特許異議申立
2023-700987
光源ユニット及び照明装置
- 審判番号
- 2023-700987
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-172945
- 登録番号
- 7241654
- 請求日
- 2023年09月19日
- 審決日
- 2025年06月24日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
- 【権利者】三菱電機照明株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
- 【異議申立人】天野井 輝章
- 審判長/審判官
- 審判長 倉橋 紀夫
- 審判官 中屋 裕一郎
- 審判官 八木 誠
- 分類
- P1652.113-ZDA(F21V) / P1652.121-ZDA(F21V)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7241654号発明「光源ユニット及び照明装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7241654号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕、11について訂正することを認める。
特許第7241654号の請求項11に係る特許を取り消す。
特許第7241654号の請求項1~7、10に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7241654号の請求項1~11に係る特許(以下、それぞれ「本件特許1」などといい、まとめて「本件特許」という。)についての出願は、令和元年9月24日(優先権主張 平成30年12月19日)に出願され、令和5年3月9日にその特許権の設定登録がされ、同年3月17日に特許掲載公報が発行された。その特許についての異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 9月19日 :特許異議申立人 天野井輝章(以下「申立人」という。)による本件特許1~7、10、11に対する特許異議の申立て
令和6年 2月13日付け:取消理由通知
同年 4月15日 :特許権者による訂正請求書、意見書の提出
同年 5月14日付け:訂正拒絶理由通知
同年 6月14日 :特許権者による意見書の提出
同年 7月29日 :申立人による意見書の提出
同年11月19日付け:取消理由通知(決定の予告)
令和7年 1月10日 :特許権者による訂正請求書、意見書の提出
同年 3月 6日 :申立人による意見書の提出
なお、令和6年4月15日に提出された訂正請求書による訂正は、令和7年1月10日に提出された訂正請求書による訂正がされたため、特許法120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和7年1月10日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という)は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~11について訂正することを求めるものであって、その内容は次のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
請求項1に「前記電源装置と前記光源部とを電気的に接続する接続部材と、」と記載されているのを、「前記電源装置と前記光源部とを電気的に接続するための導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する接続部材と、」に訂正する(以下「訂正事項1-1」という。)。
また、請求項1に「前記接続部材は、前記電源基板に配置された状態で前記電源基板孔と前記取付部材孔と前記光源基板孔とに挿通されており、前記光源基板接続部と前記電源基板接続部とを電気的に接続する」と記載されているのを、「前記接続部材は、前記絶縁部が前記電源基板に配置されるとともに前記導電体が前記挿通部に挿通された状態で、前記電源基板孔と前記取付部材孔と前記光源基板孔とに挿通されており、前記光源基板接続部と前記電源基板接続部とを電気的に接続する」に訂正する(以下「訂正事項1-2」という。)。
(請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2、3、7、8、10についても同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
請求項4に「前記電源装置と前記光源部とを電気的に接続する接続部材と」と記載されているのを、「前記電源装置と前記光源部とを電気的に接続するための導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する接続部材と、」に訂正する(以下「訂正事項2-1」という。)。
また、請求項4に「前記接続部材は、前記電源基板に配置された状態で前記電源基板孔と前記光源基板孔とに挿通されており、前記光源基板接続部と前記電源基板接続部とを電気的に接続する」と記載されているのを、「前記接続部材は、前記絶縁部が前記電源基板に配置されるとともに前記導電体が前記挿通部に挿通された状態で、前記電源基板孔と前記光源基板孔とに挿通されており、前記光源基板接続部と前記電源基板接続部とを電気的に接続する」に訂正する(以下「訂正事項2-2」という。)。
(請求項4を直接又は間接的に引用する請求項5~7、9、10についても同様に訂正する。)
(3)訂正事項3
明細書の段落番号【0006】に「本発明に係る光源ユニットは、光源部と、光源部に電力を供給する電源装置と、光源部及び電源装置が取り付けられる取付部材と、電源装置と光源部とを電気的に接続する接続部材と、を備え、光源部は、貫通孔である光源基板孔が形成されていると共に、1つ又は複数の発光素子が表面に配置される光源基板と、光源基板に設けられ、1つ又は複数の発光素子と電気的に接続される光源基板接続部と、を有し、取付部材は、板状に形成されており、貫通孔である取付部材孔が形成されていると共に、第1面部には光源部が取り付けられており、第1面部の裏側となる第2面部には電源装置が取り付けられており、電源装置は、貫通孔である電源基板孔が形成されていると共に、外部電力と電気的に接続される電源基板接続部が設けられた電源基板を有し、電源基板と取付部材と光源基板とは、電源基板孔と取付部材孔と光源基板孔とが連なるように配置されており、接続部材は、電源基板に配置された状態で電源基板孔と取付部材孔と光源基板孔とに挿通されており、光源基板接続部と電源基板接続部とを電気的に接続する。」と記載されているのを、「本発明に係る光源ユニットは、光源部と、光源部に電力を供給する電源装置と、光源部及び電源装置が取り付けられる取付部材と、電源装置と光源部とを電気的に接続するための導電体と、導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する接続部材と、を備え、光源部は、貫通孔である光源基板孔が形成されていると共に、1つ又は複数の発光素子が表面に配置される光源基板と、光源基板に設けられ、1つ又は複数の発光素子と電気的に接続される光源基板接続部と、を有し、取付部材は、板状に形成されており、貫通孔である取付部材孔が形成されていると共に、第1面部には光源部が取り付けられており、第1面部の裏側となる第2面部には電源装置が取り付けられており、電源装置は、貫通孔である電源基板孔が形成されていると共に、外部電力と電気的に接続される電源基板接続部が設けられた電源基板を有し、電源基板と取付部材と光源基板とは、電源基板孔と取付部材孔と光源基板孔とが連なるように配置されており、接続部材は、絶縁部が電源基板に配置されるとともに導電体が挿通部に挿通された状態で、電源基板孔と取付部材孔と光源基板孔とに挿通されており、光源基板接続部と電源基板接続部とを電気的に接続する。」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項11に「前記第1基板、前記第2基板、及び、前記支持部材に形成されているそれぞれの貫通孔に挿通された状態で、前記給電端部と前記受電端部とに電気的に接続される接続部と、」と記載されているのを、「前記第1基板、前記第2基板、及び、前記支持部材に形成されているそれぞれの貫通孔に挿通された状態で、前記給電端部と前記受電端部とに電気的に接続される導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する接続部材と、」に訂正する。
(5)一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項1~3、7、8、10について、請求項2、3、7、8、10は、それぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、訂正前の請求項1~3、7、8、10に対応する訂正後の請求項1~3、7、8、10は「一群の請求項」を構成する。
一方、訂正事項2に係る訂正前の請求項4~7、9、10について、請求項5~7、9、10は、それぞれ請求項4を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものであり、訂正前の請求項4~7、9、10に対応する訂正後の請求項4~7、9、10は「一群の請求項」を構成する。
そして、これらの「一群の請求項」は共通する請求項7及び10を有するから、組み合わされ、訂正前の請求項1~10に対応する訂正後の請求項1~10が「一群の請求項」を構成する。
また、明細書に係る訂正事項3は、一群の請求項〔1~10〕について請求されたものである。
したがって、本件訂正のうち訂正事項1~3は、一群の請求項である請求項〔1~10〕について訂正を請求するものである。
また、本件訂正のうち訂正事項4は、請求項11について訂正を請求するものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1-1は、訂正前の請求項1の「接続部材」について、それが「導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する」ものであると、より具体的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
また、訂正事項1-2は、接続部材が光源基板接続部と電源基板接続部とを電気的に接続するときの接続部材の態様に関し、「接続部材」が「前記電源基板に配置された状態」を、接続部材を構成する「絶縁部」が「電源基板に配置された」状態と、より具体的に限定し、同時に、接続部材を構成する「導電体」が「前記挿通部に挿通された状態」にもあると条件を更に付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
よって、訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
(ア)訂正事項1-1に関し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)には、次の記載がある。
「より詳細には、接続部材300は、図14に示すように、電気的に絶縁する材質で構成された接続部材カバー部301と、複数の導電体302と、導電体302を支持し、且つ電気的に絶縁する材質で構成された接続部材蓋部303とを有する。」(段落【0058】、下線は当審合議体が付したもの。以下、同様。)
「導電体302は、図14(b)に示すように、第2端子部材213と接続される棒状に形成された第2接続部3021と、第1端子部材2531と接触し、且つ弾性変形する平板状に形成された第1接続部3022とを有する。」(段落【0063】)
「接続部材蓋部303は、図14(b)に示すように、突出部3031を有する。突出部3031は、先端に向かうに従い外径が小さくなるような円筒形状に形成されており、中空部には第2接続部3021が挿通される。」(段落【0065】)
まず、段落【0058】の記載を踏まえれば、「接続部材カバー部301」と「接続部材蓋部303」とは電気的に絶縁する材質で構成された部分であるから、これらを「絶縁部」と呼ぶことができる。そうすると、段落【0058】の記載から「接続部材」が「導電体」と「絶縁部」を有するという点は特許明細書等に記載された事項といえる。
また、段落【0065】には、導電体302の第2接続部3021が、接続部材蓋部303が有する突出部3031に「挿通される」点が記載されているところ、段落【0058】の記載に照らせば、接続部材蓋部303が電気的に絶縁する材質で構成され、その接続部材蓋部303が突出部3031を有するのだから、この突出部3031は「絶縁部」の一部ということができる。そうすると、「絶縁部」である接続部材蓋部303にその一部として形成された突出部3031は、「絶縁部」に形成された「前記導電体が挿通される挿通部」ということができるから、「絶縁部」が「前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部」であるという点も、特許明細書等に記載された事項といえる。
(イ)訂正事項1-2に関し、特許明細書等には、「なお、後述するように、接続部材300の脚部305は、突出部3031と導電体302とにより構成されている。接続部材300が電源基板253に取り付けられると、導電体302は、電源基板孔2532と、電源本体部孔2511と、取付部材孔220eと、光源基板孔2111とを挿通し、発光素子212側に設けられた第2端子部材213に接続される。したがって、接続部材300は、電源基板253に配置された状態で電源基板孔2532と取付部材孔220eと光源基板孔2111とを挿通しており、入力端子部材である第2端子部材213と出力端子部材である第1端子部材2531とを電気的に接続する。」(段落【0055】)との記載があり、図13には、このような接続部材300の電源基板253に対する配置状態や、第2端子部材213と第1端子部材2531との接続状況が示されている。
まず、「接続部材300」が「電源基板253に配置された状態」について、図13からは、接続部材蓋部303が電源基板253に接するように配置された態様で、導電体302の第2接続部3021が、接続部材蓋部303の突出部3031に挿通された接続部材300が電源基板253に配置される点が看取できるところ、上記(ア)のとおり「接続部材蓋部303」は接続部材の「絶縁部」といえることを踏まえれば、上記した「接続部材300」が「電源基板253に配置された状態」とは、絶縁部が電源基板に配置されるとともに導電体が挿通部に挿通された状態であるといえる。
