2025-001467
精算システム、ホスト端末、精算方法、プログラム及び車両
- 審判番号
- 2025-001467
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-205016外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2025年01月31日
- 審決日
- 2026年02月26日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成29年5月26日に出願した特願2017-104363号の一部を、令和2年1月9日に新たな特許出願(特願2020-1830号)とし、その一部を、令和3年5月19日に新たな特許出願(特願2021-84470号)とし、その一部を、令和4年8月30日に新たな特許出願(特願2022-136515号)とし、さらに、その一部を、令和5年12月5日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和5年12月28日 手続補正書の提出
令和6年 4月22日 手続補正書の提出
令和6年 6月28日 拒絶理由通知書(起案日)
令和6年 8月27日 意見書・手続補正書の提出
令和6年10月25日 拒絶査定(起案日)
令和7年 1月31日 審判請求書・手続補正書の提出
令和7年 8月25日 拒絶理由通知書(起案日)
令和7年10月17日 意見書・手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~6に係る発明は、令和7年10月17日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】タブレット端末からなり、ユーザによって操作されることで、乗車したユーザのクレジットカードに関する情報以外のユーザ情報を取得する管理端末と、運送サービスに対する運賃を測定する運賃測定手段と、を備え、ユーザが配車予約を実施した際に取得した情報を利用して確定した運賃の精算を実施するのではなく、運賃測定手段によって測定された運賃が確定した後で、確定した運賃をユーザ情報に紐づけることで確定した運賃の精算を可能とする、精算システム。」
第3 令和7年8月25日付け拒絶理由通知の概要
令和7年8月25日付け拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)の理由は、概略、次のとおりのものである。
「1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。記(引用文献等については下記引用文献一覧参照)●理由1(進歩性)について・請求項1~6・引用文献等 1引 用 文 献 等 一 覧1.特開2007-219785号公報2.特許第5785377号公報」
なお、引用文献等一覧の引用文献2は、周知技術を示す文献である。
第4 引用文献の記載、引用発明について
1 引用文献1について
(1)引用文献1に記載されている事項
当審拒絶理由通知で引用した引用文献1(特開2007-219785号公報、本願の最初の原出願の出願前である平成19年8月30日出願公開)には、次の事項が記載されている。
「【背景技術】【0002】従来、タクシーを利用した際の支払い手段は、現金、クレジットカード、デビットカード、タクシーチケット、タクシークーポン、タクシー専用カード等であり、タクシー降車時にタクシー料金が確定した段階で支払いを行っている。【0003】特に、クレジットカード決済、デビットカード決済、タクシー専用カード等のカード決済では、提示されたカードと、タクシー車両に搭載された決済端末またはカードリーダを用いて、タクシー降車時のタクシー料金が確定した段階で、カード与信を行い、カード決済を行っている。なお、本人確認として、暗証番号や利用明細へのサイン等を行っている場合がある。タクシー配車を容易にする技術として、次の特許文献1に開示された技術がある。」
「【発明が解決しようとする課題】【0005】しかしながら、クレジットカード等のカード決済を行う場合は、タクシー降車時のタクシー料金が確定した段階でカードをタクシー乗務員へ提示し、タクシー乗務員が車両に搭載された決済端末を操作し、無線通信網等を介してカード会社に対してカード与信を行うことで、カード決済が完了する。この場合、デビットカードの場合は、金融機関との通信となる。また、カード決済では、カードの本人確認として、クレジットカードの場合は、カード会社との通信後、取引明細書へのサインまたは、カード会社との通信前にICカードによる暗証番号入力、デビットカードの場合は、金融機関との通信前に、暗証番号の入力が必要である。そのため、一連の操作および通信時間を含めて約1分から2分程度かかり、タクシー利用者が降車するまで時間がかかり、緊急の移動でのタクシー利用者とのトラブルや、交差点での降車時での迷惑停車となるという問題がある。【0006】本発明の目的は、タクシー料金が確定してから降車するまでの時間を短縮することができるタクシー料金のカードレス決済方法及びシステムを提供することにある。」
