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特許異議申立

2023-701360

照明器具

審判番号
2023-701360
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-129003
登録番号
7296804
請求日
2023年12月22日
審決日
2024年03月19日
公報発行日
2024年04月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】三菱電機株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
  • 【権利者】三菱電機照明株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
  • 【異議申立人】矢野 直樹
審判長/審判官
  • 審判長 藤井 昇
  • 審判官 北中 忠
  • 審判官 中村 則夫
分類
P1651.121-Y (F21V)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7296804号発明「照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7296804号の請求項1~7に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7296804号の請求項1~7に係る特許(以下、それぞれ「本件特許1」等という。)についての出願は、令和1年7月11日に出願され、令和5年6月15日にその特許権の設定登録がされ、同年6月23日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許1~7に対し、同年12月22日に特許異議申立人矢野直樹(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 第2 本件発明 特許第7296804号の請求項1~7に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 光源及び前記光源を覆う光学制御部材を有する光源部と、 前記光源部が固定され、前記光学制御部材を露出させる出射口が形成されたカバー部と、 前記光源部と前記カバー部との間に挟まれ、前記出射口の周囲に配置されるパッキンと、を備え、 前記パッキンは、 環状に形成され、 前記パッキンの少なくとも内周部は、 前記カバー部側の面が平坦に形成され、前記光源部側の面が内周側の先端に向かうに従い前記カバー部側に傾斜した傾斜面を有し、厚さが外周側から内周側に向かうに従い薄くなるように形成されている、照明器具。 【請求項2】 前記光学制御部材は、 前記光源から射出される光の光軸方向に突出する光学制御部と、 前記光軸に対し外側に向かって張り出して形成される鍔部と、を備え、 前記パッキンの前記内周部は、 前記鍔部と前記カバー部との間に挟まれ圧縮される、請求項1に記載の照明器具。 【請求項3】 前記光源部は、 前記光源及び前記光学制御部材が固定されるホルダを備え、 前記パッキンの外周部は、 前記ホルダと前記カバー部との間に挟まれ圧縮される、請求項1又は2に記載の照明器具。 【請求項4】 光源及び前記光源を覆う光学制御部材を有する光源部と、 前記光源部が固定され、前記光学制御部材を露出させる出射口が形成されたカバー部と、 前記光源部と前記カバー部との間に挟まれ、前記出射口の周囲に配置されるパッキンと、を備え、 前記パッキンは、 環状に形成され、 前記パッキンの少なくとも内周部の厚さは、 外周側から内周側に向かうに従い薄くなるように形成され、 前記光源部は、 前記光源及び前記光学制御部材が固定されるホルダを備え、 前記パッキンの外周部は、 前記ホルダと前記カバー部との間に挟まれ圧縮される、照明器具。 【請求項5】 前記カバー部は、 前記出射口の周囲に段差が形成され、 前記パッキンは、 前記段差の内側に配置される、請求項1~4の何れか1項に記載の照明器具。 【請求項6】 前記カバー部は、 有底筒形状に形成され、底面に前記出射口が設けられ、 前記光源部は、 前記カバー部の内部の底面に固定される、請求項1~5の何れか1項に記載の照明器具。 