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特許異議申立

2024-701058

ハニカム積層体の製造方法、ハニカム積層体、積層体

審判番号
2024-701058
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-002660
登録番号
7498317
請求日
2024年10月30日
審決日
2026年04月07日
公報発行日
2026年06月26日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社イノアックコーポレーション
  • 【権利者代理人】弁理士法人太陽国際特許事務所
  • 【異議申立人】石川 竜郎
審判長/審判官
  • 審判長 岩谷 一臣
  • 審判官 佐藤 秀之
  • 審判官 長谷川 一郎
分類
P1652.55 -Z (B32B) / P1652.121-Z (B32B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法17条の2第3項特許法29条特許法113条1号特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
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特許第7498317号発明「ハニカム積層体の製造方法、ハニカム積層体、積層体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7498317号の請求項2、3に係る特許を取り消す。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7498317号(以下「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願は、令和元年6月28日を出願日とする特願2019-120769号の一部を、令和5年1月11日に新たな特許出願としたものである。その後の経緯については、次のとおりである。 令和5年 2月 9日 :手続補正書の提出 令和6年 3月11日付け:拒絶理由通知書 同年 5月 8日 :意見書、手続補正書の提出 同年 5月15日付け:特許査定 同年 6月 3日 :設定登録(特許掲載公報 令和6年6月11日発行) 同年10月30日 :特許異議申立人石川竜郎による請求項2、3に係る特許に対する特許異議の申立て 令和7年 7月 1日付け:取消理由通知書 同年 8月26日 :特許権者による意見書の提出 同年12月18日付け:取消理由通知書(決定の予告) なお、上記取消理由通知書(決定の予告)に対して特許権者から意見書の提出はされなかった。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項2、3に係る発明(以下「本件発明2」等という。)は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項2、3に記載された、次のとおりのものである。 「【請求項2】 ハニカムコアの両面に表面材が積層されたハニカム積層体において、 前記表面材は、炭素繊維織物、一方向炭素繊維シートもしくはそれらが複合して積層されたものに多孔質シートが積層された表面材用部材に熱硬化性樹脂が含浸硬化したものからなり、 前記表面材と前記ハニカムコアは、前記多孔質シートと前記ハニカムコアが当接し、 前記多孔質シートと前記ハニカムコアとの当接位置では、前記多孔質シート内に前記ハニカムコアが食い込んで前記多孔質シートから滲出した熱硬化性樹脂が硬化しており、曲げ弾性率が20GPa以上であることを特徴とするハニカム積層体。 【請求項3】 平面形状が三角形、四角形、五角形、八角形、又は円形であるセルを複数有するコアの両面に表面材が積層された積層体において、 前記表面材は、炭素繊維織物、一方向炭素繊維シートもしくはそれらが複合して積層されたものに多孔質シートが積層された表面材用部材に熱硬化性樹脂が含浸硬化したものからなり、 前記表面材と前記コアは、前記多孔質シートと前記コアが当接し、 前記多孔質シートと前記コアとの当接位置では、前記多孔質シート内に前記コアが食い込んで前記多孔質シートから滲出した熱硬化性樹脂が硬化していることを特徴とする積層体。」 