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特許異議申立

2024-700034

火災感知器

審判番号
2024-700034
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-137284
登録番号
7309106
請求日
2024年01月18日
審決日
2024年10月23日
公報発行日
2025年02月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ホーチキ株式会社
  • 【権利者代理人】広川 浩司
  • 【異議申立人】長野 理恵
審判長/審判官
  • 審判長 高野 洋
  • 審判官 丸山 高政
  • 審判官 上田 翔太
分類
P1651.832-YAA(G08B) / P1651.06 -YAA(G08B) / P1651.03 -YAA(G08B) / P1651.121-YAA(G08B) / P1651.537-YAA(G08B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第29条、特許法第120条の5第2項、特許法第36条、特許法第17条、特許法第162条、特許法第120条の5第4項、特許法第126条、特許法第17条の2第3項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7309106号発明「火災感知器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7309106号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。 特許第7309106号の請求項1、2、4に係る特許を維持する。 同請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7309106号(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成30年3月23日に出願された特願2018-56005号の一部を令和3年8月25日に新たな特許出願としたものであって、令和5年2月2日付けで拒絶査定がなされ、同年4月24日に手続補正書(以下「審判請求時補正書」という。)とともに拒絶査定不服審判(不服2023-6689号)を請求する審判請求書(以下、単に「審判請求書」という。)が提出され、特許法162条の規定に基づく審査の結果、同年5月31日付けで特許査定がなされ、同年7月7日にその請求項1~4に係る発明について特許権の設定登録がされ、同年7月18日に特許掲載公報が発行された。 その後、特許異議申立人 長野 理恵(以下「申立人」という。)により、本件特許の請求項1~4に対して特許異議の申立てがなされた。 本件特許異議の申立て以後の経緯は、概略、次のとおりである。 令和6年 1月18日 特許異議申立書 3月 5日付け 手続補正指令書(申立人宛) 審尋(申立人宛) 3月25日 手続補正書(方式)(申立人から) 回答書(申立人から) 4月 8日 手続補正書(方式)(申立人から) 検証申出書(申立人から) 5月16日付け 取消理由通知書 7月16日 訂正請求書(特許権者から) 意見書(特許権者から) 7月26日付け 手続補正指令書(特許権者宛) 8月 1日 手続補正書(方式)(特許権者から) 9月17日 意見書(申立人から) 令和6年4月8日の手続補正書(方式)は、特許異議申立書の全文を補正するものであり、以下、当該手続補正書(方式)によって補正された特許異議申立書を、「申立書」と略称する。 また、令和6年8月1日の手続補正書(方式)は、訂正請求書の全文を補正するものであり、以下、当該手続補正書(方式)によって補正された訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。 また、令和6年7月16日の特許権者の意見書を、以下では「特許権者意見書」という。 また、令和6年9月17日の申立人の意見書を、以下では「申立人意見書」という。 第2 本件訂正の適否についての判断 以下のとおり、本件訂正は適法になされたと認める。 1 一群の請求項の認定 本件訂正前の特許請求の範囲の記載において、請求項3は、請求項1又は2の記載を直接的に引用するものであり、請求項4は、請求項3の記載を直接的に引用するものでもあるから、本件訂正前の請求項1~4は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 2 独立特許要件の適否 本件特許異議の申立ては、全ての請求項に対してなされているので、本件訂正には特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項は適用されない。 3 本件訂正の内容 本件訂正請求書の記載によれば、本件訂正は、請求項1に係る訂正事項1と、請求項2に係る訂正事項2と、請求項3に係る訂正事項3と、請求項4に係る訂正事項4-1及び4-2と、明細書【0007】に係る訂正事項5と、明細書【0008】に係る訂正事項6と、明細書【0009】に係る訂正事項7からなる。 後の参照の便宜のため、本件訂正前の請求項1及び2並びに本件訂正後の請求項1及び2を、以下の(1)及び(2)に示すように分説する。本件訂正前後で対応する発明特定事項には同じ分説記号を付しており、両者を呼び分けない場合には「発明特定事項1A」のようにして参照し、両者を呼び分ける場合には「訂正前1A」、「訂正後1A」のようにして参照する。 上記分説記号を用いると、訂正事項1~訂正事項7は、以下の(3)~(10)のとおりである。 (1)本件訂正前の請求項1及び2の記載 本件訂正前の請求項1及び2を以下のように1A~2Kに分説する。 【請求項1】 1A 熱を検出する検出部と、 1B 設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部と、 1C 前記検出部の周囲に設けられ前記検出部を保護するガード部と、 1D 光による表示を行う表示機構と、を有し、 1E 前記ガード部は、前記設置面から離れる方向に向かって前記本体部から延びる複数の側柱部と、前記複数の側柱部の前記本体部と反対側の端部に支持された外郭部と、を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、 1F 前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域に配置されて前記光による表示をする面状光可視部を有し、 1G 前記面状光可視部の前記光による表示は、前記設置面と対向する側から前記ガード部の前記外郭部越しに少なくとも一部が視認され、 1H 前記本体部は、前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有し、 1I 前記凹部は、設置状態における高さ方向において前記設置面側に位置する底面部と、該底面部を取り囲むように前記底面部の周縁から設置状態における高さ方向において前記設置面から離れる側へ立ち上がる側面部とを有し、 1J 前記凹部の側面部には、前記表示機構を構成する前記面状光可視部が配置され、前記面状光可視部からの光は、前記底面部を発光させ、前記底面部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される 1K 火災感知器。 【請求項2】 2A 熱を検出する検出部と、 2B 設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部と、 2C 前記検出部の周辺に設けられ前記検出部を保護するガード部と、 2D 光による表示を行う表示機構と、を有し、 2E 前記ガード部は、前記設置面から離れる方向に向かって前記本体部から延びる複数の側柱部と、前記複数の側柱部の前記本体部と反対側の端部に支持された外郭部と、を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、 2F 前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域内に配置されて前記光による表示をする面状光可視部を有し、 2G 前記面状光可視部は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記ガード部の外郭部と重ならず露出し、 2H 前記本体部は、前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有し、 2I 前記凹部は、設置状態における高さ方向において前記設置面側に位置する底面部と、該底面部を取り囲むように前記底面部の周縁から設置状態における高さ方向において前記設置面から離れる側へ立ち上がる側面部とを有し、 2J 前記凹部の側面部には前記表示機構を構成する前記面状光可視部が配置され、前記面状光可視部からの光は、前記底面部を発光させ、前記底面部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される 2K 火災感知器。 (2)本件訂正後の請求項1及び2の記載 分説した本件訂正後の請求項1及び2を、以下に示す。なお、本件訂正前後で対応する部分には同じ分説記号を用い、下線は訂正箇所を表す。 【請求項1】 1A 熱を検出する検出部と、 1B 設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部と、 1C 前記検出部の周囲に設けられ前記検出部を保護するガード部と、 1D 光による表示を行う表示機構と、を有し、 1E 前記ガード部は、前記設置面から離れる方向に向かって前記本体部から延びる複数の側柱部と、前記複数の側柱部の前記本体部と反対側の端部に支持された外郭部と、を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、 1F 前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域に配置され光を出射する面状部分を有する導光部と、該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部を有し、 1G 前記反射面部の前記光による表示は、前記設置面と対向する側から前記ガード部の前記外郭部越しに少なくとも一部が視認され、 1H 前記本体部は、前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有し、 1I 前記凹部は、設置状態における高さ方向において前記設置面側に位置する底面部と、該底面部を取り囲むように前記底面部の周縁から設置状態における高さ方向において前記設置面から離れる側へ立ち上がる側面部とを有し、 1J 前記凹部の側面部には、前記表示機構を構成する前記反射面部として側面反射部が配置され、前記凹部の底面部には、前記表示機構を構成する前記反射面部として底面反射部が配置され、前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ、前記底面部の前記底面反射部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される 1K 火災感知器。 【請求項2】 2A 熱を検出する検出部と、 2B 設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部と、 2C 前記検出部の周辺に設けられ前記検出部を保護するガード部と、 2D 光による表示を行う表示機構と、を有し、 2E 前記ガード部は、前記設置面から離れる方向に向かって前記本体部から延びる複数の側柱部と、前記複数の側柱部の前記本体部と反対側の端部に支持された外郭部と、を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、 2F 前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域内に配置され光を出射する面状部分を有する導光部と、該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部を有し、 2G 前記反射面部は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記ガード部の外郭部と重ならず露出し、 2H 前記本体部は、前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有し、 2I 前記凹部は、設置状態における高さ方向において前記設置面側に位置する底面部と、該底面部を取り囲むように前記底面部の周縁から設置状態における高さ方向において前記設置面から離れる側へ立ち上がる側面部とを有し、 2J 前記凹部の側面部には前記表示機構を構成する前記反射面部として側面反射部が配置され、前記凹部の底面部には、前記表示機構を構成する前記反射面部として底面反射部が配置され、前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ、前記底面部の前記底面反射部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される 2K 火災感知器。 (3)訂正事項1 訂正事項1は、次のとおりである。 発明特定事項1Fについて、 「前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域に配置されて前記光による表示をする面状光可視部を有し、」との記載を、 「前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域に配置され光を出射する面状部分を有する導光部と、該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部を有し、」と訂正し、 発明特定事項1Gについて、 「前記面状光可視部の前記光による表示は、前記設置面と対向する側から前記ガード部の前記外郭部越しに少なくとも一部が視認され、」との記載を、 「前記反射面部の前記光による表示は、前記設置面と対向する側から前記ガード部の前記外郭部越しに少なくとも一部が視認され、」と訂正し、 発明特定事項1Jについて、 「前記凹部の側面部には、前記表示機構を構成する前記面状光可視部が配置され、前記面状光可視部からの光は、前記底面部を発光させ、前記底面部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される」との記載を、 「前記凹部の側面部には、前記表示機構を構成する前記反射面部として側面反射部が配置され、前記凹部の底面部には、前記表示機構を構成する前記反射面部として底面反射部が配置され、前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ、前記底面部の前記底面反射部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される」と訂正する。 また、前記1のとおりであるから、請求項1を引用する請求項4についても同様に訂正するものと認められる。 (4)訂正事項2 訂正事項2は、次のとおりである。 発明特定事項2Fについて、 「前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域内に配置されて前記光による表示をする面状光可視部を有し、」との記載を、 「前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域内に配置され光を出射する面状部分を有する導光部と、該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部を有し、」と訂正し、 発明特定事項2Gについて、 「前記面状光可視部は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記ガード部の外郭部と重ならず露出し、」との記載を、 「前記反射面部は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記ガード部の外郭部と重ならず露出し、」と訂正し、 発明特定事項2Jについて、 「前記凹部の側面部には前記表示機構を構成する前記面状光可視部が配置され、前記面状光可視部からの光は、前記底面部を発光させ、前記底面部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される」との記載を、 「前記凹部の側面部には前記表示機構を構成する前記反射面部として側面反射部が配置され、前記凹部の底面部には、前記表示機構を構成する前記反射面部として底面反射部が配置され、前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ、前記底面部の前記底面反射部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される」と訂正する。 また、前記1のとおりであるから、請求項2を引用する請求項4についても同様に訂正するものと認められる。 (5)訂正事項3 訂正事項3は、次のとおりである。 本件訂正前の請求項3を削除する。 (6)訂正事項4-1 訂正事項4-1は、次のとおりである。 本件訂正前の請求項4に 「前記表示機構は、前記ガード部により覆われて保護される領域内に光の出射部を有し、」と記載されているのを、 「前記表示機構は、前記ガード部により覆われて保護される領域内に光の出射部である前記導光部を有し、」と訂正する。 (7)訂正事項4-2 訂正事項4-2は、次のとおりである。 本件訂正前の請求項4に 「請求項3に記載の火災感知器。」と記載されているのを、 「請求項1または2に記載の火災感知器。」と訂正する。 (8)訂正事項5 訂正事項5は、次のとおりである。 