特許異議申立
2025-700111
玩具
- 審判番号
- 2025-700111
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-192487
- 登録番号
- 7522811
- 請求日
- 2025年01月24日
- 審決日
- 2026年04月17日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社バンダイ
- 【異議申立人】株式会社 パイロットコーポレーション
- 【異議申立人代理人】山尾 憲人
- 【異議申立人代理人】中谷 俊博
- 審判長/審判官
- 審判長 川俣 洋史
- 審判官 山本 一
- 審判官 殿川 雅也
- 分類
- P1651.112-YAA(A63H) / P1651.113-YAA(A63H) / P1651.121-YAA(A63H) / P1651.537-YAA(A63H) / P1651.851-YAA(A63H) / P1651.853-YAA(A63H)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第29条第1項第2号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第2条第3項第1号、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7522811号発明「玩具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7522811号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。
特許第7522811号の請求項1、2、4ないし8に係る特許を維持する。
特許第7522811号の請求項3に係る特許についての特許異議申立てを却下する。
理由
理 由
第1 本件特許発明について
特許第7522811号の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、令和4年11月30日の出願であって、令和6年7月17日付けでその特許権の設定登録がされ、同月25日付けで特許掲載公報が発行された。
その後、令和7年1月24日に特許異議申立人 株式会社パイロットコーポレーション(以下「申立人」という。)より請求項1ないし8に対して特許異議の申立てがなされた。以降の経緯の概略は以下のとおりである。
令和7年 5月23日付け:取消理由通知
同年 7月25日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出
同年 9月 2日付け:申立人に対し特許法第120条の5第5項に基づく通知
同年10月 1日 :申立人による意見書の提出
同年11月25日付け:取消理由通知(決定の予告)
令和8年 1月30日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出
なお、令和8年1月30日に提出された訂正請求書による訂正請求により、先の令和7年7月25日に提出された訂正請求書による訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
第2 本件訂正請求による訂正の適否
1 訂正請求の趣旨
令和8年1月30日にされた訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、同日に提出された訂正請求書の記載からみて、その請求の趣旨を「特許第7522811号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~8について訂正することを求める。」とするものである。
2 訂正の内容
本件訂正の内容(以下「訂正事項」という。)は、次のとおりである(下線は当審において付した。以下同じ。)。
なお、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(特許掲載公報に記載されたものであって、本件訂正請求による訂正前のもの)について言及する際には、以下において、それぞれ、「本件特許明細書」、「本件特許請求の範囲」、「本件特許図面」といい、これらをまとめて「本件特許明細書等」という。
(1)訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1に「前記上面側の前記表示変化部は、温度変化によって変色可能な変化領域および温度変化によって変色不能な非変化領域を有する」とあるのを「前記上面側の前記表示変化部は、温度変化によって変色可能な変化領域および温度変化によって変色不能な非変化領域を有し、前記表示変化部の裏面側には、前記支持部の突出基部から当該表示変化部の外周縁に向かって複数の突条リブが設けられている、」に訂正する。
請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2、4ないし8も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
本件特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(3)訂正事項3
本件特許請求の範囲の請求項4の「請求項1~3の何れか1項」とあるのを、「請求項1または2」に訂正する。
3 一群の請求項について
本件訂正前の請求項1ないし8について、請求項2ないし8は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項について請求されたものである。
4 訂正の適否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の「前記表示変化部」を、さらに「前記表示変化部の裏面側には、前記支持部の突出基部から当該表示変化部の外周縁に向かって複数の突条リブが設けられている」ものに限定する訂正なので、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の「前記表示変化部」を、上記アのとおり限定する訂正であって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、本件訂正前の請求項3に記載された事項であるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、本件訂正前の全ての請求項1ないし8について特許異議申立てがされているので、本件訂正前の請求項1に係る訂正事項1について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、本件訂正前の請求項3を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、本件訂正前の請求項3を削除する訂正であるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないので、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、本件訂正前の請求項3を削除する訂正であるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、本件訂正前の全ての請求項1ないし8について特許異議申立てがされているので、本件訂正前の請求項3に係る訂正事項2について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い訂正前の請求項3の削除に伴って本件訂正後の特許請求の範囲の記載との整合を図るための訂正である。よって、訂正事項2は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3は、本件訂正前の請求項3の削除に伴って、本件訂正後の特許請求の範囲の記載との整合を図るための訂正であるから、本件訂正前の請求項4について、カテゴリーや対象、目的を変更する訂正ではない。よって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は、本件訂正前の請求項3の削除に伴って、本件訂正後の特許請求の範囲の記載との整合を図るための訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、本件訂正前の全ての請求項1ないし8について特許異議申立てがされており、かつ、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的としているので、本件訂正前の請求項4に係る訂正事項3について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。