【請求項7】 光源及び前記光源を覆う光学制御部材を有する光源部と、 前記光源部が固定され、前記光学制御部材を露出させる出射口が形成されたカバー部と、 前記光源部と前記カバー部との間に挟まれ、前記出射口の周囲に配置されるパッキンと、を備え、 前記パッキンは、 環状に形成され、 前記パッキンの少なくとも内周部の厚さは、 外周側から内周側に向かうに従い薄くなるように形成され、 前記カバー部は、 有底筒形状に形成され、底面に前記出射口が設けられ、 前記光源部は、 前記カバー部の内部の底面に固定される、照明器具。」 第3 特許異議申立理由の概要 申立人は、主たる証拠として以下の甲第1号証並びに従たる証拠として以下の甲2号証、甲3号証及び甲4号証を提出し、本件特許1~7は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、本件特許1~7を取り消すべきものである旨主張する。 甲第1号証:特開2018-124519号公報 甲第2号証:特開2018-156954号公報 甲第3号証:特開2016-201363号公報 甲第4号証:特開2019-91537号公報 (以下、それぞれ「甲1」、「甲2」、「甲3」、「甲4」という。) 第4 甲1~甲4の記載事項及び甲1に記載された発明 1 甲1 (1) 記載事項 甲1には、図面とともに次の事項が記載されている(なお、下線は当審で付与した。以下同様。)。 ア 「【0033】 非常用照明装置3は、図6及び図7に示すように、非常用光源ユニット4と、非常用光源ユニット4を支持する支持部材7と、非常用光源ユニット4を点灯する制御装置6と、非常用光源ユニット4、支持部材7及び制御装置6を収容する筐体5とを備えている。非常用照明装置3は、更に、第1ガスケット53、第2ガスケット54及び第3ガスケット55を備えている。」 イ 「【0034】 非常用光源ユニット4は、図8及び図9に示すように、LEDモジュール40と、ホルダ41と、一対の端子板42と、放熱シート43と、光学レンズ44とを有している。LEDモジュール40は、矩形平板状の実装基板400の中央に少なくとも1個のLEDチップが実装されて構成されている。LEDチップは、例えば、青色光を放射する青色発光ダイオードであることが好ましい。また、LEDチップを含む実装基板400の実装面(下面)は、LEDチップから放射される青色光を波長変換する蛍光物質が混入された封止樹脂401で封止されている(図9参照)。さらに、実装基板400は、その対角の位置にある一対の角部の下面にそれぞれ電極を有している。一方の電極は、LEDチップのカソードと電気的に接続され、他方の電極は、LEDチップのアノードと電気的に接続されている。さらに、これら2つの電極は、一対の端子板42のうちの対応する端子板42と電気的に接続されている。」 ウ 「【0037】 ホルダ41は、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂材料により、上下方向から見て、おおよそ菱形に形成されることが好ましい(図9参照)。ホルダ41は、LEDモジュール40の発光面(下面)に光学レンズ44のレンズ本体440を重ねるようにして、LEDモジュール40と光学レンズ44を保持している。また、ホルダ41は、端子板保持部410を有している。端子板保持部410は、上向きに伸びた角筒状に形成され、一対の端子板42を内部に収容して保持している(図8及び図9参照)。」 エ 「【0053】 非常用光源ユニット4は、支持部材7に設けられている2つのねじ孔74に対して、2本の取付ねじ45でホルダ41がねじ止めされることによって支持部材7の下面に取り付けられている(図6及び図9参照)。ホルダ41の端子板保持部410は、支持部材7の挿通溝71に挿通されて支持部材7の上面側に突出する(図7参照)。そして、一対の端子板42のうちの対応する端子板42と、出力コネクタ602の一対のコンタクト6020のうちの対応するコンタクト6020とが中継用の電線を介して電気的に接続される。さらに、LEDモジュール40は、放熱シート43を介して支持部材7と熱的に結合される。」 オ 「【0054】 筐体5は、図7に示すように、第1筐体51と第2筐体52を有している。第1筐体51及び第2筐体52は、それぞれアルミダイカストで形成されている。」 カ 「【0065】 第2ガスケット54は、シリコーンゴムなどの弾性材料により、中央に楕円形状の開口部540を有する枠状に形成されている(図6参照)。ただし、第2ガスケット54は、光を透過しないように黒色に着色されることが好ましい。また、第2ガスケット54の上面における開口部540の縁から、環状の周壁541が全周に渡って上向きに突出している(図7参照)。さらに、周壁541の上面には、上下方向に平行な断面の形状が三角形状である2つのリブが、径方向に沿って並ぶにように突出している。