特許異議申立
2025-700313
建築板
- 審判番号
- 2025-700313
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-059811
- 登録番号
- 7551556
- 請求日
- 2025年03月17日
- 審決日
- 2025年05月14日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】ニチハ株式会社
- 【異議申立人】天野井 輝章
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 博之
- 審判官 蔵野 いづみ
- 審判官 大浜 康夫
- 分類
- P1651.113-Y (E04F) / P1651.121-Y (E04F) / P1651.537-Y (E04F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7551556号発明「建築板」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7551556号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7551556号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和3年3月31日の出願であって、令和6年9月6日に特許権の設定登録がされ、同月17日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1~5に係る特許に対し、令和7年3月17日に特許異議申立人天野井輝章(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~5の特許に係る発明(以下、それぞれ請求項番号を付して「本件発明1」等といい、これらを併せて「本件発明」という。)は、それぞれ特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。なお、符号1A等は当審で付した。以下、符号1A等が付された事項を「特定事項1A」等という。
「【請求項1】
1A 表面と裏面を有し、少なくとも前記表面に意匠面を有する建築板であって、
1B 前記表面は、少なくとも、
第1方向に延びる第1意匠部と、
前記第1方向と交差する第2方向に配され、前記第1方向に延びる第2意匠部と、
を備え、
1C 前記第1意匠部は、
前記第1方向に延びる平坦面を有する第1平坦部と、
前記第1平坦部の前記第2方向の端部から、前記第1平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第1傾斜部と、
を備え、
1D 前記第2意匠部は、
前記第1方向に延びる平坦面を有する第2平坦部と、
前記第2平坦部の前記第2方向の端部から、前記第2平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第2傾斜部と、
を備え、
1E 2枚の前記建築板のそれぞれの前記表面を、一方の前記建築板の前記第1意匠部と他方の前記建築板の前記第2意匠部とを対向させて載置したときに、
前記第1意匠部の前記第1傾斜部と前記第2意匠部の前記第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触し、
1F 前記第1傾斜部と前記第2平坦部同士、及び前記第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していない
1G ことを特徴とする建築板。
【請求項2】
2A 前記第2方向において、前記第1意匠部の長さは、前記第2意匠部の長さの1.5倍以下である、
2B 請求項1に記載の建築板。
【請求項3】
3A 前記第2方向において、前記第1平坦部の長さは、前記第2平坦部の長さの1.75倍以下である、
3B 請求項2に記載の建築板。
【請求項4】
4A 前記建築板はさらに、
前記第1方向に延び、且つ前記第2方向において前記第1意匠部及び前記第2意匠部のうち、少なくとも一方と接続する凹目地を有している、
4B 請求項1~3のいずれか1項に記載の建築板。
【請求項5】
5A 前記第1意匠部及び前記第2意匠部のうちの少なくとも一方には、1つ以上の窪み部が形成されている、
5B 請求項1~4のいずれか1項に記載の建築板。」
第3 特許異議申立理由及び証拠方法
1 特許異議申立理由の概要
申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、概ね以下の申立理由を主張するとともに、証拠方法として下記2に示す各甲号証を提出している。
(1) 申立理由1(新規性欠如)
本件発明1~4は、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証又は甲第6号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2) 申立理由2(進歩性欠如)
本件発明1~4は、甲第1号証~甲第6号証に基づいて、本件発明5は、甲第1号証~甲第8号証に基づいて、それぞれ本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3) 申立理由3(明確性要件違反)
本件発明5は、発明が明確でないから、請求項5に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
2 証拠方法
(1)甲第1号証:「外装 パートカタログ2 住宅用」、大建工業株式会社、1992年10月、p85
(2)甲第2号証:「外装 パートカタログ2 住宅用」、大建工業株式会社、1992年10月、p84
(3)甲第3号証:「住まいの外まわり外装材」、松下電工株式会社、2003年、p305
(4)甲第4号証:「住まいの外まわり外装材」、松下電工株式会社、2003年、p306
(5)甲第5号証:「LAMBDA ラムダ総合カタログ 2008」、昭和電工建材株式会社、2008年5月、P.1-27
(6)甲第6号証:意匠登録第1443679号公報
(7)甲第7号証:特開2014-25270号公報
(8)甲第8号証:特開2005-41546号公報
以下、「甲第1号証」等を「甲1」等という。
第4 証拠について
1 甲1
(1) 記載事項
甲1には以下の記載がある(「図1ア」等の図の名称は当審で付した。以下同じ。)。
(図1ア)
「
[図:0001423551000001.jpg]
」
(図1イ)
「
[図:0001423551000002.jpg]
」
(図1ウ)
「
[図:0001423551000003.jpg]
」
(図1エ)
「
[図:0001423551000004.jpg]
」
(2) 認定事項
ア 甲1は「外装」のカタログであることから、図1イ及び図1ウに示された板材は、「外装材」であると認められる(認定事項1ア)。
イ 図1アは、図1イ及び図1ウに示された「外装材」の使用例の写真と認められ、また図1エの「3つのよろいを一体成型し」との記載から、「3つのよろい」に相当するそれぞれを下から上へ、「第1よろい部」、「第2よろい部」及び「第3よろい部」と称すると、甲1には、「左右長手方向に延びる第1よろい部、第2よろい部及び第3よろい部を、上下方向に連続させて一体成型した外装材」が記載されていると認められる(認定事項1イ)。
ウ 図1エの「建物の設計や個性にあわせて、カラーリングしていただけます。」、「表面は、シーラー塗装処理済。仕上げに真打推奨塗料をご使用ください。」の記載から、甲1には、「第1よろい部、第2よろい部及び第3よろい部の表面は、塗料によるカラーリングが可能である」ことが記載されていると認められる(認定事項1ウ)。
エ 図1イ及び図1ウから、「第1よろい部、第2よろい部、第3よろい部のそれぞれは、その上端部と下端部の厚みが異なり、その表面は全体として裏面に向かって傾斜している」ことが看取できる(認定事項1エ)。
オ 図1イ及び図1ウから、「第1よろい部と第2よろい部の境、及び第2よろい部と第3よろい部の境には、それぞれ段差が形成されている」ことが看取できる(認定事項1オ)。
(3) 甲1に記載された発明
上記(1)及び(2)から、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲1発明)
「左右長手方向に延びる第1よろい部、第2よろい部及び第3よろい部を、上下方向に連続させて一体成型した外装材であって(認定事項1イ)、
