特許異議申立
2025-700563
配送管理システム、配送管理方法及び配送管理プログラム
- 審判番号
- 2025-700563
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-216277
- 登録番号
- 7591400
- 請求日
- 2025年05月28日
- 審決日
- 2025年08月28日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】日本郵便株式会社
- 【権利者代理人】恩田 誠
- 【権利者代理人】恩田 博宣
- 【異議申立人】堀 久美子
- 審判長/審判官
- 審判長 松田 直也
- 審判官 間野 裕一
- 審判官 藤原 拓也
- 分類
- P1651.121-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7591400号発明「配送管理システム、配送管理方法及び配送管理プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7591400号の請求項1~8に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7591400号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~8に係る特許についての出願は、令和2年12月25日に出願され、令和6年11月20日にその特許権の設定登録がされ、同年11月28日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和7年5月28日に特許異議申立人 堀 久美子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~8に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明8」という。また、これらの発明をまとめて「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを管理する取引サーバと、配送物を受け付ける引受装置と、に接続された制御部と、
発行番号に対して、発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを含めた配送先情報を記録する配送情報記憶部とを備えた配送管理システムであって、
前記取引サーバは、予め印字されたコード画像であって、配送物に貼付されたコード画像から読み取った発行番号を、発送元のユーザ端末から取得して、発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータに関連付けて記録し、
前記制御部が、
前記取引サーバから、前記発行番号に対応する発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを取得して、前記配送情報記憶部に記録し、
前記引受装置から、前記配送物に表示されたコード画像を読み取った発行番号を取得した場合、前記配送情報記憶部を用いて、前記発行番号に対応する前記配送物の取り扱いにおいて匿名要否を決定し、
前記匿名要否に応じて、発送元情報の印字要否を判定し、前記配送情報記憶部に記録された配送先情報を印字したラベルを、前記引受装置に出力することを特徴とする配送管理システム。
【請求項2】
前記制御部が、
前記引受装置から、前記発行番号を取得した場合、前記発行番号に対する追跡コードを特定し、
前記ラベルに前記追跡コードを含めることを特徴とする請求項1に記載の配送管理システム。
【請求項3】
前記制御部が、配送先情報と、配送物に表示されたコード画像を読み取った発行番号とを前記取引サーバから取得した場合、前記発行番号に対して追跡コードを付与して、前記配送情報記憶部に記録して、前記取引サーバに前記追跡コードを返信することを特徴とする請求項1に記載の配送管理システム。
【請求項4】
前記取引サーバを管理するサイト識別子に対して、配送料金を記録する料金情報記憶部を更に備え、
前記制御部が、
前記取引サーバからサイト識別子を取得し、
前記サイト識別子に対応する配送料金を特定し、
前記サイト識別子の取引サーバに、前記配送料金を請求することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の配送管理システム。
【請求項5】
前記料金情報記憶部には、前記サイト識別子に対して、サイズに応じた配送料金を記録し、
前記制御部が、
前記コード画像に対応して前記配送物のサイズを取得し、前記料金情報記憶部において、前記サイト識別子及び前記サイズに対応する配送料金を特定することを特徴とする請求項4に記載の配送管理システム。
【請求項6】
前記制御部が、前記取引サーバに、前記配送情報記憶部に記録された所定期間の配送状況に応じて、前記サイト識別子毎に前記配送料金をまとめて請求することを特徴とする請求項4又は5に記載の配送管理システム。
【請求項7】
発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを管理する取引サーバと、配送物を受け付ける引受装置と、に接続された制御部と、
発行番号に対して、発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを含めた配送先情報を記録する配送情報記憶部とを備えた配送管理システムを用いて、配送管理を行なう方法であって、
前記取引サーバは、予め印字されたコード画像であって、配送物に貼付されたコード画像から読み取った発行番号を、発送元のユーザ端末から取得して、発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータに関連付けて記録し、
前記制御部が、
前記取引サーバから、前記発行番号に対応する発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを取得して、前記配送情報記憶部に記録し、