また、第2ガスケット54は、4つの嵌合孔542と、2つの引掛片543とを有している。4つの嵌合孔542は、開口部540を囲むように配置されて第2ガスケット54を厚み方向(上下方向)に貫通している。また、2つの引掛片543は、鉤形に形成され、かつ、第2ガスケット54の右後端及び左前端から上向きに突出している。」 キ 「【0076】 この光学レンズ44においては、LEDモジュール40から放射された光の一部が出射面443の第1領域4Aに向かって進行する場合(図1中の2点鎖線で示す光路A1参照)、第1領域4Aより先に反射面444(第1内側面446A)に到達する。凹部446が中空であることから(図1の空気層448参照)、反射面444に対する光の入射角が臨界角以上であれば、空気の屈折率よりも屈折率の高いガラス製のレンズ本体440内を進行する光は、反射面444で全反射される。言い換えると、少なくとも反射面444に対する入射角が臨界角以上である光については、光軸X1と交差する第2領域4Bに向けて反射させることができる。」 ク 「【0084】 (C)第1筐体51への非常用光源ユニット4の取付 作業者は、非常用光源ユニット4のレンズ本体440を第2ガスケット54の開口部540から第1筐体51の窓501に挿入し、かつ、第1筐体51の複数のリブ517を支持部材7の複数の嵌合溝72のうちの対応する嵌合溝72に嵌合させる(図10参照)。そして、作業者は、支持部材7の3つのねじ挿通孔75のそれぞれにねじを挿入し、各ねじを第1筐体51の3つの第1ボス515のねじ穴のうちの対応するねじ穴にねじ込むことにより、支持部材7を第1筐体51にねじ止めする。このとき、第2ガスケット54の周壁541の上面に設けられている2つのリブが、光学レンズ44の外鍔部441と外周壁510における窓501の周縁部分とに押し潰されるようにして変形する。その結果、第1筐体51の窓501と光学レンズ44の外鍔部441とが第2ガスケット54によってシールされるので、ホルダ41と第1筐体51の窓501の隙間が塞がれて窓501から第1筐体51内への浸水が抑制される。なお、第3ガスケット55の第1操作部551、第2操作部552及び透過部553は、支持部材7の挿通孔70に対向している(図10参照)。」 ケ 「【0092】 非常用照明装置3の筐体5は、上述のように第1ガスケット53によって第1筐体51と第2筐体52がシールされることで防水機能を有するように構成されている。さらに、非常用照明装置3は、非常用光源ユニット4から放射される光を取り出すための窓501が第1筐体51に設けられ、その窓501をシールする第2ガスケット54を有している。そのため、非常用照明装置3は、防水機能を有する筐体5から非常用光源ユニット4のLEDモジュール40が放射する光を取り出すための構造を容易に設けることが可能である。」 コ 図1は以下のとおりである。 「 [図:0001409180000001.jpg] 」 サ 図6は以下のとおりである。 「 [図:0001409180000002.jpg] 」 シ 図8は以下のとおりである。 「 [図:0001409180000003.jpg] 」 (2) 認定事項 上記(1)を踏まえると、甲1について次のことがいえる。 ア 上記(1)イの下線部の記載事項及び上記(1)コの図示内容から、LEDチップを実装するLEDモジュール40及び前記LEDモジュール40を覆う光学レンズ44を有する非常用光源ユニット4が認められる。 イ 上記(1)キの下線部の記載事項及びコの図示内容から、光学レンズ44は、LEDモジュール40から放射された光の光路A1を制御することが認められる。 ウ 上記(1)エ及びクの下線部の記載事項から、非常用光電ユニット4は支持部材7に固定され、支持部材7は第1筐体51に固定されていることが理解でき、すなわち、非常用光電ユニット4は第1筐体51に固定されているといえる。そして、上記(1)コの図示内容も踏まえると、非常用光源ユニット4が固定され、光学レンズ44を露出させる窓501が形成された第1筐体51が認められる。 エ 上記(1)ケの下線部の記載事項から、窓501から光が取り出されること、すなわち、窓501から光線が出射されることが認められる。 オ 上記(1)ア及びオの下線部の記載事項並びに上記(1)シの図示内容から、筐体5の第1筐体51は、支持部材7及び制御装置6を収容することが認められる。 カ 上記(1)クの下線部の記載事項及び上記(1)サの図示内容から、非常用光源ユニット4と第1筐体51との間に押し潰され、窓501の周囲に配置される第2ガスケット54が認められる。 