そして、段落【0031】には、光源基板211が第2端子部材213を備えていることが、段落【0050】には、電源基板253が第1端子部材2531を備えることが、それぞれ記載されていることを踏まえると、段落【0055】に記載された「接続部材300は、電源基板253に配置された状態で電源基板孔2532と取付部材孔220eと光源基板孔2111とを挿通しており、入力端子部材である第2端子部材213と出力端子部材である第1端子部材2531とを電気的に接続する。」ことは、接続部材は、絶縁部が電源基板に配置されるとともに導電体が挿通部に挿通された状態で、電源基板孔と取付部材孔と光源基板孔とに挿通されており、光源基板接続部と電源基板接続部とを電気的に接続することといえる。
したがって、訂正事項1-2は、特許明細書等に記載された事項といえる。
(ウ)したがって、訂正事項1は、特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、上記アのとおり特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2-1は、訂正前の請求項4の「接続部材」について、それが「導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する」ものであると、より具体的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
また、訂正事項2-2は、接続部材が光源基板接続部と電源基板接続部とを電気的に接続するときの接続部材の態様について、訂正前の請求項4における接続部材が「前記電源基板に配置された状態」に関し、「接続部材」が「前記電源基板に配置された状態」を、接続部材を構成する「絶縁部」が「電源基板に配置された」状態と、より具体的に限定し、同時に、接続部材を構成する「導電体」が「前記挿通部に挿通された状態」にもあると条件を更に付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
よって、訂正事項2は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加の有無
訂正事項2-1については、訂正事項1-1と同様に、特許明細書等に記載された事項といえ、訂正事項2-2については、訂正事項1-2と同様に、特許明細書等に記載された事項といえる。
よって、訂正事項2は、特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、上記アのとおり特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正事項1による訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図ることを目的とする訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の請求項4おける給電端部と受電端部とに電気的に接続される「接続部」について、それが「導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する接続部材」であると、より具体的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
イ 新規事項の有無
当初明細書等には、「また、照明装置1において、接続部である接続部材300は、第1基板である電源基板253、第2基板である光源基板211及び支持部材である取付部材220に形成されているそれぞれの貫通孔に挿通された状態で、給電端部と受電端部とに電気的に接続される。」(段落【0068】)と記載されており、「前記給電端部と前記受電端部とに電気的に接続される」「接続部材」は、特許明細書等に記載された事項といえる。
また、「接続部材」が、「導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する」点は、上記(1)イ(ア)のとおり、特許明細書等に記載された事項といえる。
よって、訂正事項4は、特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、上記アのとおり特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(5)独立特許要件について
訂正事項1~3に関し、特許異議の申立ての対象である訂正前の請求項1~7、10の訂正には、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件(以下、単に「独立特許要件」という。)は課されないが、特許異議の申立ての対象でない訂正前の請求項8及び9の訂正には、独立特許要件は課される。
そこで、まず、訂正後の請求項8に係る発明の独立特許要件について検討すると、後記第5「2 甲1を引例とする取消理由」(1)、同「3 甲2を引例とする取消理由」(1)で述べるように、本件訂正後の請求項1に係る発明には、特許を受けることができないとすべき理由があるとはいえないから、請求項1を間接的に引用する本件訂正後の請求項8に係る発明についても、同様に特許を受けることができないとすべき理由があるとはいえず、また他に特許を受けることができない理由を発見しない。よって、本件訂正後の請求項8に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。
また、訂正後の請求項9に係る発明の独立特許要件について検討すると、後記第5「2 甲1を引例とする取消理由」(2)、同「3 甲2を引例とする取消理由」(3)で述べるように、本件訂正後の請求項4に係る発明には、特許を受けることができないとすべき理由があるとはいえないから、請求項4を間接的に引用する本件訂正後の請求項9に係る発明についても、同様に特許を受けることができないとすべき理由があるとはいえず、また他に特許を受けることができない理由を発見しないため、本件訂正後の請求項9に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。
訂正事項4に関しては、訂正前の請求項11は特許異議の申立ての対象であるから、独立特許要件は課されない。
(6)申立人の主張について
本件訂正に関し、申立人は、令和7年3月6日提出の意見書において、「段落番号[0058]には本件訂正発明1の「絶縁部」に相当する「接続部材蓋部303」が、本件訂正発明1の「導電体」に相当する「導電体302を支持」すると記載されているにもかかわらず、訂工事項1では「前記導電体が挿通される挿通部」とのみ記載されており、「絶縁部」(接続部材蓋部303)が「導電体」(導電体302)を支持しない構成まで含まれている。例えば、「絶縁部」が薄い皮膜であって、「導電体」を薄い皮膜からなる「絶縁部」で覆うような構成も含まれてしまうが、当該構成は本件の明細書に一切記載されていない」(第2ページ第14~22行)として、本件訂正が新たな技術的事項を導入する訂正であると主張する。
しかし、接続部材が「前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部」を有することは、上記(1)イ(ア)のとおり特許明細書等に記載された事項といえる。また、訂正前請求項1においては、「接続部材」について特段の限定はされていないため、訂正前請求項1に係る発明の「接続部材」は、特許明細書等の【発明を実施するための形態】に記載された具体例の他に、技術常識から考えられる構成の「接続部材」を包含していたと解することができる。そうすると、訂正後請求項1に係る発明の「前記電源装置と前記光源部とを電気的に接続するための導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する接続部材」も特許明細書等の【発明を実施するための形態】に記載された具体例の他に、技術常識から考えられる構成のものを包含すると解すべきであり、特許明細書等に記載された具体例に限定すべきであるとする申立人の主張は失当である。 よって申立人の主張は採用できない。
3 小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第4項の規定に適合し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第7項の規定に適合する。
したがって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕、11について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1~11に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等といい、まとめて「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定しようとするものであるところ、請求項1~11の記載は以下のとおりである。
「【請求項1】
光源部と、
前記光源部に電力を供給する電源装置と、
前記光源部及び前記電源装置が取り付けられる取付部材と、
前記電源装置と前記光源部とを電気的に接続するための導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する接続部材と、
を備え、
前記光源部は、
貫通孔である光源基板孔が形成されていると共に、1つ又は複数の発光素子が表面に配置される光源基板と、
前記光源基板に設けられ、前記1つ又は複数の発光素子と電気的に接続される光源基板接続部と、
を有し、
前記取付部材は、
板状に形成されており、貫通孔である取付部材孔が形成されていると共に、第1面部には前記光源部が取り付けられており、前記第1面部の裏側となる第2面部には前記電源装置が取り付けられており、
前記電源装置は、
貫通孔である電源基板孔が形成されていると共に、外部電力と電気的に接続される電源基板接続部が設けられた電源基板を有し、
前記電源基板と前記取付部材と前記光源基板とは、前記電源基板孔と前記取付部材孔と前記光源基板孔とが連なるように配置されており、
前記接続部材は、
前記絶縁部が前記電源基板に配置されるとともに前記導電体が前記挿通部に挿通された状態で、前記電源基板孔と前記取付部材孔と前記光源基板孔とに挿通されており、前記光源基板接続部と前記電源基板接続部とを電気的に接続する光源ユニット。
【請求項2】
前記接続部材は、
本体部と、
前記本体部から突出する脚部と、
を有し、
前記脚部が、前記電源基板孔、前記取付部材孔、前記光源基板孔の順番に挿通されて、前記本体部が、前記電源基板に配置されている請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記電源装置は、
前記電源基板を収容する電源本体部と、
前記電源基板の少なくとも一部を覆い、前記電源本体部に固定される電源蓋部と、
をさらに有し、
前記電源本体部には、前記電源基板孔、前記取付部材孔及び前記光源基板孔と連なる電源本体部孔が形成されている請求項1又は請求項2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
光源部と、
前記光源部に電力を供給する電源装置と、
前記電源装置と前記光源部とを電気的に接続するための導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する接続部材と、
を備え、
前記光源部は、
貫通孔である光源基板孔が形成されていると共に、1つ又は複数の発光素子が表面に配置される光源基板と、
前記光源基板に設けられ、前記1つ又は複数の発光素子と電気的に接続される光源基板接続部と、
を有し、
前記電源装置は、
貫通孔である電源基板孔が形成されていると共に、外部電力と電気的に接続される電源基板接続部が設けられた電源基板を有し、
前記電源基板と前記光源基板とは、前記電源基板孔と前記光源基板孔とが連なるように配置されており、
前記接続部材は、
前記絶縁部が前記電源基板に配置されるとともに前記導電体が前記挿通部に挿通された状態で、前記電源基板孔と前記光源基板孔とに挿通されており、前記光源基板接続部と前記電源基板接続部とを電気的に接続する光源ユニット。
【請求項5】
前記接続部材は、
本体部と、
前記本体部から突出する脚部と、
を有し、
前記脚部が、前記電源基板孔、前記光源基板孔の順番に挿通されて、前記本体部が、前記電源基板に配置されている請求項4に記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記電源装置は、
前記電源基板を収容する電源筐体部をさらに有し、
前記電源筐体部には、前記電源基板孔及び前記光源基板孔と連なる電源本体部孔が形成されている請求項4又は請求項5に記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記接続部材は、
前記本体部に露出しており、前記接続部材が前記電源基板に配置された状態において前記電源基板接続部と接続する第1接続部と、
前記脚部の先端に露出しており、前記接続部材が前記電源基板に配置された状態において前記光源基板接続部と接続する第2接続部と、
を有する請求項2又は請求項5に記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記接続部材は、
前記電源基板に配置された状態で前記電源蓋部又は前記電源本体部に固定されている請求項3に記載の光源ユニット。
【請求項9】
前記接続部材は、
前記電源基板に配置された状態で前記電源筐体部に固定されている請求項6に記載の光源ユニット。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットを支持する器具本体と、
を有する照明装置。
【請求項11】
給電回路が設けられており貫通孔が形成されている第1基板と、前記給電回路によって外部電力から変換された点灯電力が出力される給電端部とを有し、貫通孔が形成された支持部材に取り付けられている給電部と、
発光素子と、前記発光素子が一面側に配置されており貫通孔が形成されている第2基板と、前記発光素子と接続されており前記点灯電力が入力される受電端部とを有し、前記支持部材における前記給電部が取り付けられていない側に、前記第2基板の他面側を対向させた状態で配置される発光部と、
