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特許拒絶査定不服審判

2015-002029

フッ素重合体多層光学フィルム並びにその作成方法及び使用方法

審判番号
2015-002029
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2011-544478外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2015年02月02日
審決日
2016年09月30日
公報発行日
2017年04月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G02B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2011-544478「フッ素重合体多層光学フィルム並びにその作成方法及び使用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 7月 8日国際公開、WO2010/078064、平成24年 6月21日国内公表、特表2012-514237〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1 手続の経緯・本願発明 (1)手続の経緯 本願は、2009年12月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年12月30日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成24年12月14日付けで手続補正がなされ、平成25年11月22日付けで拒絶の理由が通知され、平成26年4月30日付けで手続補正がなされるとともに意見書が提出され、同年9月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成27年2月2日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされ、当審において、平成28年1月28日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月2日に手続補正がなされるとともに意見書が提出されたものである。 (2)本願発明 本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成28年8月2日になされた手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載の事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲に記載されたとおりの次のものであると認める。 「光学スタックを含む多層光学フィルムであって、前記光学スタックが、 a)フッ化ビニリデンの単独重合体又はエチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体からなる第1のフッ素重合体材料からなる第1の光学層と、 b)前記第1のフッ素重合体材料より低い屈折率を有する第2のフッ素重合体材料を含む第2の光学層と からなり、 前記第1の光学層の少なくとも一部分及び前記第2の光学層の少なくとも一部分が密接しており、 前記光学スタックが、交互層ペアとして配列されている、前記第1の光学層と前記第2の光学層からなる層ペアからなり、前記層ペアが700nmを超える波長の約2分の1の光学厚さを有し、 前記光学スタックが、90度の入射角での700nmを超える一つの波長の少なくとも30パーセントを反射することにより、700nmを超える波長の少なくとも一部分を反射し、 前記光学スタックが、90度の入射角での約400nm~700nmの一つの波長の少なくとも30パーセントを透過することにより、約400nm~700nmの波長の少なくとも一部分を透過し、且つ 前記第1のフッ素重合体材料と前記第2のフッ素重合体材料の間の屈折率差が0.03未満である、 多層光学フィルム。」(以下「本願発明」という。) 2 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由は概ね次のとおりである。 本件出願の平成27年2月2日付けで手続補正された請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特表平8-503312号公報 引用文献1に記載された発明において、物体の交互層の材料を例示された樹脂の中から適宜選択することは当業者の設計的事項であり、当該交互層の材料として、例示された具体的な樹脂を採用することで、本願の請求項1に係る発明と同様に、「第1の光学層」及び「第2の光学層」が、それぞれ「第1のフッ素重合体材料」及び「第2のフッ素重合体材料」を含むようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。 3 引用例の記載事項 本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布され、当審拒絶理由で引用文献1として引用された刊行物である特表平8-503312号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が図とともに記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。 (1)「【特許請求の範囲】 1. 可視スペクトルの実質的な全範囲にわたり実質的に均一な反射外観を呈し、少なくとも第1および第2の異種高分子物質を含み、物体に入射する可視光の少なくとも40パーセントを反射させるように前記第1および第2高分子物質の十分な数の交互層を含む成形可能な高分子多層反射物体で、該物体の個々の層の大部分は、前記高分子物質の繰返し単位の光学的厚さの合計が190nmを上回る範囲内の光学的厚さを有する物体において、該第1および第2高分子物質は屈折率が互いに少なくとも0.03異なり、さらに、層が、少なくとも1.25の予め定めた延伸比の少なくとも190nmから340nmの光学的繰返し単位の厚さ倍の範囲にわたる光学的層の繰返し単位の厚さの勾配を有するとともに、該物体に対して可視スペクトルの実質的な全範囲にわたり実質的に均一な反射外観を維持することを特徴とする成形可能な高分子多層反射物体。 2. 前記光学的層の繰返し単位の厚さの勾配が2より大きいことを特徴とする請求項1の成形可能な高分子多層反射物体。 3. 前記第1および第2の高分子物質が繰返し単位ABを有し、第1および第2高分子物質の光学的厚さの比が2:1であることを特徴とする請求項1の成形可能な高分子多層反射物体。 4. 前記光学的層の繰返し単位の厚さの勾配が380nmから2000nmの範囲にわたる実質的に連続な波長の有効範囲を与える関数であることを特徴とする請求項1の成形可能な高分子多層反射物体。 5.前記光学的層の繰返し単位の厚さの勾配が一次関数であることを特徴とする請求項1の成形可能な高分子多層反射物体。 6. 前記光学的層の繰返し単位の厚さの勾配が四次関数であることを特徴とする請求項1の成形可能な高分子多層反射物体。 7. 前記光学的層の繰返し単位の厚さの勾配が、線状勾配上に付加された四次関数であることを特徴とする請求項1の成形可能な高分子多層反射物体。 8. 前記物体の個々の層の大部分が、前記高分子物質の繰返し単位の光学的厚さの合計が190nmないし1700nmである範囲内の光学的厚さを有することを特徴とする請求項1の成形可能な高分子多層反射物体。 ・・・略・・・ 26. 可視スペクトルの実質的な全範囲にわたり実質的に均一な反射外観を呈し、少なくとも第1および第2の異種高分子物質を含み、物体に入射する可視光の少なくとも40パーセントを反射させるように前記第1および第2高分子物質の十分な数の交互層を含む成形可能な高分子多層反射物体で、該物体の個々の層の大部分は、前記高分子物質の繰返し単位の光学的厚さの合計が約190nmを上回る範囲内の光学的厚さを有する物体において、該第1および第2高分子物質は屈折率が互いに少なくとも約0.03異なり、さらに層が、前記光学的層のもっとも薄い繰返し単位およびもっとも厚い繰返し単位からの一次反射の波長が少なくとも2倍異なるように、光学的層の繰返し単位の厚さの勾配を有することを特徴とする成形可能な高分子多層反射物体。 27. 前記高分子物質がエラストマーであることを特徴とする請求項26の成形可能な高分子多層反射物体。 28. 前記光学的層の繰返し単位の厚さの勾配が380nmから2000nmの範囲にわたる実質的に連続な波長有効範囲を与える関数であることを特徴とする請求項26の成形可能な高分子多層反射物体。 29. 前記光学的層の繰返し単位の厚さの勾配が一次関数であることを特徴とする請求項26の成形可能な高分子多層反射物体。 30. 前記光学的層の繰返し単位の厚さの勾配が四次関数であることを特徴とす請求項26の成形可能な高分子多層反射物体。 31. 前記光学的層の繰返し単位の厚さの勾配が線状勾配上に付加され四次関数であることを特徴とする請求項26の成形可能な高分子多層反射物体。 32. 前記物体の個々の層の大部分が、前記高分子物質の繰返し単位の光学的厚さの合計が190nmないし1700nmである範囲内の光学的厚さを有することを特徴とする請求項26の成形可能な高分子多層反射物体。 33. 前記層が薄くなると前記物体の反射率が変化することを特徴とする請求項26の成形可能な高分子多層反射物体。 34. 物体が少なくとも1000層を有することを特徴とする請求項26の成形可能な高分子多層反射物体。 35. 前記物体に入射する可視光の少なくとも80パーセントを反射させることを特徴とする請求項26の成形可能な高分子多層反射物体。 36. 光を異方に反射させ、偏光面の可視光の少なくとも50パーセントを反射させるように、少なくとも第1および第2の異種高分子物質の重複層を含む複屈折光偏光子で、該偏光子の個々の層の大部分は、前記高分子物質の繰返し単位の光学的厚さの合計が約190 nmを上回る範囲内の光学的厚さを有する偏光子において、該第1および第2高分子物質は、屈折率が互いに少なくとも約0.03 異なり、さらに層が、少なくとも約1.25の予定絞り比の少なくとも 190nmから340 nmの光学的層の繰返し単位の厚さ倍の範囲にわたる光学的層の繰返し単位の厚さ倍の勾配を有することを特徴とする複屈折光偏光子。 37. 