特許異議申立
2025-700848
情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法
- 審判番号
- 2025-700848
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-099467
- 登録番号
- 7641080
- 請求日
- 2025年08月27日
- 審決日
- 2025年10月30日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社DGフィナンシャルテクノロジー
- 【権利者代理人】稲葉 良幸
- 【権利者代理人】大貫 敏史
- 【権利者代理人】江口 昭彦
- 【権利者代理人】内藤 和彦
- 【異議申立人】塩田 将司
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 智康
- 審判官 田付 徳雄
- 審判官 岡北 有平
- 分類
- P1651.121-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7641080号発明「情報処理装置、プログラム、及び情報処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7641080号の請求項1-11に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7641080号の請求項1~11に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、令和5年6月16日に出願され、令和7年2月26日にその特許権の設定登録がされ、同年3月6日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同年8月27日に特許異議申立人 塩田将司(以下、「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。また、同年10月3日に異議申立人より手続補正書(方式)が提出された。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~11に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明11」という。)は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
決済を行うユーザが利用するユーザ端末にインストールされたアプリケーションにて、決済処理を実行する決済事業者の候補である複数の決済事業者が関連付けられる所定のコードを読み取ることで決済が行われるシステムにおける情報処理装置であって、
前記ユーザ端末による前記所定のコードの読み取りに応じて、前記ユーザ端末から、前記決済を識別する決済識別情報と、前記決済における金額を示す決済金額情報とを取得する決済情報取得部と、
前記ユーザ端末による前記所定のコードの読み取りに応じて、前記所定のコードに関連付けられる前記複数の決済事業者の情報を、前記ユーザ端末を通じて前記ユーザに提示し、前記ユーザ端末から、前記複数の決済事業者のうち前記決済処理を実行させる一の決済事業者を指定する決済要求を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記決済要求を受け付けた場合に、前記決済事業者に対応する決済実行装置に、前記決済処理の要求を送信する要求部と、
前記決済事業者に対応する決済実行装置から、前記決済処理の処理結果を取得する決済結果取得部と、
前記処理結果が前記決済識別情報及び前記決済金額情報に対応付けられた決済結果情報を記憶する決済結果記憶部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記決済情報取得部は、前記決済識別情報と前記決済金額情報とに基づいて生成された前記所定のコードの読み取りに応じて、前記決済識別情報と前記決済金額情報とを取得する、情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記決済情報取得部は、
前記決済識別情報と前記決済金額情報との入力を受け付ける入力画面を前記ユーザ端末に表示させるための入力画面情報を生成し、
前記ユーザ端末から、前記入力画面を通じて、前記決済識別情報と前記決済金額情報とを取得する、情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記受付部は、前記決済における売り手の端末から、前記決済結果情報の参照の要求を受け付け、前記売り手に関連する前記決済結果情報を、前記売り手の端末に通知する、情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記所定のコードは、前記決済における売り手の事業者を識別する事業者情報を含むコードである、情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置であって、
前記所定のコードは、前記決済の対象が役務の提供である場合に前記役務の提供者を識別する提供者情報を含むコードである、情報処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記ユーザ端末に前記決済処理の処理結果を通知する通知部、
をさらに備える、情報処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記決済結果取得部は、前記決済処理を実行した前記決済事業者の情報を含む前記処理結果を取得する、情報処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記決済情報取得部は、前記ユーザ端末から、前記決済の後に発生した追加決済における決済金額を示し、前記決済識別情報に関連付けられる追加金額情報を取得し、
前記受付部は、前記ユーザ端末から、複数の決済事業者のうち前記追加決済に対する前記決済処理である追加決済処理を実行させる一の決済事業者を指定する決済要求を受け付け、
前記要求部は、前記決済事業者に対応する決済実行装置に、前記追加決済処理の要求を送信し、
前記決済結果取得部は、前記決済事業者に対応する決済実行装置から、前記追加決済処理の処理結果を取得し、
前記決済結果記憶部は、前記追加決済処理の処理結果が前記決済識別情報及び前記追加金額情報に対応付けられた決済結果情報を記憶する、
情報処理装置。
【請求項10】
決済を行うユーザが利用するユーザ端末にインストールされたアプリケーションにて、決済処理を実行する決済事業者の候補である複数の決済事業者が関連付けられる所定のコードを読み取ることで決済が行われるシステムにおいて、