5 まとめ
以上のとおり、令和8年1月30日に特許権者が行った本件訂正は、訂正事項1、訂正事項2に関して特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、訂正事項3に関して、同条同項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、訂正事項1ないし訂正事項3は、同条第9項で準用する同法第5項及び第6項の規定に適合するので、請求項1ないし8について訂正を認める。
第3 訂正後の本件訂正特許発明
上記第2で検討したとおり、請求項1ないし8に係る訂正を認めることができるから、請求項1ないし8に係る特許についての発明は本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(以下、それぞれ「本件訂正特許発明1」ないし「本件訂正特許発明8」といい、総称して「本件訂正特許発明」という。)。
「【請求項1】
花を模した対象物品を備え、
前記対象物品は、表示変化部と当該表示変化部を支持する支持部とを有し、
前記支持部は、当該支持部を下側にした状態で、前記表示変化部が前記対象物品の上面を構成するように保持可能であり、
前記上面側の前記表示変化部は、温度変化によって変色可能な変化領域および温度変化によって変色不能な非変化領域を有し、
前記表示変化部の裏面側には、前記支持部の突出基部から当該表示変化部の外周縁に向かって複数の突条リブが設けられている、
玩具。
【請求項2】
請求項1に記載の玩具であって、
前記表示変化部は、花冠と花芯を模した部位を含み、
前記花冠が前記変化領域であり、
前記花芯が前記非変化領域である、
玩具。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
請求項1または2に記載の玩具であって、
前記対象物品を保持可能な保持部をさらに備え、
前記保持部は、前記対象物品を保持し且つ載置面に載置可能な物品保持部と、当該物品保持部に対して略垂直に立ち上がり且つ当該物品保持部側にキャラクターを表示したキャラクター表示部と、を備えている、
玩具。
【請求項5】
請求項4に記載の玩具であって、
前記物品保持部は、前記対象物品を保持する保持位置の前記載置面からの高さが異なる複数の物品固定部を備えている、
玩具。
【請求項6】
請求項5に記載の玩具であって、
前記複数の物品固定部は、前記キャラクター表示部に対して異なる距離に設けられている、
玩具。
【請求項7】
請求項6に記載の玩具であって、
前記物品保持部は、液体を保持可能な液溜部を備え、
前記対象物品が保持された状態の平面視において、前記液溜部の外縁部が前記対象物品よりも外側に位置している、
玩具。
【請求項8】
請求項4に記載の玩具であって、
前記キャラクター表示部は、平面状のエリアを含み、
前記キャラクターは、前記エリアよりも前記物品保持部側に突出する立体造形にて形成されている、
玩具。」
第4 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1、2、4ないし8に係る特許に対して、当審において特許権者に令和7年5月23日付けで通知した取消理由は、次の理由を含む。
取消理由1. (新規性)請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、公然実施された発明であるから、特許法第29条第1項第2号に該当し、特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
取消理由2.(新規性)本件特許の請求項1、2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
取消理由3.(進歩性)本件特許の請求項1、2、4ないし8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、公然実施された発明、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、それらの発明についての特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
第5 証拠方法
以下に摘記する証拠方法は次のとおりである。
甲第1号証:「'93~'94 TOY CATALOGUE」、1993年(平成5年)6月発行、パイロットインキ株式会社
甲第2号証:特開平10-156059号公報
甲第3号証:特開2002-200366号公報
甲第4号証:特開平7-80159号公報
甲第5号証:実願昭58-95965号(実開昭60-4535号公報)のマイクロフィルム
甲第6号証:特開平9-228126号公報
甲第8号証:“グリコのおまけ型録”、2003年(平成15年)1月26日発行、八重洲出版
甲第9号証:「ピクミン2 コレクションフィギュア2」のパッケージ、株式会社アガツマATT
参考資料1:実験成績証明書、2025年(令和7年)1月21日作成、株式会社パイロットコーポレーション
参考資料9:実験成績証明書、2025年(令和7年)9月29日作成、株式会社パイロットコーポレーション
参考資料10:実験成績証明書、2025年(令和7年)9月29日作成、株式会社パイロットコーポレーション
参考資料11:“人気の食玩シリーズ「ピクミン2コレクションフィギュア」に新たなラインナップ”、2005年(平成17年)2月28日、電撃オンライン
以下、甲第1号証ないし甲第9号証を以下「甲1」ないし「甲9」と、参考資料1ないし参考資料11を「参1」ないし「参11」と表記することがある。
1 甲第1号証
(1)甲第1号証記載事項
甲1に、以下の記載がある。
ア 「'93~'94
TOY CATALOGUE
PILOT INK」(表紙)
イ 「1980シリーズ」との表記とともに次の記載がある(角四角枠は当審において付した。以下同じ。)。
「
[図:0001437360000001.jpg]
」(第6ページ)
ウ 上記イ図面の左上における「まほうのチューリップ」との記載。
エ 上記イ図面の右上の上から1番目の角四角枠内における「おふろでお湯をかけると・・・花びらの色が変わってお花が咲きます。」、「お湯をかけると花びらの中から「お花の妖精」がでてきます。」との記載。
オ 上記イ図面の右上の上から2番目の角四角枠内における「まほうのチューリップ」、「セット内容:まほうのチューリップ、妖精マスコット(チューリップにセット)、花のジョーロ」、「花びらの色:赤、ピンク」との記載。
カ 上記イ図面右下に、バーコードとともに「4977554 60951 4」との記載。
キ 「パイロットインキ株式会社
玩具事業部」(裏表紙)
ク 「JUNE. 1993」(裏表紙)
(2)甲第1号証記載事項から把握できる事項
ア 上記(1)アの「'93~'94」、「TOY CATALOGUE」との記載、上記(1)キの「パイロットインキ株式会社」との記載、及び上記(1)クの「JUNE. 1993」との記載から、甲1は、1993年6月にパイロットインキ株式会社から玩具カタログとして発行された刊行物であることを把握できる。