「【0010】本発明に係るタクシー料金のカードレス決済システムは、タクシー配車センタ装置とタクシーに車載された決済端末とから構成され、前記タクシー配車センタ装置が、タクシー利用者からの配車予約時に受付けた利用者識別情報により当該利用者識別情報と対に登録されている決済用カード情報を顧客データベースから検索する第1の手段と、検索した決済用カード情報をカード決済機関に送信し、与信照会して与信結果を受信する第2の手段と、与信結果に応じて、配車予約したタクシー利用者が乗車したタクシーに車載された決済端末に対し、利用者識別情報を送信する第3の手段と、前記車載の決済端末が、タクシー利用料金確定時に、確定したタクシー利用料金情報と利用者識別情報とを前記タクシー配車センタ装置に送信する第4の手段と、前記タクシー配車センタ装置が、前記車載の決済端末から受信した利用者識別情報により当該利用者識別情報と対に登録されている決済用カード情報を前記顧客データベースから検索し、当該決済用カード情報と前記車載の決済端末から受信したタクシー利用料金情報とをカード決済機関に送信する第5の手段とを備えることを特徴とする。また、前記第2の手段が、カード決済機関から与信結果と共にカード決済機関に登録されている暗証番号を受信し、前記第3の手段が当該暗証番号を付加してタクシーに車載の決済端末に送信し、前記第4の手段が利用者から受付けた暗証番号とタクシー配車センタ装置から受信した暗証番号との照合を行い、一致した場合にのみ確定したタクシー利用料金情報と利用者識別情報とを前記タクシー配車センタ装置に送信することを特徴とする。また、前記暗証番号に代えてタクシー利用者固有の生体認証情報を用いることを特徴とする。」
「【0013】以下、本発明を実施する場合の一形態を、図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態を示すシステム構成図である。本実施形態に示すシステムは、タクシー配車センタ装置101と、タクシー車両102に搭載した車載器1022、決済端末1023(合議体注:決済端末1023は「決済端末1021」の誤記。)と、カード決済機関であるカード会社103に設置されたカード決済装置1031とで構成され、タクシー配車センタ装置101とタクシー車両102とはタクシー無線通信回線104で接続されている。また、タクシー配車センタ装置101とカード決済装置1031は通信回線網105で接続されている。【0014】タクシー配車センタ装置101は、タクシー利用者の電話機106から通信回線網107を介して配車予約を音声で受付け、タクシー利用者の現在地付近に存在するタクシー車両を検索して配車するものであり、配車予約受付け端末1011と、CTIシステム1012、顧客マスタ1013、決済システム1014、配車システム1015で構成されている。配車予約受付け端末1011は、タクシー配車センタのオペレータが使用する端末であり、オペレータはタクシー利用者の電話機106から通信回線網107を介して配車予約を音声で受付けたならば、着信した電話番号をCTIシステム1012に転送し、CTIシステム1012に対して着信した電話番号に対応する顧客ID(会員番号等を含む),顧客氏名を問い合わせ、顧客マスタ1013に登録されている顧客ID,顧客氏名を操作画面に表示し、オペレータに通知するものである。」
「【0016】本実施形態では、着信電話番号による顧客マスタ内の顧客情報の取得のために用いている。特に、本実施形態では、タクシー料金をカード決済する場合に、カードの与信照会をタクシー降車時に行わずに、タクシー料金が確定する前に与信照会を完了するために、顧客マスタ1013には、図1に示すように、顧客毎に、顧客ID、氏名、電話番号が登録される他に、決済用のカード番号が登録されている。この登録内容は、それぞれの顧客(タクシー利用者)からの事前申し込みによって予め登録されたものである。(以下省略)」
「【0019】図2は、図1の構成において、タクシー利用者が配車予約を行い、タクシー料金をカード決済によって支払うまでの各部の処理を時系列に示したシーケンス図である。まず、タクシー利用者は顧客マスタ1013に登録してある電話番号の電話機106から配車予約受付端末1011に発呼する(S201)。配車予約受付端末1011は、着信した発呼側の電話番号をCTIシステム1012に転送する(S202)。CTIシステム1012は、顧客判別処理により、受信した電話番号のキーにして顧客マスタ1013を検索し、当該電話番号と対になって登録されている顧客ID、氏名を取得し、その顧客ID、氏名を配車予約受付け端末1011に返送する(S203、S204)。(以下省略)」