前記第1基板、前記第2基板、及び、前記支持部材に形成されているそれぞれの貫通孔に挿通された状態で、前記給電端部と前記受電端部とに電気的に接続される導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する接続部材と、
を備えている照明装置。」
第4 特許異議申立理由、取消理由通知(決定の予告)の概要、証拠方法
1 特許異議申立理由の概要
特許異議申立書(以下「申立書」という。)に記載された特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。
理由1.(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、その特許は、特許法第29条第1項第3号に該当し、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由2.(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記 (引用文献等については証拠方法参照)
<理由1について>
・請求項1、4、10、11
・引用文献等 甲第1号証
・請求項1、2、4-7、10、11
・引用文献等 甲第2号証
<理由2について>
・請求項3
・引用文献等 甲第2号証、甲第3号証
2 取消理由(決定の予告)の概要
令和6年11月19日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。
理由1.(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、その特許は、特許法第29条第1項第3号に該当し、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由2.(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記 (引用文献等については証拠方法参照)
<理由1及び2について>
・請求項4、10
・引用文献等 甲第1号証
・請求項1、2、4、5、10、11
・引用文献等 甲第2号証
<理由2について>
・請求項1、11
・引用文献等 甲第1号証
3 証拠方法
申立人が提出した証拠方法は以下のとおりである。
甲第1号証:国際公開第2018/155666号
甲第2号証:特開2018-10735号公報
甲第3号証:特開2018-147797号公報
以下、甲第1号証~甲第3号証を、それぞれ「甲1」~「甲3」という。
第5 取消理由(決定の予告)に対する当審の判断
1 各甲号証に記載された発明等について
(1)甲1について
ア 甲1の記載事項
「[0014]LED照明装置1は、図2、図3及び図9に示すように、LED照明装置1を図示しない天井などに取り付けるためのベース9を有しており、ベース9には、光源ユニット4が、図9に示すように、ベースに対して着脱自在に設けられている。光源ユニット4とベース9との脱着構造は、多様なものが知られているが、ここではその詳細な説明は省略する。光源ユニット4内に配置される基板ホルダ2の図中上面には、交流を直流に変換して外部(LED素子)に供給する直流電源装置3が設けられており、また基板ホルダ2の図中下面の光照射側、従って直流電源装置3が設けられた基板ホルダ2の反対側の面には、多数のLED素子6が配置されたLED基板5が装着されている。直流電源装置3は、図3に示すように、基板ホルダ2の図中右端部2aから、更に右方に突出した形で設けられ、ベース9の側板9aにその右端部をほぼ当接させる形で基板ホルダ2上に配置されているが、この基板ホルダ2上での直流電源装置3の配置態様は、任意である。なお、基板ホルダ2の図中右端部2aと側板9aの間には、基板ホルダ2が介在しない接続スペース2bが形成されている。
[0015]直流電源装置3の、図3左方には、図示しない交流電源ケーブル(商用電源)が接続される端子台10が基板ホルダ2上に配置されており、端子台10と直流電源装置3とは電気的に接続されている。直流電源装置3には、端子台10から供給される交流電源を整流し、直流に変換する電源基板3aが内蔵されており、電源基板3aの図中右端部は、接続スペース2bを介してLED基板5側に開放露出されている。
[0016]LED基板5の図3右端部は、基板ホルダ2の右端部2aより更に図中右方、接続スペース2bを介して側板9aに当接する位置にまで突出しており、LED基板5の電源基板3aと対向する位置の接続スペース2b内には、電源接続金具11が複数本、LED基板5の上面と電源基板3aの下面、従って互いに対向する基板面間を上下方向に接続する形で設けられている。電源接続金具11は、直流電源装置3からLED基板5へLED素子6駆動用の電力を供給することが出来る。」
「[0020]即ち、まず、電源装置3が基板ホルダ2に取り付けられていない状態で、LED基板5の図3の右端部、従って、基板ホルダ2が無い接続スペース2b内の、後で装着される電源装置3の電源基板3aと直接対向し得る位置に、図4に示すように、複数のピン形状に形成された電源接続金具11を半田付けなどで立設する。なお、この電源接続金具11は、予め電源接続金具11が立設された状態で基板ホルダ2に取り付けられていてもよく、更には、直流電源装置3の電源基板3a側に予め配置されていてもよい。
[0021]電源接続金具11が電源基板3aに立設された状態で、直流電源装置3を、図3の上方から、基板ホルダ2に向けて図中下方に向けて、電源基板3aとLED基板5が平行に徐々に接近する形で移動させて、電源基板3aに設けられた図示しない、電源金具装着穴に電源接続金具11の先端を挿入係合させ(又は、電源基板3a側に予め設けられた電源接続金具11の先端をLED基板5に設けられた図示しない電源接続金具装着穴にその先端を挿入係合させ)、その状態で直流電源装置3を基板ホルダ2に固着させると共に、電源接続金具11と電源基板3a(又はLED基板5)を半田付けなどで電気的に接続する。」
「[0029]なお、LED素子6が2枚のLED基板5、5に搭載されている場合で、それら2枚のLED基板5、5に対して単一の直流電源装置3から電力を供給する場合には、図10及び11に示すように、基板ホルダ2に直列に並べる形で設けられた2枚のLED基板5、5の互いに対向する端部5a,5aに対応する形で、例えば基板ホルダ2のほぼ中央位置に図10上下方向に貫通した接続スペース2bを形成する。そして当該接続スペース2b上に、直流電源装置3を配置すると共に、接続スペース2bを介して当該基板ホルダ2の電源基板3aと各LED基板5、5との間を2つの電源接続金具11,11で接続するように構成することで、直流電源装置3からの電源の供給を行うように構成することが出来る。なお、接続スペース2bは、図11に示すように、基板ホルダ2に形成された穴でもよく、また基板ホルダ2を2分割に構成して、分割された基板ホルダ2、2間に接続スペース2bを形成するように構成することも可能である。この場合、分割された基板ホルダ2,2間は、図示しない適当な接続部材で接続されることとなる。」
「[図3]
[図:0001428979000001.jpg]
」
「[図4]
[図:0001428979000002.jpg]
」
「[図11]
[図:0001428979000003.jpg]
」
イ 甲1の認定事項
(ア)LED基板5について
図3、図4から、LED基板5は表面に多数のLED素子6が配置され、LED基板5の裏面が基板ホルダ2に装着されるものと認められる。
また、LED基板5と電源接続金具11との接続について、段落[0020]の「LED基板5・・・に、図4に示すように、・・・電源接続金具11を半田付けなどで立設する」との記載から、LED基板5は、電源接続金具11を半田付けするLED基板半田付け部を有するものと認められる。また、段落[0016]等の記載から、LED基板半田付け部がLED素子6と電気的に接続すること、また、LED基板半田付け部にLED素子6駆動用の電力が供給されることは明らかである。そうすると、LED基板5は、多数のLED素子6と電気的に接続されLED素子6駆動用の電力が供給されるLED基板半田付け部を有するものと認められる。
また、図4から、電源接続金具11がLED基板5を上下に貫通していることが看取できるから、LED基板5には何らかの貫通孔が設けられ、当該貫通孔に電源接続金具11が立設されるものと認められる。当該貫通孔を、段落[0021]の、LED基板5に設けられた電源接続金具装着穴に電源接続金具11の先端が挿入係合させるとの記載により、電源接続金具装着穴と呼ぶこととする。すなわち、LED基板5は、貫通孔である電源接続金具装着穴が設けられるものと認められる。
(イ)基板ホルダ2について
図3、図4から、基板ホルダ2は、板状に形成されるものと認められる。
(ウ)直流電源装置3について
電源基板3aと電源接続金具11との接続について、段落[0021]には、「電源基板3aに設けられた・・・電源金具装着穴に電源接続金具11の先端を挿入係合させ、・・・電源接続金具11と電源基板3aを半田付けなどで電気的に接続する」ことが記載されており、図4から、電源接続金具11が電源基板3aを上下に貫通していることが看取できるから、電源金具装着穴は貫通孔であると認められる。また、電源基板3aは、電源接続金具11を半田付けする半田付け部が設けられるものと認められる。すなわち、電源基板3aは、貫通孔である電源金具装着穴が形成されていると共に、電源基板半田付け部が設けられるものと認められる。段落[0015]、[0016]の記載から、電源基板3aは、商用電源から供給される交流電源を整流して、直流に変換し、また、LED素子6駆動用の電力を供給するものであるから、電源基板3aが、商用電源から供給される交流電源を直流に変換する回路を含むこと、電源基板半田付け部が商用電源と電気的に接続され、LED素子6駆動用の電力が出力されることは明らかである。
(エ)電源基板3a、基板ホルダ2、LED基板5と電源接続金具11の関係について
段落[0020]、[0021]、図3、4から、電源基板3aと基板ホルダ2とLED基板5とは、電源基板3aの電源金具装着穴とLED基板の電源接続金具装着穴が、基板ホルダ2の接続スペース2bを介して、電源接続金具11を接続するように配置されているものと認められる。
また、電源接続金具11は、電源基板3aに接続された状態で、基板ホルダ2の接続スペース2bを介して、電源基板3aの電源金具装着穴とLED基板5の電源接続金具装着穴とに挿入されており、LED基板半田付け部と、電源基板半田付け部とを電気的に接続するものと認められる。
(オ)基板ホルダ2に形成された穴について
段落[0029]には、「接続スペース2bは、図11に示すように、基板ホルダ2に形成された穴でもよく」と記載されている。そして、接続スペース2bは、基板ホルダ2の上下の電源基板3aとLED基板5とを電源接続金具11で接続するものであることを踏まえると、基板ホルダ2に形成された穴は貫通孔であると認められる。
ウ 甲1に記載された発明
(ア)上記ア及びイを踏まえると、甲1には、段落[0014]~[0021]及び図3、4に記載された「光源ユニット4」に係る、次の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。
「表面に多数のLED素子6が配置されたLED基板5と、
交流を直流に変換してLED素子6に供給する直流電源装置3と、
上面に直流電源装置3が設けられ、下面にLED基板5の裏面が装着されている基板ホルダ2と、
直流電源装置3からLED基板5へLED素子6駆動用の電力を供給する電源接続金具11と、
を備え、
LED基板5は、貫通孔である電源接続金具装着穴が設けられると共に、表面に多数のLED素子6が配置され、多数のLED素子6と電気的に接続されLED素子6駆動用の電力が供給されるLED基板半田付け部を有し、
基板ホルダ2は、
板状に形成されており、基板ホルダ2が介在しない接続スペース2bが形成されると共に、上面に直流電源装置3が設けられ、下面にLED基板5が装着されており、
直流電源装置3は、
貫通孔である電源金具装着穴が設けられると共に、商用電源と電気的に接続され、LED素子6駆動用の電力が出力される電源基板半田付け部が設けられた電源基板3aが内蔵されており、電源基板3aは商用電源から供給される交流電源を直流に変換する回路を含み、
電源基板3aと基板ホルダ2とLED基板5とは、電源基板3aの電源金具装着穴とLED基板5の電源接続金具装着穴が、基板ホルダ2の接続スペース2bを介して、電源接続金具11を接続するように配置されており、
電源接続金具11は、
電源基板3aに接続された状態で、基板ホルダ2の接続スペース2bを介して、電源基板3aの電源金具装着穴とLED基板5の電源接続金具装着穴とに挿入されており、電源基板半田付け部と、LED基板半田付け部とを電気的に接続する
光源ユニット4。」
(イ)さらに、甲1の段落[0014]を参照すると、甲1には、「LED照明装置1」に係る次の発明(以下「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。
「甲1発明1の光源ユニット4と、光源ユニット4を着脱自在なベース9とを有するLED照明装置1。」
(ウ)また、甲1には、甲1発明1の構成要素の一部を抽出して順序を組み替え、「LED照明装置1」の発明とした、次の発明(以下「甲1発明3」という。)が記載されていると認められる。
「商用電源から供給される交流電源を整流し直流に変換する回路を含み、貫通孔である電源金具装着穴が設けられる電源基板3aと、LED素子6駆動用の電力が出力される電源基板半田付け部とを有し、基板ホルダ2が介在しない接続スペース2bが形成された基板ホルダ2の上面に設けられた直流電源装置3と、
LED素子6と、表面に多数のLED素子6が配置され、貫通孔である電源接続金具装着穴が設けられるLED基板5と、LED素子6と電気的に接続されLED素子駆動用の電力が供給されるLED基板半田付け部とを有し、基板ホルダ2の下面にLED基板5の裏面が装着されるLED基板5と、
電源基板3aに接続された状態で、基板ホルダ2の接続スペース2bを介して、電源基板3aの電源金具装着穴とLED基板5の電源接続金具装着穴とに挿入されており、電源基板半田付け部と、LED基板半田付け部とに電気的に接続される電源接続金具11と、
を備えているLED照明装置1。」
(2)甲2について
ア 甲2の記載事項
「【0016】
本実施形態の照明器具1は、図1及び図2に示すように光源ユニット2と、器具本体10とで構成される。器具本体10は、吊りボルト200に固定され、天井100に直付けされる。光源ユニット2は、器具本体10に対して着脱可能に取り付けられる。」
「【0026】
