特許異議申立
2025-700038
防災システム
- 審判番号
- 2025-700038
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-063038
- 登録番号
- 7513414
- 請求日
- 2024年12月26日
- 審決日
- 2025年03月06日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】能美防災株式会社
- 【異議申立人】上畑 洋一
- 審判長/審判官
- 審判長 土居 仁士
- 審判官 寺谷 大亮
- 審判官 衣鳩 文彦
- 分類
- P1651.121-Y (G08B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7513414号発明「防災システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7513414号の請求項1~3に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7513414号(以下「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願は、令和2年3月31日に出願され、令和6年7月1日にその特許権の設定登録がされ、同年7月9日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年12月26日に特許異議申立人 上畑 洋一(以下「特許異議申立人」という。)は、特許異議の申立てをした。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~3の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明3」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。なお、請求項1の符号A~Gは、請求項1を分説するために当審で付与したものであり、分説した発明特定事項を、以下では「発明特定事項A」のように参照する。
「【請求項1】
A 火災検知器と、
B 着脱可能な通信線で前記火災検知器と接続され、当該通信線を介して前記火災検知器から火災検出信号を受信して警報を出力する防災受信盤と、
C 前記防災受信盤から取り外された前記通信線が着脱可能に接続され、前記通信線を介して前記火災検知器から、前記火災検知器において検出された情報を受信して出力する試験装置と
D を備え、
E 前記火災検知器は、
E1 光センサと、
E2 前記光センサにより出力された値が第1条件を満たすか否かを判定し、当該第1条件を満たすことを検出した場合に、前記通信線を介して故障検出信号を出力する故障判定部と、
E3 前記光センサにより出力された値が、前記第1条件よりも厳格な第2条件を満たすか否かを判定し、当該第2条件を満たすことを検出した場合に、第1カウンタに記憶されているカウント値を増加させる故障予兆判定部と
E4 を備え、
F 前記試験装置は、前記通信線を介して前記火災検知器から、前記第1カウンタに記憶されているカウント値を示す情報を受信することを特徴とする
G 防災システム。
【請求項2】
前記試験装置は、前記通信線を介して前記火災検知器から火災検出信号を受信して警報を出力することを特徴とする、請求項1に記載の防災システム。
【請求項3】
前記故障予兆判定部は、前記光センサにより出力された値が前記第2条件を満たすことを検出した場合に、前記第1カウンタに記憶されているカウント値に加えて、前記第1カウンタとは異なる第2カウンタに記憶されているカウント値を増加させ、
前記試験装置は、前記通信線を介して前記火災検知器から、前記第1カウンタに記憶されているカウント値を示す情報に加えて、前記第2カウンタに記憶されているカウント値を示す情報を受信して出力し、
前記火災検知器は、前記第1カウンタに記憶されているカウント値を、前記故障予兆判定部が前記光センサにより出力された前記値が前記第2条件を満たすことを検出しない状態が所定時間継続した場合にリセットし、前記第2カウンタに記憶されているカウント値を、前記試験装置に対する、前記第2カウンタに記憶されているカウント値を示す情報の送信を契機としてリセットするカウンタリセット部をさらに備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の防災システム。」
第3 特許異議申立理由の概要
1 申立理由
特許異議申立人が主張する特許異議申立理由の概要は、次のとおりであると認められる。
請求項1~3に係る発明は、甲第1号証~甲第6号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(同法第113条第2号)
2 証拠方法
特許異議申立人が特許異議申立書に添付した証拠方法は、以下のとおりである(以下、甲第1号証~甲第6号証を、「甲1」等という。)。
甲1:特開2018-147373号公報
甲2:特開2016-148958号公報
甲3:特開平8-212472号公報
甲4:特開2002-163735号公報
甲5:特開2020-102181号公報
甲6:特開2018-169893号公報
なお、甲2について、証拠説明書には「特開2018-147373号公報」と表記されているが、提出された証拠等から上記の誤記であると認める。
第4 甲号証の記載
1 甲1
(1)甲1の記載事項
甲1には、次の事項が記載されている。なお、下線は、強調のために当審で付したものである(以下、同じ。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、防災受信盤から引き出された信号線に接続されてトンネル内の火災を監視する火災検知器に関する。」
「【0029】
[トンネル防災システムの概要]
図1はトンネル防災システム概要を示した説明図である。図1に示すように、自動車専用道路のトンネルとして、上り線トンネル1aと下り線トンネル1bが構築されている。
【0030】
上り線トンネル1aと下り線トンネル1bの内部には、トンネル長手方向の壁面に沿って例えば25メートル又は50メートル間隔で火災検知器12が設置されている。火災検知器12は2組の火災検知部を備えることでトンネル長手方向上り側および下り側の両方向に検知エリアを持ち、トンネルの長手方向に沿って、隣接して配置される火災検知器との検知エリアが相互補完的に重なるように連続的に配置し、検知エリア内で起きた火災による炎からの放射線、例えば赤外線を観測して火災を検知する。
【0031】
また、上り線トンネル1aと下り線トンネル1bには、非常用施設として、火災通報のために手動通報装置や非常電話が設けられ、火災の消火や延焼防止のために消火栓装置が設けられ、更にトンネル躯体やダクト内を火災から防護するために水噴霧ヘッドから消火用水を散水させる水噴霧などが設置されるが、図示を省略されている。
【0032】
防災受信盤10からは上り線トンネル1aと下り線トンネル1bに対し電源回線を含む伝送回線14a,14bを引き出して火災検知器12を接続しており、火災検知器12には回線単位に固有のアドレスを設定されている。」
「【0036】
[防災受信盤]
図2は防災受信盤の機能構成の概略を示したブロック図である。図2に示すように、防災受信盤10は盤制御部34を備え、盤制御部34は例えばプログラムの実行により実現される機能であり、ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等を使用する。」
