特許異議申立
2025-700459
椅子
- 審判番号
- 2025-700459
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-102429
- 登録番号
- 7583865
- 請求日
- 2025年04月23日
- 審決日
- 2025年09月18日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社イトーキ
- 【権利者代理人】西 博幸
- 【権利者代理人】渡辺 隆一
- 【異議申立人】佐野 裕之
- 審判長/審判官
- 審判長 倉橋 紀夫
- 審判官 稲垣 彰彦
- 審判官 高橋 学
- 分類
- P1652.121-Y (A47C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7583865号発明「椅子」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7583865号の請求項1~3、5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7583865号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和元年8月30日に出願した特願2019-158698号の一部を令和5年6月22日に新たな特許出願としたものであって、令和6年11月6日にその特許権の設定登録がされ、同年11月14日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許の請求項1~3及び5に係る特許に対し、令和7年4月23日に特許異議申立人佐野裕之(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行い、同年6月10日に異議申立書に対する手続補正書が提出された。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~5の特許に係る発明(以下「本件発明1」などという。)は、本件特許の特許請求の範囲に記載された事項により特定される次のものである。
「【請求項1】
互いに分離した座及び背もたれと、前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く1本の背もたれ支持フレームと、前記背もたれ支持フレームを支持する左右2本の支柱部と、を有しており、
前記背もたれ支持フレームと支柱部とは、それぞれ着座者が前記背もたれにもたれ掛かっても弾性変形しない剛性を有していて、
前記背もたれ支持フレームが前記支柱部に後傾動可能に連結されているか、又は、前記支柱部が座受け体に後傾動可能に連結されている椅子であって、
前記背もたれは、左右方向に長い形態であって平面視で後ろ向きに膨れるように円弧状に湾曲している一方、
前記背もたれ支持フレームは、着座者の肘関節と同じ程度の高さに配置されていて、前記背もたれを後ろから囲いつつ左右両端は前記背もたれよりも手前に延びていて全体として水平姿勢であり、
前記背もたれは、その背面部が左右2カ所において前記背もたれ支持フレームに連結されている、
椅子。
【請求項2】
前記背もたれは、当該背もたれのうち上下中間高さ位置よりも低い下部において前記背もたれ支持フレームに連結されている、
請求項1に記載した椅子。
【請求項3】
前記支柱部は前記座受け体に後傾動可能に連結されて、前記背もたれ支持フレームと前記支柱部とは一体化しており、
前記支柱部の上端に、前記背もたれ支持フレームを前向きに延長した態様の前向き突出部が前記支柱部の前方に突出するように配置されている、
請求項1又は2に記載した椅子。
【請求項4】
前記背もたれ支持フレームは、前記支柱部に対して後傾動可能に取り付いている、
請求項1に記載した椅子。
【請求項5】
前記支柱部は、弾性に抗して後傾するように前記座受け体に連結されている、
請求項1に記載した椅子。」
第3 特許異議申立理由の概要
申立人は、特許異議申立書において、次の証拠を提示し、以下の特許異議の申立ての理由(以下「申立理由」という。)を主張している。
1 提示された証拠
甲第1号証:特開2012-40109号公報
甲第2号証:国際公開第2016/044957号
甲第3号証:特開2017-108933号公報
甲第4号証:特表2010-505507号公報
甲第5号証:KOKUYO office furniture’99 catalogue,日本,コクヨ株式会社,平成10年12月,表紙,660ページ,奥付
甲第6号証:to My Days...,DAYS OFFICE STYLE BOOK vol.2,日本,コクヨ株式会社,2017年7月,表紙,19~20ページ,奥付
以下、甲第○号証を甲○という。
2 申立理由
(1)申立理由1
甲1を主たる証拠としての本件発明1~3及び5の進歩性について[特許法第29条第2項(同法第113条第2号)]
本件発明1~3及び5は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲1に記載された発明及び甲2~5に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3及び5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)申立理由2
甲2を主たる証拠としての本件発明1~3及び5の進歩性について[特許法第29条第2項(同法第113条第2号)]
本件発明1~3及び5は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲2に記載された発明並びに甲1、3、4、及び6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3及び5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3)申立理由3
甲3を主たる証拠としての本件発明1~3及び5の進歩性について[特許法第29条第2項(同法第113条第2号)]
本件発明1~3及び5は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲3に記載された発明並びに甲1、2、4、及び5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3及び5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
第4 当審の判断
1 甲1について
(1)認定事項
甲1の段落【0017】、【0021】~【0072】、【0077】、【0083】~【0085】、図1、2、4、6、7、18、19、24、26、及び29の記載から、甲1について、以下の事項が認められる。
ア 段落【0017】、【0039】、【0065】、【0067】、図1、2、及び7から、座7及び背凭れ11は、互いに分離している。
イ 段落【0017】、【0036】、【0077】、図6、7、18、及び前記アから、椅子は、互いに分離した座7及び背凭れ11と、座7を支持する座受5と、座受け5を支持する支持基部3と、支持基部3に回動可能に支持された背凭れ支持体9と、背凭れ支持体9に設けられた肘掛け15とを具備する。
ウ 段落【0045】、【0046】、【0053】、及び図7から、背凭れ支持体9は、支持基部3から後上方に延出させた左右の背支持アーム151と、左右の背支持アーム151の上端部169同士を連結する金属製の上連結材153とを具備する。