イ 上記(1)ウから「まほうのチューリップ」として玩具が紹介されていることを把握できる。
ウ 上記(1)イの図面左下角四角枠内に、右下の「赤」、「ピンク」との注釈とともに、鉢に植えられており、花と花を支持する茎を有しているチューリップを模した玩具を看取できる。
エ 上記(1)エの「お湯をかけると花びらの中から「お花の妖精」がでてきます。」、上記(1)オの「セット内容:まほうのチューリップ、妖精マスコット(チューリップにセット)、花のジョーロ」との記載を踏まえると、上記(1)イの図面左下角四角枠内に、「花のジョーロからお湯がかけられており、花びらが開いており、花の中央部に妖精マスコットが位置しているチューリップ」が看取できる。
2 参考資料1
参1に、以下の記載がある。
(1)参考資料1記載事項
ア 「1.実験日
令和6年12月11日」
イ 「2.実験場所
パイロットインキ株式会社 第2開発部内」
ウ 「4.実験の目的
甲第1号証(パイロットインキ株式会社、'93-'94 TOY CATALOGUE、1993年6月)6頁に記載された玩具「まほうのチューリップ(ピンク)」の実物に対してドライヤーにより加温し、その加温前後の色変化を実証する。」
エ 「実験内容
(1)株式会社パイロットコーポレーションの倉庫にて、少なくとも本件特許の出願日(2022年11月30日)の前から、販売当時の資料として暗所保管されていた玩具「まほうのチューリップ(ピンク)」の実物のパッケージの画像を取得した。」
オ 「(2-2)(1)の玩具「まほうのチューリップ(ピンク)の実物(開花状態)にて、ドライヤーにより加温し、加温前の玩具が24.4℃の時、加温してから玩具が30.1℃の時および加温してから玩具が36.0℃の時の色変化を撮影した。玩具がドライヤーにより加温されたかどうかは、デジタル表面温度計(安立計器株式会社製、製品名:HFT-50)のセンサ先端を玩具表面に接触させることで確認した。」
カ 「6.実験結果
(1)玩具「まほうのチューリップ(ピンク)」の実物のパッケージの画像
玩具:「まほうのチューリップ(ピンク)」の直方体のパッケージを、平面になるよう折りたたんだ後、表と裏からスキャナで取り込んだ。結果を図1および図2に示す。」
キ 「
[図:0001437360000002.jpg]
」
ク 「
[図:0001437360000003.jpg]
」
ケ 「図1の青枠内には、「まほうのチューリップには赤とピンクの2種類があります。この箱の中のチューリップはピンクです。」と記載されている・・・」
コ 「図2の左下の青枠内には以下のバーコードが記載されている・・・」
上記バーコードは、・・・甲第1号証に記載されたものと一致することから、参考資料1に用いた玩具は、甲第1号証に記載された玩具の実物であることがわかる。」
サ 「図2の右上の青枠内には以下の記載がある。
「ピンクの花びらのチューリップは・・・
2(丸数字の2)チューリップのつぼみにジョーロのお湯をかけます。
3枚の花びらの色が変わります。
薄いピンクと濃いピンクの花びらになります。」
シ 「図2の右中段の青枠内には以下の記載がある。
「・「せん」を矢印の方向にぬくとお水(お湯)がぬけて花が閉じます。鉢を逆さにしてお水(お湯)をすてても花が閉じます。
注 お湯のかわりにお水をかけると花びらは開きますが、色は変わりません。」
ス 「(2-2)玩具「まほうのチューリップ(ピンク)」実物(開花状態)のドライヤーによる加温前後の色変化」
セ 「
[図:0001437360000004.jpg]
」
ソ 「
[図:0001437360000005.jpg]
」
タ 「
[図:0001437360000006.jpg]
」
チ 「図8より、デジタル表面温度計のセンサ先端を接触させた花冠は、24.4℃の時に濃いピンクであることが分かる。また、花芯は黄色であることがわかる。
図9より、デジタル表面温度計のセンサ先端を接触させた花冠は、30.1℃の時に濃いピンク~薄いピンクに変化したことが分かる。また、花芯は変色していない(黄色のままである)ことがわかる。
図10より、デジタル表面温度計のセンサ先端を接触させた花冠は、36.0℃の時に薄いピンクに変化したことが分かる。また、花芯は変色していない(黄色のままである)ことがわかる。」
(2)参考資料1記載事項から把握できる事項
ア 上記(1)エから、株式会社パイロットコーポレーションの倉庫にて、玩具「まほうのチューリップ(ピンク)」のパッケージが暗所保管されていたことが認められる。
イ 上記(1)クの図2の「パッケージの画像(裏)」において、その左下青枠内バーコード下に「4977554 60951 4」との記載を看取できる。
ウ 上記(1)キ及びクに示されたパッケージに印刷された玩具「まほうのチューリップ」、及び上記(1)セないしタの写真から、鉢に植えられており、花と花を支持する茎を有しているチューリップを模した玩具を看取できる。
エ 上記(1)キ及びクの玩具「まほうのチューリップ(ピンク)」のパッケージ写真から、上記(1)ケ、サ、及びシのとおり、同パッケージに、「まほうのチューリップには赤とピンクの2種類があります。この箱の中のチューリップはピンクです。」、「チューリップのつぼみにジョーロのお湯をかけます。3枚の花びらの色が変わります。薄いピンクと濃いピンクの花びらになります。」、「・「せん」を矢印の方向にぬくとお水(お湯)がぬけて花が閉じます。鉢を逆さにしてお水(お湯)をすてても花が閉じます。」、及び「お湯のかわりにお水をかけると花びらは開きますが、色は変わりません。」との記載があることが認められる。
オ 上記(1)キの図1の右側に花びらが開いて花の中からマスコットが現れる写真とともに「お花の妖精がでてくるの!」と記載されているので、参1記載の玩具は、「花びらが開くと花の中からマスコット(花の妖精)が現れる玩具」であることが認められる。
カ 上記(1)オ及びスないしチから、まほうのチューリップ(ピンク)の実物(開花状態)にて、ドライヤーにより加温し、加温前の玩具が24.4℃の時、加温してから玩具が30.1℃の時および加温してから玩具が36.0℃の時の色変化を観察すると、一部の花びらは、24.4℃の時に濃いピンクであり、30.1℃の時に濃いピンクから薄いピンクに変化しており、36.0℃の時にも薄いピンクに変化していること、及び、花の中央部のマスコットは、いずれの温度でも色変化がなかったことが認められる。ここで、花の中央部のマスコットは、上記オを踏まえれば、花の妖精を模した「マスコット(花の妖精)」である。
そして、この花びらが温度変化に伴って色変化する実験結果は、上記エのパッケージの記載と合致する。
3 参考資料9
参9に、以下の記載がある。
(1)参考資料9記載事項
ア 「1.実験日
令和7年9月18日」
イ 「2.実験場所
パイロットインキ株式会社 第2開発部内」
ウ 「4.実験の目的
甲第1号証(パイロットインキ株式会社、'93-'94 TOY CATALOGUE、1993年6月)6頁に記載された玩具「まほうのチューリップ(ピンク)」の実物の、支持部(茎)を下側にした状態の平面図を示す。なお、当該実物は、令和7年1月24日付け提出の参考資料1(実験)に記載された実物と同じである。」
エ 「5.実験内容
株式会社パイロットコーポレーションの倉庫にて、少なくとも本件特許の出願日(2022年11月30日)の前から、販売当時の資料として暗所保管されていた玩具「まほうのチューリップ(ピンク)」の実物の、支持部(茎)を下側にした状態の平面視(真上からの写真)を示す。」
オ 「6.実験結果
[図:0001437360000007.jpg]
」
(2)参考資料9記載事項から把握できる事項
ア 上記(1)ウの「当該実物は、令和7年1月24日付け提出の参考資料1(実験)に記載された実物と同じ」との記載から、実験対象の玩具「まほうのチューリップ(ピンク)」は、参1の実験対象の玩具「まほうのチューリップ(ピンク)」と同一であると認められる。
