審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2024-700978

植物由来ポリエチレンを含むシーラントフィルム用ポリエチレン系樹脂組成物およびシーラントフィルム

審判番号
2024-700978
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-153455
登録番号
7463673
請求日
2024年10月08日
審決日
2025年05月13日
公報発行日
2025年06月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】大日本印刷株式会社
  • 【権利者代理人】結田 純次
  • 【権利者代理人】竹林 則幸
  • 【権利者代理人】守安 智
  • 【異議申立人】野口 操
  • 【異議申立人】入江 祐介
  • 【異議申立人】梯 京子
審判長/審判官
  • 審判長 神山 茂樹
  • 審判官 稲葉 大紀
  • 審判官 長谷川 一郎
分類
P1651.536-Y (B65D) / P1651.537-Y (B65D) / P1651.121-Y (B65D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7463673号発明「植物由来ポリエチレンを含むシーラントフィルム用ポリエチレン系樹脂組成物およびシーラントフィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7463673号の請求項1~11に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7463673号(以下「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許についての出願は、令和元年8月26日(優先権主張 平成30年9月27日)の出願であって、令和6年4月1日にその特許権の設定登録がされ、令和6年4月9日に特許掲載公報が発行された。その後、令和6年10月8日に特許異議申立人野口操(以下「申立人1」という。)により、令和6年10月9日に特許異議申立人入江祐介(以下「申立人2」という。)により、令和6年10月9日に特許異議申立人梯京子(以下「申立人3」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件特許 本件特許の請求項1~11の特許に係る発明(以下「本件発明1」等という。まとめて「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 ポリエチレン系樹脂組成物を用いて形成された層を含み、単層または2層以上の複数層からなり、 単層においては、全光線透過率が、0%以上、40%以下であり、2層以上の複数層においては、全光線透過率が、0%以上、37.2%以下であることを特徴とし、 該ポリエチレン系樹脂組成物が、白色顔料としての1種または2種以上の結晶構造の酸化チタンの粒子と、化石燃料由来ポリエチレンと、植物由来ポリエチレン系樹脂とを含有し、バイオマス度が10%以上、50%以下であり、 前記酸化チタンの粒子は、結晶構造がルチル型であり、平均粒子径が0.1μm以上、0.5μm以下であり、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、該酸化チタンの粒子の含有率は、2質量%以上、4.8質量%以下であり、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレン/C6直鎖状低密度ポリエチレンの質量比は、2より大きく、5以下であり、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレンの含有量が、45質量%よりも大きく、70質量%以下であり、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂/前記低密度ポリエチレン系樹脂の質量比が、2以上、5以下であり、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレンとC6直鎖状低密度ポリエチレンとの合計含有率が、60質量%以上、85質量%以下である、 包装材料用の白色シーラントフィルム。 【請求項2】 前記C6直鎖状低密度ポリエチレンの密度が、0.910g/cm3以上、0.930g/cm3未満であることを特徴とする、請求項1に記載の、包装材料用の白色シーラントフィルム。 【請求項3】 前記植物由来ポリエチレン系樹脂は、植物由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂および/または植物由来低密度ポリエチレン系樹脂であることを特徴とする、請求項1または2に記載の、包装材料用の白色シーラントフィルム。 【請求項4】 全ポリエチレン系樹脂組成物中に、植物由来C4直鎖状低密度ポリエチレンを、10質量%以上、50質量%以下含有することを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の、包装材料用の白色シーラントフィルム。 【請求項5】 前記C4直鎖状低密度ポリエチレンおよび/または前記C6直鎖状低密度ポリエチレンは、チーグラー・ナッタ触媒を用いて合成されたものを含むことを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の、包装材料用の白色シーラントフィルム。 【請求項6】 共押出によって作製された、2層以上の多層構成の包装材料用の白色シーラントフィルムであって、 ポリエチレン系樹脂組成物から形成された層を、全白色シーラントフィルム中の、合計40質量%以上、100質量%以下の範囲で、1層または2層以上含み、 全光線透過率が、0%以上、37.2%以下であることを特徴とし、 該ポリエチレン系樹脂組成物が、白色顔料としての1種または2種以上の結晶構造の酸化チタンの粒子と、化石燃料由来ポリエチレンと、植物由来ポリエチレン系樹脂とを含有し、バイオマス度が10%以上、50%以下であり、 前記酸化チタンの粒子は、結晶構造がルチル型であり、平均粒子径が0.1μm以上、0.5μm以下であり、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、該酸化チタンの粒子の含有率は、2質量%以上、4.8質量%以下であり、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレン/C6直鎖状低密度ポリエチレンの質量比は、2より大きく、5以下であり、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレンの含有量が、45質量%よりも大きく、70質量%以下であり、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂/前記低密度ポリエチレン系樹脂の質量比が、2以上、5以下であり、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレンとC6直鎖状低密度ポリエチレンとの合計含有率が、60質量%以上、85質量%以下である、 包装材料用の白色シーラントフィルム。 【請求項7】 3層以上の多層構成の包装材料用の白色シーラントフィルムであって、 両最外層は、前記植物由来ポリエチレン系樹脂を含まないことを特徴とする、 請求項1~6の何れか1項に記載の、包装材料用の白色シーラントフィルム。 【請求項8】 バイオマス度が10%以上、50%以下であることを特徴とする、請求項1~7の何れか1項に記載の、包装材料用の白色シーラントフィルム。 【請求項9】 基材層とシーラント層とを有する、包装材料用の積層体であって、 該シーラント層は、請求項1~8の何れか1項に記載の白色シーラントフィルムを接着剤を介した貼り付けによって積層した層を含むことを特徴とする、 包装材料用の積層体。 【請求項10】 請求項9に記載の積層体から作製されたことを特徴とする、包装材料。 【請求項11】 請求項10に記載の包装材料から作製されたことを特徴とする、包装体。」 第3 申立理由の概要 1 申立人1による申立理由 申立人1は、以下に示す甲第1号証~甲第4号証(枝番含む)(以下、異議申立人番号と証拠番号により「申立1甲1-1」等という。以下同様。)を提出し、本件発明1~11に係る特許は、以下の理由(以下、異議申立人番号と理由番号により「申立1理由1」等という。以下同様。)により、取り消すべきものである旨を主張する。 (1)申立1理由1(サポート要件) 本件特許は、請求項1~11の記載が次の点で発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 本件の請求項1~11では「植物由来ポリエチレン系樹脂」を構成要素にし、一方、本件特許明細書に記載のように、本件特許発明の解決課題は、「植物由来ポリエチレン系樹脂」をシーラントフィルムに用いた場合の耐ブロッキング性、手切り性及び耐落下衝撃性の各性能の低下であるが、これらの課題は、ブラスケム社(以下「B社」という。)のLLDPEをシーラントフィルムに用いた場合の課題である。したがって、本件特許発明は、B社の当該LLDPEの課題を解決したものであり、かつ、本件特許発明の構成は、B社の当該LLDPEを前提としたものであって、その範囲は、B社の当該LLDPEの範囲に限定されるべきものである。しかし、本件特許発明では、B社の当該LLDPEに限定されず、別の製造方法で製造された植物由来LLDPEを含む「植物由来ポリエチレン系樹脂」全体となっており、本件特許明細書の開示範囲を超えている。 (2)申立1理由2(明確性要件) 本件特許は、請求項1~11の記載が次の点で明確ではなく、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 本件の請求項1~11において「植物由来ポリエチレン系樹脂」は、B社の当該LLDPE以外の植物由来ポリエチレン系樹脂を含み、B社の当該LLDPE以外の植物由来ポリエチレン系樹脂が、どのような構造及び性能等のポリエチレンを意味するかが不明である。 (3)申立1理由3(実施可能要件) 本件特許は、発明の詳細な説明の記載が次の点で、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が、本件発明1~11の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が、本件特許の明細書の記載及び出願時の技術常識に基づき、B社のLLDPE以外の、請求項1に記載される「植物由来ポリエチレン系樹脂」を含有する、包装材料用の白色シーラントフィルムを実施することができるように記載されているとはいえない。 (4)申立1理由4(進歩性) 本件発明1~11は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の申立1甲4-1に記載された発明及び申立1甲4-2、申立1甲4-3、申立1甲4-4に記載された事項に基いて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2 申立人2による申立理由 申立人2は、以下に示す申立2甲1~申立2甲13を提出し、本件発明1~11に係る特許は、以下の理由により、取り消すべきものである旨を主張する。 (1)申立2理由1(サポート要件) 本件特許の請求項1~11に係る特許は、次の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 本件特許の解決しようとする課題は、チーグラー触媒を用いた気相法で製造されたB社のLLDPEの課題のことであり、また、本件特許発明は、B社のLLDPEを前提に構成されている。 これに対し、本件特許発明の範囲は、チーグラー触媒を用いた気相法のB社のLLDPEに限定することなく、その他の触媒及び重合方法で製造された植物由来ポリエチレン系樹脂全体に及んでおり、実際に課題及び効果を確認した範囲を超えており、これは、本件特許明細書による「実質的な開示の範囲」を超えている。 (2)申立2理由2(明確性要件) 本件特許は、請求項1~11の記載が次の点で明確ではなく、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 本件の請求項1~11において「植物由来ポリエチレン系樹脂」が、どのような構造及び性能等を意味するかが不明であり、その結果、本件特許発明が不明確となる。 (3)申立2理由3(実施可能要件) 本件特許は、発明の詳細な説明の記載が次の点で、当業者が、本件発明1~11の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が、本件特許の明細書の記載及び出願時の技術常識に基づき、B社のLLDPE以外の、請求項1に記載される「植物由来ポリエチレン系樹脂」を含有する、包装材料用の白色シーラントフィルムを実施することができるように記載されているとはいえない。 3 申立人3による申立理由 申立人3は、以下に示す申立3甲1~申立3甲11を提出し、本件発明1~11に係る特許は、以下の理由により、取り消すべきものである旨を主張する。 (1)申立3理由1(サポート要件) 本件特許の請求項1~11に係る特許は、次の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 本件特許の解決しようとする課題の原因は、チーグラー触媒を用いた気相法で製造されたB社のLLDPEの課題のことであり、また、本件特許発明は、B社のLLDPEを用いた場合の課題を解決したものである。 これに対し、本件特許発明の範囲は、チーグラー触媒を用いた気相法のB社のLLDPEに限定することなく、その他の触媒及び重合方法で製造された植物由来ポリエチレン系樹脂全体に及んでおり、実際に課題及び効果を確認した範囲を超えている。 (2)申立3理由2(明確性要件) 本件特許は、請求項1~11の記載が次の点で明確ではなく、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 本件の請求項1~11において「植物由来ポリエチレン系樹脂」が、どのような構造及び性能等を意味するかが不明であり、その結果、本件特許発明が不明確となる。 (3)申立3理由3(実施可能要件) 本件特許は、発明の詳細な説明の記載が次の点で、当業者が、本件発明1~11の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 本件特許発明は、B社のLLDPEの問題を解決したものであるが、本件特許発明は「植物由来ポリエチレン系樹脂」という用語を使用しているため、B社のLLDPE以外のポリエチレンを含むこととなっている。 その結果、B社のLLDPE以外のバイオマス由来LLDPEが、そもそも、本件特許発明の課題(「耐ブロッキング性」、「手切り性」及び「耐落下衝撃性」)を有するか否か、及び、本件特許発明が、これらの課題を解決できるか否か、については、不明であり、また、本件特許発明の効果を奏するか不明である。 4 証拠方法一覧 申立人1~3が提出した証拠は以下のとおりである。 (1)申立1甲1-1、申立2甲2:高栖正明、「トーセロメタロセンTUX」、コンバーテック、株式会社加工技術研究会、1996、第24巻第9号、29~31ページ (2)申立1甲1-2、申立2甲3、申立3甲2:山田雅也、「最近のポリエチレン重合技術-メタロセンLLDPEを中心にして-」、JETI、株式会社ジェティ、1997、 Vol.45、No.8、80~82ページ (3)申立1甲1-3、申立2甲4:山田雅也、「ウルトゼックス○R(当審注:「○R」は○の中にRの代用表記)とエボリューTM」、コンバーテック、株式会社加工技術研究会、1997、第25巻第3号、18~19ページ (4)申立1甲2-1、申立2甲5、申立3甲8:「TAPPI PLACE Conference 2010 Volume 1 of 3」、2010、447~471ページ (5)申立1甲2-2、申立2甲6、申立3甲11:「Braskem details sugar-cane PE plans」(PLASTICS TODAYのインターネットの記事)(https://www.plasticstoday.com/plastics-processing/braskem-details-sugar-cane-pe-plans)のPDF(2010年の記事) (6)申立1甲2-3、申立2甲8、申立3甲9:「Polyethylene By Basell’s Spherilene Process」、IHS Markit社(英国)のホームページ、(https://ihsmarkit.com/products/chemical-technology-pep-reviews-polyethylene-by-basells-spherilene-2006.html)に掲載された記事(2006年発行)のPDF (7)申立1甲2-4、申立2甲12:佐藤慎一、「植物由来ポリエチレンについて」、次世代ポリオレフィン総合研究、日本ポリオレフィン総合研究科編、三恵社、2010、Vol.4、42~46ページ (8)申立1甲3-1、申立2甲10、申立3甲6:杉山英路、外1名、「地球環境にやさしい『サトウキビ由来のポリエチレン』」、コンバーテック、株式会社加工技術研究会、2009、第37巻第8号、63~67ページ (9)申立1甲3-2、申立2甲11:「Bio-Ethanol Based