エ 段落【0046】及び【0047】から、左右の背支持アーム151は、樹脂製のものであり、その前端部163が左右方向に延びる支軸37で支持基部3に前後回動可能に取り付けられる前後方向延出部159と、前後方向延出部159の後端から連続して上方に伸びる起立部161とを備える。
オ 段落【0083】及び【0084】から、肘掛け15は、背支持アーム151における上端部前面から一体に前方に突出させた肘支持部287と、肘支持部287の上に設けられる肘当て289、327とを具備する。
カ 段落【0085】及び図4から、肘支持部287は、背支持アーム151における着座者の腰部近傍の高さ位置から突出し、略水平に背シェル205よりも前方に延び出している。
キ 段落【0057】、【0058】、【0065】、図7、18、19、24、26、及び29から、背凭れ11は、着座者の背が凭り掛かる背凭れ面を形作る背シェル205と、背支持部材209とを具備し、背シェル205は、その上部243が背支持部材209に支持され、背支持アーム151の上端部169近傍で平面視前向き凹形状である。
ク 段落【0067】、【0069】、【0070】、図2、7、及び18から、背支持部材209は、座7よりも高い位置で上連結材153に嵌合する下取付部249を有する。
ケ 段落【0070】、【0071】、及び図19から、背支持部材209の前面に複数枚のリブ253が設けられ、下取付部249は、前方に延出し前記リブ253を相互に連結する天壁267と、天壁267の前端から下方に垂下させた前壁269とを備えて、下方に開放された形状をなしている。
コ 段落【0065】、【0070】、図18、19、26、及び29から、背シェル205の下部239の左右両側部は、左右の背支持アーム151の起立部161の前面にビス241で固定され、背支持部材209の下取付部249と上連結材153は、左右両側部と中央において、ねじ271で取り付けられる。
(2)甲1発明
前記(1)から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。なお、括弧内に主な参照箇所を示した。以下同様。
「互いに分離した座7及び背凭れ11と、前記座7を支持する座受5と、前記座受5を支持する支持基部3と、前記支持基部3に回動可能に支持された背凭れ支持体9と、前記背凭れ支持体9に設けられた肘掛け15とを具備する椅子であって(前記(1)ア及びイ)、
前記背凭れ支持体9は、前記支持基部3から後上方に延出させた左右の背支持アーム151と、前記左右の背支持アーム151の上端部169同士を連結する金属製の上連結材153とを具備し(前記(1)ウ)、
前記左右の背支持アーム151は、樹脂製のものであり、その前端部163が左右方向に延びる支軸37で前記支持基部3に前後回動可能に取り付けられる前後方向延出部159と、前記前後方向延出部159の後端から連続して上方に伸びる起立部161とを備え(前記(1)エ)、
前記背凭れ11は、着座者の背が凭り掛かる背凭れ面を形作る背シェル205と、背支持部材209とを具備し、前記背シェル205は、その上部243が前記背支持部材209に支持され、前記背支持アーム151の前記上端部169近傍で平面視前向き凹形状であり(前記(1)キ)、
前記肘掛け15は、前記背支持アーム151における上端部前面から一体に前方に突出させた肘支持部287と、前記肘支持部287の上に設けられる肘当て289、327とを具備し(前記(1)オ)、前記肘支持部287は、前記背支持アーム151における着座者の腰部近傍の高さ位置から突出し、略水平に前記背シェル205よりも前方に延び出しており(前記(1)カ)、
前記背支持部材209は、前記座7よりも高い位置で前記上連結材153に嵌合する下取付部249を有し(前記(1)ク)、
前記背支持部材209の前面に複数枚のリブ253が設けられ、前記下取付部249は、前方に延出し前記リブ253を相互に連結する天壁267と、前記天壁267の前端から下方に垂下させた前壁269とを備えて、下方に開放された形状をなし(前記(1)ケ)、
前記背シェル205の下部239の左右両側部は、前記左右の背支持アーム151の前記起立部161の前面にビス241で固定され、前記背支持部材209の前記下取付部249と前記上連結材153は、左右両側部と中央において、ねじ271で取り付けられる(前記(1)コ)、
椅子。」
2 甲2について
(1)認定事項
甲2の11ページ21行~12ページ31行、13ページ13行~28行、17ページ17行~33行、20ページ25行~21ページ2行、26ページ1行~9行、Fig.1A~1D、1H、2A~4B、9A、9B、10G~10Jの記載から、甲2について、以下の事項が認められる。
なお、括弧内は、申立人が提出した翻訳文の記載箇所を示す。
ア Fig.1A及び2Aから、座25及び背もたれ部92は、互いに分離している。
イ 12ページ12行~19行(11ページ7行~14行)、Fig.1B、及び2Aから、座25よりも高い位置で背もたれ部92が背もたれ支持部91に取り付けられている。
ウ 12ページ12行~19行(11ページ7行~14行)、26ページ1行~9行(22ページ28行~23ページ3行)、Fig.1B、2A~4B、前記ア、及びイから、椅子は、互いに分離した座25及び背もたれ部92と、座25よりも高い位置で背もたれ部92が取り付けられる背もたれ支持部91と、座25を保持するベースプレート3を備える。
エ 12ページ21行~31行(11ページ7行~25行)、17ページ17行~33行(15ページ22行~16ページ5行)、20ページ25行~21ページ2行(18ページ17行~30行)、Fig.1A、1B、1H、10G~10Jから、背もたれ支持部91は、ベースプレート3に第3の回転軸D3周りに回動可能に接続されている。
オ Fig.1B、1D、2A、及び9Aから、背もたれ部92は、左右方向に長い形態であって平面視で後ろ向きに膨れるように円弧状に湾曲している。
カ 11ページ21行~12ページ4行(10ページ18行~30行)、13ページ13行~28行(12ページ6行~17行)、及びFig.1Aから、背もたれ支持部91は、複数回曲げられた左右対称形状のブラケットであって、一体型のプラスチック射出成形部品であり、第3の回転軸D3から上方に突出する支持領域と、背もたれ部92まで延びる基本的に水平な支持領域とを有し、2つの支持領域の間にはアーチ型の遷移部があり、左右それぞれにおける水平な支持領域が2つの肘掛け部を形成し、肘掛け部は背もたれ部92の後部を円弧状に囲む。
キ 17ページ17行~33行(15ページ22行~16ページ5行)、Fig.1C、9A、及び9Bから、背もたれ部92は、背もたれクッション99と、背もたれクッション99の背面に設けられた背もたれプレート93から構成され、背もたれプレート93の中央と背もたれ支持部91の接続部97が高さ調整可能に接続される。
(2)甲2発明
前記(1)から、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているといえる。
「互いに分離した座25及び背もたれ部92と、前記座25よりも高い位置で前記背もたれ部92が取り付けられる背もたれ支持部91と、前記座25を保持するベースプレート3を備える椅子であって(前記(1)ウ)、
前記背もたれ支持部91は、前記ベースプレート3に第3の回転軸D3周りに回動可能に接続され(前記(1)エ)、
前記背もたれ部92は、左右方向に長い形態であって平面視で後ろ向きに膨れるように円弧状に湾曲し(前記(1)オ)、
前記背もたれ支持部91は、複数回曲げられた左右対称形状のブラケットであって、一体型のプラスチック射出成形部品であり、前記第3の回転軸D3から上方に突出する支持領域と、前記背もたれ部92まで延びる基本的に水平な支持領域とを有し、2つの前記支持領域の間にはアーチ型の遷移部があり、左右それぞれにおける前記水平な支持領域が2つの肘掛部け部を形成し、前記肘掛け部は前記背もたれ部92の後部を円弧状に囲み(前記(1)カ)、