イ 上記(1)エを踏まえると、上記(1)オの図1から、支持部(茎)が紙面に垂直かつ紙面奥方向に延びていると推認できるので、「支持部(茎)を下側にした状態で、複数の花弁を模した部材が、支持部に直交する平面に沿って互いに重なりつつ花の中央部のマスコットを囲んで」いることが看取できる。
4 甲1発明
(1)甲1及び参1に記載された玩具の公然実施日について
ア 上記1(2)イ及び上記2(2)アから、甲1記載の玩具と参1記載の玩具は、「まほうのチューリップ」との名称が一致する。
イ 上記1(1)カ及び上記2(2)イから、甲1記載の玩具と参1記載の玩具は、その商品を示すバーコードの値が「4977554 60951 4」で一致する。
ウ 上記1(1)エ及び1(2)エ、並びに上記2(2)ウ及びエより、甲1に記載された玩具「まほうのチューリップ」、及び参1に記載された玩具「まほうのチューリップ」は、「チューリップの花にお湯をかけると花びらの色が変わって花の中からお花の妖精のマスコットが現れる玩具」であることが把握できる。
エ 上記アないしウから、甲1に記載された玩具「まほうのチューリップ」、及び参1に記載された玩具「まほうのチューリップ」は、同一の製品と認める。
オ 上記1(2)アの認定事項からみて、甲1は、1993年6月にパイロットインキ株式会社から玩具カタログとして発行された刊行物である。よって、甲1に記載された玩具「まほうのチューリップ」は、一般に対して譲渡の申出がなされたものといえるから、特許法第2条第3項第1号でいう実施行為がなされたものであるので、公然実施された発明と認める。
カ 上記エ及びオを総合すると、甲1及び参1に記載された玩具「まほうのチューリップ」は、本件特許出願前である「1993年6月」には公然実施されていたと認める。
(2)甲1発明
ア 上記2(2)エから、参1記載の玩具は、「チューリップのつぼみにジョーロのお湯をかけると、3枚の花びらの色が変わって薄いピンクと濃いピンクの花びらになり」、「お湯のかわりにお水をかけると花びらが開くが色は変わることがない」「まほうのチューリップ(ピンク)」と称する玩具である。
イ 上記2(2)カから、参1記載の玩具「まほうのチューリップ」は、「花びらを加温すると、濃いピンクから薄いピンクに変化し、花の中央部のマスコット(お花の妖精)は、加温しても色が変化しない」ものである。そして、上記アを踏まえると、「色が変化する花びらは3枚」である。
ウ 上記1(2)ウ及び上記2(2)ウから、甲1及び参1記載の玩具「まほうのチューリップ」は、「鉢に植えられており、花と花を支持する茎を有しているチューリップを模し」た玩具である。
エ 上記2(2)エから、参1記載の玩具「まほうのチューリップ」は、「せんをぬくか鉢を逆さにしてお湯をすてると花が閉じる」ものである。
オ 上記3(2)アを踏まえると、参1記載の玩具「まほうのチューリップ」と参9記載の玩具「まほうのチューリップ」が同一であって、上記3(2)イより、玩具「まほうのチューリップ」「支持部(茎)を下側にした状態で、複数の花弁を模した部材が、支持部に直交する平面に沿って互いに重なりつつ花の中央部のマスコットを囲んで」いる。
カ そうすると、甲1、参1及び参9から、以下の公然実施発明(以下「甲1発明」という。)が認められる。
[甲1発明]
チューリップのつぼみにジョーロのお湯をかけて加温すると、3枚の花びらの色が変わって薄いピンクの花びらになり、お湯のかわりにお水をかけると花びらが開くが色は変わることがなく(ア、イ)、
花の中央部のマスコット(お花の妖精)は、加温しても色変化しないものであって(イ)、
鉢に植えられており、花と花を支持する茎を有しているチューリップを模しており(ウ)、
支持部(茎)を下側にした状態で、複数の花弁を模した部材が、支持部に直交する平面に沿って互いに重なりつつ花の中央部のマスコットを囲んでおり(オ)、
せんをぬくか鉢を逆さにしてお湯をすてると花が閉じる(エ)、
まほうのチューリップ(ピンク)と称する玩具(ア)。
5 甲第2号証
甲2に、以下の記載がある。
「【請求項1】 下記を特徴とする、球形の核の表面に底部が球面の8個の部品を組立てて遊べる多様組合せ教育玩具:8個の部品内の7部品は可動であり、残りの1部品は固定されており、これらすべての部品は核の周囲を被覆する8つの外周被覆部品を保持できるようになっており、これが事前に設定された形状を構成し;核(1)は軽量化された球形を呈し、3面(10、10a、10b)が直角に交差し、等間隔の6つの空間(11)、三角-球面形空間(12)、使用されない8つの空間(13)が該核(1)に組み込まれており;前述の空間(11)には6つのガイド機構(2)が固定され、7つの可動支持部品(3)及び1つの固定支持部品(4)の合計8つの支持部品(3、4)が該ガイド機構(2)にて誘導されて支持され;雄型(33、43)が存在し、同等の該外周被覆部品(6)が組立てられるようにし、伸縮性頂点(5)の一部分が該固定支持部品(4)の位置の正反対の場所に設けられている。
・・・
【請求項8】 8つの外部被覆部品(6)が玩具を形成する事となる形状を有する球面正三角形(60)であり、各辺は凸形アーチ(61)で内側に面取り(62)が施され、同心の接続用空洞(63)が放射状に伸びた補強部(64)に支えられ、また、垂直方向に120度に溝が切ってあり、支持部品(3-4)の雄型軸(33-43)が嵌込まれるようになっており、その外側は玩具の目的とする形状(66)を備えた、請求項1又は4に記載の玩具。」
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は球形を保ち、軽量であり、ガイド部品の締付けに絶え得るようになっており、多数の点が支持部品回転の為の支柱となる支持部品の組立てに適する多様組合せ教育玩具に関する。」
「【0034】外周被覆部品(6)は基本的には同じ物である。全てに正三角形で球面アーチ(60)を呈しており、外周の8分割分に相当する。辺(61)はアーチ状凸形で各辺の角は内側に面取り(62)されており、突起(63)が下部及び中央より120°(64)毎に放射状の筋にて補強されている。内側には支持用の部品(3、4)(図6、7)である柱(33-43)の組立ての為に雌型(65)が存在する。その結果、圧力により雄型と雌型の組合わせにより構成される。」
「【図9】
[図:0001437360000008.jpg]
」
したがって、甲2には、次の技術事項(以下「甲2技術事項」という。)が記載されている。
[甲2技術事項]
外部被覆部品(6)の内側に、突起(63)が放射状の筋である補強部(64)にて補強されている、多様組合せ教育玩具。
6 甲第3号証
(1)甲第3号証記載事項
甲3に、以下の記載がある
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外的な刺激を検知することにより、花が咲き植物を育てるというガーデニング遊びの擬似体験をすることができるガーデニング玩具に関する。」
「【0018】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の一実施例を詳細に説明する。図1は、本発明に係わる玩具本体の外観図を示したものである。玩具本体1は、その正面中央部に花壇2が形成されていて、植物を模して形成された可動部3が花壇の凹部2aに配設されている。可動部3が配設される凹部2aは一対設けられており、2種類の植物を育てることができるように構成されている。そして、前記花壇2にはシャベル4と肥料ボトル5が小物台6に差し込まれていて、取り外し可能となっている。小物台6の右側にはセンサー部7が配設されており、外的刺激を検知すると、その検知した信号をマイコンで制御し、音を出力したり言葉を話したり、またモータを駆動して前記可動部3を動作させたりする。また、小物台6の近傍に位置するボタンはリセットボタン8であり、このリセットボタンを押すと全開した可動部を構成する花びら3aや葉っぱ3bが元の状態に復帰する。
