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特許拒絶査定不服審判

2025-005252

データ表示処理方法

審判番号
2025-005252
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-052230外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2025年04月04日
審決日
2026年04月20日
公報発行日
2026年07月31日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G05B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021- 52230「データ表示処理方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年10月 7日出願公開、特開2022-149892〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件特許出願は、令和3年3月25日を出願日とするものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 6年 8月29日付け:拒絶理由通知書 同年10月30日 :意見書の提出 同年10月30日付け:拒絶理由通知書 同年12月23日 :意見書の提出 令和 7年 1月 6日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。) 同年 4月 4日 :審判請求書の提出 同年12月 1日付け:拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由」という。) 令和 8年 1月26日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明について 1 本願発明 本願の請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、令和8年1月26日に提出された手続補正書により補正された以下のとおりのものである。(下線部は、請求人が付した補正箇所である。) 「 圧延工程を含む複数の工程を経て材料から金属製品を製造する製造プロセスにおいて、取得された複数の製造実績データを表示するデータ表示処理方法であって、 前記製造プロセスの各工程に設置された複数の計測機器により、材料長さ方向の複数の材料長さ位置での計測値を所定のデータ取得間隔で取得するデータ取得工程と、 前記各計測機器により取得された計測値を、それぞれ、前記材料毎に、前記金属製品を特定するための製品特定情報及び当該計測値が取得された材料長さ位置と関連付けて、テキストデータとして製造実績データ記憶部に記録するデータ記録工程と、 前記製品特定情報に基づいて前記製造実績データ記憶部から同一の金属製品についてのテキストデータを特定し、前記特定されたテキストデータから表示対象として選択された少なくとも1つ以上のテキストデータを表示装置に表示する表示工程と、 を含み、 前記表示工程において複数のテキストデータを表示させる場合、 前記テキストデータにおける前記材料長さが、任意に設定される基準長さとなるように、前記材料長さと前記基準長さとの比率に基づき前記データ取得間隔を補正し、前記選択された複数のテキストデータを同一の尺度で前記表示装置に表示させ、 前記複数のテキストデータが、前記製造プロセスにおける同じ工程の現在の製造実績と過去の製造実績のテキストデータ、および/または、前記製造プロセスの各工程から選ばれる複数の工程であって異なる工程のテキストデータ、を含む、データ表示処理方法。」 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の理由1(進歩性)の概要は以下のとおりである。 この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2乃至3に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2006-231365号公報 引用文献2:佐藤保、“現場改善のための時系列データの収集・解析ソリューション”、計装、(有)工業技術社、2006年9月1日、Vol.49、No.9、p.62-64 引用文献3:梅田弘之、“データ変換サービス(DTS)をマスターしよう”、月刊DB Magazine、株式会社翔泳社、2001年2月1日、2月号、p.98-105 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について (1)引用文献1に記載された事項 引用文献1には、以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審にて付与した。以下同様。) 「【0005】 本発明の課題は、圧延プラントにおけるコイルなどの処理対象の、製品化後の先頭から指定された距離のデータを容易に表示できるようにすることである。」 「【0015】 また多段圧延に代表される、コイル全長距離が圧延を経る度に変化する圧延プラントにおいても、各処理工程における圧延材の全長がわかるから、実績値を最終製品における全長に換算して部位を揃えて比較表示できる。例えば母材に外乱のある部位の板厚偏差が各スタンドの圧延を経てどのように減衰したか等を速やかに解析できる。」 「【0016】 (実施の形態1) 図1に本発明の実施の形態1を示す。図示の圧延システムは、連続して配置された4基の圧延スタンドを備える圧延プラント130と、この圧延プラントに接続されたコントローラ120と、コントローラ120にネットワーク140を介して接続されたデータ処理手段であるデータ処理装置100と、データ処理装置100に接続されたマンマシン手段110と、を含んで構成されている。マンマシン手段110は、画面表示手段(例えばCRT)と、入力手段(例えばキーボード)を備えた端末装置である。 【0017】 本実施の形態では、圧延プラント130は冷間圧延のタンデムミルであり、圧延材であるコイル131を溶接によりつなぐことで連続化し、第1スタンド132~第4のスタンド135で圧下をかけて、板厚を順次薄くしていく。本実施の形態では、4つの圧延スタンドからなるタンデムミルを例にしているが、スタンド数は圧延プラントに依存して種々の場合がある。コイル131は先端が溶接点138、後端が溶接点137であり、圧延後は溶接点の付近で切断され、コイルとして巻き取られる。 