特許拒絶査定不服審判
2023-006359
フィールド装置ラッチリレーリセット
- 審判番号
- 2023-006359
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-551377
- 請求日
- 2023年04月18日
- 審決日
- 2024年12月12日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ローズマウント インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】加藤 和詳
- 審判長/審判官
- 審判長 本庄 亮太郎
- 審判官 田々井 正吾
- 審判官 大山 健
- 分類
- P18 .121-WZ (G05B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-551377「フィールド装置ラッチリレーリセット」拒絶査定不服審判事件〔2019年(令和元年)9月26日国際公開、WO2019/182688、令和3年8月2日国内公表、特表2021-518613〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(平成31年)2月4日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2018年3月22日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、出願後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
1 令和3年11月30日付け
拒絶の理由を通知。
2 令和4年3月2日
意見書及び手続補正書の提出。
3 令和4年7月27日付け
拒絶の理由(最後)を通知。
4 令和4年11月1日
意見書及び手続補正書の提出。
5 令和4年12月8日付け
補正の却下の決定及び拒絶をすべき旨の査定。
6 令和5年4月18日
審判請求書及び手続補正書の提出。
7 令和6年6月6日付け
拒絶の理由を通知(以下、この通知を「当審拒絶理由通知」という。)。
8 令和6年9月10日
意見書、手続補正書の提出。
第2 本願発明
本願の請求項1~20に係る発明(このうち請求項1に係る発明を、以下「本願発明1」という。)は、令和6年9月10日提出の手続補正書により補正をした特許請求の範囲の請求項1~20に記載した事項により特定されるとおりのものであって、このうち、本願発明1を特定する請求項1に記載した事項は以下のとおりである。
「 【請求項1】
プロセスパラメータを感知するように構成されたセンサと、工業プロセスのプロセスパラメータを制御するように構成された制御装置とからなる群から選択されるアクティブコンポーネントと、
ラッチリレーであって、リセット回路による前記ラッチリレーのリセット状態及び前記ラッチリレーのセット状態に基づいて、外部装置を装置電源から切り離し、前記外部装置を前記装置電源に接続するように構成されたラッチリレーと、
スイッチ信号を生成するように構成されたコントローラと、
前記スイッチ信号に基づいて、前記ラッチリレーを前記セット状態及び前記リセット状態の一方に設定するように構成されたリレードライブと、
を備え、
前記リセット回路は、前記リレードライブへの電力の遮断に応じて、前記リセット回路の電荷リザーバに蓄積された電力によって生成されるリセット信号を前記ラッチリレーの入力に適用することによって、前記ラッチリレーを前記リセット状態に設定するように構成され、
前記リレードライブは、前記装置電源とは独立したリレー電源からのリレー電圧によって電力を供給され、
前記電荷リザーバの電力は前記リレー電源から直接供給されるリレー電圧によって蓄積される、
工業プロセスのフィールド装置。」
第3 当審拒絶理由通知の概要
当審拒絶理由通知において、本願発明1に対して通知した拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
(進歩性)本願発明1は、引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基いて、その出願前(優先日前)にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
引用文献1:特開2016-24750号公報
引用文献2:国際公開第2017/068764号
