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特許異議申立

2024-701172

リキッド印刷インキ、紙基材、プラスチック基材、容器及び包装材

審判番号
2024-701172
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-143408
登録番号
7496264
請求日
2024年12月06日
審決日
2026年03月03日
公報発行日
2026年06月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】DICグラフィックス株式会社
  • 【権利者代理人】廣田 浩一
  • 【権利者代理人】加藤 いぶき
  • 【権利者代理人】大野 孝幸
  • 【権利者代理人】小川 眞治
  • 【異議申立人】河村 貴子
審判長/審判官
  • 審判長 里村 利光
  • 審判官 関根 洋之
  • 審判官 川村 大輔
分類
P1651.121-YAA(C09D) / P1651.537-YAA(C09D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7496264号発明「リキッド印刷インキ、紙基材、プラスチック基材、容器及び包装材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7496264号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。 特許第7496264号の請求項1~4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7496264号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)8月27日の出願であって、令和6年5月29日にその特許権の設定登録がされ、令和6年6月6日に特許掲載公報が発行された。 本件特許について、特許掲載公報の発行の日から6月以内である令和6年12月6日に特許異議申立人 河村貴子(以下「申立人」という。)から請求項1~4に対して特許異議の申立てがされた。その後の手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和7年 5月20日付け:取消理由通知書 令和7年 6月26日 :意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 令和7年 8月13日 :意見書の提出(申立人) 令和7年10月27日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和7年12月12日 :意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 令和7年6月26日提出の訂正請求書は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 また、申立人には既に意見書の提出の機会が与えられており、令和7年12月12日にされた訂正請求によって特許請求の範囲が相当程度減縮されており、提出された全ての証拠や意見等を踏まえてさらに審理を進めたとしても、特許を維持すべきとの結論になると合議体が判断したところ、このような場合は、特許法第120条の5第5項ただし書に規定された「特別の事情があるとき」に該当するといえるから、申立人に再度の意見書を提出する機会を与えなかった。(審判便覧67-05.5 4.(1)参照) 第2 本件訂正請求について 1 訂正の趣旨及び訂正の内容 (1)訂正の趣旨 特許権者が令和7年12月12日に提出した訂正請求書による訂正(以下「本件訂正請求」という。)の趣旨は、特許第7496264号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正することを求める、というものである。 (2)訂正の内容 本件訂正請求において特許権者が求める訂正の内容は、以下のとおりである。なお、下線は当合議体が付したものであり、訂正箇所を示す。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「前記バインダー樹脂(A)が、ウレタン系樹脂/塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂/繊維素系樹脂、ポリアミド系樹脂/繊維素系樹脂、アクリル系樹脂/繊維素系樹脂から選ばれる組み合わせであり」とあるのを、 「前記バインダー樹脂(A)が、アクリル系樹脂/繊維素系樹脂であり」に訂正する。 請求項1の記載を引用して記載された、請求項2~4についても、同様に訂正する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に、 「前記ウレタン系樹脂/繊維素系樹脂、前記ウレタン系樹脂/塩化ビニル系樹脂、前記ポリアミド系樹脂/繊維素系樹脂、前記アクリル系樹脂/繊維素系樹脂から選ばれる組み合わせの樹脂の質量比」とあるのを、 「前記アクリル系樹脂/繊維素系樹脂の質量比」に訂正する。 請求項2の記載を引用して記載された、請求項3及び4についても、同様に訂正する。 (3)一群の請求項について 訂正前の請求項2~4は、請求項1を直接的又は間接的に引用するものであるから、訂正事項1により訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~4に対応する訂正後の請求項1~4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 2 訂正事項1、2について(訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否) 訂正事項1及び2に係る訂正は、訂正前の請求項1及び2に記載された「バインダー樹脂(A)」の選択肢から「ウレタン系樹脂/繊維素系樹脂」、「ウレタン系樹脂/塩化ビニル系樹脂」及び「ポリアミド系樹脂/繊維素系樹脂」を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1及び2による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合する。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書、同法同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、本件特許の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 本件訂正は、上記第2のとおり認められたので、本件特許の請求項1~4に係る発明は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される、下記のとおりのものと認められる(以下、それぞれ「本件特許発明1」などという。)。 「【請求項1】 バインダー樹脂(A)、着色剤(B)、有機溶剤(C)、及び酸化防止剤(D)を含有し、前記酸化防止剤(D)をインキ固形分全量に対し0.01~5.0質量%含有し、 前記バインダー樹脂(A)が、アクリル系樹脂/繊維素系樹脂であり、前記酸化防止剤(D)が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であることを特徴とするリキッド印刷インキ。 【請求項2】 前記アクリル系樹脂/繊維素系樹脂の質量比が、95/5~20/80である請求項1に記載のリキッド印刷インキ。 【請求項3】 請求項1~2の何れかに記載のリキッド印刷インキを紙基材又はフィルムに印刷した紙基材又はプラスチック基材。 【請求項4】 請求項3に記載の紙基材又はプラスチック基材を使用した容器、包装材。」 第4 特許異議申立理由の概要 申立人は、特許異議申立書とともに証拠方法として下記(2)に示す甲第1号証~甲第10号証(以下、甲第1号証~甲第10号証を、それぞれ「甲1」~「甲10」という。)