【0018】 本実施の形態では、母材板厚を測定する目的で第1スタンド132入側に板厚計136が取り付けられており、ここを通過したときのコイル131の板厚が測定される。板厚計は実際にはスタンド間や最終スタンド(本実施の形態では第4スタンド135)の出側にも取り付けられることが多い。またセンサとしてはコイル131の移動速度を測定する板速計やコイルの引張り力を測定する張力計等、種々のものが備えられる。メジャリングロール139はコイルの通過距離情報を算出するために備えられており、溶接点138通過後の測定値を積算することで、メジャリングロール139に対応した部位のコイル先端からの距離が算定できる。」 「【0023】 実績収集・格納手段101は、圧延プラント130から前記板厚計136、メジャリングロール139で検出した信号などの実績データを取り込み、時刻データの追加、コイル長の変換処理等の編集処理を行い、表示用データベース102に格納する。 【0024】 なお、以下の説明では、メジャリングロール139で検出した信号に基づいてコイルの先頭からの距離を表示用データベース102に格納するが、実際には、メジャリングロール139で検出した距離は圧延前の母材の距離であって、製品となったコイルの全長は圧延により、圧延前の母材の長さよりも長くなっている。このため、最終スタンド(本実施の形態では第4スタンド135)出側に、図示されていない出側メジャリングロールが配置されており、この出側メジャリングロールにより、コイルごとの全長が計測されてコイル識別番号とともに実績収集・格納手段101に送られる。実績収集・格納手段101は、表示用データベース102に格納されている該当コイルの距離データx(i)を、前記出側メジャリングロールから入力される圧延後のコイル全長X(l)に合せて、次式により変換する。x(l)は、メジャリングロール139で検出した圧延前の全長である。 【0025】 x(i)=x(i)×X(l)/x(l) 実績情報検索手段105は、表示用データベース102、実績情報表示手段106に接続され、マンマシン手段110から入力されたコイル番号とコイル先頭からの距離情報に基づいて、距離に対応した部位の実績データを抽出して出力する。実績情報表示手段106は、実績情報検索手段105の出力をマンマシン手段110に表示する。 【0026】 通過長変換手段107は、表示用データベース102、通過長変換チャート表示手段108に接続され、マンマシン手段110から入力されたコイル番号の情報に基づいて、対応するコイルの実績データを、横軸をコイル先頭からの距離、縦軸を対応する部位の実績値とする通過長変換チャートに変換して出力する。通過長変換チャート表示手段108は、通過長変換手段107の出力をチャートの形態でマンマシン手段110に表示する。 【0027】 以下、データ処理装置100の各機能を詳細に説明する。表示用データベース102は時系列テーブル103とコイル番号特定テーブル104を備えている。時系列テーブル103は、実績収集・格納手段101から送り込まれる時々刻々のデータを時系列に格納したもので、取り込み時刻に紐付けて、上述したコイル識別データ、メジャリングロール139の実績値から算出したコイル先頭から板厚計136までの距離データ、および板厚計136から取り込んだ実績データが格納されている。実績データが複数ある場合には、同一部位として扱えない実績については各実績データ毎にコイル識別データとコイル先頭からの距離を格納しておく必要がある。一方、コイル番号特定テーブル104は時系列テーブル103に格納されているコイル識別番号と実際のコイルを特定するコードであるコイル番号を対応付けて格納している。コイル番号特定テーブル104は圧延に先駆けて構築しておくことも出来るし、コイル番号が更新されるたびにコイル識別番号を振りなおし、コントローラ120に報知するとともにコイル番号特定テーブル104に格納する形態でもよい。」 「【0030】 そして画面上の検索ボタン404をクリックしたタイミングで実績情報検索処理が起動される。マンマシン手段110から処理が起動されると、パス(1)でコイル番号特定テーブル104が検索され、コイル番号からコイル識別番号が検索される。そしてこの結果から検索対象となるコイルが特定され、パス(3)で特定されたコイルに対応するコイル先頭からの距離データが時系列テーブル103から検索される。パス(2)で、検索されたコイル先頭からの距離データが取り込まれ、マンマシン手段110から指定されたコイル先頭からの距離と照合され、この距離が板厚計136を通過した時刻がパス(4)に出力される。指定された距離に合致する距離データがない場合は、指定された距離の前後の距離データから内挿により、指定された距離に対応する時刻が算出される。 【0031】 パス(4)で、指定された種別の実績データの、この時刻に対応する実績データが検索され、パス(5)で実績情報表示手段106に出力する。この場合も、指定された時刻に対応する実績データがない場合は、指定された時刻の前後の時刻に対応する実績データから内挿により、指定された時刻に対応する実績データが算出される。実績情報表示手段106はこの結果をパス(6)でマンマシン手段110に出力する。図4に出力結果を表示した例を示す。出力画面では入力画面で入力した検索条件にしたがって検索した実績値「2.356」mmが実績値表示欄406に表示される。 【0032】 本実施の形態では、実績情報検索手段105は、コイル番号と信号名が指定されて検索ボタンがクリックされると、指定されたコイル番号に該当するコイル識別データを持つ、指定された信号名の実績データ(この場合、#1入側板厚)を時刻データとともに読み出して実績情報表示手段106に出力する。 【0033】 実績情報表示手段106は、実績値「2.356」mmを実績値表示欄406に表示するとともに、時刻を横軸に、板厚を縦軸にとってコイルH1204-2に対応した板厚の時系列チャートを時系列チャート表示欄405に表示する。」 「【0041】 本実施の形態によれば、圧延され製品となったコイルの、実績データを知りたい部位の先頭からの距離と知りたい実績データの種別が判れば、容易に、該当箇所の知りたい実績データを表示させることができる。 (実施の形態2) 図10~図12を参照して本発明の実施の形態2を説明する。本実施の形態が前記実施の形態1と異なるのは、圧延プラント130の第1スタンド132~第4スタンド135のそれぞれの出側に、板厚計であるセンサ1001~1004及びメジャリングロール1011~1014が備えられている点と、コントローラ120及び演算手段がセンサ1001~1004及びメジャリングロール1011~1014に対応して複数の信号を対象に通過長変換処理を行う構成となっている点である。 