前記背もたれ部92は、背もたれクッション99と、前記背もたれクッション99の背面に設けられた背もたれプレート93から構成され、前記背もたれプレート93の中央と前記背もたれ支持部91の接続部97が高さ調整可能に接続される(前記(1)キ)、
椅子。」
3 甲3について
(1)認定事項
甲3の段落【0010】~【0013】、【0019】~【0022】、及び図5~7の記載から、甲3について、以下の事項が認められる。
ア 図5及び6から、椅子1Aは、座3及び背凭れ4Aは、互いに分離している。
イ 段落【0010】、【0020】、【0021】、及び前記アから、椅子1Aは、互いに分離した座3及び背凭れ4Aと、座3の下面に設けられたリクライニング機構5と、背凭れ4Aに設けられた肘掛ユニット20を備える。
ウ 段落【0021】及び図5~7から、肘掛ユニット20は、肘掛部21と、平坦面部21aと、接続部21bと、肘掛アーム21cを備え、それぞれが一体である。
エ 段落【0012】、【0013】、【0019】、【0021】、及び図5~7から、肘掛部21は、背凭れ4Aの左右両端縁近傍から前方に向けて突設し、各肘掛部21の後端は、背凭れ4Aの後面側左右に亘って設けられる接続部21bにより接続され、各肘掛部21及び接続部21bは、背凭れ4の側方から後側に亘って曲線状に囲繞するように配置される。
オ 図5~7から、肘掛部21と、平坦面部21aと、接続部21bは、全体として略水平である。
カ 図5~7から、背凭れ4Aは、平面視で後ろ向きに膨れるように円弧状に湾曲している。
キ 段落【0011】及び【0021】から、肘掛アーム21cは、接続部21bの左右方向の中央位置から下方に向けて延在し、リクライニング機構5の背アーム5aを囲うようにして背アーム5aに固定され、背アーム5aは、リクライニング機構5に上下に回動自在に設けられる。
ク 段落【0022】及び図6から、各肘掛部21と接続部21bの接続部分近傍における前側には、2箇所の固定部21dが設けられ、肘掛アーム21cの上下方向における中央位置前方には、背凭れ4Aの下部と接続される固定部21eが突設され、肘掛ユニット20は、固定部21d、21eにより背凭れ4Aと連結し固定され、固定部21dは、座3よりも高い位置にある。
(2)甲3発明
前記(1)から、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているといえる。
「互いに分離した座3及び背凭れ4Aと、前記座3の下面に設けられたリクライニング機構5と、前記背凭れ4Aに設けられた肘掛ユニット20を備える椅子1Aであって(前記(1)イ)、
前記肘掛ユニット20は、肘掛部21と、平坦面部21aと、接続部21bと、肘掛アーム21cを備え、それぞれが一体であり(前記(1)ウ)、
前記肘掛部21は、前記背凭れ4Aの左右両端縁近傍から前方に向けて突設し、各前記肘掛部21の後端は、前記背凭れ4Aの後面側左右に亘って設けられる前記接続部21bにより接続され、各前記肘掛部21及び前記接続部21bは、前記背凭れ4の側方から後側に亘って曲線状に囲繞するように配置され(前記(1)エ)、
前記肘掛部21と、前記平坦面部21aと、前記接続部21bは、全体として略水平であり(前記(1)オ)、
前記背凭れ4Aは、平面視で後ろ向きに膨れるように円弧状に湾曲し(前記(1)カ)、
前記肘掛アーム21cは、前記接続部21bの左右方向の中央位置から下方に向けて延在し、前記リクライニング機構5の背アーム5aを囲うようにして前記背アーム5aに固定され、前記背アーム5aは、前記リクライニング機構5に上下に回動自在に設けられ(前記(1)キ)、
各前記肘掛部21と前記接続部21bの接続部分近傍における前側には、2箇所の固定部21dが設けられ、肘前記掛アーム21cの上下方向における中央位置前方には、前記背凭れ4Aの下部と接続される固定部21eが突設され、前記肘掛ユニット20は、前記固定部21d,21eにより前記背凭れ4Aと連結し固定され、前記固定部21dは、前記座3よりも高い位置にある(前記(1)ク)、
椅子1A。」
5 申立理由1(甲1を主たる証拠とした進歩性)について
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲1発明の対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
(ア)後者の「互いに分離した座7及び背凭れ11」「を具備する」ことは、前者の「互いに分離した座及び背もたれ」「を有」することに相当する。
(イ)後者の「前記背凭れ支持体9は、前記支持基部3から後上方に延出させた左右の背支持アーム151と、前記左右の背支持アーム151の上端部169同士を連結する」「上連結材153とを具備し、前記左右の背支持アーム151は、」「その前端部163が左右方向に延びる支軸37で前記支持基部3に前後回動可能に取り付けられる前後方向延出部159と、前記前後方向延出部159の後端から連続して上方に伸びる起立部161とを備え、」「前記背凭れ11は、」「背シェル205と、背支持部材209とを具備し、」「前記肘掛け15は、前記背支持アーム151における上端部前面から一体に前方に突出させた肘支持部287」「を具備し」、「前記背支持部材209は、前記座7よりも高い位置で前記上連結材153に嵌合する下取付部249を有し、」「前記背支持部材209の下取付部249と上連結材153は、左右両側部と中央において、ねじ271で取り付けられる」ことにおいて、図2、7、及び18から、「左右の背支持アーム151の上端部169」、「左右の背支持アーム151の上端部169同士を連結する」「上連結材153」、及び「肘掛け15」の「前記背支持アーム151における上端部前面から一体に前方に突出させた肘支持部287」は、「背シェル205と、背支持部材209とを具備」する「背凭れ11」に「座7よりも高い位置で」取り付き支持しているといえる。
また、図2、7、及び18から、「左右の背支持アーム151」の「その前端部163が左右方向に延びる支軸37で支持基部3に前後回動可能に取り付けられる前後方向延出部159と、前後方向延出部159の後端から連続して上方に伸びる起立部161」は、「左右の背支持アーム151の上端部169」を支持しているといえる。
そうすると、後者の「背凭れ支持体9と、前記背凭れ支持体9に設けられた肘掛け15とを具備」し、「前記背凭れ支持体9は、前記支持基部3から後上方に延出させた左右の背支持アーム151と、前記左右の背支持アーム151の上端部169同士を連結する」「上連結材153とを具備し、」「前記背凭れ11は、」「背シェル205と、背支持部材209とを具備し、」「前記肘掛け15は、前記背支持アーム151における上端部前面から一体に前方に突出させた肘支持部287」「を具備し、」「前記背支持部材209は、前記座7よりも高い位置で前記上連結材153に嵌合する下取付部249を有し、」「前記背支持部材209の前記下取付部249と前記上連結材153は、左右両側部と中央において、ねじ271で取り付けられる」ことと、前者の「前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く1本の背もたれ支持フレーム」「を有」することは、「前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く背もたれ支持フレーム」「を有」することで共通し、その限りにおいて、後者の「肘掛け15」の「肘支持部287」、「背支持アーム151の上端部169」、及び「上連結材153」は前者の「背もたれ支持フレーム」に相当する。