本件訂正前の明細書の【0007】に 「前記課題を解決するため、本発明に係る火災感知器は、熱を検出する検出部と、設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部と、前記検出部の周囲に設けられ前記検出部を保護するガード部と、光による表示を行う表示機構と、を有し、前記ガード部は、前記設置面から離れる方向に向かって前記本体部から延びる複数の側柱部と、前記複数の側柱部の前記本体部と反対側の端部に支持された外郭部と、を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域に配置されて前記光による表示をする面状光可視部を有し、前記面状光可視部の前記光による表示は、前記設置面と対向する側から前記ガード部の前記外郭部越しに少なくとも一部が視認され、前記本体部は、前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有し、前記凹部は、設置状態における高さ方向において前記設置面側に位置する底面部と、該底面部を取り囲むように前記底面部の周縁から設置状態における高さ方向において前記設置面から離れる側へ立ち上がる側面部とを有し、前記凹部の側面部には、前記表示機構を構成する前記面状光可視部が配置され、前記面状光可視部からの光は、前記底面部を発光させ、前記底面部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される。」と記載されているのを、 「前記課題を解決するため、本発明に係る火災感知器は、熱を検出する検出部と、設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部と、前記検出部の周囲に設けられ前記検出部を保護するガード部と、光による表示を行う表示機構と、を有し、前記ガード部は、前記設置面から離れる方向に向かって前記本体部から延びる複数の側柱部と、前記複数の側柱部の前記本体部と反対側の端部に支持された外郭部と、を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域に配置され光を出射する面状部分を有する導光部と、該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部を有し、前記反射面部の前記光による表示は、前記設置面と対向する側から前記ガード部の前記外郭部越しに少なくとも一部が視認され、前記本体部は、前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有し、前記凹部は、設置状態における高さ方向において前記設置面側に位置する底面部と、該底面部を取り囲むように前記底面部の周縁から設置状態における高さ方向において前記設置面から離れる側へ立ち上がる側面部とを有し、前記凹部の側面部には、前記表示機構を構成する前記反射面部として側面反射部が配置され、前記凹部の底面部には、前記表示機構を構成する前記反射面部として底面反射部が配置され、前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ、前記底面部の前記底面反射部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される。」と訂正する。 (9)訂正事項6 訂正事項6は、次のとおりである。 本件訂正前の明細書の【0008】に 「また、本発明に係る火災感知器は、熱を検出する検出部と、設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部と、前記検出部の周辺に設けられ前記検出部を保護するガード部と、光による表示を行う表示機構と、を有し、前記ガード部は、前記設置面から離れる方向に向かって前記本体部から延びる複数の側柱部と、前記複数の側柱部の前記本体部と反対側の端部に支持された外郭部と、を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域内に配置されて前記光による表示をする面状光可視部を有し、前記面状光可視部は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記ガード部の外郭部と重ならず露出し、前記本体部は、前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有し、前記凹部は、設置状態における高さ方向において前記設置面側に位置する底面部と、該底面部を取り囲むように前記底面部の周縁から設置状態における高さ方向において前記設置面から離れる側へ立ち上がる側面部とを有し、前記凹部の側面部には前記表示機構を構成する前記面状光可視部が配置され、前記面状光可視部からの光は、前記底面部を発光させ、前記底面部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される。」と記載されているのを、 「また、本発明に係る火災感知器は、熱を検出する検出部と、設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部と、前記検出部の周辺に設けられ前記検出部を保護するガード部と、光による表示を行う表示機構と、を有し、前記ガード部は、前記設置面から離れる方向に向かって前記本体部から延びる複数の側柱部と、前記複数の側柱部の前記本体部と反対側の端部に支持された外郭部と、を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域内に配置され光を出射する面状部分を有する導光部と、該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部を有し、前記反射面部は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記ガード部の外郭部と重ならず露出し、前記本体部は、前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有し、前記凹部は、設置状態における高さ方向において前記設置面側に位置する底面部と、該底面部を取り囲むように前記底面部の周縁から設置状態における高さ方向において前記設置面から離れる側へ立ち上がる側面部とを有し、前記凹部の側面部には前記表示機構を構成する前記反射面部として側面反射部が配置され、前記凹部の底面部には、前記表示機構を構成する前記反射面部として底面反射部が配置され、前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ、前記底面部の前記底面反射部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される。」と訂正する。 (10)訂正事項7 訂正事項7は、次のとおりである。 本件訂正前の明細書の【0009】に 「また、本発明に係る火災感知器は、前記凹部の底面部には、前記表示機構を構成する前記面状光可視部が配置される。また、本発明に係る火災感知器は、前記表示機構は、前記ガード部により覆われて保護される領域内に光の出射部を有し、前記出射部からの光は、前記ガード部のうち前記設置面と対向する面に照射される。」と記載されているのを、 「また、本発明に係る火災感知器は、前記表示機構は、前記ガード部により覆われて保護される領域内に光の出射部である前記導光部を有し、前記出射部からの光は、前記ガード部のうち前記設置面と対向する面に照射される。」と訂正する。 4 訂正事項1の適否 訂正事項1に係る本件訂正は、発明特定事項1F、1G及び1Jのみを訂正するものである。そこで、訂正事項1に係る本件訂正の適否の判断の基礎として、発明特定事項1F、1G及び1Jの用語の解釈を示す(以下の(1))。 その後、上記解釈に基づいて訂正事項1に係る本件訂正の適否を判断する(以下の(2)~(5))。 (1)発明特定事項1F、1G及び1Jの用語の解釈 発明特定事項1F、1G及び1Jの用語を解釈するにあたり、まず、実施形態との対応関係が明らかな用語についてその対応関係を示し(以下のア~カ)、次いで、前記対応関係及び本件の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件明細書等」という。)の記載から解釈が一意に定まる用語の解釈を示し(以下のキ~サ)、最後に、それら以外の用語の解釈を行う(以下のシ)。 ア 「ガード部」及び「外郭部」 発明特定事項1F及び1Gの「ガード部」、並びに、発明特定事項1F、1G及び1Jの「外郭部」は、それぞれ実施形態の「ガード部」及び「外郭部32」(【0022】等)に対応することが明らかである。 イ 「検出部」 発明特定事項1Fの「検出部」は、実施形態の「熱検出部21」(【0021】等)に対応することが明らかである。 ウ 「設置面」 発明特定事項1Gの「設置面」は、実施形態の「建物の天井等の設置面」(【0018】)に対応することが明らかである。 エ 「凹部」、「側面部」及び「底面部」 発明特定事項1Jの「凹部」、「側面部」及び「底面部」は、それぞれ実施形態の「凹部40」、「側面部41」及び「底面部43」(【0027】等)に対応することが明らかである。 オ 「側面反射部」 訂正後1Jの「側面反射部」(訂正前1Jには存在せず)は、実施形態の「側面反射部42」(【0028】等)に対応することが明らかである。 カ 「底面反射部」 訂正後1Jの「底面反射部」(訂正前1Jには存在せず)は、実施形態の「底面反射部44」(【0029】等)に対応することが明らかである。 キ 「少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域」 発明特定事項1Fの「前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域」は、発明特定事項1Hの「前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域」と同じであると解される。 発明特定事項1Hによれば、当該領域内には「本体部の内部側に凹陥する凹部を有し」ている。「凹部」は実施形態の「凹部40」に対応する(前記エ)から、発明特定事項1Fの「前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域」は、「凹部40」を含む領域であると解される。 そして、発明特定事項1Fの「少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域」は、「前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域」を包含し、それ以上に広い範囲を含むと解されるから、発明特定事項1Fの「少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域」は、少なくとも実施形態の「凹部40」を包含する領域であると解される。 ク 「少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域」 本件の図面から明らかなように、「凹部40」は「熱検出部21」の周囲に広がる態様を含む。 よって、発明特定事項1Fの「前記検出部の周囲の領域」は「凹部40」を包含すると解される。 そして、前記キに示したとおり、発明特定事項1Fの「少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域」も、「凹部40」を包含すると解される。 よって、発明特定事項1Fの「少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域」は、「凹部40」を含む領域であると解される。この解釈は、「前記検出部の周囲に設けられ前記検出部を保護するガード部」(発明特定事項1B)及び「前記本体部は、前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有し」(発明特定事項1H)とも整合する。 ケ 「導光部」 訂正後1Fの「導光部」(訂正前1Fには存在せず)は、以下の(ア)のとおりと解釈され、該解釈は以下の(イ)のとおり、本件訂正後の請求項1の他の記載とも整合する。 (ア)訂正後1Fの「光を出射する面状部分を有する導光部」は、実施形態における「表示部22の正面側の面」である「正面側導光部22a」及び「表示部22の側面側の面」である「側面側導光部22b」(【0042】)に対応すると解される。 また、「底面側導光部22c」が「面状部分」を有することは明記されていないものの、図5の22cを参照すれば、「底面側導光部22c」が「面状部分」を備えることも明らかであるから、これも「光を出射する面状部分を有する導光部」に対応すると解される。 以上によれば、訂正後1Fの「光を出射する面状部分を有する導光部」は、「正面側導光部22a」、「側面側導光部22b」及び「底面側導光部22c」を備える「表示部22」に対応すると解される。 (イ)前記(ア)の解釈は、実施形態において「表示部22」が「凹部40」内に位置すること(図3等)に対応して、訂正後1Fにおいて「導光部」が「少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域に配置され」ると特定されることとも整合する。(「少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域」が「凹部40」を包含することは、前記クのとおり。) また、前記(ア)の解釈は、訂正後1Jにおける「前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ」るとの特定が、実施形態において「表示部22からの光のうち、外郭部32に向かう光は、図3に示す光線L2のように、外郭部32の対向面反射部36で反射し、さらに本体部30の底面部43に設けられる底面反射部44で反射する」(【0031】)ことに対応するとの解釈とも整合する。 コ 「反射面部」 訂正後1F、訂正後1G及び訂正後1Jの「反射面部」(本件訂正前には存在せず)については、以下のとおりである。 (ア)訂正後1Fには「該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部」と特定されている。 「導光部からの光を反射」する点のみに着目すると、実施形態の「側面反射部42」、「対向面反射部36」及び「底面反射部44」(【0031】)並びに「識別ラベル部50の反射部51」(【0032】)が訂正後1Fの「反射面部」に対応し得る。 訂正後1Fの「光による表示」については、実施形態の説明として「表示部22による表示」(【0033】)との記載があり、当該記載は「表示部22が光ることにより、表示部22だけではなく、側面部41の側面反射部42が設けられた部分や、底面部43の底面反射部44が設けられた部分、及び識別ラベル部50が、反射光によって光った状態となる。」(同段落)との記載を受けていると解される。よって、訂正後1Fの「光による表示」を行っている点にも着目すると、訂正後1Fの「反射面部」は、実施形態の「側面反射部42」、「底面反射部44」及び「識別ラベル部50の反射部51」に対応すると解する余地がある。 (イ)訂正後1Gには「前記反射面部の前記光による表示は、前記設置面と対向する側から前記ガード部の前記外郭部越しに少なくとも一部が視認され」と特定されている。 実施形態における「識別ラベル部50の反射部51」による「表示」は、図3の光線L3(【0032】)により生じると解され、光線L3は、「反射部51」が「外郭部32」よりも手前に位置するような視点で視認されることが明らかであるから、「前記設置面と対向する側から前記ガード部の前記外郭部越しに」視認されるものではない。すなわち、訂正後1Gの「反射面部」には、実施形態の「識別ラベル部50の反射部51」は対応しないと解される。 (ウ)訂正後1Jには「前記反射面部として側面反射部が配置され」ることと、「前記反射面部として底面反射部が配置され」ることとが特定されている。 よって、訂正後1Jの「反射面部」は、実施形態の「側面反射部42」及び「底面反射部44」に対応すると解される。 (エ)訂正後1F、1G及び1Jの「反射面部」は、同じものを指していると解されるから、前記(ア)~(ウ)を総合すると、訂正後1F、1G及び1Jの「反射面部」は、実施形態の「側面反射部42」及び「底面反射部44」に対応すると解される。 サ 「前記外郭部の前記開口」 発明特定事項1Jの「前記外郭部の前記開口」は、発明特定事項1Eの「開口」を指しており、発明特定事項1Eの「開口」は、「外郭部」の「前記設置面と対向する側から見た径方向内側に」有るから、発明特定事項1Jの「前記外郭部の前記開口」は、実施形態の「円環形状」の「外郭部32」(【0023】)の内側の開口に対応すると解される。 シ 「表示機構」及び「面状光可視部」 発明特定事項1F及び1Jの「表示機構」という語、並びに、訂正前1F、1G及び1Jの「面状光可視部」(本件訂正後には存在せず)という語は、明細書中では本件訂正前の明細書の【0007】~【0009】にのみ現れる語であって、実施形態の説明(【0018】以後)には現れない語である。そして、本件訂正前の明細書【0007】~【0009】の記載は本件訂正前の特許請求の範囲の記載と同等の記載でしかない。 よって、「表示機構」及び「面状光可視部」の語義の解釈は、特許請求の範囲の記載及び技術常識に基づいて解釈するより他はない。 (ア)本件訂正前の「表示機構」及び「面状光可視部」 訂正前1Fでは「前記表示機構」が「面状光可視部を有」することが特定され、訂正前1Jでは「前記面状光可視部」が「前記表示機構を構成する」ことが特定されているから、「面状光可視部」の解釈が一意に定まれば、「表示機構」の解釈の基礎となる。 しかしながら、「面状光可視部」なる部材が実施形態の何に対応するものなのかは、本件明細書等を参照しても明瞭に理解することはできない。また、「面状光可視部」という語は、一般的な技術用語であるとも認められない。加えて、「面状光可視部」という語を構成する要素から解釈を試みても、「面状」が「光」を修飾しているのか、「可視」を修飾しているのか、「部」を修飾しているのかが明瞭ではない。さらには、「光」を「可視」とする部材が、如何なる意味であるのかが不明瞭である。また、「面状」の意味も不明瞭である。(詳細は、取消理由通知書を参照。) したがって、訂正前1F、1G及び1Jの「面状光可視部」は明瞭な記載ではなく、それに伴い、訂正前1F及び1Jの「表示機構」も明瞭な記載ではない。 (イ)本件訂正後の「表示機構」 本件訂正後では、本件訂正前に存在した「面状光可視部」なる語は存在していない。 