可視スペクトルの実質的な全範囲にわたり実質的に均一な反射外観を呈すると同時に、シートの表面全体に可変反射率を有し、少なくとも第1および第2の異種高分子物質を含み、前記シートに入射する可視光の少なくとも一部分を反射させるように前記第1および第2高分子物質の十分な数の交互層を含む成形可能な高分子多層可変反射シートで、該シートの個々の層の大部分が、前記高分子物質の繰返し単位の光学的厚さの合計が約 190nmを上回る範囲内の光学的厚さを有するシートにおいて、該第1および第2高分子物質は、屈折率が互いに少なくとも 0.03 異なり、さらに、個々の層は、前記シートに斜めに厚さが異なりかつ該層が、前記光学的層のもっとも薄い繰返し単位およびもっとも厚い繰返し単位からの一次反射の波長が少なくとも2倍異なるような光学的層の繰返し単位の厚さの勾配を有することを特徴とする成形可能な高分子多層可変反射シート。」(2頁1行~6頁2行) (2)「【発明の詳細な説明】 成形可能な反射多層物体 この発明は像の鮮明さおよびスペクトルの実質的な全可視範囲にわたり高反射率を示す(すなわち、実質的に無色の)成形可能な多層高分子物体ならびに、ミラー、レフレクターや他の反射物品および装飾品、レンズならびに偏光子として用いることができる該物体からつくった物品に関する。」(7頁1行~6行) (3)「この発明の1つの態様によれば、少なくとも第1および第2の異種高分子物質を含む成形可能な多層反射高分子物体が提供され、該物体は、物体に入射する可視光の少なくとも40%を反射させるように、第1および第2高分子物質の十分な数の交互層を含んでいる。「物体に入射する可視光の少なくとも40パーセント」という用語は、前述のように、無視しうる吸収が生じる波長における反射光を指す。物体は少なくとも1.000 層を有するのが好ましい。ある好ましい態様では、物体に入射する可視光の少なくとも80パーセントを反射させる。 物体中の個々の層の大部分は、高分子物質の繰返し単位の光学的厚さの合計が約190nmを上回るような範囲の光学的厚さを有し、かつ第1および第2高分子物質は屈折率が相互に少なくとも約0.03異なる。典型的な2成分系物体では、高分子物質は、AおよびBが異なる高分子を表わす繰返し単位ABを有する。3成分以上の物体の場合には、たとえばABCBまたはABCABCのような、異なる繰返し単位が可能である。AB繰返し単位を有する好ましい2成分系物体の場合に、繰返し単位中のA成分とB成分との光学的厚さの好ましい比は2:1である。 高分子物休中の層は、少なくとも約1.25の予定絞り比の、少なくとも190nmから340nmの繰返し単位の厚さの範囲に及ぶ光学的層の繰返し単位の厚さ倍の勾配を有するとともに、物体に対する可視スペクトルの実質的は全範囲にわたり実質的に均一の反射外観を維持する。「光学的層の繰返し単位」とは、多肩物体中に規則的な繰返しパターンを構成する高分子物質の層の数を意味する。 たとえば、前記のように、典型的な2成分系物体の場合には、高分子物質はAおよびBが異なる高分子を表わす繰返し単位ABを有する。この繰返し単位ABは光学的層の厚さNAdA+NBdBを有する。式中、NAおよびNBは高分子の屈折率で、dAおよびdBは高分子の層の実際の厚さである。 「絞り比」とは、物体の当初の厚さと最終厚さとの比を意味する。この比は物体を成形する特定形状から容易に求めることができる。熱成形操作では1.25:1以上という絞り比が通常見られるものである。好ましい態様では、光学的層の繰返し単位は、繰返し単位中のもっとも薄い層およびもっとも厚い層からの一次反射の波長が少なくとも2倍異なるような勾配を有する。 光学的層の繰返し単位の厚さの勾配とは、多層堆積中のもっとも薄い光学的繰返し単位ともっとも厚い光学的繰返し単位との間に光学的繰返し単位の厚さの相違があるような物体の厚さに斜めの光学的層の繰返し単位の厚さの変化を意味する。この発明の実施例における光学的層の繰返し単位の厚さの好ましい勾配は、2を上回る勾配であって、堆積中のもっとも厚い光学的層の繰返し単位が、もっとも薄い光学的層の繰返し単位の少なくとも2倍も厚いことを意味する。光学的層の繰返し単位の厚さの勾配は一次関数、対数関数、四次関数、または直線勾配に付加された四次関数であることができる。一般に、光学的層の繰返し単位の厚さの勾配は、予定波長範囲にわたる連続波長の適用範囲をもたらす任意の関数であることができる。 この発明の1つの態様では、物体の個々の層の大部分は、高分子物質の繰返し単位の光学的厚さの合計が190nmないし1700nmである範囲内の光学的厚さを有する。もしくは、物体は、当初、高分子物質の繰返し単位の光学的厚さの合計が約1700nmを上回るような範囲の光学的厚さを有する物質的に多数の個々の層を有することができる。この代りの態様の場合に、当初光学的に厚い層を光学的に薄い方向に薄くすると物体の反射率は大きくなる。」(12頁9行~13頁24行) (4)「この発明は、可視スペクトルの実質的な全範囲にわたり、実質的に均一な反射外観を呈する成形可能な多層反射高分子物体を提供する。該全高分子物体は、また、実質的に均一な反射外観に影響を及ぼさずに、熱成形し、絞り加工して、多くの有用な物品とすることもできる。実質的に均一な無色の反射外観を得るためには、多層物体は、可視光を反射させるのに必要とする以上に及ぶ光学的層の繰返し単位の厚さの勾配を有し、光学的層の繰返し単位の厚さの勾配の大きさは、成形中、高絞り比を可能にするのに必要なほどの大きさである。