また、後者の「背凭れ支持体9」「を具備」し、「前記背凭れ支持体9は、前記支持基部3から後上方に延出させた左右の背支持アーム151」「を具備し、」「前記左右の背支持アーム151は、」「その前端部163が左右方向に延びる支軸37で前記支持基部3に前後回動可能に取り付けられる前後方向延出部159と、前記前後方向延出部159の後端から連続して上方に伸びる起立部161とを備え」ることは、前者の「前記背もたれ支持フレームを支持する左右2本の支柱部」「を有」することに相当し、後者の「前後方向延出部159」及び「起立部161」が前者の「支柱部」に相当する。
したがって、後者の「背凭れ支持体9と、前記背凭れ支持体9に設けられた肘掛け15とを具備」し、「前記背凭れ支持体9は、前記支持基部3から後上方に延出させた左右の背支持アーム151と、前記左右の背支持アーム151の上端部169同士を連結する」「上連結材153とを具備し、前記左右の背支持アーム151は、」「その前端部63が左右方向に延びる支軸37で前記支持基部3に前後回動可能に取り付けられる前後方向延出部159と、前記前後方向延出部159の後端から連続して上方に伸びる起立部161とを備え、前記背凭れ11は、」「背シェル205と、背支持部材209とを具備し、」「前記肘掛け15は、前記背支持アーム151における上端部前面から一体に前方に突出させた肘支持部287」「を具備し、」「前記背支持部材209は、前記座7よりも高い位置で前記上連結材153に嵌合する下取付部249を有し、」「前記背支持部材209の前記下取付部249と前記上連結材153は、左右両側部と中央において、ねじ271で取り付けられる」ことと、前者の「前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く1本の背もたれ支持フレームと、前記背もたれ支持フレームを支持する左右2本の支柱部と、を有」することは、「前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く背もたれ支持フレームと、前記背もたれ支持フレームを支持する左右2本の支柱部と、を有」することで共通する。
(ウ)後者の「前記座7を支持する座受5と、前記座受5を支持する支持基部3」は、「座7」が「支持基部3」及び「座受5」によって支持されているといえるので、前者の「座受け体」に相当する。
また、後者の「支持基部3に前後回動可能に取り付けられる」ことは、前者の「座受け体に後傾動可能に連結されている」ことに相当する。
そして、前記(イ)から、後者の「前記座7を支持する座受5と、前記座受け5を支持する支持基部3と、前記支持基部3に回動可能に支持された背凭れ支持体9と、」「を具備」し、「前記背凭れ支持体9は、前記支持基部3から後上方に延出させた左右の背支持アーム151」「を具備し、」「前記左右の背支持アーム151は、」「その前端部63が左右方向に延びる支軸37で前記支持基部3に前後回動可能に取り付けられる前後方向延出部159と、前記前後方向延出部159の後端から連続して上方に伸びる起立部161とを備え」ることは、前者の「前記支柱部が座受け体に後傾動可能に連結されている」ことに相当する。
(エ)前記(ア)~(ウ)から、後者の「互いに分離した座7及び背凭れ11と、前記座7を支持する座受5と、前記座受け5を支持する支持基部3と、前記支持基部3に回動可能に支持された背凭れ支持体9と、前記背凭れ支持体9に設けられた肘掛け15とを具備する椅子であって、前記背凭れ支持体9は、前記支持基部3から後上方に延出させた左右の背支持アーム151と、前記左右の背支持アーム151の上端部169同士を連結する金属製の上連結材153とを具備し、前記左右の背支持アーム151は、樹脂製のものであり、その前端部163が左右方向に延びる支軸37で前記支持基部3に前後回動可能に取り付けられる前後方向延出部159と、前記前後方向延出部159の後端から連続して上方に伸びる起立部161とを備え、」「前記背凭れ11は、」「背シェル205と、背支持部材209とを具備し、」「前記肘掛け15は、前記背支持アーム151における上端部前面から一体に前方に突出させた肘支持部287」「を具備し、」「前記背支持部材209は、前記座7よりも高い位置で前記上連結材153に嵌合する下取付部249を有し、」「前記背支持部材209の前記下取付部249と前記上連結材153は、左右両側部と中央において、ねじ271で取り付けられる」ことと、前者の「互いに分離した座及び背もたれと、前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く1本の背もたれ支持フレームと、前記背もたれ支持フレームを支持する左右2本の支柱部と、を有しており、前記背もたれ支持フレームと支柱部とは、それぞれ着座者が前記背もたれにもたれ掛かっても弾性変形しない剛性を有していて、前記背もたれ支持フレームが前記支柱部に後傾動可能に連結されているか、又は、前記支柱部が座受け体に後傾動可能に連結されている椅子であ」ることは、「互いに分離した座及び背もたれと、前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く背もたれ支持フレームと、前記背もたれ支持フレームを支持する左右2本の支柱部と、を有しており、前記支柱部が座受け体に後傾動可能に連結されている椅子であ」ることで共通する。
(オ)後者の「前記背凭れ11は、着座者の背が凭り掛かる背凭れ面を形作る背シェル205」「を具備し、前記背シェル205は、」「前記背支持アーム151の前記上端部169近傍で平面視前向き凹形状であ」ることは、図2も踏まえると、前者の「前記背もたれは、左右方向に長い形態であって平面視で後ろ向きに膨れるように円弧状に湾曲している」ことと、「前記背もたれは、平面視で後ろ向きに膨れるように円弧状に湾曲している」ことで共通する。
(カ)後者の「着座者の腰部近傍の高さ」は、前者の「着座者の肘関節と同じ程度の高さ」に相当する。
また、後者の「着座者の腰部近傍の高さ位置から突出」することは、その「高さ位置に」配置されていることであるといえるので、前者の「着座者の肘関節と同じ程度の高さに配置され」ることに相当する。
そして、前記(イ)も踏まえると、後者の「前記背凭れ支持体9に設けられた肘掛け15」「を具備」し、「前記肘掛け15は、前記背支持アーム151における上端部前面から一体に前方に突出させた肘支持部287と、前記肘支持部287の上に設けられる肘当て289、327とを具備し、前記肘支持部287は、前記背支持アーム151における着座者の腰部近傍の高さ位置から突出」することは、前者の「前記背もたれ支持フレームは、着座者の肘関節と同じ程度の高さに配置されてい」ることに相当する。
また、前記(イ)も踏まえると、後者の「略水平に前記背シェル205よりも前方に延び出して」いることは、前者の「前記背もたれよりも手前に延びていて全体として水平姿勢である」ことに相当する。
したがって、後者の「前記背凭れ支持体9に設けられた肘掛け15」「を具備」し、「前記肘掛け15は、前記背支持アーム151における上端部前面から一体に前方に突出させた肘支持部287と、前記肘支持部287の上に設けられる肘当て289、327とを具備し、前記肘支持部287は、前記背支持アーム151における着座者の腰部近傍の高さ位置から突出し、略水平に前記背シェル205よりも前方に延び出して」いることと、前者の「前記背もたれ支持フレームは、着座者の肘関節と同じ程度の高さに配置されていて、前記背もたれを後ろから囲いつつ左右両端は前記背もたれよりも手前に延びていて全体として水平姿勢であ」ることは、「前記背もたれ支持フレームは、着座者の肘関節と同じ程度の高さに配置されていて、左右両端は前記背もたれよりも手前に延びていて全体として水平姿勢であ」ることで共通する。
