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特許異議申立

2025-700615

樹脂フィルム、積層体、および、包装袋

審判番号
2025-700615
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-118819
登録番号
7600553
請求日
2025年06月10日
審決日
2025年09月05日
公報発行日
2025年10月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】TOPPANホールディングス株式会社
  • 【権利者代理人】恩田 誠
  • 【権利者代理人】恩田 博宣
  • 【異議申立人】早川 いづみ
審判長/審判官
  • 審判長 柴田 昌弘
  • 審判官 松本 陶子
  • 審判官 加藤 友也
分類
P1651.121-Y (C08J) / P1651.537-Y (C08J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条6項1号特許法113条4号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7600553号発明「樹脂フィルム、積層体、および、包装袋」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7600553号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7600553号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、令和2年7月9日に出願されたものであって、令和6年12月9日にその特許権の設定登録(請求項の数7)がされ、同年同月17日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、令和7年6月10日に特許異議申立人 早川 いづみ(以下、「特許異議申立人」という。)から特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし7)がされたものである。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1ないし7に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいう。)は、それぞれ、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 ガスバリア性を有したガスバリア層を積層されることによって包装袋用の積層体を構成する樹脂フィルムであって、 ポリエチレンテレフタレート製の三層の樹脂層を備え、 前記三層の樹脂層のうちの少なくとも一層が、リサイクルポリエチレンテレフタレートを含み、 前記樹脂フィルムが含有する前記リサイクルポリエチレンテレフタレートの質量割合は、前記樹脂フィルムの総質量の70%以上であり、 前記樹脂フィルムの損失弾性率と温度との関係を示す損失弾性曲線において、ピーク位置の温度は、95℃以上102℃以下であり、かつ、前記ピーク位置の損失弾性率は、0.30GPa以上0.37GPa以下である 樹脂フィルム。 【請求項2】 前記リサイクルポリエチレンテレフタレートは、繰り返し単位中のジカルボン酸単位にテレフタル酸とイソフタル酸とを含む 請求項1に記載の樹脂フィルム。 【請求項3】 請求項1または2に記載の樹脂フィルムと、 ガスバリア性を有するガスバリア層と、 を備える積層体。 【請求項4】 前記ガスバリア層は、 酸化アルミニウムおよび酸化珪素の少なくとも一方を含む第1バリア層と、 高分子材料を含む第2バリア層と、を有する 請求項3に記載の積層体。 【請求項5】 前記第2バリア層は、前記第1バリア層に隣接して積層されている 請求項4に記載の積層体。 【請求項6】 前記第2バリア層は、Si(OR1)4、もしくは、R2Si(OR3)3(OR1、OR3は加水分解性基であり、R2は有機官能基である。)で表されるケイ素化合物あるいはその加水分解物を1種以上と、水酸基を有する水溶性高分子と、を含む 請求項4または5に記載の積層体。 【請求項7】 対象物を包装するための包装袋であって、 請求項3~6のいずれか一項に記載の積層体から構成されている 包装袋。」 第3 特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由の概要等 令和7年6月10日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した特許異議申立ての理由の概要及び証拠方法は次のとおりである。 