Ethylene」、Polymer Reviews、Taylor & Francis Group,LLC、2009、Vol.49、79~84ページ (10)申立1甲4-1:特開2005-53997号公報 (11)申立1甲4-2:特開2003-208099号公報 (12)申立1甲4-3:特開平6-57053号公報 (13)申立1甲4-4:特開2013-177531号公報 (14)申立2甲1、申立3甲1:松浦一雄、外1名、「ポリエチレン技術読本」、株式会社工業調査会、2001、182ページ、188~191ページ (15)申立2甲7、申立3甲10:「Braskem Date Sheet Review 3」、BRASKEM、2011 (16)申立2甲9:「FORTY YEARS OF DEVELOPMENT IN ZIEGLER-NATTA CATALYSIS:FROM INNOVATIONS TO INDUSTRIAL REALITIES」、GAZZETA CHIMICA ITALIANA、Societa Chimica Italiana、1994、Vol.124、No.12、533~541ページ (17)申立2甲13:菊池康紀、外8名、「バイオマス由来ポリエチレンのライフサイクル評価」、第6回日本LCA学会研究発表会講演要旨集(2011年3月)、セッションID:B2―26、日本LCA学会、2011、204ページ (18)申立3甲3:高橋守、「メタロセン触媒による高性能ポリエチレン」、豊田合成技報、豊田合成株式会社、1994、Vol.36、No.1、11~12ページ (19)申立3甲4:永井洋三、「ポリエチレン」、日本ゴム協会誌、日本ゴム協会、2007、第80巻第8号、14~15ページ (20)申立3甲5:佐々木俊夫、外1名、「メタロセン触媒によるポリオレフィンの合成」、高分子、高分子学会、1993、42巻、11月号、908ページ (21)申立3甲7:特許決定公報(異議2016-700344号)、日本国特許庁、2017、4~9ページ 第4 当審の判断 1 文献の記載、引用発明等 (1) 申立1甲4-1 ア 申立1甲4-1には、以下の記載がある(下線は当審においてが付したものであり、「・・・」は省略を示す。以下同様。)。 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、高速成形性、低温ヒートシール性および基材に対する接着性に優れ、加工工程等での型打抜き性が容易、或いは開封時に容易な手切れ性を示す等の性能を有する易引裂性フィルム用樹脂材料に関し、さらに、それを用いた易引裂性積層体、およびその製造方法に関するものである。特に本易引裂性フィルム用樹脂材料は、良好な低温ヒートシール性を維持しつつ、良好な型打抜き性或いは手切れ性を有し、シーラント層および外層等にも使用可能な樹脂材料であり、アンカーコート剤を使用せず、かつ添加剤も含まず、クリーンなことから、その積層体は紙容器、酒容器や、水物等の食品、医療、電子材料等を始めとする一般的な軟包装等にも利用可能である。 【0002】 【従来の技術】 ・・・ メタロセン系触媒による線状低密度ポリエチレンは低温ヒートシール性や引裂き強度に優れ、それを用いた包材は広いシール可能温度幅の範囲を有すると共に、強靭な耐引裂き性、耐ピンホール性を有し、特に水物用包材の強度や充填速度において革新的な進歩をもたらしている。 しかしながら、ヒートシール強度や引裂き強度が強すぎることは、開封時においては逆に欠点となり、開封が困難な包材となってしまうこともある。・・・ 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 ・・・また、該樹脂材料は酸吸収剤(中和剤等)、酸化防止剤等の接着性を低下させ、場合によっては製品に移行するなどの悪影響を与えかねない添加剤を含まずに接着力を維持し、・・・」 「【0100】 [積層体] 本発明の積層体の第1の態様は、基材層と上記易引裂性フィルム用樹脂材料からなる層(以下「樹脂材料層」と称す)とを含む少なくとも2層構造からなる積層体であり、第2の態様は、ポリオレフィン系樹脂層/基材層/樹脂材料層の3層構造からなる積層体、第3の態様は、ポリオレフィン系樹脂層/基材層/樹脂材料層/アルミニウム箔等のバリヤー層/タイ(接着)層/樹脂材料からなるシーラント層からなる積層体等が挙げられる。 【0101】 積層体の第1の態様の具体例としては、熱可塑性樹脂(PP、PA、PET等)層/樹脂材料層、紙層/樹脂材料層、Al箔層/樹脂材料層等が挙げられる。第2の態様の具体例としては、PE層/紙層/樹脂材料層、PE層/熱可塑性樹脂層/樹脂材料層等が挙げられる。 また、第3の態様の具体例としては、PE層/紙/樹脂材料層/Al箔層/タイ層/樹脂材料層、PE層/紙層/樹脂材料層/PA層/樹脂材料層、PE層/紙層/樹脂材料層/タイ層/ONY層/タイ層/樹脂材料層、PE層/紙層/樹脂材料層/PET層/タイ層/樹脂材料層、PE層/紙層/樹脂材料層/EVOH層/タイ層/樹脂材料層、PE層/紙層/樹脂材料層/不織布層、PE層/紙層/樹脂材料層/OPP層/樹脂材料層、PE層/紙層/樹脂材料層/不織布層、PE層/ 紙層/樹脂材料層/OPET層等が挙げられる。 (ただし、PP:ポリプロピレン、PA:ポリアミド、ONY:二軸延伸ポリアミド、PET:ポリエステル、EVOH:エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物、Al箔:アルミニウム箔、OPP:二軸延伸ポリプロピレン、OPET:二軸延伸ポリエステルである。)」 「【0104】 [積層体の製造方法] 本発明の積層体の製造方法は、各層間の接着強度が高くなるように積層する方法であれば特にその製造方法は限定されるものではないが、特に押出ラミネート成形、共押出ラミネート法、サンドラミネート法により積層して製造する方法が好適である。・・・」 「【0140】 [チーグラー触媒によるLLDPE] 触媒として、四塩化チタン、トリエチルアルミニウム及び塩化マグネシウムからなる触媒 (zCat)を用い上記重合例(A11)に準じて70℃、気相重合にてエチレン・ヘキセン共重合体(A21)を重合した。・・・」 「【0143】 [使用材料] ・・・ 4)エチレン共重合体(sLL):エチレン・1-ヘキセン共重合体(A14) MFR=24g/10分、密度=0.922g/cm3 ・・・」 「【0145】 <実施例1> 表3に示したようにエチレン・1-ブテン共重合体(A11)70質量部と、高圧法LDPE(B11)30質量部に酸化防止剤、脂肪酸金属塩等の添加剤をいっさい加えず(添加剤フリー)に田辺工業製50mmφ単軸押出機にて設定温度170℃で混練して組成物(PE1)のペレットとした。該組成物の物性値は表4に示した。 次にこの組成物を、SHIモダンマシナリー製90mmφ押出ラミネーターを用いて、樹脂温度3 20℃、ライン速度150m/分、ラミ厚み30μmで、溶融樹脂膜の基材接触面にオゾン処理を行い、かつアンカーコート剤を使用せずに25μm厚のPETフィルム、および30μm厚のアルミ箔にそれぞれコーティングした。尚、PETフィルム表面に対してはコロナ処理(6kW)を施した。また、この時同時に樹脂材料の表面酸化度および酸素原子濃度の測定用サンプルを作成採取し、測定した。その結果を表4に示した。 また、得られたPETとの積層体、およびアルミとの積層体の接着強度および引裂抵抗を測定し、その結果を表4に示した。 更に、同じ組成物を樹脂温度290℃、ライン速度100m/分、ラミ厚み25μmで、前もって積層しておいたONy#15(二軸延伸ポリアミド)/LLDPE25μm積層フィルムのLLDPE面にコーティングした。得られた積層体について、ヒートシール温度を変えてヒートシール強度を測定し、ヒートシール強度が30N/15mm幅になる温度を求め、これを「30N/15mm幅ヒートシール温度」とした。結果を同じく表4に示した。 積層体の樹脂強度、接着強度および易引裂き性は良好であった。また、低温ヒートシール性についても良好でバランスのよい材料であった。 【0146】 <実施例2> 表3に示したようにエチレン・1-ブテン共重合体(A12)70質量%、エチレン・1-ヘキセン共重合体(A14)30質量%からなる樹脂成分(X)70質量部、および高圧法LDPE(B11)30質量部とからなる組成物(PE2)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行なった。組成物の物性値および積層体の評価結果を表4に示す。積層体の樹脂強度、接着強度および易引裂き性は良好であった。また、低温ヒートシール性についても良好でバランスのよい材料であった。」 