キ 上記(1)カの下線部の記載事項から、第2ガスケット54が開口部540を有する枠状に形成されていることが認められる。 ク 上記(1)コ及びシの図示内容から、第2ガスケット54の少なくとも周壁541の第1筐体51側の面が平坦に形成されていることが看取できる。 ケ 上記(1)ウの下線部の記載事項から、非常用光源ユニット4は、LEDモジュール40及び光学レンズ44が保持されるホルダ41を備えることが認められる。 コ 上記(1)コ及びサの図示内容から、第1筐体51の底面に窓501が設けられていることが看取できる。 サ 上記(1)エ及びクの下線部の記載事項並びに上記(1)コの図示内容から、非常用光源ユニット4は、第1筐体51の内部の底面に固定されることが認められる。 (3) 甲1に記載された発明 上記(1)及び(2)より、本件発明1に倣って整理すると、甲1には次の発明(以下、それぞれ「甲1発明1」、「甲1発明2」、「甲1発明3」という。)が記載されているものと認められる。 ア 甲1発明1 「LEDチップを実装するLEDモジュール40及び前記LEDモジュール40を覆う光学レンズ44を有する非常用光源ユニット4と、 前記非常用光源ユニット4が固定され、前記光学レンズ44を露出させる窓501が形成された第1筐体51と、 前記非常用光源ユニット4と前記第1筐体51との間に押し潰され、前記窓501の周囲に配置される第2ガスケット54と、を備え、 前記第2ガスケット54は、 開口部540を有する枠状に形成され、 前記第2ガスケット54の少なくとも周壁541は、 前記第1筐体51側の面が平坦に形成されている、照明器具1。」 イ 甲1発明2 「LEDチップを実装するLEDモジュール40及び前記LEDモジュール40を覆う光学レンズ44を有する非常用光源ユニット4と、 前記非常用光源ユニット4が固定され、前記光学レンズ44を露出させる窓501が形成された第1筐体51と、 前記非常用光源ユニット4と前記第1筐体51との間に押し潰され、前記窓501の周囲に配置される第2ガスケット54と、を備え、 前記第2ガスケット54は、 開口部540を有する枠状に形成され、 前記非常用光源ユニット4は、 前記LEDモジュール40及び前記光学レンズ44が保持されるホルダ41を備える、照明器具1。」 ウ 甲1発明3 「LEDチップを実装するLEDモジュール40及び前記LEDモジュール40を覆う光学レンズ44を有する非常用光源ユニット4と、 前記非常用光源ユニット4が固定され、前記光学レンズ44を露出させる窓501が形成された第1筐体51と、 前記非常用光源ユニット4と前記第1筐体51との間に押し潰され、前記窓501の周囲に配置される第2ガスケット54と、を備え、 前記第2ガスケット54は、 開口部540を有する枠状に形成され、 前記第1筐体51は、 底面に前記窓501が設けられ、 前記非常用光源ユニット4は、 前記第1筐体51の内部の底面に固定される、照明器具1。」 2 甲2 甲2には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0035】 図8は、パッキン18の図である。 パッキン18は、環状の弾性ゴムでできている。弾性ゴムは、例えば、シリコンゴムが用いられる。パッキン18の半径方向の断面はU字形状をしており、内側に光透過性カバー部19の外周縁を挿入する。光透過性カバー部19を装着したパッキン18の外径は、内筒部173の内径以下であり、ほぼ、同じ径にするのが望ましい。 【0036】 ヒートシンク12が吸気カバー部17の中リング部174に固定された場合、パッキン18は、内鍔部172と光透過性カバー部19とに挟まれて弾性変形し、また、リフレクタ15と光透過性カバー部19とに挟まれて、光透過性カバー部19を内鍔部172とリフレクタ15との間に固定する。パッキン18は弾性変形して固定されるので埃の進入を防ぐことができる。」 イ 図8(d)は以下のとおりである。 「 [図:0001409180000004.jpg] 」 3 甲3 甲3には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0112】 ボディ30Aは、それぞれほぼ円筒状に形成された内筒部31、外筒部32、及びこれらの間に放射状に多数配設された放熱フィン33を有していて、ソケット10Aの下端に取り付けられている。内筒部31の内周面(ボディ30Aの内周面には、めねじ部62aが形成されている。また、内筒部31の下端(ボディ30Aの下端)には、第1挟持部62dが設けられている。第1挟持部62dは、内筒部31の下端の全周にわたって内側に突出するように形成されている。」 