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特許拒絶査定不服審判

2015-016604

流体プロセス制御システムを監視する方法

審判番号
2015-016604
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-222760外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2015年09月09日
審決日
2017年08月22日
公報発行日
2018年02月23日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G05B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-222760「流体プロセス制御システムを監視する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年2月14日出願公開、特開2013-33495〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、2006年12月12日(パリ条約による優先権主張、2006年1月20日、2006年6月23日 ともに米国)を国際出願日とする出願である特願2008-551266号の一部を平成24年10月5日に新たな特許出願としたものであって、 平成24年10月12日に手続補正がなされ、 同年10月24日付けで審査請求がなされ、 平成25年8月5日付けで拒絶理由通知(同年同月13日発送)がなされ、 これに対して平成26年2月10日付けで意見書が提出されるとともに、手続補正がなされ、 同年5月13日付けで最後の拒絶理由通知(同年同月20日発送)がなされ、 これに対して同年11月18日付けで意見書が提出され、 平成27年5月7日付けで上記平成26年5月13日付けの拒絶理由通知書に記載した理由(特許法第29条第2項)によって拒絶査定(同年同月12日謄本発送・送達)がなされたものである。 これに対して、「原査定を取り消す。本願は特許をすべきものである、との審決を求める。」ことを請求の趣旨として平成27年9月9日付けで審判請求がなされた。 その後、当審合議体より平成28年2月17日付け拒絶理由通知(同年同月23日発送)がなされ、 これに対して同年8月10日付けで意見書が提出されるとともに、手続補正がなされ、 さらに当審合議体より同年11月16日拒絶理由通知(同年同月22日発送)がなされ、 これに対して平成29年3月21日付けで意見書が提出されるとともに、手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 本件の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年3月21日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 (本願発明) 「 流体プロセス制御システムを監視する方法であって、 該流体プロセス制御システムは、該流体プロセス制御システム内の経路を通過する物質の流れを制御するための制御ループを有しており、 該制御ループは、前記経路に配置されて開放位置と閉鎖位置との間を動くことができる制御バルブを駆動するように構成されたアクチュエータ、前記制御バルブを駆動するアクチュエータの動作を制御するためのバルブコントローラ、および前記バルブコントローラを前記アクチュエータへと接続している流体制御配管を備えており、前記バルブコントローラは、該バルブコントローラに搭載されたプロセッサを含み、 当該方法が、 前記バルブコントローラに搭載された第1の圧力センサで、前記制御ループの流体制御配管内の箇所の第1の圧力を検出する工程であって、該第1の圧力センサは前記プロセッサに繋がった工程と、 前記バルブコントローラに搭載された第2の圧力センサで、前記制御ループの流体制御配管の外部にある前記流体プロセス制御システムのパイプライン内の箇所にて第2の圧力を検出する工程であって、該第2の圧力センサは前記プロセッサに繋がり、前記パイプラインは流体を前記制御バルブの入口に供給する部分と、前記制御バルブの出口から流体を受け取る部分を有する工程と、 および 前記プロセッサに連結され前記バルブコントローラ上に配置されたメモリに第1の圧力の値、及び第2の圧力の値を格納する工程 を含む方法。」 第3 引用文献・引用発明 本願の優先日前に頒布され、当審が上記平成28年11月22日付けの拒絶理由通知において引用した、特表2004-533681号公報(公表日:平成16年11月4日、以下、「引用文献」という。)には、関連する図面とともに、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。 