特許異議申立
2025-700805
ハイベイライトフィクスチャの熱管理
- 審判番号
- 2025-700805
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-526309
- 登録番号
- 7629095
- 請求日
- 2025年08月08日
- 審決日
- 2025年11月17日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
- 【権利者代理人】柴田 沙希子
- 【異議申立人】尾田 哲之
- 審判長/審判官
- 審判長 田村 耕作
- 審判官 藤崎 詔夫
- 審判官 横溝 顕範
- 分類
- P1652.121-Y (F21V) / P1652.537-Y (F21V)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7629095号発明「ハイベイライトフィクスチャの熱管理」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7629095号の請求項2及び5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7629095号(以下「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許についての出願は、2021年(令和3年)10月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2020年11月2日 アメリカ合衆国(US)、2020年11月10日 欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、令和7年2月3日にその特許権の設定登録がされ、同年2月12日に特許掲載公報が発行され、令和7年8月8日に特許異議申立人尾田哲之(以下「申立人」という。)による本件特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~11に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるものであるところ、本件特許異議申立の対象である請求項2及び5に係る発明は、以下のとおりのものであると認められる。
なお、本件特許の請求項2及び5に係る発明を、以下、それぞれ「本件発明2」、「本件発明5」という。
「【請求項2】
電子機器ハウジングと、
前記電子機器ハウジングに取り付けられる複数のヒートシンク構造と、
前記複数のヒートシンク構造に取り付けられる光源と、
を含む、ハイベイライトフィクスチャであって、
各ヒートシンク構造は、底壁及び前記底壁から上に延びる側壁を含み、各光源は、前記電子機器ハウジングから離れる方を向く前記底壁の表面上で前記複数のヒートシンク構造のそれぞれのヒートシンク構造の前記底壁に取り付けられ、
各ヒートシンク構造は、当該ヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造の他のヒートシンク構造から離間され、各ヒートシンク構造の前記底壁は、各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの少なくともある側壁の高さ、前記電子機器ハウジングから離間され、
(a)各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの前記ある側壁は、前記電子機器ハウジングと当該ヒートシンク構造に取り付けられる光源との間に電気ケーブルを配線するための穴を含む、又は
(b)前記複数のヒートシンク構造は、アルミニウムシートメタルから作られ、
前記複数のヒートシンク構造のうちの第1のヒートシンク構造の第1の側壁は、前記第1のヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造のうちの第2のヒートシンク構造の側壁から離間され、前記複数のヒートシンク構造のうちの前記第1のヒートシンク構造の第2の側壁は、前記第1のヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造のうちの第3のヒートシンク構造の側壁から離間される、ライトフィクスチャ。」
「【請求項5】
電子機器ハウジングと、
前記電子機器ハウジングに取り付けられる複数のヒートシンク構造と、
前記複数のヒートシンク構造に取り付けられる光源と、
を含む、ハイベイライトフィクスチャであって、
各ヒートシンク構造は、底壁及び前記底壁から上に延びる側壁を含み、各光源は、前記電子機器ハウジングから離れる方を向く前記底壁の表面上で前記複数のヒートシンク構造のそれぞれのヒートシンク構造の前記底壁に取り付けられ、
各ヒートシンク構造は、当該ヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造の他のヒートシンク構造から離間され、各ヒートシンク構造の前記底壁は、各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの少なくともある側壁の高さ、前記電子機器ハウジングから離間され、
(a)各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの前記ある側壁は、前記電子機器ハウジングと当該ヒートシンク構造に取り付けられる光源との間に電気ケーブルを配線するための穴を含む、又は
(b)前記複数のヒートシンク構造は、アルミニウムシートメタルから作られ、
前記複数のヒートシンク構造の各ヒートシンク構造は、前記複数のヒートシンク構造の2つのヒートシンク構造に隣接する、ライトフィクスチャ。」
第3 特許異議申立理由の概要
申立人が特許異議申立書で主張する特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。また、申立人は、特許異議申立書とともに、甲第1号証~甲第8号証を提出した(以下、「甲第1号証」等を「甲1」等と略記する。)。
なお、「甲1発明2」等は、申立人が主張する「甲1に記載された発明」等を意味する。
理由1(特許法第29条第2項:甲1を主引例とした進歩性)
本件特許発明2は、甲1発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。
本件特許発明5は、甲1発明5及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。
理由2(特許法第29条第2項:甲2を主引例とした進歩性)
本件特許発明2は、甲2発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。
本件特許発明5は、甲2発明5及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。
理由3(特許法第36条第6項第2号:明確性要件)
理由3-1
本件特許発明2及び5の「電子機器ハウジング」は、どのような構成なのか不明確である。
理由3-2
本件特許発明2及び5の、「各ヒートシンク構造の前記底壁は、各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの少なくともある側壁の高さ、前記電子機器ハウジングから離間され」という記載が、「各ヒートシンク構造の前記底壁は、各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの少なくともある側壁の高さ「だけ」、前記電子機器ハウジングから離間され」ているのか、「各ヒートシンク構造の前記底壁は、各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの少なくともある側壁の高さ「以上」、前記電子機器ハウジングから離間され」ているのか、あるいは「各ヒートシンク構造の前記底壁は、各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの少なくともある側壁の高さ「未満」、前記電子機器ハウジングから離間され」ているのかのいずれを意味するのかが不明確である。
