特許異議申立
2020-700467
天板昇降式デスク
- 審判番号
- 2020-700467
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-232294
- 登録番号
- 特許第6627140号(P6627140)
- 請求日
- 2020年07月08日
- 審決日
- 2020年11月06日
- 公報発行日
- 2021年02月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社オカムラ
- 【権利者代理人】松沼 泰史
- 【権利者代理人】鈴木 三義
- 【異議申立人】垣木 晴彦
- 審判長/審判官
- 審判長 森次 顕
- 審判官 有家 秀郎
- 審判官 西田 秀彦
- 分類
- P1651.851-YAA(A47B) / P1651.853-YAA(A47B) / P1651.857-YAA(A47B) / P1651.841-YAA(A47B) / P1651.113-YAA(A47B) / P1651.121-YAA(A47B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6627140号発明「天板昇降式デスク」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6627140号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕、5について訂正することを認める。
特許第6627140号の請求項1及び5に係る特許を維持する。
特許第6627140号の請求項2ないし4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6627140号に係る出願は、平成26年10月30日に出願された特願2014-221893号の一部を、平成30年12月12日に新たな特許出願としたものであって、令和1年12月13日にその特許権の設定登録がされ、令和2年1月8日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許について、令和2年7月8日に特許異議申立人 垣木 晴彦(以下、「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)が提出され、請求項1ないし5に対して特許異議の申立てがされた。
その後の経緯は、以下のとおりである。
令和 2年 8月31日付け: 取消理由通知
令和 2年10月13日: 意見書の提出及び訂正の請求
なお、令和2年10月13日に提出された訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)の内容は、後記第2に示すとおり、実質的に、訂正前の請求項1、2及び4を削除したものであり、本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)後の特許請求の範囲に係る発明についても、申立人は申立書において実質的に意見を述べているということができるから、本件訂正については特許法第120条の5第5項ただし書に規定される特別の事情があるときに該当し、申立人に対して意見書を提出する機会を与える必要はないものである。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を、
「床面上に配置される下部支持体と、前記下部支持体の上方に配置されるとともに、前後方向に延びる上部支持体と、これら下部支持体と上部支持体との間を伸縮可能に連結する昇降機構ユニットと、を有する脚体と、
前記脚体の上部支持体上に支持される平板状の天板と、
前記脚体の昇降機構ユニットを制御する制御ユニットと、を有する天板昇降式デスクにおいて、
前記制御ユニットが前記天板の下面側に配設され、
前記昇降機構ユニットの昇降動作信号を入力する操作部が、操作部用配線ケーブルを介して前記制御ユニットに接続されると共に、前記天板の前端縁部下面側に配設され、
前記操作部用配線ケーブルが、前記上部支持体内に配設され、
前記上部支持体の先端部には、前記操作部用配線ケーブルを前記上部支持体内に通す開口部が形成され、
前記上部支持体の前記開口部には、該上部支持体内に通された操作部用配線ケーブルを保持するキャップ部材が嵌め込まれていることを特徴とする天板昇降式デスク。」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に、「前記上部支持体は、前記操作部用配線ケーブルを下方から保持する上部アームを備えていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の天板昇降式デスク。」とあるのを、
「床面上に配置される下部支持体と、前記下部支持体の上方に配置されるとともに、前後方向に延びる上部支持体と、これら下部支持体と上部支持体との間を伸縮可能に連結する昇降機構ユニットと、を有する脚体と、
前記脚体の上部支持体上に支持される平板状の天板と、
前記脚体の昇降機構ユニットを制御する制御ユニットと、を有する天板昇降式デスクにおいて、
前記制御ユニットが前記天板の下面側に配設され、
前記昇降機構ユニットの昇降動作信号を入力する操作部が、操作部用配線ケーブルを介して前記制御ユニットに接続されると共に、前記天板の前端縁部下面側に配設され、
前記操作部用配線ケーブルが、前記上部支持体内に配設され、
前記上部支持体は、前記操作部用配線ケーブルを下方から保持する上部アームを備えていることを特徴とする天板昇降式デスク。」に訂正する。
(6)訂正事項6
明細書の段落【0010】を、
「【0010】
本発明の天板昇降式デスクは、床面上に配置される下部支持体と、前記下部支持体の上方に配置されるとともに、前後方向に延びる上部支持体と、これら下部支持体と上部支持体との間を伸縮可能に連結する昇降機構ユニットと、を有する脚体と、前記脚体の上部支持体上に支持される平板状の天板と、前記脚体の昇降機構ユニットを制御する制御ユニットと、を有する天板昇降式デスクにおいて、前記制御ユニットが前記天板の下面側に配設され、前記昇降機構ユニットの昇降動作信号を入力する操作部が、操作部用配線ケーブルを介して前記制御ユニットに接続されると共に、前記天板の前端縁部下面側に配設され、前記操作部用配線ケーブルが、前記上部支持体内に配設され、前記上部支持体の先端部には、前記操作部用配線ケーブルを前記上部支持体内に通す開口部が形成され、前記上部支持体の前記開口部には、該上部支持体内に通された操作部用配線ケーブルを保持するキャップ部材が嵌め込まれていることを特徴とする。」に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0011】の記載を削除する。
(8)訂正事項8
明細書の段落【0012】の記載を削除する。
(9)訂正事項9
明細書の段落【0013】を、
「【0013】
また、前記天板昇降式デスクにおいては、床面上に配置される下部支持体と、前記下部支持体の上方に配置されるとともに、前後方向に延びる上部支持体と、これら下部支持体と上部支持体との間を伸縮可能に連結する昇降機構ユニットと、を有する脚体と、前記脚体の上部支持体上に支持される平板状の天板と、前記脚体の昇降機構ユニットを制御する制御ユニットと、を有する天板昇降式デスクにおいて、前記制御ユニットが前記天板の下面側に配設され、前記昇降機構ユニットの昇降動作信号を入力する操作部が、操作部用配線ケーブルを介して前記制御ユニットに接続されると共に、前記天板の前端縁部下面側に配設され、前記操作部用配線ケーブルが、前記上部支持体内に配設され、前記上部支持体は、前記操作部用配線ケーブルを下方から保持する上部アームを備えていることを特徴とする。」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、及び一群の請求項について
(1)訂正事項1
ア 訂正目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、訂正前の請求項1における「上部支持体」について、「前記上部支持体の先端部には、前記操作部用配線ケーブルを前記上部支持体内に通す開口部が形成され、前記上部支持体の前記開口部には、該上部支持体内に通された操作部用配線ケーブルを保持するキャップ部材が嵌め込まれている」との限定を付加し、実質的に訂正前の請求項3と同じ内容とするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項1による限定事項は、訂正前の請求項2及び3に記載されていた事項であるから、訂正事項1は、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行う訂正事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2ないし4
