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特許異議申立

2024-701177

保護カバー装置、及び保護カバーに対する外嵌部材の位置決め構造

審判番号
2024-701177
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-018970
登録番号
7497311
請求日
2024年12月09日
審決日
2025年04月23日
公報発行日
2025年06月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】未来工業株式会社
  • 【異議申立人】西尾 道子
審判長/審判官
  • 審判長 小川 恭司
  • 審判官 中屋 裕一郎
  • 審判官 横山 幸弘
分類
P1651.121-Y (F16L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7497311号発明「保護カバー装置、及び保護カバーに対する外嵌部材の位置決め構造」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7497311号の請求項1~11に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7497311号(以下「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和3年2月9日に出願され、令和6年5月31日にその特許権の設定登録がされ、令和6年6月10日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年12月9日に特許異議申立人 西尾 道子(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 特許第7497311号の請求項1~11に係る特許に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明11」といい、総称して「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 【請求項1】 軸方向に連続する分断開口を閉じることで、内部に配線・配管材の配設経路を形成するための長尺筒状の保護カバーと、 前記保護カバーの外部に移動不能に取付けられて、前記分断開口の閉塞状態を維持する維持部材と、 軸方向に複数に分割された各分割体が互いに組み付けられて筒状を成し、前記保護カバーにおける前記維持部材が取付けられた箇所に、当該維持部材の一部又は全部を内部に収容した状態で外嵌される外嵌部材と、 から成り、 前記外嵌部材には、前記維持部材における当該外嵌部材に収容された箇所に当接することで、前記保護カバーに対する抜け出しが規制されるか、又は当該保護カバーの軸方向両側への移動が規制される位置決め部が設けられていることを特徴とする保護カバー装置。 【請求項2】 前記外嵌部材には、前記維持部材における当該外嵌部材に収容された箇所、及び前記保護カバーの端面の双方にそれぞれ当接して、前記保護カバーの軸方向両側への移動を規制する各位置決め部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の保護カバー装置。 【請求項3】 前記外嵌部材は、前記保護カバーに取着された前記維持部材に対する当該保護カバーの軸方向にずれた異なる2つの位置で、前記外嵌部材の移動を防止した状態で取着可能なように、当該外嵌部材の軸方向にずれた異なる複数の位置に前記位置決め部が形成され、 前記各位置において、 前記複数の位置決め部のうち特定の1つの位置決め部が単独で前記維持部材に当接するか、若しくは前記複数の位置決め部が、前記維持部材に又は前記維持部材と前記保護カバーとに当接するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護カバー装置。 【請求項4】 前記外嵌部材は、前記保護カバーに取着された前記維持部材に対して、当該保護カバーの軸方向にずらすことなく、自身の軸心を中心に回動させることで、前記維持部材に対して位置決め部が当接して、周方向に沿った少なくとも2つの向きにおいて、自身の軸方向への移動を規制した状態で、前記保護カバーに取着可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護カバー装置。 【請求項5】 前記外嵌部材の軸方向の両端部の少なくとも一方は、前記保護カバーの軸方向の端部に取着された当該維持部材と、当該保護カバーの端部との双方を収容するように外嵌されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護カバー装置。 【請求項6】 前記外嵌部材の軸方向の両端部は、前記維持部材が軸方向の端部に取着された2本の保護カバーの当該各端部を内部に収容した状態で、前記2本の保護カバーどうしを接続可能であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の保護カバー装置。 【請求項7】 前記外嵌部材は、その軸方向の中間部に、内外を連通する側方開口を備え、 前記保護カバーの端部に取着された前記維持部材は、前記外嵌部材の軸方向における前記側方開口を挟んだ両側のいずれの位置に配置させても、当該保護カバーの端部に外嵌可能なように、当該外嵌部材には、その軸方向に沿って複数の位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護カバー装置。 【請求項8】 前記外嵌部材に設けられた位置決め部は、前記保護カバーに取着された前記維持部材の軸方向にずれた2箇所に当接する当接部により構成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の保護カバー装置。 【請求項9】 前記外嵌部材に設けられた位置決め部は、前記保護カバーの端面に当接する端面当接部と、当該保護カバーに取着された前記維持部材における前記端面と反対側の部分に当接する維持部材当接部と、により構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の保護カバー装置。 【請求項10】 前記外嵌部材に設けられた位置決め部は、前記保護カバーに取着された前記維持部材に当接する一つの当接部により構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の保護カバー装置。 【請求項11】 長尺筒状の保護カバーは、軸方向に連続する分断開口を閉じることで、内部に配線・配管材の配設経路が形成され、当該保護カバーには、その分断開口を閉じた状態を維持するための維持部材が取着され、前記保護カバーの端部からの流体管の引き出し、当該端部の閉塞、或いは当該保護カバーの途中からの流体管の分岐配管のために、当該保護カバーの端部、又はその途中に、当該 保護カバーの各位置に取着された前記維持部材の全部又は一部を内部に収容した状態で外嵌部材が外嵌され、 前記外嵌部材は、当該外嵌部材に設けられた位置決め部の前記維持部材に対する当接により、前記保護カバーの軸方向両側への移動、又は当該保護カバーからの抜け出しが規制される構造であることを特徴とする保護カバーに対する外嵌部材の位置決め構造。 第3 特許異議申立理由の概要 本件発明1~6、11は、下記の甲第1号証記載の発明及び甲第2~4号証記載の技術的事項若しくは周知技術に基いて、又は下記の甲第2号証記載の発明及び甲第1、3、5号証記載の技術的事項若しくは周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明7~10は、下記の甲第1号証記載の発明及び甲第2~4、6~8号証記載の技術的事項若しくは周知技術に基いて、又は下記の甲第2号証記載の発明及び甲第1、3、5~8号証記載の技術的事項若しくは周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項1~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (証拠方法) 甲第1号証:特開平7-243586号公報 甲第2号証:特開2011-112079号公報 甲第3号証:特開2012-149679号公報 甲第4号証:実公平7-49195号公報 甲第5号証:実公平2-40412号公報 甲第6号証:特開2003-342983号公報 甲第7号証:意匠登録第1094899号公報 甲第8号証:意匠登録第1100019号公報 (以下、甲第1号証~甲第8号証をそれぞれ「甲1」~「甲8」という。) 第4 甲各号証の記載 1.甲1 (1)甲1には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。) 