<証拠一覧>
甲1:特開2016-18617号公報
甲2:特開2020-21648号公報
甲3:特開2014-26803号公報
甲4:特開2017-41342号公報
甲5:特開2018-195459号公報
甲6:特開2020-74347号公報
甲7:特開2018-10868号公報
甲8:特開2020-21649号公報
第4 当審の判断
事案に鑑み、理由3(明確性要件)から検討する。
1 理由3(明確性要件)について
(1)理由3-1について
請求項2に記載された「電子機器ハウジング」について、「電子機器ハウジングと、」「を含む、ハイベイライトフィクスチャ」と記載されているから、ライトフィクスチャに搭載される電子機器のハウジングであることが特定されているところ、「前記電子機器ハウジングと当該ヒートシンク構造に取り付けられる光源との間に電気ケーブルを配線する」なる記載によれば、電子機器と光源が電気ケーブルで接続されることが特定されている。
そうすると、「電子機器ハウジング」とは、ライトフィクスチャに搭載され、光源と接続される電子機器のハウジングであることが理解できるところ、照明機器の技術分野における当業者であれば、当該電子機器とは、光源の電源回路や制御回路などを意味することが理解できる。
そして上記の理解は、本件特許の発明の詳細な説明の「ライトフィクスチャ100はさらに、ドライバ等のコンポーネントを含む電子機器ハウジング110を含んでもよい。」(【0013】)、「一部の例示的な実施形態では、ライトフィクスチャ1000は、図5に示されるドライバ502と同様のドライバ(例えば、LEDドライバ)を含み得る電子機器ハウジング1014を含む。」(【0059】)等の記載とも整合する(下線は当審で付した(以下同様。)。)。
したがって、本件発明2は、明確である。
請求項5に記載された「電子機器ハウジング」についても、請求項2と同様に、「電子機器ハウジングと、」「を含む、ハイベイライトフィクスチャ」と記載されており、「前記電子機器ハウジングと当該ヒートシンク構造に取り付けられる光源との間に電気ケーブルを配線する」ことが特定されている。
したがって、本件発明5は、本件発明2と同様に明確である。
(2)理由3-2について
請求項2の「各ヒートシンク構造の前記底壁は、各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの少なくともある側壁の高さ、前記電子機器ハウジングから離間され、」は、「少なくとも」ある側壁の高さ離間されていること、すなわち離間距離の下限が「ある側壁の高さ」であることが理解できる。
したがって、本件発明2は、明確である。
請求項5の「各ヒートシンク構造の前記底壁は、各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの少なくともある側壁の高さ、前記電子機器ハウジングから離間され、」についても、請求項2と同様に、離間距離の下限が「ある側壁の高さ」であることが理解できる。
したがって、本件発明5は、明確である。
(3)理由3のまとめ
以上のとおり、本件発明2及び5は明確であり、請求項2及び5の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしているから、理由3によっては、本件特許の請求項2及び5に係る特許を取り消すことはできない。
2 理由1(甲1を主引例とした進歩性)について
(1)甲1について
ア 甲1の記載事項
本件特許の優先日前の平成28年2月1日に公開された甲1には、以下の記載がある。
(ア)「【0050】
本発明の一実施の形態に係る放熱器を備える照明装置を図1~図7に示す。・・・これ等の図に示す照明装置は、一以上の半導体発光素子1と、半導体発光素子1が第一面2Xに実装される基板2と、半導体発光素子1に供給する電力を調整するための電源部60と、半導体発光素子1から発生する熱を放熱する放熱器10とを備えている。この照明装置は、基板2に実装される半導体発光素子1を発熱部材9としており、その使用状態において半導体発光素子1から発生する熱を放熱器10で放熱する。・・・」
(イ)「【0052】
半導体発光素子1は、基板2の第一面2Xである実装面の定位置に固定される。照明装置は、好ましくは、複数の半導体発光素子1を基板2に実装する。図の照明装置は、6個の半導体発光素子1を備えている。・・・照明装置に実装する半導体発光素子1の出力及び個数は、その用途により種々に変更されるが、例えば、工場の天井等に水銀灯の代替用照明として使用される照明装置においては、COB(chip on board)タイプで出力28Wの半導体発光素子を6個使用して、全体の出力を168Wとすることができ、あるいは、COB(chip on board)タイプで出力28Wの半導体発光素子を3個使用して、全体の出力を84Wとすることができる。」
(ウ)「【0063】
(電源部60)
電源部60は、商用電源等の外部電源から供給される交流電力を、半導体発光素子1に供給する直流電力に変換して出力する電源回路65を備えている。電源回路65は、図示しないが、供給される交流を直流に変換する整流回路と、整流回路の出力を所定の電圧に変換して出力する電圧調整回路とを備えている。図1に示す照明装置は、これ等の回路を実現する電子部品をケーシング61に内蔵して、このケーシング61を照明装置本体の外部に配置して接続している。・・・。図1に示す照明装置は、半導体発光素子1の照射面と反対側であって、照明装置本体の上側に電源部60のケーシング61を配置している。ケーシング61からは、基板2に実装される半導体発光素子1に電力を供給する電力供給ラインとなる電源ケーブル62が引き出されている。図1に示す照明装置は、電源ケーブル62を、放熱器10の中心部を通過させて基板2の貫通穴22に貫通させている。・・・
【0064】
(放熱器10)
放熱器10は、発熱部材9である半導体発光素子1から発生する熱を放熱するために、半導体発光素子1が熱結合される基板2と、この基板2に熱結合状態で固定されて、半導体発光素子1から熱伝導される熱を放熱する一以上の放熱ユニット3を備えている。・・・
【0065】
(放熱ユニット3)
放熱ユニット3は、図8~図10に示すように、互いに離間した姿勢で配置されてなる、繊維質を有する複数枚の熱伝導性シート4と、互いに対向して配置される熱伝導性シート4同士の間に介在されるスペーサ5と、スペーサ5を介在して積層された複数枚の熱伝導性シート4の両側端面にそれぞれ配置されるホルダ6と、ホルダ6と熱伝導性シート4とスペーサ5に貫通させてこれらの積層体を締結する連結具7とを備えている。この放熱ユニット3は、複数枚の熱伝導性シート4を、スペーサ5を介在させた状態で積層して、複数枚の熱伝導性シート4を互いに離間させた姿勢で配列している。さらに、放熱ユニット3は、スペーサ5を介在して積層された複数枚の熱伝導性シート4の両側端面にホルダ6 を配置しており、これ等の積層体を貫通する連結具7を介して、ホルダ6と熱伝導性シート4とスペーサ5とを一体的に連結している。
【0066】
図8と図9に示す放熱ユニット3は、スペーサ5とホルダ6を、一方向に延長された柱状とし、熱伝導性シート4をスペーサ5及びホルダ6の延長方向に延在する面状としている。・・・」
(エ)「【0075】
(熱伝導性シート4)
熱伝導性シート4は、繊維質を有するシート材であって、好ましくは、熱伝導フィラーを含有する繊維シートとする。・・・」
(オ)「【0087】
金属製のスペーサ5は、軽量であって、かつ熱伝導性に優れた金属、例えばアルミニウムで製造される。アルミニウム製のスペーサ5は、好ましくは押出成形により製造される。以上のスペーサ5は、押出成形することにより、軸方向において横断面形状が等しい柱状に、簡単かつ容易に成形できる。柱状に形成された金属製のスペーサ5は、互いに対向する側面同士であって、積層される熱伝導性シート4と対向する面に、連結具7を挿通するための貫通孔5aが開口される。」
(カ)「【0091】
金属製のホルダ6は、軽量であって、かつ熱伝導性に優れた金属、例えばアルミニウムで製造される。アルミニウム製のホルダ6も、好ましくは押出成形により製造される。押出成形されるホルダ6は、軸方向において横断面形状が等しい柱状に、簡単かつ容易に成形できる。・・・」