電源装置4は、プリント配線板40に電子部品が実装されて構成される電源回路49と、電源回路49を収納するケース42とを有する。電源回路49の回路図を図3に示す。電源回路49は、電源入力部400、フィルタ回路401、整流部402、昇圧回路403、降圧回路404、出力端子部405、主制御回路406、制御電源回路407、調光制御回路408、消灯制御回路409、信号入力部410などを備える。
【0027】
電源入力部400は、レセプタクルコネクタからなり、端子台25から引き出された電線250と電気的に接続されているプラグコネクタ251(図1参照)が差込接続される。フィルタ回路401は、コモンモードチョークコイル4010と、アクロス・ザ・ラインコンデンサ4011とで構成される。整流部402は、ダイオードブリッジで構成される。整流部402は、フィルタ回路401及び電源入力部400を介して交流電源3から入力される交流電圧(交流電流)を全波整流し、脈流電圧(脈流電流)を直流出力端子から出力する。
【0028】
昇圧回路403は、チョークコイルL1、スイッチング素子Q1、整流素子D1、平滑コンデンサC1などで構成される、従来周知の昇圧チョッパ回路(力率改善回路)である。昇圧回路403は、整流部402から出力される脈流電圧を、当該脈流電圧のピーク値よりも高い直流電圧(例えば、400[V]の直流電圧)に変換する。
【0029】
降圧回路404は、スイッチング素子Q2、インダクタL2、整流素子D2、抵抗R1、平滑コンデンサC2などで構成される、従来周知の降圧チョッパ回路(バックコンバータ)である。降圧回路404は、昇圧回路403から出力される直流電圧(第1直流電圧)を、負荷であるLEDモジュール22に適した直流電圧(第2直流電圧)に降圧する。出力端子部405は、プリント配線板40(の上面)に形成されている2つのランドからなり、降圧回路404の出力端子(平滑コンデンサC2の両端)とそれぞれ電気的に接続される。」
「【0038】
端子装置5は、図5に示すように、2つの導電体50と、2つの第1端子部材51と、2つの第2端子部材52とを備えている。2つの導電体50はそれぞれ、銅又は銅合金などの金属によって細い棒状(例えば、円柱状)に形成されることが好ましい。これら2つの導電体50の長さは、それぞれ数10[mm]程度が好ましい。」
「【0041】
これら2つの第1端子部材51はそれぞれ、基板221に設けられている2つの入力端子部222のそれぞれと一対一に対応して電気的に接続されている。2つの入力端子部222はそれぞれ、基板221の表面(下面)において、基板221を厚み方向(上下方向)に貫通する貫通孔2210の周囲に形成されているランドで構成されている(図5参照)。2つの入力端子部222はそれぞれ、基板221の表面(下面)に形成されている導体を介して複数のLED220と電気的に接続されている。そして、2つの第1端子部材51はそれぞれ、4つの突出部514の接合部515が2つの入力端子部222のそれぞれとはんだ接合されることが好ましい。2つの第1端子部材51はそれぞれ、3つの支持片512及び3つの案内片513を、2つの入力端子部222のそれぞれの貫通孔2210に挿通した状態で2つの入力端子部222のそれぞれと電気的に接続される(図8参照)。」
「【0044】
これら2つの第2端子部材52はそれぞれ、電源装置4のプリント配線板40に設けられている2つの出力端子部405のそれぞれと一対一に対応して電気的に接続されている。2つの出力端子部405はそれぞれ、プリント配線板40の裏面(上面)において、プリント配線板40を厚み方向(上下方向)に貫通する2つのスルーホール43の周囲にそれぞれ形成されているランドで構成されている(図8参照)。2つの第2端子部材52はそれぞれ、2つの出力端子部405のうちで一対一に対応する出力端子部405のスルーホール43に端子片524がそれぞれ挿通される。そして、2つの第2端子部材52の端子片524はそれぞれ、プリント配線板40の裏面において出力端子部405にはんだ接合される。このようにして、2つの第2端子部材52はそれぞれ、電源装置4のプリント配線板40に設けられている2つの出力端子部405のそれぞれと一対一に対応して電気的に接続される。」
「【0045】
ここで、2つの第2端子部材52はそれぞれ、電気絶縁性を有するホルダ53に保持されることが好ましい。ホルダ53は、図7に示すように、直方体状の合成樹脂成形体で構成されている。ホルダ53は、2つの第2端子部材52を電気的に絶縁し、かつ、機械的に保持する。ホルダ53は、2つの収容部530を有している(図7参照)。2つの収容部530はそれぞれ、2つの第2端子部材52のうちの一対一に対応する第2端子部材52を収容している(図8参照)。なお、2つの収容部530のそれぞれの上面が開口している。そして、2つの第2端子部材52の端子片524が、ホルダ53の上面の開口から突出している(図8参照)。ホルダ53は、2つの差込口531を有している(図5及び図8参照)。2つの差込口531はそれぞれ、ホルダ53の下面に開口している。2つの差込口531はそれぞれ、2つの収容部530のうちの対応する収容部530と繋がっている(図8参照)。2つの差込口531の内側面は、収容部530に向かって傾斜する傾斜面であることが好ましい。2つの第2端子部材52はそれぞれ、3つの引掛爪525のそれぞれの先端を収容部530の内壁面に引っ掛けることで収容部530に対して抜け止めされている(図8参照)。ただし、対応する収容部530に収容されている第2端子部材52は、第1ばね片520A及び第2ばね片520Bの一部分(下端部分)が、対応する差込口531内に進出している(図8参照)。
【0046】
ところで、ホルダ53は、図7に示すように、一対の固定部532を有することが好ましい。一対の固定部532は、柱状に形成され、ホルダ53の上面における左右両端から上向きに突出している。一対の固定部532は、プリント配線板40に設けられている2つの固定孔44のそれぞれに1つずつ圧入されている。つまり、ホルダ53は、一対の固定部532がプリント配線板40の2つの固定孔44に圧入されることでプリント配線板40に固定されている(図8参照)。」
「【0048】
まず、組立作業を行う作業者は、ケース42の開口面(下面)を取付部材21の底板211で塞ぐように、電源装置4を取付部材21の第2面(上面)に取り付ける。このとき、作業者は、底板211に設けられている孔213にホルダ53の先端(下端)を挿入する(図5及び図8参照)。つまり、孔213は、底板211の第2面(上面)側において、電源装置4のケース42に囲われて塞がれている(図2及び図8参照)。したがって、光源ユニット2は、底板211の第2面側から虫や塵埃などの異物が孔213を通過して底板211の第1面側に進入することを抑制することができる。」
「【0051】
作業者は、導電体50の下端が板材510の下面とほぼ面一になる位置まで、導電体50を挿通孔511に挿入する。このとき、2つの導電体50の上端部(第2端部501)は、ホルダ53の差込口531を通過し、一対一に対応する第2端子部材52の第1ばね片520Aと第2ばね片520Bの間に差し込まれる。つまり、2つの導電体50はそれぞれ、第2端部501が第1ばね片520Aと第2ばね片520Bに前後方向から挟まれることにより、その結果一対一に対応する第2端子部材52と電気的に接続される(図8参照)。2つの導電体50はそれぞれ、第1端部500が3つの支持片512に挟まれることにより、一対一に対応する第1端子部材51と電気的に接続される(図8参照)。その結果、LEDモジュール22の2つの入力端子部222のそれぞれと、電源装置4(電源回路49)の2つの出力端子部405のうちの対応する出力端子部405とが端子装置5によって電気的に接続される(図8参照)。」
「【0064】
また、本実施形態の光源ユニット2は、光源部A1と、光源部A1に電力を供給する電源回路49を有する電源装置4と、光源部A1及び電源装置4が取り付けられる取付部材21と、端子装置5とを備えている。光源部A1は、1つ又は複数の固体光源(LED220)と、1つ又は複数のLED220が表面に配置される基板221と、基板221に設けられ、1つ又は複数のLED220が電気的に接続される複数の入力端子部222とを有している。電源回路49は、第2の基板であるプリント配線板40を有している。プリント配線板40は、電源回路49で生成される電力を出力する複数の出力端子部405を有している。取付部材21は、板状に形成され、第1面に光源部A1が取り付けられ、かつ、第1面の裏面となる第2面に電源装置4が取り付けられる底板211を有している。底板211は、第1面から第2面に貫通する孔213が設けられている。複数の出力端子部405のそれぞれは、取付部材21の厚み方向から見て孔213と重なる位置に配置されている。複数の入力端子部222のそれぞれは、取付部材21の厚み方向(上下方向)から見て孔213と重なる位置に配置されている。」
「【図5】
[図:0001428979000004.jpg]
」
「【図8】
[図:0001428979000005.jpg]
」
イ 甲2の認定事項
(ア)端子装置5について
端子装置5は、第2端子部材52と導電体50とを備えているとの記載(段落【0038】)、第2の端子部材52は電気絶縁性を有するホルダ53に保持されることが好ましいとの記載(段落【0045】)及び図5、図8から、端子装置5は、第2端子部材52、導電体50、及び電気絶縁性を有するホルダ53を有するものと認められ、この端子装置5について、以下の点がいえる。
a 段落【0051】及び図8から、第2端子部材52及び導電体50は、電源装置4の出力端子部405とLEDモジュール22の入力端子部222を電気的に接続するといえる。
b 段落【0045】及び図8から、絶縁性を有するホルダ53は、収容部530とその収容部530に繋がった差込口531が形成されているといえる。また、図8から、導電体50が第2端子部材52に差し込まれた状態(段落【0051】)で、第2端子部材52の先端が収容部530の上側の開口から突出し、導電体50の先端が差込口531の下側の開口から突出している点が看取できる。
(イ)電源装置4の電源回路49について
段落【0026】~【0029】の記載から、電源装置4の電源回路49は、交流電源3から入力される交流電圧を、LEDモジュール22に適した直流電圧として、出力端子部405に出力するものである。そうすると、電源回路49は交流電源3から供給される交流電圧をLEDモジュール22に適した直流電圧に変換するものであり、出力端子部405は、交流電源3と電気的に接続され、LEDモジュール22に適した直流電圧を出力するものと認められる。
また、LEDモジュール22の2つの入力端子部222は、出力端子部405と電気的に接続されるものである(段落【0051】)から、当該入力端子部222は、LEDモジュール22に適した直流電圧が入力されるものと認められる。
(ウ)取付部材21と光源部A1との取付について
段落【0064】の記載及び図5から、光源部A1の基板221の表面に1つ又は複数のLED220が配置され、光源部A1の基板221の裏面が取付部材21の第1面に取り付けられるものと認められる。
(エ)プリント配線板40と取付部材21と基板221の配置について
図5及び図8から、ホルダ53の上側にプリント配線板40が配置され、ホルダ53の下側に取付部材21と基板211とが配置される点が看て取れる。
また、段落【0064】の「複数の出力端子部405のそれぞれは、取付部材21の厚み方向から見て孔213と重なる位置に配置されている。複数の入力端子部222のそれぞれは、取付部材21の厚み方向(上下方向)から見て孔213と重なる位置に配置されている。」との記載及び、出力端子部405は、スルーホール43の周囲に形成されていること(段落【0044】)、入力端子部222は貫通孔2210の周囲に形成されていること(段落【0041】)から、プリント配線板40と取付部材21と基板221とは、それぞれのスルーホール43と、孔213と、貫通孔2210とが、孔213とスルーホール43とが重なり、孔213と貫通孔2210とが重なる位置に配置されているものと認められる。
そして、図8から、スルーホール43がホルダ53の収容空間530に直接繋がっており、ホルダ53の差込口531が孔213と貫通孔2210とに繋がっている点が看て取れる。
(オ)端子装置5による電気的な接続の詳細について
上記(ア)aの電気的な接続に関し、電源装置4の出力端子部405とLEDモジュール22の入力端子部222を電気的に接続する態様について、次の点がいえる。
a ホルダ53がプリント配線板40に固定された状態(段落【0046】)にあり、同時に、上記(ア)bのとおりの、第2端子部材52に導電体50が差し込まれ、第2端子部材52の先端が収容部530の上側の開口から突出し、導電体50の先端が差込口531の下側の開口から突出した状態にあるといえる(図8)。
b 第2端子部材52がスルーホール43に挿通され、プリント配線板40の裏面においてプリント配線板40に設けられた出力端子部405にはんだ接合される(段落【0044】)。そして、第2端子部材52に導電体50が差し込まれ、第2端子部材52と導電体50が電気的に接続されて、導電体50が孔213と貫通孔2210に挿通され、導電体50がLEDモジュール22の基板221の下面に形成された入力端子部222に接続された第1端子部材51と電気的に接続される(段落【0041】、【0051】、図8)。すなわち、端子装置5は、第2端子部材52と導電体50が電気的に接続され、第2端子部材52と導電体50を介して、基板221(の裏面)に設けた入力端子部222とプリント配線板40(の下面)に設けた出力端子部405とを電気的に接続するといえる。
c 上記a及びbから、端子装置5は、ホルダ53がプリント配線板40に固定された状態、かつ、第2端子部材52と導電体50が電気的に接続され、第2端子部材52の先端が収容部530の上側の開口から突出し、導電体50の先端が差込口531の下側の開口から突出した状態で、第2端子部材52がスルーホール43に挿通され、導電体50が孔213と貫通孔2210に挿通され、第2端子部材52と導体50を介して基板221に設けた入力端子部222とプリント配線板40に設けた出力端子部405とを電気的に接続すると認められる。)。
ウ 甲2に記載された発明
(ア)以上を総合すると、甲2には光源ユニット2に係る次の発明(以下「甲2発明1」という。)が記載されていると認められる。
「光源部A1と、
光源部A1に電力を供給する電源回路49を有する電源装置4と、
光源部A1及び電源装置4が取り付けられる取付部材21と、