「【0021】次に、配車予約受付端末1011は、CTIシステム1012から既に受信している顧客IDによって顧客マスタ1013を検索し、当該顧客IDに対応するカード番号を検索する(S209)。そして、そのカード番号を決済システム1014に送信する(S210)。【0022】決済システム1014は、受信したカード番号をカード会社103のカード決済装置1031に対して送信し、与信照会する(S211)。続きを表示(全12行)カード決済装置1031は、受信したカード番号により当該カード番号の与信処理を行い(S212)、その与信結果(OKまたはNG)を決済システム1014に返信する(S213)。この場合、与信結果がOKであった場合には暗証番号を付加して返信する。(以下省略)【0023】決済システム1014は、与信結果を受信したならば、その与信結果を配車予約受付端末1011に送信する(S214)。配車予約受付端末1011は、与信結果がOK(肯定応答)か、NG(否定応答)かを表示部に表示する。与信結果がNGであった場合には、オペレータはそのことを配車依頼の電話をしてきた顧客に口頭で通知する。与信結果がOKであった場合には、オペレータは既に検索している配車待ちのタクシー車両に対して配車希望場所のメッセージを含む配車指示通知を音声で送信する(S215)。さらに顧客情報として顧客ID、氏名、暗証番号の情報を送信する(S216)。【0024】配車指示通知を受信した配車待ちのタクシー車両の車載器1022は、配車指示通知をスピーカからの音声で乗務員に通知する。乗務員は、配車希望場所までの到達予想時間を音声で応答し、配車希望場所に向かう。車載器1022は、顧客情報として受信した顧客ID、氏名、暗証番号のうち氏名を表示部に表示する。他の顧客ID、暗証番号の情報は決済端末1021に転送する(S217)。」
「【0025】配車希望位置に到着したならば、表示部に表示されている氏名によって配車依頼を行った顧客であるかを口頭確認した後、乗車させて目的地に向かう送迎を行う。目的地に到着し、料金が確定したならば、乗務員は顧客に対してカード決済を行うか否かを口頭確認し、カード決済を行うということであったならば、料金メータの金額データを決済端末1021へ入力する操作を行い(S218)、さらに顧客に対して決済端末1021の入力部から暗証番号を受付ける(S219)。決済端末1021は、配車指示通知時に既に受信している暗証番号と顧客から受付けた暗証番号を照合し(S220)、一致していた場合にはカード決済明細書を印字し(S221)、料金情報と顧客IDを車載器1022を介してタクシー配車センタ装置101の決済システム1014に送信する(S222)。【0026】タクシー配車センタ装置101の決済システム1014は、受信した顧客IDによって顧客マスタ1013から当該顧客IDに対応して登録されているカード番号を検索し(S223)、そのカード番号と料金の情報をカード会社103のカード決済装置1031に送信する(S224)。カード会社103のカード決済装置1031は、カード番号と料金の情報によって当該カード番号の決済処理を行う(S225)。なお、暗証番号が一致しなかった場合にはカード決済は不可能であるので、現金での料金決済を行うことになる。」
「【0028】なお、暗証番号に代えて指静脈等の生体情報によって本人確認を行うように構成することができる。・・・また、暗証番号はカード会社から取得するように構成しているが、顧客マスタ1013の中に予め登録しておく構成にすることもできる。」
「【図1】[図:0001434944000001.jpg]【図2】[図:0001434944000002.jpg]」
(2)引用文献1の記載から把握できる事項
ア 上記段落【0010】【0013】の記載から、引用文献1には、「タクシー配車センタ装置101と、タクシー車両102に搭載した車載器1022、決済端末1021と、カード決済機関であるカード会社103に設置されたカード決済装置1031とで構成されたタクシー料金のカードレス決済システムであって、タクシー配車センタ装置101とタクシー車両102とはタクシー無線通信回線104で接続されている」ことが記載されているといえる。
イ 上記段落【0014】の記載から、引用文献1には、「タクシー配車センタ装置101は、配車予約受付け端末1011と、CTIシステム1012、顧客マスタ1013、決済システム1014、配車システム1015で構成されている」ことが記載されている。
