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特許異議申立

2025-700388

テーブルセット

審判番号
2025-700388
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-184301
登録番号
7562374
請求日
2025年04月04日
審決日
2026年03月11日
公報発行日
2026年06月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社オカムラ
  • 【権利者代理人】松沼 泰史
  • 【異議申立人】山口 真知子
審判長/審判官
  • 審判長 藤田 年彦
  • 審判官 蔵野 いづみ
  • 審判官 島田 保
分類
P1651.121-YAA(A47B) / P1651.851-YAA(A47B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7562374号発明「テーブルセット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7562374号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-2〕、〔3-4〕、5について訂正することを認める。 特許第7562374号の請求項3、5に係る特許を維持する。 特許第7562374号の請求項1、2、4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7562374号(以下「本件特許」という。)に係る特許についての出願は、令和2年11月4日に出願され、令和6年9月27日にその特許権の設定登録がされ、同年10月7日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和7年 4月 4日 特許異議申立人山口真知子(以下「申立人」 という。)による請求項1~5に係る特許に 対する特許異議の申立て 同年 6月11日付け 取消理由通知書 同年 8月 8日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 同年 9月19日 意見書の提出(申立人) 同年10月15日付け 取消理由通知書(決定の予告) 同年12月17日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 令和8年 1月29日 意見書の提出(申立人) なお、令和7年12月17日に訂正の請求がされたので、令和7年8月8日にされた先の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正請求の趣旨と訂正の内容 令和7年12月17日に提出された訂正請求書による訂正請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、特許第7562374号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~5のとおり訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3) 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を、 「複数のテーブルと、 前記複数のテーブルと対応した複数の椅子と、を有し、 複数の前記テーブルは、それぞれ、天板と、下端部にキャスタが取り付けられ、左右方向に間隔をあけて配置された一対の天板支持脚部を有して前記天板の下方で前記天板を支持する天板支持構造体と、を有し、前記天板どうしを上下方向に重ねた状態で複数を積み重ね可能であり、 複数の前記椅子は、座面を有する座部と、下端部にキャスタが取り付けられ、前記座部の下方で前記座部を支持する座部支持構造体と、を有し、背もたれは設けられておらず、前記座部どうしを上下方向に重ねた状態で積み重ね可能であり、 前記テーブルは、前記天板の下方で前記一対の天板支持脚部の間に、前記椅子を複数積み重ねた椅子の組を、前記座部の全範囲を前記天板の外周縁よりも内側に位置させた状態で収納する椅子収納空間が形成され、 前記一対の天板支持脚部の一方は、前記天板の左右方向の一方側の縁部に沿って配置された第1天板支持脚部であり、 前記一対の天板支持脚部の他方は、前記天板の左右方向の他方側の縁部に沿って配置された第2天板支持脚部であり、 前記第1天板支持脚部は、それぞれ柱状に形成され、前後方向に間隔をあけて配置される一対の第1天板支持脚柱部材を有し、 前記第2天板支持脚部は、それぞれ柱状に形成され、前後方向に間隔をあけて配置される一対の第2天板支持脚柱部材を有し、 前記座部支持構造体は、柱状に形成され、前記座部の周縁部に沿って配置されるとともに左右方向に間隔をあけて配置された複数の座部支持脚部を有し、 前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、の左右方向の間隔と、 前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、の左右方向の間隔と、は、いずれも前記椅子の組を収納可能な寸法であるとともに、互いに異なる寸法であり、 前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、のうち、左右方向の間隔が狭い側の第1天板支持脚柱部材と、前記第2天板支持脚柱部材とに固定されている幕板が配置されており、 前記椅子は、前記幕板に接触しているテーブルセット。」 に訂正する。 (4) 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5) 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5を、 「複数のテーブルと、 前記複数のテーブルと対応した複数の椅子と、を有し、 複数の前記テーブルは、それぞれ、天板と、下端部にキャスタが取り付けられ、左右方向に間隔をあけて配置された一対の天板支持脚部を有して前記天板の下方で前記天板を支持する天板支持構造体と、を有し、前記天板どうしを上下方向に重ねた状態で複数を積み重ね可能であり、 複数の前記椅子は、座面を有する座部と、下端部にキャスタが取り付けられ、前記座部の下方で前記座部を支持する座部支持構造体と、を有し、背もたれは設けられておらず、前記座部どうしを上下方向に重ねた状態で積み重ね可能であり、 前記テーブルは、前記天板の下方で前記一対の天板支持脚部の間に、前記椅子を複数積み重ねた椅子の組を、前記座部の全範囲を前記天板の外周縁よりも内側に位置させた状態で収納する椅子収納空間が形成され、 前記天板の前後方向のいずれか一方側の縁部の下方で、上下方向かつ左右方向に沿って配置された幕板を有し、 前記椅子収納空間は、前記幕板の前側に形成されており、前記椅子の組は、前記天板における前記幕板が配置されていない側の前記天板支持脚部の間から、前記椅子収納空間に収納されており、 前記椅子は、前記幕板に接触しているテーブルセット。」 に訂正する。 2 本件訂正についての当審の判断 以下、訂正事項について、訂正の適否について検討する。なお、本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているので、訂正事項について特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (1) 訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加について 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2) 訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加について 訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3) 訂正事項3について ア 訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項3に記載された「天板支持構造体」に関して、「下端部にキャスタが取り付けられ」と具体的に限定し、同じく「座部支持構造体」に関して、「下端部にキャスタが取り付けられ」と具体的に限定し、同じく「椅子」関して、「背もたれは設けられておらず」と具体的に限定し、同じく「椅子収納空間」に関して、「前記座部の全範囲を前記天板の外周縁よりも内側に位置させた状態で収納する」と具体的に限定するものである。 また、訂正前の請求項3に記載された「第1天板支持脚柱部材」及び「第2天板支持脚柱部材」に関して、「前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、の左右方向の間隔と、前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、の左右方向の間隔と、は、いずれも前記椅子の組を収納可能な寸法であるとともに、互いに異なる寸法であり」、及び「前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、のうち、左右方向の間隔が狭い側の第1天板支持脚柱部材と、前記第2天板支持脚柱部材とに固定されている幕板が配置されている」と具体的に限定するものである。 