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特許拒絶査定不服審判

2024-010243

LIDARシステム内における送信および受信モードの空間的変位の提供

審判番号
2024-010243
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2023-077302
請求日
2024年06月20日
審決日
2025年10月08日
公報発行日
2026年03月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】オーロラ・オペレイションズ・インコーポレイティッド
  • 【請求人代理人】池田 成人
  • 【請求人代理人】酒巻 順一郎
  • 【請求人代理人】野田 雅一
  • 【請求人代理人】鈴木 英彦
  • 【請求人代理人】和田 雄二
審判長/審判官
  • 審判長 濱野 隆
  • 審判官 井海田 隆
  • 審判官 柳 重幸
分類
P18 .121-Z (G01S) / P18 .572-Z (G01S) / P18 .575-Z (G01S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2023- 77302「LIDARシステム内における送信および受信モードの空間的変位の提供」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 7月26日出願公開、特開2023-103334〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)2月10日を国際出願日とする外国語特許出願(特願2021-563052号)の一部を、令和5年5月9日に新たな外国語書面出願としたものであって(パリ条約による優先権主張 2019年4月22日 米国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和5年 5月 9日 :翻訳文の提出 同年 6月 1日 :手続補正書及び上申書の提出 同年 7月18日付け:拒絶理由通知書 同年10月10日 :意見書の提出 同年12月12日付け:拒絶査定 令和6年 1月22日付け:拒絶査定の無効通知 同年 2月13日 :拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月20日 :原査定の謄本の送達) 同年 6月20日 :審判請求書、手続補正書の提出 同年 8月 8日付け:前置報告書 同年11月 6日 :上申書の提出 同月21日 :上申書の提出 以下、2019年(平成31年)4月22日を「優先日」という。なお、令和5年12月12日付け拒絶査定は、令和6年1月22日付け拒絶査定の無効通知により、無効とされた。 第2 令和6年6月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年6月20日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和6年6月20日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和5年6月1日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「【請求項1】 光検出及び測距(LIDAR)システムにおいて、 レーザーソースと、トランシーバーと、1つ以上の光学機器とを備え、 前記レーザーソースは、ビームを生成するように構成され、 前記トランシーバーは、前記ビームに基づいて送信信号を生成し、前記送信信号を送信導波管を通して送信し、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信導波管を通して受信するように構成され、 1つ以上の前記光学機器は、 前記トランシーバーの外部にあり、 前記送信信号又は前記リターン信号の一方の信号を変位させることにより、前記送信信号と前記リターン信号の間の距離を光学的に変化させるように構成され、 前記変位前の一方の前記信号及び前記変位後の一方の前記信号は、互いに平行である、 LIDARシステム。」 (2) 本件補正後 「【請求項1】 光検出及び測距(LIDAR)システムにおいて、 レーザーソースと、トランシーバーと、1つ以上の光学機器と、第1光学機器とを備え、 前記レーザーソースは、ビームを生成するように構成され、 前記トランシーバーは、前記ビームに基づいて送信信号を生成し、前記送信信号を送信導波管を通して送信し、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信導波管を通して受信するように構成され、 1つ以上の前記光学機器は、 前記トランシーバーの外部にあり、 前記送信信号又は前記リターン信号の一方の信号を変位させることにより、前記送信信号と前記リターン信号の間の距離を光学的に変化させるように構成され、 前記変位前の一方の前記信号及び前記変位後の一方の前記信号は、互いに平行であり、 前記第1光学機器は、前記送信導波管から送信された前記送信信号のファンをコリメートし、前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号のファンを集光するように構成される、 LIDARシステム。」 2 補正の目的 本件補正のうち請求項1についてする補正(以下「本件補正1」という)の目的について検討する。 (1) 本件補正前の請求項1からみた検討 ア 本件補正1は、本件補正前の請求項1に対して、「第1光学機器」という発明特定事項を新たに追加する補正事項(以下「補正事項1」という)を含むものであるから、本件補正前の請求項1に係る発明に対して新たな機能を奏するための発明特定事項を付加するものであって、いわゆる限定的減縮であるとはいえない。 してみると、本件補正1は、特許請求の範囲の減縮(請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)に該当しない。 イ また、本件補正1は、請求項の削除、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明のいずれを目的とするものにも該当しない。 (2) 本件補正前の請求項4からみた検討 ア 前記補正事項1は、本件補正前の請求項4に記載されていた事項を含むものであるから、本件補正前の請求項4において、「コリメート」される対象が「前記送信信号のファン」であると限定するともに、「集光」される対象が「前記リターン信号のファン」であると限定することになり、この点からみると、前記補正事項1は、限定的減縮を目的としたものであるようにも思われる。 しかしながら、本件補正前の特許請求の範囲において、請求項4は請求項3の記載を、請求項3は請求項2の記載を、請求項2は請求項1の記載をそれぞれ引用するものであり、請求項4に係る発明は、請求項2及び3に記載されていた発明特定事項を備えることを前提とするから、本件補正前の請求項4からみると、本件補正1は、本件補正前の請求項2及び3に記載されていた発明特定事項を本件補正前の請求項4から削除する補正を含むことになる。 してみると、本件補正1は、この点からみても、特許請求の範囲の減縮(請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)に該当しない。 イ また、本件補正1は、請求項の削除、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明のいずれを目的とするものにも該当しない。 (3) 補正の目的についてのまとめ したがって、本件補正1は、特許法17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないから、本件補正は、補正の目的について不適法な補正である。 3 独立特許要件の判断 仮に本件補正が特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するとして検討した場合、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合する、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである必要があるところ、次の(1)から(5)までにおいて詳細に検討するように、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではなく、同項の規定に適合しない。 (1) 本件補正発明 ア 本件補正発明の認定と分説 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成A1から構成D2までに分説する。また、参考図として、本願の【図2i】及び【図2n】に部材名を記入したものを掲載する。 <本件補正発明の分説> X 光検出及び測距(LIDAR)システムにおいて、 A1 レーザーソースと、 B1 トランシーバーと、 C1 1つ以上の光学機器と、 D1 第1光学機器とを備え、 A2 前記レーザーソースは、ビームを生成するように構成され、 B2 前記トランシーバーは、前記ビームに基づいて送信信号を生成し、前記送信信号を送信導波管を通して送信し、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信導波管を通して受信するように構成され、 C2 1つ以上の前記光学機器は、 前記トランシーバーの外部にあり、 前記送信信号又は前記リターン信号の一方の信号を変位させることにより、前記送信信号と前記リターン信号の間の距離を光学的に変化させるように構成され、 前記変位前の一方の前記信号及び前記変位後の一方の前記信号は、互いに平行であり、 D2 前記第1光学機器は、前記送信導波管から送信された前記送信信号のファンをコリメートし、前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号のファンを集光するように構成される、 X LIDARシステム。 <参考図> 【図2i】 [図:0001432605000001.jpg] 【図2n】 [図:0001432605000002.jpg] イ 課題及び主要な構成に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題、構成C2及び構成D2に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。 「【技術分野】 …中略… 【背景技術】 【0002】 光学検出および距離測定(Light Detection and Ranging)のためのニーモニック(Mnemonic)であるLIDAR(ライダ)として参照され、時には、レーザーRADARとも呼ばれるレーザーを用いる光学距離検出は、高度測定からイメージング、衝突回避に至るまで様々なアプリケーションのために使用される。LIDARは、RADAR(Radio-wave Detection and Ranging)のような従来のマイクロ波距離測定システム(Microwave Ranging System)よりも小さいビームの大きさでより微細なスケール範囲(Scale Range)の解像度を提供する。距離の光学検出は、オブジェクトについての光パルスの往復移動時間(Round Trip Travel Time)に基づく直接距離測定と送信されたチャープされた(Chirped)光信号と、オブジェクトから散乱してリターンされた信号との間の周波数差に基づいているチャープ検出と、自然信号から区別可能な一連の単一周波数位相変化のシーケンスに基づく位相エンコードされた検出(Phase-Encoded Detection)を含む様々な他の技術を用いて行われ得る。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 本開示内容の実施例は、概括的に、コヒーレントLIDARにおいて送信および受信モードの空間的変位(Spatial Displacement)を提供するためのシステムおよび方法を含むが、これに限定されないLIDARを使用して距離の光学的検出を提供するためのシステムおよび方法に関するものである。」 「 【0060】 …(中略)…図2iのシステム200'''の実施例において、リターンビーム291'が受信導波管225'の先端にフォーカシングされるように、自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)の長さ262および/またはリターンビーム291'の変位距離264以外に前記パラメータのうちの1つ以上も考慮される。…(中略)… 【0061】 システム200'''、システム200''''の実施例において、変位したビーム(例えば、第2線形偏光254を有するリターンビーム291')が偏向する角度(例えば、図2iの角度259)として定義される自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)についてのビーム離脱(Walk-oFF)角度αは、以下によって定義される。 【数6】 [図:0001432605000003.jpg] ここで、noおよびneは、自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)の正常および異常屈折率であり、θは、結晶軸角度(例えば、離脱を最大化するために一般的に約45度)である。一実施例において、変位距離264は、単に次のとおりである。 【数7】 [図:0001432605000004.jpg] ここで、dは、変位距離であり、Lは、自由空間光学機器260の長さ262である。