「【0039】
盤制御部34は、伝送部36a,36bに指示して火災検知器12のアドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を繰り返し送信しており、火災検知器12は自己アドレスに一致する呼出信号を受信すると、火災検知や試験結果等の自己の状態情報を含む応答信号を返信する。
【0040】
また、防災受信盤10の盤制御部34は、火災検知器12からの応答信号の受信により火災を検知した場合は警報部38により火災警報を出力させると共にIO部46を介し他設備の連動制御を指示する制御を行う。
【0041】
また、盤制御部34は、システムの立上げ時あるいは運用中の所定の周期毎に、火災検知器12のアドレスを順次指定した試験指示コマンドを設定した試験信号を送信し、火災検知器12に感度試験、汚れ試験及び劣化試験を行わせ、それぞれの試験結果を応答させる制御を行う。また、操作部42により特定の火災検知器12のアドレスを指定した試験操作により、個別の火災検知器に対し試験信号を送信して試験を行わせることもできる。
【0042】
また、盤制御部34は火災検知器12の感度試験により得られた感度異常予告の応答信号を受信した場合、火災検知器のアドレスを特定した感度異常の予告警報を表示部40の警報音、ディスプレイ表示、印刷により報知させる制御を行う。
【0043】
また、盤制御部34は火災検知器12の感度試験に得られたセンサ故障の応答信号を受信した場合、火災検知器のアドレスを特定したセンサ故障警報を表示部40の警報音、ディスプレイ表示、印刷により報知させる制御を行う。
・・・(略)・・・
【0046】
また、盤制御部34は火災検知器12の劣化試験により得られた劣化異常予告の応答信号を受信した場合、火災検知器のアドレスを特定した劣化異常の予告警報を表示部40の警報音、ディスプレイ表示、印刷により報知させる制御を行う。
【0047】
また、盤制御部34は火災検知器12の劣化試験により得られた劣化異常の応答信号を受信した場合、火災検知器のアドレスを特定した劣化異常警報を表示部40の警報音、ディスプレイ表示、印刷により報知させる制御を行う。」
「【0054】
(火災検知器の概略構成)
図4に示すように、火災検知器12には、検知器制御部54、伝送部56、電源部58、左右2組の火災検知部60R,60L、試験発光駆動部72、感度試験に用いられる内部試験光源74R,75Rと内部試験光源74L,75L、汚れ試験に用いられる外部試験光源76R,76Lが設けられている。以下の説明では、火災検知部60Rを右眼火災検知部60Rといい、火災検知部60Lを左眼火災検知部60Lという場合がある。」
「【0061】
(火災検知部)
火災検知部60R,60Lは、センサ部64,68と増幅処理部66,70を備える。例えば右眼火災検知部60Rを例にとると、センサ部64,68の前面には検知器カバーに設けた右眼透光性窓50Rが配置されており、右眼透光性窓50Rを介して外部の検知エリアからの光エネルギーをセンサ部64,68に入射されている。
【0062】
右眼火災検知部60Rは、例えば2波長式の炎検知により火災を監視している。センサ部64は、右眼透光性窓50Rを介して入射した光エネルギーの中から、炎に特有なCO2の共鳴放射帯である4.4~4.5μmの放射線を光学波長バンドパスフィルタにより選択透過(通過)させて、受光センサにより該放射線のエネルギーを検知して光電変換したうえで、増幅処理部66により増幅等所定の加工を施してエネルギー量に対応する受光信号にして検知器制御部54へ出力する。
【0063】
センサ部68は、左眼透光性窓50Lを介して入射した光エネルギーの中から、5~6μmの放射エネルギーを光学波長バンドパスフィルタにより選択透過(通過)させて、受光センサにより該放射線のエネルギーを検知して光電変換したうえで、増幅処理部70により増幅等所定の加工を施してエネルギー量に対応する受光信号にして検知器制御部54へ出力する。」
「【0065】
(火災判断)
検知器制御部54には、プログラムの実行により実現される機能として、火災判断部80の機能が設けられている。火災判断部80は、例えば、右眼火災検知部60Rの増幅処理部66,70から出力された受光値(受光信号レベル)の相対比をとり、所定の閾値と比較することにより炎の有無を判定し、炎有りの判定により火災を検知した場合には、伝送部56に指示して、自己アドレスに一致する呼出信号に対する応答信号に火災検知情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行う。
【0066】
(感度試験)
検知器制御部54には、プログラムの実行により実現される機能として、感度試験部82の機能が設けられている。感度試験部82は、伝送部56を介して防災受信盤10から自身のアドレスを指定した試験信号を受信した場合に動作し、試験発光駆動部72に指示して、内部試験光源74R,75R,74L,75Lを順番に発光駆動して火災検知部60R,60Lの感度試験を行わせる。
【0067】
例えば右眼火災検知部60Rにおけるセンサ部64と増幅処理部66の回路系統の感度試験を例にとると、試験発光駆動部72は内部試験光源74R,75Rを発光駆動することにより、火災炎に相当する炎疑似光をセンサ部64に入射させる。内部試験光源74Rからの炎疑似光は、センサ部64で受光する炎に固有な4.4~4.5μm及びセンサ部68で受光する5~6μmの放射エネルギーを含み、且つ、炎に固有な8~12Hzのゆらぎ周波数をもつ光とされている。
【0068】
感度試験部82は、センサ部64と増幅処理部66の回路ブロック、センサ部68と増幅処理部70の回路ブロック毎に感度試験を行う。
【0069】
例えば、センサ部64と増幅処理部66の回路ブロックの感度試験は、工場出荷時に初期設定された基準受光値がメモリに記憶されており、システム立上げ時の感度試験で得られる検出受光値は基準受光値に一致しており、検出受光値を基準受光値で割った検出感度は1となっている。運用期間が経過していくと、検出受光値は徐々に低下し、検出感度は0.9,0.8,0.7・・・というように低下していく。
【0070】
このように検出感度が1以下に低下した場合、感度試験部82は感度試験により検出感度を求めると共に、検出感度の逆数となる補正値を求めてメモリに記憶させ、その後の運用状態で検出される受光値に補正値を乗算して感度補正を行い、火災判断部80は感度補正された受光値により火災を判断する。
【0071】
また、感度試験部82には、感度補正が不可能となる限界に対応した感度閾値、例えば感度閾値0.5が予め設定されており、感度試験で求められた検出感度が感度閾値以下又は感度閾値を下回った場合にセンサ部64の感度異常による故障と判断し、伝送部56に指示して、自己アドレスに一致する呼出信号に対する応答信号にセンサ故障情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行う。なお、センサ故障の判断を確実なものとするため、感度試験部82は複数回連続して感度異常による故障と判断した場合に、センサ故障を設定した応答信号を送信させても良い。
【0072】
また、感度試験部82には、感度閾値より大きい所定の感度異常の予告閾値、例えば予告閾値0.6が予め設定されており、感度試験で求められた検出感度が感度異常の予告閾値以下又は感度異常の予告閾値を下回った場合にセンサ部64の感度異常による故障が近いと判断し、伝送部56に指示して、自己アドレスに一致する呼出信号に対する応答信号に感度異常の予告情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行う。」