第4 引用文献の記載事項
1 引用文献1
(1)発明の詳細な説明
「【0012】
図1において、プラント制御システム1は、プラント制御装置2と、保守ツール3とから構成される。
プラント制御装置2は、現場からのプロセス入力信号(図示なし)を受けて、所定の制御ロジック(図示なし)に基づき、現場に設置された補機4(ポンプ、モータ、バルブ等)の制御を行う。図1では、補機4の例としてモータ駆動バルブ41およびモータ42を示している。
プラント制御装置2は、補機4との接続用のラッチ機能を有する端子台21を備えている。このラッチ機能を有する端子台の例として、内部にラッチリレー211を有する端子台21を使用することを想定して説明する。
また、プラント制御装置2は、保守ツール3と接続し、端子台21内のラッチリレー211を駆動するためのネットワーク機器としてHUB22を備える。保守ツール3とHUB22との間は、制御ネットワークあるいは保守ネットワークによって接続される。
なお、本願発明の隔離部は、ラッチ機能を有する端子台21である。」
(下線部は当審で付した。以下同様。)
(2)図面
ア 図1
[図:0001422835000001.jpg]
イ 図2
[図:0001422835000002.jpg]
ウ 図3
[図:0001422835000003.jpg]
(3)引用文献1の認定事項 段落0012、図1~3の記載からみて、引用文献1記載のプラント制御システム1は、プロセス入力信号を受けて、所定の制御ロジックに基づき、内部にラッチリレー211を有する端子台21を使用して接続されたポンプ、モータ、バルブ等の現場に設置された補機4の制御を行うプラント制御装置2を備えるものである。
(4)引用文献1記載の発明
上記(1)~(3)より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。
「プロセス入力信号を受けて、ラッチリレー211を有する端子台21を使用して接続されたポンプ、モータ、バルブ等の補機4の制御を行うプラント制御装置2を備えたプラント制御システム1。」
2 引用文献2
(1)発明の詳細な説明
「[0001]
本開示は、一般に電磁継電器に関し、より詳細には、コイルへの通電により生じる磁気吸引力を用いて接点装置を開閉する電磁継電器に関する。
・・・
[0007]
電磁継電器の分野、とくに特許文献1に記載されているようなラッチングリレーの分野では、たとえば電源が喪失するなどの異常時でも接点装置を開閉できることが望まれている。
・・・
[0009]
(実施形態1)
実施形態1の電磁継電器A1は、図1~図4に示すように、接点装置2と、電磁石装置3と、電力供給部41と、スイッチ部42と、制御部43とを有する。接点装置2は、可動接点21および固定接点22を有している。電磁石装置3は、コイル31と、可動接点21が設けられた可動子33とを有している。また、電磁石装置3は、コイル31の通電で生じる磁束により、可動接点21が固定接点22に接触する閉位置と、可動接点21が固定接点22から離れる開位置との間で移動するように可動子33を駆動する。
・・・
[0014]
本実施形態では、電磁継電器A1が、電気自動車(EV)に搭載されている場合を例とする。そして、本実施形態では、図1に示すように、電磁継電器A1が、走行用のバッテリ101から負荷(たとえば、LEDランプやインバータ)102への直流電力の供給路に接点装置2を挿入するように接続されて用いられる場合を例とする。このため、本実施形態の電磁継電器A1では、接点装置2を開閉することで、走行用のバッテリ101から負荷102への直流電力の供給状態を切り替えることができる。
・・・
[0023]
可動接触子13は、電磁石装置3によって上下方向に駆動される。このため、可動接触子13に設けられている各可動接点21は、それぞれ対応する固定接点22に接触する閉位置と、固定接点22から離れた開位置との間で移動することになる。可動接点21が閉位置にあるとき、つまり接点装置2のオン状態では、一対の接点台11,12間が可動接触子13を介して短絡する。したがって、接点装置2のオン状態では、一対の出力端子51,52間が導通し、バッテリ101から負荷102へ直流電力が供給される。
・・・
[0039]
駆動回路4は、図1に示すように、電力供給部41と、スイッチ部42と、制御部43とを有している。本実施形態の電磁継電器A1では、電力供給部41、スイッチ部42、制御部43は、基板44(図2参照)に実装されている。