第3 取消理由の要旨 令和7年12月18日付けの取消理由通知書(決定の予告)に記載の取消理由は、概略次のとおりである。 (新規事項)令和6年5月8日付け手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 (進歩性)本件特許の請求項2、3に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 甲第1号証:特開2003-205559号公報 甲第2号証:特開2019-69561号公報 以下、甲第1号証、甲第2号証を、それぞれ「甲1」、「甲2」という。 第4 新規事項に係る取消理由について 1 補正事項について 令和6年5月8日提出の手続補正書の補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項3に係る次の補正事項を含むものである。ただし下線は当審で付した。 「平面形状が三角形、四角形、五角形、八角形、又は円形であるセルを複数有するコアの両面に表面材が積層された積層体において、 前記表面材は、炭素繊維織物、一方向炭素繊維シートもしくはそれらが複合して積層されたものに多孔質シートが積層された表面材用部材に熱硬化性樹脂が含浸硬化したものからなり、 前記表面材と前記コアは、前記多孔質シートと前記コアが当接し、 前記多孔質シートと前記コアとの当接位置では、前記多孔質シート内に前記コアが食い込んで前記多孔質シートから滲出した熱硬化性樹脂が硬化していることを特徴とする積層体。」 2 新規事項についての判断 上記補正事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載された「ハニカムコア」との記載を、「セルを複数有するコア」との記載に補正する内容を含むものである。 ここで、「ハニカムコア」は、蜂の巣のような六角形だけではなく、三角などその他の形状であっても、これを隙間なく多数、整然と並べた構造体をいうことがあるところ、「セルを複数有するコア」との記載は、セルが2つのみのものや、ランダムに配置されたものなど多様なものを含むものと解され、当初明細書に記載の「ハニカムコア」とはおおよそ言い難い態様も含むことは明らかである。この点、当初明細書等に、「ハニカムコア」について、「セル15の平面形状が本実施形態のような六角形(ハニカム)からなるものの他に、四角形、三角形、五角形、八角形、フルート形(波形)、円形等からなるものがあり、限定されない。」(【0023】)と記載されているからといって、六角形であるか否かはともかく、「ハニカムコア」として理解し得る構造から外れて、その他様々な態様を含む「セルを複数有するコア」であることを意味するとは解されない。また、当初明細書等には、「ハニカム積層体は、プリプレグの熱硬化性樹脂によってハニカムコアの壁の端部で表面材(プリプレグ)と接着し、ハニカムコアの壁で包囲されるセル内の部分(中空部分)では表面材と接着していないため、ハニカムコアと表面材との接着強度を高めるには、ハニカムコアの壁と表面材との間に形成されるフィレットを良好に形成することが重要である」(【0004】)と記載され、ハニカムコアをそもそもの前提とした課題が提示されているほか、他の記載をみても、一貫として同一の形状のものを隙間なく多数、整然と並べた「ハニカムコア」を前提とし、それ以外の構造のものを含み得る記載ないし示唆はみられない。 そうすると、当該補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとは認められない。 3 小括 以上によれば、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 そうすると、本件特許異議の申立に係る請求項2、3を限度として、特許法第17条の2第3項の規定に違反してされたものであるから同法第113条第1号に該当し、取り消されるべきものである。 