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特許異議申立

2024-700533

保護カバー接続体、接続用カバー部材、及びケーブル配線構造

審判番号
2024-700533
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-026938
登録番号
7391712
請求日
2024年06月05日
審決日
2024年09月30日
公報発行日
2024年11月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】未来工業株式会社
  • 【異議申立人】西尾 道子
審判長/審判官
  • 審判長 林 毅
  • 審判官 山崎 慎一
  • 審判官 吉田 美彦
分類
P1652.121-Y (H02G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7391712号発明「保護カバー接続体、接続用カバー部材、及びケーブル配線構造」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7391712号の請求項2ないし9、11ないし12に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7391712号の請求項2~9、11~12に係る特許についての出願は、令和2年2月20日に出願され、令和5年11月27日にその特許権の設定登録がされ、令和5年12月5日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年6月5日に特許異議申立人西尾道子(以下、「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 第2 本件特許発明 特許第7391712号の請求項2~9、11~12に係る特許に係る発明(以下、「本件特許発明2」~「本件特許発明9」、「本件特許発明11」~「本件特許発明12」といい、これらをまとめて「本件特許発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項2~9、11~12に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(なお、各構成要件の前に付した、「2A」~「12D」の記号は、各構成要件を区別するために当審で付したものであり、それぞれ「構成要件2A」~「構成要件12D」などという。) 「【請求項2】 2A 壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に、同一壁面上で屈曲する配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に直線部保護カバーが接続される接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成り、 2B 前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して屈曲状態で垂設される内外の2つの屈曲側壁とを備え、 2C 前記2つの屈曲側壁の先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、前記一対の屈曲側壁にそれぞれ形成されていることを特徴とする保護カバー接続体。 【請求項3】 3A 壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に、同一壁面上でT字状に分岐する配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の各端部に直線部保護カバーが接続される3つの接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成ることで、T字形状になっている保護カバー接続体であって、 3B 前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁から前記基台に向けて垂設された側壁とから成って、当該側壁は、直線状の直線側壁と、屈曲した2つの屈曲側壁とから成り、 3C 前記直線側壁及び2つの屈曲側壁の全ての先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部がそれぞれ形成されていることを特徴とする保護カバー接続体。 【請求項4】 4A 前記した2つの屈曲側壁のうち少なくとも一方の屈曲側壁には、屈曲することで交差状になっている各分割屈曲側壁にそれぞれ前記引出し口形成予定部が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の保護カバー接続体。 【請求項5】 5A 前記一方の屈曲側壁における屈曲することで交差状になっている各分割屈曲側壁にそれぞれ形成された2つの前記引出し口形成予定部は、前記ケーブルの引き出し方向が異なる方向を向くように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の保護カバー接続体。 【請求項6】 6A 壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に同一壁面上に直線状に配置される2本の直線部保護カバーが接続される各接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成る保護カバー接続体であって、 6B 前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、前記基台と対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して対向配置状態で垂設される一対の側壁とを備え、 6C 前記側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接して、前記基台を覆い隠すものであり、 6D 前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、前記一対の側壁にそれぞれ形成されていることを特徴とする保護カバー接続体。 【請求項7】 7A 前記蓋体の各側壁には、前記引出し口形成予定部が、前記配設経路に沿って同一又は同一に近い位置において一対一組となって対向して形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の保護カバー接続体。 【請求項8】 8A 建物壁の入隅部に設置されて、互いに直交して交差する当該入隅部を形成する各壁面に設置された各直線部保護カバーを接続するのに使用される保護カバー接続体であって、 8B 前記各壁面の少なくとも一方に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に配線・配管材の屈曲した配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に直線部保護カバーが接続される2つの接続口が形成された蓋体とから成り、 8C 前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁から前記基台に向けて対向状態で垂設される側壁とから成り、 8D 前記側壁は、前記屈曲する配設経路に沿ったL字状を成し、当該側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接するまで延びていて、前記基台を覆い隠しており、 8E 前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する複数の引出し口形成予定部が、互いに直交する2つの壁面に対して開口可能なようにそれぞれ独立して各側壁に形成されていることを特徴とする保護カバー接続体。 【請求項9】 9A 前記引出し口形成予定部は、前記基台と前記蓋体とが係合により組み付けられる係合構造部に対して前記接続口と反対側の前記配設経路に沿って奥方に形成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の保護カバー接続体。 【請求項11】 11A 同一壁面上に設置される複数本の直線部保護カバーの各端部に外嵌される複数の外嵌部を有し、内部に配線・配管材の配設経路を形成する接続用カバー部材であって、 11B 前記接続用カバー部材を構成する蓋体は、天壁と、当該天壁から前記壁面に向けて垂設される一対の側壁とを備え、 11C 前記側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接し、 11D 前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、前記一対の側壁にそれぞれ形成されていることを特徴とする接続用カバー部材。 【請求項12】 12A 建物壁の入隅部に設置されて、互いに直交して交差する当該入隅部を形成する各壁面に設置された2本の直線部保持カバーを接続するのに使用される接続用カバー部材であって、 12B 前記各2本の直線部保護カバーの各端部に外嵌される各外嵌部が、前記各壁面に対応する部分に設けられ、内部に配線・配管材の配設経路が形成され、 12C 天壁と、当該天壁から前記壁面に向けて垂設される一対の側壁とを備え、 12D 前記一対の側壁には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、互いに直交する前記各壁面に対して開口可能となってそれぞれ独立して形成されていることを特徴とする接続用カバー部材。」 第3 異議申立理由の概要 1 異議申立理由 (1)異議申立理由1(甲第1号証に基づく進歩性欠如)について 本件特許発明2、4~5、9及び11は、下記2に示す甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明3は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明6は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第3号証~甲第5号証及び甲第8号証~甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明7は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第3号証~甲第5号証及び甲第11号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明8及び12は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第3号証~甲第5号証及び甲第9号証~甲第10号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本件特許発明2~9、11~12に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、同法113条2号の規定により取り消されるべきものである。 (2)異議申立理由2(甲第2号証に基づく進歩性欠如)について 本件特許発明2、4~5、9及び11は、下記2に示す甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明3は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明6は、甲第2号証に記載された発明並びに甲第3号証~甲第5号証及び甲第8号証~甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明7は、甲第2号証に記載された発明並びに甲第3号証~甲第5号証及び甲第11号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明8及び12は、甲第2号証に記載された発明並びに甲第3号証~甲第5号証及び甲第9号証~甲第10号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本件特許発明2~9、11~12に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、同法113条2号の規定により取り消されるべきものである。 2 証拠方法 申立人が特許異議申立書(以下「申立書」という。)に添付した証拠方法は、以下のとおりである。 