「【0081】
(劣化試験)
検知器制御部54には、プログラムの実行により実現される機能として、劣化試験部86の機能が設けられている。
【0082】
劣化試験部86は、伝送部56を介して防災受信盤10から自身のアドレスを指定した試験信号を受信して感度試験部82と汚れ試験部84が順次動作して感度試験と汚れ試験を行った場合、各回路ブロックへの電源ラインに設けられた電圧電流検出部78により検出されている試験中の電源電圧Vcc1~Vcc5と消費電流(電源電流)Icc1~Icc5の検出信号をA/D変換ポートから周期的に読み込んでメモリに記憶し、続いて、メモリに記憶された複数の電源電圧と消費電流の平均値を各回路ブロックの内部電圧及び消費電流として求め、測定された内部電圧又は消費電流の変化から劣化異常を判断し、伝送部56に指示して、自己アドレスに一致する呼出信号に対する応答信号に劣化故障情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行う。
・・・(略)・・・
【0084】
劣化試験部86は、劣化異常を判定する異常判定部としての機能を備え、各回路ブロックについて測定した内部電圧が所定の電圧閾値以下又は電圧閾値を下回った場合、又は、測定した消費電流が所定の電流閾値以下又は電流閾値を下回った場合に、劣化異常と判断し、伝送部56に指示して、自己アドレスに一致する呼出信号に対する応答信号に劣化故障情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行う。なお、劣化異常の判断を確実なものとするため、劣化試験部86は複数回連続して劣化異常と判断した場合に、劣化故障情報を設定した応答信号を送信させるようにしても良い。
【0085】
また、劣化試験部86は、感度試験及び汚れ試験を通じて測定された回路ブロックの内部電圧が予告電圧閾値以下又は予告電圧閾値を下回った場合、又は、測定した消費電流が予告電流閾値以下又は予告電流閾値を下回った場合に、その回路ブロックの劣化異常が近いと判断し、伝送部56に指示して、自己アドレスに一致する呼出信号に対する応答信号に劣化異常の予告情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行う。」
「【0120】
(火災検知器のログ)
また、火災検知器は消費電流・消費電圧・劣化検出状態をログとして自身のメモリに記憶するようにしても良い。火災検知器はアドレス設定器等の外部機器に接続され、メモリに記憶したログデータの読み出しが行われる。」
「【図1】
[図:0001422475000001.jpg]
」
「【図4】
[図:0001422475000002.jpg]
」
(2)甲1発明
前記(1)の下線部に着目すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、甲1発明をa~lに分説し、「構成a」のように参照する。
「a トンネル防災システムであって、(【0029】)
b 上り線トンネル1aと下り線トンネル1bの内部には、トンネル長手方向の壁面に沿って25メートル間隔で火災検知器12が設置され、(【0030】)
c 防災受信盤10からは上り線トンネル1aと下り線トンネル1bに対し電源回線を含む伝送回線14a、14bを引き出して火災検知器12を接続しており、(【0032】)
d 防災受信盤10は盤制御部34を備え、(【0036】)
d1 盤制御部34は、火災検知器12のアドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を繰り返し送信し、火災検知器12は自己アドレスに一致する呼出信号を受信すると、火災検知や試験結果等の自己の状態情報を含む応答信号を返信し、(【0039】)
d2 盤制御部34は、火災検知器12からの応答信号の受信により火災を検知した場合は警報部により火災警報を出力させ、(【0040】)
d3 盤制御部34は、システムの立上げ時あるいは運用中の所定の周期毎に、火災検知器12のアドレスを順次指定した試験指示コマンドを設定した試験信号を送信し、(【0041】)
d4 盤制御部34は火災検知器12の感度試験により得られた感度異常予告の応答信号を受信した場合、火災検知器のアドレスを特定した感度異常の予告警報を報知させる制御を行い、(【0042】)
d5 盤制御部34は火災検知器12の感度試験に得られたセンサ故障の応答信号を受信した場合、火災検知器のアドレスを特定したセンサ故障警報を報知させる制御を行い、(【0043】)
d6 盤制御部34は火災検知器12の劣化試験により得られた劣化異常予告の応答信号を受信した場合、火災検知器のアドレスを特定した劣化異常の予告警報を報知させる制御を行い、(【0046】)
d7 盤制御部34は火災検知器12の劣化試験により得られた劣化異常の応答信号を受信した場合、火災検知器のアドレスを特定した劣化異常警報を報知させる制御を行い、(【0047】)
f 火災検知器12には、検知器制御部54、伝送部56、電源部58、左右2組の火災検知部60R、60Lが設けられ、(【0054】)
g 火災検知部60R、60Lは、センサ部64、68と増幅処理部66、70を備え、(【0061】)
g1 センサ部64は、受光センサにより4.4~4.5μmの放射線のエネルギーを検知して光電変換したうえで、増幅処理部66によりエネルギー量に対応する受光信号にして検知器制御部54へ出力し、(【0062】)
g2 センサ部68は、受光センサにより5~6μmの放射エネルギーを検知して光電変換したうえで、増幅処理部70によりエネルギー量に対応する受光信号にして検知器制御部54へ出力し、(【0063】)
h 検知器制御部54には、火災判断部80の機能が設けられ、火災判断部80は、増幅処理部66、70から出力された受光値の相対比をとり、所定の閾値と比較することにより炎の有無を判定し、炎有りの判定により火災を検知した場合には、伝送部56に指示して、応答信号に火災検知情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行い、(【0065】)
i 検知器制御部54には、感度試験部82の機能が設けられ、(【0066】)
i1 感度試験部82はセンサ部64と増幅処理部66の回路ブロックの感度試験により検出受光値を基準受光値で割った検出感度を求め、(【0069】、【0070】)
i2 感度試験部82には、感度閾値が予め設定されており、感度試験で求められた検出感度が感度閾値を下回った場合にセンサ部64の感度異常による故障と判断し、伝送部56に指示して、応答信号にセンサ故障情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行い、(【0071】)
i3 感度試験部82には、感度閾値より大きい所定の感度異常の予告閾値が予め設定されており、感度試験で求められた検出感度が感度異常の予告閾値を下回った場合にセンサ部64の感度異常による故障が近いと判断し、伝送部56に指示して、応答信号に感度異常の予告情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行い、(【0072】)
j 検知器制御部54には、劣化試験部86の機能が設けられ、(【0081】)
j1 劣化試験部86は、感度試験部82が動作して感度試験を行った場合、各回路ブロックへの電源ラインに設けられた電圧電流検出部78により検出されている試験中の電源電圧Vcc1~Vcc5と消費電流(電源電流)Icc1~Icc5の検出信号をA/D変換ポートから周期的に読み込んでメモリに記憶し、続いて、メモリに記憶された複数の電源電圧と消費電流の平均値を各回路ブロックの内部電圧及び消費電流として求め、(【0082】)
