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特許異議申立

2024-701124

二酸化炭素回収装置及び二酸化炭素回収方法

審判番号
2024-701124
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-119417外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
7487590
請求日
2024年11月19日
審決日
2025年07月03日
公報発行日
2025年10月31日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-YAA(C01B) / P1651.121-YAA(C01B) / P1651.537-YAA(C01B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第3項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7487590号発明「二酸化炭素回収装置及び二酸化炭素回収方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7487590号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕、11について訂正することを認める。 特許第7487590号の請求項1、2、4~11に係る特許を維持する。 特許第7487590号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7487590号の請求項1~11に係る特許(以下、それぞれ「本件特許1」などといい、まとめて「本件特許」という。)についての出願は、令和2年7月10日に出願され、令和6年5月13日にその特許権の設定登録がされ、同年同月21日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許1~11に対して、令和6年11月19日に特許異議申立人平居博美(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、令和7年2月12日付けで取消理由が通知され、同年4月9日に特許権者により意見書及び訂正請求書の提出がされた。 なお、上記訂正請求書に対して、申立人に期間を指定して意見を求めたが、意見書の提出はされなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和7年4月9日付けの訂正請求書における訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、特許法第120条の5第3項及び第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項〔1~10〕、及び請求項11を訂正の単位として訂正することを求めるものであり、その内容(訂正事項)は、次のとおりである(訂正箇所に下線を付した。)。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「大気を取り込む大気供給流路と、 前記大気供給流路から大気が供給され、燃焼ガスを生成する燃焼器と、 水素を供給する水素供給源と、 前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によって燃料に変換させる材料を収容する二酸化炭素回収還元器と、 を備える二酸化炭素回収装置。」と記載されているのを、 「大気を取り込む大気供給流路と、 前記大気供給流路から大気が供給され、燃焼ガスを生成する燃焼器と、 水素を供給する水素供給源と、 前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる材料を収容する二酸化炭素回収還元器と、 前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離するメタン分離器と、 前記メタン分離器で分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼器及び前記二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給するためのメタンガス供給流路と、 を備える二酸化炭素回収装置。」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2、4~10も同様に訂正する。)。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (3) 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に、 「請求項3」と記載されているのを、 「請求項1」に訂正する。 (4) 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に、 「請求項1~4のいずれか1項」と記載されているのを、 「請求項1、請求項2、又は請求項4のいずれか1項」に訂正する。 (5) 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項11に、 「大気を取り込む工程と、 前記大気が供給され、燃焼ガスを生成する工程と、 水素を供給する工程と、 前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によって燃料に変換させる工程と、 を含む二酸化炭素回収方法。」と記載されているのを、 「大気を取り込む工程と、 前記大気が供給され、燃焼ガスを生成する工程と、 水素を供給する工程と、 前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる工程と、 前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離する工程と、 分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼ガスを生成する燃焼器、及び、前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給する工程と、 を含む二酸化炭素回収方法。」に訂正する。 2 訂正要件(訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について)の判断 (1) 訂正事項1について ア 訂正の目的の適否について 訂正事項1は、設定登録時の請求項1に記載された「燃料」を「メタン」に限定し、さらに、「二酸化炭素回収装置」が「前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離するメタン分離器」、及び「前記メタン分離器で分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼器及び前記二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給するためのメタンガス供給流路」を備えることに限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無について (ア) 本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、それぞれを「本件特許明細書」などといい、まとめて「本件特許明細書等」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0011】 [第1実施形態] 図1は、第1実施形態の二酸化炭素回収装置を示す概略図である。図1に示すように、二酸化炭素回収装置100は、燃焼器Aと、熱利用機器Bと、二酸化炭素回収還元器Cと、メタン分離器Dと、水素・メタンガス貯蔵器Eと、水素供給源Hと、メタン貯蔵器Mと、を備える。 【0012】 燃焼器Aは、ガスを燃焼するための装置である。燃焼器Aには、・・・、水素・メタンガス供給流路17と、が接続されている。・・・」 「【0015】 水素・メタンガス供給流路17は、燃焼器Aに水素とメタンの混合ガスを供給するための流路である。・・・」 「【0027】 メタン分離器Dは、二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離する装置である。第1実施形態では、メタン分離器Dは、二酸化炭素回収還元器Cで得られた生成ガスからメタンの一部を分離する。メタン分離器Dには、・・・ガス供給流路の一例である水素・メタンガス供給流路16と、・・・が接続されている。」 「【0029】 水素・メタンガス供給流路16は、メタン分離器Dでメタンの一部が分離された後の残留ガスを、水素・メタンガス貯蔵器Eに供給するための流路である。残留ガスには、二酸化炭素回収還元器Cで得られた生成ガスよりも低濃度のメタン、水素等が含まれている。・・・水素・メタンガス供給バルブV6の開弁時には、残留ガスが水素・メタンガス貯蔵器Eへ供給される。・・・」 「【0031】 水素・メタンガス貯蔵器Eは、メタン分離器Dでメタンの一部が分離された後の残留ガスを貯蔵するための貯蔵器である。水素・メタンガス貯蔵器Eには、水素・メタンガス供給流路16と、水素・メタンガス供給流路17と、が接続されている。」 「【0056】 ・・・第1実施形態の二酸化炭素回収装置100を用いると、大気から二酸化炭素を効率良く取り込み、燃料であるメタンに低エネルギーで変換することができる。」 「【0120】 [変形例1] 第1実施形態~第5実施形態の二酸化炭素回収装置は、メタン分離器Dでメタンが分離された後の低濃度メタン含有ガスを、二酸化炭素回収還元器Cへ供給するための流路を備えていてもよい。具体的には、水素・メタンガス貯蔵器Eに接続された水素・メタンガス供給流路16が分岐する等して、二酸化炭素回収還元器Cへ供給するための流路となっていてもよい。メタン分離器Dでメタンが分離された後の低濃度メタン含有ガスには、水素が含まれる。・・・」 (イ) 前記(ア)によれば、本件特許明細書等には、燃料がメタンであること(【0056】)、二酸化炭素回収装置が、二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離するメタン分離器を備えること(【0011】、【0027】)、及び、二酸化炭素回収装置が、メタン分離器で分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼器及び前記二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給するためのメタンガス供給流路を備えること(【0011】、【0012】、【0015】、【0027】、【0029】、【0031】、【0120】)が記載されているといえるから、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであるといえる。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、また、訂正事項1により、設定登録時の請求項1には含まれないとされていた発明が訂正後の請求項1に含まれることとなるという事情は認められないから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2) 訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項3を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3) 訂正事項3について 訂正事項3は、訂正事項2による請求項3の削除に伴い、請求項4における引用関係を整理するものであるから、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4) 訂正事項4について 訂正事項4は、訂正事項2による請求項3の削除に伴い、請求項5における選択的引用請求項の一部を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」又は「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5) 訂正事項5について ア 訂正の目的の適否について 訂正事項5は、設定登録時の請求項11に記載された「燃料」を「メタン」に限定し、さらに、「二酸化炭素回収方法」が「前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離する工程」、及び「分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼ガスを生成する燃焼器、及び、前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給する工程」を含むことに限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無について 本件特許明細書等には、前記(1)イ(ア)によれば、燃料がメタンであること(【0056】)、二酸化炭素回収方法が、二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離する工程を含むこと(【0011】、【0027】)、及び、二酸化炭素回収方法が、分離後の低濃度メタン含有ガスを、燃焼ガスを生成する燃焼器、又は、前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を水素によってメタンに変換させる二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給する工程を含むこと(【0011】、【0012】、【0015】、【0027】、【0029】、【0031】、【0120】)が記載されているといえるから、訂正事項5は、本件特許明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであるといえる。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項5は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、また、訂正事項5により、設定登録時の請求項11には含まれないとされていた発明が訂正後の請求項11に含まれることとなるという事情は認められないから、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕、11について訂正することを認める。 第3 本件特許請求の範囲の記載(本件発明) 前記第2のとおり、本件訂正請求は適法にされたものであるから、本件訂正後の請求項1、2、4~11に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1、2、4~11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 大気を取り込む大気供給流路と、 前記大気供給流路から大気が供給され、燃焼ガスを生成する燃焼器と、 水素を供給する水素供給源と、 前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる材料を収容する二酸化炭素回収還元器と、 前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離するメタン分離器と、 前記メタン分離器で分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼器及び前記二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給するためのメタンガス供給流路と、 を備える二酸化炭素回収装置。 