1 申立理由1(甲第1号証に基づく進歩性) 本件特許発明1ないし7は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基づいてその出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 2 申立理由2(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし5及び7に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。なお、下線は特許異議申立人が付したものである。 本願の課題である、外力の印加に起因した積層体におけるガスバリア性の低下を抑制すること(【0004】、【0005】)について、本願実施例では、酸化アルミニウムからなる第1バリア層と、テトラエトキシシランとポリビニルアルコールを含む溶液からなる第2バリア層を積層した実施例1において、ゲルボフレックス試験後の酸素透過度と水蒸気透過度が比較例に比べて改善していることが記載されている(【0076】【表2】)ものの、これ以外の例は記載されていない。 上記課題を解決するための手段として、前記第1バリア層と所定の第2バリア層の両方を組み合わせることが必須の手段と解されるところ、本願請求項1~9においては、所定の組成を有する第2バリア層が要件に含まれておらず、明細書に記載された範囲を超えるものである。 甲第4号証においては、「ガスバリア性積層フィルムの表裏に、それぞれ、表面保護フィルムとシーラント層とを積層して構成される真空断熱材用外装材において、 前記ガスバリア性積層フィルムが、蒸着基材フィルムと、この蒸着暴材フィルムに積層された蒸着層と、この蒸着層に積層された被覆層とから成り、 この被覆層が、次の化合物(1)~(2)を反応させて形成された複合構造物から成ることを特徴とする真空断熱材用外装材。 化合物(1) 一般式Si(OR1)4(R1はCH3,C2H5,またはC2H4OCH3を表す)で表される金属アルコキシドあるいはその加水分解物、又は塩化錫。 化合物(2) 水溶性高分子。」(【請求項1】)の発明が記載されており、前記被覆層が、真空断熱材を変形させて外装材を部分的に引き伸ばした場合でも、そのガスバリア性の低下を防ぐ役割を有することが記載されている(【0020】)。 甲第4号証の実施例1と比較例において、両者の差異は被覆層の有無のみであるが、両者を6%程度引張り、前後の酸素透過度を比較すると、被覆層を有さない比較例においては、引張後の酸素透過度の値が大きく悪化しており(【0048】【表1】)、被覆層の積層により伸張後のガスバリア性の低下を防止でき、屈曲して変形させて場合にも優れた断熱性能を保つことが記載されている(【0049】)。前記被覆層は、請求項1に記載された所定の組成で構成する必要があることも記載されている(【0020】)。 以上より、本願の請求項1は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えており、サポート要件を満たしていない。 また、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~6、8(当審注:「2~6、8」は「2~5、7」の誤記と認められる。)も同様にサポート要件を満たしていない。 3 証拠方法 甲第1号証:再公表WO2015/146496号 甲第2号証:特開2014-65282号公報 甲第3号証:特開2020-70429号公報 甲第4号証:特開2020-32596号公報 証拠の表記は、特許異議申立書の記載におおむね従った。以下、順に「甲1」のようにいう。 第4 申立理由1(甲1に基づく進歩性)について 1 甲1に記載された事項等 (1)甲1に記載された事項 甲1には、「積層フィルム」に関しておおむね次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。また、半角文字は適宜全角文字で摘記した。 ・「【請求項1】 基材フィルムの片面に、無機薄膜層が積層された積層フィルムであって、前記基材フィルムが、ペットボトルからリサイクルされたポリエステル樹脂を50重量%以上95重量%以下含有し、二軸延伸されてなるポリエステルフィルムであり、以下の要件を満足することを特徴とする積層フィルム。 (1)基材フィルムを構成する全ポリエステル樹脂中の全ジカルボン酸成分に対するイソフタル酸成分の含有率が0.5モル%以上5.0モル%以下 (2)基材フィルムを構成している樹脂の極限粘度が0.58dl/g以上0.70dl/g以下(3)縦方向及び横方向の150℃熱収縮率が0.1%以上1.5%以下 (4)基材フィルムの無機薄膜層積層面の反対側にポリオレフィンフィルムをラミネートした場合に、ラミネート強度が4.0N/15mm以上20.0N/15mm以下 (5)縦方向および横方向のフィルム1m長を各々5mm毎に測定した各厚みTn(n=1~200)(単位:μm)200点を測定し、この時の最大厚みをTmax,最小厚みをTmin,平均厚みをTaveとするときの下記の式で求める厚みムラが、縦方向および横方向の各々で16%以下 厚みムラ={(Tmax-Tmin)/Tave}×100 (%) 【請求項2】 無機薄膜層が、2種の金属、2種の無機酸化物、あるいは1種の金属と1種の無機酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。 