コンピュータに、
前記ユーザ端末による前記所定のコードの読み取りに応じて、前記ユーザ端末から、前記決済を識別する決済識別情報と、前記決済における金額を示す決済金額情報とを取得することと、
前記ユーザ端末による前記所定のコードの読み取りに応じて、前記所定のコードに関連付けられる前記複数の決済事業者の情報を、前記ユーザ端末を通じて前記ユーザに提示し、前記ユーザ端末から、前記複数の決済事業者のうち前記決済処理を実行させる一の決済事業者を指定する決済要求を受け付けることと、
前記決済要求を受け付けた場合に、前記決済事業者に対応する決済実行装置に、前記決済処理の要求を送信することと、
前記決済事業者に対応する決済実行装置から、前記決済処理の処理結果を取得することと、
前記処理結果が前記決済識別情報及び前記決済金額情報に対応付けられた決済結果情報を記憶することと、
を実行させる、プログラム。
【請求項11】
決済を行うユーザが利用するユーザ端末にインストールされたアプリケーションにて、決済処理を実行する決済事業者の候補である複数の決済事業者が関連付けられる所定のコードを読み取ることで決済が行われる情報処理方法であって、
コンピュータが、
前記ユーザ端末による前記所定のコードの読み取りに応じて、前記ユーザ端末から、前記決済を識別する決済識別情報と、前記決済における金額を示す決済金額情報とを取得することと、
前記ユーザ端末による前記所定のコードの読み取りに応じて、前記所定のコードに関連付けられる前記複数の決済事業者の情報を、前記ユーザ端末を通じて前記ユーザに提示し、前記ユーザ端末から、前記複数の決済事業者のうち前記決済処理を実行させる一の決済事業者を指定する決済要求を受け付けることと、
前記決済要求を受け付けた場合に、前記決済事業者に対応する決済実行装置に、前記決済処理の要求を送信することと、
前記決済事業者に対応する決済実行装置から、前記決済処理の処理結果を取得することと、
前記処理結果が前記決済識別情報及び前記決済金額情報に対応付けられた決済結果情報を記憶することと、
を含む、情報処理方法。」
第3 申立理由の概要
異議申立人が提出した証拠及び申立理由の概要は次のとおりである。
1 異議申立人の提出した証拠
異議申立人は、次の甲第1号証、甲第2号証、甲第3A号証、甲第3B号証(以下、それぞれ、「甲1」、「甲2」、「甲3A」、「甲3B」という。)を証拠として提出している。
甲第1号証(甲1):特開2020-187589号公報
甲第2号証(甲2):特開2023-82625号公報
甲第3A号証(甲3A):一般社団法人キャッシュレス推進協議会,コード決済に関する統一技術仕様ガイドライン【店舗提示型】,2019年3月29日
甲第3B号証(甲3B):一般社団法人キャッシュレス推進協議会,一般社団法人キャッシュレス推進協議会2019年3月29日リリース記事,2019年3月29日
2 申立理由
異議申立人の主張する特許異議の申立理由の概要は以下のとおりである。
(1)理由(進歩性)
本件発明1~11は、甲1~甲3Aに記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
第4 異議申立人の提出した証拠の記載
1 甲1
(1)甲1の記載
甲1には、以下の記載がある。(なお、下線は合議体にて付与した。以下同じ。)
「【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、店舗に設置された所定コードを、決済を行うユーザが利用するユーザ端末にインストールされたアプリケーションにて読み取ることで決済が行われるシステムにおける情報処理装置であって、所定の店舗で決済を行うユーザが利用するユーザ端末から、複数の決済事業者のうち決済処理を実行させる一の決済事業者と、所定の店舗とを指定する決済要求を受付ける受付部と、受付部が決済要求を受け付けた場合に、決済事業者に対応する決済実行装置に、決済処理を要求する要求部と、決済事業者に対応する決済実行装置から、決済処理の処理結果を取得する取得部と、ユーザ端末に、決済処理の処理結果を応答する通知部と、を有する。」
「【0011】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る決済システム1のシステム構成例を示す図である。決済システム1は、MPMによるコード決済を提供するシステムである。当該コード決済に用いられるコードは、一次元コードでもよいし、二次元コードでもよいし、更に多次元のコードであってもよい。本実施形態では、便宜上、二次元コードであるものとして説明する。
【0012】
決済システム1は、ユーザ端末10と、店舗端末20と、共通装置30(情報処理装置)と、決済装置(A社)40-Aと、決済装置(B社)40-Bと、決済装置(Z社)40-Zとを含む。ユーザ端末10と、店舗端末20と、共通装置30とは、無線又は有線の通信ネットワークN1を介して接続され、相互に通信を行うことができる。また、共通装置30と、決済装置(A社)40-Aと、決済装置(B社)40-Bと、決済装置(Z社)40-Zとは、無線又は有線の通信ネットワークN2を介して接続され、相互に通信を行うことができる。
【0013】
以下の説明において、決済装置(A社)40-Aと、決済装置(B社)40-Bと、決済装置(Z社)40-Zとを区別しない場合は、決済装置40(決済実行装置)と記載する。図1には、決済装置(A社)40-Aと、決済装置(B社)40-Bと、決済装置(Z社)40-Zとが図示されているが、決済装置40の台数に制限はない。
【0014】
ユーザ端末10は、店舗にて、商品やサービスに対する決済を行うユーザが利用する端末である。なお、本実施形態において、「決済」とは、金銭、電子マネー、ポイント等の引き落とし及び相手方への支払いが実際に完了することのみならず、クレジットカードによる決済等の、金銭、電子マネー、ポイント等の引き落とし及び/又は相手方への支払いが事後的に行われるポストペイ方式の決済も含む。また、「店舗」とは、店舗にて行う商品及びサービスの提供に対する対価の支払(決済)を、決済システム1を用いて行うことが可能な店舗(すなわち加盟店と同義)を意図している。また、「店舗」は、実際の店舗であってもよいし、インターネット上に存在するオンラインの店舗であってもよい。
【0015】
ユーザ端末10には、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC、携帯情報端末(PDA)、家庭用ゲーム機器など、通信機能を備えた端末であればあらゆる端末を用いることができる。図1には、ユーザ端末10が1つ図示されているが、決済システム1に含まれるユーザ端末10の台数に制限はない。
【0016】