(キ)前者の「前記背もたれは、左右2カ所において前記背もたれ支持フレームに連結されている」ことは、左右2カ所の連結に加えて、左右2カ所以外で連結することも含むものである。
そして、前記(イ)も踏まえると、後者の「前記背シェル205の下部239の左右両側部は、前記左右の背支持アーム151の前記起立部161の前面にビス241で固定され、前記背支持部材209の前記下取付部249と前記上連結材153は、左右両側部と中央において、ねじ271で取り付けられる」ことと、前者の「前記背もたれは、その背面部が左右2カ所において前記背もたれ支持フレームに連結されている」ことは、「前記背もたれは、左右2カ所において前記背もたれ支持フレームに連結されている」ことで共通する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、
「互いに分離した座及び背もたれと、前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く背もたれ支持フレームと、前記背もたれ支持フレームを支持する左右2本の支柱部と、を有しており、
前記支柱部が座受け体に後傾動可能に連結されている椅子であって、
前記背もたれは、平面視で後ろ向きに膨れるように円弧状に湾曲している一方、
前記背もたれ支持フレームは、着座者の肘関節と同じ程度の高さに配置されていて、左右両端は前記背もたれよりも手前に延びていて全体として水平姿勢であり、
前記背もたれは、左右2カ所において前記背もたれ支持フレームに連結されている、
椅子。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-1]
背もたれ支持フレームに関して、本件発明1は、「1本の」背もたれ支持フレームであるのに対して、甲1発明は、「前記左右の背支持アーム151の上端部169」と「前記左右の背支持アーム151の上端部169同士を連結する」「上連結材153」と「肘掛け15」の「前記背支持アーム151における上端部前面から一体に前方に突出させた肘支持部287」からなるものである点。
[相違点1-2]
本件発明1は、「背もたれ支持フレームと支柱部とは、それぞれ着座者が前記背もたれにもたれ掛かっても弾性変形しない剛性を有」するのに対して、甲1発明は、左右の背支持アーム151は「樹脂製」であり、上連結材153は「金属製」であるものの、その剛性についてかかる特定はされていない点。
[相違点1-3]
背もたれの形態に関して、本件発明1は、「左右方向に長い形態であ」るのに対して、甲1発明は、背凭れ11にかかる特定がされていない点。
[相違点1-4]
背もたれ支持フレームと背もたれの関係について、本件発明1は、背もたれ支持フレームは、「背もたれを後ろから囲いつつ」、背もたれは、「その背面部が」左右2カ所において背もたれ支持フレームに連結されるのに対して、甲1発明は、背支持部材209の「下取付部249」が上連結材153に嵌合し、「下取付部249」と上連結材153が左右両側部と中央において、ねじ271で取り付けられ、背シェル205の「下部239の左右両側部」が左右の背支持アーム151の起立部161の前面にビス241で固定される点。
イ 相違点についての検討
事案に鑑み、相違点1-4について検討する。
甲1発明の「前記背支持部材209は、前記座7よりも高い位置で前記上連結材153に嵌合する下取付部249を有し、前記背支持部材209の前面に複数枚のリブ253が設けられ、前記下取付部249は、前方に延出し前記リブ253を相互に連結する天壁267と、前記天壁267の前端から下方に垂下させた前壁269とを備えて、下方に開放された形状をな」すことは、すなわち、甲1発明の背支持部材209において、背シェル205と挟まれた空間内にリブ253と、リブ253に連結された下取付部249とを設け、下取付部249が上連結材153に嵌合することにより、デザイン性を損なわずに、背凭れ11の支持剛性を高くしているものといえる。
そうすると、甲1発明において、背凭れ11と背凭れ支持体9の固定位置を、この位置から変更することに理由は認められず、むしろ、固定位置を背凭れの後ろを囲うように配置することは、デザイン性を損なうことや支持剛性の低下を招くおそれがあるので、阻害要因があるとも認められる。
したがって、甲2~6に、背凭れを支持する部材が、背凭れの後ろを囲うように背凭れの背面に固定されることが示されていたとしても、甲1発明において、甲2~甲6に記載された事項を踏まえ、相違点1-4に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明並びに甲2~6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2、3、及び5について
本件発明2、3、及び5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を付加したものであるから、前記(1)イと同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものではない。
6 申立理由2(甲2を主たる証拠とした進歩性)について
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲2発明の対比
本件発明1と甲2発明を対比する。
(ア)後者の「互いに分離した座25及び背もたれ部92」「を備える」ことは、前者の「互いに分離した座及び背もたれ」「を有」することに相当する。
(イ)後者の「前記座25よりも高い位置で前記背もたれ部92が取り付けられる背もたれ支持部91」「を備え」、「前記背もたれ支持部91は、複数回曲げられた左右対称形状のブラケットであって、一体型のプラスチック射出成形部品であり、前記第3の回転軸D3から上方に突出する支持領域と、前記背もたれ部92まで延びる基本的に水平な支持領域とを有し、2つの前記支持領域の間にはアーチ型の遷移部があり、左右それぞれにおける前記水平な支持領域が2つの肘掛部け部を形成し、前記肘掛け部は背もたれ部92の後部を円弧状に囲」むことにおいて、「前記背もたれ支持部91は、複数回曲げられた左右対称形状のブラケットであって、一体型のプラスチック射出成形部品であ」ることから、「背もたれ支持部91」は、1本であるといえる。また、Fig.1Aも踏まえると、「前記背もたれ支持部91」の「前記背もたれ部92まで延びる基本的に水平な支持領域」が「前記背もたれ部92」に取り付けられ、左右2つの「アーチ型の遷移部」及び「第3の回転軸D3から上方に突出する支持領域」が、それぞれ「前記背もたれ部92まで延びる基本的に水平な支持領域」を支持しているといえる。
そうすると、後者の「前記座25よりも高い位置で前記背もたれ部92が取り付けられる背もたれ支持部91」「を備え」、「前記背もたれ支持部91は、複数回曲げられた左右対称形状のブラケットであって、一体型のプラスチック射出成形部品であり、」「前記背もたれ部92まで延びる基本的に水平な支持領域」「を有し、」「左右それぞれにおける前記水平な支持領域が2つの肘掛部け部を形成し、前記肘掛け部は前記背もたれ部92の後部を円弧状に囲」むことは、前者の「前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く1本の背もたれ支持フレーム」「を有」することに相当し、後者の「背もたれ支持部91」の「水平な支持領域」は前者の「1本の背もたれ支持フレーム」に相当する。