(キ)「【0094】
(連結具7)
連結具7は、互いに積層されたホルダ6と熱伝導性シート4とスペーサ5とを貫通して、これ等の積層体を一体的に締結する。図9と図10の連結具7は、ホルダ6と熱伝導性シート4とスペーサ5とを貫通するロッド部7aを有するボルト7Aと、このボルト7Aの先端にねじ込まれるナット7Bとを備えている。・・・」
(ク)「【0104】
(複数の放熱ユニット3の配置)
図7に示す放熱器10は、基板2の第二面2Yであって、半導体発光素子1が実装される実装面の裏面側に、複数個の放熱ユニット3を熱結合状態で固定している。複数の放熱ユニット3は、同一形状に形成されており、所定の配列で基板2の第二面2Yに固定されている。図7の放熱器10は、複数の放熱ユニット3を、基板2の外周部において、円周上に等間隔で配置している。放熱器10は、互いに隣接する放熱ユニット3同士を非接触状態で配置して、隣接する放熱ユニット3同士の間に通気隙間29を設けている。これにより、各放熱ユニット3の放熱効果を向上させている。」
(ケ)「【0112】
以上の背面板50は、固定ネジ15を介して放熱ユニット3のホルダ6に固定されて放熱器10の定位置に固定される。・・・すなわち、この背面板50は、放熱ユニット3を介して基板2に固定されている。
【0113】
さらに、図に示す背面板50は、両側に対向して、外周方向に突出する突出片51を備えており、この突出片51の先端側を上方に折曲させている。この突出片51は、例えば、照明装置を固定する固定具として使用され、あるいは、図1に示すように、外部に配置される電源部60を固定する部材に兼用される。・・・」
(コ)【図1】には、以下の内容が図示されている。
「
[図:0001430039000001.jpg]
」
(サ)【図3】には、以下の内容が図示されている。
「
[図:0001430039000002.jpg]
」
(シ)【図7】には、以下の内容が図示されている。
「
[図:0001430039000003.jpg]
」
(ス)【図9】には、以下の内容が図示されている。
「
[図:0001430039000004.jpg]
」
イ 甲1の認定事項
上記アによれば、甲1から以下の事項が認定できる。なお、主な参照箇所を括弧内に示す(以下同様。)。
(ア)電源部60と、放熱器10と、半導体発光素子1を備えている、工場の天井等に水銀灯の代替用照明として使用される照明装置である。(【0050】、【0052】、【図1】)
(イ)電源部60は、電子部品をケーシング61に内蔵している。(【0063】、【図1】)
(ウ)放熱器10は、一以上の放熱ユニット3と、基板2と、背面板50を備えており、背面板50によって電源部60を固定している。(【0064】、【0112】、【0113】、【図1】、【図3】)
(エ)半導体発光素子1は、基板2に実装されている。(【0050】、【図1】、【図3】)
(オ)放熱器10は、基板2の第二面2Yであって、半導体発光素子1が実装される実装面の裏面側に、複数個の放熱ユニット3を固定しており、放熱ユニット3は、複数枚の熱伝導性シート4と、スペーサ5と、ホルダ6と、連結具7とを備え、スペーサ5を介在して積層された複数枚の熱伝導性シート4の両側端面にホルダ6を配置しており、これ等の積層体を貫通する連結具7を介して、ホルダ6と熱伝導性シート4とスペーサ5とが一体的に連結されている。(【0065】、【0104】、【図3】、【図7】、【図9】)
(カ)【0065】「放熱ユニット3は、スペーサ5とホルダ6を、一方向に延長された柱状とし、」の記載を踏まえ、【図1】、【図3】、【図9】をみると、ホルダ6は、基板2の第二面2Yから背面板50に向かう上下方向に延長された柱状であることが看取される。
(キ)6個の半導体発光素子1が、基板2の第一面2Xである実装面の定位置に固定される。(【0052】、【図1】、【図3】)
(ク)複数個の放熱ユニット3は、同一形状に形成されており、基板2の外周部において、円周上に等間隔で配置され、互いに隣接する放熱ユニット3同士を非接触状態で配置して、隣接する放熱ユニット3同士の間に通気隙間29を設けている。(【0104】、【図3】、【図7】)
(ケ)電源ケーブル62を、放熱器10の中心部を通過させて基板2の貫通穴22に貫通させている。(【0063】、【図1】)
(コ)熱伝導性シート4は繊維質を有するシート材であり、スペーサ5はアルミニウム製で柱状に形成されており、ホルダ6はアルミニウム製で柱状に成形されており、連結具7はロッド部7aを有するボルト7Aと、ボルト7Aの先端にねじ込まれるナット7Bとを備えている。(【0087】、【0091】、【0094】)
ウ 甲1に記載された発明
上記ア及びイを踏まえると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「電子部品をケーシング61に内蔵している電源部60と、(上記イ(イ))
一以上の放熱ユニット3と、基板2と、背面板50を備えており、背面板50によって電源部60を固定している放熱器10と、(上記イ(ウ))
基板2に実装されている半導体発光素子1と、(上記イ(エ))
を備える、工場の天井等に水銀灯の代替用照明として使用される照明装置であって、(上記イ(ア))
放熱器10は、基板2の第二面2Yであって、半導体発光素子1が実装される実装面の裏面側に、複数個の放熱ユニット3を固定しており、放熱ユニット3は、複数枚の熱伝導性シート4と、スペーサ5と、ホルダ6と、連結具7とを備え、スペーサ5を介在して積層された複数枚の熱伝導性シート4の両側端面にホルダ6を配置しており、これ等の積層体を貫通する連結具7を介して、ホルダ6と熱伝導性シート4とスペーサ5とが一体的に連結されており、(上記イ(オ))
ホルダ6は、基板2の第二面2Yから背面板50に向かう上下方向に延長された柱状であり、(上記イ(カ))
6個の半導体発光素子1が、基板2の第一面2Xである実装面の定位置に固定され、(上記イ(キ))
複数個の放熱ユニット3は、同一形状に形成されており、基板2の外周部において、円周上に等間隔で配置され、互いに隣接する放熱ユニット3同士を非接触状態で配置して、隣接する放熱ユニット3同士の間に通気隙間29を設けており、(上記イ(ク))
電源ケーブル62を、放熱器10の中心部を通過させて基板2の貫通穴22に貫通させており、(上記イ(ケ))
熱伝導性シート4は繊維質を有するシート材であり、スペーサ5はアルミニウム製で柱状に形成されており、ホルダ6はアルミニウム製で柱状に成形されており、連結具7はロッド部7aを有するボルト7Aと、ボルト7Aの先端にねじ込まれるナット7Bとを備えている、(上記イ(コ))
照明装置。」
(2)本件発明2について
ア 対比
本件発明2と甲1発明を対比する。
(ア)後者の「電源部60」の「電子部品」は、前者の「電子機器」に相当し、後者「電源部60」の「ケーシング61」は、前者の「ハウジング」に相当する。
そうすると、後者の「電子部品をケーシング61に内蔵している電源部60」は、前者の「電子機器ハウジング」に相当するといえる。
(イ)後者の「放熱器10」が備える「放熱ユニット3」は、前者の「ヒートシンク構造」に相当する。
ここで、本件発明2の「前記電子機器ハウジングに取り付けられる複数のヒートシンク構造」は、直接取り付けられるとまで限定していないから、「複数のヒートシンク構造」が別の部材を介して「前記電子機器ハウジングに取り付けられる」ことを排除していないと解される。
そうすると、後者の「一以上の放熱ユニット3」を備える「放熱器10」が「背面板50によって電源部60を固定している」態様は、前者の「複数のヒートシンク構造」が「前記電子機器ハウジングに取り付けられる」態様に相当するといえる。
(ウ)後者の「半導体発光素子1」は、前者の「光源」に相当する。
ここで、本件発明2の「前記複数のヒートシンク構造に取り付けられる光源」は、直接取り付けられるとまで限定していないから、「光源」が別の部材を介して「前記複数のヒートシンク構造に取り付けられる」ことを排除していないと解される。
そうすると、後者の「半導体発光素子1」が「一以上の放熱ユニット3」を備える「放熱器10」の「基板2に実装されている」態様は、前者の「光源」が「前記複数のヒートシンク構造に取り付けられる」態様に相当するといえる。