1つの態様では、物体中の繰返し単位の光学的厚さの大部分は190nmから1700nmまでの光学的厚さの合計を有している。しかし、この発明は、最高3400nmおよびそれ以上の光学的層の繰返し単位の厚さの勾配を包含する。 屈折率の異なる光学的に薄い層からの多重反射に関する光学的理論は、物質の、個々の層の厚さのみならず屈折率に対する影響の依存性を示す。Radford らの「RefIectivity of Iridescent Coextruded Multilayered Piastic Films」、PoIymer Engineering and Science 13,3,pg 216(1973)を参照されたい。2成分多層フィルムの垂直入射にする一次反射の波長は次式で示される。 λ1=2(N1d1+N2d2)(式1) 式中、λ1は一次反射のナノメートル単位の波長である。可視光は380-680mmの範囲にわたる。N1およびN2は2つの高分子の屈折率で、d1およびd2は2つの高分子の層の厚さであり、これもナノメートル単位で表わす。・・・略・・・ 2成分系の場合でわかるように、一次反射の波長は、2つの高分子の光学的厚さの合計に比例する(ここで、光学的厚さは、層の厚さと屈折率との積である)。一次反射に加えて、一次反射の整数分割で(at integer fractions)高次反射が起る。これら高次反射の相対強度は高分子成分の光学的厚さと層の数との比による。 このように、選択された系の場合に、個々の層の物理的厚さの変化は、該層から反射された波長に直接的な影響を及ぼす。多層反射高分子物体が使用できる主な分野の1つは熱成形で製造される反射物品の分野である。高分子シートまたはフィルムの熱成形の結果として、多層構造物中の個々の層は部品の厚さに比例して薄くなる。特定の熱成形操作およびパターンによって、個々の層は、ある部位では、他の部位よりも薄くなる場合がある。たとえば、平らなシートを容器に熱成形しようとすれば、最も鋭い角度または形状を成形させた部分、たとえば容器の底の隅には最大量の薄層化が生じるであろう。 個々の層が薄くなると、該層から反射する光の波長は、さきに示した式によって短かい波長にシフトする。色および真珠光の出現を防ぐために、この発明の多層高分子物体は、可視(380ないし680nm)から近赤外(680ないし3400nm)までの実質的にすべての波長を反射させるように設計するのが好ましい(ある高分子の場合の赤外中のある波長の吸収を無視する)。このように、熱成形操作中のように、この発明の物体の個々の層が薄くなると、当初赤外範囲で反射させた層は薄くなって可視範囲で反射させるので、物体は実質的に均一な反射外観を維持する。当初可視領域で反射させた層は薄くなって、短かい可視波長で反射させるか、または紫外領域で反射させて、透明になる。」(17頁18行~19頁6行) (5)「所定の多層部品にMDRおよび所望の反射率があれば、多層シート構造物の設計を完了することができる。この発明の実施に有用な高分子およびそれぞれの屈折率は前記米国特許第5,122,905号および同第5,122,906号中に列挙された高分子すべてを含んでいる。 米国特許第 5,122,905号は、代表的な屈折率とともに、前記列挙の適当な熱可塑性樹脂を記載し、この発明の実施に使用できる該樹脂には、これに限らないけれども、次のものがある。ペルフルオロアルコキシ樹脂(屈折率=1.35)、ポリテトラフルオロエチレン(1.35)、フッ素化エチレン-プロピレンコポリマー(1.34)、シリコーン樹脂(1.41)、ポリフッ化ビニリデン(1.42)ポリクロロトリフルオロエチレン(1.42)、エポキシ樹脂(1.45)、ポリ(ブチルアクリレート)(1.46)、ポリ(4-メチルペンテン-1)(1.46)、ポリ(酢酸ビニル)(1.47)、エチルセルロース(1.47)、ポリホルムアルデヒド(1.48)、ポリイソブチルメタクリレート(1.48)、ポリメチルアクリレート(1.48)、ポリプロピルメタクリレート(1.48)、ポリエチルメタクリレート(1.48)、ポリエーテルブロックアミド(1.49)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、酢酸セルロース(1.49)、プロピオン酸セルロース(1.49)、セルロースアセテートブチレート(1.49)、硝酸セルロース(1.49)、ポリビニルブチラール(1.49)、ボリプロピレン(1.49)、ポリブチレン(1.50)、サーリン(商標)のようなイオノマー樹脂(1.51)、底密度ポリブチレンリエチレン(1.51)、ポリアクリロニトリル(1.51)、ポリイソブチレン(1.51)、Ecdel(商標)のような熱可塑性ポリエステル(1.52)、天然ゴム(1.52)、ペルブナン(1.52)、ポリブタジエン(1.52)、ナイロン(1.53)、ポリアクリルイミド類(1.53)、ポリ(塩化酢酸ビニル)(1.54)、ポリ塩化ビニル(1.54)、高密度ポリエチレン(1.54)、Zerlon(商標)のようなメチルメタクリレートとスチレンとのコポリマー(1.54)、透明アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー(1.54)、アリルジグリコール樹脂(1.55)、Saran樹脂(商標)のようなポリ塩化ビニリデンとポリ塩化ビニルとの混合物(1.55)、ポリアルファメチルスチレン(1.56)、Dow512-K(商標)のようなスチレン-ブタジエンラテックス(1.56)、ポリウレタン(1.56)、ネオプレン(1.56)、Tyril樹脂(商標)のようなスチレンおよびアクリロニトリルのコポリマー(1.57)、スチレンおよびブタジエンのコポリマー(1.57)、ポリカーボネート(1.59)、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレートグリコールのような他の熱可塑性ポリエステル(1.60)、ポリスチレン(1.60)、ポリイミド(1.60)、ポリ塩化ビニリデン(1.61)、ポリジクロロスチレン(1.62)、ポリスルホン(1.63)、ポリエーテルスルホン(1.65)、およびポリエーテルイミド(1.66)。前記屈折率は波長が異なると若干変る場合がある。たとえば、ポリカーボネートの屈折率はスペクトルの青領域の光に対しては若干高くスペクトルの赤領域の光に対しては若干低い。エチレンとビニルアルコール、スチレンとヒドロキシエチルアクリレート、スチレンと無 水マレイン酸、スチレン-ブタジエンブロックコポリマー、スチレンとメチルメタクリレート、およびスチレンとアクリル酸のような前記樹脂のコポリマーも有用である。他の有用な高分子物質には、ポリエーテルケトン類、ポリブテン、Admer(Mitsui Chemicalsから入手可能)およびPlexar(Quantum Chemicslsからの入手可能)のような無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィンならびにCXA(duPontから入手可能)のようなエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーがある。後者の3種類の高分子は、多層構造物中の他の高分子層を相互に結合させる接着剤層としてとくに有効である。物体の交互層を構成させるための高分子の選択条件は、選択した高分子が、相互に少なくとも約0.03異なる屈折率を有するということである。さらに、高分子は、容易に同時押出しできるように、加工温度に適合性がなければならない。反射率は高分子の屈折率およびシート中の光学的に活性な層の数から求められる。僅か数百層しか有しない多層シートは少なくとも40パーセントの反射率を生じることができる。90パーセント以上の高反射率の場合には、層の数は通常1.000層以上に増大する。」(20頁17行~22頁14行) (6)「図1は、この発明による繰返し単位でABの2成分反射フィルムの略図である。フィルム10は、屈折率がn1の第1の高分子12および屈折率がn2の第2の高分子14の交互層を含んでいる。図1は、フィルムの実質的なすべての層が、繰返し単位の光学的厚さの合計が約190nmを上回る光学的厚さを有するこの発明の好ましい形態を示す。図1は、また、フィルムの光学的層の繰返し単位の厚さの直線状勾配をも示す。 屈折率n3を有することができる高分子(C)のスキン層18が、他の層をスクラッチや老化から保護し、または他の層に対する支持体となるように反射物体の両主外面に配設されているのがわかる。高分子Cは各外面ごとに同じでも異ってもよく、場合によってはAまたはB高分子成分と同じであってもよい。同様にn3はAまたはB高分子のいずれかの屈折率と異っても、同じであってもよい。 スキン層はフィルムの全厚さの最大20パーセントを構成し、かつ光学的に不活性であることができる。スキン層の高分子は透明性、多層物体のAおよびB高分子成分との相溶性、ならびに耐久性、耐スクラッチ性および/または耐候性の点から選択される。 選択した高分子は、380nmから680nmの可視波長において少なくとも0.03の屈折率不整合を有するのが好ましい。高分子を含めて、物質の屈折率は、典型的には、589nmのナトリウム蒸気のような可視範囲の使いやすい波長で測定する。この発明の実施に使用できる適当な熱可塑性高分子樹脂の例がWheatleyらの米国特許第5,126,880号に包含されている。Wheatleyらは、代表的な屈折率とともに適当な熱可塑性樹脂を記述し、この発明の実施に使用可能な該樹脂には、これに限らないけれども、ビスフェノールとチオジフェノールとのコポリカーボネート類(屈折率=1.59ないし1.64)、ボリメチルメタクリレートとフッ化ビニリデンとの配合物(1.42ないし1.49)、ビスフェノールAポリカーボネート(1.59)、メチルメタクリレートとフッ化ビニリデン、ポリメチルアクリレートとのコポリマー(1.48)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ボリメチルメタクリレートとボリフッ化ビニリデンとの混合物およびコポリマー、フッ化ビニリデンと他のハロゲン化モノマー、たとえば、クロロフルオロエチレン、クロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロアセトン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、テトラフルエチレンおよびポリメチルメタクリレートと混合したフッ化ビニルとのコポリマー、ポリフッ化ビニリデンとポリ(酢酸ビニル)との混合物、メチルメタクリレート、フッ化ビニリデンならびにクロロフルオロエチレン、クロロジフルオロエチレン、クロロテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロアセトン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、およびポリメチルメタクリレートと混合したフッ化ビニルより成る群から選ばれるモノマーとのコポリマー、ならびにポリフッ化ビニリデンとポリ(酢酸ビニル)との混合物がある。