一実施例において、システム200'''、200''''における導波管間の間隔221は、(例えば、数式7を用いた)変位ベクトルdおよび(例えば、数式5を用いた)往復遅延に基づく間隔の大きさの和である。ここで、「正常屈折率」は、結晶軸に直交し(例えば、自由空間光学機器260の表面に対して垂直に入射し、自由空間光学機器260を介して当該方向に継続する)、正常の屈折法則に従って挙動する線形偏光(例えば、図2i~2jの線形偏光252)のビームが屈折する屈折率を意味する。さらに、「異常屈折率」は、結晶軸に平行であり(例えば、自由空間光学機器260の表面に対して垂直に入射し、自由空間光学機器260を介して当該方向に継続しない)、正常の屈折法則に従って挙動しない線形偏光(例えば、図2i~2jの線形偏光252)のビームが屈折する屈折率を意味する。」 「 5.バイスタティックLIDARシステムのための自由空間光学機器 …(中略)… 【0084】 一実施例において、バイスタティックLIDARシステム200'''は、第1線形偏光252(例えば、垂直線形偏光)にビームを変位させることなく、ビームの方向に直交する距離264だけ第1線形偏光に直交する第2線形偏光254(例えば、水平線形偏光)にビームを変位させる自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)を含む。一実施例において、距離264は、ビームが横断する自由空間光学機器260の長さ262および/または自由空間光学機器260の材料に基づく。例示的な実施例において、自由空間光学機器260は、方解石、YVO4、αBBOまたは金紅石(Rutile)のような任意の複屈折材料で製造される。他の例示的な実施例において、自由空間光学機器260は、長さ262について約±0.01ミリメートル(mm)および/または結晶軸および表面角度について±0.1度の精密製造公差を有する。これは変位距離264についてミクロンレベルの許容誤差を許容する。この説明の目的上、「表面角度」は、入射ビームおよび出射ビームについての複屈折ディスプレーサの入力および出力表面の任意の傾斜角度を意味する。さらに、この説明の目的上、「結晶軸」は、変位(例えば、図2iの変位264)の方向を定義する複屈折ディスプレーサの結晶のc-軸(例えば、光軸)であり、ビームについてのその角度(例えば、図2iの角度259)は、離脱角度を計算するために使用される。例示的な実施例において、一例における変位平面の角度(例えば、図2iの平面における角度259)は、ビームの方向(例えば、図2iの自由空間光学機器260に入射されるリターンビーム291'の方向)について約45度である。材料のタイプは、正または負の複屈折を表すため、結晶軸の方向は、材料によって異なる。図2iの例示的な実施例において、自由空間光学機器260は、YVO4材料(例えば、正の複屈折性)で製造され、左側下端から右側上端へ(方向ではない)約45度の角度で図2iの平面で光軸を有する。他の例示的な実施例において、αBBO材料(例えば、負の複屈折性)で製造されたディスプレーサは、図2iの平面で上部左側から下部右側に角をなす光軸を有する。偏向角度(例えば、離脱角度)は、数式6に定義されている。 【0085】 一実施例において、送信導波管223'から送信された第1線形偏光252を有するビーム205'は、自由空間光学機器260に入射する。自由空間光学機器260は、第1線形偏光252を有する入射ビームを変位させないため、送信されたビーム205'は、変位を受けずに自由空間光学機器260を通過する。次に、送信されたビーム205'は、送信されたビーム205'の直交フィールドコンポネント間の相対位相を調整するように偏光変換光学機器に入射される。一実施例において、偏光変換光学機器は、送信されたビーム205'の第1線形偏光252を第1方向(例えば、時計回り)を有する第1円偏光256に調整する1/4波長板211である。例示的な実施例において、1/4波長板は、石英で製造され、自由空間光学機器260の変位軸について約45度に指向される。 【0086】 次に、第1円偏光256を有する送信されたビーム205'は、コリメート光学機器229によってコリメートされ、および/またはスキャニング光学機器218によってスキャンされる。一部の実施例において、スキャニング光学機器218は、省略され、送信されたビーム205'は、コリメート光学機器229によってコリメートされる。例示的な実施例において、コリメート光学機器229は、研削および研磨またはモールディングによって製造することができる非球面レンズである。他の例示的な実施例において、コリメート光学機器229は、単一または多重要素(例えば、二重、三重要素など)の球面レンズである。図2iに示されたように、自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)および偏光変換光学機器(例えば、1/4波長板211)は、バイスタティックトランシーバー215'とコリメート光学機器229との間に位置し、これは1/4波長板211がモノスタティック導波管の先端217からコリメート光学機器229の遠方に位置する図2gのモノスタティックシステム207と区別される。 【0087】 一実施例において、コリメート光学機器229および/またはスキャニング光学機器218は、送信されたビーム205'をターゲット292に指向する。ここで、ターゲット292からのリターンビーム291'の反射は、第1円偏光256から第1円偏光256の第1方向と反対の第2方向(例えば、反時計回り)を有する第2円偏光258への位相変化を引き起こす。コリメート光学機器229および/またはスキャニング光学機器218は、第2円偏光258のリターンビーム291'を1/4波長板211に指向し、1/4波長板は、第2円偏光258を送信されたビーム205'の第1線形偏光252に直交する第2線形偏光254に調整する。 【0088】 一実施例において、第2線形偏光254のリターンビーム291'は、自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)に入射される。自由空間光学機器260は、第2線形偏光254の入射ビームを変位させるため、リターンビーム291'は、リターンビーム291'が自由空間光学機器260を通過するときに、リターンビーム291'の進行方向に直交する方向に距離264だけ変位する。一実施例において、自由空間光学機器260の長さ262および/または自由空間光学機器260の材料は、距離264が送信導波管223'と受信導波管225'との間隔221に基づいて調整されるように選択される。例示的な実施例において、自由空間光学機器260の長さ262および/または材料は、距離264が間隔221と(例えば、±2%または±5%以内で)ほぼ同じように選択される。他の例示的な実施例において、自由空間光学機器260の材料は、イットリウムオルソバナデート(YVO4)およびその結晶指向を有するように選択され、長さ262は、距離264が間隔221にほぼ同じように大きさが決定される。 【0089】 図2iに示されたように、リターンビーム291'が距離264だけ変位した後、リターンビーム291'は、受信導波管225'の先端と整列してその先端から受信される。例示的な実施例において、約1.2デシベル(dB)未満の典型的な結合損失が達成され得る。一実施例において、リターンビーム291'は、以降、検出器アレイ230内の1つ以上の光ミキサ284を使用して基準ビーム207b、またはLO信号と結合される。一実施例において、リターンビーム291'は、有利には、送信されたビーム205'の線形偏光252に直交する線形偏光254を有し、したがって、リターンビーム291'の処理は、他のバイスタティックシステムから得られないターゲット292に関する追加データを(例えば、リターンビーム291'の線形偏光254を使用して)提供し得る。排他的ではなく一般的に、天然材料は、散乱の際に偏光が除去される傾向があるが、塗布された金属を含む人工材料は、偏光をよりよく維持する傾向がある。処理ステップ中に獲得されたリターンビーム291'の偏光特性は、オブジェクトを類似の形状のオブジェクトから区別かつ識別するのに使用できる。例示的な実施例において、防衛または商業用の空中および地上の静的および移動プラットフォームについてのターゲット識別アプリケーションは、偏光情報から利益を得られる。」 「 【0107】 図2nは、一実施例によってバイスタティックLIDARシステム200'''の例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図である。一実施例において、図2nは、バイスタティックトランシーバー215'内の送信および受信導波管223'、225'の間の方向または軸275に対して角度278で指向された自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)を示す。したがって、一実施例において、リターンビーム291'は、往復時間遅延に関連するビーム離脱277を考慮するとき、リターンビーム291'が受信導波管225'の先端から受信されるように、自由空間光学機器260によってバイスタティックトランシーバー215'に対して角度278で距離264だけ変位する。さらに、一実施例において、図2nは、バイスタティックトランシーバー215'の1つ以上の送信導波管223'が発散する送信ビーム205a'、205b'のファンを送信し、その後、これらのビームのファンは、コリメート光学機器229および/またはスキャニング光学機器218によってコリメートされた送信されたビーム205a''、205b''のファンにコリメートされることを示す。例示的な実施例において、発散送信ビーム205a'、205b'は、コリメート光学機器229で約8mmまたは約4mmないし約12mmの範囲および/または約2mmないし約20mmの範囲の直径に拡大される。しかし、他の実施例において、発散送信ビーム205a'、205b'の直径は、LIDARシステムの物理的大きさおよび距離性能の要求を満たすように変化する。他の例示的な実施例において、コリメート光学機器229は、送信されたビーム205a''、205b''をコリメートする約40mmないし約50mmの範囲および/または約30mmないし約60mmの範囲の焦点長さを有する非球面レンズである。同様に、コリメート光学機器229は、それぞれのコリメートされた送信されたビーム205a''、205b''と大きく重なるコリメートされたリターンビーム(図示せず)のファンを受信する。例示的な実施例において、コリメートされた送信されたビーム205a''、205b''とコリメートされたリターンビームのファンの間の角度間隔は、約0.02度ないし約0.05度および/または約0.01度ないし約0.10度程度である。一実施例において、コリメート光学機器229は、コリメートされたリターンビームのファンを図2nの1/4波長板211で収束リターンビームにフォーカシングする。一実施例において、図2nの光ファイバアレイ215'と自由空間光学機器260(例えば、複屈折ディスプレーサ)との間の破線の下の細い点線は、隣接する受信導波管225'に入射する分離されたリターンビームを示す。一実施例において、図2nのトランシーバーは、有利にも、2つの送信導波管が単一のコリメータから送信されたビームのファンを生成する配列を提供する。 【0108】 図2oは、一実施例によってバイスタティックLIDARシステム200''''の例示的なコンポネントの上面図を示すブロック図である。図2oのバイスタティックトランシーバー215''は、1つ以上の導波管グループを含み、ここで導波管の各グループは、送信導波管223と送信導波管223の両側にある一対の受信導波管225a'、225b'である。例示的な実施例において、送信導波管223は、SM光ファイバであり、一対の受信導波管225a'、225b'は、直交指向を有するPM光ファイバである。例示的な実施例において、バイスタティックトランシーバー215''は、複数の3つの導波管を含み、ここで3つの導波管のそれぞれのグループは、送信導波管223および送信導波管223の両側にある一対の受信導波管225a'、225b'である。さらに、一実施例において、図2oは、バイスタティックトランシーバー215''の1つ以上の送信導波管223が一対の発散する送信されたビームを送信し、その後、この一対のビームは、コリメート光学機器229および/またはスキャニング光学機器218によって(図2nに示されたように)コリメートされた送信されたビームのファンにコリメートされることを示す。例示的な実施例において、発散する送信されたビームは、コリメート光学機器で約8mmまたは約4mmないし約12mmの範囲および/または約2mmないし約20mmの範囲の直径に拡張される。他の例示的な実施例において、コリメート光学機器229は、送信されたビーム205''をコリメートする約40mmないし約50mmの範囲および/または約30mmないし約60mmの範囲の焦点長さを有する非球面レンズである。同様に、コリメート光学機器229は、コリメートされたリターンビーム291a''、291b''のファンを受信し、収束リターンビーム291a'、291b'を図2jの自由空間光学機器260bにフォーカシングする。図2nの実施例のように、コリメートされたリターンビーム291a''、291b''のファンは、コリメートされた送信されたビームのファンと大きく重なる。例示的な実施例において、コリメートされたリターンビーム291a''、291b''のファンとコリメートされた送信されたビームとの間の角度間隔は、約0.02度ないし約0.05度および/または約0.01度ないし約0.10度程度である。一実施例において、図2oのトランシーバーは、有利にも、2つの送信導波管が単一のコリメータから送信されたビームのファンを生成する配列を提供する。」 (2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 ア 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2005-156330号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記ウの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。 (ア) 【請求項1】、【請求項5】 「【請求項1】 測定対象物に向けてレーザ光を照射する照射手段と、測定対象物に設置されて当該レーザ光を反射する反射手段と、反射手段で反射された反射光を受光する受光手段と、照射手段からレーザ光が照射された時点と受光手段により反射光が受光された時点との時間差に基づいて測定対象物までの距離を演算する演算手段とを備え、照射手段は、レーザ光を発する光源と、光源から発するレーザ光の断面積が測定対象物との間に存在する障害物の断面積よりも大きくなるようにレーザ光を拡大する手段とを有することを特徴とする距離測定装置。」 「【請求項5】 反射手段は、レーザ光を入射方向と略同一方向へ反射してなり、受光手段は、光電変換機能を有する受光素子と、反射光を受光素子に集光するレンズとを有し、照射手段は、レーザ光を拡大する前記レンズと、測定対象物に照射されるレーザ光と反射手段で反射された反射光の少なくとも何れか一方を曲折させるプリズムとを有することを特徴とする請求項1又は2又は3記載の距離測定装置。」 (イ) 【0001】~【0005】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、レーザ光を利用して測定対象物までの距離を測定する距離測定装置、並びに距離測定装置で測定される距離を監視する距離監視システムに関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来より、レーザ光が測定対象物に反射して戻るまでの時間差を計測し、計測した時間差に基づいて測定対象物までの距離を測定する距離測定装置が種々提供されている。この種の距離測定装置は、例えば、自動車や電車などの車両に搭載されて他の車両等の障害物(測定対象物)までの距離を測定して障害物との衝突を未然に防ぐという用途や、地面に設置されたターゲット(測定対象物)までの距離を測定することで地形の変動を監視し、地震や土砂崩れなどの自然災害による被害を未然に防ぐという用途などに用いられている(例えば、特許文献1又は特許文献2参照)。 …(中略)… 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、特許文献1に記載された従来装置では雨滴センサを搭載しているために構成が複雑になってコストも上昇し、さらには装置の外形寸法も大きくなってしまうという問題があった。また、特許文献2に記載された従来装置ではレーザ光の波長を適当に設定することで障害物(雨滴など)による散乱を抑えることはできるものの、レーザ光が障害物で遮られた場合には測定ができなくなる点に変わりはない。 【0005】 本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、降水などによる水滴や埃等の障害物が存在する状況においても測定対象物までの距離が簡単な構成で測定できる距離測定装置並びに距離監視システムを提供することにある。」 (ウ) 【0028】 「【発明の効果】 【0028】 本発明によれば、降水などによる水滴や埃等の障害物の断面積よりも断面積が大きくなるようにレーザ光を拡大しているため、レーザ光が障害物によって遮断されることがなく、障害物が存在する状況においても測定対象物までの距離が測定でき、しかも、レーザ光を拡大する手段の追加のみで済むから、従来例に比較して構成が簡単であり、外形寸法が大型になることもないという効果がある。」 (エ) 【0029】~【0035】、【図1】~【図3】 「【0029】 (実施形態1) 図1は本実施形態における距離測定装置Aの概略構成図、図2は後述する演算処理部10のブロック図、図3は本実施形態における距離監視システムのシステム構成図をそれぞれ示している。 【0030】 本実施形態の距離監視システムは、例えば地震や土砂崩れなどの自然災害による被害を未然に防ぐことを目的として地形の変動を監視する用途に用いられるものであって、図3に示すように距離測定装置Aと、距離測定装置Aの測定結果を通信回線Lsを介して送信する通信装置Bと、通信回線Lsを介して通信装置Bから受信した測定結果を保持する遠隔監視装置Cとで構成される。通信装置Bは、公衆電話回線などの通信回線Lsを介してデータの送受信を行う従来周知のモデムからなり、汎用の通信インタフェース(RS-232Cなど)により距離測定装置Aと接続される。遠隔監視装置Cは、通信回線Lsを介してデータの送受信を行うモデムを内蔵した汎用のコンピュータ装置によって構成され、通信装置Bから受け取った測定結果を大容量の記憶装置(内蔵又は外付けのハードディスク装置など)に格納して保持し、オペレータの操作に応じて随時測定結果を参照することができ、さらに異常(例えば、地震や土砂崩れによる測定結果の変動)が発生した場合にオペレータに報知できるようになっている。このように遠隔から距離測定装置Aの測定結果を収集することができるため、監視作業の省力化が図れるとともに異常発生時の対応が早期に行えるという利点がある。なお、遠隔監視装置Cから通信装置Bを介して距離測定装置Aに制御コマンドを送信し、制御コマンドによって距離測定装置Aの動作を制御することも可能である。 【0031】 一方、距離測定装置Aは、図3に示すように測定地点に設置される測定対象物Dまでの距離を測定するものであって、測定対象物Dに向けてレーザ光を照射するレーザダイオード1と、測定対象物Dに設置されてレーザ光を反射する反射体2と、反射体2で反射された反射光を受光する受光素子(フォトダイオード)3と、レーザダイオード1からレーザ光が照射された時点と受光素子3により反射光が受光された時点との時間差に基づいて測定対象物Dまでの距離を演算する演算処理部10と、レーザダイオード1、受光素子3、演算処理部10を収容する筐体20と、筐体20の前面に設けられた平凸レンズからなりレーザダイオード1から照射されるレーザ光を略平行光とする照射レンズ4と、同じく筐体20の前面に設けられた平凸レンズからなり反射光を受光素子3の受光面に集光する集光レンズ5とを備える。反射体2は板材の表面に白色塗料を塗布してなり、筐体20は合成樹脂若しくは金属部材により角筒状に形成され、軸方向の一端面(前面)に照射レンズ4並びに集光レンズ5が設けられ、側面には支持台21が突設されている(図3参照)。なお、照射レンズ4並びに集光レンズ5には平凸レンズ以外のレンズを用いても構わない。 【0032】 演算処理部10は、CPUとその周辺回路(メモリやクロック発振器など)からなる制御回路11と、制御回路11の制御の元でレーザダイオード1を駆動してレーザ光を照射させるLD駆動回路12と、受光素子3の出力信号に対して増幅、波形整形、ピークホールドなどの信号処理を行う信号処理回路13と、日付や時刻を管理するためのタイマ回路14と、通信装置Bとの間で測定結果などの授受を行うための汎用(RS-232Cなど)の通信インタフェース15と、商用電源や蓄電池を電源として上記各回路の動作電源を作成する電源回路16とを備える。而して、制御回路11では、LD駆動回路12を制御してレーザダイオード1からパルス状のレーザ光を照射させると同時に内部クロックのカウントを開始し、反射体2で反射されたパルス状の反射光が受光素子3で受光されて信号処理回路13で信号処理された後の受信信号が入力されると内部クロックのカウントを停止し、カウントしたクロック数からレーザダイオード1よりレーザ光が照射された時点と受光素子3により反射光が受光された時点との時間差を求め、その時間差に基づいて測定対象物Dまでの距離を演算する。そして、制御回路11が通信インタフェース15を介して測定対象物Dまでの距離の測定結果を通信装置Bに出力し、通信装置Bを通じて遠隔監視装置Cに送信する。 【0033】 ところで、可視領域の赤色レーザ光を用いる場合、従来例におけるレーザ光の径は約2mm程度であったが、雨滴、霧、埃の粒子の直径がそれぞれ0.5mm~5mm、0.01mm、1mm以下であるため、例えば雨天時には距離測定装置Aと測定対象物Dとの間のレーザ光の光路上にレーザ光の断面積よりも大きい断面積を有する障害物(雨滴)が存在することになり、レーザ光が雨滴に遮断されて測定が不能となる虞があった。 【0034】 そこで本実施形態では、照射レンズ4の直径を雨滴の最大径よりも十分に大きい10mm以上に設定するとともにレーザダイオード1を照射レンズ4の焦点の位置に配置し、レーザダイオード1から発するレーザ光の拡がりを利用してレーザ光の断面積を雨滴の最大断面積よりも十分大きい値に拡大した後、照射レンズ4によって略平行光としている。このとき、レーザダイオード1から発するレーザ光の拡がり角度が小さいために照射レンズ4の焦点距離ではレーザ光の断面積が十分に拡大できない場合には、図4に示すようにレーザダイオード1と照射レンズ4の間に両凹レンズ6を配置してレーザ光の拡がり角度を大きくすればよい。 【0035】 而して本実施形態では、上述のようにレーザダイオード1から照射されるレーザ光の断面積を拡大しているため、従来例のようにレーザ光が雨滴などの障害物によって遮断されることがなく、障害物が存在する状況においても測定対象物Dまでの距離が測定できるものである。しかも、レーザダイオード1から発するレーザ光の拡がりを利用してレーザ光を拡大しているから、特許文献1に記載された従来例に比較して構成が簡単であり、外形寸法が大型になることもない。また本実施形態では、照射レンズ4に合わせて集光レンズ5も直径を10mm以上に設定し、断面積が拡大されたレーザ光の反射光を効率よく受光素子3に集光して測定対象物Dまでの距離を正確に測定できるようにしている。なお、本実施形態の距離測定装置Aを降雪地帯に設置する場合、障害物である雪(霰や雹を含む)の直径が最大で150mmに達することもあるので、照射レンズ4および集光レンズ5の直径を300mm以上とすることが望ましい。」 「【図1】 [図:0001432605000005.jpg] 」 「【図2】 [図:0001432605000006.jpg] 」 「【図3】 [図:0001432605000007.jpg] 」 (オ) 【0039】~【0041】、【図7】 「【0039】 (実施形態2) 本実施形態は、図7に示すように照射レンズ4と集光レンズ5を1枚の平凸レンズ(照射/集光レンズ)7で兼用し、レーザダイオード1から照射されるレーザ光(照射光)と反射体2に反射されて戻るレーザ光(反射光)をハーフミラー8で曲折させる構成とした点に特徴があり、これ以外の構成については実施形態1と共通である。よって、実施形態1と共通の構成要素には同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。 【0040】 ハーフミラー8は入射角が45度の時に透過率および反射率が各々50%となる特性を有するとともに照射/集光レンズ7の集光範囲をカバーし得る寸法を有するものであって、レーザダイオード1の光軸H1と照射/集光レンズ7の光軸H2のなす角度が上記角度の倍、すなわち90度となるように配置される。このとき、受光素子3はその光軸H3が照射/集光レンズ7の光軸H2と一致する位置に配置される。なお、照射/集光レンズ7のレンズ中心とレーザダイオード1および受光素子3との光路上の距離は何れも照射/集光レンズ7の焦点距離に等しく設定されている。また、反射体2はレーザ光を入射方向と略同一方向へ反射するように構成されている。 【0041】 而して、本実施形態によれば、レーザダイオード1から照射される照射光の光路と反射体2で反射された反射光の光路がほぼ一致することから反射光が効率良く集光できて測定精度並びに測定範囲が向上できるという利点がある。」 「【図7】 [図:0001432605000008.jpg] 」 (カ) 【0042】~【0044】、【図8】 「【0042】 (実施形態3) ところで、実施形態2の構成では照射光並びに反射光が何れも平行光でないため、ハーフミラー8に入射する場所によって透過率に違いが生じて安定した距離検出を行い難い場合がある。 【0043】 そこで本実施形態は、図8に示すようにレーザダイオード1とハーフミラー8の間に平凸レンズ30を配置してハーフミラー8に入射する照射光を平行光に変換し、さらにハーフミラー8と照射/集光レンズ7の間に配置した両凹レンズ31により照射光を拡大するとともに、受光素子3とハーフミラー8の間に平凸レンズ32を配置してハーフミラー8を透過した反射光を受光素子3の受光面に集光する構成としている。なお、これ以外の構成については実施形態1並びに2と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。 【0044】 而して、本実施形態ではハーフミラー8に入射する照射光および反射光を何れも平行光としているため、ハーフミラー8に入射する場所によって透過率に違いが生じることがなく、安定した距離検出を行うことができる。また、ハーフミラー8は照射/集光レンズ7の集光範囲をカバーし得る寸法とする必要がないから、ハーフミラー8の小型化によるコスト削減が図れるという利点がある。」 「【図8】 [図:0001432605000009.jpg] 」 (キ) 【0045】~【0049】、【図9】、【図10】 「【0045】 (実施形態4) 本実施形態は、図9に示すようにレーザダイオード1から照射されるレーザ光(照射光)と反射体2に反射されて戻るレーザ光(反射光)を曲折させる手段としてハーフミラー8の変わりに偏光プリズム9を用いる点に特徴があり、これ以外の構成については実施形態1~3と共通である。