「【0151】 【表3】 [図:0001423523000001.jpg] 」 「【0171】 【発明の効果】 本発明による樹脂材料は、特定な性状を有するエチレン(共)重合体(A)またはエチレン(共)重合体(A)と高圧ラジカル法エチレン重合体を含み、特定の性状を満足する樹脂材料で構成することにより高速成形性、低温ヒートシール性および基材に対する接着性に優れ、また容易な手切れ性、型打抜き性を有するフィルム材料となる。したがって、本樹脂材料は易引裂性フィルム用樹脂材料として好適であり、低温ヒートシール性、高い層間強度(接着強度)を有し、手切れ性、型打ち抜き性に優れるばかりでなく、デユロメータ硬さ、ビカット軟化点、MIT耐撓み疲労等に示されるように耐傷付き性、耐熱性、耐ピンホール性が良好であることも特徴の1つである。・・・ 本易引裂性フィルム用樹脂材料からなる積層体は良好な低温ヒートシール性を維持しつつ、良好な打ち抜き性或いは手切れ性を有する層となるため、シーラント層および外層等にも使用可能な樹脂材料となり紙容器、酒容器や、水物を始めとする一般的な軟包装等にも利用可能である。」 イ 申立1甲4-1に記載された発明(甲4-1発明) 以上より、【0001】、【0145】、【0146】、【0151】、【0171】、特に実施例2に着目すると、申立1甲4-1には以下の発明(以下「甲4-1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、括弧内は参照箇所である。 「エチレン・1-ブテン共重合体(A12)70質量%、エチレン・1-ヘキセン共重合体(A14)30質量%からなる樹脂成分(X)70質量部、および高圧法LDPE(B11)30質量部とからなる組成物(PE2)を用いた組成物を(【0146】)、 SHIモダンマシナリー製90mmφ押出ラミネーターを用いて、樹脂温度320℃、ライン速度150m/分、ラミ厚み30μmで、基材接触面にオゾン処理を行った溶融樹脂膜であって、(【0145】、【0146】) 前記組成物は、低温ヒートシール性を維持しシーラント層および外層等にも使用可能な樹脂材料であり、その積層体は軟包装等にも利用可能である溶融樹脂膜。」(【0001】、【0171】) (2) 申立1甲4-2 ア 申立1甲4-2には、以下の記載がある。 「【0019】また、上記において、白色顔料等の着色剤としては、例えば、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性けい酸鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポン、三酸化アンチモン、アナタス形酸化チタン、ルチル形酸化チタン、その他等の白色顔料の1種ないし2種以上を使用することができる。・・・」 「【0031】実施例2 (1).まず、下記の(イ)~(ハ)の樹脂組成物を調製した。 ・・・ (ロ).高圧法低密度ポリエチレン(HPLDPE、密度、0.924g/m3)90.0重量部とエルカ酸アミド(滑剤)0.05重量部とポリエチレンベ-スで顔料として酸化チタンを40重量%添加した乳白着色用マスタ-バッチ(東京インキ株式会社製、商品名、PEXDN-40 WHITE)10重量部(中間層への酸化チタン添加量4重量%)とを十分に混練して樹脂組成物を調製した。 ・・・ 【0032】実施例3 (1).まず、下記の(イ)~(ハ)の樹脂組成物を調製した。 ・・・ (ロ).高圧法低密度ポリエチレン(HPLDPE、密度、0.924g/m3)80.0重量部とエルカ酸アミド(滑剤)0.05重量部とポリエチレンベ-スで顔料として酸化チタンを40重量%添加した乳白着色用マスタ-バッチ(東京インキ株式会社製、商品名、PEXDN-40 WHITE)7.0重量部(中間層への酸化チタン添加量2.8重量%)とを十分に混練して樹脂組成物を調製した。 ・・・ 【0033】実施例4 (1).まず、下記の(イ)~(ハ)の樹脂組成物を調製した。 ・・・ (ロ).高圧法低密度ポリエチレン(HPLDPE、密度、0.924g/m3 )80.0重量部とエルカ酸アミド(滑剤)0.05重量部とポリエチレンベ-スで顔料として酸化チタンを40重量%添加した乳白着色用マスタ-バッチ(東京インキ株式会社製、商品名、PEXDN-40 WHITE)5.0重量部(中間層への酸化チタン添加量2.0重量%)とを十分に混練して樹脂組成物を調製した。・・・」 イ 申立1甲4-2に記載された技術的事項(甲4-2記載事項) 上記アより、申立1甲4-2には以下の技術的事項(以下「甲4-2記載事項」という。)が記載されていると認められる。 「乳白色ポリエチレン系樹脂層に配合する白色顔料として、ルチル形酸化チタンが存在し、乳白色ポリエチレン系樹脂層に配合する酸化チタンの割合に関し、4重量%、2.8重量%、2.0重量%であること。」 (3) 申立1甲4-3 ア 申立1甲4-3には、以下の記載がある。 「【0089】 【実施例4】遮光性フィルムの表面層を形成する原料として、高密度ポリエチレン(C)50重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(D)50重量部およびチタンホワイト[東京インキ(株)製、商品名PZX 6800 ホワイト]4重量部のブレンド物と、遮光性フィルムの中間層(I)を形成する原料として、高密度ポリエチレン(C)35重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(D)65重量部および上記カーボンブラック4.5重量部のブレンド物を用い、各層の厚みが30μm、フィルム配向角度が45度のフィルムを成形した。」 イ 申立1甲4-3に記載された技術的事項(甲4-3記載事項) 上記アより、申立1甲4-3には以下の技術的事項(以下「甲4-3記載事項」という。)が記載されていると認められる。 「ポリエチレンを用いた遮光フィルムに関し、遮光性フィルムの表面層を形成する原料として、高密度ポリエチレン(C)50重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(D)50重量部およびチタンホワイト〔東京インキ(株)製、製品名 PZX6800ホワイト〕4重量部のブレンド物であり、酸化チタンの含有割合は、3.8重量%(4/(50+50+4))であること。」 (4) 申立1甲4-4 ア 申立1甲4-4には、以下の記載がある。 「(54)【発明の名称】シーラントフィルム及びそれを用いた包装材」 「【0002】 近年、環境への負荷を低減するために、樹脂フィルムの原料の一部を、石油由来の樹脂から、植物由来成分を主成分とする樹脂( 以下「植物由来樹脂」と呼ぶ) に置き換えることが検討されている(特許文献1) 。そして、植物由来樹脂は、従来の石油由来の樹脂と、化学構造的には変わりがなく、同等の物性を有することが期待されている。」 「【0035】 具体的には、バイオエタノールから誘導されたエチレンを重合して得られる高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.940g/cm3以上)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度0.925以上0.940g/cm3 未満)、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE、密度0.925g/cm3未満)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、エチレンとα-オレフィンとの共重合体)、及びこれらの混合物を挙げることができる。上記LLDPEのコモノマーとなるα-オレフィンとしては、炭素数3~20のα-オレフィン、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、1-オクテン、1-ノネン、4-メチルペンテン等、及びこれらの混合物が上げられる。これらのα-オレフィンは、バイオエタノールから誘導された植物由来α-オレフィンであっても、非植物由来、すなわち石油由来のα-オレフィンであってもよい。石油由来α-オレフィンとしては多種多様なものが入手可能であるため、これらを用いて製造することにより、ポリエチレン系樹脂の物性等を容易に調整することができる。植物由来α-オレフィンを用いることにより、最終製品のバイオマス度をより一層高めることができる。」 「【0039】 本発明のシーラントフィルムにおいて、植物由来ポリエチレン系樹脂の配合量は70質量%以下、好ましくは15~70質量% 、より好ましくは40~70質量%である。植物由来ポリエチレン系樹脂を多く含むほど、高いバイオマス度が達成される。しかしながら、この量が70質量% を超えると、植物由来ポリエチレン系樹脂の配合に伴い生じる、フィルム表面へのブリードアウトを防ぐことができず、基材層を積層した際に十分な層間接着強度が得られない。」 「【0051】 (ii)酸化チタン 上記酸化チタンとしては、白色顔料として乳白フィルムの製造において一般に用いられる酸化チタンを好適に用いることができる。 