第1よろい部、第2よろい部及び第3よろい部の表面は、塗料によるカラーリングが可能であり(認定事項1ウ)、
第1よろい部、第2よろい部、第3よろい部のそれぞれは、その上端部と下端部の厚みが異なり、その表面は全体として裏面に向かって傾斜しており(認定事項1エ)、
第1よろい部と第2よろい部の境、及び第2よろい部と第3よろい部の境には、それぞれ段差が形成されている(認定事項1オ)
外装材(認定事項1ア)。」
2 甲2
(1) 記載事項
甲2には以下の記載がある。
(図2ア)
「
[図:0001423551000005.jpg]
」
(図2イ)
「
[図:0001423551000006.jpg]
」
(図2ウ)
「
[図:0001423551000007.jpg]
」
(図2エ)
「
[図:0001423551000008.jpg]
」
(2) 認定事項
ア 甲2は「外装」のカタログであることから、図2イ及び図2ウに示された板材は、「外装材」であると認められる(認定事項2ア)。
イ 図2アは、図2イ及び図2ウに示された「外装材」の使用例の写真と認められ、また図2エの「2つのよろいが一体成型され」との記載から、「2つのよろい」に相当するそれぞれを下から上へ、「第1よろい部」及び「第2よろい部」と称すると、甲2には、「左右長手方向に延びる第1よろい部及び第2よろい部を、上下方向に連続させて一体成型した外装材」が記載されていると認められる(認定事項2イ)。
ウ 図2エの「建物の個性にあわせた仕上げができる無塗装品。」、「表面は、シーラー塗装処理済。仕上げには真打推奨塗料をご使用ください。」の記載から、甲2には、「第1よろい部及び第2よろい部の表面は、塗料による仕上げが可能である」ことが記載されていると認められる(認定事項2ウ)。
エ 図2イ及び図2ウから、「第1よろい部及び第2よろい部のそれぞれは、その上端部と下端部の厚みが異なり、その表面は全体として裏面に向かって傾斜している」ことが看取できる(認定事項2エ)。
オ 図2イ及び図2ウから、「第1よろい部及び第2よろい部の境には、段差が形成されている」ことが看取できる(認定事項2オ)。
(3) 甲2に記載された発明
上記(1)及び(2)から、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲2発明)
「左右長手方向に延びる第1よろい部及び第2よろい部を、上下方向に連続させて一体成型した外装材であって(認定事項2イ)、
第1よろい部及び第2よろい部の表面は、塗料による仕上げが可能であり(認定事項2ウ)、
第1よろい部及び第2よろい部のそれぞれは、その上端部と下端部の厚みが異なり、その表面は全体として裏面に向かって傾斜しており(認定事項2エ)、
第1よろい部及び第2よろい部の境には、段差が形成されている(認定事項2オ)
外装材(認定事項2ア)。」
3 甲3
(1) 記載事項
甲3には以下の記載がある。
(図3ア)
「
[図:0001423551000009.jpg]
」
(図3イ(図3アの「ニューよろいライン柄」の拡大図)
「
[図:0001423551000010.jpg]
」
(2) 認定事項
ア 図3アから、「ニューよろいライン柄」として記載されている板材は「不燃外装材CA」であると認められる(認定事項3ア)。
イ 上記アを踏まえると、図3イに示された板材は、外装材であって、3段のよろいを模した表面を備えていることが見て取れる。この3段のよろいを、下から「1段目のよろい部」、「2段目のよろい部」及び「3段目のよろい部」と称すると、甲3には、「左右長手方向に延びる1段目のよろい部、2段目のよろい部及び3段目のよろい部を、上下方向に連続させた外装材」が記載されていると認められる(認定事項3イ)。
ウ 図3イから、「1段目のよろい部、2段目のよろい部及び3段目のよろい部のそれぞれの表面には、左右長手方向に延びる線状の模様が設けられている」ことが看取できる(認定事項3ウ)。
エ 図3イから、「1段目のよろい部、2段目のよろい部及び3段目のよろい部のそれぞれは、その上端部と下端部の厚みが異なり、その表面は全体として裏面に向かって傾斜している」ことが看取できる(認定事項3エ)。
オ 図3イから、「1段目のよろい部と2段目のよろい部の境、及び2段目のよろい部と3段目のよろい部の境には、それぞれ段差が形成されている」ことが看取できる(認定事項3オ)。
(3) 甲3に記載された発明
上記(1)及び(2)から、甲3には、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲3発明)
「左右長手方向に延びる1段目のよろい部、2段目のよろい部及び3段目のよろい部を、上下方向に連続させた外装材であって(認定事項3イ)、
1段目のよろい部、2段目のよろい部及び3段目のよろい部のそれぞれの表面には、左右長手方向に延びる線状の模様が設けられ(認定事項3ウ)、
1段目のよろい部、2段目のよろい部及び3段目のよろい部のそれぞれは、その上端部と下端部の厚みが異なり、その表面は全体として裏面に向かって傾斜しており(認定事項3エ)、
1段目のよろい部と2段目のよろい部の境、及び2段目のよろい部と3段目のよろい部の境には、それぞれ段差が形成されている(認定事項3オ)
不燃外装材CA(認定事項3ア)。」
4 甲4
(1) 記載事項
甲4には以下の記載がある。
(図4ア)
「
[図:0001423551000011.jpg]
」
(図4イ(図4アの「ウッドナチュレ柄」の拡大図)
「
[図:0001423551000012.jpg]
」
(2) 認定事項
ア 図4アから、「ウッドナチュレ柄」として記載されている板材は「不燃外装材A」であると認められる(認定事項4ア)。
イ 上記アを踏まえると、図4イに示された板材は、外装材であって、3段のよろいを模した表面を備えていることが見て取れる。この3段のよろいを、下から「1段目のよろい部」、「2段目のよろい部」及び「3段目のよろい部」と称すると、甲4には、「左右長手方向に延びる1段目のよろい部、2段目のよろい部及び3段目のよろい部を、上下方向に連続させた外装材」が記載されていると認められる(認定事項4イ)。
ウ 図4イから、「1段目のよろい部、2段目のよろい部及び3段目のよろい部のそれぞれの表面の上部には、左右長手方向に延びる線状の模様が設けられている」ことが看取できる(認定事項4ウ)。
エ 図4イから、「1段目のよろい部、2段目のよろい部及び3段目のよろい部のそれぞれは、その上端部と下端部の厚みが異なり、その表面は全体として裏面に向かって傾斜している」ことが看取できる(認定事項4エ)。
オ 図4イから、「1段目のよろい部と2段目のよろい部の境、及び2段目のよろい部と3段目のよろい部の境には、それぞれ段差が形成されている」ことが看取できる(認定事項4オ)。
(3) 甲4に記載された発明
上記(1)及び(2)から、甲4には、以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲4発明)
「左右長手方向に延びる1段目のよろい部、2段目のよろい部及び3段目のよろい部を、上下方向に連続させた外装材であって(認定事項4イ)、
1段目のよろい部、2段目のよろい部及び3段目のよろい部のそれぞれの表面の上部には、左右長手方向に延びる線状の模様が設けられ(認定事項4ウ)、
1段目のよろい部、2段目のよろい部及び3段目のよろい部のそれぞれは、その上端部と下端部の厚みが異なり、その表面は全体として裏面に向かって傾斜しており(認定事項4エ)、
1段目のよろい部と2段目のよろい部の境、及び2段目のよろい部と3段目のよろい部の境には、それぞれ段差が形成されている(認定事項4オ)
不燃外装材A(認定事項4ア)。」
5 甲5
(1) 記載事項
甲5には以下の記載がある。
(図5ア)
「
[図:0001423551000013.jpg]
」
(図5イ(図5アの「ベベルラムダ22-2FP」の部分))
「
[図:0001423551000014.jpg]
」
(2) 認定事項
ア 図5アから、「ベベルラムダ22-2FP」として記載されている板材は「ラムダスタンダードパネル」であると認められる(認定事項5ア)。
イ 図5イの「不燃材」、「防火構造対応」との記載から、「ベベルラムダ22-2FP」は、「防火構造に対応した不燃材」であると認められる(認定事項5イ)。
ウ 図5イから、「ベベルラムダ22-2FP」の「長さ」は、「2,990mm、2,720mm」であり、「働き幅304」であることから、図5イに示される断面図は、「ベベルラムダ22-2FP」の長手方向と交差する方向の断面図といえる。