よって、実施形態1~3と共通の構成要素には同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。 【0046】 本実施形態では、図9に示すように実施形態3におけるハーフミラー8の位置に偏光プリズム9と4分の1波長板24を配置している。偏光プリズム9は互いに隣接する入射面9a並びに出射面9bと、入射面9aおよび出射面9bの双方に対向する入出射面9cとを有し、入射面9aと正対する位置にレーザダイオード1並びに平凸レンズ30を配置し、出射面9bと正対する位置に受光素子3並びに平凸レンズ31(当合議体注:「平凸レンズ32」の誤記と認められる)を配置するとともに、入出射面9cと正対する位置に4分の1波長板24を配置している。 【0047】 而して、レーザダイオード1が発するレーザ光が直線偏光であって、図10(a)の矢印と平行な偏光面を有するものであるとすると、平凸レンズ30で平行光に変換された後に偏光プリズム9の入射面9aから入射して入出射面9cから出射する照射光は、4分の1波長板24を通過する際に、図10(b)に示すように偏光面が反時計回りに45度回転することになる。そして、反射体2で反射する際には偏光面の回転は生じないが(図10(c)参照)、反射光が4分の1波長板24を通過する際に、図10(d)に示すように偏光面が反時計回りに45度回転する。その結果、偏光プリズム9の入出射面9cから出射した照射光の偏光面(図10(a)参照)と、偏光プリズム9の入出射面9cに入射する反射光の偏光面(図10(d)との間には90度の角度差が生じる。 【0048】 一方、偏光プリズム9は入射面9aから入射した照射光を屈折させずに入出射面9cから出射するが、入出射面9cから入射する反射光についてはその偏光面が照射光の偏光面に対して90度ずれているため、所定の角度だけ屈折させて出射面9bより出射させる。すなわち、4分の1波長板24で照射光と反射光の偏光面をずらすことにより、偏光プリズム9にて反射光を曲折させているのである。 【0049】 上述のように本実施形態では偏光プリズム9を用いて反射光を曲折させているので、実施形態3のようにハーフミラー8で照射光を曲折させる場合に比較して光量の減少を抑えることができ、測定精度および測定範囲の向上が図れるという利点がある。」 「【図9】 [図:0001432605000010.jpg] 」 「【図10】 [図:0001432605000011.jpg] 」 (ク) 【0072】 「【図面の簡単な説明】 【0072】 【図1】実施形態1における距離測定装置を示す概略構成図である。 【図2】同上の距離測定装置における演算処理部のブロック図である。 【図3】同上の距離監視システムを示すシステム構成図である。 …(中略)… 【図7】実施形態2における距離測定装置の要部を示す概略構成図である。 【図8】実施形態3における距離測定装置の要部を示す概略構成図である。 【図9】実施形態4における距離測定装置の要部を示す概略構成図である。 【図10】同上の動作説明図である。 (後略)」 イ 引用文献1の記載から読み取れる事項の認定 (ア) 認定事項1の認定 a 引用文献1の段落【0045】には、実施形態4について、「実施形態1~3と共通の構成要素には同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。」と記載されている。 b 引用文献1の段落【0072】には、【図9】について、「実施形態4における距離測定装置の要部を示す概略構成図である。」と記載されている。 c 引用文献1の【図1】の実施形態1(段落【0029】~【0032】)と【図9】の実施形態4(段落【0045】~【0049】)は、共通の構成要素として「レーザダイオード1」、「反射体2」、「受光素子3」を備えている。 d 前記a~cを踏まえると、引用文献1には、要部として実施形態4を含む、次の距離測定装置が記載されていると認められる。(以下「認定事項1」という。) <認定事項1> 「測定地点に設置される測定対象物Dまでの距離を測定する距離測定装置Aであって、 測定対象物Dに向けてレーザ光を照射するレーザダイオード1と、測定対象物Dに設置されてレーザ光を反射する反射体2と、反射体2で反射された反射光を受光する受光素子(フォトダイオード)3と、レーザダイオード1からレーザ光が照射された時点と受光素子3により反射光が受光された時点との時間差に基づいて測定対象物Dまでの距離を演算する演算処理部10と、レーザダイオード1、受光素子3、演算処理部10を収容する筐体20と、を備えた、 距離測定装置A。」 (イ) 認定事項2の認定 a 引用文献1の段落【0045】、【0046】には、実施形態4について、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。 「【0045】 (実施形態4) 本実施形態は、図9に示すようにレーザダイオード1から照射されるレーザ光(照射光)と反射体2に反射されて戻るレーザ光(反射光)を曲折させる手段としてハーフミラー8の変わりに偏光プリズム9を用いる点に特徴があり、これ以外の構成については実施形態1~3と共通である。よって、実施形態1~3と共通の構成要素には同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。 【0046】 本実施形態では、図9に示すように実施形態3におけるハーフミラー8の位置に偏光プリズム9と4分の1波長板24を配置している。(後略)」 b 引用文献1の段落【0043】には、実施形態3について、次の記載がある。 「【0043】 そこで本実施形態は、図8に示すようにレーザダイオード1とハーフミラー8の間に平凸レンズ30を配置してハーフミラー8に入射する照射光を平行光に変換し、さらにハーフミラー8と照射/集光レンズ7の間に配置した両凹レンズ31により照射光を拡大するとともに、受光素子3とハーフミラー8の間に平凸レンズ32を配置してハーフミラー8を透過した反射光を受光素子3の受光面に集光する構成としている。」 c 前記a及びbにおいて摘記した事項及び引用文献1の【図8】及び【図9】の記載を総合すると、引用文献1には、【図9】に記載された実施形態4について、次の技術事項が記載されていると認められる。(以下「認定事項2」という。) <認定事項2> 「偏光プリズム9と、4分の1波長板24と、照射/集光レンズ7と、平凸レンズ30と、両凹レンズ31と、平凸レンズ32を備え、 レーザダイオード1と偏光プリズム9の間に平凸レンズ30を配置して偏光プリズム9に入射する照射光を平行光に変換し、偏光プリズム9を透過した照射光が4分の1波長板24を透過し、4分の1波長板24と照射/集光レンズ7の間に配置した両凹レンズ31により照射光を拡大するとともに、受光素子3と偏光プリズム9の間に平凸レンズ32を配置して偏光プリズム9を透過した反射光を受光素子3の受光面に集光する構成とすること。」 (ウ) 認定事項3の認定 a 引用文献1の段落【0031】には、実施形態1について、「一方、距離測定装置Aは、…(中略)…測定対象物Dに設置されてレーザ光を反射する反射体2と、反射体2で反射された反射光を受光する受光素子(フォトダイオード)3と、…(中略)…筐体20の前面に設けられた平凸レンズからなりレーザダイオード1から照射されるレーザ光を略平行光とする照射レンズ4と、同じく筐体20の前面に設けられた平凸レンズからなり反射光を受光素子3の受光面に集光する集光レンズ5とを備える。」と記載されている。そうすると、引用文献1の実施形態1における「照射レンズ4」は、レーザダイオード1から照射されるレーザ光を略平行光とする機能を有しており、「集光レンズ5」は、反射光を受光素子3の受光面に集光する機能を有しているといえる。 b 引用文献1の段落【0039】には、実施形態2について、「本実施形態は、図7に示すように照射レンズ4と集光レンズ5を1枚の平凸レンズ(照射/集光レンズ)7で兼用[する]」と記載されている。そうすると、引用文献1の実施形態2における「平凸レンズ(照射/集光レンズ)7」は、引用文献1の実施形態1における「照射レンズ4」及び「集光レンズ5」と共通の機能を有しているといえる。 c 前記a及びbを踏まえると、引用文献1の【図7】からは、実施形態2における「平凸レンズ(照射/集光レンズ)7」が、レーザダイオード1から照射されるレーザ光を略平行光とするとともに、略平行光である反射光を受光素子3の受光面に集光する機能を有することが見て取れる。 d(a) 引用文献1の段落【0045】には、実施形態4について、「実施形態1~3と共通の構成要素には同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。」と記載されている。 (b) また、引用文献1の実施形態4(段落【0045】~【0049】、【図9】)と、引用文献1の実施形態2(段落【0039】~【0041】、【図7】の)は、共通の構成要素として、「反射体2」及び「照射/集光レンズ7」を備えている。 (c) そうすると、「照射/集光レンズ7」は、実施形態2と実施形態4において共通の機能を有しているといえる。 e 前記(イ)において認定したとおり、引用文献1の実施形態4においては、「4分の1波長板24と照射/集光レンズ7の間に配置した両凹レンズ31により照射光を拡大する」ものである。 f 前記c~e及び引用文献1の【図9】の記載を踏まえると、引用文献1には、実施形態4について、次の技術事項が記載されていると認められる。(以下「認定事項3」という。) <認定事項3> 「照射/集光レンズ7は、両凹レンズ31によって拡大されて入射する照射光を略平行光とするとともに、反射体2で反射されてから入射する略平行光の反射光を集光するものであること。」 ウ 引用発明の認定 前記イにおいて認定した事項及び前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、実施形態4(【図9】)に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用発明> 「測定地点に設置される測定対象物Dまでの距離を測定する距離測定装置Aであって、(認定事項1) 測定対象物Dに向けてレーザ光を照射するレーザダイオード1と、測定対象物Dに設置されてレーザ光を反射する反射体2と、反射体2で反射された反射光を受光する受光素子(フォトダイオード)3と、レーザダイオード1からレーザ光が照射された時点と受光素子3により反射光が受光された時点との時間差に基づいて測定対象物Dまでの距離を演算する演算処理部10と、レーザダイオード1、受光素子3、演算処理部10を収容する筐体20と、を備え、(認定事項1) 偏光プリズム9は互いに隣接する入射面9a並びに出射面9bと、入射面9aおよび出射面9bの双方に対向する入出射面9cとを有し、入射面9aと正対する位置にレーザダイオード1並びに平凸レンズ30を配置し、出射面9bと正対する位置に受光素子3並びに平凸レンズ32を配置するとともに、入出射面9cと正対する位置に4分の1波長板24を配置しており、(【0046】) 偏光プリズム9と、4分の1波長板24と、照射/集光レンズ7と、平凸レンズ30と、両凹レンズ31と、平凸レンズ32を備え、(認定事項2) レーザダイオード1と偏光プリズム9の間に平凸レンズ30を配置して偏光プリズム9に入射する照射光を平行光に変換し、偏光プリズム9を透過した照射光が4分の1波長板24を透過し、4分の1波長板24と照射/集光レンズ7の間に配置した両凹レンズ31により照射光を拡大するとともに、受光素子3と偏光プリズム9の間に平凸レンズ32を配置して偏光プリズム9を透過した反射光を受光素子3の受光面に集光する構成とし、(認定事項2) レーザダイオード1が発するレーザ光が直線偏光であり、平凸レンズ30で平行光に変換された後に偏光プリズム9の入射面9aから入射して入出射面9cから出射する照射光は、4分の1波長板24を通過する際に、偏光面が反時計回りに45度回転することになり、反射体2で反射する際には偏光面の回転は生じないが、反射光が4分の1波長板24を通過する際に、偏光面が反時計回りに45度回転し、その結果、偏光プリズム9の入出射面9cから出射した照射光の偏光面と、偏光プリズム9の入出射面9cに入射する反射光の偏光面との間には90度の角度差が生じるものであり、(【0047】) 偏光プリズム9は入射面9aから入射した照射光を屈折させずに入出射面9cから出射するが、入出射面9cから入射する反射光についてはその偏光面が照射光の偏光面に対して90度ずれているため、所定の角度だけ屈折させて出射面9bより出射させ、(【0048】) 照射/集光レンズ7は、両凹レンズ31によって拡大されて入射する照射光を略平行光とするとともに、反射体2で反射されてから入射する略平行光の反射光を集光するものである、(認定事項3) 距離測定装置A。」 (3) 引用文献2~5の記載事項及び周知技術の認定 ア 引用文献2、5に記載された事項及び周知技術1の認定 (ア) 引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開平9-127463号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。 a 【0001】、【0002】 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、光を双方向で伝達する光方向性結合器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】光の減反射光量測定装置やOTDR装置には、光方向性結合器が使用される。図3は、こうした従来から使用されてきた光方向性結合器の代表的な構成図である。」 b 【0021】~【0030】、【図1】 「【0021】(第1実施形態)図1は、本発明の光方向性結合器の第1実施形態の構成図である。