甲第1号証:特開平9-203536号公報 甲第2号証:意匠登録第1600805号公報 甲第3号証:特開2012-60698号公報 甲第4号証:特開2015-231248号公報 甲第5号証:特開2000-92649号公報 甲第6号証:特開2009-264402号公報 甲第7号証:特開2013-199994号公報 甲第8号証:特開2018-197579号公報 甲第9号証:特開2012-246965号公報 甲第10号証:特開2012-246966号公報 甲第11号証:米国特許第06472596号明細書 第4 各甲号証の記載 1 甲第1号証(特開平9-203536号公報) (1)甲第1号証に記載された事項 甲第1号証には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。) ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、壁を貫通して壁表に配管されるエアコン用冷媒管を覆うエアコン用冷媒管保護カバーに関するものである。 …中略… 【0004】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エアコン用冷媒管とドレンホースとを共に収容可能とし、エアコン用冷媒管が上方または水平に屈曲される箇所がある場合には、当該箇所においてドレンホースのみを下方に引き出して配管することができるエアコン用冷媒管保護カバーを提供することにある。」 イ 「【0017】次に、図5は本発明に係るエアコン用冷媒管保護カバーの別の実施例を示す斜視図である。図5に示すエアコン用冷媒管保護カバー1は、合成樹脂により形成され、壁面に固定される基台1aとこの基台1aに取り付けられるカバー体1bとからなっている。この基台1aにはネジが挿通されるネジ孔13が複数形成されており、ネジによって壁面に固定できるようになっている。また、基台1a及びカバー体1bにはそれぞれ係合凹部18及び係合凸部19が形成されており、基台1aにカバー体1bを嵌着できるようになっている。このエアコン用冷媒管保護カバー1は平面視において90度に屈曲しており、両端部には直状カバーが接続される開口14を有している。従って、壁面に沿って90度に屈曲して配管されたエアコン用冷媒管の直状部を覆う直状カバーを連結するとともに、エアコン用冷媒管の屈曲配管部を覆って外気や衝撃等から保護できるようになっている。また、直状カバーが連結される開口14に対向する周壁15には、薄膜16によって閉塞された引出部17が形成されている。この引出部17は、ハンマー等で叩いたりナイフで切り取って開孔することができるようになっており、開孔することよってドレンホースを引き出すことが可能な大きさの孔が形成されるようになっている。 【0018】以下に図6に基づいて上記のエアコン用冷媒管保護カバー1を使用して、エアコン用冷媒管2及びドレンホース3の配管方法について説明する。まず、エアコン用冷媒管2を配管する経路に沿って墨だしし、その墨だし線に合わせて基台1a,6aを壁面に固定する。基台1a,6aを固定するには基台1a,6aに形成されたネジ孔13にネジ7を挿通して固定する。尚、直状カバー6は、配管経路の長さに合わせて、連結したり切断したりして長さを調整する。次いで、エアコン用冷媒管2及びドレンホース3を壁貫通孔から引き出した後、エアコン用冷媒管2を基台1a,6aに合わせて配管し室内機と室外機とを連結するとともに、ドレンホース3を直状カバー6の基台6aに合わせて配管し、エアコン用冷媒管2の屈曲配管部において鉛直下方に配管する。このときドレンホース3は全体を通して鉛直下方に向けて配管されている。次いで、基台1a,6aにカバー体1b,6bを嵌着してエアコン用冷媒管2及びドレンホース3をエアコン用冷媒管保護カバー1,6内に収容する。このときドレンホース3は直状カバー6内に収容され、屈曲配管部において予め開孔しておいた引出部17から引き出されて下方に向けて配管する。」 ウ 「図5 [図:0001416501000001.jpg] 」 エ 「図6 [図:0001416501000002.jpg] 」 (2)甲1発明 ア 上記(1)ウ(図5)より、“カバー体1bは、基台1aとの組付け状態で、基台1aと対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して屈曲状態で垂設される内外の2つの屈曲側壁とを備え”る態様を読取ることできる。 イ 上記(1)ウ(図5)及び上記アの認定より、“引出部17は、カバー体1bの屈曲側壁の先端面に近い部分に形成され”ている態様を読取ることができる。 ウ 上記(1)ア~エの記載事項(特に下線部)及び上記ア及びイの認定から、甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「壁を貫通して壁表に配管されるエアコン用冷媒管を覆うエアコン用冷媒管保護カバーであって(【0001】)、 エアコン用冷媒管とドレンホースとを共に収容可能とし、エアコン用冷媒管が上方または水平に屈曲される箇所がある場合には、当該箇所においてドレンホースのみを下方に引き出して配管することができ(【0004】)、 壁面に固定される基台1aとこの基台1aに取り付けられるカバー体1bとからなり、この基台1aにはネジが挿通されるネジ孔13が複数形成されており、ネジによって壁面に固定でき、基台1a及びカバー体1bにはそれぞれ係合凹部18及び係合凸部19が形成されて基台1aにカバー体1bを嵌着でき(【0017】)、 エアコン用冷媒管保護カバー1は平面視において90度に屈曲しており、両端部には直状カバーが接続される開口14を有し、壁面に沿って90度に屈曲して配管されたエアコン用冷媒管の直状部を覆う直状カバーを連結し(【0017】)、 カバー体1bは、基台1aとの組付け状態で、基台1aと対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して屈曲状態で垂設される内外の2つの屈曲側壁とを備え(図5)、 直状カバーが連結される開口14に対向する周壁15には、薄膜16によって閉塞された引出部17が形成され(【0017】)、 引出部17は、ハンマー等で叩いたりナイフで切り取って開孔することができるようになっており、開孔することよってドレンホースを引き出すことが可能な大きさの孔が形成され(【0017】、図5)、 引出部17は、カバー体1bの屈曲側壁の先端面に近い部分に形成され(図5)、 エアコン用冷媒管2を配管する経路に沿って基台1a,6aを壁面に固定し、エアコン用冷媒管2を基台1a,6aに合わせて配管するとともに、ドレンホース3を直状カバー6の基台6aに合わせて配管し、次いで、基台1a,6aにカバー体1b,6bを嵌着してエアコン用冷媒管2及びドレンホース3をエアコン用冷媒管保護カバー1,6内に収容する(【0018】、図6) エアコン用冷媒管保護カバー。」 2 甲第2号証(意匠登録第1600805号公報) (1)甲第2号証に記載された事項 甲第2号証には、次の事項が記載されている。 ア 「(54)【意匠に係る物品】 配管用ダクト継ぎ手」 イ 「【縮小斜視図】 [図:0001416501000003.jpg] 」 ウ 「【閉塞部を取り外した状態の縮小斜視図】 [図:0001416501000004.jpg] 」 エ 「【正面図】 [図:0001416501000005.jpg] 」 オ 「【背面図】 [図:0001416501000006.jpg] 」 カ 「【平面図】 [図:0001416501000007.jpg] 」 キ 「【底面図】 [図:0001416501000008.jpg] 」 ク 「【右側面図】 [図:0001416501000009.jpg] 」 ケ 「【左側面図】 [図:0001416501000010.jpg] 」 コ 「【A-A断面図】 [図:0001416501000011.jpg] 」 サ 「【B-B断面図】 [図:0001416501000012.jpg] 」 シ 「【使用状態を示す参考図】 [図:0001416501000013.jpg] 」 (2)甲2発明 ア 上記(1)シの図及びアより、甲第2号証には、“エアーコンディショナー室内機の配管に用いる配管用ダクト継ぎ手”が記載されていることを読み取ることができる。 イ 上記(1)イ~ケ及びシの図及び上記アの認定より、“配管用ダクト継ぎ手は、天壁部及び側壁部を有し、側壁部には閉塞部が設けられ”ることを読み取ることができる。 ウ 上記(1)イ、エ及びサの図及び上記イの認定より、“側壁部に設けられた閉塞部は、閉塞部以外の厚みより薄く形成され”ていることを読み取ることができる。 エ 上記(1)シの図及び上記イの認定より、“閉塞部からは、エアーコンディショナー室内機から導出される電源用電線が引き出され”ることを読み取ることができる。 オ 上記ア~エの認定から、甲第2号証には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。 「エアーコンディショナー室内機の配管に用いる配管用ダクト継ぎ手であって、 配管用ダクト継ぎ手は、天壁部及び側壁部を有し、側壁部には閉塞部が設けられ、側壁部に設けられた閉塞部は、閉塞部以外の厚みより薄く形成され、閉塞部からは、エアーコンディショナー室内機から導出される電源用電線が引き出される 配管用ダクト継ぎ手。」 3 甲第3号証(特開2012-60698号公報) (1)甲第3号証に記載された事項 甲第3号証には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、電源ケーブルや通信ケーブル等を容易に取出すことができて優れた施工性を発揮するケーブル取出し機能を有する配管ダクトに関するものである。 …中略… 【0007】 上記課題を解決するためになされた本発明の配管ダクトは、上部を開口した断面コ字状のダクト本体と前記開口を塞ぐ蓋体からなるケーブル収納用の配管ダクトであって、前記ダクト本体の側壁面にケーブル引出し用の膨出空洞部を突設し、この膨出空洞部にケーブルを長手方向に対し45°以下の角度で引出す傾斜面を設けたことを特徴とするものである。 …中略… 【0015】 請求項4に係る発明では、膨出空洞部をダクト本体の両側壁面に突設したので、複数のケーブルを同時に、かつ、いずれの方向にも分岐することができ便利である。 …中略… 【0020】 前記ダクト本体1の側壁面1aには、ケーブル引出し用の膨出空洞部3が突設されている。また、この膨出空洞部3には、ケーブル30を長手方向に対し45°以下の角度で引出す傾斜面5が設けられている。 即ち、従来はケーブル30を90°曲げてダクトの側面に形成した孔から取出していたのにかえて、本発明ではケーブル30を長手方向に対し45°以下の角度で引出すことによりダクト本体1内でケーブル30を大きく曲げないようにしてある。45°より大きくなるとケーブル30の曲率半径が大きくなって、巾の広いダクト本体1が必要になるとか、ケーブル30を引出す際に傷をつける等の問題が生じるからである。好ましくは30°以下の角度で、なるべくケーブル30の長手方向と並行に近い角度で引出すことが好ましい。 …中略… 【0022】 前記膨出空洞部3は、具体的には膨出空洞部3が平面視で直角三角形状であり、直角部を頂点としたものとすることができる。 図1~図3に示すものでは、膨出空洞部3は平面視で二等辺直角三角形状であり、直角部を頂点として等しい二辺を各々傾斜面5としている。これらの傾斜面5には、引出すケーブルに対応して各々透孔4を設けることができ、ケーブル30をいずれの方向にも、また複数本を同時に引出すことができるようになっている。また、透孔4には分岐配管33を装着して雨水等の浸入を防止している。図示の膨出空洞部3では、ケーブル30を長手方向に対し45°の角度で引出すことができる。」 (2)甲3記載事項 上記(1)アの下線部より、甲第3号証には次の事項(以下、「甲3記載事項」という。)が記載されているといえる。 「電源ケーブルや通信ケーブル等を容易に取出すことができて優れた施工性を発揮するケーブル取出し機能を有する配管ダクトであって(【0001】)、 上部を開口した断面コ字状のダクト本体と前記開口を塞ぐ蓋体からなるケーブル収納用の配管ダクトであって、前記ダクト本体の側壁面にケーブル引出し用の膨出空洞部を突設し、この膨出空洞部にケーブルを長手方向に対し45°以下の角度で引出す傾斜面を設け(【0007】)、 膨出空洞部をダクト本体の両側壁面に突設し(【0015】)、この膨出空洞部3には、ケーブル30を長手方向に対し45°以下の角度で引出す傾斜面5が設けられ(【0020】)、 膨出空洞部3の傾斜面5には、引出すケーブルに対応して各々透孔4を設けることができ、ケーブル30をいずれの方向にも、また複数本を同時に引出すことができる(【0022】) 配管ダクト。」 