ウ 上記段落【0016】の記載から、引用文献1には、「顧客マスタ1013には、顧客毎に、顧客ID、氏名、電話番号、決済用のカード番号が予め登録されている」ことが記載されているといえる。
エ 上記段落【0019】【0021】~【0024】の記載から、引用文献1には、「タクシー利用者が配車予約を行うに際し、タクシー利用者は顧客マスタ1013に登録してある電話番号の電話機106から配車予約受付端末1011に発呼し、配車予約受付端末1011は、着信した発呼側の電話番号をCTIシステム1012に転送し、CTIシステム1012は、受信した電話番号をキーにして顧客マスタ1013を検索し、当該電話番号と対になって登録されている顧客ID、氏名を取得し、その顧客ID、氏名を配車予約受付端末1011に返送し、配車予約受付端末1011は、CTIシステム1012から既に受信している顧客IDによって顧客マスタ1013を検索し、当該顧客IDに対応するカード番号を検索し、そのカード番号を決済システム1014に送信し、決済システム1014は、受信したカード番号をカード会社103のカード決済装置1031に対して送信し、カード決済装置1031は、受信したカード番号により当該カード番号の与信処理を行い、与信結果がOKであった場合には暗証番号を付加して返信し、決済システム1014は、与信結果を受信したならば、その与信結果を配車予約受付端末1011に送信し、配車予約受付端末1011は、与信結果がOKであった場合には、配車待ちのタクシー車両の車載器1022に対して、顧客情報として顧客ID、氏名、暗証番号の情報を送信し、車載器1022は、顧客情報として受信した顧客ID、氏名、暗証番号のうち氏名を表示部に表示し、他の顧客ID、暗証番号の情報は決済端末1021に転送する」ことが記載されているといえる。
オ 上記段落【0025】の記載から、引用文献1には、「目的地に到着し、料金が確定したならば、乗務員は顧客に対してカード決済を行うか否かを口頭確認し、カード決済を行うということであったならば、料金メータの金額データを決済端末1021へ入力する操作を行い、さらに顧客に対して決済端末1021の入力部から暗証番号を受付け、決済端末1021は、料金情報と顧客IDを車載器1022を介してタクシー配車センタ装置101の決済システム1014に送信する」ことが記載されているといえる。
カ 上記段落【0026】から、引用文献1には、「タクシー配車センタ装置101の決済システム1014は、受信した顧客IDによって顧客マスタ1013から当該顧客IDに対応して登録されているカード番号を検索し、そのカード番号と料金の情報をカード会社103のカード決済装置1031に送信」することが記載されている。
キ 上記段落【0028】の記載から、引用文献1には、「暗証番号に代えて指静脈等の生体情報によって本人確認を行うように構成することができる」こと、「暗証番号はカード会社から取得するように構成しているが、顧客マスタ1013の中に予め登録しておく構成にすることもできる」が記載されている。
(3)引用文献1に記載された発明
上記(2)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「タクシー配車センタ装置101と、タクシー車両102に搭載した車載器1022、決済端末1021と、カード決済機関であるカード会社103に設置されたカード決済装置1031とで構成されたタクシー料金のカードレス決済システムであって、タクシー配車センタ装置101とタクシー車両102とはタクシー無線通信回線104で接続され、タクシー配車センタ装置101は、配車予約受付け端末1011と、CTIシステム1012、顧客マスタ1013、決済システム1014、配車システム1015で構成されており、顧客マスタ1013には、顧客毎に、顧客ID、氏名、電話番号、決済用のカード番号が予め登録されており、タクシー利用者が配車予約を行うに際し、タクシー利用者は顧客マスタ1013に登録してある電話番号の電話機106から配車予約受付端末1011に発呼し、配車予約受付端末1011は、着信した発呼側の電話番号をCTIシステム1012に転送し、CTIシステム1012は、受信した電話番号をキーにして顧客マスタ1013を検索し、当該電話番号と対になって登録されている顧客ID、氏名を取得し、その顧客ID、氏名を配車予約受付端末1011に返送し、配車予約受付端末1011は、CTIシステム1012から既に受信している顧客IDによって顧客マスタ1013を検索し、当該顧客IDに対応するカード番号を検索し、そのカード番号を決済システム1014に送信し、決済システム1014は、受信したカード番号をカード