そして、訂正後1Fにおいて「前記表示機構」が「導光部と」、「反射面部」を有することが特定され、訂正後1Jにおいて「前記反射面部」が「前記表示機構を構成する」ことが特定されており、「導光部」は実施形態の「表示部22」に対応し(前記ケ)、「反射面部」は実施形態の「側面反射部42」及び「底面反射部44」に対応する(前記コ)と解されるから、本件訂正後の「表示機構」は、実施形態の「表示部22」、「側面反射部42」及び「底面反射部44」の総称であると明瞭に理解できる。 (2)訂正の目的 前記(1)シ(ア)に示したように、訂正前1F、1G及び1Jの「面状光可視部」、並びに、訂正前1F及び1Jの「表示機構」は明瞭でない記載である。そして、訂正事項1に係る本件訂正により、訂正後1F、1G及び1Jからは「面状光可視部」の記が「導光部」及び「反射面部」に置き換えられ、前記(1)シ(イ)に示したように「表示機構」が明瞭に理解できるようになる。また、請求項1のその余の記載も明瞭に理解できる(前記(1)ア~(1)コ)。すなわち、訂正事項1に係る本件訂正は、明瞭でない記載である「面状光可視部」が、「光を出射する面状部分を有する導光部」と、「該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部」である「側面反射部」及び「底面反射部」とからなるものである旨を釈明し(訂正後1F)、訂正前1Gの「面状光可視部」が訂正後1Gの「反射面部」である旨を釈明し、さらに、訂正前1Jの「側面部」に配置される「面状光可視部」が訂正後1Jの「側面反射面部」であり、訂正前1Jの光源である「面状光可視部」が訂正後1Jの「導光部」である旨を釈明したものと認められる。 加えて、発明特定事項1Jについての訂正により、訂正前1Jの「前記底面部を発光させ」ることによる「前記底面部の発光」は、訂正後1Jの「前記底面部の前記底面反射部を発光させ」ることによる「前記底面部の前記底面反射部の発光」に限定された。すなわち、訂正事項1に係る本件訂正は、「発光」する対象について、本件訂正前には「前記底面部」であったものを、本件訂正後には「前記底面部の前記底面反射部」へと限定するものである。 したがって、訂正事項1に係る本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」及び同項ただし書き1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認められる。 (3)新規事項追加の有無 訂正事項1に係る本件訂正は、訂正後1F、1G及び1Jについての訂正であるから、まず、訂正後1F、1G及び1Jが本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであるかについて判断し(以下のア~ウ)、その後、申立人の主張について判断する(以下のエ)。 ア 訂正後1Fについて 訂正後1Fの「表示機構」は、「光を出射する面状部分を有する導光部」と「該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部」を有するものであって、前記(1)ケによれば「導光部」は実施形態の「表示部22」に対応し、前記(1)コによれば「反射面部」は実施形態の「側面反射部42」及び「底面反射部44」に対応する。 そして、本件明細書等には、「表示部22」が「凹部40」内に位置すること(図2、図3)、「側面反射部42」が「凹部40」の「側面部41」に設けられること(【0028】)、「底面反射部44」が「凹部40の底面部43」に設けられること(【0029】)が記載されているから、「表示部22」、「側面反射部42」及び「底面反射部44」は、いずれも、「凹部40」に配置されていることが記載されている。 そして、訂正後1Fの「少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域」は、前記(1)クのとおり、「凹部40」を含む領域である。 そうすると、本件明細書等には、「表示機構」(「表示部22」、「側面反射部42」及び「底面反射部44」)が「少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域」(「凹部40」)「に配置され」ること、「導光部」(「表示部22」)が「光を出射する面状部分を有」すること(前記(1)ケ)、及び、「反射面部」(「側面反射部42」及び「底面反射部44」)が「該導光部からの光を反射して前記光による表示をする」こと(前記(1)コ(ア))が記載されているから、訂正後1Fに特定される事項は、本件明細書等に記載した範囲内の事項である。 イ 訂正後1Gについて 訂正後1Gの「反射面部」は、実施形態の「側面反射部42」及び「底面反射部44」に対応する。図3には、「側面反射部42」により反射される光線L1が「凹部40」と「外郭部32」との間を通って図3の下方向へ出射されていることが記載されており、図3及び図4には、「底面反射部44」により反射される光線L2が「外郭部32」の内側(「外郭部32」と「中央ガード部34」との間)から図3の下方向へ出射されていることが記載されている。 そうすると、本件明細書等には、「反射面部の前記光による表示」(「側面反射部42」及び「底面反射部44」からの光線L1及びL2)は、「前記設置面」(「天井等の設置面」(前記(1)ウ))「と対向する側」(図3の下方向)から、「前記ガード部の前記外郭部」(「外郭部32」)越しに少なくとも一部が視認されることが記載されている。 よって、訂正後1Gに特定される事項は、本件明細書等に記載した範囲内の事項である。 ウ 訂正後1Jについて 本件明細書等には、「前記凹部の側面部」(「凹部40」の「側面部41」)に「前記表示機構を構成する前記反射面部として側面反射部」(「側面反射部42」)が配置されること(【0028】)が記載され、さらに、「前記凹部の底面部」(「凹部40」の「底面部43」)に「前記表示機構を構成する前記反射面部として底面反射部」(「底面反射部44」)が配置されること(【0029】)が記載されている。 加えて、本件明細書等には、「前記導光部からの光」(図3の光線L2)が「前記底面部の前記底面反射部」(「底面反射部44」)によって反射されること(図3)により発光する(図4)ことが記載され、かつ、「前記底面部の前記底面反射部の発光」(光線L2)が「前記外郭部の前記開口」(円環形状の「外郭部32」の内側の開口(前記(1)サ))を介して視認されること(図3、図4)が記載されている。 よって、訂正後1Jに特定される事項は、本件明細書等に記載した範囲内の事項である。 エ 申立人の主張について 申立人は、訂正事項1に係る本件訂正が、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないことについて、概略、以下の主張1-1及び1-2を主張する。 主張1-1 訂正事項1の根拠が本件明細書等の【0031】及び図3であるならば、「対向面反射部」が必須の構成要素となるにも関わらず、訂正後1Jは「対向面反射部」を経由しない光の経路を含む。 また、本件明細書等の【0042】及び図5に示される例では、底面側導光部22cからの光が底面反射部44へ直接向かう例が示されているものの、その光が外郭部の開口へ向かうことは示されていないし、自明のことでもない。 以上のことから、訂正後1Jは、本件明細書等に記載した範囲内ではない事項を含んでおり、新規事項を追加するものである。(申立人意見書7~8頁「(4)訂正事項1、2の訂正が認められない理由2」) 主張1-2 本件明細書等の図2~図4を参照すると、「出射部22」(「表示部22」の誤記と認める。)すなわち「導光部」は、径方向において外郭部よりも外側に位置するため、「外郭部により覆われて保護される領域」内に配置されているとはいえない。 そうすると、訂正事項1で「面状光可視部」を「導光部」としたことによって生じた「少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域に配置され光を出射する面状部分を有する導光部」すなわち「外郭部により覆われて保護される領域に配置される導光部」は、本件明細書等に記載した事項の範囲内には該当しない。(申立人意見書14~16頁「(7)訂正事項1,2の訂正が認められない理由5」) (ア)主張1-1についての判断 本件明細書等【0031】、【0042】及び図1~図5等に示される発明の実施の形態は、あくまで例示に過ぎない。このことは、本件明細書等の「以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用され得る。」(【0036】)との記載から明らかである。 そして、本件明細書等には「また、表示部22の本体部30における位置及び数についても、任意に設定でき、それに応じて表示部22からの光を反射できる位置に反射部を設けることができる。」(【0038】)との記載があることから、表示部22の位置を任意に設定できると解される。 そして、表示部22の位置を底面反射部44に近づけることにより、表示部22から直接(対向面反射部36を経由せず)底面反射部44で反射された光の経路が、外郭部32の内側(すなわち開口)を通って視認可能になることは、明らかである。 よって、申立人の主張1-1は採用できない。 (イ)主張1-2についての判断 本件明細書等において、「外郭部により覆われて保護される領域」には外郭部32の径方向外側が含まれない旨は記載も示唆もされていない。 実施形態における「ガード部」は「熱検出部21を保護するため」のものである(【0022】)と明記されているが、ガード部が熱検出部21のみを保護するものと解するのは不自然である。むしろ、本件明細書等の図2及び図3によれば、凹部40は外郭部32の径方向外側に広がっているところ、図1に示される形状に鑑みれば、外郭部32と凹部40の側面部41との距離をdとしたとき、外郭部32は、大きさがdを超える物体が凹部40に入り込まないように保護していると解される。つまり、凹部40には、保護対象として明示された熱検出部21の他に、表示部22、側面反射部42及び底面反射部44といった火災発報に必要な部材が含まれているから、火災発報を正常に実行できるようにするために、凹部40に大きな異物が入らないよう、外郭部32は凹部40を保護していると解するのが自然である。 そして、本件の請求項1は、本件訂正の前後において変わらずに「前記本体部は、前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有し」(発明特定事項1H)と特定することによって、「凹部」が「外郭部により覆われて保護される領域内」に有るとしているのだから、発明特定事項1Hによる特定は、前記解釈と整合する。 以上によれば、「表示部22」すなわち「導光部」が径方向において外郭部よりも外側に位置することを根拠に、「導光部」が「外郭部により覆われて保護される領域」内に配置されているとはいえないとする申立人の主張1-2は採用できない。 オ 小括 前記ア~エによれば、訂正事項1に係る本件訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。 (4)特許請求の範囲の拡張、変更の有無 訂正事項1に係る本件訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当するかについて、以下、判断する。 ア 当審の判断 前記(2)に示したように、訂正事項1に係る本件訂正は、明瞭でない記載である「面状光可視部」が、「光を出射する面状部分を有する導光部」と、「該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部」である「側面反射部」及び「底面反射部」とからなるものである旨を釈明し(訂正後1F)、訂正前1Gの「面状光可視部」が訂正後1Gの「反射面部」である旨を釈明し、さらに、訂正前1Jの「側面部」に配置される「面状光可視部」が訂正後1Jの「側面反射面部」であり、訂正前1Jの光源である「面状光可視部」が訂正後1Jの「導光部」である旨を釈明したものであり、さらに、発明特定事項1Jにおける「発光」する対象について、本件訂正前には「前記底面部」であったものを、本件訂正後には「前記底面部の前記底面反射部」へと限定するものであると認められる。 そうすると、訂正事項1に係る本件訂正は、明瞭でない記載を釈明しつつ、特許請求の範囲を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合する。 イ 申立人の主張についての判断 申立人は、訂正事項1に係る本件訂正が、特許請求の範囲の拡張又は変更をすることについて、概略、以下の主張2-1~主張2-3を主張する。 主張2-1 審判請求書の「すなわち、本願発明1において、凹部の側面部に配置された面状光可視部からの光は、凹部の底面図で反射して外郭部の開口を介して視認される。」との記載によれば、訂正前1Jにおける「前記面状光可視部からの光は、前記底面部を発光させ、前記底面部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される」との記載の「前記面状光可視部からの光」は、前記凹部の側面部に配置された面状光可視部からの光を包含すると解するのが自然である。 それに対して、訂正後1Jでは、「前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ、前記底面部の前記底面反射部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される」と特定されており、開口部を介して視認されることに関して「側面反射部」が何ら関与されていない。 よって、底面部で光が反射するまでの光の経路そのものが本件訂正の前後で変化しているから、本件訂正は、実質的に特許請求の範囲を変更するものに該当する。(申立人意見書4~7頁「(3)訂正事項1、2の訂正が認められない理由1」) 主張2-2 本件特許の出願時の「面状光可視部」は、出願時の特許請求の範囲の記載及び出願経過によれば、立体状の「導光部」を含まず、平面状の「底面反射部」及び「側面反射部」を含むに留まるものである。 他方、訂正後1Fにより、「面状光可視部」が「面状部分を有する導光部」に特定され、出願時に「面状」として定められていなかった「導光部」が包含されることとなっており、その結果として「面状」によって定められる技術的範囲が拡大されているため、「請求項の発明特定事項を下位概念化する補正であっても、この補正により当初明細書等に記載した事項以外のものが個別化されることになる場合は、その補正は、新たな技術的事項を導入するものである。」に該当するとして、特許法17条6項2号、又は特許法120条の5第9項で準用する126条6項に違反することは明らかである。(申立人意見書16~20頁「(8)訂正事項1、2の訂正が認められない理由6」) 主張2-3 本件特許の出願時の「面状光可視部」とは、請求項の構成を参酌すると「底面反射部」と「側面反射部」に留まるものであって、「導光部」を含めることは適切ではない。すなわち、訂正前1Jの「前記面状光可視部からの光」が訂正後1Jの「前記導光部からの光」に変化することで、前記主張2-1と同様に底面部で光が反射するまでの光の経路そのものが本件訂正前後で変化していることから、本件訂正は、実質的特許請求の範囲を変更するものに該当する。(申立人意見書20~23頁「(9)訂正事項1、2の訂正が認められない理由7」) (ア)主張2-1について 主張2-1については、以下のa~cのとおりである。 a 訂正前1Jは、「前記凹部の側面部には、前記表示機構を構成する前記面状光可視部が配置され、前記面状光可視部からの光は、前記底面部を発光させ、前記底面部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される」というものであり、「前記凹部の側面部には、前記表示機構を構成する前記面状光可視部が配置され」ること(以下「訂正前1J-1」という。)と、「前記面状光可視部からの光は、前記底面部を発光させ、前記底面部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される」こと(以下「訂正前1J-2」という。)とを特定する。 ここで、前記(1)シ(ア)に示したとおり、本件訂正前の「面状光可視部」との記載は不明瞭であるため、訂正前1J-1で「面状光可視部」の全てが「凹部の側面部」に配置されることを特定されていると解釈するのが正しいとも、訂正前1J-2の「前記面状光可視部」が訂正前1J-1の「側面部」に配置された「面状光可視部」のみを指していると解釈するのが正しいとも断定できない。本件訂正前の「面状光可視部」は、複数の部材を総称したものに過ぎず、訂正前1J-1は、「面状光可視部」のうちの1つの部材のみが「側面部」に配置されることを特定していると解釈する余地があり、また、訂正前1J-2の「前記面状光可視部」は、「側面部」に配置された部材(例えば、実施形態の「側面反射部42」)及び「側面部」に配置されていない部材(例えば、実施形態の「表示部22」)を総称して指していると解釈する余地もある。 申立人の主張2-1は、訂正前1J-2の「前記面状光可視部」が「側面部」に配置された部材のみを指していることを前提としているが、上述のとおり、そのような解釈が正しいとは断定することはできない。 b 申立人は、主張2-1の根拠として、審判請求書の「すなわち、本願発明1において、凹部の側面部に配置された面状光可視部からの光は、凹部の底面図で反射して外郭部の開口を介して視認される。」との記載を挙げているが、当該記載によって、訂正前1J-2の「前記面状光可視部」が「側面部」に配置された部材のみを指していると断定することはできない。 本件明細書等の「また、本体部30において、反射部は表示部22からの光を反射できる位置であれば、上述の実施形態の他にも任意に配置することができる。」との記載及び「また、表示部22の本体部30における位置及び数についても、任意に設定でき、」との記載(【0038】)によれば、「表示部22」及び「側面反射部42」の位置は任意に設定可能であるから、「凹部の側面部に配置された面状光可視部からの光は、凹部の底面図で反射して外郭部の開口を介して視認される」(審判請求書)ように「表示部22」及び「側面反射部42」の位置を定めることができることは明らかである。 そうすると、本件訂正前の請求項1に係る発明は、「表示部22」及び「側面反射部42」が審判請求書に記載の「凹部の側面部に配置された面状光可視部からの光は、凹部の底面図で反射して外郭部の開口を介して視認される」ようになっているもの(以下「仮想例」という。)