さらに、訂正前の請求項3に記載された「椅子」に関して、「前記椅子は、前記幕板に接触している」と具体的に限定するものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加について 訂正事項3は、本件明細書等の【請求項4】、【0017】、【0026】、【0027】、【0029】、【0031】、【0038】、【0043】、【0044】、【0048】、【0050】、【0056】、【0057】、及び【0064】、並びに図3~5、11、12、14、及び15に記載されるものであり、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの目的から明らかなように、訂正事項3は、訂正前の請求項3を具体的に限定するものであり、訂正後の請求項3について、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4) 訂正事項4について ア 訂正の目的 訂正事項4は、請求項4を削除するものであるから、当該訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加について 訂正事項4は、請求項4を削除するものであるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、請求項4を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5) 訂正事項5について ア 訂正の目的 訂正事項5は、訂正前の請求項5に記載された「天板支持構造体」に関して、「下端部にキャスタが取り付けられ」と具体的に限定し、同じく「座部支持構造体」に関して、「下端部にキャスタが取り付けられ」と具体的に限定し、同じく「椅子」に関して、「背もたれは設けられておらず」と具体的に限定するものである。 また、訂正前の請求項5に記載された「椅子収納空間」に関して、「前記座部の全範囲を前記天板の外周縁よりも内側に位置させた状態で収納する」と具体的に限定し、同じく「椅子収納空間」及び「椅子の組」に関して、「前記椅子の組は、前記天板における前記幕板が配置されていない側の前記天板支持脚部の間から、前記椅子収納空間に収納されている」と具体的に限定するものである。 さらに、訂正前の請求項5に記載された「椅子」に関して、「前記椅子は、前記幕板に接触している」と具体的に限定するものである。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加について 訂正事項5は、本件明細書等の【0017】、【0026】、【0027】、【0029】、【0031】、【0035】、【0038】、【0043】、【0044】、【0047】、【0048】、【0050】、及び【0057】、並びに図10~12、14及び15に記載されるものであり、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの目的から明らかなように、訂正事項5は、訂正前の請求項5を具体的に限定するものであり、訂正後の請求項5について、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 一群の請求項について 訂正前の請求項1及び2について、請求項2は、請求項1を直接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1及び2に対応する訂正後の請求項1及び2は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 訂正前の請求項3及び4について、請求項4は、請求項3を直接的に引用しているものであって、訂正事項3によって記載が訂正される請求項3に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項3及び4に対応する訂正後の請求項3及び4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 4 小括 以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-2〕、〔3-4〕、5について訂正することを認める。 第3 訂正後の特許発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1~5に係る発明(以下、それぞれ請求項の番号に合わせて「本件訂正発明1」等という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。なお、符号A等は分説のため当審で付した。便宜上、符号F、G、Hは用いていない。 「【請求項1】 (削除) 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 A 複数のテーブルと、 B 前記複数のテーブルと対応した複数の椅子と、を有し、 C 複数の前記テーブルは、それぞれ、天板と、下端部にキャスタが取り付けられ、左右方向に間隔をあけて配置された一対の天板支持脚部を有して前記天板の下方で前記天板を支持する天板支持構造体と、を有し、前記天板どうしを上下方向に重ねた状態で複数を積み重ね可能であり、 D 複数の前記椅子は、座面を有する座部と、下端部にキャスタが取り付けられ、前記座部の下方で前記座部を支持する座部支持構造体と、を有し、背もたれは設けられておらず、前記座部どうしを上下方向に重ねた状態で積み重ね可能であり、 E 前記テーブルは、前記天板の下方で前記一対の天板支持脚部の間に、前記椅子を複数積み重ねた椅子の組を、前記座部の全範囲を前記天板の外周縁よりも内側に位置させた状態で収納する椅子収納空間が形成され、 I 前記一対の天板支持脚部の一方は、前記天板の左右方向の一方側の縁部に沿って配置された第1天板支持脚部であり、 J 前記一対の天板支持脚部の他方は、前記天板の左右方向の他方側の縁部に沿って配置された第2天板支持脚部であり、 K 前記第1天板支持脚部は、それぞれ柱状に形成され、前後方向に間隔をあけて配置される一対の第1天板支持脚柱部材を有し、 L 前記第2天板支持脚部は、それぞれ柱状に形成され、前後方向に間隔をあけて配置される一対の第2天板支持脚柱部材を有し、 M 前記座部支持構造体は、柱状に形成され、前記座部の周縁部に沿って配置されるとともに左右方向に間隔をあけて配置された複数の座部支持脚部を有し、 N 前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、の左右方向の間隔と、 O 前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、の左右方向の間隔と、は、いずれも前記椅子の組を収納可能な寸法であるとともに、互いに異なる寸法であり、 R 前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、のうち、左右方向の間隔が狭い側の第1天板支持脚柱部材と、前記第2天板支持脚柱部材とに固定されている幕板が配置されており、 S 前記椅子は、前記幕板に接触している F テーブルセット。 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 A 複数のテーブルと、 B 前記複数のテーブルと対応した複数の椅子と、を有し、 C 複数の前記テーブルは、それぞれ、天板と、下端部にキャスタが取り付けられ、左右方向に間隔をあけて配置された一対の天板支持脚部を有して前記天板の下方で前記天板を支持する天板支持構造体と、を有し、前記天板どうしを上下方向に重ねた状態で複数を積み重ね可能であり、 D 複数の前記椅子は、座面を有する座部と、下端部にキャスタが取り付けられ、前記座部の下方で前記座部を支持する座部支持構造体と、を有し、背もたれは設けられておらず、前記座部どうしを上下方向に重ねた状態で積み重ね可能であり、 E 前記テーブルは、前記天板の下方で前記一対の天板支持脚部の間に、前記椅子を複数積み重ねた椅子の組を、前記座部の全範囲を前記天板の外周縁よりも内側に位置させた状態で収納する椅子収納空間が形成され、 P 前記天板の前後方向のいずれか一方側の縁部の下方で、上下方向かつ左右方向に沿って配置された幕板を有し、 Q 前記椅子収納空間は、前記幕板の前側に形成されており、前記椅子の組は、前記天板における前記幕板が配置されていない側の前記天板支持脚部の間から、前記椅子収納空間に収納されており、 S 前記椅子は、前記幕板に接触している F テーブルセット。」 第4 証拠一覧、特許異議申立理由の概要、及び取消理由通知において通知した取消理由の概要 1 証拠一覧 (1) 特許異議申立書(以下「申立書」という。)に添付して提出された証拠 甲第1号証:「KOKUYO2016 ファニチャー編」、コクヨ株式会社、平成27年12月、p.790 甲第2号証:米国特許第7827921号明細書 甲第3号証:英国特許第1045716号明細書 甲第4号証:特開2019-83981号公報 (2) 令和8年1月29日提出の意見書に添付して提出された証拠 甲第5号証:特開2019-111172号公報 (以下、「甲第1号証」等を「甲1」等という。) 2 特許異議申立理由の概要 申立人が申立書において主張する特許異議申立理由の概要は、以下のとおりである。 (1) 特許法第29条第1項(同法第113条第2号) 本件特許の請求項1~3に係る発明は、甲1に記載された発明である。 (2) 特許法第29条第2項(同法第113条第2号) ア 本件特許の請求項1~5に係る発明は、甲2に記載された発明及び設計的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 本件特許の請求項1~5に係る発明は、甲3に記載された発明、甲4に記載された発明及び設計的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 本件特許の請求項4及び5に係る発明は、甲1に記載された発明及び設計的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 取消理由通知に記載した取消理由について 当審において、本件訂正前の(令和7年8月8日提出の訂正請求書により訂正された)請求項1~5に係る特許に対して、令和7年10月15日付け取消理由通知(決定の予告)により特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 (進歩性)請求項3に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明、甲3に記載された事項、甲4に記載された事項及び周知技術に基づいて、請求項5に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明、甲3に記載された事項、甲4に記載された事項及び周知技術に基づいて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3及び5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第5 証拠について 1 甲1 (1) 記載事項 甲1には、以下の記載がある。 