【請求項2】 前記材料は、二酸化炭素吸蔵性能を有する金属酸化物と、メタン化触媒性能を有する金属と、を含む二酸化炭素吸蔵還元触媒である、請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。 【請求項3】(削除) 【請求項4】 前記メタンガス供給流路は、前記メタン分離器で分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼器に供給するための流路である、請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。 【請求項5】 前記燃焼器と前記二酸化炭素回収還元器との間に、二酸化炭素吸蔵性能を有する吸着材料を収容する二酸化炭素吸蔵器をさらに備える、請求項1、請求項2、又は請求項4のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収装置。 【請求項6】 前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離するメタン分離器と、 前記二酸化炭素吸蔵器へ前記燃焼ガスを供給するための燃焼ガス供給流路と、 前記水素供給源から前記二酸化炭素吸蔵器へ水素を供給するための水素供給流路と、 前記二酸化炭素吸蔵器から前記二酸化炭素回収還元器へガスを供給するためのガス供給流路と、 前記二酸化炭素回収還元器から前記メタン分離器へ前記メタン含有ガスを供給するためのメタン含有ガス供給流路と、をさらに備える、請求項5に記載の二酸化炭素回収装置。 【請求項7】 前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離するメタン分離器と、 前記二酸化炭素吸蔵器へ前記燃焼ガスを供給するための燃焼ガス供給流路と、 前記二酸化炭素吸蔵器から前記二酸化炭素回収還元器へガスを供給するための第1ガス供給流路と、 前記水素供給源から前記二酸化炭素回収還元器へ水素を供給するための水素供給流路と、 前記二酸化炭素回収還元器から前記二酸化炭素吸蔵器へガスを供給するための第2ガス供給流路と、 前記二酸化炭素吸蔵器から前記メタン分離器へ前記メタン含有ガスを供給するためのメタン含有ガス供給流路と、をさらに備える、請求項5に記載の二酸化炭素回収装置。 【請求項8】 前記メタン分離器と前記二酸化炭素回収還元器との間に、二酸化炭素をメタンに転化するメタン転化器をさらに備える、請求項6に記載の二酸化炭素回収装置。 【請求項9】 前記メタン分離器と前記二酸化炭素吸蔵器との間に、二酸化炭素をメタンに転化するメタン転化器をさらに備える、請求項7に記載の二酸化炭素回収装置。 【請求項10】 前記二酸化炭素回収還元器と前記二酸化炭素吸蔵器との間に、水分を除去する除湿器をさらに備える、請求項5~請求項9のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収装置。 【請求項11】 大気を取り込む工程と、 前記大気が供給され、燃焼ガスを生成する工程と、 水素を供給する工程と、 前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる工程と、 前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離する工程と、 分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼ガスを生成する燃焼器、及び、前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給する工程と、 を含む二酸化炭素回収方法。」 第4 特許異議の申立てについて 1 申立ての理由の概要 申立人が主張する申立ての理由は、概略、以下のとおりである。 (1) 申立理由1(サポート要件違反) 本件特許1~10は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (2) 申立理由2(明確性要件違反) 本件特許1~10は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (3) 申立理由3(新規性欠如) 設定登録時の請求項1、2、11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、以下の甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、又は甲第4号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許1、2、11は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (4) 申立理由4(進歩性欠如) 設定登録時の請求項1、2、11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、以下の甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、又は甲第4号証に記載された発明、及び技術常識(甲第5号証~甲第12号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許1、2、11は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (5) 証拠方法一覧 甲第1号証 Melis S. Duyar et al., "Dual function materials for CO2 capture and conversion using renewable H2", Applied Catalysis B: Environmental, 2015, Vol.168-169, p.370-376 甲第2号証 特開2019-108302号公報 甲第3号証 特開2020-100597号公報 甲第4号証 国際公開第2016/007825号 甲第5号証 「排気燃焼炉付脱脂炉」、株式会社太平洋テックホームページ、[online]、[検索日2024年11月14日]、<https://pacific-technology.co.jp/service/ceramics/sintering/排気燃焼炉付脱脂炉/> 甲第6号証 「無煙陶芸窯やいた炉」、シンリュウ株式会社ホームページ、[online]、[検索日2024年11月14日]、<https://www.shinryu.co.jp/yaitaro/about.html> 甲第7号証 「ライト型燃焼炉の特長」、和光機械工業株式会社ホームページ、[online]、[検索日2024年11月14日]、<https://www.wacoh.ne.jp/archives/507.html> 甲第8号証 「ペレットストーブSS-5」、トラストループホームページ、[online]、[検索日2024年11月14日]、<https://www.trustloop.com/products/item14/> 甲第9号証 「廃液燃焼分解技術」、旭化成エンジニアリングホームページ、[online]、[検索日2024年11月14日]、<https://www.asahi-kasei.co.jp/aec/business/plant/product/wasteliquid.html> 甲第10号証 「LPガス安心ガイド」、西部ガスエネルギー株式会社ホームページ、[online]、[検索日2024年11月14日]、<https://www.sg-energy.co.jp/safety/attention.html> 甲第11号証 「流動床焼却システム」、荏原環境プラント株式会社ホームページ、[online]、[検索日2024年11月14日]、<https://www.eep.ebara.com/business_technology/technology_2.html> 甲第12号証 「ターボ機械を知ろう!・・・ガスタービン」、一般社団法人ターボ機械協会ホームページ、[online]、[検索日2024年11月14日]、<https://www.turbo-so.jp/turbo-kids8.html> 2 取消理由通知に記載した取消理由の概要 当審が特許権者に通知した、令和7年2月12日付けの取消理由は、概略、以下のとおりである。 (1) 取消理由1(新規性欠如) 設定登録時の請求項1、2、11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、以下の引用文献1、引用文献2、引用文献3、又は引用文献4に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許1、2、11は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (2) 取消理由2(進歩性欠如) 設定登録時の請求項1、2、11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、以下の引用文献1、引用文献2、引用文献3、又は引用文献4に記載された発明、及び技術常識(引用文献5、引用文献6)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許1、2、11は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (3) 引用文献一覧 引用文献1 特開2020-100597号公報(甲第3号証) 引用文献2 Melis S. Duyar et al., "Dual function materials for CO2 capture and conversion using renewable H2", Applied Catalysis B: Environmental, 2015, Vol.168-169, p.370-376(甲第1号証) 引用文献3 特開2019-108302号公報(甲第2号証) 引用文献4 国際公開第2016/007825号(甲第4号証) 引用文献5 比留間栄二、「火力発電所の構成と運用について」、ターボ機械、1980年、第8巻、第3号、第130~137ページ 引用文献6 山川治、「ごみ焼却炉用耐火物の現状と将来」、Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan、2006年、第13巻、第543~548ページ なお、引用文献1~引用文献4は、申立人が提出した甲第1号証~甲第4号証であるので、以下では、対応する甲号証で記載する。 3 甲号証及び引用文献の記載事項 (1) 甲第1号証の記載事項 甲第1号証には、「Dual function materials for CO2 capture and conversion using renewable H2」(当審訳:再生可能H2を使用したCO2回収と変換のための二重機能材料)(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。 ア 「Production of synthetic natural gas (SNG)・・・We report dual-function materials (DFM) that offer a unique renewable energy storage solution by producing SNG directly from industrial flue gas (dilute CO2), while eliminating the energy requirement, corrosion and transportation issues associated with CCS.」(第370ページ右欄第3~13行) (当審訳:合成天然ガス(SNG)の製造・・・私たちは、CCSに関連するエネルギー要件、腐食、輸送の問題を排除しながら、産業燃焼排ガス(希薄CO2)から直接SNGを生成することによりユニークな再生可能エネルギー貯蔵ソリューションを提供する二重機能材料(DFM)について報告する。) イ 「 [図:0001427975000001.jpg] Fig. 1. Process diagram for CO2 capture and recycle as synthetic natural gas (CH4) back to an industrial facility. The CO2 in the saturated adsorbent is methanated to SNG in the same reactor. This is shown as two separate process steps but they both occur in the same reactor and at the same temperature.」(第371ページ左欄) (説明文の当審訳:図1.CO2を回収し、産業施設に返送する合成天然ガス(CH4)として再利用するプロセス図。飽和吸着剤中のCO2は、同じ反応器でSNGにメタン化される。これは2つの別々のプロセスステップとして示されているが、どちらも同じ反応器内で同じ温度で行われる。) ウ 「The total dual function process for CO2 capture and utilization (shown in Fig. 1) operates at a temperature of 320 ℃, using heat recovered from the flue gas, thus eliminating the need for externally added energy. The DFM is housed inside one reactor, which adsorbs CO2 until saturation and subsequently converts it to synthetic natural gas (SNG) catalytically. Stored H2 (from renewable sources) is used to methanate the captured CO2 according to Eq. (1). The resultant SNG + H2O product is compressed, dried and the methane recycled to the front end of the process or the natural gas grid. CO2 + 4H2 → CH4 + 2H2O ΔH = -164 kJ/mol (1)」(第371ページ左欄第3~13行) (当審訳:CO2回収と利用の総合的な二重機能プロセス(図1参照)は、燃焼排ガスから回収した熱を使用して320℃の温度で動作するため、外部からエネルギーを追加する必要がない。DFMは1つの反応器内に収容されており、CO2を飽和状態まで吸着し、その後触媒的に合成天然ガス(SNG)に変換する。(再生可能資源からの)貯蔵されたH2は、式(1)に従って、回収されたCO2をメタン化するために使用する。結果として得られるSNG+H2O製品は圧縮され、乾燥され、メタンはプロセスのフロントエンド又は天然ガスグリッドにリサイクルされる。 