j2 劣化試験部86は、各回路ブロックについて測定した内部電圧が所定の電圧閾値を下回った場合、又は、測定した消費電流が所定の電流閾値を下回った場合に、劣化異常と判断し、伝送部56に指示して、応答信号に劣化故障情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行い、(【0084】)
j3 劣化試験部86は、感度試験を通じて測定された回路ブロックの内部電圧が予告電圧閾値を下回った場合、又は、測定した消費電流が予告電流閾値を下回った場合に、その回路ブロックの劣化異常が近いと判断し、伝送部56に指示して、応答信号に劣化異常の予告情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行い、(【0085】)
k 火災検知器は消費電流・消費電圧・劣化検出状態をログとして自身のメモリに記憶し、火災検知器はアドレス設定器等の外部機器に接続され、メモリに記憶したログデータの読み出しが行われる(【0120】)
l トンネル防災システム」
2 甲2
甲2には、次の事項が記載されている。
「【0024】
(構成‐防災システム)
防災システム100は、災害を防止するためのシステムであり、具体的には、監視領域を監視する監視システムであって、感知器1、分散盤2、受信機3、入出力装置4、及び表示装置5を備えており、これらの装置は所定の通信線を介して接続されている。各装置の接続について具体的には、図1に示すように、感知器1は、通信線L1を介して分散盤2に接続されており、分散盤2、受信機3、及び入出力装置4は、通信線L2~L4を介して相互に接続されており、表示装置5は、通信線L5を介して入出力装置4に接続されている。」
「【0036】
(構成‐防災システム‐入出力装置)
また、入出力装置4は、信号の入出力を行う入出力手段であり、具体的には、発報信号の入出力等を行う装置であり、所定の状態に関する判定を行う判定装置でもあって、切替部41、記憶部42、及び制御部43を備える。
【0037】
まず、切替部41は、通信に関する切り替えを行う切替手段であり、具体的には、受信機3を介して分散盤2から受信する(つまり、通信線L2、受信機3、及び通信線L4を介して分散盤2から受信する)発報信号(以下、「第1発報信号」)、又は、受信機3を介さずに分散盤2から受信する(つまり、通信線L3を介して分散盤2から受信する)発報信号(以下、「第2発報信号」)のうちの何れか一方のみが表示装置5に伝達されるように切り替わる切替スイッチ等を含んで構成されている。」
「【0054】
(処理‐防災システムの処理‐第1の処理)
まず、図1の受信機3が所定の状態になっていない場合、入出力装置4は、図2のSA1のNOの後、SA3の処理を行う。この場合、入出力装置4の切替処理部432は、第1発報信号のみが表示装置5に伝達されるように切替部41を切り替える。
【0055】
次に、図1の感知器1が発報信号を出力した場合、当該発報信号は、通信線L1、分散盤2、通信線L2、受信機3、通信線L4、入出力装置4、及び通信線L5を介して第1発報信号として表示装置5に伝達される。なお、この場合、第1発報信号のみが表示装置5に伝達されるように切替部41が切り替えられているので、第2発報信号は、表示装置5には伝達されないことになる。」
「【0058】
(処理‐防災システムの処理‐第2の処理)
次に、図1の受信機3が所定の状態になっている場合、入出力装置4は、図2のSA1のYESの後、SA2の処理を行う。この場合、入出力装置4の切替処理部432は、第2発報信号のみが表示装置5に伝達されるように切替部41を切り替える。
【0059】
次に、図1の感知器1が発報信号を出力した場合、当該発報信号は、通信線L1、分散盤2、通信線L3、入出力装置4、及び通信線L5を介して第2発報信号として表示装置5に伝達される。なお、この場合、受信機3が所定の状態になっており、更に、第2発報信号のみが表示装置5に伝達されるように切替部41が切り替えられているので、第1発報信号は、表示装置5には伝達されないことになる。」
「【図1】
[図:0001422475000003.jpg]
」
3 甲3
甲3には、次の事項が記載されている。
「【0006】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の一実施例につき詳細に説明する。図1は、本発明による、トンネル内での火災を検出するための火災検知装置1の構成を示している。K1乃至Knは、夫々、赤外線受光素子を含んで成る検出器であり、トンネル内の側壁(図示せず)に沿って適宜の間隔で配設されている。
【0007】図示の実施例では、これらの検出器K1乃至Knは、等間隔に配設されており、この間隔はD1となっている。このD1の値は、各検出器の感度等によって定められる値であり、例えば25mとすることができる。
【0008】符号Qは受信部を示し、受信部Qは、各検出器K1乃至Knに電源を供給する機能のほか、各検出器K1乃至Knからの出力を選択的に受信して火災検出のために処理する機能を有するものであり、トンネル内又はトンネル外の適宜の箇所に設けられる。
【0009】受信部Qには外部との接続用のコネクタ2が設けられており、このコネクタ2には、グランド線3、電源線4、アドレス制御線5、及び信号線6が接続されており、コネクタ2を介してこれらの各線を外部に設けられたケーブルと接続することができる構成となっている。
【0010】グランド線3、電源線4、アドレス制御線5及び信号線6を各検出器K1乃至Knに接続するため、n個のコネクタ付ケーブルF1乃至Fnが用意されている。一方、検出器K1乃至Knの夫々には、これらのコネクタ付ケーブルF1乃至Fnのコネクタに対応したコネクタが予め取り付けられているので、これらのコネクタ付ケーブルを用いて、コネクタ同志の接続のみによって検出器間、及び検出器と受信部との間の電気的接続を行なうことができる構成となっている。」
4 甲4
甲4には、次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トンネル内等の空間内の火災を監視する火災検知器の火災判定や試験判定等に必要なデータを初期設定する火災検知器の初期設定装置に関する。」
「【0017】図1において、本発明の初期設定装置は、パーソナルコンピュータ1にインストールされた初期設定アプリケーションにより実現される。本発明による初期設定装置を実現するパーソナルコンピュータ1は、火災検知器3の工場出荷時などの製造工程の最終段階に設けられており、パーソナルコンピュータ1に設けている制御線ケーブル2aを防水コネクタ6により接続し、また伝送線ケーブル2bを火災検知器3内部の回路基板に設けたコネクタに接続することによって、火災検知器3の監視動作及び試験動作を行い、必要とする検知器固有のデータを取得して、その記憶部に書込設定するようにしている。」
「【0038】図3において、火災検知器3にはMPUで構成される信号処理部18が設けられ、信号処理部18に対し右眼検知部21aと左眼検知部21bを設けている。右眼検知部21aにはセンサ部11aが設けられ、透光性窓4aを介して監視区域からの光を受光している。センサ部11aからの受光検知信号は増幅部22aで増幅された後、A/D変換器23aでデジタルデータに変換され、信号処理部18に取り込まれている。」