「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、分割式空調用配管カバーの合体固定構造に関する。」 「【0005】 【発明が解決しようとする課題】この発明はこのような問題点に鑑み提案されたもので、合体する二つの配管カバー分割体同志を固定することにより、気温の変化などでカバー分割体がずり落ちたり外れることのない、分割式空調用配管カバーの合体固定構造を提供しようとするものである。」 「【0008】図1に示されるように、この発明の合体固定構造は、前記した被せタイプや嵌め合いタイプなどの分割式配管カバーを合体させ、壁面側のカバー分割体と表側のカバー分割体とを簡単かつ強固に固定するためのものである。符号10は配管カバー、30は配管である。この配管カバー10は、硬質塩化ビニールなどの押出成形品よりなる二つのカバー分割体11,12を合体させることによって構成される。 【0009】カバー分割体11,12は、図のように、筒状体を長手方向に沿って二分割してなる半割筒形状に形成されており、一方のカバー分割体11がボルト(図示せず)などによって壁面に固定されている。そして、図2に示されるように、他方のカバー分割体12の端縁14を壁面側カバー分割体11の端縁13に被せるかまたは嵌め合わせて合体させる。本実施例では、前記端縁13,14に合着可能な凹部15と凸部16をそれぞれ設けた嵌め合いタイプの配管カバーが示されるが、被せタイプのものであってもよい。 【0010】図のように内部に配管30を挿通し、両端縁13,14を嵌め合わせて合体させたカバー分割体11,12の合体部端部17に挟着部品20が嵌着される。この挟着部品20は、ステンレスなどの金属板状体が略U字形に屈曲されてなり、前記端部17の表裏から挟着しそのバネ弾性によって両カバー分割体11,12を強固に固定する。なお、前記挟着部品20は、図示のような下端側の合体部端部17あるいは上端側の合体部端部(図示せず)のいずれに取り付けてもよく、更には両端に取り付けてもよい。 【0011】図3に挟着部品の一例を示す。この挟着部品20は、屈曲部23を介して両側に設けられた表側挟着片21と裏側挟着片22とによって、両カバー分割体11,12の合体部端部17を挟む。この例では裏側挟着片22が二本設けられており、図2から理解されるように各カバー分割体11,12の合体部端部を裏側からそれぞれ押圧するようになっている。それによって、各カバー分割体の厚みが異なる場合でも確実に挟着することができる。 【0012】挟着片21,22の少なくとも一側(本実施例では表側挟着片21)には、切り起こし爪25と折り曲げ部27とが設けられている。切り起こし爪25は、表側挟着片21の両側端の一部が切込み26を介して内面に折り曲げられてなるもので、図のように、前記屈曲部23側を起立させている。それによって、図4に示されるように、挟着部品20をカバー分割体11,12に嵌着した際に、切り起こし爪25がカバー分割体11,12の表面に食い込んで、当該カバー分割体11,12がずれたり外れたりするのを防ぐためのものである。なお、この切り起こし爪を内側挟着片22に設けて、カバー分割体の裏面に食い込ませて固定してもよく、また挟着片21,22の双方に設けてもよい。 【0013】一方、挟着片の先端が外側へ折り曲げられてなる折り曲げ部27は、挟着部品20を外す時に、図4の矢印のように折り曲げ部27とカバー分割体11(12)外面間にドライバーなどを差し込んで挟着片21を拡げるのに都合よく利用される。また、前記挟着片21,22の先端部を図のように外側に折り曲げることによって、挟着片21,22のバネ弾性を配管カバー10に集中させて強力に挟着固定することができる。 【0014】 【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の固定構造によれば、挟着部品によって合体する二つのカバー分割体を一体に固定するものであるから、外気温などによる分割体の膨張や収縮、あるいは経時的なねじれなどの外力で嵌め合わせ部が緩んだ場合でも、合体したカバー分割体がずれたり外れたりして内部の配管が剥き出しになるのを防ぐことができる。しかも、挟着部品が挟着されるカバー分割体の端部は、チーズやエルボなどの他の継手用カバー等で覆われる部分であるため、取り付けられた挟着部品が露出することが少なく美観的にも優れている。」 「図1 [図:0001423527000001.jpg] 図2 [図:0001423527000002.jpg] 図3 [図:0001423527000003.jpg] 」 (2)上記記載から、甲1には次の技術的事項が記載されていると認められる。 ア 【0009】~【0010】の記載及び図1~2から、筒状体の配管カバー10は、長手方向に分割されたカバー分割体11とカバー分割体12を嵌め合わせて合体させることで、内部に配管30を挿通するための空間を形成する。 イ 【0011】~【0012】の記載及び図3から、挟着部品20は、配管カバー10の合体部端部17の表裏から挟着し、配管カバー10の表面に切り起こし爪25が食い込むことで、カバー分割体11及び12がずれたり外れたりするのを防いでいる。 ウ 【0014】の記載から、継手用カバーは、配管カバー10における挟着部品20が挟着された端部を覆っている。 エ 【0001】、【0014】の記載から、配管カバー10、挟着部品20及び継手用カバーは、分割式空調用配管カバーである。 以上を総合すると、甲1には、配管を保護する装置に係る次の発明((以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。 [甲1発明1] 長手方向に分割されたカバー分割体11とカバー分割体12を嵌め合わせて合体させることで、内部に配管30を挿通する空間を形成するための筒状体の配管カバー10と、 前記配管カバー10の合体部端部17の表裏から挟着し、配管カバー10の表面に切り起こし爪25が食い込むことで、カバー分割体11及び12がずれたり外れたりするのを防いでいる挟着部品20と、 配管カバー10における挟着部品20が挟着された端部を覆う継手用カバーと、 から成る、 分割式空調用配管カバー。 (3)甲1にはさらに、次の技術的事項が記載されていると認められる。 オ 【0010】、【0012】の記載から、配管カバー10には、カバー分割体11及び12がずれたり外れたりするのを防ぐための挟着部品20が挟着されている。 カ 【0014】の記載から、継手用カバーは、配管カバー10の下端側の合体部端部17に、配管カバー10の下端側の合体部端部17に挟着された挟着部品20を覆う状態で配管カバー10に連結されている。 以上を総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。 [甲1発明2] 筒状体の配管カバー10は、長手方向に分割されたカバー分割体11とカバー分割体12を嵌め合わせて合体させることで、内部に配管30を挿通するための空間が形成され、当該配管カバー10には、カバー分割体11及び12がずれたり外れたりするのを防ぐための挟着部品20が挟着され、当該配管カバー10の下端側の合体部端部17に、当該配管カバー10の下端側の合体部端部17に挟着された前記挟着部品20を覆う状態で継手用カバーが連結された分割式空調用配管カバーの合体固定構造。 また、甲1には、「挟着部品20」について、次の技術的事項が記載されていると認められる。 [甲1記載の技術的事項] 配管カバー10の表面に切り起こし爪25が食い込んで合体部端部17の表裏から挟着し、カバー分割体11及び12がずれたり外れたりするのを防いでいる挟着部品20。 2.甲2 (1)甲2には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。) 「【技術分野】 【0001】 本発明は、配管用の筒状カバーとその筒状カバーの端部に外嵌接続される配管用の接続カバーとの相対的な抜けを防止するために使用される配管用カバーの抜け止めクリップに関する。」 「【0005】 本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、複雑な形状の配管用の筒状カバーを必要とすることなく、その筒状カバーの端部に配管用の接続カバーを確実に外嵌接続させることができ、たとえ抜け側への強い外力が作用しても、筒状カバーと接続カバーが容易に外れることのない配管用カバーの抜け止めクリップを提供することにある。」 「【0015】 本発明による配管用カバーの抜け止めクリップにつき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。 本発明が対象とする配管用カバーは、例えば、図1に示すように、空調装置の室内機Aと室外機Bを接続する各種の空調用の管や電線などの配管類Cをカバーするのに使用されるもので、その配管類Cは、室内機Aから延出して建物の天井に沿って配設され、建物の壁Wを貫通した後、壁Wの外面に沿って上下方向に配設されて室外機Bに接続される。 