を包含すると同時に、本件明細書等の図3に示されるもの(以下「図3実施例」という。)をも包含していると解釈する余地がある。 前記解釈に立てば、審判請求書の記載は、仮想例について述べたに過ぎないものと解され、他方、訂正後1Jにおける「前記底面部の前記底面反射部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される」との事項は、本件訂正前の発明が包含していた図3実施例を、さらに詳しく限定したものと解することができる。つまり、訂正事項1に係る本件訂正は、明瞭でない記載の釈明をするとともに、本件訂正前において図3実施例と仮想例とが含まれていたところから仮想例を削除し(特許請求の範囲の減縮)、その上で、本件訂正後において残る図3実施例をさらに限定したものと捉えることができるから、本件訂正の前後で光の経路を変化させていないと解することができる。換言すれば、訂正前1J-2の「前記面状光可視部」は、「側面部」に配置された部材以外のものも包含すると解することができ、このように解した場合には、本件訂正によって仮想例が図3実施例へと変更されたと解釈するのは不適切であり、図3実施例が訂正後1Jのようにさらに限定されたと解するのが適切である。 よって、審判請求書の記載は、主張2-1が正しい解釈に基づいていることを裏付けるものではない。 c 前記a及びbのとおりであるから、申立人の主張2-1は採用できない。 (イ)主張2-2について 主張2-2については、以下のa~eのとおりである。 a 主張2-2で言及されている特許法17条6項2号は存在しない。また、主張2-2における「請求項の発明特定事項を下位概念化する補正であっても、この補正により当初明細書等に記載した事項以外のものが個別化されることになる場合は、その補正は、新たな技術的事項を導入するものである。」は、特許・実用新案審査基準「第IV部 第2章 新規事項を追加する補正」「3.3.1 特許請求の範囲の補正」(2)cの引用と解されるが、審査基準の当該部分は審査手続における補正の要件についてのものであって、異議申立事件における訂正の要件についてのものではない。よって、主張2-2は判然としない。 b 仮に、主張2-2が「特許法120条の5第9項で準用する126条6項に違反する」旨の主張であると善解すると、主張2-2は、本件特許の出願時の「面状」の技術的範囲に対して、本件訂正後の「面状」の技術的範囲が拡大されているため、本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張するものである、という主張であると解される。しかしながら、特許法126条6項における特許請求の範囲の拡張又は変更は、訂正の前後を比較対象とするものであって、出願時と訂正後とを比較対象とするものではないから、申立人の主張は前提において失当である。 c 他方、仮に、主張2-2が新規事項の追加(特許法120条の5第9項で準用する126条5項の規定の違反)を主張するものと善解すると、主張2-2は、本件特許の出願時の「面状」の技術的範囲に対して、本件訂正後の「面状」の技術的範囲が拡大されているため、当該拡大された部分が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した範囲を超えている、という主張であると解される。しかしながら、訂正事項1に係る訂正の目的が「明瞭でない記載の釈明」及び「特許請求の範囲の減縮」であり(前記(2))、特許法120条の5第2項ただし書き2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」ではないため、新規事項を認定する基礎は当初明細書等ではなく、本件明細書等であるから、申立人の主張は前提において失当である。 d そもそも、「面状光可視部」なる語は、特許請求の範囲及び特許請求の範囲の記載と同等の記載である明細書の【0007】~【0009】にしか現れない語であり、一般的な技術用語でもないから、この語は、審査手続における補正及び異議事件における訂正により、その語義が変更される可能性があり、当初明細書等の「面状光可視部」の語義と、審査手続を経た後の「面状光可視部」の語義とは、必ずしも一致しないと理解すべきである。実際、申立人の理解によれば「訂正事項1では「面状光可視部」は「導光部」、「側面反射部」、「底面反射部」に訂正されていることから、出願時に「面状光可視部」に含まれていなかった「導光部」が含まれて」いる(申立人意見書18頁9~11行)ので、当初明細書等の「面状光可視部」と本件訂正前の「面状光可視部」との語義には相違があると解するべきである。 そして、本件訂正前の「面状光可視部」の語義は、本件訂正によって明瞭でない記載の釈明をしたことにより、初めて明らかになったと解するべきである。 よって、この観点からも、主張2-2は失当である。 e 前記a~dによれば、申立人の主張2-2は採用できない。 (ウ)主張2-3について 特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に合致するか否かは、当初明細書等を基準として判断するのではなく、本件明細書等を基準として判断すべきことは、前記(イ)bに示したとおりである。 また、本件訂正前の「面状光可視部」の語義を当初明細書等の「面状光可視部」の語義と同一視すべきでないことは、前記(イ)dに示したとおりである。 加えて、本件訂正により「面状光可視部からの光」が「導光部からの光」に変わったことにより、本件訂正の前後で光の経路が変更されたと断定できないことは、前記(ア)bのとおりである。 以上によれば、申立人の主張2-3は採用できない。 (5)小括 前記(2)~(4)のとおりであるから、訂正事項1に係る本件訂正は、適法な訂正である。 5 訂正事項2の適否 訂正事項2は訂正事項1と類似するため、以下の(1)~(3)において請求項2の記載と請求項1の記載とを比較し、それに基づき、以下の(4)において訂正事項2に係る本件訂正の適否を判断する。 (1)発明特定事項2Fの内容 訂正前1Fと訂正前2Fとを以下に再掲する。 1F 前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域に配置されて前記光による表示をする面状光可視部を有し、 2F 前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域内に配置されて前記光による表示をする面状光可視部を有し、 訂正前1Fと訂正前2Fとは、配置される領域が「少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域」で共通する一方、訂正前1Fの領域は、さらに「前記検出部の周囲の領域」であることが特定されているのに対し、訂正前2Fの領域は領域の内側(領域内)であることが特定されている点で異なるが、前記4(1)クに示したように、訂正前1Fの「前記検出部の周囲の領域」は「凹部40」を包含するものであり、他方、訂正前2Fの「領域内」は、結局のところ「凹部40」を包含する領域と同じ領域を指しているから、訂正前1Fが特定する事項と訂正前2Fが特定する事項に実質的な相違はない。 そして、訂正後2Fは、訂正後1Fと同じく、「面状光可視部」を「光を出射する面状部分を有する導光部と、該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部」に訂正するものである。 よって、発明特定事項2Fは、発明特定事項1Fと、本件訂正の前後それぞれにおいて実質的に同内容であると解される。 (2)発明特定事項2Gの内容 訂正前1Gと訂正前2Gとを以下に再掲する。 1G 前記面状光可視部の前記光による表示は、前記設置面と対向する側から前記ガード部の前記外郭部越しに少なくとも一部が視認され、 2G 前記面状光可視部は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記ガード部の外郭部と重ならず露出し、 訂正前1Gは、面状光可視部の光による表示の少なくとも一部が外郭部越しに視認されることを特定し、訂正前2Gは、面状光可視部の少なくとも一部が外郭部と重ならずに露出していることを特定している。訂正前1Gにおいても訂正前2Gにおいても、視認者は設置面と対向する側に居ると解され、訂正前1Gにおいて視認者が火災感知器の正面に居る場合は、訂正前2Gと同内容のことが特定されると解される。すなわち、訂正前2Gが特定する内容は、訂正前1Gが特定する内容に加え、視認者が火災感知器の正面に居ることを限定したものと解される。 そして、訂正後2Gは、訂正後2Gと同じく、「面状光可視部」を「反射面部」に訂正するものである。 よって、訂正前2Gは、訂正前1Gと、視認者の位置においてのみ差異があるが、該相違は、本件訂正により影響を受けるものではないので、訂正後2Gも、訂正後1Gと同様、視認者の位置において差異があるのみで、その余の点は同内容である。 (3)発明特定事項2Jの内容 訂正前1Jと訂正前2Jとを以下に再掲する。 1J 前記凹部の側面部には、前記表示機構を構成する前記面状光可視部が配置され、前記面状光可視部からの光は、前記底面部を発光させ、前記底面部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される 2J 前記凹部の側面部には前記表示機構を構成する前記面状光可視部が配置され、前記面状光可視部からの光は、前記底面部を発光させ、前記底面部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される 訂正前1Jと訂正前2Jとの差異は、「側面部には」の後に読点があるかないかの違いのみであり、該読点の有無は解釈に影響しない。 よって、発明特定事項2Jは、発明特定事項1Jと、本件訂正の前後それぞれにおいて実質的に同内容であると解される。 (4)訂正事項2に係る本件訂正の適否の判断 請求項2の用語の解釈において、前記4(1)に示した請求項1の用語の解釈と同様の解釈をするにあたり、前記(2)に示した発明特定事項2Gと1Gとの差異は影響しない。 また、前記(1)及び(3)に示したように、発明特定事項2F及び2Jは、それぞれ発明特定事項1F及び1Jと同内容である。 よって、請求項2の用語の解釈は、前記4(1)と同様となるから、訂正事項2に係る本件訂正における目的、新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張、変更の有無の判断も、それぞれ前記4(2)~4(4)と同様である。 以上によれば、訂正事項2に係る本件訂正は、適法な訂正である。 6 訂正事項3の適否 訂正事項3に係る本件訂正は、本件訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書き1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とすると認められる。 また、訂正事項3に係る本件訂正によって、新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張、変更がないことは明らかであるため、訂正事項3に係る本件訂正が特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 以上によれば、訂正事項3に係る本件訂正は、適法な訂正である。 7 訂正事項4-1の適否 本件訂正前の請求項4の「光の出射部」との語は、請求項4と、それと同等の記載である本件明細書等の【0009】にのみ現れる語であるため、実施形態の何に対応するのか(実施形態の「発光部23」に対応するのか、「表示部22」に対応するのか)が必ずしも明瞭とはいえない。 訂正事項4-1に係る本件訂正後の請求項4では、前記語を「光の出射部である前記導光部」と訂正することにより、「光の出射部」が本件訂正後の請求項1又は2に記載の「導光部」であること(実施形態の「表示部22」に対応すること)が明瞭となった。 したがって、訂正事項4-1に係る本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とすると認められる。 また、「光の出射部である前記導光部」(実施形態の「表示部22」)が「前記ガード部により覆われて保護される領域内」(実施形態の「凹部40」)にあることは、本件明細書等の図面に記載されているから、訂正事項4-1に係る本件訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、「光の出射部」が「前記導光部」と同じものであることを特定することは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとは認められないから、訂正事項4-1に係る本件訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合する。 以上によれば、訂正事項4-1に係る本件訂正は、適法な訂正である。 8 訂正事項4-2の適否 訂正事項4-2に係る本件訂正の適否は、以下のとおりである。 (1)訂正の目的 本件訂正前の請求項4は、請求項3を引用するものである。 しかしながら、訂正事項3に係る訂正により、請求項3は削除されるので、請求項4の「請求項3に記載の火災感知器。」という記載をそのままとした場合には、当該記載は明瞭でない記載となる。 本件訂正前に請求項3が請求項1又は2を引用するものであることに鑑みると、訂正事項4-2に係る本件訂正で「請求項3に記載の火災感知器。」との記載を「請求項1または2に記載の火災感知器。」に訂正するのは、本件訂正によって請求項3が削除されること伴い、本件訂正後の請求項4にて引用される請求項が、本件訂正前に請求項3が引用していた請求項1又は2であることを明瞭化するためであると解される。 そうすると、訂正事項4-2に係る本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 (2)新規事項追加の有無 訂正事項4-2は、請求項4が引用する請求項のみに関する訂正事項である。 そして、本件訂正後の請求項4が引用する請求項1及び2のいずれにも新規事項の追加はないので、訂正事項4-2に係る本件訂正にも新規事項の追加はない。 よって、訂正事項4-2に係る本件訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張、変更の有無 本件訂正前の請求項3は、「前記凹部の底面部には、前記表示機構を構成する前記面状光可視部が配置される」ことを特定する。なお、本件訂正前の請求項3の「前記面状光可視部」との記載は、本件訂正前の請求項1及び2と同様に、明瞭でない記載である。 他方、本件訂正後の請求項1及び2には、本件訂正前の請求項3の発明特定事項と同内容の特定をする文言が、明瞭化された形(訂正後1J及び訂正後2Jの「前記凹部の底面部には、前記表示機構を構成する前記反射面部として底面反射部が配置され」)で存在している。 そうすると、訂正事項4-2に係る本件訂正により本件訂正前の請求項3を引用しなくなっても、本件訂正前の請求項3と同等の限定が請求項1及び請求項2にあるため、請求項1又は2を引用する請求項4により特定される発明の範囲が拡張されることも変更されることもない。 したがって、訂正事項4-2に係る本件訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合する。 (4)小括 前記(1)~(3)によれば、訂正事項4-2に係る本件訂正は、適法な訂正である。 9 訂正事項5~7の適否 訂正事項5~7に係る本件訂正の適否は、以下のとおりである。 (1)訂正の目的 訂正事項5に係る本件訂正は、課題を解決するための手段として請求項1と同様の記載をした明細書【0007】の記載を、本件訂正後の請求項1の記載と整合させるものである。 同様に、訂正事項6に係る本件訂正は、課題を解決するための手段として請求項2と同様の記載をした明細書【0008】の記載を、本件訂正後の請求項2の記載と整合させるものである。 同様に、訂正事項7に係る本件訂正は、課題を解決するための手段として請求項4と同様の記載をした明細書【0009】の記載を、本件訂正後の請求項4の記載と整合させるものである。 よって、訂正事項5~7に係る本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とすると認められる。 (2)明細書の訂正に係る請求項の訂正 訂正事項5に係る本件訂正により訂正される明細書【0007】に係る請求項は、本件訂正前の請求項1であり、訂正事項6に係る本件訂正により訂正される明細書【0008】に係る請求項は、本件訂正前の請求項2であり、訂正事項7に係る本件訂正により訂正される明細書【0009】に係る請求項は、本件訂正前の請求項4であり、明細書の訂正は以上で全てである。 そして、前記1のとおり、本件訂正前の請求項1~4は、一群の請求項をなす。 本件訂正は、訂正事項1~4-2に係る訂正により、請求項1~4を訂正しているから、明細書についての本件訂正(訂正事項5~7に係る本件訂正)に係る一群の請求項の全て(請求項1~4)について、訂正が行われている。 よって、本件訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条4項の規定に適合する。 (3)その他の訂正要件 また、本件訂正後の【0007】~【0009】の記載は、それぞれ、本件訂正後の請求項1、2及び4の記載と同様であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 (4)小括 前記(1)~(3)のとおりであるから、訂正事項5~7に係る本件訂正は、適法な訂正である。 10 本件訂正の適否についてのまとめ 前記1~9によれば、本件訂正は、適法な訂正であると認められる。 したがって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。 (なお、申立人意見書の「(5)訂正事項1、2の訂正が認められない理由3」及び「(6)訂正事項1、2の訂正が認められない理由4」は、取消理由があることを主張するものであって(以下の第4、1の申立理由5-2及び5-3を参照)、訂正要件違反を主張するものではないと解される。) 