図1に示すように、この装置は、(a)光ビームL1を発生する光源100と、(b)ルチルから成り、光ビームL1を入力し、互いに直交する偏光方向を有する光ビームL2と光ビームL3とに分離して出力する非線形光学素子210と、(c)光ビームL2と光ビームL3とを入力し、夫々の偏光方向を略45°回転して出力するファラデー回転子300と、(d)ルチルから成り、光学主軸が非線形光学素子210の光学主軸と略直交するとともに、ファラデー回転子300から出力された光ビームL2と光ビームL3とを入力し、合波して合波光L4を出力する非線形光学素子220と、(e)合波光L4の非線形光学素子220からの出力位置に、合波光L4の進行方向とは反対の方向から非線形光学素子220へ入力した光ビームL5が非線形光学素子220で分離されて出力された互いに直交する偏光方向を有する光ビームL6と光ビームL7とが、ファラデー回転子300で夫々の偏光方向が略45°回転された後、非線形光学素子210を介して出力された光ビームL6と光ビームL7とを検出する光検出部410とを備える。 【0022】光源100は、半導体レーザダイオード110と、半導体レーザダイオード110から出力された光を平行光化するレンズ系120とを備える。 【0023】光検出部410は、光ビームL6を検出する光検出器411と、光ビームL7を検出する光検出器412とを備える。 【0024】本実施形態の装置では、以下のようにして、光の双方向伝達を行う。 【0025】まず、光源100から出力された光の伝達を説明する。 【0026】光源100から出力された光ビームL1が非線形光学素子210で互いに偏光方向が直交し、進行方向が異なる常光と異常光である光ビームL2と光ビームL3とに分離されて出力される。光ビームL2と光ビームL3とはファラデー回転子300に入力し、夫々偏光方向が45°回転されて出力され、非線形光学素子220に入力する。ファラデー回転子300で偏光方向の回転が施されているので、非線形光学素子210で常光であった光ビームL2は非線形光学素子220にとっては異常光として入力し、また、非線形光学素子210で異常光であった光ビームL3は非線形光学素子220にとっては常光として入力する。この結果、非線形光学素子220で光ビームL2と光ビームL3とが合波されて合波光L4が出力される。そして、レンズ系610で集光されて、光ファイバ620へ入射する。 【0027】次に、光ファイバ620、レンズ系610を介して非線形光学素子220に入力した光の伝達について説明する。 【0028】光ビームL5は、非線形光学素子220で互いに偏光方向が直交し、進行方向が異なる常光と異常光である光ビームL6と光ビームL7とに分離されて出力される。光ビームL6と光ビームL7とはファラデー回転子300に入力し、夫々偏光方向が45°回転されて出力され、非線形光学素子210に入力する。ファラデー回転子300で偏光方向の回転が施されているので、非線形光学素子220で常光であった光ビームL6は非線形光学素子210にとっての常光として入力し、また、非線形光学素子220で異常光であった光ビームL7は非線形光学素子210にとっては異常光として入力する。この結果、非線形光学素子210の光ビームL1の入射位置とは異なる位置から光ビームL6と光ビームL7とが出力される。 【0029】非線形光学素子210への入射位置での光ビームL1の中心位置と非線形光学素子210からの出射位置での光ビームL6または光ビームL7の中心位置との距離は、50~300μmに設定されることが好ましい。 【0030】非線形光学素子210から出力された光ビームL6と光ビームL7とは、光検出部410で検出される。」 「【図1】 [図:0001432605000012.jpg] 」 (イ) 引用文献5に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である米国特許出願公開第2019/0086518号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。下線は合議体が付し、日本語訳は合議体において作成した。以下同様である。 a [0002] 「 BACKGROUND 1. Technical Field [0002] The present disclosure is related to LiDAR systems and methods and, in particular, to a scanning LiDAR system and method using synthetic Doppler processing and spatial filtering for reducing ambient light, which can be used in an automotive or other applications.」 (摘記事項aの日本語訳) 従来の技術 1.産業上の利用分野 [0002] 本開示は、LiDARシステム及び方法、より詳細には、周辺光、自動車又は他の用途において使用することができることを低減する合成ドップラー処理や空間フィルタを用いて走査型LiDARシステム及び方法に関連する。 b [0237]、FIG. 59 「[0237] FIG. 59 includes a schematic diagram illustrating a portion of a scanning LiDAR system 700 in which a coaxial configuration is implemented, according to some exemplary embodiments. System 700 differs from systems 600, 600A and 600B in that, in system 400(当合議体注:「system 700」の誤記であると認められる。), no beam splitting cube is included. Instead, laser light source 704 provides output light 723 in a vertical direction into region 706 through an optical element such as birefringent crystal 409 and lens 411. Returning light 725 passes through lens 411 and birefringent crystal 409 such that the returning light is shifted to pass through openings 708 in substrate 706 toward detectors 709 of detector array 706. Birefringent crystal 409 affects the two polarization directions of the light differently. One is laterally shifted, and the other is not shifted. Hence, birefringent crystal 409 acts as a polarizing beam splitter. Birefringent crystal 409 can be made of a material such as calcite, or other similar material.」 (摘記事項bの日本語訳) [0237] 図59は、いくつかの例示的な実施形態による、同軸構成が実装される走査型LiDARシステム700の一部を示す概略図を含む。システム700は、システム700にはビーム分割キューブが含まれていない点でシステム600、600A及び600Bと異なる。代わりに、レーザ光源704は、複屈折結晶409及びレンズ411などの光学素子を介して領域706内に垂直方向に出力光723を提供する。戻り光725は、レンズ411及び複屈折結晶409を通過し、その結果、戻り光は、検出器アレイ706の検出器709に向かって基板706の開口708を通過するようにシフトされる。複屈折結晶409は、光の2つの偏光方向に異なる影響を与える。一方は横方向にシフトされ、他方はシフトされない。したがって、複屈折結晶409は偏光ビームスプリッタとして作用する。複屈折結晶409は、方解石又は他の同様の材料などの材料から作製することができる。 「FIG. 59 [図:0001432605000013.jpg] 」 (ウ) 周知技術1の認定 前記(ア)に摘記した引用文献2の記載事項及び前記(イ)に摘記した引用文献5の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術(以下「周知技術1」という。)であったと認められる。 <周知技術1> 「複屈折光学素子を用いると、互いに直交する偏光方向を有する光のうち一方の偏光方向の入射光路から他方の偏光方向の反射光路をシフトさせて分離できること。」 イ 引用文献3、4に記載された事項及び周知技術2の認定 (ア) 引用文献3に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開平3-285192号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。 a 1ページ左下欄16行~右下欄2行 「 〔産業上の利用分野〕 本発明は、車載レーダ走査装置に関し、特に、車両に搭載されて他の車両や周囲の障害物等を発見・検知して位置情報を得たり、表示装置等へ警報出力を発したりして衝突防止等の安全な走行を行うためのレーダ測距装置用の走査装置(スキャナ)に関するものである。」 b 3ページ左上欄14行~右上欄15行、第1図 「 〔実 施 例〕 第1図は、本発明による車載レーダ走査装置をレーザ光によるレーザ測距装置(レーザレーダ)の走査装置として使用した場合の一実施例を示しており、1は固定台、2は固定台1上の凹部1aに挿入されて直線移動する移動台、3は移動台2上に設けられた円筒状の凹部2aに挿入されて回転移動する円筒状の回転台、4は回転台3の上部に固定されレーザ光の送光及び目標物体により反射されたレーザ光の受光を行うレーダヘッド、5aは固定台1の凹部1a内に或る一定の間隔で配列された電磁石、5bは回転台3の外周や底面に或る一定の間隔で配列された電磁石、6aは移動台2の外周や底面に或る一定の間隔で配列された永久磁石、6bは移動台2の円筒状の凹部2a内に或る一定の間隔で配列された永久磁石、7は電磁石5a及び5bのそれぞれの極性を制御する電磁石制御回路、8は送光用光ファイバ4aを介してレーザ光をレーダヘッダ4に送ると共に受光用光ファイバ、4bからレーザ光を受けるレーダ駆動回路であり、電磁石制御回路と共に制御回路を構成している。」 「第1図 [図:0001432605000014.jpg] 」 c 3ページ左下欄3~13行、第3図 「 尚、第1図の実施例では、レーダヘッド4は第3図(1)の平面断面図に示されるように、送光用光ファイバ4aと受光用光ファイバ4bの先端部分、集光レンズ43a、43b、ハニカムレンズ44及びフィルタ45とで構成されており、同図(2)の側面断面図に示される様に、回転台3とは一体になって樹脂成形されている。集光レンズ43aは送光用光ファイバ4aからの出射光を集光させ、また、ハニカムレンズ44は横からの不要な外光をカットしてから集光レンズ43bで集光して受光用光ファイバ4bの先端に入射させている。」 「第3図 [図:0001432605000015.jpg] 」 (イ) 引用文献4に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である独国特許出願公開第102017213465号明細書(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。下線は合議体が付し、括弧内に示す日本語訳は合議体において作成した。以下同様である。 なお、ドイツ語のウムラウトが付いたa、o、uとエスツェットは、それぞれae、oe、ue、ssと表記した。 a [0001] 「[0001] Die vorliegende Erfindung betrifft ein LiDAR-System.」 (本発明はLiDARシステムに関するものである。) b [0028]~[0032]、FIG. 1 「[0028] FIG. 1 zeigt eine Darstellung eines Fahrzeuges 100, in welchem ein beispielhaftes erfindungsgemaesses LiDAR-System 1 angeordnet ist. Das LiDAR-System 1 umfasst eine Strahlquelle 2, einen Detektor 3, ein Lichtleiterbuendel 4 und einen Sensorkopf 7. (図1は、例示的な本発明のLiDARシステム1が配置された車両100の図である。LiDARシステム1は、ビーム源2、検出器3、光ファイバ束4、及びセンサヘッド7を含む。) 「[0029] Die Strahlquelle 2 ist dazu eingerichtet, einen Scanstrahl 20 zu erzeugen. Die Strahlquelle 2 ist ein Lasersystem. So umfasst die Strahlquelle 2 insbesondere eine Laserdiode zum erzeugen des Scanstrahls 20」 (ビーム源2は、走査ビーム20を生成するように構成されている。ビーム源2は、レーザ・システムである。