前記引受装置から、前記配送物に表示されたコード画像を読み取った発行番号を取得した場合、前記配送情報記憶部を用いて、前記発行番号に対応する前記配送物の取り扱いにおいて匿名要否を決定し、
前記匿名要否に応じて、発送元情報の印字要否を判定し、前記配送情報記憶部に記録された配送先情報を印字したラベルを、前記引受装置に出力することを特徴とする配送管理方法。
【請求項8】
発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを管理する取引サーバと、配送物を受け付ける引受装置と、に接続された制御部と、
発行番号に対して、発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを含めた配送先情報を記録する配送情報記憶部とを備えた配送管理システムを用いて、配送管理を行なうプログラムであって、
前記取引サーバは、予め印字されたコード画像であって、配送物に貼付されたコード画像から読み取った発行番号を、発送元のユーザ端末から取得して、発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータに関連付けて記録し、
前記制御部を、
前記取引サーバから、前記発行番号に対応する発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを取得して、前記配送情報記憶部に記録し、
前記引受装置から、前記配送物に表示されたコード画像を読み取った発行番号を取得した場合、前記配送情報記憶部を用いて、前記発行番号に対応する前記配送物の取り扱いにおいて匿名要否を決定し、
前記匿名要否に応じて、発送元情報の印字要否を判定し、前記配送情報記憶部に記録された配送先情報を印字したラベルを、前記引受装置に出力する手段として機能させることを特徴とする配送管理プログラム。」
第3 申立理由の概要
申立人は、次の甲第1号証~甲第14号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲14」という。)を証拠として提出し、本件発明1~8は、甲1記載の発明に甲2記載の技術事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~8についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである旨主張する。
甲第1号証:特開2010-26990号公報
甲第2号証:特開2017-73098号公報
甲第3号証:拒絶理由通知書(特願2020-216277)
甲第4号証:意見書(特願2020-216277)
甲第5号証:「メルカリが匿名配送サービスを開始、出品者・購入者といった全ユーザーを対象」、2016年1月19日、株式会社インプレス
インターネット<https://netshop.impress.co.jp/node/2509>
甲第6号証:「楽天のフリマアプリ「ラクマ」、日本郵便と連携し「匿名配送サービス」を提供開始」、2019年1月8日、楽天グループ株式会社
インターネット<https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2019/0108_01.html>
甲第7号証:「フリマアプリ「メルカリ」がヤマト運輸と連携し、安心・安全な「匿名配送」を提供」、2015年9月14日、ヤマト運輸株式会社
インターネット<https://www.yamato-hd.co.jp/news/h27/h27_49_01news.html>
甲第8号証:「ヤマト運輸、コンビニで匿名配送の取り扱い開始」、2019年9月9日、LOGISTICS TODAY株式会社
インターネット<https://www.logi-today.com/351154>
甲第9号証:「メルカリとヤマト運輸が連携 全国一律料金で配送、匿名配送も提供へ」、2015年3月17日、アイティメディア株式会社
インターネット<https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1503/17/news103.html>
甲第10号証:「【再掲】配送料のお支払い方法変更について」、2020年1月10日、LINEヤフー株式会社
インターネット<https://auctions.yahoo.co.jp/topic/notice/function/post_2654/>
甲第11号証:「【ヤフオク!の安心・安全(第1回)】匿名配送、知って使って安心取引」、2019年1月15日、LINEヤフー株式会社
インターネット<https://auctions.yahoo.co.jp/recommend/topics/20190115/1231/>
甲第12号証:「料金後納郵便(りょうきんこうのうゆうびん)とは? 意味や使い方-コトバンク」、2020年3月27日、株式会社DIGITALIO
インターネット<https://kotobank.jp/word/料金後納郵便-410343>
甲第13号証:「本年10月期後納料金請求に関する報告について」、2007年12月14日、日本郵便株式会社
インターネット<https://www.post.japanpost.jp/whats_new/2007/1214_01.html>
甲第14号証:「クロネコBizステーションのサービス開始について」、2009年9月9日、ヤマト運輸株式会社
インターネット<https://www.yamato-hd.co.jp/news/h21/h21_37_01news.html>
第4 甲号証について
1 甲1に記載されている事項、甲1発明について
(1)甲1に記載されている事項
甲1には、次の事項が記載されている(下線は当審において加筆した。以下同じ。)。
「【0001】
本発明は、落札物の出品者と落札者とが互いに匿名で、ネットオークションを運営する仲介者を介して売買した落札物を、匿名のまま配送依頼主の出品者から届け先の落札者に配送するための匿名配送管理システムに関する。」
「【0008】
