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特許異議申立

2024-701123

清涼および風味増強組成物

審判番号
2024-701123
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-512538
登録番号
7487100
請求日
2024年11月19日
審決日
2025年10月31日
公報発行日
2026年06月26日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
  • 【権利者代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
  • 【権利者代理人】前川 純一
  • 【権利者代理人】二宮 浩康
  • 【権利者代理人】上島 類
  • 【権利者代理人】遠藤 太介
  • 【異議申立人】小川 由貴
  • 【異議申立人代理人】白崎 真二
審判長/審判官
  • 審判長 阪野 誠司
  • 審判官 宮田 透
  • 審判官 野田 定文
分類
P1651.537-ZAA(A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条6項1号特許法36条6項2号特許法113条4号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7487100号発明「清涼および風味増強組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7487100号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕について訂正することを認める。 特許第7487100号の請求項1~10に係る特許を取り消す。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7487100号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、平成30年(2018年)12月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年12月21日 中国(CN))を国際出願日とする出願であって、令和6年5月10日に特許権の設定登録がされ、同年同月20日にその特許掲載公報が発行され、その後、その請求項1~10に係る特許に対し、同年11月19日に、特許異議申立人 小川 由貴(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。 その後の本件特許異議申立事件の主な手続の経緯は、次のとおりである。 令和7年 1月14日付け 取消理由通知(特許権者宛て) 同年 4月15日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 同年 同月28日付け 訂正の請求があった旨の通知(申立人宛て) 同年 6月 6日 意見書の提出(申立人) 同年 同月27日付け 取消理由通知(決定の予告)(特許権者宛て) 同年 9月30日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 以下、令和7年4月15日に提出された訂正請求書による訂正の請求を「先の訂正請求」といい、同年9月30日に提出された訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。 また、先の訂正請求に対して、申立人に訂正の請求があった旨の通知を送付して意見書を提出する機会を既に与えており、かつ、第5で述べるとおり、本件訂正請求の内容は、先の訂正請求の内容に対して、実質的な判断に影響を与えるものではないから、本件訂正請求については、特許法第120条の5第5項に規定する特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないとされる特別な事情にあたると認められ、申立人に、再度、意見書を提出する機会を与えなかった。 なお、本件訂正請求により、先の訂正請求は取り下げられたものとみなす(特許法第120条の5第7項)。 第2 本件訂正請求について 1 本件訂正請求の趣旨及び本件訂正の内容 本件訂正請求の趣旨は、 「特許第7487100号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10について訂正することを求める。」 というものであり、本件訂正の内容は、本件訂正請求書の記載及び同請求書に添付された訂正特許請求の範囲の記載からみて、以下の訂正事項1~4からなるものであると認める。 なお、下線は訂正による記載の変更箇所を示す。 (1) 訂正事項 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「かつ前記少なくとも1種の増強剤の前記十分な量が、0.02~10,000ppmである」 と記載されているのを、 「かつ前記少なくとも1種の増強剤の前記十分な量が、1~100ppmである」 に訂正する。 請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~10も同様に訂正する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3に、 「前記少なくとも1種の増強剤の前記十分な量が、0.2~20ppmである」 と記載されているのを、 「前記少なくとも1種の増強剤の前記十分な量が、1~20ppmである」 に訂正する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に、 「混合物の前記十分な量が、0.02~10,000ppmである」 と記載されているのを、 「混合物の前記十分な量が、1~10,000ppmである」 に訂正する。 請求項1の記載を引用する請求項5~8も同様に訂正する。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に、 「混合物の前記十分な量が、0.2~20ppmである」 と記載されているのを、 「混合物の前記十分な量が、1~20ppmである」 に訂正する。 なお、訂正事項3及び4について、本件訂正請求書の訂正事項の説明(8(2)ウ及びエ)では、下限値を限定する対象が「増強剤」であることが記載されているが、この記載は、訂正特許請求の範囲に記載のとおり、下限値を限定する対象が「混合物」であることの誤記であると認めた。 (2) 一群の請求項について 本件訂正前の請求項1~10のうち、請求項2~10は、いずれも請求項1の記載を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定される「一群の請求項」についてされたものである。 2 訂正要件の判断 (1) 訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載の「少なくとも1種の増強剤」の「十分な量」の範囲を、「0.02~10,000ppm」から「1~100ppm」に限定し、当該「十分な量」の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 訂正事項1で特定された「少なくとも1種の増強剤」の「十分な量」の範囲を、「1~100ppm」にすることは、本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲(以下「本件明細書等」という。)の【0037】及び【0041】に、それぞれ、「一部の態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、1~10,000ppmである。」(訂正事項1の下限値に対応。)及び「一部の態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、0.02~100ppmである。」(訂正事項1の上限値に対応。)