を提出し、概略、下記(1)の特許異議申立理由を主張している。申立理由の番号は当合議体が付与した。 (1)申立理由1(甲1~4及び6のいずれかを主引用例とする進歩性欠如) 本件特許発明1~4は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)証拠方法 甲1:特開平10-72562号公報 甲2:国際公開第2015/168389号 甲3:特開2005-298618号公報 甲4:特開2019-48997号公報 甲5:特開昭56-99219号公報 甲6:「便覧」編集室、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」、改訂第二版、株式会社 ラバーダイジェスト社、1993年10月30日、76、77、100-105頁 甲7:特開2022-38767号公報 甲8:特表2017-518430号公報 甲9:秋葉光雄、「ポリウレタンの劣化と安定化」、日本接着学会誌、2004年、第40巻、第6号、241-252頁 甲10:甲9の発行日(2004年6月1日)が掲載されたJ-STAGEのwebサイト、[online]、[text]、2024年12月5日出力,取得先<https://www.jstage.jst.go.jp/browse/adhesion/40/6/_contents/-char/ja> (当合議体注:甲7は、本件特許出願の公開公報である。また、甲8は、国際公開公報である甲2に対応する公表特許公報である。) 第5 意見書で主張する取消理由の概要 申立人は、令和7年8月13日に提出された意見書とともに証拠方法として下記(3)に示す甲第11号証~甲第13号証(以下、甲第11号証~甲第13号証を、それぞれ「甲11」~「甲13」という。)を提出し、概略、下記(1)及び(2)の取消理由を主張している。取消理由の番号は当合議体が付与したものである。 なお、令和7年5月20日付け取消理由通知書で通知した取消理由は、甲3を主引用例とする進歩性欠如に係るものであるところ、上記意見書において、本件特許発明1~4が申立理由1及び当該取消理由通知書で通知した取消理由に基づいて取り消されるべきものであるとの主張等はされていない。 (1)取消理由2(甲11及び13のいずれかを主引用例とする進歩性欠如) 本件特許発明1~4は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)取消理由3(明確性要件) 本件特許の請求項1~4についての特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 (3)証拠方法 甲11:特開平9-157557号公報 甲12:宮坂啓象編、「プラスチック事典」、初版第2刷、(株)朝倉書店、1997年9月20日、第730頁~733頁 甲13:特表平10-501006号公報 第6 各甲号証の記載事項 申立書及び令和7年8月13日に提出された意見書において、主引用例とされている甲1~4、6、11及び13には、それぞれ、次の記載がある。 1 甲1の記載 甲1は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、甲1には、以下の記載がある。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリオール成分(A)を構成単位とするポリウレタン樹脂(U)からなり、(A)が炭素数3~40の脂肪族炭化水素基を側鎖として含有し、数平均分子量が500~10,000の高分子ポリオール(A1)1種以上からなるポリオール成分であることを特徴とする印刷インキ用バインダー。 ・・・略・・・ 【請求項5】 プラスチックフィルムの印刷インキ用である請求項1~4のいずれか記載のバインダー」 (2)「【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は印刷インキ用バインダーおよび印刷インキに関する。更に詳しくは、プラスチックフィルムに対する接着性が良く、ダイレクトラミネート適性を有する印刷インキ用バインダー;並びに、これらを用いた印刷インキに関する。 【0002】 【従来の技術】従来、ポリエステル(PET)フィルム、ナイロン(NY)フィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムなどのプラスチックフィルムを基材とするフレキシブルパッケージと呼ばれる包装材の製造においては、フィルム基材にグラビア印刷あるいはフレキソ印刷等の方法で印刷後、ヒートシール性や気密性等の包装材の機能性向上のため、ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネート加工またはエクストルージョンラミネート加工によりラミネートすることが通常行われる。 ・・・略・・・ 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、良好なラミネート加工適性を有し、各種プラスチックフィルムに対して十分な接着性のある印刷インキ用バインダーならびに印刷インキについて鋭意検討した結果、特定の構造を有する高分子ポリオールをポリオール成分として使用したポリウレタン樹脂をバインダーに使用することにより、有機溶剤含有印刷インキ、水性印刷インキの何れにおいても上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。即ち本発明は、下記<1>、<2>のバインダー及び下記<3>、<4>の印刷インキである。 【0007】<1>ポリオール成分(A)を構成単位とするポリウレタン樹脂(U)からなり、(A)が炭素数3~40の脂肪族炭化水素基を側鎖として含有し、数平均分子量が500~10,000の高分子ポリオール(A1)1種以上からなるポリオール成分であることを特徴とする印刷インキ用バインダー。 <2>該ポリウレタン樹脂(U)が、アンモニアおよび/または有機アミンで中和された酸基を有するポリウレタン樹脂(Uaq)であり、且つ樹脂(Uaq)からなる成分が、水性媒体に希釈されてなる<1>記載のバインダー。 <3><1>記載のバインダーを主バインダー成分とする溶剤系印刷インキ。 <4><2>記載のバインダーを主バインダー成分とする水性印刷インキ。 ・・・略・・・ 【0039】<3>の溶剤系印刷インキは、<1>のバインダーと顔料とを主成分としてなる有機溶剤分散液である。顔料としては特に制限はなく、通常の無機および有機顔料が使用できる。又必要により他のインキバインダー用としての樹脂類、溶剤および安定剤、顔料分散剤等の添加剤を配合することもできる。他の樹脂類としてはポリアミド樹脂、ニトロセルロース、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレンマレイン酸共重合系樹脂、塩素化ポリオレフィン、エポキシ樹脂およびロジン系樹脂が挙げられる。安定剤としては、ヒンダードフェノール系、ヒドラジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、オキザリックアシッドアニリド系、ヒンダードアミン系等の安定剤が挙げられる。顔料分散剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリアクリル酸の部分脂肪酸エステル、アルキルアミン脂肪酸塩、アルキルジアミンなどが挙げられる。各成分の混合方法は特に制限はなく、三本ロール、ボ-ルミル、サンドグラインダ-ミルなどの通常のインキ製造装置を用いて<3>を製造できる。 【0040】<3>の印刷インキの配合処方例は下記とおりである(%は重量%)。 本発明<1>のバインダー(固形分の量) 10~30 % 顔料 5~40 % 任意成分 他の樹脂類(固形分の量) 0~10 % 添加剤(固形分の量) 0~ 3 % 溶剤(樹脂成分中の溶剤も含む) 40~70 % ・・・略・・・ 【0046】<3>、<4>の印刷インキは、特に特殊グラビアインキおよびフレキソインキとして好適である。適用する対象としては、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、セロファンフィルムなどが挙げられる。」 