店舗端末20は、店舗が利用する端末である。店舗端末20には、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC、携帯情報端末(PDA)、家庭用ゲーム機器など、通信機能を備えた端末であればあらゆる端末を用いることができる。図1には、店舗端末20が1つ図示されているが、決済システム1に含まれる店舗端末20の台数に制限はない。
【0017】
共通装置30は、店舗で商品又はサービスの提供を受けるユーザのユーザ端末10から決済要求を受信し、受信した決済要求を適切な決済装置40に処理させるように制御する装置である。共通装置30は、1又は複数の物理的なサーバ等から構成されていてもよいし、ハイパーバイザー(HYPERVISOR)上で動作する仮想的なサーバを用いて構成されていてもよい。共通装置30は、決済装置40に関わる決済事業者とは異なる事業者により管理される装置である。
【0018】
決済装置40は、二次元コードによる決済サービスを提供する決済事業者が、決済処理を行うための装置である。例えば、決済装置(A社)40-Aは、A社が提供する決済サービスを処理する決済装置40である。同様に、決済装置(B社)40-Bは、B社が提供する決済サービスを処理する決済装置40である。ここでいう二次元コードによる決済サービスとは、アプリケーションを用いた決済サービスのことをいい、決済サービスの提供を受けるためには、ユーザは、ユーザ端末10に各決済事業者が発行する各アプリケーションの少なくとも1つをインストールする必要がある。また、ここでいうアプリケーションは、ウェブブラウザや、SNSのアプリケーションのような、1つのアプリケーションを用いて複数のサービスコンテンツを提供可能なものであってもよく、この場合、各サービスコンテンツが本実施形態でいう各アプリケーションに対応する。なお、以下、アプリケーションを決済アプリケーションともいう。
【0019】
前述した共通装置30は、ユーザが、A社が提供する決済サービスを利用することを希望する場合、ユーザのユーザ端末10から受信した決済要求を決済装置(A社)40-Aに処理させるように制御する。また、例えば、ユーザが、B社が提供する決済サービスを利用することを希望する場合、ユーザのユーザ端末10から受信した決済要求を決済装置(B社)40-Bに処理させるように制御する。」
「【0021】
一方、本実施形態では、各決済事業者がそれぞれ決済用の二次元コードを提供するのではなく、図2のBに示すように、各決済事業者が共通で利用する共通二次元コードを振分事業者が発行し、発行した共通二次元コードを振分事業者が店舗ごとに1つ用意しておく。また、共通二次元コードは、決済事業者が夫々発行する各アプリケーションで読み取れるようにしておく。これにより、ユーザは、利用したい決済サービスに対応するアプリケーションをユーザ端末10にて起動させ、当該アプリケーションを用いて共通二次元コードを読み取ることで、決済を行うことができる。つまり、ユーザが利用したい決済サービスに対応するアプリケーションを用いて、当該アプリケーションでのみ利用可能な二次元コードとは異なる共通二次元コードを読み取り、利用したい決済サービスの決済を違和感なく行うことができる。」
「【0027】
<ハードウェア構成>
図3は、共通装置30のハードウェア構成例を示す図である。共通装置30は、CPU(CENTRAL PROCESSING UNIT)、GPU(GRAPHICAL PROCESSING UNIT)等のプロセッサ11、メモリ、HDD(HARD DISK DRIVE)及び/又はSSD(SOLID STATE DRIVE)等の記憶装置12、有線又は無線通信を行う通信IF(INTERFACE)13、入力操作を受け付ける入力デバイス14、及び情報の出力を行う出力デバイス15を有する。入力デバイス14は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力デバイス15は、例えば、ディスプレイ及び/又はスピーカ等である。
【0028】
<機能ブロック構成>
図4は、共通装置30の機能ブロック構成例を示す図である。共通装置30は、記憶部100と、受付部101と、発行部102と、認証部103と、要求部104と、取得部105と、通知部106とを含む。記憶部100は、共通装置30が備える記憶装置12を用いて実現することができる。また、受付部101と、発行部102と、認証部103と、要求部104と、取得部105と、通知部106とは、共通装置30のプロセッサ11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(NON-TRANSITORY COMPUTER READABLE MEDIUM)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0029】
記憶部100は、決済事業者情報と、店舗情報と、トランザクションキー情報と、決済履歴情報とを記憶する。記憶部100のうち店舗情報を記憶する部分を、第1記憶部と称してもよい。また、記憶部100のうち決済履歴情報を記憶する部分を、第2記憶部と称してもよい。
【0030】
決済事業者情報は、決済事業者に関する各種の情報(決済事業者名など)を含む。店舗情報は、店舗に関連する情報(店舗名や店舗の位置情報など)と、店舗を特定する店舗識別子とを関連づける情報を含む。トランザクションキー情報は、共通装置30で発行されたトランザクションキーを記録する情報を含む。決済履歴情報は、決済装置40にて行われた決済に関する履歴を含む。また、決済履歴情報は、少なくとも、決済を行うユーザと決済事業者と店舗と決済金額とを含んでいてもよい。
【0031】
図5のAは、決済事業者情報の一例を示す。「決済事業者ID」は、決済事業者を一意に識別するための識別子である。「決済事業者名」は、決済事業者の名称を示す。「アクセス先情報」は、共通装置30が決済装置との間で通信する際のアドレス情報(IPアドレス、URL等)を示す。
【0032】
図5のBは、店舗情報の一例を示す。「店舗ID」は、店舗を一意に識別するための識別子である。「店舗情報」は、店舗に関する各種の情報であり、例えば、店舗名及び店舗場所を含む。「店舗名」は、店舗の名称やブランド名等を示す。「店舗場所」は、店舗の場所を示す情報(住所でもよいし、店舗が存在する場所の緯度・経度であってもよい)を示す。「決済事業者ID」は、各店舗にて利用可能な決済サービスを提供している決済事業者の決済事業者IDを示す。例えば、「AコンビニB駅前店」の決済事業者IDには、AAAA、BBBB及びCCCCが格納されている。これは、AコンビニB駅前店では、A社、B社及びC社の二次元コードの決済サービスを利用することが可能であることを示している。「決済金額」は、決済金額が固定されている決済手法が用いられる場合における決済金額を示す。なお、MPMによるコード決済では、決済金額を任意に指定可能な決済手法も用意されており、当該決済手法が用いられる場合には、「決済金額」には何も格納されない。