A 「【0002】 本特許は、プロセス制御環境において使用される緊急シャットダウンシステム及びそのようなシステムにおいて使用される緊急シャットダウンバルブのテスト及び診断に関する。」 B 「【0011】 前記緊急シャットダウンテストシステムの第2のルーチンは、さらに、緊急シャットダウンテスト中に、複数の制御及びセンサデータを監視させ、且つ、該データが所定の範囲外である場合に、アラーム条件を作動するように構成されることが可能である。前記システムは、アラーム条件が存在する場合に、前記緊急シャットダウンテストを中止させることができる。前記アラーム条件は、最小の部分的なストローク圧力、移動偏差、及びバルブスタックからなるアラーム条件のグループから選択されることが可能である。前記緊急シャットダウン装置のコントローラは、さらに、センサからのアナログ入力をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル(「A/D」)変換器を具備することが可能であり、ここで、該A/D変換器は、前記プロセッサに機能的に接続される。前記A/D変換器によって変換されたアナログ入力は、バルブステム移動、ライン圧力、ループ電流、及び作動装置信号生成からなるアナログ入力のグループから選択されたアナログ入力を含むことが可能である。前記緊急シャットダウンテストシステムは、さらに、前記緊急シャットダウン装置のコントローラを囲む防爆ハウジングを備えることが可能である。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 多くの産業においては、緊急事態が発生した場合に様々なプロセスを迅速に安全な状態に持って行くために、バルブ及びその他の機械的な装置がプロセス制御システムにおいて使用される。従って、これらのバルブ及び電気/機械的装置を、それらが適切に機能することを確実にするためにテストすることは決定的に重要である。例えば、バルブの性能を確認するために、バルブの機械的な移動を、プロセスに影響されずに信頼性のある安全な方法で確認する必要がある。 【0013】 図1は、緊急シャットダウン(ESD)バルブ12のテストのための緊急シャットダウンテストシステム10の例を示している。当業者にとっては、緊急シャットダウンバルブがこの実施の形態において示されている一方、任意のその他の制御装置が制御装置テストシステムとして代用されることが可能であることは評価されるべきである。緊急シャットダウンバルブ12は、例えば、該緊急シャットダウンバルブ12への入口に流体を供給するパイプラインと、緊急シャットダウンバルブ12の出口から流体を導く出口パイプラインとを備えたプロセス制御システム内に配置されることが可能である。」 C 「【0015】 緊急シャットダウンテストシステム10は、緊急シャットダウンバルブ12のオペレーションのテストを開始することが可能である「デジタルバルブコントローラ(DVC)14」を備えることが可能である。緊急シャットダウンテスト中に、バルブステム18は、部分的に移動され、そして、その正常状態に戻される。複数のセンサ15は、複数のパラメータを監視することができるように、圧力ライン及び移動可能な構成要素上に配置される。緊急シャットダウンテストは、DVC14のための複数のスクリプト又はルーチンを含むことが可能である。センサを使用して診断データを収集するための実行可能なスクリプトのいくつかの例は:(1)テストストロークの長さ(つまり、バルブステム移動)、(2)バルブステムの移動レート、(3)緊急シャットダウンテスト中にセンサから取得したデータ、(4)サンプリングレート、(5)どのくらい長くテスト目標位置に留まっているか、及び(6)アクチュエータ圧力及び時間、である。 【0016】 DVC14もまた、緊急シャットダウンテスト状態において、バルブ12の挙動を記録するように構成されることが可能である。これらのオンラインバルブ診断は、緊急シャットダウンバルブプラグが移動するときに、自動的に記録を開始するように構成されることが可能である。オンラインバルブ診断は、DVC14に格納されたデータレコードにおいてオンライン診断としてマークすることができ、DVC14からの要求により又は予想外にバルブプラグがその正常な休止位置から移動するすべてのイベントを記録することができる。また、DVC14は、ライン40上のループ電流が所定のレベルよりも低下したときにオンライン診断データの収集がトリガされるように構成されることも可能である。 【0017】 緊急シャットダウンテスト中にセンサ15から取得したデータは、適切な所定の範囲と比較される。所定の範囲の例は、最小圧力、最大圧力、サンプルレート、移動時間、及び移動偏差を含んでいる。 【0018】 依然として図1を参照して、緊急シャットダウンテストシステム10は、実際の緊急事態が存在する場合の緊急位置と、緊急シャットダウンテスト中の部分的なストローク位置(所定の位置)との両方に、緊急シャットダウンバルブ12を移動させる圧力を供給するためにソレノイドバルブ16を備えることが可能である。バルブアクチュエータ17は、空気圧ライン19の空気圧の変化に応じて、緊急シャットダウンバルブのプラグ(該バルブのプラグは、示されていないが、前記バルブのバルブステム18に接続されている)を移動させるために空気圧ライン19に結合された空気圧入力を有することが可能である。 【0019】 ソレノイドバルブ16は、2本のワイヤライン22から直流電力及び電気的な制御信号を受けることが可能なソレノイド制御機器20を含むことが可能である。例えば、ソレノイド制御機器20は、ライン22から直流24ボルトを受けることが可能である。ソレノイド制御機器20は、ソレノイドバルブ16の出力での圧力を制御するために、ソレノイドバルブ16に接続される出力ライン42上に出力を提供することが可能である。ソレノイドバルブ16及びソレノイド制御機器20は、緊急シャットダウンテストシステム10に冗長性を提供するために使用されることが可能である。冗長性は、ソレノイドバルブ16を開き、ライン19内の空気圧を排気ライン21に排出することを可能にし、従って、アクチュエータ17上のスプリングにバルブステム18を移動させることにより達成される。言い換えれば、排気ライン21の形態をしている代替ルートは、ライン19の空気圧を低減させるために提供される。ライン19からのセンサデータは、バルブスタックアラームが作動されるべきか否かを判定するために、バルブステム移動データと比較される。 【0020】 DVC14は、緊急シャットダウンバルブ12に機能的に接続されることが可能であり、ソレノイドバルブ16に結合された空気圧出力ライン28を含むことが可能である。DVC14は、一対の電線40によって電力が供給されることが可能であり、また、HARTネットワーク(当業者には良く知られた通信プロトコル)、又は任意のその他の容認可能なプロトコルを通じて通信することが可能である。 【0021】 図1においては、一対の電線40は、DVC14を緊急シャットダウンコントローラ44に接続している。目標プラグ位置は、一対の電線40上を電流信号を介して、HARTプロトコルを使用して制御装置からのデジタルセットポイントを介して、又は任意のその他の予め設定されたデフォルトセットポイントを介して、DVC14に送られることが可能である。目標プラグ位置は、ライン28上の出力圧力を測定することにより予測されることが可能であり、緊急シャットダウンバルブのバルブステムの位置に正比例するべきである。DVC14は、空気圧によりバルブアクチュエータ17を動作させることが可能であり、緊急シャットダウンバルブ12の実際のバルブプラグ位置を測定するために位置センサ15を使用することが可能である。DVC14は、該DVC14がループ電流の変化、又は通信プロトコルを通じたデジタルコマンドを受け取った後で、希望の目標位置にバルブプラグの位置を動作させるために、ライン28上のアクチュエータ出力空気圧を連続的に調節することが可能である。」 D 「【0023】 一般に、DVC14は、プロセッサベースの緊急シャットダウンバルブコントローラである。図2の実施の形態は、図1において前に示したものと同一の構造及び構成要素のうちのいくつかを備えている。明確化のために、同一のままである構造及び構成要素は、図1のものと同様の参照符号で示されている。図2において示されるように、DVC14は、プロセッサ50、センサ15、メモリ52、アナログ・デジタル(A/D)変換器54、デジタル・アナログ(D/A)変換器56、及び電流・圧力変換器58を備えている。メモリ52は、コマンド又はスクリプト及び診断データを格納するために利用される。A/D変換器54は、アナログセンサ入力を、プロセッサ50が処理又は格納するためのデジタル信号に変換する。DVC14によって取得及び格納されるセンサ入力の例は、バルブステム移動(又は、バルブプラグ移動)、出力ライン圧力、ループ電流などを含んでいる。プロセッサ50は、電気的なスイッチ36のための入力のような補助入力を監視する。D/A変換器56は、プロセッサ50からの複数のデジタル出力を、電流・圧力変換器58が緊急シャットダウンバルブアクチュエータ17を駆動するためにデジタルデータに基づいた圧力を供給することができるように、アナログ信号に変換することが可能である。」 E 「【0028】 追加のテストは、集められた診断データに基づいて行なわれることが可能である。緊急シャットダウンテスト中に集められたセンサ又は診断データは、DVC14内の通信ユニット62を通じてハンドヘルド型演算装置を使用して検索されることが可能である。又は、このデータは、主制御室へ送られることが可能である。さらに、緊急シャットダウンシステム10のようなシステムは、部分的なストロークテストの結果に基づいた予測的なメンテナンスをスケジュールする能力を提供する」 F 「【0040】 DVC14は、例えば、緊急シャットダウンテスト中に機能不良のバルブを検出するためにDVC26に操作可能に接続されるセンサ15からのライン28上の出力圧力、バルブプラグ位置、ライン19上の最小の部分的なストローク圧力、及び最大の移動偏差のような複数の入力を監視する。