ア 訂正目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2ないし4は、訂正前の請求項2ないし4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2ないし4は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項2ないし4は、訂正前の請求項2ないし4を削除するものであるであるから、いずれも願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行う訂正事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項5
ア 訂正目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、訂正前の請求項5について、訂正前の請求項1ないし4のいずれかを引用していたところ、訂正前の請求項1を引用する請求項5を独立化するとともに、訂正前の請求項2ないし4を引用する選択肢を削除したものである。そのため、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び、同項ただし書第4号に掲げる、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを、目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項5は、訂正前の請求項1を引用する請求項5を独立化するとともに、訂正前の請求項2ないし4を引用する請求項5を削除するものであるであるから、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行う訂正事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。
(6)訂正事項6ないし9
ア 訂正目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6ないし9は、訂正事項1ないし5により訂正された請求項1ないし5の記載に、発明の詳細な説明の記載を整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する、明瞭でない記載の釈明を目的としたものである。また、訂正事項6ないし9は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当せず、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項6ないし9は、訂正事項1ないし5により訂正された請求項1ないし5の記載に、発明の詳細な説明の記載を整合させるものであるから、訂正事項1ないし5について上記(1)ないし(5)のイにおいて指摘したと同様に、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行う訂正事項である。そのため、訂正事項6ないし9は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。
(7)一群の請求項、及び独立特許要件について
訂正前の請求項1ないし5について、請求項2ないし5はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正がされるものである。そのため、請求項1ないし5は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。
本件訂正の訂正事項1ないし9は、一群の請求項である訂正前の請求項1ないし5について、特許請求の範囲を減縮、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び、発明の詳細な説明における明瞭でない記載の釈明を行うものであるから、訂正事項1ないし9は、一群の請求項[1-5]に対して請求されたものである。
そして、本件においては、訂正前の請求項1ないし5について特許異議の申立てがされているから、訂正事項1ないし5により特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正後の請求項1ないし5に係る発明について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3 まとめ
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5ただし書第2項第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件訂正は認められるべきものである。
また、本件訂正後の請求項5について、特許権者は、請求項5についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めているところ、上記のとおり本件訂正は認められるべきものであるから、本件訂正後の請求項5を本件訂正後の請求項1ないし4とは別途の訂正単位とする求めも、認められるべきものである。
よって、訂正後の請求項[1-4]、5について、本件訂正を認める。
第3 本件訂正発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし5に係る発明(以下、各々を「本件訂正発明1」等といい、請求項1ないし5に係る発明をまとめて「本件訂正発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
床面上に配置される下部支持体と、前記下部支持体の上方に配置されるとともに、前後方向に延びる上部支持体と、これら下部支持体と上部支持体との間を伸縮可能に連結する昇降機構ユニットと、を有する脚体と、
前記脚体の上部支持体上に支持される平板状の天板と、
前記脚体の昇降機構ユニットを制御する制御ユニットと、を有する天板昇降式デスクにおいて、
前記制御ユニットが前記天板の下面側に配設され、
前記昇降機構ユニットの昇降動作信号を入力する操作部が、操作部用配線ケーブルを介して前記制御ユニットに接続されると共に、前記天板の前端縁部下面側に配設され、
前記操作部用配線ケーブルが、前記上部支持体内に配設され、
前記上部支持体の先端部には、前記操作部用配線ケーブルを前記上部支持体内に通す開口部が形成され、
前記上部支持体の前記開口部には、該上部支持体内に通された操作部用配線ケーブルを保持するキャップ部材が嵌め込まれていることを特徴とする天板昇降式デスク。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
床面上に配置される下部支持体と、前記下部支持体の上方に配置されるとともに、前後方向に延びる上部支持体と、これら下部支持体と上部支持体との間を伸縮可能に連結する昇降機構ユニットと、を有する脚体と、
前記脚体の上部支持体上に支持される平板状の天板と、
前記脚体の昇降機構ユニットを制御する制御ユニットと、を有する天板昇降式デスクにおいて、
前記制御ユニットが前記天板の下面側に配設され、
前記昇降機構ユニットの昇降動作信号を入力する操作部が、操作部用配線ケーブルを介して前記制御ユニットに接続されると共に、前記天板の前端縁部下面側に配設され、
前記操作部用配線ケーブルが、前記上部支持体内に配設され、
前記上部支持体は、前記操作部用配線ケーブルを下方から保持する上部アームを備えていることを特徴とする天板昇降式デスク。」
第4 証拠一覧、異議申立理由及び取消理由の概要、並びに証拠の記載
1 証拠一覧
申立人により、申立書とともに提出された証拠は、以下のとおりである。
甲第1号証; 中国実用新案登録第201920037号公報
(CN201920037U、
2011年8月10日公告)
甲第2号証; 米国特許第6360675号公報
(US6360675B1、
2002年3月26日発行)
甲第3号証; 特開2007-130320号公報
(2007年5月31日公開)
甲第4号証; 特開平11-123108号公報
(1999年5月11日公開)
甲第5号証; 米国特許出願公開第2014/0096706号公報
(US2014/0096706A1、
2014年4月10日公開)
甲第6号証; 米国特許第6435112号公報
(US6435112B1、
2002年8月20日発行)
甲第7号証; 実願昭58-16969号(実開昭59-12343
9号)のマイクロフィルム
(1984年8月20日公開)
甲第8号証; 特開平11-113641号公報
(1999年4月27日公開)
甲第9号証; 特開平5-228024号公報
(1993年9月7日公開)
甲第10号証; 実願昭60-55401号(実開昭61-17033
1号)のマイクロフィルム
(1986年10月22日公開)
甲第11号証; 特開2003-275032号公報