【0019】前記花壇2の右側には、蛇口9が配設されており、蛇口9の後方には玩具本体の電源スイッチ10が設けられている。遊戯者が電源スイッチ10をオンにし、じょうろ11を蛇口9の下方に置いてコック9aを回して開放すると「ジャー」と水の出る音がし、またコック9aを回して戻すと「キュッ」と蛇口の閉まる音がする。これらの音出力はマイコン制御によって行われる。また、玩具本体の側壁12には、一対の植木鉢13がフックなどで係止されており、全開した植物3(可動部)を植木鉢13に差し込めるようになっている。これにより、遊戯者は植物を模した可動部3を凹部2aに差し込んだのち、じょうろ11で水をかける真似ごとをしたり、肥料ボトル5で肥料を与える真似ごとをしたりして、植物が成長する過程を観察し、植物が全開したらこれを植木鉢13に移して観賞して楽しむガーデニング遊びを擬似体験する。
【0020】次に、図2乃至図4は各種植物玩具を示したもので、図2はチューリップを模した植物玩具を、図3はパンジーを模した植物玩具を、図4はタンポポを模した植物玩具をそれぞれ示した図である。植物玩具の基本構成はいずれも駆動機構を内蔵した基部304と幹を形成する軸部302とからなり、植物の種類によって花びら301だけを備えているものと、花びら301と葉っぱ303の両方を備えているものとがある。」
「【図1】
[図:0001437360000009.jpg]
」
「【図2】
[図:0001437360000010.jpg]
」
(2)甲第3号証記載事項から把握できる事項
ア 上記(1)【0018】の「玩具本体1は、その正面中央部に花壇2が形成されていて、植物を模して形成された可動部3が花壇の凹部2aに配設されている。」との記載、及び上記(1)【0019】の「側壁12」との記載を踏まえて図1を参照すると、「花壇2及び蛇口9の奥に、側方に側壁12が接続されて、上下方向に立ち上がった壁が配置され」ていることが看取できる。
イ 上記(1)【0019】の「玩具本体の側壁12には、一対の植木鉢13がフックなどで係止されており、・・・植物3(可動部)を植木鉢13に差し込めるようになっている」、「遊戯者は植物を模した可動部3を凹部2aに差し込んだのち、じょうろ11で水をかける真似ごとをしたり、・・・植物が成長する過程を観察し、植物が全開したらこれを植木鉢13に移して観賞して楽しむガーデニング遊びを擬似体験する」、上記(1)【0020】の「図2はチューリップを模した植物玩具」との記載を踏まえると、上記(1)図1及び図2から、「チューリップを模した植物玩具(可動部3、植物3)を花壇2の凹部2a又は植木鉢13に差し込んで、じょうろ11で水をかける真似ごとや植物を鑑賞」する玩具が看取できる。
(3)甲3技術事項
上記(1)及び(2)から、甲3には次の技術事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されている。
[甲3技術事項]
玩具本体1は、その正面中央部に花壇2が形成されていて、植物を模して形成された可動部3が花壇2の凹部2aに配設されており、花壇2にはシャベル4と肥料ボトル5が小物台6に差し込まれており((1)【0018】)、
花壇2及び蛇口9の奥に、側方に側壁12が接続されて、上下方向に立ち上がった壁が配置されており((2)ア)、
チューリップを模した植物玩具(可動部3、植物3)を花壇2の凹部2a又は植木鉢13に差し込んで、じょうろ11で水をかける真似ごとや植物を鑑賞して((2)イ)、
ガーデニング遊びを擬似体験することができるガーデニング玩具((1)【0001】、【0019】)。
7 甲第4号証
甲4に、以下の記載がある。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感液玩具に関する。さらに詳細には、外部より供給された液体を感知して作動する感液玩具に関する。」
「【0021】図5乃至図7に第二実施例(花玩具)を示す。・・・
【0022】本体5は、植木鉢を模した台座6、茎を模した支持部材7、受液部4を兼ね且つ花びらを模した可動片13、導液部3(凹溝)を内部に備え且つ葉を模した集液体31より構成されている。
・・・
【0027】前記可動片13の全表面は、感温変色部8(熱変色層)が設けられている。前記感温変色部8は、10℃以下で無色から有色に変化するよう設定されているため、冷水(10℃以下)を浴びせると色変化が得られる。
【0028】前記集液体31は、支持部材7の外周に嵌合されている。その嵌合部分の内面には、液体の流れる導液部3(凹溝)が設けられ、該導液部3(凹溝)を通って液体が台座6上面に供給される。
【0029】前記温度センサ22は、正特性サーミスタ(30℃以上で10Ω以上の高い抵抗値、10℃以下で5Ω以下の低い抵抗値を示すもの)を適用している。
【0030】前記温度センサ22を配置したセンサ取付部61の下方には、温度センサ22を接触通過した後の液体を貯める貯留空間部62が形成されている。前記貯留空間部62の下部には、排出孔63が設けられ、前記排出孔63には着脱自在の栓体64が備えられている。
【0031】次に本実施例(花玩具)の作動を説明する。受液部4を兼ねる可動片13に冷水を浴びせると、可動片13(花びら)の感温変色部8が色変化する(図7参照)。冷水は、可動片13から支持部材7外面を伝わったり、又は可動片13から直接に集液体31や台座6上面に落下して、その後、導液部3(凹溝や台座6上面)を通って温度センサ22に供給される。
【0032】正特性サーミスタよりなる前記温度センサ22に冷水が接触すると、即座に温度センサ22は抵抗値が低下(5℃以下)し、モーター21の作動回路2が通電状態となる。これにより、作動機構1が作動して、可動片13(花びら)を開き、花玩具が開花状態となる。即ち、本実施例、花玩具は、水を与えると花びらの色変化と開花作動が楽しめるものである。」
「【図5】
[図:0001437360000011.jpg]
」
「【図6】
[図:0001437360000012.jpg]
」
「【図7】
[図:0001437360000013.jpg]
」
甲4に記載された事項から、甲4には次の技術事項(以下「甲4技術事項」という。)が記載されている。
[甲4技術事項]
本体5は、植木鉢を模した台座6、茎を模した支持部材7、受液部4を兼ね且つ花びらを模した可動片13、導液部3(凹溝)を内部に備え且つ葉を模した集液体31より構成され(【0022】)、
可動片13の全表面は、感温変色部8(熱変色層)が設けられている。前記感温変色部8は、10℃以下で無色から有色に変化するよう設定されているため、冷水(10℃以下)を浴びせると色変化が得られ(【0027】)、
受液部4を兼ねる可動片13に冷水を浴びせると、可動片13(花びら)の感温変色部8が色変化し、可動片13(花びら)を開き、花玩具が開花状態となり(【0031】、【0032】)、
水を与えると花びらの色変化と開花作動が楽しめる(【0032】)、
感液玩具(【0001】)。
8 甲第5号証
(1)甲第5号証記載事項
甲5に、以下の記載がある。
ア 「2 実用新案登録請求の範囲
造花の花びらの,少なくとも片面に文字,数字,図柄等の印刷像と,該像を隠蔽する可逆性熱変色層が形成されてなり,指触により前記熱変色層を無色乃至淡色に変化させ,印刷像を視覚できるよう構成した造花。
3 考案の詳細な説明
本考案は造花に関する。さらに詳細には,指触により温度変化で花びらを変色させ,潜像を顕出させるよう構成した造花に関し,花占いやマジツク性,玩具性を付与した商品として好適に使用される。」(第1ページ第4行ないし同ページ第15行)
イ 「本考案は造花の花びら2の,少なくとも片面に文字,数字,図柄等の印刷像3と,該像を隠蔽する可逆性熱変色層4が形成されてなり,指触により前記熱変色層4を無色乃至淡色に変化させ,印刷像3を視覚できるよう構成した造花1に関する。」(第1ページ第20行ないし第2ページ第5行)