【0033】
図5のCは、トランザクションキー情報の一例を示す。「トランザクションキー」には、共通装置30が発行したトランザクションキーが格納される。「発行日時」は、共通装置30がトランザクションキーを発行した日時を示す。「決済内容」は、ユーザが行う決済の内容(例えばユーザが利用する決済サービスを提供する事業者の決済事業者ID、決済を行う店舗の店舗ID、決済を行うユーザのユーザID等)を示す。
【0034】
図5のDは、決済履歴情報の一例を示す。「ユーザID」は、決済を行ったユーザを特定する識別子を示す。「決済事業者ID」は、決済に利用された決済サービスを提供する決済事業者の決済事業者IDを示す。「店舗ID」は、ユーザが決済を行った店舗の店舗IDを示す。「決済日時」は、決済が行われた日時を示す。「決済金額」は、決済された金額を示す。
【0035】
受付部101は、所定の店舗で決済を行うユーザが利用するユーザ端末10から、複数の決済事業者のうち決済処理を実行させる一の決済事業者(より詳細には決済事業者ID)と、所定の店舗(より詳細には店舗ID)とを指定する決済要求メッセージを受付ける機能を有する。
【0036】
また、受付部101は、ユーザ端末10から、決済を実行する前に、所定の店舗(より詳細には店舗ID)を指定する事前確認要求メッセージを受付けるようにしてもよい。また、受付部101は、ユーザ端末10から、決済を実行する前に、複数の決済事業者のうち決済を実行させる一の決済事業者を示す情報と、所定の店舗(より詳細には店舗ID)を示す情報とを含む事前確認要求メッセージを受付けるようにしてもよい。また、受付部101は、トランザクションキー(トランザクション情報)を更に含む決済要求メッセージを受付けるようにしてもよい。また、受付部101は、決済処理を実行させる一の決済事業者に対応する決済装置40から、予めユーザ端末10に対して払い出されたトークンを含む決済要求メッセージをユーザ端末10から受付けるようにしてもよい。また、受付部101は、所定の店舗が利用する店舗端末20から、決済履歴の参照の要求を受付けるようにしてもよい。」
「【0039】
要求部104は、受付部101がユーザ端末10から決済要求を受け付けた場合に、決済要求が指定する決済事業者に対応する決済装置40に、決済処理を要求する機能を有する。また、要求部104は、事前確認要求時において、ユーザがいずれの決済サービスの決済アプリケーションを用いたのかを判別し、決済要求時において、判別した決済アプリケーションを発行した決済事業者に対応する決済装置40に決済処理を要求することも機能として有する。要求部104は、認証部103において、決済要求に含まれるトランザクションキーと発行部102が発行したトランザクションキーとが同一であることが確認された場合に、決済事業者に対応する決済装置40に決済処理を要求するようにしてもよい。また、要求部104は、決済事業者に対応する決済装置40に決済処理を要求する際に、受付部101が受け付けた決済要求メッセージに含まれるトークンを決済事業者に対応する決済装置40に送信するようにしてもよい。
【0040】
取得部105は、要求部104が決済を要求した決済装置40から、決済処理の処理結果を取得する機能を有する。」
「【0044】
<処理手順>
図6は、本実施形態に係る決済システム1が行う処理手順の一例を示すシーケンス図である。以下、ユーザが、店舗Aにて商品の購入を行い、店舗Aに設置された共通二次元コード(共通コード)を読み取ることで決済を行う前提で説明する。
【0045】
ステップS100で、ユーザ端末10は、ユーザから、決済に用いる決済サービスに対応する決済アプリケーションの起動を受け付ける。決済アプリケーションは、決済事業者が提供するアプリケーションであり、本実施形態では、決済サービスごとに異なるものとする。また、決済アプリケーションには、予め決済事業者IDが格納されているものとする。しかしながら、これに限定されず、複数の決済サービスで共通に利用可能な決済アプリケーションであってもよい。この場合、ユーザは、どの決済サービスを利用するのかを決済アプリケーションの画面で指定することになる。
【0046】
図6の例では、A社が提供する決済サービスに対応する決済アプリケーションが起動されたと仮定する。また、ユーザは、起動した決済アプリケーションに、自身のユーザID及びパスワードを入力することでログインを行う。なお、自身のユーザID及びパスワードを事前に記憶し、自動ログインを行えるようにしてもよい。
【0047】
ステップS101で、ユーザ端末10の決済アプリケーションは、ユーザからの指示に基づいて、店舗Aに設置された共通二次元コードを読み取る。ユーザ端末10は、読み取った共通二次元コードをデコードすることで、共通二次元コードに含まれる情報を取得する。本実施形態では、共通二次元コードには、店舗IDと、共通装置30のアクセス先を示す情報(URL又はIPアドレスなど)が格納されているものとするが、これに限定されるものではない。
【0048】
ステップS102で、ユーザ端末10の決済アプリケーションは、決済アプリケーションに格納されている決済事業者IDと、共通二次元コードを読み取ることで得られた店舗IDと、ユーザがログイン時に入力するユーザIDとを含む事前確認要求メッセージを共通装置30に送信する。共通装置30の受付部101は、ユーザ端末10から送信された事前確認要求メッセージを受け付ける。
【0049】
ステップS103で、共通装置30の発行部102は、トランザクションキーを発行する。また、発行部102は、発行したトランザクションキーを、発行日時と、受付部101が受け付けた事前確認要求メッセージに含まれる決済事業者ID、店舗ID及びユーザIDと対応づけてトランザクションキー情報に格納する。また、取得部105又は通知部106は、ステップS102で受け付けた店舗IDに対応する店舗情報及び決済金額を店舗情報から取得する。なお、店舗情報に決済金額が格納されていない場合(つまり、決済金額が固定ではない場合)には、決済金額は取得されない。
【0050】
ステップS104で、共通装置30の通知部106は、ユーザ端末10に、店舗情報、決済金額及びトランザクションキーを含む事前確認応答メッセージを通知する。なお、店舗情報に決済金額が格納されていない場合には、事前確認応答メッセージに決済金額は含まれない。また、事前確認応答メッセージには、決済事業者IDが含まれていてもよい。」
「【0055】
