2025-700350
情報出力システムおよび情報出力システムの制御プログラム
- 審判番号
- 2025-700350
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-150356外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7594066
- 請求日
- 2025年03月27日
- 審決日
- 2026年02月02日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1652.113-YAA(G06Q) / P1652.121-YAA(G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の2第2項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
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特許第7594066号(以下「本件特許」という。)の請求項1~8に係る特許についての出願は、令和5年9月15日に出願され、令和6年11月25日にその特許権の設定登録がされ、同年12月3日に特許掲載公報が発行された。
そして、本件特許の請求項1~2に対して、令和7年3月27日に特許異議申立人 望月 俊一(以下「特許異議申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。
その後の手続の経緯は、次のとおりである。
同年10月 1日 :特許権者による訂正請求、意見書の提出
同年12月 1日付け:訂正請求があった旨の通知
(特許法第120条の5第5項)
なお、以下では、令和7年10月1日提出の訂正請求書を、「本件訂正請求」という。
第2 訂正の適否について
合議体は、本件訂正請求を認めると判断する。その具体的理由は以下のとおりである。
1 訂正請求の内容
本件訂正請求は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「画像を取得する画像取得部と、」
と記載されているのを、
「前記建築材料から所定の距離だけ離れた位置で撮影することを指示するメッセージを含む操作画面を、撮影装置に表示するメッセージ表示部と、前記撮影装置で撮影した画像を取得する画像取得部と、」に訂正する。
また、請求項1の記載を引用する請求項2も、同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に
「前記一の建築材料に関する前記複数のサンプル画像は、第1の光を前記一の建築材料に照射した状態で前記一の建築材料を撮影した画像である第1の照明画像と、前記第1の光の色温度とは異なる色温度を有する第2の光を前記一の建築材料に照射した状態で前記一の建築材料を撮影した画像である第2の照明画像とを含む、請求項2に記載の情報出力システム。」
と記載されているのを、
「建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムであって、画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部にて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力部とを備え、前記建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)のうち少なくともいずれか1つを含み、前記学習済みモデルは、一の建築材料に関する互いに異なる複数のサンプル画像の各々を問題データとし、前記一の建築材料を特定する情報を正解データとした、教師あり学習により構築されたものであり、前記一の建築材料に関する前記複数のサンプル画像は、第1の光を前記一の建築材料に照射した状態で前記一の建築材料を撮影した画像である第1の照明画像と、前記第1の光の色温度とは異なる色温度を有する第2の光を前記一の建築材料に照射した状態で前記一の建築材料を撮影した画像である第2の照明画像とを含む、情報出力システム。」
に訂正する。
また、請求項3の記載を引用する請求項4~5も、同様に訂正するものと
認められる。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6に
「前記学習済みモデルはニューラルネットワークを含む、請求項1に記載の情報出力システム。」
と記載されているのを、
「建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムであって、画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部にて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力部とを備え、前記建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)のうち少なくともいずれか1つを含み、前記学習済みモデルはニューラルネットワークを含む、情報出力システム。」
に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7に
「前記情報出力システムは、撮影装置をさらに備え、前記撮影装置は、画像を撮影する撮影部と、前記撮影部にて撮影した画像を前記画像取得部に送信する送信部と、前記出力部にて出力した情報を受信する受信部とを含む、請求項1に記載の情報出力システム。」
と記載されているのを、
「建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムであって、画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部にて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力部とを備え、前記建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)のうち少なくともいずれか1つを含み、前記情報出力システムは、撮影装置をさらに備え、前記撮影装置は、画像を撮影する撮影部と、前記撮影部にて撮影した画像を前記画像取得部に送信する送信部と、前記出力部にて出力した情報を受信する受信部とを含む、情報出力システム。」
に訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0013】に
「本発明の一の局面に従う情報出力システムは、建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムであって、画像を取得する画像取得部と、画像取得部にて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力部とを備え、建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)のうち少なくともいずれか1つを含む。」
と記載されているのを、
「本発明の一の局面に従う情報出力システムは、建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムであって、建築材料から所定の距離だけ離れた位置で撮影することを指示するメッセージを含む操作画面を、撮影装置に表示するメッセージ表示部と、撮影装置で撮影した画像を取得する画像取得部と、画像取得部にて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力部とを備え、建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)のうち少なくともいずれか1つを含む。」
に訂正する。
(6)訂正事項6
明細書の段落【0015】に
「上記情報出力システムにおいて好ましくは、一の建築材料に関する複数のサンプル画像は、第1の光を一の建築材料に照射した状態で一の建築材料を撮影した画像である第1の照明画像と、第1の光の色温度とは異なる色温度を有する第2の光を一の建築材料に照射した状態で一の建築材料を撮影した画像である第2の照明画像とを含む。」
と記載されているのを、