配管類Cをカバーする配管用のカバーとしては、通常、合成樹脂製の直線状の筒状カバー1が使用され、その筒状カバー1が、合成樹脂製の配管用の接続カバー2としてのエルボカバー2aや連結カバー2bを介して互いに接続され、筒状カバー1の端部には、同じく合成樹脂製の配管用の接続カバー2の一例である縮径用の端末カバー2cが接続され、その端末カバー2cから配管類Cが延出されている。 【0016】 筒状カバー1は、図2および図4に示すように、互いに嵌合接続可能な一対の半割りカバー体3,4により構成され、室内に配設の筒状カバー1は、吊り金具5を介して天井に吊下げ保持され、室外に配設の筒状カバー1については、一方の半割りカバー体3が固定金具6を介して壁Wに固定保持され、その一方の半割りカバー体3に対して他方の半割りカバー体4が嵌合接続されるとともに、必要に応じて、両半割りカバー3,4どうしが図外の適宜手段により互いに強固に接続される。 配管用の接続カバー2としてのエルボカバー2a、連結カバー2b、および、端末カバー2cは、その筒状カバー1の端部に相対的な抜けを防止した状態で外嵌接続され、その際に使用されるのが、本発明による抜け止めクリップ7である。 【0017】 以下、その抜け止めクリップ7について説明し、筒状カバー1と接続カバー2の接続構造について言及するが、接続カバー2はその形状が異なるだけで、接続のための構成は全て同じであるため、エルボカバー2aを例にして説明する。 抜け止めクリップ7は、例えば、ばね鋼の打ち抜きにより形成されていて、図3に示すように、筒状カバー1の端部を外側と内側から弾性的に挟持する外側舌片8と内側舌片9、および、両舌片8,9の基端部を互いに連結する連結部10を備え、側面視においてほぼコの字状に形成されている。 両舌片8,9は、その差し込み方向(縦方向)のほぼ中央部が互いに近接するように、連結部10から遊端部側に向けて斜めに折曲され、両遊端部8b,9bが互いに離間するように、ハの字状に開口されていて、外側舌片8の遊端部8aが、後に詳しく説明する抜け止め部として機能するように構成されている。 【0018】 抜け止めクリップ7の外側舌片8は、その横幅方向に沿って複数本(図3の実施形態では2本)の外側爪部8aを一体的に備え、その外側爪部8aが、筒状カバー1の外周面に食い込むべく連結部10に向けて内側へ斜めに突出するように設けられている。 内側舌片9も、その横幅方向に沿って複数本(図3の実施形態では3本)の内側爪部9aを一体的に備え、その内側爪部9aが、筒状カバー1の内周面に食い込むべく連結部10に向けて外側へ斜めに突出するように設けられている。 2本の外側爪部8aと3本の内側爪部9aは、その横幅方向に沿って互いに位相をずらせて、より具体的には、横幅方向に沿って互い違いになるように配設され、かつ、図3の(d)から明らかなように、側面視において、外側爪部8aと内側爪部9aが互いに交差するように配設されている。 【0019】 配管用の接続カバー2の一例であるエルボカバー2aは、図2および図4に示すように、互いに嵌合接続可能な左右一対の半割りカバー体11,12により構成され、両半割りカバー体11,12が、ボルトなどの連結金具13により互いに固定可能に構成されるとともに、筒状カバー1を接続する開口端部の内周面には、その全長にわたってストッパとして機能するフランジ14が一体的に突設されている。 各半割りカバー体11,12の内周面には、筒状カバー1と接続カバー2の接続方向に沿って長い条状のガタツキ防止部15が、周方向に沿って複数個(図2および図4の実施形態では2個ずつ)一体的に突設され、そのガタツキ防止部15の奥側端部近くには、筒状カバー1の挿入長さを規制するストッパ部16が、ガタツキ防止部15とほぼ直交する状態で周方向に沿って一体的に突設されている。 【0020】 つぎに、抜け止めクリップ7を使用して、筒状カバー1と接続カバー2を接続する施工手順およびその接続構造について、筒状カバー1とエルボカバー2aの接続を例にして説明する。 まず、配管類Cを挿入した状態で室内に配設の筒状カバー1を吊り金具5により天井に吊下げ保持させ、室外に配設の筒状カバー1については、一方の半割りカバー体3を固定金具6により壁Wに固定保持させ、配管類Cを挿入した状態で他方の半割りカバー体4を一方の半割りカバー体3に嵌合接続し、必要に応じて、両半割りカバー体3,4どうしを適宜手段により強固に接続する。 この他方の半割りカバー体4の嵌合接続の前または後に、一方の半割りカバー体3の上端部にクリップ7をひとつ取り付ける。すなわち、図4および図5に示すように、外側舌片8が半割りカバー体3の外側に位置し、内側舌片9が半割りカバー体3の内側に位置するようにクリップ7を取り付けるのであり、このクリップ7の取り付けは、ハの字状に開口している両舌片8,9の遊端部8b,9bによる案内作用で容易に行うことができる。 【0021】 その後、図2および図4に示すように、エルボカバー2aを構成する左右一対の半割りカバー体11,12を室内に配設の筒状カバー1と室外に配設の筒状カバー1とにわたって、それぞれの端部に外嵌接続して、両半割りカバー体11,12を連結金具13により連結固定する。 この連結固定状態では、施工精度上の困難性から、通常、図5の(a)に示すように、室外の筒状カバー1の上端部はストッパ部16にまで至っておらず、また、抜け止め部として機能する外側舌片8の遊端部8bとストッパとして機能するエルボカバー2aのフランジ14とは当接せず、遊端部8bとフランジ14との間には隙間がある。 ただし、エルボカバー2aの内周面に突設された複数個のガタツキ防止部15が、筒状カバー1の外周面とエルボカバー2aの内周面との間において周方向に介在するため、筒状カバー1とエルボカバー2aとの間でのガタツキは確実に防止され、また、クリップ7が抜け落ちようとしても、外側爪部8aと内側爪部9aが半割りカバー体3の外周面と内周面に食い込み勝手となるため、クリップ7の抜け落ちは確実に防止される。 【0022】 この連結固定状態において、例えば、地震や強風などによる何らかの外力に起因して筒状カバー1とエルボカバー2aが相対的に移動し、筒状カバー1がエルボカバー2a内に必要以上に入り込もうとすると、筒状カバー1の上端部がストッパ部16に当接して、それ以上の入り込みが防止される。 逆に、筒状カバー1とエルボカバー2aが抜け側へ相対移動すると、図5の(b)に示すように、外側舌片8の遊端部8bとエルボカバー2aのフランジ14が当接して、筒状カバー1とエルボカバー2aとの相対的な抜けが防止される。 しかも、その際、筒状カバー1とエルボカバー2aの相対的な抜け側への移動に伴って、図5の(b)に矢印で示すように、フランジ14から外側舌片8の遊端部8bに押圧力が加わり、その押圧力によって外側舌片8の外側爪部8aと内側舌片9の内側爪部9aのいずれか一方または両方が筒状カバー1の外周面と内周面のいずれか一方または両方に食い込むため、筒状カバー1とエルボカバー2aとの相対的な抜けは、より一層確実に防止されるのである。」 「図1 [図:0001423527000004.jpg] 図2 [図:0001423527000005.jpg] 」 「図4 [図:0001423527000006.jpg] 図5 [図:0001423527000007.jpg] 」 (2)上記記載から、甲2には次の技術的事項が記載されていると認められる。 ア 【0015】、【0016】の記載及び図4から、筒状カバー1は、軸方向に分割された半割りカバー体3と半割りカバー体4を嵌合接続することで、内部に配管類Cが配設される空間を形成している。また、図1から、筒状カバー1は、長尺であることが看て取れる。 イ 【0016】における「両半割りカバー3,4どうしが図外の適宜手段により互いに強固に接続される」との記載及び図4には抜け止めクリップ7が記載されていることから、筒状カバー1は、半割りカバー体3と半割りカバー体4が嵌合接続した状態を維持する、抜け止めクリップ7とは異なる適宜手段で強固に接続されていると理解される。 ウ 【0019】の記載及び図4~5から、エルボカバー2aは、半割りカバー体11及び12が互いに嵌合接続された筒状を成している。また、【0021】の記載及び図2、5から、エルボカバー2aは、筒状カバー1における抜け止めクリップ7が取り付けられた箇所に、抜け止めクリップ7の全部を内部に収容した状態で外嵌接続している。 エ 【0022】の記載及び図5から、エルボカバー2aには、前抜け止めクリップ7の外側舌片8の遊端部8bに当接することで、筒状カバー1の抜けが防止されるフランジ14が設けられている。 以上を総合すると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明1」という。)が記載されていると認められる。 [甲2発明1] 軸方向に分割された半割りカバー体3と半割りカバー体4を嵌合接続することで、内部に配管類Cが配設される空間を形成するための長尺の筒状カバー1と、 前記筒状カバー1は、半割りカバー体3と半割りカバー体4が嵌合接続した状態を維持する、抜け止めクリップ7とは異なる適宜手段と、 半割りカバー体11及び12が互いに嵌合接続された筒状を成し、前記筒状カバー1における前記抜け止めクリップ7が取り付けられた箇所に、前記抜け止めクリップ7の全部を内部に収容した状態で外嵌接続されるエルボカバー2aと、 から成り、 前記エルボカバー2aには、前記抜け止めクリップ7の外側舌片8の遊端部8bに当接することで、筒状カバー1の抜けが防止されるフランジ14が設けられている配管用カバー。 (3)甲2にはさらに、次の技術的事項が記載されていると認められる。 オ 【0016】の記載及び図4から、筒状カバー1には、半割りカバー体3と半割りカバー体4が嵌合接続した状態を維持する抜け止めクリップ7とは異なる適宜手段が取り付けられる。 カ 【0019】~【0022】の記載及び図4~5から、エルボカバー2aは、筒状カバー1の上端部に取り付けられた抜け止めクリップ7の全部を内部に収容した状態で外嵌接続されている。 キ 【0022】の記載及び図5から、エルボカバー2aは、エルボカバー2aに設けられたフランジ14の抜け止めクリップ7の外側舌片8の遊端部8bに対する当接により、筒状カバー1の抜けが防止される構造である。 以上を総合すると、甲2には、筒状カバー1とエルボカバー2aの接続構造に係る次の発明(以下「甲2発明2」という。)が記載されていると認められる。 [甲2発明2] 長尺の筒状カバー1は、軸方向に分割された半割りカバー体3と半割りカバー体4を嵌合接続することで、内部に配管類Cが配設される空間が形成され、当該筒状カバー1には、半割りカバー体3と半割りカバー体4が嵌合接続した状態を維持する、抜け止めクリップ7とは異なる適宜手段が取り付けられ、当該筒状カバー1の上端部に、前記筒状カバー1の上端部に取り付けられた前記抜け止めクリップ7の全部を内部に収容した状態でエルボカバー2aが外嵌接続され、 前記エルボカバー2aは、当該エルボカバー2aに設けられたフランジ14の前記抜け止めクリップ7の外側舌片8の遊端部8bに対する当接により、当該筒状カバー1の抜けが防止される構造である筒状カバー1とエルボカバー2aの接続構造。 また、甲2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。 [甲2記載の技術的事項] 抜け止めクリップ7の外側舌片8の遊端部8bに当接することで、筒状カバー1の抜けが防止されるフランジ14が設けられたエルボカバー2a。 3.甲3 (1)甲3には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。) 「【0033】 前記直管型配管カバー2は、径方向で二つ(複数の一例)に分割した半割筒状の一対の分割カバー体2A、2Bから構成されていて、配管支持具1により壁面Wに取付けた配管Pを包み込むように両分割カバー体2A、2Bを係着することで、配管Pを被覆する状態で配設し得るように構成されている。」 「【0043】 図3、図4、図8に示すように、前記エルボ型配管カバー3は、径方向で二つ(複数の一例)に分割した半割筒状の一対の分割カバー体3A、3Bから構成されていて、配管Pを包み込むように両分割カバー体を係着したのち、ビス等の固定手段(図示しない)で両分割カバー体3A、3Bを固定することにより、配管Pを被覆する状態で配設し得るように構成されている。 【0044】 前記エルボ型配管カバー3の端縁部の内面には、内嵌状態で接続された直管型配管カバー2の端部の外面に接当又は近接する第一リブ3a(凸部の一例)がエルボ型配管カバー3の開口端縁を形成する状態で一体形成されている。」 「【0049】 図5~図7に示すように、前記第二配管カバー取付け具6には、壁面W側の前記固定具5に取付け可能な構造体側取付け部10と、直管型配管カバー2の端部とエルボ型配管カバー3の端部との嵌合接続箇所に差し込まれた状態で該嵌合接続箇所に取付け可能なカバー側取付け部11とが備えられている。 【0050】 前記構造体取付け部10は、矩形板状に構成された基板部6Aの上半部から構成されている。当該基板部6Aの上半部には、前記固定具5の被取付け板部5bに対して前記固定手段18で固定連結するための挿通孔6aが貫通形成されている。 【0051】 また、前記カバー側取付け部11は、前記嵌合接続箇所における両配管カバー2、3の端部どうしの嵌合面間に差し込み可能で、且つ、その差し込み状態で該嵌合面間に係合し得るように、基板部6Aに直交する姿勢(基板部6Aに交差する姿勢の一例)で基板部6Aの下端部に突設された差し込み係合片6Bから構成されている。 【0052】 そのため、前記差し込み係合片6Bを両配管カバー2、3の嵌合接続箇所に差し込むだけの簡単な操作で前記差し込み係合片6Bを両配管カバー2、3の嵌合接続箇所に取付けることができる。」 「【0057】 当該第二配管カバー取付け具6には、前記差し込み係合片6Aの前記嵌合面間からの離脱移動を阻止する外れ止め手段12と、差し込み係合片6Aの前記嵌合面間への差し込み状態で両配管カバー2、3の端部どうしの嵌合接続箇所又はそれに連なる部位の外面に当接して該嵌合接続箇所に対する取付け姿勢を所定姿勢に保持する姿勢保持手段13とが備えられている。 【0058】 前記外れ止め手段12は、前記差し込み係合片6Aの基端寄り部位において、差し込み係合片6Aの基端側を遊端とする状態で上方側に切り起こし形成された弾性変形可能な左右一対の外れ止め片6bから構成されている。 【0059】 当該外れ止め片6bは、差し込み係合片6Bの前記嵌合面間への進入に連れて下方側に弾性変形してエルボ型配管カバー3の端部の内面に突設された第一リブ3a(凸部の一例)を乗り越え、且つ、第一リブ3aを乗り越えた後に弾性復元して起き姿勢となる。 【0060】 つまり、この外れ止め片6bは、差し込み係合片6Bの前記嵌合面間への差し込み移動を許しながら、差し込み移動後は第一リブ3aとの当接によって差し込み係合片6Aの前記嵌合面間からの離脱移動を阻止し得るように構成されている。 【0061】 前記姿勢保持手段13は、差し込み係合片6Bの差し込み係合状態でエルボ型配管カバー3の端部の外面に接当又は近接するように下端面と差し込み係合片6Bの上面部との間にエルボ型配管カバー3の端部の厚み分(端部の厚み分又はそれよりも大なる厚み分の一例)だけ隙間が生じる状態で基板部6Aの正面側に突設された左右一対の縦姿勢の正面側姿勢保持片6eと、差し込み係合片6Aの差し込み係合状態で直管型配管カバー2の端部の外面に接当又は近接するように下端面が差し込み係合片6Bの下端面と面一又は略面一となる状態で基板部6Aの背面側に突設された左右一対の縦姿勢の背面側姿勢保持片6fとから構成されている。」 「図3 [図:0001423527000008.jpg] 」 「図6 [図:0001423527000009.jpg] 」 「図9 [図:0001423527000010.jpg] 」 (2)上記記載から、甲3には次の技術的事項が記載されていると認められる。 [甲3記載の技術的事項] 第二配管カバー取付け具6を配管カバー2、3の端部どうしの嵌合接続箇所に差し込んだ状態において、第二配管カバー取付け具6の外れ止め片6bに当接することで、差し込み係合片6Aの嵌合面間からの離脱移動を阻止する第一リブ3aが設けられたエルボ型配管カバー3。 4.甲4 (1)甲4には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。) 「〔実施例〕 次に、図面を参照しながら本考案の実施例を示す。 第3図及び第4図に示すように、端末部材(1)は、空調装置の室内器(A)と室外器(B)との間に亘る空調配管(C)のうち、建物の外壁(W)に沿う上下姿勢の部分に対する配管カバー(2)の下側端末部(3)に外嵌して取り付けられる。尚、第1図及び第3図に示すように、配管カバー(2)は2分割され、それらどうしを互いに嵌合させることが可能である。 前記配管カバー(2)は、断面略8角形形状を呈し、その外周にカバー固定具取付用の溝(4)を配管カバー(2)の長手方向(以下、「長手方向」とする)に沿って形成してある。図中(5)は、前記溝(4)に嵌入してこの溝(4)内での位置を保持される嵌入部材である。この嵌入部材(5)は、軟質樹脂で形成してあり、前記溝(4)に圧入することにより、溝(4)から配管カバー(2)内への雨水等の侵入を防止する。 前記端末部材(1)は、第1図乃至第3図に示すように、前記端末部(3)の外形形状に沿ってこの端末部(3)に外嵌する取付部(6)と、前記配管カバー(2)に対する取付部(6)から前記長手方向に沿って下側に進むに従って漸次縮径する縮径部(7)とからなり、縮径部(7)の下端に空調配管導出用の出口(8)を開口してある。