ステップS110で、ユーザ端末10の決済アプリケーションは、決済事業者IDと、店舗IDと、ユーザIDと、トランザクションキーと、決済トークンと、決済金額とを含む決済要求メッセージを共通装置30に送信する。共通装置30の受付部101は、ユーザ端末10から送信された決済要求メッセージを受け付ける。」
「【0058】
ステップS112で、共通装置30の要求部104は、決済装置(A社)40-Aに、ユーザID、店舗ID、決済トークン及び決済金額を含む決済要求メッセージを送信する。」
「【0064】
ステップS117で、共通装置30の通知部106は、決済処理の処理結果を、ユーザ端末10に通知する。なお、決済処理の処理結果には、決済の処理結果に加えて、決済事業者IDが含まれていてもよい。」
「【図5】
[図:0001430044000001.jpg]
」
「
[図:0001430044000002.jpg]
」
(2)甲1に記載されているといえる事項
ア 段落【0012】~【0013】の記載事項を踏まえると、甲1には、「ユーザ端末10と、店舗端末20と、共通装置30と、決済装置40とを含む決済システム1における共通装置30」との事項が記載されているといえる。
イ 段落【0007】、【0012】、【0013】、【0047】~【0049】の記載事項を踏まえると、甲1には、「決済システム1は、店舗に設置された共通二次元コードを、決済を行うユーザが利用するユーザ端末にインストールされたアプリケーションにて読み取ることで決済が行われるものである」との事項が記載されているといえる。
ウ 段落【0018】、【0045】の記載事項を踏まえると、甲1には、「ユーザ端末10には、決済アプリケーションがインストールされる」との事項が記載されているといえる。
エ 段落【0045】の記載事項を踏まえると、甲1には、「決済アプリケーションには、決済事業者IDが格納されており、決済アプリケーションは、複数の決済サービスで共通に利用可能な決済アプリケーションであってもよく、ユーザは、どの決済サービスを利用するのかを決済アプリケーションの画面で指定する」との事項が記載されているといえる。
オ 段落【0047】~【0049】の記載事項を踏まえると、甲1には、「決済アプリケーションは、ユーザからの指示に基づいて、店舗に設置された共通二次元コードを読み取り、ユーザ端末10は、読み取った共通二次元コードをデコードすることで、共通二次元コードに含まれる情報を取得し、共通二次元コードには、店舗IDと、共通装置30のアクセス先を示す情報が格納されており、ユーザ端末10の決済アプリケーションは、決済アプリケーションに格納されている決済事業者IDと、共通二次元コードを読み取ることで得られた店舗IDと、ユーザがログイン時に入力するユーザIDとを含む事前確認要求メッセージを共通装置30に送信する」との事項が記載されているといえる。
カ 段落【0017】、【0028】の記載事項を踏まえると、甲1には、「共通装置30は、店舗で商品又はサービスの提供を受けるユーザのユーザ端末10から決済要求を受信し、受信した決済要求を適切な決済装置40に処理させるように制御する装置であって、記憶部100と、受付部101と、要求部104と、取得部105とを含む」との事項が記載されているといえる。
キ 段落【0029】、【0031】、【0032】、【図5】の記載事項を踏まえると、甲1には、「記憶部100は、決済事業者を一意に識別するための識別子である決済事業者IDと、店舗を一意に識別するための識別子である店舗IDと、トランザクションキー情報と、決済履歴情報とを記憶する」との事項が記載されているといえる。
ク 段落【0032】、【図5】の記載事項を踏まえると、甲1には、「店舗IDと、複数の決済事業者IDが対応付けられており、決済事業者IDは、各店舗にて利用可能な決済サービスを提供している決済事業者の決済事業者IDを示す」との事項が記載されているといえる。
ケ 段落【0030】、【0034】、【図5】の記載事項を踏まえると、甲1には、「決済履歴情報は、ユーザIDと決済事業者IDと店舗IDと決済が行われた日時である決済日時と決済金額とを含む」との事項が記載されているといえる。
コ 段落【0035】、【0036】、【0048】、【0055】、【図6】の記載事項を踏まえると、甲1には、「受付部101は、ユーザ端末10から、複数の決済事業者のうち決済を実行させる一の決済事業者IDと、共通二次元コードを読み取ることで得られた店舗IDと、ユーザIDを含む事前確認要求メッセージ及び、決済事業者IDと、店舗IDと、ユーザIDと、トランザクションキーと、決済トークンと、決済金額とを含む決済要求メッセージを受付ける機能を有する」との事項が記載されているといえる。
(3)甲1に記載されている発明
上記(1)及び(2)によれば、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
(甲1発明)
「ユーザ端末10と、店舗端末20と、共通装置30と、決済装置40とを含む決済システム1における共通装置30であって(上記ア)、
決済システム1は、店舗に設置された共通二次元ードを、決済を行うユーザが利用するユーザ端末にインストールされたアプリケーションにて読み取ることで決済が行われ(上記イ)、
ユーザ端末10には、決済アプリケーションがインストールされ(上記ウ)、
決済アプリケーションには、決済事業者IDが格納されており、決済アプリケーションは、複数の決済サービスで共通に利用可能な決済アプリケーションであってもよく、ユーザは、どの決済サービスを利用するのかを決済アプリケーションの画面で指定し(上記エ)、
決済アプリケーションは、ユーザからの指示に基づいて、店舗に設置された共通二次元コードを読み取り、ユーザ端末10は、読み取った共通二次元コードをデコードすることで、共通二次元コードに含まれる情報を取得し、共通二次元コードには、店舗IDと、共通装置30のアクセス先を示す情報が格納されており、ユーザ端末10の決済アプリケーションは、決済アプリケーションに格納されている決済事業者IDと、共通二次元コードを読み取ることで得られた店舗IDと、ユーザがログイン時に入力するユーザIDとを含む事前確認要求メッセージを共通装置30に送信し(上記オ)、
共通装置30は、店舗で商品又はサービスの提供を受けるユーザのユーザ端末10から決済要求を受信し、受信した決済要求を適切な決済装置40に処理させるように制御する装置であって、記憶部100と、受付部101と、要求部104と、取得部105とを含み(上記カ)、
記憶部100は、決済事業者を一意に識別するための識別子である決済事業者IDと、店舗を一意に識別するための識別子である店舗IDと、トランザクションキー情報と、決済履歴情報とを記憶し(上記キ)、
店舗IDと、複数の決済事業者IDが対応付けられており、決済事業者IDは、各店舗にて利用可能な決済サービスを提供している決済事業者の決済事業者IDを示し(上記ク)、