【請求項3】 2種の無機酸化物が、酸化ケイ素と酸化アルミニウムからなることを特徴とする請求項2に記載の積層フィルム。 【請求項4】 水蒸気透過度が5.0g/m2・day以下であり、かつ、酸素透過度が40.0ml/m2・day・MPa以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルム。」 ・「【技術分野】 【0001】 本発明は、ペットボトルからリサイクルされたポリエステル樹脂を用いた積層フィルムに関する。更に詳しくは、ペットボトルからリサイクルされたポリエステル樹脂を用い、低熱収縮性、高ラミネート強度を有し、厚みムラが小さいことにより無機薄膜層を備えたガスバリア性積層フィルムとした際、良好なガスバリア性を発現する積層フィルムに関する。」 ・「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたもので、すなわち、本発明の目的は、以下のような積層フィルムを提供することである。 1.イソフタル酸を0.5モル%以上5.0モル%以下含有し、溶融粘度が高く、固相重合を施し、高結晶化核剤などを添加することの多いペットボトルをリサイクルすることで得たリサイクル樹脂を積層フィルムにおける基材フィルムの原料樹脂として用いても、押出の温度を最適化することで樹脂の押出を安定させ、またフィルム中の樹脂、添加剤および粒子などが均一化することにより、基材フィルムの厚みムラを小さくし、ラミネートのバラツキをなくしラミネート強度を向上させること。 2.高温で高倍率の縦延伸とすることで、押出後の樹脂の溶融粘度が高くても、高倍率の横延伸ができ、基材フィルムの厚みムラを小さくすること。 3.高温での横延伸とすることで、押出後の樹脂の溶融粘度が高くても、高倍率の横延伸ができ、基材フィルムの厚みムラを小さくすること。 4.高温の熱処理を行うことで、基材フィルムの縦横の熱収縮率を低くすること。 5.高温、高倍率の延伸と高温の熱処理で基材フィルムの厚み方向の屈折率を適切にし、高いラミネート強度を実現すること。 6.熱処理後の冷却を徐冷とすることで、酸成分として、イソフタル酸を0.5モル%以上5.0モル%以下含有する基材フィルムの厚みムラを小さくすること。 また、ラミネート強度がフィルム内部でばらつくことが無くなること。 7.無機薄膜層を備えたガスバリア性積層フィルムとした場合でも、厚みムラが小さく、低熱収縮率により無機薄膜層の厚みが均一となり、良好なガスバリア性を発現するペットボトルからリサイクルされたポリエステル樹脂を用いた優れた積層フィルムを提供することにある。」 ・「【0021】 基材フィルム中に含まれるポリエステル樹脂を構成する全ジカルボン酸成分に占めるイソフタル酸成分の量の下限は好ましくは0.5モル%であり、より好ましくは0.7モル%であり、さらに好ましくは0.9モル%であり、特に好ましくは1.0モル%である。ペットボトルからなるリサイクルポリエステル樹脂は、イソフタル酸成分を多く含むものがあるため、フィルム中のポリエステル樹脂を構成するイソフタル酸成分が0.5モル%未満であることは、リサイクル樹脂の比率の高いポリエステルフィルムの製造が結果として困難になり、あまり好ましくない。フィルム中に含まれるポリエステル樹脂を構成する全ジカルボン酸成分に占めるイソフタル酸成分の量の上限は好ましくは5.0モル%であり、より好ましくは4.0モル%であり、さらに好ましくは3.5モル%であり、特に好ましくは3.0モル%である。5.0モル%を超えると結晶性が低下するため、熱収縮率が高くなることがあり、あまり好ましくない。また、イソフタル酸成分の含有率を上記範囲とすることでラミネート強度、収縮率、厚みムラに優れたフィルムの作成が容易となり好ましい。」 ・「【0023】 フィルムに対するペットボトルからリサイクルされたポリエステル樹脂の含有率の下限は好ましくは50重量%であり、より好ましくは65重量%であり、さらに好ましくは75重量%である。50重量%未満であるとリサイクル樹脂の活用としては、含有率に乏しく、環境保護への貢献の点であまり好ましくない。ペットボトルからリサイクルされたポリエステル樹脂の含有率の上限は好ましくは95重量%であり、より好ましくは90重量%であり、さらに好ましくは85重量%である。95重量%を超えるとフィルムとして機能向上のために無機粒子などの滑剤や添加剤を十分に添加することができない場合があり、あまり好ましくない。なお、フィルムとして機能向上のために無機粒子などの滑剤や添加剤を添加する場合に用いるマスターバッチ(高濃度含有樹脂)としてペットボトルからリサイクルされたポリエステル樹脂を用いることもできる。」 ・「【0081】 (実施例1) (ペットボトルからリサイクルされたポリエステル樹脂の調整) 飲料用ペットボトルから残りの飲料などの異物を洗い流した後、粉砕して得たフレークを押出機で溶融し、順次目開きサイズの細かなものにフィルタを変えて2回更に細かな異物を濾別し、3回目に50μmの最も小さな目開きサイズのフィルタで濾別して、ポリエステル再生原料を得た。得られた樹脂の構成は、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール=97.0/3.0//100(モル%)で、樹脂の極限粘度は0.70dl/gであった。これをポリエステルAとする。 【0082】 (フィルムの作製) ポリエステルBとしてテレフタル酸//エチレングリコール=100//100(モル%)からなる極限粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を、ポリエステルCとして、ポリエステルBに平均粒子径1.5μmの不定形シリカを0.3%含有するマスターバッチとしてものを作製した。各原料は、33Paの減圧下、125℃で8時間乾燥した。それらをA/B/C=70/20/10(重量比)となるよう混合したものを、一軸押出機に投入した。押出機から、メルトライン、フィルタおよびT-ダイまでは樹脂の温度が280℃となるように温度設定した。ただし、押出機のスクリューの圧縮部の開始点から30秒間は樹脂の温度が305℃となるように設定し、その後は再び、280℃となるようにした。 【0083】 T-ダイから押し出された溶融物を冷却ロールに密着させ、未延伸シートとし、それを引き続き118℃に加熱した周速差のあるロールにて縦方向に1.41倍延伸し(MD1)、さらに128℃に加熱した周速差のあるロールにて縦方向に2.92倍延伸(MD2)した。その縦延伸したシートをテンターに導き、121℃で予熱した後に、131℃で4.3倍横延伸した。引き続き熱固定として、180℃、リラックスなし(0%)で2.5秒行った(TS1)後に引き続き231℃、リラックス5%、3.0秒行った(TS2)後に引き続き222℃、リラックスなしで2.5秒行った(TS3)。引き続き、同じテンター内で、120℃で6.0秒間の冷却を行い、最終的にワインダーで巻き取ることで厚さ18μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。 【0084】 (無機薄膜層の形成) 次に、得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、無機薄膜層として二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合無機酸化物層を電子ビーム蒸着法で形成した。蒸着源としては、3mm~5mm程度の粒子状SiO2(純度99.9%)とA12O3(純度99.9%)を用いた。ここで複合酸化物層の組成は、SiO2/A12O3(質量比)=60/40であった。またこのようにして得られたフィルム(無機薄膜層/二軸延伸ポリエステルフィルム)における無機薄膜層(SiO2/A12O3複合酸化物層)の膜厚は13nmであった。 以上のようにして、二軸延伸ポリエステルフィルムの上に無機薄膜層を備えた本発明の積層フィルムを得た。得られた積層フィルムについて、上記の通り、酸素透過度、水蒸気透過度を評価した。」 ・「【0101】 実施例1~7で得られた二軸延伸PETフィルムは、厚みムラが良好であり、ラミネート強度に優れ、ラミネート後の外観も良好であった。また、実施例1~7で得られた二軸延伸PETフィルムに無機薄膜層を設けた積層フィルムの水蒸気透過度や酸素透過度は良好であり、優れたガスバリア性を示した。」 ・「【0103】 [表1] [図:0001428022000001.jpg] 」 (2)甲1に記載された発明 甲1に記載された事項を、特に【請求項1】に関して整理すると、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 <甲1発明> 「無機薄膜層が積層されて積層フィルムを構成する基材フィルムであって、前記基材フィルムが、ペットボトルからリサイクルされたポリエステル樹脂を50重量%以上95重量%以下含有し、二軸延伸されてなるポリエステルフィルムであり、前記基材フィルムを構成する全ポリエステル樹脂中の全ジカルボン酸成分に対するイソフタル酸成分の含有率が0.5モル%以上5.0モル%以下である前記基材フィルム。」 2 本件特許発明1について (1)対比 本件特許発明1と甲1発明を対比する。 甲1発明における「無機薄膜層」は本件特許発明1における「ガスバリア性を有したガスバリア層」と、「層」という限りにおいて一致する。 甲1発明における「積層フィルム」は本件特許発明1における「包装袋用の積層体」と、「積層体」という限りにおいて一致する。 甲1発明における「基材フィルム」は本件特許発明1における「樹脂フィルム」に相当する。 甲1発明における「基材フィルム」は、「ポリエステルフィルム」であるから、本件特許発明1における「ポリエチレンテレフタレート製の三層の樹脂層を備え」る「樹脂フィルム」と、「ポリエチレンテレフタレート製の樹脂層を備え」る「樹脂フィルム」という限りにおいて一致する。 