電源装置4の出力端子部405とLEDモジュール22の入力端子部222を電気的に接続する第2端子部材52及び導電体50と、収容部530とその収容部530に繋がった差込口531が形成された電気絶縁性を有するホルダ53とを有する端子装置5であって、第2端子部材52に導電体50が差し込まれた状態で、第2端子部材52の先端が収容部530の上側の開口から突出し、導電体50の先端が差込口531の下側の開口から突出する、端子装置5と、
を備え、
光源部A1は、
基板221を厚み方向に貫通する貫通孔2210が形成されていると共に、1つ又は複数のLED220と、1つ又は複数のLED220が表面に配置される基板221と、基板221に設けられ、1つ又は複数のLED220が電気的に接続される複数の入力端子部222と、
を有し、
取付部材21は、
板状に形成され、第1面に光源部A1の基板221の裏面が取り付けられ、かつ、第1面の裏面となる第2面に電源装置4が取り付けられる底板211を有し、底板211は、第1面から第2面に貫通する孔213が設けられており、
電源回路49は、
第2の基板であるプリント配線板40を有し、プリント配線板40は、プリント配線板40を厚み方向に貫通するスルーホール43と、電源回路49で生成されるLEDモジュール22に適した直流電圧を出力する複数の出力端子部405を有しており、出力端子部405は交流電源3と電気的に接続され、電源回路49は交流電源3から供給される交流電圧をLEDモジュール22に適した直流電圧に変換するものであり、
ホルダ53の上側にプリント配線板40が配置され、ホルダ53の下側に取付部材21と基板211とが配置され、
プリント配線板40と取付部材21と基板221とは、スルーホール43と、孔213と、貫通孔2210とが、孔213とスルーホール43とが重なり、孔213と貫通孔2210とが重なる位置に配置され、スルーホール43がホルダ53の収容空間530に直接繋がり、ホルダ53の差込口531が孔213と貫通孔2210とに繋がっており、
端子装置5は、
ホルダ53がプリント配線板40に固定された状態、かつ、第2端子部材52と導電体50が電気的に接続され、第2端子部材52の先端が収容部530の上側の開口から突出し、導電体50の先端が差込口531の下側の開口から突出した状態で、第2端子部材52がスルーホール43に挿通され、導電体50が孔213と貫通孔2210に挿通され、第2端子部材52と導体50を介して基板221に設けた入力端子部222とプリント配線板40に設けた出力端子部405とを電気的に接続する
光源ユニット2。」
(イ)さらに、甲2の段落【0016】を参照すると、甲2には、「照明器具1」に係る次の発明(以下「甲2発明2」という。)が記載されていると認められる。
「甲2発明1の光源ユニット2と、光源ユニット2が着脱自在に取り付けられる器具本体10と、で構成される照明器具1。」
(ウ)また、甲2には、甲2発明1の構成要素の一部を抽出して順序を組み替え、「照明器具1」の発明とした、次の発明(以下「甲2発明3」という。)が記載されていると認められる。
「電源回路49が構成され、厚み方向に貫通するスルーホール43を有するプリント配線板40と、電源回路49によって交流電源3から供給される交流電圧を変換したLEDモジュール22に適した直流電圧を出力する複数の出力端子部405を有しており、第1面から第2面に貫通する孔213が設けられた取付部材21の第1面の裏面となる第2面に取り付けられる電源装置4と、
1つ又は複数のLED220と、1つ又は複数のLED220が表面に配置されており基板221を厚み方向に貫通する貫通孔2210が形成されている基板221と、1つ又は複数のLED220が電気的に接続され、LEDモジュール22に適した直流電圧が入力される複数の入力端子部222とを有し、取付部材21の第1面に、基板221の裏面が取り付けられる光源部A1と、
第2端子部材52及び導電体50と、収容部530とその収容部530に繋がった差込口531が形成された電気絶縁性を有するホルダ53とを有する端子装置5であって、第2端子部材52がスルーホール43に挿通され、導電体50が孔213と貫通孔2210に挿通され、第2端子部材52と導体50を介して基板221に設けた入力端子部222とプリント配線板40に設けた出力端子部405とを電気的に接続し、第2端子部材52と導電体50が電気的に接続された状態で、第2端子部材52の先端が収容部530の上側の開口から突出し、導電体50の先端が差込口531の下側の開口から突出する端子装置5と、
を備える照明器具1。」
(3)甲3について
「【0018】
発光部210は、複数の発光素子211と、複数の発光素子211が実装される基板212を有している。基板212は長尺に形成されており、発光素子211が基板212の長手方向へ直線状に配設されている。発光部210の長手方向Xにおける一端部には、電源装置260との間を電気的に接続するための電線213が接続されている。
ここで、発光素子211は、表面実装タイプのLED素子であるが、COB型発光モジュールでも良く、有機EL素子、レーザーダイオード素子でも良い。また、発光素子211を直線状に実装する列は一列でも良く、複数列でも良い。
【0019】
フレーム220は長手方向Xに沿って長尺且つ矩形板状に形成されたフレーム取付部221と、フレーム取付部221の長手側辺それぞれから上方向Z1に延出する一対のフレーム側部222とで構成されている。
【0020】
フレーム取付部221は板状に形成されており、一方の面は発光部210が配設される発光部取付面221aであり、発光部取付面221aの反対の面である他方の面は電源装置260が配設される電源取付面221bとなる。発光部取付面221aは、発光部210が配置されるフレーム220の第一の取付面である。電源取付面221bは、電源装置260が配設されるフレーム220の第二の取付面である。
また、フレーム取付部221の長手方向Xの端部には電線213が配置される電線挿通部221cが設けられるとともに、電線挿通部221c側の端部と他方側の端部の間には電源装置260の一端が引っ掛けられるように突設したフレーム突起部221dが設けられている。
なお、この電源挿通部221cには、電線213が挿通したのちに隙間を設けないようパッキンが取り付けられている。」
「【0025】
電源装置260は、フレーム取付部221の電源取付面221bに配設され、発光部電線213を介して発光部210と電気的に接続する。
電源装置260は、図10に示すように、電源回路部261と、電源回路部261が取り付けられる電源ケース262と、電源回路部261を覆うように電源ケース262に取り付けられる電源カバー263と、電源回路部261に配設され端子台接続部132と接続する電源接続部264とを備えている。
【0026】
電源回路部261は、商用電源(交流電流)から供給される電力を直流電流に変換し出力するものであり、発光部210を点灯させる為の回路部品(図示なし)が実装された回路基板261aと、端子部261bとを備えている。
回路基板261aは、図示しない回路部品が実装された略長方形の基板である。端子部261bは、回路基板261aの長手方向の端部それぞれに端子部261bが実装されている。
端子部261bは、多面形状をしており、電線が挿し込まれる電線挿込穴261baが形成された面と、挿し込まれた電線を外す為の電線解除孔261bbが形成されている。また、回路基板261aの長手方向の両端にそれぞれ設けられた端子部261bのうち商用電源(交流電流)を入力する側を入力端子部261bc、電気部品により変換された直流電流を発光部210に出力する側を出力端子部261bdとする。」
「【図7】
[図:0001428979000006.jpg]
【図8】
[図:0001428979000007.jpg]
」
2 甲1を引例とする取消理由
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明1とを対比する。
(ア)後者の「直流電源装置3」は前者の「電源装置」に相当し、以下同様に、「基板ホルダ2」は「取付部材」に、「光源ユニット4」は「光源ユニット」にそれぞれ相当する。
(イ)「光源部」について
後者のLED基板5に設けられた「貫通孔である電源接続金具装着穴」は、前者の「貫通孔である光源基板孔」に相当し、以下同様に「多数のLED素子6」は「1つまたは複数の発光素子」に、「LED基板5」は「光源基板」に、「LED基板半田付け部」は「光源基板接続部」に、それぞれ相当する。また、後者の「LED基板5」及びLED基板5が有する「LED基板半田付け部」を合わせたものは、前者の「光源部」に相当する。
後者の「貫通孔である電源接続金具装着穴が設けられると共に、表面に多数のLED素子6が配置され」る「LED基板5」は、前者の「貫通孔である光源基板孔が形成されていると共に、1つ又は複数の発光素子が表面に配置される光源基板」に相当し、後者の「多数のLED素子6と電気的に接続される」「LED基板半田付け部」は、前者の「前記1つ又は複数の発光素子と電気的に接続される光源基板接続部」に相当する。
そうすると、後者の「LED基板5は、貫通孔である電源接続金具装着穴が設けられると共に、表面に多数のLED素子6が配置され、多数のLED素子6と電気的に接続されLED素子6駆動用の電力が供給されるLED基板半田付け部を有し」の構成は、前者の「前記光源部は、貫通孔である光源基板孔が形成されていると共に、1つ又は複数の発光素子が表面に配置される光源基板と、前記光源基板に設けられ、前記1つ又は複数の発光素子と電気的に接続される光源基板接続部と、を有し」の構成に相当する。
(ウ)「電源装置」について
後者の「交流を直流に変換してLED素子6に供給する直流電源装置3」は、前者の「前記光源部に電力を供給する電源装置」に相当する。
また、後者の直流電源装置3に設けられた「貫通孔である電源金具装着穴」は、前者の「貫通孔である電源基板孔」に相当し、以下同様に「商用電源」は「外部電力」に、「電源基板3a」は「電源基板」に、「電源基板半田付け部」は「電源基板接続部」に、それぞれ相当する。
そうすると、後者の「直流電源装置3は、貫通孔である電源金具装着穴が設けられると共に、商用電源と電気的に接続され」る「電源基板半田付け部が設けられた電源基板3aが内蔵されており」の構成は、前者の「前記電源装置は、貫通孔である電源基板孔が形成されていると共に、外部電力と電気的に接続される電源基板接続部が設けられた電源基板を有し」の構成に相当する。
(エ)「取付部材」について
後者の「上面に直流電源装置3が設けられ、下面にLED基板5」「が装着されている基板ホルダ2」は、前者の「前記光源部及び前記電源装置が取り付けられる取付部材」に相当する。
また、後者の「基板ホルダ2が介在しない接続スペース2b」は、前者の「貫通孔である取付部材孔」と、「接続構造」である点で共通し、後者の「上面に直流電源装置3が設けられ、下面にLED基板5が装着されており」の構成は、前者の「第1面部には前記光源部が取り付けられており、前記第1面部の裏側となる第2面部には前記電源装置が取り付けられており」の構成に相当する。
そうすると、後者の「基板ホルダ2は、板状に形成されており、基板ホルダ2が介在しない接続スペース2bが形成されると共に、上面に直流電源装置3が設けられ、下面に上記LED基板5が装着されており、」の構成は、前者の「前記取付部材は、板状に形成されており、貫通孔である取付部材孔が形成されていると共に、第1面部には前記光源部が取り付けられており、前記第1面部の裏側となる第2面部には前記電源装置が取り付けられており」の構成と、「前記取付部
材は、板状に形成されており、接続構造が形成されていると共に、第1面部には前記光源部が取り付けられており、前記第1面部の裏側となる第2面部には前記電源装置が取り付けられており」の構成で共通する。
(オ)「電源基板」と「取付部材」と「光源基板」の配置について
後者の「電源基板3aと基板ホルダ2とLED基板5とは、電源基板3aの電源金具装着穴とLED基板の電源接続金具装着穴が、基板ホルダ2の接続スペース2bを介して、電源接続金具11を接続するように配置されており」の構成は、電源接続金具11を接続できるように、電源基板3aの電源金具装着穴とLED基板の電源接続金具装着穴が、基板ホルダ2の接続スペース2bが連なっているといえるから、上記(エ)も踏まえると、前者の「前記電源基板と前記取付部材と前記光源基板とは、前記電源基板孔と前記取付部材孔と前記光源基板孔とが連なるように配置されており」の構成と、「前記電源基板と前記取付部材と前記光源基板とは、前記電源基板孔と前記接続構造と前記光源基板孔とが連なるように配置されており」の構成で共通する。
(カ)「接続部材」について
後者の「直流電源装置3からLED基板5へLED素子6駆動用の電力を供給する」ことは、前者の「前記電源装置と前記光源部とを電気的に接続する」ことに相当する。後者の「電源接続金具11」は当然に導電性を有するから、後者の「電源接続金具11」は前者の「導電体」に相当すると同時に、後者の「電源接続金具11」は前者の「導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する接続部材」と、「導電体を有する接続部材」という限りで一致する。
また、後者の電源接続金具11が「電源基板3aに接続された状態」は、前者の「前記絶縁部が前記電源基板に配置されるとともに前記導電体が前記挿通部に挿通された状態」と、「所定の状態」という限りで一致する。そして、後者の「電源接続金具11は」、「基板ホルダ2の接続スペース2bを介して、電源基板3aの電源金具装着穴とLED基板5の電源接続金具装着穴とに挿入されており、LED基板半田付け部と、電源基板半田付け部とを電気的に接続する」という構成は、上記(エ)も踏まえると、前者の「前記接続部材は」、「前記電源基板孔と前記取付部材孔と前記光源基板孔とに挿通されており、前記光源基板接続部と前記電源基板接続部とを電気的に接続する」の構成と、「前記接続部材は」、「前記電源基板孔と前記接続構造と前記光源基板孔とに挿通されており、前記光源基板接続部と前記電源基板接続部とを電気的に接続する」構成という限りで一致する。
(キ)以上を総合すると、本件発明1と甲1発明1の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
「光源部と、
前記光源部に電力を供給する電源装置と、
前記光源部及び前記電源装置が取り付けられる取付部材と、
前記電源装置と前記光源部とを電気的に接続するための導電体を有する接続部材と、
を備え、
前記光源部は、
貫通孔である光源基板孔が形成されていると共に、1つ又は複数の発光素子が表面に配置される光源基板と、
前記光源基板に設けられ、前記1つ又は複数の発光素子と電気的に接続される光源基板接続部と、