4 甲第4号証(特開2015-231248号公報) (1)甲第4号証に記載された事項 甲第4号証には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、電線が固定相手部に接触することを抑制する技術に関する。 …中略… 【0028】 <第1実施形態> 図1~14を参照しつつ、本実施形態に係る保護部材付電線モジュール10について説明する。保護部材付電線モジュール10は、固定相手部8に固定される。保護部材付電線モジュール10は、電線9と保護部材1と固定部7とを備える。 …中略… 【0034】 また、枝線部92は、1本若しくは2本以上の電線9を含む。枝線部92は、本線部91からこの保護部材付電線モジュール10の周辺の電子部品に配線される部分であることが考えられる。図1~3が示す例では、枝線部92は、本線部91の側方へ張り出して配線されている。 …中略… 【0044】 また、本実施形態において、保護部材1は、一対の電線側壁部4をさらに含む。なお、本実施形態では、保護部11が、一対の電線側壁部4を含む。即ち、本実施形態において、複数の保護部11は、それぞれ主保護部2、補助保護部3及び一対の電線側壁部4を備えており、これらの保護部11が連結部6によって連結されている。」 (2)甲4記載事項 上記(1)アの下線部より、甲第4号証には次の事項(以下、「甲4記載事項」という。)が記載されているといえる。 「電線が固定相手部に接触することを抑制する(【0001】)保護部材付電線モジュール10であって、保護部材付電線モジュール10は、固定相手部8に固定され、電線9と保護部材1と固定部7とを備え(【0028】)、 枝線部92は、1本若しくは2本以上の電線9を含み、枝線部92は、本線部91からこの保護部材付電線モジュール10の周辺の電子部品に配線される部分であり、枝線部92は、本線部91の側方へ張り出して配線され(【0034】)、 保護部材1は、一対の電線側壁部4を含み、保護部11が、一対の電線側壁部4を含み、複数の保護部11は、それぞれ主保護部2、補助保護部3及び一対の電線側壁部4を備えており、これらの保護部11が連結部6によって連結されている(【0044】) 保護部材付電線モジュール10。」 5 甲第5号証(特開2000-92649号公報) (1)甲第5号証に記載された事項 甲第5号証には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、プロテクタに関し、詳しくは、車体や電気機器等に配設されるワイヤハーネスを保持して外部から保護するプロテクタに関する。 …中略… 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1~3は本発明に係るプロテクタの一実施形態を示す図である。まず、構成を説明する。図1~3において、11はプロテクタであり、このプロテクタ11は内側でワイヤハーネス12を保持する長尺の本体13および本体13を開閉可能な蓋14、15を有している。 【0013】蓋14、15には係止片14a、15aが形成されており、この係止片14a、15aは本体11に形成された挿入孔11aに挿入されることにより、蓋14、15が本体11を閉塞するようになっている(係止片15aが挿入される挿入口は図示略)。また、本体11には開口部11b、11cが形成されており、この開口部11b、11cからは幹線ハーネス12aから分岐されたワイヤハーネス12の接地用の分岐ハーネス12b、12c、12dが引き出されるようになっている。」 (2)甲5記載事項 上記(1)アの下線部より、甲第5号証には次の事項(以下、「甲5記載事項」という。)が記載されているといえる。 「車体や電気機器等に配設されるワイヤハーネスを保持して外部から保護するプロテクタであって(【0001】)、 プロテクタ11は内側でワイヤハーネス12を保持する長尺の本体13および本体13を開閉可能な蓋14、15を有し(【0012】)、 蓋14、15には係止片14a、15aが形成されており、この係止片14a、15aは本体11に形成された挿入孔11aに挿入されることにより、蓋14、15が本体11を閉塞し、本体11には開口部11b、11cが形成されており、この開口部11b、11cからは幹線ハーネス12aから分岐されたワイヤハーネス12の接地用の分岐ハーネス12b、12c、12dが引き出される(【0013】) プロテクタ。」 6 甲第6号証(特開2009-264402号公報) (1)甲第6号証に記載された事項 甲第6号証には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、並列配管路を構成する2本の配管路の一方を他方の配管路の上方を跨いだ形態で迂回分岐接続させて、2本の配管路の少なくとも一方をT字分岐させて配管するT字分岐配管構造、分岐保護カバー及び迂回分岐継手に関するものである。 …中略… 【0022】 図1~図7に示されるように、本発明に係る分岐保護カバーC1 は、全体がT字状をなしていて、複数本のビスBを介して壁面Wに固定される基台Vと、当該基台Vに覆蓋されて内部に迂回分岐継手J1 及び一般分岐継手J2 とを収容する収容空間A(図9参照)を形成するための蓋体L1 とで構成され、当該基台Vと蓋体L1 とは、後述の係止構造によって分離可能に係止されて一体に結合される。基台Vと蓋体L1 とはいずれも樹脂の射出成形により成形される。基台Vは、T字板状の基台板部1を備えていて、蓋体L1 の覆蓋によって、本管配管方向Q1 に沿って形成される2つの直状接続口D1 と、本管配管方向Q1 と直交する分岐配管方向Q2 に沿った1つの分岐接続口D2 との計3つの接続口を備えている。基台Vの基台板部1の3つの各接続口D1 ,D2 を除く部分には、背丈の低い薄板状をしていて直角にわん曲された2つのL字状の第1立壁部2と、直線状の1つの第2立壁部3とが当該基台板部1に対して垂直となって形成されている。 …中略… 【0027】 一方、蓋体L1 は、図5~図7-2に示されるように、全体形状が略T字状をなしていて、全体が略L字状にわん曲された一対の第1側壁部21と、直線壁状であって横断面でわん曲された第2側壁部22との計3枚の側壁部21,22とが略T字状をした天壁部23で一体に連結されることにより、本管配管方向Q1 に形成された一対の直状接続口D1 と、当該直状接続口D1 と直交する方向に開口された分岐接続口D2 との計3つの接続口D1 ,D2 を備えていて、天壁部23と反対の面が開口された構成である。天壁部23における3つの接続口D1 ,D2 に対していずれも反対側となる部分は、並列配管された別の管を跨いで分岐接続するための迂回分岐継手J1 を収容可能にするために、蓋体L1 の開口28と対向する側(分岐保護カバーC1 を壁面Wに固定した状態で、当該壁面Wから離間する側)に向けて膨出して膨出天壁部23aとなっている。図5及び図7-2に示されるように、当該膨出天壁部23aは、天壁部23における本管配管方向Q1 に沿った中央部が最も膨出していて、当該最大膨出部分に対して本管配管方向Q1 に沿った両側、及び分岐配管方向Q2 に沿った側に向けて漸次膨出量が少なくなって、各接続口D1 ,D2 の天壁部23に接続している。」 (2)甲6記載事項 上記(1)アの下線部より、甲第6号証には次の事項(以下、「甲6記載事項」という。)が記載されているといえる。 「並列配管路を構成する2本の配管路の一方を他方の配管路の上方を跨いだ形態で迂回分岐接続させて、2本の配管路の少なくとも一方をT字分岐させて配管するT字分岐保護カバーであって(【0001】)、 分岐保護カバーC1 は、全体がT字状をなしていて、複数本のビスBを介して壁面Wに固定される基台Vと、当該基台Vに覆蓋されて内部に迂回分岐継手J1 及び一般分岐継手J2 とを収容する収容空間Aを形成するための蓋体L1 とで構成され、当該基台Vと蓋体L1 とは、後述の係止構造によって分離可能に係止されて一体に結合され(【0022】)、 蓋体L1 は、全体形状が略T字状をなしていて、全体が略L字状にわん曲された一対の第1側壁部21と、直線壁状であって横断面でわん曲された第2側壁部22との計3枚の側壁部21,22とが略T字状をした天壁部23で一体に連結されることにより、本管配管方向Q1 に形成された一対の直状接続口D1 と、当該直状接続口D1 と直交する方向に開口された分岐接続口D2 との計3つの接続口D1 ,D2 を備えていて、天壁部23と反対の面が開口された構成である(【0027】) T字分岐保護カバー。」 7 甲第7号証(特開2013-199994号公報) (1)甲第7号証に記載された事項 甲第7号証には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、保護ダクト内に保持部によって上下二段に配管された各配管材のうち上段の配管材の途中を部分的に傾斜させて単段配管とする傾斜配管構造、傾斜配管アダプタ、及び保護ダクト装置に関するものである。 …中略… 【0026】 図1~図5には、長尺状の第1~第3の各保護ダクトD1 ~D3 並びに短尺状の傾斜配管アダプタA0 、T字ダクト継手J4 及び異高アダプタA5 の各配管材収容部材を使用して、並列配管状態で二段配管されて計4本の管P1 ~P4 のうち、上段の各管P3 ,P4 を上段側から下段側に傾斜配管すると共に、下段の2本の管P1 ,P2 を屈曲配管する状態が施工順に斜視図で示されている。第1~第3の各保護ダクトD1 ~D3 、T字ダクト継手J4、異高アダプタA5 及び傾斜配管アダプタA0 の各配管材収容部材は、いずれも樹脂成形品であって、壁面Wにビスを介して固定されるベース体V1 ~V5 ,V0 と、当該ベース体V1 ~V5 ,V0 に組み付けられて内部に配管空間を形成するカバー体L1 ~L5 ,L0 とから成って、各配管材収容部材の配管路に沿った開口端部は、いずれも隣接する配管材収容部材どうしを接続する接続口となっており、配管材を直状に配管する配管材収容部材では、配管路の両端に2つの接続口を備えており、分岐配管に使用されるT字ダクト継手J4 のみが、3つの接続口を備えている。 …中略… 【0033】 T字ダクト継手J4 は、図1~図5に示されるように、下段の2本の管P1 ,P2 における90°屈曲された部分、及び上段の2本の管P1 ,P2 における第1保護ダクトD1 から出た部分を、上下二段にして部分的に収容するための配管材収容部材であって、壁面Wに固定されるベース体V4 と、当該ベース体V4 に組み付けられるカバー体L4 とから成る。ベース体V4 及びカバー体L4 は、平面視でT字状をなしていて、カバー体L4 の第1配管方向Q1 に沿った部分の内側面には、一対一組となった二組の係止爪G41が設けられていると共に、カバー体L4 の第2配管方向Q2 に沿った部分の内側面には、一対一組の係止爪G41が設けられている。一方、ベース体V4 の周縁部における接続口C41,C42,C43(図4参照)を除く部分には、立壁部31が設けられ、当該立壁部31における前記カバー体L4 の計三組の係止爪G41に対応する部分には、ベース体V4 に対してカバー体L4 を組み付ける際に、前記係止爪G41と係止される係止溝G42(図1参照)が形成されている。なお、図4及び図5において、32は、カバー体L4 の外側において、その内側の係止爪G41の位置が判別できるように、当該カバー体L4 の外側面における係止爪G41が形成されている部分に設けられた係止爪位置表示部を示す。」 (2)甲7記載事項 上記(1)アの下線部より、甲第7号証には次の事項(以下、「甲7記載事項」という。)が記載されているといえる。 「T字ダクト継手J4 の各配管材収容部材は、いずれも樹脂成形品であって、壁面Wにビスを介して固定されるベース体V1 ~V5 ,V0 と、当該ベース体V1 ~V5 ,V0 に組み付けられて内部に配管空間を形成するカバー体L1 ~L5 ,L0 とから成って、各配管材収容部材の配管路に沿った開口端部は、いずれも隣接する配管材収容部材どうしを接続する接続口となっており、分岐配管に使用されるT字ダクト継手J4 のみが、3つの接続口を備えており(【0026】)、 T字ダクト継手J4 は、下段の2本の管P1 ,P2 における90°屈曲された部分、及び上段の2本の管P1 ,P2 における第1保護ダクトD1 から出た部分を、上下二段にして部分的に収容するための配管材収容部材であって、壁面Wに固定されるベース体V4 と、当該ベース体V4 に組み付けられるカバー体L4 とから成り、ベース体V4 及びカバー体L4 は、平面視でT字状をなしている(【0033】)こと。」 8 甲第8号証(特開2018-197579号公報) (1)甲第8号証に記載された事項 甲第8号証には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、互いに組み付けられて内部に配線・配管材の配設経路を形成する基台と蓋体とから成り、当該配設経路に沿った端部の接続口に、長尺の直状保護カバー又は別の保護カバー接続体が接続される保護カバー接続体、及びその組付け構造に関するものである。 …中略… 【0036】 次に、図15及び図16を参照して、直状保護カバーC0 どうしを接続する直状保護カバー接続体C3 について説明する。直状保護カバー接続体C3 を構成する基台V3 と蓋体L3 との係合構造自体は、実施例1の出隅保護カバー接続体C1 と同一である。即ち、基台V1 の長方形状の本体板部51の各コーナー部には、一対の被係合部形成板部52が配設経路Rと直交する幅方向に沿って対向して当該本体板部51に対してそれぞれ垂直に形成され、対向配置された一対の被係合部形成板部52の上端部の内側には、被係合部F3 が配設経路Rの方向に沿って形成されている。本体板部51の幅方向の両端には、蓋体L3 の各側壁62の先端62bの内面を当接させて、撓み空間57を形成するための撓み空間形成突部53が、当該本体板部51の全長に亘って形成されている。なお、図中54,55は、それぞれ位置決め片及びビス挿通孔を示し、56は、壁面W1 に対して基台V3 を嵩上げして使用する場合のスペーサの突部を挿入するスペーサ突部挿入溝を示す。 【0037】 また、蓋体V3 は、横断面視でU字状をなしていて、天壁61の幅方向の両端から、それぞれ側壁62が当該天壁61に対して垂直に形成された形状である。各側壁62の長手方向の両端の開口は、直状保護カバーC0 を接続する接続口63であって、各側壁62の内面における壁面W1 に当接又は近接する先端62bの内側であって、しかも前記接続口63の内側には、係合部形成板部64が連結板部65,66を介して当該側壁62との間に所定の間隔をおいて当該側壁62に平行に形成されている。係合部形成板部64の上端部及び奥側(接続口63と半開の側)の端部が、それぞれ前記連結板部65,66で連結 されることで、側壁62の先端面62cの側に、被係合部挿入開口67が形成されている。各係合部形成板部64の先端部の内面側には、基台V3 の被係合部F3 と係合される突条状の係合部E3 が天壁61と平行に形成されている。 【0038】 このため、図15に示されるように、直状保護カバーC0 の2本の基台V0 が直状保護カバー接続体C3 の基台V3 を介して接続された状態で、各基台V0 ,V3 ,V0 の上に管体Pを配設した後に、各基台V0 にそれぞれ蓋体L0 を組み付ける。その後に、直状保護カバー接続体C3 の基台V3 の直上から蓋体L3 を押し込むと、蓋体L3 の計4つの各被係合部挿入開口67の内部に、基台V3 の被係合部形成板部52が相対的に挿入されて、蓋体L3 の各係合部E3 と基台V3 の各被係合部F3 とがそれぞれ係合されて、図16で実線で示されるように、基台V3 に対して蓋体L3 が一体に組み付けられて、内部に管体Pが配設された2本の直状保護カバーC0 が直状保護カバー接続体C3 を介して接続される。」 (2)甲8記載事項 上記(1)アの下線部より、甲第8号証には次の事項(以下、「甲8記載事項」という。)が記載されているといえる。 「互いに組み付けられて内部に配線・配管材の配設経路を形成する基台と蓋体とから成り、当該配設経路に沿った端部の接続口に、長尺の直状保護カバー又は別の保護カバー接続体が接続される保護カバー接続体であって(【0001】)、 直状保護カバー接続体C3 を構成する基台V3 と蓋体L3 とが係合し(【0036】)、 蓋体V3 は、横断面視でU字状をなしていて、天壁61の幅方向の両端から、それぞれ側壁62が当該天壁61に対して垂直に形成された形状であり、各側壁62の長手方向の両端の開口は、直状保護カバーC0 を接続する接続口63であって(【0037】)、 基台V3 に対して蓋体L3 が一体に組み付けられて、内部に管体Pが配設された2本の直状保護カバーC0 が直状保護カバー接続体C3 を介して接続される(【0038】) 保護カバー接続体。」 9 甲第9号証(特開2012-246965号公報) (1)甲第9号証に記載された事項 甲第9号証には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、建物の出隅部、及び入隅部に配置される配管材を覆うための出隅部保護カバー、及び入隅部保護カバー、更には、壁面に直線配管される2本の直状保護カバーを接続する直線接続保護カバーを構成するベース体を共用可能にした保護カバー装置、及びベース体に関するものである。 …中略… 【0030】 出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 は、図3~図9に示されるように、配管材Pにおける建物壁の出隅部A及び入隅部Bに配管される部分を覆う部材であって、共通のベース体V1 とカバー体K1 ,K2 とで構成される。共通のベース体V1 は、図8及び図9に示されるように、配管方向に沿って配置される長方形板状をしたベース部1の長手方向に沿って中央からずれた位置に幅広部2が形成され、当該幅広部2の両端部に上方に向けて一対の起立部3が一体に起立して設けられている。ベース部1の長さ(L01)は、入隅部保護カバーC2 における二つの壁面W2 ,W3 に配置される部分のうち壁面W3 に配置される長さの長い側の部分の長さ(L21)と同一である。直状保護カバーC3 のベース体V3 には、前記した共通のベース部1が挿入されて、当該ベース部1に対する幅方向の位置を定めるための位置決め凹部34〔図5(b)参照〕が形成されており、当該ベース体V1 のベース部1の幅(U1 )は、前記ベース体V3 の位置決め凹部34の幅(U3 )よりも僅かに小さくなっている。ベース体V1 の一対の起立部3の外側面における下端部には、後述の出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 を構成する各カバー体K1 ,K2 の内側面に設けられた一対一組の組付凸部16,26が嵌合される被組付凹部4が形成されている。また、ベース部1の幅方向の中央部には、全長に亘って位置決め凹条5が設けられ、前記幅広部2における当該位置決め凹条5の部分には、建物壁における出隅部A及び入隅部Bを形成する二つの壁面W1 ,W2 (W2 ,W3 )のうちの一方の壁面W1 (W3 )に対して前記ベース体V1 を固定するビス91の挿通孔6が形成されている。 …中略… 【0033】 一方、入隅部保護カバーC2 のカバー体K2 は、建物壁の入隅部Bに沿って凹状に屈曲する天壁部21と、当該天壁部21の幅方向の両端部に一体に接続されて、先端面が出隅部Aを構成する二つの各壁面W2 ,W3 に沿って略当接する一対の側壁部22と、前記各壁面W2 ,W3 に沿って配置される直状カバー体K0 及び直状保護カバーC3 を接続するための互いに直交する各接続口23,24とを備えている。カバー体K2 における各壁面W2 ,W3 に配置される各部分の長さL21,L22は異なっていて、壁面W3 に配置される側が、壁面W2 に配置される側よりも長くなるように形成されている。そして、一対の側壁部22における長さの長い側の内側面のみに、ベース体V1 の一対の被組付凹部4に嵌合される一対の組付凸部26が対向して形成されている。カバー体K2 の一対の組付凸部26と壁面W3 に配置される側の接続口23との間の距離(L23)は、前記ベース体V1 の一対の被組付凹部4と出隅部用位置合せ片7の端面7aとの間の距離(L02)に等しい。 …中略… 【0041】 これにより、図4及び図6に示されるように、各カバー体K1 ,K2 は、直状保護カバーC3 のカバー体K3 及び直状カバー体K0 の各端部に対して所定長だけ覆い被さった状態で、別々のベース体V1 に対して一体に組み付けられる。また、直状カバー体K0 の両端面は、それぞれ各カバー体K1 ,K2 の天壁部11,21の内面に設けられた各規制突起17,27に当接して、当該直状カバー体K0 は、配管方向に沿って移動不能となって、配置位置が固定される。 …中略… 【0050】 図12に示される例は、ベース体V1 と直線接続保護カバー体K4 とで直線接続保護カバーC4 を示している。直線接続保護カバー体K4 は、外側に覆い被せた状態で2本の直状保護カバーC3 を接続するカバー体であって、前記ベース体V1 に一体に組み付けられる。即ち、直線接続保護カバー体K4 は、直状保護カバーC3 を構成するカバー体K3 に対して僅かに相似大形に形成されて、天壁部51の両側に一体に接続して形成された一対の側壁部52の下端部の内側面に、前記ベース体V1 の被組付凹部4に嵌合される組付凸部53が形成されている。このため、壁面W10の配管位置にベース体V1 をビス91を介して固定しておいて、当該ベース体V1 の出隅部用及び入隅部用の各位置合せ片7,8を用いて、2本の直状保護カバーC3 を構成する各ベース体V3 の前記ベース体V1 に対する幅方向の位置合せを行って、当該2本の各ベース体V3 を壁面W10に固定して、当該2本のベース体V3 に配管材Pを収容保持させた後に、各ベース体V3 にそれぞれカバー体K3 を覆蓋させると、2本の直状保護カバーC3 の間には、ベース体V1 に設けられた一対の起立部3の長さと等しい隙間54が形成される。最後に、壁面W10に固定されたベース体V1 に対してカバー体K4 を覆蓋させて押し付けると、当該カバー体K4 に設けられた一対の組付凸部53が、ベース体V1 の一対の被組付凹部4に嵌合される。これにより、ベース体V1 に対してカバー体K4 が一体に組み付けられて、2本の直状保護カバーC3 の各端部、及び両者の間に形成された前記隙間54がカバー体K4 により覆われて、2本の直状保護カバーC3 が直線接続保護カバーC4 により接続される。」 (2)甲9記載事項 上記(1)アの下線部より、甲第9号証には次の事項(以下、「甲9記載事項」という。)が記載されているといえる。 「建物の入隅部に配置される配管材を覆うための入隅部保護カバーであって(【0001】)、 入隅部の各保護カバーC2 は、共通のベース体V1 とカバー体K1 ,K2 とで構成され、入隅部保護カバーC2 における二つの壁面W2 ,W3 に配置され(【0030】)、 入隅部保護カバーC2 のカバー体K2 は、建物壁の入隅部Bに沿って凹状に屈曲する天壁部21と、当該天壁部21の幅方向の両端部に一体に接続されて、先端面が出隅部Aを構成する二つの各壁面W2 ,W3 に沿って略当接する一対の側壁部22と、前記各壁面W2 ,W3 に沿って配置される直状カバー体K0 及び直状保護カバーC3 を接続するための互いに直交する各接続口23,24とを備え(【0033】)、 各カバー体K1 ,K2 は、直状保護カバーC3 のカバー体K3 及び直状カバー体K0 の各端部に対して所定長だけ覆い被さった状態で、別々のベース体V1 に対して一体に組み付けられ(【0041】)、 ベース体V1 と直線接続保護カバー体K4 とで直線接続保護カバーC4 を示し、直線接続保護カバー体K4 は、外側に覆い被せた状態で2本の直状保護カバーC3 を接続するカバー体であって、前記ベース体V1 に一体に組み付けられ、直線接続保護カバー体K4 は、直状保護カバーC3 を構成するカバー体K3 に対して僅かに相似大形に形成されて、天壁部51の両側に一体に接続して形成された一対の側壁部52の下端部の内側面に、前記ベース体V1 の被組付凹部4に嵌合される組付凸部53が形成されていて、ベース体V1 に対してカバー体K4 が一体に組み付けられて、2本の直状保護カバーC3 の各端部、及び両者の間に形成された前記隙間54がカバー体K4 により覆われて、2本の直状保護カバーC3 が直線接続保護カバーC4 により接続される(【0050】) 入隅部保護カバー。」 10 甲第10号証(特開2012-246966号公報) (1)甲第10号証に記載された事項 甲第10号証には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、建物の出隅部に配線・配管される配線・配管材を覆うための出隅部保護カバー、及び当該出隅部保護カバーと他の保護カバーとの組み合せに係る保護カバー装置に関するものである。 …中略… 【0025】 出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 は、図4~図11に示されるように、配管材Pにおける建物壁の出隅部A及び入隅部Bに配管される部分を覆う部材であって、共通のベース体V1 とカバー体K1 ,K2 とで構成される。共通のベース体V1 は、図9及び図10に示されるように、配管方向に沿って配置される長方形板状をしたベース部1の長手方向に沿って中央からずれた位置に幅広部2が形成され、当該幅広部2の両端部に上方に向けて一対の起立部3が一体に起立して設けられている。