そうすると、図5イから、「ベベルラムダ22-2FP」は、「長手方向と交差する方向の断面形状において、裏面とほぼ平行な第1表面部と、第1表面部から裏面に向かって傾斜する第1傾斜部を備えた第1板状部と、裏面とほぼ平行な第2表面部と、第2表面部から裏面に向かって傾斜する第2傾斜部を備えた第2板状部と、を備えている」ことが看取できる(認定事項5ウ)。
エ 図5イから、「第1板状部と第2板状部は、長手方向に延び、長手方向と交差する方向で連接し、第1板状部の第1傾斜部が裏面に最も近接した側の端部に、第2板状部の第2表面部の端部を一体に連接している形状を有している」ことが看取できる(認定事項5エ)。
オ 図5イから、「第1板状部と第2板状部の境には、段差が形成されている」ことが看取できる(認定事項5オ)。
(3) 甲5に記載された発明
上記(1)及び(2)から、甲5には、以下の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲5発明)
「防火構造に対応した不燃材であり(認定事項5イ)、
長手方向と交差する方向の断面形状において、裏面とほぼ平行な第1表面部と、第1表面部から裏面に向かって傾斜する第1傾斜部を備えた第1板状部と、裏面とほぼ平行な第2表面部と、第2表面部から裏面に向かって傾斜する第2傾斜部を備えた第2板状部と、を備え(認定事項5ウ)、
第1板状部と第2板状部は、長手方向に延び、長手方向と交差する方向で連接し、第1板状部の第1傾斜部が裏面に最も近接した側の端部に、第2板状部の第1表面部の端部を一体に連接している形状を有し(認定事項5エ)、
第1板状部と第2板状部の境には、段差が形成されている(認定事項5オ)
ラムダスタンダードパネルであるベベルラムダ22-2FP(認定事項5ア)。」
6 甲6
(1) 記載事項
甲6には以下の記載がある。
(図6ア)
「
[図:0001423551000015.jpg]
」
(図6イ 正面図)
「
[図:0001423551000016.jpg]
」
(図6ウ 平面図)
「
[図:0001423551000017.jpg]
」
(図6エ 底面図)
「
[図:0001423551000018.jpg]
」
(図6オ 左側面図)
「
[図:0001423551000019.jpg]
」
(図6カ 右側面図)
「
[図:0001423551000020.jpg]
」
(2) 認定事項
ア 図6アの「【意匠に係る物品】 壁板材」の記載から、甲6には「壁板材」が記載されていると認められる(認定事項6ア)。
イ 図6イ~図6カから、「正面から見て、平坦頂部の両側から裏面方向にそれぞれ第1の傾斜部と第2の傾斜部を延設した単位板部を、一の単位板部の第1の傾斜部の側端部と一の単位板部に隣接する単位板部の第2の傾斜部の側端部とを連接することにより、5つの単位板部を連接して設けている」ことが看取できる(認定事項6イ)。
ウ 図6イ~図6カから、「単位板部は、正面に対して面外方向に延びている」ことが看取できる(認定事項6ウ)。
(3) 甲6に記載された発明
上記(1)及び(2)から、甲6には、以下の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲6発明)
「平坦頂部の両側から裏面方向にそれぞれ第1の傾斜部と第2の傾斜部を延設した単位板部を、一の単位板部の第1の傾斜部の側端部と一の単位板部に隣接する単位板部の第2の傾斜部の側端部とを連接することにより、5つの単位板部を連接して設け(認定事項6イ)、
単位板部は、正面に対して面外方向に延びている(認定事項6ウ)
壁板材(認定事項6ア)。」
7 甲7
(1) 記載事項
甲7には以下の記載がある。
「【0001】
本発明は、外装材に関し、より詳しくは表面におけるテカリの発生を抑制する外装材に関するものである。」
「【0009】
本発明によれば、外装材を積載し、搬送しても、外装材表面におけるテカリの発生を抑制することができるものである。」
「【0018】
本実施形態に係る外装材Aは、図1(a)に示すように、意匠性を付与する等の目的で表面に凹凸模様が形成されていてもよい。この場合、凹凸模様は、外装材Aの意匠性を損なわない程度に外装材Aの表面に設けることができる。凹凸模様の凹部11の深さは、0.3~0.5mmであることが好ましい。これにより、外装材Aの表面に、深さが小さい凹部11が形成される。この場合、外装材Aの表面に形成された凹部11によって光が乱反射し、外装材Aに良好な素材感を発現させることができる。また、外装材Aの表面にテカリが発生しても、凹部11によって、テカリ部分の連続性がなくなるため、外装材Aの表面におけるテカリを目立たたなくすることができる。」
「【図1】
[図:0001423551000021.jpg]
」
(2) 甲7に記載された事項
上記(1)から、甲7には、以下の事項(以下「甲7記載事項」という。)が記載されていると認められる。
(甲7記載事項)
「外装材の表面に、凹凸模様の凹部が設けられている、外装材。」
8 甲8
(1) 記載事項
甲8には以下の記載がある。
「【請求項1】
表面に艶消し塗装が施された無機質基材をその表面を対向させて梱包する際に、無機質基材の対向表面間に介設される合紙であって、無機質基材表面への接触面にはRaが0.3~1.1の範囲の凹凸が設けられていることを特徴とする梱包用合紙。」
「【0001】
この出願の発明は、梱包用合紙に関するものである。さらに詳しくは、窯業系の建材として有用な、表面艶消し塗装が施された無機質基材の梱包に際し、艶消し塗装の風合いを損うことなく、てかりの発生を抑えて搬送することを可能とする、新しい梱包用合紙に関するものである。」
「【0009】
この出願の前記第1の発明によれば、表面に艶消し塗装が施された無機質基材の表面を対向させて梱包し搬送する場合、積載による圧縮や、すべり、ずれに起因する塗装表面のてかりの発生を効果的に抑えることが可能になる。また、前記第2の発明によれば、2枚重ねの合紙によって、合紙が破れにくくなるとともに、圧縮によるてかりとともに、すべり、ずれに起因するてかりの発生を抑え、さらに第3の発明によれば、このような効果に加えて、合紙の取扱いや無機質基材の塗装表面間への介設も容易となる。」
「【0014】
この出願の発明の合紙は、以上のような望ましい物理的性能に加え、無機質基材の艶消し塗装表面への接触面には、Raが0.3~1.1の範囲の凹凸を有しているものとする。Raが1.1より大きい場合には、合紙の凹凸が塗装表面に写りやすく、外観性を損う要因となる。一方、Raが0.3未満の場合には、てかりの発生を抑えることが難しくなる。」
(2) 甲8に記載された事項
上記(1)から、甲8には、以下の発明(以下「甲8記載事項」という。)が記載されていると認められる。
(甲8記載事項)
「無機質基材の艶消し塗装表面への接触面には、Raが0.3~1.1の範囲の凹凸が設けられている、梱包用合紙。」
第5 当審の判断
1 申立理由1(新規性欠如)及び申立理由2(進歩性欠如)について
(1) 甲1を主たる引例とした場合について
ア 本件発明1
(ア) 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
a 特定事項1A
甲1発明の「その表面は全体として裏面に向かって傾斜」する構成を備え、その「表面は、塗料によるカラーリングが可能であ」る「外装材」は、本件発明1の「表面と裏面を有し、少なくとも前記表面に意匠面を有する建築板」に相当する。
よって、甲1発明は、本件発明1の特定事項1Aを備える。
b 特定事項1B
甲1発明の「左右長手方向に延びる第1よろい部」「の表面」及び「第1よろい部」に「上下方向に連続」し、「左右長手方向に延びる」「第2よろい部」「の表面」は、それぞれ「塗料によるカラーリングが可能であ」るから、本件発明1の「第1方向に延びる第1意匠部」及び「前記第1方向と交差する第2方向に配され、前記第1方向に延びる第2意匠部」に相当する。
よって、甲1発明は、本件発明1の特定事項1Bを備える。
c 特定事項1C
甲1発明は「第1よろい部」「の表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いるところ、本件発明1の特定事項1Cと甲1発明は、「第1意匠部は」、傾斜部を備えている点で共通する。
d 特定事項1D
甲1発明は「第2よろい部」「の表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いるところ、本件発明1の特定事項1Dと甲1発明は、「第2意匠部は」、傾斜部を備えている点で共通する。