そこで、上述した目的を達成すべく、請求項1に記載の発明に係る匿名配送管理システムは、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、配送者Nの集荷側拠点Aに備えた拠点端末6と配達側拠点Bに備えた拠点端末7および情報管理センタSに備えた配送管理サーバ4を物流通信網で結ぶ一方、配送管理サーバ4には、出品者Yおよび落札者Zのユーザ端末2・3とインターネットで結んでネットオークションを運営する仲介者Xの配送仲介サーバ1を通信回線で接続し、前記配送管理サーバ4は、前記配送仲介サーバ1から、オークションの落札案件毎に仲介者Xが採番したID番号に配送者Nから割り振られた送り状番号aをデータ上で紐付けし、落札物に関する荷物情報cと出品者Yに関する出品者情報mおよび落札者Zに関する落札者情報nを含む配送申込データが入力されると、出品者Yの住所に最寄りの集荷側拠点Aと、落札者Zの住所に最寄りの配達側拠点Bを検索して割り出す集配拠点選定部10aと、前記配送申込データに基づいて、落札物を出品者Yから集荷する作業を割り出した前記集荷側拠点Aに指示する集荷指示データ15を編集し、送り状番号aで識別してデータ記憶部4aに格納すると共に前記集荷側拠点Aの拠点端末6に伝送する集荷指示データ処理部10bと、前記配送申込データに基づいて、依頼主控え欄16dに出品者情報mを書き込む一方、届け先欄16cに落札者情報nに代えて文字や記号で表示した匿名データxを書き込んだ集荷用データ部16を片側に生成し、送り状番号aのバーコードgを書き込んだ読取番号データ部17を他側に生成して集荷用送り状データ20を編集し、送り状番号aで識別して前記データ記憶部4aに格納すると共に前記集荷側拠点Aの拠点端末6に伝送する集荷用送り状データ処理部10cと、前記配送申込データに基づいて、依頼主欄21bに出品者情報mに代えて文字や記号で表示した匿名データxを書き込んで配達用データ部21を片側に生成し、依頼主欄22bに出品者情報mに代えて文字や記号で表示した匿名データxを書き込む一方、届け先欄22aに落札者情報nを書き込んだ受領書用データ部22を他側に生成して配達用送り状データ30を編集し、送り状番号aで識別して前記データ記憶部4aに格納する配達用送り状データ処理部10dとを備え、前記集荷側拠点Aの拠点端末6は、送り状番号aを基に前記配送管理サーバ4のデータ記憶部4aから前記集荷用送り状データ20を取り込む集荷用送り状データ取得部40cと、該集荷用送り状データ20を、集荷側端末プリンタ39に出力して出品者情報mが記録される依頼主控え26のラベルと前記読取番号データ部17の前記バーコードgが記録される読取番号片27のラベルが剥離自在に貼着されたラベル台紙28に、前記集荷側端末プリンタ39で印字して集荷用送り状50を印刷する集荷用送り状出力部40dとを備え、前記配達側拠点Bの拠点端末7は、落札物が前記配達側拠点Bに到着したとき、前記集荷用送り状50の前記ラベル台紙28から剥ぎ取った前記読取番号片27に記録された前記バーコードgをバーコード読取手段で読み取って送り状番号aが読み込まれると、その送り状番号aを基に前記配送管理サーバ4のデータ記憶部4aから前記配達用送り状データ30を取り込む配達用送り状データ取得部55aと、該配達用送り状データ30を、配達側端末プリンタ49に出力して前記受領書用データ部22の書込み情報が記録される受領書31のラベルが剥離自在に貼着されたラベル台紙32に、前記配達側端末プリンタ49で印字して配達用送り状60を印刷する配達用送り状出力部55bとを備えてなることを特徴とする。」
「【0018】
仲介者Xは、ネットオークションの運営会社で、出品者(売主)Yと落札者(買主)Zとがオークションサイトを通じて匿名で行う落札物の売買取引を仲介するオークション会社である。配送仲介サーバ1は、ネットオークションで売買が成立すると、制御部(CPU)1aによりデータ処理部1bを動作し、落札物に関する荷物情報と、出品者Yの住所・氏名・電話番号など出品者Yに関する出品者情報と、落札者Zの住所・氏名・電話番号など落札者Zに関する落札者情報など、落札物を出品者Yから落札者Zに配送するために必要な配送情報を書き込んだ配送申込データを、オークション用のID番号に配送用の送り状番号をデータ上で紐付けして生成処理している。ID番号は、成約したオークションの落札案件の識別番号で、仲介者Xが落札案件毎に採番する。送り状番号は、伝票番号等とも云い、荷物の配送内容を識別する番号で、仲介者Xに配送者Nから予め割り振られている。配送仲介サーバ1は、配送申込データをデータ処理部1bで生成処理すると、1件別にデータ記憶部1cに格納する一方、所定の配送申込時に、データ記憶部1cから読み出してデータ送受信部1dで配送者Nの配送管理サーバ4へ伝送する。
【0019】
配送者Nの情報管理センタSは、仲介者Xから落札物の配送申込を受け付ける窓口でもある。配送管理サーバ4は、キーボード・マウス等のポインティングデバイスからなる入力部と、入力データのモニタに用いる表示部と、各種データを出力する出力部と、各種のデータ・ファイル・マスタの他に、本システムが有する機能を実現させるプログラム10を記憶したデータ記憶部4aと、データ送受信部4bを備え、それら各部を、動作制御を行う制御部(CPU)4cに接続してなる。データ記憶部4aは、エリアマスタ11を格納し、エリアマスタ11に、各地の集荷側拠点Aおよび配達側拠点Bを出品者Yや落札者Zが所在する地域を示す地域コードと照合させて、出品者Yや落札者Z毎に該当する各拠点A・Bが判明するようにした拠点識別データを記憶している。地域コードは、都道府県などの特定地域、例えば所定の数字で表したJISコードである。」
「【0041】