ウ 「前記(1),(2)は、所定形状,寸法の花びらに裁断され,従来同様の方法で組み立てられ造花1となす。」(第4ページ第15行ないし同ページ第16行)
エ 「第1図
[図:0001437360000014.jpg]
」
オ 「第2図
[図:0001437360000015.jpg]
」
(2)甲第5号証記載事項から把握できる事項
ア 上記(1)イの「花びら2」との記載、上記(1)ウの「・・・花びらに裁断され、従来同様の方法で組み立てられ造花1となす」との記載を踏まえると、上記(1)エの第1図から、「花びら2が花の形状に組み立てられており、花の中央に花芯の形状の部材を備え、花が茎の形状の部材で支持されている」造花1を看取できる。
イ 上記(1)エの第1図から、「花びら2が花芯の形状の部材を囲んでおり、花びら2が平面状であって、隣接する花びら2が互いに接している又は重複して」いることが看取できる。
ウ 上記(1)アの「本考案は」、「指触により温度変化で花びらを変色させ,潜像を顕出させるよう構成した造花に関し」「玩具性を付与した商品として好適に使用される」ので、「造花1」は「玩具性を付与した商品として使用される」ことが把握できる。
(3)甲5発明
上記(1)及び(2)から、甲5には次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲5発明]
造花の花びら2の、少なくとも片面に文字、数字、図柄等の印刷像3と、該像を隠蔽する可逆性熱変色層4が形成されてなり、指触により熱変色層4を無色乃至淡色に変化させることにより、花びら2を温度変化で変色させ、潜像を顕出させて印刷像3を視覚できるように構成した造花1であって((1)ア及びイ)、
花びら2が花の形状に組み立てられており、花の中央に花芯の形状の部材を備え、花が茎の形状の部材で支持されており((2)ア)、
花びら2が花芯の形状の部材を囲んでおり、花びら2が平面状であって、隣接する花びら2が互いに接している又は重複している((2)イ)、
玩具性を付与した商品として使用される造花1((2)ウ)。
9 甲第6号証
(1)甲第6号証記載事項
甲6に、以下の記載がある。
「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、形状記憶効果を持つ材料(以下、これを形状記憶材と記す。又、図面、及び要約書においても形状記憶材と記す。)を用いた造花、及び形状記憶材を用いた造花を形状変化させる為の要素構成に関するものである。又、熱変色性の物質を用いた造花に関するものでもある。」
「【0011】花心(2)、花弁(3)の材料には一般的に布が用いられるが、特に限定する必要はなく、どのような材質のどのような材料を用いてもよい。又、従来の造花の花弁はこて等を用いて形を整えるが、花弁(3)においても同様の処理を行ってもよい。花心(2)、花弁(3)の取り付けには一般的に接着剤を用いるが、特に指定はなく他の方法でもよい。」
「【0033】(ロ)図(13)は蕾の形をした造花である。萼(19)は形状記憶材でできている。図(13)の造花の蕾の断面図を図(14)に示す。花弁(18)は萼(19)に取り付けられている。茎(20)は萼(19)に差し込まれている。花弁(18)、及び花心(21)の取り付けは接着剤を用いているが、他の方法を用いてもよい。茎(20)と萼(19)の接合は差し込み式になっているが、他の方法を用いてもよい。
【0034】萼(19)は、形状記憶処理が行われているので、温度変化により萼(19)は形状が変化する。例えば温度変化により図(15)に示す形状と図(16)に示す形状に変化する等である。花弁(18)は萼(19)に取り付けられているので、萼(19)の形状変化により、蕾は開くことになる。
【0035】なお、萼(19)は布、紙、樹脂、合成樹脂、合成繊維等で被覆したり、布、紙、樹脂、合成樹脂、合成繊維等をはりつけたりしてもよい。又、着色してもよい。
【0036】なお、花弁(18)、茎(20)、花心(21)に用いる材料は、基本的に、布、紙、樹脂、合成樹脂、合成繊維等をもちいるが、特に指定はない。」
「【0045】示温塗料とは、熱変色性の物質をアルコールやベンゼン等の溶剤に溶かして塗料にしたものである。又、熱変色性とは温度により色が変化する性質で、熱変色性の物質は無機化合物にも有機化合物にもあり、一般的に知られているので詳細な説明はさけるが、例をあげると有機化合物ではスピロピラン類やジキサンチレンのごとき縮合芳香環の置換したエチレン誘導体等がこの性質を持つ。
【0046】なお、示温塗料に用いる熱変色性の物質を顔料として、本発明の造花や造花に用いる布、紙、樹脂、合成樹脂、合成繊維等を染色してもよい。熱変色性の物質は多種あるので、造花の花弁の中心と周辺において、塗布したり染色したりする熱変色性の物質を変えて、造花の花弁の中心と周辺で温度変化による色の変化を変えることも可能である。
【0047】例えば、図(19)に示すように造花の花弁(28)の中心に塗布する示温塗料(29)に用いる熱変色性の物質とは異なる熱変色性の物質を周辺に塗布する示温塗料(30)に用いる。すると、温度変化により示温塗料(29)と示温塗料(30)は異なる色に変化する。」
「【0068】百貨店等の店頭の陳列窓等の展示物は美観的な目的の他に人目を集めるという目的がある。本発明の造花を空調装置を用いて繰り返し形状変化をおこさせた展示物は十分人目を集めることができる。又、形状記憶材に布や紙や樹脂等を巻いたり、貼ったりして作った蝶やとんぼ等を併用するとさらに大きな効果を期待できる。そして、造花、もしくは造花の一部に蛍光塗料や発光塗料を塗り、可視光線や紫外線を照射したり照射しなかったりすることにより見る人の目をさらに楽しませることができる。」
「【0070】以上、本発明の実施例を幾つか説明したが、本発明の造花には新たな利用分野があるので簡単に説明する。それは、太陽の塔等のオブジェと呼ばれる芸術品の分野である。従来、造花は生花に似せて作ったものが多かった。しかし、造花は作る人の創造力で、実在しない花を表現することもできる。残念なことに従来の造花では芸術的なものを作っても公園等には設置してもらえなかった。しかし、形状や色が変化する本発明の造花であれば、公園等に設置される可能性がある。例えば、3メートルぐらいの本発明の造花を作り公園等に設置すれば、昼と夜の温度変化により、形状や色が変化するので、見る人の目を楽しませることができる。」
「【図1】
[図:0001437360000016.jpg]
」
「【図13】
[図:0001437360000017.jpg]
」
「【図19】
[図:0001437360000018.jpg]
」
(2)甲第6号証記載事項から把握できる事項
上記(1)図1及び図13から、「花弁、花心及び萼を備えた花を支持する茎」を看取できる。
(3)甲6発明
上記(1)及び(2)から、甲6には次の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲6発明]
温度により色が変化する熱変色性がある示温塗料を花弁に塗布し((1)【0045】、【0047】)、
花弁、花心及び萼を備えた花を支持する茎を有しており((2))、
色が変化するので、見る人の目を楽しませることができる((1)【0070】)、
熱変色性の物質を用いた造花((1)【0001】)。
10 甲第8号証
(1)甲第8号証記載事項
甲8に、次の記載がある。
ア 「
[図:0001437360000019.jpg]
」(第135ページ)
イ 「
[図:0001437360000020.jpg]
」(第151ページ)
ウ 「
[図:0001437360000021.jpg]
」(第208ページ)
(2)甲8発明
上記(1)ア(左右の「花(プラスチック)」を参照。)、イ(特に、向かって左上の「花(1967年製/プラスチック)」を参照。)、及び、ウ(特に、向かって左側の「花(1981年/プラスチック)」を参照。)から、次の発明(以下「甲8発明」)を把握できる。
[甲8発明]