ア p.790 「 [図:0001436172000001.jpg] 」 (ア-上) 上記アの上部 「 [図:0001436172000002.jpg] 」 (ア-中) 上記アの中部 「 [図:0001436172000003.jpg] 」 (ア-下) 上記アの下部 「 [図:0001436172000004.jpg] 」 (2) 認定事項 ア 上記(1)アの「教育施設用家具」及び「多目的スペースでの多様な学習内容や、こどもたちの年齢や活動に応じた学びの空間づくりが実現出来る「ミュートス2」。豊富な天板バリエーションのテーブル、幅広い体格差にも対応したサイズ設定。フレキシブルで多様な教材・教具も収納できる収納庫は、こどもたちが自ら学び、自ら考える能動的な学習をサポートします。」の記載から、上記(1)アから看取できる各種のテーブル、各種のスツール、各種の収納庫等の家具は、いずれも「ミュートス2」と名付けられたシリーズを構成する教育施設用家具であると認められる(認定事項ア)。 イ 上記(1)(ア-上)の写真の右上部から、「複数の長方形テーブルを、その天板を重ねて積み重ねること」及び「複数のスツールを、その座部を重ねて積み重ねること」が看取できる(認定事項イ)。 ウ 上記(1)(ア-中)及び同(ア-下)の記載を踏まえると、上記(1)(ア-上)の写真から、1の長方形テーブルと少なくとも2脚のスツール(背付き)の組み合わせ、1のひょうたんテーブルと3脚のスツールの組み合わせ、及び1の六角形のテーブルと少なくとも2脚のスツール(背付き)の組み合わせが看取できる。 よって、甲1には、「各種のテーブルと各種のスツールの組み合わせ」が記載されていると認められる(認定事項ウ)。 エ 上記(1)(ア-中)には、「長方形テーブル(1800×900)」の品番「SST-MUS189HPAW・M10-C」の外寸法が、W1800・D900・H700であることが記載され、さらに、「■スタック 長方形(W1800)、ひょうたんテーブルは2台まで・・・スタックすることが可能です。」と記載されている。 また、上記(1)(ア-中)から、長方形テーブルは、その天板の略四隅にそれぞれ脚が設けられていることが看取できる。 さらに、上記(1)(ア-中)には、「■キャスター キャスタータイプ(品番末尾-C)は片側を上げることで簡単に移動できます。」と記載され、脚の下端にキャスターが設けられていることが看取できる。 また、この記載から、「長方形テーブル(1800×900)」の品番「SST-MUS189HPAW・M10-C」はキャスタータイプであると認められる。 これらの記載からみて、甲1には、「外寸法が、W1800・D900・H700であり、天板の略四隅にそれぞれ脚が設けられ、脚の下端にキャスターが設けられ、2台までスタックすることが可能な長方形テーブル」が記載されていると認められる(認定事項エ)。 オ 上記(1)(ア-下)には、「スツール(背なし)」の品番「SCK-MU20H」の外寸法が、W448・H420であることが記載され、さらに、「■スタック・・・(背なし)8台」と記載されている。 また、上記(1)(ア-下)から、スツール(背なし)は、その座部の周縁に沿って4本の脚が設けられていることが看取できる。 これらの記載からみて、甲1には、「外寸法が、W448・H420であり、座部の周縁に沿って4本の脚が設けられ、8台までスタックすることが可能な背なしスツール」が記載されていると認められる(認定事項オ)。 (3) 甲1に記載された発明 上記(1)及び(2)から、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲1発明) 「「ミュートス2」と名付けられたシリーズを構成する各種のテーブルと、同シリーズを構成する各種のスツールの組み合わせであって(認定事項ア、ウ)、 各種のテーブルは、外寸法が、W1800・D900・H700であり、天板の略四隅にそれぞれ脚が設けられ、脚の下端にキャスターが設けられ、2台までスタックすることが可能な長方形テーブルを含み(認定事項エ)、 各種のスツールは、外寸法が、W448・H420であり、座部の周縁に沿って4本の脚が設けられ、8台までスタックすることが可能な背なしスツールを含み(認定事項オ)、 複数の長方形テーブルを、その天板を重ねて積み重ねることが可能であり、複数のスツールを、その座部を重ねて積み重ねることが可能である(認定事項イ) 各種のテーブルと各種のスツールの組み合わせ(認定事項ウ)。」 2 甲2 (1) 記載事項 甲2には、以下の記載がある(下線は当審で付した。以下同様。)。 「 [図:0001436172000005.jpg] 」(1欄1~20行) (日本語訳:ネスティング可能な椅子およびテーブルのセット 背景技術 本発明は、一般に、持ち運び可能な家具の分野に関し、特に、ネスティング可能な椅子およびテーブルに関する。 従来の積み重ね可能な椅子は、概ね水平な座部の反対側に取り付けられた一対の逆U字形の脚部材を含む。概ねL字形の背もたれ支持フレームは、脚部材と相互に連結し、座部の後部から上方に延びて背もたれクッションを支持する。この種の椅子は、ある椅子の逆U字型の脚部材を別の椅子の脚部材の上に重ねて配置することにより、上側の椅子の座部が下側の椅子の座部の真上で支持されるように積み重ねられる。しかしながら、このタイプの椅子は、垂直方向のスタッキングが要求されるため、特に美観の点で限界がある。さらに、垂直方向の積み重ねは、面倒で疲れやすく、積み重ねの高さが高すぎると危険でさえある。) 「 [図:0001436172000006.jpg] [図:0001436172000007.jpg] 」(2欄60行~3欄8行) (日本語訳:椅子10のベース14は、強度が高く、しかも軽量でありながら、美観上好ましい輪郭を提供する管状構成である。ベース14は、水平バー20cによって結合された対向する脚部20a、bを有する後脚フレーム20を含む。ベースはさらに、水平バー22cによって結合された対向する脚部22a、bを含む前脚フレーム22を含む。ブレースバー24は、管状ベース構造に剛性を付加するために、例えば、対応する前脚部分20aと後脚部分22aとの間にまたがっている。ベース14の管状要素は、様々な公知の製造工程を用いて構築できることが理解されよう。例えば、フレーム20および22が金属管から形成される場合、管は公知の技術に従って曲げられ、溶接され得る。図示の実施形態では、各脚部20a、bおよび22a、bの端部にはキャスター16が取り付けられているが、他の適当な脚部を用いてもよい。) 「 [図:0001436172000008.jpg] 」(8欄22~35行) (日本語訳:本明細書で開示する椅子10およびテーブル100は、オフィス、会識、研修、さらには教室での使用に適している。いずれのユニットも、スペースを節約するために水平方向にネスティングすることが可能であり、あるいは所定の収納スペースに多数のテーブル及び椅子を収納することができる。特定の実施形態では、3つの椅子またはテーブルを、1つの椅子またはテーブルのホイールベースより約30%だけ大きい長さで入れ子にすることができる。水平ネスティングは、ほぼ誰でも簡単に展開や収納ができることを意味する。本明細書で開示する椅子とテーブルのコンパクトな水平ネスティング機能は、垂直スタッキングに伴う問題やリスクを排除する。さらに、本明細書で開示する傾斜機能は、テーブルや椅子を完全に折り畳むために必要な複雑で厄介な機構を回避する。) 「 [図:0001436172000009.jpg] 」 「 [図:0001436172000010.jpg] 」 (2) 甲2に記載された発明・事項 上記(1)から、甲2には、以下の発明及び事項(以下、それぞれ「甲2発明」、「甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲2発明・甲2記載事項) 「椅子およびテーブルを水平方向にネスティング可能とすることにより、面倒で疲れやすく、積み重ねの高さが高すぎると危険でさえあるという垂直スタッキングに伴う問題やリスクを排除するものであって、 椅子10の各脚部20a、bおよび22a、bの端部にはキャスター16が取り付けられている、 ネスティング可能な椅子およびテーブルのセット」 3 甲3 (1) 記載事項 甲3には、以下の記載がある。 ア 「 [図:0001436172000011.jpg] 」(1頁10~15行) (日本語訳:本発明はテーブルおよび椅子に関する。本発明は、より具体的には、テーブルトップに蝶番で固定された1つまたは通常は2つのサイドフラップを有する種類のテーブルに関するものであり、これにより、テーブルトップの有効サイズを所望に応じて大きくすることができる。) イ 「 [図:0001436172000012.jpg] [図:0001436172000013.jpg] 」(1頁19~51行) (日本語訳:椅子やスツールは、ベースや座面や脚をネスティング状に積み重ねることができるものが知られており、以下、このような椅子やスツールを「スタッキング可能」という。 本発明の目的は、積み重ね可能な椅子および/またはスツールと共に使用するためのサイドフラップテーブルを提供することであり、特に、省スペースが重要視される他の状況や、より小さなキッチンのために意図されている。 