まず、配送管理サーバ4は、配送仲介サーバ1から、オークション売買の成立した落札物について、オークションのID番号に送り状番号aをデータ上関連付けて、配送申込データが入力されると(S1)、配送申込データをデータ記憶部4aに格納する一方、集配拠点選定部10aを動作してエリアマスタ11から拠点識別データを読み出し、拠点識別データから配送申込データに記録された地域別コードを照合し、出品者Yの住所に最寄りの集荷側拠点Aと、落札者Zの住所に最寄りの配達側拠点Bを検索して割り出す(S2)。次いで、集荷指示データ処理部10bを動作し、配送申込データに基づいて集荷指示データ15を編集し(S3a)、送り状番号aで1件別に識別した上で、顧客単位に仕分けしてデータ記憶部4aに格納する(S4a)。また、集荷用送り状データ処理部10cを動作し、配送申込データに基づいて集荷用送り状20を編集し(S3b)、送り状番号aで1件別に識別した上で、顧客単位に仕分けしてデータ記憶部4aに格納する(S4b)、また、配達用送り状データ処理部10dを動作し、配送申込データに基づいて配達用送り状データ30を編集し(S3c)、送り状番号aで1件別に識別した上で、顧客単位に仕分けしてデータ記憶部4aに格納する(S4c)。」
(2)甲1に記載された発明
上記(1)から、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
「匿名のまま配送依頼主の出品者から届け先の落札者に配送するための匿名配送管理システムであって、(【0001】)
前記匿名配送管理システムは、配送者Nの配達側拠点Bに備えた拠点端末7および情報管理センタSに備えた配送管理サーバ4を物流通信網で結ぶものであり、
前記配送管理サーバ4は、ネットオークションを運営する仲介者Xの配送仲介サーバ1を通信回線で接続するものであり、
前記配送管理サーバ4は、前記配送仲介サーバ1から、オークションの落札案件毎に仲介者Xが採番したID番号に配送者Nから割り振られた送り状番号をデータ上で紐付けし、落札物に関する荷物情報cと出品者Yに関する出品者情報mおよび落札者Zに関する落札者情報nを含む配送申込データが入力されると、送り状番号で識別してデータ記憶部4aに格納するものであり、
前記配達側拠点Bの拠点端末7は、落札物が前記配達側拠点Bに到着したとき、バーコードgをバーコード読取手段で読み取って送り状番号が読み込まれると、その送り状番号を基に前記配送管理サーバ4のデータ記憶部4aから前記配達用送り状データ30を取り込み、該配達用送り状データ30を、配達側端末プリンタ49で印字して配達用送り状60を印刷するものであり、(【0008】)
前記配送仲介サーバ1は、出品者Yの住所・氏名・電話番号など出品者Yに関する出品者情報と、落札者Zの住所・氏名・電話番号など落札者Zに関する落札者情報などの配送申込データを、オークション用のID番号に配送用の送り状番号をデータ上で紐付けして生成処理するものであり、前記送り状番号は、伝票番号等とも云い、荷物の配送内容を識別する番号で、仲介者Xに配送者Nから予め割り振られているものであり、(【0018】)
配送管理サーバ4は、各種のデータ・ファイル・マスタの他に、本システムが有する機能を実現させるプログラム10を記憶したデータ記憶部4aと、データ送受信部4bを備え、それら各部を、動作制御を行う制御部4cに接続してなるものであり、(【0019】)
前記配送管理サーバ4は、配送仲介サーバ1から、オークション売買の成立した落札物について、オークションのID番号に送り状番号をデータ上関連付けて、配送申込データが入力されると、配送申込データをデータ記憶部4aに格納するものである、(【0041】)
匿名配送管理システム。」
2 甲2に記載されている事項、甲2技術1、2について
(1)甲2に記載されている事項
甲2には、次の事項が記載されている。
「【0044】
図3Aに示すように、配送管理システム100により実現される配送管理サービスにおいては、まず、利用者が、コードCが一体的に設けられた配送対象物300を用意する。配送対象物300は、運搬可能な有体物であって、具体的には、たとえば、ハガキや封書あるいは小包などの物品によって実現することができる。図3Bにおいては、コードCが一体的に設けられた配送対象物300の一例を示している。」
「【0047】
配送管理システム100の運用上、コードCが印刷された封筒や箱などは、コンビニエンスストアなどの小売店や郵便局構内などにおいて無償提供されるものであってもよい。あるいは、配送管理システム100の運用上、封筒や箱などに貼り付けられるように裏面に粘着剤や糊などが設けられたシール状のコードCを、コンビニエンスストアなどの小売店や郵便局構内などにおいて無償提供するようにしてもよい。配送管理システム100の運用上、コードCが印刷された封筒や箱あるいはシール状のコードCは、有償で提供されるものであってもよい。コードCは、配送管理システムの運用者(または配送管理サービスの提供者)によって発行されるものであってもよい。」
「【0049】
コードCは、たとえば、2次元コードなどによって実現することができる。2次元コードは、正方形状のパターンが縦横(マトリックス状)に配列されたマトリックス式(マトリックスコード)であってもよく、バーコードなどの1次元コードCを所定方向に複数配置したスタック式(スタックコード)であってもよい。
【0050】
コードCによって示されるコード情報は、当該コードCを識別するコードC識別情報や、所定のプログラム(ソースコード)、および、所定のWEBページのURL(Uniform Resource Locator)を含んでいる。配送管理システム100において、配送対象物の表面または外装に印刷されているコードCは、当該コードCが設けられる配送対象物の属性(配送対象物の種類、大きさ、配送形態など)に関する情報を含んでいてもよい。利用者は、利用者の端末装置130であるスマートフォンなどを用いてコードCを撮影し、コードCによってあらわされたコード情報を読み取る。」
「【0054】
利用者は、配送情報登録画面330の表示内容にしたがって必要事項を入力し、「登録」キーを操作する。利用者の端末装置130は、「登録」キーが操作されると、配送情報登録画面330において入力された配送情報と、当該配送情報にかかるコードC識別情報と、を含む登録要求を生成し、生成した登録要求を配送管理装置110に出力する。
【0055】
配送管理装置110は、登録要求を取得するごとに、取得した登録要求に含まれるコードC識別情報と配送情報とを関連付けて配送管理データベースに記憶する。また、配送管理装置110は、登録要求を取得するごとに、受付番号を生成し、生成した受付番号を含む受付番号通知を、取得した登録要求の出力元の利用者の端末装置130に出力する。利用者の端末装置130は、配送管理装置110から出力された受付番号通知に基づいて、当該受付番号通知に含まれる受付番号をディスプレイ234に表示する。」