2 甲2の記載 甲2は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、甲2には、以下の記載がある。なお、翻訳文は甲2に係る国際出願の特許出願の公表特許公報である甲8に基づくものである。 (1)1頁3~6行 「Field of Invention The instant invention relates to stabilizing compositions. In particular, the instant invention relates to compositions that stabilize materials against ultraviolet light degradation and thermal degradation. (翻訳文) 技術分野 本発明は、安定化組成物に関する。特に、本発明は、紫外線劣化および熱劣化に対して材料を安定させる組成物に関する。」 (2)14頁1~18行 「 The hindered phenol antioxidant compound includes a molecular fragment according more of Formula (IV a), (IVb), or (IVc): [図:0001436153000001.jpg] wherein R18 in Formulae (IVa), (IVb) and (IVc) is chosen from hydrogen and a C1-4 hydrocarbyl; R19 and R20 in Formulae (IVa), (IVb) and (IVc) are each individually chosen from hydrogen and a C1-C20 hydrocarbyl; and R37 in Formulae (IVa), (IVb) and (IVc) is chosen from C1-C12 hydrocarbyl. In one embodiment, R18 in Formulae (IVa), (IVb) and (IVc) and R37 are chosen from methyl and t-butyl. Examples of the hindered phenol antioxidant compound include (l,3,5-Tris(4-t-butyl-3-hydroxy-2,6-dimethylbenzyl) 1,3,5-triazine-2,4,6-(lH,3H,5H)-trione; 1,3,5-tris(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzyl)-l,3,5-triazine-2,4,6(lH,3H,5H)-trione; 1,1,3- Tris(2'-methyl-4'-hydroxy-5'-t-butylphenyl)butane; Triethylene glycol bis[3-(3-t-butyl-4- hydroxy-5-methylphenyl)propionate]; 4,4'-Thiobis(2-t-butyl-5-methylphenol); 2,2'- Thiodiethylene bis[3-(3-t-butyl-4-hydroxyl-5-methylphenyl)propionate]; Octadecyl 3-(3'-t-butyl-4'-hydroxy-5'-methylphenyl)propionate; Tetrakismethylene(3 -i-butyl-4-hydroxy-5- methylhydrocinnamate)methane; N,N'-Hexamethylene bis[3-(3-t-butyl-4-hydroxy-5- methylphenyl)propionamide]; Di(4-tertiarybutyl-3-hydroxy-2,6-dimethyl benzyl)thiodipropionate; and octadecyl 3,5-di-(tert)-butyl-4-hydroxyhydrocinnamate. (翻訳文) ヒンダードフェノール酸化防止剤化合物は、式(IVa)、(IVb)、または(IVc): 【化5】 [図:0001436153000002.jpg] (ここで、式(IVa)、(IVb)および(IVc)におけるR18は、水素およびC1~4ヒドロカルビルから選ばれ;式(IVa)、(IVb)および(IVc)におけるR19およびR20はそれぞれ独立して、水素およびC1~C20ヒドロカルビルから選ばれ;そして式(IVa)、(IVb)および(IVc)におけるR37は、C1~C12ヒドロカルビルから選ばれる)の1つもしくは複数に従った分子断片を含む。一実施形態では、式(IVa)、(IVb)および(IVc)におけるR18およびR37は、メチルおよびt-ブチルから選ばれる。ヒンダードフェノール酸化防止剤化合物の例としては、(1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン;1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン;1,1,3-トリス(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)ブタン;トリエチレングリコールビス[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート];4,4’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール);2,2’-チオジエチレンビス[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシル-5-メチルフェニル)プロピオネート];オクタデシル3-(3’-t-ブチル-4’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)プロピオネート;テトラキスメチレン(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルヒドロシンナメート)メタン;N,N’-ヘキサメチレンビス[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオンアミド];ジ(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)チオジプロピオネート;およびオクタデシル3,5-ジ-(tert)-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメートが挙げられる。」 (3)17頁10行~18頁2行 「 The thermal and UV light stabilizing composition can be combined with a material to be stabilized, e.g., a polymer, in any manner known in the art, thus forming a composition that is a stabilized material (also referred to herein as a stabilized composition or a composition). Materials to be stabilized, to which the thermal and UV light stabilizing composition may be combined with, include, but are not limited to, polymers such as polyolefins, polyesters, polyethers, polyketones, polyamides, natural and synthetic rubbers, polyurethanes, polystyrenes, high-impact