(エ)後者の「照明装置」は、「工場の天井等に水銀灯の代替用照明として使用される」ものであるから、前者の「ハイベイライトフィクスチャ」に相当する。
(オ)後者の「放熱器10」の「基板2」と、前者の「各ヒートシンク構造」の「底壁」とは、「ヒートシンク装置の底板」の点で共通する。
また、後者の「放熱ユニット3」が備える「基板2の第二面2Yから背面板50に向かう上下方向に延長された柱状」である「ホルダ6」と、前者の「各ヒートシンク構造」の「前記底壁から上に延びる側壁」とは、「ヒートシンク装置の底板から上に延びる部材」の点で共通する。
(カ)後者の「基板2の第二面2Y」は、「背面板50に向かう」方向、すなわち「電源部60」に向かう方向の面であるから、それと反対の「基板2の第一面2X」は、「電源部60」から離れる方向の面である。
そうすると、後者の「6個の半導体発光素子1が」、「放熱器10」が備える「基板2の第一面2Xである実装面の定位置に固定され」る態様と、前者の「各光源」が「前記電子機器ハウジングから離れる方を向く前記底壁の表面上で前記複数のヒートシンク構造のそれぞれのヒートシンク構造の前記底壁に取り付けられ」る態様とは、「各光源は、前記電子機器ハウジングから離れる方を向くヒートシンク装置の底板の表面上に取り付けられ」る態様の点で共通する。
(キ)後者の「複数個の放熱ユニット3は、同一形状に形成されており、基板2の外周部において、円周上に等間隔で配置され、互いに隣接する放熱ユニット3同士を非接触状態で配置して、隣接する放熱ユニット3同士の間に通気隙間29を設けて」いる態様は、前者の「各ヒートシンク構造は、当該ヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造の他のヒートシンク構造から離間され」ている態様に相当する。
(ク)後者の「放熱ユニット3」が備える「ホルダ6」は、「基板2の第二面2Yから背面板50に向かう上下方向に延長された柱状であ」るから、「放熱器10」が備える「基板2」と、「背面板50」に固定された「電源部60」との間隔は、少なくとも、「ホルダ6」の上下方向長さの分だけ離間していることが明らかである。
そうすると、後者の「放熱器10」が備える「基板2」が、少なくとも、「ホルダ6」の上下方向長さの分だけ「電源部60」と離間している態様と、前者の「各ヒートシンク構造の前記底壁は、各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの少なくともある側壁の高さ、前記電子機器ハウジングから離間され」ている態様とは、「ヒートシンク装置の底板は、各ヒートシンク構造の上に延びる部材のうちの少なくともある上に延びる部材の高さ、前記電子機器ハウジングから離間され」ている態様の点で共通する。
(ケ)後者の「電源ケーブル62を、放熱器10の中心部を通過させて基板2の貫通穴22に貫通させて」いる態様と、前者の「各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの前記ある側壁は、前記電子機器ハウジングと当該ヒートシンク構造に取り付けられる光源との間に電気ケーブルを配線するための穴を含む」態様とは、「ヒートシンク装置は、前記電子機器ハウジングと当該ヒートシンク装置に取り付けられる光源との間に電気ケーブルを配線するための穴を含む」態様の点で共通する。
(コ)後者の「熱伝導性シート4は繊維質を有するシート材であり、スペーサ5はアルミニウム製で柱状に形成されており、ホルダ6はアルミニウム製で柱状に成形されて」いることと、前者の「前記複数のヒートシンク構造は、アルミニウムシートメタルから作られ」ていることとは、「前記複数のヒートシンク装置の一部は、アルミニウムから作られる」ことの点で共通する。
(サ)後者の「複数個の放熱ユニット3」は、「基板2の外周部において、円周上に等間隔で配置され、互いに隣接する放熱ユニット3同士を非接触状態で配置して、隣接する放熱ユニット3同士の間に通気隙間29を設けて」いるから、互いに隣接する「放熱ユニット3」の「ホルダ6」同士もまた非接触状態であることが明らかである。
そうすると、後者の「複数個の放熱ユニット3」が「基板2の外周部において、円周上に等間隔で配置され、互いに隣接する放熱ユニット3同士を非接触状態で配置して、隣接する放熱ユニット3同士の間に通気隙間29を設けて」いる態様と、前者の「前記複数のヒートシンク構造のうちの第1のヒートシンク構造の第1の側壁は、前記第1のヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造のうちの第2のヒートシンク構造の側壁から離間され、前記複数のヒートシンク構造のうちの前記第1のヒートシンク構造の第2の側壁は、前記第1のヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造のうちの第3のヒートシンク構造の側壁から離間される」態様とは、「前記複数のヒートシンク構造のうちの第1のヒートシンク構造の第1の上に延びる部材は、前記第1のヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造のうちの第2のヒートシンク構造の上に延びる部材から離間され、前記複数のヒートシンク構造のうちの前記第1のヒートシンク構造の第2の上に延びる部材は、前記第1のヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造のうちの第3のヒートシンク構造の上に延びる部材から離間される」態様の点で共通する。
(シ)以上の限りにおいて、後者の「照明装置」は、前者の「ライトフィクスチャ」に相当する。
(ス)そうすると両者は、
「電子機器ハウジングと、
前記電子機器ハウジングに取り付けられる複数のヒートシンク構造と、
前記複数のヒートシンク構造に取り付けられる光源と、
を含む、ハイベイライトフィクスチャであって、
ヒートシンク装置の底板及び底板から上に延びる部材を含み、各光源は、前記電子機器ハウジングから離れる方を向くヒートシンク装置の底板の表面上に取り付けられ、
各ヒートシンク構造は、当該ヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造の他のヒートシンク構造から離間され、ヒートシンク装置の底板は、各ヒートシンク構造の上に延びる部材のうちの少なくともある上に延びる部材の高さ、前記電子機器ハウジングから離間され、
(a)ヒートシンク装置は、前記電子機器ハウジングと当該ヒートシンク装置に取り付けられる光源との間に電気ケーブルを配線するための穴を含む、又は
(b)前記複数のヒートシンク装置の一部は、アルミニウムから作られ、
前記複数のヒートシンク構造のうちの第1のヒートシンク構造の第1の上に延びる部材は、前記第1のヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造のうちの第2のヒートシンク構造の上に延びる部材から離間され、前記複数のヒートシンク構造のうちの前記第1のヒートシンク構造の第2の上に延びる部材は、前記第1のヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造のうちの第3のヒートシンク構造の上に延びる部材から離間される、ライトフィクスチャ。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点1-2A〕
ヒートシンク装置の底板に関し、本件発明2は、「各ヒートシンク構造」が「底壁」を含むものであり、それゆえ、各光源は「前記底壁」の表面上で「前記複数のヒートシンク構造のそれぞれ」の「ヒートシンク構造の前記底壁」に取り付けられるものであり、また、「各ヒートシンク構造の前記底壁」が電子機器ハウジングから離間されるものであるのに対して、甲1発明は、「放熱器10」が備える「基板2」であって、「放熱ユニット3」それぞれが備えるものではなく、それゆえ、6個の半導体発光素子1は「放熱器10」が備える「基板2」に実装されているものであり、また、「放熱器10」が備える「基板2」が電源部60から離間されるものである点。