会社103のカード決済装置1031に対して送信し、カード決済装置1031は、受信したカード番号により当該カード番号の与信処理を行い、与信結果がOKであった場合には暗証番号を付加して返信し、決済システム1014は、与信結果を受信したならば、その与信結果を配車予約受付端末1011に送信し、配車予約受付端末1011は、与信結果がOKであった場合には、配車待ちのタクシー車両の車載器1022に対して、顧客情報として顧客ID、氏名、暗証番号の情報を送信し、車載器1022は、顧客情報として受信した顧客ID、氏名、暗証番号のうち氏名を表示部に表示し、他の顧客ID、暗証番号の情報は決済端末1021に転送し、目的地に到着し、料金が確定したならば顧客に対してカード決済を行うか否かを口頭確認し、乗務員は、カード決済を行うということであったならば、料金メータの金額データを決済端末1021へ入力する操作を行い、さらに顧客に対して決済端末1021の入力部から暗証番号を受付け、決済端末1021は、料金情報と顧客IDを車載器1022を介してタクシー配車センタ装置101の決済システム1014に送信し、タクシー配車センタ装置101の決済システム1014は、受信した顧客IDによって顧客マスタ1013から当該顧客IDに対応して登録されているカード番号を検索し、そのカード番号と料金の情報をカード会社103のカード決済装置1031に送信し、ここで、暗証番号に代えて指静脈等の生体情報によって本人確認を行うように構成することができ、暗証番号はカード会社から取得するように構成しているが、顧客マスタ1013の中に予め登録しておく構成にすることもできる、タクシー料金のカードレス決済システム。」
2 引用文献2について
当審拒絶理由通知で周知技術を示す文献として引用した引用文献2(特許第5785377号公報、本願の最初の原出願の出願前である平成27年9月30日特許公報発行)には、次の事項が記載されている。
「【0025】本実施形態は図1に示すように、乗客(ユーザ)が所持する携帯電話端末(GPS付き携帯・スマートフォン、Quertyキーボードを備えた汎用のネットワーク通信可能な小型パーソナルコンピュータでも可)と、各タクシーに配備された乗務員端末と、該タクシーの後部座席から閲覧可能な乗客用端末(乗客用タブレット)と、これらの各端末と無線ネットワークで接続されたタクシークラウドデータサーバ(TCDS)とからなる。(以下省略)【0026】乗務員端末(乗務員用タブレット)は、タクシーに搭載された集中制御装置(CCU)を介してタクシークラウドデータサーバ(TCDS)と通信可能な端末であり、前述のようなスマートフォンまたはタブレット端末(画面上を指先で操作可能な端末)である。この乗務員端末は、連動器(コネクタ)を介してタクシーメーターやデジタルタコグラフと接続されており、タクシークラウドデータサーバ(TCDS)にこれらのデータが乗務員端末を介して送信され、該サーバにおいてタクシー毎、乗務員毎の走行管理が可能となっている。この乗務員端末は図2に示すように、タクシークラウドデータサーバから受信した各種の情報、たとえば配車ステータス(状態)、ナビゲーション画面、自車の状態が表示されるようになっている。」
「【0030】さらに、タクシー内には、前記乗務員端末の他に、後部座席に搭乗した乗客に情報を表示可能な乗客用タブレット端末も配置されている。この乗客用タブレット端末も前記無線ルータを介してタクシークラウドデータサーバ(TCDS)と通信可能になっている。」
「【0037】これらの項目が入力されると、支払方法の選択が促され、選択が完了し「配車を確定する」というボタン表示を指定して携帯電話端末の決定ボタンを押すと、配車リクエストが携帯電話の3Gネットワークを介してタクシークラウドデータサーバ(TCDS)に送信される(図1の電子配車依頼)。このとき、支払方法としては、図3では、「現金/チケット」、「カード」、「携帯/iTunes(アップル社の商標)」が示されているが、この他に「クーポン」があってもよい。このようなクーポンは電子化されてユーザの携帯電話端末に登録されている。電子化されたクーポンはタクシーからの降車の際の乗車運賃の支払に用いることができる。また、電子クーポンのポイント数はタクシー利用毎に新たに追加される。【0038】なお、このような配車依頼は、乗客の携帯電話端末から行う他、コールセンターに音声通話で行い、コールセンターのオペレータは電子配車依頼と同じ情報をコールセンターの端末(コールセンタースクリーン)を通じて入力して電子配車依頼データを生成して、タクシークラウドデータサーバ(TCDS)に送信してもよい。また、乗客のオフィスまたは住居に設置されたネットワーク接続可能なパーソナルコンピュータから行ってもよい。