CO2+4H2→CH4+2H2O ΔH=-164kJ/mol (1)) エ 「Although the chemical conversion of CO2 as a means to offset the costs of CO2 capture has previously been considered in the literature, to our knowledge we present the first experimental demonstration of a simple isothermal CO2 capture and methanation process that operates in a single reactor at the same temperature.」(第371ページ左欄下から第10~5行) (当審訳:CO2の化学変換によるCO2回収コストの相殺手段については、これまでも文献で検討されてきたが、私たちの知る限り、同じ反応器で同じ温度で動作する単純な等温CO2回収及びメタン化プロセスの実験的実証は初めてである。) オ 「CO2 chemisorption is expected to occur on both CaO and reduced Ru0 sites in the DFM. However, chemisorption on Ru sites is negligible in the oxidizing environment of a power plant since Ru will not remain in its reduced state. In this case CO2 reversibly chemisorbs on CaO sites. Upon the addition of H2, spillover to Ru sites occurs via desorption of CO2 from CaO sites and subsequent chemisorption of CO2 on Ru sites. This is followed by catalytic methanation over Ru sites and desorption of products. DFMs consisting of a combination of 1-11% Ru (by weight) and 1-10% CaO (by weight) dispersed on γ-Al2O3 carrier were investigated. Our previous work has shown that CaO dispersed on γ-Al2O3 (CaO/γ-Al2O3) behaves radically different compared to bulk or unsupported CaO.」(第371ページ右欄第16~28行) (当審訳:CO2化学吸着は、DFM中のCaOサイト及び還元されたRu0サイトの両方で起こると考えられる。しかし、Ruサイト上での化学吸着は、Ruが還元状態を維持しないため、発電所の酸化環境では無視できる。この場合、CO2はCaOサイトに可逆的に化学吸着する。H2の添加により、Ruサイトヘの波及が、CaOサイトからのCO2の脱離と、それに続くRuサイトヘのCO2の化学吸着により起こる。その後、Ruサイト上で触媒によるメタン化と、生成物の脱離が起こる。 γ-Al2O3担体上に分散した1~11重量%のRuと1~10重量%のCaOの組合せからなるDFMについて研究した。私たちのこれまでの研究は、γ-Al2O3上に分散したCaO(CaO/γ-Al2O3)は、バルク又は非担持のCaOと比較して、根本的に異なる挙動を示すことが示されている。) カ 「While Ni is also a good methanation catalyst, it requires pre-reduction at temperatures greater than 400 ℃ in order to become active for CO2 methanation [19-21] and hence is less suitable compared to Ru for cyclic oxidizing (CO2 capture from flue gas) and reducing (methanation) conditions as required in this process.」(第371ページ右欄第38~43行) (当審訳:Niも優れたメタン化触媒であるが、CO2メタン化[19-21]を活性化するには、400℃を超える温度での予備還元が必要であるため、このプロセスで要求されるような、酸化(燃焼排ガスからのCO2回収)と還元(メタン化)の条件を繰り返すには、Ruに比べて不向きである。) キ 「In a real postcombustion CO2 capture application the DFM will have to capture CO2 in the presence of air over many cycles of operation; a natural gas fired turbine generates a flue gas containing 3-4 vol.% CO2 and (12-15%) O2[3]. Post combustion flue gas will also contain steam (6-8% in the case of the natural gas fired turbine).」(第373ページ右欄下から第21~16行) (当審訳:実際の燃焼後CO2回収用途では、DFMは、多数のサイクルにわたって空気の存在下でCO2を回収しなければならないだろう;天然ガス燃焼タービンは、3~4体積%のCO2と12~15%のO2を含む燃焼排ガスを発生させる[3]。燃焼後の排ガスには、水蒸気も含まれる(天然ガス燃焼タービンの場合は6~8%)。) (2) 甲第2号証の記載事項 甲第2号証には、「メタン製造装置、メタン製造装置の制御方法、および、メタン製造方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。 ア 「【請求項1】 二酸化炭素と水素からメタンを製造するメタン製造装置であって、 メタン化触媒性能を有する金属と、二酸化炭素吸蔵性能を有する金属と、を含む触媒を収容し、内部のガスを取り出すための出口を備える複数の反応器と、 二酸化炭素を含有する原料ガスの供給源と前記複数の反応器との間のガス流路上に設けられ、前記原料ガスの供給先を切り替える供給先切替部と、 各前記反応器の前記出口における二酸化炭素濃度を測定する測定部と、 前記供給先切替部を制御して、前記複数の反応器のうち、特定の反応器に前記原料ガスを供給可能な制御部と、を備え、 前記制御部は、前記原料ガスを供給している前記反応器の出口における二酸化炭素濃度が所定値になると、前記原料ガスの供給先を他の前記反応器に切り替える、 メタン製造装置。 【請求項2】 請求項1に記載のメタン製造装置は、さらに、 前記複数の反応器に水素を供給する水素供給部を備え、 前記制御部は、 前記水素供給部を制御して、前記複数の反応器のうち、特定の反応器に水素を供給可能に構成されており、 前記原料ガスの供給によって前記出口における二酸化炭素濃度が前記所定値となった前記反応器に対して水素を供給する、 メタン製造装置。 ・・・ 【請求項8】 メタン製造方法であって、 メタン化触媒性能を有する金属と、二酸化炭素吸蔵性能を有する金属と、を含む触媒が収容された反応器に対して、二酸化炭素を含有する原料ガスを供給して、前記触媒に二酸化炭素を吸蔵させる工程と、 前記原料ガスが供給されている前記反応器の出口における二酸化炭素の濃度を測定する工程と、 前記二酸化炭素の濃度が所定値になると、前記原料ガスの供給先を他の反応器に切り替える工程と、を備える、 メタン製造方法。」 イ 「【0017】 <第1実施形態> 図1は、第1実施形態におけるメタン製造装置1の概略構成を示した説明図である。メタン製造装置1は、第1反応器10と、第2反応器20と、原料ガス供給部30と、水素供給部40と、第1出口CO2センサ50と、第2出口CO2センサ60と、制御部70と、水素分離部80と、を備えている。 【0018】 第1反応器10は、内部においてメタネーション反応によりメタンを生成するための容器であり、内部に触媒11が収容されている。第1反応器10の容器壁面には、原料ガス入口12と、H2入口13と、ガス出口14と、が形成されている。触媒11は、メタン化触媒性能を有する金属と、二酸化炭素吸蔵性能を有する金属と、を含んでいる。メタン化触媒性能を有する金属としては、例えば、RuやNiを例示することができる。二酸化炭素吸蔵性能を有する金属としては、例えば、CaO、Al2O3などのアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物を例示することができる。触媒11には金属酸化物担体が含まれていてもよい。 【0019】 原料ガス入口12は、メタネーション反応に用いられるCO2を含む原料ガスが供給される開口部であり、第1原料ガス供給管33が接続されている。H2入口13は、メタネーション反応に用いられるH2が供給される開口部であり、第1水素供給管41が接続されている。ガス出口14は、メタネーション反応により生成されたメタンを含む反応混合ガスが取り出される開口部であり、第1出口管51が接続されている。 【0020】 第2反応器20は、第1反応器10と同形状、同容量の容器であり、内部に触媒21が収容され、容器壁面には原料ガス入口22と、H2入口23と、ガス出口24と、が形成されている。触媒21は、触媒11と同様に、メタン化触媒性能を有する金属と、二酸化炭素吸蔵性能を有する金属と、を含んでいる。ここでは、第1反応器10に収容されている触媒11と、第2反応器20に収容されている触媒21は、メタン化触媒性能および二酸化炭素吸蔵性能がほぼ等しいものとして説明する。 【0021】 原料ガス入口22は、原料ガスが供給される開口部であり、第2原料ガス供給管35が接続されている。H2入口23は、H2が供給される開口部であり、第2水素供給管43が接続されている。ガス出口24は、第2反応器20の内部で生成された反応混合ガスが取り出される開口部であり、第2出口管61が接続されている。 【0022】 原料ガス供給部30は、CO2を含有する原料ガスを供給可能な供給源であり、例えば燃焼炉や原料ガスタンクによって構成される。なお、原料ガスは、CO2の他に、O2、N2、H2O等を含んでいてもよい。原料ガス供給部30から供給される原料ガスは、350℃以下の温度で、上流側原料ガス供給管31と第1原料ガス供給管33を経由して第1反応器10に供給される。また、上流側原料ガス供給管31と第2原料ガス供給管35を経由して第2反応器20に供給される。 ・・・ 【0031】 水素分離部80は、ポリアミド系高分子膜等を備えた装置であり、反応混合ガス管81から供給されたメタンとH2を含有する反応混合ガスからH2を分離する。分離されたH2は、再利用管82を経由して水素供給部40に戻され再利用される。H2が分離された反応ガスは、反応ガス管83から取り出される。取り出された反応ガスは、例えば、燃焼炉としての原料ガス供給部30に供給されてもよい。 ・・・ 【0049】 以上説明した、本実施形態のメタン製造装置1によれば、一方の反応器に原料ガスを供給して触媒にCO2を吸蔵させ、その間、他方の反応器にH2を供給してメタン化反応を生じさせ、これらを交互に繰り返してメタンを製造することができる。そのため、原料ガスを連続的に継続して反応器に供給させることができるとともに、メタンを連続的に製造することができる。よって、本実施形態のメタン製造装置1によれば、連続的に供給される燃焼排ガスやバイオガス等、CO2を含む原料ガスから低コストで連続的にメタンを製造することができる。」 ウ 「【図1】 [図:0001427975000002.jpg] 」 (3) 甲第3号証の記載事項 甲第3号証には、「メタン製造システム」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。 ア 「【0016】 <実施形態> 図1は、実施形態におけるメタン製造システム100のブロック図である。メタン製造システム100は、工場の燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を元に燃料となるメタンを生成する。また、メタン製造システム100は、燃焼ガスから二酸化炭素を抽出してメタンを生成するまでに発生する反応熱を他の装置50へと供給する。 【0017】 図1に示されるように、メタン製造システム100は、二酸化炭素吸蔵還元触媒11(以降、単に「吸蔵還元触媒11」とも呼ぶ)を内部に有する反応管10と、二酸化炭素を含む燃焼ガスを反応管10へと供給する燃焼装置20と、反応管10へと供給される水素を高圧で貯蔵している水素供給部30と、反応管10内で生成されたメタンおよび水素を含むガスを貯蔵する燃料タンク40と、反応管10で発生する反応熱が供給される熱需要としての他の装置50と、燃焼装置20と反応管10とを接続する燃焼ガス供給路(供給管)29と、水素供給部30と反応管10とを接続する水素供給路39と、反応管10と燃料タンク40とを接続する燃料供給路49と、反応管10と他の装置50とを接続する処理済み燃焼ガス供給路(熱伝達部)59と、反応管10に供給される気体および反応管10から排出される気体を制御する制御部60とを備えている。 【0018】 本実施形態の吸蔵還元触媒11は、金属酸化物である酸化カルシウムと、焼結抑制材であるアルミナと、メタン化触媒であるルテニウムとを含む複合体である。酸化カルシウムは、燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を吸蔵して、炭酸カルシウムへと変化する。炭酸カルシウムは、水素が供給されることにより、二酸化炭素を脱離して、酸化カルシウムへと変化する。酸化カルシウムから炭酸カルシウムへの反応は、発熱反応であり、炭酸カルシウムから酸化カルシウムへの反応は、吸熱反応である。ルテニウムは、水素と二酸化炭素からメタンが生成するメタン化反応を促進する。なお、アルミナは酸化カルシウムの焼結による劣化を抑制するために用いられ、焼結防止材とも呼ばれる。なお、他の実施形態における吸蔵還元触媒11は、焼結防止材を含んでいなくてもよい。」 イ 「【0021】 燃料供給路49は、反応管10内でメタン化反応により生成されたメタンおよび水素を含むガスを燃料タンク40へと導く。図1に示されるように、燃料供給路49の途中には、反応管10側から順に、燃料供給路49内を通過する気体に含まれるメタンを検出するメタンセンサ41と、燃料供給路49内を通過する気体に含まれる水素を検出する水素センサ42と、燃料供給路49を開閉する燃料バルブ44とを備えている。燃料供給路49は、開閉することにより、燃料タンク40へと貯留されるメタンおよび水素を含むガスを調節する。 ・・・ 【0025】 図2は、メタン製造のフローチャートである。メタン製造では、初めに、制御部60が吸蔵ステップを行う(ステップS1)。吸蔵ステップでは、反応管10内に、燃焼装置20の燃焼ガスが流入する。制御部60は、水素供給バルブ34および燃料バルブ44を閉じた状態で、燃焼ガスバルブ24および出口バルブ54を開く。燃焼ガスは、二酸化炭素を含んでいるため、反応管10内の吸蔵還元触媒11は、二酸化炭素を吸蔵する。反応管10に流入した二酸化炭素と、酸化カルシウムとは、下記式(1)に示される化学反応を起こす。 CaO+CO2=CaCO3・・・(1) この際、上記式(1)の化学反応は、300℃の環境下でも昇温させる発熱反応である。 ・・・ 【0027】 吸蔵ステップが終了すると、制御部60は、メタン化ステップを行う(ステップS3)。