したがって、ビーム源2は、特に、走査ビーム20を生成するためのレーザダイオードを含む。) 「[0030] Der Detektor 3 ist dazu eingerichtet, eine Reflektion des Scanstrahls 20 zu detektieren, welche zu dem LiDAR-System 1 zurueckgeworfen wird, wenn der Scanstrahl 20 in einer Umgebung des LiDAR-Systems 1 reflektiert wurde. Der Detektor 3 umfasst dazu ein fotoaktives Bauelement, insbesondere eine Fotodiode. Alternativ ist der Detektor 3 ein Detektorarray, welcher mehrere fotoaktive Bauelemente umfasst.」 (検出器3は、LiDARシステム1の近傍で走査ビーム20が反射されたときにLiDARシステム1に反射された走査ビーム20の反射を検出するように構成されている。この目的のために、検出器3は、光活性素子、特に光ダイオードを含む光活性素子を含む。代替的に、検出器3は、複数の光活性素子を含む検出器アレイである。) 「[0031] Das Lichtleiterbuendel 4 ist ein Glasfaserbuendel 4, welches eine Y-Form aufweist. Das bedeutet, dass die Lichtleiter 5, 6 an einem Ende des Glasfaserbuendels 4 gebuendelt sind und an einem anderen Ende des Glasfaserbuendels 4 voneinander getrennt sind. Das Glasfaserbuendel 4 umfasst zumindest einen ersten Lichtleiter 5 und einen zweiten Lichtleiter 6. Das Lichtleiterbuendel 4 umfasst somit zumindest zwei einzelne Lichtleiter 5, 6. Diese einzelnen Lichtleiter sind gebuendelt, wobei die Buendelung lediglich auf einer dem Sensorkopf 7 zugehoerigen Seite des ersten Lichtleiters 5 und des zweiten Lichtleiters 6 vorliegt. Der erste Lichtleiter 5 und der zweite Lichtleiter 6 sind somit im Bereich des Fusses des Y-foermigen Lichtleiterbuendels 4 gebuendelt.」 (光ファイバ束4は、Y字状のガラス繊維束4である。すなわち、光ファイバ束4の一端に光ファイバ5,6が集束され、光ファイバ束4の他端に光ファイバが分離されている。ガラス繊維束4は、少なくとも一つの第1の光導波路5と、第2の光導波路6とを有しており、したがって、光導波路束4は、少なくとも二つの個別の光導波路5,6を有しており、この個々の光導波路は、集束されており、この場合、集束は、センサヘッド7に関連付けられた第1の光導波路5及び第2の光導波路6の側にのみ存在する。したがって、第1の光導波路5と第2の光導波路6とは、Y字状の光導波路束4の基部の領域に集束される。) 「[0032] Der erste Lichtleiter 5 ist an einem ersten Ende des ersten Lichtleiters 5 mit der Strahlquelle 2 gekoppelt. Der zweite Lichtleiter 6 ist an einem ersten Ende des zweiten Lichtleiters 6 mit dem Detektor 3 gekoppelt. Ein zweites Ende des ersten Lichtleiters 5 und ein zweites Ende des zweiten Lichtleiters 6 sind auf Seiten des Sensorkopfes 7 gebuendelt. Der erste Lichtleiter 5 und der zweite Lichtleiter 6 sind Glasfasern. Es sei jedoch darauf verwiesen, dass die Lichtleiter ebenfalls als Kunststoffelemente gefertigt sein koennen. Auch andere lichtleitende Materialien koennen zur Ausfuehrung der Lichtleiter 5, 6 vorteilhaft sein.」 (第1の光導波路5は、第1の光導波路5の第1の端部で、ビーム源2に結合されている。第2の光導波路6は、第2の光導波路6の第1の端部で検出器3に結合されている。第1の光導波路5の第2の端部と第2の光導波路6の第2の端部とは、センサヘッド7の側部に集束されている。第1光導波路5及び第2光導波路6は、ガラス繊維である。しかしながら、光導波路はプラスチック素子として製造されていてもよいことを指摘しておく。光導波路5,6を形成するために、他の光伝導性材料も有利であり得る。) 「FIG. 1 [図:0001432605000016.jpg] 」 c [0033]、[0034]、Fig. 2、Fig. 3 「[0033] In dem Sensorkopf 7 werden das zweite Ende des ersten Lichtleiters 5 und das zweite Ende des Lichtleiters 6 zusammengefuehrt. Dies ist beispielhaft in den Fig. 2 und Fig. 3 dargestellt. Dabei umfassen die in Fig. 2 und Fig. 3 dargestellten Lichtleiterbuendel 4 mehrere zweite Lichtleiter 6, die an ihrem ersten Ende mit dem Detektor 3 gekoppelt sind und die an ihrem zweiten Ende an dem Sensorkopf 7 mit dem zweiten Ende des ersten Lichtleiters 5 zusammengefuehrt sind. Dies bedeutet mit anderen Worten, dass die Strahlquelle 2 mit einem Lichtleiter, naemlich dem ersten Lichtleiter 5 mit dem Sensorkopf 7 gekoppelt ist. Der Detektor 3 ist ueber eine Vielzahl von Lichtleitern, hier den zweiten Lichtleitern 6, mit dem Sensorkopf 7 gekoppelt. So kann jeder der Lichtleiter, welcher den Detektor 3 mit dem Sensorkopf 7 verbindet, als der zweite Lichtleiter 6 angesehen werden. In Fig. 2 und Fig. 3 ist eine Draufsicht auf ein Ende des Lichtleiterbuendels 4 dargestellt. Im Zentrum des Lichtleiterbuendels 4 ist der erste Lichtleiter 5 angeordnet. Die zweiten Lichtleiter 6 sind um das gezeigte zweite Ende des ersten Lichtleiters 5 herum angeordnet. Dabei sind in Fig. 2 und Fig. 3 unterschiedliche Anordnungsmoeglichkeiten der Lichtleiter 5, 6 dargestellt.」 (センサヘッド7では、第1の光導波路5の第2の端部と光導波路6の第2の端部とがまとめられており、このことは例として図2及び図3に示されている。図2及び図3に示される光ファイバ束4は、複数の第2の光導波路6を備え、第1の端部は検出器3に結合され、第2の端部は第1の光導波路5の第2の端部を介してセンサヘッド7に結合されている。換言すれば、ビーム源2は、光導波路、すなわち第1の光導波路5を介してセンサヘッド7に結合されている。検出器3は、複数の光導波路(ここでは第2の光導波路6)を介してセンサヘッド7に結合されている。したがって、検出器3をセンサヘッド7に接続する光導波路の各々は、第2の光導波路6とみなすことができる。図2及び図3には、光ファイバ束4の端部の平面図が示されている。光ファイバ束4の中心には、第1の光導波路5が配置されている。第2の光導波路6は、第1の光導波路5の図示された第2の端部の周りに配置されている。ここで、図2及び図3には、光導波路5,6の異なる配置可能性が示されている。) 「[0034] So ist in Fig. 2 eine Anordnung des ersten Lichtleiters 5 und der zweiten Lichtleiter 6 gewaehlt, in der jeweilige Querschnittsmittelpunkte der einzelnen Lichtleiter 5, 6 auf einer quadratischen Rasterung angeordnet sind. Bei der in Fig. 3 gezeigten vorteilhaften Anordnung der Lichtleiter 5, 6 sind die zweiten Lichtleiter 6 mit ihren Querschnittsmittelpunkten auf einer Kreisbahn um den ersten Lichtleiter 5 herum angeordnet. Dies ermoeglicht eine besonders kompakte Anordnung der einzelnen Lichtleiter 5, 6. In Fig. 2 und Fig. 3 ist das jeweils zweite Ende des ersten Lichtleiters 5 und der zweiten Lichtleiter 6 dargestellt. Dabei ist eine Stirnseite des Lichtleiterbuendels 4 abgebildet. Die Achsen aller Lichtleiter 5, 6 stehen in diesen Bereich des Lichtleiterbuendels 4 senkrecht auf der dargestellten Ebene. Somit sind die Achsen des ersten Lichtleiters 5 und der zweiten Lichtleiter 6 koaxial zueinander angeordnet.」 (したがって、図2では、個々の光導波路5,6のそれぞれの横断面中心が正方形の格子状に配置されている、第1の光導波路5と第2の光導波路6との配置が選択されている。図3に示された光導波路5,6の有利な構成では、第2の光導波路6の横断面が、第1の光導波路5の周囲の円形軌道の中心点に配置されている。図2及び図3には、それぞれ第1の光導波路5の第2の端部及び第2の光導波路6の第5,6の端部が示されている。この場合、光導体束4の端面が図示されている。光導波路5,6の軸線は、光導波路束4のこの領域では、図示の平面に対して垂直に位置している。したがって、第1の光導波路5と第2の光導波路6の軸線は互いに同軸に配置されている。) 「Fig. 2 [図:0001432605000017.jpg] 」 「Fig. 3 [図:0001432605000018.jpg] 」 (ウ) 周知技術2の認定 前記(ア)に摘記した引用文献3の記載事項及び前記(イ)に摘記した引用文献4の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術2」という。) <周知技術2> 「LIDARシステムにおいて、照射光路の一部を照射光用光導波管によって形成し、反射光路の一部を反射光用光導波管によって形成すること。」 (4) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 構成Xの観点(光検出及び測距(LIDAR)システム) 引用発明は、「レーザダイオード1からレーザ光が照射された時点と受光素子3により反射光が受光された時点との時間差に基づいて測定対象物Dまでの距離を演算する演算処理部10」を備えた「距離測定装置」であるところ、レーザ光を照射して、その反射光の情報をもとに対象物までの距離を計測するものであるから、光検出及び測距(Light Detection and Ranging)を行う、いわゆるLIDARシステムの発明である。 