「【0057】
つぎに、利用者が、コードCが一体的に設けられた配送対象物300を配送業者に託す。たとえば、配送管理システム100の運用をおこなう配送業者が郵便事業者である場合、配送対象物300を郵便局に持ち込んだり、郵便ポストに投函することによって配送業者に託したりすることができる。あるいは、たとえば、配送管理システム100の運用をおこなう配送業者が宅配事業者である場合、宅配事業者が荷物の集配をおこなう営業所や、宅配事業者が集配する荷物を取り扱うコンビニエンスストアなどに持ち込むことによって配送業者に託すことができる。
【0058】
つぎに、配送業者が、託された配送対象物300に設けられたコードCによってあらわされたコード情報を、コード読み取り装置224を用いて読み取る。配送業者の端末装置140は、コード読み取り装置224が読み取ったコード情報からコード識別情報を抽出する。コード識別情報は、コードCに固有の情報であって、配送管理システム100の運用者などによって任意に設定することができる。そして、配送業者が、託された配送対象物300に設けられたコードCによってあらわされたコード情報を、コード読み取り装置224を用いて読み取る。配送業者の端末装置140は、コード読み取り装置224が読み取ったコード情報からコード識別情報を抽出する。
【0059】
配送管理装置110は、配送情報確認要求を取得すると、当該配送情報確認要求に含まれるコード識別情報と一致するコード識別情報に関連付けられた配送情報を取得する。そして、取得した配送情報に基づいて、配送元から配送先までの配送対象物300の配送にかかる配送料金を算出する。その後、抽出したコード識別情報によって特定される配送情報に基づいて、算出した配送料金にかかる決済処理を実行する。決済処理に際して、配送管理装置110は、特定された配送情報に含まれる配送依頼者に関する情報に基づいて決済要求を生成し、生成した決済要求を決済処理装置120に出力する。決済要求は、配送依頼者があらかじめ指定したクレジットカードのカード番号を用いて生成することができる。」
「【0068】
また、配送管理システム100において、配送対象物の表面または外装に印刷されているコードCに基づいて配送をおこなう場合、配送管理データベース400は、コードCに含まれる配送対象物の属性(配送対象物の種類、大きさ、配送形態など)に関する情報を、コード情報に関連付けて記憶してもよい。コード情報に関連付けて配送対象物の属性を記憶することにより、コードCを読み取れば配送対象物の属性を確認することができるので、配送対象物に対して、ラベル(宛名ラベル)を間違えずに貼り付けることができる。この場合、コードCに含まれる配送対象物の属性に関する情報のみを配送管理データベース400に記憶するのではなく、利用者や配送業者などが適宜個別に入力するようにしてもよい。」
「【0070】
配送対象物の大きさは、たとえば、封筒や箱のサイズによって特定することができる。あるいは、配送対象物の大きさは、たとえば、封筒や箱に内包できる内容物の最大の重量によって特定されるものであってもよい。また、配送対象物の配送形態は、たとえば、「急ぎ配送」、「要冷蔵配送」、「時間指定」などのように配送の形態にかかる各種の情報によって特定することができる。」
(2)甲2に記載された技術的事項
ア 上記(1)から、甲2には、次の技術的事項(以下、「甲2技術1」という。)が記載されているといえる。
「配送管理システム100により実現される配送管理サービスにおいて、(【0044】)
利用者が、封筒や箱などに粘着剤や糊などで貼り付けられたシール状のコードCが一体的に設けられた配送対象物300を用意し、(【0044】、【0047】)
前記コードCは、2次元コードなどによって実現することができ、当該コードCが設けられる配送対象物の属性(配送対象物の種類、大きさ、(「急ぎ配送」、「要冷蔵配送」などの)配送形態など)に関する情報を含んでおり、(【0049】、【0050】、【0070】)
利用者が、利用者の端末装置130であるスマートフォンなどを用いてコードCを撮影し、コードCによってあらわされたコード情報を読み取り、配送情報と当該配送情報にかかるコードC識別情報とを含む登録要求を配送管理装置110に出力し、(【0050】、【0054】)
配送管理装置110は、取得した登録要求に含まれるコードC識別情報と配送情報とを関連付けて配送管理データベースに記憶し、(【0055】)
利用者が、コードCが一体的に設けられた配送対象物300を郵便ポストに投函することによって配送業者に託すことができる、(【0057】)
配送管理サービス。」
イ また、上記(1)から、甲2には、次の技術的事項(以下、「甲2技術2」という。)が記載されているといえる。
「配送管理システム100により実現される配送管理サービスにおいて、(【0044】)
配送業者が、託された配送対象物300に設けられたコードCによってあらわされたコード情報からコード識別情報を抽出し、(【0058】)
前記コードCに含まれる配送対象物の属性(配送対象物の種類、大きさ、配送形態など)に関する情報を、コード情報に関連付けて記憶し、(【0068】)
前記コード識別情報に関連付けられた配送情報に基づいて、配送元から配送先までの配送対象物300の配送にかかる配送料金を算出する、(【0059】)
配送管理サービス。」
3 甲5~甲8に記載されている事項
甲5には、フリマアプリ「メルカリ」において、匿名配送サービスが行われていることが記載されており、甲6には、フリマアプリ「ラクマ」において、匿名配送サービスが行われていることが記載されており、甲7には、フリマアプリ「メルカリ」において、匿名配送サービスの提供が開始されることが記載されており、甲8には、ヤマト運輸が、コンビニで、宅急便の匿名配送に対応した発送手続きをスマートフォンで完結できる新サービスを開始したことが記載されている。