前記屈折率は波長が異なると若干変ることがある。たとえば、ポリカーボネートの屈折率はスペクトルの青領域の光の場合には幾分高く、スペクトルの赤領域の光に対しては若干低い。エチレンとビニルアルコール、スチレンとヒドロキシエチルアクリレート、スチレンと無水マレイン酸、スチレン-ブタジエンブロックコポリマー、スチレンとメチルメタクリレート、およびスチレンとアクリル酸のような前記樹脂のコボリマーも有用である。他の有用な高分子物質にはポリエーテルエーテルケトン類、ポリブデン、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフインたとえばAdmer(Mitsui Chemicalsから入手可能)およびPlexar(Quantum Chemicalsから入手可能)、ならびにCXA(du Pontから入手可能)のようなエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーがある。後者の3種類の高分子は、多層構造物中の他の高分子層を結合させる接着層としてとくに有用である。物体の層 を構成する高分子の選択条件は、選択した高分子が互いに少なくとも約0.03異なる屈折率を有するということである。さらに、高分子は容易に同時押出が可能のように加工温度に適合性がなければならない。」(23頁1行~24頁24行) (7)「【図1】 」 (8)上記(5)のように、引用例において、実施に有用な高分子は米国特許第5,122,905号中に列挙された全てを含み、米国特許第5,122,905号に実施に使用できる樹脂としてポリフッ化ビニリデン等が列挙されているから、引用発明において、前記交互層に用いられる高分子すなわち樹脂の1つとして、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられることが明らかである。また、上記(6)からみて、交互層が第1の高分子および第2の高分子からなる2成分反射フィルムである【図1】は引用例の実施の具体的形態の1つであると認められ、前記「第1の高分子」及び「第2の高分子」はそれぞれ「第1高分子物質」および「第2高分子物質」といえる。そうすると、上記(1)ないし(7)からみて、引用例には次の発明(以下「引用発明」という。引用発明の認定に用いた引用例の箇所をそのまま併記する。)が記載されているものと認められる。 「(請求項26)可視スペクトルの実質的な全範囲にわたり実質的に均一な反射外観を呈し、少なくとも第1および第2の異種高分子物質を含み、物体に入射する可視光の少なくとも40パーセントを反射させるように前記第1および第2高分子物質の十分な数の交互層を含む成形可能な高分子多層反射物体で、該物体の個々の層の大部分は、前記高分子物質の繰返し単位の光学的厚さの合計が約190nmを上回る範囲内の光学的厚さを有する物体において、該第1および第2高分子物質は屈折率が互いに少なくとも約0.03異なる高分子多層反射物体であって、 (請求項32)前記物体の個々の層の大部分が、前記高分子物質の繰返し単位の光学的厚さの合計が190nmないし1700nmである範囲内の光学的厚さを有し、 (上記(5))前記交互層に用いられる高分子すなわち樹脂の1つとして、ポリフッ化ビニリデンが挙げられ、 (上記(6))前記交互層が第1高分子物質および第2高分子物質からなる、2成分反射フィルムである、 高分子多層反射物体。」 4 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明は、物体に入射する可視光の少なくとも40パーセントを反射させるように第1および第2高分子物質の十分な数の交互層を含む成形可能な高分子多層反射物体であるから、引用発明の「第1高分子物質」及び「第2高分子物質」は、それぞれ本願発明の「第1の光学層」及び「第2の光学層」に相当することは明らかである。 (2)引用発明の「交互層」は、「第1高分子物質」(本願発明の「第1の光学層」に相当。以下、「」に続く()の内の文言は対応する本願発明の用語を示す。)および「第2高分子物質」(第2の光学層)からなるから、本願発明の「光学スタック」に相当する。また、引用発明の「高分子多層反射物体」は、「交互層」(光学スタック)を含むから、本願発明の「多層光学フィルム」に相当する。 (3)引用発明は、「交互層」(光学スタック)が「第1高分子物質」(第1の光学層)および「第2高分子物質」(第2の光学層)からなるものである。そうすると、「第1高分子物質」(第1の光学層)と「第2高分子物質」(第2の光学層)とは、間に他の層が介在していないから、相互に密接していることは明らかである。また、「第1高分子物質」(第1の光学層)と「第2高分子物質」(第2の光学層)とがペアとなっている層ペアであるといえる。 