決済履歴情報は、ユーザIDと決済事業者IDと店舗IDと決済が行われた日時である決済日時と決済金額とを含み(上記ケ)、
受付部101は、ユーザ端末10から、複数の決済事業者のうち決済を実行させる一の決済事業者IDと、共通二次元コードを読み取ることで得られた店舗IDと、ユーザIDを含む事前確認要求メッセージ及び、決済事業者IDと、店舗IDと、ユーザIDと、トランザクションキーと、決済トークンと、決済金額とを含む決済要求メッセージを受付ける機能を有し(上記コ)、
要求部104は、受付部101がユーザ端末10から決済要求を受け付けた場合に、決済要求が指定する決済事業者に対応する決済装置40に、決済処理を要求する機能を有し(段落【0039】)、
取得部105は、要求部104が決済を要求した決済装置40から、決済処理の処理結果を取得する機能を有する(段落【0040】)、
共通装置30」
2 甲2
甲2には、以下の記載がある。
「【0048】
第2決済部44は、仮決済額と本決済額との差額に関する決済処理を実行する。具体的には、第2決済部44は、最終的な決済金額が本決済額となるように、送受信部41から受け渡された仮決済情報に含まれる仮決済額と、送受信部41から受け渡された本決済情報に含まれる本決済額との差額に関する本決済処理を実行する。第2決済部44は、決済金額、及び本決済処理の結果又はエラーコードを含む結果関連情報に、本決済情報に含まれる決済IDを対応付けて本決済結果として送受信部41へ受け渡す。」
「【0074】
また、送受信部31は、受信したQR返送を中継装置30の管理部32へ受け渡す。管理部32は、QR返送に含まれる店舗コードと、コード情報が表す決済事業者コード及び仮決済額とに、受信日時を付与して、決済IDをキーとして決済状況DB38に記憶する。また、管理部32は、その決済IDが示す決済処理の状況を示す情報として、コード情報を送付済み、かつ仮決済結果待ちの状況であることを示す情報を、その決済IDに対応付けて記憶する(ステップS15)。図13に決済状況DB38の一例を示す。図13の例では、1行目が本ステップで記憶される情報の一例である。」
「【0083】
中継装置30の送受信部31は、決済事業者装置40から送信された本決済結果を受信する。送受信部31は、受信した本決済結果を管理部32へ受け渡す。管理部32は、本決済結果に含まれる決済金額に、受信日時を付与して、決済IDをキーとして決済状況DB38に記憶する。また、管理部32は、決済処理の状況を示す情報として、本決済完了であることを示す情報を、対応する決済IDに対応付けて記憶する。また、管理部32は、本決済結果にエラーコードが含まれる場合、決済処理の状況を示す情報として、そのエラーコードを、対応する決済IDに対応付けて記憶する(ステップS30)。
【0084】
店舗端末20の決定部25は、中継装置30へのポーリングにより、対象の決済IDに対応する本決済結果がOKとなったことを検知すると、決済状況DB38から本決済結果を取得する(ステップS31)。決定部25は、本決済情報と本決済結果とを対応付けて所定の記憶領域に記憶する。また、決定部25は、決済の内容を示すレシートを表示装置に表示、又はプリンタで出力する。例えば、決定部25は、図14の下段の図のようなレシート画面134を表示装置に表示する。図14のレシート画面134では、実際の給油量とその本決済額である給油金額と共に、仮決済額を預かり金、仮決済額と本決済額との差額を返金として表示している。なお、レシート画面134の表示例は図14の場合に限定されない。例えば、「合計:4,000円 支払い:5,000円 お釣り1,000円」のような表示や、「支払:5,000円 取消:5,000円 支払:4,000円」のような表示としてもよい。決済事業者で採用される実装例(例えば、図6の実装例)に応じた表示が行われればよい。また、ユーザ端末10においても、受信した本決済結果に基づいて、上記のレシート画面134と同様の表示を行ってもよい(ステップS32)。」
3 甲3A
甲3Aには、以下の記載がある。
「
[図:0001430044000003.jpg]
」
4 甲3B
甲3Bには、「2019 3/29」との記載とともに「コード決済に関する統一技術仕様ガイドライン」「統一用語集」を策定しました。」との記載がある。
また、「コード決済に関する統一技術仕様ガイドライン【店舗提示型】MPM(Merchant-Presented Mode)」との記載があり、甲3Aへのハイパーリンクが設定されている。
第5 当審の判断
1 申立理由(進歩性)について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)「決済を行うユーザが利用するユーザ端末にインストールされたアプリケーションにて、決済処理を実行する決済事業者の候補である複数の決済事業者が関連付けられる所定のコードを読み取ることで決済が行われるシステムにおける情報処理装置」について
甲1発明の「共通二次元コード」には店舗IDを示す情報が格納されており、店舗IDには、各店舗にて利用可能な決済サービスを提供している複数の決済事業者の決済事業者IDが関連付けられている。
そうすると、甲1発明の「共通二次元コード」は、「各店舗にて利用可能な決済サービスを提供している複数の決済事業者の決済事業者IDが関連付けられる共通二次元コード」といえる。
そして、「各店舗にて利用可能な決済サービスを提供している複数の決済事業者」は、そのうちのいずれかの決済事業者が実際に決済処理を実行する決済事業者となることを踏まえると、本件発明1の「決済処理を実行する決済事業者の候補である複数の決済事業者」に相当する。
以上を踏まえると、甲1発明の「店舗に設置された共通二次元コード」は、本件発明1の「決済処理を実行する決済事業者の候補である複数の決済事業者が関連付けられる所定のコード」に相当する。
また、甲1発明の「共通装置30」は、甲1の明細書の段落【0012】の「共通装置30(情報処理装置)」との記載からも明らかなように情報処理装置と称し得るものである。
してみると、甲1発明の「決済システム1における共通装置30」は、「決済システム1」が「店舗に設置された共通二次元コードを、決済を行うユーザが利用するユーザ端末にインストールされたアプリケーションにて読み取ることで決済が行われるものである」ことを踏まえると、本件発明1の「決済を行うユーザが利用するユーザ端末にインストールされたアプリケーションにて、決済処理を実行する決済事業者の候補である複数の決済事業者が関連付けられる所定のコードを読み取ることで決済が行われるシステムにおける情報処理装置」に相当する。
(イ)「前記ユーザ端末による前記所定のコードの読み取りに応じて、前記ユーザ端末から、前記決済を識別する決済識別情報と、前記決済における金額を示す決済金額情報とを取得する決済情報取得部」について