また、後者の「前記座25よりも高い位置で前記背もたれ部92が取り付けられる背もたれ支持部91」「を備え」、「前記背もたれ支持部91は、複数回曲げられた左右対称形状のブラケットであって、一体型のプラスチック射出成形部品であり、前記第3の回転軸D3から上方に突出する支持領域と、前記背もたれ部92まで延びる基本的に水平な支持領域とを有し、2つの前記支持領域の間にはアーチ型の遷移部があ」ることは、前者の「前記背もたれ支持フレームを支持する左右2本の支柱部」「を有」することに相当し、後者の「背もたれ支持部91」の「上方に突出する支持領域」及び「アーチ型の遷移部」は前者の「支柱部」に相当する。
(ウ)後者の「前記座25を保持するベースプレート3」が前者の「座受け体」に相当する。
そして、前記(イ)から、後者の「前記背もたれ支持部91は、前記ベースプレート3に第3の回転軸D3周りに回動可能に接続され、」「前記背もたれ支持部91は、」「第3の回転軸D3から上方に突出する支持領域」「を有」することは、前者の「前記支柱部が座受け体に後傾動可能に連結されている」ことに相当する。
(エ)前記(ア)~(ウ)から、後者の「互いに分離した座25及び背もたれ部92と、前記座25よりも高い位置で前記背もたれ部92が取り付けられる背もたれ支持部91と、前記座25を保持するベースプレート3を備える椅子であって、」「前記背もたれ支持部91は、前記ベースプレート3に第3の回転軸D3周りに回動可能に接続され、」「前記背もたれ支持部91は、複数回曲げられた左右対称形状のブラケットであって、一体型のプラスチック射出成形部品であり、前記第3の回転軸D3から上方に突出する支持領域と、前記背もたれ部92まで延びる基本的に水平な支持領域とを有し、2つの前記支持領域の間にはアーチ型の遷移部があり、左右それぞれにおける前記水平な支持領域が2つの肘掛部け部を形成し、前記肘掛け部は前記背もたれ部92の後部を円弧状に囲」むことと、前者の「互いに分離した座及び背もたれと、前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く1本の背もたれ支持フレームと、前記背もたれ支持フレームを支持する左右2本の支柱部と、を有しており、前記背もたれ支持フレームと支柱部とは、それぞれ着座者が前記背もたれにもたれ掛かっても弾性変形しない剛性を有していて、前記背もたれ支持フレームが前記支柱部に後傾動可能に連結されているか、又は、前記支柱部が座受け体に後傾動可能に連結されている椅子であ」ることは、「互いに分離した座及び背もたれと、前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く1本の背もたれ支持フレームと、前記背もたれ支持フレームを支持する左右2本の支柱部と、を有しており、前記支柱部が座受け体に後傾動可能に連結されている椅子であ」ることで共通する。
(オ)後者の「前記背もたれ部92は、左右方向に長い形態であって平面視で後ろ向きに膨れるように円弧状に湾曲」することは、前者の「前記背もたれは、左右方向に長い形態であって平面視で後ろ向きに膨れるように円弧状に湾曲している」ことに相当する。
(カ)後者の「背もたれ部92の後部を円弧状に囲」むことは、前者の「前記背もたれを後ろから囲」うことに相当する。
また、前記(イ)を踏まえると、後者の「前記背もたれ部92まで延びる基本的に水平な支持領域」であって、「左右それぞれにおける前記水平な支持領域が2つの肘掛部け部を形成」することは、前者の「前記背もたれ支持フレームは、」「全体として水平姿勢であ」ることに相当する。
そうすると、後者の「前記背もたれ支持部91は、」「前記背もたれ部92まで延びる基本的に水平な支持領域」「を有し、」「左右それぞれにおける前記水平な支持領域が2つの肘掛部け部を形成し、前記肘掛け部は背もたれ部92の後部を円弧状に囲」むことは、「肘掛部」の高さが着座者の肘関節と同じ程度の高さに配置されること、及び「前記肘掛部」が「前記背もたれ部92」よりも手前に延びることは明らかなので、前者の「前記背もたれ支持フレームは、着座者の肘関節と同じ程度の高さに配置されていて、前記背もたれを後ろから囲いつつ左右両端は前記背もたれよりも手前に延びていて全体として水平姿勢であ」ることに相当する。
(キ)後者の「前記背もたれ部92は、背もたれクッション99と、前記背もたれクッション99の背面に設けられた背もたれプレート93から構成され、前記背もたれプレート93の中央と前記背もたれ支持部91の接続部97が高さ調整可能に接続される」ことにおいて、前記(イ)から、「前記背もたれプレート93の中央と」「接続される」「前記背もたれ支持部91の接続部97」が「背もたれ支持部91」の「前記背もたれ部92まで延びる基本的に水平な支持領域」に設けられることは明らかである。
そうすると、後者の「前記背もたれ部92は、背もたれクッション99と、前記背もたれクッション99の背面に設けられた背もたれプレート93から構成され、前記背もたれプレート93の中央と背もたれ支持部91の接続部97が高さ調整可能に接続される」ことと、前者の「前記背もたれは、その背面部が左右2カ所において前記背もたれ支持フレームに連結されている」ことは、「前記背もたれは、その背面部が前記背もたれ支持フレームに連結されている」ことで共通する。
そうすると、本件発明1と甲2発明とは、
「互いに分離した座及び背もたれと、前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く1本の背もたれ支持フレームと、前記背もたれ支持フレームを支持する左右2本の支柱部と、を有しており、
前記支柱部が座受け体に後傾動可能に連結されている椅子であって、
前記背もたれは、左右方向に長い形態であって平面視で後ろ向きに膨れるように円弧状に湾曲している一方、
前記背もたれ支持フレームは、着座者の肘関節と同じ程度の高さに配置されていて、前記背もたれを後ろから囲いつつ左右両端は前記背もたれよりも手前に延びていて全体として水平姿勢であり、
前記背もたれは、その背面部が前記背もたれ支持フレームに連結されている、
椅子。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点2-1]
本件発明1は、「背もたれ支持フレームと支柱部とは、それぞれ着座者が前記背もたれにもたれ掛かっても弾性変形しない剛性を有して」いるのに対して、甲2発明は、背もたれ支持部91が「一体型のプラスチック射出成形部品」であるが、その剛性についてかかる特定はされていない点。
[相違点2-2]
背もたれと支持フレームとの連結に関して、本件発明1は、その背面部が「左右2カ所において」背もたれ支持フレームに連結されるのに対して、甲2発明は、背もたれ部92の背もたれプレート93の「中央」と背もたれ支持部91の接続部97が「高さ調整可能に」接続される点。
イ 相違点についての検討
事案に鑑み、相違点2-2について検討する。
甲3の段落【0022】及び図6には、肘掛ユニット20の接続部21bが固定部21d、21eの左右2カ所で背凭れ4Aに固定されることが記載され、甲6には、背もたれの背面において、フレームが左右2カ所で固定されることが示唆されている。また、甲1には、背支持部材209の下取付部249と上連結材153が左右両側部と中央の3カ所において、ねじ271で取り付けられることが記載されている。
しかしながら、甲1、3、及び6で示される背もたれと背もたれを支持するフレームの連結構造は、いずれも背もたれの高さ調整ができない連結構造であるので、甲2発明における高さ調整を前提とした背もたれ部92と背もたれ支持部91の接続構造に対して、甲1、3、及び6で示される連結構造を適用することに動機は認められない。
また、申立人が提出した他の証拠においても、高さ調整が可能な背もたれと背もたれを支持するフレームの連結を背もたれの左右2カ所で行うことについての記載も示唆もない。