polystyrenes, polyacrylates, polymethacrylates, polyacetals, polyacrylonitriles, polybutadienes, polystyrenes, acrylonitrile-butadiene-styrene, styrene acrylonitrile, acrylate styrene acrylonitrile, cellulosic acetate butyrate, cellulosic polymers, polyimides, polyamideimides, polyetherimides, polyphenylsulfides, polyphenyloxidepolysulfones, polyethersulfones, polyvinylchlorides, polycarbonates, polyketones, aliphatic polyketones, thermoplastic olefins, aminoresin cross-linked polyacrylates and polyesters, polyisocyanate cross-linked polyesters and polyacrylates, phenol/formaldehyde, urea/formaldehyde and melamine/formaldehyde resins, drying and non-drying alkyd resins, alkyd resins, polyester resins, acrylate resins cross-linked with melamine resins, urea resins, isocyanates, isocyanurates, carbamates, and epoxy resins, cross-linked epoxy resins derived from aliphatic, cycloaliphatic, heterocyclic and aromatic glycidyl compounds, which are cross-linked with anhydrides or amines, polysiloxanes, Michael addition polymers, amines, blocked amines with activated unsaturated and methylene compounds, ketimines with activated unsaturated and methylene compounds, polyketimines in combination with unsaturated acrylic polyacetoacetate resins, polyketimines in combination with unsaturated acrylic resins, radiation curable compositions, epoxymelamine resins, as well as organic dyes, cosmetic products, cellulose-based paper formulations, photographic film paper, fibers, waxes, inks, and blends thereof. (翻訳文) 熱およびUV線安定化組成物は、当技術分野で公知の任意の方法で、安定させられるべき材料、例えば、ポリマーと組み合わせ、このようにして被安定化材料(以下、被安定化組成物または組成物という)である組成物を形成することができる。熱およびUV線安定化組成物がそれと組み合わせられてもよい、安定させられるべき材料としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリケトン、ポリアミド、天然および合成ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、スチレンアクリロニトリル、アクリレートスチレンアクリロニトリル、セルロースアセテートブチレート、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルフィド、ポリフェニルオキシドポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリケトン、脂肪族ポリケトン、熱可塑性オレフィン、アミノ樹脂架橋ポリアクリレートおよびポリエステル、ポリイソシアネート架橋ポリエステルおよびポリアクリレート、フェノール/ホルムアルデヒド、尿素/ホルムアルデヒドおよびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂、乾性および不乾性アルキド樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂;メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、カルバメート、およびエポキシ樹脂で架橋されたアクリレート樹脂;酸無水物またはアミンで架橋されている、脂肪族、脂環式、複素環および芳香族グリシジル化合物に由来する架橋エポキシ樹脂;ポリシロキサン、Michael付加ポリマー、アミン、活性化不飽和およびメチレン化合物と共にブロックドアミン、活性化不飽和およびメチレン化合物と共にケチミン、不飽和アクリルポリアセトアセテート樹脂と組み合わせたポリケチミン、不飽和アクリル樹脂と組み合わせたポリケチミン、放射線硬化性組成物、エポキシメラミン樹脂、ならびに有機染料、化粧品、セルロースベースの紙調合物、写真用フィルム紙、繊維、ワックス、インク、ならびにそれらのブレンドなどのポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。」 (4)19頁27行~20頁2行 「 The amount of the hindered phenol antioxidant compound in the stabilized composition is from about 0.001 wt.% to about 0.50 wt.%, preferably from about 0.002 wt.% to about 0.25 wt.%, more preferably from about 0.004 wt.% to about 0.085 wt.%, based on the total weight of the stabilized composition. (翻訳文) 被安定化組成物中のヒンダードフェノール酸化防止剤化合物の量は、被安定剤組成物の総重量を基準として、約0.001重量%~約0.50重量%、好ましくは約0.002重量%~約0.25重量%、より好ましくは約0.004重量%~約0.085重量%である。」 (5)51頁1~8行 「What is claimed is: 1. A thermal and ultraviolet (UV) light stabilizing composition comprising: an ortho-hydroxyl tris-aryl-s-triazine compound; a hindered amine light stabilizer compound; a hindered hydroxybenzoate compound; an acid scavenger; a phosphite compound; and a hindered phenol antioxidant compound. (翻訳文) 特許請求の範囲 請求項1 オルト-ヒドロキシルトリス-アリール-s-トリアジン化合物と; ヒンダードアミン光安定剤化合物と; ヒンダードヒドロキシベンゾエート化合物と; 酸捕捉剤と; ホスファイト化合物と; ヒンダードフェノール酸化防止剤化合物と を含む熱および紫外(UV)線安定化組成物。」 3 甲3の記載 甲3は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、甲3には、以下の記載がある。