甲1発明における「基材フィルム」は、「ペットボトルからリサイクルされたポリエステル樹脂を50重量%以上95重量%以下含有」するものであるから、本件特許発明1における「前記三層の樹脂層のうちの少なくとも一層が、リサイクルポリエチレンテレフタレートを含」む「樹脂フィルム」と、「前記樹脂層が、リサイクルポリエチレンテレフタレートを含」む「樹脂フィルム」という限りにおいて一致する。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「層を積層されることによって積層体を構成する樹脂フィルムであって、 ポリエチレンテレフタレート製の樹脂層を備え、 前記樹脂層が、リサイクルポリエチレンテレフタレートを含む、 樹脂フィルム。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点1> 「層」に関して、本件特許発明1においては「ガスバリア性を有したガスバリア層」と特定されているのに対し、甲1発明においては「無機薄膜層」と特定されている点。 <相違点2> 「積層体」に関して、本件特許発明1においては「包装袋用の積層体」と特定されているのに対し、甲1発明においては「積層フィルム」と特定されている点。 <相違点3> 「ポリエチレンテレフタレート製の樹脂層を備え」る「樹脂フィルム」に関して、本件特許発明1においては「ポリエチレンテレフタレート製の三層の樹脂層を備え」る「樹脂フィルム」と特定されているのに対して、甲1発明においてはそのようには特定されていない点。 <相違点4> 「前記樹脂層が、リサイクルポリエチレンテレフタレートを含」む「樹脂フィルム」に関して、本件特許発明1においては「前記樹脂フィルムが含有する前記リサイクルポリエチレンテレフタレートの質量割合は、前記樹脂フィルムの総質量の70%以上であ」る「樹脂フィルム」と特定されているのに対して、甲1発明においては「ペットボトルからリサイクルされたポリエステル樹脂を50重量%以上95重量%以下含有」する「樹脂フィルム」と特定されている点。 <相違点5> 本件特許発明1においては「前記樹脂フィルムの損失弾性率と温度との関係を示す損失弾性曲線において、ピーク位置の温度は、95℃以上102℃以下であり、かつ、前記ピーク位置の損失弾性率は、0.30GPa以上0.37GPa以下である」と特定されているのに対し、甲1発明においてはそのようには特定されていない点。 (2)判断 事案に鑑み、相違点5について検討する。 甲1には、樹脂フィルムの損失弾性率と温度との関係を示す損失弾性曲線におけるピーク位置の温度及びピーク位置の損失弾性率に関する記載はないし、甲1発明における樹脂フィルムの損失弾性率と温度との関係を示す損失弾性曲線におけるピーク位置の温度が95℃以上102℃以下であり、かつ、ピーク位置の損失弾性率が0.30GPa以上0.37GPa以下である蓋然性が高いともいえないから、相違点5は実質的な相違点である。 また、甲1には、甲1発明において、樹脂フィルムの損失弾性率と温度との関係を示す損失弾性曲線におけるピーク位置の温度及びピーク位置の損失弾性率を調整する動機付けとなる記載は当然ないし、他の証拠にもない。 したがって、甲1発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点5に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明1の奏する「樹脂フィルムとガスバリア層とを備える積層体に外力が繰り返し印加された場合でも、樹脂フィルムに積層されたガスバリア層の動きが抑えられて、ガスバリア層における欠陥の発生が抑えられる。それゆえ、積層体のガスバリア性の低下を抑えることができる。」(本件特許の発明の詳細な説明(以下、「発明の詳細な説明」という。)の【0007】)という効果は、甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項からみて、本件特許発明1の構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものである。 (3)特許異議申立人の主張について ア 特許異議申立人の主張の概要 特許異議申立人は、特許異議申立書において、相違点5に係る本件特許発明1の発明特定事項に関して、おおむね次の主張をしている。 「前記相違点2(当審注:特許異議申立人の主張における「相違点2」は「相違点5」に相当する。)を達成する手段について、本願【0017】~【0021】には、樹脂フィルム10中にペットボトルのリサイクル原料(リサイクルPET)を含み、樹脂フィルム10が含有するリサイクルPETの質量割合は、樹脂フィルム10の総質量の60%以上100%以下であることが好ましいことが記載され、ペットボトルにおいては、ジカルボン酸単位はテレフタル酸およびイソフタル酸を含んでおり、樹脂フィルム10が含有するPETの全ジカルボン単位に占めるイソフタル酸の割合は、0.5モル%以上5モル%以下であることが好ましいことが記載されている。