商標異議申立
2021-900423
オイスター
- 審判番号
- 2021-900423
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-034871
- 登録番号
- 6444111
- 請求日
- 2021年11月30日
- 審決日
- 2022年12月14日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】バルミューダ株式会社
- 【権利者代理人】西村 啓一
- 【異議申立人】ロレツクス ソシエテ アノニム
- 【異議申立人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【異議申立人代理人】森田 拓
- 【異議申立人代理人】松永 章吾
- 【異議申立人代理人】前川 純一
- 【異議申立人代理人】山崎 和香子
- 【異議申立人代理人】前川 砂織
- 審判長/審判官
- 審判長 森山 啓
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T1652.261-Z (W09) / T1652.262-Z (W09) / T1652.263-Z (W09) / T1652.264-Z (W09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法43条の3第2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第6条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6444111号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6444111号商標の指定商品中、第9類「腕時計型携帯情報端末」についての商標登録を取り消す。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6444111号商標(以下「本件商標」という。)は、「OYSTER」の文字を標準文字で表してなり、令和3年3月23日に登録出願、第9類「オゾン発生器,電解槽,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,電池,蓄電池,蓄電池(乗物用),電気通信機械器具,全地球測位装置(GPS),携帯情報端末,腕時計型携帯情報端末,スマートフォン,携帯情報端末の部品及び附属品,光学式記録媒体,電子応用機械器具及びその部品,光学式文字読取り装置,マウス(コンピュータ周辺機器),コンピュータ周辺機器,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電気又は電子楽器用フェイザー,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物,電子出版物(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」を指定商品として、同年8月20日に登録査定、同年9月16日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立てにおいて、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第987836号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲1のとおり「OYSTER」の欧文字を横書きしてなり、昭和45年12月3日登録出願、第23類「時計、その部品及び附属品」を指定商品として、同47年11月4日に設定登録され、その後、平成15年4月23日に、指定商品を第14類「時計,時計の部品及び附属品」とする書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第9類「腕時計型携帯情報端末」について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第32号証(枝番号を含む。なお、特に断らない限り、証拠番号には枝番号を含み、表記に当たっては、「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号
(1)本件商標と引用商標の外観
本件商標及び引用商標は、いずれも「OYSTER」の文字を横書きに書してなる。
よって、本件商標と引用商標は、「OYSTER」の文字を共通にする外観上類似する商標である。
(2)本件商標と引用商標から生じる称呼
本件商標「OYSTER」及び引用商標「OYSTER」からは、共に「オイスター」の称呼が生じるから、本件商標と引用商標は、「オイスター」の称呼を共通にする称呼上類似の商標である。
(3)本件商標と引用商標から生じる観念
英単語の「OYSTER」は「牡蠣」を意味する語として我が国の需要者にもよく知られているため、本件商標及び引用商標からは、共に「牡蠣」の観念を生ずる。
(4)上記より、本件商標と引用商標は、外観、称呼、観念共に共通する類似の商標である。
(5)指定商品、役務の抵触について
引用商標は、昭和34年法及び旧日本分類下で登録されたものであるが、平成15年3月28日付で書換登録申請を行っており、書換後の指定商品は「第14類 時計、時計の部品及び附属品」である。
書換登録申請を行った当時に適用されていた類似商品・役務審査基準(国際分類第8版対応)の「時計」には、時計の一種である腕時計が含まれていることが明記されている。
そして、第14類「時計」に含まれている「腕時計」は、類似商品・役務審査基準において第9類の「腕時計型携帯情報端末」と類似と推定されている。
よって、本件商標の指定商品中、「腕時計型携帯情報端末」は引用商標の指定商品「時計」に含まれる「腕時計」と類似する。
(6)まとめ
上記より、本件商標と引用商標は外観、称呼、観念共に共通する類似の商標であり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品も類似するものであるから、本件商標は引用商標との関係で商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号