イ 「【0115】 コーン80は、下方に向けて広がった円錐台状に形成されている。コーン80は、環状のパッキン81を介して、内筒部31の下端(ボディ30Aの下端)に取り付けられている。 【0116】 オプションOPとしては、図14に示す例では、ほぼ円板状のレンズを使用している。」 ウ 図14(A)は以下のとおりである。 「 [図:0001409180000005.jpg] 」 エ 図14(B)は以下のとおりである。 「 [図:0001409180000006.jpg] 」 4 甲4 甲4には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0033】 カバー50は、具体的には、サイドカバー部51と、フロントカバー部52とを含む。サイドカバー部51は、筐体30の側壁部31の外周面に沿う平たい略円筒状である。サイドカバー部51は、側壁部31の外周面を覆う。 【0034】 フロントカバー部52は、筐体30の取付板20と反対側に位置する、円環板状の部分である。平面視において、フロントカバー部52は、透光カバー60を囲む縁状である。」 イ 図4は以下のとおりである。 「 [図:0001409180000007.jpg] 」 第5 当審の判断 1 本件発明1の進歩性について (1) 対比 本件発明1と甲1発明1とを対比すると、次のことがいえる。 ア 後者の「LEDチップを実装するLEDモジュール40」は前者の「光源」に相当し、以下同様に、「覆う」ことは「覆う」ことに、「非常用光源ユニット4」は「光源部」に、それぞれ相当する。 イ 後者の「光学レンズ44」は、LEDモジュール40から放射された光の光路A1を制御することから、前者の「光学制御部材」に相当する。 ウ 後者の「固定」は前者の「固定」に相当し、後者の「露出」は前者の「露出」に相当する。 エ 後者の「窓501」は、そこから光線が出射されることから、前者の「出射口」に相当する。 オ 後者の「第1筐体」は、支持部材7及び制御装置6を収容することから、前者の「カバー部」に相当する。 カ 後者の「押し潰され」ることは前者の「挟まれ」ることに相当し、以下同様に、「配置」は「配置」に、「第2ガスケット54」は「パッキン」に、それぞれ相当する。 キ 後者の「開口部540を有する枠状」は、記載事項サ(図6)を参照すると、前者の「環状」に相当し、以下同様に、「周壁541」は「内周部」に、「平坦」は「平坦」に、「照明器具1」は「照明器具」に、それぞれ相当する。 そして、上記の相当関係を踏まえると以下のことがいえる。 ア 後者の「LEDチップを実装するLEDモジュール40及び前記LEDモジュール40を覆う光学レンズ44を有する非常用光源ユニット4」は、前者の「光源及び前記光源を覆う光学制御部材を有する光源部」に相当する。 イ 後者の「前記非常用光源ユニット4が固定され、前記光学レンズ44を露出させる窓501が形成された第1筐体51」は、前者の「前記光源部が固定され、前記光学制御部材を露出させる出射口が形成されたカバー部」に相当する。 ウ 後者の「前記非常用光源ユニット4と前記第1筐体51との間に押し潰され、前記窓501の周囲に配置される第2ガスケット54」は、前者の「前記光源部と前記カバー部との間に挟まれ、前記出射口の周囲に配置されるパッキン」に相当する。 エ 後者の「前記第2ガスケット54は、開口部540を有する枠状に形成され」ることは、前者の「前記パッキンは、環状に形成され」ることに相当する。 オ 後者の「前記第2ガスケット54の少なくとも周壁541は、前記第1筐体51側の面が平坦に形成され」ることは、前者の「前記パッキンの少なくとも内周部は、前記カバー部側の面が平坦に形成され」ることに相当する。 以上のことより、本件発明1と甲1発明1との一致点、相違点は次のとおりと認める。 〔一致点1〕 「光源及び前記光源を覆う光学制御部材を有する光源部と、 前記光源部が固定され、前記光学制御部材を露出させる出射口が形成されたカバー部と、 前記光源部と前記カバー部との間に挟まれ、前記出射口の周囲に配置されるパッキンと、を備え、 前記パッキンは、 環状に形成され、 前記パッキンの少なくとも内周部は、 前記カバー部側の面が平坦に形成されている、照明器具。」 〔相違点1〕 本件発明1は、「前記パッキンの少なくとも内周部」について、「前記光源部側の面が内周側の先端に向かうに従い前記カバー部側に傾斜した傾斜面を有し」ているのに対して、甲1発明1の第2ガスケット54の周壁541は、そのような傾斜面を有していない点。 