してみると、引用発明は、本願発明の「第1の光学層の少なくとも一部分及び第2の光学層の少なくとも一部分が密接しており」、「光学スタックが、交互層ペアとして配列されている、第1の光学層と第2の光学層からなる層ペアからなる」の構成を備えることは明らかである。 (4)上記(1)ないし(3)から、本願発明と引用発明とは、 「光学スタックを含む多層光学フィルムであって、前記光学スタックが、 第1の光学層と、 第2の光学層と からなり、 前記第1の光学層の少なくとも一部分及び前記第2の光学層の少なくとも一部分が密接しており、 前記光学スタックが、交互層ペアとして配列されている、前記第1の光学層と前記第2の光学層からなる層ペアからなる、 多層光学フィルム。」の点で一致し、次の点で相違する。 ・相違点1 本願発明では、第1の光学層が「フッ化ビニリデンの単独重合体又はエチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体からなる第1のフッ素重合体材料からな」り、第2の光学層が「前記第1のフッ素重合体材料より低い屈折率を有する第2のフッ素重合体材料を含」み、「前記第1のフッ素重合体材料と前記第2のフッ素重合体材料の間の屈折率差が0.03未満である」のに対し、 引用発明では、「第1高分子物質」(第1の光学層)と「第2高分子物質」(第2の光学層)とが上記のような具体的な材料の組み合わせが特定されておらず、両者の屈折率差が約0.03異なるものである点。 ・相違点2 本願発明では、「層ペアが700nmを超える波長の約2分の1の光学厚さを有」するのに対し、 引用発明では、高分子物質の繰返し単位の光学的厚さの合計が190nmないし1700nmである範囲内の光学的厚さである点。 ・相違点3 本願発明では、光学スタックが、「90度の入射角での700nmを超える一つの波長の少なくとも30パーセントを反射することにより、700nmを超える波長の少なくとも一部分を反射し」、「90度の入射角での約400nm~700nmの一つの波長の少なくとも30パーセントを透過することにより、約400nm~700nmの波長の少なくとも一部分を透過」するのに対し、 引用発明では、高分子多層反射物体が、入射する可視光の少なくとも40パーセントを反射させる点。 5 判断 (1)上記相違点1について検討する。 ア 引用発明は、「第1および第2高分子物質は屈折率が互いに少なくとも約0.03異なる」ものであり、前記「約0.03」は、0.03を若干下回るものも含むから、引用発明において、「第1高分子物質」(第1の光学層)と「第2高分子物質」(第2の光学層)の屈折率差を0.03未満となすことは当業者が適宜なし得たことである。 イ 引用発明は、交互層に用いられる高分子すなわち樹脂の一つとして、ポリフッ化ビニリデンを挙げ、この「ポリフッ化ビニリデン」は、本願発明の「フッ化ビニリデンの単独重合体」に相当するものである。 ウ 上記アのように、引用発明において、「第1高分子物質」(第1の光学層)と「第2高分子物質」(第2の光学層)の屈折率差を0.03未満とした際に、「第1高分子物質」(第1の光学層)として、例示されている材料である「ポリフッ化ビニリデン」(フッ化ビニリデンの単独重合体)を選択することは当業者が適宜なし得たことである。そして、引用発明において、「第1高分子物質」(第1の光学層)として屈折率1.42の「ポリフッ化ビニリデン」(フッ化ビニリデンの単独重合体)を選択し、屈折率差が0.03未満となるよう「第2高分子物質」(第2の光学層)として、屈折率1.42より小さいフッ素重合体材料を用いることは当業者が適宜なし得たことである。 エ 以上のとおり、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明の構成となすことは当業者が適宜なし得たことである。 (2)上記相違点2について検討する。 ア 引用発明は、高分子物質の繰返し単位の光学的厚さの合計が190nmないし1700nmである範囲内の光学的厚さであり、ここでいう「繰返し単位」は本願発明の「層ペア」のことをいうことが明らかである。また、引用例には、「最高3400nmおよびそれ以上の光学的層の繰返し単位の厚さの勾配を包含する。」、「2成分多層フィルムの垂直入射にする一次反射の波長は次式で示される。λ1=2(N1d1+N2d2)(式1)式中、λ1は一次反射のナノメートル単位の波長である。可視光は380-680mmの範囲にわたる。N1およびN2は2つの高分子の屈折率で、d1およびd2は2つの高分子の層の厚さであり、これもナノメートル単位で表わす。」及び「2成分系の場合でわかるように、一次反射の波長は、2つの高分子の光学的厚さの合計に比例する(ここで、光学的厚さは、層の厚さと屈折率との積である)。一次反射に加えて、一次反射の整数分割で(at integer fractions)高次反射が起る。これら高次反射の相対強度は高分子成分の光学的厚さと層の数との比による。」(上記3(4))とも記載されている。 イ 上記アからみて、引用発明において、層ペアの厚さは、反射又は透過させたい波長に応じて適宜決定し得るものであり、700nmを超える波長の約2分の1の光学厚さを有するようになすこと、すなわち、上記相違点2に係る本願発明の構成となすことは当業者が適宜なし得る設計的事項である。 (3)上記相違点3について検討する。 