さらに状況はIVR(Interactive Voice Response、双方向音声応答)を利用してコールセンターに電話して配車することも可能である。この場合、従来のIVRサービスではユーザが利用する電話番号と配車番号は一対であったが、この場合、ユーザテーブルにおいて電話番号と共に複数の乗車地情報を保持することができるため、ひとつの電話番号から複数の乗車地を選択することができる。またIVRにおいて複数の目的地の中から、目的地を選択することも可能である。【0039】タクシークラウドデータサーバ(TCDS)の中央処理装置(CPU)は、前記配車依頼を受信すると、前記乗客の位置情報に基づいて地図上に配車可能な候補タクシーがマッピング表示され、距離や渋滞情報を加味したうえで到着時間が近い順に候補タクシーの乗務員端末に対して、配車打診情報を送信する。この配車打診情報は、迎車地と、目的地、迎車時間と、連絡先と、支払方法と、「了解」および「見送る」ボタンの表示情報で構成されている。当該表示情報を閲覧した乗務員が、乗務員端末の「了解」ボタンを指定して決定ボタンを入力すると、この応答情報がタクシークラウドデータサーバ(TCDS)に送信される。ここで、「見送る」のボタンが指定入力されたとき、または配車打診情報が表示された状態で数秒(7秒程度、この秒数はタクシー会社毎にタクシークラウドサーバ上で設定が可能)経過したときには、次の順位の候補タクシーが選択されて、当該次候補のタクシーの乗務員端末に対して前記と同様の配車打診情報が送信される。」
「【0048】配車決定されたタクシーに乗客が搭乗すると、乗客は乗客用タブレットによって情報を閲覧したり、お気に入りルートの選択、入力、乗務員の評価ポイント等を入力することができる。このようにして入力された情報は、前述の各テーブルに登録される。」
第5 当審の判断
1 本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)「タブレット端末からなり、ユーザによって操作されることで、乗車したユーザのクレジットカードに関する情報以外のユーザ情報を取得する管理端末」について
引用発明は、「目的地に到着し、料金が確定したならば」、「顧客に対して決済端末1021の入力部から暗証番号を受付け」ることにより本人確認を行うものである。
そうすると、引用発明の「顧客(タクシー利用者)」は、本願発明の「ユーザ」及び「乗車したユーザ」に相当し、引用発明の「暗証番号」は、本人確認を行うために用いるものであるから、本願発明の「乗車したユーザのクレジットカードに関する情報以外のユーザ情報」に相当する。
また、引用発明の「入力部から暗証番号を受付け」ることは、本願発明の「乗車したユーザのクレジットカードに関する情報以外のユーザ情報を取得する」ことに相当する。
そうすると、引用発明の「決済端末1021」と、本願発明の「管理端末」とは、「乗車したユーザのクレジットカードに関する情報以外のユーザ情報を取得する管理端末」との点で共通する。
そして、本願発明は、管理端末が、「タブレット端末からなり、ユーザによって操作されることで」乗車したユーザのクレジットカードに関する情報以外のユーザ情報を取得するのに対して、引用発明は、決済端末1021が、「タブレット端末からなり、ユーザによって操作されることで」、顧客(タクシー利用者)の暗証番号を取得するのか判然としない点で相違する。
(2)「運送サービスに対する運賃を測定する運賃測定手段」について
引用発明の「タクシー車両」の「料金メータ」は、本願発明の「運送サービスに対する運賃を測定する運賃測定手段」に相当する。
(3)「ユーザが配車予約を実施した際に取得した情報を利用して確定した運賃の精算を実施するのではなく、運賃測定手段によって測定された運賃が確定した後で、確定した運賃をユーザ情報に紐づけることで確定した運賃の精算を可能とする」について
ア 本願発明の「ユーザが配車予約を実施した際に取得した情報」の技術的意義を確認する。
本願の発明の詳細な説明には、「ユーザが配車予約を実施」することに関する記載がないものの、その文言から、本願発明の「ユーザが配車予約を実施した際に取得した情報」の取得の主体には、「ユーザ」の場合と、「精算システム」の場合とが含まれると解釈される。
イ 次に、引用発明の「暗証番号」の技術的意義を確認する。
引用発明は、「タクシー利用者が配車予約を行うに際し、タクシー利用者は顧客マスタ1013に登録してある電話番号の電話機106から配車予約受付端末1011に発呼」することで、「配車予約受付端末1011」は、発呼側の電話番号に基づいて検索した顧客の「カード番号」を「決済システム1014」を介してカード会社の「カード決済装置1031」に送信し、「カード決済処理装置1031」は、当該カード番号による与信結果が「OK」であった場合には「暗証番号を付加して与信結果を「決済システム1014」を介して「配車予約受付端末1011」に送信し、「配車予約受付端末1011」は、配車待ちのタクシー車両の「車載器1022」に対して、顧客情報として顧客ID、氏名、暗証番号の情報を送信するものである。