したがって、「光検出及び測距(LIDAR)システム」の発明である本件補正発明と「距離測定装置」の発明である引用発明は、「光検出及び測距(LIDAR)システム」の発明である点において一致する。 (イ) 構成A1及びA2に関する観点(レーザーソースについて) a 本件補正発明は、構成A1として「レーザーソース」を備え、構成A2として「前記レーザーソースはビームを生成するように構成され[る]」ものである。 b 引用発明における「レーザダイオード1」は、「測定対象物Dに向けてレーザ光を照射する」ものであるから、本件補正発明の「レーザーソース」に相当し、「レーザ光」(「ビーム」に相当する)を生成するように構成されるものである。 c したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。 「レーザーソース」を備え、「前記レーザーソースはビームを生成するように構成される」ものである点。 (ウ) 構成B1及びB2に関する観点(トランシーバーについて) a(a) 本件補正発明は、構成B1として「トランシーバー」を備え、構成B2として「前記トランシーバーは、前記ビームに基づいて送信信号を生成し、前記送信信号を送信導波管を通して送信し、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信導波管を通して受信するように構成され[る]」ものである。 (b) 本願の明細書の段落【0004】及び【0005】には、トランシーバーについて次の記載がある。 「 【0004】 第1セットの実施例において、装置は、トランシーバーおよび自由空間光学機器を含む。トランシーバーは、送信経路に沿ってレーザーソースから第1信号を送信し、ターゲットによって反射した第2信号を受信するように構成され得る。(後略)」 「 【0005】 第2セットの実施例において、装置は、トランシーバーおよび自由空間光学機器を含む。トランシーバーは、送信モードでレーザーソースから第1信号を送信し、受信モードでターゲットによって反射した第2信号を受信するように構成され得る。(後略)」 (c) これらの記載を総合すると、本件補正発明における「トランシーバー」とは、レーザーソースが生成するビームに基づいて送信信号を生成し、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信する機能を有する送受信光学系を含む構成であると解するのが相当である。 b(a) 引用発明は、「レーザダイオード1と偏光プリズム9の間に平凸レンズ30を配置して偏光プリズム9に入射する照射光を平行光に変換[する]」ものであるから、引用発明における「平凸レンズ30」は、「レーザダイオード1」(「レーザーソース」に相当する)が生成するビームに基づいて照射光(送信信号に相当する)を生成する機能を有する送信光学系である。 (b) 引用発明は、「反射体2で反射された反射光を受光する受光素子(フォトダイオード)3」を備え、「受光素子3と偏光プリズム9の間に平凸レンズ32を配置して偏光プリズム9を透過した反射光を受光素子3の受光面に集光する」ものであるから、引用発明における「平凸レンズ32」は、「反射体2」(「オブジェクト」に相当する)によって反射された反射光(リターン信号に相当する)を受信する機能を有する受信光学系である。 c 前記a及びbを踏まえると、引用発明における「平凸レンズ30」及び「平凸レンズ32」は、それぞれ「レーザダイオード1」及び「受光素子3」に対応する送信光学系及び受信光学系であり、引用発明は、レーザーソースが生成するビームに基づいて送信信号を生成し、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信する機能を有する送受信光学系を含む構成を備えるので、本件補正発明における「トランシーバー」に相当する構成を備えているといえる。 d 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成B1及びB2の観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。 (a) 構成B1及びB2に関する観点における一致点 「トランシーバー」を備え、「前記トランシーバーは、前記ビームに基づいて送信信号を生成し、前記送信信号を送信し、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信するように構成され[る]」ものである点。 (b) 構成B1及びB2に関する観点における相違点 本件補正発明においては、 「送信信号を送信導波管を通して送信し」、「リターン信号を受信導波管を通して受信する」のに対し、 引用発明においては、 トランシーバーに相当する構成を備えるとしても、当該構成が送信導波管及び受信導波管に相当する構成を有していない点。 (エ) 構成C1及びC2に関する観点(1つ以上の光学機器について) a 本件補正発明は、構成C1として「1つ以上の光学機器」を備え、構成C2として「1つ以上の前記光学機器は、前記トランシーバーの外部にあり、前記送信信号又は前記リターン信号の一方の信号を変位させることにより、前記送信信号と前記リターン信号の間の距離を光学的に変化させるように構成され、前記変位前の一方の前記信号及び前記変位後の一方の前記信号は、互いに平行であ[る]」ものである。 b 引用発明における「偏光プリズム9」は、光学機器であるので、本件補正発明における「1つ以上の光学機器」に相当する。 c 引用発明における「偏光プリズム9」は、「入射面9aと正対する位置にレーザダイオード1並びに平凸レンズ30を配置し、出射面9bと正対する位置に受光素子3並びに平凸レンズ32を配置する」ものであるから、「平凸レンズ30」及び「平凸レンズ32」(「トランシーバー」に相当する)の外部にあるものである。 d(a) 引用発明における「偏光プリズム9」は、「入射面9aから入射した照射光を屈折させずに入出射面9cから出射するが、入出射面9cから入射する反射光についてはその偏光面が照射光の偏光面に対して90度ずれているため、所定の角度だけ屈折させて出射面9bより出射させ[る]」ものである。 (b) 前記(a)を踏まえると、引用発明における「偏光プリズム9」は、「入射面9aから入射した照射光」(「送信信号」に相当する)又は「入出射面9cから入射する反射光」(「リターン信号」に相当する)の一方の信号(この場合は「入出射面9cから入射する反射光」)を変位させることにより、「入射面9aから入射した照射光」と「入出射面9cから入射する反射光」の間の距離を光学的に変化させるように構成されているといえる。 (c) そして、引用発明における「偏光プリズム9」は、「入出射面9cから入射する反射光については」「所定の角度だけ屈折させて出射面9bより出射させ[る]」ものであるから、変位前の「入出射面9cから入射する反射光」と変位後の「入出射面9cから入射する反射光」は、互いに平行ではないといえる。 e 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成C1及びC2に関する観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。 (a) 構成C1及びC2に関する観点における一致点 「1つ以上の光学機器」を備え、「1つ以上の前記光学機器は、前記トランシーバーの外部にあり、前記送信信号又は前記リターン信号の一方の信号を変位させることにより、前記送信信号と前記リターン信号の間の距離を光学的に変化させるように構成され[る]」ものである点。 (b) 構成C1及びC2に関する観点における相違点 本件補正発明においては、 「前記変位前の一方の前記信号及び前記変位後の一方の前記信号は、互いに平行であ[る]」のに対し、 引用発明においては、 変位前の「入出射面9cから入射する反射光」と変位後の「入出射面9cから入射する反射光」は、互いに平行ではない点。 (オ) 構成D1及びD2に関する観点(第1光学機器について) a 本件補正発明は、構成D1として「第1光学機器」を備え、構成D2として「前記第1光学機器は、前記送信導波管から送信された前記送信信号のファンをコリメートし、前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号のファンを集光するように構成される」ものである。 b 引用発明における「照射/集光レンズ7」は、本件補正発明における「第1光学機器」に相当する。 c(a) 引用発明における「照射/集光レンズ7」は、「両凹レンズ31によって拡大されて入射する照射光を略平行光とする」ものであるところ、引用発明において、「両凹レンズ31によって拡大されて入射する照射光を略平行光とする」ことは、本件補正発明において、「送信信号のファンをコリメート[する]」ことに相当する。 (b) 引用発明は、「レーザダイオード1と偏光プリズム9の間に平凸レンズ30を配置して偏光プリズム9に入射する照射光を平行光に変換し、偏光プリズム9を透過した照射光が4分の1波長板24を透過し、4分の1波長板24と照射/集光レンズ7の間に配置した両凹レンズ31により照射光を拡大する」ものであるところ、引用発明において「両凹レンズ31によって拡大されて入射する照射光」は、「平凸レンズ30」(「トランシーバー」に相当する)から送信されたものである。 (c) そうすると、本件補正発明における「第1光学機器」と、引用発明における「照射/集光レンズ7」は、「トランシーバーから送信された送信信号のファンをコリメート[する]」「ように構成される」点において共通する。 d(a) 引用発明における「照射/集光レンズ7」は、「反射体2で反射されてから入射する略平行光の反射光を集光する」ものでもある。 (b) 引用発明における「反射光」は、「反射体2で反射されてから入射する」ものであるから、本件補正発明における「前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号」に相当する。 (c) 引用発明における「照射/集光レンズ7」は、略平行光の反射光を集光するものであるから、反射光の略平行光の光束を集光するものであるといえる。 (d) 前記(a)~(c)をまとめると、本件補正発明における「第1光学機器」と、引用発明における「照射/集光レンズ7」は、「前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号を集光するように構成される点において共通する。 e 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、構成D1及びD2に関する観点に関し、次の(a)に示す一致点において一致し、「送信信号」が「送信導波管を通して送信」される点は措くとして、後記(b)において示す一応の相違点において一応相違する。 (a) 構成D1及びD2に関する観点における一致点 「第1光学機器」を備え、「前記第1光学機器は、前記トランシーバーから送信された前記送信信号のファンをコリメートし、前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号を集光するように構成される」点。 (b) 構成D1及びD2に関する観点における一応の相違点 本件補正発明においては、 「前記第1光学機器」は、「前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号のファンを集光するように構成される」ものであるのに対し、 引用発明においては、 「照射/集光レンズ7」(「第1光学機器」に相当する)が、「反射体2で反射されてから入射する反射光」(「前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号」に相当する)の略平行光の光束を集光するように構成される点。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次の(ア)及び(イ)に示すとおりである。 (ア) 一致点 「 光検出及び測距(LIDAR)システムにおいて、 レーザーソースと、トランシーバーと、1つ以上の光学機器と、第1光学機器とを備え、 前記レーザーソースは、ビームを生成するように構成され、 前記トランシーバーは、前記ビームに基づいて送信信号を生成し、前記送信信号を送信し、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信するように構成され、 1つ以上の前記光学機器は、 前記トランシーバーの外部にあり、 前記送信信号又は前記リターン信号の一方の信号を変位させることにより、前記送信信号と前記リターン信号の間の距離を光学的に変化させるように構成され、 前記第1光学機器は、前記トランシーバーから送信された前記送信信号のファンをコリメートし、前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号を集光するように構成される、 LIDARシステム」である点。 (イ) 相違点 a 相違点1 本件補正発明においては、 「送信信号を送信導波管を通して送信し」、「リターン信号を受信導波管を通して受信する」のに対し、 引用発明においては、 トランシーバーに相当する構成を備えるとしても、当該構成が送信導波管及び受信導波管に相当する構成を有していない点。 b 相違点2 本件補正発明においては、 「前記変位前の一方の前記信号及び前記変位後の一方の前記信号は、互いに平行であ[る]」のに対し、 引用発明においては、 変位前の「入出射面9cから入射する反射光」と変位後の「入出射面9cから入射する反射光」は、互いに平行ではない点。 