e 特定事項1G
甲1発明の「外装材」は、本件発明1の「建築板」に相当する。
f 上記a~eを踏まえると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
[一致点]
「1A 表面と裏面を有し、少なくとも前記表面に意匠面を有する建築板であって、
1B 前記表面は、少なくとも、
第1方向に延びる第1意匠部と、
前記第1方向と交差する第2方向に配され、前記第1方向に延びる第2意匠部と、
を備え、
1C’前記第1意匠部は、
傾斜部を、備え、
1D’前記第2意匠部は、
傾斜部を、備える
1G 建築板。」
[相違点1-1](特定事項1C)
「第1意匠部」が、
本件発明1では、「前記第1方向に延びる平坦面を有する第1平坦部と、前記第1平坦部の前記第2方向の端部から、前記第1平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第1傾斜部と、を備え」ているのに対し、
甲1発明では、「その表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いる点。
[相違点1-2](特定事項1D)
「第2意匠部」が、
本件発明1では、「前記第1方向に延びる平坦面を有する第2平坦部と、前記第2平坦部の前記第2方向の端部から、前記第2平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第2傾斜部と、を備え」ているのに対し、
甲1発明では、「その表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いる点。
[相違点1-3](特定事項1E、1F)
本件発明1では、「2枚の前記建築板のそれぞれの前記表面を、一方の前記建築板の前記第1意匠部と他方の前記建築板の前記第2意匠部とを対向させて載置したときに、前記第1意匠部の前記第1傾斜部と前記第2意匠部の前記第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触し、前記第1傾斜部と前記第2平坦部同士、及び前記第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していない」のに対し、
甲1発明では、このような特定がなされていない点。
(イ) 判断
事案に鑑み相違点1-3から検討する。
甲1発明は、「第1よろい部、第2よろい部、第3よろい部のそれぞれ」「の表面は全体として裏面に向かって傾斜」するものであるが、それぞれのよろい部の表面が、本件発明1のように「平坦部」と「平坦部に対して」「傾斜する」「傾斜部」とから構成されているか否か上記「第4 1(1)」の図1ウから把握することはできない。
そうすると、甲1発明の「外装材」のそれぞれの表面同士を対向させて載置したときに、上記相違点1-3に係る本件発明1の「前記第1意匠部の前記第1傾斜部と前記第2意匠部の前記第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触し、前記第1傾斜部と前記第2平坦部同士、及び前記第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していない」という位置関係が得られるか否か不明である。
そして、そもそも甲1発明は、「外装材」単体の構成については特定されているが、2枚の「外装材」のそれぞれの表面同士を対向させて載置したときの態様については特定されていないし、甲1全体の記載を見ても、2枚の「外装材」のそれぞれの表面同士を対向させて載置することについて示唆もない。
してみると、上記相違点1-3は、実質的な相違点であり、また甲1発明から容易であるともいえない。
また、上記相違点1-3に係る本件発明1の構成は、甲2~甲6にも記載も示唆もされていない。
以上のことから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明ではないし、本件発明は、甲1発明に基づいて、または甲1発明及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~5
本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記アと同様の理由により、本件発明2~4は、甲1発明ではない。
また、本件発明2~4は、甲1発明に基づいて、または甲1発明及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
さらに、本件発明5は、甲1発明、甲7記載事項及び甲8記載事項に基づいて、または甲1発明、甲2~甲6に記載された事項、甲7記載事項及び甲8記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2) 甲2を主たる引例とした場合について
ア 本件発明1
(ア) 対比
本件発明1と甲2発明を対比する。
a 特定事項1A
甲2発明の「その表面は全体として裏面に向かって傾斜」する構成を備え、その「表面は、塗料による仕上げが可能であ」る「外装材」は、本件発明1の「表面と裏面を有し、少なくとも前記表面に意匠面を有する建築板」に相当する。
よって、甲2発明は、本件発明1の特定事項1Aを備える。
b 特定事項1B
甲2発明の「左右長手方向に延びる第1よろい部」「の表面」及び「第1よろい部」に「上下方向に連続」し、「左右長手方向に延びる」「第2よろい部」「の表面」は、それぞれ「塗料による仕上げが可能であ」るから、本件発明1の「第1方向に延びる第1意匠部」及び「前記第1方向と交差する第2方向に配され、前記第1方向に延びる第2意匠部」に相当する。
よって、甲2発明は、本件発明1の特定事項1Bを備える。
c 特定事項1C
甲2発明は「第1よろい部」「の表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いるところ、本件発明1の特定事項1Cと甲2発明は、「第1意匠部は」、傾斜部を備えている点で共通する。
d 特定事項1D
甲2発明は「第2よろい部」「の表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いるところ、本件発明1の特定事項1Dと甲2発明は、「第2意匠部は」、傾斜部を備えている点で共通する。
e 特定事項1G
甲2発明の「外装材」は、本件発明1の「建築板」に相当する。
f 上記a~eを踏まえると、本件発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
[一致点]
「1A 表面と裏面を有し、少なくとも前記表面に意匠面を有する建築板であって、
1B 前記表面は、少なくとも、
第1方向に延びる第1意匠部と、
前記第1方向と交差する第2方向に配され、前記第1方向に延びる第2意匠部と、
を備え、
1C’前記第1意匠部は、
傾斜部を、備え、
1D’前記第2意匠部は、
傾斜部を、備える
1G 建築板。」
[相違点2-1](特定事項1C)
「第1意匠部」が、
本件発明1では、「前記第1方向に延びる平坦面を有する第1平坦部と、前記第1平坦部の前記第2方向の端部から、前記第1平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第1傾斜部と、を備え」ているのに対し、
甲2発明では、「その表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いる点。
[相違点2-2](特定事項1D)
「第2意匠部」が、
本件発明1では、「前記第1方向に延びる平坦面を有する第2平坦部と、前記第2平坦部の前記第2方向の端部から、前記第2平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第2傾斜部と、を備え」ているのに対し、
甲2発明では、「その表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いる点。
[相違点2-3](特定事項1E、1F)
本件発明1では、「2枚の前記建築板のそれぞれの前記表面を、一方の前記建築板の前記第1意匠部と他方の前記建築板の前記第2意匠部とを対向させて載置したときに、前記第1意匠部の前記第1傾斜部と前記第2意匠部の前記第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触し、前記第1傾斜部と前記第2平坦部同士、及び前記第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していない」のに対し、