〔相違点2〕 本件発明1は、「前記パッキンの少なくとも内周部」について、「厚さが外周側から内周側に向かうに従い薄くなるように形成されている」のに対して、甲1発明1の第2ガスケット54の周壁541は、そのように形成されていない点。 (2) 判断 事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。 甲2に記載されたパッキン18は、半径方向の断面がU字形状をしており、内側に光透過性カバー部19の外周縁を挿入し、吸気カバー部17の内鍔部172と光透過性カバー部19とに挟まれ、また、リフレクタ15と光透過性カバー部19とに挟まれることで、吸気カバー部17と光透過性カバー部19との間のみならず、リフレクタ15と光透過性カバー部19との間の埃の進入を防ぐものである。他方、甲1発明1の第2ガスケット54は、非常用光源ユニット4と第1筐体51との間に押し潰され、それにより、その両者の間の浸水を防ぐものであって、断面がU字形状ではなく、内側に非常用光源ユニット4を挿入する構造となっていない。 そうすると、甲1発明1の第2ガスケット54は、甲2に記載されたパッキン18と異なり、非常用光源ユニット4を内側に挿入しないし、第1筐体51と非常用光源ユニット4とに挟まれ、かつ、ホルダ41と非常用光源ユニット4とに挟まれるものでもない。さらに、両者は、浸水又は埃の進入を防ぐ箇所も異なるのであって、甲1発明1の第2ガスケット54を甲2に記載されたパッキン18に置換する動機付けは存在しない。仮にこれを措くとしても、甲1発明1の第2ガスケット54を甲2に記載されたパッキン18に置換しようとすると、甲1発明1の第2ガスケット54の周囲に存在するホルダ41、支持部材7、第1筐体51等の部品の配置や構造を大きく変更せざるを得なくなることから、当該置換には阻害要因があるというべきである。 また、甲3に記載されたパッキン81は、コーン80と内筒部31の下端との間に挟まれるものである。ここで、コーン80は、必ずしも、照明器具2の光源20A等を覆う機能を有しているとはいえず、本件発明1のカバー部に相当しないし、パッキン81は本件発明1のパッキンに相当しない。図14(A)を参照すると、甲3に記載されたソケット10A及びボディ30Aが、その機能からみて、本件発明1のカバー部に相当するとも考えられるが、パッキン81は、ほぼ円板状のレンズであるオプションOPとソケット10A及びボディ30Aとの間に挟まれるものではなく、甲3は相違点2に係る構成を開示も示唆もしていない。 したがって、甲1発明1並びに甲2及び甲3に記載された事項に基いて、上記相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 よって、相違点1を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明1並びに甲2及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 申立人の主張について 申立人は、相違点2の容易想到性に関連して、「甲2記載事項には、「パッキン18は、環状に形成される」構成(構成d2)、「パッキン18は、先端に向かうにつれて、下方に向かう傾斜部と上方に向かう傾斜部」を有する構成(構成e2)、及び「パッキン18は、パッキン18の厚さが外周側から内周側に向かうに従い薄くなるように形成されている」構成(構成f2)が記載されている。甲第1号証及び甲第2号証は、双方とも照明装置に関する技術であり、パッキン(ガスケット)を用いて防水性、気密性を高めるという効果を有する点で共通している。したがって、甲第1号証に甲第2号証を適用することに動機付けがある。よって、甲1発明1に基づいて、甲1発明1に甲2記載事項の構成d2,e2,f2を適用することで、当業者であれば相違点1を容易に想到し得る。すなわち、甲1発明1に基づいて、甲1発明1に甲2記載事項の構成d2,e2,f2を適用することで、当業者であれば本件特許発明1の構成D,E,Fを容易に想到し得る。」(申立書第17ページ第25行~第18ページ第10行)と主張する。 しかしながら、甲2に記載されたパッキン18の先端は、申立人が主張するように、厚さが外周側から内周側に向かうに従い薄くなるように形成されているとも見てとれるが、パッキン18は、全体として、半径方向の断面がU字形状をしており、内側に光透過性カバー部19の外周縁を挿入し、吸気カバー部17の内鍔部172と光透過性カバー部19とに挟まれ、また、リフレクタ15と光透過性カバー部19とに挟まれることで、吸気カバー部17と光透過性カバー部19との間のみならず、リフレクタ15と光透過性カバー部19との間の埃の進入を防ぐものである。