この端末部材(1)は、その全体を前記配管カバー(2)の径方向に2分割した第1分割体(9)と第2分割体(10)とよりなり、これら各分割体(9),(10)の接合面には、相互に嵌合する嵌合突起(11)と嵌合凹部(12)とを夫々設けてある。各分割体(9),(10)には、それらの取付部(6)より外方に向かってフランジ(13)を突出させてあり、これらのフランジ(13)及びネジ(14)を介して2つの分割体(9),(10)を相互に連結するように構成してある。 前記各分割体(9),(10)における取付部(6)の内周面には、前記溝(4)内に嵌入した嵌入部材(5)に対して接当する第1、第2接当突起(15),(16)を設けてある。第1接当突起(15)は、取付部(6)の配管カバー(2)に対する取付時において前記溝(4)内に進入可能に形成してあり、前記嵌入部材(5)に対して接当して長手方向の下側への前記端末部材(1)の移動を阻止する接当手段たる接当部(15a)を備えている。すなわち、この接当突起部(15a)は、前記長手方向で前記端末部(3)より離れる側への移動を阻止する。又、第2接当突起(16)は、前記第1接当突起(15)よりも前記空調配管用の出口(8)に近い位置に、嵌入部材(5)の前記長手方向に対する長さとほぼ同程度の距離だけ第1接当突起(15)の接当部(15a)から離隔させて設けてあり、嵌入部材(5)との接当により、前記端末部(3)に対する端末部材(1)の押し込み方向への移動を阻止させてある。」 「第2図 [図:0001423527000011.jpg] 第3図 [図:0001423527000012.jpg] 」 (2)上記記載から、甲4には次の技術的事項が記載されていると認められる。 [甲4記載の技術的事項] 配管カバー(2)の外周の溝(4)に嵌入して、溝(4)内での位置を保持される嵌入部材(5)に対して接当することで、長手方向の下側への端末部材(1)の移動を阻止する第1接当突起(15)と、第1接当突起(15)から離隔させて設けてあり、嵌入部材(5)との接当により、端末部材(1)の押し込み方向への移動を阻止する第2接当突起(16)が設けられた端末部材(1)。 5.甲5 (1)甲5には、次の記載がある(下線は、当審が付したもの。) 「【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 互いに係合連結自在な一対の空調配管用半割カバーを、壁面に取付けてある空調配管用カバーの取付け構造に関する。」 「第1図及び第2図に示すように、前記カバー1は、硬質塩化ビニール樹脂などの耐候性、耐衝撃性に勝れた硬質樹脂から角筒型で、断面視ほぼ八角形に形成されると共に周方向に二分割し、その両半割カバー1A,1Bの開口部に沿つた両側縁部には夫々、両者開口部を互いに相対向させた状態でこれら両半割カバー1A,1B相対的に近接移動させ、一方の半割カバー1A側の開口部の両側対向壁部を内方に弾性変位させて相対的に離間移動させることによつて弾性的に係合連結ならびに分離自在な弾性係合部1Aa,1Aa,1Ba,1Baを一体に形成してあり、また、一対の半割カバー1A夫々の外周壁には、その長さ方向に沿う凹部12を左右両側に一体形成し、取付け具4に対する係合連結部6を構成してある。」 「また、前記凹部12には、互いに係合連結状態の一対の半割カバー1A,1Bに対するカバー外れ止め部材20の両端部分に形成した係止部20A,20Aの一方が係止できる被係止部分12Aを形成してあり、互いに係合しあう半割カバー1A,1Bの左右一方側の両凹部12,12間にたつて、カバー外れ止め部材20を係止させて両半割カバー1A,1Bの離脱を一層強固に阻止するように構成してある。」 「 [図:0001423527000013.jpg] 」 (2)上記記載から、甲5には次の技術的事項が記載されていると認められる。 [甲5記載の技術的事項] 互いに係合しあう半割カバー1A,1Bの左右一方側の両凹部12、12間にわたって係止され、両半割カバー1A,1Bの離脱を阻止するように構成されたカバー外れ止め部材20。 6.甲6~8 甲6~8は、本件発明7の「側方開口」に関するものとして提示されたものであり、その摘記は省略する。 第5 当審の判断 1 甲1を主引例とする場合 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明1とを対比する。 (ア)甲1発明1の「長手方向」は本件発明1の「軸方向」に相当し、甲1発明の「長手方向に分割されたカバー分割体11とカバー分割体12を嵌め合わせて合体させること」は本件発明1の「軸方向に連続する分断開口を閉じること」に相当し、甲1発明1の「内部に配管30を挿通する空間を形成する」という事項は本件発明1の「内部に配線・配管材の配設経路を形成する」という事項に相当し、甲1発明1の「筒状体の配管カバー10」は本件発明1の「長尺筒状の保護カバー」に相当する。 (イ)本件発明1の「外部に」「取付けられて」という事項は、維持部材が保護カバーの外部「のみ」に取り付けられることまでは限定しておらず、外部と内部の両方に取付けられている場合を含むから、甲1発明1の「合体部端部17の表裏から挟着し」という事項は、本件発明1の「外部に」「取付けられて」という事項に相当する。 また、甲1発明1の「配管カバー10の表面に切り起こし爪25が食い込むことで、」という事項は本件発明1の「移動不能に取付けられて、」という事項に相当し、甲1発明1の「カバー分割体11及び12がずれたり外れたりするのを防いでいる」という事項は、本件発明1の「前記分断開口の閉塞状態を維持する」という事項に相当し、甲1発明1の「挟着部品20」は本件発明1の「維持部材」に相当する。 (ウ)甲1発明1の「配管カバー10における挟着部品20が挟着された端部を覆う」という事項は本件発明1の「前記保護カバーにおける前記維持部材が取付けられた箇所に、当該維持部材の一部又は全部を内部に収容した状態で外嵌される」という事項に相当し、甲1発明1の「継手用カバー」は本件発明1の「外嵌部材」に相当する。 (エ)甲1発明1の「分割式空調用配管カバー」は本件発明1の「保護カバー装置」に相当する。 以上を総合すると、甲1発明1と本件発明1とは以下の一致点で一致し、また以下の相違点で相違する。 [一致点] 軸方向に連続する分断開口を閉じることで、内部に配線・配管材の配設経路を形成するための長尺筒状の保護カバーと、 前記保護カバーの外部に移動不能に取付けられて、前記分断開口の閉塞状態を維持する維持部材と、 前記保護カバーにおける前記維持部材が取付けられた箇所に、当該維持部材の一部又は全部を内部に収容した状態で外嵌される外嵌部材と、 から成る、 保護カバー装置。 [相違点1] 本件発明1の外嵌部材は、「軸方向に複数に分割された各分割体が互いに組み付けられて筒状を成し」ているのに対して、甲1発明1の継手用カバーは、そのような分割体が互いに組み付けられたものであるか明らかではない点。 [相違点2] 本件発明1は、「前記外嵌部材には、前記維持部材における当該外嵌部材に収容された箇所に当接することで、前記保護カバーに対する抜け出しが規制されるか、又は当該保護カバーの軸方向両側への移動が規制される位置決め部が設けられている」のに対して、甲1発明1の継手用カバーは、かかる構造を有しているか明らかではない点。 イ 判断 事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。 甲2には、「エルボカバー2aには、抜け止めクリップ7の外側舌片8の遊端部8bに当接することで、筒状カバー1の抜けが防止されるフランジ14が設けられている」ことが記載されている。しかし、筒状カバー1の嵌合状態を維持する適宜手段と、筒状カバー1がエルボカバー2aから抜けることを防止する抜け止めクリップ7とは異なる部材である。 甲3には、「第二配管カバー取付け具6を配管カバー2、3の端部どうしの嵌合接続箇所に差し込んだ状態において、第二配管カバー取付け具6の外れ止め片6bに当接することで、差し込み係合片6Aの嵌合面間からの離脱移動を阻止する第一リブ3aが設けられたエルボ型配管カバー3」が記載されている。しかし、第一リブ3aが当接する第二配管カバー取付け具6は、直管型配管カバー2を構成する分割カバー体2A、2Bの係着状態を維持するものではない。 甲4には、「配管カバー(2)の外周の溝(4)に嵌入して、溝(4)内での位置を保持される嵌入部材(5)に対して接当することで、長手方向の下側への端末部材(1)の移動を阻止する第1接当突起(15)と、第1接当突起(15)から離隔させて設けてあり、嵌入部材(5)との接当により、端末部材(1)の押し込み方向への移動を阻止する第2接当突起(16)が設けられた端末部材(1)」が記載されている。しかし、第1接当突起(15)及び第2接当突起(16)に接当する嵌入部材(5)は、配管カバー(2)の外周の溝(4)に嵌入されて保持されるものであり、配管カバー(2)の分断開口の閉塞状態を維持するものではない。 