〔相違点1-2B〕
上に延びる部材に関し、本件発明2は、「側壁」であるのに対して、甲1発明の「ホルダ6」は、「基板2の第二面2Yから背面板50に向かう上下方向に延長された柱状」である点。
〔相違点1-2C〕
ヒートシンク構造に関し、本件発明2は「(a)各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの前記ある側壁は、前記電子機器ハウジングと当該ヒートシンク構造に取り付けられる光源との間に電気ケーブルを配線するための穴を含む、又は(b)前記複数のヒートシンク構造は、アルミニウムシートメタルから作られ」ているのに対して、甲1発明は、「電源ケーブル62を、放熱器10の中心部を通過させて基板2の貫通穴22に貫通させて」いるものであって、放熱ユニット3を構成する「熱伝導性シート4は繊維質を有するシート材であり、スペーサ5はアルミニウム製で柱状に形成されており、ホルダ6はアルミニウム製で柱状に成形されており、連結具7はロッド部7aを有するボルト7Aと、ボルト7Aの先端にねじ込まれるナット7Bとを備えている」もので、アルミニウムシートメタルから作られているものではない点。
イ 判断
(ア)相違点1-2Aについて
甲1発明は、「放熱器10は、基板2の第二面2Yであって、半導体発光素子1が実装される実装面の裏面側に、複数個の放熱ユニット3を固定して」いることにより、複数個の放熱ユニット3を1つの放熱器10として組み立てているものであるから、「基板2」を分割して複数個の放熱ユニット3それぞれの「底壁」とすると、1つの放熱器10として組み立てることができず、分割することの阻害事由があるといえるし、少なくとも、分割することの動機付けがない。
また、甲1発明において、「基板2」を分割して複数個の放熱ユニット3それぞれの「底壁」とすることが、設計的事項であるということもできない。
したがって、仮に、複数の放熱ユニットの各々が独立した底壁を有する構成が周知技術であるとしても、甲1発明において、相違点1-2Aに係る本件発明2の発明特定事項とすることが容易になし得たものであるということはできない。
(イ)相違点1-2Bについて
一般的に「壁」とは、「1家の四方を囲い、または室と室の隔てとするもの。」(広辞苑第七版)を意味するところ、本件発明2は、「各ヒートシンク構造は、底壁及び前記底壁から上に延びる側壁を含み」「各ヒートシンク構造は、当該ヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造の他のヒートシンク構造から離間され」ることが特定されているから、「側壁」とは、側方にある壁であって、ヒートシンク構造を四方を囲い、またはヒートシンク構造と他のヒートシンク構造の隔てとする壁を意味することが理解できる。
一方、甲1発明の「放熱ユニット3」は、「複数枚の熱伝導性シート4と、スペーサ5と、ホルダ6と、連結具7とを備え、スペーサ5を介在して積層された複数枚の熱伝導性シート4の両側端面にホルダ6を配置しており、これ等の積層体を貫通する連結具7を介して、ホルダ6と熱伝導性シート4とスペーサ5とが一体的に連結されて」いるものであり、「ホルダ6」は、連結具7と連結できる大きさが必要とされることから、「基板2の第二面2Yから背面板50に向かう上下方向に延長された柱状」とされているものであるから、「ホルダ6」を拡大して「側壁」とすることの動機付けがない。
また、甲1発明は、「柱状」の「ホルダ6」であるがゆえに最外層の熱伝導性シート4の大部分が露出しており、「互いに隣接する放熱ユニット3同士を非接触状態で配置して、隣接する放熱ユニット3同士の間に通気隙間29を設け」ることで、「これにより、各放熱ユニット3の放熱効果を向上させている。」(【0104】)ものであるから、「ホルダ6」を拡大して「側壁」とすると、最外層の熱伝導性シート4が露出せず、各放熱ユニット3の放熱効果向上を阻害することとなるため、「側壁」とすることの阻害事由があるといえる。
そして、甲1発明において、「柱状」の「ホルダ6」を拡大して「側壁」とすることが、設計的事項であるということもできない。
また、複数の放熱ユニットの各々が側壁を有する構成は、他の証拠にも示されていない。
したがって、甲1発明において、相違点1-2Bに係る本件発明2の発明特定事項とすることが容易になし得たものであるということはできない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書において、概略、以下のような主張をしている。
主張1(40ページ)甲1発明2の「基板2から上に延びる熱伝導性シート4」は、本件特許発明2の「側壁」に相当する。
主張2(41~42ページ)
甲1発明2の「複数の放熱ユニット3の各々」が独立した底壁を有する構成とすることは、甲2発明2の構成2d2、甲3記載事項1、甲4記載事項1、甲5記載事項1、甲7記載事項1、甲8記載事項1のように、周知技術である。
上記主張1について検討する。
甲1発明の「熱伝導性シート4」は、「繊維質を有するシート材」であり、「スペーサ5を介在して積層された複数枚の熱伝導性シート4の両側端面にホルダ6を配置しており、これ等の積層体を貫通する連結具7を介して、ホルダ6と熱伝導性シート4とスペーサ5とが一体的に連結され」ることで放熱ユニット3を構成するものであるから、「熱伝導性シート4」は、いわゆる放熱フィンであって、壁を構成するものではなく、甲1発明の「熱伝導性シート4」が本件発明2の「側壁」に相当するとした主張1には誤りがある。
したがって、申立人の主張1を採用することはできない。
上記主張2について検討する。
主張2は、実質的に相違点1-2Aに関する主張であるところ、上記イ(ア)で説示したとおり、甲1発明は、「基板2」を分割して独立した底壁とすることの阻害事由があるといえるし、少なくとも、分割することの動機付けがないから、仮に、複数の放熱ユニットの各々が独立した底壁を有する構成が周知技術であるとしても、甲1発明において、相違点1-2Aに係る本件発明2の発明特定事項とすることが容易になし得たものであるということはできない。
したがって、申立人の主張2を採用することはできない。
エ 小括
以上のとおりであるから、相違点1-2Cについて検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明2は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできない。
(3)本件発明5について
ア 対比
本件発明5と甲1発明を対比すると、上記(2)アで検討した本件発明2と甲1発明との相当関係と同様の相当関係に加えて、以下の相当関係を有する。
(ア)後者の「複数個の放熱ユニット3」が「基板2の外周部において、円周上に等間隔で配置され」ている態様は、前者の「前記複数のヒートシンク構造の各ヒートシンク構造は、前記複数のヒートシンク構造の2つのヒートシンク構造に隣接する」態様に相当する。
(イ)そうすると両者は、
「電子機器ハウジングと、
前記電子機器ハウジングに取り付けられる複数のヒートシンク構造と、
前記複数のヒートシンク構造に取り付けられる光源と、
を含む、ハイベイライトフィクスチャであって、
ヒートシンク装置の底板及び底板から上に延びる部材を含み、各光源は、前記電子機器ハウジングから離れる方を向くヒートシンク装置の底板の表面上に取り付けられ、
各ヒートシンク構造は、当該ヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造の他のヒートシンク構造から離間され、ヒートシンク装置の底板は、各ヒートシンク構造の上に延びる部材のうちの少なくともある上に延びる部材の高さ、前記電子機器ハウジングから離間され、
(a)ヒートシンク装置は、前記電子機器ハウジングと当該ヒートシンク装置に取り付けられる光源との間に電気ケーブルを配線するための穴を含む、又は
(b)前記複数のヒートシンク装置の一部は、アルミニウムから作られ、
前記複数のヒートシンク構造の各ヒートシンク構造は、前記複数のヒートシンク構造の2つのヒートシンク構造に隣接する、ライトフィクスチャ。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点1-5A〕