より具体的には、アナタース型、ルチル型、ブルカイト型のいずれを用いてもよく、また、平均粒径は通常0 .1 ~ 1 .0 μ m 程度のものが使用される。」 「【0077】 <VIII>積層 基材層とシーラントフィルムとの積層は、接着剤を介して、ドライラミネート法で貼り合わせることができる。使用する接着剤としては、例えば、ドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤等が挙げられる。」 「【0087】 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例では、以下の成分を用いた。 植物由来ポリエチレン系樹脂(a): (a-1)植物由来LLDPE、ブラスケム(Braskem S.A.)社製SLL118、密度0.916kg/m3、MFR1.0g/10分、バイオマス度87% (a-2)植物由来HDPE、ブラスケム社製SGE7252、密度0.953kg/m3、MFR2.2g/10分、バイオマス度96% 石油由来ポリエチレン系樹脂(b): ・・・ ブリードアウト抑制剤( c ) : ・・・ (c-2)酸化チタンマスターバッチ、酸化チタン含有量60質量%、酸化チタン平均粒径0.3μm、ベースレジン:LDPE、日本ポリエチレン(株)製ノバテックLC520 ・・・」 「【0092】 [実施例5] 植物由来LLDPE(a-1)80質量%及び酸化チタンマスターバッチ(c-2)20質量%を溶融混練し、第1の樹脂組成物を調製した。 また、石油由来LLDPE(b-1)99質量%及びスリップ剤(d-1)1質量%を溶融混練し、第2の樹脂組成物を調製した。 第1及び第2の樹脂組成物と、石油由来LLDPE(b-1)とを用いて、インフレーション共押出製膜法により、第2の樹脂組成物層(ヒートシール面)、第1の樹脂組成物層(中間層)、及び石油由来LLDPE層(基材層積層面)の3 層からなる、本発明のシーラントフィルムを製造した。これは、第2の樹脂組成物層(24μm)/第1の樹脂組成物層(72μm)/石油由来LLDPE層(24μm)の層構成を有する。バイオマス度は約41%であった。 【0093】 [実施例6] 植物由来LLDPE(a-1)、アイオノマー(c-3)及び石油由来LLDPE(b-1)を用いて、インフレーション共押出製膜法により、植物由来LLDPE層(ヒートシール面)、アイオノマー層(中間層)、石油由来LLDPE層(基材層積層面)の3層からなる、本発明のシーラントフィルムを製造した。これは、植物由来LLDPE層(60μm)/アイオノマー層(30μm)/石油由来LLDPE層(30μm)の層構成を有する。バイオマス度は約43%であった。 【0094】 [実施例7] 石油由来LLDPE(b-1)70質量%とシリカマスターバッチ(c-1)30質量%とを溶融混練し、第3の樹脂組成物を調製した。 該第3の樹脂組成物と、植物由来LLDPE(a-1)とを用いて、インフレーション共押出製膜法により、第3の樹脂組成物からなる最外層2層と、これらに挟持された植物由来LLDPEからなる中間層1層とからなる、本発明のシーラントフィルムを製造した。これは、第3の樹脂組成物層(30μm)/植物由来LLDPE層(60μm)/第3の樹脂組成物層(30μm)の層構成を有する。バイオマス度は約43%であった。 【0095】 [実施例8] 石油由来LLDPE(b-1)69質量%、シリカマスターバッチ(c-1)30質量%及びスリップ剤(d-1)1質量%を溶融混練し、第4の樹脂組成物を調製した。 石油由来LLDPE(b-1)99質量%及びスリップ剤(d-1)1質量%を溶融混練し、第5の樹脂組成物を調製した。 【0096】 該第4及び第5の樹脂組成物、及び植物由来HDPE(a-2)を用いて、インフレーション共押出製膜法により、第5の樹脂組成物層(ヒートシール面)、植物由来HDPE層(中間層)、及び第4の樹脂組成物層(基材層積層面)の3層からなる本発明のシーラントフィルムを製造した。これは、第5の樹脂組成物層(30μm)/植物由来HDPE層(60μm)/第4の樹脂組成物層(30μm)の層構成を有する。バイオマス度は約48%であった。」 イ 申立1甲4-4に記載された技術的事項(甲4-4記載事項1、甲4-4記載事項2) 上記アより、申立1甲4-4には以下の技術的事項(以下「甲4-4記載事項1」という。)が記載されていると認められる。 「シーラントフィルム及びそれを用いた包装材に関し、酸化チタンとして「ルチル型」があり、また、平均粒径0.1~1.0μm程度のものを使用すること、及び、酸化チタンの粒径として、平均粒径0.3μmを実施例に使用したこと。」 上記アより、申立1甲4-4には以下の技術的事項(以下「甲4-4記載事項2」という。)が記載されていると認められる。 「環境への負荷を低減するために、樹脂フィルムの原料の一部を、石油由来の樹から、植物由来成分を主成分とする樹脂( 以下「植物由来樹脂」と呼ぶ) に置き換えることが検討されていること、シーラントフィルムにおいて、植物由来ポリエチレン系樹脂の配合量は70質量%以下、好ましくは15~70質量% 、より好ましくは40~70質量%であり、実施例のシーラントフィルムにおいてバイオマス度が「約41%」、「約43%」、「約48%」であること。」 2 サポート要件について (1) サポート要件の法規範 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (2) 以下、上記(1)の観点に立って、本件特許の特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かについて検討する。 ア 本件特許明細書には、発明が解決しようとする課題に関して、以下の記載がある。 「【0005】 本発明は、上記の問題点を解決し、植物由来ポリエチレンを含有して環境への負荷を低減しつつ、優れた白色性(低全光線透過率)、耐ブロッキング性、手切り性、耐落下衝撃性を示す、包装材料用のシーラントフィルム用ポリエチレン系樹脂組成物、及びそれを用いた包装材用シーラントフィルム、積層体、包装材料、包装体を提供することを目的とする。」 イ 当該課題を解決する手段に関して、発明の詳細な説明には次の記載がある。 「【0006】 ・・・本発明は、以下の点を特徴とする。 1.包装材料の白色シーラントフィルム用のポリエチレン系樹脂組成物であって、 前記ポリエチレン系樹脂組成物は、白色顔料としての1種または2種以上の結晶構造の酸化チタンの粒子と、化石燃料由来ポリエチレンと、植物由来ポリエチレン系樹脂とを含有し、バイオマス度が10%以上、50%以下であり、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、該酸化チタンの粒子の含有率は、2質量%以上、8質量%以下であり、 該シーラントフィルムの全光線透過率は、0%以上、40%以下であり、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレン/C6直鎖状低密度ポリエチレンの質量比は、2より大きく、5以下であることを特徴とする、ポリエチレン系樹脂組成物。・・・」 ウ 本件発明の実施例に関して、発明の詳細な説明には次の記載がある。 「【0051】 [評価結果まとめ] 全実施例において、シーラントフィルムは、低い全光線透過率、優れた破断強度、降伏強度、破断伸び、引裂き強度、耐ブロッキング性を示し、包装材料は優れたシール強度とラミネート強度を示し、パウチは優れた耐落下衝撃性と手切り性を示した。 しかしながら、白色顔料としての酸化チタンの粒子の含有量が低すぎる比較例1は、全光線透過率が高い結果を示した。 また、該含有量が高すぎる比較例2は、劣った耐落下衝撃性を示した。 【0052】 【表1】 [図:0001423523000002.jpg] 」 エ 上記ア~ウの記載によれば、本件発明は、「環境への負荷を低減」、「優れた白色性(低全光線透過率)」、「耐ブロッキング性」、「手切り性」、「耐落下衝撃性」を解決するために、その解決手段として、包装材料の白色シーラントフィルム用のポリエチレン系樹脂組成物が、「酸化チタンの粒子と、化石燃料由来ポリエチレンと、植物由来ポリエチレン系樹脂とを含有し、」「バイオマス度が10%以上、50%以下であり、」「全ポリエチレン系樹脂組成物中の、該酸化チタンの粒子の含有率は、2質量%以上、8質量%以下であり、」「該シーラントフィルムの全光線透過率は、0%以上、40%以下であり、」「全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレン/C6直鎖状低密度ポリエチレンの質量比は、2より大きく、5以下」とするものであり、実施例の【0052】【表1】には、上記解決手段を満たす実施例1~4において、上記課題が解決できていることが示されている。 