メタン化ステップでは、制御部60は、水素供給バルブ34および燃料バルブ44を開いて、反応管10内に水素を供給する。制御部60は、水素センサ42の検出値およびメタンセンサ41の検出値を用いて、燃料タンク40内のガス組成を算出する。反応管10内では、下記式(2)のメタンが生成される反応が起こる。 CaCO3+4H2=CaO+CH4+2H2O・・・(2)」 ウ 「【図1】 [図:0001427975000003.jpg] 」 (4) 甲第4号証の記載事項 甲第4号証には、「METHODS, SYSTEMS, AND MATERIALS FOR CAPTURING CARBON DIOXIDE AND CONVERTING IT TO A CHEMICAL PRODUCT」(当審訳:二酸化炭素を捕捉し化学生成物に変換するための方法、システム、及び材料)(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。 ア 「1. A method for capturing carbon dioxide and converting it to a chemical product, said method comprising: providing a dual function material, said dual function material including a carrier portion, adsorbent portions that adsorb carbon dioxide present in a stream of gas, said adsorbent portions being positioned on surfaces of said carrier portion, and catalyst portions for facilitating the formation of a chemical product from carbon dioxide desorbed from said adsorbent portions and hydrogen from said supply of hydrogen gas, said catalyst portions being positioned on said carrier portion adjacent said adsorbent portions; contacting a stream of gas including carbon dioxide with said dual function material until said adsorbent portions are substantially saturated with said carbon dioxide; contacting a stream of hydrogen gas with said dual function material that is substantially saturated with said carbon dioxide; desorbing said carbon dioxide from said dual function material; and reacting said carbon dioxide with said hydrogen gas to form said chemical product; wherein said carbon dioxide is adsorbed and desorbed by said adsorbent portions and said carbon dioxide is reacted with said hydrogen gas to form said chemical product at a substantially similar temperature. 2. The method according to claim 1, wherein said chemical product is one of methane, methanol, ethanol, ethane, ethylene, and combinations thereof.」(クレーム) (当審訳:1.二酸化炭素を回収し、それを化学生成物に変換する方法であって、以下の工程を含む方法: 担体部と、前記担体部の表面に配置され、気体流中に存在する二酸化炭素を吸着する吸着部と、前記吸着部に隣接する前記担体部上に配置されており、前記吸着部から脱離した二酸化炭素と水素ガス供給源から供給される水素から化学生成物を生成する触媒部とを含む二重機能材料を提供し、 前記吸着部が前記二酸化炭素で実質的に飽和するまで、二酸化炭素を含むガスを前記二重機能材料に接触させ、 前記二酸化炭素で実質的に飽和している前記二重機能材料に水素ガスを接触させ、 前記二重機能材料から前記二酸化炭素を脱着させ、 前記二酸化炭素と前記水素ガスとを反応させて前記化学生成物を形成し、 前記二酸化炭素は前記吸着部によって吸着及び脱着され、前記二酸化炭素は前記水素ガスと反応して前記化学生成物を形成するが、その際の温度は実質的に同様である。 2.請求項1に記載の方法であって、前記化学生成物は、メタン、メタノール、エタノール、エタン、エチレン、及びそれらの組み合わせのうちの1つである、方法。) イ 「[0011] Referring now to FIG. 1, some embodiments include a system 100 for capturing carbon dioxide 102 and converting it to a synthetic natural gas 104. In some embodiments, system 100 includes a reactor 106 that includes a dual function material 107. [0012] Reactor 106 includes a plurality of inlets and outlets. A stream of gas 108, e.g., from a power plant 109, including carbon dioxide 102 is in fluid communication with reactor 106 via an inlet 110.A supply of hydrogen gas 111, e.g., typically produced from a renewable source 112, is in fluid communication reactor 106 via an inlet 113. An effluent stream of gas 114, which is substantially free of CO2, exits reactor 106 via an outlet 116 and synthetic natural gas 104 produced in the reactor, e.g., methane (CH4), is released from the reactor via an outlet 118.CH4released via outlet 118 is compressed, dried, and either recycled and used as fuel in plant 109 or sold to the natural gas grid (not shown). [0013] Referring now to FIG. 2, dual function material 107, which is positioned within reactor 106, includes a carrier portion 120, adsorbent portions 122, and catalyst portions 124. Adsorbent portions 122 and catalyst portions 124 are positioned on surfaces 126 of carrier portion 120. [0014] Adsorbent portions 122 adsorb carbon dioxide 102 present in stream of gas 108 until the adsorbent portions are substantially saturated with the carbon dioxide. Adsorbent portions 122 are fabricated from materials that desorb carbon dioxide 102 when exposed to hydrogen, e.g., from supply of hydrogen gas 111, at a temperature of about at least 250 degrees Celsius. [0015] In some embodiments, adsorbent portions 122 include one or more alkaline materials including alkaline earth metal oxides of Ca, Mg, Sr, Ba, and/or combinations thereof. In some embodiments, the one or more alkaline metal oxides include CaO, e.g., dual function material 107 includes about 2 to about 10 percent CaO by weight. In some embodiments, the CaO is dispersed so as to form nano-sized islands (not shown) on surfaces 126 of carrier portion 120. [0016] Methanation catalyst portions 124, which are positioned on carrier portion 120 adjacent adsorbent portions 122, facilitate the formation of synthetic natural gas 104, e.g., CH4, from carbon dioxide 102 desorbed from the adsorbent portions and hydrogen from supply of hydrogen gas 111. In some embodiments, catalyst portions 124 include one of ruthenium, nickel, platinum, rhodium, copper, cobalt, group VIII transition metals or their oxides, and/or combinations thereof. In some embodiments, catalyst portions 124 include ruthenium, e.g., dual function material 107 includes about 1 to about 10 percent Ru by weight. In some embodiments, the Ru is dispersed so as to form nano-sized islands (not shown) on surfaces 126 of carrier portion 120.」 (当審訳:[0011] 図1を参照すると、いくつかの実施形態には、二酸化炭素102を回収し、それを合成天然ガス104に変換するシステム100が含まれる。いくつかの実施形態では、システム100には、二重機能材料107を含む反応器106が含まれる。 [0012] 反応器106には、複数の入口と出口がある。例えば発電所109からの二酸化炭素102を含むガス108の流れは、入口110を介して反応器106と流体連通している。水素ガス111の供給部は、例えば、通常は自然エネルギー源112から生成され、入口113を介して反応器106と流体連通している。CO2を実質的に含まない排出ガス114は、出口116を通って反応器106から排出され、例えばメタン(CH4)などの反応器で生成された合成天然ガス104は、出口118を通して反応器から排出される。出口118から放出されたCH4は、圧縮、乾燥され、プラント109の燃料としてリサイクルされるか使用され、又は、天然ガスグリッド(図示せず)に販売される。 [0013] 次に図2を参照すると、反応器106内に配置される二重機能材料107は、担体部120、吸着部122、及び触媒部124を含む。吸着部122及び触媒部124は、担体部120の表面126上に配置される。 [0014] 吸着部122は、ガス流108中に存在する二酸化炭素102を吸着部が二酸化炭素で実質的に飽和するまで吸着する。吸着部122は、例えば水素ガス111の供給部からの水素に少なくとも約250℃の温度で晒されると二酸化炭素102を脱着する材料から製造される。 [0015] いくつかの実施形態では、吸着部122は、Ca、Mg、Sr、Baのアルカリ土類金属酸化物、及び/又はそれらの組み合わせを含む1つ以上のアルカリ材料を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のアルカリ金属酸化物は、CaOを含み、例えば、二重機能材料107は、重量で約2~約10パーセントのCaOを含む。いくつかの実施形態では、CaOは、キャリア部分120の表面126上にナノサイズの島(図示せず)を形成するように分散される。 [0016] 担体部120上の吸着部122に隣接して配置されるメタネーション触媒部124によって、吸着部から脱離した二酸化炭素102及び水素ガス111の供給部から供給される水素ガスから例えば、CH4などの合成天然ガス104の形成が促進される。いくつかの実施形態では、触媒部124は、ルテニウム、ニッケル、白金、ロジウム、銅、コバルト、第8族遷移金属又はそれらの酸化物のうちの1つ、及び/又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、触媒部124は、ルテニウムを含み、例えば、二重機能材料107は、重量で約1~約10%のルテニウムを含む。いくつかの実施形態では、Ruは、キャリア部分120の表面126上にナノサイズの島(図示せず)を形成するように分散される。」 ウ 「 [図:0001427975000004.jpg] 」 (5) 甲第5号証の記載事項 甲第5号証には、「排気燃焼炉付脱脂炉」に関して、次の事項が記載されている。 「原理 [図:0001427975000005.jpg] 本脱脂炉の構造と原理説明: 1.大気吸気口:底部からエアーが吸い込みます。」 (6) 甲第6号証の記載事項 甲第6号証には、「無煙陶芸窯やいた炉」に関して、次の事項が記載されている。 「 [図:0001427975000006.jpg] 」 (7) 甲第7号証の記載事項 甲第7号証には、「ライト型燃焼炉の特長」に関して、次の事項が記載されている。 「■ 構造説明 [図:0001427975000007.jpg] 」 (8) 甲第8号証の記載事項 甲第8号証には、「ペレットストーブSS-5」に関して、次の事項が記載されている。 「 [図:0001427975000008.jpg] 」 (9) 甲第9号証の記載事項 甲第9号証には、「廃液燃焼分解技術」に関して、次の事項が記載されている。 