ベース部1の長さ(L01)は、入隅部保護カバーC2 における二つの壁面W2 ,W3 に配置される部分のうち壁面W3 に配置される長さの長い側の部分の長さ(L21)と同一である(図8及び図11参照)。直状保護カバーC3 のベース体V3 には、前記した共通のベース部1が挿入されて、当該ベース部1に対する幅方向の位置を定めるための位置決め凹部34〔図6(b)参照〕が形成されており、当該ベース体V1 のベース部1の幅(U1 )は、前記ベース体V3 の位置決め凹部34の幅(U3 )よりも僅かに小さくなっている。ベース体V1 の一対の起立部3の外側面における下端部には、後述の出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 を構成する各カバー体K1 ,K2 の内側面に設けられた一対一組の組付凸部16,26が嵌合される被組付凹部4が形成されている。また、ベース部1の幅方向の中央部には、全長に亘って位置決め凹条5が設けられ、前記幅広部2における当該位置決め凹条5の部分には、建物壁における出隅部A及び入隅部Bを形成する二つの壁面W1 ,W2 (W2 ,W3 )のうちの一方の壁面W1 (W3 )に対して前記ベース体V1 を固定するビス91の挿通孔6が形成されている。 …中略… 【0028】 一方、入隅部保護カバーC2 のカバー体K2 は、建物壁の入隅部Bに沿って凹状に屈曲する天壁部21と、当該天壁部21の幅方向の両端部に一体に接続されて、先端面が出隅部Aを構成する二つの各壁面W2 ,W3 に沿って略当接する一対の側壁部22と、前記各壁面W2 ,W3 に沿って配置される中間直状保護カバー体K0 及び直状保護カバーC3 を接続するための互いに直交する各接続口23,24とを備えている。カバー体K2 における各壁面W2 ,W3 に配置される各部分の長さ(L21,L22)は異なっていて、壁面W3 に配置される側が、壁面W2 に配置される側よりも長くなるように形成されている(図8及び図11参照)。そして、一対の側壁部22における長さの長い側の内側面のみに、ベース体V1 の一対の被組付凹部4に嵌合される一対の組付凸部26が対向して形成されている。カバー体K2 の一対の組付凸部26と壁面W3 に配置される側の接続口23との間の距離(L23)は、前記ベース体V1 の一対の被組付凹部4と出隅部用位置合せ片7の端面7aとの間の距離(L03)に等しい(図11参照)。 …中略… 【0039】 これにより、図5及び図8に示されるように、出隅部及び入隅部保護カバーC1 ,C2 の各カバー体K1 ,K2 は、直状保護カバーC3 のカバー体K3 及び中間直状保護カバー体K0 の各端部に対して所定長だけ覆い被さった状態で、別々のベース体V1 に対して一体に組み付けられる。」 (2)甲10記載事項 上記(1)アの下線部より、甲第10号証には次の事項(以下、「甲10記載事項」という。)が記載されているといえる。 「建物に配線・配管される配線・配管材を覆うための保護カバーであって(【0001】)、 入隅部の保護カバーC2 は、共通のベース体V1 とカバー体K1 ,K2 とで構成され、入隅部保護カバーC2 における二つの壁面W2 ,W3 に配置され(【0025】)、 入隅部保護カバーC2 のカバー体K2 は、建物壁の入隅部Bに沿って凹状に屈曲する天壁部21と、当該天壁部21の幅方向の両端部に一体に接続されて、先端面が出隅部Aを構成する二つの各壁面W2 ,W3 に沿って略当接する一対の側壁部22と、前記各壁面W2 ,W3 に沿って配置される中間直状保護カバー体K0 及び直状保護カバーC3 を接続するための互いに直交する各接続口23,24とを備えていて(【0028】)、 出隅部及び入隅部保護カバーC1 ,C2 の各カバー体K1 ,K2 は、直状保護カバーC3 のカバー体K3 及び中間直状保護カバー体K0 の各端部に対して所定長だけ覆い被さった状態で、別々のベース体V1 に対して一体に組み付けられる(【0039】) 保護カバー。」 11 甲第11号証(米国特許第06472596号明細書) (1)甲第11号証に記載された事項 甲第11号証には、次の事項が記載されている。 「壁16に固定されるベース12と、ベース12との組付けにより内部に配線の配設経路が形成されるとともに、配設経路の一端部にダクト15が接続される開口部86が形成されるカバー18とからなる導管アダプタ組立体10において(3欄3~18行、図1~3)、 カバー18は、組付け状態でベース12と対向する第1上壁部60及び第2上壁部62と、第1上壁部60及び第2上壁部62の両端からベース12に対して対向配置状態で垂設される一対の側壁部66、68と、を備え(4欄19~33行、図1~3)、 側壁部66、68の先端面は、壁面に当接又は近接して、ベース12を覆い隠すものであり(図1~3)、 側壁部66、68の先端面に近い部分には、ケーブルを引き出すための引出し口を形成するツイストアウト部92が、側壁部66、68にそれぞれ形成されている(4欄56行~5欄4行、図3)こと。」 第5 当審の判断 1 異議申立理由1(甲第1号証に基づく進歩性欠如)について (1)本件特許発明2について ア 対比 本件特許発明2と甲1発明とを対比する。 (ア)構成要件2Aについて a 甲1発明の「基台1a」及び「カバー体1b」は、それぞれ構成要件2Aの「基台」と「蓋体」に相当するといえるから、甲1発明の「基台1a」及び「カバー体1b」からなる「エアコン用冷媒管保護カバー」は、本件特許発明2の「基台」と「蓋体とから成」る「保護カバー接続体」に対応する。 b 甲1発明の「基台1a」は、「壁面に固定される」ものであるから、構成要件2Aの「壁面に固定される基台」に相当する。 c 甲1発明の「基台1a」は、「エアコン用冷媒管2を配管する経路に沿って…壁面に固定」されるとともに、当該「エアコン用冷媒管2」は「基台1a,6aに合わせて配管」され、また、「カバー体1b」は、「基台1a,6aにカバー体1b,6bを嵌着してエアコン用冷媒管2及びドレンホース3をエアコン用冷媒管保護カバー1,6内に収容する」ものであって、「エアコン用冷媒管保護カバー1は平面視において90度に屈曲して」いるところ、「基台1a」と「カバー体1b」とを “組付けることにより、内部に同一壁面上で屈曲する配管材の配設経路が形成される”ものといえるから、上記a及びbの認定を踏まえると、甲1発明の「カバー体1b」は、構成要件2Aの「当該基台との組付けにより内部に、同一壁面上で屈曲する配線・配管材の配設経路が形成される」ものといえる。 d 甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」は、「両端部には直状カバーが接続される開口14を有」するものであって、当該「直状カバー」は、構成要件2Aの「直線部保護カバー」に相当し、また、「開口14」は、構成要件2Aの「接続口」に相当するものといえるから、甲1発明の「カバー体1b」は、構成要件2Aの「前記配設経路の両端部に直線部保護カバーが接続される接続口がそれぞれ形成される」ものといえる。 e 上記a~dの認定を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー」は、構成要件2Aの「壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に、同一壁面上で屈曲する配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に直線部保護カバーが接続される接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成」るとの構成を備えるといえる。 (イ)構成要件2Bについて 甲1発明の「カバー体1b」は、「基台1aとの組付け状態で、基台1aと対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して屈曲状態で垂設される内外の2つの屈曲側壁とを備え」ることから、上記(ア)の認定を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー」は、構成要件2Bの、「前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して屈曲状態で垂設される内外の2つの屈曲側壁とを備え」るとの構成を備える。 (ウ)構成要件2Cについて 甲1発明の「引出部17」は、「薄膜16によって閉塞された」ものであって、「ハンマー等で叩いたりナイフで切り取って開孔することができるようになっており、開孔することよってドレンホースを引き出すことが可能な大きさの孔が形成され」ることから、当該「ドレンホースを引き出すことが」予定されている部分であるといえる。 よって、甲1発明の「引出部17」と、構成要件2Cの「電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部」とは、“引出物を引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部”である点で共通する。 また、甲1発明の「引出部17」は、「カバー体1bの屈曲側壁の先端面に近い部分に形成され」るところ、以上を総合し、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー」と、構成要件2Cの「前記2つの屈曲側壁の先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、前記一対の屈曲側壁にそれぞれ形成されている」とは、下記の点(相違点2-1)で相違するものの、“前記2つの屈曲側壁の先端面に近い部分には、引出物を引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が形成されている”点で共通する。 (エ)一致点及び相違点について 上記(ア)~(ウ)の対比より、本件特許発明2と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 2A 壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に、同一壁面上で屈曲する配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に直線部保護カバーが接続される接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成り、 2B 前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して屈曲状態で垂設される内外の2つの屈曲側壁とを備え、 2C’前記2つの屈曲側壁の先端面に近い部分には、引出物を引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が形成されていることを特徴とする保護カバー接続体。 〈相違点2-1〉 本件特許発明2の「引出し口形成予定部」は、「電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する」ものであって、「前記一対の屈曲側壁にそれぞれ形成されている」のに対し、甲1発明の「引出部17」は、「ドレンホースを引き出す」ものであって、「2つの屈曲側壁」のうち一方のみに設けられている点。 イ 判断 相違点2-1について判断する。 甲1発明において、「引出部17」が形成されるのは、「直状カバーが連結される開口14に対向する周壁15」であって、当該「周壁15」は、「基台に対して屈曲状態で垂設される内外の2つの屈曲側壁」のうちの一方ではあるものの、その使用目的は、「エアコン用冷媒管とドレンホースとを共に収容可能とし、エアコン用冷媒管が上方または水平に屈曲される箇所がある場合には、当該箇所においてドレンホースのみを下方に引き出して配管する」点にあることに鑑みれば、「周壁15」に対向するところの、「内外の2つの屈曲側壁」の他方においても、当該「引出部17」を形成するとともに、「ドレンホース」に替えて、又はこれに加えて、「電熱線、信号線等のケーブル」を引き出す対象とすることを想起することは、当業者といえども容易になし得たとまではいうことができず、また、本件特許出願当時において、上記相違点2-1に係る本件特許発明2の構成が周知技術であったとする証拠も無い。 また、甲第3号証~甲第5号証は、「引出し口形成予定部」には相当しない、既に開口された孔が、各側壁に形成されている態様を開示するものに過ぎず、相違点2-1に係る本件特許発明2の構成を開示するものとはいえない。 