そして、引用発明において、与信結果が「OK」である場合に、「暗証番号」をタクシー利用者の「電話機106」に送信することは特定されておらず、「暗証番号はカード会社から取得するように構成しているが、顧客マスタ1013の中に予め登録しておく構成にすることもできる」ことを勘案すると、引用発明の「暗証番号」は予約の与信処理に基づいてタクシー利用者が取得するものではなく、配車予約の与信処理よりも前に予め設定されてカード会社又は顧客マスタ1013に登録されたものであることは明らかである。
ウ 上記ア、イを踏まえて対比を行う。
引用発明の「目的地に到着し、料金が確定したならば顧客に対してカード決済を行うか否かを口頭確認し、乗務員は、カード決済を行うということであったならば、料金メータの金額データを決済端末1021へ入力する操作を行」うことにおける「料金メータの金額データ」で特定される金額は、本願発明の「確定した」「運賃測定手段によって測定された運賃」に相当する。また、引用発明の「料金情報」は上述した「料金メータの金額データ」と同義であることは明らかである。
そして、引用発明の「料金情報と顧客IDを車載器1022を介してタクシー配車センタ装置101の決済システム1014に送信」することで、「タクシー配車センタ装置101の決済システム1014」は、受信した顧客IDに対応して登録されている「カード番号」と「料金の情報」を「カード会社103のカード決済装置1031」に送信するものである。このために、引用発明は、「目的地に到着し、料金が確定したならば、乗務員は顧客に対してカード決済を行うか否かを口頭確認し、カード決済を行うということであったならば、料金メータの金額データを決済端末1021へ入力する操作を行い、さらに顧客に対して決済端末1021の入力部から暗証番号を受付け」てから実行されるものである。
さらに、引用発明のタクシー利用者によって設定されカード会社側に登録された「暗証番号」は、上記イのとおりであるから、本願発明の「配車予約を実施した際に取得した情報」に相当しない。なお、引用発明においては、「タクシー利用者が配車予約を行うに際し、タクシー利用者は顧客マスタ1013に登録してある電話番号の電話機106から配車予約受付端末1011に発呼」するのであるから、「顧客ID」は、本願発明の「配車予約を実施した際に取得した情報」に相当しないことは明らかである。
そして、上記ア、イを踏まえると、引用発明の、「目的地に到着し、料金が確定したならば顧客に対してカード決済を行うか否かを口頭確認し、乗務員は、カード決済を行うということであったならば、料金メータの金額データを決済端末1021へ入力する操作を行い、さらに顧客に対して決済端末1021の入力部から暗証番号を受付け、決済端末1021は、料金情報と顧客IDを車載器1022を介してタクシー配車センタ装置101の決済システム1014に送信」することは、本願発明の「ユーザが配車予約を実施した際に取得した情報を利用して確定した運賃の精算を実施するのではなく、運賃測定手段によって測定された運賃が確定した後で、確定した運賃をユーザ情報に紐づけることで確定した運賃の精算を可能とする」ことに相当する。
(4)「精算システム」について
引用発明の「タクシー料金のカードレス決済システム」は、上記(1)~(3)の機能を有することから、後述する相違点は別にして、本願発明の「精算システム」に相当する。
(5)一致点、相違点について
そうすると、本願発明と引用発明とは、次の点で、一致又は相違する。
<一致点>
「乗車したユーザのクレジットカードに関する情報以外のユーザ情報を取得する管理端末と、運送サービスに対する運賃を測定する運賃測定手段と、を備え、ユーザが配車予約を実施した際に取得した情報を利用して確定した運賃の精算を実施するのではなく、運賃測定手段によって測定された運賃が確定した後で、確定した運賃をユーザ情報に紐づけることで確定した運賃の精算を可能とする、精算システム。」
<相違点>
本願発明は、管理端末が、「タブレット端末からなり、ユーザによって操作されることで」乗車したユーザのクレジットカードに関する情報以外のユーザ情報を取得するのに対して、引用発明は、決済端末1021が、「タブレット端末からなり、ユーザによって操作されることで」、顧客(タクシー利用者)の暗証番号を取得するのか判然としない点。
2 相違点の判断