「本発明の他の局面に従う情報出力システムは、建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムであって、画像を取得する画像取得部と、画像取得部にて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力部とを備え、建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)のうち少なくともいずれか1つを含み、学習済みモデルは、一の建築材料に関する互いに異なる複数のサンプル画像の各々を問題データとし、一の建築材料を特定する情報を正解データとした、教師あり学習により構築されたものであり、一の建築材料に関する複数のサンプル画像は、第1の光を一の建築材料に照射した状態で一の建築材料を撮影した画像である第1の照明画像と、第1の光の色温度とは異なる色温度を有する第2の光を一の建築材料に照射した状態で一の建築材料を撮影した画像である第2の照明画像とを含む。」
に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0019】に
「上記情報出力システムにおいて好ましくは、学習済みモデルはニューラルネットワークを含む。」
と記載されているのを、
「本発明のさらに他の局面に従う情報出力システムは、建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムであって、画像を取得する画像取得部と、画像取得部にて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力部とを備え、建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)のうち少なくともいずれか1つを含み、学習済みモデルはニューラルネットワークを含む。」
に訂正する。
(8)訂正事項8
明細書の段落【0020】に
「上記情報出力システムにおいて好ましくは、情報出力システムは、撮影装置をさらに備え、撮影装置は、画像を撮影する撮影部と、撮影部にて撮影した画像を画像取得部に送信する送信部と、出力部にて出力した情報を受信する受信部とを含む。」
と記載されているのを、
「本発明のさらに他の局面に従う情報出力システムは、建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムであって、画像を取得する画像取得部と、画像取得部にて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力部とを備え、建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)のうち少なくともいずれか1つを含み、情報出力システムは、撮影装置をさらに備え、撮影装置は、画像を撮影する撮影部と、撮影部にて撮影した画像を画像取得部に送信する送信部と、出力部にて出力した情報を受信する受信部とを含む。」
に訂正する。
(9)訂正事項9
明細書の段落【0021】に
「本発明の他の局面に従う情報出力システムの制御プログラムは、壁紙である建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムの制御プログラムであって、画像を取得する画像取得ステップと、画像取得ステップにて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力ステップとをコンピューターに実行させるものであり、建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)のうち少なくともいずれか1つを含む。」
と記載されているのを、
「本発明のさらに他の局面に従う情報出力システムの制御プログラムは、壁紙である建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムの制御プログラムであって、画像を取得する画像取得ステップと、画像取得ステップにて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力ステップとをコンピューターに実行させるものであり、建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)のうち少なくともいずれか1つを含む。」
に訂正する。
2 訂正の適否についての判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の情報出力システムの構成に対して、「前記建築材料から所定の距離だけ離れた位置で撮影することを指示するメッセージを含む操作画面を、撮影装置に表示するメッセージ表示部」を備えるとの構成を付加して限定するとともに、訂正前の「画像を取得する画像取得部」との構成について、当該「画像」が「前記撮影装置で撮影した」ものである旨の記載を付加して限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張するものではなく、変更するものでもない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 新規事項の追加の有無について
本件特許の訂正前の明細書の段落【0064】、【0031】を参照すれば、訂正事項1に係る訂正は、本件特許の訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項1に係る訂正は、上記アのとおりの構成を付加して限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張するものではなく、変更するものでもない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
エ 独立特許要件について
訂正事項1が対象とする請求項1~2は、特許異議の申立てがされた請求項であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項で規定する独立特許要件は課されない。
(2)訂正事項2~4について
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項3の記載が訂正前の請求項2の記載を引用するものであったところ、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正である。同様に、訂正事項3~4は、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正である。
したがって、訂正事項2~4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。
イ 新規事項の追加の有無並びに特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項2~4に係る訂正は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ウ 独立特許要件について
訂正事項2~4に係る訂正は、上記アのとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とするものであるから、同条第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項で規定する独立特許要件は課されない。
(3)訂正事項5~9について
ア 訂正の目的について
訂正事項5~9は、上記訂正事項1~4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。したがって、訂正事項5~9は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の追加の有無について
訂正事項5~9は、上記訂正事項1~4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であって、上記訂正事項1~4と同様に、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項5~9に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項5~9は、明細書を対象とした訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に規定の要件は課されない。
エ 独立特許要件について