してみれば、甲5~甲8には、宅配便等において匿名配送が行われることが周知であったことが記載されているといえる。
4 甲9に記載されている事項
甲9は、メルカリとヤマト運輸が連携したことが示されている記事であり、甲9には、「送料の一部をメルカリが負担する」こと、「販売金から販売手数料と送料が差し引かれ」ることが記載されており、送料について、オークションサイトであるメルカリに直接請求することが記載されている。
5 甲10に記載されている事項
甲10は、Yahoo!オークションにおいて、配送料の支払い方法が変更となったことが示されているウェブサイトであり、甲10には、「落札者がYahoo!かんたん決済で支払った商品代金から、落札システム利用料と同様に配送サービス利用料を差し引」くことが記載されており、送料について、オークションサイトであるYahoo!オークションに直接請求することが記載されている。
6 甲11に記載されている事項
甲11は、Yahoo!オークションにおいて、ヤフネコ!パック(ネコポス、宅急便コンパクト、宅急便)、ゆうパック・ゆうパケット(おてがる版)を使った場合のメリットを説明するウェブサイトであり、甲11には、「通常は出品者と落札者の住所に応じて送料が変わりますが、全国一律の料金で利用できます。」との記載からわかるように、オークションサイトの場合、通常の配送料金と異なることが記載されている。
7 甲12に記載されている事項
甲12は、コトバンクに記載されている「料金後納郵便」の解説記事であり、甲12には、料金後納郵便では、1カ月分の郵便料金を翌月にまとめて支払う日本郵便のサービスで、種類の異なる郵便物や荷物でも、預金口座からの引き落としや振り込みで料金を一括払いできることが記載されている。
8 甲13に記載されている事項
甲13は、日本郵便が公開したお知らせであって、甲13には、当該甲13が公開された平成19年12月14日時点で「料金後納郵便」の制度があったことが記載されている。
9 甲14に記載されている事項
甲14は、ヤマト運輸が公開したクロネコBizステーションのサービス開始についての記事であり、その中で、「法人一括精算サービス」として、「各営業担当者様が全国の弊社直営店から荷物を発送する際の運賃を、都度の現金精算ではなく、本社ヘ一括でご請求させていただくサービス」であると示されており、甲14には、ある特定の期間の運賃について、まとめて精算ができることが記載されている。
第5 当審の判断
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 「発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを管理する取引サーバと、配送物を受け付ける引受装置と、に接続された制御部と、」について
(ア)甲1発明の「出品者情報m」及び「落札者情報n」は、それぞれ、本件発明1の「発送元情報」及び「配送先情報」に相当し、甲1発明の「配送仲介サーバ1」は、前記「出品者情報m」及び「落札者情報n」を管理しているといえるから、本件発明1の「発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを管理する取引サーバ」と、「発送元情報、配送先情報を管理する取引サーバ」との点で共通する。
(イ)甲1発明の「落札物」は、本件発明1の「配送物」に相当し、甲1発明の配達側拠点Bの「拠点端末7」は、前記落札物が前記配達側拠点Bに到着したとき、配達用送り状データ30を配達側端末プリンタ49で印字して配達用送り状60を印刷するものであり、前記落札物を受け付けているといえるから、本件発明1の「引受装置」に相当する。
(ウ)甲1発明の配送管理サーバ4は、配送仲介サーバ1と通信回線で接続されるとともに、拠点端末7と物流通信網で結ばれており、それらとの間でデータ送受信部4bが行うデータ送受信の動作制御を制御部4cが行っているといえるから、配送管理サーバ4の「制御部4c」は「取引サーバ」と「引受装置」とに接続されているといえる。
(エ)上記(ア)~(ウ)を踏まえれば、甲1発明の「制御部4c」は、本件発明1の「制御部」と、「発送元情報、配送先情報を管理する取引サーバと、配送物を受け付ける引受装置と、に接続された制御部」である点で共通する。
イ 「発行番号に対して、発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを含めた配送先情報を記録する配送情報記憶部とを備えた配送管理システムであって、」について
(ア)甲1発明の「送り状番号」は、本件発明1の「発行番号」に相当する。
(イ)甲1発明の「配送申込データ」は、出品者Yに関する出品者情報mおよび落札者Zに関する落札者情報nを含むから、本件発明1の「発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを含めた配送先情報」と、「発送元情報、配送先情報を含めた配送先情報」である点で共通する。
(ウ)甲1発明において、配送管理サーバ4は、配送申込データが入力されると、送り状番号で識別してデータ記憶部4aに格納するから、データ記憶部4aは、送り状番号に対して配送申込データを記録しているといえる。
(エ)上記(ア)~(ウ)を踏まえれば、甲1発明の「データ記憶部4a」は、本件発明1の「配送情報記憶部」と、「発行番号に対して、発送元情報、配送先情報を含めた配送先情報を記録する配送情報記憶部」である点で共通する。
(オ)甲1発明の「匿名配送管理システム」は、配送管理サーバ4の「制御部4c」及び「データ記憶部4a」を備えているから、以下の相違点を除き、本件発明1の「配送管理システム」に相当する。
ウ 「前記取引サーバは、予め印字されたコード画像であって、配送物に貼付されたコード画像から読み取った発行番号を、発送元のユーザ端末から取得して、発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータに関連付けて記録し、」について
(ア)甲1発明の「配送仲介サーバ1」は、出品者Yに関する出品者情報と落札者Zに関する落札者情報などの配送申込データを、オークション用のID番号に配送用の送り状番号をデータ上で紐付けして生成処理しているから、送り状番号を、出品者情報、落札者情報に関連付けて記録しているといえる。