本願【0025】には、樹脂フィルム10は、無延伸でもよく、延伸によって製造されてもよく、延伸方法は、一軸延伸、もしくは、二軸延伸など公知の延伸方法が用いられることが記載されている。また、本願実施例と比較例を参照すると、実施例1~3の樹脂フィルムはリサイクルPET含有量が70~100質量%で、損失弾性率のピーク位置の温度が95.4~101.3℃、かつ、前記ピーク位置での損失弾性率の値が0.34~0.37GPaでいずれも本願請求項1の範囲内となっているのに対して、比較例の樹脂フィルムはリサイクルPET含有量が0質量%で損失弾性率のピーク位置の温度が104.7℃ 、かつ、前記ピーク位置での損失弾性率の値が0.39GPaでいずれも本願請求項1の範囲外となっている。実施例と比較例に記載の樹脂フィルムは、リサイクルPETの含有量において異なる(【0059】~【0064】、【0075】【表1】)。 したがって、樹脂フィルム10中にペットボトルのリサイクル原料(リサイクルPET)を含み、樹脂フィルム10中のリサイクルPET含有量を変更することにより、樹脂フィルム10が含有するPETの全ジカルボン単位に占めるイソフタル酸の割合が変化し、それに伴い損失弾性率のピーク位置の温度とピーク位置での損失弾性率の値が変化することにより、前記温度と前記値が所定範囲内になっているものと理解される。 一方、甲<1>発明の実施例1~3、5~7には、ペットボトルからリサイクルされたイソフタル酸成分を含む共重合ポリエチレンテレフタレートを70~80質量%含むポリエチレンテレフタレート基材フィルムに無機薄膜層を蒸着した積層フィルムが記載されており、基材フィルム中のイソフタル酸成分含有量は2.1~4.0モル%の範囲である(【0103】【表1】)。リサイクルPETの含有量とイソフタル酸成分含有量より、刊行物1の実施例1~3、5~7に記載の積層フィルムは、損失弾性率のピーク位置の温度が95℃以上102℃以下、かつ、前記ピーク位置の損失弾性率の値が0.30GPa以上0.37GPa以下であることを満足する蓋然性が極めて高いものであると推定される。 以上のとおり、相違点2は、実質的に甲<1>発明に記載されている。」(特許異議申立書第27及び28ページ) イ 判断 そこで、上記主張について検討する。 発明の詳細な説明の【0056】には「各温度T1,T2,T3、および、各温度T1,T2,T3での貯蔵弾性率G1、損失弾性率G2、tanδの値は、樹脂フィルム10の組成や、押出・冷却の温度や速度、延伸倍率などの製造条件によって調整可能である。例えば、樹脂フィルム10が含有するPETの全ジカルボン単位に占めるイソフタル酸の割合が多いほど、分子配向を阻害し、樹脂フィルム10の柔軟性が高められ、樹脂フィルム10の粘性体としての性質を強くすることが可能である。冷却温度においては、樹脂フィルム10の製造時における冷却の温度が低い方が、貯蔵弾性率G1を小さくし、tanδを上げることができる。その結果、低温領域でも樹脂フィルム10の柔軟性が高められ、樹脂フィルム10の粘性体としての性質を強くすることが可能である。冷却速度においては、徐冷するよりは急冷させた方が樹脂を適度に結晶成長させつつ、非晶部分を残すことができるため、温度T3は低くなるが、tanδや損失弾性率G2を上げることができる。その結果、樹脂フィルム10の柔軟性が高められ、樹脂フィルム10の粘性体としての性質を強くすることが可能である。延伸倍率においては、樹脂フィルム10の製造時における延伸倍率を小さくすることで、分子配向が抑制できるので、転移温度T1を下げ、貯蔵弾性率G1の上昇を抑えることができる。その結果、樹脂フィルム10の柔軟性が高められ、樹脂フィルム10の粘性体としての性質を強くすることが可能である。」と記載されている。 上記記載によると、甲1発明において、樹脂フィルムの損失弾性率は、リサイクルPETの含有量とイソフタル酸成分含有量だけで決まるものではなく、冷却速度等の製造条件の影響も受けるものである。 そうすると、甲1に記載された実施例1ないし3及び5ないし7が、ペットボトルからリサイクルされたイソフタル酸成分を含む共重合ポリエチレンテレフタレートを70~80質量%含むポリエチレンテレフタレート基材フィルムに無機薄膜層を蒸着した積層フィルムであり、基材フィルム中のイソフタル酸成分含有量は2.1~4.0モル%の範囲であるとしても、樹脂フィルムの損失弾性率と温度との関係を示す損失弾性曲線において、ピーク位置の温度が95℃以上102℃以下、前記ピーク位置の損失弾性率が0.30GPa以上0.37GPa以下となっているとは必ずしもいえない。 すなわち、甲1発明において、「損失弾性率のピーク位置の温度が95℃以上102℃以下、かつ、前記ピーク位置の損失弾性率の値が0.30GPa以上0.37GPa以下であることを満足する蓋然性が極めて高い」とはいえない。 