[0040]
電力供給部41は、EDLC(Electric Double-Layer Capacitor:電気二重層コンデンサ)からなる2つのキャパシタ411,412で構成されている(図2参照)。もちろん、電力供給部41を構成するキャパシタの数を限定する趣旨ではなく、たとえば1つであってもよいし、さらに多数であってもよい。また、キャパシタ411,412はEDLCに限定されず、他の種類のキャパシタであってもよい。電力供給部41は、主電源103から副電源104を介して供給される電力により充電される。また、電力供給部41は、コイル31(ここでは、第2コイル312)に電力を供給する。
[0041]
副電源104は、たとえばDC/DCコンバータ回路で構成されており、主電源103から入力される電圧(たとえば、12Vの直流電圧)を所定の電圧(たとえば、2.5Vの直流電圧)に変換して出力する。・・・。
・・・
[0045]
制御部43は、電力供給部41に電気的に接続されており、電力供給部41から供給される電力により動作する。もちろん、制御部43は、主電源103が喪失していないときは、副電源104から供給される電力により動作する構成であってもよい。
[0046]
制御部43は、電力供給部41に印加される電圧(ここでは、キャパシタ411,412の充電電圧)を検知する機能を有している。そして、制御部43は、電力供給部41に印加される電圧が一定電圧となるように、第1スイッチ421のオン/オフを制御する。つまり、制御部43は、電力供給部41の充電回路として機能する。
[0047]
また、制御部43は、主電源103から第1コイル311への電路(または主電源103から副電源104への電路)を流れる電流、またはこの電路に印加される電圧を検知する機能を有している。そして、制御部43は、検知結果に基づいて異常時(たとえば主電源103が喪失している時)であるか否かを判断する。・・・。
[0048]
さらに、制御部43は、異常時または非常時であると判断すると、第1スイッチ421をオフに切り替えると共に、第2スイッチ422をオンに切り替える。これにより、制御部43は、電力供給部41からコイル31(ここでは、第2コイル312)に電力を供給させる。つまり、制御部43は、主電源103からの電力供給が途絶えたことを検知すると、スイッチ部42を制御して電力供給部41からコイル31(ここでは、第2コイル312)に電力を供給させる。
・・・
[0051]
本実施形態の電磁継電器A1では、リレー部6は、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)からの制御信号に応じて状態が切り替わる。具体的には、リレー部6がオン指令を受けると、第1リレー61がオンに切り替わる。このとき、第2リレー62はオフ、第3リレー63および第4リレー64は、共通端子と常閉端子とが導通している。したがって、リレー部6がオン指令を受けている間、主電源103から第1コイル311への電路が形成され、第1コイル311に第1向きの電流が流れる。これにより、第1コイル311は通電する。
[0052]
また、リレー部6がオフ指令を受けると、第2リレー62がオンに切り替わると共に、第3リレー63および第4リレー64では、共通端子と常開端子とが導通する。このとき、第1リレー61はオフである。したがって、リレー部6がオフ指令を受けている間、主電源103から第1コイル311への電路が形成され、第1コイル311に第1向きとは逆向きである第2向きの電流が流れる。これにより、第1コイル311は通電する。
・・・
[0055]
以下、本実施形態の電磁継電器A1の動作について説明する。まず、異常時でも非常時でもない通常時における本実施形態の電磁継電器A1の動作について説明する。ここで、接点装置2がオフ状態であると仮定する。接点装置2のオフ状態では、図3に示すように、永久磁石36の磁束φ1が通る磁路が形成される。磁束φ1は、第1磁極面361、第1ブッシュ346A、可動子33、第2固定子322、下板343、第2側板345、中板342、第2ブッシュ346B、第2磁極面362を順に通る。したがって、可動子33は、第2固定子322との間の磁気吸引力と、復帰ばね35のばね力とにより、第2位置に保持(ラッチ)される。
[0056]
このとき、シャフト16は、下方に引き下げられている。そして、可動接触子13は、シャフト16の上端部に固定されているホルダ15の上板によって上方への移動が規制され、一対の可動接点21を一対の固定接点22から離れた開位置に位置させる。よって、接点装置2のオフ状態では、一対の接点台11,12間は非導通であり、一対の出力端子51,52間は非導通となる。