ヒートシンク装置の底板に関し、本件発明5は、「各ヒートシンク構造」が「底壁」を含むものであり、それゆえ、各光源は「前記底壁」の表面上で「前記複数のヒートシンク構造のそれぞれ」の「ヒートシンク構造の前記底壁」に取り付けられるものであり、また、「各ヒートシンク構造の前記底壁」が電子機器ハウジングから離間されるものであるのに対して、甲1発明は、「放熱器10」が備える「基板2」であって、「放熱ユニット3」それぞれが備えるものではなく、それゆえ、6個の半導体発光素子1は「放熱器10」が備える「基板2」に実装されているものであり、また、「放熱器10」が備える「基板2」が電源部60から離間されるものである点。
〔相違点1-5B 〕
上に延びる部材に関し、本件発明5は、「側壁」であるのに対して、甲1発明の「ホルダ6」は、「基板2の第二面2Yから背面板50に向かう上下方向に延長された柱状」である点。
〔相違点1-5C 〕
ヒートシンク構造に関し、本件発明5は「(a)各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの前記ある側壁は、前記電子機器ハウジングと当該ヒートシンク構造に取り付けられる光源との間に電気ケーブルを配線するための穴を含む、又は(b)前記複数のヒートシンク構造は、アルミニウムシートメタルから作られ」ているのに対して、甲1発明は、「電源ケーブル62を、放熱器10の中心部を通過させて基板2の貫通穴22に貫通させて」いるものであって、放熱ユニット3を構成する「熱伝導性シート4は繊維質を有するシート材であり、スペーサ5はアルミニウム製で柱状に形成されており、ホルダ6はアルミニウム製で柱状に成形されており、連結具7はロッド部7aを有するボルト7Aと、ボルト7Aの先端にねじ込まれるナット7Bとを備えている」もので、アルミニウムシートメタルから作られているものではない点。
イ 判断
(ア)相違点1-5Aについて
相違点1-5Aは、相違点1-2Aと同じ相違点であるから、相違点1-2Aについて説示した上記(2)イ(ア)と同様に、甲1発明は、「基板2」を分割することの阻害事由があるといえるし、少なくとも、分割することの動機付けがないから、仮に、複数の放熱ユニットの各々が独立した底壁を有する構成が周知技術であるとしても、甲1発明において、相違点1-5Aに係る本件発明5の発明特定事項とすることが容易になし得たものであるということはできない。
(イ)相違点1-5Bについて
本件発明5の「側壁」についても、上記(2)イ(イ)で説示した本件発明2の「側壁」と同様に、側方にある壁であって、ヒートシンク構造を四方を囲い、またはヒートシンク構造と他のヒートシンク構造の隔てとする壁を意味することが理解できる。
そして相違点1-5Bは、相違点1-2Bと同じ相違点であるから、相違点1-2Bについて説示した上記(2)イ(イ)と同様に、甲1発明は、「側壁」とすることの阻害事由があるといえるし、少なくとも「ホルダ6」を拡大して「側壁」とすることの動機付けがない。
また、複数の放熱ユニットの各々が側壁を有する構成は、他の証拠にも示されていない。
したがって、甲1発明において、相違点1-5Bに係る本件発明5の発明特定事項とすることが容易になし得たものであるということはできない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書において、概略、以下のような主張をしている。
主張1(45ページ)甲1発明5の「基板2から上に延びる熱伝導性シート4」は、本件特許発明5の「側壁」に相当する。
主張2(46~47ページ)
甲1発明5の「複数の放熱ユニット3の各々」が独立した底壁を有する構成とすることは、甲2発明2の構成5d2、甲3記載事項1、甲4記載事項1、甲5記載事項1、甲7記載事項1、甲8記載事項1のように、周知技術である。
上記主張1について検討する。
甲1発明の「熱伝導性シート4」は、「繊維質を有するシート材」であり、「スペーサ5を介在して積層された複数枚の熱伝導性シート4の両側端面にホルダ6を配置しており、これ等の積層体を貫通する連結具7を介して、ホルダ6と熱伝導性シート4とスペーサ5とが一体的に連結され」ることで放熱ユニット3を構成するものであるから、「熱伝導性シート4」は、いわゆる放熱フィンであって、側壁を構成するものではなく、甲1発明の「熱伝導性シート4」が本件発明5の「側壁」に相当するとした主張1には誤りがある。
また、複数の放熱ユニットの各々が側壁を有する構成は、他の証拠にも示されていない。
したがって、申立人の主張1を採用することはできない。
上記主張2について検討する。
主張2は、実質的に相違点1-5Aに関するものであるところ、上記イ(ア)で説示したとおり、甲1発明は、「基板2」を分割して独立した底壁とすることの阻害事由があるといえるし、少なくとも、分割することの動機付けがないから、仮に、複数の放熱ユニットの各々が独立した底壁を有する構成が周知技術であるとしても、甲1発明において、相違点1-5Aに係る本件発明5の発明特定事項とすることが容易になし得たものであるということはできない。
したがって、申立人の主張2を採用することはできない。
エ 小括
以上のとおりであるから、相違点1-5Cについて検討するまでもなく、本件発明5は、甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明5は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできない。
(4)理由1のまとめ
以上のとおり、本件発明2及び5は、甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明2及び5は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできない。
したがって、理由1によっては、本件特許の請求項2及び5に係る特許を取り消すことはできない。
3 理由2(甲2を主引例とした進歩性)について
(1)甲2について
ア 甲2の記載事項
本件特許の優先日前の令和2年2月6日に公開された甲2には、以下の記載がある。
(ア)「【0009】
実施の形態1.
・・・図1~図4に示すように、照明器具1は、天井等に取り付けられるものであり、天井等の被取付部(図示せず)に取り付けられる支持部100と、支持部100に保持される光源ユニット200と、例えば通信機能を有する機能ユニット1000とを備えている。」
(イ)「【0012】
(光源ユニット200)
光源ユニット200は、光を照射する光源部210と、光源部210からの熱を放散するヒートシンク220とを有する。また、光源ユニット200は、光源部210に電力を供給して点灯させる電源ユニット230と、光源部210を覆うようにヒートシンク220に取り付けられるカバー240と、光源固定具215とを有している。」
(ウ)「【0015】
・・・このように、光源部210は、発光部213に配光制御部材214が予め取り付けられた状態でヒートシンク220に取り付けられる。・・・」
(エ)「【0016】
(ヒートシンク220)
図9は、本発明の実施の形態1に係るヒートシンク220を上側からみた場合の分解斜視図である。図9に示すように、ヒートシンク220は、角柱状をなしており、矩形板状のベース部221と、複数のフィン223aを有するフィン部223と、フィン部223を覆う矩形板状の庇部222とを有している。ベース部221、フィン部223及び庇部222は、例えばアルミニウム製の板を加工して形成されたものであり、組み合わせることによってヒートシンク220が製造される。」
(オ)「【0029】
(電源ユニット230)
電源ユニット230は、ヒートシンク220の庇部222に設けられることによって、電源ユニット230から生じる熱をヒートシンク220に伝達させることができる。従って、ヒートシンク220は、電源ユニット230の温度が上昇することを抑制することができる。電源ユニット230は、図1及び図2に示すように、点灯装置231と、端子台232と、本体底部233と、本体蓋部234と、端子台カバー235と、電源側コネクタ236とを有している。」
(カ)「【0073】
実施の形態7.