花芯があるべき部位を囲むように花弁を模した部位が存在し、隣接する花弁が互いに接しており、花弁がすべて同じ色である、花を模したプラスチック製玩具。
11 甲第9号証
(1)甲第9号証記載事項
甲9に、以下の記載がある。
ア 「
[図:0001437360000022.jpg]
」
イ 「
[図:0001437360000023.jpg]
」
ウ 上記ア及びイは、フィギュアの包装パッケージの箱を展開したものを撮影した写真であると認められる。
エ 上記アの箱の上部に「ピクミン2 コレクションフィギュア2」(スペースは改行を示す。以下同じ。)と記載されている。
オ 上記アの箱の正面に、「コレクションフィギュア2 ピクミン2」との記載とともに、頭頂部から上に向けて花を模した部材を有しているキャラクターが印刷されている。
(2)甲第9号証記載事項から把握できる事項
上記(1)アないしオを総合すると、甲9から「頭頂部から上に向けて花を模した部材を有しているフィギュア」を看取できる。
12 参考資料10
(1)参考資料10記載事項
参10に、以下の記載がある。
ア 「1.実験日
令和7年9月22日」
イ 「2.実験場所
パイロットインキ株式会社 第2開発部内」
ウ 「4.実験の目的
甲第9号証(株式会社アガツマATT、「ピクミン2 コレクションフィギュア2」のパッケージ、2005年3月28日発売)の内容物(フィギュア)の実物写真を示す。」
エ 「5.実験内容
甲第9号証の内容物(フィギュア)の実物写真を撮影した。」
オ 「6.実験結果
[図:0001437360000024.jpg]
図1.甲第9号証に入っていたフィギュア(1つ目)の上面写真」
カ 「
[図:0001437360000025.jpg]
図2.甲第9号証に入っていたフィギュア(2~4つ目)の上面写真」
キ 「
[図:0001437360000026.jpg]
図3.甲第9号証に入っていたフィギュア(5つ目)の上面写真」
ク 「
[図:0001437360000027.jpg]
図4.図1~図3に示したフィギュアの正面写真」
ケ 「
[図:0001437360000028.jpg]
図5.図1~図3に示したフィギュアの側面写真」
コ 「
[図:0001437360000029.jpg]
図6.図1~図3に示したフィギュアの底面写真」
(2)参考資料10から把握できる事項
ア 上記(1)オないしケから、「頭頂部から上に向けて花を模した部材を有しており、この花は複数の花弁を模した部材が花芯を模した部材を囲んで構成され」ている、フィギュアが看取できる。
イ 上記(1)オ、カ及びキから、「花芯と複数の花弁が1つの部材として構成され」ていることが看取できる。
ウ 上記(1)オから、「花芯を囲む複数の花弁が互いに接続され」ていることが看取できる。
13 参考資料11
参11に、次の記載がある。
ア 「人気の食玩シリーズ「ピクミンコレクションフィギュア」に新たなラインナップ!」(画面上部)
イ 「3月28日より全国のコンビニエンスストアおよび一般ゲームショップで、アガツマ・エンタテインメントの食玩「ピクミン2コレクションフィギュア2」の販売が開始される。」(画面上部)
ウ 「データ
▼「ピクミン2 コレクションフィギュア2
・・・
■発売日:2005年3月28日」(画面下部)
14 甲9発明
上記11(2)から甲9に「頭頂部から上に向けて花を模した部材を有しているフィギュアであるピクミン2」が、上記12(2)アないしウから「頭頂部から上に向けて花を模した部材を有しており、この花は複数の花弁を模した部材が花芯を模した部材を囲んで構成され、花芯と複数の花弁が1つの部材として構成されて、花芯を囲む複数の花弁が互いに接続されている、フィギュア」が記載されている。そして、甲9記載のフィギュアが、上記13のアないしウから「コレクションフィギュア2」として「2005年3月28日」に発売が開始されたことが把握できる。
以上を総合すると、次の発明が、本件特許出願前に日本国内又は外国において、公然実施された発明であったと認められる。
[甲9発明]
頭頂部から上に向けて花を模した部材を有しており、この花は複数の花弁を模した部材が花芯を模した部材を囲んで構成され、花芯と複数の花弁が1つの部材として構成されて、花芯を囲む複数の花弁が互いに接続されたフィギュア。
第6 取消理由2(特許法第29条第1項第3号)について
1 本件訂正特許発明1(甲5発明を主引用発明とした場合)
(1)対比
本件訂正特許発明1と甲5発明を対比する。
ア 甲5発明の「「花」及び花を支持する「茎の形状の部材」」は、花を模した部材であるから、本件訂正特許発明1の「花を模した対象物品」に相当する。
イ 甲5発明の「花」は、「花びら2」と「花心の形状の部材」を有しており、「花びら2」は、「温度変化で変色」する。すると、甲5発明の「『花びら2』及び『花心の形状の部材』」を有している「花」は、表示する色が変化する部品を含む部材なので、本件訂正特許発明1の「表示変化部」に相当する。
ウ 上記ア及びイを踏まえると、甲5発明の「茎の形状の部材」は、花を支持する茎の形状の部材なので、本件訂正特許発明1の「対象物品」と甲5発明の「『花』及び花を支持する『茎の形状の部材』」は、「表示変化部と当該表示変化部を支持する支持部」を有している点で一致する。
エ 甲5発明を「花」の通常の形態に照らして、「茎の形状の部材」を花からみて下側にした状態にすると、この「茎の形状の部材」は「花」を上側にした状態で保持することになる。「花」を上側にした状態では、「『花』及び花を支持する『茎の形状の部材』」から構成された部材のうち「花」が上面になる。すると、本件訂正特許発明1の「支持部」と甲5発明の「茎の形状の部材」は、「当該支持部を下側にした状態で、前記表示変化部が前記対象物品の上面を構成するように保持可能」である点で一致する。
オ 上記イ及びエを踏まえると、甲5発明の「『花びら2』及び『花心の形状の部材』」を有している「花」において、「花」は「茎の形状の部材」を下側にした状態で上面側に位置し、「花びら2」が「花芯の形状の部材を囲」む複数の「花弁」といえるので、甲5発明の「花びら2」と「花心の形状の部材」を有する「花」は、本件訂正特許発明1の「前記上面側の前記表示変化部」に相当する。
カ 甲5発明の「花」のうち、「花びら2」のうち可逆性熱変色層4は温度変化により変色する。一方で、甲5発明の「花芯の形状の部材」の領域に可逆性熱変色層4が形成されないので、本件訂正特許発明1の「温度変化によって変色不能な非変化領域」に相当する。すると、甲5発明の「『花びら2』のうち温度変化で変色する領域」及び「『花心の形状の部材』の領域」は、各々本件訂正特許発明1の「温度変化によって変色可能な変化領域」及び「温度変化によって変色不能な非変化領域」に相当する。
キ 上記オ及びカを踏まえると、甲5発明の「花」は、温度変化によって色変化する領域と色変化しない領域を有しているので、本件訂正特許発明1の「温度変化によって変色可能な変化領域および温度変化によって変色不能な非変化領域を有」する、「前記上面側の前記表示変化部」に相当する。
ク 甲5発明の「造花1」は、「玩具性を付与した商品として使用される」ので「玩具」といえる。すると、上記アを踏まえれば、本件訂正特許発明1と甲5発明は、「花を模した対象物品を備え」た「玩具」である。
ケ すると、本件訂正特許発明1と甲5発明は、
[一致点]
「花を模した対象物品を備え、
前記対象物品は、表示変化部と当該表示変化部を支持する支持部とを有し、
前記支持部は、当該支持部を下側にした状態で、前記表示変化部が前記対象物品の上面を構成するように保持可能であり、
前記上面側の前記表示変化部は、複数の花弁を模した部位と花芯を模した部位とを含み、温度変化によって変色可能な変化領域および温度変化によって変色不能な非変化領域を有する、
玩具。」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