訂正事項5~9に係る訂正は、上記アのとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号を目的とするものであるから、同条第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項で規定する独立特許要件は課されない。
(4)訂正の適否についての小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。また、同法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項で規定する独立特許要件は課されない。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~2〕、〔3~5〕、6、7について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件特許発明
本件訂正請求により訂正された請求項1及び2に係る発明(以下「本件特許発明1」及び「本件特許発明2」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムであって、前記建築材料から所定の距離だけ離れた位置で撮影することを指示するメッセージを含む操作画面を、撮影装置に表示するメッセージ表示部と、前記撮影装置で撮影した画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部にて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力部とを備え、前記建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform ResourceLocator)のうち少なくともいずれか1つを含む、情報出力システム。【請求項2】前記学習済みモデルは、一の建築材料に関する互いに異なる複数のサンプル画像の各々を問題データとし、前記一の建築材料を特定する情報を正解データとした、教師あり学習により構築されたものである、請求項1に記載の情報出力システム。」
第4 取消理由通知書に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
当審において令和7年7月31日付けで特許権者に通知した取消理由は、以下のとおりである。
(1)本件特許発明1は、下記甲第1号証に記載された発明であって、特許法29条1項3号に掲げる発明であるから、請求項1に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。
(2)本件特許発明1~2は、下記甲第1号証に記載された発明並びに下記甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1~2についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
2 証拠方法
3 甲号証の記載
特許異議申立の証拠方法として提出された甲第1号証から甲第6号証(以下「甲1」などという。)には、それぞれ以下の事項が記載されている。
(1)甲1(特開2021-111209号公報)
ア 甲1の摘記
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲1(令和3年8月2日出願公開。)には、次の記載がある。(下線は当審において付与した。下記(2)から(6)において同様。)
「【0004】本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、建築物を構成する資材に関する情報を簡易な操作で表示できる情報表示装置、情報表示方法及びプログラムを提供することにある。」
「【0011】図1は、本実施形態に係る情報表示装置10の構成の一例を示す図である。情報表示装置10は、例えば携帯機器(スマートフォン、タブレット、ノートPCなど)であり、カメラ140とディスプレイ120を備える。建築物を構成する資材の画像をカメラ140で撮影すると、情報表示装置10は、撮影した画像をインターネットなどのネットワーク9を介して既製品情報提供サーバ20に送信する。既製品情報提供サーバ20は、情報表示装置10から受信した画像に基づいて、画像に写された資材と類似している既製品を検索し、検索により見つかった1以上の既製品の情報を情報表示装置10に送信する。情報表示装置10は、既製品情報提供サーバ20から受信した1以上の既製品の情報をディスプレイ120に表示する。これにより、実物の資材をカメラ140で撮影するだけの簡単な操作により、撮影した資材に類似する既製品の情報を表示することが可能となる。・・・途中省略・・・【0013】続きを表示(全20行)図1に示す情報表示装置10は、通信部110と、ディスプレイ120と、入力部130と、カメラ140と、インターフェース部150と、測位部155と、記憶部160と、処理部170とを有する。・・・途中省略・・・【0024】処理部170は、上述した情報表示処理の実行に関連する構成要素として、画像取得部171と、情報取得部172と、表示処理部173と、既製品情報記録部174と、履歴記録部175と、設計用データ登録部176とを有する。【0025】[画像取得部171]画像取得部171は、カメラ140により撮影された画像(以下、「撮影画像」と記す場合がある。)を取得する処理を行う。例えば、画像取得部171は、後述する検索結果表示画面40(図2)を表示する場合、カメラ140の撮影画像を周期的に取得する。【0026】[情報取得部172]情報取得部172は、画像取得部171において撮影画像が取得されると、取得された撮影画像に基づいて、撮影画像に写された資材(建築物を構成する資材)に類似する1以上の既製品の情報を取得する。例えば情報取得部172は、画像取得部171において撮影画像が周期的に取得される度に、取得された撮影画像に基づいて、撮影画像に写された資材に類似する1以上の既製品の情報を取得する。【0027】例えば情報取得部172は、撮影画像に写された資材に類似する1以上の既製品の情報を、既製品情報提供サーバ20(図1)から取得する。【0028】既製品情報提供サーバ20は、与えられた撮影画像に基づいて、撮影画像に写された資材に類似する既製品を検索する画像検索処理を実行する。既製品情報提供サーバ20は、画像検索処理により見つかった既製品(撮影画像に写された資材に類似する既製品)の情報を、情報表示装置10に提供する。例えば既製品情報提供サーバ20は、様々な既製品の画像を深層学習などの手法により機械学習させることで構成された識別器を備える。既製品情報提供サーバ20は、与えられた撮影画像に対する識別器の出力に基づいて、撮影画像に写された資材に類似する1以上の既製品を特定する。【0029】例えば情報取得部172は、既製品情報提供サーバ20に対し、撮影画像に写された資材に類似する既製品の情報の提供を求める情報提供要求を送信する。既製品情報提供サーバ20は、情報表示装置10から情報提供要求を受信すると、情報提供要求に含まれる撮影画像について画像検索処理を行い、撮影画像に写された資材に類似する1以上の既製品を特定する。そして既製品情報提供サーバ20は、特定した既製品の情報(メーカー名、型名、単価など)を情報表示装置10に送信する。情報取得部172は、情報提供要求に応答した既製品情報提供サーバ20から、画像検索処理により検索された1以上の既製品の情報を取得する。」
「【0032】情報取得部172は、後述する検索結果表示画面40(図2)において表示される1以上の既製品の中から1つの既製品を選択することを求めるユーザの指示が入力部130により入力されると、当該1つの既製品に関する詳細情報を取得する。例えば情報取得部172は、ユーザの指示により選択された既製品の詳細情報の提供を要求する情報提供要求を既製品情報提供サーバ20に対して送信し、この情報提供要求に応答した既製品情報提供サーバ20から、選択された既製品の詳細情報を取得する。」
「【0035】表示処理部173は、撮影画像に写された資材に類似する1以上の既製品の情報が情報取得部172において取得されると、当該1以上の既製品の情報を表示する検索結果表示画面40(図2)を生成する。検索結果表示画面40は、本発明における第1既製品表示画面の一例である。」
「【0039】表示処理部173は、検索結果表示画面40(図2)やお気に入り一覧表示画面60(図3)を表示しているとき、入力部130から入力されるユーザの指示に応じて情報取得部172により既製品の詳細情報が取得されると、取得された詳細情報を表示する詳細表示画面50(図2)を生成する。詳細表示画面50は、本発明における第2既製品表示画面の一例である。」