【0042】 本実施の形態ではスタンド間板厚計が備えられている。すなわち第1スタンドの入側板厚を測定するセンサ136に加え、第1スタンド出側板厚を測定するセンサ1001、第2スタンド出側板厚を測定するセンサ1002、第3スタンド出側板厚を測定するセンサ1003、第4スタンド出側板厚を測定するセンサ1004が備えられている。さらに距離データを測定するために、スタンド間にメジャリングロール1011~1014が備えられている。各メジャリングロールからの出力信号に基づく距離データの算出方法は、実施の形態1と同様である。また距離データの測定法としては、スタンド間に板速計が設置されている場合には、これを利用した演算で算出してもよい。またその他、設置検出器を種々利用した計算方法が考えられる。 【0043】 図10に示すように、時系列テーブル103には、第1スタンド入側板厚、第1スタンド出側板厚を始め、上記構成に対応した実績データとセンサ取り付け地点のコイル識別データとコイル先頭からの距離データが蓄積されている。本実施の形態のようにセンサの取り付け位置が異なっている場合には、#1入側板厚に対応してコイル識別データ1とコイル先頭からの距離データ1、#2入側板厚に対応してコイル識別データ2とコイル先頭からの距離データ2のように、実績データに対応したコイル識別データとコイル先頭からの距離データをそれぞれ格納する必要があるが、概ね同一部位の異なる種別のデータを測定する複数のセンサの場合には、実績データ間でコイル識別データとコイル先頭からの距離データを共有することもできる。 【0044】 図11に、複数の異なる種別の実績データを指定して通過長変換したデータ表示を行わせるときの画面例を示す。ユーザは、マンマシン手段110の入力画面1101で、対象となるコイル番号と、そのコイルの通過長変換したい信号名(実績データの種別)を複数、それぞれ入力欄1103~1108に入力する。次いで、同じ画面の「通過長変換」ボタン1109をクリックすると、画面が出力画面1102に切り替わり、各信号を通過長変換した結果が表示される。図では#1入側板厚、#1出側板厚~#4出側板厚の5つの信号が通過長を横軸にして表示されている。コイル長は圧延の過程で変化するが、横軸のx(l)を圧延後のコイル全長に変換した値で表示することにより、見かけ上同一コイル長のデータとして比較表示できる。 【0045】 図では#1入側板厚、#1出側板厚~#2出側板厚では特に板厚変動がない状態から第3スタンドの圧延で大きな板厚変動1110が生じ、第4スタンド出側では板厚変動が減衰していることが、同一部位に着目した縦の比較で容易に把握できる。このような表示により、異常発生要因の解析が容易になり、本ケースであれば「板とロールのスリップで発生したのだろう」といった要因推定が容易に行える。 【0046】 図12に本実施の形態で通過長変換チャート計算手段502が実行する処理の流れを示す。図7の処理との相違は、S12-6が挿入されたことで、S12-1からS12-5までは、図7のS7-1からS7-5までと同じであり、S12-7は図7のS7-6と同じであるので説明を省略する。 【0047】 S12-6では、入力画面で指定したすべての信号について、通過長変換処理が完了したかどうか判定し、終了していない場合はS12-1に戻り、S12-6までの処理を繰り返す。すべての信号について通過長変換処理が完了した後、S12-7でx(i)とy(i)の組合せの列をまとめて通過長変換チャート表示手段108に出力する。」 「【0056】 本実施の形態においても、前記各実施の形態と同様に、コイル番号、コイル先頭からの距離及び実績データの種別を指定することで、所望のコイル番号の、所要の部位の圧延時のデータを容易に表示させることができる。」 「図10 [図:0001437035000001.jpg] 」 「図11 [図:0001437035000002.jpg] 」 (2)引用文献1に記載されているといえる事項 ア 段落【0017】の「圧延プラント130は冷間圧延のタンデムミルであり、圧延材であるコイル131を溶接によりつなぐことで連続化し、第1スタンド132~第4のスタンド135で圧下をかけて、板厚を順次薄くしていく。」との記載、段落【0018】の「母材板厚を測定する目的で第1スタンド132入側に板厚計136が取り付けられており、・・・」との記載、段落【0024】の「メジャリングロール139で検出した距離は圧延前の母材の距離であって、製品となったコイルの全長は圧延により、圧延前の母材の長さよりも長くなっている。」との記載を参酌すると、「(製品である)コイルは、母材を複数の圧延スタンドによる圧延工程を経ることで製造される」との事項が開示されているといえる。 また、段落【0023】、【0025】の記載を参酌すると、「実績収集・格納手段101は、圧延プラント130から板厚計136、メジャリングロール139で検出した信号などの実績データを取り込み、時刻データの追加、コイル長の変換処理等の編集処理を行い、表示用データベース102に格納し、実績情報検索手段105は、表示用データベース102、実績情報表示手段106に接続され、マンマシン手段110から入力されたコイル番号とコイル先頭からの距離情報に基づいて、距離に対応した部位の実績データを抽出して出力し、実績情報表示手段106は、実績情報検索手段105の出力をマンマシン手段110に表示する」との事項が開示されているといえる。 そうすると、上記整理したように、段落【0015】~【0018】、【0023】~【0025】の記載を踏まえると、引用文献1には、「複数の圧延スタンドにおける圧延工程を経て母材から(製品である)コイルを製造する製造工程において、取得された圧延時の複数の実績データを表示する実績データ表示方法」が記載されているといえる。 イ 段落【0043】の「図10に示すように、時系列テーブル103には、第1スタンド入側板厚、第1スタンド出側板厚を始め、上記構成に対応した実績データとセンサ取り付け地点のコイル識別データとコイル先頭からの距離データが蓄積されている。」との記載、及び、【図10】の時系列テーブル103に示されている事項から、圧延プラント130においては、板厚計であるセンサ(1001~1004)とメジャリングロール(1011~1014)を用いて、「入側板厚」及び「出側板厚」並びに「コイル先頭からの距離データ」を10秒間隔で取得していることが把握できる。 そして、段落【0041】の「すなわち第1スタンドの入側板厚を測定するセンサ136に加え、第1スタンド出側板厚を測定するセンサ1001、第2スタンド出側板厚を測定するセンサ1002、第3スタンド出側板厚を測定するセンサ1003、第4スタンド出側板厚を測定するセンサ1004が備えられている。」