[0057]
ここで、リレー部6がオン指令を受けると、第1コイル311に第1向きの電流が流れることにより、第1コイル311が磁束を発生する。すると、可動子33は、第1固定子321との間に磁気吸引力が生じることで、復帰ばね35のばね力に抗して上方に引き寄せられ、第2位置に移動する。
[0058]
このため、シャフト16が上方へと引き上げられるので、ホルダ15も上方へと移動する。すると、可動接触子13は、ホルダ15の上板による上方への移動規制が解除されるので、接圧ばね14のばね力によって上方に押し上げられる。そして、一対の可動接点21は、一対の固定接点22に接触する閉位置に移動する(図4参照)。よって、接点装置2がオン状態となり、一対の接点台11,12間が導通するので、一対の出力端子51,52間が導通する。
[0059]
接点装置2のオン状態では、図4に示すように、永久磁石36の磁束φ2が通る磁路が形成される。磁束φ2は、第1磁極面361、第1ブッシュ346A、可動子33、第1固定子321、上板341、第1側板344、中板342、第2ブッシュ346B、第2磁極面362を順に通る。したがって、可動子33は、第1固定子321との間の磁気吸引力により、復帰ばね35のばね力に抗して上方に引き寄せられ、第1位置に保持される。このため、第1コイル311の通電を解除しても、接点装置2はオン状態を維持する。
[0060]
次に、リレー部6がオフ指令を受けると、第1コイル311に第2向きの電流が流れることにより、第1コイル311は、オン指令の時とは逆向きの磁束を発生する。すると、可動子33は、第2固定子322との間に磁気吸引力が生じることで、下方に引き寄せられて第1位置に移動する(図3参照)。そして、可動接点21が開位置に位置するように可動接触子13が移動するため、接点装置2がオフ状態となる。
[0061]
このとき、上述のように、永久磁石36の磁束φ1が通る磁路が形成されるので、可動子33は第1位置に保持される。したがって、第1コイル311の通電を解除しても、接点装置2はオフ状態を維持する。このように、本実施形態の電磁継電器A1は、コイル31(ここでは、第1コイル311)の通電を解除しても、接点装置2のオン状態(またはオフ状態)を維持する、ラッチングリレーである。
[0062]
また、通常時においては、駆動回路4の制御部43は、第1スイッチ421をオン、第2スイッチ422をオフに切り替えることで、副電源104から電力供給部41(ここでは、キャパシタ411,412)への電路を形成させる。つまり、通常時においては、駆動回路4は、電力供給部41を充電させる。
[0063]
次に、異常時または非常時における本実施形態の電磁継電器A1の動作について説明する。たとえば接点装置2がオン状態の場合に、電力線が断線するなどして主電源103が喪失すると、第1コイル311に電力を供給することができなくなるので、リレー部6により接点装置2をオフに切り替えることができなくなる。このとき、駆動回路4の制御部43は、異常時であると判断し、第1スイッチ421をオフ、第2スイッチ422をオンに切り替える。すると、電力供給部41から第2コイル312への電力供給路L1が閉じられる。このため、第2コイル312は、電力供給部41から電力が供給されることで通電し、磁束を発生する。
[0064]
すると、可動子33は、第2固定子322との間に磁気吸引力が生じることで、下方に引き寄せられて第1位置に移動する。そして、可動接点21が開位置に位置するように可動接触子13が移動するため、接点装置2がオフ状態になる。
[0065]
上述のように、本実施形態の電磁継電器A1は、主電源103からの電力供給により、コイル31(ここでは、第2コイル312)に供給するための電力を充電する電力供給部41を有している。したがって、本実施形態の電磁継電器A1では、異常時または非常時においても、電力供給部41からコイル31(ここでは、第2コイル312)に電力を供給することができるので、接点装置2を開閉(ここでは、接点装置2をオフ)することができる。
[0066]
また、本実施形態の電磁継電器A1では、主電源103とは異なる電力供給部41からコイル31に電力を供給することが可能である。このため、たとえば電力供給部41からコイル31に対して主電源103の供給する電力よりも大きい電力を供給すれば、接点装置2の開閉の高速化を図ることができる。