「【0050】[検索結果表示画面40]図2の右上側に示す検索結果表示画面40は、初期画面30のボタン302(図2)や、お気に入り一覧表示画面60のボタン602(図3)、閲覧履歴表示画面70のボタン702(図3)、BIM登録画面80のボタン802(図4)がタッチされた場合に表示される。検索結果表示画面40の上側の領域には、カメラ140で撮影中の画像430がリアルタイムに表示される。画像430の下側には、それぞれ既製品の情報(メーカー名、型番、単価)を表示する3つの領域411~413が縦に並んで配置される。この例において、既製品はカーペットである。3つの領域411~413の横には、それぞれ類似度を表す図形421~423が表示される。図形421~423の中心に類似度の数値(パーセント)が配置され、数値の周りに円環形状のインジケータが配置される。円環形状のインジケータは、類似度が大きいほど閉じた円の形状に近づく。」
「【0055】[詳細表示画面50]図2の左下側に示す詳細表示画面50は、検索結果表示画面40の領域411がタッチされた場合に表示される画面であり、メーカーA製の型番aaaaの既製品に関する詳細情報を示す。他方、図2の右下側に示す詳細表示画面50は、検索結果表示画面40の領域412がタッチされた場合に表示される画面であり、メーカーB製の型番bbbbの既製品に関する詳細情報を示す。【0056】詳細表示画面50の上側の領域には、既製品のサンプル画像520が表示され、サンプル画像520の下側の領域511には、既製品に関する詳細なテキストの情報が表示される。領域511の更に下側には、カタログサイトへ移行するためのボタン501と、設計用データ登録部176による設計データの登録を実行するためのボタン502と、既製品情報記録部174による情報の記録(お気に入りの記録)を実行するためのボタン503と、SNSへの記事の投稿を実行するためのボタン504とが配置される。サンプル画像520の左上隅には、詳細表示画面50の表示を終了して検索結果表示画面40に戻るためのボタン505が表示される。」
「【0107】上述した実施形態では、既製品情報提供サーバ20から既製品の情報を取得しているが、本発明の他の実施形態では、情報表示装置10において既製品情報提供サーバ20と同等な画像検索処理を行い、撮影画像に移された資材に類似する既製品の情報を取得してもよい。」
「【図1】[図:0001435185000001.jpg]【図2】[図:0001435185000002.jpg]」
イ 甲1の記載事項
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上記アで摘記した記載を参酌すると、甲1には以下の事項が記載されているに等しいといえる。
(ア)段落【0011】及び【図1】の記載から、甲1には「情報表示装置10、既製品情報提供サーバ20、インターネットなどのネットワーク9を構成として備えた、建築物を構成する資材に関する情報を表示するシステム」が記載されている。
(イ)段落【0013】、【0024】、【図1】の記載から、甲1には「情報表示装置10は、通信部110と、ディスプレイ120と、入力部130と、カメラ140と、インターフェース部150と、測位部155と、記憶部160と、処理部170とを有し、
処理部170は、画像取得部171と、情報取得部172と、表示処理部173と、既製品情報記録部174と、履歴記録部175と、設計用データ登録部176とを有する」との事項が記載されている。
(ウ)段落【0025】には、「画像取得部171は、カメラ140により撮影された画像を取得する処理を行う」との事項が記載されている。
(エ)段落【0026】、【0029】の記載から、甲1には「情報取得部172は、画像取得部171において撮影画像が取得されると、既製品情報提供サーバ20に対し、撮影画像に写された資材に類似する既製品の情報の提供を求める情報提供要求を送信し、情報提供要求に応答した既製品情報提供サーバ20から、画像検索処理により検索された1以上の既製品の情報を取得する」との事項が記載されている。
(オ)段落【0028】、【0029】の記載から、甲1には「既製品情報提供サーバ20は、様々な既製品の画像を深層学習などの手法により機械学習させることで構成された識別器を備え、情報表示装置10から情報提供要求を受信すると、情報提供要求に含まれる撮影画像に対する識別器の出力に基づいて画像検索処理を行い、撮影画像に写された資材に類似する1以上の既製品を特定し、特定した既製品の情報(メーカー名、型名、単価など)を情報表示装置10に送信する」との事項が記載されている。
(カ)段落【0035】、【0039】の記載から、甲1には「表示処理部173は、撮影画像に写された資材に類似する1以上の既製品の情報が情報取得部172において取得されると、当該1以上の既製品の情報を表示する検索結果表示画面40を生成し、そして、検索結果表示画面40を表示しているとき、入力部130から入力されるユーザの指示に応じて情報取得部172により既製品の詳細情報が取得されると、取得された詳細情報を表示する詳細表示画面50を生成する」との事項が記載されている。
(キ)段落【0056】、【図2】の記載から、甲1には「詳細表示画面50には、既製品のサンプル画像520や既製品に関する詳細なテキストの情報やカタログサイトへ移行するためのボタン501等が表示される」との事項が記載されている。
ウ 甲1発明
上記イから、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
<甲1発明>
情報表示装置10、既製品情報提供サーバ20、インターネットなどのネットワーク9を構成として備えた、建築物を構成する資材に関する情報を表示するシステムであって、(上記イ(ア))
情報表示装置10は、通信部110と、ディスプレイ120と、入力部130と、カメラ140と、インターフェース部150と、測位部155と、記憶部160と、処理部170とを有し、
処理部170は、画像取得部171と、情報取得部172と、表示処理部173と、既製品情報記録部174と、履歴記録部175と、設計用データ登録部176とを有し、(上記イ(イ))
画像取得部171は、カメラ140により撮影された画像を取得する処理を行い、(上記イ(ウ))
情報取得部172は、画像取得部171において撮影画像が取得されると、既製品情報提供サーバ20に対し、撮影画像に写された資材に類似する既製品の情報の提供を求める情報提供要求を送信し、情報提供要求に応答した既製品情報提供サーバ20から、画像検索処理により検索された1以上の既製品の情報を取得し、(上記イ(エ))
表示処理部173は、撮影画像に写された資材に類似する1以上の既製品の情報が情報取得部172において取得されると、当該1以上の既製品の情報を表示する検索結果表示画面40を生成し、そして、検索結果表示画面40を表示しているとき、入力部130から入力されるユーザの指示に応じて情報取得部172により既製品の詳細情報が取得されると、取得された詳細情報を表示する詳細表示画面50を生成し、(上記イ(カ))
詳細表示画面50には、既製品のサンプル画像520や既製品に関する詳細なテキストの情報やカタログサイトへ移行するためのボタン501等が表示され、(上記イ(キ))
ここで、既製品情報提供サーバ20は、様々な既製品の画像を深層学習などの手法により機械学習させることで構成された識別器を備え、情報表示装置10から情報提供要求を受信すると、情報提供要求に含まれる撮影画像に対する識別器の出力に基づいて画像検索処理を行い、撮影画像に写された資材に類似する1以上の既製品を特定し、特定した既製品の情報(メーカー名、型名、単価など)を情報表示装置10に送信するものである、(上記イ(オ))
建築物を構成する資材に関する情報を表示するシステム。
(2)甲2(撮れば分かる!建材・家具検索アプリ「Pic Archi(ビックアーキ)」を提供開始)
ア 甲2の摘記
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲2(下記(ア)に記載された日付から、2020年4月17日に公開されたものと推認される。)には、次の記載がある。
(ア)「[図:0001435185000003.jpg]」
(イ)「[図:0001435185000004.jpg]」
(ウ)「[図:0001435185000005.jpg]」
(エ)「[図:0001435185000006.jpg]」
イ 甲2の記載事項