第5 進歩性に係る取消理由について 1 引用文献の記載等 (1)甲1 ア 甲1には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。また、「・・・」は省略を示す。以下同様。)。 (ア)「【請求項1】 まず、ハニカムコアの開口端面に規制吸収膜材を配した後、次に、繊維基材に液状をなす熱硬化性の樹脂が付着,含浸,複合された繊維強化プラスチック層を、該規制吸収膜材を介して該ハニカムコアの開口端面に配し、それから、該ハニカムコアと該繊維強化プラスチック層間を該樹脂にて接着せしめると共に、全体を所定形状に成形するが、 これらに際し、該繊維強化プラスチック層中の液状の該樹脂は、該規制吸収膜材にも浸透,吸収されるが、しみ出しが規制されるため該ハニカムコアへの付着が調整され、 もって、該樹脂が全体的に硬化することにより、該繊維強化プラスチック層にて形成された表面板と芯材たる該ハニカムコアとからなる、ハニカムパネルを得ること、を特徴とするハニカムパネルの製造方法。」 (イ)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ハニカムパネルの製造方法に関する。すなわち、芯材たるハニカムコアの両開口端面に、繊維強化プラスチック(FRP)製の表面板が、接着(接着剤によらない接着をも意味する)された、ハニカムパネルの製造方法に関するものである。」 (ウ)「【0012】 ・・・まず、図1の(1)図,(2)図に示したように、予め、芯材となるハニカムコア1の両開口端面に、それぞれ規制吸収膜材8が配され、準備される。ハニカムコア1は、例えば紙製よりなる。規制吸収膜材8は、例えば不織布よりなり、ハニカムコア1の開口端面9に例えば接着剤10にて接着される。 【0013】これらについて更に詳細する。まずハニカムコア1は、図1(1)図,図5の(2)図に示したように、セル壁11にて各々独立空間に区画形成された、中空柱状の多数のセル12の平面的集合体よりなる。セル壁11そしてセル12の断面形状は、図示のように正六角形のものが代表的であるが、更に縦長や横長の六角形,略四角形,略台形,その他各種形状のものも可能である。ハニカムコア1の母材としては、例えば紙が使用されるが、アルミニウム箔,その他の金属箔,各種のプラスチックシート,繊維強化プラスチック(FRP)シート,その他の複合材シート,非金属シートも使用可能である。・・・ 【0014】規制吸収膜材8としては、不織布(糸の形態を経ることなく織られていない布)が代表的であるが、不織布に代え織布(糸を織った布),紙,シート綿,その他も使用可能である。・・・」 (エ)「【0015】 ・・・まず、図1の(3)図に示したように、雌型等の型13上に、繊維強化プラスチック層2が配設される。繊維強化プラスチック層2は、繊維基材4に液状をなす熱硬化性の樹脂3が、付着,含浸,複合されてなる。これらについて更に詳述する。まず、繊維強化プラスチック層2(FRP層)の繊維基材4としては、ガラス繊維が代表的であるが、ケブラー繊維,カーボン繊維,セラミック繊維,金属繊維,その他各種の繊維、つまり縦糸と横糸とが交差すべく織られた各種の繊維も使用可能である。・・・ ・・・ 【0017】 ・・・それから、この製造方法では、図1の(4)図に示したように、この繊維強化プラスチック層2の上に、ステップ1(当審注:〇の中に1。以下、同様の箇所がある。)で準備されていた規制吸収膜材8付きのハニカムコア1が、両開口端面9を上下方向に向けて置かれ,配設される。 ・・・しかる後、図2の(1)図に示したように、この規制吸収膜材8付きのハニカムコア1の上に、更に繊維強化プラスチック層2が配設される。 ・・・ 【0019】 ・・・しかる後、この製造方法では、図2の(2)図に示したように、雌型等の型13上に順に積層された繊維強化プラスチック層2,規制吸収膜材8,ハニカムコア1,規制吸収膜材8,繊維強化プラスチック層2等を、雄型等の型14,ローラー,大気圧,その他を用いて、上側から全体的に加圧すると共に、必要に応じ加熱する。もって、ハニカムコア1と上下の両繊維強化プラスチック層2間が、それぞれ規制吸収膜材8を介し、繊維強化プラスチック層2の樹脂3にて接着せしめられると共に、全体が所定形状に成形される。 