審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2015-020102

パッシブ発振防止用のIII族窒化物トランジスタ

審判番号
2015-020102
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-061228外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2015年11月09日
審決日
2017年03月22日
公報発行日
2017年09月29日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012- 61228「パッシブ発振防止用のIII族窒化物トランジスタ」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月18日出願公開、特開2012-199549〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1 手続の経緯 本願は,平成24年(2012年)3月16日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2011年3月21日,米国及び2012年3月14日,米国)の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。 平成24年 5月16日 審査請求・手続補正 平成25年11月19日 拒絶理由通知 平成26年 5月26日 意見書・手続補正 平成26年 9月30日 拒絶理由通知(最後) 平成27年 4月 7日 意見書・手続補正 平成27年 6月30日 補正却下・拒絶査定 平成27年11月 9日 審判請求・手続補正 平成28年 4月 6日 上申書 平成28年 9月29日 拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由」という。) 平成29年 2月 2日 意見書・手続補正 2 本願発明について (1)本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成29年2月2日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された,次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 パッシブ発振制御を含むIII族窒化物トランジスタであって, ソース電極,ゲート電極およびドレイン電極と, 前記パッシブ発振制御を前記III族窒化物トランジスタに提供するように構成したダンピング抵抗器とを備え, 前記ダンピング抵抗器が少なくとも一つの分布抵抗器に直列する少なくとも一つの集中抵抗器を含み, 前記III族窒化物トランジスタのゲートは前記ダンピング抵抗器を介してのみ駆動するよう構成され, 前記ダンピング抵抗器は5Ω以下の抵抗値を有することを特徴とするIII族窒化物トランジスタ。」 (2)引用文献1の記載 ア 引用文献1 当審拒絶理由で引用された特開平09-153499号公報(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに次の記載がある。(下線は当審において付加した。以下同じ。) (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は,半導体装置に関し,特に高出力電界効果トランジスタに係る半導体装置に関する。」 (イ)「【0008】 【発明が解決しようとする課題】前記従来の高出力電界効果トランジスタでは,周波数:40~70GHzの範囲に,ゲ-トバスバ-9やゲ-ト電極パツド7を介した正帰還の寄生発振が発生し,不安定動作を引き起こし,増幅素子としての機能を低下させるという問題があった。 【0009】本発明は,上記問題点に鑑み成されたものであって,その目的とするところは,寄生発振が生じない高出力電界効果トランジスタ,具体的には,実効的ゲ-ト抵抗(Rg)を増大させ,最大発振周波数(最大有能電力利得=0)を周波数40GHz未満に低下減少させ,この効果によりゲ-トバスバ-やゲ-ト電極パッドを介した“正帰還による寄生発振”を抑制する高出力電界効果トランジスタに係る半導体装置を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は,n型導電層を有する半導体基板上に前記n型導電層に対する2種類のオ-ム性電極が交互に複数個あり,前記2種類のオ-ム性電極間に前記n型導電層に対するショットキ-接合をなす制御電極があり,前記2種類のオ-ム性電極と制御電極へ外部電力を供給する3種類の電極パッドがあり,前記3種類の電極と3種類の電極パッドを金属配線で結合した構成を持つ高出力電界効果トランジスタにおいて,(1) 前記制御電極,電極パッド間を構成する配線材料のシ-ト抵抗が0.15Ω/□以下であり,前記配線の幅が9μm以下である構成とすること,(2) 前記制御電極,電極パッド間を構成する配線材料のシ-ト抵抗が0.15Ω/□以下であり,かつ該配線を電界効果トランジスタを構成する基本電界効果トランジスタの半数以上の基本電界効果に対し基本電界効果トランジスタ当たり1箇所切断した構造を有すること,(3) 前記3種類の電極パッドの中で前記制御電極に電力を供給する電極パッド数を他の2種類の電極パッド数より少なくした構成とすること,(4) 前記(1)~(3)を組み合せた構成とすること,を特徴とし,上記(1),(2),(3)又は(4)により,従来の高出力電界効果トランジスタの前記した問題点を解決したものであり,前記目的とする寄生発振が生じない高出力電界効果トランジスタを提供するものである。」 (ウ)「【0016】 【実施例】次に,本発明に係る高出力電界効果トランジスタの実施例を挙げ,本発明を詳細に説明するが,本発明は,以下の実施例により限定されるものではない。 【0017】(実施例1)図1は,本発明の第1の実施例(実施例1)を示す高出力電界効果型トランジスタの平面図である。図1において,1はn型ガリウム砒素導電層,2は前記n型ガリウム砒素導電層1に対しオ-ム性接続をなすドレイン電極,3は同じくオ-ム性接続をなすソ-ス電極,4は前記n型ガリウム砒素導電層1に対しショットキ-接合をなすゲ-トフインガ-,5は前記ドレイン電極2に外部電力を供給するドレイン電極パッド,6は前記ソ-ス電極3に外部電力を供給するソ-ス電極パッド,7は前記ゲ-トフインガ-4に外部電力を供給するゲ-ト電極パッド,8は前記ソ-ス電極3とソ-ス電極パッド6を配線するソ-スバスバ-,9は前記ゲ-トフインガ-4とゲ-ト電極パッド7を配線するゲ-トバスバ-である。また,Aは,ゲ-トバスバ-9の幅を示す。 【0018】本実施例1が従来例と異なる点は,周波数が40GHz以上の範囲に発生するゲ-トバスバ-を介した正帰還による寄生発振を抑制し,かつ高出力電界効果トランジスタの使用帯域である500MHzから25GHzにおいて,電界効果型トランジスタの基本性能指数である電力利得の低下のないようにした点にあり,そして,ゲ-トバスバ-9を,従来と同様,シ-ト抵抗0.15Ω/□以下の金属で形成するが,ゲ-トバスバ-9の幅Aを9μm以下で構成したものである。 【0019】このようにゲ-トバスバ-9の幅Aを細くすることで,ゲ-トフィンガ-4に対する直列抵抗の増加が起き,回路的にはゲ-ト抵抗(Rg)が増加することと等価となる。このゲ-ト抵抗(Rg)の増加は,Rgの関数である最大発振周波数(fmax)の減少を引き起こす。」 (エ)図1には,ゲートフィンガー4は,ゲートバスバー9の幅Aが細くなった部分を介してゲート電極パッド7に接続されること,が記載されている。 イ 引用発明1 前記アより,引用文献1には次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「実効的ゲート抵抗を増大させて寄生発振を抑制する高出力電界効果トランジスタにおいて,ドレイン電極,ソース電極,ガリウム砒素導電層に対しショットキー接合をなすゲートフィンガー,及び前記ゲートフィンガーとゲート電極パッドを配線するゲートバスバーを有し,ゲートバスバーの幅を細くすることでゲート抵抗が増加する高出力電界効果トランジスタ。」 (3)引用文献2の記載 ア 引用文献2 当審拒絶理由で引用された特開2006-351691号公報(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに次の記載がある。 (ア)「【技術分野】 【0001】 この発明は,半導体装置に関し,特に耐圧維持部分がシリコン(Si)よりもバンドギャップの広い半導体材料(以下,ワイドバンドギャップ半導体とする)で構成されたパワー半導体装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より,高周波デバイス用半導体素子では,半導体材料として窒化ガリウム(GaN)系化合物半導体が用いられている。例えば,シリコンからなるp型導電性基板上に順に,高抵抗の窒化アルミニウムガリウム(AlxGa1-xN,0<x≦1)からなるバッファ層,アンドープの窒化ガリウムからなるキャリア走行層,およびn型の窒化アルミニウムガリウム(AlyGa1-yN,0<y≦1)からなる表面障壁層(キャリア供給層)が積層され,表面障壁層の上にショットキー性を有するゲート電極が選択的に形成された構成のヘテロ接合電界効果トランジスタ(以下,HFETとする)が公知である(例えば,特許文献1参照。)。 【0003】 近時,パワー半導体装置の分野でも,窒化ガリウム系化合物半導体等のワイドバンドギャップ半導体を用いる試みがなされている。例えば,特許文献1に開示された半導体素子は,前記表面障壁層の上にソース電極とドレイン電極が選択的に形成されており,そのいずれか一方の電極が,バッファ層とキャリア走行層と表面障壁層を貫通する孔に充填されることにより,前記導電性基板と電気的に接続した構成となっている。」 (イ)「【0019】 実施の形態1. 図1は,本発明の実施の形態1にかかる半導体装置の構成を示す断面図である。図1に示すように,p型の単結晶シリコン基板1の一部の上に順に,バッファ層となる高抵抗の窒化アルミニウムガリウム(AlxGa1-xN,0<x≦1)層2,キャリア走行層となるアンドープまたはn型の窒化ガリウム(GaN)層3,および表面障壁層(キャリア供給層)となるn型の窒化アルミニウムガリウム(AlyGa1-yN,0<y≦1)層4が積層されている。 【0020】 シリコン基板1は,第1の半導体層に相当する。第1の半導体層は,単結晶シリコンではなく,炭化ケイ素でできていてもよい。シリコン基板1上に積層されたAlxGa1-xN2,GaN層3およびAlyGa1-yN層4は,第2の半導体層を構成する。この第2の半導体層には,ゲート電極によって電流制御が可能なHFET100が形成されている。 