(2003年9月30日公開)
甲第12号証; 実願昭63-49717号(実開平1-152533
号)のマイクロフィルム
(1989年10月20日公開)
甲第13号証; 実願平3-68993号(実開平5-18338号)
のCD-ROM
(1993年3月9日公開)
甲第14号証; 実願平3-105260号(実開平5-43928号
)のCD-ROM
(1993年6月15日公開)
甲第15号証; 特開平10-323232号公報
(1998年12月8日公開)
甲第16号証; 特開2005-102912号公報
(2005年4月21日公開)
甲第17号証; 特開2009-14186号公報
(2009年1月22日公開)
甲第18号証; 特開2003-310360号公報
(2003年11月5日公開)
甲第19号証; 国際公開第2010/054656号
(WO2010/054656A1、
2010年5月20日国際公開)
甲第20号証; 米国特許第8752488号公報
(US8752488B2、
2014年6月17日発行)
甲第21号証; 国際公開第2011/063812号
(WO2011/063812A2、
2011年6月3日国際公開)
甲第22号証; 国際公開第2013/159775号
(WO2013/159775A1、
2013年10月31日国際公開)
甲第23号証; 欧州特許第2452589号公報
(EP2452589B1、
2014年6月18日公開)
2 異議申立理由、及び取消理由の要旨
(1)申立人による異議申立理由
申立人による異議申立理由の要旨は、次のとおりである。
ア(甲第1号証を主たる引用例とした新規性)
本件特許の請求項1ないし2及び4ないし5に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証に記載された発明と、甲第2号証ないし甲第11号証、及び、甲第19号証ないし甲第23号証に記載される周知技術を考慮すれば、同一である(申立書第12頁下から4行-第16頁第12行、第17頁第13行-第18頁第12行)。
したがって、本件特許の請求項1ないし2及び4ないし5に係る発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
イ(甲第1号証を主たる引用例とした進歩性)
本件特許の請求項3に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証に記載された発明及び甲第9号証並びに甲第12号証ないし甲第23号証に記載される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである(申立書第16頁第13行-第17頁第12行、第18頁第13行-第16行)。
したがって、本件特許の請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)令和2年8月31日付けの取消理由
当審が令和2年8月31日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
本件特許の請求項1ないし2及び4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。。
3 証拠の記載
(1)甲第1号証
ア 記載事項
甲第1号証(以下、「甲1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(中文イメージの後に、申立人提出の抄訳をもとに当審で作成した仮訳を括弧書きで付した。仮訳の下線は、当審で付加した。)。
(ア)段落[0024]
([0024] 図1及び図4に示すように、本実施例は事務電動昇降テーブルを提供し、ワークトップ23とテーブルフレームを含んで、前記テーブルフレームはテーブル脚3、中間固定板9、ワークトップ23を支持する台底11及び横梁12より組成する;前記中間固定板9はテーブル脚3に連結して架け、テーブルフレーム全体の強健性を補強し、前記横梁12は台底11に連結して架け、更に横梁12と台底11をワークトップ23の下側に固定してワークトップ23を支持し、またテーブルフレーム片側の台底11にメインスイッチ2と昇降スイッチ1を設ける;台底11に固定的に連結するそれぞれのテーブル脚3には、ワークトップ23の同時上下昇降を支持する螺旋副昇降機構を内設する;前記横梁12中部にはタービン変速動力機構を設ける;前記タービン変速動力機構とそれぞれのテーブル脚3内のねじ対昇降機構の間をL型タイミングベルト6によって連動し、L型タイミングベルト6によって、タービン変速動力機構駆動はそれぞれのテーブル脚3内のねじ対昇降機構を同時に上下昇降駆動し、テーブルフレーム上のワークトップ23の高さを均一としつつ上昇下降させる。)
(イ)段落[0025]
([0025] 図3及び6では、主にタービン変速動力機構の構造図であり、タービン変速動力機構のモータ固定座27は横梁12の下方に取り付ける、タービン変速動力機構のタンクカバー7の内部に専用のスクロールバーのヘッドモータ13とプラスチックタービン14のモジュール機構を設ける、プラスチックタービンは14のモジュールは主軸16によってころがり軸受17とプラスチックタービン12を合致して、ロックナット26と併用して主軸を錠止する16の下端はなって、再びモータ固定座27内とスクロールバーのヘッドモータ13に入れて捩りの動力を出力することを嵌合する;同時主軸は16の上端用ロックスクリュー15は大同期車輪8を同時回転を錠止する。)
(ウ)段落[0028]
([0028] 外部電源が変圧器10の変圧後に、回線によりヘッドモータ13に供給され、メインスイッチ2を開け、昇降スイッチ1によって、ヘッドモータ13の運転を制御し、プラスチックタービン20を率いて回転して、同時に大同期の回を8の回転出力は動力をねじらせて、L型タイミングベルト6によって捩りの動力を変速しそれぞれのテーブル脚3に伝達するタイミングホイール4は、タイミングホイール4からそれぞれのテーブル脚3内のT型スクリュ21を率いてプラスチックナット20内で回転して、接続を上に台底が11を支えて分岐管22はスライドバー18の作用でテーブル脚3に往復するの内腔は昇降させて、且つリードスイッチ28の感応制御で、テーブルフレーム上のワークトップ23の高さを均一としつつ上下昇降させる。)
(エ)図1には、次の図示がある。
(オ)図2には、次の図示がある。
(カ)図3には、次の図示がある。
(キ)図4には、次の図示がある。
(ク)図より読み取れる事項
上記(ア)の段落[0024]の記載を勘案すると、上記(オ)の図2より、横梁12は一対の台底11に連結して架けることが、看て取れる。
上記(ア)の段落[0024]の記載を勘案すると、上記(エ)の図1及び上記(オ)の図2より、一対の台底11は、横梁12の延在方向の各端部に連結され、各台底11は横梁12の延在方向及び上下方向と略直交する方向に延在することが、看て取れる。
上記(キ)の図4より、ワークトップ23は平板状であることが、看て取れる。
上記(エ)の図1及び上記(キ)の図4より、各テーブル脚3の下端には台底11と略平行に延在する部材を設けることが、看て取れる。
上記(イ)の段落[0025]の記載を勘案すると、上記(カ)の図3より、タービン変速動力機構のタンクカバー7内にはヘッドモータ13を備えることが、看て取れる。
上記(ア)の段落[0024]の記載を勘案すると、上記(エ)の図1及び上記(オ)の図2より、メインスイッチ2は、メインスイッチ2の操作部が台底11の手前部側面から突出するように、メインスイッチ2の一部が台底11内に埋設されるように配置され、昇降スイッチ1は、メインスイッチ2とは別に、台底11の外側、かつ台底11の前端部近傍に配置されることが、看て取れる。
また、上記(エ)の図1には、メインスイッチ2より手前の台底11側面に、小さな切り欠き様の印が図示されている。
イ 記載された発明
上記アより、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
「ワークトップ23とテーブルフレームとを含む、事務電動昇降テーブルであって、
テーブルフレームはテーブル脚3、中間固定板9、ワークトップ23を支持する台底11及び横梁12より組成し、
横梁12は一対の台底11に連結して架け、
一対の台底11は、横梁12の延在方向の各端部に連結され、各台底11は横梁12の延在方向及び上下方向と略直交する方向に延在し、
横梁12と台底11をワークトップ23の下側に固定してワークトップ23を支持し、ワークトップ23は平板状であり、
台底11に固定的に連結するそれぞれのテーブル脚3には、ワークトップ23の同時上下昇降を支持する螺旋副昇降機構を内設し、各テーブル脚3の下端には台底11と略平行に延在する部材を設け、
横梁12中部にはタービン変速動力機構を設け、タービン変速動力機構のタンクカバー7内にはヘッドモータ13を備え、