したがって、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 (4)まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 本件特許発明2について 本件特許発明2は、請求項1の記載を引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 4 本件特許発明3ないし6について 本件特許発明3ないし6はいずれも、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1を備える発明であるから、本件特許発明1が甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない以上、本件特許発明3ないし6はいずれも、甲1に記載された発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 5 本件特許発明7について 本件特許発明7は、請求項3の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明3を備える発明であるから、本件特許発明3が甲1に記載された発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない以上、本件特許発明7も甲1に記載された発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 6 申立理由1についてのむすび したがって、本件特許発明1ないし7は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当しないので、申立理由1によっては取り消すことはできない。 第5 申立理由2(サポート要件)について 1 サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 そこで検討する。 2 サポート要件の判断 (1)特許請求の範囲の記載 本件特許の特許請求の範囲の記載は上記第2のとおりである。 (2)判断 発明の詳細な説明の【0001】ないし【0005】によると、本件特許発明1及び2の解決しようとする課題は「積層体におけるガスバリア性の低下を抑えることができる樹脂フィルム」を提供することであり、本件特許発明3ないし5の解決しようとする課題は「積層体におけるガスバリア性の低下を抑えることができる樹脂フィルムを備える積層体」を提供することであり、本件特許発明7の解決しようとする課題は「積層体におけるガスバリア性の低下を抑えることができる樹脂フィルムを備える積層体から構成されている対象物を包装するための包装袋」を提供することである(以下、総称して「発明の課題」という。)。 発明の詳細な説明の【0006】には「上記課題を解決する樹脂フィルムは、ガスバリア性を有したガスバリア層を積層されることによって包装袋用の積層体を構成する樹脂フィルムであって、ポリエチレンテレフタレートを含み、前記樹脂フィルムの損失弾性率と温度との関係を示す損失弾性曲線において、ピーク位置の温度は、95℃以上102℃以下であり、かつ、前記ピーク位置の損失弾性率は、0.30GPa以上0.37GPa以下である。」と記載され、同【0007】には「上記構成によれば、包装袋としての積層体の使用環境の温度が含まれる低温領域で、樹脂フィルムの粘性に起因した柔軟性が良好に発揮されやすい。したがって、樹脂フィルムとガスバリア層とを備える積層体に外力が繰り返し印加された場合でも、樹脂フィルムに積層されたガスバリア層の動きが抑えられて、ガスバリア層における欠陥の発生が抑えられる。それゆえ、積層体のガスバリア性の低下を抑えることができる。」と記載されている。 発明の詳細な説明の【0008】には「上記構成において、前記樹脂フィルムは、繰り返し単位中のジカルボン酸単位にテレフタル酸とイソフタル酸とを含むポリエチレンテレフタレートを含んでもよい。 上記構成によれば、ピーク位置の温度と損失弾性率とが上記範囲内である樹脂フィルムが好適に得られる。」と記載され、同【0009】には「上記課題を解決する積層体は、上記樹脂フィルムと、ガスバリア性を有するガスバリア層と、を備える。 上記構成によれば、外力が繰り返し印加された場合でも、積層体におけるガスバリア性の低下が抑えられるため、包装材としての利用に対する積層体の適性が高められる。」と記載され、同【0010】には「上記構成において、前記ガスバリア層は、酸化アルミニウムおよび酸化珪素の少なくとも一方を含む第1バリア層と、高分子材料を含む第2バリア層と、を有してもよい。 上記構成によれば、積層体のガスバリア性がより高められる。」と記載され、同【0011】には「上記構成において、前記第2バリア層は、前記第1バリア層に隣接して積層されていてもよい。 上記構成によれば、第2バリア層による第1バリア層の保護およびガスバリア性の補完が可能である。」