そして、甲2発明においては、背もたれ支持部91の接続部97を背もたれプレート93の中央と接続することによって、簡便な操作で背もたれ部92の高さ調整ができるものと認められるところ、背もたれプレート93の左右2カ所の連結部のそれぞれにおいて高さ調整を行うには、その操作が煩雑なものとなると認められるので、甲1、3及び6に記載された連結構造の位置の適用には、阻害要因があるともいえる。
そうすると、甲2発明において、甲1及び3~6に記載された事項を踏まえ、相違点2-2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明並びに甲1及び3~6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2、3、及び5について
本件発明2、3、及び5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を付加したものであるから、前記(1)イと同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものではない。
7 申立理由3(甲3を主たる証拠とした進歩性)
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲3発明の対比
本件発明1と甲3発明を対比する。
(ア)後者の「互いに分離した座3及び背凭れ4A」「を備える」ことは、前者の「互いに分離した座及び背もたれ」「を有」することに相当する。
(イ)後者の「前記背凭れ4Aに設けられた肘掛ユニット20を備え」、「前記肘掛ユニット20は、肘掛部21と、平坦面部21aと、接続部21bと、肘掛アーム21cを備え、それぞれが一体であり、」「前記肘掛部21は、前記背凭れ4Aの左右両端縁近傍から前方に向けて突設し、各前記肘掛部21の後端は、前記背凭れ4Aの後面側左右に亘って設けられる前記接続部21bにより接続され、」「前記肘掛アーム21cは、前記接続部21bの左右方向の中央位置から下方に向けて延在し、前記リクライニング機構5の背アーム5aを囲うようにして前記背アーム5aに固定され、」「各前記肘掛部21と前記接続部21bの接続部分近傍における前側には、2箇所の固定部21dが設けられ、」「前記肘掛ユニット20は、前記固定部21d」「により前記背凭れ4Aと連結し固定され、前記固定部21dは、前記座3よりも高い位置にある」ことにおいて、図6を踏まえると、「肘掛ユニット20」における「一体」の「肘掛部21と、平坦面部21aと、接続部21b」が「座3よりも高い位置」で「背凭れ4Aと連結固定」して「背凭れ4A」を支持し、「肘掛アーム21c」が「肘掛部21と、平坦面部21aと、接続部21b」を支持しているといえる。
そうすると、後者の「前記背凭れ4Aに設けられた肘掛ユニット20を備え」、「前記肘掛ユニット20は、肘掛部21と、平坦面部21aと、接続部21b」「を備え、それぞれが一体であり、」「前記肘掛部21は、前記背凭れ4Aの左右両端縁近傍から前方に向けて突設し、各前記肘掛部21の後端は、前記背凭れ4Aの後面側左右に亘って設けられる前記接続部21bにより接続され、」「各前記肘掛部21と前記接続部21bの接続部分近傍における前側には、2箇所の固定部21dが設けられ、」「前記肘掛ユニット20は、前記固定部21d」「により前記背凭れ4Aと連結し固定され、前記固定部21dは、前記座3よりも高い位置にある」ことは、前者の「前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く1本の背もたれ支持フレーム」「を有」することに相当し、後者の「肘掛ユニット20」の「一体」の「肘掛部21と、平坦面部21aと、接続部21b」は前者の「1本の背もたれ支持フレーム」に相当する。
また、後者の「前記背凭れ4Aに設けられた肘掛ユニット20を備え」、「前記肘掛ユニット20は、」「肘掛アーム21cを備え、」「前記肘掛アーム21cは、前記接続部21bの左右方向の中央位置から下方に向けて延在し、前記リクライニング機構5の背アーム5aを囲うようにして前記背アーム5aに固定され」ることと、前者の「前記背もたれ支持フレームを支持する左右2本の支柱部」「を有」することは、「前記背もたれ支持フレームを支持する支柱部」「を有」することで共通し、この限りにおいて、後者の「肘掛ユニット20」の「肘掛アーム21c」は前者の「支柱部」に相当する。
(ウ)後者の「前記座3の下面に設けられたリクライニング機構5」は、「リクライニング機構5」が「座3」を支持しているといえるので、前者の「座受け体」に相当する。
そして、後者の「前記リクライニング機構5に上下に回動自在に設けられ」ることは、前者の「座受け体に後傾動可能に連結されている」ことに相当する。
そして、前記(イ)から、後者の「前記座3の下面に設けられたリクライニング機構5」「を備え」、「前記肘掛ユニット20は、肘掛部21と、平坦面部21aと、接続部21bと、肘掛アーム21cを備え、」「前記肘掛アーム21cは、」「前記リクライニング機構5の背アーム5aを囲うようにして前記背アーム5aに固定され、前記背アーム5aは、前記リクライニング機構5に上下に回動自在に設けられ」ることは、前者の「前記支柱部が座受け体に後傾動可能に連結されている」ことに相当する。
(エ)前記(ア)~(ウ)から、後者の「互いに分離した座3及び背凭れ4Aと、座3の下面に設けられたリクライニング機構5と、背凭れ4Aに設けられた肘掛けユニット20を備える椅子1Aであって、前記肘掛ユニット20は、肘掛部21と、平坦面部21aと、接続部21bと、肘掛アーム21cを備え、それぞれが一体であり、前記肘掛部21は、前記背凭れ4Aの左右両端縁近傍から前方に向けて突設し、各前記肘掛部21の後端は、前記背凭れ4Aの後面側左右に亘って設けられる前記接続部21bにより接続され、」「前記肘掛アーム21cは、前記接続部21bの左右方向の中央位置から下方に向けて延在し、前記リクライニング機構5の背アーム5aを囲うようにして前記背アーム5aに固定され、前記背アーム5aは、前記リクライニング機構5に上下に回動自在に設けられ、各前記肘掛部21と前記接続部21bの接続部分近傍における前側には、2箇所の固定部21dが設けられ、」「前記肘掛ユニット20は、前記固定部21d」「により前記背凭れ4Aと連結し固定され、前記固定部21d」「は、前記座3よりも高い位置にある」ことと、前者の「互いに分離した座及び背もたれと、前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く1本の背もたれ支持フレームと、前記背もたれ支持フレームを支持する左右2本の支柱部と、を有しており、前記背もたれ支持フレームと支柱部とは、それぞれ着座者が前記背もたれにもたれ掛かっても弾性変形しない剛性を有していて、前記背もたれ支持フレームが前記支柱部に後傾動可能に連結されているか、又は、前記支柱部が座受け体に後傾動可能に連結されている椅子であ」ることは、「互いに分離した座及び背もたれと、前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く1本の背もたれ支持フレームと、前記背もたれ支持フレームを支持する支柱部と、を有しており、前記支柱部が座受け体に後傾動可能に連結されている椅子であ」ることで共通する。
(オ)後者の「前記背凭れ4Aは、平面視で後ろ向きに膨れるように円弧状に湾曲」することと、前者の「前記背もたれは、左右方向に長い形態であって平面視で後ろ向きに膨れるように円弧状に湾曲している」ことは、「前記背もたれは、平面視で後ろ向きに膨れるように円弧状に湾曲している」ことで共通する。