・・・
[0070]
ところで、本実施形態の電磁継電器A1では図3に示すように、電磁石装置3は、永久磁石36をさらに有している。そして、可動子33は、永久磁石36の磁束により、可動接点が開位置および閉位置のいずれか一方に位置するように保持され、かつ、コイル31の通電で生じる磁束により、当該保持が解除されるように構成されている。つまり、本実施形態の電磁継電器A1は、ラッチングリレーである。この構成では、接点装置2のオン状態またはオフ状態を維持するためにコイル31に電力を供給し続ける必要がないので、消費電力を低減することができる。また、このようなラッチングリレーにおいても、接点の保持(ラッチ)を強制的に解除することができる。なお、当該構成を採用するか否かは任意である。
・・・
[0082]
また、本実施形態の電磁継電器A1では、スイッチ部42を制御する制御部43をさらに有している。そして、制御部43は、主電源103からの電力供給が途絶えたことを検知すると、スイッチ部42を制御して電力供給部41からコイル31(第2コイル312)に電力を供給させている。この構成では、既に述べたように、たとえば事故や故障などにより主電源103からコイル31(第1コイル311)への電力供給が途絶えた場合でも、接点装置2を開閉(ここでは、接点装置2をオフ)することができる。
[0083]
とくに、本実施形態の電磁継電器A1がラッチングリレーで構成されている場合に有用である。つまり、この場合、接点装置2がオン状態で維持されているときに主電源103からコイル31(第1コイル311)への電力供給が途絶えても、接点装置2をオフ状態に切り替えることができる。したがって、この構成では、たとえば負荷102や一対の出力端子51,52に過剰な電流が流れ続けるのを防止することができる。
[0084]
この構成において、電力供給部41は、主電源103からの電力供給が途絶えたとき、つまり主電源103が喪失したときなどの異常時や非常時に用いられる電源である。したがって、たとえば通常時において、ラッチングリレーのオン用コイル、オフ用コイルの電源として用いられるコンデンサ(キャパシタ)は、電力供給部41に相当しない。なお、上記構成を採用するか否かは任意である。」
(2)図面
ア 図1
[図:0001422835000004.jpg]
イ 図2
[図:0001422835000005.jpg]
ウ 図3
[図:0001422835000006.jpg]
エ 図4
[図:0001422835000007.jpg]
(3)引用文献2の認定事項
ア 段落0014、0023、0055~0061、0063~0064、図1~4の記載からみて、引用文献2記載の電磁継電器A1は接点装置2・電磁石装置3を備え、当該接点装置2・電磁石装置3は、駆動回路4による可動子33が下方に引き寄せられて第1位置に移動し保持されたオフ状態(段落0063、0064)、及び可動子33が上方に引き寄せられて第2位置に移動し保持されたオン状態(段落0057~0059)に基づいて、上記オフ状態で負荷102をバッテリ101から切り離し、上記オン状態で前記負荷102を前記バッテリ101に接続するように構成されて(段落0014、0023)いる。
イ 段落0051~0052、図1の記載からみて、引用文献2記載の電磁継電器A1は、リレー部6が受けるオン指令・オフ指令の制御信号を生成するように構成されたECUを備える。
ウ 段落0051~0052、0057~0061、図3~4の記載からみて、引用文献2記載の電磁継電器A1は、オン指令・オフ指令の制御信号に応じて第1コイル311に第1向き・第2向きの電流が流れて(段落0051~0052)、第1コイル311がこれらの電流の向きに応じた向きの磁束を発生することにより、接点装置2・電磁石装置3について、可動子33が上方に引き寄せられて第2位置に移動し保持された状態(段落0057~0059)、及び前記可動子33が下方に引き寄せられて第1位置に移動し保持された状態(段落0060~0061)の一方に設定するように構成されたリレー部6を備える。