と記載されているから、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 訂正事項1に係る訂正は、上記アで述べたとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、上記イで述べたとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであるから、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (2) 訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項3に記載の「少なくとも1種の増強剤」の「十分な量」の下限値を、「0.2ppm」から「1ppm」に限定し、当該「十分な量」の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 訂正事項2で特定された「少なくとも1種の増強剤」の「十分な量」の下限値を、「1ppm」にすることは、本件明細書等の【0037】に、「一部の態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、1~10,000ppmである。」と記載されているから、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 訂正事項2に係る訂正は、上記アで述べたとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、上記イで述べたとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであるから、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3) 訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項4に記載の特定の「混合物」の「十分な量」の下限値を、「0.02ppm」から「1ppm」に限定し、当該「十分な量」の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 訂正事項3で特定された「混合物」の「十分な量」の下限値を、「1ppm」にすることは、本件明細書等の【0094】に、「一部の態様では、該混合物の十分な量は、1~10,000ppmである。」と記載されているから、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 訂正事項3に係る訂正は、上記アで述べたとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、上記イで述べたとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであるから、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4) 訂正事項4について ア 訂正の目的について 訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項4に記載の特定の「混合物」の「十分な量」の下限値を、「0.2ppm」から「1ppm」に限定し、当該「十分な量」の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 訂正事項4で特定された「混合物」の「十分な量」の下限値を、「1ppm」にすることは、本件明細書等の【0094】に、「一部の態様では、該混合物の十分な量は、1~10,000ppmである。」と記載されているから、訂正事項4に係る訂正は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、訂正事項4に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 訂正事項4に係る訂正は、上記アで述べたとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、上記イで述べたとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであるから、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 3 本件訂正請求についてのまとめ 以上のとおりであるから、訂正事項1~4からなる本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 よって、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正後の本件特許に係る発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正後の本件特許の特許請求の範囲の請求項1~10(以下、請求項の番号順に「本件訂正請求項1」等ということがある。)の記載は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲に記載された以下のとおりのものである(ただし、請求項1及び4において、「酢酸メチル」以外の「増強剤」の成分について、便宜的に「(A成分)」、「(α成分)」等と称することを示す記載を、下線とともに追記した。)。 そして、本件訂正請求項1~10に係る発明は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~10に記載されたとおりのものであると認める(以下、請求項の番号順に「本件訂正発明1」~「本件訂正発明10」といい、まとめて「本件訂正発明」ということがある。)。 「【請求項1】 a.メントール、ミント油およびペッパーミント油からなる群から選択される少なくとも1種の清涼化合物と、 b.酢酸メチル、(+)-メチル(1R)-cis-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテート(A成分)、N-(1-プロピルブチル)-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボキサミド(B成分)、フェルラ酸(C成分)、(+-)-4-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オンと、(+-)-4-(2,3-ジヒドロキシ-3-メチルブトキシ)-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オンと、5,7-ジメトキシ-2H-クロメン-2-オンと、(+-)-9-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-4-メトキシ-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オンとからなる混合物(D成分)および3-(1-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-ヒドロキシベンジル)イミダゾリジン-2,4-ジオン(E成分)からなる群から選択される少なくとも1種の増強剤とを含み、 前記少なくとも1種の増強剤は、対象としてのヒトまたは動物が組成物と接触した時に、前記少なくとも1種の清涼化合物の風味の強度を向上させ、前記少なくとも1種の清涼化合物の清涼感の強度を向上させるのに十分な量で組成物中に存在し、かつ前記少なくとも1種の増強剤の前記十分な量が、1~100ppmである、 組成物。 【請求項2】 a.請求項1記載の組成物と、 b.経口的に許容され得る担体とを含む、 オーラルケア組成物。 【請求項3】 前記少なくとも1種の増強剤の前記十分な量が、1~20ppmである、請求項1記載の組成物。 【請求項4】 前記少なくとも1種の増強剤が、酢酸メチルと、(+)-メチル(1R)-cis-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテート、N-(1-プロピルブチル)-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボキサミド、フロレチン(α成分)、フェルラ酸、クロロゲン酸(β成分)、(+-)-4-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オンと、(+-)-4-(2,3-ジヒドロキシ-3-メチルブトキシ)-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オンと、5,7-ジメトキシ-2H-クロメン-2-オンと、(+-)-9-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-4-メトキシ-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オンとからなる混合物、少なくとも1種のポリメトキシフラボノイド(γ成分)および3-(1-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-ヒドロキシベンジル)イミダゾリジン-2,4-ジオンからなる群から選択される少なくとも1種の他の増強剤とを含む混合物を含み、 前記酢酸メチルと少なくとも1種の他の増強剤とを含む混合物が、対象としてのヒトまたは動物が組成物と接触した時に、前記少なくとも1種の清涼化合物の風味の強度を向上させ、前記少なくとも1種の清涼化合物の清涼感の強度を向上させるのに十分な量で組成物中に存在し、かつ前記酢酸メチルと少なくとも1種の他の増強剤とを含む混合物の前記十分な量が、1~10,000ppmである、請求項1記載の組成物。 