「無機塩含有廃液中の有機物を酸化分解します。 [図:0001427975000009.jpg] 1.燃焼炉内に廃液を噴霧することで、有機物はすぐに酸化分解され、無機物は溶融します。 2.燃焼炉下部のクエンチャーおよびチャンバーでは、冷却水にて燃焼排ガスと溶融塩を急冷します。 3.減湿塔でも、燃焼排ガスを冷却することで、白煙(水蒸気)を目立たなくさせます。 同時に、酸性ガスの吸収やばいじんの除去を行います。 4.ベンチュチリースクラバーでは、燃焼排ガス中のばいじんを捕集します。」 (10) 甲第10号証の記載事項 甲第10号証には、「LPガス安心ガイド」に関して、次の事項が記載されている。 「4、強制排気式湯沸器・5、強制排気式ふろがまをご使用のお客様へ 煙突の穴あき、はずれはありませんか? ※固定金具により堅固に固定されていることも確認してください。 お湯を出したとき、ファンが回転していますか? 機器の吸気口にホコリが詰まっていませんか? 電源プラグはコンセントに差し込んでいますか? 吸気口はふさがっていませんか? 煙突の先端の金属が腐食していたり、 鳥の巣などの異物が詰まっていませんか? お湯を出したとき、ファンが回転していますか? 煙突の穴あき、はずれはありませんか? ※固定金具により堅固に固定されていることも確認してください。 煙突の先端の金属が腐食していたり、 鳥の巣などの異物が詰まっていませんか? 電源プラグはコンセントに差し込んでいますか? 吸気口はふさがっていませんか? 排気あふれ検知器ははずれていませんか? 万一の時にガスを止めるための電磁弁を、 作動しないように紐などで固定していませんか (大変危険ですので絶対おやめください!) 排気が正しく行われていますか? ※ご使用中に線香などの煙でときどき確認してください。」 (11) 甲第11号証の記載事項 甲第11号証には、「流動床焼却システム」に関して、次の事項が記載されている。 「■TIF<R>流動床焼却システム ・・・ [図:0001427975000010.jpg] ・・・ ■TIFG<R>流動床ガス化溶融システム ・・・ [図:0001427975000011.jpg] 」 (当審注:<R>はRの○囲い文字である。) (12) 甲第12号証の記載事項 甲第12号証には、「ターボ機械を知ろう!・・・ガスタービン」に関して、次の事項が記載されている。 「ガスタービンの原理 図2に示しますように、まず左側から空気を取り入れ、これを圧縮機で圧縮して高圧にします。次に燃料を加えて燃焼器で高温高圧の燃焼ガスを作ります。 ・・・ [図:0001427975000012.jpg] 図2 ジェットエンジンと産業用ガスタービン」 (13) 引用文献5の記載事項 引用文献5には、「火力発電所の構成と運用について」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。 ア 「3.火力発電プラントの構成とターボ機械の使用状況 火力発電所は、ボイラ、タービン、発電機及びそれらの付属設備ならびに燃料取扱設備、送変電設備冷却水設備等から構成されている。 ・・・ 第4図に火力発電プラントの主蒸気、復水、給水系統図を、第5図にボイラ関係空気、燃焼ガス系統図を示すが以下に主要なターボ機械について、概要を説明する。 ・・・ (9)押込通風機 大気を吸引して燃焼用空気をボイラ火炉内へ送入するファンである。」(第131ページ右欄14行~第134ページ右欄第9行) イ 「 [図:0001427975000013.jpg] 」(第134ページ) (14) 引用文献6の記載事項 引用文献6には、「ごみ焼却炉用耐火物の現状と将来」に関して、次の事項が記載されている。 ア 「2・2 焼却処理の目的と焼却施設 ・・・ ごみ焼却施設はごみを燃やす設備,余熱を利用する設備,ガス/汚水/灰の処理設備から構成される.このうち,ごみを燃やす設備は焼却施設の心臓部にあたり前工程がごみ受入・供給装置,計量機,プラットホーム,ごみピット,ごみクレーンから,後工程は焼却炉本体,空気を送る設備,燃えたガスを排出する設備などから成る.焼却炉本体の形式はストーカ方式,流動床方式,直接溶融方式の3種類に大別でき(表13)),なかでもストーカ方式は焼却炉方式の主流で最も歴史が古く,施設数も圧倒的に多い.」(第544ページ右欄第2~21行) イ 「 [図:0001427975000014.jpg] 」(第545ページ) 4 当審の判断 (1) 申立理由1(サポート要件違反)について ア サポート要件の判断手法 特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を対比し、特許請求の範囲で特定された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである。 以下、この観点に立って検討する。 イ 本件発明の課題について 本件特許明細書の発明の詳細な説明(以下、「本件発明の詳細な説明」という。)には、「非特許文献1には、大気から取り入れた二酸化炭素を、水酸化カリウムを用いて回収する方法が記載されている」こと(【0003】)、「非特許文献1の方法では、二酸化炭素の回収に、二酸化炭素1トン当たり8.81GJのエネルギーが必要であると見積もられている」こと(【0005】)、及び「本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、大気から二酸化炭素を効率良く回収し、燃料に変換する二酸化炭素回収装置を提供することである」こと(【0006】)が記載されており、これらの記載からして、本件発明の課題は、大気から二酸化炭素を水酸化カリウムを用いて回収する方法よりも効率良く回収し、燃料に変換できる二酸化炭素回収装置を提供することであるといえる。 ウ 本件発明の詳細な説明の記載について (ア) 本件発明の詳細な説明には、第1実施形態の「二酸化炭素回収装置100」について、「燃焼器Aと、熱利用機器Bと、二酸化炭素回収還元器Cと、メタン分離器Dと、水素・メタンガス貯蔵器Eと、水素供給源Hと、メタン貯蔵器Mと、を備える」こと(【0011】)、「燃焼器Aには、大気供給流路11と、燃焼ガス供給流路12と、水素・メタンガス供給流路17と、が接続されている」こと(【0012】)、「燃焼器Aでは、燃料(具体的には、水素、メタン等)を燃焼させ、燃焼ガスを発生させる」こと(【0013】)、「大気供給流路11は、燃焼器Aに大気を供給するための流路である」こと(【0014】)、「二酸化炭素回収還元器Cは、燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を水素によって燃料に変換させる材料を収容している」こと(【0019】)、及び「水素供給源Hは、二酸化炭素回収還元器Cへ水素を供給するための供給源である」(【0033】)が記載されている。 (イ) また、本件発明の詳細な説明には、「第1実施形態の二酸化炭素回収装置100を用いると、大気を直接取り込むことができる。二酸化炭素回収還元器Cに収容されている二酸化炭素吸蔵還元触媒は酸化カルシウムを含んでいる。・・・すなわち、第1実施形態の二酸化炭素回収装置100を用いると、大気を取り込み、取り込んだ大気に含まれる二酸化炭素を回収することができる。また、二酸化炭素回収還元器Cに収容されている二酸化炭素吸蔵還元触媒はルテニウム(Ru)を含んでおり、二酸化炭素回収還元器Cに水素を供給することにより、炭酸カルシウムからメタンに転化させることができる。」こと(【0055】)、及び「第1実施形態の二酸化炭素回収装置100では、二酸化炭素1モル及び水素4モルから、メタン1モル及び水2モルを得る際に発生する熱(二酸化炭素1モル当たり177kJ)を用いて、炭酸カルシウムから二酸化炭素を脱離させるために必要なエネルギー(二酸化炭素1モル当たり175kJ)を補うことができる。すなわち、第1実施形態の二酸化炭素回収装置100を用いると、大気から二酸化炭素を効率良く取り込み、燃料であるメタンに低エネルギーで変換することができる」こと(【0056】)も記載されている。 (ウ) さらに、本件発明の詳細な説明には、比較例1として、「非特許文献1に記載されている従来の二酸化炭素回収装置」が記載され、比較例1の「二酸化炭素回収装置」は、「大気から取り込んだ二酸化炭素を水酸化カリウム水溶液と反応させて、炭酸カリウム水溶液を得る。次に、炭酸カリウム水溶液を水酸化カルシウムと反応させて、炭酸カルシウムを得る。焼成炉において、炭酸カルシウムから二酸化炭素を脱離させる」こと(【0124】)、及び「通常、炭酸カルシウムから二酸化炭素を脱離させるためには、約1000℃まで加熱する必要がある。これに対して、炭酸カルシウムをメタンに変換させる反応は、約300℃で進行する。第1実施形態の二酸化炭素回収装置100を用いると、大気から二酸化炭素を効率良く取り込み、燃料であるメタンに低エネルギーで変換することができる」こと(【0125】)が記載されている。 (エ) 前記(ア)~(ウ)の記載を踏まえれば、第1実施形態の「二酸化炭素回収装置100」のように、燃焼器Aに大気を供給するための大気供給流路、燃焼ガスを発生させる燃焼器と、燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を水素によってメタンに変換させる材料を収納した二酸化炭素回収還元器と、二酸化炭素回収還元器へ水素を供給するための水素供給源とを備えた二酸化炭素回収装置は、大気を直接取り込むことができ、さらに、燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を水素によってメタンに変換させる材料を用いることで、水酸化カリウムを用いて回収する従来技術よりも低エネルギーで、大気に含まれる二酸化炭素を取り込み、メタンに変換して回収できること、すなわち、本件発明の課題を解決できることを理解できる。 エ 特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との対比、検討 本件発明1は、前記第3に示したとおりであるところ、本件発明1は、「大気を取り込む大気供給流路と、前記大気供給流路から大気が供給され、燃焼ガスを生成する燃焼器と、水素を供給する水素供給源と、前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる材料を収容する二酸化炭素回収還元器」を「備える二酸化炭素回収装置」であるから、前記ウ(エ)で検討したとおり、当業者において、発明の詳細な説明の記載及び技術常識に照らして、本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、本件発明の詳細な説明に記載された発明といえる。 また、本件請求項1の記載を引用する本件発明2、4~10についても事情は同じである。 オ 申立人の主張について (ア) 申立人は、特許異議申立書において、設定登録時の請求項1~10に係る発明は、以下の点でサポート要件を充足していない旨を主張している。 a 本件発明の詳細な説明には、「燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を水素によって燃料に変換させる材料」が「二酸化炭素吸蔵還元触媒」であること(【0019】)、「二酸化炭素吸蔵還元触媒は、二酸化炭素吸蔵性能を有する金属酸化物と、メタン化触媒性能を有する金属と、を担体に担持させた触媒であることが好ましい。担体は、アルミナであり、二酸化炭素吸蔵性能を有する金属酸化物は、酸化カルシウムであり、メタン化触媒性能を有する金属は、ルテニウム(Ru)である」こと(【0020】)、及び「担体としては、アルミナ以外に、例えば、シリカ、シリカ-アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア及びセリア-ジルコニアが挙げられる。二酸化炭素吸蔵性能を有する金属酸化物としては、例えば、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物が挙げられ、酸化カルシウム以外に、酸化カリウム及び酸化マグネシウムが挙げられる。メタン化触媒性能を有する金属としては、ルテニウム(Ru)以外に、例えば、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rd)、コバルト(Co)、鉄(Fe)及びマンガン(Mn)が挙げられる」こと(【0021】)が記載されているところ、請求項1、2に係る発明は、これらの材料以外からなる触媒を包含しており、こうした触媒を用いた場合に請求項1、2に係る発明の効果が奏されるかが不明であるから、請求項1、2に係る発明の範囲まで、本件発明の詳細な説明に開示された内容を拡張又は一般化できるといえない(第12ページ第1行~第13ページ下から第8行、第14ページ下から第2行~第16ページ第17行)。 b 本件発明の詳細な説明の【0055】の記載によれば、二酸化炭素吸蔵還元触媒として酸化カルシウムを用いた場合に二酸化炭素を回収できるという効果が奏され、二酸化炭素吸蔵還元触媒としてルテニウムを用いた場合に炭酸カルシウムからメタンに転化できるという効果が奏されると考えられるため、請求項1に係る発明には、発明を解決するための手段が反映されていない(第13ページ下から第7行~第14ページ下から第3行)。 c 本件発明の詳細な説明には、「熱利用機器Bと二酸化炭素回収還元器との間に、二酸化炭素吸蔵性能を有する吸着材料を収容する二酸化炭素吸蔵器Fを備える」こと(【0060】)、「二酸化炭素吸蔵器Fは、吸着材料としてゼオライトを収容している」こと(【0061】)、及び「吸着材料としては、ゼオライト以外に、活性炭、シリカゲル、及びアミン担持固体が挙げられる」(【0062】)が記載されているところ、請求項5に係る発明は、これらの材料以外の吸着材料を包含しており、こうした吸着材料を用いた場合に請求項5に係る発明の効果が奏されるかが不明であるから、請求項5に係る発明の範囲まで、本件発明の詳細な説明に開示された内容を拡張又は一般化できるといえない(第16ページ第18行~第17ページ第15行)。 (イ) 検討 a 前記(ア)aの主張について 本件発明1、2の効果は、本件発明の詳細な説明の【0008】の記載からして、「大気から二酸化炭素を効率良く回収し、燃料に変換することができる」ことといえるところ、前記ウ(エ)で検討したとおり、当業者において、「燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を水素によってメタンに変換させる材料」を用いることで、水酸化カリウムを用いて回収する従来技術よりも低エネルギーで、大気に含まれる二酸化炭素を取り込み、メタンに変換して回収できること、すなわち、本件発明1、2の効果を奏することを理解できるから、本件発明1、2の範囲まで発明の詳細な説明に開示された内容を拡張又は一般化できるといえる。 したがって、申立人の前記(ア)aの主張は採用できない。 b 前記(ア)bの主張について 前記ウ(エ)で検討したとおり、本件発明の課題の解決手段は、「燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を水素によってメタンに変換させる材料」を収納した「二酸化炭素回収還元器」を備えることといえるため、本件発明1には、発明を解決するための手段が反映されている。 したがって、申立人の前記(ア)bの主張は採用できない。 c 前記(ア)cの主張について 本件発明5の効果は、本件特許明細書の【0085】の記載からして、二酸化炭素吸蔵器を備えることで、より多くの二酸化炭素を回収して、メタンに転化させることができることといえるところ、当業者において、二酸化炭素吸蔵性能を有する材料であれば、二酸化炭素を回収できることを理解できるし、回収した二酸化炭素は、後段の二酸化炭素回収還元器でメタンに転化できることも理解できるから、本件発明5の範囲まで発明の詳細な説明に開示された内容を拡張又は一般化できるといえる。 