折りたたみ中(クリックで表示)
上記アで摘記した記載を参酌すると、甲2には以下の事項が記載されているに等しいといえる。
(ア)上記ア(イ)には、「「Pic Archi」は、・・・建材・家具検索アプリです。・・・同一・類似商品を簡単に検索することができます。」と記載されている。
技術常識を踏まえると、「建材・家具検索」の結果、「建材・家具検索に関する情報を出力する」ことは明らかである。また、「情報処理出力システム」であることは明らかである。
したがって、甲2には、「建材・家具検索に関する情報を出力する情報処理出力システム」について記載されているといえる。
(イ)上記ア(ウ)の「撮影する」によれば、甲2記載の情報処理出力システムは、「撮影装置で撮影した画像を取得する画像取得部」を備えることは明らかである。
(ウ)上記ア(ウ)の「撮影する」及び「候補を出す」によれば、甲2記載の情報処理出力システムは、「前記画像取得部にて取得した画像を入力として」、画像検索を行うことは明らかである。
また、
上記ア(イ)の「なお、画像検索機能の基盤に「Image Search」を採用することで、高速かつ精度の高い検索を実現しました。」との記載、
上記ア(エ)の「「Image Search」は、アリババグループが独自に開発した、機械学習やディープラーニング(深層学習)などの技術を活用した画像検索エンジンです。」
との記載から、甲2には「機械学習やディープラーニング(深層学習)などの技術を活用」して画像検索を行うことが記載されているといえる。
また、上記ア(イ)の「気になった建材・家具の写真を撮影するだけで、同一・類似商品を簡単に検索することができます。」との記載及び上記ア(ウ)の記載を踏まえると、甲2には、画像検索により、「前記画像取得部にて取得した画像の建材・家具と同一・類似商品に関する情報を出力する出力部」が記載されているといえる。
以上を踏まえると、甲2には、「前記画像取得部にて取得した画像を入力として、機械学習やディープラーニング(深層学習)などの技術を活用して、前記画像取得部にて取得した画像の建材・家具と同一・類似商品に関する情報を出力する出力部」を備えることが記載されているといえる。
(エ)上記ア(イ)には、「商品の詳細ページからは、メーカーのデジタルカタログや、BIM(Building Information Modeling)オブジェクトのプラットフォームを目指す建築建材総合検索サイト「Arch-LOG(アークログ)」の商品ページに遷移することも可能」と記載されている。
ウ 甲2発明
上記イから、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
<甲2発明>
建材・家具検索に関する情報を出力する情報処理出力システムであって、(上記イ(ア))
撮影装置で撮影した画像を取得する画像取得部と、(上記イ(イ))
前記画像取得部にて取得した画像を入力として、機械学習やディープラーニング(深層学習)などの技術を活用して、前記画像取得部にて取得した画像の建材・家具と同一・類似商品に関する情報を出力する出力部とを備え、(上記イ(ウ))
商品の詳細ページからは、メーカーのデジタルカタログや、BIM(Building Information Modeling)オブジェクトのプラットフォームを目指す建築建材総合検索サイト「Arch-LOG(アークログ)」の商品ページに遷移することも可能である情報出力システム(上記イ(エ))
(3)甲3(スマホで撮影→AIで検索→BMIへ!梓設計の「Pic Archi」を試してみた)
ア 甲3の摘記
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲3(下記(ア)に記載された日付から、2020年6月3日に公開されたものと推認される。)には、次の記載がある。
(ア)「[図:0001435185000007.jpg]」
(イ)「[図:0001435185000008.jpg]」
(ウ)「[図:0001435185000009.jpg]」
(エ)「[図:0001435185000010.jpg][図:0001435185000011.jpg][図:0001435185000012.jpg]」
(オ)「[図:0001435185000013.jpg]」
イ 甲3の記載事項
折りたたみ中(クリックで表示)
上記アで摘記した記載を参酌すると、甲3には以下の事項が記載されているに等しいといえる。
(ア)上記ア(イ)及び(ウ)には、建材などの製品の型番やバリエーション、価格を表示することが記載されている。また、当該事項を実現するものが、「情報処理出力システム」であるといえる。
したがって、甲3には、「建材などの製品の型番やバリエーション、価格を表示する情報出力システム」について記載されているといえる。
(イ)上記ア(イ)~(エ)には、建材などを撮影することが記載されており、情報処理システムが、撮影した画像を取得する手段を備えることは明らかである。
したがって、甲3には、「撮影装置で撮影した画像を取得する画像取得部」を備えることが記載されているといえる。
(ウ)上記ア(イ)には、
「スマートフォンで気になる建材などを撮影するだけで、ナ、ナ、ナ、ナント、--」と記載されている。
当該記載から、「前記画像取得部にて取得した画像を入力として」検索がされることは明らかである。
また、上記ア(オ)には、「画像認識の学習済みアルゴリズムを搭載したシステムを使って」検索を行うことについて記載されている。
また、上記ア(ウ)及び(エ)には、検索の結果、「建材などの製品の型番やバリエーション、価格を表示する」ことについて記載されている。
以上を踏まえると、甲3には、「前記画像取得部にて取得した画像を入力として、画像認識の学習済みアルゴリズムを搭載したシステムを使って、建材などの製品の型番やバリエーション、価格を表示する出力部」が記載されているといえる。
(エ)上記ア(ウ)には、「製品の型番やバリエーション、価格が表示されるとともに、製品の紹介サイトに飛んでさらに細かい情報を得ることができる」ことが記載されている。
ウ 甲3発明
上記イから、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
<甲3発明>
建材などの製品の型番やバリエーション、価格を表示する情報出力システムであって、(上記イ(ア))
撮影装置で撮影した画像を取得する画像取得部と、(上記イ(イ))
前記画像取得部にて取得した画像を入力として、画像認識の学習済みアルゴリズムを搭載したシステムを使って、建材などの製品の型番やバリエーション、価格を表示する出力部とを備え、(上記イ(ウ))
製品の型番やバリエーション、価格が表示されるとともに、製品の紹介サイトに飛んでさらに細かい情報を得ることができる、情報出力システム(上記イ(エ))
(4)甲4(国際公開第2011/078174号)
ア 甲4の摘記
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲4(2011年6月30日国際公開。)には、次の記載がある。
「[0010] 本発明に係る態様における検索支援システムによれば、商品画像データが蓄積されているデータベースと、入力画像データに対して、当該入力画像データの画像についての特徴を示す画像特徴情報と同一又は類似した画像特徴情報の商品画像データを前記データベースから取得する検索部と、日時に関する日時情報、場所に関する場所情報、状況に関する状況情報のうち少なくとも1つを含む検索条件を設定する条件設定部と、を有し、前記検索部は、前記条件設定部によって設定された前記検索条件をもとに、前記商品画像データの検索を行い、前記検索部によって取得された商品画像データと共に、当該商品画像データに対応する商品と異なる他の商品に関する情報を出力することができる。」
「[0021] <第1の実施形態>以下、本発明の一実施形態による検索支援システムを、図面を参照して説明する。図1は本実施形態による検索支援システムの構成例を示すブロック図である。この図において、検索支援システムは、検索サーバ1と、インターネットなどからなる情報通信網Iを介して上記検索サーバ1に接続されるユーザ端末2とを有している。ここで、ユーザ端末2は、ユーザの有する端末であり、それぞれユーザ固有のユーザ識別情報により識別される。以下、本実施形態においては、ユーザが検索したい対象物として、ファッション商品、服、靴、ネックレス、帽子などの商品の検索及び購買を例にとり説明する。なお、本実施形態では、ファッション商品、服、靴、ネックレス、帽子などの商品に限られず、電化製品、家具、絵画など、インターネット又はネットワークを介して検索できる対象物に適用することも可能である。また、本実施形態における対象物とは、一例として、商品、物品、電化製品、家具、絵画、店舗や会社を含む建物、植物、動物、不動産(マンションの外観、内装、間取り、などを含む)、風景、などが挙げられる。」