甲2発明では、このような特定がなされていない点。
(イ) 判断
事案に鑑み相違点2-3から検討する。
甲2発明は、「第1よろい部及び第2よろい部のそれぞれ」「の表面は全体として裏面に向かって傾斜」するものであるが、それぞれのよろい部の表面が、本件発明1のように「平坦部」と「平坦部に対して」「傾斜する」「傾斜部」とから構成されているか否か上記「第4 2(1)」の図2ウから把握することはできない。
そうすると、甲2発明の「外装材」のそれぞれの表面同士を対向させて載置したときに、上記相違点2-3に係る本件発明1の「前記第1意匠部の前記第1傾斜部と前記第2意匠部の前記第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触し、前記第1傾斜部と前記第2平坦部同士、及び前記第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していない」という位置関係が得られるか否か不明である。
そして、そもそも甲2発明は、「外装材」単体の構成については特定されているが、2枚の「外装材」のそれぞれの表面同士を対向させて載置したときの態様については特定されていないし、甲2全体の記載を見ても、2枚の「外装材」のそれぞれの表面同士を対向させて載置することについて示唆もない。
してみると、上記相違点2-3は、実質的な相違点であり、また甲2発明から容易であるともいえない。
また、上記相違点2-3に係る本件発明1の構成は、甲1、甲3~甲6にも記載も示唆もされていない。
以上のことから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明ではないし、本件発明は、甲2発明に基づいて、または甲2発明及び甲1、甲3~甲6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~5
本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記アと同様の理由により、本件発明2~4は、甲2発明ではない。
また、本件発明2~4は、甲2発明に基づいて、または甲2発明及び甲1、甲3~甲6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
さらに、本件発明5は、甲2発明、甲7記載事項及び甲8記載事項に基づいて、または甲2発明、甲1、甲3~甲6に記載された事項、甲7記載事項及び甲8記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3) 甲3を主たる引例とした場合について
ア 本件発明1
(ア) 対比
本件発明1と甲3発明を対比する。
a 特定事項1A
甲3発明の「その表面は全体として裏面に向かって傾斜」する構成を備え、その「表面には、左右長手方向に延びる線状の模様が設けられ」る「不燃外装材CA」は、本件発明1の「表面と裏面を有し、少なくとも前記表面に意匠面を有する建築板」に相当する。
よって、甲3発明は、本件発明1の特定事項1Aを備える。
b 特定事項1B
甲3発明の「左右長手方向に延びる1段目のよろい部」「の表面」及び「1段目のよろい部」に「上下方向に連続」し、「左右長手方向に延びる」「2段目のよろい部」「の表面」は、それぞれ「左右長手方向に延びる線状の模様が設けられ」るから、本件発明1の「第1方向に延びる第1意匠部」及び「前記第1方向と交差する第2方向に配され、前記第1方向に延びる第2意匠部」に相当する。
よって、甲3発明は、本件発明1の特定事項1Bを備える。
c 特定事項1C
甲3発明は「1段目のよろい部」「の表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いるところ、本件発明1の特定事項1Cと甲3発明は、「第1意匠部は」、傾斜部を備えている点で共通する。
d 特定事項1D
甲3発明は「2段目のよろい部」「の表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いるところ、本件発明1の特定事項1Dと甲3発明は、「第2意匠部は」、傾斜部を備えている点で共通する。
e 特定事項1G
甲3発明の「不燃外装材CA」は、本件発明1の「建築板」に相当する。
f 上記a~eを踏まえると、本件発明1と甲3発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
[一致点]
「1A 表面と裏面を有し、少なくとも前記表面に意匠面を有する建築板であって、
1B 前記表面は、少なくとも、
第1方向に延びる第1意匠部と、
前記第1方向と交差する第2方向に配され、前記第1方向に延びる第2意匠部と、
を備え、
1C’前記第1意匠部は、
傾斜部を、備え、
1D’前記第2意匠部は、
傾斜部を、備える
1G 建築板。」
[相違点3-1](特定事項1C)
「第1意匠部」が、
本件発明1では、「前記第1方向に延びる平坦面を有する第1平坦部と、前記第1平坦部の前記第2方向の端部から、前記第1平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第1傾斜部と、を備え」ているのに対し、
甲3発明では、「その表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いる点。
[相違点3-2](特定事項1D)
「第2意匠部」が、
本件発明1では、「前記第1方向に延びる平坦面を有する第2平坦部と、前記第2平坦部の前記第2方向の端部から、前記第2平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第2傾斜部と、を備え」ているのに対し、
甲3発明では、「その表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いる点。
[相違点3-3](特定事項1E、1F)
本件発明1では、「2枚の前記建築板のそれぞれの前記表面を、一方の前記建築板の前記第1意匠部と他方の前記建築板の前記第2意匠部とを対向させて載置したときに、前記第1意匠部の前記第1傾斜部と前記第2意匠部の前記第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触し、前記第1傾斜部と前記第2平坦部同士、及び前記第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していない」のに対し、
甲3発明では、このような特定がなされていない点。
(イ) 判断
事案に鑑み相違点3-3から検討する。
甲3発明は、「1段目のよろい部、2段目のよろい部及び3段目のよろい部のそれぞれ」「の表面は全体として裏面に向かって傾斜」するものであるが、それぞれのよろい部の表面が、本件発明1のように「平坦部」と「平坦部に対して」「傾斜する」「傾斜部」とから構成されているか否か上記「第4 3(1)」の図3イから把握することはできない。
そうすると、甲3発明の「不燃外装材CA」のそれぞれの表面同士を対向させて載置したときに、上記相違点3-3に係る本件発明1の「前記第1意匠部の前記第1傾斜部と前記第2意匠部の前記第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触し、前記第1傾斜部と前記第2平坦部同士、及び前記第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していない」という位置関係が得られるか否か不明である。
そして、そもそも甲3発明は、「不燃外装材CA」単体の構成については特定されているが、2枚の「不燃外装材CA」のそれぞれの表面同士を対向させて載置したときの態様については特定されていないし、甲3全体の記載を見ても、2枚の「不燃外装材CA」のそれぞれの表面同士を対向させて載置することについて示唆もない。
してみると、上記相違点3-3は、実質的な相違点であり、また甲3発明から容易であるともいえない。
また、上記相違点3-3に係る本件発明1の構成は、甲1、甲2、甲4~甲6にも記載も示唆もされていない。
以上のことから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明ではないし、本件発明は、甲3発明に基づいて、または甲3発明及び甲1、甲2、甲4~甲6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~5