【0020】これらについて更に詳述する。図示例では、上下の型13,14間に積層された上下の繊維強化プラスチック層2と芯材たるハニカムコア1とは、ホットプレスにより加圧加熱され、もって介装された規制吸収膜材8を介し、接着される。つまり、上下の繊維強化プラスチック層2の樹脂3が、規制吸収膜材8やハニカムコア1へとしみ出し,浸透,流入すると共に接着剤として機能し、もって硬化により、上下の繊維強化プラスチック層2とハニカムコア1間を、規制吸収膜材8を介して接着する。勿論、繊維強化プラスチック層2と規制吸収膜材8間も、一体的に接着する。これと共に、上下の型13,14に見合った所定形状に、この繊維強化プラスチック層2,ハニカムコア1,規制吸収膜材8が変形され、繊維強化プラスチック層2中や規制吸収膜材8中の樹脂3の硬化に伴い、ハニカムパネル7として固定的に成形される。」 (オ)「【0022】 ・・・この製造方法では、図4の(1)図に示したように、繊維強化プラスチック層2中の液状の樹脂3は、規制吸収膜材8にも浸透し,吸収されるが、規制吸収膜材8にてしみ出しが規制されるので、ハニカムコア1への付着量が調整される。これらについて更に詳述する。上記ステップ4で繊維強化プラスチック層2をハニカムコア1上に置いた際や、上記ステップ5で全体を加圧した際においては、液状の樹脂3が、繊維強化プラスチック層2中から多量にしみ出ようとする。しかしながら、このような繊維強化プラスチック層2に密接された規制吸収膜材8にて、しみ出しが規制され、多量にしみ出ることなく適量に規制される。そして、規制されつつしみ出た液状の樹脂3は、規制吸収膜材8に浸透,吸収されると共に、多量ではなく適量に調整されて、ハニカムコア1へと入り込んで、そのセル壁11に付着する。特に、上側の繊維強化プラスチック層2からは、多量の樹脂3がしみ出ようとするが、規制吸収膜材8にて規制,吸収され、もって多量ではなく少量、つまり後述するフィレットの形成に必要十分な適量だけが、ハニカムコア1のセル壁11に付着するようになる。(本発明に関する図4の(1)図と、この種従来例に関する図4の(3)図とを、比較対照)。このステップ6では、このように、樹脂3のしみ出しが規制吸収膜材8にて規制される。」 (カ)「【0023】 ・・・そして、この製造方法では、繊維強化プラスチック層2中の樹脂3,規制吸収膜材8に吸収された樹脂3,ハニカムコア1にしみ出し,付着した樹脂3等が、次第に硬化する。そして、このように樹脂3が全体的に硬化することにより、図3の(1)図,(2)図,図5の(1)図等に示したように、繊維強化プラスチック層2にて形成された表面板6と、芯材たるハニカムコア1とが接着された、ハニカムパネル7が製造される。 【0024】これらについて更に詳述する。ステップ5においても述べたように、樹脂3が全体的に乾燥,硬化することにより、全体的に接着が行われると共に、全体的な成形が完成する。芯材たるハニカムコア1の両開口端面9に、それぞれ規制吸収膜材8を介して表面板6が接着されると共に、所定形状に成形されたハニカムパネル7が、型13,14から取り出される。そして、このように製造されたハニカムパネル7には、図4の(2)図に示したように、フィレット15が形成されている。すなわち、表面板6に一体的に密接された規制吸収膜材8と、ハニカムコア1のセル壁11上端の開口端面9との当接接着箇所には、更にその周囲に、断面略三角形状のフィレット15が隅肉状に形成される。つまり、しみ出し,浸透,付着した樹脂3が、加圧により、当接接着箇所の両隅を埋め込むようにフィレット15となって硬化し、もって、表面板6とハニカムコア1間の接着強度を強力にサポートする(本発明に関する図4の(2)図と、この種従来例に関する図4の(4)図とを、比較対照)。このステップ7では、このように、ハニカムパネル7が製造される。」 (キ)「【0025】 ・・・このように製造されたハニカムパネル7は、各種形状に成形されており、各種の構造材として用いられる。例えば、図5の(1)図に示したように、フラットな板状に成形される。