すなわち、甲2~甲4には、保護カバーに対する抜け出しが規制されるか、又は当該保護カバーの軸方向両側への移動が規制される位置決め部は記載されているものの、これらの位置決め部は、保護カバーの分断開口の閉塞状態を維持する「維持部材における当該外嵌部材に収容された箇所に当接することで」規制するものではない。また、保護カバーの分断開口の閉塞状態を維持する維持部材と、保護カバーの抜け出しや移動を規制する位置決め部とを兼用する技術的思想はいずれの証拠にも記載されていない。 そうすると、仮に甲1発明1に甲2記載の技術的事項を適用できたとしても、甲1発明1においてカバー分割体11及び12がずれたり外れたりするのを防いでいる挟着部品20とは別に、甲2記載の技術的事項である抜け止めクリップ7を設けることになる。甲3~4に記載の技術的事項を適用する場合も同様である。 したがって、甲1発明1に甲2~4記載の技術的事項を適用しても、相違点2に係る本件発明1の構成とはならない。 また、甲1の【0014】には、「挟着部品が挟着されるカバー分割体の端部は、チーズやエルボなどの他の継手用カバー等で覆われる部分であるため、取り付けられた挟着部品が露出することが少なく美観的にも優れている。」との記載があるが、この記載は、挟着部品が挟着されるカバー分割体の端部を継手用カバーで覆うことを述べているに過ぎず、配管カバー10に対する継手用カバーの抜け出し又は配管カバー10の長手方向両側への移動といった課題を示唆するものではないから、そもそも甲1発明1において、挟着部品20に当接することで配管カバー10に対する継手用カバーの抜け出しが規制されるか又は配管カバー10の長手方向両側への移動が規制される位置決め部を継手用カバーに設けようとする動機付けもない。 以上のことから、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項は、甲1発明1及び甲2~4記載の技術的事項から当業者が容易に想到し得たものではない。 よって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明1及び甲2~4記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 申立人の主張について 申立人は、特許異議申立書において、「甲第2号証記載の抜け止め技術は、本件特許発明1の構成Dに対応するものである」と主張する(第39頁第20~21行)。 しかし、本件特許発明1の構成Dにおける「位置決め部」は、前記保護カバーの外部に移動不能に取付けられて、前記分断開口の閉塞状態を維持する「維持部材における当該外嵌部材に収容された箇所に当接することで、前記保護カバーに対する抜け出しが規制されるか、又は当該保護カバーの軸方向両側への移動が規制される」ものである。一方、甲2記載の技術的事項である「フランジ14」は、抜け止めクリップ7に当接するものであって、筒状カバー1の一方の半割りカバー体3と他方の半割りカバー体4が嵌合接続した状態を維持する適宜手段(本件発明1の「維持部材」)に当接するものではないから、構成Dに対応するものではない。 また、申立人は、特許異議申立書において、「保護カバーとその保護カバーの端部に外嵌接続される配管用の外嵌部材との相対的な抜けを防止することは、当該技術分野で一般的な課題又は当業者が容易に着想できる課題である。このように、甲1発明に対して甲第2号証記載の抜け止め技術を適用する十分な動機付けが存在している。よって、甲1発明に甲第2号証記載の抜け止め技術を適用し、甲1発明の外嵌部材(継手用カバー)に甲第2号証の位置決め部(フランジ14やストッパ部16)を設け、相違点に係る本件特許発明1の構成Dとすることは当業者であれば容易に想到し得たことである。」との主張(第40頁第3~12行)、及び、「『保護カバーとその保護カバーの端部に外嵌接続される配管用の外嵌部材との相対的な抜けを防止するにあたり、外嵌部材に、保護カバーと外嵌部材の間に収容される部材(甲第2号証のクリップ7、甲第3号証の第二配管カバー取付け具6の差し込み係合片6A)に当接することで、保護カバーに対する抜け出しを規制する位置決め部(甲第2号証のフランジ14、甲第3号証の第一リブ3a)を設けること』は、この種の技術分野における周知技術である。ここで、上記周知技術は、甲1発明と同一の技術分野に属する技術である。また、前述のとおり、保護カバーとその保護カバーの端部に外嵌接続される配管用の外嵌部材との相対的な抜けを防止することは、当該技術分野で一般的な課題又は当業者が容易に着想できる課題である。よって、甲1発明に対して上記周知技術を適用する十分な動機付けが存在している。よって、甲1発明の外嵌部材(継手用カバー)に対して上記の周知技術を適用し、相違点に係る本件特許発明1の構成Dとすることも当業者であれば容易に想到し得たことである。」との主張(第41頁第3~18行)をしている。 しかし、上記イで検討したとおり、保護カバーの分断開口の閉塞状態を維持する維持部材と、保護カバーの抜け出しや移動を規制する位置決め部とを兼用する技術的思想はいずれの証拠にも記載されていないから、仮に甲1発明1の継手用カバーに対して、申立人が主張する甲2~4記載の技術的事項を適用できたとしても、甲1発明1においてカバー分割体11及び12がずれたり外れたりするのを防いでいる挟着部品20とは別に、甲2記載の技術的事項である抜け止めクリップ7を設けることになり、本件特許発明1の構成D(相違点2)とはならない。 したがって、申立人の主張は採用できない。 (2)本件発明2~10について 本件発明2~10は、本件発明1の相違点2に係る構成を含むものであるから、上記(1)で検討したとおり、甲1発明1及び甲2~4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明11について ア 対比 本件発明11と甲1発明2とを対比する。 (ア)甲1発明2の「筒状体の配管カバー10」は本件発明11の「長尺筒状の保護カバー」に相当し、甲1発明2の「長手方向に分割されたカバー分割体11とカバー分割体12を嵌め合わせて合体させることで、」という事項は、本件発明11の「軸方向に連続する分断開口を閉じることで、」という事項に相当し、甲1発明2の「内部に配管30を挿通するための空間が形成され、」という事項は本件発明11の「内部に配線・配管材の配設経路が形成され、」という事項に相当する。 (イ)甲1発明2の「カバー分割体11及び12がずれたり外れたりするのを防ぐための」という事項は本件発明11の「その分断開口を閉じた状態を維持するための」という事項に相当し、甲1発明2の「挟着部品20」は本件発明11の「維持部材」に相当し、甲1発明2の「挟着され」という事項は本件発明11の「取着され」という事項に相当する。 (ウ)甲1発明2の「当該配管カバー10の下端側の合体部端部17に、」という事項は本件発明11の「当該保護カバーの端部、又はその途中に、」という事項に相当する。また、甲1発明2の「当該配管カバー10の下端側の合体部端部17に挟着された前記挟着部品20を覆う状態で」継手用カバーが「連結され」という事項は本件発明11の「当該保護カバーの各位置に取着された前記維持部材の全部又は一部を内部に収容した状態で」外嵌部材が「外嵌され」という事項に相当し、甲1発明2の「継手用カバー」は本件発明11の「外嵌部材」に相当する。 (エ)甲1発明2の「分割式空調用配管カバーの合体固定構造」は本件発明11の「保護カバーに対する外嵌部材の位置決め構造」に相当する。 以上を総合すると、甲1発明2と本件発明11とは以下の一致点で一致し、また以下の相違点で相違する。 [一致点] 長尺筒状の保護カバーは、軸方向に連続する分断開口を閉じることで、内部に配線・配管材の配設経路が形成され、当該保護カバーには、その分断開口を閉じた状態を維持するための維持部材が取着され、当該保護カバーの端部に、当該保護カバーの端部に取着された前記維持部材の全部又は一部を内部に収容した状態で外嵌部材が外嵌された保護カバーに対する連結部材の構造。 [相違点3] 本件発明11は、「前記保護カバーの端部からの流体管の引き出し、当該端部の閉塞、或いは当該保護カバーの途中からの流体管の分岐配管のために、」「外嵌部材が外嵌され」るのに対して、甲1発明2は、配管カバー10の端部からの配管30の引き出し、端部の閉塞、配管カバー10からの配管30の分岐配管のために、継手用カバーが外嵌されるか明らかではない点。 [相違点4] 外嵌部材に関して、本件発明11は、「当該外嵌部材に設けられた位置決め部の前記維持部材に対する当接により、前記保護カバーの軸方向両側への移動、又は当該保護カバーからの抜け出しが規制される構造」であるのに対して、甲1発明2の継手用カバーは、かかる構造を有しているか明らかではない点。 イ 判断 事案に鑑み、まず、相違点4について検討する。 