エ 段落0039~0040、0048,0060~0061、0063~0066、0070、0082~0084、図1、3~4の記載からみて、上記アの駆動回路4は、リレー部6へ主電源103からの電力供給が途絶えたときに、この駆動回路4の電力供給部41のキャパシタ411、412(段落0039~0040)に充電された電力によって生成される電力供給部41から供給される電力により動作する制御部43により第1スイッチ421をオフに切り替える(段落0048、0063~0066、0082~0084)と共に、第2スイッチ422をオンに切り替える信号を接点装置2・電磁石装置3の第2コイル312に電力供給部41から電力を供給させることによって、この接点装置2・電磁石装置3を前記可動子33が下方に引き寄せられて第1位置に移動し保持された状態に設定する(段落0060~0061、0070,0082~0084)ように構成される。
オ 段落0014、0023、0049~0052、図1の記載からみて、リレー6は、主電源103からの電圧によって電力を供給され、この主電源103は、負荷102に電力を供給するバッテリ101とは独立して、リレー6に電力を供給するものである。
カ 段落0040、0043、0062,0065、図1の記載からみて、上記エのキャパシタ411、412の電力は、主電源103から副電源104を介して供給される電圧により充電される。
(4)引用文献2記載の技術的事項
上記(1)~(3)より、引用文献2には次の技術的事項(以下「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。
「接点装置2・電磁石装置3であって、駆動回路4による前記接点装置2・電磁石装置3の可動子33が下方に引き寄せられて第1位置に移動し保持された状態、及び前記接点装置2・電磁石装置3の可動子33が上方に引き寄せられて第2位置に移動し保持された状態に基づいて、負荷102をバッテリ101から切り離し、前記負荷102を前記バッテリ101に接続するように構成された接点装置2・電磁石装置3と、
リレー部6が受けるオン指令・オフ指令の制御信号を生成するように構成されたECUと、
前記リレー部6が受けるオン指令・オフ指令の制御信号に応じて第1コイル311に第1向き・第2向きの電流が流れて第1コイル311が電流の向きに応じた向きの磁束を発生することにより、前記接点装置2・電磁石装置3を前記可動子33が上方に引き寄せられて第2位置に移動し保持された状態、及び前記可動子33が下方に引き寄せられて第1位置に移動し保持された状態の一方に設定するように構成されたリレー部6と、
を備え、
前記駆動回路4は、前記リレー部6へ主電源103からの電力供給が途絶えたときに、前記駆動回路4の電力供給部41のキャパシタ411、412に充電された電力によって生成される電力供給部41から供給される電力により動作する制御部43により第1スイッチ421をオフに切り替えると共に、第2スイッチ422をオンに切り替える信号を前記接点装置2・電磁石装置3の第2コイル312に電力供給部41から電力を供給させることによって、前記接点装置2・電磁石装置3を前記可動子33が下方に引き寄せられて第1位置に移動し保持された状態に設定するように構成され、
前記リレー6は、前記バッテリ101とは独立した主電源103からの電圧によって電力を供給され、
前記キャパシタ411、412の電力は前記主電源103から副電源104を介して供給される電圧により充電される
電磁継電器A1。」
第5 判断
1 本願発明1と引用発明1の対比、一致点、及び相違点
(1)対比
引用発明1のプラント制御システム1において、プラントが工業プロセスを実行するものであること、プラントにおける工業プロセスのプロセスパラメータを感知してプロセス入力信号を発生するセンサを備えること、ポンプ、モータ、バルブ等の補機4はこの工業プロセスのプロセスパラメータを制御する外部装置であること、及びラッチリレー211が、コントローラの生成したスイッチ信号に基づいて、リレードライブによりセット状態及びリセット状態の一方に設定され、外部装置である補機4をその装置電源から切り離し、及び接続するように構成されていることは、自明な事項である。
したがって、引用発明1のプラント制御システム1は、プロセスパラメータを感知するように構成されたセンサと、工業プロセスのプロセスパラメータを制御するように構成されたポンプ、モータ、バルブ等の補機4とからなる群から選択されるアクティブコンポーネントとしてのプラント制御装置2と、スイッチ信号を生成するように構成されたコントローラと、スイッチ信号に基づいて、ラッチリレーをセット状態及びリセット状態の一方に設定するように構成されたリレードライブとを備えるものであり、引用発明1の「プラント制御装置2」は本願発明1の「制御装置」に相当し、以下同様に、「プラント制御システム1」は「工業プロセスのフィールド装置」に相当するから、本願発明1と引用発明1は、次のアの点で一致し、イの点で相違する。