【請求項5】 前記酢酸メチルと少なくとも1種の他の増強剤とを含む混合物の前記十分な量が、1~20ppmである、請求項4記載の組成物。 【請求項6】 前記酢酸メチルと少なくとも1種の他の増強剤とを含む混合物中における前記酢酸メチル対前記少なくとも1種の他の増強剤の比が、1:0.0001~1:1である、請求項4記載の組成物。 【請求項7】 前記酢酸メチルと少なくとも1種の他の増強剤とを含む混合物中における前記酢酸メチル対前記少なくとも1種の他の増強剤の比が、1:0.005~1:0.1である、請求項4記載の組成物。 【請求項8】 前記酢酸メチルと少なくとも1種の他の増強剤とを含む混合物が、酢酸メチルと、3-(1-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-ヒドロキシベンジル)イミダゾリジン-2,4-ジオンとを含む、請求項4記載の組成物。 【請求項9】 清涼感を必要とする対象としてのヒトまたは動物に清涼感を提供する方法であって、 前記対象を請求項1記載の組成物と接触させることを含み、 前記方法により、前記対象により知覚される前記少なくとも1種の清涼化合物の清涼効果の強度が、前記少なくとも1種の増強剤を欠いた組成物と接触させた対象により知覚される清涼効果の強度と比較して向上し、 前記方法により、前記対象により知覚される前記少なくとも1種の清涼化合物の風味の強度が、前記少なくとも1種の増強剤を欠いた組成物と接触させた対象により知覚される前記少なくとも1種の清涼化合物の風味の強度と比較して向上する、 方法。 【請求項10】 清涼感を必要とする対象としてのヒトまたは動物に清涼感を提供する方法であって、 前記対象を請求項2記載のオーラルケア製品と接触させることを含み、 前記方法により、前記対象により知覚される前記少なくとも1種の清涼化合物の清涼効果の強度が、前記少なくとも1種の増強剤を欠いた製品と接触させた対象により知覚される清涼効果の強度と比較して向上し、 前記方法により、前記対象により知覚される前記少なくとも1種の清涼化合物の風味の強度が、前記少なくとも1種の増強剤を欠いた製品と接触させた対象により知覚される前記少なくとも1種の清涼化合物の風味の強度と比較して向上する、 方法。」 第4 取消理由(決定の予告)の概要 先の訂正請求による訂正による請求項1~10に係る特許に対して、当審合議体が令和7年6月27日付けで、決定の予告として特許権者に通知した取消理由は、以下の理由を含み、その概要は、次のとおりである(以下に記載の「請求項」は、先の訂正請求による訂正によるものである。)。 取消理由3(明確性) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が、下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 取消理由4(サポート要件) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が、下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 記 1 取消理由3(明確性)について ・請求項1~10 (1) 請求項1における、 「前記少なくとも1種の増強剤は、対象としてのヒトまたは動物が組成物と接触した時に、前記少なくとも1種の清涼化合物の風味の強度を向上させ、前記少なくとも1種の清涼化合物の清涼感の強度を向上させるのに十分な量で組成物中に存在し、かつ前記少なくとも1種の増強剤の前記十分な量が、0.02~100ppmである」 との記載は、「少なくとも1種の増強剤」が「対象としてのヒトまたは動物が組成物と接触した時に」、「少なくとも1種の清涼化合物の風味の強度を向上させ」るという要件(以下「風味要件」という。)、及び「少なくとも1種の清涼化合物の清涼感の強度を向上させ」るという要件(以下「清涼感要件」という。)を満たす「十分な量」について特定するものである(以下「濃度要件」という。)ところ、当該濃度要件が以下のア及びイのどちらを意味しているのか明確でないから、請求項1に係る発明は明確でない。また、請求項1に係る発明の発明特定事項を全て含む発明である請求項2~10に係る発明も明確でない。 ア 濃度要件ア 「風味要件」及び「清涼感要件」を満たす「十分な量」が「0.02~100ppm」であることを意味する。すなわち、増強剤の量が「0.02~100ppm」であるという要件(以下「数値要件」という。)を満たしさえすれば、「風味要件」及び「清涼感要件」を満たすことを意味する。 イ 濃度要件イ 「風味要件」及び「清涼感要件」を満たす「十分な量」が、「0.02~100ppm」(数値要件)の範囲内であることを意味する。すなわち、「0.02~100ppm」の範囲内であり、かつ「風味要件」及び「清涼感要件」を満たす量が「十分な量」であることを意味する。 これに関し、例えば、本件明細書等の【0162】の表10における「サンプル3」は、増強剤である酢酸メチルを0.01%(100ppm)含み、風味強度3及び清涼強度3.5の組成物である。一方、酢酸メチルを含まない「サンプル1」は、風味強度3及び清涼強度3であるから、「サンプル3」は、「数値要件」の範囲内であり、「清涼感要件」は満たしているものの(清涼感の強度が向上。)、「風味要件」は満たしていない(風味の強度が向上していない。)。 請求項1の上記記載が濃度要件アを意味するとした場合、「サンプル3」は、請求項1に係る発明の特定と整合するものではないし、また、濃度要件イを意味するとした場合、請求項1に係る発明は、「風味要件」及び「清涼感要件」といった機能や特性で特定した「物」(組成物)の発明であるところ、「風味要件」及び「清涼感要件」は、官能評価を伴う実験結果による機能又は特性による要件であるといえるところ、当業者であっても、ある組成物が当該要件を満たすのかどうか再現性をもって把握することができるとはいえないから、これらの要件は、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であって、請求項1の記載は明確でない。 したがって、請求項1に係る発明は明確でなく、請求項1に係る発明の発明特定事項を全て含む発明である請求項2~10に係る発明も明確でない。 (2) 請求項4の「前記酢酸メチルと少なくとも1種の他の増強剤とを含む混合物が、対象としてのヒトまたは動物が組成物と接触した時に、前記少なくとも1種の清涼化合物の風味の強度を向上させ、前記少なくとも1種の清涼化合物の清涼感の強度を向上させるのに十分な量で組成物中に存在し、かつ前記酢酸メチルと少なくとも1種の他の増強剤とを含む混合物の前記十分な量が、0.02~10,000ppmである」との記載についても、「酢酸メチルと少なくとも1種の他の増強剤とを含む混合物」の濃度要件が、上記(1)と同様の理由により明確でない。 したがって、請求項4に係る発明は明確でなく、請求項4に係る発明の発明特定事項を全て含む発明である請求項5~8に係る発明も明確でない。 2 取消理由4(サポート要件)について ・請求項1~10 上記1(1)ア(濃度要件ア)の場合について 本件明細書等には、「少なくとも1種の増強剤」が、「1ppm」、「2ppm」、「5ppm」、「10ppm」又は「50ppm」である場合については、「風味強度」及び「清涼強度」が向上している例が記載されているが、「少なくとも1種の増強剤」が「1ppm」未満又は「50ppm」を超え、かつ、「風味強度」及び「清涼強度」が向上している例の記載はなく、むしろ、「少なくとも1種の増強剤」が、「0.2ppm」、「0.5ppm」及び「100ppm」では、「風味強度」又は「清涼強度」が向上していない例が具体的に示されていることを考慮すると、「少なくとも1種の増強剤」が「1~50ppm」以外の「0.02~100ppm」の範囲の量で、本件訂正発明の課題である「風味及び清涼爽快感を増強する1種以上の化合物と組み合わされた清涼化合物を含む風味系を含む、オーラルケア組成物を提供」できるように記載されているとはいえない。 そして、「風味強度」及び「清涼強度」が向上する「少なくとも1種の増強剤」の濃度について、そのような技術常識も確認できない。 