したがって、申立人の前記(ア)cの主張は採用できない。 カ 申立理由1についての結論 以上の検討のとおり、申立理由1(サポート要件違反)に理由はない。 (2) 申立理由2(明確性要件違反)について ア 明確性要件の判断手法 特許請求の範囲の記載が明確性要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載だけでなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 以下、この観点に立って検討する。 イ 申立人の主張 申立人は、特許異議申立書において、設定登録時の請求項1の「二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる材料」との記載について、どのような材料が入り、どのような材料が入らないのかが不明であるし、また、請求項2の「二酸化炭素吸蔵性能を有する金属酸化物」との記載や「メタン化触媒性能を有する金属」との記載、及び請求項5の「二酸化炭素吸蔵性能を有する吸着材料」との記載について、それぞれの性能の境界が不明であり、どのような材料が入るのか否かが不明であるため、請求項1、2、5に係る発明の範囲が明確でないから、請求項1~10に係る発明は明確性要件を充足していない旨を主張している(第17ページ第16行~第18ページ第24行)。 ウ 明確性要件についての判断 まず、申立人の主張について検討する。 本件請求項1に記載の「二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる材料」は、前記第3に示したとおり、「前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる材料」であるところ、当該材料に属するか否かは、燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させることができるか否かで判断できるし、本件特許明細書の【0019】~【0021】には、当該材料に含まれる具体例も示されているから、本件請求項1の「前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる材料」との記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるといえない。 また、本件請求項2の「二酸化炭素吸蔵性能を有する金属酸化物」との記載や「メタン化触媒性能を有する金属」との記載、及び本件請求項5の「二酸化炭素吸蔵性能を有する吸着材料」との記載についても、それぞれの性能を有しているか否かで判断できるし、本件特許明細書の【0020】、【0021】、【0061】、【0062】には、それぞれに含まれる具体例も示されているから、これらの記載も、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるといえない。 そして、本件請求項1、2、4~10のその余の記載をみても、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確な記載は見当たらない。 したがって、本件請求項1、2、4~10の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定された要件に適合する。 エ 申立理由2についての結論 以上の検討のとおり、申立理由2(明確性要件違反)に理由はない。 (3) 申立理由3(新規性欠如)、申立理由4(進歩性欠如)、取消理由1(新規性欠如)、取消理由2(進歩性欠如)について 事案に鑑み、申立理由3(新規性欠如)、申立理由4(進歩性欠如)、取消理由1(新規性欠如)、及び取消理由2(進歩性欠如)については、主たる証拠毎にまとめて検討する。 ア 甲第1号証を主たる証拠とする新規性、進歩性欠如について (ア) 甲第1号証に記載された発明 a(a) 甲第1号証には、前記3(1)アによれば、産業燃焼排ガス(希薄CO2)から直接合成天然ガス(SNG)を生成する二重機能材料(DFM)が記載されている。 (b) また、甲第1号証には、前記3(1)ウによれば、二重機能材料(DFM)が反応器内に収容されていること、二重機能材料(DFM)は、CO2を飽和状態まで吸着し、吸着したCO2をH2によりメタン(CH4)に変換すること、H2は貯蔵されていること、メタン(CH4)はプロセスのフロントエンド又は天然ガスグリッドにリサイクルされることが記載されている。 (c) さらに、甲第1号証には、前記3(1)イによれば、CO2を回収し、産業施設に返送する合成天然ガス(CH4)として再利用するためのプロセスが図1として記載され、前記(a)、(b)を踏まえると、図1からは、前記プロセスが、二重機能材料(DFM)を収納する反応容器、燃焼排ガスの発生源、H2貯蔵部、前記発生源から前記反応容器に燃焼排ガスを供給する経路、前記H2貯蔵部から前記反応容器にH2を供給する経路、及び前記反応容器から前記発生源にメタンを供給する経路を備えた装置で実施することが見て取れる。 (d) そして、甲第1号証には、前記3(1)キによれば、天然ガス燃焼タービンが燃焼排ガスを発生することが記載されているから、前記(c)の燃焼排ガスの発生源は、天然ガス燃焼タービンであるといえる。 b 前記aの記載事項を「CO2を回収し、CH4として再利用するための装置」、及び「CO2を回収し、CH4として再利用するためのプロセス」に注目して整理すると、甲第1号証には、次の「CO2を回収し、CH4として再利用するための装置」に係る発明(以下、「甲1発明1」という。)、及び「CO2を回収し、CH4として再利用するためのプロセス」に係る発明(以下、「甲1発明2」という。)が記載されているといえる。 (甲1発明1) 「燃焼排ガスを発生する天然ガス燃焼タービンと、 H2貯蔵部と、 燃焼排ガス中のCO2を飽和状態まで吸着し、吸着したCO2をH2によりCH4に変換する二重機能材料を収容する反応器と、 前記天然ガス燃焼タービンから前記反応容器に燃焼排ガスを供給する経路と、 前記H2貯蔵部から前記反応容器にH2を供給する経路と、 前記反応容器から前記天然ガス燃焼タービンにCH4を供給する経路と を備える、CO2を回収し、CH4として再利用するための装置。」 (甲1発明2) 「天然ガス燃焼タービンから燃焼排ガスを発生させること、 前記天然ガス燃焼タービンから二重機能材料を収容する反応容器に燃焼排ガスを供給すること、 H2貯蔵部から前記反応器にH2を供給すること、 前記反応容器の二重機能材料が、燃焼排ガス中のCO2を飽和状態まで吸着し、吸着したCO2をH2によりCH4に変換すること、 前記反応容器から前記天然ガス燃焼タービンにCH4を供給すること を含む、CO2を回収し、CH4として再利用するためのプロセス。」 (イ) 本件発明1について a 本件発明1と甲1発明1との対比 甲1発明1の「燃焼排ガスを発生する天然ガス燃焼タービン」、「H2貯蔵部」、「燃焼排ガス中のCO2を飽和状態まで吸着し、吸着したCO2をH2によりCH4に変換する二重機能材料を収容する反応器」、「CO2を回収し、CH4として再利用するための装置」は、それぞれ、本件発明1の「燃焼ガスを生成する燃焼器」、「水素を供給する水素供給源」、「前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる材料を収容する二酸化炭素回収還元器」、「二酸化炭素回収装置」に相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明1とは、 「燃焼ガスを生成する燃焼器と、 水素を供給する水素供給源と、 前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる材料を収容する二酸化炭素回収還元器と、 を備える二酸化炭素回収装置。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1) 本件発明1は、「大気を取り込む大気供給流路」を備え、燃焼器に「前記大気供給流路から大気が供給され」るのに対して、甲1発明1は、その点が明らかでない点。 (相違点2) 本件発明1は、「前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離するメタン分離器と、前記メタン分離器で分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼器及び前記二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給するためのメタンガス供給流路」を備えているのに対して、甲1発明1は、そのような構成を備えていない点。 b 新規性・進歩性についての判断 事案に鑑み、相違点2から検討する。 はじめに、本件発明1の新規性欠如について検討すると、相違点2は、実質的なものといえるから、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明1であるといえない。 次に、本件発明1の進歩性欠如について検討すると、甲第1号証~甲第12号証、引用文献5、及び引用文献6のいずれにも、「二酸化炭素回収装置」が、「前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離するメタン分離器と、前記メタン分離器で分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼器及び前記二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給するためのメタンガス供給流路」を備えることについて、何ら記載も示唆もされておらず、このことが技術常識であるといえないから、甲1発明1の「CO2を回収し、CH4として再利用するための装置」において、「前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離するメタン分離器と、前記メタン分離器で分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼器及び前記二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給するためのメタンガス供給流路」を備えること、すなわち、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。 したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明1、及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。 (ウ) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項をすべて含みさらに限定が付されたものであるから、前記(イ)の本件発明1についての検討と同様の理由により、本件発明2は、甲1発明1であるといえないし、また、甲1発明1、及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。 (エ) 本件発明11について a 本件発明11と甲1発明2との対比 甲1発明2の「天然ガス燃焼タービンから燃焼排ガスを発生させること」、「H2貯蔵部から前記反応器にH2を供給すること」、「前記反応容器の二重機能材料が、燃焼排ガス中のCO2を飽和状態まで吸着し、吸着したCO2をH2によりCH4に変換すること」、「CO2を回収し、CH4として再利用するためのプロセス」は、それぞれ、本件発明11の「燃焼ガスを生成する工程」、「水素を供給する工程」、「前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる工程」、「二酸化炭素回収方法」に相当する。 したがって、本件発明11と甲1発明2とは、 「燃焼ガスを生成する工程と、 水素を供給する工程と、 前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる工程と、 を含む二酸化炭素回収方法。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点3) 本件発明11は、「大気を取り込む工程」を含み、「前記大気が供給され」て、燃焼ガスを生成しているのに対して、甲1発明2は、その点が明らかでない点。 (相違点4) 本件発明11は、「前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離する工程と、分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼ガスを生成する燃焼器、及び、前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給する工程」を含んでいるのに対して、甲1発明2は、そのような工程を含んでいない点。 b 新規性・進歩性についての判断 事案に鑑み、相違点4から検討する。 はじめに、本件発明11の新規性欠如について検討すると、相違点4は、実質的なものといえるから、相違点3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明2であるといえない。 次に、本件発明1の進歩性欠如について検討すると、甲第1号証~甲第12号証、引用文献5、及び引用文献6のいずれにも、「二酸化炭素回収方法」が、「前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離する工程と、分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼ガスを生成する燃焼器、及び、前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給する工程」を含むことについて、何ら記載も示唆もされておらず、このことが技術常識であるといえないから、甲1発明2の「CO2を回収し、CH4として再利用するためのプロセス」において、「前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離する工程と、分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼ガスを生成する燃焼器、及び、前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給する工程」を設けること、すなわち、相違点4に係る本件発明11の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。 したがって、相違点3について検討するまでもなく、本件発明11は、甲1発明2、及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。 イ 甲第2号証を主たる証拠とする新規性、進歩性欠如について (ア) 甲第2号証に記載された発明 a(a) 甲第2号証には、前記3(2)アによれば、メタン化触媒性能を有する金属と二酸化炭素吸蔵性能を有する金属とを含む触媒を収容し、内部のガスを取り出すための出口を備える複数の反応器と、二酸化炭素を含有する原料ガスの供給源と、水素を供給する水素供給部と、前記原料ガスの供給先を切り替える供給先切替部と、各前記反応器の前記出口における二酸化炭素濃度を測定する測定部と、制御部とを備えたメタン製造装置(【請求項1】、【請求項2】)、及び、メタン化触媒性能を有する金属と二酸化炭素吸蔵性能を有する金属とを含む触媒が収容された反応器に対して、二酸化炭素を含有する原料ガスを供給して、前記触媒に二酸化炭素を吸蔵させる工程と、前記原料ガスが供給されている前記反応器の出口における二酸化炭素の濃度を測定する工程と、前記二酸化炭素の濃度が所定値になると、前記原料ガスの供給先を他の反応器に切り替える工程とを備えるメタン製造方法(【請求項8】)が記載されている。 (b) また、甲第2号証には、前記3(2)イによれば、前記メタン製造装置の第1実施形態として、第1反応器10と、第2反応器20と、原料ガス供給部30と、水素供給部40と、第1出口CO2センサ50と、第2出口CO2センサ60と、制御部70と、水素分離部80を備えたメタン製造装置が記載され(【0017】)、第1及び第2反応器10、20は、メタン化触媒性能を有する金属と二酸化炭素吸蔵性能を有する金属とを含む触媒を収納していること(【0018】、【0020】)、原料ガス供給部30は、燃焼炉によって構成されること(【0022】)、水素分離部80は、メタンとH2を含有する反応混合ガスからH2を分離し、H2が分離された反応ガスは、燃焼炉としての原料ガス供給部30に供給されること(【0031】)、及び、メタン製造装置において、一方の反応器に原料ガスを供給して触媒にCO2を吸蔵させ、その間、他方の反応器にH2を供給してメタン化反応を生じさせ、これらを交互に繰り返してメタンを製造することができること(【0049】)が記載されている。 b 前記aの記載事項を「メタン製造装置」、及び「メタン製造方法」に注目して整理すると、甲第2号証には、次の「メタン製造装置」に係る発明(以下、「甲2発明1」という。)、及び「メタン製造方法」に係る発明(以下、「甲2発明2」という。)が記載されているといえる。 (甲2発明1) 「メタン化触媒性能を有する金属と二酸化炭素吸蔵性能を有する金属とを含み、原料ガスから二酸化炭素を吸蔵し、供給された水素でメタン化反応を生じさせる触媒を収容し、内部のガスを取り出すための出口を備える第1反応器及び第2反応器と、 二酸化炭素を含有する原料ガスの供給源である燃焼炉と、 水素を供給する水素供給部と、 前記原料ガスの供給先を切り替える供給先切替部と、 各前記反応器の前記出口における二酸化炭素濃度を測定する測定部と、 メタンと水素を含有する反応混合ガスから水素を分離する水素分離部と、 制御部とを備え、 水素分離器で水素が分離された反応ガスを燃焼炉に供給する、メタン製造装置。」 (甲2発明2) 「燃焼炉から二酸化炭素を含有する原料ガスを供給すること、 メタン化触媒性能を有する金属と二酸化炭素吸蔵性能を有する金属とを含む触媒を収容した第1反応器及び第2反応器の一方の反応器に対して、二酸化炭素を含有する原料ガスを供給して、前記触媒に二酸化炭素を吸蔵させ、その間、他方の反応器に水素を供給してメタン化反応を生じさせること、 前記原料ガスが供給されている前記反応器の出口における二酸化炭素の濃度を測定し、前記二酸化炭素の濃度が所定値になると、前記原料ガスの供給先を他の反応器に切り替え、これらを交互に繰り返してメタンを製造すること、 前記反応器からのメタンと水素を含有する反応混合ガスから水素を分離し、水素が分離された反応ガスを燃焼炉に供給すること、を含むメタン製造方法。」 (イ) 本件発明1について a 本件発明1と甲2発明1との対比 甲2発明1の「二酸化炭素を含有する原料ガスの供給源である燃焼炉」、 「水素を供給する水素供給部」、「メタン化触媒性能を有する金属と二酸化炭素吸蔵性能を有する金属とを含み、原料ガスから二酸化炭素を吸蔵し、供給された水素でメタン化反応を生じさせる触媒」は、それぞれ、本件発明1の「燃焼ガスを生成する燃焼器」、「水素を供給する水素供給源」、「前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる材料」に相当する。 また、甲2発明1の「メタン製造装置」は、「第1反応器及び第2反応器」に収容されている「メタン化触媒性能を有する金属と二酸化炭素吸蔵性能を有する金属とを含み、原料ガスから二酸化炭素を吸蔵し、供給された水素でメタン化反応を生じさせる触媒」によって、原料ガスに含まれる二酸化炭素を水素で還元してメタンとして回収するものといえるから、甲2発明1の「第1反応器及び第2反応器」、「メタン製造装置」は、それぞれ、本件発明1の「二酸化炭素回収還元器」、「二酸化炭素回収装置」に相当する。 したがって、本件発明1と甲2発明1とは、 「燃焼ガスを生成する燃焼器と、 水素を供給する水素供給源と、 前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる材料を収容する二酸化炭素回収還元器と、 を備える二酸化炭素回収装置。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点5) 本件発明1は、「大気を取り込む大気供給流路」を備え、燃焼器に「前記大気供給流路から大気が供給され」るのに対して、甲2発明1は、その点が明らかでない点。 (相違点6) 本件発明1は、「前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離するメタン分離器と、前記メタン分離器で分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼器及び前記二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給するためのメタンガス供給流路」を備えているのに対して、甲2発明1は、そのような構成を備えていない点。 b 新規性・進歩性についての判断 事案に鑑み、相違点6から検討すると、前記ア(イ)bでの相違点2に対する判断と同様に、相違点6は実質的な相違点であり、また、甲2発明1において、相違点6に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。 したがって、相違点5について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明1であるといえないし、また、甲2発明1、及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。 (ウ) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項をすべて含みさらに限定が付されたものであるから、前記(イ)の本件発明1についての検討と同様の理由により、本件発明2は、甲2発明1であるといえないし、また、甲2発明1、及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。 (エ) 本件発明11について a 本件発明11と甲2発明2との対比 甲2発明2の「燃焼炉から二酸化炭素を含有する原料ガスを供給すること」、「水素を供給」することは、それぞれ、本件発明11の「燃焼ガスを生成する工程」、「水素を供給する工程」に相当する。 また、甲2発明2の「メタン化触媒性能を有する金属と二酸化炭素吸蔵性能を有する金属とを含む触媒を収容した第1反応器及び第2反応器の一方の反応器に対して、二酸化炭素を含有する原料ガスを供給して、前記触媒に二酸化炭素を吸蔵させ、その間、他方の反応器に水素を供給してメタン化反応を生じさせること」、及び「これらを交互に繰り返してメタンを製造すること」は、本件発明11の「前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる工程」に相当する。 さらに、甲2発明2の「メタン製造方法」は、原料ガスに含まれる二酸化炭素からメタンを製造していることから、本件発明11の「二酸化炭素回収方法」に相当する。 したがって、本件発明11と甲2発明2とは、 「燃焼ガスを生成する工程と、 水素を供給する工程と、 前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる工程と、 を含む二酸化炭素回収方法。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点7) 本件発明11は、「大気を取り込む工程」を含み、「前記大気が供給され」て、燃焼ガスを生成しているのに対して、甲2発明2は、その点が明らかでない点。 (相違点8) 本件発明11は、「前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離する工程と、分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼ガスを生成する燃焼器、及び、前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給する工程」を含んでいるのに対して、甲2発明2は、そのような工程を含んでいない点。 b 新規性・進歩性についての判断 事案に鑑み、相違点8から検討すると、前記ア(エ)bでの相違点4に対する判断と同様に、相違点8は実質的な相違点であり、また、甲2発明2において、相違点8に係る本件発明11の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。 したがって、相違点7について検討するまでもなく、本件発明11は、甲2発明2であるといえないし、また、甲2発明2、及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。 ウ 甲第3号証を主たる証拠とする新規性、進歩性欠如について (ア) 甲第3号証に記載された発明 a(a) 甲第3号証には、前記3(3)アによれば、燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を元に燃料となるメタンを生成するメタン製造システム100(【0016】)が記載され、メタン製造システム100は、二酸化炭素吸蔵還元触媒11を内部に有する反応管10と、二酸化炭素を含む燃焼ガスを反応管10へと供給する燃焼装置20と、反応管10へと供給される水素を高圧で貯蔵している水素供給部30と、反応管10内で生成されたメタン及び水素を含むガスを貯蔵する燃料タンク40と、反応管10と燃料タンク40とを接続する燃料供給路49とを備えていること(【0017】)、二酸化炭素吸蔵還元触媒11は、金属酸化物である酸化カルシウムと、焼結抑制材であるアルミナと、メタン化触媒であるルテニウムとを含む複合体であること(【0018】)、酸化カルシウムは、燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を吸蔵して、炭酸カルシウムへと変化し、水素が供給されることにより、二酸化炭素を脱離して、酸化カルシウムへと変化すること(【0018】)、及び、ルテニウムは、水素と二酸化炭素からメタンが生成するメタン化反応を促進すること(【0018】)が記載されている。 (b) また、甲第3号証には、前記3(3)イによれば、メタン製造システム100を用いたメタン製造に関して、吸蔵ステップとして、反応管10内に、燃焼装置20の燃焼ガスが流入し、燃焼ガスは、二酸化炭素を含んでいるため、反応管10内の吸蔵還元触媒11は、二酸化炭素を吸蔵すること(【0025】)、吸蔵ステップが終了すると、メタン化ステップとして、反応管10内に水素を供給し、反応管10内ではメタンが生成される反応が起こること、(【0027】)、及び、反応管10内でのメタン化反応により生成されたメタン及び水素を含むガスは燃料タンク40に導入されること(【0021】)が記載されている。 b 前記aの記載事項を「メタン製造システム」及び「メタン製造方法」に注目して整理すると、甲第3号証には、次の「メタン製造システム」に係る発明(以下、「甲3発明1」という。)、及び、「メタン製造方法」に係る発明(以下、「甲3発明2」という。)が記載されているといえる。 (甲3発明1) 「二酸化炭素吸蔵還元触媒11を内部に有する反応管10と、二酸化炭素を含む燃焼ガスを反応管10へと供給する燃焼装置20と、反応管10へと供給される水素を高圧で貯蔵している水素供給部30と、反応管10内で生成されたメタン及び水素を含むガスを貯蔵する燃料タンク40と、反応管10と燃料タンク40とを接続する燃料供給路49とを備え、 二酸化炭素吸蔵還元触媒11は、燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を吸蔵する酸化カルシウムと、水素と二酸化炭素からメタンが生成するメタン化反応を促進するメタン化触媒であるルテニウムとを含む複合体であって、燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を吸蔵し、水素が供給されることで二酸化炭素が脱離して、水素と反応してメタンを生成するものである、メタン製造システム。」 (甲3発明2) 「燃焼装置20の燃焼ガスが反応管10内に流入し、反応管10内の二酸化炭素吸蔵還元触媒11により、燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を吸蔵する吸蔵ステップと、反応管10内に水素を供給し、吸蔵した二酸化炭素を脱離させ、水素と反応させてメタンを生成するメタン化ステップとを有し、反応管10内でのメタン化反応により生成されたメタン及び水素を含むガスを燃料タンク40に導入する、メタン製造方法。」 (イ) 本件発明1について a 本件発明1と甲3発明1との対比 甲3発明1の「二酸化炭素を含む燃焼ガスを反応管10へと供給する燃焼装置20」、「反応管10へと供給される水素を高圧で貯蔵している水素供給部30」、「燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を吸蔵する酸化カルシウムと、水素と二酸化炭素からメタンが生成するメタン化反応を促進するメタン化触媒であるルテニウムとを含む複合体であ」る「二酸化炭素吸蔵還元触媒11」は、それぞれ、本件発明1の「燃焼ガスを生成する燃焼器」、「水素を供給する水素供給源」、「前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる材料」に相当する。 また、甲3発明1の「メタン製造システム」は、「反応管10」内の二酸化炭素吸蔵還元触媒11によって、燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を水素で還元してメタンとして回収するものといえるから、甲3発明1の「メタン製造システム」、「反応管10」は、それぞれ、本件発明1の「二酸化炭素回収装置」、「二酸化炭素回収還元器」に相当する。 したがって、本件発明1と甲3発明1とは、 「燃焼ガスを生成する燃焼器と、 水素を供給する水素供給源と、 前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる材料を収容する二酸化炭素回収還元器と、 を備える二酸化炭素回収装置。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点9) 本件発明1は、「大気を取り込む大気供給流路」を備え、燃焼器に「前記大気供給流路から大気が供給され」るのに対して、甲3発明1は、その点が明らかでない点。 (相違点10) 本件発明1は、「前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離するメタン分離器と、前記メタン分離器で分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼器及び前記二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給するためのメタンガス供給流路」を備えているのに対して、甲3発明1は、そのような構成を備えていない点。 