「[0030] 次に、図1及び図4を用いて、本実施形態における検索支援システムの動作を説明する。図4は、本実施形態における検索支援システムの動作例を説明するフローチャートである。以下の説明において、種類判定部12を設けた場合について説明する。種類判定部12を設けない場合、種類判定部12の処理がフローチャートから省かれることになる。ユーザがユーザ端末2に接続されているカラースキャナなどにより雑誌などから気に入った服を着ているモデルの画像を読み取り、あるいはデジタルカメラにより撮影する、あるいはインターネットから画像をダウンロードする(ステップS1)。そして、ユーザは、読み取った画像、撮影した画像、或いはダウンロードした画像を、入力画像データとしてユーザ端末2に入力し、この入力画像データに複数の種類の商品の有無により(ステップS2)、検索したい商品の画像の領域を選択するか否かを判定する。なお、上記の入力画像データは、予めユーザ端末2に記憶されていてもよいし、外部の端末に記憶されていてもよい。」
「[0032] ユーザ端末2は、ユーザが入力した入力画像データ(画像選択を行ったデータを含む)と、用途情報とを、自身のユーザ識別情報とともに、検索依頼信号として情報通信網Iを介して検索サーバ1へ送信する(ステップS4)。(中略)[0038] 次に、検索部13は、検索された商品の商品識別情報を抽出ファイルから読み出し、この商品識別情報に対応する商品の商品情報(商品名、商品の価格、商品画像データ販売店舗、URL、店舗の電話番号及び住所のうち少なくとも一つを含む情報)を商品テーブルから読み出し、送受信部17を介してユーザのユーザ端末2へ送信する(ステップS10)。ここで、一例として、送受信部17は、検索依頼信号がユーザ端末2から送信される時に付加されるユーザ端末2のネットワーク上のアドレスを読み出し、このアドレスに対して上記商品情報を送信する。そして、ユーザ端末2は商品販売検索サーバ1から送信された、検索結果の商品名、画像データ、店舗及び価格の情報を表示画面に表示する。なお、上述のステップS5においては、検索サーバ1は、データベース16におけるユーザ登録テーブルにおいて、検索依頼信号に含まれるユーザ識別情報が上記ユーザ登録テーブルに登録されていることが検出された場合のみ、検索依頼信号に含まれる入力画像データをもとにデータベース16から検索対象の商品画像データを抽出するようにしてもよい。また、検索サーバ1は、検索依頼信号に含まれるユーザ識別情報が上記ユーザ登録テーブルに登録されていないことを検出した場合、例えば、ユーザ識別情報に基づくユーザ登録が必要である旨をユーザ端末2に対して送信するようにすればよい。」
イ 甲4の記載事項
折りたたみ中(クリックで表示)
上記アで摘記した記載を参酌すると、甲4には以下の事項が記載されているに等しいといえる。
(ア)段落[0021]には、検索支援システムについて記載されており、検索の対象物の一例として、商品、物品、電化製品、家具、絵画、店舗や会社を含む建物、植物、動物、不動産(マンションの外観、内装、間取り、などを含む)、風景、などが挙げられることが記載されている。
してみれば、甲4には、「不動産(マンションの外観、内装、間取り、などを含む)等を検索の対象物とする検索支援システム」が記載されている。
(イ)段落[0021]には、「検索支援システムは、検索サーバ1と、ユーザ端末2とを有している」ことが記載されている。
(ウ)段落[0030]には、「ユーザがユーザ端末2に接続されているカラースキャナなどにより雑誌などから気に入った服を着ているモデルの画像を読み取り、あるいはデジタルカメラにより撮影する、あるいはインターネットから画像をダウンロードする(ステップS1)。そして、ユーザは、読み取った画像、撮影した画像、或いはダウンロードした画像を、入力画像データとしてユーザ端末2に入力し、・・・」と記載されている。
してみれば、甲4には、「ユーザは、デジタルカメラにより撮影した入力画像データをユーザ端末2に入力する」ことが記載されている。
(エ)段落[0032]~[0038]には、「ユーザ端末2は、ユーザが入力した入力画像データを商品販売検索サーバ1へ送信し、商品販売検索サーバ1は、検索された商品の商品情報(商品名、商品の価格、商品画像データ販売店舗、URL、店舗の電話番号及び住所のうち少なくとも一つを含む情報)を商品テーブルから読み出し、ユーザ端末2へ送信し、ユーザ端末2は、商品販売検索サーバ1から送信された商品情報を表示画面に表示する」ことが記載されている。
ウ 甲4発明
上記イから、甲4には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
不動産(マンションの外観、内装、間取り、などを含む)等を検索の対象物とする検索支援システムであって、(上記イ(ア))
検索支援システムは、検索サーバ1と、ユーザ端末2とを有しており、(上記イ(イ))
ユーザは、デジタルカメラにより撮影した入力画像データをユーザ端末2に入力し、(上記イ(ウ))
ユーザ端末2は、ユーザが入力した入力画像データを商品販売検索サーバ1へ送信し、商品販売検索サーバ1は、検索された商品の商品情報(商品名、商品の価格、商品画像データ販売店舗、URL、店舗の電話番号及び住所のうち少なくとも一つを含む情報)を商品テーブルから読み出し、ユーザ端末2へ送信し、ユーザ端末2は、商品販売検索サーバ1から送信された商品情報を表示画面に表示する、(上記イ(エ))
検索支援システム
(5)甲5(特開2017-107443号公報)
ア 甲5の摘記
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲5(平成29年6月15日出願公開。)には、次の記載がある。
「【0030】図3(b)に示すように、建築要素情報記憶部25には、工事現場における各工程において用いられる建築要素に関する建築要素管理データ250が記録される。この建築要素管理データ250は、建築工事における各工程で用いられる建築要素が決まった場合に記録される。建築要素管理データ250は、工程、建築要素に関するデータを含んで構成される。」
「【0038】(教師データ作成処理)まず、図4、図6を用いて、教師データ作成処理を説明する。ここでは、管理サーバ20の制御部21は、学習用画像の特定処理を実行する(ステップS1-1)。具体的には、制御部21の学習処理部212は、管理者端末30に対して、学習用画像の入力要求を出力する。この場合、管理者端末30を用いて、教師データの作成に用いる学習用画像を入力する。本実施形態では、学習用画像として、建築要素(被写体)を含む工事現場を撮影した複数の撮影画像(例えば、数万枚の画像)を用いる場合を想定する。各学習用画像には、被写体を特定する建築要素に関する情報が関連付けられている。この場合、学習処理部212は、管理者端末30から取得した学習用画像をメモリに仮記憶する。ここでは、図6(a)に示すように、学習用画像(1)~(n)を用いる場合を想定する。」
「【0042】次に、管理サーバ20の制御部21は、特徴量のクラスタリング処理を実行する(ステップS1-3)。具体的には、制御部21の学習処理部212は、公知のK-means法を用いて、算出したすべての特徴量を用いてクラスタリングを行なう。K-means法では、クラスタの平均を用い、与えられたクラスタ数k個に分類するための非階層型クラスタリングのアルゴリズムである。本実施形態では、撮影画像数、複数画素毎の特徴量数に応じた特徴点を用いて、複数のクラスタを生成する。【0043】次に、管理サーバ20の制御部21は、辞書の作成処理を実行する(ステップS1-4)。具体的には、制御部21の学習処理部212は、生成した各クラスタの中心(代表的特徴量)を特定する。そして、学習処理部212は、特定したすべての代表的特徴量を記録したコードブック220を辞書記憶部22に記録する。続きを表示(全16行)図6(c)では、クラスタA~Dを生成した場合を想定する。【0044】次に、管理サーバ20の制御部21は、学習用画像毎に以下の処理を繰り返す。ここでは、管理サーバ20の制御部21は、ヒストグラムの作成処理を実行する(ステップS1-5)。具体的には、制御部21の学習処理部212は、辞書記憶部22に記録されたコードブック220に含まれる特徴量と、学習用画像に含まれる特徴量とを比較する。そして、学習処理部212は、各クラスタの含有量を示したヒストグラムを生成する。図6(d)では、学習用画像(1)~(n)において、各クラスタA~Dの成分を表わすヒストグラムが生成されている。【0045】次に、管理サーバ20の制御部21は、ラベリング処理を実行する(ステップS1-6)。具体的には、制御部21の学習処理部212は、各学習用画像のヒストグラムに対して、学習用画像に関連付けられた建築要素をラベルとして付与して仮記録する。【0046】ここでは、図6(e)に示すように、学習用画像(1)~(n)において、共通する建築要素(ラベルα~γ)がグループ分けされる。そして、学習用画像(1)~(n)のヒストグラムからなる各グループに属する教師データが生成される。以上の処理を、すべての学習用画像についての処理を終了するまで繰り返す。【0047】次に、管理サーバ20の制御部21は、教師データの出力処理を実行する(ステップS1-7)。具体的には、制御部21の学習処理部212は、ラベルリングされたヒストグラムを、教師データとして、教師情報記憶部23に記録する。」