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 バインダー樹脂、着色剤および芳香族有機溶剤以外の有機溶剤を主成分とする軟包装用ラミネートインキ組成物において、該バインダー樹脂として、ポリプロピレングリコール(以下PPG)含有ポリウレタン樹脂および水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を必須成分として含有することを特徴とする、軟包装用ラミネートインキ組成物。 ・・・略・・・ 【請求項5】 セルロースアセテートプロピオネート樹脂および/またはセルロースアセテートブチレート樹脂を、軟包装用ノントルラミネートインキ組成物100重量部に対して、0.01~10重量部添加することを特徴とする請求項1ない4いずれか記載の軟包装用ノントルラミネートインキ組成物。 【請求項6】 ニトロセルロース樹脂を、軟包装用ノントルラミネートインキ組成物100重量部に対して、0.01~10重量部添加することを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の軟包装用ノントルラミネートインキ組成物。」 (2)「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、軟包装用ノントルラミネートインキ組成物に関する。特に、特定のポリウレタン樹脂と水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を特定な比率で併用することにより、広範囲な種類のフィルムに優れた接着性、耐ブロッキング、ラミネート強度およびボイルレトルト適性を有する軟包装用ノントルラミネートインキ組成物に関する。更にセルロースアセテートプロピオネート樹脂および/またはセルロースアセテートブチレート樹脂および/またはニトロセルロース樹脂を特定な比率で併用することにより更に優れた性能を発揮する軟包装用ノントルラミネートインキ組成物に関する。 ・・・略・・・ 【0006】 即ち、本発明は、バインダー樹脂、着色剤および芳香族有機溶剤以外の有機溶剤を主成分とする軟包装用ラミネートインキにおいて、該バインダー樹脂として、ポリプロピレングリコール(以下PPG)含有ポリウレタン樹脂および水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を必須成分として含有することを特徴とする、軟包装用ラミネートインキ組成物に関する。 また、本発明は、PPGの含有比率が、PPG含有ポリウレタン樹脂100重量部に対して、5~80重量部の範囲であることを特徴とする上記軟包装用ラミネートインキ組成物に関する。 また、本発明は、PPGの数平均分子量が800~3500であることを特徴とする上記軟包装用ノントルラミネートインキ組成物に関する。 さらに、本発明は、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の水酸基価が、50~200mg当量KOH/gで、かつ塩化ビニル含有比率が80~95重量部であることを特徴とする、上記軟包装用ノントルラミネートインキ組成物。 さらに、本発明は、セルロースアセテートプロピオネート樹脂および/またはセルロースアセテートブチレート樹脂を、軟包装用ノントルラミネートインキ100重量部に対して、0.01~10重量部添加することを特徴とする上記軟包装用ノントルラミネートインキ組成物に関する。 さらに、本発明は、ニトロセルロース樹脂を、軟包装用ノントルラミネートインキ100重量部に対して、0.01~10重量部添加することを特徴とする上記軟包装用ノントルラミネートインキ組成物に関する。 加えて、本発明は、上記軟包装用ノントルラミネートインキ組成物を印刷してなる印刷物に関する。 【発明の効果】 【0007】 本発明により、広範囲な種類のフィルムに優れた接着性、耐ブロッキング性、ラミネート強度およびボイルレトルト適性を有する軟包装用ノントルラミネートインキ組成物が得られた。 【発明を実施するための最良の形態】 ・・・略・・・ 【0021】 本発明は、前述PPG含有ポリウレタン樹脂および前述水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を必須成分として含有する軟包装用ノントルラミネートインキ組成物であるが、更にインキとして必要とされる機能を有するため、併用樹脂、有機溶剤などを含むことが出来る。その他、必要に応じて体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。 ・・・略・・・ 【0023】 本発明のインキに必要に応じて併用される樹脂の例としては、本発明以外のポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂などを挙げることができる。併用樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。併用樹脂の含有量は、インキの総重量に対して1~25重量%が好ましく、更に好ましくは2~15重量%である。」 (3)「【実施例】 【0028】 本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」は、いずれも重量基準によるものとする。 なお、分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレン換算分子量として求めた。粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定した。 【0029】 (合成例1) アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタジオールから得られる数平均分子量(以下Mnという)2000のポリエステルジオール(PMPA2000)119.9部、Mn2000のポリプロピレングリコール(PPG2000)119.9部、4,4‘-ジフェニールメタンジイソシアネート48.0部および酢酸エチル90部を窒素気流下に90℃で6時間反応させ、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液373.8部を得た。次いでイソホロンジアミン9.9部、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン1.5部、ジ-n-ブチルアミン0.9部、酢酸エチル330部およびイソプロピルアルコール280部を混合したものに、得られた末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液473部を室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、固形分30%、、25℃における粘度800mPaSのポリウレタン樹脂溶液Aを得た。 (合成例2~9) 表1に示す原料を用い、合成例1と同様にして、ポリウレタン樹脂溶液B~Iを得た。 (樹脂溶液J~O) ポリウレタン樹脂と併用して用いる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を酢酸エチルで15%溶液とし樹脂溶液J~Nとした。比較のため水酸基を有しない塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を酢酸エチルで15%溶液としたののを樹脂溶液Oとした。これら樹脂溶液の樹脂モノマー組成を表2に示した。 【0030】 [実施例1] 得られたポリウレタン樹脂溶液A40部、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニルの樹脂溶液J40部、フタロシアニン系青色顔料15部(東洋インキ製造(株)製リオノールブルーKLH)、メチルエチルケトン5部の混合物を練肉し、青色印刷インキを作成した。 