【0021】 HFET100のドレイン電極5とゲート電極6は,AlyGa1-yN層4の表面に選択的に形成されている。ドレイン電極5は,AlyGa1-yN層4にオーミック接触している。また,ゲート電極6は,AlyGa1-yN層4にオーミック接合している。」 イ 引用発明2 前記アより,引用文献2には次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「窒化ガリウム系化合物半導体を用いた電界効果トランジスタ。」 (4)引用文献3の記載 ア 引用文献3 当審拒絶理由で引用された特開2010-278280号公報(以下,「引用文献3」という。)には,図面とともに次の記載がある。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は,高周波半導体装置に関し,特に,GaAs,GaNなど高周波動作に適した半導体材料を用いた高周波半導体装置において,任意の動作周波数に対して,ループ発振を抑制する高周波半導体装置を提供することにある。 【背景技術】 【0002】 高利得の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)では,高周波動作の際にループ発振や分周発振が生じる可能性がある。FETのループ発振や分周発振の存在は,FETの通常動作にとって致命的な悪影響を与える。このため,整合回路の調整により,FETのループ発振を抑制することは,一般的に行われている。 【0003】 一般に,ループ発振周波数が高くなるにつれて,このループは小さくなるため,高周波半導体装置を構成するFETセル間のループで発振が起こる。このループ発振を抑制するためには,高周波半導体装置をFETセル単位で電気的に分割する手法が有効である。 【0004】 さらに,高周波動作時においては,FETセル間に生じる位相差が発振の原因となる。この位相差に基づく発振は,分割したFETセル間に適切な抵抗体を挿入することでFETセル間に生じる電位差を無くし,抑制することができる。 【0005】 従来の高周波半導体装置125は,例えば,図23に示すように,基板100上に形成され,基板100の第1表面に配置されたゲート端子電極G1~G4,ソース端子電極S1~S5およびドレイン端子電極D1~D4とを備える。FETセル400間に生じる位相差に基づく発振を抑制するため,隣接するゲート端子電極G1とG2,G2とG3およびG3とG4間には,抵抗体300を挿入している。」 (イ)「【発明の効果】 【0017】 本発明によれば,任意の動作周波数に対して,最適な抵抗値を有する抵抗体をゲート端子電極間,および/若しくはドレイン端子電極間に,パターンサイズの変更なしに,選択配置可能であり,ループ発振,分周発振を抑制する高周波半導体装置を提供することができる。」 (ウ)「【0032】 (抵抗体の構成) (構成例1) 図1のI-I線に沿う模式的断面構成として,抵抗体30の構成例1は,図3に示すように,基板10上に直接配置された金属薄膜層36と,金属薄膜層36の両端に配置されたゲート端子電極G1およびG2を備える。基板10上に直接配置された金属薄膜層36の厚さとパターンサイズを調整することによって,所定の抵抗RGをゲート端子電極G1およびG2間に形成することができる。金属薄膜層36は,例えば,Al,Au,Pt, Ti,Mo,W,或いはこれらの多層膜によって形成することができる。基板10は,例えば半絶縁性のGaAs基板で形成することができる。ゲート端子電極G1およびG2は,例えばAlで形成することができる。 【0033】 尚,図3においては,ゲート端子電極G1とG2間に配置される抵抗体30の構造について説明したが,ゲート端子電極G2とG3間に配置される抵抗体30,ゲート端子電極G3とG4間に配置される抵抗体30などについても図3と同様に形成することができる。 【0034】 (構成例2) 図1のI-I線に沿う模式的断面構成として,抵抗体30の構成例2は,図4に示すように,基板10に対してイオン注入などによって形成された拡散層32と,拡散層32上に配置された絶縁層34と,絶縁層34をパターニングして拡散層32の両端部に配置されたゲート端子電極G1およびG2を備える。基板10に形成される拡散層32の深さとパターンサイズを調整することによって,所定の抵抗RGをゲート端子電極G1およびG2間に形成することができる。拡散層32は,例えば,B,Alなどのイオン注入によって形成することができる。基板10は,例えば半絶縁性のGaAs基板で形成することができる。ゲート端子電極G1およびG2は,例えばAlで形成することができる。絶縁層34は,例えば,化学的気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法によって形成した酸化膜,窒化膜などで形成することができる。 【0035】 尚,抵抗体30の形成時,アイソレーション領域を形成するための領域にのみ拡散層を形成し,抵抗体30の形成部分には,拡散層32を形成しないで,基板10のパターンニングのみ実施しても良い。 【0036】 尚,図4においては,ゲート端子電極G1とG2間に配置される抵抗体30の構造について説明したが,ゲート端子電極G2とG3間に配置される抵抗体30,ゲート端子電極G3とG4間に配置される抵抗体30などについても同様に形成することができる。 ・・・ 【0040】 具体的な材料としては,GaAs系HEMTの場合には,基板10はGaAs基板で形成され,エピタキシャル成長層12は,GaAs層で形成され,電子供給層18は,例えば,アルミニウムガリウム砒素層(AlyGa1-yAs)(0.1≦y≦1)で形成される。