図36は、本発明の実施の形態7に係る照明器具1bを示す組立斜視図である。図36に示すように、本実施の形態7に係る照明器具1bは、2個の光源ユニット200を有しており、固定部1800が2個の光源ユニット200を連結して固定している。固定部1800は、水平方向に延びる板状の部材であり、2個の光源ユニット200のそれぞれのベース部221の第1のベース面21aと庇部1222の第1の庇面22aとを接続する。このように、本実施の形態7に係る照明器具1bは、固定部1800を変更するのみで、複数の光源ユニット200を接続することができる。なお、本実施の形態7では、固定部1800が2個の光源ユニット200を連結する場合について例示しているが、固定部1800が3個以上の光源ユニット200を連結する構成としてもよい。
【0074】
図37は、本発明の実施の形態7に係る照明器具1bを示す分解斜視図である。図37に示すように、本実施の形態7における2個の庇部1222は、一体的に形成されている。これにより、ヒートシンク220の強度を向上させることができる。なお、3個以上の庇部1222が一体的に形成されてもよい。」
(キ)【図36】には、以下の内容が図示されている。
「
[図:0001430039000005.jpg]
」
(ク)【図37】には、以下の内容が図示されている。
「
[図:0001430039000006.jpg]
」
イ 甲2の認定事項
上記アによれば、甲2から以下の事項が認定できる。
(ア)照明器具1bは、天井等に取り付けられるものであり、2個の光源ユニット200を備えている。(【0009】、【0073】、【図36】、【図37】)
(イ)2個の光源ユニット200は、それぞれ、光源部210に電力を供給して点灯させる点灯装置231と本体底部233と本体蓋部234を有する電源ユニット230と、ヒートシンク220とを有する。(【0012】、【0029】)
(ウ)2個のヒートシンク220は、それぞれ、ベース部221と、複数のフィン223aを有するフィン部223と、庇部とを有しており、2個の庇部が一体的に形成された庇部1222に電源ユニット230が設けられる。(【0016】、【0073】、【0074】、【図36】、【図37】)
(エ)2個の光源部210は、それぞれ、2個のヒートシンク220のベース部221に取り付けられる。(【0015】、【0073】、【図36】、【図37】)
(オ)2個のヒートシンク220のうち、ベース部221及びフィン部223は互いに離間しており、庇部は一体である。(【図36】、【図37】)
(カ)2個のヒートシンク220のベース部221は、電源ユニット230と離間している。(【図36】、【図37】)
(キ)2個のヒートシンク220の、ベース部221、フィン部223及び庇部は、アルミニウム製の板を加工して形成されたものである。(【0016】)
(ク)3個以上の光源ユニット200を連結する構成としてもよい。(【0073】)
ウ 甲2に記載された発明
上記ア及びイを踏まえると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「2個の光源ユニット200は、それぞれ、光源部210に電力を供給して点灯させる点灯装置231と、本体底部233と本体蓋部234を有する電源ユニット230とを有し、(上記イ(イ))
それぞれ、ベース部221と、複数のフィン223aを有するフィン部223と、庇部とを有しており、2個の庇部が一体的に形成された庇部1222に電源ユニット230が設けられる、2個のヒートシンク220と、(上記イ(ウ))
2個のヒートシンク220それぞれに取り付けられる2個の光源部210と、(上記イ(エ))
を有するものであり、
2個の光源ユニット200を備え、天井等に取り付けられる照明器具1bであって、(上記イ(ア))
2個の光源部210は、それぞれ、2個のヒートシンク220のベース部221に取り付けられ、(上記イ(エ))
2個のヒートシンク220のうち、ベース部221及びフィン部223は互いに離間しており、庇部は一体であり、(上記イ(オ))
2個のヒートシンク220のベース部221は、電源ユニット230と離間しており、(上記イ(カ))
2個のヒートシンク220の、ベース部221、フィン部223及び庇部は、アルミニウム製の板を加工して形成されたものであり、(上記イ(キ))
3個以上の光源ユニット200を連結する構成としてもよい、(上記イ(ク))
照明器具1b。」
(2)本件発明2について
ア 対比
本件発明2と甲2発明を対比する。
(ア)後者の「電源ユニット230」が有する「光源部210に電力を供給して点灯させる点灯装置231」は、前者の「電子機器」に相当し、後者の「電源ユニット230」が有する「本体底部233と本体蓋部234」は、前者の「ハウジング」に相当する。
そうすると、後者の「光源部210に電力を供給して点灯させる点灯装置231と、本体底部233と本体蓋部234を有する電源ユニット230」は、前者の「電子機器ハウジング」に相当するといえる。
(イ)後者の「2個のヒートシンク220」は、前者の「複数のヒートシンク構造」に相当するから、後者の「ヒートシンク220」の「庇部1222に電源ユニット230が設けられる」態様は、前者の「ヒートシンク構造」が「前記電子機器ハウジングに取り付けられる」態様に相当する。
(ウ)後者の「光源部210」は、前者の「光源」に相当する。
(エ)後者の「天井等に取り付けられる照明器具1b」は、前者の「ハイベイライトフィクスチャ」に相当する。
(オ)後者の「ベース部221」は、前者の「底壁」に相当するから、後者の「2個のヒートシンク220」が「それぞれ、ベース部221」「とを有して」いる態様は、前者の「各ヒートシンク構造は、底壁」「を含」む態様に相当する。
(カ)後者の「2個の光源部210」は、「ベース部221」の、「フィン部223」と反対側の面に取り付けられているから、後者の「2個の光源部210は、それぞれ、2個のヒートシンク220のベース部221に取り付けられ」ている態様は、前者の「各光源は、前記電子機器ハウジングから離れる方を向く前記底壁の表面上で前記複数のヒートシンク構造のそれぞれのヒートシンク構造の前記底壁に取り付けられ」ている態様に相当する。
(キ)後者の「2個のヒートシンク220のうち、ベース部221及びフィン部223は互いに離間しており、庇部は一体であ」る態様と、前者の「各ヒートシンク構造は、当該ヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造の他のヒートシンク構造から離間され」ている態様とは、「各ヒートシンク構造は、当該ヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造の他のヒートシンク構造から離間されている部分がある」態様の点で共通する。
(ク)後者の「2個のヒートシンク220のベース部221は、電源ユニット230と離間して」いる態様と、前者の「各ヒートシンク構造の前記底壁は、各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの少なくともある側壁の高さ、前記電子機器ハウジングから離間され」ている態様とは、「各ヒートシンク構造の前記底壁は、前記電子機器ハウジングから離間され」ている態様の点で共通する。
(ケ)後者の「2個のヒートシンク220の、ベース部221、フィン部223及び庇部は、アルミニウム製の板を加工して形成されたものである」ことは、前者の「前記複数のヒートシンク構造は、アルミニウムシートメタルから作られ」ていることに相当する。
(コ)以上の限りにおいて、後者の「照明器具1b」は、前者の「ライトフィクスチャ」に相当する。
(サ)そうすると両者は、
「電子機器ハウジングと、
前記電子機器ハウジングに取り付けられる複数のヒートシンク構造と、
前記複数のヒートシンク構造に取り付けられる光源と、
を含む、ハイベイライトフィクスチャであって、
各ヒートシンク構造は、底壁を含み、各光源は、前記電子機器ハウジングから離れる方を向く前記底壁の表面上で前記複数のヒートシンク構造のそれぞれのヒートシンク構造の前記底壁に取り付けられ、
各ヒートシンク構造は、当該ヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造の他のヒートシンク構造から離間されている部分があり、各ヒートシンク構造の前記底壁は、前記電子機器ハウジングから離間され、