(2)一致点及び相違点
ア 一致点
プロセスパラメータを感知するように構成されたセンサと、工業プロセスのプロセスパラメータを制御するように構成された制御装置とからなる群から選択されるアクティブコンポーネントと、
ラッチリレーであって、前記ラッチリレーのリセット状態及び前記ラッチリレーのセット状態に基づいて、外部装置を装置電源から切り離し、前記外部装置を前記装置電源に接続するように構成されたラッチリレーと、
スイッチ信号を生成するように構成されたコントローラと、
前記スイッチ信号に基づいて、前記ラッチリレーを前記セット状態及び前記リセット状態の一方に設定するように構成されたリレードライブと、
を備える工業プロセスのフィールド装置。
イ 相違点
(ア)相違点1
本願発明1が、(A)「リセット回路」を有しており、(B)「リレードライブは、前記装置電源とは独立したリレー電源からのリレー電圧によって電力を供給され」るものであって、(C)この「リセット回路」を有していることに伴い、ラッチリレーが、「リセット回路による」前記ラッチリレーのリセット状態及び前記ラッチリレーのセット状態に基づいて、外部装置を装置電源から切り離し、前記外部装置を前記装置電源に接続するように構成されており、かつ、「リセット回路は、前記リレードライブへの電力の遮断に応じて、前記リセット回路の電荷リザーバに蓄積された電力によって生成されるリセット信号を前記ラッチリレーの入力に適用することによって、前記ラッチリレーを前記リセット状態に設定するように構成され」ているのに対して、引用発明1は、(A’)リセット回路、及び(C’)これを有していることに伴う事項を備えておらず、(B’)リレー電源が装置電源とは独立しているか否かは明らかでない点。
(イ)相違点2
本願発明1が電荷リザーバの電力はリレー電源から直接供給されるリレー電圧によって蓄積されるのに対して、引用発明1においては電荷リザーバを備えるか不明である点。
2 相違点の検討
(1)引用文献2記載の技術的事項について
第4の2(4)で認定した引用文献2記載の技術的事項について、本願発明1に倣って整理すると次のことがいえる。
ア 引用文献2記載の技術的事項の「接点装置2・電磁石装置3」は本願発明1の「ラッチリレー」に相当し、以下同様に「駆動回路4」は「リセット回路」に、「可動子33が下方に引き寄せられて第1位置に移動し保持された状態」は「リセット状態」に、「可動子33が上方に引き寄せられて第2位置に移動し保持された状態」は「セット状態」に、「負荷102」は「外部装置」に、「バッテリ101」は「装置電源」に、それぞれ相当する。
イ 引用文献2記載の技術的事項の「リレー部6が受けるオン指令・オフ指令の制御信号」は本願発明1の「スイッチ信号」に相当し、同様に「ECU」は「コントローラ」に相当する。
ウ 引用文献2記載の技術的事項の「リレー部6が受けるオン指令・オフ指令の制御信号に応じて第1コイル311に第1向き・第2向きの電流が流れて第1コイル311が電流の向きに応じた向きの磁束を発生することにより」は本願発明1の「スイッチ信号に基づいて」に相当し、同様に「リレー部6」は「リレードライブ」に相当する。
エ 引用文献2記載の技術的事項の「主電源103からの電力供給が途絶えたときに」は本願発明1の「電力の遮断に応じて」に相当し、以下同様に「キャパシタ411、412」は「電荷リザーバ」に、「充電」は「蓄電」に、「電力供給部41から供給される電力により動作する制御部43により第1スイッチ421をオフに切り替えると共に、第2スイッチ422をオンに切り替える信号」は「リセット信号」に、「第2コイル312に電力供給部41から電力を供給させる」は「入力に適用する」に、それぞれ相当する。
オ 引用文献2記載の技術的事項の「電圧」は本願発明1の「リレー電圧」に相当する。
カ 引用文献2記載の技術的事項の「前記キャパシタ411、412の電力は前記主電源103から副電源104を介して供給される電圧により充電される」ことと、本願発明1の「前記電荷リザーバの電力は前記リレー電源から直接供給されるリレー電圧によって蓄積される」こととは、「前記電荷リザーバの電力は前記リレー電源から供給されるリレー電圧によって蓄積される」という点に限り一致する。
キ 引用文献2記載の技術的事項の「電磁継電器A1」は本願発明1の「ラッチリレー」及び「リレードライブ」を含む「リレー」に相当する。
(2)相違点1について