c 相違点3(一応の相違点) 本件補正発明においては、 「前記第1光学機器」は、「前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号のファンを集光するように構成される」ものであるのに対し、 引用発明においては、 「照射/集光レンズ7」(「第1光学機器」に相当する)が、「反射体2で反射されてから入射する反射光」(「前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号」に相当する)の略平行光の光束を集光するように構成される点。 (5) 判断 ア 相違点1について (ア) 引用発明は、「レーザダイオード1と偏光プリズム9の間に平凸レンズ30を配置して偏光プリズム9に入射する照射光を平行光に変換[する]」ものであるから、引用発明は、一端がレーザダイオード1に結合され他端が「偏光プリズム9」に結合された照射光路を有するものである。 また、引用発明は、「反射体2で反射された反射光を受光する受光素子(フォトダイオード)3」を備え、「受光素子3と偏光プリズム9の間に平凸レンズ32を配置して偏光プリズム9を透過した反射光を受光素子3の受光面に集光する」ものであるから、一端が「受光素子3」に結合され他端が「偏光プリズム9」に結合された反射光路を有するものである。 (イ) ここで、「LIDARシステムにおいて、照射光路の一部を照射光用光導波管によって形成し、反射光路の一部を反射光用光導波管によって形成すること」は周知の技術である(前記「周知技術2」を参照)。 (ウ) そうすると、引用発明において、前記周知技術2を採用し、前記(ア)において示した照射光路の一部及び反射光路の一部を、それぞれ照射光用光導波管及び反射光用光導波管によって形成するようにすることは、当業者が容易になし得たことである。 (エ) これにより、照射光(送信信号に相当する)は、照射光用光導波管(送信導波管に相当する)を通じて送信されることになり、反射光(リターン信号に相当する)を反射光用光導波管(受信導波管に相当する)を通じて受信することになるから、前記相違点1に係る本件補正発明の構成が得られることになる。 イ 相違点2について (ア)a 引用発明は、「偏光プリズム9の入出射面9cから出射した照射光の偏光面と、偏光プリズム9の入出射面9cに入射する反射光の偏光面との間には90度の角度差が生じるものであり、」、「偏光プリズム9は入射面9aから入射した照射光を屈折させずに入出射面9cから出射するが、入出射面9cから入射する反射光についてはその偏光面が照射光の偏光面に対して90度ずれているため、所定の角度だけ屈折させて出射面9bより出射させ[る]」ものである。 b ここで、引用発明において「レーザダイオード1が発するレーザ光が直線偏光であ[る]」ことも踏まえると、引用発明において、「入射面9aから入射した照射光」と「入出射面9cから入射する反射光」は、互いに直交する偏光方向を有する光である。 c そして、引用発明における「偏光プリズム9」は、「入射面9aから入射した照射光」が「偏光プリズム9」に入射するまでの入射光路と、「入出射面9cから入射する反射光」が「偏光プリズム9」から出射した後の出射光路を分離する機能を有するものである。 d そうすると、引用発明は、「偏光プリズム9」を用いて、「偏光プリズム9」に入射する照射光から、「偏光プリズム9」から出射する反射光を分離するものであると認められる。 (イ) ここで、「複屈折光学素子を用いると、互いに直交する偏光方向を有する光のうち一方の偏光方向の入射光路から他方の偏光方向の反射光路をシフトさせて分離できること」は、周知の技術である(前記「周知技術1参照」)。 (ウ) そうすると、引用発明において、前記(ア)において示した機能を実現するにあたり、「偏光プリズム9」に代えて、前記(イ)において示した周知技術1の複屈折光学素子を採用することにより、「複屈折光学素子」に入射する照射光から、「複屈折光学素子」から出射する反射光を分離するように構成することは、当業者が容易になし得たことである。 (エ) その際、複屈折光学素子によって反射光路をどのようにシフトさせるかは、光学系の配置などを考慮して当業者が適宜選択する事項であり、変位前の反射光と変位後の反射光が互いに平行となるようにシフトするようにすることは、当業者にとって設計的事項である。 ウ 相違点3について (ア) 「リターン信号のファン」について 本件補正発明においては、「前記第1光学機器」は、「前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号のファンを集光するように構成される」ものであるとされているところ、「前記リターン信号のファンを集光する」との構成について検討する。 a 明細書の記載を踏まえた検討 (a) 本願の明細書の段落【0107】及び【0108】には、ファンに関して次の記載がある。下線は当合議体が付したものである。 「 【0107】 …(中略)…さらに、一実施例において、図2nは、バイスタティックトランシーバー215'の1つ以上の送信導波管223'が発散する送信ビーム205a'、205b'のファンを送信し、その後、これらのビームのファンは、コリメート光学機器229および/またはスキャニング光学機器218によってコリメートされた送信されたビーム205a''、205b''のファンにコリメートされることを示す。…(中略)…同様に、コリメート光学機器229は、それぞれのコリメートされた送信されたビーム205a''、205b''と大きく重なるコリメートされたリターンビーム(図示せず)のファンを受信する。例示的な実施例において、コリメートされた送信されたビーム205a''、205b''とコリメートされたリターンビームのファンの間の角度間隔は、約0.02度ないし約0.05度および/または約0.01度ないし約0.10度程度である。一実施例において、コリメート光学機器229は、コリメートされたリターンビームのファンを図2nの1/4波長板211で収束リターンビームにフォーカシングする。(後略)」 「 【0108】 …(中略)…図2nの実施例のように、コリメートされたリターンビーム291a''、291b''のファンは、コリメートされた送信されたビームのファンと大きく重なる。(後略)」 (b) 前記(a)において摘記した記載においては、「コリメート光学機器229および/またはスキャニング光学機器218によってコリメートされた送信されたビーム205a''」や「コリメートされたリターンビーム291a''、291b''」についても「ファン」と表現されている。 b 図面の記載を踏まえた検討 また、本願の図2nは次に示すとおりであるところ、図2nにおいては、「コリメート光学機器218,229」にコリメートされた後の「ビーム205''」(送信ビーム)は、互いに略平行である2本の点線で表現されており、「コリメート光学機器218,229」にコリメートされる前の「ビーム291a''」(リターンビーム)は、互いに略平行である2本の一点鎖線で表現されている。 ここで、LIDAR分野の技術常識も考慮すると、本願の図2nにおける「ビーム205''」(送信ビーム)及び「ビーム291a''」(リターンビーム)は、いずれも扇形状の光束ではなく、略平行光の光束であると解釈するのが自然である。 「【図2n】 [図:0001432605000019.jpg] 」 c 「ファン」の解釈 前記a及びbを総合すると、本件補正発明における「ファン」という語句は、その光束の形状が扇状か否かを問わず、単に「光束」という程度の意味で用いられていると解するのが相当である。 (イ) 前記(ア)の検討結果を踏まえると、前記相違点3に係る構成について、本件補正発明と引用発明は、いずれも、「前記第1光学機器は、前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号の光束を集光するように構成されるものである」という点において一致する。 したがって、前記相違点3は実質的な相違点ではない。 エ 総合評価 前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点1及び2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び周知技術1、2に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 また、前記ウにおいて検討したとおり、前記相違点3は実質的な相違点ではない。 そして、相違点1~3を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 オ 請求人の主張について (ア) 請求人の主張内容 a 請求人は審判請求書において、概略次の主張をしている。 本件補正後の請求項1は、「前記第1光学機器は、前記送信導波管から送信された前記送信信号のファンをコリメートし、前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号のファンを集光するように構成される」事項を発明特定事項として規定している。 この発明特定事項については、いずれの引用文献においても記載も示唆もされていない。 また、当業者が、引用文献1~4のいずれかに記載の発明を、上記発明特定事項を満たすように変形したはずであるという示唆等は、いずれの引用文献にも存在しないため、当業者がそのような変形を行う動機付けは存在しない。 b また、請求人は令和6年11月21日に提出された上申書において、概略次の(a)及び(b)の主張をしている。 (a) 本件補正前の請求項1及び本件補正後の請求項1は、「前記送信信号又は前記リターン信号の一方の信号を変位させることにより、前記送信信号と前記リターン信号の間の距離を光学的に変化させるように構成され、前記変位前の一方の前記信号及び前記変位後の一方の前記信号は、互いに平行である」事項(以下、「発明特定事項1」とする)を規定している。 この発明特定事項1は、拒絶査定で引用されている引用文献1~4のいずれにおいても、記載も示唆もされていない。 (b) 本件補正後の請求項1は、「LIDARシステムは、前記送信信号又は前記リターン信号の一方の信号を変位させることにより、前記送信信号と前記リターン信号の間の距離を光学的に変化させるように構成される第1光学機器(合議体注:「1つ以上の光学機器」の誤記と認められる。)を備え、前記第1光学機器は、前記送信導波管から送信された前記送信信号のファンをコリメートし、前記オブジェクトによって反射された前記リターン信号のファンを集光するように構成される」事項(以下、「発明特定事項2」とする)を規定している。 審査官は拒絶理由通知及び拒絶査定において、引用文献1に記載の発明に対して引用文献2に記載の事項を組み合わせることによって、引用文献1の図9に記載の構成において、反射光の光ビームの中央部分のみを変位できると主張している。 しかしながら、たとえ引用文献1の図9に示されたシステムに対して引用文献2の図1に示された光学素子210、300、220と組み合わされて、引用文献1の図9における反射光の光ビームの中央部分のみがシフトできるとしても、そのように組み合わされたシステムは、発明特定事項2を満たさない。 (イ) 請求人の主張についての検討 前記(ア)において示した請求人の主張は、前記相違点1~3についての主張であると認められるところ、前記相違点1~3については前記ア~エにおいて検討したとおりである。 したがって、請求人の上記主張はいずれも採用できない。 カ 独立特許要件の判断のまとめ 以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。 4 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記2(3)のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないから、不適法な補正である。 また、前記3(5)カのとおり、本件補正は、同条第6項において準用する同法126条7項の規定に違反する。 したがって、本件補正は、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に対する拒絶の理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由1(進歩性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開2005-156330号公報(主たる引用文献) 引用文献2.特開平9-127463号公報 引用文献3.特開平3-285192号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4.独国特許出願公開第102017213465号明細書(周知技術を示す文献) 3 引用発明の認定等 引用発明及び周知技術1、2は、前記第2の3(2)ウ及び(3)ア(ウ)、イ(ウ)において認定したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の2(1)アにおいて検討したとおり、本件補正発明から「第1光学機器」に係る発明特定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成を全て含み、その構成に「第1光学機器」に係る発明特定事項を追加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(5)において説示したとおり、引用発明及び周知技術1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により引用発明及び周知技術1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-010243

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