そうすると、請求項1~10に係る発明は、本件特許の出願時の技術常識に照らして、本件明細書等の発明の詳細な説明の記載や示唆から、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものとはいえない。 第5 当審合議体の判断 1 取消理由3(明確性)について (1) 本件訂正請求項1における、 「前記少なくとも1種の増強剤は、対象としてのヒトまたは動物が組成物と接触した時に、前記少なくとも1種の清涼化合物の風味の強度を向上させ、前記少なくとも1種の清涼化合物の清涼感の強度を向上させるのに十分な量で組成物中に存在し、かつ前記少なくとも1種の増強剤の前記十分な量が、1~100ppmである」 との記載は、「少なくとも1種の増強剤」が「対象としてのヒトまたは動物が組成物と接触した時に」、「少なくとも1種の清涼化合物の風味の強度を向上させ」るという要件(以下「風味要件」という。)、及び「少なくとも1種の清涼化合物の清涼感の強度を向上させ」るという要件(以下「清涼感要件」という。)を満たす「十分な量」について特定するものである(以下「濃度要件」という。)ところ、当該濃度要件は、文言上、以下のア及びイの意味を含むものといえる。 ア 濃度要件ア 「風味要件」及び「清涼感要件」を満たす「十分な量」が「1~100ppm」であることを意味する。すなわち、増強剤の量が「1~100ppm」であるという要件(以下「数値要件」という。)を満たしさえすれば、「風味要件」及び「清涼感要件」を満たすことを意味する。 イ 濃度要件イ 「風味要件」及び「清涼感要件」を満たす「十分な量」が、「1~100ppm」(数値要件)の範囲内であることを意味する。すなわち、「1~100ppm」の範囲内であり、かつ「風味要件」及び「清涼感要件」を満たす量が「十分な量」であることを意味する。 (2) 上述のとおり、本件訂正請求項1の記載は多義的なものである。 そして、以下に述べるように、本件訂正請求項1の「濃度要件」の記載が明確かどうかを本件明細書等の記載を参照しても、濃度要件アを意味する場合には、本件明細書等の記載と整合せず、また、濃度要件イを意味する場合には、要件を満たすかどうかが明確ではないから、結果として、本件訂正請求項1の記載は、明確でない。 ア 濃度要件アの場合について 「風味要件」及び「清涼感要件」に関し、例えば、本件明細書等の【0162】の表10における「サンプル3」は、増強剤である酢酸メチルを0.01%(100ppm)含み、風味強度3及び清涼強度3.5の組成物である。一方、酢酸メチルを含まない「サンプル1」は、風味強度3及び清涼強度3であるから、「サンプル3」は、「数値要件」の範囲内であり、「清涼感要件」は満たしているものの(清涼感の強度が向上。)、「風味要件」は満たしていない(風味の強度が向上していない。)。同様に、本件明細書等の【0159】の表9における「サンプル2」も「数値要件」は満たすものの、酢酸メチルを含まない「サンプル1」に対して、風味の強度が向上するものではなく、「風味要件」を満たさない(「清涼感要件」は満たす。)。 そうすると、本件明細書等には、「数値要件」を満たしさえすれば、「風味要件」及び「清涼感要件」を満たさない例が示されており、「濃度要件」の記載を「濃度要件ア」と解釈した場合の本件訂正請求項1の記載と整合しない。 イ 濃度要件イの場合について 本件訂正発明1は、「風味要件」及び「清涼感要件」といった機能や特性で特定した「物」(組成物)の発明であるから、「風味要件」及び「清涼感要件」自体が、明確であることが必要である。 しかしながら、「風味要件」及び「清涼感要件」は、官能評価を伴う実験結果による機能又は特性による要件であって、当業者であっても、ある組成物が当該要件を満たすのかどうか再現性をもって把握することができるとはいえない。例えば、本件明細書等の実施例2の表9と、令和7年9月30日提出の意見書における表A(本件明細書等の実施例4の表17の追試実験結果)には、増強剤として酢酸メチルを用いた官能評価結果が示されているが、酢酸メチルの量を50ppmとしたサンプル(表9のサンプル2及び表Aのサンプル2)では、「風味要件」の結果に違いが生じている。 そうしてみれば、これらの「風味要件」及び「清涼感要件」は、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるといえる。 (3) 特許権者の主張について 特許権者は、令和7年9月30日提出の意見書において、 「濃度要件については、訂正後の本件特許発明1では、増強剤の量が「1~100ppm」であり、これが濃度要件アを意味する」 ことを主張している。 しかしながら、本件訂正発明1が濃度要件アを意味するとした場合、上記(2)アで検討したとおり、具体的サンプルとの整合性がないところ、このことに関する特許権者の説明もなく、かつ、明確とする妥当な理由も見いだせないから、特許権者の主張は採用できない。 (4) 本件訂正請求項2~10について 本件訂正発明2は、本件訂正請求項1に記載の組成物を用いたオーラルケア組成物であり、本件訂正発明3は、本件訂正請求項1に記載の組成物において、増強剤の十分な量を更に特定した発明であり、本件訂正発明4は、本件訂正請求項1に記載の組成物において、増強剤について更に特定した発明であり、本件訂正発明5は、本件訂正請求項4に記載の組成物において、酢酸メチルと他の増強剤とを含む混合物の十分な量を更に特定した発明であり、本件訂正発明6及び7は、いずれも本件訂正請求項4に記載の組成物において、酢酸メチル対他の増強剤の比を更に特定した発明であり、本件訂正発明8は、本件訂正請求項4に記載の組成物において、他の増強剤を更に特定した発明であり、本件訂正発明9は、本件訂正請求項1に記載の組成物を用いた清涼感を提供する方法であり、本件訂正発明10は、本件訂正請求項2に記載の組成物を用いた清涼感を提供する方法である。 そうすると、本件訂正請求項2~10の記載についても、上記(1)~(3)において本件訂正請求項1について説示した点が明確でない。 (5) 小括 以上のとおり、本件訂正請求項1~10の記載は、どのようなことを意味するのか明確でなく、さらに、本件訂正請求項1~10の「濃度要件」の記載が「濃度要件ア」及び「濃度要件イ」のどちらを意味する場合であっても明確とはいえない。 よって、本件訂正発明1~10は明確でない。 2 取消理由4(サポート要件)について (1) 本件訂正発明について 本件訂正発明は、上記「1 取消理由3(明確性)」について説示したとおり、不明確であるものの、本件特許権者は、本件訂正請求項1の「濃度要件」の記載は、「濃度要件ア」を意味するものであり、サポート要件を満たすと主張するので(令和7年9月30日提出の意見書)、本件訂正請求項1の「濃度要件」の記載が「濃度要件ア」を意味する場合について、以下検討する。 (2) サポート要件についての判断の前提 特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (3) 本件明細書等の記載 本件明細書等の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。 (以下、「・・・」は記載の省略を表し、下線の一部は当審合議体が付したものである。) (A) 「【0002】 発明の分野 本明細書で提示された種々の態様は、清涼および風味増強組成物ならびにその使用に関する。 【0003】 背景 ・・・ 【0005】 これらの成分による美容上のネガティブな要因を軽減するために、オーラルケア製品は、典型的には、着香剤、甘味料および清涼剤により、可能な限り良好に味付けし、心地よい体験を提供するように配合される。特に、オーラルケア製品は、使用中および使用後に爽快な清凉感を提供するのが望ましい。 【0006】 したがって、一部の態様では、本開示は、清涼化合物により提供される風味、清涼および爽快感を増強する1種以上の化合物と組み合わされた清涼化合物を含む風味系を含む、オーラルケア組成物を提供する。一部の態様では、増強は、風味、清涼および爽快感の開始、強度または効果および/または持続時間である。」 (B) 「【0010】 一態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、1~10,000ppmである。 【0011】 一態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、50~5,000ppmである。 【0012】 一態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、0.2~20ppmである。」 (C) 「【0025】 本開示は、口腔での使用を意図したパーソナルケア製品およびこのようなパーソナルケア製品での使用のための風味組成物を提供する。