更に例えば、図5の(3)図,(4)図に示したように、上面16が前方に向け下降傾斜すると共に左右両側面17を備えた中空形状をなし、トラック18のキャブ19のルーフ20上に取付けられて、走行時の後部の荷物室(図示せず)への空気抵抗を軽減する、ウインドデフレクタ21として用いられる。」 (ク)「【図1】 [図:0001436149000001.jpg] 」 「【図2】 [図:0001436149000002.jpg] 」 「【図4】 [図:0001436149000003.jpg] 」 「【図5】 [図:0001436149000004.jpg] 」 イ 上記アより、特に図4(2)の樹脂硬化・接着状態に着目すると、甲1には次の「甲1発明」が記載されているといえる(なお、カッコは理解のために参照個所を記載したものである。)。 「繊維強化プラスチック層、規制吸収膜材、ハニカムコア、規制吸収膜材、繊維強化プラスチック層の順に積層されたハニカムパネルであって(【0019】、【図4】(2))、 規制吸収膜材は、不織布よりなり(【0012】)、 繊維強化プラスチック層は、ガラス繊維、ケブラー繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、金属繊維、その他各種の繊維からなり、縦糸と横糸とが交差すべく織られた繊維基材に、付着、含浸により複合される樹脂として、液状をなす不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用され(【0015】)、 上下の繊維強化プラスチック層の樹脂が、規制吸収膜材やハニカムコアへとしみ出し、浸透、流入すると共に接着剤として機能し、硬化により、上下の繊維強化プラスチック層とハニカムコア間を、規制吸収膜材を介して接着するものであって(【0020】)、 規制吸収膜材とハニカムコアのセル壁上端の開口端面との当接接着箇所には、更にその周囲に、断面略三角形状のフィレットが隅肉状に形成されており、これは、しみ出し、浸透、付着した樹脂が、加圧により、当接接着箇所の両隅を埋め込むようにフィレットとなって硬化したものであり、表面板とハニカムコア間の接着強度をサポートするものである(【0024】)、 ハニカムパネル。」 (2)甲2 ア 甲2には、次の事項が記載されている。 「【0064】 また、ハニカム構造体2、3について、コア材とするサンドイッチパネル(長さ330mm、幅70mm、厚さ10mm)を製造した。サンドイッチパネルのスキン材(本願の表面部材に相当する)には、繊維が1方向に揃っているCFRP板(厚さ1mm)を使用した。なお、スキン材とハニカム構造体2、3の接着には、アクリル系接着剤(セメダイン社製)を使用した 【0065】 このサンドイッチパネルについて、4点曲げ試験を行った(図5(B)参照)。4点曲げ試験は、下圧子間距離300mm、上圧子間距離100mmとし、試験速度1mm/minとした。負荷中の荷重と変位を測定するとともに、試験片の上面および下面中央に貼付けたひずみゲージより曲げひずみを測定した。 【0066】 結果を表3に示すが、曲げ弾性率と曲げ強度は積層構成によってあまり変化しない。 【表3】 [図:0001436149000005.jpg] 」 「【産業上の利用可能性】 【0071】 本発明のハニカム構造体は、飛行機や自動車などの輸送機器、建築材等の構造材料に適している。」 イ 上記アの記載事項より、ハニカム構造体について次のことが理解される。 「飛行機や自動車などの輸送機器、建築材等の構造材料に用いられるハニカム構造体において、曲げ弾性率が50GPaを超えるものが存在すること。」 2 本件発明2について (1)対比 ア 本件発明2と甲1発明を対比する。 (ア)甲1発明の「ハニカムコア」は本件発明2の「ハニカムコア」に相当する。 (イ)甲1発明の「不織布よりな」る「規制吸収膜材」は、本件明細書に「多孔質シート25は、発泡体または不織布からなり」(【0027】)と記載されていることも踏まえると、本件発明2の「多孔質シート」に相当する。 (ウ)甲1発明の「繊維強化プラスチック層」は、「ガラス繊維、ケブラー繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、金属繊維、その他各種の繊維からなり、縦糸と横糸とが交差すべく織られた繊維基材」を用いたものである。