第3 本件発明 前記第2、10のとおり、本件訂正は認められたので、本件の請求項1、2及び4に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」及び「本件発明4」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、それぞれ本件訂正後の請求項1、2及び4の記載により特定されるとおりのものと認める。発明特定事項の分説は、前記第2、3(2)に示したとおりとする。(なお、請求項3は削除された。) 【請求項1】 熱を検出する検出部と、 設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部と、 前記検出部の周囲に設けられ前記検出部を保護するガード部と、 光による表示を行う表示機構と、を有し、 前記ガード部は、前記設置面から離れる方向に向かって前記本体部から延びる複数の側柱部と、前記複数の側柱部の前記本体部と反対側の端部に支持された外郭部と、を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、 前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域に配置され光を出射する面状部分を有する導光部と、該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部を有し、 前記反射面部の前記光による表示は、前記設置面と対向する側から前記ガード部の前記外郭部越しに少なくとも一部が視認され、 前記本体部は、前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有し、 前記凹部は、設置状態における高さ方向において前記設置面側に位置する底面部と、該底面部を取り囲むように前記底面部の周縁から設置状態における高さ方向において前記設置面から離れる側へ立ち上がる側面部とを有し、 前記凹部の側面部には、前記表示機構を構成する前記反射面部として側面反射部が配置され、前記凹部の底面部には、前記表示機構を構成する前記反射面部として底面反射部が配置され、前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ、前記底面部の前記底面反射部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される火災感知器。 【請求項2】 熱を検出する検出部と、 設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部と、 前記検出部の周辺に設けられ前記検出部を保護するガード部と、 光による表示を行う表示機構と、を有し、 前記ガード部は、前記設置面から離れる方向に向かって前記本体部から延びる複数の側柱部と、前記複数の側柱部の前記本体部と反対側の端部に支持された外郭部と、を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、 前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域内に配置され光を出射する面状部分を有する導光部と、該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部を有し、 前記反射面部は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記ガード部の外郭部と重ならず露出し、 前記本体部は、前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有し、 前記凹部は、設置状態における高さ方向において前記設置面側に位置する底面部と、該底面部を取り囲むように前記底面部の周縁から設置状態における高さ方向において前記設置面から離れる側へ立ち上がる側面部とを有し、 前記凹部の側面部には前記表示機構を構成する前記反射面部として側面反射部が配置され、前記凹部の底面部には、前記表示機構を構成する前記反射面部として底面反射部が配置され、前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ、前記底面部の前記底面反射部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される火災感知器。 【請求項4】 前記表示機構は、前記ガード部により覆われて保護される領域内に光の出射部である前記導光部を有し、前記出射部からの光は、前記ガード部のうち前記設置面と対向する面に照射される請求項1または2に記載の火災感知器。 第4 申立理由及び取消理由の概要 申立人が主張する申立理由の概要を以下の1に示し、取消理由通知書にて通知した取消理由の概要を以下の2に示す。 1 申立理由の概要 申立書及び申立人意見書によれば、申立人は、概略、以下の申立理由1~申立理由5-3を主張する。 申立理由1 本件訂正前の請求項1及び2に係る発明は、「面状光可視部」という用語が用いられているが、「面状光可視部」を「面状の光として認識される部分」全てが含まれるとすることは、発明の詳細な説明に記載された発明から逸脱している。光を吸収しない素材全てが「面状光可視部」に含まれるとする根拠はない。 また、光を反射するものであれば何でも含み得る「面状光可視部」では課題を解決することはできない。 請求項1及び2を引用する請求項3及び4についても同様である。 よって、本件訂正前の請求項1~4に係る発明(以下、それぞれ「訂正前発明1」~「訂正前発明4」といい、これらを総称して「訂正前発明」という。)が、特許法36条6項1号に規定された要件を満たさないことは明らかである。(申立書20~24頁) 申立理由2 原出願明細書には「面状光可視部」を「反射材を有する反射部」とする構成以外については記載も示唆もない。そして、訂正前発明は凹部の側面や底面に反射材を有する反射部を形成するという形態のみならず、是を設けずに反射材を有さない表示形態をも含むものと解される。よって、本件出願は、分割要件に違反したものであり、本件特許に係る出願日は、原出願の時まで遡及することはなく、現実の出願日である令和3年8月25日となる。 そして、訂正前発明は、原出願の公開公報である甲第11号証に記載された発明と同一であるから、特許法29条1項3号に基づき、取り消されるべきである。(申立書24~25頁) 申立理由3-A1 訂正前発明1~4は、検甲第1号証及び甲第2号証~甲第4号証により示される製品(以下「製品A」という。)と同一であるから、特許法29条1項2号に該当し、特許を受けることができない。(申立書28頁12行~29頁1行、40頁1~17行、49頁10~15行、52頁8~13行) 申立理由3-A2-1 訂正前発明1~4は、製品Aに基づいて容易に発明をすることができたから、特許法29条2項の規定に該当し、特許を受けることができない。(申立書29頁2~8行、40頁18~24行、49頁16~22行、52頁14~20行) 申立理由3-A2-2 訂正前発明1、2及び4は、甲第9号証に記載された発明及び製品Aに基づいて容易に発明をすることができたから、特許法29条2項の規定に該当し、特許を受けることができない。(申立書37頁4~7行(特に5、6行)、48頁19~22行(特に20、21行)、54頁15~19行(特に16、17行)) 申立理由3-A2-3 訂正前発明3は、甲第9号証に記載された発明並びに製品A又は検甲第5号証及び甲第6号証~甲第8号証により示される製品(以下「製品B」という。)に基づいて容易に発明をすることができたから、特許法29条2項の規定に該当し、特許を受けることができない。(申立書51頁8、9、11~15行(特に8、12、13行)) 申立理由3-B1 訂正前発明1~4は、製品Bと同一であるから、特許法29条1項2号に該当し、特許を受けることができない。(申立書31頁24行~32頁14行、43頁12~27行、50頁10~15行、53頁11~16行) 申立理由3-B2 訂正前発明1~4は、製品Bに基づいて、又は、製品Bと製品A若しくは甲第10号証に示される発明とに基づいて容易に発明をすることができたから、特許法29条2項の規定に該当し、特許を受けることができない。(申立書32頁15行~33頁2行、44頁1~17行、50頁16~22行、53頁17~23行) 申立理由3-C 訂正前発明1~4は、甲第9号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたから、特許法29条2項の規定に該当し、特許を受けることができない。(申立書37頁4~7行(特に4、5行)、48頁19~22行(特に19、20行)、51頁11~15行(特に11、12行)、54頁15~19行(特に15、16行)) 申立理由4 請求項1及び2に係る発明は、審判請求時補正書による補正で、「前記面状光可視部からの光は、前記底面部を発光させ、前記底面部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される」との事項を含むようになったが、該事項は、当初明細書等に記載されていない事項又は当初明細書等の記載から自明ではない事項を含む。 また、請求項1及び2に係る発明は、前記補正により、「面状光可視部からの光は、前記底面を発光させ」との事項を含むようになったが、当該事項は、当初明細書等に記載されていない事項又は当初明細書等から自明ではない事項を含む。 よって、訂正前発明1及び2は、特許法17条の2第3項の規定に違反する。(申立書54~55頁) 申立理由5-1 訂正前発明1及び2の「面状光可視部からの光は、前記底面部を発光させ」という記載は明確ではない。 また、訂正前発明1及び2の「前記面状光可視部からの光は、前記底面部を発光させ、前記底面部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される」について、審判請求書によると、「側面部が発光することによって外郭部の外周側が光って見える」とされているが、外郭部の外周側が光って見える点に関しては、請求項1及び2に記載されている事項から明らかではない。 また、訂正前発明1及び2は、審判請求書による「外郭部の内外周両方が光っているように見える」との効果を満たすとはいえない。 よって、訂正前発明1及び2は、特許法36条6項2号の規定に違反する。(申立書56~58頁) 申立理由5-2 本件発明1及び2の「前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ」との発明特定事項(訂正後1J及び2J)は不明確である。 「発光」は「光を発すること」、「反射」は「光などが物に当たってはねかえること」(広辞苑第七版)であり、異なる概念である。「発光」は、明細書【0025】によれば、自ら光を発することと解するのが自然である。「反射」はあくまで光を跳ね返すものであり、自ら光を発することには合致しない。 本件訂正後の請求項1及び2では、底面部に配置されるのは「蓄光部」ではなく「底面反射部」であることを明確化しており、「底面反射部」が「反射」を示すことについては合点がいくものの、「底面反射部を発光させ」によって定められる技術的意味は不明確であり、特許法36条6項2号に違反することは明らかである。(申立人意見書8~11頁「(5)訂正事項1、2の訂正が認められない理由3」) 申立理由5-3 本件発明1の「前記反射面部の前記光による表示は、前記設置面と対向する側から前記ガード部の前記外郭部越しに少なくとも一部が視認され」(訂正後1G)との発明特定事項は、「反射面部」に含まれる「側面反射部」の光による表示が、視認可能であるのか、どのように視認されるのかが不明確である。 本件発明2の「前記反射面部は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記ガード部の外郭部と重ならず露出し」(訂正後2G)についても同様である。 よって、特許法36条6項2号に違反することは明らかである。(申立人意見書11~14頁「(6)訂正事項1、2の訂正が認められない理由4」) 2 取消理由の概要 取消理由通知書において通知された取消理由は、概略、以下の取消理由1及び取消理由2のとおりである。 取消理由1 訂正前発明1~4の発明特定事項である「面状光可視部」は不明確であるため、訂正前発明1~4は不明確である。よって、本件特許は特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 取消理由2 訂正前発明1~4の発明特定事項である「面状光可視部」は発明の詳細な説明に記載したものではないため、訂正前発明1~4は発明の詳細な説明に記載したものではない。よって、本件特許は特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 第5 証拠方法及び証拠の採否 申立人の証拠方法は、以下の1及び2のとおりであり、特許権者の証拠方法はない。 本件の審理における証拠の採否を以下の3に示す。 1 申立書に添付した証拠方法 申立人が特許異議申立書に添付した証拠方法は、以下のとおりである。なお、検甲第1号証及び検甲第5号証を、以下ではそれぞれ「検甲1」及び「検甲5」と略称し、甲第2号証~甲第4号証及び甲第6号証~甲第11号証を、以下ではそれぞれ「甲2」~「甲4」及び「甲6」~「甲11」と略称する。証拠番号の右側は、令和6年3月25日の手続補正書により補正された証拠説明書の標目(URLは省略)である。 検甲1 定温式スポット型感知器(DFP-TW65RLV) 甲2 写真 撮影対象:製品A(甲1) 撮影日:令和5年12月27日 撮影者:異議申立人 撮影場所:異議申立人が管理する施設 甲3 ホーチキ株式会社製品カタログ(火災報知設備機器) 甲4 販売サイト「弱電館ヤフー店」のWebホームページ 検甲5 定温式スポット型感知器(DFM-TA65ULV) 甲6 写真 撮影対象:製品B(甲5) 撮影日:令和4年10月26日 撮影者:異議申立人 撮影場所:異議申立人が管理する施設 甲7 ホーチキ株式会社製品カタログ(火災報知設備機器) 甲8 グッドデザイン賞の受賞ギャラリーのwebページ 甲9 特開2003-36488号公報 甲10 特開2003-272063号公報 甲11 特開2019-168914号公報 検甲1及び検甲5は、令和6年1月18日の特許異議申立書でそれぞれ甲1及び甲5として提出されたものを、同年4月8日の手続補正書で検甲1及び検甲5に補正し、同日の検証申出書で検証の申出がなされたものである。 甲11は、令和6年3月25日の手続補正書により特許異議申立書の「第6 添付書類又は添付物件の目録」を補正することに伴い追加されたものであり、同年4月8日の手続補正書による特許異議申立書の全文補正後にも引き続き添付書類とされたものである。 2 回答書に添付した証拠方法 申立人が令和6年3月25日に提出した回答書に添付した証拠方法は、以下のとおりである。なお、甲第12号証~甲第14号証を、以下ではそれぞれ「甲12」~「甲14」と略称する。 甲12 平成30(行ケ)第10178号判決文 甲13 異議2022-700251号の異議の決定 甲14 福岡ソフトバンクホークス 勝ったら翌日ポイント2倍(10時~26時)キャンペーン広告 3 証拠の採否 甲2~甲4及び甲6~甲14を証拠として採用する。 申立人は、「特許権者による訂正の請求に係る訂正が認められることを前提とした場合、本願は本件訂正により検甲第1号証や検甲第5号証とは異なる構成を有するものであることから、今回、特許異議申立人としては本件訂正に対しては検証物指示説明書を提出せず、検証を希望しないこととする。」(申立人意見書23頁)と主張し、前記第2のとおり、本件訂正は認められたから、申立人は検甲1及び検甲5の検証を希望しないと認められる。よって、検甲1及び検甲5の検証は行わない。 したがって、検甲1及び検甲5は、検証を経ていないので、証拠として採用しない。 第6 取消理由についての判断 取消理由通知書で通知した取消理由1及び2(前記第4、2)は、いずれも、特許請求の範囲に記載された「面状光可視部」との語に起因するものであるが、本件訂正により「面状光可視部」との語は存在しなくなったため、取消理由1及び2には理由がない。 第7 申立理由についての判断 以下、前記第4、1に示した申立理由1~申立理由5-3について判断する。 なお、本件訂正により請求項3は削除されたことにより、特許異議の申立ての対象が存在しないものとなったため、請求項3に係る特許に対する特許異議の申立ては特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下し、以下では、訂正前発明1、2及び4についての申立理由を、それぞれ本件発明1、2及び4についての申立理由として読み替えて判断する。 1 申立理由1及び4についての判断 申立理由1及び4は、本件訂正前の特許請求の範囲に記載された「面状光可視部」という語の不明確さに起因するものであるが、本件訂正により「面状光可視部」との語は存在しなくなったため、申立理由1及び4には理由がない。 2 申立理由2についての判断 本件発明はいずれも、本件訂正によって反射面部を必須の要素として有するものとなっており、原出願明細書に記載されたものであると認められる。 よって、本件特許の出願日は、原出願日(平成30年3月23日)に遡及するので、甲11の公開日(令和元年10月3日)は、本件特許の出願日後となる。 したがって、甲11に記載された発明は、特許法29条1項3号に規定する「特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明」には該当しないので、申立理由2には理由がない。 3 申立理由3-A1~3-B2についての判断 申立理由3-A1、3-A2-1~3-A2-3、3-B1及び3-B2は、いずれも、検甲1及び甲2~甲4により示される製品A、又は、検甲5及び甲6~甲8により示される製品Bに基づくものである。 しかしながら、前記第5、3に示したように、検甲1及び検甲5は、検証が行われておらず、証拠として採用しないので、製品A及び製品Bは十分に立証されているとは認められない。 よって、上記申立理由には理由がない。 4 申立理由3-Cについての判断 本件発明1、2及び4は、当業者が甲9に記載された発明(以下「甲9発明」という。)に基づいて容易に発明をすることができたものであるか否かについて、以下、判断する。 (1)甲9の記載 甲9には、以下の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付した。