「【0046】信号処理部18は、トンネル設置状態にあっては防災受信盤と接続されるが、工場出荷時の初期設定の際には図1,図3に示したように、制御線ケーブル2aを防水コネクタ6で接続し、伝送線ケーブル2bを信号処理部18の主回路基板10にコネクタ30で接続することによって、本発明の初期設定装置として機能するパーソナルコンピュータ1に接続される。」
「【0102】また上記の実施形態では、各信号毎に信号線を必要とするP型と言われるタイプの火災検知器であったが、信号を伝送で行うR型と言われるタイプの火災検知器に本発明の初期設定装置を適用する場合にあっては、火災検知器から引き出される伝送線に初期設定装置を接続し、この伝送線のみを使用し火災検知器とのやり取りを行い、初期設定を行うようにすることができる。このような構成にすれば、初期設定装置と火災検知器との接続を1本の伝送線とできる。」
5 甲5
甲5には、次の事項が記載されている。
「【0053】
防災受信盤10からは上り線トンネル1aと下り線トンネル1bに対し電源信号線および信号線14a,14bを引き出してそれぞれに対し複数の火災検知器12が接続されており、火災検知器12には固有のアドレスが設定されている。以下の説明では、信号線14a,14bについて、区別する必要がない場合は信号線14という場合がある。」
「【0061】
(火災検知器の概略構成)
図4に示すように、火災検知器12には、検知器制御部54、伝送部56、電源部58、左右2組の火災検知部60R,60L、試験発光駆動部76、感度試験に用いられる内部試験光源78R,80R,82Rと内部試験光源78L,80L,82L、汚れ試験に用いられる外部試験光源84R,84Lが設けられている。以下の説明では、火災検知部60Rを右眼火災検知部60Rといい、火災検知部60Lを左眼火災検知部60Lという場合がある。」
「【0071】
(火災判断)
検知器制御部54には、プログラムの実行により実現される機能として、火災判断部86の機能が設けられている。火災判断部86は、炎受光信号E1R、第1の非炎受光信号E2R及び第2の非炎受光信号E3Rに基づき、複数の火災判定段階により火災を判断している。火災判断部86は例えば次の3段階の火災判定を行う。
・・・(略)・・・
【0077】
(故障予兆の判定)
火災判断部86は、前述した3段階の火災判定段階の途中で火災が判定されずに火災と判断するに至らなかった場合に故障予兆の発生と判断し、故障予兆の発生回数Nをカウンタにより計数する制御を行う。
・・・(略)・・・
【0080】
また、火災判断部86は、防災受信盤10から内部状態要求コマンド信号を受信した場合、そのとき得られている故障予兆の発生回数Nを示す故障予兆情報を生成して送信する制御を行い、防災受信盤10は取得した故障予兆情報から抽出された故障予兆の発生回数Nに基づいて火災検知器12の信頼性を評価し、信頼性有り、信頼性低下を判断するために用いられる。なお、信頼性低下については、その度合により複数段階に分け、例えば信頼性低下状態と信頼性が無い状態を区別できるようにしても良い。」
「【0082】
(感度試験)
検知器制御部54には、プログラムの実行により実現される機能として、感度試験部88の機能が設けられている。感度試験部88は、伝送部56を介して防災受信盤10から自身のアドレスを指定した試験指示信号を受信した場合に動作し、試験発光駆動部76に指示して、内部試験光源78R,80R,82R,78L,80L,82Lを順番に発光駆動して火災検知部60R,60Lの感度試験を行わせる。なお、内部試験光源78R,80R,82Rと内部試験光源78L,80L,82Lは、それぞれ1つの光源で共用しても良い。」
・・・(略)・・・
【0087】
また、感度試験部88には、感度補正限界に達する前の感度異常の予兆を示す感度係数に対応して、例えば感度異常の予兆閾値0.6が予め設定されており、感度試験で求められた検出感度係数が感度異常の予兆閾値以下又は予兆閾値を下回った場合に、近い将来、感度補正ができなくなる可能性が高い感度異常状態の予兆と判定し、伝送部56に指示して感度異常の予兆を示す感度異常予兆信号を防災受信盤10へ送信して報知させる制御を行う。
【0088】
なお、感度試験部88で感度異常の予兆が判定された場合、これを故障予兆の1つと見做し、火災判断部86のカウンタによる計数動作を行って故障予兆の発生回数Nを増加させるようにしても良い。」
「【0091】
(汚れ試験)
検知器制御部54には、プログラムの実行により実現される機能として、汚れ試験部90の機能が設けられている。汚れ試験部90は、感度試験と同様に、伝送部56を介して防災受信盤10から自身のアドレスを指定した試験指示信号を受信した場合に動作し、試験発光駆動部76に指示して、外部試験光源84R,84Lを順番に発光駆動して透光性窓50R,50Lの汚れ試験を行わせる。
・・・(略)・・・
【0096】
また、汚れ試験部90には、汚れ補正が限界に達する予兆段階に対応した減光率となる汚れ予兆閾値、例えば汚れ予兆閾値0.6が予め設定されており、汚れ試験で求められた減光率が汚れ予兆閾値以上又は汚れ予兆閾値を上回った場合に、近い将来、透光性窓50Rの汚れ補正が不可能となる可能性が高い汚損予兆状態と判断し、伝送部56に指示して汚損予兆信号を防災受信盤10へ送信して報知させる制御を行う。
【0097】
なお、汚れ試験部90で汚損予兆が判断された場合、これを故障予兆の1つと見做し、火災判断部86のカウンタによる計数動作を行って故障予兆の発生回数Nを増加させるようにしても良い。」
6 甲6
甲6には、次の事項が記載されている。
「【0052】
防災受信盤10からは上り線トンネル1aと下り線トンネル1bに対し電源回線を含む伝送回線14a,14bを引き出して火災検知器12が接続されており、火災検知器12には回線単位に固有のアドレスが設定されている。」
「【0089】
(火災検知器の概略構成)
図5に示すように、火災検知器12には、検知器制御部54、伝送部56、電源部58、左右2組の火災検知部60R,60L、試験発光駆動部72、感度試験に用いられる内部試験光源74R,75Rと内部試験光源74L,75L、汚れ試験に用いられる外部試験光源76R,76Lが設けられている。以下の説明では、火災検知部60Rを右眼火災検知部60Rといい、火災検知部60Lを左眼火災検知部60Lという場合がある。」
「【0112】
(環境ストレス測定部)
検知器制御部54には、プログラムの実行により実現される機能として、環境ストレス測定部86の機能が設けられ、これに対応して火災検知器12内に配置された温度センサ88と湿度センサ90が検知器制御部54に接続されている。」
・・・(略)・・・
【0114】
図6は測定温度の日変化に対する温度劣化カウント値の変化を示したタイムチャートである。環境ストレス測定部86はメモリに測定温度Tを記憶すると、測定温度Tと所定の温度閾値Tthと比較し、測定温度Tが所定の温度閾値Tthを超えた場合は温度劣化カウント値P1を例えば1つ増加させる制御を行う。
【0115】
測定湿度Hについても同様であり、環境ストレス測定部86は、メモリに測定湿度Hを記憶すると、測定湿度Hと所定の湿度閾値Hthと比較し、測定湿度Hが所定の湿度閾値Hthを超えた場合は湿度劣化カウント値P2を1つ増加させる制御を行う。
【0116】
また、環境ストレス測定部86は、伝送部56を介して防災受信盤10から自身のアドレスを指定した測定指示信号を受信した場合、伝送部56に指示して、測定指示信号に対する応答信号に温度劣化カウント値P1及び湿度劣化カウント値P2を環境ストレス測定情報として設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行う。」
第5 申立理由についての当審の判断