得られた印刷インキの粘度をメチルエチルケトン、酢酸エチルおよびイソプロピルアルコールの混合溶剤(重量比40:40:20)で希釈し、ザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機によるコロナ処理ナイロンフィルム(NY:ユニチカ(株)製 商品名 エンブレム ON、厚さ15μm)およびコロナ処理ポリエステルフィルム(PET:東洋紡積(株)製 商品名 パイレン P2161、厚さ20μm)に印刷して40~50℃で乾燥し、印刷物を得た。 得られた印刷物について、NYおよびPETへの接着性、ELラミネート強度、DLラミネート強度、ボイル適性、レトルト適性を評価した。その結果を表1に示す。なお、評価は下記の試験方法にて行った。 ・・・略・・・ [実施例2~14] 表1に示す組成配合により合成したポリウレタン樹脂B~Hを用いて、表3の配合組成により、実施例1と同様にインキを作成した。更に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートおよびニトロセルロースを表3に示す組成配合で実施例1と同様にインキを作成した。 [比較例1~4] 実施例と比較するために、表4に示す組成配合により、実施例1と同様にインキを作成した。 【0031】 実施例、比較例を評価した結果を表3および表4に示した。 【0032】 【表1】 [図:0001436153000003.jpg] 【0033】 【表2】 [図:0001436153000004.jpg] 【0034】 【表3】 [図:0001436153000005.jpg] 【0035】 【表4】 [図:0001436153000006.jpg] 」 4 甲4の記載 甲4は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、甲4には、以下の記載がある。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリウレタン樹脂と、その他の樹脂と、を含有する印刷インキ用バインダーであって、 前記ポリウレタン樹脂が、(A)ポリオール、(B)ジメチロールプロピオン酸、(C)ジイソシアネート化合物、及び(D)鎖伸長剤を含む重合体であり、 前記(A)ポリオールが、数平均分子量が1000~6000のポリエステルポリオールを含み、 前記ポリウレタン樹脂における、(B)ジメチロールプロピオン酸の含有量が、前記ポリウレタン樹脂の質量に対し0.01~5質量%であり、 前記その他の樹脂が、前記ポリウレタン樹脂以外のポリウレタン樹脂、ポリアミド、ニトロセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ロジン系樹脂、及びケトン樹脂から選ばれる、 印刷インキ用バインダー。 ・・・略・・・ 【請求項5】 請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷インキ用バインダー、着色剤及び有機溶剤を含有する、包装ラミネート用印刷インキ組成物。」 (2)「【発明を実施するための形態】 【0020】 以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。 【0021】 一実施形態に係る印刷インキ用バインダーは、ポリウレタン樹脂を主成分として含むバインダー(バインダー樹脂)である。通常、バインダー全体のうち50~100質量%がポリウレタン樹脂で構成される。 ・・・略・・・ 【0041】 一実施形態に係るインキ組成物は、上記印刷インキ用バインダー、着色剤及び有機溶剤を含有する。このインキ組成物は、ラミネート加工法によって製造される包装容器の印刷膜を形成するために用いられる、包装ラミネート用インキ組成物であることができる。インキ組成物におけるバインダーの含有量(樹脂固形分の濃度)は、通常、インキ組成物の質量に対して3~50質量%程度である。」 5 甲6の記載 甲6は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、甲6には、以下の記載がある。 (1)76頁2~4行 「 [図:0001436153000007.jpg] 」 (2)76頁24~26行 「 [図:0001436153000008.jpg] 」 (3)100頁28行~105頁19行 「 [図:0001436153000009.jpg] [図:0001436153000010.jpg] [図:0001436153000011.jpg] [図:0001436153000012.jpg] [図:0001436153000013.jpg] [図:0001436153000014.jpg] 」 6 甲11の記載 甲11には、以下の記載がある。なお、下線は引用発明の認定及び判断で活用した箇所であって、当合議体で付したものである。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 二酸化チタン被覆雲母表面がコバルト、ニッケル、銅、亜鉛、スズ、金、銀より選ばれた1種又は2種以上の金属粒子で被覆され、前記金属被覆量が雲母100重量部に対して1~60重量部である光輝性有色顔料と、バインダー樹脂と、有機溶剤を含有することを特徴とする可変光輝性組成物。」 (2)「【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、光輝性組成物、特にその光輝性が観察角度によって変化する可変光輝性を与える組成物、その塗装体、及びその塗装方法等に関する。 ・・・略・・・ 【0012】本発明にかかる可変光輝性組成物に配合されるバインダー樹脂とは、光輝性有色顔料を基材上に安定に密着させうる樹脂であり、可変光輝性組成物を基材上に塗装後は該組成物中の溶剤が揮散して光輝性有色顔料を包埋した状態で基材上に被膜を形成するものである。バインダー樹脂は基材との相性や、形成被膜被膜強度、膜厚等によって選択されるので特に限定されないが、通常塗料や印刷インキのバインダーとして用いられているものを使用することができる。例えば、ギルソナイト、マレイン酸樹脂、環化ゴム、硬化ロジン、石油樹脂、ニトロセルロース、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、アマニ油、変性フェノール樹脂、フマル酸樹脂、エポキシエステル樹脂、エポキシアミノ樹脂、エポキシフェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、鉱油ワニス、ケトン樹脂、塩化ゴム、エチルセルロース、尿素樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。 ・・・略・・・ 【0014】溶剤としては揮発性の有機溶剤が多く用いられるが、場合によっては水等を配合しても良い。本発明の可変光輝性組成物においては、本発明の効果を損なわない範囲であれば組成物の特性を調節するために前記必須成分の他に通常塗料やインキに配合されている各種添加剤を配合してもよい。例えば、可塑剤、ワックス、湿潤剤、安定剤、染顔料、静電防止剤、消泡剤、酸化防止剤、レベリング剤、重合禁止剤、フィラー剤等が挙げられる。 ・・・略・・・ 【0017】本発明における塗装方法は、本発明に係る可変光輝性組成物を基材上の一部又は全部の表面に塗布する方法であり、一般的な印刷方法も含む概念である。本発明の塗装方法としては、従来より行われている塗装方法、印刷方法、コーティング技術を利用することができ、例えば印刷方法としては凸板印刷、凹板印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、インキジェット印刷、静電印刷等が利用できる。また、はけ塗り、スプレー塗り、転がし塗り、ステンシル塗り、静電塗り、流し塗り、浸し塗り、ローラー塗り、吹き付け塗り等の塗装方法も用いることができる。以下に、具体例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。 【0018】製造例1 光輝性有色顔料の製造 Iriodin205(金色の干渉色を有するルチル型雲母チタン、西独Merck社製)50gを8×10-3M塩化スズ水溶液500mlに分散させ、濾過後、5×10-3M塩化パラジウム水溶液に再度分散させた。