本件訂正特許発明1の「花を模した対象物品を備え」た「玩具」の「前記表示変化部の裏面側には、前記支持部の突出基部から当該表示変化部の外周縁に向かって複数の突条リブが設けられている」が、甲5発明の「造花1」の「花芯の形状の部材」及び「花びら2」の裏面に「複数の突条リブ」が設けられていない点。
(2)小括
本件訂正特許発明1は、甲5発明と相違するから、甲5発明との対比において、特許法第29条第1項第3号に該当しない。
2 本件訂正特許発明1(甲6発明を主引用発明とした場合)
本件訂正特許発明1と甲6発明を対比すると、両者は、少なくとも、上記1(1)ケの相違点と同じ点で相違する。
したがって、本件訂正特許発明1は、甲6発明と相違するから、甲6発明との対比において、特許法第29条第1項第3号に該当しない。
3 本件訂正特許発明2、本件訂正特許発明4ないし本件訂正特許発明8
本件訂正特許発明2、本件訂正特許発明4ないし本件訂正特許発明8は、本件訂正特許発明1の発明特定事項をすべて備えて、さらに限定した発明であるから、甲5発明及び甲6発明のいずれの発明とも同一ではない。
したがって、本件訂正特許発明2、本件訂正特許発明4ないし本件訂正特許発明8は、甲5発明及び甲6発明のいずれの発明とも上記1(1)ケの相違点について相違するから、甲5発明及び甲6発明のいずれかの発明との対比において、特許法第29条第1項第3号に該当しない。
第7 取消理由1(特許法第29条第1項第2号)について
本件訂正特許発明1と甲1発明を対比すると、両者は、少なくとも、上記第6の1(1)ケの相違点と同じ点で相違する。
したがって、本件訂正特許発明1は、甲1発明と相違するから、甲1発明との対比において、特許法第29条第1項第2号に該当しない。
第8 取消理由3(特許法第29条第2項)について
1 本件訂正特許発明1(甲5発明を主引用発明とした場合)
(1)対比・判断
本件訂正特許発明1と甲5発明の対比結果は、上記第6の1(1)ケのとおりであって、両者は、上記相違点で相違する。
そして、甲2には、上記第5の5のとおり、「外部被覆部品(6)の内側に、突起(63)が放射状の筋である補強部(64)にて補強されている、多様組合せ教育玩具」との甲2技術事項が記載されていると認められる。甲2技術事項の「補強部(64)」は、「突条リブ」といえるものではあるものの、甲2技術事項は、「多様組合わせ教育玩具」に係る技術であって、本件訂正特許発明1のように「花を模した対象物品」に係る技術ではなく、甲5発明の「造花1」の「花びら2」の裏面に甲2技術事項の「補強部(64)」を設ける動機付けがない。
そして、本件訂正特許発明1の「玩具」は、「前記表示変化部の裏面側には、前記支持部の突出基部から当該表示変化部の外周縁に向かって複数の突条リブが設けられ」ることにより、本件明細書の【0048】に記載されているように、「表示変化部11の厚みを薄くしても当該表示変化部11の強度を高めることができ」、「裏面側11dの表面積を変えることができると共に表示変化部11の体積を変えることができる」ので「表示変化部11の放熱性能(放熱フィン作用による放熱機能)」及び「体積変化による熱容量を変えることができ」、その結果、「表示変化部11の温度変化のスピード、色変化状態の維持といった機能を調整することが可能になる」との効果を奏するものである。
このほか、取消理由通知書に記載したいずれの証拠、又は、申立人が提出したいずれの証拠にも、上記相違点の構成が記載も示唆もされていないし、同構成が公知の技術、周知慣用技術、又は技術常識であることを示す他の証拠も示されていない。
したがって、本件訂正特許発明1は、甲5発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。
(2)小括
以上のとおり、本件訂正特許発明1は、甲5発明に基づいて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本件訂正特許発明1(甲1発明を主引用発明とした場合)
本件訂正特許発明1と甲1発明を対比すると、両者は、少なくとも、上記第6の1(1)ケの相違点と同じ点で相違する。
そして、取消理由通知書に記載したいずれの証拠、又は、申立人が提出したいずれの証拠にも、上記相違点の構成が記載も示唆もされておらず、同構成が公知の技術、周知慣用技術、又は技術常識であることを示す他の証拠も示されていないことは、上記1(1)において説示したとおりである。
したがって、本件訂正特許発明1は、甲1発明に基づいて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本件訂正特許発明1(甲6発明を主引用発明とした場合)
本件訂正特許発明1と甲6発明を対比すると、両者は、少なくとも、上記第6の1(1)ケの相違点と同じ点で相違する。
そして、当該相違点が、取消理由通知書に記載したいずれの証拠、又は、申立人が提出したいずれの証拠にも、上記相違点の構成が記載も示唆もされておらず、同構成が公知の技術、周知慣用技術、又は技術常識であることを示す他の証拠も示されていないことは、上記1(1)において説示したとおりである。
したがって、本件訂正特許発明1は、甲6発明に基づいて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
4 本件訂正特許発明2、本件訂正特許発明4ないし本件訂正特許発明8
本件訂正特許発明2、本件訂正特許発明4ないし本件訂正特許発明8は、本件訂正特許発明1の発明特定事項をすべて備えて、さらに限定した発明である。
よって、本件訂正特許発明2、本件訂正特許発明4ないし本件訂正特許発明8は、甲1発明、甲5発明、及び、甲6発明のいずれの発明と対比すると、少なくとも、上記第6の1(1)ケの相違点と同じ点で相違する。
したがって、本件訂正特許発明1は、甲1発明、甲5発明、及び、甲6発明のいずれの発明に基づいても、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第9 申立人が令和7年10月1日に提出した意見書について
申立人は、令和7年10月1日に意見書(以下「意見書」という。)を提出して、同年7月25日に特許権者がした訂正後の本件特許に係る発明について意見を述べているが、これら意見のうち、理由(新規性)及び理由(進歩性)に係る意見について確認する。
本件訂正の訂正事項1は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1を、本件訂正前の請求項3に特定された事項に減縮する訂正である。
そして、意見書では、本件訂正前の請求項3に対応する、令和7年7月25日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲記載の請求項3について、理由(新規性)及び理由(進歩性)の対象としておらず、特段の言及もない。
よって、合議体は、申立人が本件訂正の訂正事項1に係る事項について新規性欠如及び進歩性欠如に係る追加の意見を持たないものと判断した。
第10 むすび
上記第2のとおり、本件訂正請求は認められるから、特許第7522811号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲〔1~8〕のとおり訂正することを認める。
上記第6~8のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した取消理由によっては、請求項1、2、4ないし8に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件特許の請求項1、2、4ないし8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項3は、本件訂正請求により削除された。これにより、請求項3に係る発明に対する特許異議申立ては、申立ての対象が存在しなくなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700111