本発明によれば、スタッキング可能な一対の椅子と、テーブルトップにヒンジ結合された少なくとも1つのサイドフラップを有するテーブルとからなるセットが提供され、サイドフラップの幅は、フラップが垂直位置にあるときに、1つずつ積み重ねられた一対の椅子を、椅子の背もたれをテーブルの側面に、椅子のベースをトップの下に収納できるように十分に小さい。 好ましくは、セットは二対のスタッキング可能な椅子からなり、テーブルは二対のスタッキング可能な椅子を一対を他方の横にして積み重ねることができるような寸法である。 あるいは、このセットは2脚のスツールから成り、テーブルの寸法は2脚のスタッキング可能な椅子と2脚のスツールを収納できるようになっている。別の選択肢として、2脚のスタッキング可能な椅子を2脚のスツールに置き換えることもできる。) ウ 「 [図:0001436172000014.jpg] 」(2頁11~25行) (日本語訳:フレーム13の形状により、テーブルトップ10の下に遮るもののない空間ができることが理解されよう。このスペースは、椅子の代わりにスツールを収納するのにも使用できる。従って、テーブルは、図1に示すように2脚の椅子21とセットで提供することも、図2に示すように1脚の椅子21と2脚のスツール22とセットで提供することも、二対のスタッキング可能なスツール(22)とセットで提供することもできる。 フラップ11および12を折り畳んだテーブルは、キッチンまたは他の家庭の壁際に置き、椅子21および/またはスツール22を収納することで、狭い家屋で望ましい最小限のスペースを占めることができることが理解されよう。) エ 「 [図:0001436172000015.jpg] 」 (2) 認定事項 上記(1)エのFIG.1から、テーブルトップ10の下に、スタッキングされた2脚の椅子21を一対として、テーブルトップ10の長手方向に二対並べて収納していることが看取できる。 また、上記(1)イには、「セットは二対のスタッキング可能な椅子からなり、テーブルは二対のスタッキング可能な椅子を一対を他方の横にして積み重ねることができるような寸法である。」と記載されている。 これらの記載から、甲3には、「テーブルトップ10の長手方向の寸法は、テーブルトップ10の下に、スタッキングされた2脚の椅子21を一組として、テーブルトップ10の長手方向に二組並べて収納できるような寸法である」ことが記載されていると認められる(認定事項カ)。 (3) 甲3に記載された発明・事項 上記(1)及び(2)から、甲3には、以下の発明及び事項(以下、それぞれ「甲3発明」、「甲3記載事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲3発明・甲3記載事項) 「スタッキング可能な一対の椅子と、テーブルトップにヒンジ結合された少なくとも1つのサイドフラップを有するテーブルとからなるセットであり(上記(1)イ)、 フラップ11および12を折り畳んだテーブルは、椅子21および/またはスツール22を収納することができ(上記(1)ウ)、 テーブルトップ10の長手方向の寸法は、テーブルトップ10の下に、スタッキングされた2脚の椅子21を一組として、テーブルトップ10の長手方向に二組並べて収納できるような寸法であり(認定事項カ)、 サイドフラップの幅は、フラップが垂直位置にあるときに、1つずつ積み重ねられた一対の椅子を、椅子の背もたれをテーブルの側面に、椅子のベースをトップの下に収納できるように十分に小さく(上記(1)イ)、 テーブルは、二対のスタッキング可能なスツールとテーブルのセットとすることもできる(上記(1)ウ) スタッキング可能な椅子とサイドフラップを有するテーブルとからなるセット(上記(1)イ)。」 4 甲4 (1) 記載事項 甲4には、以下の記載がある。 「【0002】 学校やオフィス等で使用される学習や事務用の机(テーブル)として、非使用時に上下方向へのスタッキング(積み重ね)を可能とするスタッキング机が知られている(例えば、特許文献1~3等を参照)。この種のスタッキング机は、天板と、天板を支持する左右一対の前後脚部を有し、例えば左右の前脚部を天板の左右縁部よりも外方に配することで、同種の他の机を上下にスタッキングすることができるようになっている。 ・・・ 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2012-100936号公報 【特許文献2】特開2002-95531号公報 【特許文献3】特開2016-54851号公報」 「【0017】 机1は、天板10と、天板10を支持する支持構造体20を備える。天板10は、概略矩形の平面形状を有する板状の部材であり、角部分に丸みを有している。本実施形態における机1は、天板10の一の縁部に沿って幕板30が設けられており、幕板30が設けられていない方の縁部側に使用者が着席する。以下、本明細書において机1の前後左右方向を説明するに当たり、幕板30が設けられている方を机1の「前方」とし、反対側(すなわち着席端側)を「後方」とする。また、机1を正面側から眺めた状態を基準として左右方向を定義する。」 「【0019】 支持構造体20は、金属パイプをコの字形状に屈曲させて形成した前側支持体21および後側支持体22を有する。前側支持体21は、右前脚部211、左前脚部212、右前脚部211および左前脚部212の上端部同士を接続する前横梁部213等を含んでいる。前横梁部213は、天板10の下面10eに沿って添設される部材であり、前横梁部213と右前脚部211の間には屈曲部214aが形成され、前横梁部213と左前脚部212の間には屈曲部214bが形成されている。また、右前脚部211および左前脚部212は、天板10の下面10eに対して垂直に設けられている(図5および図6等を参照)。また、図8に示すように、前側支持体21における前横梁部213は、天板10の前縁10aに沿って平行に、下面10eに添設されている。」 「【0021】 本実施形態の机1は、いわゆる4本脚タイプの机であり、天板10の4隅から右前脚部211、左前脚部212、右後脚部221、および左後脚部222が下方へ向けて垂下することで天板10を支持している。ここで、右前脚部211および右後脚部221の下部同士は右脚補強連結材23によって連結されている。右脚補強連結材23は、右前脚部211および右後脚部221を連結して強度および剛性を高めるための補強材であり、水平方向に延びる横架材である。また、左前脚部212および左後脚部222の下部同士は左脚補強連結材24によって連結されている。左脚補強連結材24は、左前脚部212および左後脚部222を連結して強度および剛性を高めるための補強材であり、水平方向に延びる横架材である。右脚補強連結材23および左脚補強連結材24は、細長の金属パイプを平面的にS字形に折り曲げて形成した平面視S字形状を有する部材であるが、その詳細については後述する。また、各脚部(右前脚部211、左前脚部212、右後脚部221、および左後脚部222)の下端には、キャップ25が取り付けられている。」 「【0023】 本実施形態における机1は、非使用時に他の机との上下方向のスタッキングを可能とするスタッキング机として構成されており、左右一対の後脚部である右後脚部221および左後脚部222が、天板10の奥行方向に沿って延びる右側縁10cおよび左側縁10dよりも外側に位置する構造となっている。具体的には、右後脚部221および左後脚部222の離間距離D1は、天板10の横幅寸法D2よりも大きな寸法に設定されている(図3を参照)。一方、右前脚部211および左前脚部212の離間寸法D3は、天板10の横幅寸法D2よりも小さな寸法に設定されており、右前脚部211および左前脚部212は天板10の右側縁10cおよび左側縁10dの内側に位置している(図3を参照)。」 「【0043】 本実施形態における幕板30は、左右一対の前脚部、すなわち右前脚部211および左前脚部212の上端部間に架け渡される幕板本体31を有する。また、幕板本体31の上縁から幕板本体31の背面31aに向けて直交方向に上方折曲片32が延出されている。また、幕板本体31の左右の側縁から、幕板本体31の背面31aに向けてL字形状を有する係合片33が延出されている。係合片33は、幕板本体31の左右の側縁から幕板本体31と直交方向に連設される側方折曲片334と、各側方折曲片34の後端から幕板本体31の背面31aと対向するように連設される後方折曲片35とによって形成されている。 ・・・ 【0049】 机1が組み上げられた状態において、幕板30は、幕板本体31の両端に設けられた係合片33を前側支持体21の右前脚部211および左前脚部212に係合させると共に、幕板本体31の上縁から延出する上方折曲片32を天板10の下面10eと前横梁部213の間に挟持された状態で位置決めおよび固定がなされている(図2を参照)。よって、机1の使用時や非使用時に何らかの物体が幕板30に衝突する等、幕板30に大きな力が作用しても、幕板30の位置が正規の位置からずれてしまう虞がない。また、本実施形態における机1の幕板30は、支持構造体20に対してネジを使用せずに挿し込み式で固定することができるため、固定金具(ネジ、ナット、ネジ受け部等)の点数を削減することができ、机1の軽量化、低コスト化を実現することができる。また、机1に幕板30を設けない仕様とする場合においても、机1の組み立て時に幕板30を前側支持体21に挿し込まないだけでよく、幕板30の有無による影響が他のパーツに及ぶことがないため、幕板30以外の各パーツを全て共通仕様とすることができ、部材の共通化を図ることも可能となる。」 「【図1】 [図:0001436172000016.jpg] 」 「【図2】 [図:0001436172000017.jpg] 」 「【図3】 [図:0001436172000018.jpg] 」 「【図8】 [図:0001436172000019.jpg] 」 「【図11】 [図:0001436172000020.jpg] 」 (2) 認定事項 図1から、「幕板は長方形状である」ことが看取できる(認定事項キ)。 (3) 甲4に記載された事項 上記(1)及び(2)から、甲4には、以下の事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲4記載事項) 「天板10と、天板10を支持する支持構造体20を備え、天板10の一の縁部に沿って長方形状の幕板30が設けられており、幕板30が設けられていない方の縁部側に使用者が着席する机1であって(【0017】、認定事項キ、図1)、 支持構造体20は、金属パイプをコの字形状に屈曲させて形成した前側支持体21および後側支持体22を有し、前側支持体21は、右前脚部211、左前脚部212、右前脚部211および左前脚部212の上端部同士を接続する前横梁部213等を含み、右前脚部211および左前脚部212は、天板10の下面10eに対して垂直に設けられ、前側支持体21における前横梁部213は、天板10の前縁10aに沿って平行に、下面10eに添設されているものであり(【0019】)、 4本脚タイプの机であり、天板10の4隅から右前脚部211、左前脚部212、右後脚部221、および左後脚部222が下方へ向けて垂下することで天板10を支持し(【0021】、図2、図3、図8)、 非使用時に他の机との上下方向のスタッキングを可能とするスタッキング机として構成されており(【0023】、図11)、 左右一対の後脚部である右後脚部221および左後脚部222が、天板10の奥行方向に沿って延びる右側縁10cおよび左側縁10dよりも外側に位置し、右後脚部221および左後脚部222の離間距離D1は、天板10の横幅寸法D2よりも大きな寸法に設定されている一方、右前脚部211および左前脚部212の離間寸法D3は、天板10の横幅寸法D2よりも小さな寸法に設定されており、右前脚部211および左前脚部212は天板10の右側縁10cおよび左側縁10dの内側に位置し(【0023】、図2、図3、図8)、 幕板30は、右前脚部211および左前脚部212の上端部間に架け渡される幕板本体31を有し、幕板本体31の上縁から幕板本体31の背面31aに向けて直交方向に上方折曲片32が延出され、幕板本体31の左右の側縁から、幕板本体31の背面31aに向けてL字形状を有する係合片33が延出され(【0043】)、 幕板30は、幕板本体31の両端に設けられた係合片33を前側支持体21の右前脚部211および左前脚部212に係合させると共に、幕板本体31の上縁から延出する上方折曲片32を天板10の下面10eと前横梁部213の間に挟持された状態で位置決めおよび固定がなされている(【0049】) 机1(【0017】)。」 第6 当審の判断 1 取消理由通知に記載した取消理由について (1) 本件訂正発明3について 本件訂正発明3と甲1発明とを対比する。 ア 特定事項A、B、Fについて 甲1発明は、「「ミュートス2」と名付けられたシリーズを構成する各種のテーブルと、同シリーズを構成する各種のスツールの組み合わせ」であるから、甲1発明の「各種のテーブル」と「各種のスツール」は、適宜組み合わせて使用するものであるところ、このことは、本件訂正発明3の「複数のテーブルと(特定事項A)、前記複数のテーブルと対応した複数の椅子と、を有(特定事項B)」することに相当する。 そして、甲1発明の「各種のテーブルと各種のスツールの組み合わせ」は、本件訂正発明3の「テーブルセット」に相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明3の特定事項A、B、Fを備える。 イ 特定事項Cについて 甲1発明の「長方形テーブル」の「天板」は、本件訂正発明3の「天板」に相当する。 そして、甲1発明の「長方形テーブル」の「天板の略四隅にそれぞれ」「設けられ」た「脚」のうち、「天板」の長手方向一側に設けられた2本の脚、及び同長手方向他側に設けられた2本の脚は、それぞれ、いずれも本件訂正発明3の「天板支持脚部」に相当し、甲1発明の「天板」の長手方向一側に設けられた2本の脚、及び同長手方向他側に設けられた2本の脚は、本件訂正発明3の「一対の天板支持脚部」に相当する。 そうすると、甲1発明の「長方形テーブル」は、「天板の略四隅にそれぞれ」「設けられ」た「脚」によって支持されていることは明らかであるから、甲1発明の「天板の略四隅にそれぞれ」「設けられ」た「脚」は、本件訂正発明3の「左右方向に間隔をあけて配置された一対の天板支持脚部を有して前記天板の下方で前記天板を支持する天板支持構造体」に相当し、甲1発明の「脚の下端にキャスターが設けられ」ることは、本件訂正発明3の「天板支持構造体」の「下端部にキャスタが取り付けられ」ることに相当する。 また、甲1発明の「複数の長方形テーブルをその天板を重ねて積み重ねることが可能であ」ることは、本件訂正発明3の「複数の前記テーブルは」、「前記天板どうしを上下方向に重ねた状態で複数を積み重ね可能であ」ることに相当する。 以上のことから、甲1発明は、本件訂正発明3の特定事項Cを備える。 ウ 特定事項D 甲1発明の「背なしスツール」は、本件訂正発明3の「背もたれ」が「設けられて」いない「椅子」に相当し、甲1発明の「背なしスツール」の「座部」は、座面を備えることが自明であるから、本件訂正発明3の「座面を有する座部」に相当する。 そして、甲1発明の「座部の周縁に沿って」「設けられ」た「4本の脚」は、本件訂正発明3の「前記座部の下方で前記座部を支持する座部支持構造体」に相当する。 また、甲1発明の「各種のスツールは」、「8台までスタックすることが可能な背なしスツールを含み」、「複数のスツールを、その座部を重ねて積み重ねることが可能である」ことは、本件訂正発明3の「複数の前記椅子は」、「前記座部どうしを上下方向に重ねた状態で積み重ね可能であ」ることに相当する。 以上のことから、本件訂正発明3の特定事項Dと甲1発明は、「複数の前記椅子は、座面を有する座部と」、「前記座部の下方で前記座部を支持する座部支持構造体と、を有し、背もたれは設けられておらず、前記座部どうしを上下方向に重ねた状態で積み重ね可能であ」る点で共通する。 エ 特定事項I~Lについて 上記イより、甲1発明の「長方形テーブル」の「天板の略四隅にそれぞれ」「設けられ」た「脚」のうち、「天板」の長手方向一側に設けられた2本の脚、及び同長手方向他側に設けられた2本の脚は、それぞれ、いずれも本件訂正発明3の「天板支持脚部」に相当し、甲1発明の「天板」の長手方向一側に設けられた2本の脚、及び同長手方向他側に設けられた2本の脚は、本件訂正発明3の「一対の天板支持脚部」に相当する。 そして、甲1発明の「長方形テーブル」の「脚」は、「天板の略四隅にそれぞれ」「設けられ」ていることから、「天板」の長手方向一側に設けられた2本の脚は、本件訂正発明3の「前記一対の天板支持脚部の一方」であり、「前記天板の左右方向の一方側の縁部に沿って配置された第1天板支持脚部」に相当し(特定事項I)、甲1発明の「天板」の長手方向他側に設けられた2本の脚は、本件訂正発明3の「前記一対の天板支持脚部の他方」であり、「前記天板の左右方向の他方側の縁部に沿って配置された第2天板支持脚部」に相当する(特定事項J)。 さらに、甲1発明の「天板」の長手方向一側に設けられた2本の脚は、長手方向に直交する方向の「天板」の隅に設けられていることから、本件訂正発明3の「前記第1天板支持脚部」が「有」する、「それぞれ柱状に形成され、前後方向に間隔をあけて配置される一対の第1天板支持脚柱部材」に相当する(特定事項K)。 同様に、甲1発明の「天板」の長手方向他側に設けられた2本の脚は、本件訂正発明3の「前記第2天板支持脚部」が「有」する、「それぞれ柱状に形成され、前後方向に間隔をあけて配置される一対の第2天板支持脚柱部材」に相当する(特定事項L)。 以上のことから、甲1発明は、本件訂正発明3の特定事項I~Lを備える。 オ 特定事項Mについて 上記ウを踏まえると、甲1発明の「4本の脚」が「座部の周縁に沿って」「設けられ」ていることは、本件訂正発明3の「前記座部支持構造体は、柱状に形成され、前記座部の周縁部に沿って配置されるとともに左右方向に間隔をあけて配置された複数の座部支持脚部を有する」ことに相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明3の特定事項Mを備える。 カ 一致点・相違点 上記ア~オからみて、本件訂正発明3と甲1発明は、 「A 複数のテーブルと、 B 前記複数のテーブルと対応した複数の椅子と、を有し、 C 複数の前記テーブルは、それぞれ、天板と、下端部にキャスタが取り付けられ、左右方向に間隔をあけて配置された一対の天板支持脚部を有して前記天板の下方で前記天板を支持する天板支持構造体と、を有し、前記天板どうしを上下方向に重ねた状態で複数を積み重ね可能であり、 D’複数の前記椅子は、座面を有する座部と、前記座部の下方で前記座部を支持する座部支持構造体と、を有し、背もたれは設けられておらず、前記座部どうしを上下方向に重ねた状態で積み重ね可能であり、 I 前記一対の天板支持脚部の一方は、前記天板の左右方向の一方側の縁部に沿って配置された第1天板支持脚部であり、 J 前記一対の天板支持脚部の他方は、前記天板の左右方向の他方側の縁部に沿って配置された第2天板支持脚部であり、 K 前記第1天板支持脚部は、それぞれ柱状に形成され、前後方向に間隔をあけて配置される一対の第1天板支持脚柱部材を有し、 L 前記第2天板支持脚部は、それぞれ柱状に形成され、前後方向に間隔をあけて配置される一対の第2天板支持脚柱部材を有し、 M 前記座部支持構造体は、柱状に形成され、前記座部の周縁部に沿って配置されるとともに左右方向に間隔をあけて配置された複数の座部支持脚部を有する F テーブルセット。」の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1](特定事項D) 「座面を有する座部と、前記座部の下方で前記座部を支持する座部支持構造体と、を有し、背もたれは設けられておらず、前記座部どうしを上下方向に重ねた状態で積み重ね可能であ」る「複数の前記椅子」が、 本件訂正発明3では、「下端部にキャスタが取り付けられ」ているのに対し、 甲1発明では、このような特定がなされていない点。 [相違点2](特定事項E) 本件訂正発明3では、「前記テーブルは、前記天板の下方で前記一対の天板支持脚部の間に、前記椅子を複数積み重ねた椅子の組を、前記座部の全範囲を前記天板の外周縁よりも内側に位置させた状態で収納する椅子収納空間が形成されている」のに対し、 甲1発明では、「長方形テーブル」は、「外寸法が、W1800・D900・H700であり」、「背なしスツール」は、「外寸法が、W448・H420であり」、「8台までスタックすることが可能」である点。 [相違点3](特定事項N、O) 本件訂正発明3では、「前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、の左右方向の間隔と、前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、の左右方向の間隔と、は、いずれも前記椅子の組を収納可能な寸法であるとともに、互いに異なる寸法である」のに対し、 甲1発明では、このような特定がなされていない点。 [相違点4](特定事項R) 本件訂正発明3では、「前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、のうち、左右方向の間隔が狭い側の第1天板支持脚柱部材と、前記第2天板支持脚柱部材とに固定されている幕板が配置されて」いるのに対し、 甲1発明では、このような特定がなされていない点。 [相違点6](特定事項S) 本件訂正発明3では、「前記椅子は、前記幕板に接触している」のに対し、 甲1発明では、このような特定がなされていない点。 キ 判断 上記相違点について検討する。 (ア) 相違点1について 椅子の技術分野において、座面を支持する支持部材の下端部にキャスタを設けることは周知技術であり(以下「周知技術1」という。必要があれば、甲2記載事項等参照されたい。)、甲1発明の「スツール」に周知技術1を採用して、甲1発明の「スツール」の「座部の周縁に沿って」「設けられ」た「4本の脚」の下端部にキャスタを設けて、上記相違点1に係る本件訂正発明3の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (イ) 相違点2について a 甲3記載事項は、「テーブルは、椅子21および/またはスツール22を収納することができ」、「テーブルトップ10の下に」、「スタッキングされた2脚の椅子21を一組として」、「収納できる」ものである。 そうすると、甲3記載事項は「テーブルトップ10の長手方向の寸法」を、「テーブルトップ」「の下に」「スタッキングされた2脚の」「スツール」「を一組として、テーブルトップ10の長手方向に」「収納できるような寸法」とし、「テーブルトップ10の下に」、「スタッキングされた2脚の」「スツール」「を一組として、テーブルトップ10の長手方向に」「収納」するものといえるから、本件訂正発明3の「前記天板の下方」「に、前記椅子を複数積み重ねた椅子の組を」、「収納する椅子収納空間が形成され」ているという構成を備えている。 b 一方、甲1発明の「長方形テーブル」は、その「外寸法が、W1800・D900・H700」であり、「背なしスツール」は、その「外寸法が、W448・H420」である。 ここで、家具等の寸法をカタログに表示するにあたり、「W」、「D」、「H」は、それぞれ「幅」、「奥行き」、「高さ」を意味し、その数値の単位が「mm」であるという技術常識によれば、甲1発明の「長方形テーブル」の外寸法は、幅1800mm、奥行き900mm、高さ700mmであり、「背なしスツール」の外寸法は、幅448mm、高さ420mmである。 これらの外寸法から見て、甲1発明の「長方形テーブル」に「設けられ」た「4本の脚」の幅及び天板下の高さ、及び「背なしスツール」を「積み重ねる」際に「重ね」られる「座部」の厚さ、それぞれの数値が不明であったとしても、通常使用されているテーブルの脚の幅や天板下の高さ、及び背なしスツールの厚さを考慮すれば、甲1発明において「長方形テーブル」の「天板」の下方で「天板」の長手方向一側に設けられた2本の脚、及び同長手方向他側に設けられた2本の脚(上記イより本件訂正発明3の「一対の天板支持脚部」に相当。)の間の空間は、「背なしスツール」を複数「スタック」した「背なしスツール」の組を収納可能な大きさを有しているといえる。 さらに、甲1発明の「長方形テーブル」は、その平面視の寸法が、「W1800・D900」であり、「背なしスツール」は、その平面視の寸法が、「W448」であることからみて、甲1発明の「長方形テーブル」の「天板」の下方の空間に、「背なしスツール」を収納した場合、「背なしスツール」の「座部」の全範囲を、「長方形テーブル」の「天板」の外周縁よりも内側に位置させた状態となることは明らかである。 c そうすると、甲1発明と、甲3記載事項は、テーブルの天板の下部空間が、積み重ねられた椅子を収納可能な大きさを有するテーブルセットである点で共通するから、甲1発明の、長方形テーブルの天板の下方の空間を、甲3記載事項のように、スタッキングされたスツールを一組として収納する、収納空間とすることにより、上記相違点2に係る本件訂正発明3の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (ウ) 相違点3について a 甲4記載事項の「左右一対の後脚部である右後脚部221および左後脚部222」「の離間距離D1」は、本件訂正発明3の「前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、の左右方向の間隔」に相当し、甲4記載事項の「右前脚部211および左前脚部212の離間寸法D3」は、本件訂正発明3の「前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、の左右方向の間隔」に相当する。 そして、甲4記載事項において「離間距離D1は、天板10の横幅寸法D2よりも大きな寸法に設定されている一方」、「離間寸法D3は、天板10の横幅寸法D2よりも小さな寸法に設定されて」いることから、「離間距離D1」と「離間寸法D3」は、異なる寸法であることは明らかである。 してみると、甲4記載事項は、本件訂正発明3の「前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、の左右方向の間隔と、前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、の左右方向の間隔と、は」、「互いに異なる寸法であ」るという構成(以下「当該構成」という。)を備えているといえる。 b さらに、甲4の【0002】の「学校やオフィス等で使用される学習や事務用の机(テーブル)として、非使用時に上下方向へのスタッキング(積み重ね)を可能とするスタッキング机が知られている(例えば、特許文献1~3等を参照)。この種のスタッキング机は、天板と、天板を支持する左右一対の前後脚部を有し、例えば左右の前脚部を天板の左右縁部よりも外方に配することで、同種の他の机を上下にスタッキングすることができるようになっている。」の記載、及び【0004】に示された特許文献1~3の記載から見て、甲4記載事項が備える当該構成は、スタッキング机の技術分野において周知技術(以下、甲4記載事項も含めて「周知技術2」という。)であると認められる。 c そして、周知技術2において一方の2本の脚の組の間隔と、他方の2本の脚の組の間隔は、互いに異なる寸法であるものの、周知技術2として例示した甲4記載事項及び特許文献1~3のいずれも、天板の四隅に脚を設けたスタッキング机であることから、それらの間隔の寸法は、天板の幅寸法と比較して、さほど大きな差ではないことは明らかである。 そして、甲1発明の「背なしスツール」の幅は448mmであるから、甲1発明において、「背なしスツール」の隣り合う「脚」の外側どうしの水平方向の最大寸法が448mmであることは明らかである一方、甲1発明の「長方形テーブル」は、幅が1800mmである。 してみると、甲1発明も周知技術2もいずれも天板の略四隅に脚を設けたスタッキング机であるから、甲1発明の「長方形テーブル」の脚間の寸法として、周知技術2の脚間の寸法の関係を適用した際に、甲1発明において、「天板」の長手方向一側に設けられた2本の脚のうち、長手方向に直交する方向の一側に設けられた脚と、「天板」の長手方向他側に設けられた2本の脚のうち、長手方向に直交する方向の一側に設けられた脚との間隔と、「天板」の長手方向一側に設けられた2本の脚のうち、長手方向に直交する方向の他側に設けられた脚と、「天板」の長手方向他側に設けられた2本の脚のうち、長手方向に直交する方向の他側に設けられた脚との間隔と、は、互いに異なる寸法であることに加え、いずれも背なしスツールを収納可能な寸法となることは明らかである。 以上のとおりであるから、甲1発明に、周知技術2を適用することにより、上記相違点3に係る本件訂正発明3の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (エ) 相違点4について 上記(ウ)より、甲4記載事項の「左右一対の後脚部である右後脚部221および左後脚部222」「の離間距離D1」、「右前脚部211および左前脚部212の離間寸法D3」が、本件訂正発明3の「前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の一方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、の左右方向の間隔」、「前記一対の第1天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第1天板支持脚柱部材と、前記一対の第2天板支持脚柱部材のうちの前後方向の他方側に配置された前記第2天板支持脚柱部材と、の左右方向の間隔」に、それぞれ相当する。 また、甲4記載事項の「幕板30」は、本件訂正発明3の「幕板」に相当する。 