濾過後、得られた活性化雲母チタン50gをpH6~6.5、浴温80℃に保った次亜リン酸ナトリウム(10g/l)、クエン酸ナトリウム(100g/l)、硫酸アンモニウム(50g/l)、硫酸ニッケル(11.75g/l)からなる無電解ニッケルメッキ浴1200mlに分散させ、1時間撹拌を続けた。濾過後、水洗し、150℃で12時間乾燥させ、金色の外観色を有する光輝性有色顔料52gを得た。 【0019】試験例1:顔料と樹脂の比率 製造例1の光輝性有色顔料を用い、表1~2の処方で顔料を撹拌機で均一に分散させて可変光輝性組成物を調製した。この組成物をドクターブレードを用いて白紙上に塗布した。得られた色紙を乾燥後、20×100mmの大きさに切り取り、測定用試料とした。測色は肉眼観察と、村上色彩研究所製の変角分光測色機(GCMS-3)を用いた測色(入射角45℃、受光角35度及び65℃)を行った。各受光角における明度(Y値)を光沢度とした。なお、測定用試料の乾燥後の塗膜膜厚は0.016mm及び0.032mmの2種類であった。 【0020】 【表1】 [図:0001436153000015.jpg] 」 (3)「【実施例】 ・・・略・・・ 【0032】実施例2 グラビアインキ 光輝性有色顔料 15.0% ポリアミド樹脂 15.0 ロジンエステル 4.0 ニトロセルロース 3.0 イソプロピルアルコール 46.0 酢酸エチル 5.0 トルエン 10.0 ポリエチレンワックス 2.0 【0033】顔料は特願昭61-188887号実施例2に記載の方法で製造した緑色の光輝性顔料(被覆金属:ニッケル)を用いた。各成分を混合し、混合物をサンドミルで混練してグラビアインキを得た。塗膜膜厚(乾燥後)50μmでポリエチレンフィルム上にグラビア印刷を行ったところ、塗装体は緑色の良好な色調と光沢度を発揮し、また、見る角度によって光沢度が異なるフリップフロップ効果が得られた。 ・・・略・・・ 【0053】実施例10 スクリーンインキ 光輝性有色顔料 15.0% アクリル樹脂 20.0 ナフサ 35.0 ブチルセルソルブ 30.0 【0054】顔料は特願昭61-188887号に記載の方法に準じて製造した。すなわち、実施例1で用いた青色の光輝性有色顔料(被覆金属:コバルト)50gを用いて、実施例9の方法と同様にして銀を被覆し、青色の鮮やかな外観色と干渉色を有する光輝性有色顔料51.0gを得た。なお、得られた顔料は雲母100重量部に対して4.2重量部の銀を含有していた。得られた青色の光輝性顔料を用い、上記処方でスクリーンインキを製造し、塗膜膜厚(乾燥後)50μmでABS樹脂上にスクリーン印刷したところ、塗装体は青色の良好な色調と光沢度を発揮し、また、見る角度によって光沢度が異なるフリップフロップ効果が得られた。」 7 甲13の記載 甲13は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、甲13には、以下の記載がある。 (1)特許請求の範囲 「1.顔料、アクリル樹脂、ビニル樹脂、変性ロジンエステル及びエチルセルロースからなる群から選択される樹脂、シリコーン樹脂、および非水系溶剤からなる、織物を対象とするインキ組成物。 ・・・略・・・ 7.上記溶剤がアルコール、およびケトンから選択される請求項1~6のいず れか1項に記載のインキ組成物。」 (2)5頁1~5行 「【発明の詳細な説明】 織物に使用するインキ組成物 本発明は、インキジェット印刷に関する。特に、本発明は、織物を対象とするインキジェット印刷に、さらに、織物の印刷に使用した場合に、着色が生じない新規なインキジェット用インキ組成物に関する。」 (3)8頁下から3行目~下から2行目 「本発明インキに有用なバインダー樹脂はアクリル樹脂、ビニル、変性ロジンエステル、またはエチルセルロースである。」 (4)10頁下から5行目~11頁5行 「 本発明では、さらに、(a)他の成分の溶解性、(b)インキの基材に対する密着性、(c)印字品質、および(d)表曲張力や粘度などの特性に関係する濡れ特性の制御を改善することができる任意の物質であればよい他の添加剤も使用できる。 例えば、酸化防止剤及び/又は紫外線安定剤も混合した形で、あるいは単独で使用することができる。有用な酸化防止剤にはヒンダードフェノールがあり、例示すれば、BHT、TBHQ、およびBHAであり、それぞれの商品名はTenox(Eastman Chemical Products社)、Ethanox(Ethyl Corp.社)、およびIrgazox(Ciba-Geigy社)である。」 第7 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要 令和7年10月27日付け取消理由通知書(決定の予告)により特許権者に通知した取消しの理由の概要及び引用文献は、次のとおりである。 理由1(進歩性):本件特許の請求項1~4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 甲11:特開平9-157557号公報 甲12:宮坂啓象編、「プラスチック事典」、初版第2刷、(株)朝倉書店、1997年9月20日、第730頁~733頁 (当合議体注:甲11は主引例である。また、甲12は周知技術を示す文献である。) 第8 取消理由通知書(決定の予告)で通知した取消しの理由についての当合議体の判断 1 甲11に記載された発明(甲11インキ発明)の認定 上記第6の6(3)より、甲11には、以下の発明(以下「甲11インキ発明」という。)が記載されていると認められる。 「以下の各成分を混合し、混合物を混練して得た、グラビアインキ。 光輝性有色顔料 15.0% ポリアミド樹脂 15.0 ロジンエステル 4.0 ニトロセルロース 3.0 イソプロピルアルコール 46.0 酢酸エチル 5.0 トルエン 10.0 ポリエチレンワックス 2.0」 2 本件特許発明1について (1)対比 本件特許発明1と甲11インキ発明を対比する。 ア バインダー樹脂(A) 甲11インキ発明の「ポリアミド樹脂」、「ロジンエステル」及び「ニトロセルロース」は、技術的にみて、それぞれ、本件特許発明1の「バインダー樹脂(A)」に相当する。 また、甲11インキ発明の「グラビアインキ」は、「ポリアミド樹脂」、「ロジンエステル」及び「ニトロセルロース」を混合して得たものであるから、本件特許発明1の「リキッド印刷インキ」における「バインダー樹脂(A)」を含有するという要件を満たすものである。 イ 着色剤(B) 甲11インキ発明の「光輝性有色顔料」は、技術的にみて、本件特許発明1の「着色剤(B)」に相当する。 ウ 有機溶剤(C) 甲11インキ発明の「イソプロピルアルコール」、「酢酸エチル」及び「トルエン」は、技術的にみて、本件特許発明1の「有機溶剤(C)」に相当する。 エ リキッド印刷インキ 甲11インキ発明の「グラビアインキ」は、その組成からみて、本件特許発明1の「リキッド印刷インキ」に相当する。 (2)一致点・相違点 上記(1)より、本件特許発明と甲11インキ発明の一致点と相違点は、以下のとおりである。 (一致点) 「バインダー樹脂(A)、着色剤(B)及び有機溶剤(C)を含有する、リキッド印刷インキ。」 (相違点1) 「バインダー樹脂(A)」が、本件特許発明1は、「アクリル系樹脂/繊維素系樹脂」であるのに対し、甲11インキ発明は、「ポリアミド樹脂」、「ロジンエステル」及び「ニトロセルロース」である点。 (相違点2) 本件特許発明1は、「酸化防止剤(D)を含有し」、「酸化防止剤(D)をインキ固形分全量に対し、0.01~5.0質量%含有し」、「酸化防止剤(D)がヒンダードフェノール系酸化防止剤である」のに対し、甲11インキ発明は、酸化防止剤を含有しない点。 (3)判断 技術的関連性に鑑み、相違点1及び相違点2についてまとめて検討する。 甲1~3及び13には、繊維素系樹脂又はアクリル系樹脂とヒンダードフェノール又は紫外線吸収剤を含有する印刷インキに関する発明が記載・示唆されているにとどまる(上記第6の1~3及び7参照)。 また、甲4及び11には、繊維素系樹脂又はアクリル系樹脂を含有する印刷インキに関する発明が記載・示唆されているにとどまる(上記第6の4及び6参照)。 そうすると、甲1~4、11及び13には、バインダー樹脂として繊維素系樹脂とアクリル系樹脂の両者を用いることは記載も示唆もされていない。