甲1発明の「受付部101」は、ユーザ端末10から、複数の決済事業者のうち決済を実行させる一の決済事業者IDと、共通二次元コードを読み取ることで得られた店舗IDと、ユーザIDを含む事前確認要求メッセージを取得するものである。
ここで、「店舗ID」は、ユーザがユーザ端末を用いて「共通二次元コードを読み取ることで得られ」るものであるから、ユーザ端末による共通二次元コードの読み取りに応じて、前記ユーザ端末から取得されるものといえる。
そうすると、甲1発明の「受付部101」は、本件発明1の「決済情報取得部」と、「前記ユーザ端末による前記所定のコードの読み取りに応じて、前記ユーザ端末から、所定の情報を取得する情報取得部」である点で共通しており、一方、両者は以下の点で相違する。
本件発明1の「決済情報取得部」は、「前記決済を識別する決済識別情報と、前記決済における金額を示す決済金額情報とを取得する」ものであるのに対し、甲1発明の「受付部101」は、それらの情報を取得するものであることは特定されていない点。
(ウ)「前記ユーザ端末による前記所定のコードの読み取りに応じて、前記所定のコードに関連付けられる前記複数の決済事業者の情報を、前記ユーザ端末を通じて前記ユーザに提示し、前記ユーザ端末から、前記複数の決済事業者のうち前記決済処理を実行させる一の決済事業者を指定する決済要求を受け付ける受付部」について
甲1発明において、ユーザは、どの決済サービスを利用するのかを、複数の決済サービスで共通に利用可能な決済アプリケーションの画面で指定し、共通装置30の受付部101は、決済アプリケーションに格納されている決済事業者IDを含む事前確認要求メッセージを受け付けるものである。
ここで、甲1発明において、ユーザに決済事業者を指定させるために、複数の決済事業者の情報が、ユーザ端末を通じてユーザに提示されていることは明らかである。
また、事前確認要求メッセージに含まれる「決済事業者ID」は、ユーザがどの決済サービスを利用するのかを指定することで特定される、決済処理を実行させる決済事業者に対応するものであることも明らかである。
そうすると、甲1発明の事前確認要求メッセージに含まれる「決済事業者ID」が示す決済事業者は、本件発明1の「前記複数の決済事業者のうち前記決済処理を実行させる一の決済事業者」に相当する。
してみると、甲1発明の、ユーザ端末から決済事業者IDを含む事前確認要求メッセージを受け付ける「受付部101」は、本件発明1の「受付部」と、「前記ユーザ端末から、前記複数の決済事業者のうち前記決済処理を実行させる一の決済事業者を指定する決済要求を受け付ける受付部」である点で共通しており、一方、両者は以下の点で相違する。
本件発明1の「受付部」は、「前記ユーザ端末による前記所定のコードの読み取りに応じて、前記所定のコードに関連付けられる前記複数の決済事業者の情報を、前記ユーザ端末を通じて前記ユーザに提示」するものであるのに対し、甲1発明の「受付部101」にはそのような特定がなされていない点。
(エ)「前記受付部が前記決済要求を受け付けた場合に、前記決済事業者に対応する決済実行装置に、前記決済処理の要求を送信する要求部」について
甲1発明の「要求部104」は、「受付部101がユーザ端末10から決済要求を受け付けた場合に、決済要求が指定する決済事業者に対応する決済装置40に、決済処理を要求する機能を有する」ものである。
ここで、甲1発明の「受付部101」、「決済装置40」はそれぞれ、本件発明1の「受付部」、「決済実行装置」に相当する。
そうすると、甲1発明の「要求部104」は、本件発明1の「前記受付部が前記決済要求を受け付けた場合に、前記決済事業者に対応する決済実行装置に、前記決済処理の要求を送信する要求部」に相当する。
(オ)「前記決済事業者に対応する決済実行装置から、前記決済処理の処理結果を取得する決済結果取得部」について
甲1発明の「取得部105」は、「要求部104が決済を要求した決済装置40から、決済処理の処理結果を取得する機能を有する」ものであるから、本件発明1の「前記決済事業者に対応する決済実行装置から、前記決済処理の処理結果を取得する決済結果取得部」に相当する。
(カ)「前記処理結果が前記決済識別情報及び前記決済金額情報に対応付けられた決済結果情報を記憶する決済結果記憶部」について
甲1発明の「記憶部100」は、決済を行うユーザと決済事業者と店舗と決済が行われた日時である決済日時と決済金額とを含む決済履歴情報を記憶するものである。
ここで、甲1発明の決済履歴情報に含まれる「決済金額」は、本件発明1の「決済金額情報」に相当する。
また、甲1発明の「決済履歴情報」は、「決済が行われた日時である決済日時」や「決済金額」を含むものであり、決済結果を示す情報といえるから、以下の相違点を除いて、本件発明1の「決済結果情報」に相当する。
してみると、甲1発明の「記憶部100」は、本件発明1の「決済結果記憶部」と、「決済金額情報を含む決済結果情報を記憶する決済結果記憶部」である点で共通しており、一方、両者は以下の点で相違する。
本件発明1の「決済結果情報」は、「前記処理結果が前記決済識別情報及び前記決済金額情報に対応付けられた」ものであるのに対し、甲1発明の「決済履歴情報」は、「決済識別情報」を含むことも、処理結果に対応付けられたものであることも特定されていない点。
イ 一致点及び相違点
上記(1)で対比した事項を踏まえると、本件発明1と甲1発明は、
「決済を行うユーザが利用するユーザ端末にインストールされたアプリケーションにて、決済処理を実行する決済事業者の候補である複数の決済事業者が関連付けられる所定のコードを読み取ることで決済が行われるシステムにおける情報処理装置であって、
前記ユーザ端末による前記所定のコードの読み取りに応じて、前記ユーザ端末から、所定の情報を取得する情報取得部と、
前記ユーザ端末から、前記複数の決済事業者のうち前記決済処理を実行させる一の決済事業者を指定する決済要求を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記決済要求を受け付けた場合に、前記決済事業者に対応する決済実行装置に、前記決済処理の要求を送信する要求部と、
前記決済事業者に対応する決済実行装置から、前記決済処理の処理結果を取得する決済結果取得部と、
決済金額情報を含む決済結果情報を記憶する決済結果記憶部と、
を備える情報処理装置。」
という点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点1)
本件発明1の「決済情報取得部」は、「前記決済を識別する決済識別情報と、前記決済における金額を示す決済金額情報とを取得する」ものであるのに対し、甲1発明の「受付部101」は、それらの情報を取得するものであることは特定されていない点。