ここで、甲4記載事項において、「離間距離D1は、天板10の横幅寸法D2よりも大きな寸法に設定されている一方」、「離間寸法D3は、天板10の横幅寸法D2よりも小さな寸法に設定されて」いることから、「右前脚部211および左前脚部212の離間寸法D3」は、「左右一対の後脚部である右後脚部221および左後脚部222」「の離間距離D1」よりも小さな寸法といえる。 してみると、甲4記載事項の「右前脚部211および左前脚部212の上端部間に」、「幕板30」の「幕板本体31」が「掛け渡される」ことは、本件訂正発明3の「左右方向の間隔が狭い側の第1天板支持脚柱部材と、前記第2天板支持脚柱部材とに固定されている幕板が配置されている」ことに相当する。 そして、甲1発明も甲4記載事項もいずれも天板の略四隅に脚を設けたスタッキング机であるから、甲1発明に甲4記載事項を適用して、上記相違点4に係る本件訂正発明3の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (オ) 相違点6について 上記(エ)にて説示のとおり、甲4記載事項の「幕板30」は、本件訂正発明3の「幕板」に相当し、甲1発明の「長方形テーブル」に甲4記載事項の「幕板30」を設けることは当業者が容易になし得たことである。 しかしながら、甲4記載事項には、椅子について特定されておらず、また甲4全体を見ても椅子についての記載はない。 そうすると、甲1発明の「長方形テーブル」に甲4記載事項の「幕板30」を設けたとしても、当該「幕板30」と、甲1発明の「背なしスツール」が接触するか否かは不明である。 したがって、甲1発明の「長方形テーブル」に甲4記載事項の「幕板30」を設けたとしても、上記相違点6に係る本件訂正発明3の構成には至らない。 また、甲2全体の記載、及び甲3全体の記載を見ても、椅子と幕板が接触することは記載されていないし、示唆もない。 よって、甲1発明に基づいて、上記相違点6に係る本件訂正発明3の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 ク 小括 以上のとおりであるから、本件訂正発明3は、甲1発明、甲3記載事項、甲4記載事項及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2) 本件訂正発明5について 本件訂正発明5と甲1発明とを対比する。 ア 特定事項A~D、Fについて 特定事項A~D、Fについては、上記(1)ア~ウのとおりである。 イ 一致点・相違点 上記(1)ア~ウ、及び上記アからみて、本件訂正発明5と甲1発明は、 「A 複数のテーブルと、 B 前記複数のテーブルと対応した複数の椅子と、を有し、 C 複数の前記テーブルは、それぞれ、天板と、下端部にキャスタが取り付けられ、左右方向に間隔をあけて配置された一対の天板支持脚部を有して前記天板の下方で前記天板を支持する天板支持構造体と、を有し、前記天板どうしを上下方向に重ねた状態で複数を積み重ね可能であり、 D’複数の前記椅子は、座面を有する座部と、前記座部の下方で前記座部を支持する座部支持構造体と、を有し、背もたれは設けられておらず、前記座部どうしを上下方向に重ねた状態で積み重ね可能である F テーブルセット。」の点で一致し、上記(1)カに示した相違点1、相違点2及び相違点6に加え、以下の相違点5で相違する。 [相違点5]特定事項P、Q 本件訂正発明5では、「前記天板の前後方向のいずれか一方側の縁部の下方で、上下方向かつ左右方向に沿って配置された幕板を有し、前記椅子収納空間は、前記幕板の前側に形成されており、前記椅子の組は、前記天板における前記幕板が配置されていない側の前記天板支持脚部の間から、前記椅子収納空間に収納されて」いるのに対し、 甲1発明では、このような構成が特定されていない点。 ウ 判断 上記相違点について検討する。 (ア) 相違点1については、上記(1)キ(ア)にて、相違点2については、上記(1)キ(イ)にて検討したとおりである。 (イ) 相違点5について 甲4記載事項の、「天板10の一の縁部」、「長方形状の幕板30」は、本件訂正発明5の「前記天板の前後方向のいずれか一方側の縁部」、「上下方向かつ左右方向に沿って配置された幕板」に、それぞれ相当する。 また、甲4記載事項は、「幕板30が設けられていない方の縁部側に使用者が着席する」ところ、「幕板30」の「使用者が着席する」側の「天板10」の下方に空間が形成されることは明らかであり、甲4記載事項の「幕板30」の「使用者が着席する」側が、本件訂正発明5の「前記幕板の前側」に相当する。 以上のことから、甲4記載事項は、本件訂正発明5の特定事項P、Qのうち「前記天板の前後方向のいずれか一方側の縁部の下方で、上下方向かつ左右方向に沿って配置された幕板を有し」、「空間は、前記幕板の前側に形成されている」との構成を備えているといえる。 ここで、上記(1)キ(イ)にて検討したとおり、甲3記載事項を適用した甲1発明は、「長方形テーブル」の「天板」の下方の空間を「椅子収納空間」とするものである。 そうすると、スタッキング机である甲1発明に、同じくスタッキング机である甲4記載事項の幕板30を採用することは、当業者が適宜なし得たことであり、そのように構成することにより生じた「幕板30」の「使用者が着席する」側の「天板10」の下方に形成される空間が、甲3記載事項を適用した甲1発明の「椅子収納空間」となることは自明である。 さらに、「幕板30」が採用された甲1発明の「椅子収納空間」に「スタック」された「背なしスツール」を収納する作業を行うにあたり、「幕板30」が配置されている側よりも、配置されていない側からの方が収納作業が平易であることは明らかであるから、「幕板30」が採用された甲1発明の「椅子収納空間」において、「スタック」された「背なしスツール」が、「幕板30」が配置されていない側の「脚」の間から収納されることもまた自明である。 (ウ) 相違点6について 相違点6については、上記(1)キ(オ)にて検討したとおりであり、甲1発明に基づいて、上記相違点5に係る本件訂正発明5の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件訂正発明5は、甲1発明、甲3記載事項、甲4記載事項及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3) 申立人の主張について ア 申立人は、令和8年1月29日提出の意見書(以下、単に「意見書」という。)において、 「(8)上記「キ」の訂正事項は、新規事項の追加に該当する。すなわち、明細書の段落【0017】、【0050】及び【0057】のいずれにおいても、「椅子3の組31」が幕板22に接触する旨が記載されているにとどまり、これらの記載から、(スタッキングされていない単体の)椅子3が幕板22に接触するものと拡大解釈することはできない。 また、図12~図15においても、椅子3の組31が幕板22に接触している様子は描かれていない。仮に図15を根拠として、椅子3の組31が幕板22に接触していると認定したとしても、それはスタッキングされた2段目の椅子3の座部支持脚部56が幕板22に接触しているにすぎず、最下段の椅子3は幕板22と接触していない。したがって、図面においても(スタッキングされていない単体の)椅子3が幕板22に接触しているとは到底理解することができない。さらに、単体の椅子3のどの部位(座部又は脚部等)が、いかなる状態(収納状態又は使用状態等)で幕板22と接触するのかについても、当初明細書等からは何ら読み取ることができない。 以上のとおり、「(スタッキングされていない単体の)椅子3が幕板22に接触する」との訂正は、当初明細書等に記載された技術的事項の範囲を超えて新たな技術的事項を導入するものであり、このような訂正を認めることは、第三者に不測の不利益を及ぼすものであって、特許法上許容されるべきものではない。」と主張する(意見書5頁1~16行)。 しかしながら、図12及び図15の記載における、椅子3の座面を有する座部32の高さ及び幕板22の下端部の高さの関係から見て、最下段の椅子3が幕板22と接触している状態になり得ることは明らかである。 そうすると、「前記椅子は、前記幕板に接触している」との訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえず、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 よって、申立人の主張は採用できない。 イ また、申立人は、意見書において、 「(B)上記「キ」の訂正事項は、訂正前後における発明の作用効果が実質的に同一でなく、特許請求の範囲の変更に該当する。 訂正の可否は、明細書全体から読み取れる発明の目的および作用効果が訂正前後で実質的に同一であるか否かによって判断されるべきである。 本件明細書において、発明の主たる課題は「収納スペースを縮小することができるテーブルセットを提供すること」(段落【0005】)にあり、その効果はその裏返しとして「テーブル下の椅子収納空間に椅子の組を収納することで、収納スペースを縮小できる点」に存する。この効果は、明細書全体を通じて一貫している。 一方、訂正後の請求項に新たに導入された構成要件「前記椅子は、前記幕板に接触している」は、訂正前明細書において発明の課題としても、また課題解決のための構成要素としても位置付けられていない。 すなわち、訂正前の作用効果が「収納スペースの縮小」であったのに対し、訂正後は「椅子収容空間の一方が幕板で閉じられ、椅子が幕板に接触して位置決めされる」といった位置決め効果に重点が置かれており、作用効果の本質が変更されている。 この訂正は、発明の評価軸そのものを「収納性」から「接触による位置決め機能」へ転換するものであり、訂正前後で作用効果が実質的に同ーであるとは到底いえない。 したがって、本件訂正は発明の要旨を変更するものであり、訂正要件を満たさない。」と主張する(意見書5頁17行~6頁7行)。 まず、「訂正の可否は、明細書全体から読み取れる発明の目的および作用効果が訂正前後で実質的に同一であるか否かによって判断されるべきである」との主張は、その根拠が不明である。 