上記(1)イで検討したとおり、甲2~甲4には、保護カバーに対する抜け出しが規制されるか、又は当該保護カバーの軸方向両側への移動が規制される位置決め部は記載されているものの、これらの位置決め部は、保護カバーの分断開口の閉塞状態を維持する「維持部材における当該外嵌部材に収容された箇所に当接することで」規制するものではない。 また、保護カバーの分断開口の閉塞状態を維持する維持部材と、保護カバーの抜け出しや移動を規制する位置決め部とを兼用する技術的思想はいずれの証拠にも記載されていない 。 そうすると、仮に甲1発明2に甲2記載の技術的事項を適用できたとしても、甲1発明2においてカバー分割体11及び12がずれたり外れたりするのを防いでいる挟着部品20とは別に、甲2記載の技術的事項である抜け止めクリップ7を設けることになる。甲3~4に記載の技術的事項を適用する場合も同様である。 したがって、甲1発明2に甲2~4記載の技術的事項を適用しても、相違点2に係る本件発明1の構成とはならない。 また、甲1発明2において、挟着部品20に当接することで配管カバー10に対する継手用カバーの抜け出しが規制されるか又は配管カバー10の長手方向両側への移動が規制される位置決め部を継手用カバーに設けようとする動機付けもない。 以上のことから、上記相違点4に係る本件発明11の発明特定事項は、甲1発明2及び甲2~4記載の技術的事項から当業者が容易に想到し得たものではない。 よって、他の相違点3及び5について検討するまでもなく、本件発明11は、甲1発明2及び甲2~4記載の技術的事項から当業者が容易に想到し得たものではない。 2 甲2を主引例とする場合 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲2発明1とを対比する。 (ア)甲2発明1の「軸方向に分割された半割りカバー体3と半割りカバー体4を嵌合接続すること」は本件発明1の「軸方向に連続する分断開口を閉じること」に相当し、甲2発明1の「内部に配管類Cが配設される空間を形成する」という事項は本件発明1の「内部に配線・配管材の配設経路を形成する」という事項に相当し、甲2発明1の「長尺の筒状カバー1」は本件発明1の「長尺筒状の保護カバー」に相当する。 (イ)甲2発明1の「半割りカバー体3と半割りカバー体4が嵌合接続した状態を維持する」という事項は、半割りカバー体3及び4の軸方向に連続する開口を閉じることになるから、本件発明1の「前記分断開口の閉塞状態を維持する」という事項に相当し、甲2発明1の「抜け止めクリップ7とは異なる適宜手段」は本件発明1の「維持部材」に相当する。 (ウ)甲2発明1の「半割りカバー体11及び12」は本件発明1の「軸方向に複数に分割された各分割体」に相当し、甲2発明1の「嵌合接続された筒状を成し、」という事項は本件発明1の「組み付けられて筒状を成し」という事項に相当する。 また、甲2発明1の「全部を内部に収容した状態」は本件発明1の「一部又は全部を内部に収容した状態」に相当し、甲2発明1の「外嵌接続される」という事項は本件発明1の「外嵌される」という事項に相当し、甲2発明1の「エルボカバー2a」は本件発明1の「外嵌部材」に相当する。 また、甲2発明1の「筒状カバー1の抜けが防止される」という事項は本件発明1の「前記保護カバーに対する抜け出しが規制される」という事項に相当し、甲2発明1の「フランジ14」は本件発明1の「位置決め部」に相当する。 したがって、甲2発明1の「前記筒状カバー1における抜け止めクリップ7が取り付けられた箇所に、前記抜け止めクリップ7の全部を内部に収容した状態で外嵌接続されるエルボカバー2a」であって、「前記抜け止めクリップ7の外側舌片8の遊端部8bに当接することで、筒状カバー1の抜けが防止されるフランジ14が設けられている」「前記エルボカバー2a」は、本件発明1の「軸方向に複数に分割された各分割体が互いに組み付けられて筒状を成し、前記保護カバーにおける前記維持部材が取付けられた箇所に、当該維持部材の一部又は全部を内部に収容した状態で外嵌される外嵌部材」であって「前記維持部材における当該外嵌部材に収容された箇所に当接することで、前記保護カバーに対する抜け出しが規制されるか、又は当該保護カバーの軸方向両側への移動が規制される位置決め部が設けられている」「前記外嵌部材」との対比において、「軸方向に複数に分割された各分割体が互いに組み付けられて筒状を成し、前記保護カバーにおける抜け止め部材が取付けられた箇所に、当該抜け止め部材の一部又は全部を内部に収容した状態で外嵌される外嵌部材」であって「前記抜け止め部材における当該外嵌部材に収容された箇所に当接することで、前記保護カバーに対する抜け出しが規制される位置決め部が設けられている」「前記外嵌部材」である限りにおいて一致する。 (エ)甲2発明1の「配管用カバー」は本件発明1の「保護カバー装置」に相当する。 以上を総合すると、甲2発明1と本件発明1とは以下の一致点で一致し、また以下の相違点で相違する。 [一致点] 軸方向に連続する分断開口を閉じることで、内部に配線・配管材の配設経路を形成するための長尺筒状の保護カバーと、 前記分断開口の閉塞状態を維持する維持部材と、 軸方向に複数に分割された各分割体が互いに組み付けられて筒状を成し、前記保護カバーにおける抜け止め部材が取付けられた箇所に、当該抜け止め部材の一部又は全部を内部に収容した状態で外嵌される外嵌部材と、 から成り、 前記外嵌部材には、前記抜け止め部材における当該外嵌部材に収容された箇所に当接することで、前記保護カバーに対する抜け出しが規制される位置決め部が設けられている保護カバー装置。 [相違点5] 維持部材に関して、本件発明1は、「保護カバーの外部に移動不能に取付けられて」いるのに対して、甲2発明1の適宜手段は、保護カバーの外部に移動不能に取付けられているか明らかではない点。 [相違点6] 「抜け止め部材」に関し、本件発明1では保護カバーの分断開口の閉塞状態を維持する「維持部材」であるのに対し、甲2発明1では「抜け止めクリップ7」であって、筒状カバー1の半割りカバー体3と半割りカバー体4が嵌合接続した状態を維持する適宜手段ではない点。 イ 判断 事案に鑑み、まず、相違点6について検討する。 甲1には、「配管カバー10の表面に切り起こし爪25が食い込んで合体部端部17の表裏から挟着し、カバー分割体11及び12がずれたり外れたりするのを防いでいる挟着部品20」が記載されている。しかし、挟着部品20は、継手用カバーの抜け出しを規制するものではない。 甲3には、「第二配管カバー取付け具6を配管カバー2、3の端部どうしの嵌合接続箇所に差し込んだ状態において、第二配管カバー取付け具6の外れ止め片6bに当接することで、差し込み係合片6Aの嵌合面間からの離脱移動を阻止する第一リブ3aが設けられたエルボ型配管カバー3」が記載されている。しかし、第一リブ3aが当接する第二配管カバー取付け具6は、直管型配管カバー22を構成する分割カバー体2A、2Bの係着状態を維持するものではない。 甲5には、「両半割カバー1A,1Bの離脱を阻止するように構成されたカバー外れ止め部材20。」が記載されている。しかし、カバー外れ止め部材20は、曲がりカバー3のカバー1に対する移動を規制するものではない。 すなわち、甲1や甲5には、保護カバーの分断開口の閉塞状態を維持する維持部材は記載されているものの、これらの維持部材は、外嵌部材に対する保護カバーの抜け出しや移動を規制するものではない。また、保護カバーの分断開口の閉塞状態を維持する維持部材と、保護カバーの抜け出しや移動を規制する位置決め部とを兼用する技術的思想はいずれの証拠にも記載されていない 。 そうすると、仮に甲2発明1に甲1記載の挟着部品20を適用できたとしても、甲2発明1における「適宜手段」が甲1記載の「挟着部品20」となることに留まり、これとは別に「抜け止めクリップ7」が設けられることに変わりはない。甲2発明1に甲5記載の技術的事項を適用する場合も同様である。 したがって、保護カバーの分断開口の閉塞状態を維持する「維持部材」が、保護カバーに対する抜け出しや保護カバーの軸方向両側への移動を規制する「位置決め部」を兼ねることを特定している上記相違点7に係る本件発明1の発明特定事項は、甲2発明1及び甲1、3、5記載の技術的事項から当業者が容易に想到し得たものではない。 よって、相違点5について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明1及び甲1、3、5記載の技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 申立人の主張について 申立人は、特許異議申立書において、「保護カバー(カバー1)の外部に移動不能に取付けられる維持部材により分断開口の閉塞状態を維持することは、当該技術分野で一般的な課題又は当業者が容易に着想できる課題である。このように、甲2発明に対して、甲第1号証記載の閉塞状態維持技術を適用する十分な動機付けが存在している。