「【0052】次に、管理サーバ20の制御部21は、分割領域の建築要素の特定処理を実行する(ステップS2-5)。具体的には、制御部21の識別部214は、教師情報記憶部23に記録された教師データ230を用いて、生成したヒストグラムが属するグループを特定する。例えば、サポートベクターマシン(support vector machine,SVM)を用いてグループを特定する。そして、識別部214は、特定したグループの建築要素(ラベル)を特定する。以上の処理を、すべての分割領域について終了するまで繰り返す。」
「【0073】上記実施形態では、特徴量を用いて、工事現場における工程を判定した。工程の判定方法は、これに限定されるものではない。例えば、ディープラーニング(深層学習)を利用して、工程を特定するようにしてもよい。ここでは、多数の画像からなる教師データを用いて学習処理を実行し、学習処理によって生成されたモデルを用いて、工程を特定する。【0074】(学習処理)続きを表示(全15行)まず、図8(a)を用いて、学習処理を説明する。ここでは、管理サーバ20の制御部21は、教師データの特定処理を実行する(ステップS3-1)。具体的には、制御部21の学習処理部212は、管理者端末30に対して、学習用画像の入力要求を出力する。この場合、管理者端末30を用いて、教師データ(学習用画像、検証用画像)を入力する。本実施形態では、学習用画像として、建築要素(被写体)を撮影した複数の撮影画像(例えば、数万枚の画像)を用いる場合を想定する。各学習用画像、検証用画像には、被写体を特定する建築要素に関する情報が関連付けられている。この場合、学習処理部212は、管理者端末30から取得した学習用画像、検証用画像をメモリに仮記憶する。【0075】次に、管理サーバ20の制御部21は、ディープラーニング処理を実行する(ステップS3-2)。具体的には、制御部21の学習処理部212は、入力層、中間層(隠れ層)、出力層に含まれる複数のノードを結合する。なお、中間層は、必要に応じて複数階層を設けることが可能である。本実施形態では、入力層には、各学習用画像に含まれる画素を用いる。また、出力層の各ノードには、建築要素を用いる。そして、入力層のノードから出力層のノードを結びつける中間層のノード、結合からなるモデル(建築要素判定モデル)を生成する。【0076】次に、管理サーバ20の制御部21は、検証処理を実行する(ステップS3-3)。具体的には、制御部21の学習処理部212は、ディープラーニング処理により生成した建築要素判定モデルに、検証用画像を適用して、建築要素を算出する。次に、学習処理部212は、算出した建築要素が、検証用画像に関連付けられていた建築要素と一致するかどうかを判定する。そして、学習処理部212は、すべての検証用画像において、建築要素が一致しなかった割合(エラーレート)を算出する。【0077】次に、管理サーバ20の制御部21は、学習は完了かどうかについての判定処理を実行する(ステップS3-4)。具体的には、制御部21の学習処理部212は、算出したエラーレートと、予め定められた収束条件とを比較する。そして、エラーレートが収束条件を満たした場合には、学習は完了したと判定する。【0078】学習は完了でないと判定した場合(ステップS3-4において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、ディープラーニング処理(ステップS3-2)を再実行する。一方、学習は完了と判定した場合(ステップS3-4において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、モデルの出力処理を実行する(ステップS3-5)。具体的には、制御部21の学習処理部212は、ディープラーニング処理により生成した建築要素判定モデルを、学習済みモデルとして工程判定部213に供給する。工程判定部213は、この学習済みモデルを記憶する。」
イ 甲5の記載事項
上記アの記載を参照すると、甲5には、建築要素を撮影した撮影画像を学習用画像とし、学習用画像に建築要素に関する情報を関連付けた教師データを使用して、建築要素判定モデルを生成する技術について記載されているといえる。
(6)甲6(特開2021-140445号公報)
ア 甲6の摘記
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲6(令和3年9月16日出願公開。)には、次の記載がある。
「【0080】推論モデル構築部153は、仮想画像セット生成部152により生成された仮想画像セットを少なくとも含む訓練データ143を用いた機械学習を所定のニューラルネットワークに適用して、建築物の計測データから建築部材のデータを特定するための推論モデルを構築するように構成されている。制御部11は、推論モデル構築部153により構築された推論モデルを記憶部14に保存する(推論モデル144)。推論モデル構築部153は、例えば、プロセッサ及び記憶装置を含むハードウェアと、推論モデル構築ソフトウェアとの協働によって実現される。」
「【0091】訓練データ143は、前述したように仮想画像セットを少なくとも含んでいる。訓練データ143は、仮想画像以外のデータを更に含んでいてもよい。例えば、訓練データ143は、任意の物の撮影画像、人の撮影画像などを含んでいてもよい。物の撮影画像の例として、建築部材の画像、梯子や脚立などの道具の画像がある。また、人の画像の例として、建築現場における作業者の画像がある。また、訓練データ143は、実体建築物の他の計測データ(スキャンデータ、点群データなど)を含んでいてもよい。また、データ拡張、データオーギュメンテーションなどの技術を用いて、訓練データの個数を増加させてもよい。」
「【0095】推論モデルを構築するための訓練手法は任意であってよいが、例えば、教師あり学習、教師なし学習、及び強化学習のいずれか、又は、いずれか2以上の組み合わせであってよい。典型的には、入力画像に最終出力のラベルが付された訓練データを用いて教師あり学習が実施される。また、ニューラルネットワーク153Bの特定のユニットに処理が集中しないようにするために、学習処理部153Aは、幾つかのユニットをランダムに選んで無効化し、残りのユニットを用いて学習を行ってもよい(ドロップアウト)。」
イ 甲6の記載事項
上記アの記載を参照すると、甲6には、建築部材の画像を含む入力画像に最終出力のラベルが付された訓練データを用いて、教師あり学習を実施して推論モデルを構築する技術について記載されているといえる。
4 判断
上記1に挙げた理由(甲1に基づく新規性及び進歩性の欠如)について、以下検討する。
(1)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)「建築材料を特定する情報を出力する情報出力システム」について
甲1発明の「建築物を構成する資材に関する情報」は、撮影画像に写された資材に類似する既製品の情報(メーカー名、型名、単価など)であり、これらの情報は、本件特許発明1の「建築材料を特定する情報」に相当する。また、甲1発明の「情報を表示する」ことは、本件特許発明1の「情報を出力する」ことに相当する。
してみると、甲1発明の「建築物を構成する資材に関する情報を表示するシステム」は、「建築材料を特定する情報を出力する情報出力システム」と称し得るものである。
(イ)「メッセージ表示部」について