該組成物は、清涼化合物により提供される風味、清涼および爽快感を増強する1種以上の化合物と組み合わせた清涼化合物を含む。 【0026】 代替的な態様では、本開示は、風味付き物品およびこのような風味付き物品で使用するための風味組成物を提供する。該組成物は、清涼化合物により提供される風味、清涼および爽快感を増強する1種以上の化合物と組み合わせた清涼化合物を含む。」 (D) 「【0036】 一部の態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、0.02~10,000ppmである。 【0037】 一部の態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、1~10,000ppmである。 【0038】 一部の態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、50~5,000ppmである。 【0039】 一部の態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、100~2,000ppmである。 【0040】 一部の態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、0.1~1,000ppmである。 【0041】 一部の態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、0.02~100ppmである。 【0042】 一部の態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、0.2~20ppmである。 【0043】 一部の態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、0.02~10,000ppmである。・・・一部の態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、9,000~10,000ppmである。 【0044】 一部の態様では、少なくとも1種の増強剤の十分な量は、0.02または・・・または10,000ppmである。 【0045】 一部の態様では、少なくとも1種の増強剤は、酢酸メチルである。一部の態様では、酢酸メチルの十分な量は、組成物の0.00001~10%である。・・・ 【0046】 ・・・一部の態様では、酢酸メチルの十分な量は、組成物の9~10%である。 【0047】 一部の態様では、少なくとも1種の増強剤は、(+)-メチル(1R)-cis-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテートである。一部の態様では、(+)-メチル(1R)-cis-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテートの十分な量は、組成物の0.00001~10%である。一部の態様では、(+)-メチル(1R)-cis-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテートの十分な量は、組成物の0.005~0.5%である。 【0048】 ・・・一部の態様では、(+)-メチル(1R)-cis-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテートの十分な量は、組成物の9~10%である。 ・・・ 【0051】 一部の態様では、少なくとも1種の増強剤は、n-(1-プロピルブチル)-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボキサミドである。一部の態様では、n-(1-プロピルブチル)-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボキサミドの十分な量は、組成物の0.00001~10%である。一部の態様では、n-(1-プロピルブチル)-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボキサミドの十分な量は、組成物の0.005~0.5%である。 【0052】 ・・・一部の態様では、n-(1-プロピルブチル)-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボキサミドの十分な量は、組成物の9~10%である。 【0053】 一部の態様では、少なくとも1種の増強剤は、フェルラ酸である。一部の態様では、フェルラ酸の十分な量は、組成物の0.00001~10%である。・・・ 【0054】 ・・・一部の態様では、フェルラ酸の十分な量は、組成物の9~10%である。 ・・・ 【0057】 一部の態様では、少なくとも1種の増強剤は、(+-)-4-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オン、(+-)-4-(2,3-ジヒドロキシ-3-メチルブトキシ)-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オン、5,7-ジメトキシ-2H-クロメン-2-オンおよび(+-)-9-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-4-メトキシ-7H-フロ[を含む混合物である。一部の態様では、(+-)-4-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オン、(+-)-4-(2,3-ジヒドロキシ-3-メチルブトキシ)-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オン、5,7-ジメトキシ-2H-クロメン-2-オンおよび(+-)-9-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-4-メトキシ-7H-フロ[を含む混合物の十分な量は、組成物の0.00001~10%である。・・・ 【0058】 ・・・一部の態様では、(+-)-4-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オン、(+-)-4-(2,3-ジヒドロキシ-3-メチルブトキシ)-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オン、5,7-ジメトキシ-2H-クロメン-2-オンおよび(+-)-9-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-4-メトキシ-7H-フロ[を含む混合物の十分な量は、組成物の9~10%である。 ・・・ 【0063】 一部の態様では、少なくとも1種の増強剤は、3-(1-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-ヒドロキシベンジル)イミダゾリジン-2,4-ジオンである。一部の態様では、3-(1-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-ヒドロキシベンジル)イミダゾリジン-2,4-ジオンの十分な量は、組成物の0.00001~10%である。・・・ 【0064】 ・・・一部の態様では、3-(1-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-ヒドロキシベンジル)イミダゾリジン-2,4-ジオンの十分な量は、組成物の9~10%である。・・・ 【0093】 一部の態様では、該混合物の十分な量は、0.02~10,000ppmである。 【0094】 一部の態様では、該混合物の十分な量は、1~10,000ppmである。 【0095】 一部の態様では、該混合物の十分な量は、50~5,000ppmである。 【0096】 一部の態様では、該混合物の十分な量は、100~2,000ppmである。 【0097】 一部の態様では、該混合物の十分な量は、0.1~1,000ppmである。 【0098】 一部の態様では、該混合物の十分な量は、0.02~100ppmである。 【0099】 一部の態様では、該混合物の十分な量は、0.2~20ppmである。 【0100】 一部の態様では、該混合物の十分な量は、0.02~10,000ppmである。・・・一部の態様では、該混合物の十分な量は、9,000~10,000ppmである。」 (E) 「【0130】 一部の態様では、該組成物が、歯磨きを含むオーラルケア製品に配合される場合、組成物中の酢酸メチルの有効量は、500ppmである。 