(b)前記複数のヒートシンク構造は、アルミニウムシートメタルから作られている、
ライトフィクスチャ。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点2-2A〕
本件発明2の各ヒートシンク構造は、当該ヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造の他のヒートシンク構造から「離間され」ているのに対して、甲2発明は、2個のヒートシンク220のうち、ベース部221及びフィン部223は、互いに離間しているものの、「庇部は一体」である点。
〔相違点2-2B〕
ヒートシンク構造に関し、本件発明2は、「前記底壁から上に延びる側壁を含」むものであり、それゆえ、各ヒートシンク構造の前記底壁は、「各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの少なくともある側壁の高さ」、前記電子機器ハウジングから離間されているものであり、また、「前記複数のヒートシンク構造のうちの第1のヒートシンク構造の第1の側壁は、前記第1のヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造のうちの第2のヒートシンク構造の側壁から離間され、前記複数のヒートシンク構造のうちの前記第1のヒートシンク構造の第2の側壁は、前記第1のヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造のうちの第3のヒートシンク構造の側壁から離間される」ものであるのに対して、甲2発明は、そのように特定されていない点。
イ 判断
事案に鑑み、相違点2-2Bから検討する。
甲2発明は、「ヒートシンク220は、複数のフィン223aが放射状に配置されていることにより、照明器具1の全周から換気することができるため、放熱性を向上させることができる。」(甲2【0019】)ものであるから、側壁を設けると全周からの換気ができなくなるため、甲2発明のヒートシンク220には、側壁を設けることの阻害事由がある。
さらに、複数の放熱ユニットの各々が側壁を有する構成は、他の証拠にも示されていない。
したがって、甲2発明において、相違点2-2Bに係る本件発明2の発明特定事項とすることが容易になし得たものであるということはできない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書において、概略、以下のような主張をしている。
主張(43ページ)甲2発明2の「ベース部221から上に延びるフィン223a」は、本件特許発明2の「側壁」に相当する。
上記主張について検討する。
甲2発明の「フィン223a」は、「フィン部223」を構成する放熱フィンであって、側壁を構成するものではなく、甲2発明の「フィン223a」が本件発明2の「側壁」に相当するとした申立人の主張には誤りがある。
また、複数の放熱ユニットの各々が側壁を有する構成は、他の証拠にも示されていない。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
エ 小括
以上のとおりであるから、相違点2-2Aについて検討するまでもなく、本件発明2は、甲2発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明2は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできない。
(3)本件発明5について
ア 対比
本件発明5と甲2発明を対比すると、上記(2)アで検討した本件発明2と甲2発明との相当関係と同様の相当関係を有するから、両者は、
「電子機器ハウジングと、
前記電子機器ハウジングに取り付けられる複数のヒートシンク構造と、
前記複数のヒートシンク構造に取り付けられる光源と、
を含む、ハイベイライトフィクスチャであって、
各ヒートシンク構造は、底壁を含み、各光源は、前記電子機器ハウジングから離れる方を向く前記底壁の表面上で前記複数のヒートシンク構造のそれぞれのヒートシンク構造の前記底壁に取り付けられ、
各ヒートシンク構造は、当該ヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造の他のヒートシンク構造から離間され、各ヒートシンク構造の前記底壁は、前記電子機器ハウジングから離間されている部分があり、
(b)前記複数のヒートシンク構造は、アルミニウムシートメタルから作られている、
ライトフィクスチャ。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点2-5A〕
ヒートシンク構造に関し、本件発明5は、「前記底壁から上に延びる側壁を含」むものであり、それゆえ、各ヒートシンク構造の前記底壁は、「各ヒートシンク構造の前記側壁のうちの少なくともある側壁の高さ」、前記電子機器ハウジングから離間されているものであるのに対して、甲5発明は、そのように特定されていない点。
〔相違点2-5B〕
本件発明5の各ヒートシンク構造は、当該ヒートシンク構造に隣接する前記複数のヒートシンク構造の他のヒートシンク構造から「離間され」ているのに対して、甲2発明は、2個のヒートシンク220のうち、ベース部221及びフィン部223は、互いに離間しているものの、「庇部は一体」である点。
〔相違点2-5C〕
本件発明5は、前記複数のヒートシンク構造の各ヒートシンク構造は、前記複数のヒートシンク構造の「2つ」のヒートシンク構造に隣接するのに対して、甲2発明は、2個のヒートシンク220であるため、1つのヒートシンク220に隣接するものであり、3個以上の光源ユニット200を連結する構成とした場合にどのようにヒートシンク220が配置されるのかは不明な点。
イ 判断
相違点2-5Aについて検討する。
甲2発明は、「ヒートシンク220は、複数のフィン223aが放射状に配置されていることにより、照明器具1の全周から換気することができるため、放熱性を向上させることができる。」(甲2【0019】)ものであるから、側壁を設けると全周からの換気ができなくなるため、甲2発明のヒートシンク220には、側壁を設けることの阻害事由がある。
さらに、複数の放熱ユニットの各々が側壁を有する構成は、他の証拠にも示されていない。
したがって、甲2発明において、相違点2-5Aに係る本件発明5の発明特定事項とすることが容易になし得たものであるということはできない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書において、概略、以下のような主張をしている。
主張(47ページ)甲2発明2の「ベース部221から上に延びるフィン223a」は、本件特許発明5の「側壁」に相当する。
上記主張について検討する。
甲2発明の「フィン223a」は、「フィン部223」を構成する放熱フィンであって、側壁を構成するものではなく、甲2発明の「フィン223a」が本件発明5の「側壁」に相当するとした申立人の主張には誤りがある。
また、複数の放熱ユニットの各々が側壁を有する構成は、他の証拠にも示されていない。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
エ 小括
以上のとおりであるから、相違点2-5B及び相違点2-5Cについて検討するまでもなく、本件発明5は、甲2発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明5は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできない。
(4)理由2のまとめ
以上のとおり、本件発明2及び5は、甲2発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明2及び5は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできない。
したがって、理由2によっては、本件特許の請求項2及び5に係る特許を取り消すことはできない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項2及び5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項2及び5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700805