を有し、
前記取付部材は、
板状に形成されており、接続構造が形成されていると共に、第1面部には前記光源部が取り付けられており、前記第1面部の裏側となる第2面部には前記電源装置が取り付けられており、
前記電源装置は、
貫通孔である電源基板孔が形成されていると共に、外部電力と電気的に接続される電源基板接続部が設けられた電源基板を有し、
前記電源基板と前記取付部材と前記光源基板とは、前記電源基板孔と前記接続構造と前記光源基板孔とが連なるように配置されており、
前記接続部材は、所定の状態で前記電源基板孔と前記接続構造と前記光源基板孔とに挿通されており、前記光源基板接続部と前記電源基板接続部とを電気的に接続する光源ユニット。」
<相違点>
相違点1:接続部材について、本件発明1は、接続部材が「前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部」を有するのに対し、甲1発明1では電源接続金具11が絶縁部を有さない点。
相違点2:取付部材の「接続構造」について、本件発明1は「貫通孔である取付部材孔」であるのに対し、甲1発明1では「基板ホルダ2が介在しない接続スペース2b」である点。
相違点3:光源基板接続部と電源基板接続部とを電気的に接続する際の接続部材の「所定の状態」について、本件発明1は、「前記絶縁部が前記電源基板に配置されるとともに前記導電体が前記挿通部に挿通された状態」であるのに対し、甲1発明1は、電源接続金具11が「電源基板3aに接続された状態」である点。
イ 判断
相違点1について検討する。
甲1には、電源接続金具11に挿通部が形成された絶縁部を設けることに関する記載も示唆もない。
また、甲2には、第2端子部材52及び導電体50と「電気絶縁性を有するホルダ53」とを有する端子装置5が記載されている。しかしながら、甲2記載の各基板の配置は、端子装置5のホルダ53の上側にプリント配線板40が配置され、ホルダ53の下側に取付部材21と基板211とが配置されており、甲1発明1における各基板の配置とは異なっており、そのため、甲2記載の各基板と端子装置5との接続態様も甲1発明1における各基板と電源接続金具11との接続態様とは異なるものであるから、甲2記載の「電気絶縁性を有するホルダ53」を有する端子装置5の構成を甲1発明1の電源接続金具11に採用することが容易とはいえない。
さらに、甲3は、電源ケース262及び電源カバー263に係る技術事項を示すために提出されたものではあるが、発光部210と電源装置260との間を電気的に接続するための「電線213」が記載されている(段落【0018】)。しかしながら、甲3記載の「電線213」は、「発光部210の長手方向Xにおける一端部に」接続されるもの(段落【0018】、図8)であり、発光部210の基板212に貫通孔を設け、その貫通孔に挿通されるものではなく、その各基板への接続態様は、甲1発明1の電源接続金具11の各基板への接続態様とは異なものであるから、甲3記載の「電線213」が、仮に、導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部を有するとしても、甲3記載の「電線213」に係る構成を甲1発明1の電源接続金具11に適用することが容易とはいえない。
そして、甲1発明1の電源接続金具11は、「電源基板3aの電源金具装着穴とLED基板5の電源接続金具装着穴とに挿入され」、「電源基板半田付け部と、LED基板半田付け部とを電気的に接続する」ものである。仮に、電源接続金具11に挿通部が形成された絶縁部を設けようとすると、その絶縁部が電源金具装着穴や電源接続金具装着穴への挿入の邪魔になるし、半田付け作業の邪魔にもなる。すなわち、甲1発明1は、電源接続金具11に挿通部が形成された絶縁部を設けるうえで、阻害要因を有しているといえる。
したがって、たとえ、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項が、本件特許の優先日前に周知又は公知の技術であったとしても、甲1発明1において、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
以上によれば、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明4について
本件発明4は、本件発明1の発明特定事項から「取付部材」に関連する発明特定事項を除いたものであり、取付部材に形成される「貫通孔である取付部材孔」の発明特定事項は含んでいない。
そうすると、上記(1)アでの対比を踏まえれば、本件発明4と甲1発明1とは、相違点1及び3で相違するから、本件発明4は甲1発明1ではない。
そして、相違点1について検討すると、上記(1)イのとおり、甲1発明1において、電源接続金具11を挿通部が形成された絶縁部を有するものとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
よって、相違点3について検討するまでもなく、本件発明4は、甲1発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明10について
本件発明10と甲1発明2とを対比すると、後者の「光源ユニット4を着脱自在なベース9」及び「LED照明装置1」は、前者の「前記光源ユニットを支持する器具本体」及び「照明装置」に、それぞれ相当する。
そうすると、請求項1を直接的又は間接的に引用する本件発明10と甲1発明2とは、相違点1~3で相違し、請求項4を直接的又は間接的に引用する本件発明10と甲1発明2とは、相違点1及び3で相違するから、本件発明10は、甲1発明2ではない。
そして、相違点1について検討すると、上記上記(1)イのとおり、甲1発明2において、電源接続金具11を挿通部が形成された絶縁部を有するものとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明10は、甲1発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明11について
ア 対比
本件発明11と甲1発明3とを対比する。
(ア)「給電部」について
後者の「直流電源装置3」は前者の「給電部」に相当し、以下同様に「商用電源から供給される交流電源を整流し直流に変換する回路」は、「給電回路」に、「貫通孔である電源金具装着穴」は、「貫通孔」に、「電源基板3a」は「第1基板」に、「商用電源」は「外部電力」に、「LED素子6駆動用の電力」は「点灯電力」に、「電源基板半田付け部」は「給電端子部」にそれぞれ相当する。
後者の「基板ホルダ2」は前者の「支持部材」に相当する。そして、後者の「基板ホルダ2が介在しない接続スペース2b」は、前者の支持部材に形成された「貫通孔」と、「接続構造」の点で共通する。
そうすると、後者の「商用電源から供給される交流電源を整流し直流に変換する回路を含み、貫通孔である電源金具装着穴が設けられる電源基板3aと、LED素子6駆動用の電力が出力される電源基板半田付け部とを有し、基板ホルダ2が介在しない接続スペース2bが形成された基板ホルダ2の上面に設けられた直流電源装置3」は、前者の「給電回路が設けられており貫通孔が形成されている第1基板と、前記給電回路によって外部電力から変換された点灯電力が出力される給電端部とを有し、貫通孔が形成された支持部材に取り付けられている給電部」と、「給電回路が設けられており貫通孔が形成されている第1基板と、前記給電回路によって外部電力から変換された点灯電力が出力される給電端部とを有し、接続構造が形成された支持部材に取り付けられている給電部」の点で共通する。
(イ)「発光部」について
後者の「LED素子6」は、前者の「発光素子」に相当し、同様に「LED基板5」は「第2基板」に、「貫通孔である電源接続金具装着穴」は第2基板に形成されている「貫通孔」に、「表面」は「一面側」に、「裏面」は「他面側」に、それぞれ相当する。
後者の「表面に多数のLED素子6が配置され、貫通孔である電源接続金具装着穴が設けられるLED基板5」は、前者の「前記発光素子が一面側に配置されており貫通孔が形成されている第2基板」に、後者の「LED素子6と電気的に接続されLED素子駆動用の電力が供給されるLED基板半田付け部」は、前者の「前記発光素子と接続されており前記点灯電力が入力される受電端部」にそれぞれ相当する。そして、後者の「LED素子6」、「LED基板5」及び「LED基板半田付け部」を合わせたものは、前者の「発光部」に相当する。
後者の「基板ホルダ2の下面」は、前者の「前記支持部材における前記給電部が取り付けられていない側」に相当するから、後者の「基板ホルダ2の下面にLED基板5の裏面が装着される」構成は、前者の「前記支持部材における前記給電部が取り付けられていない側に、前記第2基板の他面側を対向させた状態で配置される」に相当する。
そうすると、後者の「LED素子6と、表面に多数のLED素子6が配置され、貫通孔である電源接続金具装着穴が設けられるLED基板5と、LED素子6と電気的に接続されLED素子駆動用の電力が供給されるLED基板半田付け部とを有し、基板ホルダ2の下面にLED基板5の裏面が装着されるLED基板5」は、前者の「発光素子と、前記発光素子が一面側に配置されており貫通孔が形成されている第2基板と、前記発光素子と接続されており前記点灯電力が入力される受電端部とを有し、前記支持部材における前記給電部が取り付けられていない側に、前記第2基板の他面側を対向させた状態で配置される発光部」に相当する。
(ウ)「接続部」について
後者の「基板ホルダ2の接続スペース2b」は、前者の「支持部材に形成されている」「貫通孔」と、「支持部材に形成されている接続構造」の点で共通する。
そうすると、後者の「電源基板3aに接続された状態で、基板ホルダ2の接続スペース2bを介して、電源基板3aの電源金具装着穴とLED基板の電源接続金具装着穴とに挿入されており」の構成は、前者の「前記第1基板、前記第2基板、及び、前記支持部材に形成されているそれぞれの貫通孔に挿通された状態で」の構成と、「前記第1基板、前記第2基板に形成されているそれぞれの貫通孔に挿通され、前記支持部材に形成されている接続構造を介した状態で」の点で共通する。
また、後者の「電源基板半田付け部と、LED基板半田付け部とを電気的に接続する」構成は、前者の「前記給電端部と前記受電端部とに電気的に接続される」構成に相当する。
後者の「直流電源装置3からLED基板5へLED素子6駆動用の電力を供給する」ことは、前者の「前記電源装置と前記光源部とを電気的に接続する」ことに相当する。
さらに、後者の「電源接続金具11」は当然に導電性を有するから、後者の「電源接続金具11」は前者の「導電体」に相当すると同時に、後者の「電源接続金具11」は前者の「導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する接続部材」と、「導電体を有する接続部材」である限りで一致する。
そうすると、後者の「電源基板3aに接続された状態で、基板ホルダ2の接続スペース2bを介して、電源基板3aの電源金具装着穴とLED基板5の電源接続金具装着穴とに挿入されており、電源基板半田付け部と、LED基板半田付け部とを電気的に接続する電源接続金具11」は、本件発明11の「前記第1基板、前記第2基板、及び、前記支持部材に形成されているそれぞれの貫通孔に挿通された状態で、前記給電端部と前記受電端部とに電気的に接続される導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する接続部材」と、「前記第1基板、前記第2基板に形成されているそれぞれの貫通孔に挿通され、前記支持部材に形成されている接続構造を介した状態で、前記給電端部と前記受電端部とに電気的に接続される導電体を有する接続部」の限りで一致する。
(エ)後者の「LED照明装置1」は前者の「照明装置」に相当する。
(オ)以上を総合すると、本件発明11と甲1発明3との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「給電回路が設けられており貫通孔が形成されている第1基板と、前記給電回路によって外部電力から変換された点灯電力が出力される給電端部とを有し、接続構造が形成された支持部材に取り付けられている給電部と
発光素子と、前記発光素子が一面側に配置されており貫通孔が形成されている第2基板と、前記発光素子と接続されており前記点灯電力が入力される受電端部とを有し、前記支持部材における前記給電部が取り付けられていない側に、前記第2基板の他面側を対向させた状態で配置される発光部と、
前記第1基板、前記第2基板に形成されているそれぞれの貫通孔に挿通され、前記支持部材に形成されている接続構造を介した状態で前記給電端部と前記受電端部とに電気的に接続される導電体を有する接続部と
を備えている照明装置。」
<相違点>
相違点4:接続部の給電端部と受電端部との電気的な接続に関して、本件発明11は、支持部材に「貫通孔」が形成され、接続部が、支持部材に形成されている当該「貫通孔」に挿通された状態で給電端部と受電端部とに電気的に接続されるのに対し、甲1発明3では、基板ホルダ2には「基板ホルダ2が介在しない接続スペース2b」が形成され、電源接続金具11は「基板ホルダ2の接続スペース2bを介して」、電源基板半田付け部とLED基板半田付け部とに電気的に接続される点。
相違点5:接続部材について、本件発明11は、接続部材が「前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部」を有するのに対し、甲1発明3では電源接続金具11が絶縁部を有さない点。
イ 判断
事案に鑑み相違点5について検討する。
相違点5は相違点1と実質的に同じであるから、上記(1)イにおける検討と同様に、甲1発明3において、相違点5に係る本件発明11の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
よって、相違点4について検討するまでもなく、本件発明11は、甲1発明3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 甲2を引例とする取消理由
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲2発明1とを対比する。
(ア)後者の「光源部A1」は前者の「光源部」に相当し、以下同様に、「電源回路49を有する電源装置4」は「電源装置」に、「取付部材21」は「取付部材」に、「光源ユニット2」は「光源ユニット」に、それぞれ相当する。
(イ)「接続部材」について