GaN系HEMTの場合には,基板10はGaN基板若しくは,SiC基板などで形成され,エピタキシャル成長層12は,GaN層で形成され,電子供給層18は,例えば,アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)で形成される。」 イ 引用発明3 前記アより,引用文献3には次の発明(以下,「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。 「発振を抑制するための抵抗体として,基板上に直接配置された金属薄膜層の厚さとパターンサイズを調整することによって,所定の抵抗RGを形成する抵抗体。」 (5)本願発明と引用発明1との対比 ア 引用発明1の「実効的ゲート抵抗を増大させて寄生発振を抑制する高出力電界効果トランジスタ」は,下記相違点1を除いて,本願発明の「パッシブ発振制御を含むトランジスタ」に相当すると認められる。 イ 引用発明1の「ソース電極」,「ゲートフィンガー」及び「ドレイン電極」は,それぞれ本願発明の「ソース電極」,「ゲート電極」及び「ドレイン電極」に相当すると認められる。 ウ 引用発明1の「ゲートバスバーの幅を細くすることでゲート抵抗が増加すること」は,引用発明1において「実効的ゲート抵抗を増大させて寄生発振を抑制する」から,下記相違点1を除いて,本願発明の「前記パッシブ発振制御を前記トランジスタに提供するように構成したダンピング抵抗器」に相当すると認められる。 エ 引用発明1においては,ゲートフィンガーは,ゲートバスバーの幅が細くなった部分を介してゲート電極パッドに接続されること(前記(2)ア(エ))から,本願発明の「前記トランジスタのゲートは前記ダンピング抵抗器を介してのみ駆動するよう構成されること」を満たす。 オ すると,本願発明と引用発明1とは,下記カの点で一致し,下記キの点で相違すると認められる。 カ 一致点 「パッシブ発振制御を含むトランジスタであって, ソース電極,ゲート電極およびドレイン電極と, 前記パッシブ発振制御を前記トランジスタに提供するように構成したダンピング抵抗器とを備え, 前記トランジスタのゲートは前記ダンピング抵抗器を介してのみ駆動するよう構成されること, を特徴とするトランジスタ。」 キ 相違点 (ア)相違点1 本願発明の「トランジスタ」は「III族窒化物トランジスタ」であるのに対し,引用発明1の「トランジスタ」はそうではない点。 (イ)相違点2 本願明細書の段落【0018】には,「分布抵抗器372は素子配置の生成物でもよい。」ことが記載されているので,本願発明の「分布抵抗器」には素子配置の生成物に付随する抵抗が態様として含まれ得るものである。そして,引用発明1の「ゲートバスバー」は,素子配置に用いられるものであり,付随する抵抗を有しているものであるから「分布抵抗器」と呼び得るものである。そうすると,本願発明においては「前記ダンピング抵抗器が少なくとも一つの分布抵抗器に直列する少なくとも一つの集中抵抗器を含む」のに対し,引用発明1においては「ゲートバスバー」は分布抵抗器であるが「直列する少なくとも一つの集中抵抗器」を含まない点。 (ウ)相違点3 本願発明においては「前記ダンピング抵抗器は5Ω以下の抵抗値を有する」のに対し,引用発明1においてはゲート抵抗の抵抗値が開示されていない点。 (6)相違点についての検討 ア 相違点1について 引用発明1の高出力電界効果トランジスタの高出力性能を高めるためにワイドバンドギャップである半導体材料を採用し,引用発明2の窒化ガリウム系化合物半導体を用いた電界効果トランジスタとすることは,当業者が容易になし得ることである。 イ 相違点2について 引用発明1は,寄生発振を防止するためにダンピング抵抗器を形成したものであるが,当該ダンピング量は利用する周波数等により異なるものと認められる。そして,発振を抑制するため,抵抗として抵抗体を用いることは,引用発明3に開示されているので,必要とするダンピング量を実現するのに,ゲートバスバーに付随する抵抗だけではなく,引用発明3に開示されている発振を抑制するための抵抗体と組み合わせて所望の抵抗値を得ることは,当業者が容易に思いつくことである。そして,抵抗体と「組み合わせる」際に,「直列」に組み合わせることは回路素子の組み合わせとして普通に行われていることであるから,当業者が適宜なし得ることにすぎない。 ウ 相違点3について ダンピング抵抗の抵抗値は,所望の周波数特性を実現するために,当業者が通常の設計能力の範囲内で決定できる事項にすぎない。さらに,本願発明の抵抗値の範囲は下限が特定されておらず,限りなく0に近い値でダンピング抵抗として実効性のないものを含んでおり,技術的意義が認められない。 エ 請求人の主張について 請求人は意見書において,引用発明1における課題解決のための手段をあえて置換することは引用発明1の目的に反する旨,主張している。 しかし,引用発明1の目的は「寄生発振が生じない高出力電界効果トランジスタ,具体的には,実効的ゲ-ト抵抗(Rg)を増大させ,最大発振周波数(最大有能電力利得=0)を周波数40GHz未満に低下減少させ,この効果によりゲ-トバスバ-やゲ-ト電極パッドを介した“正帰還による寄生発振”を抑制する高出力電界効果トランジスタに係る半導体装置を提供すること」(前記(2)ア(イ)【0009】)であり,引用発明1において引用発明3の抵抗体を組み合わせれば「実効的ゲート抵抗が増大」するから,前記目的に整合するものであって,何ら阻害要因とはならないから,請求人の前記主張は採用できない。 (7)本願発明の効果について 本願発明の効果は,引用発明1ないし3の構成から当業者が予測できるものであり,格別のものではない。 (8)まとめ よって,本願発明は,引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 結言 以上のとおり,本願の請求項1に係る発明については,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないから,他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2015-020102