すなわち、甲2に記載されたパッキン18の先端のみで埃の進入を防ぐものではなく、パッキン18全体が吸気カバー部17やリフレクタ15等と協働することにより、埃の進入を防ぐものであるから、パッキン18の先端とパッキン18の他の部分とは一体不可分のものであるし、吸気カバー部17やリフレクタ15等との配置関係を考慮しないで、甲1発明1の第2ガスケット54に対してパッキン18の先端の形状のみを適用する動機付けはない。 したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。 2 本件発明2、3の進歩性について 本件発明2、3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、請求項2、3において特定した事項をさらに付加することにより限定をしたものであるから、本件発明2、3と甲1発明1とを対比すると、少なくとも上記相違点2が存在する。 そうすると、上記1(2)で説示したのと同様の理由により、甲1発明1並びに甲2及び甲3に記載された事項に基いて、相違点2に係る本件発明2、3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 よって、本件発明2、3は、甲1発明1並びに甲2及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 本件発明4の進歩性について (1) 対比 本件発明4と甲1発明2とを対比すると、上記1(1)で対比した事項に加え、後者の「ホルダ41」は前者の「ホルダ」に相当し、後者の「保持」は前者の「固定」に相当する。 そして、上記の相当関係を踏まえると以下のことがいえる。 後者の「前記非常用光源ユニット4は、前記LEDモジュール40及び前記光学レンズ44が保持されるホルダ41を備える」ことは、前者の「前記光源部は、前記光源及び前記光学制御部材が固定されるホルダを備え」ることに相当する。 以上のことより、本件発明1と甲1発明2との一致点、相違点は次のとおりと認める。 〔一致点2〕 「光源及び前記光源を覆う光学制御部材を有する光源部と、 前記光源部が固定され、前記光学制御部材を露出させる出射口が形成されたカバー部と、 前記光源部と前記カバー部との間に挟まれ、前記出射口の周囲に配置されるパッキンと、を備え、 前記パッキンは、 環状に形成され、 前記光源部は、 前記光源及び前記光学制御部材が固定されるホルダを備える、照明器具。」 〔相違点3〕 本件発明4は、「前記パッキンの少なくとも内周部の厚さは、外周側から内周側に向かうに従い薄くなるように形成され」ているのに対して、甲1発明2の第2ガスケット54の周壁541は、そのように形成されていない点。 〔相違点4〕 本件発明4は、「前記パッキンの外周部は、前記ホルダと前記カバー部との間に挟まれ圧縮される」のに対して、甲1発明2の第2ガスケット54の外周部がホルダ41と第1筐体51との間に挟まれ圧縮されるか不明である点。 (2) 判断 相違点3について検討すると、相違点3は実質的に相違点2と同じであるから、上記1(2)で説示したのと同様の理由により、甲1発明2並びに甲2及び甲3に記載された事項に基いて、相違点3に係る本件発明4の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 よって、本件発明4は、甲1発明2並びに甲2及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 申立人の主張について 申立人は、相違点3の容易想到性に関連して、「甲3記載事項には、「パッキン81は、環状に形成される」構成(構成d3)、及び「パッキン81は、パッキン81の少なくとも内周部は、厚さが外周側から内周側に向かうに従い薄くなるように形成されている」構成(構成f3)が記載されている。甲第1号証及び甲第3号証は、双方とも照明装置に関する技術であり、パッキンを用いて防水性、気密性を高めるという効果を有する点で共通している。したがって、甲第1号証に甲第3号証を適用することに動機付けがある。よって、甲1発明4に基づいて、甲1発明4に甲3記載事項の構成d3,f3を適用することで、当業者であれば相違点2を容易に想到し得る。すなわち、甲1発明1に基づいて、甲1発明4に甲3記載事項の構成d3,f3を適用することで、当業者であれば本件特許発明4の構成D,Fを容易に想到し得る。」(申立書第20ページ第21行~第21ページ第4行)と主張する。 