そうすると、当該「繊維強化プラスチック層」は、本件発明2の「炭素繊維織物、一方向炭素繊維シートもしくはそれらが複合して積層されたもの」と、「強化繊維を用いたもの」という限りで一致する。 また、甲1発明の「繊維強化プラスチック層」は、「液状をなす不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用され」たものであるところ、「上下の繊維強化プラスチック層の樹脂が、規制吸収膜材やハニカムコアへとしみ出し、浸透、流入すると共に接着剤として機能し、硬化」するものである。そうすると、当該「繊維強化プラスチック層」及び「規制吸収膜材」は、その構造からみて、本件発明2の「表面材」に相当するとともに、同「前記表面材は、炭素繊維織物、一方向炭素繊維シートもしくはそれらが複合して積層されたものに多孔質シートが積層された表面材用部材に熱硬化性樹脂が含浸硬化したものからなり」との関係において、「前記表面材は、強化繊維を用いたものに多孔質シートが積層された表面材用部材に熱硬化性樹脂が含浸硬化したものからなり」という限りで一致する。 (エ)甲1発明の「上下の繊維強化プラスチック層とハニカムコア間を、規制吸収膜材を介して接着する」ことは、本件発明2の「前記表面材と前記ハニカムコアは、前記多孔質シートと前記ハニカムコアが当接」することに相当する。 (オ)甲1発明の「繊維強化プラスチック層、規制吸収膜材、ハニカムコア、規制吸収膜材、繊維強化プラスチック層の順に積層されたハニカムパネル」は、その構造からみて、本件発明2の「ハニカムコアの両面に表面材が積層されたハニカム積層体」に相当する。 イ そうすると、本件発明2と甲1発明とは、 「ハニカムコアの両面に表面材が積層されたハニカム積層体において、 前記表面材は、強化繊維を用いたものに多孔質シートが積層された表面材用部材に熱硬化性樹脂が含浸硬化したものからなり、 前記表面材と前記ハニカムコアは、前記多孔質シートと前記ハニカムコアが当接した、 ハニカム積層体。」で一致し、次の相違点で相違する。 <相違点1> 強化繊維に関し、本件発明2が、「炭素繊維織物、一方向炭素繊維シートもしくはそれらが複合して積層されたもの」であるのに対し、甲1発明は、「ガラス繊維、ケブラー繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、金属繊維、その他各種の繊維からなり、縦糸と横糸とが交差すべく織られた繊維基材」である点。 <相違点2> 本件発明2が、「前記多孔質シートと前記ハニカムコアとの当接位置では、前記多孔質シート内に前記ハニカムコアが食い込んで前記多孔質シートから滲出した熱硬化性樹脂が硬化しており、曲げ弾性率が20GPa以上である」のに対し、甲1発明は、「規制吸収膜材と、ハニカムコアのセル壁上端の開口端面との当接接着箇所には、更にその周囲に、断面略三角形状のフィレットが隅肉状に形成されており、これは、しみ出し、浸透、付着した樹脂が、加圧により、当接接着箇所の両隅を埋め込むようにフィレットとなって硬化したものであり、表面板とハニカムコア間の接着強度をサポートするものである」点。 (2)判断 ア 相違点1について エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた繊維強化プラスチック層の繊維基材の繊維として、甲1発明において、「カーボン繊維」、すなわち炭素繊維が選択肢の一つとされている。そうすると、これを選択し、「炭素繊維織物、一方向炭素繊維シートもしくはそれらが複合して積層されたもの」とすることは、その択一的な記載も踏まえれば、当業者が容易に想到し得たものである。 イ 相違点2について (ア)甲1発明は、「上下の繊維強化プラスチック層の樹脂が、規制吸収膜材やハニカムコアへとしみ出し、浸透、流入すると共に接着剤として機能し、硬化により、上下の繊維強化プラスチック層とハニカムコア間を、規制吸収膜材を介して接着するものであって」、「しみ出し、浸透、付着した樹脂が、加圧により、当接接着箇所の両隅を埋め込むようにフィレットとなって硬化」するものである。