(イ)甲1発明において、「送り状番号」は、「仲介者Xに配送者Nから予め割り振られているもの」であるから、配送仲介サーバ1が出品者Yのユーザ端末2から取得したものではない。
(ウ)上記(ア)、(イ)を踏まえると、甲1発明の「配送仲介サーバ1」は、本件発明1の「取引サーバ」と、「発行番号を、発送元情報、配送先情報に関連付けて記録し」ている点で共通する。
エ 「前記制御部が、前記取引サーバから、前記発行番号に対応する発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを取得して、前記配送情報記憶部に記録し、」について
(ア)甲1発明の「配送管理サーバ4」は、配送仲介サーバ1から、仲介者Xが採番したID番号に配送者Nから割り振られた送り状番号をデータ上で紐付けし、落札物に関する荷物情報cと出品者Yに関する出品者情報mおよび落札者Zに関する落札者情報nを含む配送申込データが入力されると、送り状番号で識別してデータ記憶部4aに格納しているから、「配送管理サーバ4」の「制御部4c」は、「配送仲介サーバ1」から、「送り状番号」に対応する「出品者情報m」、「落札者情報n」を取得して、「データ記憶部4a」に記録しているといえる。
(イ)上記(ア)を踏まえれば、甲1発明の「制御部4c」の上記(ア)の機能は、本件発明1の「制御部」の機能と、「前記取引サーバから、前記発行番号に対応する発送元情報、配送先情報を取得して、前記配送情報記憶部に記録し」ているとの機能の点で共通する。
オ (前記制御部が、)「前記引受装置から、前記配送物に表示されたコード画像を読み取った発行番号を取得した場合、前記配送情報記憶部を用いて、前記発行番号に対応する前記配送物の取り扱いにおいて匿名要否を決定し、」について
(ア)甲1発明の「拠点端末7」は、落札物が配達側拠点Bに到着したとき、バーコードgをバーコード読取手段で読み取って送り状番号を読み込んでいるから、落札物に表示されたコード画像を読み取って送り状番号を取得しているといえる。
(イ)甲1発明の「拠点端末7」は、送り状番号が読み込まれると、その送り状番号を基に配送管理サーバ4の「データ記憶部4a」から配達用送り状データ30を取り込んでいるから、配送管理サーバ4の「制御部4c」は、拠点端末7から送り状番号を取得した場合、「データ記憶部4a」を用いて、前記送り状番号に対応する落札物の取り扱いを行っているといえる。
(ウ)上記(ア)、(イ)を踏まえれば、甲1発明の「制御部4c」の上記(イ)の機能は、本件発明1の「制御部」の機能と、「前記引受装置から、前記配送物に表示されたコード画像を読み取った発行番号を取得した場合、前記配送情報記憶部を用いて、前記発行番号に対応する前記配送物の取り扱い」を行っているとの機能の点で共通する。
カ (前記制御部が、)「前記匿名要否に応じて、発送元情報の印字要否を判定し、前記配送情報記憶部に記録された配送先情報を印字したラベルを、前記引受装置に出力する」について
(ア)甲1発明の「拠点端末7」は、送り状番号が読み込まれると、その送り状番号を基に配送管理サーバ4の「データ記憶部4a」から配達用送り状データ30を取り込み、該配達用送り状データ30を、配達側端末プリンタ49で印字して配達用送り状60を印刷しているから、配送管理サーバ4の「制御部4c」は、「データ記憶部4a」に記録された落札者情報を印字した配達用送り状60を、前記「拠点端末7」に出力しているといえる。
(イ)甲1発明の「配達用送り状60」は、本件発明1の「ラベル」に相当する。
(ウ)上記(ア)、(イ)を踏まえれば、甲1発明の「制御部4c」の上記(ア)の機能は、本件発明1の「制御部」の機能と、「前記配送情報記憶部に記録された配送先情報を印字したラベルを、前記引受装置に出力する」との機能の点で共通する。
キ そうすると、本件発明1と甲1発明との間には、次のとおりの一致点及び相違点がある。
<一致点>
「発送元情報、配送先情報を管理する取引サーバと、配送物を受け付ける引受装置と、に接続された制御部と、
発行番号に対して、発送元情報、配送先情報を含めた配送先情報を記録する配送情報記憶部とを備えた配送管理システムであって、
前記取引サーバは、発行番号を、発送元情報、配送先情報に関連付けて記録し、
前記制御部が、
前記取引サーバから、前記発行番号に対応する発送元情報、配送先情報を取得して、前記配送情報記憶部に記録し、
前記引受装置から、前記配送物に表示されたコード画像を読み取った発行番号を取得した場合、前記配送情報記憶部を用いて、前記発行番号に対応する前記配送物の取り扱いを行い、
前記配送情報記憶部に記録された配送先情報を印字したラベルを、前記引受装置に出力する配送管理システム。」
<相違点>
(相違点1-1)
本件発明1は、「取引サーバ」が「発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータ」を管理する構成であるのに対して、甲1発明の「配送仲介サーバ1」は、「出品者情報m」及び「落札者情報n」を管理するものの、「匿名要否に関するデータ」を管理する構成でない点。
(相違点1-2)
本件発明1は、「配送情報記憶部」が「発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを含めた配送先情報」を記録するのに対して、甲1発明の「データ記憶部4a」が記録する「配送申込データ」は、「出品者情報m」および「落札者情報n」を含むものの、「匿名要否に関するデータ」を含んでいない点。
(相違点1-3)
本件発明1は、「取引サーバ」が「発行番号」を「発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータに関連付けて記録」するのに対して、甲1発明は、「配送仲介サーバ1」が「送り状番号」を「出品者情報、落札者情報に関連付けて記録」するものの、「匿名要否に関するデータ」に関連付けて記憶していない点。
(相違点1-4)