との記載、及び、上記段落【0043】と【図10】から把握される事項を踏まえると、引用文献1には、「圧延工程の各圧延スタンドに備えられたセンサにより、当該センサが設置された複数の位置での入側板厚及び複数の出側板厚を10秒間隔で測定する測定工程」が記載されているといえる。 ウ 段落【0027】の「・・・表示用データベース102は時系列テーブル103とコイル番号特定テーブル104を備えている。・・・一方、コイル番号特定テーブル104は時系列テーブル103に格納されているコイル識別番号と実際のコイルを特定するコードであるコイル番号を対応付けて格納している。」との記載から、実際のコイルを特定するコードであるコイル番号とコイル識別番号とは対応付けられているとの事項が開示されているといえる。 そうすると、段落【0027】、上記イで言及した段落【0043】、及び、【図10】の記載からみて、引用文献1には、「前記各圧延スタンドに備えられたセンサにより測定された入側板厚及び複数の出側板厚を、それぞれ、コイル番号に対応づけられるコイル識別データ及びコイル先頭からの距離データに関連付けて、時系列テーブル103として、表示用データベース102に蓄積する蓄積工程」が記載されているといえる。 エ 段落【0031】の「・・・実績情報表示手段106はこの結果をパス(6)でマンマシン手段110に出力する。・・・」との記載、段落【0032】の「実績情報検索手段105は、コイル番号と信号名が指定されて検索ボタンがクリックされると、指定されたコイル番号に該当するコイル識別データを持つ、指定された信号名の実績データ(この場合、#1入側板厚)を時刻データとともに読み出して実績情報表示手段106に出力する。」との記載、段落【0043】の「図10に示すように、時系列テーブル103には、第1スタンド入側板厚、第1スタンド出側板厚を始め、上記構成に対応した実績データとセンサ取り付け地点のコイル識別データとコイル先頭からの距離データが蓄積されている。」との記載、段落【0044】の「ユーザは、マンマシン手段110の入力画面1101で、対象となるコイル番号と、そのコイルの通過長変換したい信号名(実績データの種別)を複数、それぞれ入力欄1103~1108に入力する。次いで、同じ画面の「通過長変換」ボタン1109をクリックすると、画面が出力画面1102に切り替わり、各信号を通過長変換した結果が表示される。」との記載を踏まえると、引用文献1には、「マンマシン手段110の入力欄に入力されたコイル番号とそのコイルの通過長変換したい信号名(実績データの種別)に基づいて、時系列テーブル103から、指定されたコイル番号に該当するコイル識別データを持つ、指定された信号名の実績データを読み出して、各信号を通過長変換した結果をマンマシン手段110に表示する表示工程」が記載されているといえる。 オ 段落【0044】の「・・・各信号を通過長変換した結果が表示される。図では#1入側板厚、#1出側板厚~#4出側板厚の5つの信号が通過長を横軸にして表示されている。コイル長は圧延の過程で変化するが、横軸のx(l)を圧延後のコイル全長に変換した値で表示することにより、見かけ上同一コイル長のデータとして比較表示できる。」との記載、段落【0024】の「x(l)は、メジャリングロール139で検出した圧延前の全長である。」との記載、及び、【図11】の出力画面1102の記載を踏まえると、引用文献1には、「圧延前のコイル全長を、圧延後のコイル全長に変換した値で表示するように、各信号の通過長変換を行うことにより、見かけ上同一コイル長のデータとして比較表示できるものである」ことが記載されているといえる。 (3)引用発明 上記記載事項(2)ア~オより、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「複数の圧延スタンドにおける圧延工程を経て母材から(製品である)コイルを製造する製造工程において、取得された圧延時の複数の実績データを表示する実績データ表示方法であって、 圧延工程の各圧延スタンドに備えられたセンサにより、当該センサが設置された複数の位置での入側板厚及び複数の出側板厚を10秒間隔で測定する測定工程と、 前記各圧延スタンドに備えられたセンサにより測定された入側板厚及び複数の出側板厚を、それぞれ、コイル番号に対応づけられるコイル識別データ及びコイル先頭からの距離データに関連付けて、時系列テーブル103として、表示用データベース102に蓄積する蓄積工程と、 マンマシン手段110の入力欄に入力されたコイル番号とそのコイルの通過長変換したい信号名(実績データの種別)に基づいて、時系列テーブル103から、指定されたコイル番号に該当するコイル識別データを持つ、指定された信号名の実績データを読み出して、各信号を通過長変換した結果をマンマシン手段110に表示する表示工程と、 を含み ここで、表示工程は、圧延前のコイル全長を、圧延後のコイル全長に変換した値で表示するように、各信号の通過長変換を行うことにより、見かけ上同一コイル長のデータとして比較表示できるものである、 実績データ表示方法。」 2 引用文献2について (1)引用文献2に記載された事項 引用文献2には、p63~65の「3. 時系列データの収集・解析システム」の項に、以下の事項が記載されている。 ア 「それではまず、Wonderwareパッケージ製品を活用した時系列データの収集・解析システムのパッケージ構成を示す(図2)。これはいわゆる製造データの履歴データベースシステムであり、データ収集はスキャンベースの「DAServer / IOServer」、「IAS(Industrial Application Server)」で行い、そのデータは、そのシステムの中核をなしている「IndSQL(Industrial SQL Server)」に保管する。 そしてその保管されたデータを活用する専用のクライアントツールが「ActiveFactory」である。IndSQLは、Microsoft SQL Serverをベースとした、さまざまな製造プラントに適用する工業用リレーショナル履歴データベースであり、1998年にWonderwareがリリースしたものである。 一般のリレーショナル・データベース(RDB)では高速サンプリングデータの記録は、そのパフォーマンス上難しい。また、短周期であることはデータ量の爆発的増大となり、その長期保管とデータ抽出パフォーマンスにも問題を生じる。 たとえば、鉄鋼圧延プラントでは板厚チャートをペンレコーダで紙上に記録し保管することで板厚品質を保証しているが、このペンレコーダのペンの応答性は約30msecである。つまり、この板厚チャートをペンレコーダに代えて電子データで記録保管するには、30msecより短い周期でのデータ収集と記録が必要になる。