したがって、本件特許発明2は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ むすび 以上検討したとおり、本件特許発明2は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)本件特許発明3について ア 対比 本件特許発明3と甲1発明とを対比する。 (ア)構成要件3Aについて 上記(1)ア(ア)の対比を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー」と、構成要件3Aの「壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に、同一壁面上でT字状に分岐する配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の各端部に直線部保護カバーが接続される3つの接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成ることで、T字形状になっている保護カバー接続体」との構成とは、下記の点(相違点3-1)で相違するものの、“壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に、同一壁面上で配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の各端部に直線部保護カバーが接続される接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成る保護カバー接続体”である点で共通する。 (イ)構成要件3Bについて 上記(1)ア(イ)の対比を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー」と、構成要件3Bの「前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁から前記基台に向けて垂設された側壁とから成って、当該側壁は、直線状の直線側壁と、屈曲した2つの屈曲側壁とから成り、」との構成とは、下記の点(相違点3-2)で相違するものの、“前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁から前記基台に向けて垂設された側壁とから成って、当該側壁は、屈曲した屈曲側壁とから成り、”との点で共通する。 (ウ)構成要件3Cについて 上記(1)ア(ウ)の対比を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー」と、構成要件構成要件3Cの「前記直線側壁及び2つの屈曲側壁の全ての先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部がそれぞれ形成されている」との構成とは、下記の点(相違点3-3)で相違するものの、“前記2つの屈曲側壁の先端面に近い部分には、引出物を引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が形成されている”との点で共通する。 〈一致点〉 3A’壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に、同一壁面上で配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の各端部に直線部保護カバーが接続される接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成る保護カバー接続体であって、 3B’前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁から前記基台に向けて垂設された側壁とから成って、当該側壁は、直線状の直線側壁と、屈曲した屈曲側壁とから成り、 3C’前記2つの屈曲側壁の先端面に近い部分には、引出物を引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が形成されていることを特徴とする保護カバー接続体。 〈相違点3-1〉 本件特許発明3の「配線・配管材の配設経路」が「T字状に分岐する」ものであって、「接続口」が「3つ」であり、「保護カバー接続体」が「T字形状になっている」のに対し、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1は平面視において90度に屈曲して」いるものであって、T字形状ではない点。 〈相違点3-2〉 本件特許発明3の「蓋体」の「側壁」は、「屈曲した2つの屈曲側壁」のほかに「直線状の直線側壁」からも成るのに対し、甲1発明の「カバー体1b」には、直線上の直線側壁に相当するものが特定されていない点。 〈相違点3-3〉 本件特許発明3の「引出し口形成予定部」は、「電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する」ものであって、「前記直線側壁及び2つの屈曲側壁の全て」に「それぞれ」形成されているのに対し、甲1発明の「引出部17」は、「ドレンホースを引き出す」ものであって、「2つの屈曲側壁」のうち一方のみに設けられている点。 イ 判断 事案に鑑み、先に相違点3-3について先に判断するに、上記(1)イで判断したとおり、甲1発明において、「周壁15」に対向するところの、「内外の2つの屈曲側壁」の他方においても、当該「引出部17」を形成するとともに、「ドレンホース」に替えて、又はこれに加えて、「電熱線、信号線等のケーブル」を引き出す対象とすることを想起することは、当業者といえども容易になし得たとまではいうことができず、また、本件特許出願当時において、上記相違点3-3に係る本件特許発明3の構成が周知技術であったとする証拠も無い。 また、甲第3号証~甲第5号証は、「引出し口形成予定部」には相当しない、既に開口された孔が、各側壁に形成されている態様を開示するに過ぎず、相違点3-3に係る本件特許発明3の構成を開示するものとはいえない。 したがって、本件特許発明3は、他の相違点について判断するまでもなく、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ むすび 以上検討したとおり、本件特許発明3は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件特許発明4及び5について 本件特許発明4及び5は、本件特許発明2又は3の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記(1)及び(2)と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件特許発明6について ア 対比 本件特許発明6と甲1発明とを対比する。 (ア)構成要件6Aについて a 甲1発明の「基台1a」及び「カバー体1b」は、それぞれ構成要件6Aの「基台」と「蓋体」に相当するといえるから、甲1発明の「基台1a」及び「カバー体1b」からなる「エアコン用冷媒管保護カバー1」は、本件特許発明6の「基台」と「蓋体とから成」る「保護カバー接続体」に対応する。 b 甲1発明の「基台1a」は、「壁面に固定される」ものであるから、構成要件6Aの「壁面に固定される基台」に相当する。 c 甲1発明の「基台1a」は、「エアコン用冷媒管2を配管する経路に沿って…壁面に固定」されるとともに、当該「エアコン用冷媒管2」は「基台1a,6aに合わせて配管」され、また、「カバー体1b」は、「基台1a,6aにカバー体1b,6bを嵌着してエアコン用冷媒管2及びドレンホース3をエアコン用冷媒管保護カバー1,6内に収容する」ものであって、「エアコン用冷媒管保護カバー1は平面視において90度に屈曲して」いるところ、「基台1a」と「カバー体1b」とを “組付けることにより、内部に同一壁面上で屈曲する配管材の配設経路が形成される”ものといえるから、上記a及びbの認定を踏まえると、甲1発明の「カバー体1b」は、構成要件6Aの「当該基台との組付けにより内部に配線・配管材の配設経路が形成される」ものといえる。 d 甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」は、「両端部には直状カバーが接続される開口14を有」するものであって、当該「直状カバー」は、構成要件6Aの「直線部保護カバー」に相当し、また、「開口14」は、構成要件6Aの「接続口」に相当するものといえるから、甲1発明の「カバー体1b」は、構成要件6Aの「前記配設経路の両端部に同一壁面上に直線状に配置される2本の直線部保護カバーが接続される各接続口がそれぞれ形成される」ものといえる。 e 上記a~dの認定を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」は、構成要件6Aの「壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に同一壁面上に直線状に配置される2本の直線部保護カバーが接続される各接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成る保護カバー接続体」との構成を備えるといえる。 (イ)構成要件6Bについて 甲1発明の「カバー体1b」は、「基台1aとの組付け状態で、基台1aと対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して屈曲状態で垂設される内外の2つの屈曲側壁とを備え」るところ、当該「屈曲側壁」は、“天壁の両端から前記基台に対して対向配置状態で垂設される一対の側壁”ともいい得ることから、上記(ア)の認定を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」は、構成要件6Bの「前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、前記基台と対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して対向配置状態で垂設される一対の側壁」を備えるとの構成を備える。 (ウ)構成要件6Cについて 甲1発明は、「壁面に固定される基台1aとこの基台1aに取り付けられるカバー体1bとからなり、この基台1aにはネジが挿通されるネジ孔13が複数形成されており、ネジによって壁面に固定でき、基台1a及びカバー体1bにはそれぞれ係合凹部18及び係合凸部19が形成されて基台1aにカバー体1bを嵌着でき」るものであるところ、甲1発明の「基台1a」と「この基台1aに取り付けられるカバー体1b」との取り付け態様を示す図5(第4の1(1)ウ)を参照すると、当該「カバー体1b」は、「基台1a」を覆い隠しているといえるので、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」は、構成要件6Cの「前記側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接して、前記基台を覆い隠すものであ」るとの構成を備える。 (エ)構成要件6Dについて 上記(1)ア(ウ)の認定及び上記(イ)の認定を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」と、構成要件6Dの「前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、前記一対の側壁にそれぞれ形成されている」との構成とは、下記の点(相違点6-1)で相違するものの、“前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、引出物を引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が形成されている”点で共通する。 (オ)一致点及び相違点について 上記(ア)~(ウ)の対比より、本件特許発明6と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 6A 壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に配線・配管材の配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に同一壁面上に直線状に配置される2本の直線部保護カバーが接続される各接続口がそれぞれ形成される蓋体とから成る保護カバー接続体であって、 6B 前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、前記基台と対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して対向配置状態で垂設される一対の側壁とを備え、 6C 前記側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接して、前記基台を覆い隠すものであり、 6D’前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、引出物を引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が形成されていることを特徴とする保護カバー接続体。 