本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記アと同様の理由により、本件発明2~4は、甲3発明ではない。
また、本件発明2~4は、甲3発明に基づいて、または甲3発明及び甲1、甲2、甲4~甲6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
さらに、本件発明5は、甲3発明、甲7記載事項及び甲8記載事項に基づいて、または甲3発明、甲1、甲2、甲4~甲6に記載された事項、甲7記載事項及び甲8記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4) 甲4を主たる引例とした場合について
ア 本件発明1
(ア) 対比
本件発明1と甲4発明を対比する。
a 特定事項1A
甲4発明の「その表面は全体として裏面に向かって傾斜」する構成を備え、その「表面の上部には、左右長手方向に延びる線状の模様が設けられ」る「不燃外装材A」は、本件発明1の「表面と裏面を有し、少なくとも前記表面に意匠面を有する建築板」に相当する。
よって、甲4発明は、本件発明1の特定事項1Aを備える。
b 特定事項1B
甲4発明の「左右長手方向に延びる1段目のよろい部」「の表面」及び「1段目のよろい部」に「上下方向に連続」し、「左右長手方向に延びる」「2段目のよろい部」「の表面」は、それぞれその「上部には、左右長手方向に延びる線状の模様が設けられ」るから、本件発明1の「第1方向に延びる第1意匠部」及び「前記第1方向と交差する第2方向に配され、前記第1方向に延びる第2意匠部」に相当する。
よって、甲4発明は、本件発明1の特定事項1Bを備える。
c 特定事項1C
甲4発明は「1段目のよろい部」「の表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いるところ、本件発明1の特定事項1Cと甲4発明は、「第1意匠部は」、傾斜部を備えている点で共通する。
d 特定事項1D
甲4発明は「2段目のよろい部」「の表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いるところ、本件発明1の特定事項1Dと甲4発明は、「第2意匠部は」、傾斜部を備えている点で共通する。
e 特定事項1G
甲4発明の「不燃外装材A」は、本件発明1の「建築板」に相当する。
f 上記a~eを踏まえると、本件発明1と甲4発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
[一致点]
「1A 表面と裏面を有し、少なくとも前記表面に意匠面を有する建築板であって、
1B 前記表面は、少なくとも、
第1方向に延びる第1意匠部と、
前記第1方向と交差する第2方向に配され、前記第1方向に延びる第2意匠部と、
を備え、
1C’前記第1意匠部は、
傾斜部を、備え、
1D’前記第2意匠部は、
傾斜部を、備える
1G 建築板。」
[相違点4-1](特定事項1C)
「第1意匠部」が、
本件発明1では、「前記第1方向に延びる平坦面を有する第1平坦部と、前記第1平坦部の前記第2方向の端部から、前記第1平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第1傾斜部と、を備え」ているのに対し、
甲4発明では、「その表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いる点。
[相違点4-2](特定事項1D)
「第2意匠部」が、
本件発明1では、「前記第1方向に延びる平坦面を有する第2平坦部と、前記第2平坦部の前記第2方向の端部から、前記第2平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第2傾斜部と、を備え」ているのに対し、
甲4発明では、「その表面は全体として裏面に向かって傾斜して」いる点。
[相違点4-3](特定事項1E、1F)
本件発明1では、「2枚の前記建築板のそれぞれの前記表面を、一方の前記建築板の前記第1意匠部と他方の前記建築板の前記第2意匠部とを対向させて載置したときに、前記第1意匠部の前記第1傾斜部と前記第2意匠部の前記第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触し、前記第1傾斜部と前記第2平坦部同士、及び前記第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していない」のに対し、
甲4発明では、このような特定がなされていない点。
(イ) 判断
事案に鑑み相違点4-3から検討する。
甲4発明は、「1段目のよろい部、2段目のよろい部及び3段目のよろい部のそれぞれ」「の表面は全体として裏面に向かって傾斜」するものであるが、それぞれのよろい部の表面が、本件発明1のように「平坦部」と「平坦部に対して」「傾斜する」「傾斜部」とから構成されているか否か上記「第4 4(1)」の図4イから把握することはできない。
そうすると、甲4発明の「不燃外装材A」のそれぞれの表面同士を対向させて載置したときに、上記相違点4-3に係る本件発明1の「前記第1意匠部の前記第1傾斜部と前記第2意匠部の前記第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触し、前記第1傾斜部と前記第2平坦部同士、及び前記第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していない」という位置関係が得られるか否か不明である。
そして、そもそも甲4発明は、「不燃外装材A」単体の構成については特定されているが、2枚の「不燃外装材A」のそれぞれの表面同士を対向させて載置したときの態様については特定されていないし、甲4全体の記載を見ても、2枚の「不燃外装材A」のそれぞれの表面同士を対向させて載置することについて示唆もない。
してみると、上記相違点4-3は、実質的な相違点であり、また甲4発明から容易であるともいえない。
また、上記相違点4-3に係る本件発明1の構成は、甲1~甲3、甲5、甲6にも記載も示唆もされていない。
以上のことから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4発明ではないし、本件発明は、甲4発明に基づいて、または甲4発明及び甲1~甲3、甲5、甲6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~5
本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記アと同様の理由により、本件発明2~4は、甲4発明ではない。
また、本件発明2~4は、甲4発明に基づいて、または甲4発明及び甲1~甲3、甲5、甲6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
さらに、本件発明5は、甲4発明、甲7記載事項及び甲8記載事項に基づいて、または甲4発明、甲1~甲3、甲5、甲6に記載された事項、甲7記載事項及び甲8記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5) 甲5を主たる引例とした場合について
ア 本件発明1
(ア) 対比
本件発明1と甲5発明を対比する。
a 特定事項1A
甲5発明の「ベベルラムダ22-2FP」は、「防火構造に対応した不燃材」であるところ建材であることは明らかであるから、その表面が意匠面を有していることは自明である。
また、甲5発明の「ベベルラムダ22-2FP」は、パネルであるから表面と裏面を有することも自明である。
よって、甲5発明の「ベベルラムダ22-2FP」は、本件発明1の「建築板」に相当し、甲5発明は、本件発明1の特定事項Aを備える。
b 特定事項1B
甲5発明の「第1板状部と第2板状部は、長手方向に延び、長手方向と交差する方向で連接」することから、「第1板状部」の「表面」及び「第2板状部」の「表面」は、本件発明1の「第1方向に延びる第1意匠部」及び「前記第1方向と交差する第2方向に配され、前記第1方向に延びる第2意匠部」に、それぞれ相当する。
よって、甲5発明は、本件発明1の特定事項1Bを備える。
c 特定事項1C
甲5発明の「裏面とほぼ平行な第1表面部」及び「第1表面部から裏面に向かって傾斜する第1傾斜部」は、本件発明1の「前記第1方向に延びる平坦面を有する第1平坦部」及び「前記第1平坦部の前記第2方向の端部から、前記第1平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第1傾斜部」に相当する。