甲1発明は「メッセージ表示部」を備えるか否か不明な点において、本件特許発明1と相違する。
(ウ)「画像取得部」について
甲1発明の「カメラ140」は、本件特許発明1の「撮影装置」に相当する。
そして、甲1発明の「画像取得部171」は、カメラ140により撮影された画像を取得する処理を行うものであるから、本件特許発明1の「撮影装置で撮影した画像を取得する画像取得部」に相当する。
(エ)「出力部」について
甲1発明の「撮影画像」は、本件特許発明1の「画像取得部にて取得した画像」に相当し、甲1発明の「様々な既製品の画像を深層学習などの手法により機械学習させることで構成された識別器」は、本件特許発明1の「機械学習により生成された学習済みモデル」に相当し、上記「特定した既製品の情報(メーカー名、型名、単価など)」は、本件特許発明1の「画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報」に相当する。
また、上記「画像取得部にて取得した画像」は、画像検索処理を行うために用いるのであるから、本件特許発明1の「入力として」用いられるものであり、上記「画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報」は、画面に表示されるものであるから、本件特許発明1の「出力する」ものである。
そして、甲1発明の「既製品情報提供サーバ20」は、「情報表示装置10から情報提供要求を受信すると、情報提供要求に含まれる撮影画像に対する識別器の出力に基づいて画像検索処理を行い、撮影画像に写された資材に類似する1以上の既製品を特定し、特定した既製品の情報(メーカー名、型名、単価など)を情報表示装置10に送信する」ものであり、甲1発明の「情報取得部172」は、当該「既製品情報提供サーバ20」の「識別器」を利用する処理、つまり、機械学習により生成された学習済みモデルを用いた処理、を行うものといえるから、当該当該「情報取得部172」及び当該「情報取得部172」が取得した情報を使用する「表示処理部173」は、両者が相俟って、「機械学習により生成された学習済みモデルを用い」て画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力するものといえる。
そうすると、甲1発明の「情報取得部172」及び「表示処理部173」は、本件特許発明1の「前記画像取得部にて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力部」に相当する。
(オ)「前記建築材料を特定する情報は・・・1つを含む、」について
甲1発明の「既製品の情報(メーカー名、型番、単価など)」は、本件特許発明1の「建築材料の製品を特定する情報」に相当する。
以上のことから、甲1発明と本件特許発明1は「前記建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報を含む」点で一致する。
一方、本件特許発明1においては、「建築材料を特定する情報」として、選択的記載ではあるものの「建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)」が「建築材料の製品を特定する情報」以外のものとして記載されており、甲1発明においては係る事項について記載されていない点で文言上相違する。
イ 一致点及び相違点
上記アによれば、本件特許発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムであって、撮影装置で撮影した画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部にて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力部とを備え、前記建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報を含む、情報出力システム。」
<相違点1>
本件特許発明1は「前記建築材料から所定の距離だけ離れた位置で撮影することを指示するメッセージを含む操作画面を、撮影装置に表示するメッセージ表示部」を含むのに対し、甲1発明はそのような機能を含むか明らかでない点。
<相違点2>
本件特許発明1においては、「建築材料を特定する情報」として、選択的記載ではあるものの「建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)」が「建築材料の製品を特定する情報」以外のものとして記載されており、引用発明においては係る事項について記載されていない点。
ウ 相違点に関する判断
上記相違点1について検討する。
甲2~甲6には、上記3(2)~(6)のとおりの事項が記載されているものの、少なくとも「前記建築材料から所定の距離だけ離れた位置で撮影することを指示するメッセージを含む操作画面を、撮影装置に表示するメッセージ表示部」については、甲2~甲6のいずれにも記載も示唆もされていない。また、甲1発明並びに甲2~甲6に記載の技術的事項に基づき、当該相違点1の構成とすることが、当業者にとって容易に想到し得たことであるともいえない。
また、上記相違点1の構成とすることで、建築材料までの距離に起因する建築材料の見え方の変化(つまり、撮影される画像の変化)を小さくすることができ、その結果、出力部にて出力する情報の精度を向上することができ、利便性を向上することができるという格別顕著な作用効果を奏するものである。
エ 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1発明と同一ではなく、甲1発明及び甲2~甲6に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
(2)本件特許発明2について
本件特許発明2は、本件特許発明1の構成を全て含むから、上記(1)イに示した相違点に係る構成を有する。
したがって、上記(1)に示したのと同様の理由により、本件特許発明2についても、甲1発明と同一ではなく、甲1発明及び甲2~甲6に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
(3)特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和7年12月22日提出の意見書において、本件特許の請求項6~8に係る発明について縷々主張する。
しかしながら、請求項6~8は、特許異議の申立てがされていない請求項であるから、当審において審理することができない(特許法第120条の2第2項)。したがって、当該主張自体失当である。
5 甲1に基づく新規性及び進歩性の欠如についての小括
以上のとおり、本件特許発明1は、甲1に記載された発明ではないから、本件特許発明1についての特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではない。また、本件特許発明1~2は、甲1に記載された発明及び甲2~6に記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、本件特許発明1~2についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえない。
したがって、甲1に基づく申立理由は、いずれも成り立たない。
第5 取消理由通知書において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人は、特許異議申立書(11頁)において、本件特許発明1は、甲1、甲2、甲3及び甲4に基づき進歩性が無い旨、主張する。
当該主張が、いずれの証拠の発明を主引用発明とし、いかなる組み合わせにより進歩性が無いと主張するものなのか不明であるが、少なくとも、甲1~甲4には、前記第4の4(1)イに記載した相違点1の構成について記載も示唆もされていないから、いずれを組み合わせたとしても、当該相違点1の構成とすることが当業者にとって容易に想到し得たことであるとはいえない。
したがって、甲1~甲4に基づく理由も成り立たない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、請求項1~2に係る本件特許は、特許異議の申立ての理由及び特許異議申立人の提出した証拠によっては取り消すことはできず、他に請求項1~2に係る本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700350