1998年当時のWindows PCでも、収集データをメモリ上に展開することで、30msec以内でデータ収集することは可能であった。しかし、メモリ上に展開収集されたデータをハードディスクに保管する際に、一般のRDBに保管しようとするとパフォーマンス問題に直面することになった。」 イ 「結局、一般のRDBは使用せず、Microsoft Access等のもっと簡易なDBを適用するか、または単なるフラットファイル形式で保管し、そのデータの検索・活用機能は別途スクラッチ開発していた。また、膨大なデータ量の長期保管という問題については、たとえば、前述の板厚データを1点2バイトとして30msec周期で収集しそのデータだけをそのままディスクに保管する場合、1ヵ月で172メガバイト、1年間で2ギガバイト、100点で10年間なら2テラバイトと膨大な量となる。 IndSQLも結局、履歴データはメモリ上に展開し、一定周期でディスク上にフラットファイル形式で記録することでパフォーマンスを確保している(図3)。IndSQLの特筆すべき点は、そのメモリ上およびディスク上の履歴データの検索をMicrosoft SQL Serverの検索エンジンを活用して行え、SQL構文で容易に抽出できることである。 さらに、IndSQLの専用クライアントソフトであるActiveFactoryを用いれば、SQLを知らなくてもQuery Wizard機能で必要項目をマウスでクリックするだけで自動的にSQL構文が生成され、それをコピーしてMicrosoft Excel等のVBAで利用できる。過去の任意データの履歴トレンド表示から現時点のライブデータのトレンド表示まで可能で、かつExcel、Wordへアドオンして容易に解析やレポート作成が行える(図4)。 また、膨大なデータの保管については、データごとに収集属性やデッドバンドの設定、Swinging Door(昨年秋にリリースされた最新版IndSQL Server 9.0より新たに追加された機能)の設定により、値が変化しないデータは記録しない、傾向が変化しないデータは記録しないなど、無駄な記録を抑制できる。図5は、168個の生データの履歴・傾向をSwinging Doorの設定により9個で極めて精度よく表現できることを示している。なお、IndSQLに保管されたデータはディスク上でフラットファイルとして生成されているため、データバックアップやリストアも容易である。」 (2) 引用文献2に記載されているといえる事項 ア 上記(1)ア、イの記載からみて、引用文献2には「圧延プラントの板厚チャートを記録するにあたりフラットファイル形式でデータベースに記録すること」(引用文献2記載事項1)が記載されているといえる。 イ 上記(1)ア、イの記載からみて、引用文献2には「フラットファイルとして記録された圧延プラントの板厚チャートを検索し、トレンド表示すること」(引用文献2記載事項2)が記載されているといえる。 3 引用文献3について (1)引用文献3に記載された事項 引用文献3のp.099下段のコラム「FAQ 理恵のあれも知りたい、これも知りたい」には、以下の事項が記載されている。 「テキストファイルとは? 先日、ちょっと早めに出動したら、N君、K君、S君とFAQ里恵がすでに会社にいました。彼女がこんなに早いのは珍しいと思ったら、夕べ4人で胡麻焼酎を抱えながら鍋をつつき、そのままN君宅から出動してきたそうです(すご~い)。このコーナーでは新人役のFAQ里恵もいつの間にか入社5年目。会社では姉御のような存在になっています。 里恵:テキストファイルとCSVファイルやフラットファイルってどう違うの? 先輩:呼び方の違いかなぁ。テキストファイルとフラットファイルが区切り記号方式、固定長方式の両方を指すのに対し、CSVファイルは区切り記号方式のみを指す、という違いはあるけどね。 里恵: 3つともASCIIコードやシフトJISコード、UNICODEなどの文字コードがベタで格納されているファイルなのですね。 先輩:うん。ただ複数の項目をずらずらと並べただけだと項目と項目の区切りが分からないだろう? そこで項目と項目をカンマなどの区切り記号文字で分けたものが「区切り記号方式」なんだ。」 (2) 引用文献3に記載されているといえる事項 上記(1)の記載からみて、引用文献3には、「フラットファイルとテキストファイルは同じものであり、フラットファイルの概念にCSVファイルは含まれる」(引用文献3記載事項)ことが記載されているといえる。 第5 対比・判断 本願発明と引用発明とを対比する。 1 対比 (1)「圧延工程を含む複数の工程を経て材料から金属製品を製造する製造プロセスにおいて、取得された複数の製造実績データを表示するデータ表示処理方法であって」について 引用発明の「母材」、「(製品である)コイル」は、それぞれ本願発明における「材料」、「金属製品」に相当することは明らかである。 また、引用発明の「取得された圧延時の複数の実績データ」は、圧延時に測定された板厚などであるから、本願発明の「取得された複数の製造実績データ」に相当する。 そうすると、引用発明における「複数の圧延スタンドにおける圧延工程を経て母材から(製品である)コイルを製造する製造工程において、取得された圧延時の複数の実績データを表示する実績データ表示方法」は、以下に示す相違点を除き、本願発明における「圧延工程を含む複数の工程を経て材料から金属製品を製造する製造プロセスにおいて、取得された複数の製造実績データを表示するデータ表示処理方法」に相当する。 (2)「前記製造プロセスの各工程に設置された複数の計測機器により、材料長さ方向の複数の材料長さ位置での計測値を所定のデータ取得間隔で取得するデータ取得工程と」について 引用発明における「(製造工程における)圧延工程の各圧延スタンドに備えられたセンサ」は、板厚(入側板厚及び複数の出側板厚)を測定するものであるから、本願発明の「製造プロセスの各工程に設置された複数の計測機器」に相当する。 そして、上記「(製造工程における)圧延工程の各圧延スタンドに備えられたセンサ」は、圧延工程における母材の進行方向、つまり、母材の長さ方向の複数の位置での板厚(入側板厚及び複数の出側板厚)を10秒間隔で測定しているのであるから、引用発明における「圧延工程の各圧延スタンドに備えられたセンサにより、当該センサが設置された複数の位置での入側板厚及び複数の出側板厚を10秒間隔で測定する測定工程」は、本願発明における「前記製造プロセスの各工程に設置された複数の計測機器により、材料長さ方向の複数の材料長さ位置での計測値を所定のデータ取得間隔で取得するデータ取得工程」に相当する。 (3)「前記各計測機器により取得された計測値を、それぞれ、前記材料毎に、前記金属製品を特定するための製品特定情報及び当該計測値が取得された材料長さ位置と関連付けて、テキストデータとして製造実績データ記憶部に記録するデータ記録工程と」について 上記(1)及び(2)で整理した事項を踏まえると、引用発明の「前記各圧延スタンドに備えられたセンサにより測定された入側板厚及び複数の出側板厚」、「コイル番号に対応づけられるコイル識別データ」、「コイル先頭からの距離データ」は、それぞれ、本願発明の「前記各計測機器により取得された計測値」、「前記金属製品を特定するための製品特定情報」、「当該計測値が取得された材料長さ位置」に相当することは明らかである。 そして、引用発明においては、上記「前記各圧延スタンドに備えられたセンサにより測定された入側板厚及び複数の出側板厚」、「コイル番号に対応づけられるコイル識別データ」、「コイル先頭からの距離データ」は、関連付けられて表示用データベース102に時系列テーブル103として蓄積されるのであるから、前記「表示用データベース102」は、本願発明における「製造実績データ記憶部」に相当する。さらに、上記「蓄積」との文言は、「記録」と言い換えることが可能であることは明らかである。 してみると、本願発明と引用発明は、「前記各計測機器により取得された計測値を、それぞれ、前記金属製品を特定するための製品特定情報及び当該計測値が取得された材料長さ位置と関連付けて、製造実績データ記憶部に記録するデータ記録工程」を備える点で共通している。 一方、本願発明においては、データ記録工程において「前記材料毎に、」という事項、及び、「テキストデータとして」との事項が特定されているのに対し、引用発明の「蓄積工程」には、かかる事項が特定されていない点で両発明は相違している。 (4)「前記製品特定情報に基づいて前記製造実績データ記憶部から同一の金属製品についてのテキストデータを特定し、前記特定されたテキストデータから表示対象として選択された少なくとも1つ以上のテキストデータを表示装置に表示する表示工程と」について 引用発明の表示工程は「マンマシン手段110の入力欄に入力されたコイル番号とそのコイルの通過長変換したい信号名(実績データの種別)に基づいて、時系列テーブル103から、指定されたコイル番号に該当するコイル識別データを持つ、指定された信号名の実績データを読み出して、各信号を通過長変換した結果をマンマシン手段110に表示する」ものであって、前記「マンマシン手段110」は、本願発明の「表示装置」に相当し、さらに、上記(3)で整理したとおり、前記「コイル番号に該当するコイル識別データ」は、本願発明の「製品特定情報」に相当する。そして、前記「時系列テーブル103」は、本願発明の「製造実績データ記憶部」に相当する「表示用データベース102」の一部であることは明らかである。 また、前記「指定されたコイル番号に該当するコイル識別データを持つ、指定された信号名の実績データを読み出して、」との事項において、前記実績データを読み出すためには当該実績データを特定するとの事項は必須であることも明らかである。 さらに、前記「コイル番号とそのコイルの通過長変換したい信号名(実績データの種別)」は、本願発明1の「表示対象として選択された」ものに対応することも明らかである。 してみると、本願発明と引用発明は、「前記製品特定情報に基づいて前記製造実績データ記憶部から同一の金属製品についてのデータを特定し、前記特定されたデータから表示対象として選択された少なくとも1つ以上のデータを表示装置に表示する表示工程」を備える点で共通している。 一方、上記(3)で言及した相違点に関連して、本願発明においては、表示工程において取り扱うデータは「テキストデータ」である旨特定されているのに対し、引用発明の「表示工程」には、かかる事項が特定されていない点で両発明は相違している。 (5)「前記表示工程において複数のテキストデータを表示させる場合、前記テキストデータにおける前記材料長さが、任意に設定される基準長さとなるように、前記材料長さと前記基準長さとの比率に基づき前記データ取得間隔を補正し、前記選択された複数のテキストデータを同一の尺度で前記表示装置に表示させる」について 引用発明において、「表示工程」は、「圧延前のコイル全長を、圧延後のコイル全長に変換した値で表示するように、各信号の通過長変換を行うことにより、見かけ上同一コイル長のデータとして比較表示できるものである」ものであるから、前記「圧延前のコイル全長」、及び、「圧延後のコイル全長」は、それぞれ本願発明の「(テキストデータにおける)材料長さ」、「任意に設定される基準長さ」に対応する。 さらに、前記「各信号を通過長変換した結果は、・・・見かけ上同一コイル長のデータとして比較表示できる」との事項における「各信号を通過長変換した結果」は、本願発明の「表示工程において複数のデータを表示させる場合」という点で共通する事項であり、前記見かけ上同一コイル長のデータとして比較表示できる」は、本願発明の「前記選択された複数のデータを同一の尺度で前記表示装置に表示させる」という点で共通する事項である。 してみると、本願発明と引用発明は、「前記表示工程において複数のデータを表示させる場合、前記データにおける前記材料長さが、任意に設定される基準長さとなるように、前記選択された複数のデータを同一の尺度で前記表示装置に表示させる」点で共通している。 一方、上記(3)及び(4)で言及した相違点に加えて、本願発明においては、「前記材料長さと前記基準長さとの比率に基づき前記データ取得間隔を補正し、」との事項が特定されているのに対し、引用発明には、かかる事項が特定されていない点で両発明は相違している。 (6)「前記複数のテキストデータが、前記製造プロセスにおける同じ工程の現在の製造実績と過去の製造実績のテキストデータ、および/または、前記製造プロセスの各工程から選ばれる複数の工程であって異なる工程のテキストデータ、を含む、」について 上記(3)~(5)で言及したように、本願発明のデータ表示処理方法で取り扱うデータは「テキストデータ」であるのに対して、引用発明の実績データ表示方法で取り扱うデータがテキストデータである旨特定されておらず、さらに、当該実績データについて、本願発明で特定されている「前記複数のテキストデータが、前記製造プロセスにおける同じ工程の現在の製造実績と過去の製造実績のテキストデータ、および/または、前記製造プロセスの各工程から選ばれる複数の工程であって異なる工程のテキストデータ、を含む、」との事項は文言上特定されていない点で、本願発明と相違している。 2 一致点・相違点 上記「1 対比」で検討したように、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。 (一致点) 「圧延工程を含む複数の工程を経て材料から金属製品を製造する製造プロセスにおいて、取得された複数の製造実績データを表示するデータ表示処理方法であって、 前記製造プロセスの各工程に設置された複数の計測機器により、材料長さ方向の複数の材料長さ位置での計測値を所定のデータ取得間隔で取得するデータ取得工程と、 前記各計測機器により取得された計測値を、それぞれ、前記金属製品を特定するための製品特定情報及び当該計測値が取得された材料長さ位置と関連付けて、製造実績データ記憶部に記録するデータ記録工程と、 前記製品特定情報に基づいて前記製造実績データ記憶部から同一の金属製品についてのデータを特定し、前記特定されたデータから表示対象として選択された少なくとも1つ以上のデータを表示装置に表示する表示工程と、 を含み、 前記表示工程において複数のデータを表示させる場合、 前記データにおける前記材料長さが、任意に設定される基準長さとなるように、前記選択された複数のデータを同一の尺度で前記表示装置に表示させる、 データ表示処理方法。」 (相違点1) 本願発明の「データ記録工程」及び「表示工程」で取り扱うデータは「テキストデータ」であるのに対し、引用発明の「蓄積工程」及び「表示工程」で取り扱うデータについてはテキストデータである旨特定されていない点。 (相違点2) 本願発明の「データ記録工程」には、「前記材料毎に、」との事項が特定されているのに対し、引用発明の「蓄積工程」には、かかる事項が特定されていない点。 (相違点3) 本願発明においては、選択された複数のテキストデータを同一の尺度で表示装置に表示させるに際して、「前記材料長さと前記基準長さとの比率に基づき前記データ取得間隔を補正」するとの事項が特定されているのに対し、引用発明においては、かかる事項が特定されていない点。 (相違点4) 本願発明には、「前記複数のテキストデータが、前記製造プロセスにおける同じ工程の現在の製造実績と過去の製造実績のテキストデータ、および/または、前記製造プロセスの各工程から選ばれる複数の工程であって異なる工程のテキストデータ、を含む、」との事項が特定されているのに対し、引用発明には、かかる事項が特定されていない点。 3 判断 (1)相違点1について 引用文献2記載事項1に示したように「圧延プラントの板厚チャートを記録するにあたりフラットファイル形式でデータベースに記録すること」は本願出願時点で公知であり、そして、引用文献3記載事項にあるように「フラットファイルとテキストファイルは同じもの」であることを考慮すると、圧延プラントにおいて、板厚をテキストデータ(テキストファイル)でデータベースに記録することは、本願出願前において通常に行われている事項であると推認される。 してみると、引用発明の「蓄積工程」及び「表示工程」で取り扱うデータをテキストデータとすることは、当業者が容易に想到できたものである。 (2)相違点2について 本願発明における「データ記録工程」について、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)には、次の記載がある。 「【0036】 製品管理記憶部40は、製造プロセスにて製造される金属製品の製造条件を記憶するデータベースである。製品管理記憶部40は、少なくとも、金属製品に固有の製品番号と、当該金属製品に対応する各工程の材料に固有の材料番号と、を含む。さらに、製品管理記憶部40は、各工程での材料長さや、各工程で実施された検査結果等を記憶してもよい。」 「【0045】 (S110:データ記録工程) プロセスコントローラ20は、計測機器群10から入力された各計測値を、製造実績データとして製造実績データ記憶部30に記録する(S110)。プロセスコントローラ20は、計測機器群10から入力された計測値を、計測機器毎に、製品単位で、計測値を取得した材料長さ位置と関連付けてテキストデータとして製造実績データ記憶部30に記録する。」 上記段落【0045】の記載によれば、「データ記録工程」は、「製品」単位で「材料長さ位置」と「計測値」を記録するものであり、上記段落【0036】の記載によれば、「製品番号」と「材料番号」は対応づけられるものであるから、本願発明の「データ記録工程」において、「前記材料毎に、前記金属製品を特定するための製品特定情報及び当該計測値が取得された材料長さ位置と関連付けて」記録するとは、「(材料番号と対応する)製品」単位で「材料長さ位置」と「計測値」を記録することであると言い換えることができる内容である。 してみると、引用発明における「前記各圧延スタンドに備えられたセンサにより測定された入側板厚及び複数の出側板厚を、それぞれ、コイル番号に対応づけられるコイル識別データ及びコイル先頭からの距離データに関連付けて、時系列テーブル103として、表示用データベース102に蓄積する蓄積工程」について、上記「第5 1(3)」で整理したとおり、前記「前記各圧延スタンドに備えられたセンサにより測定された入側板厚及び複数の出側板厚」、「コイル番号に対応づけられるコイル識別データ」、「コイル先頭からの距離データ」は、それぞれ、本願発明の「データ記録工程」における「(前記各計測機器により取得された)計測値」、「(前記金属製品を特定するための)製品特定情報」、「(当該計測値が取得された)材料長さ位置」に相当するのであるから、引用発明における上記「蓄積工程」は、「製品特定情報」単位で「材料長さ位置」と「計測値」を記録(蓄積)すると言い得るものである。 よって、上記相違点2は実質的な相違点ではない。 (3)相違点3について 本願発明における「表示工程」について、明細書等には以下の記載がある。 「【0057】 そして、表示処理部63は、基準データ以外のテキストデータにおける材料長さが基準長さとなるように、材料長さと基準長さとの比率に基づき、データ取得間隔を補正し、すべての計測値の表示の尺度を同一にする(S170)。そして、表示処理部63は、同一の尺度に補正された各材料長さ位置における計測値のグラフを、出力装置70に一覧表示させる(S180)。 【0058】 表示工程の具体例を図5に示す。図5では、図1に示した線材製造プロセスの連続鋳造工程、分塊圧延工程及び製品検査/精整工程にて取得された計測値を、一覧表示させる場合を想定する。図5に示すように、連続鋳造工程、分塊圧延工程及び製品検査/精整工程の各工程における材料5の材料長さは、それぞれ異なり、後工程となるにつれて長くなる。例えば、連続鋳造工程の材料長さが5m、分塊圧延工程の材料長さが10m、製品検査/精整工程の材料長さが1000mであったとする。材料長さが中央値である分塊圧延工程に設置された計測機器Bの計測値を基準データとすると、表示処理部63は、連続鋳造工程の材料長さを2倍にし、製品検査/精整工程の材料長さを1/1000倍にして、各計測値をグラフで表す。