すなわち、加圧により、規制吸収膜材にハニカムコアが食い込むと共に、そこから樹脂がしみ出し浸透、付着した樹脂がフィレットとなって硬化したものであると理解できる。 してみると、相違点2に係る「前記多孔質シートと前記ハニカムコアとの当接位置では、前記多孔質シート内に前記ハニカムコアが食い込んで前記多孔質シートから滲出した熱硬化性樹脂が硬化しており、」という構成は、その構造において実質的な相違点ではない。 (イ)そして、甲1発明におけるハニカム積層体の曲げ弾性率は、当業者が適宜設定すべき事項であるところ、甲2に記載されているように(上記1(2)イ)、ハニカム構造体において曲げ弾性率が50GPaを超えるものが存在することからすれば、「曲げ弾性率が20GPa以上」という事項は、当業者が適宜なし得たものであるし、技術的に見て当該曲げ弾性率が達成し得ないという事情も見られない。 (ウ)よって、本件発明2の上記相違点2に係る構成を備えることは、甲1発明及び甲2の記載事項から、当業者が容易に想到し得たものである。 ウ 効果について 本件発明2の奏する効果は、甲1発明及び甲2に記載された事項から想定される範囲を超えるものではない。 エ 特許権者の主張について (ア)特許権者は、甲1発明について、ハニカムコアが紙製であること、及び、繊維強化プラスチック層がガラス繊維を繊維基材とすることを認定すべき旨(意見書の「(3-2-3)引用発明の認定誤り」の項)主張する。 しかし、甲1には、ハニカムコアについて「例えば紙が使用されるが、アルミニウム箔,その他の金属箔,各種のプラスチックシート,繊維強化プラスチック(FRP)シート,その他の複合材シート,非金属シートも使用可能である。」(【0013】)と、繊維強化プラスチック層の繊維基材について「ガラス繊維が代表的であるが、ケブラー繊維,カーボン繊維,セラミック繊維,金属繊維,その他各種の繊維、つまり縦糸と横糸とが交差すべく織られた各種の繊維も使用可能である。」(【0015】)としており、紙やガラス繊維は例示に過ぎず、また、特段紙やガラス繊維以外は採用し得ないといった事情もない。よって、特許権者が主張するように限定する理由はなく、特許権者の上記主張は採用できない。 (イ)特許権者は、「甲第1号証には、曲げ弾性率について記載も示唆もないのであるから、当業者がこれを設定すべき根拠を見いだせない。」、「甲1発明はハニカムコアの材料が紙であり、かつ、甲第1号証には、甲1発明をトラックのキャブ上に取付けられるウインドデフレクタとして使用することが記載され、さらに、甲1発明が、重量比強度に優れ、軽量であると共に高い剛性や強度を備えてなることが記載されているのだから、軽量であって既に高い剛性や強度を備えてなる、ウインドデフレクタとして使用予定の甲1発明の紙製のハニカムコアを、重量の増加が予測され、過剰な剛性・強度を備えるCFRPハニカムコアに置換する合理的な根拠はない。」旨(意見書の「(3-2-5)進歩性の判断の誤り」の項)主張する。 しかし、甲1発明のハニカムパネルは、「各種形状に成形されており、各種の構造材として用いられる。」(甲1の【0025】)ものであり、ウインドデフレクタはあくまでも例示に過ぎず、その曲げ弾性率は、構造材として用いる部位や形態等に応じて当業者が適宜設定すべき事項であることは言うまでもない。 また、仮にウインドデフレクタに用いるとしても、一定以上の曲げ弾性率を確保する必要があることは当然である。 よって、特許権者の上記主張は採用できない。 オ 以上より、本件発明2は、甲1発明及び甲2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 本件発明3について (1)対比 ア 本件発明3と甲1発明を対比する。 (ア)甲1発明の「ハニカムコア」は、技術常識に鑑みれば複数のセルを有するものであるから、本件発明3の「セルを複数有するコア」にひとまず相当する。 (イ)甲1発明の「不織布よりな」る「規制吸収膜材」は、上記2(1)ア(イ)と同様に、本件発明3の「多孔質シート」に相当する。 