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 発明特定事項Gについて
甲1発明は、「トンネル防災システム」(構成a、l)であるから、本件発明1と甲1発明とは、「防災システム」である点で一致する。
イ 発明特定事項A、Dについて
甲1発明の「トンネル防災システム」は、「上り線トンネル1aと下り線トンネル1bの内部に」、「トンネル長手方向の壁面に沿って25メートル間隔で火災検知器12が設置され」(構成b)たものであり、該「火災検知器12」は、本件発明1の「火災検知器」に相当するから、本件発明1と甲1発明とは、「火災検知器」を「備え」る点で一致する。
ウ 発明特定事項B、Dについて
(ア)甲1発明の「トンネル防災システム」は、「防災受信盤10から」「電源回線を含む伝送回線14a、14bを引き出して火災検知器12を接続して」(構成c)おり、該「防災受信盤10」は、本件発明1の「防災受信盤」に相当し、該「伝送回線14a、14b」は、本件発明1の「通信線」に相当するから、本件発明1と甲1発明とは、「防災受信盤」が「通信線で前記火災検知器と接続され」る点で共通する。
他方で、甲1発明の「伝送回線14a、14b」は、「防災受信盤10」から「引き出し」たものであって、「防災受信盤10」と着脱可能であるとは特定されていない。
(イ)甲1発明の「防災受信盤10」は、「盤制御部34」が「火災検知器12からの応答信号の受信により火災を検知した場合は警報部により火災警報を出力させ」る(構成d、d2)ものであり、「受信により火災を検知」する「火災検知器12からの応答信号」は、「火災検知情報」が「設定」された「応答信号」(構成h)と解されるから、本件発明1の「火災検出信号」に相当し、前記(ア)の「伝送回線14a、14b」を介して「受信」されるものであることは明らかである。そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「防災受信盤」が「当該通信線を介して前記火災検知器から火災検出信号を受信して警報を出力する」点で一致する。
(ウ)以上によれば、本件発明1と甲1発明とは、「通信線で前記火災検知器と接続され、当該通信線を介して前記火災検知器から火災検出信号を受信して警報を出力する防災受信盤」を「備え」る点で共通する一方、本件発明1の「通信線」は、防災受信盤と「着脱可能」であるのに対し、甲1発明の「伝送回線14a、14b」は、「防災受信盤10」から「引き出し」たものであって、「防災受信盤10」と着脱可能であると特定されていない点で相違する。
エ 発明特定事項C、Dについて
(ア)甲1発明の「火災検知器」と「接続」する「アドレス設定器等の外部機器」は、「火災検知器」の「メモリに記憶したログデータ」、すなわち「消費電流・消費電圧・劣化検出状態」の「ログ」の「読み出し」を行う(構成k)ものである。
前記「ログ」のうちの「消費電流・消費電圧」は、「火災検知器12」の「各回路ブロックへの電源ラインに設けられた電圧電流検出部78により検出され」、「メモリに記憶」された「電源電圧Vcc1~Vcc5と消費電流(電源電流)Icc1~Icc5」(構成j1)、または、「火災検知器」の「劣化試験部86」がそれらの「平均値」を求めた「内部電圧及び消費電流」(構成j1)であると解されるから、本件発明1の「火災検知器において検出された情報」に相当する。また、前記「ログ」のうちの「劣化検出状態」は、前記「劣化試験部86」により「劣化異常」と判断(構成j2)した状態や、「劣化異常が近い」と判断(構成j3)した状態のことを指すと解されるから、これも本件発明1の「火災検知器において検出された情報」に相当するといえる。そうすると、本件発明1の「試験装置」と甲1発明の「アドレス設定器等の外部機器」とは、「前記火災検知器から、前記火災検知器において検出された情報を受信する装置」である点で共通する。
(イ)甲1発明の「アドレス設定器等の外部機器」は、「火災検知器」とどのように「接続」し(例えば、直接か、あるいは、有線又は無線を介してか、等)、前記「ログデータ」を「読み出」すのかは明らかでない。さらに、前記「アドレス設定器等の外部機器」は、試験をするためのものか、及び「読み出」した「ログデータ」を出力するのかも明らかでない。
(ウ)以上によれば、本件発明1と甲1発明とは、「前記火災検知器から、前記火災検知器において検出された情報を受信する装置」を「備え」る点で共通する一方、本件発明1は、該装置が「試験装置」であって、「前記防災受信盤から取り外された前記通信線が着脱可能に接続され、前記通信線を介して」前記情報を受信し「出力する」のに対し、甲1発明は、「アドレス設定器等の外部装置」が試験のためのものか明らかでなく、「火災検出器」とどのように「接続」して「ログデータ」を「読み出」すのか、「読み出し」た「ログデータ」を出力するのかも明らかでない点で相違する。
オ 発明特定事項E、E1、E4について
甲1発明の「火災検知器12」には、「火災検知部60R、60L」が設けられ(構成f)、「火災検知部60R、60L」は、「センサ部64、68」がそれぞれ「受光センサ」により所定の波長の「放射エネルギー」を検知して、「増幅処理部66、70」により「エネルギー量に対応する受光信号にして」「出力」する(構成g、g1、g2)ものであるから、「火災検知部60R、60L」は、本件発明1の「光センサ」に相当する。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記火災検知器は」、「光センサ」を「備え」る点で一致する。
カ 発明特定事項E、E2、E4について
(ア)甲1発明の「火災検知器12」の「検知器制御部54」は、「感度試験部82」の機能が設けられ(構成i)、該「感度試験部82」は、「センサ部64と増幅処理部66の回路ブロックの感度試験」により「検出受光値を基準受光値で割った検出感度」を求めている(構成i1)。前記「検出受光値」は、前記オのとおり、「火災検知部60R、60L」の「センサ部64」が「受光センサ」により検知し、「増幅処理部66」により「対応する受光信号」にして「検知器制御部54」へ「出力」される「4.4~4.5μmの放射線のエネルギー」の「エネルギー量」(構成g1)と解されるから、「検出受光値」は、本件発明1の「前記光センサにより出力された値」に相当する。
(イ)甲1発明の前記「感度試験部82」は、前記(ア)で求めた「検出感度」が「感度閾値を下回った場合にセンサ部64の感度異常による故障と判断し」、「伝送部56に指示して、応答信号にセンサ故障情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行」っている(構成i2)。前記「感度試験部82」は、「センサ部64の感度異常による故障」を判断するから、本件発明1の「故障判定部」に相当する。また、前記「感度試験部82」は、「センサ部64の感度異常による故障」を判断するために、「検出感度」が「感度閾値を下回った」か否かを判定していることは明らかであり、前記「検出感度」は、前記(ア)のとおり「検出受光値」から求められるものであるから、「検出感度」が「感度閾値を下回った」か否かいう条件は、「検出受光値」についての条件ということができ、それを第1条件と呼ぶことは任意である。そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「故障判定部」が「前記光センサにより出力された値が第1条件を満たすか否かを判定」する点で一致する。