これにより、3つの計測値を同一の尺度で表すことができる。」 上記段落【0057】では、「基準データ以外のテキストデータにおける材料長さが基準長さとなるように、材料長さと基準長さとの比率に基づき、データ取得間隔を補正し、すべての計測値の表示の尺度を同一にする」とあり、上記段落【0058】には、その具体例として、材料長さが異なる計測値を表示させるにあたり、「材料長さが中央値」である工程の「計測値」を「基準データ」とし、「材料長さが中央値」である工程の材料長さと他の工程との材料長さの比に基づいて、他の工程の材料長さを1/1000倍に縮める、あるいは2倍に伸ばすような補正をして「3つの計測値を同一の尺度」で表示させることが記載されている。 そうすると、本願発明における、「前記テキストデータにおける前記材料長さが、任意に設定される基準長さとなるように、前記材料長さと前記基準長さとの比率に基づき前記データ取得間隔を補正」をすることは、表示の際に「材料長さ」が「任意に設定される基準長さ」となるように、「材料長さ」と、「基準長さ」との比率に基づき「材料長さ」を伸縮させ、取得した各データが「基準長さ」における各データとなるように表示する補正を行うことを意味するものと解される。 してみると、引用発明における「表示工程は、圧延前のコイル全長を、圧延後のコイル全長に変換した値で表示するように、各信号の通過長変換を行うことにより、見かけ上同一コイル長のデータとして比較表示できるものである」ことについて、上記「第5 1(5)」で整理したとおり、引用発明における「圧延前のコイル全長」、「圧延後のコイル全長」は、明細書等の記載を踏まえて解される本願発明の表示工程における「材料長さ」、「任意に設定される基準長さ」に相当するのであるから、引用発明における「上記表示工程」は、「材料長さ」と、「任意に設定される基準長さ」との比率に基づき「材料長さ」を伸縮させ、取得した各データが「基準長さ」における各データとなるように表示する補正を行うと言い得るものである。 よって、相違点3は実質的な相違点ではない。 (4)相違点4について 本願発明の「前記複数のテキストデータ」については、「前記製造プロセスにおける同じ工程の現在の製造実績と過去の製造実績のテキストデータ」と「前記製造プロセスの各工程から選ばれる複数の工程であって異なる工程のテキストデータ」が「および/または」で接続されていることから、「前記複数のテキストデータ」が「前記製造プロセスの各工程から選ばれる複数の工程であって異なる工程のテキストデータ」のみである場合を含むものである。 一方、引用発明において、各信号を通過長変換した結果をマンマシン手段110に比較表示するに際しては、「コイル番号とそのコイルの通過長変換したい信号名(実績データの種別)」をマンマシン手段110の入力欄に入力する。ここで、前記「そのコイルの通過長変換したい信号名(実績データの種別)」とは、【図11】に示されているように、例えば「#1入側板厚」、「#1出側板厚」、「#2出側板厚」、「#3出側板厚」、「#4出側板厚」であり、これらの信号名は、製造工程における圧延工程の各圧延スタンドに備えられたセンサにより測定されたデータを指定するものである。そうすると、前記「製造工程における圧延工程の各圧延スタンド」は、本願発明の「前記製造プロセスの各工程」に対応し、前記「そのコイルの通過長変換したい信号名(実績データの種別)」は、本願発明の「(前記製造プロセスの各工程から)選ばれる複数の工程であって異なる工程」に対応する。 してみると、引用発明において、マンマシン手段110に比較表示される各信号を通過長変換した結果は、本願発明の「前記製造プロセスの各工程から選ばれる複数の工程であって異なる工程のデータ」に対応するものである。 以上、整理した事項を踏まえると、上記相違点4は、結局のところ、上記(1)と同様に取り扱うデータがテキストデータである旨特定されているか否かという点である。 そして、上記(1)ですでに検討したように、引用発明の「蓄積工程」及び「表示工程」で取り扱うデータをテキストデータとすることは、当業者が容易に想到できたものである。 4 作用効果について そして、上記相違点を勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2及び3に記載の技術事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 5 請求人は、令和8年1月26日に提出した意見書において、次の主張1~2のとおり主張している。 主張1:本願発明構成Gの「前記複数のテキストデータが、前記製造プロセスにおける同じ工程の現在の製造実績と過去の製造実績のテキストデータ、および/または、前記製造プロセスの各工程から選ばれる複数の工程であって異なる工程のテキストデータ、を含む」について、引用文献1には、かかる構成が記載されていない。(意見書の「3-2(2-1)」、「3-4(2-4)」) また、引用文献1に引用文献2,3を組み合わせる動機づけがあると仮定しても、少なくとも本願発明構成Gを想到することはできない。(意見書の「3-4(2-1)」) 引用文献1は、圧延工程のみであって同一素材の圧延(同時の製造実績)に係る内容を開示するものであり、計測機器が新設あるいは変更があった場合や、異なる製造工程に設置された計測機器同士などの、管理メッシュが異なる複数のデータを用いる場合のメンテナンス負荷を低減するという本願発明の課題を示唆しない。(意見書の「3-4(2-4)」) 主張2:本願発明構成Cの「各計測値を、材料毎に、製品特定情報及び材料長さ位置と関連付けてテキストデータとして保管」について、引用文献1には、かかる構成が記載されていない。(意見書の「3-2(2-2)」) また、当審拒絶理由では引用文献1に引用文献2を組み合わせることで進歩性を否定しているが、組み合わせる動機づけは無い。(意見書の「3-4(2-1)」) (主張1について) 上記主張1に関しては、上記3(4)に示したとおりであり、請求人の上記主張1は採用できない。 (主張2について) 上記主張2については、引用発明と引用文献2記載事項は、何れも「圧延プラント」の計測データに関する処理を目的とするものであり、引用発明に引用文献2記載事項を組み合わせる動機づけがないとはいえない。 したがって、請求人の上記主張2は採用できない。 6 小括 したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2及び3に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-005252

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