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】一般に、この種の火災感知器を設置した建物内に火災が発生すると、火災の熱や煙を感知する感知素子を介して本体内部の火災検出部が動作して確認灯を自動的に点灯させて火災感知器の動作状態を表示するようになっている。このほか、火災感知器の中には、点検用の押し釦や引き紐でスイッチをON操作すると、火災検出部が擬似的に動作し上記の確認灯が点灯したりブザーが鳴動して火災感知器の正常な動作状態がチェックできるようにした家庭用に適する構成の火災感知器もある。本発明は火災感知器に係り、さらに詳しくは主として上述のような確認灯が設けられた火災感知器に関するものである。」 イ 「【0008】 【発明の実施の形態】実施の形態1 図1は本発明の実施の形態1の構成説明図で、(a)は側断面図、(b)は底面図、図2はスイッチ機構の動作説明図である。本発明の実施の形態では、従来と対応する構成部材でも異なる名称と符号が用いられている。図1と図2において、1は感知器の筐体である。筐体1は表面性状が緻密で円滑な樹脂材で成型されている。2は本体、3は本体1の下部に結合された保護カバーで、上記の本体2と保護カバー3により筐体1が構成されている。20は本体2の内部で水平方向に配置されたプリント基板、21は係止片22によりプリント基板20に取り付けられた光学台である。23は左右一対の確認灯で火災検出部が火災を検出した時に点灯表示する。この際、確認灯23の投射光は、後述するライトガイドにに投射される。光学台21の内部は気流の流通が可能な暗箱を形成し、内部に煙を感知する投光素子及び受光素子(共に、図示せず)が設けられている。」 (当審注:「本体1」は「本体2」の誤記と認める。) ウ 「【0010】31は円板状の保護板、32は保護板31を支える放射状の支柱、33は支柱32の間に形成された通気路、34は音響孔である。保護板31は皿形の保護カバー3の底部に設けられて、光学台21の外部を覆って外力等から保護する。35は押し釦42を露出させた釦孔、36は環状(リング状)のライトガイドで、確認灯23が点灯して照射される時、リング状全周にわたって点灯するものである。37は押し釦42のリブである(図2参照)。ライトガイド36には、アクリル樹脂のような透光性で帯状の樹脂材が用いられている。ライトガイド36は保護カバー3の傾斜面、より具体的には、光学台21の外周部分の表面に設けられ、内面側の一部は図示のように左右の確認灯23に接近している。11は本体2の上部に突設された鍵形の取付金具で、接続端子を兼ねていて天井面に固定されたベースに火災感知器が装着される。 【0011】図3はライトガイド36の詳細を示した断面図である。上述したように、ライトガイド36は確認灯23が点灯する時、その投射光を受けて、その表面が全体的に発光するものである。このようにライトガイド36の全体を発光させる方法には、図3に示すような方法がある。即ち、図3において、ライトガイド36の底面は、鋸の刃のようにぎざぎざに形成されている。そして確認灯23としてサイド発光式のLEDを使用して、横方向からライトガイド36の底面を照射することで、ライトガイド36の表面全体を発光させることが可能となる。または、ライトガイド36の底面に、ブラストをかけて、磨りガラスのように形成することで、確認灯23の投射光を拡散させ、全体を発光させるようにしてもよい。この場合には、ライトガイド36の底面側の一部に、確認灯23を臨ませる凹部を設けると良い。 【0012】火災が発生して保護カバー3の支柱32間の通気路33を通して光学台21内に煙が侵入すると、投光素子及び受光素子間の散乱光が煙によって増加する。そして、受光素子の受光量が一定値に到達すると火災が判断され、図示しないブザーが鳴動すると共に確認灯23が点灯又は点滅する。この場合、前記のように実施の形態1によればリング状のライトガイド36が、火災の発生に伴って点灯した確認灯23に接近して設けられている。このため、確認灯23の投射光がライトガイド36を照射し、確認灯23の点灯光が内部を透過して、リング状のライトガイド36が発光して付近を照明することになる。こうして、火災の発生に応動動作した火災感知器を、保護カバー3の全周面で発光するライトガイド36によりいずれの方向からも確認することができる。」 エ 「【0016】実施の形態2 図4は本発明の実施の形態2の構成説明図で、(a)は側断面図、(b)は底面図である。実施の形態2では火災の感知素子として、火災の発生を熱的に感知するサーミスタ24が用いられている。また、この小形な感知素子24を保護するための構成部材に、保護カバー3の一部であるスケルトン状のプロテクタ30が設けられている。プロテクタ30はリング状の基台30aと、放射状に複数本設けられる脚部30bと、脚部30bの先端に設けられ、基台30aより小径の頂部30cとを備えている。頂部30c内には、放射状に複数の爪部が設けられる。また、基台30aの下面には、突起又は係止片が設けられる。このようにプロテクタ30は、筐体1とは別体に形成され、筐体1の中央部に前述の突起又は係止片を利用して取り付けられる。特に、この実施の形態2では、プロテクタ30が実施の形態1のライトガイド36と同様にアクリル樹脂のような透光性の樹脂材で作られていて感知素子24の保護と透光との2つの機能を果たすように構成されている。その他、確認灯23やスイッチ機構4の構成や動作は実施の形態1と共通するので、再説明は省略する。なお、確認灯23は、プロテクタ30の基台30aの内側に近接して設けられている。実施の形態2によれば、立体構造のプロテクタ30が点灯した確認灯23の投射光を受けて発光するので、感知器の作動状態を一層正確に確認することができる。実施の形態2の場合も、スイッチ機構4が同様に動作する。」 オ 「【0019】 【発明の効果】本発明は、内部に火災検出部を収容した本体と、本体の下部に結合される保護カバーとよりなる筐体を備えた火災感知器において、火災検出部が火災を検出した時に点灯表示する確認灯の投射光を筐体の外周面に設けられた透光性を有する環状のライトガイドに照射する火災感知器を構成した。また、本発明は、サーミスタと、サーミスタを保護するプロテクタと、サーミスタが火災を検出した時に点灯表示する確認灯とを備えた火災感知器において、プロテクタを透光性を有する部材で構成し、火災時に点灯する確認灯の投射光をプロテクタに照射する火災感知器を構成した。また、本発明は、内部に火災検出部を収容した本体と、本体の下部に結合される保護カバーとよりなる筐体を備えた火災感知器において、火災検出部の点検用のスイッチをON・OFFする押し釦に引き紐を接続した火災感知器を構成した。さらに、本発明は、内部に火災検出部を収容した本体と、本体の下部に結合される保護カバーとよりなる筐体を備えた火災感知器において、筐体の外周に滑り止め用の指掛けを設けた火災感知器を構成した。 【0020】この結果、本発明によれば、火災感知器の動作状態が全ての方向から明瞭に確認することができ、しかも動作確認用のスイッチをほぼ直接的に操作して構成を簡素化して応答を速くすると共に、天井面などへの取付けや取り外しが容易でその上安全な火災感知器を提供することができる。」 カ 図1 [図:0001419343000001.jpg] キ 図3 [図:0001419343000002.jpg] ク 図4 [図:0001419343000003.jpg] (ア)図4(a)の側断面図及び図4(b)の底面図によれば、基台30aは保護カバー3の直下に配置され、複数の脚部30bは、基台30aから下方に延びており、頂部30cは、脚部30bの下端に支持されており、頂部30cは、下側から見た径方向内側に開口を有していると解される。 (イ)図4(a)及び(b)によれば、プロテクタ30は、サーミスタ24を囲うように、サーミスタ24の周囲に設けられていると解される。 (ウ)図4(a)及び(b)によれば、サーミスタ24は、保護カバー3及びプリント基板20により保持され、プロテクタ30の頂部30cの開口を介して下側に露出していると解される。 (エ)図4(a)及び(b)によれば、保護カバー3のうち頂部30cの真上の部分は、筐体1の内部側に凹陥する凹部となっており、凹部は、上側に位置し、サーミスタ24を保持する底面部と、底面部を取り囲むように底面部の周縁から下側へ斜め約45度の角度で立ち上がる側面部とを有していると解される。 (オ)図4(b)によれば、プロテクタ30は、下側から視認できると解される。 (2)甲9発明の認定 甲9【0016】には、実施の形態2について、火災の感知素子としてサーミスタ24(感知素子24と同じと解される。)を用いること、感知素子24を保護するための構成部材に、プロテクタ30を設けること、プロテクタ30が透光性の樹脂材で作られていることの説明に続き、「その他、確認灯23やスイッチ機構4の構成や動作は実施の形態1と共通するので、再説明は省略する。」との記載があるため、実施の形態2において感知素子24及びプロテクタ30以外の部材は、実施の形態1と共通すると解される。 よって、甲9には、実施の形態2として次の発明(以下「甲9発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、甲9発明を以下のとおりa~sに分説し、「構成a」のようにして参照する。 a 火災感知器であって、(【0001】) b 感知器の筐体1は、本体2と、本体2の下部に結合された保護カバー3により構成されており、(【0008】) c 本体2の内部に、プリント基板20が水平方向に配置され、(【0008】) d 本体2の上部には鍵形の取付金具11が突設され、取付金具11は接続端子を兼ねていて天井面に固定されたベースに火災感知器が装着され、(【0010】) e 火災の発生を熱的に感知するサーミスタ24が用いられ、(【0016】) f サーミスタ24は、保護カバー3及びプリント基板20により保持され、プロテクタ30の頂部30cの開口を介して下側に露出しており、(図4、前記(1)ク(ウ)) g 感知素子24を保護するための構成部材に、保護カバー3の一部であるスケルトン状のプロテクタ30が設けられており、(【0016】) h プロテクタ30は、リング状の基台30aと、複数本設けられる脚部30bと、基台30aより小径の頂部30cとを備え、(【0016】) i 基台30aは保護カバー3の直下に配置され、(図4、前記(1)ク(ア)) j 複数の脚部30bは、基台30aから下方に延びており、(図4、前記(1)ク(ア)) k 頂部30cは、脚部30bの下端に支持されており、(図4、前記(1)ク(ア)) l 頂部30cは、下側から見た径方向内側に開口を有しており、(図4、前記(1)ク(ア)) m プロテクタ30は、サーミスタ24の周囲に設けられており、(図4、前記(1)ク(イ)) n 保護カバー3のうち頂部30cの真上の部分は、筐体1の内部側に凹陥する凹部となっており、(図4、前記(1)ク(エ)) o 凹部は、上側に位置する底面部と、底面部を取り囲むように底面部の周縁から下側へ斜め約45度の角度で立ち上がる側面部とを有しており、(図4、前記(1)ク(エ)) p プロテクタ30は、下側から視認でき、(図4、前記(1)ク(オ)) q 確認灯23は、プロテクタ30の基台30aの内側に近接して設けられ、(【0016】) r プロテクタ30が点灯した確認灯23の投射光を受けて発光するので、感知器の作動状態を正確に確認することができる(【0016】) s 火災感知器。 (3)本件発明1と甲9発明との対比 本件発明1と甲9発明とを対比すると、以下のとおりである。 ア 発明特定事項1Aについて 発明特定事項1Aは、「熱を検出する検出部と、」というものである。 甲9発明の「火災の発生を熱的に感知するサーミスタ24」(構成e)は、本件発明1の「熱を検出する検出部」に相当する。 よって、本件発明1と甲9発明とは、「熱を検出する検出部」を有する点で一致する。 イ 発明特定事項1Bについて 発明特定事項1Bは、「設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部と、」というものである。 (ア)本件明細書等の「筐体20は、火災を検出して火災検出信号を送信するための各種部品を配置した基板等を納める本体部30を有する。」(【0019】)との記載によれば、「筐体20」が「本体部30」を有するものであると解されるが、「筐体20」が「本体部30」以外に何を有するかについては、本件明細書等に記載されていない。よって、本件明細書等の記載は、「筐体20」が「本体部30」のみを有する構成を排除していない。よって、本件発明1における「本体部」は、筐体そのものである場合も含むと解される。 また、本件明細書等の「本体部30は、略円筒状の背面部30aと、背面部30aより径が大きい略円盤形状の正面部30bとを有している。」(【0019】)との記載によれば、本件発明1の「本体部」は、複数の部材(例えば、「背面部30a」及び「正面部30b」)から構成されることを含むと解される。 以上によれば、本件発明1の「本体部」は、筐体であって、複数の部材から構成されるものを包含すると解される。 (イ)甲9発明の「筐体1」は、「本体2と」、「保護カバー3」により構成されている(構成b)。 前記(ア)に示した本件発明1の「本体部」の解釈に鑑みれば、引用発明の「筐体1」は、本件発明1の「本体部」に相当する。 (ウ)甲9発明は、「本体2の上部には鍵形の取付金具11が突設され、取付金具11は接続端子を兼ねていて天井面に固定されたベースに火災感知器が装着され」るもの(構成d)であるから、本体2の上部に突設された取付金具11により、天井面に固定されたベースに取り付けられると解される。すなわち、甲9発明において「上」側には「天井面」が存在すると解され、「本体2」により構成される「筐体1」(構成b)は、「取付金具11」及びベースを介して「天井面」に設置されると解される。 以上を踏まえると、甲9発明の「上」側に位置する「天井面」は、本件発明1の「設置面」に相当し、本件発明1の「本体部」と、甲9発明の「筐体1」とは、「設置面に設置され」る点で一致する。 (エ)甲9発明において、「サーミスタ24」は、「保護カバー3」「により保持され」ている(構成f)から、本件発明1の「本体部」と、甲9発明の「保護カバー3」により構成される「筐体1」(構成b)とは、「前記検出部を」「保持する」点で一致する。 また、甲9発明の「サーミスタ24」は、「下側に露出して」おり(構成f)、前記(ウ)に示したように甲9発明において「上」側には「天井面」が位置するから、甲9発明の「下側」は、「天井面」と対向する側であると解され、本件発明1の「検出部」と、甲9発明の「サーミスタ24」とは、「前記設置面と対向する側に露出」している点で一致する。 以上によれば、本件発明1の「本体部」と、甲9発明の「筐体1」とは、「前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する」点で一致する。 (オ)前記(ア)~(エ)を総合すると、本件発明1と甲9発明とは、「設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部」を有する点で一致する。 ウ 発明特定事項1Cについて 発明特定事項1Cは、「前記検出部の周囲に設けられ前記検出部を保護するガード部と、」というものである。 甲9発明では、「感知素子24を保護するための構成部材に」「プロテクタ30が設けられ」ている(構成g)から、甲9発明の「プロテクタ30」は、本件発明1の「前記検出部を保護するガード部」に相当する。 甲9発明の「プロテクタ30」は、「サーミスタ24の周囲に設けられて」いるから、本件発明1の「ガード部」と、甲9発明の「プロテクタ30」とは、「前記検出部の周囲に設けられ」る点で一致する。 以上によれば、本件発明1と甲9発明とは、「前記検出部の周囲に設けられ前記検出部を保護するガード部」を有する点で一致する。 エ 発明特定事項1Dについて 発明特定事項1Dは、「光による表示を行う表示機構と、を有し、」というものである。 甲9発明では、「プロテクタ30が点灯した確認灯23の投射光を受けて発光するので、感知器の作動状態を正確に確認することができる」(構成r)から、甲9発明の「確認灯23」及び「プロテクタ30」の「発光」は、「感知器の作動状態」を表示するものであると解される。すなわち、甲9発明の「確認灯23」及び「プロテクタ30」は、「発光」することにより、「感知器の作動状態」を表示する機構であると解される。 よって、甲9発明の「確認灯23」及び「プロテクタ30」は、本件発明1の「表示機構」に相当し、本件発明1と甲9発明とは、「光による表示を行う表示機構と、を有」する点で一致する。 オ 発明特定事項1Eについて 発明特定事項1Eは、「前記ガード部は、前記設置面から離れる方向に向かって前記本体部から延びる複数の側柱部と、前記複数の側柱部の前記本体部と反対側の端部に支持された外郭部と、を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、」というものである。 (ア)甲9発明の「プロテクタ30」は、「複数本設けられる脚部30bと、」「頂部30cとを備え」ており(構成h)、甲9発明の複数本の「脚部30b」及び「頂部30c」は、それぞれ本件発明1の「複数の側柱部」及び「外郭部」に相当する。 (イ)甲9発明の複数の「脚部30b」は、「基台30aから下方に延びて」いる(構成j)。 そして、前記イ(ウ)に示したように、甲9発明において「上」側には「天井面」が存在すると解されるから、甲9発明の「下方」は、「天井面」から離れる方向であると解される。 よって、本件発明1の「複数の側柱部」と、甲9発明の複数の「脚部30b」とは、「前記設置面から離れる方向に向かって」「延びる」点で共通する。 (ウ)甲9発明の複数の「脚部30b」は、「基台30a」から下方に延びており(構成j)、「基台30a」は、「保護カバー3の直下に配置され」ており(構成i)、「保護カバー3」は、「筐体1」を構成する(構成b)から、「脚部30b」の上端は「筐体1」側の端部であり、「脚部30b」の下端は「筐体1」と反対側の端部であると解される。 そして、甲9発明の「頂部30c」は、「脚部30bの下端に支持されて」いる(構成k)。 よって、本件発明1の「外郭部」と、甲9発明の「頂部30c」とは、「前記複数の側柱部の前記本体部と反対側の端部に支持され」る点で一致する。 (エ)甲9発明の「頂部30c」は、「下側から見た径方向内側に開口を有して」いる(構成l)。 