また、「前記椅子は、前記幕板に接触している」との訂正を含む訂正事項3及び訂正事項5は、いずれも、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲の拡張し、又は変更するものでないことは、上記「第2 2(3)」及び同「第2 2(5)」にて説示のとおりである。 そして、訂正事項3及び訂正事項5による訂正後の本件訂正発明3及び本件訂正発明5においては、【0005】の「収納スペースを縮小することができるテーブルセットを提供すること」という課題に対応する「テーブルセットの収納スペースを縮小することができる」(【0007】等)という効果を奏することに加え、「前記椅子は、前記幕板に接触している」と構成を限定(下位概念化)したことに対応して、「椅子の組を幕板に接触させて椅子収納空間に収納された椅子の組の位置決めを行うことができる」(【0017】)というさらなる効果が追加されたものであるから、「作用効果の本質が変更されている」ものとはいえないし、効果が追加されたことをもって、発明の要旨を変更するものとも、訂正要件を満たさないものともいえない。 よって、申立人の主張は採用できない。 ウ さらに、申立人は、意見書において、 「(C)上記「キ」の構成は、当業者にとって単なる設計上の調整事項にすぎず、技術的特徴とはいえない。 仮に、「複数の椅子を積み重ねた場合ではなく、単体の椅子が幕板に接触する点」に技術的意義を見出し得るとしても、その構成は当業者にとって自明な設計変更の範囲にとどまる。 そもそも、椅子およびテーブルは人類の生活に長年用いられてきた基本的な家具であり、幕板の位置、椅子の奥行寸法、椅子収納空間の前後方向寸法の関係は、用途や意匠、安全性等を考慮して当業者が適宜調整する、いわば寸法設計上の問題にすぎない。 とりわけ、「椅子が単体で幕板に接触する」か「積み重ねた複数の椅子のいずれかが幕板に接触する」かは、椅子の高さ、座部形状、脚部寸法、幕板の位置寸法などの設計パラメータの選択により自ずと決まるものであり、いずれの構成を採用しても新たな技術的効果をもたらすものではない。たとえば、甲5の「上段の幕板7は、天板4の後端に下方から当接している。従って、天板4の後端部は側枠の後面よりも僅かに後ろ向きにはみ出している。なお、幕板7は1枚のみでもよいし、3段以上であってもよい。また、幕板7を備えていない構成も可能であるが、堅牢性の確保のためには、左右の後ろ鉛直部5aは横長の部材で連結するのが好ましい。」(段落0026)との記載、および、甲5の「椅子3は、ローテーブル2の内部に格納できる左右幅であるが、側枠14の前後幅はハイテーブル1の側枠5及びローテーブル2の側枠11と同じ寸法になっている。従って、ローテーブル2をハイテーブル1に格納して、椅子3をローテーブル2に格納すると、各側枠5,11,14の鉛直部5a,11a,14aは左右一直線状に並ぶ。椅子3の高さは430mm程度になっているが、寸法は、ローテーブル2に格納できる範囲で任意に設定できる。」(段落0032。下左図2参照)との記載からも、幕板の位置、形状、または数量等、或いは、椅子が単体で幕板に接触するかどうは当業者にとって自明な設計変更であることが明らかである。 [図:0001436172000021.jpg] また、甲5の上記右図1(A)にも、複数枚の幕板7が記載されており、しかも、(単独の)椅子3が下段の幕板7に接触する大きさ、位置に設計されていることは明らかである。 このように、訂正後の「単体の椅子が幕板に接触する」という構成は、当業者が通常の設計検討において適宜調整可能な範囲に属するものである。」と主張する(意見書6頁8行~7頁9行)。 上記甲5に記載された「組み合わせ家具装置」は、ハイテーブル1の内部にローテーブル2を格納し、ローテーブル2の内部に椅子3を格納するものであり、椅子3が、ハイテーブル1の下段の幕板7に接触する大きさ、位置に設計されているものではある。 しかしながら、甲5の椅子3は、ローテーブル2の下部に設けられたステー22とハイテーブル1の下部に設けられたステー21を、椅子3の下部に固定された接地体19の第2係合凹所25に嵌め込むことにより、ハイテーブル1及びローテーブル2の内部に格納されるものであり、「椅子」の「下端部にキャスタが取り付けられ」ている本件訂正発明3及び本件訂正発明5とは、そもそもその前提となる構成が異なるものである。 そして、本件訂正発明3及び本件訂正発明5は、いずれも「下端部にキャスタが取り付けられ」、「幕板」を有する「テーブル」の「天板の下方」に「椅子収納空間」を「形成」し、該「椅子収納空間」に「下端部にキャスタが取り付けられ」た「椅子」を収納するものであり、「前記椅子は、前記幕板に接触している」ことにより、「椅子の組を幕板に接触させて椅子収納空間に収納された椅子の組の位置決めを行うことができ」(【0017】)、「更に、ある椅子が大きな距離をキャスタで移動してきた場合、その椅子を椅子収容空間に収容するに際しては、椅子がラフに床面上を移動させられることで移動速度が上がっていることも考えられるが、椅子収容空間の一方が幕板で閉じられており、椅子がその幕板に当接して位置決めされることにより、椅子収容空間を越えて移動してしまい、テーブルの天板奥行方向逆側にいる他の作業者や他の什器に椅子が当る危険性を低減することができる(特許権者が令和7年8月8日に提出した意見書の7頁18~23行)」という新たな技術的効果をもたらすものであるから、単なる設計変更とはいえない。 したがって、申立人の主張は採用できない。 2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1) 甲2を主たる引用例とする進歩性欠如について(上記「第4 2(2)ア」) ア 本件訂正発明3について 本件訂正発明3と甲2発明とを対比すると、両者は少なくとも上記1(1)カの相違点6にて相違する。 そして、上記1(1)キ(オ)にて説示のとおり、甲1、甲3及び甲4には、上記相違点6に係る本件訂正発明3の構成について記載も示唆もない。 したがって、甲2発明に基づいて、または、甲2発明及び甲1、甲3または甲4に記載された事項に基づいて、上記相違点6に係る本件訂正発明3の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明3は、甲2発明に基づいて、または、甲2発明及び甲1、甲3または甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本件訂正発明5について 本件訂正発明5と甲2発明とを対比すると、両者は少なくとも上記1(1)カの相違点6にて相違する。 そして、上記1(1)キ(オ)にて説示のとおり、甲1、甲3及び甲4には、上記相違点6に係る本件訂正発明5の構成について記載も示唆もない。 したがって、甲2発明に基づいて、または、甲2発明及び甲1、甲3または甲4に記載された事項に基づいて、上記相違点6に係る本件訂正発明5の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明5は、甲2発明に基づいて、または、甲2発明及び甲1、甲3または甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2) 甲3を主たる引用例とする進歩性欠如について(上記「第4 2(2)イ」) ア 本件訂正発明3について 本件訂正発明3と甲3発明とを対比すると、両者は少なくとも上記1(1)カの相違点6にて相違する。 そして、上記1(1)キ(オ)にて説示のとおり、甲1、甲2及び甲4には、上記相違点6に係る本件訂正発明3の構成について記載も示唆もない。 したがって、甲3発明に基づいて、または、甲3発明及び甲1、甲2または甲4に記載された事項に基づいて、上記相違点6に係る本件訂正発明3の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明3は、甲3発明に基づいて、または、甲3発明及び甲1、甲2または甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本件訂正発明5について 本件訂正発明5と甲3発明とを対比すると、両者は少なくとも上記1(1)カの相違点6にて相違する。 そして、上記1(1)キ(オ)にて説示のとおり、甲1、甲2及び甲4には、上記相違点6に係る本件訂正発明5の構成について記載も示唆もない。 したがって、甲3発明に基づいて、または、甲3発明及び甲1、甲2または甲4に記載された事項に基づいて、上記相違点5に係る本件訂正発明5の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明5は、甲3発明に基づいて、または、甲3発明及び甲1、甲2または甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3) 小括 したがって、本件訂正発明3及び5は、甲2発明または甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないので、本件訂正発明3及び5に係る特許は、同法第113条第2号に該当せず、特許異議申立理由により取り消すことはできない。 第7 むすび 以上のとおり、本件特許の請求項3及び5に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項3及び5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件特許の請求項1、2、4は、本件訂正により削除されたため、申立人による特許異議の申立てのうち、当該請求項1、2、4に係る特許に対する申立ては、その対象が存在しないものとなった。そのため、当該申立てについては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700388

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