ア 引用発明は、「入射する可視光の少なくとも40パーセントを反射させる」ものであるところ、反射しない残りの60%以下の光は、高分子多層反射物体に吸収されるか、あるいは、高分子多層反射物体を透過しているといえる。 イ 引用例には、「色および真珠光の出現を防ぐために、この発明の多層高分子物体は、可視(380ないし680nm)から近赤外(680ないし3400nm)までの実質的にすべての波長を反射させるように設計するのが好ましい(ある高分子の場合の赤外中のある波長の吸収を無視する)。」(上記3(4))と記載されており、380~3400nmの波長の反射を想定しているものの、ここでいう「反射」とは、具体的に如何なる反射率で反射することをいうのかは不明である。 ウ 上記ア及びイからみて、引用発明は、可視光(380ないし680nm)については、少なくとも40%を反射し、残り60%以下の光を透過させ、近赤外光(680ないし3400nm)については、所定の反射率で反射させているものである。そして、引用発明は、そもそも引用例に記載されているように入射光を透過させることを前提としたレンズや偏光子(上記3(2))にも用いられる物品であり、少なくとも40%を反射するにしても、「2成分多層フィルムの垂直入射」(上記3(4))、すなわち「90度の入射角」における所定波長の入射光を適宜の反射率でさせるとともに、適宜の透過率で透過させるようになすことは当業者が適宜なし得る設計的事項である。 エ そうしてみると、引用発明において、90度の入射角で、700nmを超える一つの波長の少なくとも30%を反射し、約400nm~700nmの一つの波長の少なくとも30%を透過するようになすこと、すなわち、相違点3に係る本願発明の構成となすことは当業者が適宜なし得たことである。 (4)本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果から当業者が予測することができた程度のことである。 (5)したがって、本願発明は、当業者が引用例1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。 (6)なお、請求人は平成28年8月2日提出の意見書において、 「(iii‐3)本願発明と引用文献との対比 引用文献1に記載の発明は、「可視光の反射する高分子多層反射物体」を提供することを目的とする([要約]、請求項1等参照)ものであって、本願発明の特有の構成である「90度の入射角での約400nm~700nmの一つの波長の少なくとも30パーセントを透過することにより、約400nm~700nmの波長の少なくとも一部分を透過し」、即ち「可視光を透過する」こととは相反することが明白です。また、引用文献1における「第1および第2高分子物質は屈折率が互いに少なくとも0.03異なり」(請求項1)も、本願発明の特有の構成である「前記第1のフッ素重合体材料と前記第2のフッ素重合体材料の間の屈折率差が0.03未満である」とは相反する方向の数値限定がなされていると当業者には理解されます。 このように、引用文献1には、本願発明の特有の構成の組合せが記載も示唆もされていないことが明白であって、逆に本願発明と相反する構成が記載又は示唆されていると当業者には理解されます。 さらに言うならば、上記の如く「赤外線波長を反射し、可視光を透過する」という本願発明の効果は、「可視スペクトルの一部のみで反射させ、赤外波長は実質的に透過させる」(31頁下から9~6行参照)、「スペクトルの可視部分のみならず赤外部分におけるフィルムの反射率は均一で高い」という引用文献1に記載の発明の効果とは少なくとも部分的に相反しており明らかに異質なものであると当業者には理解されます。 それ故、本願の補正後の請求項1,3に係る発明、並びに請求項1を引用する請求項2に係る発明は、当業者が引用文献1に基づいて容易に想到し得なかったものであることが明白です。 このように、この度の補正で拒絶理由2が解消されたものと思料されます。」 と主張する。 しかしながら、本願発明の構成である「90度の入射角での約400nm~700nmの一つの波長の少なくとも30パーセントを透過することにより、約400nm~700nmの波長の少なくとも一部分を透過し」は、可視光を少なくとも一部(30%)を透過させるにすぎず、残り70%については反射あるいは吸収されているともいえる。また、本願発明の構成である「90度の入射角での700nmを超える一つの波長の少なくとも30パーセントを反射することにより、700nmを超える波長の少なくとも一部分を反射し」についても同様に、赤外線の一部(30%)を反射させるにすぎず、残り70%については透過あるいは吸収されているともいえる。 そうすると、本願発明は、必ずしも請求人が主張するような「赤外線波長を反射し、可視光を透過する」ものであるとは言い切れない。 してみると、上記(1)ないし(5)で検討したとおり、本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものというべきである。 6 むすび 本願発明は、当業者が引用例1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2015-002029

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