しかしながら、上記1(2)で述べたように、甲3に記載されたパッキン81は、コーン80と内筒部31の下端との間に挟まれるものであって、本件発明4のパッキンに相当しない。パッキン81の内周部は、申立人が主張するように、厚さが外周側から内周側に向かうに従い薄くなるように形成されているとも見てとれるが、上述のとおり、パッキン81は、コーン80と内筒部31との間に取り付けられており、これに対して、甲1発明2の第2ガスケット54は、非常用光源ユニット4と第1筐体51との間に配置されるものであって、甲3に記載されたパッキン81と甲1発明2の第2ガスケット54とでは、その配置位置が異なるから、甲1発明2の第2ガスケット54に対して、パッキン81の内周部の形状のみを適用する動機付けはない。 したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。 4 本件発明5、6の進歩性について 本件発明5、6は、本件発明1又は本件発明4の発明特定事項を全て含み、請求項5、6において特定した事項をさらに付加することにより限定をしたものであるから、本件発明5、6と甲1発明1又は甲1発明2とを対比すると、少なくとも上記相違点2又は3が存在する。 ここで、甲4には、上記第4 4で示したとおり、カバー50に関する記載はあるものの、相違点2又は3に係る構成は記載も示唆もしていない。 そうすると、上記1(2)、3(2)で説示したのと同様の理由により、甲1発明1又は甲1発明2並びに甲2、甲3及び甲4に記載された事項に基いて、上記相違点2又は3に係る本件発明5、6の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 よって、本件発明5、6は、甲1発明1又は甲1発明2並びに甲2、甲3及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 5 本件発明7の進歩性について (1) 対比 本件発明7と甲1発明3とを対比すると、上記1(1)で対比した事項に加え、後者の「底面」は前者の「底面」に相当し、後者の「固定」は前者の「固定」に相当する。 そして、上記の相当関係を踏まえると以下のことがいえる。 ア 後者の「前記第1筐体51は、底面に前記窓501が設けられ」ることは、前者の「前記カバー部は、底面に前記出射口が設けられ」ることに相当する。 イ 後者の「前記非常用光源ユニット4は、前記第1筐体51の内部の底面に固定される」ことは、前者の「前記光源部は、前記カバー部の内部の底面に固定される」ることに相当する。 以上のことより、本件発明1と甲1発明3との一致点、相違点は次のとおりと認める。 〔一致点3〕 「光源及び前記光源を覆う光学制御部材を有する光源部と、 前記光源部が固定され、前記光学制御部材を露出させる出射口が形成されたカバー部と、 前記光源部と前記カバー部との間に挟まれ、前記出射口の周囲に配置されるパッキンと、を備え、 前記パッキンは、 環状に形成され、 前記カバー部は、 底面に前記出射口が設けられ、 前記光源部は、 前記カバー部の内部の底面に固定される、照明器具。」 〔相違点5〕 本件発明7は、「前記パッキンの少なくとも内周部の厚さは、外周側から内周側に向かうに従い薄くなるように形成され」ているのに対して、甲1発明3の第2ガスケット54の周壁541は、そのように形成されていない点。 〔相違点6〕 本件発明7は、「前記カバー部」について、「有底筒形状に形成され」ているのに対して、甲1発明3の第1筐体51はそのような形状に形成されていない点。 (2) 判断 相違点5について検討すると、相違点5は実質的に相違点2と同じであるから、甲4に記載されたカバー50に関する事項を踏まえても、上記1(2)で説示したのと同様の理由により、甲1発明3並びに甲2、甲3及び甲4に記載された事項に基いて、相違点5に係る本件発明7の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 よって、本件発明7は、甲1発明3並びに甲2、甲3及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本件特許1~7は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、取り消すことができない。 また、他に本件特許1~7を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701360

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