そして、上記解決手段は、本件発明1、6において特定されている。 そうすると、本件発明1、6により、本件発明の課題を解決できることを当業者であれば認識できるといえる。 よって、本件発明1、6及びそれらのいずれかを引用する本件発明2~5、7~11は、発明の詳細な説明に記載されたものである。 (3) 申立人の主張について ア 主張の概要 申立人1~3によるサポート要件についての主張は、上記第3で示したように、チーグラー触媒を用いた気相法のB社のLLDPE以外のLLDPEを用いた場合には本件発明の課題が解決できると当業者が認識できないというものである。 イ 主張に対する判断 申立人1~3が提出する申立1甲1-1~申立1甲4-4、申立2甲1~申立2甲13及び申立3甲1~申立3甲11をみても、本件特許発明の課題が、実施例等で使用したB社のLLDPEをシーラントフィルムに用いた場合においてのみ妥当するとはいえず、その他の証拠を踏まえても、他のLLDPEを用いた場合、当該課題が生じ得ないとはいえない。 そうすると、本件特許発明の構成は、B社の当該LLDPEを前提としたものであって、その範囲は、B社の当該LLDPEの範囲に限定されるべきであるとの主張は、その前提が認められず、申立人1~3の上記主張は採用できない。 (4) サポート要件についてのまとめ したがって、本件発明1~11は、発明の詳細な説明に記載されたものである。 3 明確性要件について (1) 明確性要件の法規範 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 (2) 以下、上記(1)の観点に立って、本件特許の特許請求の範囲の記載が明確性要件に適合するか否かについて検討する。 本件特許の特許請求の範囲の記載は上記第2に示したとおりであり、その記載自体に不明確なところはなく、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 (3) 申立人の主張について ア 主張の概要 申立人1~3による明確性要件についての主張は、上記第3で示したように、「植物由来ポリエチレン系樹脂」が、どのような構造及び性能等を意味するかが不明であるというものである。 イ 主張に対する判断 請求項1、3、6、7に記載の「植物由来ポリエチレン系樹脂」は、「植物由来」である「ポリエチレン系樹脂」を特定しており、その文言どおり、「植物由来であるポリエチレン系樹脂」と理解でき、当業者において明確であるといえる。しかも、明細書において「(植物由来ポリエチレン系樹脂)本発明において、「植物由来」とは、植物を原料として得られるアルコールから製造される、植物原料に由来する炭素を含むことを意味する。」(【0018】)と記載されており、上記理解とも整合する。 そうすると、本件発明1~11は第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 よって、申立人1~3の上記主張は採用できない。 (4) 明確性要件についてのまとめ したがって、本件発明1~11は、明確である。 4 実施可能要件について (1) 実施可能要件の法規範 特許法第36条第4項は、「前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。」と記載され、その第1号において、「経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に、明確かつ十分に記載しなければならない。」と規定している。同号は、明細書のいわゆる実施可能要件を規定したものであって、物の発明では、物を実施するための具体的な記載が発明の詳細な説明にあるか、そのような記載がない場合には、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づき、当業者が過度の試行錯誤や複雑高度な実験等を行う必要なく、その物を実施することができる程度にその発明が記載されなければならないと解される。 (2) 以下、上記(1)の観点に立って、本件特許の明細書及び図面の記載が実施可能要件に適合するか否かについて検討する。 本件発明1~11に対応する発明の詳細な説明には、解決しようとする課題が【0006】に、課題を解決するための手段が【0006】に、発明を実施するための形態が【0009】~【0044】に、実施例が【0045】~【0060】に記載されている。そして、当該発明の詳細な説明の記載を考慮すれば、本件発明の課題を解決するために、特定の白色顔料と、特定の、化石燃料ポリエチレン系樹脂と植物由来ポリエチレン系樹脂とを特定比率で含有することを特徴とする、ポリエチレン系樹脂組成物に係る本件発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。しかも、明細書において、【0042】~【0052】のうち特に【0052】【表1】において、本件発明の課題が解決できていることを確認できるものである。 そうすると、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1~11に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 (3) 申立人の主張について ア 主張の概要 申立人1~3による実施可能要件についての主張は、上記第3で示したように、「B社のLLDPE以外の植物由来ポリエチレン系樹脂」以外を含む本件発明1~11を実施することができないというものである。 イ 主張に対する判断 請求項1、3、6、7に記載の「植物由来ポリエチレン系樹脂」について、本件明細書の【0018】には「(植物由来ポリエチレン系樹脂)本発明において、「植物由来」とは、植物を原料として得られるアルコールから製造される、植物原料に由来する炭素を含むことを意味する。」と記載されており、「植物由来ポリエチレン系樹脂」が実施例で用いられているB社のLLDPEのみを意味するものではないことは明らかである。 そして、本件明細書に、B社のLLDPE以外の植物由来ポリエチレン系樹脂を用いた実施例の記載がないとしても、当業者が、本件明細書の記載及び技術常識を参酌することで、B社のLLDPE以外の植物由来ポリエチレン系樹脂を用いた本件発明を実施することができることは明らかである。また、B社のLLDPE以外の植物由来ポリエチレン系樹脂を用いて本件発明を実施することができないといえる技術常識もなく、そのような証拠も提出されていない。 よって、申立人1~3の上記主張は採用できない。 (4) 実施可能要件についてのまとめ したがって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1~11を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 5 進歩性について (1) 本件発明1について ア 甲4-1発明との対比 本件発明1と甲4-1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 甲4-1発明の「エチレン・1-ブテン共重合体(A12)70質量%、エチレン・1-ヘキセン共重合体(A14)30質量%からなる樹脂成分(X)70質量部、および高圧法LDPE(B11)30質量部とからなる組成物(PE2)を用いた組成物を」、「ラミ厚み30μmで、基材接触面にオゾン処理を行った溶融樹脂膜」は、「エチレン・1-ブテン共重合体(A12)」、「エチレン・1-ヘキセン共重合体(A14)」、および「高圧法LDPE(B11)」が「ポリエチレン系樹脂組成物」であるから、本件発明1の「ポリエチレン系樹脂組成物を用いて形成された層を含み、単層または2層以上の複数層からな」る態様を包含するものといえる。 甲4-1発明の「前記組成物は、低温ヒートシール性を維持しシーラント層および外層等にも使用可能な樹脂材料であり、その積層体は軟包装等にも利用可能である溶融樹脂膜」は、本件発明1の「包装材料用の白色シーラントフィルム」と、「包装材料用のシーラントフィルム」の限りで一致している。 また、甲4-1発明の「前記組成物は、低温ヒートシール性を維持しシーラント層および外層等にも使用可能な樹脂材料であり、その積層体は軟包装等にも利用可能である溶融樹脂膜」は、本件発明1の「ポリエチレン系樹脂組成物を用いて形成された層を含み、単層または2層以上の複数層からな」る態様を包含するといえる。 