・・・(後略) 【0041】 ライン28上のDVC14の出力圧力が、所定の時間、「最小の部分的なストローク圧力」よりも低下する場合には、テストは、中止されることが可能であり、診断データファイルに配置された「バルブスタック」マーカ、及び「バルブスタック」アラームビットは、セットされることが可能である。アラームビットは、DVCの力が循環するまでセットされ続けることができ、次の部分的なストロークは、作動されるか、又はデータ(「バルブスタックマーカ」)は、ユーザによって読み取られる。診断データは、図2において示されるように、診断データバッファ64に集められることが可能である。」 G 図1には緊急シャットダウンテストシステムのいくつかの構成要素のブロック図が図示され、図中にはセンサ15の設置場所が明示されていないことが看取できる。 H 図2にはデジタルバルブコントローラのいくつかの構成要素のブロック図が図示され、プロセッサ50、メモリ52、診断データバッファ64がデジタルバルブコントローラ(DVC)14には備わっていることが見てとれる。 上記摘記事項A~F及び上記図面看取事項G~Hより、引用文献には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 (引用発明) 「流体を供給する入口パイプラインと出口パイプラインの間に緊急シャットダウンバルブ12を備えたプロセス制御システム内に配置されるシステム10が行う圧力検出データの取扱い方法であって、 前記緊急シャットダウンバルブ12の制御は、該バルブ12のバルブステム18に接続されたプラグを移動させるバルブアクチュエータ17に対して、空気圧ライン19の空気圧を変化させることにより行い、前記空気圧の変化は、デジタルバルブコントローラ(DVC)14から空気圧出力ライン28、ソレノイドバルブ16、空気圧ライン19を経由して該バルブアクチュエータ17へと達する空気圧ラインの空気圧を該デジタルバルブコントローラ14が希望の目標位置にバルブプラグの位置を動作させるために、連続的に調整することにより実行され、 前記デジタルバルブコントローラ14は、プロセッサ50とメモリ52と診断データバッファ64とを搭載するものであり、 前記システム10は、さらに、バルブアクチュエータ17に繋がる空気圧ライン19の空気圧や空気圧ライン28上の空気圧を測定するセンサ15や、追加のテストのために集められた診断データを測定するセンサ15を備えるものであって、 前記圧力検出データの取扱い方法は、 当該センサ15の測定データは、前記デジタルバルブコントローラ14へ送られ、メモリ52に格納される、又は診断データは診断データバッファ64に集められる、 プロセス制御システム内に配置されるシステム10の圧力検出データの取扱い方法。」 第4 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 両者の方法が用いられる対象に関し、引用発明の「流体を供給する」「パイプライン」「を備えたプロセス」とした点は、本願発明の「流体プロセス」とした点で一致し、 また、前記一致した対象に対して設けられた制御システムに関しても、引用発明の「流体を供給する入口パイプラインと出口パイプラインの間に緊急シャットダウンバルブ12を備えたプロセス制御システム内に配置されるシステム10」は、本願発明の「該流体プロセス制御システム内の経路を通過する物質の流れを制御するための制御ループを有しており」、かつ、「制御ループは、前記経路に配置されて開放位置と閉鎖位置との間を動くことができる制御バルブを駆動する」とした「システム」である点で相当する。 そして、前記相当関係にあるシステムが備える諸構成に関しても、引用発明の「緊急シャットダウンバルブ」は、明らかに制御されて動作するので、本願発明の「制御バルブ」に相当し、 以下、同様に、 「バルブアクチュエータ17」は、「アクチュエータ」に、 「デジタルバルブコントローラ(DVC)」は、「バルブコントローラ」に、 「空気圧ライン19」、「ソレノイドバルブ16」及び「空気圧出力ライン28」は、「流体制御配管」に、 「デジタルバルブコントローラ14」が「搭載」する「プロセッサ50」は、「バルブコントローラに搭載されたプロセッサ」に、 「バルブアクチュエータ17に繋がる空気圧ライン19の空気圧」を「測定するセンサ15」は、「第1の圧力センサで、前記制御ループの流体制御配管内の箇所の第1の圧力を検出する」ものに、 「デジタルバルブコントローラ14」が「搭載」する「メモリ52と診断データバッファ64」は、「センサ15の測定データ」に含まれる「空気圧」、すなわち圧力値を格納するとされているので、「前記プロセッサに連結され前記バルブコントローラ上に配置されたメモリ」でありかつ「圧力の値」が「格納」されるものに、各々相当する。 