よって、甲5発明は、本件発明1の特定事項1Cを備える。
d 特定事項1D
甲5発明の「裏面とほぼ平行な第2表面部」及び「第2表面部から裏面に向かって傾斜する第2傾斜部」は、本件発明1の「前記第1方向に延びる平坦面を有する第2平坦部」及び「前記第2平坦部の前記第2方向の端部から、前記第2平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第2傾斜部」に相当する。
よって、甲5発明は、本件発明1の特定事項1Dを備える。
e 特定事項1G
甲5発明の「ベベルラムダ22-2FP」は、本件発明1の「建築板」に相当する。
f 上記a~eを踏まえると、本件発明1と甲5発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
[一致点]
「1A 表面と裏面を有し、少なくとも前記表面に意匠面を有する建築板であって、
1B 前記表面は、少なくとも、
第1方向に延びる第1意匠部と、
前記第1方向と交差する第2方向に配され、前記第1方向に延びる第2意匠部と、
を備え、
1C 前記第1意匠部は、
前記第1方向に延びる平坦面を有する第1平坦部と、
前記第1平坦部の前記第2方向の端部から、前記第1平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第1傾斜部と、
を備え、
1D 前記第2意匠部は、
前記第1方向に延びる平坦面を有する第2平坦部と、
前記第2平坦部の前記第2方向の端部から、前記第2平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第2傾斜部と、
を備える
1G 建築板。」
[相違点5-1](特定事項1E、1F)
本件発明1では、「2枚の前記建築板のそれぞれの前記表面を、一方の前記建築板の前記第1意匠部と他方の前記建築板の前記第2意匠部とを対向させて載置したときに、前記第1意匠部の前記第1傾斜部と前記第2意匠部の前記第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触し、前記第1傾斜部と前記第2平坦部同士、及び前記第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していない」のに対し、
甲5発明では、このような特定がなされていない点。
(イ) 判断
甲5発明は、「長手方向と交差する方向の断面形状において、裏面とほぼ平行な第1表面部と、第1表面部から裏面に向かって傾斜する第1傾斜部を備えた第1板状部と、裏面とほぼ平行な第2表面部と、第2表面部から裏面に向かって傾斜する第2傾斜部を備えた第2板状部と、を備え」るものであるが、その「第1表面部」及び「第2表面部」の「長手方向と交差する方向」における寸法、「第1傾斜部」及び「第2傾斜部」の「長手方向と交差する方向」における寸法、「第1表面部」と「第1傾斜部」がなす角度、及び「第2表面部」と「第2傾斜部」がなす角度について、それぞれ明らかにされていない。
そうすると、甲5発明の「ベベルラムダ22-2FP」のそれぞれの表面同士を対向させて載置したときに、上記相違点5-1に係る本件発明1の「前記第1意匠部の前記第1傾斜部と前記第2意匠部の前記第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触し、前記第1傾斜部と前記第2平坦部同士、及び前記第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していない」という位置関係が得られるか否か不明である。
そして、そもそも甲5発明は、「ベベルラムダ22-2FP」単体の構成については特定されているが、2枚の「ベベルラムダ22-2FP」のそれぞれの表面同士を対向させて載置したときの態様については特定されていないし、甲5全体の記載を見ても、2枚の「ベベルラムダ22-2FP」のそれぞれの表面同士を対向させて載置することについて示唆もない。
してみると、上記相違点5-1は、実質的な相違点であり、また甲5発明から容易であるともいえない。
また、上記相違点5-1に係る本件発明1の構成は、甲1~甲4、甲6にも記載も示唆もされていない。
以上のことから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲5発明ではないし、本件発明は、甲5発明に基づいて、または甲5発明及び甲1~甲4、甲6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~5
本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記アと同様の理由により、本件発明2~4は、甲5発明ではない。
また、本件発明2~4は、甲5発明に基づいて、または甲5発明及び甲1~甲4、甲6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
さらに、本件発明5は、甲5発明、甲7記載事項及び甲8記載事項に基づいて、または甲5発明、甲1~甲4、甲6に記載された事項、甲7記載事項及び甲8記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6) 甲6を主たる引例とした場合について
ア 本件発明1
(ア) 対比
本件発明1と甲6発明を対比する。
a 特定事項1A
甲6発明は、「壁板材」であるから、表面と裏面を有し、表面が意匠面とされることは自明である。
よって、甲6発明の「壁板材」は、本件発明1の「建築板」に相当し、甲6発明は、本件発明1の特定事項1Aを備える。
b 特定事項1B
甲6発明の「一の単位板部」は、「正面に対して面外方向に延びている」ことから、その表面は、本件発明1の「第1方向に延びる第1意匠部」に相当する。
そして、甲6発明の「一の単位板部に隣接する単位板部」は、「正面に対して面外方向に延びている」「一の単位板部」「に隣接する」のであるから、「一の単位板部」の「正面に対して面外方向」に交差する方向に配置されることは明らかであり、その表面は、本件発明1の「前記第1方向と交差する第2方向に配され、前記第1方向に延びる第2意匠部」に相当する。
よって、甲6発明は、本件発明1の特定事項1Bを備える。
c 特定事項1C
甲6発明の「正面に対して面外方向に延びている」「単位板部」の「平坦頂部」及び「平坦頂部の両側から裏面方向にそれぞれ」「延設」された「第1の傾斜部と第2の傾斜部」は、いずれも「正面に対して面外方向に延びている」ことは自明である。
そうすると、「平坦頂部の両側から裏面方向にそれぞれ第1の傾斜部と第2の傾斜部を延設し」ているところ、「一の単位板部」の「平坦頂部」は、本件発明1の「第1平坦部」に、甲6発明の「一の単位板部」の「第1の傾斜部」及び「第2の傾斜部」は、本件発明1の特定事項1Cの「第1傾斜部」及び「第2傾斜部」に、それぞれ相当する。
よって、甲6発明は、本件発明1の特定事項1Cを備える。
d 特定事項1D
上記cを踏まえると、甲6発明の「一の単位板部に隣接する単位板部」の「平坦頂部」は、本件発明1の「第2平坦部」に、甲6発明の「一の単位板部に隣接する単位板部」の「第1の傾斜部」及び「第2の傾斜部」は、本件発明1の特定事項1Dの「第1傾斜部」及び「第2傾斜部」に、それぞれ相当する。
よって、甲6発明は、本件発明1の特定事項1Dを備える。
e 特定事項1G
甲6発明の「壁板材」は、本件発明1の「建築板」に相当する。
f 上記a~eを踏まえると、本件発明1と甲6発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
[一致点]
「1A 表面と裏面を有し、少なくとも前記表面に意匠面を有する建築板であって、
1B 前記表面は、少なくとも、
第1方向に延びる第1意匠部と、
前記第1方向と交差する第2方向に配され、前記第1方向に延びる第2意匠部と、
を備え、
1C 前記第1意匠部は、
前記第1方向に延びる平坦面を有する第1平坦部と、
前記第1平坦部の前記第2方向の端部から、前記第1平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第1傾斜部と、
を備え、
1D 前記第2意匠部は、
前記第1方向に延びる平坦面を有する第2平坦部と、
前記第2平坦部の前記第2方向の端部から、前記第2平坦部の前記平坦面に対して前記裏面に向かう方向に傾斜する第2傾斜部と、