〈相違点6-1〉 本件特許発明6の「引出し口形成予定部」は、「電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する」ものであって、「前記一対の側壁にそれぞれ形成されている」のに対し、甲1発明の「引出部17」は、「ドレンホースを引き出す」ものであって、「2つの屈曲側壁」のうち一方のみに設けられている点。 イ 判断 上記相違点6-1について先に判断するに、上記(1)イで判断したとおり、甲1発明において、「周壁15」に対向するところの、「内外の2つの屈曲側壁」の他方においても、当該「引出部17」を形成するとともに、「ドレンホース」に替えて、又はこれに加えて、「電熱線、信号線等のケーブル」を引き出す対象とすることを想起することは、当業者といえども容易になし得たとまではいうことができず、また、本件特許出願当時において、上記相違点6-1に係る本件特許発明6の構成が周知技術であったとする証拠も無い。 また、甲第3号証~甲第5号証は、「引出し口形成予定部」には相当しない、既に開口された孔が、各側壁に形成されている態様を開示するに過ぎず、相違点6-1に係る本件特許発明6の構成を開示するものとはいえない。 したがって、本件特許発明6は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ むすび 以上検討したとおり、本件特許発明6は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (5)本件特許発明7について 本件特許発明7は、本件特許発明1~6のいずれかの発明特定事項を全て含む発明であるから、上記(1)~(4)と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件特許発明8について ア 対比 本件特許発明8と甲1発明とを対比する。 (ア)構成要件8Aについて 甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」は、「両端部には直状カバーが接続される開口14を有」するものであるところ、当該「エアコン用冷媒管保護カバー1」は、「壁面に固定される基台1aとこの基台1aに取り付けられるカバー体1bとからな」ることから、壁面に設置されるものといえる。 また、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」に接続されるところの、「直状カバー」も、同じく壁面に設置されるものであるから、当該「直状カバー」は、構成要件8Aの「各壁面に設置された各直線部保護カバー」に対して、“壁面に設置された各直線部保護カバー”である点で共通するものといえる。 そして甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」は、「直状カバー」を“接続するのに使用される保護カバー接続体”であるともいえるから、構成要件8Aの「建物壁の入隅部に設置されて、互いに直交して交差する当該入隅部を形成する各壁面に設置された各直線部保護カバーを接続するのに使用される保護カバー接続体」との構成とは、下記の点(相違点8-1)で相違するものの、“壁面に設置された各直線部保護カバーを接続するのに使用される保護カバー接続体”である点で共通する。 (イ)構成要件8Bについて 上記(4)ア(ア)の対比を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」と、構成要件8Bの「前記各壁面の少なくとも一方に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に配線・配管材の屈曲した配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に直線部保護カバーが接続される2つの接続口が形成された蓋体とから成」との構成とは、下記の点(相違点8-2)で相違するものの、“前記壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に配線・配管材の屈曲した配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に直線部保護カバーが接続される2つの接続口が形成された蓋体とから成”る点で共通する。 (ウ)構成要件8Cについて 上記(4)ア(イ)の認定を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」は、構成要件8Cの「前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁から前記基台に向けて対向状態で垂設される側壁とから成」るとの構成を備える。 (エ)構成要件8Dについて 甲1発明は、構成要件8Dの「前記側壁は、前記屈曲する配設経路に沿ったL字状を成し、当該側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接するまで延びていて、前記基台を覆い隠しており、」に対応する構成を有しない。(相違点8-3) (オ)構成要件8Eについて 上記(4)ア(エ)の認定を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」と、構成要件8Eの「前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する複数の引出し口形成予定部が、互いに直交する2つの壁面に対して開口可能なようにそれぞれ独立して各側壁に形成されている」との構成とは、下記の点(相違点8-4)で相違するものの、“前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、引出物を引き出すための引出し口を形成する複数の引出し口形成予定部が側壁に形成されている”る点で共通する。 (カ)一致点及び相違点について 上記(ア)~(オ)の対比より、本件特許発明8と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 8A’壁面に設置された各直線部保護カバーを接続するのに使用される保護カバー接続体であって、 8B’前記壁面に固定される基台と、当該基台との組付けにより内部に配線・配管材の屈曲した配設経路が形成されると共に、前記配設経路の両端部に直線部保護カバーが接続される2つの接続口が形成された蓋体とから成り、 8C 前記蓋体は、前記基台との組付け状態で、当該基台と対向する天壁と、当該天壁から前記基台に向けて対向状態で垂設される側壁とから成り、 8E 前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、引出物を引き出すための引出し口を形成する複数の引出し口形成予定部が側壁に形成されていることを特徴とする保護カバー接続体。 〈相違点8-1〉 本件特許発明8は、「建物壁の入隅部に設置され」る「保護カバー接続体」であって、「直線部保護カバー」は、「互いに直交して交差する当該入隅部を形成する各壁面に設置」されるものであるのに対し、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー」は、建物壁の入隅部に設置されるものであることが特定されていない点。 〈相違点8-2〉 本件特許発明8の「基台」は、入隅部の「各壁面の少なくとも一方に固定される」ものであるのに対し、甲1発明の「基台1a」は、「壁面に固定される」ものである点。 〈相違点8-3〉 本件特許発明8は、「前記側壁は、前記屈曲する配設経路に沿ったL字状を成し、当該側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接するまで延びていて、前記基台を覆い隠しており、」との構成を有するのに対し、甲1発明は、そのような構成を有しない点。 〈相違点8-4〉 本件特許発明8の「引出し口形成予定部」は、「電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する」ものであって、「互いに直交する2つの壁面に対して開口可能なようにそれぞれ独立して各側壁に形成されている」のに対し、甲1発明の「引出部17」は、「ドレンホースを引き出す」ものであって、「2つの屈曲側壁」のうち一方のみに設けられている点。 イ 判断 事案に鑑み、先に相違点8-4について判断するに、上記(1)イで判断したとおり、甲1発明において、「周壁15」に対向するところの、「内外の2つの屈曲側壁」の他方においても、当該「引出部17」を形成するとともに、「ドレンホース」に替えて、又はこれに加えて、「電熱線、信号線等のケーブル」を引き出す対象とすることを想起することは、当業者といえども容易になし得たとまではいうことができない。 また、甲1発明は、「建物壁の入隅部に設置され」る「保護カバー接続体」ではないから、「互いに直交する2つの壁面」もなく、当然に「引出し口形成予定部」を「各側壁に形成」することも想定し得ず、本件特許出願当時において、上記相違点8-4に係る本件特許発明8の構成が周知技術であったとする証拠も無い。 さらに、相違点8-4に係る構成は、甲第3号証~甲第5号証及び甲第9号証~甲第10号証にも記載も示唆もされていない。 したがって、本件特許発明8は、他の相違点について判断するまでもなく、甲第1号証に記載された発明並びに甲第3号証~甲第5号証及び甲第9号証~甲第10号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ むすび 以上検討したとおり、本件特許発明8は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第3号証~甲第5号証及び甲第9号証~甲第10号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (7)本件特許発明9について 本件特許発明9は、本件特許発明1~8のいずれかの発明特定事項を全て含む発明であるから、上記(1)~(6)と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件特許発明11について ア 対比 本件特許発明11と甲1発明とを対比する。 (ア)構成要件11Aについて 上記(1)ア(ア)の認定を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」と、構成要件11Aの「同一壁面上に設置される複数本の直線部保護カバーの各端部に外嵌される複数の外嵌部を有し、内部に配線・配管材の配設経路を形成する接続用カバー部材」との構成とは、下記の点(相違点11-1)で相違するものの、“内部に配線・配管材の配設経路を形成する接続用カバー部材”である点で共通する。 (イ)構成要件11Bについて 上記(4)ア(イ)の認定を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」は、構成要件11Bの「前記接続用カバー部材を構成する蓋体は、天壁と、当該天壁から前記壁面に向けて垂設される一対の側壁とを備え」るとの構成を備える。 (ウ)構成要件11Cについて 上記(4)ア(ウ)の認定を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」は、構成要件11Cの「前記側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接し、」との構成を備える。 (エ)構成要件11Dについて 上記(4)ア(エ)の認定を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」と、構成要件11Cの「前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、前記一対の側壁にそれぞれ形成されている」との構成とは、下記の点(相違点11-2)で相違するものの、“前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、引出物を引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が形成されている”点で共通する。 (オ)一致点及び相違点について 上記(ア)~(ウ)の対比より、本件特許発明11と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 11A’内部に配線・配管材の配設経路を形成する接続用カバー部材であって、 11B 前記接続用カバー部材を構成する蓋体は、天壁と、当該天壁から前記壁面に向けて垂設される一対の側壁とを備え、 11C 前記側壁の先端面は、前記壁面に当接又は近接し、 11D’前記一対の側壁の前記先端面に近い部分には、引出物を引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が形成されていることを特徴とする接続用カバー部材。 〈相違点11-1〉 本件特許発明11は、「同一壁面上に設置される複数本の直線部保護カバーの各端部に外嵌される複数の外嵌部を有」するのに対し、甲1発明は、「直状カバーが接続される開口14を有」するとともに、「エアコン用冷媒管の直状部を覆う直状カバーを連結」するものではあるが、外嵌部に相当する構成が特定されていない点。 〈相違点11-2〉 本件特許発明11の「引出し口形成予定部」は、「電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する」ものであって、「前記一対の側壁にそれぞれ形成されている」のに対し、甲1発明の「引出部17」は、「ドレンホースを引き出す」ものであって、「2つの屈曲側壁」のうち一方のみに設けられている点。 イ 判断 事案に鑑み、先に相違点11-2について検討するに、上記(1)イで判断したとおり、甲1発明において、「周壁15」に対向するところの、「内外の2つの屈曲側壁」の他方においても、当該「引出部17」を形成するとともに、「ドレンホース」に替えて、又はこれに加えて、「電熱線、信号線等のケーブル」を引き出す対象とすることは、当業者といえども容易になし得たとまではいうことができず、また、本件特許出願当時において、上記相違点11-2に係る本件特許発明11の構成が周知技術であったとする証拠も無い。 また、甲第3号証~甲第5号証は、「引出し口形成予定部」には相当しない、既に開口された孔が、各側壁に形成されている態様を開示するに過ぎず、相違点11-2に係る本件特許発明11の構成を開示するものとはいえない。 したがって、本件特許発明11は、他の相違点について判断するまでもなく、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ むすび 以上検討したとおり、本件特許発明11は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (9)本件特許発明12について ア 対比 本件特許発明12と甲1発明とを対比する。 (ア)構成要件12Aについて 上記(6)ア(ア)の認定を踏まえ、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」と、構成要件12Aの「建物壁の入隅部に設置されて、互いに直交して交差する当該入隅部を形成する各壁面に設置された2本の直線部保持カバーを接続するのに使用される接続用カバー部材」との構成とは、下記の点(相違点12-1)で相違するものの、“壁面に設置された2本の直線部保持カバーを接続するのに使用される接続用カバー部材”である点で共通する。 (イ)構成要件12Bについて 上記(8)ア(ア)の認定を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」と、構成要件12Bの「前記各2本の直線部保護カバーの各端部に外嵌される各外嵌部が、前記各壁面に対応する部分に設けられ、内部に配線・配管材の配設経路が形成され」るとの構成とは、下記の点(相違点12-2)で相違するものの、“内部に配線・配管材の配設経路が形成され”る点で共通する。 (ウ)構成要件12Cについて 甲1発明は、「カバー体1bは、基台1aとの組付け状態で、基台1aと対向する天壁と、当該天壁の両端から前記基台に対して屈曲状態で垂設される内外の2つの屈曲側壁とを備え」るところ、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」は、構成要件12Cの「天壁と、当該天壁から前記壁面に向けて垂設される一対の側壁とを備え、」るとの構成を備えるといえる。 (エ)構成要件12Dについて 上記(4)ア(エ)の認定を踏まえると、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー1」と、構成要件12Dの「前記一対の側壁には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が、互いに直交する前記各壁面に対して開口可能となってそれぞれ独立して形成されている」との構成とは、下記の点(相違点12-3)で相違するものの、“前記一対の側壁には、引出物を引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が独立して形成されている”点で共通する。 (オ)一致点及び相違点について 上記(ア)~(エ)の対比より、本件特許発明12と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 12A’壁面に設置された2本の直線部保持カバーを接続するのに使用される接続用カバー部材であって、 12B’内部に配線・配管材の配設経路が形成され、 12C 天壁と、当該天壁から前記壁面に向けて垂設される一対の側壁とを備え、 12D’前記一対の側壁には、電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部が独立して形成されていることを特徴とする接続用カバー部材。 〈相違点12-1〉 本件特許発明12は、「建物壁の入隅部に設置され」る「接続用カバー部材」であって、「直線部保持カバー」は、「互いに直交して交差する当該入隅部を形成する各壁面に設置」されるものであるのに対し、甲1発明の「エアコン用冷媒管保護カバー」は、建物壁の入隅部に設置されるものであることが特定されていない点。 〈相違点12-2〉 本件特許発明12は、「前記各2本の直線部保護カバーの各端部に外嵌される各外嵌部が、前記各壁面に対応する部分に設けられ」るのに対し、甲1発明は、「直状カバーが接続される開口14を有」するとともに、「エアコン用冷媒管の直状部を覆う直状カバーを連結」するものではあるが、外嵌部に相当する構成が特定されていない点。 〈相違点12-3〉 本件特許発明12の「引出し口形成予定部」は、「電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する」ものであって、「互いに直交する前記各壁面に対して開口可能となってそれぞれ独立して形成されている」のに対し、甲1発明の「引出部17」は、「ドレンホースを引き出す」ものであって、「2つの屈曲側壁」のうち一方のみに設けられている点。 イ 判断 事案に鑑み、先に相違点12-3について判断するに、上記(1)イで判断したとおり、甲1発明において、「周壁15」に対向するところの、「内外の2つの屈曲側壁」の他方においても、当該「引出部17」を形成するとともに、「ドレンホース」に替えて、又はこれに加えて、「電熱線、信号線等のケーブル」を引き出す対象とすることを想起することは、当業者といえども容易になし得たとまではいうことができず、また、本件特許出願当時において、上記相違点12-3に係る本件特許発明12の構成が周知技術であったとする証拠も無い。 また、相違点12-3に係る本件特許発明12の構成は、甲第3号証~甲第5号証及び甲第9号証~甲第10号証にも記載も示唆もされていない。 したがって、本件特許発明12は、他の相違点について判断するまでもなく、甲第1号証に記載された発明並びに甲第3号証~甲第5号証及び甲第9号証~甲第10号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ むすび 以上検討したとおり、本件特許発明12は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第3号証~甲第5号証及び甲第9号証~甲第10号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (10)申立人の主張について 申立人は、申立書において次のような主張を行っている。 「前述のとおり、配線や配管等の保護対象部材の配設経路に沿って保護対象部材を覆う保護部材(甲第3号証の配管ダクト、甲第4号証の保護部材、甲第5号証のプロテクタ11など)の技術分野において、「保護対象部材の配設経路に交差する全ての方向、換言すれば、配設経路で区画される全ての領域にケーブル等を引き出す」という課題があり、その課題を解消すべく、「保護部材の側壁部の全てに引出部を設ける」ことは、甲第3~5号証にも記載されている極普通のことであり、目新しい課題でも技術でもない。よって、このような極普通の課題や技術に基づいて、甲2発明において、引出し口形成予定部を他の屈曲側壁にも形成し、本件特許発明2とすることは当業者であれば容易に成し得たことである。 また、甲2発明において、甲第3号証の記載事項3bにおける「ダクト本体1からケーブル30をいずれの方向(ダクト本体1に交差するいずれの方向、換言すれば、ダクト本体1で区画されるいずれの領域)にも引出すことができるように、ダクト本体1の一対の側壁面1aの全てに、ケーブル引出し用の透孔4を設けることができる膨出空洞部3をそれぞれ形成する」との技術を適用し、本件特許発明2とすることも当業者であれば容易に成し得たことである。」(申立書36ページ9~23行) 本件特許発明3~9及び11~12(以下、「各本件特許発明」という。)についても、概ね同様の主張を行っている。 上記主張について検討するに、申立人が主張する周知技術(「「保護対象部材の配設経路に交差する全ての方向、換言すれば、配設経路で区画される全ての領域にケーブル等を引き出す」という課題」を「解消すべく、「保護部材の側壁部の全てに引出部を設ける」こと」)は、そもそも、本件特許発明における「引出口形成予定部」に関する技術ではなく、既に開口された「引出口」に関する技術であるから、甲1発明とは技術分野が異なり甲1発明に適用することはできない。 また、仮に適用したとしても、甲1発明の「引出口17」に替えて、既に開口された引出口を各側壁に設けることとなるため、各本件特許発明には到達し得ないというべきである。 よって、申立人の上記主張は採用しない。 (11)むすび 以上検討したとおり、本件特許発明2~9、11~12に係る特許は、甲第1号証に記載された発明(甲1発明)及び甲第3号証~甲第11号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 したがって、申立人が主張する異議申立理由1は、理由が無い。 2 異議申立理由2(甲第2号証に基づく進歩性欠如)について (1)本件特許発明2~9、11~12について ア 対比・判断 甲第2号証には、上記第4の2(2)に示した甲2発明が記載されているところ、甲2発明には、上記1(1)~(9)に示した、少なくとも、構成要件2C、3C、6D、8E、11D及び12Dの一部(「電熱線、信号線等のケーブルを引き出すための引出し口を形成する引出し口形成予定部」が複数の「側壁」のそれぞれに形成されている点。)について開示されておらず、また、甲第3号証~甲第11号証にも、当該構成は記載も示唆もされていない。 イ むすび したがって、本件特許発明2~9、11~12は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第11号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)むすび 以上検討したとおり、本件特許発明2~9、11~12に係る特許は、甲第2号証に記載された発明(甲2発明)及び甲第3号証~甲第11号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 したがって、申立人が主張する異議申立理由2は、理由が無い。 第6 むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項2~9、11~12に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項2~9、11~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700533

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