以上のことから、本件発明1と、甲4-1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点A] 「ポリエチレン系樹脂組成物を用いて形成された層を含み、単層または2層以上の複数層からなり、 該ポリエチレン系樹脂組成物が、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレン/C6直鎖状低密度ポリエチレンの質量比は、2より大きく、5以下であり、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレンの含有量が、45質量%よりも大きく、70質量%以下であり、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂/前記低密度ポリエチレン系樹脂の質量比が、2以上、5以下であり、 全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレンとC6直鎖状低密度ポリエチレンとの合計含有率が、60質量%以上、85質量%以下である、 包装材料用のシーラントフィルム。」 [相違点A-1] 全光線透過率について、本件発明1が「ポリエチレン系樹脂組成物を用いて形成された層」が「単層においては、全光線透過率が、0%以上、40%以下であり、2層以上の複数層においては、全光線透過率が、0%以上、37.2%以下である」のに対し、甲4-1発明は、そのような特定がなされていない点。 [相違点A-2] ポリエチレン系樹脂組成物について、本件発明1が「白色顔料としての1種または2種以上の結晶構造の酸化チタンの粒子と、化石燃料由来ポリエチレンと、植物由来ポリエチレン系樹脂とを含有し、バイオマス度が10%以上、50%以下であり、前記酸化チタンの粒子は、結晶構造がルチル型であり、平均粒子径が0.1μm以上、0.5μm以下であり、全ポリエチレン系樹脂組成物中の、該酸化チタンの粒子の含有率は、2質量%以上、4.8質量%以下であ」るのに対し、甲4-1発明は、そのような特定がなされていない点。 [相違点A-3] シーラントフィルムについて、本件発明1が「白色シーラントフィルム」であるのに対し、甲4-1発明は、そのような特定がなされていない点。 [相違点A-4] 本件発明1が「全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレン/C6直鎖状低密度ポリエチレンの質量比は、2より大きく、5以下であり、全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレンの含有量が、45質量%よりも大きく、70質量%以下であり、全ポリエチレン系樹脂組成物中の、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂/前記低密度ポリエチレン系樹脂の質量比が、2以上、5以下であり、全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレンとC6直鎖状低密度ポリエチレンとの合計含有率が、60質量%以上、85質量%以下である」のに対し、甲4-1発明は、そのような特定がなされていない点。 イ 判断 事案に鑑み相違点A-2について検討する。 上記第4の1(2)で示したように、「乳白色ポリエチレン系樹脂層に配合する白色顔料として、「ルチル形酸化チタン」が存在し、乳白色ポリエチレン系樹脂層に配合する酸化チタンの割合に関し、「4重量%」、「2.8重量%」、「2.0重量%」であることは、甲4-2記載事項であり、上記第4の1(12)で示したように、ポリエチレンを用いた遮光フィルムに関し、遮光性フィルムの表面層を形成する原料として、高密度ポリエチレン(C)50重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(D)50重量部およびチタンホワイト〔東京インキ(株)製、製品名 PZX6800ホワイト〕4重量部のブレンド物であり、酸化チタンの含有割合は、3.8重量%であることは、甲4-3記載事項であり、上記第4の1(4)で示したように、シーラントフィルム及びそれを用いた包装材に関し、酸化チタンとして「ルチル型」があり、また、平均粒径0.1~1.0μm程度のものを使用すること(【0051】)、及び、酸化チタンの粒径として、平均粒径0.3μmを実施例に使用したことは、甲4-4記載事項1であり、環境への負荷を低減するために、樹脂フィルムの原料の一部を、石油由来の樹から、植物由来樹脂に置き換えることが検討されていること、シーラントフィルムにおいて、植物由来ポリエチレン系樹脂の配合量は70質量%以下、好ましくは15~70質量%、より好ましくは40~70質量%であり、実施例のシーラントフィルムにおいてバイオマス度が「約41%」、「約43%」、「約48%」であることは、甲4-4記載事項2である。 しかしながら、申立1甲4-1には、甲4-1発明に係る溶融樹脂膜の全光線透過率(白色性)を向上させること、そのために酸化チタン等の白色顔料を含有させること、及び、バイオマス度を向上させることは記載も示唆もされていないから、甲4-2記載事項、甲4-3記載事項、甲4-4記載事項1及び甲4-4記載事項2を適用する動機付けはなく、また、そのような構成は本件特許優先日時点における周知技術であるともいえない。 そうすると、申立1甲4-2~申立1甲4-4に接した当業者が甲4-1発明において、「ポリエチレン系樹脂組成物」が「白色顔料としての1種または2種以上の結晶構造の酸化チタンの粒子と、化石燃料由来ポリエチレンと、植物由来ポリエチレン系樹脂とを含有し、バイオマス度が10%以上、50%以下であり、前記酸化チタンの粒子は、結晶構造がルチル型であり、平均粒子径が0.1μm以上、0.5μm以下であ」る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 ウ 申立人1の主張について (ア) 申立人1は特許異議申立書(第43ページ第16行~第44ページ第20行)において以下のとおり主張する。 a 甲4-2から甲4-3には、ポリエチレン系樹脂フィルムに酸化チタンを含有させる旨の記載があり、酸化チタンとしてルチル型酸化チタンの記載があり、酸化チタンの含有割合として、2重量%及び4重量%の記載があり、2重量%~4重量%程度の少量の酸化チタンをポリエチレン系樹脂フィルムに配合することは周知技術である。また、甲4-4には、酸化チタンの平均粒径として0.3μmの記載がある。これらの記載から、甲4-2から甲4-4のポリエチレン系樹脂フィルムにおいて、全光線透過率が、0~40%又は0~37.2%の範囲にあると言える。 b 「記載要件違反」で述べたように、植物由来ポリエチレン及び化石燃料由来ポリエチレンは、同一の原料モノマーを、同一の触媒を用い、同一の重合方法で重合すれば、構造及び性能は同一となり、技術的な相違はない。したがって、甲4-1に、植物由来ポリエチレン系樹脂及びバイオマス度の記載が無くても、技術的な相違点ではない。仮に、植物由来ポリエチレン系樹脂及びバイオマス度が技術的相違点であったとしても、本件特許明細書の【背景技術】及び甲4-4に、植物由来ポリエチレン系樹脂を化石燃料由来ポリエチレン系樹脂に代えて使用することが記載され、バイオマス度が10~50%であることも、甲4-4の実施例5~8にバイオマス度が当該範囲にあることが記載されている。 c 甲4-2から甲4-4は、甲4-1と、技術分野、課題及び効果が共通するため、甲4-1に甲4-2から甲4-4を適用して本件特許発明1とすることは、当業者において、容易に相当するものと言える。したがって、本件特許発明1は、甲4-1から甲4-4により、進歩性欠如と言える。 (イ) 上記各主張について検討する。 上記aについて、申立1甲4-2~申立1甲4-4において、「ポリエチレン系樹脂組成物を用いて形成された層」が「白色顔料としての1種または2種以上の結晶構造の酸化チタンの粒子と、化石燃料由来ポリエチレンと、植物由来ポリエチレン系樹脂とを含有し、バイオマス度が10%以上、50%以下であり、前記酸化チタンの粒子は、結晶構造がルチル型であり、平均粒子径が0.1μm以上、0.5μm以下であ」ること、「ポリエチレン系樹脂組成物を用いて形成された層」が「単層においては、全光線透過率が、0%以上、40%以下であり、2層以上の複数層においては、全光線透過率が、0%以上、37.2%以下である」構成は記載されていない。特に、申立1甲4-2~申立1甲4-4の記載から、申立1甲4-2~申立1甲4-4のポリエチレン系樹脂フィルムにおいて、全光線透過率が、0~40%又は0~37.2%の範囲にあるとはいえない。 上記bについて、申立1甲4-2~申立1甲4-4において、「ポリエチレン系樹脂組成物を用いて形成された層」が「白色顔料としての1種または2種以上の結晶構造の酸化チタンの粒子と、化石燃料由来ポリエチレンと、植物由来ポリエチレン系樹脂とを含有し、バイオマス度が10%以上、50%以下であ」ることは、記載されていない。また、甲4-1発明において、「ポリエチレン系樹脂組成物を用いて形成された層」が「白色顔料としての1種または2種以上の結晶構造の酸化チタンの粒子と、化石燃料由来ポリエチレンと、植物由来ポリエチレン系樹脂とを含有し、バイオマス度が10%以上、50%以下であ」る構成を採用する動機付けはない。 