と記載され、同【0012】には「上記構成において、前記第2バリア層は、Si(OR1)4、もしくは、R2Si(OR3)3(OR1、OR3は加水分解性基であり、R2は有機官能基である。)で表されるケイ素化合物あるいはその加水分解物を1種以上と、水酸基を有する水溶性高分子と、を含んでもよい。 上記構成によれば、第2バリア層による第1バリア層の保護およびガスバリア性の補完の効果が高められる。」と記載され、同【0013】には「上記課題を解決する包装袋は、対象物を包装するための包装袋であって、上記積層体から構成されている。」と記載され、同【0014】には「上記構成によれば、商品の輸送時の振動などに起因して包装袋におけるガスバリア性が低下することが抑えられる。したがって、包装された対象物の品質の低下が抑えられる。」と記載されており、発明の詳細な説明には本件特許発明1ないし5及び7に対応する記載があるといえる。 発明の詳細な説明の【0057】ないし【0079】には、「ガスバリア性を有したガスバリア層を積層されることによって包装袋用の積層体を構成する樹脂フィルムであって、ポリエチレンテレフタレートを含み、前記樹脂フィルムの損失弾性率と温度との関係を示す損失弾性曲線において、ピーク位置の温度は、95℃以上102℃以下であり、かつ、前記ピーク位置の損失弾性率は、0.30GPa以上0.37GPa以下である。」という条件を満たす実施例1ないし3が、上記条件を満たさない比較例と比べて、ゲルボフレックス試験の前後での酸素透過度の低下度が小さいこと及び実施例1が、比較例と比べて、ゲルボフレックス試験の前後での水蒸気透過度の低下度が小さいことを確認する記載がある。 そうすると、発明の詳細な説明の上記記載により当業者は「ガスバリア性を有したガスバリア層を積層されることによって包装袋用の積層体を構成する樹脂フィルムであって、ポリエチレンテレフタレートを含み、前記樹脂フィルムの損失弾性率と温度との関係を示す損失弾性曲線において、ピーク位置の温度は、95℃以上102℃以下であり、かつ、前記ピーク位置の損失弾性率は、0.30GPa以上0.37GPa以下である樹脂フィルム」、「該樹脂フィルムを備える積層体」及び「該樹脂フィルムを備える積層体から構成されている対象物を包装するための包装袋」は発明の課題を解決できると認識できる。 そして、本件特許発明1及び2は当業者が発明の課題を解決できると認識できる上記「樹脂フィルム」をさらに限定したものであり、本件特許発明3ないし5は当業者が発明の課題を解決できると認識できる上記「積層体」をさらに限定したものであり、本件特許発明7は当業者が発明の課題を解決できると認識できる上記「包装袋」をさらに限定したものである。 したがって、本件特許発明1ないし5及び7は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。 よって、本件特許発明1ないし5及び7に関して、特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合する。 3 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人の上記第3 2における主張について検討する。 当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲は上記2のとおりであり、「前記第1バリア層と所定の第2バリア層の両方を組み合わせること」は必須ではない。 また、甲4は、「真空断熱材を変形させて外装材を部分的に引き延ばした場合でもガスバリア性が低下しない外装材を提供すること」を発明が解決しようとする課題とするものであり(甲4の【0006】)、本件特許発明1ないし5及び7とは発明が解決しようとする課題が異なるものであるから、甲4において、被覆層を所定の組成で構成することが必須であるとしても、本件特許発明1ないし5及び7において、「上記課題を解決するための手段として、前記第1バリア層と所定の第2バリア層の両方を組み合わせることが必須」ということには直ちにはならない。 さらに、本件特許発明1ないし5及び7において特定される発明特定事項を有するだけでは、発明の課題を解決できないことの具体的な証拠が示されている訳でもない。 したがって、特許異議申立人の上記第3 2における主張は採用できない。 4 申立理由2についてのむすび したがって、本件特許の請求項1ないし5及び7に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるとはいえないから、同法第113条第4号に該当せず、申立理由2によっては取り消すことはできない。 第6 結語 以上のとおり、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由によっては取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700615

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