後者の「電源装置4の出力端子部405とLEDモジュール22の入力端子部222を電気的に接続する」という構成は前者の「前記電源装置と前記光源部とを電気的に接続するための」という構成に相当する。
後者の「第2端子部材52」は導電性を有することは明らかであるから、後者の「第2端子部材52」と「導電体50」を合わせたものが、前者の「導電体」に相当する。
後者のホルダ53に形成された「収容部530とその収容部530に繋がった差込口531」について、後者における「第2端子部材52に導電体50が差し込まれた状態で、第2端子部材52の先端が収容部530の上側の開口から突出し、導電体50の先端が差込口531の下側の開口から突出する」という態様は、「第2端子部材52」と「導電体50」を合わせたものが全体として、「収容部530とその収容部530に繋がった差込口531」に挿通されている態様ということができるから、後者の「収容部530とその収容部530に繋がった差込口531」は、前者の「導電体が挿通される挿通部」に相当する。よって、後者の「収容部530とその収容部530に繋がった差込口531が形成された電気絶縁性を有するホルダ53」は前者の「前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部」に相当する。
そうすると、後者の「端子装置5」は前者の「接続部材」に相当する。
(ウ)「光源部」について
後者の「基板221」は前者の「光源基板」に相当し、以下同様に、「基板221を厚み方向に貫通する貫通孔2210」は「貫通孔である光源基板孔」に、「1つ又は複数のLED220」は「1つ又は複数の発光素子」に、「入力端子部222」は「光源基板接続部」に、それぞれ相当する。
そうすると、後者の「光源部A1は、基板221を厚み方向に貫通する貫通孔2210が形成されていると共に、1つ又は複数のLED220と、1つ又は複数のLED220が表面に配置される基板221と、基板221に設けられ、1つ又は複数のLED220が電気的に接続される複数の入力端子部222と、を有し」の構成は、前者の「前記光源部は、貫通孔である光源基板孔が形成されていると共に、1つ又は複数の発光素子が表面に配置される光源基板と、前記光源基板に設けられ、前記1つ又は複数の発光素子と電気的に接続される光源基板接続部と、を有し」の構成に相当する。
(エ)「取付部材」について
後者の「第1面から第2面に貫通する孔213」は、前者の「貫通孔である取付部材孔」に相当し、後者の「第1面に光源部A1の基板221の裏面が取り付けられ、かつ、第1面の裏面となる第2面に電源装置4が取り付けられる」構成は、前者の「第1面部には前記光源部が取り付けられており、前記第1面部の裏側となる第2面部には前記電源装置が取り付けられており」の構成に相当する。
そうすると、後者の「取付部材21は、板状に形成され、第1面に光源部A1の基板221の裏面が取り付けられ、かつ、第1面の裏面となる第2面に電源装置4が取り付けられる底板211を有し、底板211は、第1面から第2面に貫通する孔213が設けられており」の構成は、前者の「前記取付部材は、板状に形成されており、貫通孔である取付部材孔が形成されていると共に、第1面部には前記光源部が取り付けられており、前記第1面部の裏側となる第2面部には前記電源装置が取り付けられており」の構成に相当する。
(オ)「電源装置」について
後者の「プリント配線板40」は前者の「電源基板」に相当し、以下同様に、「プリント配線板40を厚み方向に貫通するスルーホール43」は「貫通孔である電源基板孔」に、「出力端子部405」は「電源基板接続部」に、「交流電源3」は「外部電力」に、それぞれ相当する。そして、後者の「電源回路49は、第2の基板であるプリント配線板40を有し、プリント配線板40は」「出力端子部405を有しており、出力端子部405は交流電源3と電気的に接続され」る構成は、前者の「外部電力と電気的に接続される電源基板接続部が設けられた電源基板を有し」の構成に相当する。
そうすると、後者の「電源回路49は、第2の基板であるプリント配線板40を有し、プリント配線板40は、プリント配線板40を厚み方向に貫通するスルーホール43と、電源回路49で生成されるLEDモジュール22に適した直流電圧を出力する複数の出力端子部405を有しており、出力端子部405は交流電源3と電気的に接続され」る構成は、前者の「前記電源装置は、貫通孔である電源基板孔が形成されていると共に、外部電力と電気的に接続される電源基板接続部が設けられた電源基板を有し」の構成に相当する。
(カ)「接続部材」による電気的な接続の態様について
後者の「ホルダ53がプリント配線板40に固定された状態」は前者の「前記絶縁部が前記電源基板に配置され」「た状態」に相当する。また、後者の「第2端子部材52と導電体50が電気的に接続され、第2端子部材52の先端が収容部530の上側の開口から突出し、導電体50の先端が差込口531の下側の開口から突出した」態様は、「第2端子部材52」と「導電体50」をと合わせたもの全体が、収容部530とその収容部530に繋がった差込口531を挿通している態様ということができるから、後者の「第2端子部材52と導電体50が電気的に接続され、第2端子部材52の先端が収容部530の上側の開口から突出し、導電体50の先端が差込口531の下側の開口から突出した状態」は、前者の「前記導電体が前記挿通部に挿通された状態」に相当する。そうすると、後者の「ホルダ53がプリント配線板40に固定された状態、かつ、第2端子部材52と導電体50が電気的に接続され、第2端子部材52の先端が収容部530の上側の開口から突出し、導電体50の先端が差込口531の下側の開口から突出した状態で」という構成は、前者の「前記絶縁部が前記電源基板に配置されるとともに前記導電体が前記挿通部に挿通された状態で」という構成に相当する。
後者の端子装置5の一部である「第2端子部材52がスルーホール43に挿通され」ることは、前者の接続部材が「前記電源基板孔」「に挿通されて」いることに相当し、後者の端子装置5の一部である「導電体50が孔213と貫通孔2210に挿通されて」いることは、前者の接続部材が「前記取付部材孔と前記光源基板孔とに挿通され」ることに相当する。そうすると、後者の「第2端子部材52がスルーホール43に挿通され、導電体50が孔213と貫通孔2210に挿通され」るという構成は、前者の接続部材が「前記電源基板孔と前記取付部材孔と前記光源基板孔とに挿通されて」いるという構成に相当する。
後者の端子装置5が第2端子部材52と導体50を介して「基板221に設けた入力端子部222とプリント配線板40に設けた出力端子部405とを電気的に接続する」という構成は、前者の接続部材が「前記光源基板接続部と前記電源基板接続部とを電気的に接続する」という構成に相当する。
(キ)以上を総合すると、本件発明1と甲2発明1の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
「光源部と、
前記光源部に電力を供給する電源装置と、
前記光源部及び前記電源装置が取り付けられる取付部材と、
前記電源装置と前記光源部とを電気的に接続するための導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する接続部材と、
を備え、
前記光源部は、
貫通孔である光源基板孔が形成されていると共に、1つ又は複数の発光素子が表面に配置される光源基板と、
前記光源基板に設けられ、前記1つ又は複数の発光素子と電気的に接続される光源基板接続部と、
を有し、
前記取付部材は、
板状に形成されており、貫通孔である取付部材孔が形成されていると共に、第1面部には前記光源部が取り付けられており、前記第1面部の裏側となる第2面部には前記電源装置が取り付けられており、
前記電源装置は、
貫通孔である電源基板孔が形成されていると共に、外部電力と電気的に接続される電源基板接続部が設けられた電源基板を有し、
前記接続部材は、
前記絶縁部が前記電源基板に配置されるとともに前記導電体が前記挿通部に挿通された状態で、前記電源基板孔と前記取付部材孔と前記光源基板孔とに挿通されており、前記光源基板接続部と前記電源基板接続部とを電気的に接続する光源ユニット。」
<相違点>
相違点6:本件発明1は、「前記電源基板と前記取付部材と前記光源基板とは、前記電源基板孔と前記取付部材孔と前記光源基板孔とが連なるように配置されて」いるのに対し、甲2発明1では、「プリント配線板40と取付部材21と基板221とは、スルーホール43と、孔213と、貫通孔2210とが、孔213とスルーホール43とが重なり、孔213と貫通孔2210とが重なる位置に配置され、スルーホール43がホルダ53の収容空間530に直接繋がり、ホルダ53の差込口531が孔213と貫通孔2210とに繋がって」いる点。
イ 判断
上記相違点6について検討する。
(ア) 新規性について
本件発明1は、電源基板と取付部材と前記光源基板とは「前記電源基板孔と前記取付部材孔と前記光源基板孔とが連なる」ように配置されるものであるが、ここで「連なる」とは、「たくさんのものが1列に並んで続く。切れずに続く。」(デジタル大辞泉)、「一列にならび続く。参列する。」(広辞苑第7版)との意味を有する。
甲2発明1は「プリント配線板40と取付部材21と基板221とは、スルーホール43と、孔213と、貫通孔2210とが、孔213とスルーホール43とが重なり、孔213と貫通孔2210とが重なる位置に配置され」ているから、“一列に並んだ”態様となっている。しかし。甲2発明1は、「ホルダ53の上側にプリント配線板40が配置され、ホルダ53の下側に取付部材21と基板211とが配置され」という関係上、「スルーホール43がホルダ53の収容空間530に直接繋がり」、かつ「ホルダ53の差込口531が孔213と貫通孔2210とに繋がって」いるにとどまり、「スルーホール43」と「孔213と貫通孔2210」とは、端子装置5を挟んで配置されており、“並んで続く”ないし“切れずに続く”態様とはなっていない。したがって、甲2発明1の「プリント配線板40と取付部材21と基板221とは、スルーホール43と、孔213と、貫通孔2210とが、孔213とスルーホール43とが重なり、孔213と貫通孔2210とが重なる位置に配置され、スルーホール43がホルダ53の収容空間530に直接繋がり、ホルダ53の差込口531に孔213と貫通孔2210に直接繋がって」いる態様は、スルーホール43と孔213と貫通孔2210とが「連なる」態様とはいえない。
また、甲2発明1において、スルーホール43と孔213と貫通孔2210とが「連なる」態様である否かは、プリント配線板40、取付部材21、及び基板211に対する端子装置5の配置関係に依存し、それらの配置関係は光源ユニット2の構造や組立工程にも影響を与えるものであることに鑑みれば、甲2発明1において、スルーホール43と孔213と貫通孔2210とが「連なる」態様となっていないことは、実質的な相違点というほかない。
したがって、本件発明1と甲2発明1との間の相違点6は、実質的な相違点であるから、本件発明1は甲2発明1ではない。
(イ)進歩性について
甲2発明1において、「ホルダ53の上側にプリント配線板40が配置され、ホルダ53の下側に取付部材21と基板211とが配置され」る態様を、ホルダ53の片側にプリントプリント配線板40、取付部材21、基板211を配置するように変更して、スルーホール43と孔213と貫通孔2210とが「連なる」ようにすることについて、甲2には記載も示唆もない。
そして、甲2発明1において、ホルダ53の片側にプリントプリント配線板40、取付部材21、基板211を配置するように変更すれば、ホルダ53を含めた端子装置5の構造や光源ユニット2の組立工程を大きく変更する必要があることに鑑みれば、甲2発明1において、ホルダ53の片側にプリントプリント配線板40、取付部材21、基板211を配置するように変更して、スルーホール43と孔213と貫通孔2210とが「連なる」ようにすることが、単なる当業者が適宜決定し得る設計的事項とはいえない。
また、甲1に相違点6に係る本件発明1の発明特定事項が記載されているとしても、甲2発明1の「第2端子部材52及び導電体50」と「電気絶縁性を有するホルダ53」とを有する端子装置5と、甲1記載の電源接続金具11とは、その基本的な構成が異なっており、そのため、甲2発明1における端子装置5の各基板に対する配置及び接続態様や組立工程も、甲1記載の電源接続金具11の各基板に対する配置及び接続態様や組立工程とは異なるものであるから、甲2発明1に甲1記載の事項を適用する動機付けがあるといえず、甲2発明1に甲1記載の事項を採用することは当業者が容易になし得たこととはいえない。
さらに、甲2発明1において、ホルダ53を含めた端子装置5の構造や光源ユニット2の組立工程の変更を伴うような各基板の配置の変更を行うことにより、スルーホール43と孔213と貫通孔2210とを「連なる」ようにすることが、本件特許の優先日前に周知又は公知の技術であることを示す証拠もない。
したがって、本件発明1は、甲2発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(ウ)小括
以上のとおり、本件発明1は、甲2発明1ではない。
また、本件発明1は、甲2発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1を引用して発明特定事項を更に付加したものである。
したがって、上記(1)と同様に、本件発明2は、甲2発明1ではないし、甲2発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明4について
本件発明4は、本件発明1及び2の発明特定事項から「取付部材」に関連する発明特定事項、を除いたものであり、取付部材に形成される「貫通孔である取付部材孔」の発明特定事項も含んでいない。
そうすると、上記(1)アでの対比を踏まえれば、本件発明4と甲2発明1とは、次の相違点相違点7で相違する。
<相違点>
相違点7:本件発明4は、「前記電源基板と前記光源基板とは、前記電源基板孔と前記光源基板孔とが連なるように配置されて」いるのに対し、甲2発明1では、「プリント配線板40と取付部材21と基板221とは、スルーホール43と、孔213と、貫通孔2210とが、孔213とスルーホール43とが重なり、孔213と貫通孔2210とが重なる位置に配置され、スルーホール43がホルダ53の収容空間530に直接繋がり、ホルダ53の差込口531に孔213と貫通孔2210に直接繋がって」いる点。
上記相違点7について検討する。
相違点7に係る甲2発明1の構成について、上記(1)イで相違点6について検討したのと同様に、甲2発明1において、「スルーホール43」と「貫通孔2210」とは「連なる」態様にはなっていない。