テーブルフレーム片側の台底11にメインスイッチ2と昇降スイッチ1を設け、メインスイッチ2は、メインスイッチ2の操作部が台底11の手前部側面から突出するように、メインスイッチ2の一部が台底11内に埋設されるように配置され、昇降スイッチ1は、メインスイッチ2とは別に、台底11の外側、かつ台底11の前端部近傍に配置され、
メインスイッチ2を開け、昇降スイッチ1によってヘッドモータ13の運転を制御し、動力をそれぞれのテーブル脚3に伝達して、ワークトップ23を上下昇降させる、
事務電動昇降テーブル。」
(2)甲第2号証
甲第2号証(以下、「甲2」という。)には、次の記載がある(英文の後に、申立人提出の抄訳をもとに当審で作成した仮訳を括弧書きで付した。英文及び仮訳の下線は、当審で付加した。)。
ア 第2欄第44行~第59行
Referring initially to FIG. 1, there is shown an adjustable table assembly 10 of the present invention, which includes a generally rectangular, horizontally extending work surface coupled to a base 30 including a pair of horizontally extending feet 32 and 34 to which there is mounted vertically extending base legs 40 and 50 in spaced relationship to one another and coupled by a cross member 45. The work surface may be of any conventional material, such as a laminated composite board, solid wood, polymeric material, glass, or the like. Mounted to the underside 22 of work surface 20 are a pair of motor actuating assemblies 60 and 70, each of which are substantially identical. Assemblies 60 and 70 each include a low profile housing enclosing an electrical drive motor and right angle drive which is coupled to a screw jack, which couples to a thrust nut mounted in each of the legs 40 and 50, respectively.
(最初に参照する図1には、本発明の調節可能なテーブル組立体10が示されており、これは、互いに対して間隔をあけた関係に延在するベース脚40および50が垂直に取り付けられて水平に延びる脚部32及び34の対を有するベース30に結合されて、横断部材45によって結合されたほぼ長方形の、水平方向に延びている作業面を含んでいる。作業面は、任意の従来の材料、例えば、積層複合板、木材、ポリマー材料、ガラスなどであってもよい。作業面20の下面22に取り付けられたモータ駆動アセンブリ60、70の各々は、実質的に同一である。アセンブリ60および70はそれぞれ、ねじジャッキ、脚部40および50の各々に取り付けられているスラストナットに連結され、電気駆動モータおよび直角駆動装置を囲むハウジングを含む。)
イ 第2欄第60行~第3欄第2行
Telescopic leg assemblies 80 and 90 couple the motor actuating assemblies 60 and 70 to base legs 40 and 50, respectively, and extend within the base legs when retracted and out of the legs when extended as the work surface height is adjusted in a vertical direction as indicated by arrow A in FIG. 1. Each of the motor actuating assemblies 60 and 70 is coupled to a motor control 95 also mounted to the underside 22 of work surface 20 by means of a conductor or cord 62 for actuator 60 and 72 for actuator 70. Conductors 62, 72 are signal and power control conductors, respectively.
(図1に矢印Aで示すように、作業面の高さは、垂直方向に調整されるように、伸縮する脚組立体80、90は、モータ駆動アセンブリ60、70を脚部40及び50にそれぞれ結合されており、後退するときは、ベース脚の内部および拡張したときに、脚部の外に伸びている。モータ駆動アセンブリ60および70はそれぞれ、アクチュエータ70用のアクチュエータ60及び72に対する伝導体またはコード62により、作業面20の下側22に取り付けられたモータ制御装置95に接続されている。導体62、72は、信号及び電力制御、である。)
ウ 第3欄第3行~第27行
The motor control 95 is coupled to an operator control 100 by means of a conductor or cord 102. Operator control 100 is mounted to the front underside edge of surface 22 such that the operator control switches are conveniently accessible. Operator control 100 includes a plurality of switches such as a down control touch switch 101, an up control touch switch 102, a digital display 104 displaying a digital number representing the height level of work surface and memory position switches 105 through 109. An AC power cord 93 having a conventional electrical plug (not shown) is coupled to a wall outlet for supplying operating power to the motor control 95 which, in turn, converts the input power to the desired operating voltages for motors contained within actuators 60 and 70 in response to commands from operator control 100 through motor control 95. Motor control 95 includes a microprocessor programmed to receive signals representing the position of the telescopic leg assemblies 80 and 90 such that certain frequently used or desired positions can be stored in memory and, by actuating one of the preset switches 105-109, the table surface can be moved to the desired position in response to an input command signal. Although the table shown in FIG. 1 is a two-pedestal table, it can be appreciated that the present invention can be employed with single pedestal tables, tables having three or more legs or dual section tables with front and rear work surfaces.