を備える
1G 建築板。」
[相違点6-1](特定事項1E、1F)
本件発明1では、「2枚の前記建築板のそれぞれの前記表面を、一方の前記建築板の前記第1意匠部と他方の前記建築板の前記第2意匠部とを対向させて載置したときに、前記第1意匠部の前記第1傾斜部と前記第2意匠部の前記第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触し、前記第1傾斜部と前記第2平坦部同士、及び前記第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していない」のに対し、
甲6発明では、このような特定がなされていない点。
(イ) 判断
甲6発明は、「平坦頂部の両側から裏面方向にそれぞれ第1の傾斜部と第2の傾斜部を延設した単位板部」を備えるものであるが、その「平坦頂部」の「正面」から見た寸法、「第1の傾斜部」及び「第2の傾斜部」の「正面」から見た寸法、「平坦頂部」と「第1の傾斜部」がなす角度、及び「平坦頂部」と「第2の傾斜部」がなす角度について、それぞれ明らかにされていない。
また、「5つの単位板部」のそれぞれが同じ寸法であるのか否かも明らかにされていない。
そうすると、甲6発明の「壁板材」のそれぞれの表面同士を対向させて載置したときに、上記相違点6-1に係る本件発明1の「前記第1意匠部の前記第1傾斜部と前記第2意匠部の前記第2傾斜部とが少なくとも一部で面接触し、前記第1傾斜部と前記第2平坦部同士、及び前記第2傾斜部と第1平坦部同士には空隙が形成され、互いに接していない」という位置関係が得られるか否か不明である。
そして、そもそも甲6発明は、「壁板材」単体の構成については特定されているが、2枚の「壁板材」のそれぞれの表面同士を対向させて載置したときの態様については特定されていないし、甲6全体の記載を見ても、2枚の「壁板材」のそれぞれの表面同士を対向させて載置することについて示唆もない。
してみると、上記相違点6-1は、実質的な相違点であり、また甲6発明から容易であるともいえない。
また、上記相違点6-1に係る本件発明1の構成は、甲1~甲5にも記載も示唆もされていない。
以上のことから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲6発明ではないし、本件発明は、甲6発明に基づいて、または甲6発明及び甲1~甲5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~5
本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記アと同様の理由により、本件発明2~4は、甲6発明ではない。
また、本件発明2~4は、甲6発明に基づいて、または甲6発明及び甲1~甲5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
さらに、本件発明5は、甲6発明、甲7記載事項及び甲8記載事項に基づいて、または甲6発明、甲1~甲5に記載された事項、甲7記載事項及び甲8記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7) 申立人の主張について
申立人は、申立書の第19頁第4~11行(甲1)、第22頁第3~10行(甲2)、第25頁第6~13行(甲3)、第28頁第6~13行(甲4)、第31頁第8~15行(甲5)及び第35頁第11~18行(甲6)において、甲1~甲6のそれぞれの図から、2枚の板材のそれぞれの表面を、一方の板材の意匠部と他方の板材の意匠部とを対向させて載置したときの状態を示す図を作成し、その図に基づいて、甲1~甲6のいずれも本件発明1の特定事項1E及び特定事項1Fを備えている旨、主張をしている。
しかしながら、甲1発明、甲2発明、甲3発明及び甲4発明は、それぞれの板材が、本件発明1の特定事項1C及び特定事項1Dにおいて特定される「平坦部」と「傾斜部」の関係を備えているか把握できないため、上記(1)ア(イ)、上記(2)ア(イ)、上記(3)ア(イ)及び上記(4)ア(イ)にて説示のとおり、互いの表面を対向させて載置したときに、本件発明1の特定事項1E及び特定事項1Fにおいて特定される位置関係が得られるか否か不明である。
また、甲5発明及び甲6発明は、本件発明1の特定事項1C及び特定事項1Dに相当する構成は備えるものの、上記(5)ア(イ)及び上記(6)ア(イ)にて説示のとおり、「平坦部」と「傾斜部」について、寸法や、互いの角度が明らかにされておらず、互いの表面を対向させて載置したときに、本件発明1の特定事項1E及び特定事項1Fにおいて特定される位置関係が得られるか否か不明である。
よって、申立人の主張は採用できない。
2 申立理由3(明確性要件違反)について
(1) 判断基準
特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。
(2) 本件発明5について
本件発明5は上記第2のとおりであって、それ自体に不明確な記載は見当たらないし、本件明細書の記載や図面とも整合している。
よって、請求項5の記載が第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
(3) 申立人の主張について
申立人は、申立書の「エ 記載不備の理由」について、以下の主張をしている。
「エ 記載不備の理由
明確性
請求項5には、「1つ以上の窪み部が形成されている、」と規定されている。
本件明細書の段落[0037]には、「図4に示すように、第3意匠部23Aに含まれる第3平坦部231Aには、表面から裏面3A側に窪む窪み部231aが形成されている。」と記載されている。
一方、図4には、下記に示すように、窪み部231aが示されているが、図4は、側面図である図3内の領域R1の部分拡大図であるため、窪み部231aの側面から見た形状については示されているものの、上面から見た形状等は示されていない。つまり、窪み部231aの全体形状は不明である。
「[図4]
[図:0001423551000022.jpg]
本件明細書の段落[0037]には、「窪み部231aは、意匠面2Aにテカリが発生したときに、そのテカリの連続性を無くしたり、受けた光の角度を変えたりして、発生したテカリを目立たなくするためのものである。」と記載されているが、本件明細書において、形状が示されていない「窪み部」が、このような効果を発揮できるか、不明である。
以上のように、請求項5における「窪み部」の形状が、本件明細書では不明であるため、本件特許発明5の「窪み部」の技術的意味が不明確である。
よって、本件特許発明5は、明確でない。」
この主張について検討すると、本件特許明細書の【0037】には、
「【0037】
なお、図4に示すように、第3意匠部23Aに含まれる第3平坦部231Aには、表面から裏面3A側に窪む窪み部231aが形成されている。窪み部231aは、意匠面2Aにテカリが発生したときに、そのテカリの連続性を無くしたり、受けた光の角度を変えたりして、発生したテカリを目立たなくするためのものである。窪み部231aは、図4では、第3平坦部231Aに1つだけ形成されているが、実際には、複数個の窪み部231aが不規則に形成されている。形成される場所も、第3平坦部231Aに限らず、第3傾斜部232Aであってもよいし、第3意匠部23A全体であってもよい。さらに、第3意匠部23Aに限らず、第1意匠部21Aであってもよいし、第2意匠部22Aであってもよい。また、第1~第3意匠部21A~23Aのうち、いずれか1つ以上の意匠部であってもよい。」と記載されている(下線は当審にて付した。)。
そうすると、「1つ以上の窪み部が形成されている」という記載は、「第3意匠部23Aに含まれる第3平坦部231Aには、表面から裏面3A側に窪む窪み部231aが形成されている」ことを意味することが理解できるから、不明確な記載であるとはいえない。
そして、「窪み部231aは、意匠面2Aにテカリが発生したときに、そのテカリの連続性を無くしたり、受けた光の角度を変えたりして、発生したテカリを目立たなくするためのものである」から、その技術的意味が不明確であるともいえない。
よって、上記申立人の主張は妥当ではないため、採用することができないから、申立理由3により、請求項5に係る特許を取り消すことはできない。
(4) 小活
以上のとおりであるから、申立理由3はその理由がない。
第6 むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700313