さらに、このことは、甲5~6、甲8~9及び甲12~13のいずれの文献をみても同様である。 そうしてみると、相違点1及び相違点2に係る本件特許発明1の構成は、申立人が提出した甲1~6及び8~13のいずれにも記載・示唆されておらず、また、当該構成が公知技術又は周知慣用技術であることを示す証拠を発見することもできない。 したがって、甲11インキ発明において、相違点1及び相違点2に係る本件特許発明1の構成を採用する動機付けはない。 また、バインダー樹脂として繊維素系樹脂とアクリル系樹脂の両方を用い、さらにヒンダードフェノールを含む酸化防止剤を所定含有量用いることによって、有利な効果が奏されることが本件特許明細書に具体例(【0092】【表2】の「1)耐熱時の耐黄変性」及び「2)耐ブロッキング性」欄)で示されていることからみて相違点1及び相違点2に係る本願特許発明1の構成が当業者が適宜選択し得る設計事項にすぎないとはいえない。 以上総合すると、甲11インキ発明において、相違点1及び相違点2に係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。 (4)小括 以上によれば、本件特許発明1は、甲11に記載された発明並びに甲1~6及び8~13に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものではない。 3 本件特許発明2~4について 本件特許発明2~4はいずれも、請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、本件特許発明1の構成を全て具備し、これに限定を加えたものに該当する。 そうすると、上記2のとおり、本件特許発明1が、甲11に記載された発明並びに甲1~6及び8~13に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件特許発明2~4も、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項2~4に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものではない。 4 小括 以上まとめると、本件特許発明1~4は、甲11に記載された発明並びに甲1~6及び8~13に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由により本件特許発明1~4についての特許を取り消すことはできない。 第9 取消理由通知書(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由についての判断 上記第5の(1)に記載した取消理由2(甲11に基づく進歩性欠如)は、上記第7のとおり、取消理由通知書(決定の予告)で採用し、上記第4及び第5に示した、その他の申立理由及び取消理由は採用しなかったところ、本件特許発明1~4についての特許は、以下において検討するとおり、これらの採用しなかった理由によっても取り消すことはできない。 1 申立理由1(進歩性)について 申立理由1(上記第4の(1))は、本件特許発明1~4は、甲1~4及び6のいずれかを主引用例とし、これらに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるというものである。 しかしながら、上記第8の2(3)で述べたのと同様、少なくとも相違点1に係る本件特許発明1の「バインダー樹脂(A)が、アクリル系樹脂/繊維素系樹脂である」という構成は、甲1~6及び8~13のいずれにも記載も示唆もされておらず、また、当該構成が公知技術又は周知慣用技術であることを示す証拠を発見することもできない。 そうすると、甲1~4及び6のいずれかに記載された発明において、相違点1に係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。 2 取消理由2(進歩性)について 取消理由2(上記第5の(1)の一部)は、本件特許発明1~4は、甲13を主引用例とし、これに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるというものである。 しかしながら、上記第8の2(3)で述べたのと同様、相違点1に係る本件特許発明1の「バインダー樹脂(A)が、アクリル系樹脂/繊維素系樹脂である」という構成は、少なくとも甲1~6、8~13のいずれにも記載も示唆もされておらず、また、当該構成が公知技術又は周知慣用技術であることを示す証拠を発見することもできない。 そうすると、甲13に記載された発明において、相違点1に係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。 3 取消理由3(明確性)について 取消理由3(上記第5の(2))の概要は、下記(1)に示すとおり、本件特許発明1~4は、明確性要件を満たすものではないというものである。 (1)取消理由3の概要 訂正後の請求項1に記載のリキッド印刷インキは、酸化防止剤(D)を含有すること、酸化防止剤(D)はインキ固形分全量に対し0.01~5.0質量%含有すること、及び酸化防止剤(D)がヒンダードフェノール系酸化防止剤であること、を要件とする。 このような請求項1の記載によると、本発明における酸化防止剤(D)はヒンダードフェノール系酸化防止剤である。そしてヒンダードフェノール系酸化防止剤はインキ固形分全量に対し0.01~5.0質量%含有すると明確に定義される。 これに対して、本件特許明細書の表3に記載の比較例4に示すインキは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とホスファイト系酸化防止剤を含有し、これら2種の合計量が、インキ固形分全量に対し10.873質量%である。 この含有量は一見本発明中の酸化防止剤(D)のインキ固形分全量中の含有量の範囲を超えるようにみえる。 しかしながら、上記請求項1の記載は、酸化防止剤の中でもヒンダードフェノール系酸化防止剤のみのインキ固形分全量に対する濃度を規定しており、その規定に沿うと、比較例4のインキはヒンダードフェノール系酸化防止剤をインキ固形分全量に対して約0.18質量%含有する。 つまり、比較例4は本発明に包含されるが、耐熱時の耐黄変性と耐ブロッキング性に劣る結果である。 そうすると、本発明による効果はどの程度であるのか、及び正確には本発明の範囲はどのような範囲であるのかが不明瞭である。 (2)判断 請求項1には、「前記酸化防止剤(D)をインキ固形分全量に対し0.01~5.0質量%含有」し、「前記酸化防止剤(D)が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤である」が記載されているものの、本件特許明細書の【0091】【表1】には、例えば、2種以上の酸化防止剤を含む実施例である実施例4において「インキ固形分に占める酸化防止剤の質量%」として、「ヒンダードフェノール系酸化防止剤」の含有量(0.200質量%)及び「ホスファイト系酸化防止剤」と含有量(0.039質量%)の合計値(0.239質量%)が記載されていることからみて、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とその他の酸化防止剤の合計の含有量がインキ固形分に対し5質量%を超える態様(例えば、本件特許明細書に記載の比較例4)は、本件特許発明1には該当しないと解するのが相当である。そして、このような理解と矛盾する記載は本件特許明細書には見当たらない。 よって、本件特許発明1~4は明確である。 第10 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び意見書に記載した取消理由のいずれによっても、本件特許発明1~4についての特許を取り消すことはできない。また、他に、これらの特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701172

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