(モータ制御装置95は、導電体またはケーブル102によってオペレータ制御装置100に結合されている。オペレータ制御装置100は、オペレータ制御スイッチが都合よくアクセスされるように、作業面の下側22の前方縁部に取り付けられている。オペレータ制御部100は、降圧制御スイッチ101、制御スイッチ102と、作業面の高さレベルを表すデジタル数を表示するデジタルディスプレイ104およびメモリ位置スイッチ105-109のような、複数のスイッチを含む。従来の電気プラグ(図示せず)を有する、言い換えると、モータ制御装置95を介してオペレータ制御装置100からのコマンドに応答して、アクチュエータ60及び70内のモータの入力電力を所望の動作電圧に変換してモータ制御部95に動作電源を供給する壁コンセントに結合されるAC電源コード93のモータ制御部95は、ある頻度で使用されるか、所望の位置はメモリに記憶することができるように、伸縮可能な脚部アセンブリ80、90の位置を表す信号を受け取るようにプログラムされたマイクロプロセッサを含み、このプリセットスイッチ105-109の1つを作動することにより、テーブル面は、入力されたコマンド信号に応答して所望の位置に移動させることができる。図1に示すテーブルは2脚のテーブルであるが、本発明は、単一の脚、あるいは3個又はそれ以上の脚を有するテーブル、または前面及び後面に作業面を備えた2部分から成るテーブルにも採用できることが、理解されよう。)
エ 第1図
また甲2には、次の第1図が示されている。
(3)甲第3号証
甲第3号証には、次の図示がある。
(4)甲第4号証
甲第4号証には、次の図示がある。
(5)甲第5号証
甲第5号証には、次の図示がある。
(6)甲第6号証
甲第6号証には、次の図示がある。
(7)甲第7号証
甲第7号証には、次の図示がある。
(8)甲第8号証
甲第8号証には、次の図示がある。
(9)甲第9号証
甲第9号証には、次の記載がされている。
ア 段落【0032】-【0034】
「【0032】次に、本実施例の机15を、複数連設していく構造について、図1、図3、図4及び図5を参照して説明する。まず、床面27に設置された第1の机15Aの側部に、第2の机15Bを配設する。そして、相互に隣接する第2フレーム29、29間に、チャンネル材38を開口側を上方に向けてビス止め固定する。さらに、第2フレーム29、29の先端側にコンセントボックス39を設ける。また、コンセントボックス39に、床開口部35から引き込まれてきた電気、電話コード6をチャンネル材38内を這わしながら接続する。最後に、天板受部20上に天板パネル17を配設する。
【0033】これにより、複数の机15A、15B…を連設する際に、隣接する第2フレーム29、29間にチャンネル材38による配線ダクトが設けられる構造とされので、図3に示すように、コンピューターの端末4や電話5をサイドキャビネット9上に設置し、かつそれら端末4や電話5のコードをコンセントボックス39に接続して机15a、15aの手元で使用すると、コード6が床面27を走り回ることがなく、しかも机上にもコード6などが走り回らないので、机上を常に広いスペースで使用することができる。
【0034】以上、述べたことから容易に理解できるように、本実施例は、架台ユニット16、16が一体化されることにより、対向配置されて形成された机15a、15aの腰板パネル18、18間に空間部36が設けられるので、その、空間部36を、電気、電話コード6等を自由に配線することができる配線スペースとして利用することができる。」
イ 図4には、次の図示がある。
(10)甲第10号証
甲第10号証には、次の図示がある。
(11)甲第11号証
甲第11号証には、次の図示がある。
(12)甲第12号証
甲第12号証には、次の図示がある。
(13)甲第13号証
甲第13号証には、次の図示がある。
(14)甲第14号証
甲第14号証には、次の図示がある。
(15)甲第15号証
甲第15号証には、次の図示がある。
(16)甲第16号証
甲第16号証には、次の図示がある。
(17)甲第17号証
甲第17号証には、次の図示がある。
(18)甲第18号証
甲第18号証には、次の記載がされている。
ア 段落【0020】-【0022】
「【0020】第1実施形態では、平面視略L字状の机天板2における前側縁(作業者と対峙する側)は平面視で略円弧状の凹湾曲状の前縁部2eが形成されており、該机天板2の下面に配置された本発明に係る抽斗装置15は、前記凹湾曲状の前縁部2eに対して前後引き出し動できるように設けられている(図1(a)、図2参照)。
【0021】抽斗装置15は、平面視矩形状の上面開放箱型の抽斗本体16と、該抽斗本体16の前側の前枠部材17とからなり、第1実施形態では、図3に示すように、前枠部材17は、前鏡板18の後部に筆記具や小物を収納できる上面開放状のトレイ部19が合成樹脂材にて一体的に形成されたものを抽斗本体16の前端に係合させる等して固定(連結)した構成とする。前鏡板18の平面視形状は、前記凹湾曲状の前縁部2eと略沿うように形成されている。
【0022】前記抽斗本体16は、ノート型パソコン等の携帯型OA機器30を閉蓋した状態にて収納できる収納部となり、前枠部材17の左右略中央部には、抽斗本体16の前端部に隣接した後板21と、前鏡板18とにわたるように、上端側に、前記携帯型OA機器30に接続した電源ケーブル31を外に連通させるようした上向き開放状の通線用の切欠き凹所20を設ける。なお、携帯型OA機器30がノート型パソコン(コンピュータ)である場合には、上面にキーボード部を備えた本体部30aと、このキーボード部を覆うための開閉回動可能な蓋30bの下面側には液晶パネル型モニタが組み込まれている。また、本体部内にはバッテリ及び電圧調整器が内装されており、本体部の電源スイッチをOFF状態にすると、電源コンセントに接続した前記電源ケーブルから電圧調整器を介してバッテリに充電可能となるように構成されている。」
イ 図3には、次の図示がある。
(19)甲第19号証
甲第19号証には、次の図示がある。
(20)甲第20号証
甲第20号証には、次の図示がある。
(21)甲第21号証
甲第21号証には、次の図示がある。
(22)甲第22号証
甲第22号証には、次の図示がある。
(23)甲第23号証
甲第23号証には、次の図示がある。
第5 判断
上記第3のとおり、本件訂正請求による訂正は全て認められ、請求項2ないし4は削除されたので、本件訂正発明1及び5について、取り消されるべきか否かを判断する。
1 取消理由通知に記載した取消理由について