そして、前記イ(エ)に示したように、甲9発明の「下側」は、「天井面」と対向する側であると解される。 そうすると、本件発明1の「外郭部」と、甲9発明の「頂部30c」とは、「前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有」する点で一致する。 (オ)前記(ア)~(エ)を総合すると、本件発明1と甲9発明とは、「前記ガード部は、前記設置面から離れる方向に向かって」「延びる複数の側柱部と、前記複数の側柱部の前記本体部と反対側の端部に支持された外郭部と、を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有」する点で共通するが、側柱部が延びる始点が、本件発明1では「前記本体部から」であるのに対し、甲9発明では「基台30aから」である点で相違する。 カ 発明特定事項1Fについて 発明特定事項1Fは、「前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域に配置され光を出射する面状部分を有する導光部と、該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部を有し、」というものである。 (ア)甲9発明の「確認灯23」は、「投射光」を出すものである(構成r)から、図4(a)に示される確認灯23の形状に鑑み、「投射光」を出射する面状部分を有すると解される。よって、甲9発明の「確認灯23」は、光を出射する面状部分を有する点で、本件発明1の「導光部」に対応する。よって、本件発明1の「導光部」と、甲9発明の「確認灯23」とは、「光を出射する面状部分を有する部材」である点で共通する。 (イ)甲9発明の「確認灯23」は、「プロテクタ30の基台30aの内側に近接して設けられ」ている(構成q)。「基台30a」は「リング状」であり、「頂部30c」は、「基台30aより小径」である(構成h)から、「基台30aの内側」の領域は、少なくとも一部が「頂部30c」により覆われて保護される領域であると解される。そうすると、甲9発明の「確認灯23」が配置される領域は、少なくとも一部が「頂部30c」により覆われて保護される領域であると解される。 そして、「プロテクタ30は、サーミスタ24の周囲に設けられて」いる(構成m)から、「プロテクタ30」の内側の領域は、「サーミスタ24の周囲」の領域であり、「基台30aの内側」の領域も、「サーミスタ24の周囲」の領域であると解される。そうすると、甲9発明の「確認灯23」が配置される領域は、「サーミスタ24の周囲」の領域であると解される。 以上によれば、甲9発明の「確認灯23」が配置される領域は、少なくとも一部が「頂部30c」により覆われて保護される領域であって「サーミスタ24の周囲」の領域であると解される。 (ウ)前記エに示したように、甲9発明の「確認灯23」及び「プロテクタ30」は、本件発明1の「表示機構」に相当する。 よって、前記(ア)及び(イ)によれば、本件発明1の「表示機構」と、甲9発明の「確認灯23」及び「プロテクタ30」とは、「少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域に配置され光を出射する面状部分を有する部材」「を有」する点で共通するが、光を出射する面状部分を有する部材が、本件発明1では「導光部」であるのに対し、甲9発明では「確認灯23」である点で相違するとともに、本件発明1の「表示機構」は、「該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部」を有するのに対し、甲9発明の「確認灯23」及び「プロテクタ30」は、「確認灯23」からの光を反射して光による表示をする反射面部を備えない点で相違する。 キ 発明特定事項1Gについて 発明特定事項1Gは、「前記反射面部の前記光による表示は、前記設置面と対向する側から前記ガード部の前記外郭部越しに少なくとも一部が視認され、」というものである。 前記エに示したように、甲9発明の「確認灯23」及び「プロテクタ30」は、「発光」することにより、「感知器の作動状態」を表示する機構であると解される。 甲9発明の「プロテクタ30」は、下側から視認でき(構成p)、前記イ(エ)に示したように、甲9発明の「下側」は、「天井面」と対向する側であると解されるから、甲9発明の「確認灯23」及び「プロテクタ30」の「発光」は、「天井面」と対向する側から少なくとも一部が視認されると解される。 よって、本件発明1の「前記光による表示」と、甲9発明の「確認灯23」及び「プロテクタ30」の「発光」とは、「前記設置面と対向する側から」「少なくとも一部が視認され」る点で共通するものの、本件発明1の「光による表示」は、「反射面部」によるものであるのに対し、甲9発明の「発光」は、「確認灯23」及び「プロテクタ30」によるものであって反射面部によるものではない点で相違すると共に、「光による表示」は、本件発明1では「前記ガード部の前記外郭部越しに」視認されるのに対し、甲9発明では「プロテクタ30」自体が発光しているために、「プロテクタ30」の「頂部30c」越しに視認されるのではない点で相違する。 ク 発明特定事項1Hについて 発明特定事項1Hは、「前記本体部は、前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有し、」というものである。 甲9発明の「凹部」は、「保護カバー3のうち頂部30cの真上の部分」である(構成n)から、「頂部30c」により覆われて保護される領域内に位置している。 そうすると、甲9発明の「筐体1」は、「プロテクタ30」の「頂部30c」により覆われて保護される領域内に、「筐体1の内部側に凹陥する凹部」(構成n)を有している。 よって、本件発明1の「本体部」と、甲9発明の「筐体1」とは、「前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有」する点で一致する。 ケ 発明特定事項1Iについて 発明特定事項1Iは、「前記凹部は、設置状態における高さ方向において前記設置面側に位置する底面部と、該底面部を取り囲むように前記底面部の周縁から設置状態における高さ方向において前記設置面から離れる側へ立ち上がる側面部とを有し、」というものである。 甲9発明の「凹部」は、「上側に位置する底面部と、底面部を取り囲むように底面部の周縁から下側へ」「立ち上がる側面部とを有して」いる(構成o)。 前記イ(ウ)に示したように、甲9発明の「上側」が本件発明1の「設置面」側であり、前記オ(イ)に示したように、甲9発明の「下方」すなわち「下側」が本件発明1の「設置面から離れる」側である。甲9発明の「上側」に「天井面」が位置すること(前記イ(ウ))、及び、甲9発明が「天井面に固定されたベースに」「装着」すること(構成d)に鑑みれば、甲9発明の「上側」及び「下側」が、設置状態における高さ方向の上側及び下側に対応することは明らかである。 よって、本件発明1の「凹部」と、甲9発明の「凹部」とは、「設置状態における高さ方向において前記設置面側に位置する底面部と、該底面部を取り囲むように前記底面部の周縁から設置状態における高さ方向において前記設置面から離れる側へ立ち上がる側面部とを有」する点で一致する。 コ 発明特定事項1Jについて 発明特定事項1Jは、「前記凹部の側面部には、前記表示機構を構成する前記反射面部として側面反射部が配置され、前記凹部の底面部には、前記表示機構を構成する前記反射面部として底面反射部が配置され、前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ、前記底面部の前記底面反射部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される」というものである。 甲9発明は、本件発明1の「反射面部」に対応する構成を備えない。 よって、本件発明1の「凹部の側面部」には「前記表示機構を構成する前記反射面部として側面反射部が配置され」ているのに対し、甲9発明には側面反射部に対応する構成がない点で相違すると共に、本件発明1の「凹部の底面部」には「前記表示機構を構成する前記反射面部として底面反射部が配置され」ているのに対し、甲9発明には底面反射部に対応する構成がない点で相違する。これに付随して、本件発明1では「前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ、前記底面部の前記底面反射部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される」のに対し、甲9発明にはそのような構成がない点で相違する。 サ 発明特定事項1Kについて 発明特定事項1Kは、「火災感知器。」というものである。 甲9発明は「火災感知器」である(構成a、s)から、本件発明1と甲9発明とは、「火災感知器」である点で一致する。 シ 本件発明1と甲9発明との一致点及び相違点 前記ア~サによれば、本件発明1と甲9発明との一致点及び相違点は、以下のとおりと認められる。 〈一致点〉 「熱を検出する検出部と、 設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部と、 前記検出部の周囲に設けられ前記検出部を保護するガード部と、 光による表示を行う表示機構と、を有し、 前記ガード部は、前記設置面から離れる方向に向かって延びる複数の側柱部と、前記複数の側柱部の前記本体部と反対側の端部に支持された外郭部と、を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、 前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域であって前記検出部の周囲の領域に配置され光を出射する面状部分を有する部材を有し、 前記光による表示は、前記設置面と対向する側から少なくとも一部が視認され、 前記本体部は、前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有し、 前記凹部は、設置状態における高さ方向において前記設置面側に位置する底面部と、該底面部を取り囲むように前記底面部の周縁から設置状態における高さ方向において前記設置面から離れる側へ立ち上がる側面部とを有する火災感知器。」である点。 〈相違点1-1〉 側柱部が延びる始点が、本件発明1では「前記本体部から」であるのに対し、甲9発明では「基台30aから」である点(発明特定事項1E)。 〈相違点1-2〉 光を出射する面状部分を有する部材が、本件発明1では「導光部」であるのに対し、甲9発明では「確認灯23」である点(発明特定事項1F)。 〈相違点1-3〉 本件発明1の「表示機構」は、「該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部」を有するのに対し、甲9発明の「確認灯23」及び「プロテクタ30」は、「確認灯23」からの光を反射して光による表示をする反射面部を備えない点(発明特定事項1F)。 これに付随して、本件発明1の「光による表示」は、「反射面部」によるものであるのに対し、甲9発明の「発光」は、「確認灯23」及び「プロテクタ30」によるものであって反射面部によるものではない点(発明特定事項1G)、本件発明1の「凹部の側面部」には「前記表示機構を構成する前記反射面部として側面反射部が配置され」ているのに対し、甲9発明には側面反射部に対応する構成がない点(発明特定事項1J)、及び、本件発明1の「凹部の底面部」には「前記表示機構を構成する前記反射面部として底面反射部が配置され」ているのに対し、甲9発明には底面反射部に対応する構成がない点(発明特定事項1J)。 これに付随して、本件発明1では「前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ、前記底面部の前記底面反射部の発光は、前記外郭部の前記開口を介して視認される」のに対し、甲9発明にはそのような構成がない点(発明特定事項1J)。 〈相違点1-4〉 「光による表示」は、本件発明1では「前記ガード部の前記外郭部越しに」視認されるのに対し、甲9発明では「プロテクタ30」の「頂部30c」越しに視認されるのではない点(発明特定事項1G)。 (4)本件発明1についての判断 事案に鑑み、前記(3)シで認定した相違点1-3について検討する。 前記第2、4(1)コ(エ)に示したように、本件発明1の「反射面部」は、実施形態の「側面反射部42」及び「底面反射部44」に対応すると解される。 そこで、まず、本件明細書等の「側面反射部42」及び「底面反射部44」に関する記載から、本件発明1の「反射面部」の技術的意味を明らかにし(以下のア)、次いで、本件特許の出願日前に、当業者が甲9発明の火災感知器に本件発明1のような「反射面部」を設けることを容易に想到し得たかについて判断する(以下のイ)。 ア 本件発明1の「反射面部」の技術的意味 以下の(ア)及び(イ)において、本件明細書等の記載から、実施形態の「側面反射部42」及び「底面反射部44」の技術的意味を明らかにし、以下の(ウ)において本件発明1の「反射面部」の技術的意味を認定する。 (ア)本件明細書等には、以下の記載がある。 「本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、表示部の視認性を向上させることのできる火災感知器を提供することを目的とする。」(【0006】) 「側面反射部42は、光を反射する反射材を有する薄膜状のシール等で形成される」(【0028】) 「底面反射部44は、側面反射部42と同様、光を反射する反射材を有する薄膜状のシール等で形成することができる。」(【0029】) 上記記載によれば、「側面反射部42」及び「底面反射部44」は、表示部の視認性を向上させるために、光を反射する反射材を意図的に用いて形成されたものであると解される。 (イ)本件明細書等には、以下の記載がある。 「図2に示すように、側面反射部42は、側面部41のうち、表示部22と対向する部分及びその近傍の領域に渡って設けられる。」(【0028】) 「また、対向面反射部36と対向する凹部40の底面部43には、底面反射部44が設けられている。底面反射部36は、熱検出部21の本体部30における露出場所を中心位置とし、この中心位置から表示部22までを半径とする円形状の領域の内側に配置されている。」(【0029】) 「表示部22からの光のうち、側面部41に向かう光は、図3に示す光線L1のように、側面反射部42で反射することで、本体部30の高さ方向及び水平方向に角度をなして進むことができる。また、表示部22からの光のうち、外郭部32に向かう光は、図3に示す光線L2のように、外郭部32の対向面反射部36で反射し、さらに本体部30の底面部43に設けられる底面反射部44で反射することで、本体部30の高さ方向及び水平方向に角度をなして進むことができる。」(【0031】) 「表示部22が光ることにより、表示部22だけではなく、側面部41の側面反射部42が設けられた部分や、底面部43の底面反射部44が設けられた部分…(略)…が、反射光によって光った状態となる。側面反射部42や底面反射部44で反射した光は、本体部30の水平方向にも角度をなして進むので、…(略)…火災感知器10の斜め下方からでも光っていることを容易に視認できる。このため、表示部22による表示を、広い範囲から視認できる。」(【0033】) 図3 [図:0001419343000004.jpg] 上記記載によれば、「側面反射部42」及び「底面反射部44」は、本体部30の高さ方向及び水平方向に互いに異なる角度をなして進む複数の光線(L1、L2)を形成するためのものであり、「側面反射部42」及び「底面反射部44」により形成された複数の光線によって、表示部22による表示を、広い範囲から視認できるようにしたものと解される。 (ウ)前記(ア)及び(イ)によれば、「側面反射部42」及び「底面反射部44」は、光を反射する部材であれば何でもよいというものではなく、表示部の視認性を向上させるために十分な反射率を持つ反射材表示部22を意図的に用い、光による表示を広い範囲から視認できるようにするために、当該反射材を適切な位置(表示を広い範囲から視認できるようにする位置)に配置する必要があると解される。 そして、本件発明1の「反射面部」も、表示部の視認性を向上し、表示を広い範囲から視認できるようにするためのものと解されるから、実施形態の「側面反射部42」及び「底面反射部44」と同様に、十分な反射率を持つ反射材により適切な位置に形成される必要があると解される。つまり、本件発明1における「反射面部」の技術的意味は、十分な反射率(表示部の視認性を向上させる反射率)を持つ反射材により適切な位置(表示を広い範囲から視認できるようにする位置)に形成された反射面であると認められる。 イ 「反射面部」の容易想到性 相違点1-3のとおり、甲9発明は、「反射面部」を備えない。 そして、本件特許の出願日(原出願日に遡及し、平成30年3月23日)前に、前記ア(ウ)に示した技術的意味の「反射面部」、すなわち、十分な反射率を持つ反射材により適切な位置に形成された反射面を火災感知器に備えることが公知であったことを示す証拠は存在しない。 加えて、十分な反射率を持つ反射材により適切な位置に形成された反射面を火災感知器に備えることは、本件特許の出願日(平成30年3月23日)前に周知であったとも認められない。 したがって、相違点1-3に係る本件発明1の発明特定事項1F、1G及び1Jは、本件特許の出願日前に甲9発明から当業者が容易に想到し得たものではない。よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、本件特許の出願日前に当業者が甲9発明に基づいて容易に発明をすることができたとは認められない。 (5)本件発明2と甲9発明との対比 本件発明2の発明特定事項2A~2E、2H、2I及び2Kは、それぞれ本件発明1の発明特定事項1A~1E、1H、1I及び1Kと同じ文言で特定されているから、本件発明2の上記発明特定事項についての甲9発明との対比は、本件発明1と甲9発明との対比で発明特定事項1A~1E、1H、1I及び1Kについて示したことと同様である。 ア 発明特定事項2Fについて 発明特定事項2Fは、「前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域内に配置され光を出射する面状部分を有する導光部と、該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部を有し、」というものである。 (ア)発明特定事項2Fにおける「光を出射する面状部分を有する導光部」については、発明特定事項1Fの「光を出射する面状部分を有する導光部」(前記(3)カ(ア))と同様である。 (イ)甲9発明の「確認灯23」が配置される領域が、少なくとも一部が「頂部30c」により覆われて保護される領域であることは、前記(3)カ(イ)に示したとおりであり、当該領域に「確認灯23」が配置されるということは、「確認灯23」が当該領域内に配置されることと同義である。 (ウ)発明特定事項2Fのその余については、発明特定事項1Fについて前記(3)カ(ウ)と同様である。 よって、本件発明2の「表示機構」と、甲9発明の「確認灯23」及び「プロテクタ30」とは、「少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域内に配置され光を出射する面状部分を有する部材」「を有」する点で共通するが、光を出射する面状部分を有する部材が、本件発明2では「導光部」であるのに対し、甲9発明では「確認灯23」である点で相違するとともに、本件発明2の「表示機構」は、「該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部」を有するのに対し、甲9発明の「確認灯23」及び「プロテクタ30」は、「確認灯23」からの光を反射して光による表示をする反射面部を備えない点で相違する。 イ 発明特定事項2Gについて 発明特定事項2Gは、「前記反射面部は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記ガード部の外郭部と重ならず露出し、」というものである。 そして、前記アのとおり、甲9発明は「反射面部」に対応する構成を備えないので、本件発明2と甲9発明とは、発明特定事項2Gにおいて相違する。 ウ 発明特定事項2Jについて 前記第2、5(3)に示したとおり、本件訂正後の発明特定事項1Jと2Jとの際は、読点の有無のみであり、該読点の有無は解釈に影響しない。 そして、甲9発明は「反射面部」に対応する構成を備えない。 よって、発明特定事項2Jについては、発明特定事項1J(前記(3)コ)と同様である。 エ 本件発明2と甲9発明との一致点及び相違点 以上によれば、本件発明2と甲9発明との一致点及び相違点は、以下のとおりと認められる。 〈一致点〉 「熱を検出する検出部と、 設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部と、 前記検出部の周囲に設けられ前記検出部を保護するガード部と、 光による表示を行う表示機構と、を有し、 前記ガード部は、前記設置面から離れる方向に向かって延びる複数の側柱部と、前記複数の側柱部の前記本体部と反対側の端部に支持された外郭部と、を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、 前記表示機構は、少なくとも一部が前記ガード部の前記外郭部により覆われて保護される領域内に配置され光を出射する面状部分を有する部材を有し、 前記本体部は、前記ガード部の外郭部により覆われて保護される領域内に、当該本体部の内部側に凹陥する凹部を有し、 前記凹部は、設置状態における高さ方向において前記設置面側に位置する底面部と、該底面部を取り囲むように前記底面部の周縁から設置状態における高さ方向において前記設置面から離れる側へ立ち上がる側面部とを有する火災感知器。」である点。 〈相違点2-1〉 側柱部が延びる始点が、本件発明2では「前記本体部から」であるのに対し、甲9発明では「基台30aから」である点(発明特定事項2E)。 〈相違点2-2〉 光を出射する面状部分を有する部材が、本件発明2では「導光部」であるのに対し、甲9発明では「確認灯23」である点(発明特定事項2F)。 〈相違点2-3〉 本件発明2の「表示機構」は、「該導光部からの光を反射して前記光による表示をする反射面部」を有するのに対し、甲9発明の「確認灯23」及び「プロテクタ30」は、「確認灯23」からの光を反射して光による表示をする反射面部を備えない点(発明特定事項2F)。 これに付随して、本件発明2では「前記反射面部は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記ガード部の外郭部と重ならず露出」するのに対し、甲9発明はそのような構成を備えない点(発明特定事項2G)、本件発明2の「凹部の側面部」には「前記表示機構を構成する前記反射面部として側面反射部が配置され」ているのに対し、甲9発明には側面反射部に対応する構成がない点(発明特定事項2J)、及び、本件発明2の「凹部の底面部」には「前記表示機構を構成する前記反射面部として底面反射部が配置され」ているのに対し、甲9発明には底面反射部に対応する構成がない点(発明特定事項2J)。 (6)本件発明2についての判断 事案に鑑み、前記(5)エで認定した相違点2-3について検討する。 相違点2-3は、要するに、甲9発明が「反射面部」を備えない点で本件発明2と相違するということであり、相違点1-3と同様の相違点であるから、前記(4)と同様であり、相違点2-3に係る事項は、本件特許の出願日前に甲9発明から当業者が容易に想到し得たものではない。よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、本件特許の出願日前に当業者が甲9発明に基づいて容易に発明をすることができたとは認められない。 (7)本件発明4についての判断 本件発明4は、本件発明1又は本件発明2の発明特定事項を全て備え、さらに別の発明特定事項を備えるものであるから、本件発明4と甲9発明とは、少なくとも相違点1-3又は相違点2-3において相違する。 そして、前記(4)及び(6)に示したように、相違点1-3及び相違点2-3は、本件特許の出願日前に甲9発明から当業者が容易に想到し得たものではない。よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明4は、本件特許の出願日前に当業者が甲9発明に基づいて容易に発明をすることができたとは認められない。 (8)申立理由3-Cについての小括 前記(4)、(6)及び(7)のとおりであるから、申立理由3-Cには理由がない。 5 申立理由5-1についての判断 申立理由5-1は、発明特定事項1J及び2Jの「前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ」との文言が不明確であることを主張するものであり、特に「底面反射部を発光させ」ることの不明確さについての主張であると解される。 そこで、以下の(1)において、前記文言の明確性について判断し、以下の(2)において、申立人の主張について判断する。 (1)明確性についての判断 「発光」とは、「光を発すること」(広辞苑)という意味であり、「発する」とは、「(他サ変)(1)(におい・音・光などを)外に向けて出す。(2)生じさせる。だす。(3)出してやる。つかわす。(4)(矢や弾などを)うち出す。はなつ。(5)はじめる。おこす。(6)おおやけにする。発表する。」(広辞苑)という意味であるから、「発光」の語義は、光を外に向けて出すことを意味すると解される。 上記語義に照らし、発明特定事項1J及び2Jの「前記導光部からの光は、前記底面部の前記底面反射部を発光させ」との文言は、導光部から底面反射部へ届いた光を、底面反射部から外に向けて出すようにしていることを意味していると解され、明確である。 上記解釈は、本件明細書等の「表示部22が光ることにより、表示部22だけではなく、側面部41の側面反射部42が設けられた部分や、底面部43の底面反射部44が設けられた部分、及び識別ラベル部50が、反射光によって光った状態となる。」(【0033】)における「底面反射部44が設けられた部分」が「反射光によって光った状態」とも整合する。 よって、前記文言は明確であり、申立理由5-1には理由がない。 (2)申立人の主張についての判断 申立人は、申立理由5-1について、以下を主張する。 主張1 発明特定事項1J及び2Jの前記文言は、審判請求書によると、本件明細書等【0042】、図4、5を根拠としたものであり、【0042】には、「底面反射部44には、表示部22からの光の反射光が入射され、それを底面反射部44で反射している」との記載がある。 一方で、本件明細書等では、「発光」とはLED等の直接光を発するものに対して用いられている。 そうすると、前記文言は、入射した光を底面部が反射することを指すのか、それとも底面部が自ら発光していることを指すのか不明確である。(申立書56頁14~27行) 主張2 審判請求書によれば、「本願発明1において面状光可視部からの光は、側面部が発光することによって外郭部の外周側が光って見える」ものであり、これにより、「意匠性に優れ、設置面に設置された火災感知器を広い範囲で視認できるとの効果を奏する」とされている。 しかしながら、外郭部の外周側が光っているように見えるという点に関しては、側面部が発光したとしても本件発明1及び2に記載されている事項から明らかとはいえない。(申立書57頁1~23行) 主張3 本件発明1及び2において外郭部の開口を介して光が視認される旨が記載されているものの、外郭部の光に対する特性が何ら特定されていないため、外郭部の内周面や外周面を何故に光らせることができるか不明確である。(申立書57頁24行~58頁9行) ア 主張1についての判断 本件明細書等の記載を参照しても、申立人が主張するように「発光」をLED等の直接光を発するものに限定して解釈する理由はない。前記(1)で引用した本件明細書等【0033】の「光った状態」とは、発光した状態と同義であると解され、それが「反射光によって」生じることが明記されている以上、本件明細書等における「発光」は、反射光を外に向けて出すことをも包含した意味であり、自らが生み出した光のみを外に向けて出すことに限定されているとは解されない。 よって、主張1は採用できない。 イ 主張2についての判断 発明特定事項1J及び2Jは、「導光部からの光」が底面反射部を発光させることを特定したものであって、「側面部」からの光が底面反射部を発光させることを特定したものではない。 また、発明特定事項1J及び2Jは、「底面反射部の発光」が「前記外郭部の前記開口を介して視認される」ことを特定しているが、「外郭部」の内外周が光っているように見えることを特定したものではない。 よって、主張2は採用できない。 ウ 主張3についての判断 前記イにも示したが、発明特定事項1J及び2Jは、「外郭部」の内外周が光っているように見えることを特定したものではない。 よって、主張3は採用できない。 6 申立理由5-2についての判断 申立理由5-2は、「底面部の前記底面反射部を発光させ」という記載が明確でないことを主張するものであり、当該記載は、本件訂正前の「底面部を発光させ」に対応するものである。 そして、前記5(1)及び5(2)アに示したとおり「底面部を発光させ」の「発光」は、自ら光を発することに限定して解釈する理由はないから、本件訂正後の発明特定事項1J及び2Jにおける「発光」についても、自ら光を発することに限定して解釈する理由はない。 よって、申立理由5-2には理由がない。 7 申立理由5-3についての判断 申立理由5-3は、発明特定事項1G及び2Gが不明確であることを主張するものであるから、以下の(1)において発明特定事項1Gの明確性について判断し、以下の(2)において発明特定事項2Gの明確性について判断し、以下の(3)において申立人の主張について判断する。 (1)発明特定事項1Gの明確性についての判断 発明特定事項1Gは「前記反射面部の前記光による表示は、前記設置面と対向する側から前記ガード部の前記外郭部越しに少なくとも一部が視認され、」というものである。 また、発明特定事項1Jによれば、「前記反射面部として」、「側面反射部が配置され」ることと、「底面反射部が配置され」ることとが特定されている。 したがって、発明特定事項1Gは、「側面反射部」又は「底面反射部」の光による表示が、「外郭部越しに少なくとも一部が視認され」ることを特定していると解され、明確である。 (2)発明特定事項2Gの明確性についての判断 発明特定事項2Gは「前記反射面部は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記ガード部の外郭部と重ならず露出し、」というものである。 すなわち、発明特定事項2Gは、「側面反射部」又は「底面反射部」は、「少なくとも一部が」、「正面視において」、「外郭部と重ならず露出し」ていることを特定していると解され、明確である。 (3)申立人の主張についての判断 申立人は、概略、以下の主張1及び主張2を主張する。 主張1 本件訂正後の発明特定事項1Gの「少なくとも一部が視認」の意味が、側面反射部と底面反射部の光による表示のうち、どちらか片方の光による表示だけでも、外郭部越しに少なくとも一部が視認されればよいことを意味する(以下「意味(i)」という。)のか、側面反射部と底面反射部の光による表示の内、どちらの光による表示も、外郭部越しに少なくとも一部が視認される必要があることを意味する(以下「意味(ii)」という。)のかが不明確である。 本件訂正後の発明特定事項1Jでは、「底面反射部の発光」が「外郭部の前記開口を介して視認される」ことを特定しているので、意味(i)によれば、側面反射部の光の表示は、外郭部越しに視認されることは必須ではない。 一方で、特許権者意見書5頁17~19行によると、「このように、「面状光可視部」は、本件明細書等の実施例における「側面反射部42」と「底面反射部44」および「表示部22」に対応し、火災感知器を見る人が光を視認可能となる面状部分を有するものを意味しています。」としていることから、「側面反射部」の光による表示は視認可能である必要がある。 しかしながら、前記意味(i)によれば、「側面反射部」の光による表示は視認される必要がないのだから、意味(i)は、特許権者が主張する「側面反射部」の光による表示が視認可能である必要があることと矛盾する。 そうすると、意味(ii)でなければ「側面反射部」が視認可能にならないことから、意味(i)では、「側面反射部」は「面状光部」の言い換えに留まり、「面状光可視部」からの言い換えには不適となる。なお、「面状光可視部」に含まれる「表示部(導光部)」の光が視認されるとの記載もない。 したがって、発明特定事項1Gにおいて「面状光可視部」が「反射面部」に特定されたものの、その結果として「側面反射部」や「導光部」が「どのように視認(可視)されるか」が不明確である。(申立人意見書11頁14行~13頁9行) 主張2 本件訂正後の発明特定事項2Gの「少なくとも一部が~露出」の意味が、側面反射部と底面反射部の内、どちらか片方だけでも外郭部越しに少なくとも一部が露出していればよいことを意味する(以下「意味(iii)」という。)のか、側面反射部と底面反射部の内、どちらも外郭部越しに一部が露出している必要があることを意味する(以下「意味(iv)」という。)のかが不明確である。 ここで、光による表示を行うものは露出していなければ視認されないことから、露出させるのは視認されることと同義と考えられる。 そうすると、主張1と同様に、意味(iii)は、「側面反射部」が露出する必要があることと矛盾する。 したがって、発明特定事項2Gにおいて「面状光可視部」が「反射面部」に特定されたものの、その結果として「側面反射部」や「導光部」が「どのように露出(可視)されるのか」が不明確である。(申立人意見書13頁10行~14頁21行) ア 主張1についての判断 申立人の主張は判然としないが、申立人が参照する特許権者意見書5頁は、本件訂正前の「面状光可視部」が、実施形態の「側面反射部42」、「底面反射部44」及び「表示部22」に対応し、「側面反射部42」、「底面反射部44」及び「表示部22」のいずれもが「火災感知器を見る人が光を視認可能となる面状部分を有するものを意味している」ことを述べているに過ぎない。すなわち、特許権者は、「側面反射部42」、「底面反射部44」及び「表示部22」のいずれもが、下側から視認可能であることを主張するのみであり、「側面反射部42」、「底面反射部44」及び「表示部22」の視認が、いずれも「外郭部越し」に可能であることは主張していない。 上記特許権者の主張は、発明特定事項1Fにおいて「反射面部」が「光による表示をする」と特定されているに過ぎず、外郭部越しの表示であるとは特定されていないこと、発明特定事項1Gにおいて「反射面部の前記光による表示」が「外郭部越しに」「少なくとも一部が視認され」る、すなわち、外郭部越しの視認は、反射部の表示の一部であれば足りると特定されていること、発明特定事項1Jにおいて「底面反射部の発光」が「外郭部の前記開口部を介して視認されると特定されているに過ぎず、側面反射部の発光が外郭部越しに視認されるとは特定されていないこととも整合する。すなわち、発明特定事項1F、1G及び1Jを総合すると、「外郭部越し」に視認されることが必須なのは、結局のところ「底面反射部の発光」のみであって、「側面反射部」や「導光部」の発光は「外郭部越し」に視認されることを必須としていないと解され、これは、特許権者意見書の主張と整合している。よって、申立人の主張1における特許権者意見書の理解は、正解されたものとはいえない。 特許権者意見書の主張を正しく理解すれば、発明特定事項1Gにおける「少なくとも一部が視認され」の意味は、申立人による意味(i)であると明確に理解できる。 したがって、申立人の主張1は、採用できない。 イ 主張2についての判断 発明特定事項2F、2G及び2Jについても、前記アにおける発明特定事項1F、1G及び1Jと同様に解釈でき、発明特定事項2Gにおける「少なくとも一部が」「外郭部と重ならず露出し」の意味は、申立人による意味(iii)であると明確に理解できる。 したがって、申立人の主張2は、採用できない。 第8 結論 前記第6及び第7のとおりであるから、本件の請求項3に係る特許についての特許異議の申立ては却下され、前記第4に示した理由(申立理由及び取消理由)によっては、本件の請求項1、2及び4に係る特許を取り消すことはできない。 また、本件の請求項1、2及び4に係る特許を取り消すべき他の理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700034

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