よって、甲2発明に甲第1号証記載の閉塞状態維持技術を適用することは、当業者であれば容易になし得たことであり、また、甲2発明の規制部材(クリップ7)に対して、第1号証記載の閉塞状態維持技術を適用するにあたり、部品の多機能化(例えば甲第3号証の第二配管カバー取付け具6など)も極一般的な課題であるので、甲2発明に甲第1号証記載の閉塞状態維持技術を適用する際、甲2発明における保護カバーの外部に移動不能に取付けられて外嵌部材に収容される金属製の規制部材(クリップ7)に対して、同じく保護カバーの外部に移動不能に取付けられて外嵌部材に収容される甲第1号証記載の金属製の維持部材(挟着部品20)の閉塞状態維持技術を適用し、相違点に係る本件特許発明1の構成Bとすることも当業者であれば容易に想到し得たことである。」と主張している(43頁第25行~44頁第13行)。 しかし、甲2発明1は、筒状カバー1の半割りカバー体3と半割りカバー体4を嵌合接続した状態を維持する、抜け止めクリップ7とは異なる適宜手段を備えているから、甲2発明1に甲1記載の閉塞状態維持技術を適用することができたとしても、両半割りカバー体どうしの閉塞状態維持という同じ機能を有する、甲2発明1の、上記抜け止めクリップ7とは異なる適宜手段として、甲1記載の挟着部材20を採用するのが自然であって、甲2発明1において、両半割りカバー3、4どうしを互いに強固に接続する上記適宜手段とは別の部材である、抜け止めクリップ7に甲1記載の技術的事項を適用する動機付けはない。 その上、部品の多機能化は一般的な課題ではあるが、保護カバーの分断開口の閉塞状態を維持する維持部材と、保護カバーの抜け出しや移動を規制する位置決め部とを兼用する技術的思想はいずれの証拠にも記載されておらず、周知技術であるともいえない。 したがって、申立人の主張は採用できない。 (2)本件発明2~10について 本件発明2~10は、本件発明1の相違点7に係る構成を含むものであるから、上記(1)で検討したとおり、甲2発明1及び甲1、3、5記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明11について ア 対比 本件発明11と甲2発明2とを対比する。 (ア)甲2発明2の「長尺の筒状カバー1」は本件発明11の「長尺筒状の保護カバー」に相当し、甲2発明2の「軸方向に分割された半割りカバー体3と半割りカバー体4を嵌合接続すること」は本件発明11の「軸方向に連続する分断開口を閉じること」に相当し、甲2発明2の「内部に配管類Cが配設される空間が形成され、」という事項は本件発明11の「内部に配線・配管材の配設経路が形成され、」という事項に相当する。 (ウ)甲2発明2の「半割りカバー体3と半割りカバー体4が嵌合接続した状態を維持する」という事項は本件発明11の「その分断開口を閉じた状態を維持する」という事項に相当し、甲2発明2の「抜け止めクリップ7とは異なる適宜」は本件発明11の「維持部材」に相当する。 また、甲2発明2の「取り付けられ、」という事項は、本件発明11の「取着され、」という事項に相当する。 (エ)甲2発明2の「当該筒状カバー1の上端部に、」という事項は本件発明11の「当該保護カバーの端部、又はその途中に、」という事項に相当し、甲2発明2の「前記筒状カバー1の上端部に取り付けられた」という事項は本件発明11の「当該保護カバーの各位置に取着された」という事項に、甲2発明2の「全部を内部に収容した状態」は本件発明11の「全部又は一部を内部に収容した状態」に相当し、甲2発明2の「エルボカバー2a」は本件発明11の「外嵌部材」に相当し、甲2発明2の「外嵌接続され、」という事項は本件発明11の「外嵌され」という事項に相当する。 さらに、甲2発明2の「当該筒状カバー1の端部に」「エルボカバー2aが外嵌接続され、」るという事項は、エルボカバー2aは、筒状カバー1と他の筒状カバー1との間の配管類Cをカバーするために、筒状カバー1に外嵌接続されているから、本件発明11の「前記保護カバーの端部からの流体管の引き出しのために、」「当該保護カバーの端部に、」「外嵌部材が外嵌され」るという事項に相当する。 したがって、甲2発明2の「当該筒状カバー1の上端部に、前記筒状カバー1の上端部に取り付けられた抜け止めクリップ7の全部を内部に収容した状態でエルボカバー2aが外嵌接続され」という事項は、本件発明11の「当該保護カバーの各位置に取着された前記維持部材の全部又は一部を内部に収容した状態で」という事項との対比において、「当該保護カバー1の各位置に取着された抜け止め部材の全部又は一部を内部に収容した状態で」という事項の限りにおいて一致する。 (オ)甲2発明2の「フランジ14」は本件発明11の「位置決め部」に相当する。したがって、甲2発明2の「前記エルボカバー2aは、当該エルボカバー2aに設けられたフランジ14の前記抜け止めクリップ7の外側舌片8の遊端部8bに対する当接により、当該筒状カバー1の抜けが防止される構造である」という事項は本件発明11の「前記外嵌部材は、当該外嵌部材に設けられた位置決め部の前記維持部材に対する当接により、前記保護カバーの軸方向両側への移動、又は当該保護カバーからの抜け出しが規制される構造である」という事項との対比において、「前記外嵌部材は、当該外嵌部材に設けられた位置決め部の抜け止め部材に対する当接により、当該保護カバーからの抜け出しが規制される構造である」という事項の限りにおいて一致する。 (カ)甲2発明2の「筒状カバー1とエルボカバー2aの接続構造」は、本件発明11の「保護カバーに対する外嵌部材の位置決め構造」に相当する。 以上を総合すると、甲2発明2と本件発明11とは以下の一致点で一致し、また以下の相違点で相違する。 [一致点] 長尺筒状の保護カバーは、軸方向に連続する分断開口を閉じることで、内部に配線・配管材の配設経路が形成され、当該保護カバーには、その分断開口を閉じた状態を維持するための維持部材が取着され、前記保護カバーの端部からの流体管の引き出しのために、当該保護カバーの端部に、当該保護カバーの各位置に取着された抜け止め部材の全部又は一部を内部に収容した状態で外嵌部材が外嵌され、 前記外嵌部材は、当該外嵌部材に設けられた位置決め部の前記抜け止め部材に対する当接により、当該保護カバーからの抜け出しが規制される構造である、保護カバーに対する外嵌部材の位置決め構造。 [相違点7] 「抜け出し防止部材」の全部又は一部を内部に収容した状態という事項に関し、本件発明11は、「維持部材」の全部又は一部を内部に収容しているのに対して、甲2発明2は、「抜け止めクリップ7」の全部又は一部を内部に収容している点。 [相違点8] 前記外嵌部材は、当該外嵌部材に設けられた位置決め部の「抜け止め部材」に対する当接により、当該保護カバーからの抜け出しが規制される構造に関し、本件発明11は、外嵌部材は、当該外嵌部材に設けられた位置決め部の「前記維持部材」に対する当接により保護カバーからの抜け出しが規制される構造であるのに対して、甲2発明2は、エルボカバー2aは、当該エルボカバー2aに設けられたフランジ14の「抜け止めクリップ7の外側舌片8の遊端部8b」に対する当接により、筒状カバー1の抜けが防止される構造である点。 イ 判断 相違点8について検討する 上記(1)イで検討したとおり、甲1や甲5には、保護カバーの分断開口の閉塞状態を維持する維持部材は記載されているものの、これらの維持部材は、外嵌部材に対する保護カバーの抜け出しや移動を規制するものではない。また、保護カバーの分断開口の閉塞状態を維持する維持部材と、保護カバーの抜け出しや移動を規制する位置決め部とを兼用する技術的思想はいずれの証拠にも記載されていない 。 そうすると、仮に甲2発明2に甲1記載の挟着部品20を適用できたとしても、甲2発明2における「適宜手段」が甲1記載の「挟着部品20」となることに留まり、これとは別に「抜け止めクリップ7」が設けられることに変わりはない。甲2発明2に甲5記載の技術的事項を適用する場合も同様である。 したがって、保護カバーの分断開口の閉塞状態を維持する「維持部材」が、保護カバーに対する抜け出しや保護カバーの軸方向両側への移動を規制する「位置決め部」を兼ねることを特定している上記相違点9に係る本件発明11の発明特定事項は、甲2発明2及び甲1、3、5記載の技術的事項から当業者が容易に想到し得たものではない。 よって、相違点8について検討するまでもなく、本件発明11は、甲2発明2及び甲1、3、5記載の技術的事項から当業者が容易に想到し得たものではない。 第6 むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~11に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701177

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