また、前記「センサ故障情報」が「設定」された「応答信号」は、本件発明1の「故障検出信号」に相当し、該「応答信号」の「防災受信盤10」への送信が前記ウの「伝送回線14a、14b」(構成c)を介したものであることは明らかであるから、本件発明1と甲1発明とは、「故障判定部」が「当該第1条件を満たすことを検出した場合に、前記通信線を介して故障検出信号を出力する」点で一致する。
(ウ)したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記火災検知器は」、「前記光センサにより出力された値が第1条件を満たすか否かを判定し、当該第1条件を満たすことを検出した場合に、前記通信線を介して故障検出信号を出力する故障判定部」を「備え」る点で一致する。
キ 発明特定事項E、E3、E4について
(ア)甲1発明の「火災検知器12」の「感度試験部82」は、「感度試験で求められた検出感度が感度異常の予告閾値を下回った場合にセンサ部64の感度異常による故障が近いと判断し」、「伝送部56に指示して、応答信号に感度異常の予告情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行」っている(構成i3)。前記「感度試験部82」は、前記「検出感度」から前記「センサ部64の感度異常による故障が近い」と判断しており、このことは「検出感度」が示す「センサ部64の感度異常による故障」の兆しを判断しているといえるから、「感度試験部82」は、本件発明1の「故障予兆判定部」に相当する。また、前記「感度試験部82」は、「センサ部64の感度異常による故障が近い」と判断するために、「検出感度」が「感度異常の予告閾値を下回った」か否かを判定していることは明らかであり、該「検出感度」が「感度異常の予告閾値を下回った」という条件は、前記カ(イ)の第1条件と同様、「検出受光値」についての条件ということができ、それを第2条件と呼ぶことは任意である。さらに、「感度異常の予告閾値」は「感度閾値より大きい」(構成i3)ため、前記「検出感度」が「感度異常の予告閾値を下回った」という条件は、前記カ(イ)の「検出感度」が「感度閾値を下回った」との条件より満たされやすいという意味で「厳格」(本件特許明細書【0028】)といえるから、本件発明1の「前記第1条件よりも厳格な第2条件」に相当する。そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「故障予兆判定部」が「前記光センサにより出力された値が、前記第1条件よりも厳格な第2条件を満たすか否かを判定」する点で一致する。
(イ)他方で、甲1発明では、前記「感度試験部82」は、「検出感度」が「感度異常の予告閾値を下回った場合」に、「応答信号に感度異常の予告情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行」うものであり、本件発明1の「第1カウンタに記憶されているカウント値を増加させる」ことは特定されていない。
(ウ)したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記火災検知器は」、「前記光センサにより出力された値が、前記第1条件よりも厳格な第2条件を満たすか否かを判定する故障予兆判定部」を「備え」る点で共通する一方、本件発明1では、「故障予兆判定部」は「前記第2条件を満たすことを検出した場合に、第1カウンタに記憶されているカウント値を増加させる」のに対し、甲1発明では、「感度試験部82」は、「検出感度」が「感度異常の予告閾値を下回った場合」に、「応答信号に感度異常の予告情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行」う点で相違する。
ク 発明特定事項Fについて
前記エのとおり、甲1発明の「アドレス設定器等の外部機器」が「火災感知器」から「読み出」すのは、「消費電流・消費電圧・劣化検出状態」の「ログ」であり(構成k)、これは、本件発明1の「前記第1カウンタに記憶されているカウント値を示す情報」に相当するものではない。
発明特定事項Fのその他の事項については、前記エ(発明特定事項C)と同様である。
ケ 一致点、相違点
前記ア~クによれば、本件発明1と甲1発明とは、次の点で一致し、相違する。
[一致点]
火災検知器と、
通信線で前記火災検知器と接続され、当該通信線を介して前記火災検知器から火災検出信号を受信して警報を出力する防災受信盤と、
前記火災検知器から、前記火災検知器において検出された情報を受信する装置と
を備え、
前記火災検知器は、
光センサと、
前記光センサにより出力された値が第1条件を満たすか否かを判定し、当該第1条件を満たすことを検出した場合に、前記通信線を介して故障検出信号を出力する故障判定部と、
前記光センサにより出力された値が、前記第1条件よりも厳格な第2条件を満たすか否かを判定する故障予兆判定部と
を備える
防災システム。
[相違点]
(相違点1)
本件発明1の「通信線」は、防災受信盤と「着脱可能」であるのに対し、甲1発明の「伝送回線14a、14b」は、防災受信盤10から「引き出し」たものであって、防災受信盤10と着脱可能であると特定されていない点。
(相違点2)
「装置」が、本件発明1は「試験装置」であるのに対し、甲1発明は「アドレス設定器等の外部機器」が試験のためのものか明らかでない点。
(相違点3)
本件発明1の「試験装置」は、「前記防災受信盤から取り外された前記通信線が着脱可能に接続され、前記通信線を介して」火災検知器から、前記火災検知器において検出された情報を受信するのに対し、甲1発明の「アドレス設定器等の外部機器」は、火災検出器とどのように接続してログデータを読み出すのか明らかでない点。
(相違点4)
本件発明1の「試験装置」は、受信した火災検知器において検出された情報を「出力」するのに対し、甲1発明の「アドレス設定器等の外部機器」は、読み出したログデータを出力するのか明らかでない点。
(相違点5)
本件発明1の「故障予兆判定部」は、「当該第2条件を満たすことを検出した場合に、第1カウンタに記憶されているカウント値を増加させる」のに対し、甲1発明の「感度試験部82」は、検出感度が感度異常の予告閾値を下回った場合に、「応答信号に感度異常の予告情報を設定して防災受信盤10へ送信させる制御を行」う点。
これに付随して、本件発明1の「試験装置」は、火災検知器から「前記第1カウンタに記憶されているカウント値を示す情報」を受信するのに対し、甲1発明の「アドレス設定器等の外部機器」は、火災検知器から「消費電流・消費電圧・劣化検出状態」の「ログ」を読み出す点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、相違点3について、以下、検討する。
ア 「アドレス設定器」について
甲1発明の「アドレス設定器等の外部機器」として例示されるアドレス設定器は、通常、防災受信盤と複数の火災検知器を共通の伝送線で接続して信号の送受信を可能にするために、事前に、火災検知器と直接又は専用のケーブルを介して接続して、火災検知器にアドレスを設定するものであって、上記共通の伝送線に接続して使用するものではない。そのため、甲1発明の「アドレス設定器等の外部機器」は、共通の伝送線である「伝送回線14a、14b」に接続して使用することを想定したものとは言い難い。
イ 防災受信盤10の機能との関係について
甲1発明の「防災受信盤10」は、火災検知器12と「伝送回線14a、14b」を介して接続し(構成c)、火災検知器12から「試験結果等の自己の状態情報を含む応答信号」(構成d1)を受信する機能を有し、火災検知器12から感度試験及び劣化試験により得られた感度異常予告、センサ故障、劣化異常予告または劣化異常の応答信号を受信した場合には、対応する警報を報知する(構成d4~d7)ものである。