また、上記2(1)ア(ウ)と同様に、甲1発明の「繊維強化プラスチック層」及び「規制吸収膜材」は、本件発明3の「表面材」に相当するとともに、同「前記表面材は、炭素繊維織物、一方向炭素繊維シートもしくはそれらが複合して積層されたものに多孔質シートが積層された表面材用部材に熱硬化性樹脂が含浸硬化したものからなり」との関係において、「前記表面材は、強化繊維を用いたものに多孔質シートが積層された表面材用部材に熱硬化性樹脂が含浸硬化したものからなり」という限りで一致する。 (ウ)甲1発明の「上下の繊維強化プラスチック層とハニカムコア間を、規制吸収膜材を介して接着する」ことは、本件発明3の「前記表面材と前記コアは、前記多孔質シートと前記コアが当接」することに相当する。 (エ)甲1発明の「繊維強化プラスチック層、規制吸収膜材、ハニカムコア、規制吸収膜材、繊維強化プラスチック層の順に積層されて」いる構造は、本件発明3の「コアの両面に表面材が積層された」構造に相当し、甲1発明の「繊維強化プラスチック層、規制吸収膜材、ハニカムコア、規制吸収膜材、繊維強化プラスチック層の順に積層されたハニカムパネル」は、本件発明3の「コアの両面に表面材が積層された積層体」に相当する。 イ そうすると、本件発明3と甲1発明とは、 「セルを複数有するコアの両面に表面材が積層された積層体において、 前記表面材は、強化繊維を用いたものに多孔質シートが積層された表面材用部材に熱硬化性樹脂が含浸硬化したものからなり、 前記表面材と前記コアは、前記多孔質シートと前記ハニカムコアが当接した、 積層体。」で一致し、次の相違点で相違する。 <相違点1’> 強化繊維に関し、本件発明3が、「炭素繊維織物、一方向炭素繊維シートもしくはそれらが複合して積層されたもの」であるのに対し、甲1発明は、「ガラス繊維、ケブラー繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、金属繊維、その他各種の繊維からなり、縦糸と横糸とが交差すべく織られた繊維基材」である点。 <相違点2’> 本件発明3が、「前記多孔質シートと前記コアとの当接位置では、前記多孔質シート内に前記コアが食い込んで前記多孔質シートから滲出した熱硬化性樹脂が硬化している」のに対し、甲1発明は、「規制吸収膜材と、ハニカムコアのセル壁上端の開口端面との当接接着箇所には、更にその周囲に、断面略三角形状のフレットが隅肉状に形成されており、これは、しみ出し、浸透、付着した樹脂が、加圧により、当接接着箇所の両隅を埋め込むようにフィレットとなって硬化したものであり、表面板とハニカムコア間の接着強度をサポートするものである」点。 <相違点3’> セルを複数有するコアに関し、本件発明3では、「平面形状が三角形、四角形、五角形、八角形、又は円形であるセルを複数有するコアであるのに対して、甲1発明は「ハニカムコア」である点。 (2)判断 ア 上記相違点1’については、上記2(2)アの理由と同様に、当業者が容易に想到し得たものである。 イ 上記相違点2’については、上記2(2)イの理由から、甲1発明は、規制吸収膜材内にハニカムコアが食い込んで規制吸収膜材から滲出した熱硬化性樹脂が硬化した構成を備えるものといえ、相違点2’は実質的な相違点ではない。 ウ 上記相違点3’について検討する。 甲1(【0013】)には、「セル壁11そしてセル12の断面形状は、図示のように正六角形のものが代表的であるが、更に縦長や横長の六角形,略四角形,略台形,その他各種形状のものも可能である。」と記載されており、甲1発明のハニカムコアにおけるセルの形状を、「平面形状が三角形、四角形、五角形、八角形、又は円形」とすることは適宜なし得たものである。 エ 効果について 本件発明3の奏する効果は、甲1発明及び甲1に記載された事項から想定される範囲を超えるものではない。 オ 以上より、本件発明3は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5 むすび 以上のとおり、本件特許は、請求項3の記載の補正に起因し、申立に係る請求項2、3を限度として、特許法第17条の2第3項の規定に違反してされたものであるから同法第113条第1号に該当し、また、請求項2、3に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701058

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