b 新規性・進歩性についての判断 事案に鑑み、相違点10から検討すると、前記ア(イ)bでの相違点2に対する判断と同様に、相違点10は実質的な相違点であり、また、甲3発明1において、相違点10に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。 したがって、相違点9について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明1であるといえないし、また、甲3発明1、及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。 (ウ) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項をすべて含みさらに限定が付されたものであるから、前記(イ)の本件発明1についての検討と同様の理由により、本件発明2は、甲3発明1であるといえないし、また、甲3発明1、及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。 (エ) 本件発明11について a 本件発明11と甲3発明2との対比 甲3発明2の「燃焼装置20の燃焼ガスが反応管10内に流入」すること、「反応管10内に水素を供給」することは、それぞれ、本件発明11の「燃焼ガスを生成する工程」、「水素を供給する工程」に相当する。 また、甲3発明2の「反応管10内の二酸化炭素吸蔵還元触媒11により、燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を吸蔵する吸蔵ステップ」及び「吸蔵した二酸化炭素を脱離させ、水素と反応させてメタンを生成するメタン化ステップ」は、本件発明11の「前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる工程」に相当する。 そして、甲3発明2の「メタン製造方法」は、燃焼ガスに含まれる二酸化炭素からメタンを生成していることから、本件発明11の「二酸化炭素回収方法」に相当する。 したがって、本件発明11と甲3発明2とは、 「燃焼ガスを生成する工程と、 水素を供給する工程と、 前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる工程と、 を含む二酸化炭素回収方法。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点11) 本件発明11は、「大気を取り込む工程」を含み、「前記大気が供給され」て、燃焼ガスを生成しているのに対して、甲3発明2は、その点が明らかでない点。 (相違点12) 本件発明11は、「前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離する工程と、分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼ガスを生成する燃焼器、及び、前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給する工程」を含んでいるのに対して、甲3発明2は、そのような工程を含んでいない点。 b 新規性・進歩性についての判断 事案に鑑み、相違点12から検討すると、前記ア(エ)bでの相違点4に対する判断と同様に、相違点12は実質的な相違点であり、また、甲3発明2において、相違点12に係る本件発明11の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。 したがって、相違点11について検討するまでもなく、本件発明11は、甲3発明2であるといえないし、また、甲3発明2、及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。 エ 甲第4号証を主たる証拠とする新規性、進歩性欠如について (ア) 甲第4号証に記載された発明 a(a) 甲第4号証には、前記3(4)アによれば、気体流中に存在する二酸化炭素を吸着する吸着部と、前記吸着部から脱離した二酸化炭素と水素ガス供給源から供給される水素からメタンを生成する触媒部とを含む二重機能材料を提供し、前記吸着部が前記二酸化炭素で実質的に飽和するまで、二酸化炭素を含むガスを前記二重機能材料に接触させ、前記二酸化炭素で実質的に飽和している前記二重機能材料に水素ガスを接触させ、前記二重機能材料から前記二酸化炭素を脱着させ、前記二酸化炭素と前記水素ガスとを反応させて前記メタンを形成する、二酸化炭素を回収し、それをメタンに変換する方法が記載されている。 (b) また、甲第4号証には、前記3(4)イによれば、二酸化炭素102を回収し、それを合成天然ガス104に変換するシステム100が記載され([0011])、さらに、システム100は、二重機能材料107を含む反応器106を含むこと([0011])、反応器106は、発電所109からの二酸化炭素102を含むガス108の流れと流体連通し、また、水素ガス111の供給部と流体連通していること([0012])、メタン(CH4)などの反応器で生成された合成天然ガス104は、プラント109の燃料としてリサイクルされること([0012])、二重機能材料107は、吸着部122、及び触媒部124を含み、吸着部122は、ガス流108中に存在する二酸化炭素102を吸着し、触媒部124は、吸着部から脱離した二酸化炭素102及び水素ガス111の供給部から供給される水素ガスからCH4などの合成天然ガス104を形成すること([0013]、[0014]、[0016])が記載されている。 (c) そして、前記(b)を踏まえると、前記3(4)ウの図1からは、システム100が、二重機能材料107を収納する反応器106、発電所109、水素ガス111の供給部、前記発電所109から前記反応器106に二酸化炭素102を含むガス108を供給する経路、前記水素ガス111の供給部から前記反応器106に水素ガス111を供給する経路、及び前記反応器106から前記発電所にCH4などの合成天然ガス104を供給する経路を備えた装置であることが見て取れる。 b 前記aの記載事項を「二酸化炭素を回収し、それをメタンに変換するシステム」、及び「二酸化炭素を回収し、それをメタンに変換する方法」に注目して整理すると、甲第4号証には、次の「二酸化炭素を回収し、それをメタンに変換するシステム」に係る発明(以下、「甲4発明1」という。)、及び「二酸化炭素を回収し、それをメタンに変換する方法」に係る発明(以下、「甲4発明2」という。)が記載されているといえる。 (甲4発明1) 「発電所109と、 水素ガス111の供給部と、 二重機能材料107を収納する反応器106と、 前記発電所109から前記反応器106に二酸化炭素102を含むガス108を供給する経路と、 前記水素ガス111の供給部から前記反応器106に水素ガス111を供給する経路と、 前記反応器106から前記発電所にメタンを供給する経路を備え、 前記二重機能材料107は、吸着部122、及び触媒部124を含み、前記吸着部122は、前記ガス108中に存在する二酸化炭素102を吸着し、前記触媒部124は、吸着部から脱離した二酸化炭素102及び水素ガス111の供給部から供給される水素ガス111からメタンを形成するものである、 二酸化炭素を回収し、それをメタンに変換するシステム。」 (甲4発明2) 「発電所109から二酸化炭素102を含むガス108を供給し、 水素ガス111の供給部から水素ガス111を供給し、 前記ガス108中に存在する二酸化炭素102を吸着する吸着部122と、前記吸着部122から脱離した二酸化炭素102と水素ガス111の供給部から供給される水素ガス111とからメタンを生成する触媒部124とを含む二重機能材料107を提供し、前記吸着部122が前記二酸化炭素102で実質的に飽和するまで、二酸化炭素102を含むガスを前記二重機能材料107に接触させ、前記二酸化炭素102で実質的に飽和している前記二重機能材料107に水素ガス111を接触させ、前記二重機能材料107から前記二酸化炭素102を脱着させ、前記二酸化炭素102と前記水素ガス111とを反応させて前記メタンを形成し、 前記メタンを前記発電所109に供給する、 二酸化炭素を回収し、それをメタンに変換する方法。」 (イ) 本件発明1について a 本件発明1と甲4発明1との対比 甲4発明1の「二酸化炭素102を含むガス108」は、発電所109にメタンが供給されて発生しているといえるから、本件発明1の「燃焼ガス」に相当し、さらに、甲4発明1の「発電所109」は、燃焼ガスを発生させるための燃焼器を有しているといえるから、本件発明1の「燃焼ガスを生成する燃焼器」に相当する。 また、甲4発明1の「水素ガス111の供給部」、「吸着部122、及び触媒部124を含み、前記吸着部122は、前記ガス108中に存在する二酸化炭素102を吸着し、前記触媒部124は、吸着部から脱離した二酸化炭素102及び水素ガス111の供給部から供給される水素ガス111からメタンを形成する」「二重機能材料107」、「二重機能材料107を収納する反応器106」、「二酸化炭素を回収し、それをメタンに変換するシステム」は、それぞれ、本件発明1の「水素を供給する水素供給源」、「前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる材料」、「二酸化炭素回収還元器」、「二酸化炭素回収装置」に相当する。 したがって、本件発明1と甲4発明1とは、 「燃焼ガスを生成する燃焼器と、 水素を供給する水素供給源と、 前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる材料を収容する二酸化炭素回収還元器と、 を備える二酸化炭素回収装置。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点13) 本件発明1は、「大気を取り込む大気供給流路」を備え、燃焼器に「前記大気供給流路から大気が供給され」るのに対して、甲4発明1は、その点が明らかでない点。 (相違点14) 本件発明1は、「前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離するメタン分離器と、前記メタン分離器で分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼器及び前記二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給するためのメタンガス供給流路」を備えているのに対して、甲4発明1は、そのような構成を備えていない点。 b 新規性・進歩性についての判断 事案に鑑み、相違点14から検討すると、前記ア(イ)bでの相違点2に対する判断と同様に、相違点14は実質的な相違点であり、また、甲4発明1において、相違点14に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。 したがって、相違点13について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4発明1であるといえないし、また、甲4発明1、及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。 (ウ) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項をすべて含みさらに限定が付されたものであるから、前記(イ)の本件発明1についての検討と同様の理由により、本件発明2は、甲4発明1であるといえないし、また、甲4発明1、及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。 (エ) 本件発明11について a 本件発明11と甲4発明2との対比 甲4発明2の「二酸化炭素102を含むガス108」は、発電所109にメタンが供給されて発生しているといえるから、本件発明11の「燃焼ガス」に相当する。 また、甲4発明2の「発電所109から二酸化炭素102を含むガス108を供給」すること、「水素ガス111の供給部から水素ガス111を供給」すること、「前記ガス108中に存在する二酸化炭素102を吸着する吸着部122と、前記吸着部122から脱離した二酸化炭素102と水素ガス111の供給部から供給される水素ガス111とからメタンを生成する触媒部124とを含む二重機能材料107を提供し、前記吸着部122が前記二酸化炭素102で実質的に飽和するまで、二酸化炭素102を含むガスを前記二重機能材料107に接触させ、前記二酸化炭素102で実質的に飽和している前記二重機能材料107に水素ガス111を接触させ、前記二重機能材料107から前記二酸化炭素102を脱着させ、前記二酸化炭素102と前記水素ガス111とを反応させて前記メタンを形成」すること、「二酸化炭素を回収し、それをメタンに変換する方法」は、それぞれ、本件発明11の「燃焼ガスを生成する工程」、「水素を供給する工程」、「前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる工程」、「二酸化炭素回収方法」に相当する。 したがって、本件発明11と甲4発明2とは、 「燃焼ガスを生成する工程と、 水素を供給する工程と、 前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる工程と、 を含む二酸化炭素回収方法。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点15) 本件発明11は、「大気を取り込む工程」を含み、「前記大気が供給され」て、燃焼ガスを生成しているのに対して、甲4発明2は、その点が明らかでない点。 (相違点16) 本件発明11は、「前記二酸化炭素の変換によって得られたメタンを含むメタン含有ガスから、メタンの一部を分離する工程と、分離後の低濃度メタン含有ガスを、前記燃焼ガスを生成する燃焼器、及び、前記燃焼ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を前記水素によってメタンに変換させる二酸化炭素回収還元器のうち少なくとも一方に供給する工程」を含んでいるのに対して、甲4発明2は、そのような工程を含んでいない点。 b 新規性・進歩性についての判断 事案に鑑み、相違点16から検討すると、前記ア(エ)bでの相違点4に対する判断と同様に、相違点16は実質的な相違点であり、また、甲4発明2において、相違点16に係る本件発明11の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。 したがって、相違点15について検討するまでもなく、本件発明11は、甲4発明2であるといえないし、また、甲4発明2、及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。 オ 申立理由3、申立理由4、取消理由1,取消理由2についての結論 以上のとおりであるから、申立理由3(新規性欠如)、申立理由4(進歩性欠如)、取消理由1(新規性欠如)、及び取消理由2(進歩性欠如)に理由はない。 第4 むすび 以上のとおり、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された申立ての理由によっては、本件特許1、2、4~11を取り消すことはできない。また、他に本件特許1、2、4~11を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、請求項3は、前記第2のとおり、訂正により削除された。これにより、本件特許3に対する特許異議の申立てについては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701124

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