ここで、甲1発明の「アドレス設定器等の外部機器」を「伝送回線14a、14b」に接続して使用するものと仮定した場合、「アドレス設定器等の外部機器」は、前記「試験結果等の自己の状態情報」の一種といえる「消費電流・消費電圧・劣化検出状態」の「ログ」を、「伝送回線14a、14b」を介して受信すると解される。この場合、「アドレス設定器等の外部機器」は、「防災受信盤10」の前記の機能と重複するものとなるが、重複する前記機能のために、あえて「防災受信盤10」とは別に「アドレス設定器等の外部機器」を使用する合理的理由は、甲1発明には見出せない。そのため、甲1発明の「防災受信盤10」が前記機能を備えることは、「アドレス設定器等の外部機器」が、「伝送回線14a、14b」に接続して使用することを想定したものではないことを示すものといえる。
ウ 前記ア及びイによれば、甲1発明の「アドレス設定器等の外部機器」は、「伝送回線14a、14b」に接続して使用することを想定したものではなく、また、該「アドレス設定器等の外部機器」を、「伝送回線14a、14b」に接続して使用することの動機付けも存在しない。そのため、甲1発明において、「防災受信盤10」から「引き出」される「伝送回線14a、14b」を、「防災受信盤10」から取り外して「アドレス設定器等の外部機器」に着脱可能に接続すること、すなわち相違点3に係る構成にすることの動機付けはないというべきである。
エ 甲2~甲6について
(ア)前記第4、2によれば、甲2には、防災システム100の入出力装置4が、受信機3の状態に応じて、感知器1が出力した発報信号を、受信機3を介して表示装置5に伝達するか、受信機3を介さず表示装置5に伝達するかを切り替える技術が記載されていると認められる。しかしながら、該技術は、受信機3から取り外した通信線を表示装置5に着脱可能に接続することを示すものではない。
(イ)前記第4、3によれば、甲3には、トンネル内での火災を検出するための火災検知装置1において、受信部Qに設けられたコネクタ2と検出器に設けられたコネクタとをコネクタ付ケーブルを用いて接続する技術が記載されていると認められる。しかしながら、該技術は、受信部Qから取り外したコネクタ付ケーブルを、他の装置に着脱可能に接続することを示すものではない。
(ウ)前記第4、4によれば、甲4には、火災検知器3の製造工程の最終段階に設けられた初期設定装置を、火災検知器から引き出される伝送線に接続し、初期設定を行う技術が記載されていると認められる。しかしながら、該技術における初期設定は、火災検知器3の製造工程の最終段階に行われるものであるから、火災検知器3が伝送線を介して防災受信盤に接続される前に行われることは明らかである。そのため、上記技術は、防災受信盤から取り外した伝送線を、初期設定装置に着脱可能に接続することを示すものではない。
(エ)前記第4、5によれば、甲5には、火災検知器12は、故障予兆の発生を判断した場合、カウンタによる係数動作を行って故障予兆の発生回数Nを増加させ、防災受信盤10からの要求コマンド信号を受信した場合、故障予兆の発生回数Nを示す故障予兆情報を、信号線14を介して防災受信盤10に送信する技術が記載されていると認められる。
また、前記第4、6によれば、甲6には、火災検知器12は、測定温度又は測定湿度がそれぞれの閾値を超えた場合、温度劣化カウント値P1又は湿度劣化カウント値P2を1つ増加し、防災受信盤10からの測定指示信号を受信した場合、温度劣化カウント値P1及び湿度劣化カウント値P2を、伝送回線14a、14bを介して防災受信盤10へ送信する技術が記載されていると認められる。
しかしながら、前記どちらの技術も、防災受信盤から取り外した伝送線を、他の装置に着脱可能に接続することを示すものではない。
(オ)前記(ア)~(エ)のとおり、甲2~甲6に記載された技術は、いずれも相違点3に係る構成を示すものではないから、仮に、甲1発明に甲2~甲6に記載された技術を適用できたとしても、相違点3に係る構成には至らない。
オ 相違点3についてのまとめ
前記ア~エのとおりであるから、甲1発明を相違点3に係る構成にすることは、当業者といえども容易になし得たことではない。
カ 相違点についての判断のまとめ
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲6に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)特許異議申立人の主張について
ア 特許異議申立人の主張の概要
特許異議申立人は、前記相違点3に関連する主張として、「相違点2:試験装置〈外部機器〉は、本件特許発明1では「火災検知器に着脱可能に接続されている」が、甲1発明では「火災検知器に接続される」が「着脱可能」であるか否かが不明である点。」を挙げ、「甲2発明の「通信線が切替可能に接続される」点及び甲4発明の「防災受信からの信号線を試験装置に繋ぎ換える」点を甲1発明に適用して「試験装置は、火災検知器に着脱可能に接続されている」点を想到することは、当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎない。」と主張している。(特許異議申立書24~25頁)
イ 検討
本件発明1は、「前記防災受信盤から取り外された前記通信線が着脱可能に接続され、・・・(中略)・・・試験装置」(発明特定事項C)と特定するものであって、特許異議申立人が認定する相違点2のように「試験装置」が「火災検知器に着脱可能に接続されている」とは特定されていないから、特許異議申立人が挙げている前記相違点2は、発明特定事項Cについて、本件発明1と甲1発明との相違点を正確に抽出したものとはいえない。
この点をおくとしても、甲2に記載された技術は、前記(2)エ(ア)のとおりであり、特許異議申立人の主張する甲2発明の内容は必ずしも明らかではないものの、少なくとも、受信機3から取り外した通信線を表示装置5に着脱可能に接続することを示すものではない。また、甲4に記載された技術は、前記(2)エ(ウ)のとおりであり、特許異議申立人が主張する「防災受信からの信号線を試験装置に繋ぎ換える」技術を示すものではない。
そのため、特許異議申立人の前記主張は、正しいとはいえない相違点2、甲2発明、甲4発明の認定に基づくものであるから、採用することができない。
(4)小括
以上のとおり、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲6に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本件発明2、3について
本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、さらに別の発明特定事項を備えるものであるから、甲1発明とは少なくとも相違点3で相違する。
そして、相違点3については、前記1(2)のとおりであるから、本件発明2及び3は、甲1発明及び甲2~甲6に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 申立理由についてのまとめ
以上のとおり、本件発明1~3は、甲1発明及び甲2~甲6に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、申立理由は、理由がない。
第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に上記請求項に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700038