本件訂正発明1及び5に対応する、本件訂正前の請求項3及び5に係る発明について、先の取消理由通知においては、取消理由を通知していない。
そのため、本件訂正発明1及び5は、先の取消理由通知に記載した取消理由により、取り消されるべきものではない。
2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、本件訂正発明1に対応する本件訂正前の請求項3に係る発明について、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証に記載された発明及び甲第9号証並びに甲第12号証ないし甲第23号証に記載される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨を申立てている。
また申立人は、本件訂正発明5に対応する本件訂正前の請求項5に係る発明について、本件訂正前の請求項5に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証に記載された発明と、甲第2号証ないし甲第11号証、及び、甲第19号証ないし甲第23号証に記載される周知技術を考慮すれば、同一である旨を申立てている。
そこで、本件訂正発明1及び5が、申立人が申立てる上記の特許異議申立理由により、取り消されるべきか否かを、判断する。
(1)本件訂正発明1
ア 甲1発明との対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明における「事務電動昇降テーブル」は、「ワークトップ23を上下昇降させる」ものであることを踏まえると、本件訂正発明1における「天板昇降式デスク」に相当する。
甲1発明における「事務電動昇降テーブル」の「テーブルフレーム」が有する「テーブル脚3」の「下端」に設けられる「台底11と略平行に延在する部材」は、「テーブル脚3」の下端に設けられるから、床面上に配置されてテーブル脚3を含む事務電動昇降テーブルを支持することが明らかであり、本件訂正発明1における「床面上に配置される下部支持体」に相当する。
甲1発明における「台底11」は、「テーブル脚3」の「下端」に設けられる「部材」と「略平行」に配置され、かつ「テーブル脚3」と「固定的に連結」されるとともに、「ワークトップ23の下側に固定してワークトップ23を支持」するものであるから、本件訂正発明1における「前記下部支持体の上方に配置される」「上部支持体」に相当する。また、甲1発明における「台底11」が、「横梁12の延在方向及び上下方向と略直交する方向に延在」する構成は、「横梁12」は「横」という語からも「事務電動昇降テーブル」の左右に延在すると解されることを勘案すると、「台底11」は左右方向及び上下方向と直交する方向である前後方向に延在することとなるから、本件訂正発明1における「上部支持体」が「前後方向に伸びる」構成に相当する。
甲1発明における「テーブル脚3」は、「ワークトップ23の下側に固定」される「台底11」に「固定的に連結」され、「ワークトップ23の同時上下昇降を支持する螺旋副昇降機構を内設」しているから、「テーブル脚3の下端」に設けられた部材と「台底11」との間を伸縮可能に連結しているということができ、本件訂正発明1における「これら下部支持体と上部支持体との間を伸縮可能に連結する昇降機構ユニット」に相当する。
また、甲1発明における「テーブル脚3の下端」に設けられた「台底11と略平行に延在する部材」、「台底11」、及び「テーブル脚3」の組合せは、本件訂正発明1における「下部支持体」、「上部支持体」、及び「昇降機構ユニット」を有する「脚体」に相当する。
甲1発明における「ワークトップ23」は、「台底11」を「下側に固定」して「支持」される「平板状」のものであるから、本件訂正発明1における「脚体の上部支持体上に支持される平板状の天板」に相当する。
甲1発明において、「横梁12中部」に設けられ、「タンクカバー7内」に「ヘッドモータ13」を備えた「タービン変速動力機構」は、「タービン変速動力機構」が有する「ヘッドモータ13の運転を制御」すると、「動力をそれぞれのテーブル脚3に伝達して、ワークトップ23を上下昇降させる」ことから、制御される「ヘッドモータ13の運転」を介して「テーブル脚3」の「上下昇降」を制御するユニットということができ、本件訂正発明1における「前記脚体の昇降機構ユニットを制御する制御ユニット」に相当する。
甲1発明において、「タービン変速動力機構」が「横梁12中部」に設けられる構成は、「横梁12」が「ワークトップ23の下側に固定」されることをふまえると、「運転を制御」される「ヘッドモータ13」を含む「タービン変速動力機構」がワークトップ23の下面側に配設されているということができ、本件訂正発明1において「制御ユニットが前記天板の下面側に配設され」る構成に相当する。
甲1発明における「昇降スイッチ1」は、「昇降スイッチ1によってヘッドモータ13の運転を制御し、動力をそれぞれのテーブル脚3に伝達して、ワークトップ23を上下昇降させる」ものであるから、「ワークトップ23の同時上下昇降を支持する螺旋副昇降機構を内設」する「テーブル脚3」に関して、「ヘッドモータ13の運転」を介した昇降動作の信号を「昇降スイッチ1」により入力するものということができ、本件訂正発明1における「昇降機構ユニットの昇降動作信号を入力する操作部」に相当する。
以上より、甲1発明と本件訂正発明1とは、
「床面上に配置される下部支持体と、前記下部支持体の上方に配置されるとともに、前後方向に延びる上部支持体と、これら下部支持体と上部支持体との間を伸縮可能に連結する昇降機構ユニットと、を有する脚体と、
前記脚体の上部支持体上に支持される平板状の天板と、
前記脚体の昇降機構ユニットを制御する制御ユニットと、を有する天板昇降式デスクにおいて、
前記制御ユニットが前記天板の下面側に配設され、
前記昇降機構ユニットの昇降動作信号を入力する操作部を備える、
天板昇降式デスク。」
という点で一致し、次の点で相違する。
<相違点1>
「操作部」の配設に関し、
本件訂正発明1においては、「操作部」が「天板の前端縁部下面側に配設」されると特定されているのに対し、
甲1発明においては、「昇降スイッチ1」が「ワークトップ23」の「前端縁部下面側に配設」されるとは、特定されていない点。
<相違点2>
本件訂正発明1においては、「操作部」が「操作部用配線ケーブルを介して前記制御ユニットに接続される」と特定されるとともに、「操作部用配線ケーブルが、前記上部支持体内に配設され」ていると特定され、かつ、「前記上部支持体の先端部には、前記操作部用配線ケーブルを前記上部支持体内に通す開口部が形成され、前記上部支持体の前記開口部には、該上部支持体内に通された操作部用配線ケーブルを保持するキャップ部材が嵌め込まれている」と特定されているのに対し、