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決5件(インターナショナル レクティフィアー コーポレイション)
  • 2016-014583拒絶査定不服審判 / 2018-04-17 / 請求不成立電気的相互接続のためにリードフレームを用いるマルチチップモジュール(MCM)パワ…
    同じ当事者: インターナショナル レクティフィアー コーポレイション
  • 2016-008829拒絶査定不服審判 / 2017-10-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)共通集積回路(IC)上にブートストラップダイオードを有するパワー・カッド・フラッ…
    同じ当事者: インターナショナル レクティフィアー コーポレイション
  • 2016-008623拒絶査定不服審判 / 2017-09-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)シングルシャントインバータ回路に含まれるパワー・カッド・フラット・ノーリード(P…
    同じ当事者: インターナショナル レクティフィアー コーポレイション
  • 2016-007925拒絶査定不服審判 / 2017-07-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)多相電力段用のリードフレームアイランドを備えたパワー・カッド・フラット・ノーリー…
    同じ当事者: インターナショナル レクティフィアー コーポレイション
  • 2015-021325拒絶査定不服審判 / 2016-10-17 / 請求不成立集積されたダイオードを備える複合半導体装置
    同じ当事者: インターナショナル レクティフィアー コーポレイション
同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2025-006291拒絶査定不服審判 / 2025-12-24 / 請求不成立Al配線材
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-018372拒絶査定不服審判 / 2025-10-08 / 請求不成立SiOC薄膜の形成
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-019686拒絶査定不服審判 / 2025-08-22 / 請求不成立金属誘電体光学フィルター、センサーデバイス、および製造方法
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-014345拒絶査定不服審判 / 2025-07-25 / 請求不成立二元金属ライナ層
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-015245拒絶査定不服審判 / 2025-07-11 / 請求不成立接合体及びその製造方法
    共通の条文: 特許法29条2項
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)2,479件(121・H01L)
  • 2025-000609拒絶査定不服審判 / 2026-08-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)軽量太陽光発電パネル及びその製造方法
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2025-001807拒絶査定不服審判 / 2026-08-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)太陽電池セルおよび太陽電池
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2025-002107拒絶査定不服審判 / 2026-06-29 / 請求不成立熱硬化性樹脂組成物
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2025-001151拒絶査定不服審判 / 2026-06-08 / 請求不成立光電変換装置及び飛行体
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2024-013328拒絶査定不服審判 / 2026-03-30 / 請求不成立光起電力モジュールの製造方法及び光起電力モジュール
    共通の審決分類: 121・H01L

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存