(1)タクシーの乗客がタクシーの車内で操作可能な端末として「タブレット端末」を用いることは上記引用文献2(段落【0030】【0048】参照)のとおり、本願の最初の原出願の出願時(平成29年5月26日)における周知技術である。
また、引用発明は、「暗証番号に代えて指静脈等の生体情報によって本人確認を行うように構成することができる」ものであるから、引用発明の「顧客に対して決済端末1021の入力部から暗証番号を受付け」ることは、「ユーザによって操作されること」によって暗証番号を受け付けているものといえ、仮に、ユーザによって操作されることでないとしても、「ユーザによって操作されること」によって暗証番号を受け付ける構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
このとき、引用発明において、暗証番号を入力する決済端末1021をタブレット端末とすることは、当業者が適宜なし得た事項にすぎない。
そうすると、相違点1の構成は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものである。
そして、上記相違点1によって奏する作用効果は、当業者が予測し得た範囲内のものである。
(2)本願発明の「ユーザが配車予約を実施した際に取得した情報」を「ユーザ」が取得する場合については、上記1(3)のとおり一致点になり、「精算システム」が動作の主体として当該情報を取得する点については検討するまでもないが、念のため、「精算システム」が「ユーザが配車予約を実施した際に取得した情報」の点を実質的な相違点とする場合について検討する。
引用発明の「タクシー料金のカードレス決済システム」が「暗証番号」を取得することについて、引用発明は、「暗証番号はカード会社から取得するように構成しているが、顧客マスタ1013の中に予め登録しておく構成にすることもできる」ものであるから、引用発明において、「タクシー料金のカードレス決済システム」が、タクシー利用者によるタクシー配車の予約よりも前に「暗証番号」を取得しておく構成とすることで、引用発明の、目的地に到着し、料金が確定したならば顧客に対してカード決済を行うか否かを口頭確認し、乗務員は、カード決済を行うということであったならば、料金メータの金額データを決済端末1021へ入力する操作を行い、さらに顧客に対して決済端末1021の入力部から暗証番号を受付け、決済端末1021は、料金情報と顧客IDを車載器1022を介してタクシー配車センタ装置101の決済システム1014に送信」することを、「ユーザが配車予約を実施した際に取得した情報を利用して確定した運賃の精算を実施するのではなく」、運賃測定手段によって測定された運賃が確定した後で、確定した運賃をユーザ情報に紐づけることで確定した運賃の精算を可能とする構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
3 請求人の主張について
(1)請求人の主張の概要
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請求人は、令和7年10月17日提出の意見書で、次のように主張する。
ア 主張1
引用文献1の「生体認証情報」は「クレジットカードに関する情報」であることから、「クレジットカードに関する情報以外のユーザ情報」には該当しない旨。
イ 主張2
引用文献1では、「タクシー利用者からの配車予約時に受付けた利用者識別情報」を用いて「与信」を実施することが必須となっているが、「ユーザが配車予約を実施した際に取得した情報を利用して確定した運賃の精算を実施するのではな」いことを規定し、「ユーザが配車予約を実施した際」に取得される情報で「確定した運賃の精算を実施」しないことを要件としているので、この点でも引用文献1と本件発明1とは異なっている旨。
(2)主張の検討
ア 主張1について
上記1(1)のとおり、引用発明の「暗証番号」は顧客の本人確認のための情報であって、「引用発明の「暗証番号」は、本願発明(請求項1発明)の「乗車したユーザのクレジットカードに関する情報以外のユーザ情報」に相当する。」(カッコは、当審拒絶理由通知の文言)とするものであるから、請求人の主張は当を得ない。
イ 主張2について
上記1(3)イ、ウのとおり、引用発明の配車予約の与信処理よりも前に予め設定されてカード会社又は顧客マスタ1013に登録された「暗証番号」は、本願発明の「配車予約を実施した際に取得した情報」に相当しないことから、請求人の主張は、引用発明を正解しない。
ウ 請求人の主張についてのまとめ
以上のとおりであるから、請求人が主張する主張1、2に理由はない。
4 小括
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-001467