットサイズのパケットとして生成する第2のステップと,
第2のステップで生成されたパケットを前記一方の情報端末から他方の情報端末へ送信する第3のステップと,
前記他方の情報端末においてパケットを受信した際に,前記パケットに含まれる情報が,予め共有した情報と異なるパケットであった場合に当該パケットは改竄されたものであると判断する第4のステップと,
を行うことを特徴とする通信システム。
[相違点1]
“データをパケットにして送受信する”に関して,
本願発明においては,「データを複数のパケットに分割して送受信する」のに対して,
引用発明においては,「ゲームクライアント」と,「ゲームサーバ」との間で送受信されるデータを,「複数のパケットに分割」するかについて,特に言及されていない点。
[相違点2]
“パケットに関する情報を共有する”に関して,
本願発明においては,共有する情報は,「パケットサイズ」であるのに対して,
引用発明においては,「プロトコルインデックステーブル」であって,「パケットサイズ」を共有するかについて,明確には示されていない点。
[相違点3]
“予め定められたパケットサイズ”に関して,
本願発明においては,“複数の情報端末間において,共有されたパケットサイズ”であるのに対して,
引用発明においては,“共有されたパケットサイズ”であるか不明である点。
[相違点4]
“パケットに含まれる情報”に関して,
本願発明においては,「パケットサイズ」であるのに対して,
引用発明においては,「キャラクター状態情報に対応するプロトコルインデックス番号及びプロトコルフィールド構造に関する情報」であって,「パケットサイズ」を用いる点について,特に言及されていない点。
第6.相違点についての当審の判断
1.[相違点1]について
複数の情報端末間において,送信すべきデータを,所定のサイズのパケットに分割して送信することは,引例を示すまでもなく,当業者には,本願の出願前に周知の技術事項である。引用発明においても,パケットを用いている以上,送信すべきデータのサイズに応じて,複数のパケットの分割して送信するよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項に過ぎない。
よって,[相違点1]は,格別のものではない。
2.[相違点2]~[相違点4]について
送信したパケットのサイズが,該パケットのサイズを示す情報と一致しない場合に,該パケットが正しくないと判断するようなことは,上記Fに引用した,引用刊行物2の記載内容にもあるとおり,当業者には周知の技術事項である。
引用発明においても,「ゲームクライアント」と,「ゲームサーバ」との間で,「同じ内容のプロトコルインデックステーブル」を共有し,当該情報を,送受信する「パケット」の改竄を判定するために用いており,また,「パケット」の「サイズ」に関する情報も生成していることから,引用発明において,共有する情報として,“パケットサイズ情報”を加え,該“サイズ情報”を用いて,「パケット」の改竄を判断するよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点2]~[相違点4]は,格別のものではない。
3.上記1.,及び,2.において検討したとおりであるから,上記で検討したごとく,[相違点1]~[相違点4]はいずれも格別のものではなく,そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば容易に予測できる程度のものであって,格別なものとは認められない。
なお,審判請求人は,平成28年10月28日付けの意見書(以下,これを「意見書」という)において,
「引用刊行物1では,プロトコルインデックスフィールドの他に各パケットのサイズを示す情報が各パケットに添付されている(引用刊行物の図3,図5等参照)。すなわち,引用刊行物1では,サーバとクライアントとの間でパケットサイズを共有するような構成とされておらず,パケットサイズはパケット毎に載せられて通信されることが前提されている。言い換えると,引用刊行物1では,サーバとクライアントとの間でパケットサイズを共有するような構成はまったく想定されていなかったことを示している。
さらには,引用刊行物1に係る技術では,パケット毎にパケットサイズを示す情報が含まれており,サーバとクライアントとの間でパケットサイズを共有する構成を排除するようなパケットの構成が採用されている。
また,引用刊行物2では,データ長の情報をパケットに含めて送信し,そのデータ長とパケット長とを比較して改竄を検出する技術が開示されている,しかしながら,当該刊行物においても,サーバとクライアントとの間でパケットサイズを共有しておくような構成は示唆されていない。
すなわち,引用刊行物1では,パケットサイズを共有し,それによってパケットの改竄を検出しようという技術的思想はなく,パケットサイズを含むパケットの構成を採用している点からもそのような技術的思想は積極的に排除されている。さらに,引用刊行物2及び3にも,パケットサイズを共有するという技術的思想は示唆されていない。
そうすると,本願請求項1に係る発明及びそれらのいずれかに従属する発明は,引用刊行物1及び2に基づいていわゆる当業者が想到できたものではなく,これらの発明はいずれも特許法第29条第2項の規定に該当するものではない。」
旨主張しているが,引用発明において,「ゲームサーバ」と,「ゲームクライアント」間で,改竄の検出するために共有する情報として,パケットのサイズを用いることの容易性については,上記において検討したとおりであり,引用発明において,「パケットサイズを含むパケットを採用」しているのは,通常のパケットのプロトコルに準拠したためであり,改竄を検出するための情報として,パケットのサイズを排除する目的ではないことは明らかである。
以上において指摘したとおりであるから,意見書における審判請求人の主張は採用できない。
第7.むすび
したがって,本願発明は,本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2015-020919