(相違点2)
本件発明1の「受付部」は、「前記ユーザ端末による前記所定のコードの読み取りに応じて、前記所定のコードに関連付けられる前記複数の決済事業者の情報を、前記ユーザ端末を通じて前記ユーザに提示」するものであるのに対し、甲1発明の「受付部101」にはそのような特定がなされていない点。
(相違点3)
本件発明1の「決済結果情報」は、「前記処理結果が前記決済識別情報及び前記決済金額情報に対応付けられた」ものであるのに対し、甲1発明の「決済履歴情報」は、「決済識別情報」を含むことも、処理結果に対応付けられたものであることも特定されていない点。
ウ 判断
事案に鑑みて相違点2について検討する。
甲1発明において「複数の決済事業者の情報」は、決済アプリケーションの画面で指定されるものであり、「前記ユーザ端末による前記所定のコードの読み取りに応じて」ユーザに提示されるものではない。
また、甲1発明は、ユーザが、決済アプリケーションの画面でどの決済サービスを利用するのかを指定し、その後にユーザ端末10の決済アプリケーションが、ユーザからの指示に基づいて、店舗に設置された共通二次元コードを読み取るものである。
すなわち、甲1発明においては、共通二次元コードを読み取る段階において、既に利用する決済サービスが指定されている。
そうすると、甲1発明を、本件発明1のように「前記ユーザ端末による前記所定のコードの読み取りに応じて」複数の決済事業者の情報をユーザに提示する構成とする動機付けは認められない。
また、甲1発明において、共通二次元コードを読み取る前に、ユーザが決済アプリケーションの画面でどの決済サービスを利用するのかを指定する構成に代えて、相違点2に係る構成を採用することが、本件特許の出願時の技術常識に鑑みて、周知技術であった又は当業者であれば自明であるとの合理的な理由もない。
そして、甲2~甲3Aには、上記第4の2~3に示したとおりの記載があるのみで、上記相違点に係る構成は記載されていない。
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲3Aに記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
エ 異議申立人の主張について
異議申立人は、特許異議申立書において、以下のとおり主張している。
「「(C)構成(LC)と(甲1-LC)との対比本件特許発明1は、所定のコードの読み取りに応じて、当該コードに関連付けられる複数の決済事業者の情報をユーザに提示するのに対して、甲1発明は、複数の決済事業者のうち決済処理を実行させる一の決済事業者を指定する決済要求を受け付ける点が相違する(相違点2)。」(特許異議申立書第13ページ第6行~第10行)
「(I)相違点2について
甲第1号証には、「ステップS110で、ユーザ端末10の決済アプリケーションは、決済事業者IDと、店舗IDと、ユーザIDと、トランザクションキーと、決済トークンと、決済金額とを含む決済要求メンセ~ジを共通装置30に送信する。共通装置30の受付部101は、ユーザ端末10から送信された決済要求メッセージを受け付ける。」(段落0055)
「複数の決済サービスで共通に利用可能な決済アプリケーションであつてもよい。この場合、ユーザは、どの決済サービスを利用するのかを決済アプリケーションの画面で指定することになる。」(段落0045)と開示されている。
甲第1号証には、複数の決済サービスで共通に利用可能な決済アプリケーションにおいて、どの決済サービスを利用するのかを指定可能であると開示されているのであるから、当該決済アプリケーションは複数の決済サービスを提示する機能を有していることになる。また、この決済アプリケーションは共通二次元コードを読み取り可能である(段落0048)。
「構成(LA)と(甲1-LA)との対比」において述べたとおり、甲第1号証の共通二次元コードには、「決済処理を実行可能な複数の決済事業者」が関連付けられている。
情報処理の技術分野において、店舗等において受け付け可能な決済事業者の情報のみを提示することはごく一般的な課題である。そうすると、複数の決済事業者を選択可能に提示する決済アプリケーションにおいて、当該課題を解決するために、共通二次元コードに関連付けられた決済処理を実行可能な複数の決済事業者のみを提示するよう設計変更することは当業者の通常の創作能力の発揮にすぎず、設計事項にすぎない。」(特許異議申立書第14ページ第14行~第36行)
上記主張について検討する。
仮に、「情報処理の技術分野において、店舗等において受け付け可能な決済事業者の情報のみを提示することはごく一般的な課題である」としても、当該課題を解決するための具体的な構成として、「前記ユーザ端末による前記所定のコードの読み取りに応じて、前記所定のコードに関連付けられる前記複数の決済事業者の情報を、前記ユーザ端末を通じて前記ユーザに提示する」構成が本件特許出願時に技術常識であったと認めるに足る証拠はなく、また、そのような構成を甲1発明において採用する動機付けも認められない。
したがって、異議申立人の上記主張は採用できない。
オ 小括
上記ウ~エより、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲3Aに記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件発明2~9について
本件発明2~9は、本件発明1の構成に限定を加えて減縮したものであり、これらの請求項に係る発明は、いずれも、上記(1)イに示した上記相違点2に係る構成を有しているから、上記「(1)本件発明1について」で示したのと同様の理由により、甲1発明、甲2~甲3Aに記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件発明10について
本件発明10は、本件発明1の「情報処理装置」に係る発明を、「プログラム」として表現したものであり、上記「(1)本件発明1について」で検討したのと同様に、甲1発明、甲2~甲3Aに記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)本件発明11について
本件発明11は、本件発明1の「情報処理装置」に係る発明を、「情報処理方法」として表現したものであり、上記「(1)本件発明1について」で検討したのと同様に、甲1発明、甲2~甲3Aに記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 むすび
以上によれば、特許異議の申立ての理由(特許法29条2項)及び異議申立人の提出した証拠によっては、本件特許の請求項1~11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-700848