(カ)前記(イ)も踏まえると、後者の「前記肘掛部21は、前記背凭れ4Aの左右両端縁近傍から前方に向けて突設」することは、前者の「前記背もたれ支持フレームは、」「左右両端は前記背もたれよりも手前に延びてい」ることに相当する。
また、後者の「前記背凭れ4の側方から後側に亘って曲線状に囲繞する」ことは、前者の「前記背もたれを後ろから囲」うことに相当する。
更に、前記(イ)も踏まえると、後者の「前記肘掛部21と、前記平坦面部21aと、前記接続部21bは、全体として略水平であ」ることは、前者の「前記背もたれ支持フレームは、」「全体として水平姿勢であ」ることに相当する。
そうすると、後者の「前記肘掛部21は、前記背凭れ4Aの左右両端縁近傍から前方に向けて突設し、各前記肘掛部21の後端は、前記背凭れ4Aの後面側左右に亘って設けられる前記接続部21bにより接続され、各前記肘掛部21及び前記接続部21bは、前記背凭れ4の側方から後側に亘って曲線状に囲繞するように配置され、前記肘掛部21と、前記平坦面部21aと、前記接続部21bは、全体として略水平であ」ることは、「肘掛部21」の高さが着座者の肘関節と同じ程度の高さであることは明らかであるので、前者の「前記背もたれ支持フレームは、着座者の肘関節と同じ程度の高さに配置されていて、前記背もたれを後ろから囲いつつ左右両端は前記背もたれよりも手前に延びていて全体として水平姿勢であ」ることに相当する。
(キ)前者の「前記背もたれは、左右2カ所において前記背もたれ支持フレームに連結されている」ことは、左右2カ所の連結に加えて、左右2カ所以外で連結することも含むものである。
そして、前記(イ)も踏まえると、後者の「各前記肘掛部21及び前記接続部21bは、前記背凭れ4の側方から後側に亘って曲線状に囲繞するように配置され、」「各前記肘掛部21と前記接続部21bの接続部分近傍における前側には、2箇所の固定部21dが設けられ、肘前記掛アーム21cの上下方向における中央位置前方には、前記背凭れ4Aの下部と接続される固定部21eが突設され、前記肘掛ユニット20は、前記固定部21d、21eにより前記背凭れ4Aと連結し固定され」ることは、前者の「前記背もたれは、その背面部が左右2カ所において前記背もたれ支持フレームに連結されている」ことに相当する。
そうすると、本件発明1と甲3発明は、
「互いに分離した座及び背もたれと、前記座よりも高い位置において前記背もたれが取り付く1本の背もたれ支持フレームと、前記背もたれ支持フレームを支持する支柱部と、を有しており、
前記支柱部が座受け体に後傾動可能に連結されている椅子であって、
前記背もたれは、平面視で後ろ向きに膨れるように円弧状に湾曲している一方、
前記背もたれ支持フレームは、着座者の肘関節と同じ程度の高さに配置されていて、前記背もたれを後ろから囲いつつ左右両端は前記背もたれよりも手前に延びていて全体として水平姿勢であり、
前記背もたれは、その背面部が左右2カ所において前記背もたれ支持フレームに連結されている、
椅子。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点3-1]
支柱部に関して、本件発明1は、「左右2本の」支柱部であるのに対して、甲3発明は、接続部21bの「左右方向の中央位置」から下方に向けて延在する肘掛けアーム21Cである点。
[相違点3-2]
本件発明1は、「前記背もたれ支持フレームと支柱部とは、それぞれ着座者が前記背もたれにもたれ掛かっても弾性変形しない剛性を有してい」るのに対して、甲3発明は、肘掛けユニット20の剛性についてかかる特定がされていない点。
[相違点3-3]
背もたれの形態に関して、本件発明1は、「左右方向に長い形態」であるのに対して、甲3発明は、背もたれ4Aの形態についてかかる特定がされていない点。
イ 相違点についての検討
相違点3-1について検討するに、甲1には、左右の背支持アーム151における前後方向延出部159と及び起立部161がロッキング機構に接続することが記載され、甲2には、背もたれ支持部91における左右の第3の回転軸D3から上方に突出する支持領域がベースプレート3に回転可能に接続する接続機構が記載され、甲4には、左右2本の支持部材47a、47b(段落【0173】、図23、及び24参照。)が記載され、甲6には、フレームと背もたれの背面との左右2カ所の連結部から、2本のフレームが下方に延出することが示されている。
しかしながら、甲3において、リクライニング機構5における肘掛けユニット20との連結は、リクライニング機構5に設けられた1つの背アーム5aの1つの箇所で行うものであるので、甲3発明におけるリクライニング機構5は、背もたれを支持する部材と左右2カ所で連結する甲1のロッキング機構や、甲2の接続機構とは、その構造が異なるものである。
そして、甲1及び2の記載からは、甲3発明において、リクライニング機構5に換えて、甲1のロッキング機構や、甲2の接続機構を採用し、それに伴い、甲1のロッキング機構や甲2の接続機構と接続する肘掛アーム21cを左右2本とすることを想到するような動機は見当たらない。
また、甲4に示された支持部材47a、47bは、それ自身がたわむものであり、甲3発明の肘掛けアーム21cとは機能が異なるので、甲3発明に、甲4に示された支持部材47a、47bを適用する動機はない。
更に、甲6に示される椅子は、リクライニング機構を有するものではないので、甲3発明において、甲6に記載された2本の支柱に関する事項を適用することに動機はなく、むしろ、リクライニング機構がなくなるので、その適用には、阻害要因があるといえる。
そして、申立人が提出した他の証拠においても、甲3発明において、相違点3-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることが当業者が容易に想到し得たことであることを示す記載も示唆もない。
したがって、甲3発明において、甲1、2、及び4~6に記載された事項を踏まえ、相違点3-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明並びに甲1、2、及び4~6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2、3、及び5について
本件発明2、3、及び5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を付加したものであるから、前記(1)イと同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものではない。
7 小括
以上のとおりであるから、本件発明1~3及び5は、甲1に記載された発明及び甲2~5に記載された事項に基いて当業者が容易に想到することができたものではない。
また、本件発明1~3及び5は、甲2に記載された発明並びに甲1、3、4、及び6に記載された事項に基いて当業者が容易に想到することができたものではない。
更に、本件発明1~3及び5は、甲3に記載された発明及び甲1、2、4、及び5に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到することができたものではない。
したがって、本件特許の請求項1~3及び5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
よって、申立理由1~3によっては、本件特許の請求項1~3及び5に係る特許を取り消すことはできない。
第5 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~3及び5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~3及び5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700459