したがって、上記(1)イと同様に、本件発明4と甲2発明1との間の相違点7は、実質的な相違点であるから、本件発明4は甲2発明1ではないし、本件発明4は、甲2発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(4)本件発明5について
本件発明5は、本件発明4を引用して発明特定事項を更に付加したものである。
したがって、上記(3)と同様に、本件発明5は、甲2発明1ではないし、甲2発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明10について
本件発明10と甲2発明2とを対比すると、後者の「光源ユニット2が着脱自在に取り付けられる器具本体10」及び「照明器具1」は、前者の「光源ユニットを支持する器具本体」及び「照明装置」に、それぞれ相当する。
そうすると、請求項1を直接的又は間接的に引用する本件発明10と甲2発明2とは、相違点6で相違し、請求項4を直接的又は間接的に引用する本件発明10と甲2発明2とは、相違点7で相違する。
そして、上記(1)イ、及び上記(3)と同様に、本件発明10と甲2発明2との間の相違点6又は7は、実質的な相違点であるから、本件発明10は甲2発明2ではなし、本件発明10は、甲2発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(6)本件発明11について
ア 本件発明11と甲2発明3とを対比する。
(ア)「給電部」について
後者の「電源回路49」は前者の「給電回路」に相当し、以下同様に、「プリント配線板40」は「第1基板」に、「交流電源3」ないし「交流電源3から供給される交流電圧」は「外部電力」に、「LEDモジュール22に適した直流電圧」は「点灯電力」に、「出力端子部405」は「給電端部」に、「取付部材21」は「支持部材」に、「電源装置4」は「給電部」に、それぞれ相当する。また、後者の「厚み方向に貫通するスルーホール43」は、前者の第1基板に形成されている「貫通孔」に、後者の「第1面から第2面に貫通する孔213」は、前者の支持部材に形成された「貫通孔」にそれぞれ相当する。
後者の「電源回路49によって交流電源3から供給される交流電圧を変換したLEDモジュール22に適した直流電圧を出力する」構成は、前者の「前記給電回路によって外部電力から変換された点灯電力が出力される」構成に相当し、後者の「第1面から第2面に貫通する孔213が設けられた取付部材21の、第1面の裏面となる第2面に取り付けられる」構成は、前者の「貫通孔が形成された支持部材に取り付けられている」構成に相当する。
そうすると、後者の「電源回路49が構成され、厚み方向に貫通するスルーホール43を有するプリント配線板40と、電源回路49によって交流電源3から供給される交流電圧を変換したLEDモジュール22に適した直流電圧を出力する複数の出力端子部405を有しており、第1面から第2面に貫通する孔213が設けられた取付部材21の、第1面の裏面となる第2面に取り付けられる電源装置4」は、前者の「給電回路が設けられており貫通孔が形成されている第1基板と、前記給電回路によって外部電力から変換された点灯電力が出力される給電端部とを有し、貫通孔が形成された支持部材に取り付けられている給電部」に相当する。
(イ)「発光部」について
後者の「1つ又は複数のLED220」は、前者の「発光素子」に相当し、以下同様に、「基板221」は「第2基板」に、「基板221を厚み方向に貫通する貫通孔2210」は第2基板に形成されている「貫通孔」に、「表面」は「一面側」に、「裏面」は「他面側」に、「入力端子部222」は「受電端部」に、「光源部A1」は「発光部」にそれぞれ相当する。
また、後者の「1つ又は複数のLED220が表面に配置されており」の構成は、前者の「前記発光素子が一面側に配置されており」の構成に相当し、「1つ又は複数のLED220が電気的に接続され、LEDモジュール22に適した直流電圧が入力される」構成は「前記発光素子と接続されており前記点灯電力が入力される」構成に相当する。
後者の「取付部材21の第1面」は、前者の「前記支持部材における前記給電部が取り付けられていない側」に相当するから、後者の「取付部材21の第1面に、基板221の裏面が取り付けられる」構成は、前者の「前記支持部材における前記給電部が取り付けられていない側に、前記第2基板の他面側を対向させた状態で配置される」構成に相当する。
そうすると、後者の「1つ又は複数のLED220と、1つ又は複数のLED220が表面に配置されており基板221を厚み方向に貫通する貫通孔2210が形成されている基板221と、1つ又は複数のLED220が電気的に接続され、LEDモジュール22に適した直流電圧が入力される複数の入力端子部222とを有し、取付部材21の第1面に、基板221の裏面が取り付けられる光源部A1」は、前者の「発光素子と、前記発光素子が一面側に配置されており貫通孔が形成されている第2基板と、前記発光素子と接続されており前記点灯電力が入力される受電端部とを有し、前記支持部材における前記給電部が取り付けられていない側に、前記第2基板の他面側を対向させた状態で配置される発光部」に相当する。
(ウ)「接続部」について
後者の「第2端子部材52」は導電性を有することは明らかであり、「導電体50」と電気的に接続されているから、後者の「第2端子部材52」と「導電体50」を合わせたものが、前者の「導電体」に相当し、後者の「第2端子部材52及び導電体50と」「を有する」ことは、前者の「導電体と」「を有する」ことに相当する。
また、後者の「スルーホール43」、「孔213」、「貫通孔2210」は、それぞれ「プリント配線板40」、「取付部材21」、「基板221」に設けられたものであることを踏まえると、後者の「第2端子部材52がスルーホール43に挿通され」という構成は、前者の「導電体」が「前記第1基板」「に形成されている」「貫通孔に挿通された状態」という構成に相当し、後者の「導電体50が孔213と貫通孔2210に挿通され」という構成は、前者の「導電体」が「前記第2基板、及び、前記支持部材に形成されている」「貫通孔に挿通された状態」という構成に相当する。そうすると、後者の「第2端子部材52がスルーホール43に挿通され、導電体50が孔213と貫通孔2210に挿通され」という構成は、前者の導電体が「前記第1基板、前記第2基板、及び、前記支持部材に形成されているそれぞれの貫通孔に挿通された状態で」という構成に相当する。
そして、後者の「入力端子部222」は前者の「受電端部」に相当し(上記(イ)参照)、後者の「出力端子部405」は前者の「給電端部」に相当する(上記(ア)参照)から、後者の「第2端子部材52と導体50を介して基板221に設けた入力端子部222とプリント配線板40に設けた出力端子部405とを電気的に接続」することは、前者の「導電体」が「前記給電端部と前記受電端部とに電気的に接続される」ことに相当する。
さらに、後者のホルダ53に形成された「収容部530とその収容部530に繋がった差込口531」について、後者における「第2端子部材52と導電体50が電気的に接続された状態で、第2端子部材52の先端が収容部530の上側の開口から突出し、導電体50の先端が差込口531の下側の開口から突出する」という態様に鑑みれば、「第2端子部材52」と「導電体50」を合わせたもの全体として、「収容部530とその収容部530に繋がった差込口531」に挿通されているということができるから、後者の「収容部530とその収容部530に繋がった差込口531」は、前者の「導電体が挿通される挿通部」に相当する。よって、後者の「収容部530とその収容部530に繋がった差込口531が形成された電気絶縁性を有するホルダ53とを有する」との構成は、前者の「前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部」「と、を有する」との構成に相当する。
したがって、後者の「端子装置5」は前者の「接続部材」に相当する。
(エ)後者の「照明器具1」は、前者の「照明装置」に相当する。
(オ)以上を総合すると、本件発明11と甲2発明3との一致点は以下のとおりであり、相違点はない。
<一致点>
「給電回路が設けられており貫通孔が形成されている第1基板と、前記給電回路によって外部電力から変換された点灯電力が出力される給電端部とを有し、貫通孔が形成された支持部材に取り付けられている給電部と、
発光素子と、前記発光素子が一面側に配置されており貫通孔が形成されている第2基板と、前記発光素子と接続されており前記点灯電力が入力される受電端部とを有し、前記支持部材における前記給電部が取り付けられていない側に、前記第2基板の他面側を対向させた状態で配置される発光部と、
前記第1基板、前記第2基板、及び、前記支持部材に形成されているそれぞれの貫通孔に挿通された状態で、前記給電端部と前記受電端部とに電気的に接続される導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する接続部材と、
を備えている照明装置。」
よって、本件発明11は、甲2発明3である。
仮に本件発明11と甲2発明3とに相違点があるとしても微差であり、本件発明11は、甲2発明3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 令和7年1月10日提出の特許権者による意見書について
特許権者は、令和7年1月10日提出の意見書において、次のとおり主張する。
「相違点
訂正後の請求項11に記載された発明は、「前記第1基板、前記第2基板、及び、前記支持部材に形成されているそれぞれの貫通孔に挿通された状態で、前記給電端部と前記受電端部とに電気的に接続される導電体と、前記導電体が挿通される挿通部が形成された絶縁部と、を有する接続部材と、を備えている」という構成を有するものです。
これに対し、取消理由通知書では、甲第2号証に記載の「端子装置5」が、訂正前の本件特許の請求項11の「接続部」に相当すると認定されています。
甲第2号証の「端子装置5」は、2つの導電体50と、2つの第1端子部材51と、2つの第2端子部材52とを有するものであり(段落番号[0038]、図5等)、訂正後の請求項11に記載された発明の上記構成を開示していません。」(第14ページ下から4行目~第15ページ上から9行目)
しかしながら、上記3(6)ア(ウ)で述べたとおり、甲2発明3の「第2端子部材52」と「導電体50」を合わせたものが、本件発明11の「導電体」に相当するということができ、そうすると、上記3(6)ア(ウ)で述べたとおり、特許権者が主張する上記相違点に係る本件発明11の構成に相当する構成を甲2発明3の「端子装置5」が備えているということができる。
したがって、特許権者の上記主張は採用することができない。
第6 令和6年11月19日付けの取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
1 採用しなかった特許異議申立理由
申立書に記載された特許異議申立理由のうち、令和6年11月19日付けの取消理由通知(決定の予告)において採用しなかったものの概略は次のとおりである。
理由1.(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、その特許は、特許法第29条第1項第3号に該当し、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由2.(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記(引用文献等については上記第4の「3 証拠方法」を参照)
<理由1について>
・請求項1、11
・引用文献等 甲第1号証
・請求項6、7
・引用文献等 甲第2号証
<理由2について>
・請求項3
・引用文献等 甲第2号証、甲第3号証
以下、本件発明11以外の本件発明に係る特許異議申立理由について検討する。
2 当審の判断
(1)甲1を引例とする新規性について
上記第5「2 甲1を引例とする取消理由」(1)のとおり、本件発明1と甲1発明1とは、相違点1~3で相違するから、本件発明1は、甲1発明1ではない。
(2)甲2を引例とする新規性について
本件発明6、7は、 本件発明1又は本件発明4を直接的又は間接的に引用して発明特定事項を更に付加したものである。
そうすると、上記第5「3 甲2を引例とする取消理由」(1)から明らかなとおり、本件発明1を引用する本件発明7と甲2発明1とは、相違点6を有し、この相違点は実質的な相違点であるから、本件発明7は甲2発明1ではない。
また、上記第5「3 甲2を引例とする取消理由」(3)から明らかなとおり、本件発明4を引用する本件発明6、7と甲2発明1とは、相違点7を有し、この相違点は実質的な相違点であるから、本件発明6、7は甲2発明1ではない。
(3)甲2及び甲3に基く進歩性
本件発明3は、本件発明1を直接的又は間接的に引用して発明特定事項を更に付加したものである。そうすると、上記第5「3 甲2を引例とする取消理由」(1)から明らかなとおり、本件発明3と甲2発明1とは、相違点6を有し、この相違点は実質的な相違点である。
ここで、甲3は、電源ケース262及び電源カバー263に係る技術事項を示すために提出されたものであり、甲3において、電源装置260の回路基板261a、板状のフレーム221、発光部210の基板212に連なる貫通孔を設ける点については、記載も示唆もない。したがって、甲2発明1及び甲3記載の技術事項から、相違点6に係る本件発明3の構成に想到することは当業者が容易になし得ることではない。
よって、本件発明3は、甲2発明1及び甲3記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第7 むすび
以上のとおり、本件発明11は甲2発明3であり、特許法第29条第1項3号に該当するから、本件特許の請求項11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。また、本件発明11は甲2発明3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである
そして、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由並びに申立書に記載された特許異議申立理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~7、10に係る特許を取り消すことはできない。さらに、他に本件特許の請求項1~7、10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-700987