本件発明1は、「制御部」が「発行番号に対応する発送元情報、配送先情報、匿名要否に関するデータを取得して、前記配送情報記憶部に記録」するのに対して、甲1発明は、「制御部4c」が「送り状番号」に対応する「出品者情報m」、「落札者情報n」を取得して「データ記憶部4a」に記録するものの、「匿名要否に関するデータ」を取得して記録していない点。
(相違点2)
本件発明1は、「前記取引サーバは、予め印字されたコード画像であって、配送物に貼付されたコード画像から読み取った発行番号を、発送元のユーザ端末から取得」する構成であるのに対し、甲1発明は、そのような構成を有していない点。
(相違点3)
本件発明1では、制御部が、引受装置から発行番号を取得した場合、前記発行番号に対応する前記配送物の取り扱いにおいて匿名要否を決定しているのに対し、甲1発明では、制御部4cが、落札物の取り扱いにおいて匿名要否を決定していない点。
(相違点4)
本件発明1では、制御部が、匿名要否に応じて、発送元情報の印字要否を判定しているのに対し、甲1発明では、制御部4cが、出品者情報の印字要否を判定していない点。
(2)判断
ア 相違点1-1~1-4について
事案に鑑み、上記相違点1-1~1-4についてまとめて検討する。
甲1発明は、段落【0007】に「本発明の目的は、そのような配送サービスの低下を招かないように、面倒な落札物の配送手続に、配送者以外の、ネットオークションの出品者や落札者や仲介者の手を煩わすことなく、出品者と落札者の双方に互いの個人情報を知られないで匿名のまま落札物を配送することを実現することにある。」と記載されているように、匿名のまま落札物を配送することを目的とするものであり、ユーザが匿名配送にするか匿名配送にしないかを選択するようなことは考慮されていないから、「取引サーバが管理する情報」、「配送情報記憶部に記録される配送先情報に含められる情報」、「取引サーバが発行番号に関連付けて記録する情報」、「制御部が取引サーバから発行番号に対応して取得する情報」のそれぞれの情報に「匿名要否に関するデータ」を含ませる動機付けがない。
また、甲2には、上記第4の2(2)のとおり、甲2技術1が記載されているものの、甲2には、ユーザが匿名配送にするか匿名配送にしないかを選択することや「匿名要否に関するデータ」についての記載も示唆もない。
このため、甲1発明に甲2技術1を適用しようとする動機付けはなく、仮に、甲1発明に甲2技術1を適用しても、上記相違点1-1~1-4の構成には至らない。
よって、相違点1-1~1-4の構成は、甲1発明及び甲2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
また、甲3~14にも、ユーザが匿名配送にするか匿名配送にしないかを選択することや「匿名要否に関するデータ」についての記載も示唆もないことから、甲1に甲3~14に記載されている事項を適用しても、上記相違点1-1~1-4の構成に至らないことは明らかである。
このため、甲2~14のいずれの文献に記載されている事項を主引用発明として、その他の甲号証に記載された技術的事項を適用しても、上記相違点1-1~1-4の構成に至らないことは明らかである。
そして、本件発明1は、上記相違点1-1~1-4の構成によって、本件特許の明細書の段落【0066】に記載された「配送番号に関連付けられた匿名配送情報に基づいて、配送物の取扱(匿名配送の要否)を決定することができる」という、顕著な作用効果を奏するものである。
イ 申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書で次のように主張する。
「また、甲2技術1は、配送形態等に関する情報(配送対象物の属性情報)をコード識別情報に関連付けさせることを開示している。この「配送形態」の意味については、甲2文献において「急ぎ配送」、「要冷蔵配送」等の説明があることから、少なくとも、配送の種別を含むものである。そして、この配送の種別については、当業者が、適宜、様々な内容を選択できるところ、本件特許の特許出願前において、「匿名配送」は周知の配送であるから(甲5~甲8 匿名配送に関する情報)、「配送形態」に匿名配送の要否に関する情報が含まれることは自明というべきである。」(申立書62頁)
しかしながら、上記甲2技術1における「配送形態」とは、急いで配送したり、冷蔵したまま配送したりするなど、配送対象物の配送のしかたを示しているのに対し、「匿名配送」であったとしても「匿名配送」でなかったとしても、配送元情報を印字するか否かの違いがあるだけで、配送対象物の配送のしかたに変わりはないから、「配送形態」に匿名配送の要否に関する情報が含まれているとはいえない。
また、仮に、甲2技術1の「配送形態」に匿名配送の要否に関する情報が含まれているとしても、甲1発明では、ユーザが匿名配送にするか匿名配送にしないかを選択するようなことは考慮されていないから、甲1発明に甲2技術1の当該技術的事項を適用する動機付けがない。
さらに、甲5~甲8によって「匿名配送」が周知の配送であったとしても、これは上記検討には影響しない。
よって、申立人の上記主張に理由はない。
(3)小括
以上のとおりであるから、相違点2~4を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2技術1に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
2 本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1を引用する発明であり、いずれも、上記相違点1-1~1-4に係る構成を備えるものであるから、上記1と同じ理由で、本件発明2~6は、甲1発明及び甲2技術1に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
3 本件発明7、8について
本件発明7は、本件発明1に対応する「配送管理方法」の発明であり、本件発明8は、本件発明1に対応する「配送管理プログラム」の発明であるから、上記1と同じ理由で、本件発明7、8は、甲1発明及び甲2技術1に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-700563