【0131】 一部の態様では、該組成物が、マウスウォッシュを含むオーラルケア製品に配合される場合、組成物中の酢酸メチルの有効量は、100ppmである。 ・・・ 【0134】 一部の態様では、該組成物が、歯磨きを含むオーラルケア製品に配合される場合、組成物中の(+)-メチル(1R)-cis-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテートの有効量は、100ppmである。 【0135】 一部の態様では、該組成物が、マウスウォッシュを含むオーラルケア製品に配合される場合、組成物中の(+)-メチル(1R)-cis-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテートの有効量は、1,000ppmである。 【0136】 一部の態様では、該組成物が、歯磨きを含むオーラルケア製品に配合される場合、組成物中のn-(1-プロピルブチル)-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボキサミドの有効量は、20ppmである。 【0137】 一部の態様では、該組成物が、マウスウォッシュを含むオーラルケア製品に配合される場合、組成物中のn-(1-プロピルブチル)-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボキサミドの有効量は、5ppmである。 ・・・ 【0142】 一部の態様では、該組成物が、歯磨きを含むオーラルケア製品に配合される場合、組成物中のフェルラ酸の有効量は、500ppmである。 【0143】 一部の態様では、該組成物が、マウスウォッシュを含むオーラルケア製品に配合される場合、組成物中のフェルラ酸の有効量は、50ppmである。 ・・・ 【0146】 一部の態様では、該組成物が、歯磨きを含むオーラルケア製品に配合される場合、組成物中の(+-)-4-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オン、(+-)-4-(2,3-ジヒドロキシ-3-メチルブトキシ)-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オン、5,7-ジメトキシ-2H-クロメン-2-オンおよび(+-)-9-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-4-メトキシ-7H-フロ[を含む混合物の有効量は、50ppmである。 【0147】 一部の態様では、該組成物が、マウスウォッシュを含むオーラルケア製品に配合される場合、組成物中の(+-)-4-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オン、(+-)-4-(2,3-ジヒドロキシ-3-メチルブトキシ)-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オン、5,7-ジメトキシ-2H-クロメン-2-オンおよび(+-)-9-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-4-メトキシ-7H-フロ[を含む混合物の有効量は、5ppmである。」 (F) 「【0152】 実施例 実施例1 本明細書で提示された一部の態様に係る組成物の感覚評価 以下の表7に、10種の試験配合物を記載する。サンプル1は、増強剤を欠くコントロール配合物とした。サンプル2~10は、記載された増強剤を含有する。 【0153】 表7: 【表7-1】 [図:0001436150000001.jpg] 【表7-2】 [図:0001436150000002.jpg] 【0154】 3名の対象の専門家チームに、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価するように求めた。対象に、約1gの試験サンプルを歯ブラシに適用し、ペーストを湿らせ、毛を柔らかくするために、5秒間流水下で歯ブラシをすすぐように求めた。ついで、対象は、対象の歯肉との接触を最小限にするように注意を払いながら、適用された試験サンプルで歯磨きをした。ついで、対象は、試験サンプルを吐き出し、水で口をすすいだ。ついで、対象は、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価した。対象に、各試験サンプル間で15分間待つように求めた。結果を、表8に示す。 表8: 【0155】 【表8】 [図:0001436150000003.jpg] 【0156】 これらのデータから、酢酸メチル、(+)-メチル(1R)-cis-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテート、n-(1-プロピルブチル)-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボキサミド、フロレチン、フェルラ酸、シクロヘキサンカルボン酸、(+-)-4-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オン、(+-)-4-(2,3-ジヒドロキシ-3-メチルブトキシ)-7H-フロ[3,2-g]クロメン-7-オン、5,7-ジメトキシ-2H-クロメン-2-オンおよび(+-)-9-[(3,3-ジメチル-2-オキシラニル)メトキシ]-4-メトキシ-7H-フロ[を含む混合物、ポリメトキシフラボノイド、3-1-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-ヒドロキシベンジル)イミダゾリジン-2,4-ジオンからなる群から選択される増強剤は、試験練り歯磨き配合物におけるミント風味の知覚風味強度および知覚清涼強度の両方を向上可能であったと示唆される。 【0157】 実施例2 本明細書で提示された一部の態様に係る組成物の感覚評価 以下の表9に、4種の試験配合物を記載する。サンプル1は、増強剤を欠くコントロール配合物とした。サンプル2~4は、増強剤として酢酸メチルを記載された量(配合物の重量%)含有する。 【0158】 3名の対象の専門家チームに、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価するように求めた。対象に、約1gの試験サンプルを歯ブラシに適用し、ペーストを湿らせ、毛を柔らかくするために、5秒間流水下で歯ブラシをすすぐように求めた。ついで、対象は、対象の歯肉との接触を最小限にするように注意を払いながら、適用された試験サンプルで歯磨きをした。ついで、対象は、試験サンプルを吐き出し、水で口をすすいだ。ついで、対象は、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価した。対象に、各試験サンプル間で15分間待つように求めた。結果を、表9に示す。 表9: 【0159】 【表9】 [図:0001436150000004.jpg] 【0160】 表9に概説され、報告された実験を繰り返した。以下の表10に、7種の試験配合物を記載する。サンプル1は、増強剤を欠くコントロール配合物とした。サンプル2~7は、増強剤として酢酸メチルを記載された量(配合物の重量%)で含有する。 【0161】 3名の対象の専門家チームに、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価するように求めた。対象に、約1gの試験サンプルを歯ブラシに適用し、ペーストを湿らせ、毛を柔らかくするために、5秒間流水下で歯ブラシをすすぐように求めた。ついで、対象は、対象の歯肉との接触を最小限にするように注意を払いながら、適用された試験サンプルで歯磨きをした。ついで、対象は、試験サンプルを吐き出し、水で口をすすいだ。ついで、対象は、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価した。対象に、各試験サンプル間で15分間待つように求めた。結果を、表10に示す。 【0162】 表10: 【表10】 [図:0001436150000005.jpg] 【0163】 これらのデータから、酢酸メチルの範囲は、1ppm~10000ppmであることができると示唆される。代替的には、50ppm~5000ppm、代替的には、100ppm~2000ppmである。 【0164】 以下の表11に、4種の試験配合物を記載する。サンプル1は、増強剤を欠くコントロール配合物とした。サンプル2~4は、増強剤として3-(1-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-ヒドロキシベンジル)イミダゾリジン-2,4-ジオンを記載された量(配合物の重量%)で含有する。 