甲1発明においては、「昇降スイッチ1」が「操作部用配線ケーブル」を介して、ヘッドモータ13を含むタービン変速動力機構に接続されるとは特定されておらず、また「操作部用配線ケーブル」が台底11内に配設されるとは特定されていない点。
イ 相違点についての判断
(ア)相違点2について
事案に鑑み、相違点2について判断する。
上記第4の3(2)に摘記した甲2の記載にも示されるように、作業面の高さが垂直方向に調節されるテーブル組立体において、オペレータ制御スイッチを備えるオペレータ制御装置を、作業面の下側に取り付けられたモータ制御装置に、ケーブルによって結合することは、周知技術である。
甲1発明においても、昇降スイッチ1によってヘッドモータ13の運転を制御するうえで、上記周知技術を採用し、ヘッドモータ13を備えるタービン変速動力機構内にモータ制御装置を配置するとともに、昇降スイッチ1をケーブルによってモータ制御装置に結合し、もって上記相違点2に係る本件訂正発明1の構成のうち、「操作部」が「操作部用配線ケーブルを介して制御ユニットに接続される」構成に相当する構成に至ることは、当業者であれば容易に想到できた事項である。
またその際、甲1発明では、「メインスイッチ2の一部が台底11内に埋設」されており、メインスイッチ2への配線は台底11内に配設される蓋然性が高いこと、並びに、上記第4の3(1)ア(エ)に示した甲1の図1には、同(ク)に指摘したように、メインスイッチ2より手前の台底11側面に小さな切り欠き様の印が示されていることを勘案すると、甲1発明において上記甲2にも示される周知技術を採用して、昇降スイッチ1をケーブルによってモータ制御装置と結合する際に、ケーブルの配置に関して、甲1の図1に切り欠き様の印が図示される位置に実際に切り欠きを形成し、昇降スイッチ1と結合するケーブルを当該切り欠きの部位から台底11内に入れることにより、メインスイッチ2への配線と併せて台底11内に配設することとし、もって「操作部用配線ケーブルが、前記上部支持体内に配設されている」という、上記相違点2に係る本件訂正発明1の構成のうち操作部用配線ケーブルの配置に関する構成に相当する構成を採用することは、当業者が適宜になし得た設計事項程度ということができる。
しかしながら、甲1の図1に示される、メインスイッチ2より手前の台底11側面における小さな切り欠き様の印は、ケーブルを通すに足りる程度のわずかな切り欠き様の印が特段の説明もなく付されているものであるところ、甲1発明において、当該切り欠き様の印の位置にケーブルを通すに足りる大きさより大きな開口部を形成したうえで、当該開口部にケーブルを保持するキャップ部材を嵌め込むことは、甲1中に示唆されておらず、動機付けがあるということもできない。また、仮に、甲1の図1に示される、メインスイッチ2より手前の台底11側面における小さな切り欠き様の印が、実際に当該印の部分に切り欠き溝を形成することを示す趣旨であるとしても、当該印の部分に形成する切り欠き溝を、ケーブルを通すに足りる程度の小さな印に対応した切り欠き溝から、より大きな開口部に変更したうえで、当該開口部にケーブルを保持するキャップ部材を嵌め込むことは、甲1中に示唆されておらず、動機付けがあるということもできない。
この点について、申立人は、甲第9号証、及び甲第12号証ないし甲第18号証に示される周知技術に基いて、甲1発明における台底11の切り欠きを開口部とし、かつ、当該開口部に、昇降スイッチ1と結合するケーブルを保持するキャップ部材を嵌め込む構成とすることは、当業者であれば想到容易である旨を主張している(申立書第16頁第13行-第17頁第12行)。
甲第9号証には、上記第4の3(9)に摘記したように、第1の机15Aと第2の机15Bとで隣接する第2フレーム29、29間にチャンネル材38を固定し、第2フレーム29,29の先端側にコンセントボックス39を設けることで、チャンネル材38内を這わせた電気、電話コードと、コンピュータの端末4や電話5のコードとを、コンセントボックス39を介して接続可能とする技術が示されている。けれども、甲1の図1に示される台底11の側面の小さな切り欠き様の印は、その印の位置に実際に切り欠きを形成するとしても、昇降スイッチ1からのケーブルを通せば足りるものであり、切り欠き様の印が示される場所、大きさ、及び当該切り欠きを通した接続の対象は、甲第9号証に示されるコンセントボックス39とは大きく異なる。そして、たとえ甲第9号証に示されるコンセントボックス39が周知技術であるとしても、甲1発明において、甲1の図1に示される台底11側面の小さな切り欠き様の印を、甲第9号証に示されるコンセントボックスに変更する動機付けは、甲1には見いだせない。
また、甲第12号証ないし甲第18号証には、それぞれ上記第4の3(12)ないし(18)に摘記した事項が記載されているが、甲第12号証ないし甲第17号証に示されるのは、アーム状の部材の先端開放部に嵌めるキャップであり、甲第18号証に示されるのは、抽斗装置15に設ける前鏡板18であるから、いずれも甲1の図1に示される台底11側面の小さな切り欠き様の印に適用する動機付けがあるものではない。
そして、本件異議申立におけるその他の証拠について検討しても、甲1発明における台底11について、甲1の図1に示される台底11側面の小さな切り欠き様の印を、相違点2に係る本件訂正発明1の構成に相当する構成へと改変することを示唆しているということはできない。
したがって、甲1発明において、上記相違点2に係る本件訂正発明1の構成に至ることは、甲2に示される周知技術、及び甲第9号証ないし甲第18号証に示される周知技術を参照しても、当業者が容易に想到できたものではない。
(イ) 進歩性まとめ
上記アのとおり、相違点2に係る本件訂正発明1の構成は、甲2に示される周知技術、及び甲第9号証ないし甲第18号証に示される周知技術を参照しても、当業者が容易に想到できたものではないから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、申立人が申立てるように、甲1発明、及び、甲第9号証ないし甲第18号証に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、本件訂正発明1は、申立人が申立てる特許異議申立理由によって、取り消されるべきものではない。
(2)本件訂正発明5
ア 甲1発明との対比