上記cについて、甲4-1発明において、甲4-2記載事項、甲4-3記載事項、甲4-4記載事項1及び甲4-4記載事項2を適用する動機付けはなく、本件発明1とすることは、当業者において、容易に想到するものとはいえない。 よって、申立人1の上記主張a~cは採用できない。 エ 小括 以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4-1発明、甲4-2記載事項、甲4-3記載事項、甲4-4記載事項1及び甲4-4記載事項2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2) 本件発明6について ア 甲4-1発明との対比 本件発明6と甲4-1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、以下のとおりであり、その余については上記(1)アで示したとおりである。 甲4-1発明の「前記組成物は、低温ヒートシール性を維持しシーラント層および外層等にも使用可能な樹脂材料であり、その積層体は軟包装等にも利用可能である溶融樹脂膜」は、本件発明6の「包装材料用の白色シーラントフィルム」と、「包装材料用のシーラントフィルム」の限りで一致している。 甲4-1発明の「エチレン・1-ブテン共重合体(A12)70質量%、エチレン・1-ヘキセン共重合体(A14)30質量%からなる樹脂成分(X)70質量部、および高圧法LDPE(B11)30質量部とからなる組成物(PE2)を用いた組成物を」、「ラミ厚み30μmで、基材接触面にオゾン処理を行った溶融樹脂膜」は、「エチレン・1-ブテン共重合体(A12)」、「エチレン・1-ヘキセン共重合体(A14)」、および「高圧法LDPE(B11)」が「ポリエチレン系樹脂組成物」であるから、本件発明6の「共押出によって作製された、2層以上の多層構成の包装材料用の白色シーラントフィルムであって、ポリエチレン系樹脂組成物から形成された層を、全白色シーラントフィルム中の、合計40質量%以上、100質量%以下の範囲で、1層または2層以上含み、」む態様と、「シーラントフィルムであって、ポリエチレン系樹脂組成物から形成された層を、1層または2層以上含」む態様である限りにおいて一致する。 以上のことから、本件発明6と、甲4-1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点B] 「シーラントフィルムであって、 ポリエチレン系樹脂組成物から形成された層を、1層または2層以上含む、 包装材料用のシーラントフィルム。」 [相違点B-1] 全光線透過率について、本件発明6が「全光線透過率が、0%以上、37.2%以下である」のに対し、甲4-1発明は、そのような特定がなされていない点。 [相違点B-2] ポリエチレン系樹脂組成物について、本件発明6が「白色顔料としての1種または2種以上の結晶構造の酸化チタンの粒子と、化石燃料由来ポリエチレンと、植物由来ポリエチレン系樹脂とを含有し、バイオマス度が10%以上、50%以下であり、前記酸化チタンの粒子は、結晶構造がルチル型であり、平均粒子径が0.1μm以上、0.5μm以下であり、、全ポリエチレン系樹脂組成物中の、該酸化チタンの粒子の含有率は、2質量%以上、4.8質量%以下であ」るのに対し、甲4-1発明は、そのような特定がなされていない点。 [相違点B-3] シーラントフィルムについて、本件発明6が「共押出によって作製された、2層以上の多層構成の包装材料用の白色シーラントフィルムであって、ポリエチレン系樹脂組成物から形成された層を、全白色シーラントフィルム中の、合計40質量%以上、100質量%以下の範囲で、1層または2層以上含」むのに対し、甲4-1発明は、そのような特定がなされていない点。 [相違点B-4] 本件発明6が「全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレン/C6直鎖状低密度ポリエチレンの質量比は、2より大きく、5以下であり、全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレンの含有量が、45質量%よりも大きく、70質量%以下であり、全ポリエチレン系樹脂組成物中の、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂/前記低密度ポリエチレン系樹脂の質量比が、2以上、5以下であり、全ポリエチレン系樹脂組成物中の、C4直鎖状低密度ポリエチレンとC6直鎖状低密度ポリエチレンとの合計含有率が、60質量%以上、85質量%以下である」のに対し、甲4-1発明は、そのような特定がなされていない点。 イ 判断 事案に鑑み相違点B-2について検討するに、相違点B-2は相違点A-2と実質的に同じであり、その判断についても、上記(1)イで示したとおりである。 ウ 申立人1の主張について 上記(1)ウで示したとおりである。 エ 小括 以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は、甲4-1発明、申立1甲4-1に記載の技術的事項、甲4-2記載事項、甲4-3記載事項、甲4-4記載事項1及び甲4-4記載事項2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 本件発明2~5、7~11について 本件発明2~5、7~11は、本件発明1又は本件発明6の特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(1)イ又は上記(2)イで検討したものと同じ理由により、甲4-1発明、申立1甲4-1に記載の技術的事項、甲4-2記載事項、甲4-3記載事項、甲4-4記載事項1及び甲4-4記載事項2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4) 進歩性についてのまとめ したがって、本件発明1~11は、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 むすび 以上のとおり、請求項1~11に係る特許は、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、取り消すことができない。 また、他に請求項1~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700978

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決1,227件(入江 祐介、大日本印刷株式会社、梯 京子 ほか)
  • 2023-701399異議申立 / 2024-11-08 / 訂正認容植物由来ポリエチレン系樹脂を用いたフィルムおよび包装袋
    同じ当事者: 大日本印刷株式会社、野口 操
  • 2020-700268異議申立 / 2021-10-25 / 訂正認容プロピレンポリマー組成物で作られた二軸配向フィルム
    同じ当事者: 梯 京子、野口 操
  • 2021-900053異議申立 / 2021-07-20 / 維持ナノマスク、ナノ
    同じ当事者: 梯 京子、野口 操
  • 2024-700913異議申立 / 2026-09-08
    同じ当事者: 大日本印刷株式会社
  • 2026-700281異議申立 / 2026-07-30 / 維持化粧シート
    同じ当事者: 大日本印刷株式会社
同じ論点・分野の審決(審決分類)1,409件(121・B65D、536・B65D、537・B65D)
  • 2025-700867異議申立 / 2026-01-13 / 維持包装体および梱包箱
    共通の審決分類: 121・B65D、536・B65D、537・B65D
  • 2025-700929異議申立 / 2025-12-23 / 維持チューブ容器
    共通の審決分類: 121・B65D、536・B65D、537・B65D
  • 2025-700465異議申立 / 2025-12-11 / 訂正認容ポリエステル容器及びポリエステルプリフォーム
    共通の審決分類: 121・B65D、536・B65D、537・B65D
  • 2025-700950異議申立 / 2025-11-20 / 維持ロール製品
    共通の審決分類: 121・B65D、536・B65D、537・B65D
  • 2025-700022異議申立 / 2025-11-07 / 訂正認容電子部品包装用カバーテープおよび電子部品包装体
    共通の審決分類: 121・B65D、536・B65D、537・B65D

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存