さらに、引用発明の「当該センサ15の測定データは、前記デジタルバルブコントローラ14へ送られ、メモリ52に格納される、又は診断データは診断データバッファ64に集められる」処理とされる「システム10が行う圧力検出データの取扱い方法」と、本願発明の「第1の圧力を検出する工程」及び「第2の圧力を検出する工程」並びに「メモリに第1の圧力の値、及び第2の圧力の値を格納する工程」とされる「流体プロセス制御システムを監視する方法」とを、実行する各工程ごとに比較すると、上述のとおり引用発明の「センサ15」が「空気圧ライン28上の空気圧を測定する」ものである場合には、本願発明でいう「前記制御ループの流体制御配管内の箇所の第1の圧力を検出する」こととなるため、実質上引用発明の「当該センサ15の測定」行為は、本願発明の「第1の圧力を検出する工程」に相当する。 また、引用発明の「センサ15」による「追加のテストのために集められた診断データを測定する」ことは、センサ15により行われる空気圧ライン28上の空気圧以外の測定を指すので、本願発明の「第2の」「センサで、」「検出する工程」に相当する。 さらに、引用発明の「当該センサ15の測定データ」が、「前記デジタルバルブコントローラ14へ送られ、メモリ52に格納される、又は診断データは診断データバッファ64に集められる」処理のうち、「当該センサ15の測定データ」に含まれる「空気圧ライン28上の空気圧を測定」したものは、本願発明の「メモリに第1の圧力の値」を「格納する」に相当し、また、引用発明の「当該センサ15の測定データ」に含まれる他のデータとされる「診断データ」が「診断データバッファ64に集められる」処理については、本願発明の「第2の」「値を(メモリに)格納する」部分で共通する。 以上から、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、かつ相違する。 (一致点) 「流体プロセス制御システムを監視する方法であって、 該流体プロセス制御システムは、該流体プロセス制御システム内の経路を通過する物質の流れを制御するための制御ループを有しており、 該制御ループは、前記経路に配置されて開放位置と閉鎖位置との間を動くことができる制御バルブを駆動するように構成されたアクチュエータ、前記制御バルブを駆動するアクチュエータの動作を制御するためのバルブコントローラ、および前記バルブコントローラを前記アクチュエータへと接続している流体制御配管を備えており、前記バルブコントローラは、該バルブコントローラに搭載されたプロセッサを含み、 当該方法が、 第1の圧力センサで、前記制御ループの流体制御配管内の箇所の第1の圧力を検出する工程であって、該第1の圧力センサは前記プロセッサに繋がった工程と、 第2のセンサで第2の値を検出する工程であって、該第2のセンサは前記プロセッサに繋がる工程と、 および 前記プロセッサに連結され前記バルブコントローラ上に配置されたメモリに第1の圧力の値、及び第2の値を格納する工程 を含む方法。」 (相違点1) 本願発明の「第1の圧力センサ」及び「第2の圧力センサ」は、いずれも「バルブコントローラに搭載された」と特定されているのに対して、引用発明の相当あるいは一部共通するとした「センサ15」は、どのように実装されるかについて特段の特定がなされていないため不明である点。 (相違点2) 本願発明が「前記バルブコントローラに搭載された第2の圧力センサで、前記制御ループの流体制御配管の外部にある前記流体プロセス制御システムのパイプライン内の箇所にて第2の圧力を検出する工程」を含むとされているのに対して、引用発明では、「複数のセンサ15」が「圧力ライン・・・上に配置される」とは示されているものの、当該圧力ラインが本願で言う「パイプライン」を含むか否かが直接的には明らかでない点。 第5 判断 上記相違点1、2について検討する。 1.相違点1について 本願発明の「(第1ないし第2の)圧力センサ」が「バルブコントローラに搭載された」とする特定について考えると、添付図面による図示のされ方から見て、流体制御配管内の圧力を検知すべく、配管の一部をDVCに外付けしたセンサ(40、42)まで分岐させる仕様を伴うとしたのが本願発明であるとの理解に至る。 他方、引用文献の技術の開示を見ると、流体制御配管に相当するライン内圧力をセンサ15により検知するという事項に留まり、その場合のセンサ15の実装箇所について特段特定を果たしていない。つまり、センサ15の実装箇所について任意としていると解される。 ところで、プロセス制御システムに圧力等のセンサデバイスを実装する場合を考えると、センサデバイスは検知動作を果たす上で媒体圧力が受圧できるように、媒体が流れる配管・パイプの一部に穴を開け、センサデバイスの圧力検知部位との連通を果たすことが必要であることが常識であり、センサデバイスの実装箇所は、配管・パイプに隣接した配管上になされたり、配管以外の他の適当な実装箇所を選んで実装したりするのが一般的である。 そうすると、当該相違点1は本願発明及び引用発明に共通なプロセス制御システムで常識的に選択されるセンサの実装箇所について、本願発明で単に具体の箇所を選定し、引用発明では任意とされたことによって生じた相違点にすぎないと判断できるので、実施に際して選択される単なる仕様上の相違でありかつ常識的な選択肢に留まるとみるのが相当である。 