本件訂正発明5は、本件訂正発明1における「前記上部支持体の先端部には、前記操作部用配線ケーブルを前記上部支持体内に通す開口部が形成され、前記上部支持体の前記開口部には、該上部支持体内に通された操作部用配線ケーブルを保持するキャップ部材が嵌め込まれている」という構成に代えて、「前記上部支持体は、前記操作部用配線ケーブルを下方から保持する上部アームを備えている」という構成を有するものである。
そのため、本件訂正発明5を甲1発明と対比すると、一致点及び相違点1は、上記(1)アに対比した本件訂正発明1と甲1発明との一致点、及び相違点1と同様となる。そして、本件訂正発明5と甲1発明とは、本件訂正発明1と甲1発明との相違点2に代えて、次の相違点3を有することとなる。
<相違点3>
本件訂正発明5においては、「操作部」が「操作部用配線ケーブルを介して前記制御ユニットに接続される」と特定されるとともに、「操作部用配線ケーブルが、前記上部支持体内に配設され」ていると特定され、かつ、「前記上部支持体は、前記操作部用配線ケーブルを下方から保持する上部アームを備えている」と特定されているのに対し、
甲1発明においては、「昇降スイッチ1」が「操作部用配線ケーブル」を介して、ヘッドモータ13を含むタービン変速動力機構に接続されるとは特定されておらず、また「操作部用配線ケーブル」が台底11内に配設されるとは特定されていない点。
イ 相違点についての判断
(ア)相違点3について
事案に鑑み、相違点3について判断する。
上記第4の3(2)に摘記した甲2の記載にも示されるように、作業面の高さが垂直方向に調節されるテーブル組立体において、オペレータ制御スイッチを備えるオペレータ制御装置を、作業面の下側に取り付けられたモータ制御装置に、ケーブルによって結合することは、周知技術である。
甲1発明においても、昇降スイッチ1によってヘッドモータ13の運転を制御するうえで、上記周知技術を採用し、ヘッドモータ13を備えるタービン変速動力機構内にモータ制御装置を配置するとともに、昇降スイッチ1をケーブルによってモータ制御装置に結合し、もって上記相違点2に係る本件訂正発明1の構成のうち、「操作部」が「操作部用配線ケーブルを介して制御ユニットに接続される」構成に相当する構成に至ることは、当業者であれば容易に想到できた事項である。
またその際、甲1発明では、「メインスイッチ2の一部が台底11内に埋設」されており、メインスイッチ2への配線は台底11内に配設される蓋然性が高いこと、並びに、上記第4の3(1)ア(エ)に示した甲1の図1には、同(ク)に指摘したように、メインスイッチ2より手前の台底11側面に小さな切り欠き様の印が示されていることを勘案すると、甲1発明において上記甲2にも示される周知技術を採用して、昇降スイッチ1をケーブルによってモータ制御装置と結合する際に、ケーブルの配置に関して、甲1図1に切り欠き様の印が図示される位置に実際に切り欠きを形成し、昇降スイッチ1と結合するケーブルを当該切り欠きの部位から台底11内に入れることにより、メインスイッチ2への配線と併せて台底11内に配設することとし、もって「操作部用配線ケーブルが、前記上部支持体内に配設されている」という、上記相違点2に係る本件訂正発明5の構成のうち操作部用配線ケーブルの配置に関する構成に相当する構成を採用することは、当業者が適宜になし得た設計事項程度ということができる。
しかしながら、相違点3に係る本件訂正発明5の構成は、「前記上部支持体は、前記操作部用配線ケーブルを下方から保持する上部アームを備えている」という構成を含むところ、甲1発明において、単に昇降スイッチ1からのケーブルが台底11内に入っているというだけでは、台底11が「上部アーム」を備えており、かつ、「上部アーム」が「操作部用配線ケーブルを下方から保持」しているということはできない。
この点について、申立人は申立書において、甲1発明における台底11は、昇降スイッチ1やマスタースイッチ2からの操作部用配線ケーブルが内部に通され、下方から保持しているから、甲1発明は、本件訂正発明5における「前記上部支持体は、前記操作部用配線ケーブルを下方から保持する上部アームを備えている」という構成に相当する構成を有する旨を主張している(申立書第17頁下から4行-第18頁第5行)。
けれども、相違点3に係る本件訂正発明5の構成においては、「上部支持体」の「上部アーム」が「操作部用配線ケーブル」を「下方から保持する」のであるから、本件訂正発明5に係る「上部支持体」は、単に操作部用配線ケーブルを中に配置していれば足りるというものではなく、「操作部用配線ケーブル」を保持する部材として「上部アーム」という具体的な構造を有し、かつ、当該「上部アーム」は、「操作部用配線ケーブルを下方から保持する」という具体的な保持形態に適した構造を有するものである。
そして、当該相違点3に係る本件訂正発明5の「上部支持体」の構成は、甲1に開示されたものではなく、また「上部アーム」という具体的な構造を特定したものであるから、甲1発明との実質的な相違点である。
なお、本件異議申立におけるその他の証拠について検討しても、相違点3に係る本件訂正発明5が有する「上部支持体」の具体的構造について、甲1発明との実質的な相違点ではないことを示すような記載は、見いだすことはできない。
よって、相違点3は、形式的な相違点ではなく、実質的な相違点である。
(イ) 新規性まとめ
上記アのとおり、相違点3に係る本件訂正発明5の構成は、単なる形式的な相違点ではなく実質的な相違点であるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明5は、申立人が申立てるように、甲1発明と同一ではない。
よって、本件訂正発明5は、申立人が申立てる特許異議申立理由によって、取り消されるべきものではない。
第6 むすび
以上のとおり、本件訂正は全て認められるとともに、本件訂正発明1及び5に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。また、本件訂正発明1及び5に係る特許について、他に取り消すべき理由を発見しない。
本件特許の請求項2ないし4に係る発明は、本件訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てのうち、請求項2ないし4に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により、却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2020-700467