上記(1)より、引用文献2記載の技術的事項は、相違点1に係る本願発明1に関し、「ラッチリレーであって、リセット回路による前記ラッチリレーのリセット状態及び前記ラッチリレーのセット状態に基づいて、外部装置を装置電源から切り離し、前記外部装置を前記装置電源に接続するように構成されたラッチリレーと、
スイッチ信号を生成するように構成されたコントローラと、
前記スイッチ信号に基づいて、前記ラッチリレーを前記セット状態及び前記リセット状態の一方に設定するように構成されたリレードライブと、
を備え、
前記リセット回路は、前記リレードライブへの電力の遮断に応じて、前記リセット回路の電荷リザーバに蓄積された電力によって生成されるリセット信号を前記ラッチリレーの入力に適用することによって、前記ラッチリレーを前記リセット状態に設定するように構成され、
前記リレードライブは、前記装置電源とは独立したリレー電源からのリレー電圧によって電力を供給され、
前記電荷リザーバの電力は前記リレー電源から供給されるリレー電圧によって蓄積される
リレー。」
というものであり、相違点1に係る本願発明1の構成を充足するものである。
そして、ラッチリレー211を有する端子台21を使用して接続された補機4によりプロセスパラメータを制御する工業プロセスのフィールド装置である引用発明1のプラント制御システム1は、引用文献2記載の技術的事項と、ラッチリレーにより外部装置を制御する点で機能が共通するものであり、また、引用文献2の電磁継電器A1は、実施形態としては電気自動車(EV)に搭載されている(段落0014)ものが開示されるものの、全体としては「一般に電磁継電器に関し、より詳細には、コイルへの通電により生じる磁気吸引力を用いて接点装置を開閉する電磁継電器」に関するもの(段落0001)であって、電磁継電器(リレー)としては分野を問わず一般的に用いられるものであるから、この引用発明1のラッチリレー211の制御手段として、引用文献2記載の技術的事項を適用することは、当業者が容易に想到し得たものである。
(3)相違点2について
引用発明1に引用文献2記載の技術的事項を適用することが容易になし得たものであることは上記(2)に示したとおりであるところ、当該適用したものにおいて、電荷リザーバの電力はリレー電源から供給されるリレー電圧によって蓄積されるものではある一方で、引用文献2記載の技術的事項においては、当該リレー電圧がリレー電源から副電源104を介して供給される点で、リレー電源から直接供給される本願発明1には相当していないかのようにみえる。
しかし、引用文献2の段落0041に「副電源104は、たとえばDC/DCコンバータ回路で構成されており、主電源103から入力される電圧(たとえば、12Vの直流電圧)を所定の電圧(たとえば、2.5Vの直流電圧)に変換して出力する。」と記載されているとおり、副電源104は、単に電圧を主電源103から入力される電圧を所定の電圧に変換して出力するDC/DCコンバータ回路で構成されているものであって、出力先に応じて電圧を変換するだけであるから、引用文献2記載の技術的事項においては主電源103がリレー電源を供給する主体であるといえる。
したがって、引用文献2記載の技術的事項においてもリレー電圧が主電源から実質的には直接供給されているといえるから、相違点2により、本願発明1と、引用発明1に引用文献2記載の技術的事項を適用したものとの間に実質的な差異は存在しないことが明らかである。
また、本願発明1の効果について検討すると、引用発明1、引用文献2記載の技術的事項に基づいて予測されるものから、格別のものがあるともいえない。
請求人は、令和6年9月10日提出の意見書において、相違点2により、本願発明1が「電荷リザーバの電力は、装置電源の不具合に影響されない、という顕著な効果を奏します。」との主張をするが、本願発明1のリレー電源及び装置電源が、引用文献2記載の技術的事項のそれぞれ主電源103及びバッテリ101に相当するところ、引用文献2記載の技術的事項における電荷リザーバ(キャパシタ411、412)も、装置電源(バッテリ101)の不具合に影響されることの事情は認められず、この点で本願発明1の効果が格別のものとはいえないから、請求人の主張は採用することができない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて、その出願前(優先日前)にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-006359