【0165】 3名の対象の専門家チームに、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価するように求めた。対象に、約1gの試験サンプルを歯ブラシに適用し、ペーストを湿らせ、毛を柔らかくするために、5秒間流水下で歯ブラシをすすぐように求めた。ついで、対象は、対象の歯肉との接触を最小限にするように注意を払いながら、適用された試験サンプルで歯磨きをした。ついで、対象は、試験サンプルを吐き出し、水で口をすすいだ。ついで、対象は、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価した。対象に、各試験サンプル間で15分間待つように求めた。結果を、表11に示す。 【0166】 表11: 【表11】 [図:0001436150000006.jpg] 【0167】 表11に概説され、報告された実験を繰り返した。以下の表12に、7種の試験配合物を記載する。サンプル1は、増強剤を欠くコントロール配合物とした。サンプル2~7は、増強剤として3-(1-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-ヒドロキシベンジル)イミダゾリジン-2,4-ジオンを記載された量(配合物の重量%)で含有する。 【0168】 3名の対象の専門家チームに、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価するように求めた。対象に、約1gの試験サンプルを歯ブラシに適用し、ペーストを湿らせ、毛を柔らかくするために、5秒間流水下で歯ブラシをすすぐように求めた。ついで、対象は、対象の歯肉との接触を最小限にするように注意を払いながら、適用された試験サンプルで歯磨きをした。ついで、対象は、試験サンプルを吐き出し、水で口をすすいだ。ついで、対象は、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価した。対象に、各試験サンプル間で15分間待つように求めた。結果を、表12に示す。 【0169】 表12: 【表12】 [図:0001436150000007.jpg] 【0170】 これらのデータから、組成物中の3-(1-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-ヒドロキシベンジル)イミダゾリジン-2,4-ジオンの範囲は、0.001ppm~1000ppmであることができると示唆される。代替的には、0.02ppm~100ppm、代替的には、0.2ppm~20ppmである。」 (G) 「【0171】 実施例3 2種の増強剤を使用する本明細書で提示された一部の態様に係る組成物の感覚評価 以下の表13に、9種の試験配合物を記載する。サンプル1は、増強剤として0.05%の酢酸メチルを単独で含有するコントロール配合物とした。サンプル2~9は、示された混合物を記載された量(配合物の重量%)で含有する。 【0172】 3名の対象の専門家チームに、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価するように求めた。対象に、約1gの試験サンプルを歯ブラシに適用し、ペーストを湿らせ、毛を柔らかくするために、5秒間流水下で歯ブラシをすすぐように求めた。ついで、対象は、対象の歯肉との接触を最小限にするように注意を払いながら、適用された試験サンプルで歯磨きをした。ついで、対象は、試験サンプルを吐き出し、水で口をすすいだ。ついで、対象は、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価した。対象に、各試験サンプル間で15分間待つように求めた。結果を、表13に示す。 【0173】 表13: 【表13】 [図:0001436150000008.jpg] 【0174】 以下の表14に、9種の試験配合物を記載する。サンプル1は、増強剤として3-(1-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-ヒドロキシベンジル)イミダゾリジン-2,4-ジオンの0.1%溶液を単独で2%含有するコントロール配合物とした。サンプル2~9は、示された混合物を記載された量(配合物の重量%)で含有する。 【0175】 3名の対象の専門家チームに、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価するように求めた。対象に、約1gの試験サンプルを歯ブラシに適用し、ペーストを湿らせ、毛を柔らかくするために、5秒間流水下で歯ブラシをすすぐように求めた。ついで、対象は、対象の歯肉との接触を最小限にするように注意を払いながら、適用された試験サンプルで歯磨きをした。ついで、対象は、試験サンプルを吐き出し、水で口をすすいだ。ついで、対象は、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価した。対象に、各試験サンプル間で15分間待つように求めた。結果を、表14に示す。 【0176】 表14: 【表14-1】 [図:0001436150000009.jpg] 【表14-2】 [図:0001436150000010.jpg] これらのデータから、3-(1-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-ヒドロキシベンジル)イミダゾリジン-2,4-ジオンと酢酸メチルとの組み合わせは、対象により知覚される風味および清涼効果を増強するのに最も有効である。 【0177】 以下の表15に、3-(1-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-ヒドロキシベンジル)イミダゾリジン-2,4-ジオンと酢酸メチルとの組み合わせを示された比で含有する、3種の試験配合物を記載する。 【0178】 3名の対象の専門家チームに、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価するように求めた。対象に、約1gの試験サンプルを歯ブラシに適用し、ペーストを湿らせ、毛を柔らかくするために、5秒間流水下で歯ブラシをすすぐように求めた。ついで、対象は、対象の歯肉との接触を最小限にするように注意を払いながら、適用された試験サンプルで歯磨きをした。ついで、対象は、試験サンプルを吐き出し、水で口をすすいだ。ついで、対象は、試験配合物におけるミント風味の強度および清涼効果の強度を評価した。対象に、各試験サンプル間で15分間待つように求めた。結果を、表15に示す。 【0179】 表15: 【表15】 [図:0001436150000011.jpg] 【0180】 これらのデータから、組成物中の3-(1-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-ヒドロキシベンジル)イミダゾリジン-2,4-ジオンに対する酢酸メチルの比は、1:0.00001~1:10であることができると示唆される。代替的には、1:0.0001~1:1、代替的には、1:0.005~1:0.1である。」 (H) 「【0181】 実施例4 本明細書で提示された一部の態様に係るマウスウォッシュ組成物の感覚評価 上記実施例1~3で概説された感覚研究を、マウスウォッシュを含むオーラルケア組成物について繰り返すものとする。表16~18に、試験されるであろう幾つかのマウスウォッシュ組成物を記載する。 【0182】 表16: 【表16】 [図:0001436150000012.jpg] 【0183】 表17: 【表17】 [図:0001436150000013.jpg] 【0184】 表18: 【表18】 [図:0001436150000014.jpg] 」 (4) 検討 ア 本件訂正発明の課題は、本件明細書等(特に、摘記(A)及び(C))の全ての記載を踏まえると、 「風味及び清涼爽快感を増強する1種以上の化合物と組み合わされた清涼化合物を含む風味系を含む、オーラルケア組成物を提供」すること であるといえる。 イ 本件明細書等に記載の実施例1~4におけるサンプル(摘記(F)~(H))について、増強剤に関してまとめた表を以下に記載する。 ここで、表中、「表7及び8のサンプル1」、「表9のサンプル1」を、それぞれ、「表7/8 S1」、「表9 S1」等と表記し、本件訂正請求項1に記載の数値要件(増強剤である酢酸メチル又はA成分~E成分の含有量)を「数値要件A(請求項1)」、本件訂正請求項4において更に特定している数値要件(酢酸メチル、並びにA成分~E成分又はα成分~γ成分の増強剤混合物の含有量の総和)を「数値要件B(請求項4)」とし、「風味強度」及び「清涼強度」がそれぞれ向上しているかどうかを示した。