よって、引用発明に接した当業者であれば、圧力センサの実装箇所をバルブコントローラに定める程度のことは、常識の範囲内で適宜選択しえる事項であると認められる。 2.相違点2について ア プロセス制御システムのパイプラインを監視対象とすることについての容易想到性について プロセスラインで多くのパイプラインが用いられ、かつ、パイプ内圧力が観測データの一種として使用されることは、当業者に一般的に慣用されている事実(要すれば、特表2007-538310号公報の【0094】及び図8にて、フロー制御ユニットがバルブを含んで構成され、測定済みセンサ値(圧力)がディスプレイ表示できるように取り扱われている旨を参照されたい)である。 そうすると、引用発明のセンサによる収集データ対象に、このパイプ内圧力が明らかに除外されることは非常に考えにくいと言える。 イ 小結 よって、当該相違点2は、引用発明で単に明示がなされていないだけであり、当業者から見て引用発明でも当然に行われていると信じるに足りると認められ、容易に発明できたと認められる。 上記で検討したごとく、各相違点は格別のものではなく、そして、本願発明の奏する作用効果は、上記引用発明及び技術常識として把握される事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本願発明は、引用文献に記載の発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明できたものである。 3.請求人の主張について 請求人は平成29年3月21日付け意見書の「4.特許法第29条第2項の該当性(理由3、進歩性)について」にて、引用文献に基づいて当業者が容易に発明できたとする拒絶理由の通知事項に対して以下の意見を述べている。 「引例1のデジタルバルブコントローラ(DVC)14は、引例1の明細書【0023】に記載されている如く、緊急シャットダウンバルブコントローラとしてのみ用いられるものであります。また、明細書【0023】には『図2において示されるように、DVC14はプロセッサ50、センサ15、メモリ52、…を備えている。』との記載はあるものの、図2にセンサ15の記載は無く、明細書【0040】には、『DVC14は、例えば、緊急シャットダウンテスト中に機能不良のバルブを検出するためにDVC26に操作可能に接続されるセンサ15』との記載があることから、引例1にあっては、センサ15はDVC14に搭載されたものではありません。 また、引例1は制御ループの流体制御配管内の箇所の第1の圧力を検出し、流体制御配管の外部にある箇所にて第2の圧力を検出する旨も開示しておりません。引例1の図1及び明細書【0040】の記載から、ライン19、28は両方とも制御ループの一部であると思料します。従って、引例1には本願発明とは異なる構成が開示され、引例1に開示された発明から本願発明に想到し得ないと思料します。」 要するに当該意見は、(1)引用文献に記載のデジタルバルブコントローラ(DVC)は、緊急シャットダウンバルブコントローラとしてのみ用いられるものである点を指摘しているところを見ると、コントローラが制御する対象が相違しているかのような指摘と思われ、次に、(2)センサ15がDVC14に搭載されていない点を挙げ、最後に、(3)引用文献は流体制御配管の外部で圧力を検出する記載が無い点を挙げたものと見られる。 しかしながら、これらの意見は、いずれも格別のものではない。 なぜなら、(1)の指摘は、本件の特許請求の範囲での記載に照らす限り、被制御対象として閉鎖位置と開放位置との間で動くとの特定がなされているのみであり、引用文献の緊急シャットダウンバルブが当該特定事項を満足しないことにはならないため、上記「第4 対比」で示したとおり両者が相違することとはならないし、(2)の指摘は、上記相違点1に対する判断で示したとおり、常識の範囲内で適宜選択しえる事項であるからである。 そして、(3)の指摘は上記「第4 対比」で示すとおり相違点であると判断しつつ、「第5 判断」の相違点2で説示したとおり技術常識に相当する相違でしかないと結論している。 以上のとおりであるから、結局のところ請求人の意見は当然参酌されるものの、結論として採り上げるに足るものではない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、その出願に係る優先日前に日本国内又は外国において頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、拒絶すべきものである。 よって、上記結論のとおり審決する。

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2015-016604

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