また、「基準」の欄には、「増強剤を欠くコントロール配合物」であるサンプル(「基準」)の有無を記載し、対象となる「基準」の「無」のサンプルは、「風味要件」及び「清涼感要件」が向上しているかどうか「不明」と記載している。 そして、本件訂正発明の各要件を満たしている事項を、網掛けで表す。 [図:0001436150000015.jpg] ウ 本件明細書等には、「少なくとも1種の増強剤」及びその選択肢である「酢酸メチル」及び「A~E成分」の含有量及び有効量について、形式的な記載があるものの(摘記(B)、(D)及び(E))、上記表のとおり、具体的に組成物を処方し、「風味強度」及び「清涼強度」の向上の有無を確認できるのは、実施例1及び2のみである。また、実施例3は、「風味強度」及び「清涼強度」についての結果は記載されているが、「増強剤を欠くコントロール配合物」の「サンプル」がないことから、「少なくとも1種の増強剤」の有無により両特性が向上しているかどうかを理解することができる例ではなく、さらに、実施例4は、組成物の処方例にすぎず、「風味強度」及び「清涼強度」自体の評価結果も記載されていない。 エ そこで、実施例1及び2について検討する。 「表7/8 S4(20ppm)」(以下、「少なくとも1種の増強剤」の濃度を丸括弧内に示す。)、「表7/8 S6(50ppm)」、「表7/8 S8(5ppm)」、「表7/8 S10(2ppm)」、「表10 S2(50ppm)」、「表12 S4(1ppm)」、「表12 S5(2ppm)」、「表12 S6(5ppm)」及び「表12 S7(10ppm)」は、「増強剤を欠くコントロール配合物」のサンプルに比べ、「風味強度」及び「清涼強度」が向上しており、かつ、「少なくとも1種の増強剤」が「1~100ppm」の含有量であるから、上記1(1)で述べた「風味要件」、「清涼感要件」及び「数値要件」も満たす例である。 一方、「表9 S2(50ppm)」、「表10 S3(100ppm)」、「表11 S2(2ppm)」及び「表11 S3(20ppm)」は、「数値要件」を満たすものの、「風味強度」が向上しておらず、上記1(1)で述べた「風味要件」及び「清涼感要件」を満たしていない例である。 オ 上記エによると、本件明細書等には、「少なくとも1種の増強剤」が、「1ppm」、「2ppm」、「5ppm」、「10ppm」、「20ppm」又は「50ppm」である場合については、「風味強度」及び「清涼強度」が向上している例が記載されているが、「少なくとも1種の増強剤」が「50ppm」を超え「100ppm」以下で、かつ、「風味強度」及び「清涼強度」が向上している例の記載はなく、むしろ、「少なくとも1種の増強剤」が、「100ppm」では、「風味強度」が向上していない例のみが具体的に記載され、さらに、「少なくとも1種の増強剤」が「2ppm」、「20ppm」及び「50ppm」でも、「風味要件」が向上しない例が存在している。 そうすると、濃度要件アを満たしたとしても、「少なくとも1種の増強剤」が「50ppm」を超え「100ppm」以下の範囲の量で、本件訂正発明の課題である「風味及び清涼爽快感を増強する1種以上の化合物と組み合わされた清涼化合物を含む風味系を含む、オーラルケア組成物を提供」できるとする具体的根拠はなく、また、増強剤濃度が及ぼす効果も一様とはいえないから、そのように提供できるように記載されているとはいえない。 そして、「酢酸メチル」及び「A~E成分」のどの増強剤においても、「風味強度」及び「清涼強度」が向上する「少なくとも1種の増強剤」の濃度が共通するといった技術常識も確認できない。 そうすると、本件訂正発明1は、本件特許の出願時の技術常識に照らして、本件明細書等の発明の詳細な説明の記載や示唆から、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものとはいえない。 (5) 特許権者の主張について ア 特許権者は、令和7年9月30日提出の意見書において、以下の主張をしている。 (主張ア) 以下の表А(本件特許の実施例4に記載の表17に示されるマウスウォッシュ組成物の官能評価結果)に示すことで、酢酸メチルを100ppm含む組成物を使用しても、「風味強度」及び「清涼強度」の両方が向上する。 [図:0001436150000016.jpg] (主張イ) 「少なくとも1種の増強剤の十分な量」の上限値を「100ppm」に訂正した背景は、前回の取消理由通知書で指摘された取消理由を解消するために、当該濃度要件の上限値を限定しただけであり、本件特許に当該上限値(100ppm)で「風味強度」及び「清涼強度」の両方が向上する実施例が存在していなかったとしても、「100ppm」を超える値で、「風味強度」及び「清涼強度」の両方が向上する実施例(例えば、表12)も存在しており、表Aにおいても、酢酸メチルを200ppm、1000ppm含む各サンプル4、5で「風味強度」及び「清涼強度」の両方が向上していることに鑑みれば、本件特許の明細書中に当該上限値(100ppm)の数値的臨界的意義が示されていなくとも、これをもって、直ちに「1~50ppm」以外の範囲は認めらない、ひいては表Aの結果はデータの後出しで認められない等の判断をすべきではない。 イ 検討 主張ア及びイについて、まとめて検討する。 上記(4)エ及びオにおいて説示したとおり、本件明細書等には、「少なくとも1種の増強剤」の含有量が「100ppm」では、「風味強度」が向上していない例のみが具体的に記載され、さらに、「少なくとも1種の増強剤」が「2ppm」、「20ppm」及び「50ppm」でも、「風味要件」が向上しない例が存在し、また、「少なくとも1種の増強剤」である「酢酸メチル」の含有量が「100ppm」を超える例である「表9 S3(500ppm)」、「表9 S4(5000ppm)」、「表10 S4(200ppm)」、「表10 S5(500ppm)」、「表10 S6(1000ppm)」又は「表10 S7(2000ppm)」でも、「風味要件」が向上していない例が記載されている。 また、特許権者は「100ppm」を超えるサンプルとして表12を例示しているが、表12のサンプルはいずれも、「少なくとも1種の増強剤」の含有量が「10ppm」以下であり、「100ppm」を超えるサンプルで、「風味強度」及び「清涼強度」の両方が向上しているのは、「表7/8 S2(500ppm)」と「表7/8 S3(1000ppm)」のみである。 そうすると、「少なくとも1種の増強剤」の濃度が「100ppm」を超える場合では、「風味強度」及び「清涼強度」の両方が向上するとは必ずしもいえないし、さらに、「500ppm」と「1000ppm」の場合と、「50ppm」を超え「100ppm」以下の範囲の場合が同等の関係にあるとする根拠も見受けられない。 そうすると、上記表Aは、本件明細書等に基づいて、当業者が当然に把握し得る程度の結果であって、かつ、事後的に実際に確認しただけの結果とはいえないから、上記表Aは、本件明細書等に記載された事項と同等の事項として採用することはできない。 よって、表Aの追加の官能評価結果は採用できないし、実際に、「酢酸メチル」及び「A~E成分」に該当するどの増強剤であっても、「50ppm」を超え「100ppm」以下の範囲の量の場合に、本件訂正発明の課題を解決できると、本件明細書等の記載から具体的に理解できるとはいえないから、特許権者の主張は採用できない。 (6) 本件訂正発明2、4及び6~10 本件訂正発明については、上記1(5)で説明したとおりであるから、本件訂正請求項2、4及び6~10についても、上記(1)~(5)において本件訂正請求項1について説示した点が該当し、本件訂正発明2、4及び6~10は、本件特許の出願時の技術常識に照らして、本件明細書等の発明の詳細な説明の記載や示唆から、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものとはいえない。 (7) 小括 以上のとおり、本件訂正発明1、2、4及び6~10は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求項1~10に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであり、同法第113条第4号に該当するから、取り消されるべきものである。 また、本件訂正請求項1、2、4及び6~10に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものであり、同法第113条第4号に該当するから、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701123

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