(1)商標「OYSTER」「オイスター」の周知著名性
申立人は約100年の歴史を誇る世界的に著名な時計会社である。その歴史は、1905年、申立人の創始者ハンス・ウイルスドルフがイギリスのロンドンに時計会社を設立したことに始まり、「ROLEX」が申立人会社の名称となったのは1908年のことである(甲3)。
申立人の腕時計は、その正確性において高い性能を有していることでも全世界に知られている。
1910年、スイス公認クロノメーター検査協会から、腕時計で初めて、クロノメーターの公式証明書を獲得し、1914年、イギリスのキュー天文台において腕時計では初のA級証明書を獲得した。なお、クロノメーターとは、公的な試験所にてその精度の高さが証明された時計のことであり、試験に合格した時計には一つ一つ証明書が与えられるものである(甲3)。
申立人は、それまでの腕時計にはなかった、腕時計の性能を高める機構を開発し、常に時計界をリードする立場にいることで知られている。
1900年代初めまでは、携帯用の時計といえば懐中時計であったが、懐中時計を腕に巻いて使用する者が現れるようになった。
しかし、ポケットの中に入れて使用していた懐中時計を、常に外気等にさらされる腕時計として使用するには防水性や耐久性などに問題があった。
そこで申立人は、防水性、気密性及び防塵性を備えたケースを世界で初めて開発し、特許を取得し、「オイスター」と名付けた(甲3)。
その性能の高さは、1927年、ロレックス・オイスターが、メルセデス・グライツ嬢の腕に付けられてドーバー海峡を横断したことによっても証明されている(甲3)。当時、腕時計をしたまま泳ぐことなど前代未聞のことであり、女性初のドーバー海峡横断に成功したグライツ嬢の腕にはめられた申立人の時計は正確に時刻を刻んでいた。この情報は瞬く間に世界中を駆けめぐり、多くの新聞がこのことを記事にした。申立人の腕時計は、完璧な防水性能を有する時計として人々に認識され、人気を博することとなった。
2012年から2019年の申立人商品カタログ(国際版。甲20~甲27)に掲載されている全ての商品が「OYSTER」を冠したものであることから、「OYSTER」が申立人の業務に係る商品の大半を占めるものであることがわかる。
「OYSTER」及びその片仮名表記である「オイスター」は、上記のような歴史的経緯及び永年にわたる使用の結果、我が国における需要者によく知られることとなり、周知著名性を獲得したものである(甲3~甲19)。
このことは、メディアにおいて「ダイバーズウォッチ誕生の経緯において、先鞭をつけたのはロレックス」(甲6)、「夏の究極時計」(甲7)、「すべてのダイバーズウォッチの原型と言われる普遍のデザインは、50年以上経った現在でも色あせることはない」(甲12)、「男の永世定番」(甲13)、「ロレックスの名品」(甲14)などと紹介されていることからも明らかである。
また、インターネット検索エンジン「Google」で「腕時計 オイスター」を検索した結果(甲19)、その大部分が申立人の業務に係る商品についてのものであることからも、少なくとも腕時計については「OYSTER」及びその片仮名表記である「オイスター」が、申立人の業務に係る商標として周知著名であることは明らかである。
なお、申立人はゴルフ、テニス、ヨットレース、モータースポーツ、舞台芸術といった分野においてスポンサー活動を積極的に行っており(甲28)、また日本のみならず世界の各国においても積極的に広報宣伝活動を行っている(甲29)。
(2)混同のおそれ
本件商標と引用商標が称呼、外観及び観念において類似する商標であること、引用商標が我が国において周知著名となっていることは先に述べたとおりである。
また、本件異議申立ての対象となっている第9類の指定商品「腕時計型携帯情報端末」と、申立人が引用商標を使用している第14類に属する商品「腕時計」は、共に腕に装着して使用する商品であり、「腕時計型携帯情報端末」は時間を表示する機能を標準的に搭載している。
また、近年ではタグ・ホイヤー、ウブロ、モンブランといった伝統的な高級腕時計メーカーや、シチズン時計株式会社、セイコーウオッチ株式会社といった我が国を代表する腕時計メーカーが、相次いでスマートウォッチと称される腕時計型携帯情報端末の発売に踏み切っている実情がある(甲30~甲32)。
上記の事実と類似商品・役務審査基準において第9類「腕時計型携帯情報端末」と第14類「腕時計」が備考類似の商品と推定されていることを併せて勘案すると、「腕時計型携帯情報端末」と「腕時計」は、商品の製造、販売者、用途、及び需要者を共通にするものであって、密接な関係があるから、本件商標を「腕時計型携帯情報端末」に使用したときには、これに接する取引者、需要者が、申立人の製造、販売又は提供に係る商品と誤認混同されるおそれがあるとみるのが相当である。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、申立人の周知著名な商標「OYSTER」「オイスター」との間で出所の混同を生じるおそれのある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審における取消理由
当審において、本件商標権者に対し、「本件商標は、第9類「腕時計型携帯情報端末」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである」との取消理由を令和4年9月7日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
第5 商標権者の意見
商標権者は、上記第4の取消理由に対して、指定した期間内に何ら意見を述べていない。
第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)商標の類否
ア 本件商標
本件商標は、上記第1のとおり「OYSTER」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「牡蠣(カキ)」の意味を有する英語の成語として、一般に親しまれているものであるから、本件商標からは、「オイスター」の称呼及び「牡蠣(カキ)」の観念を生じるものである。
イ 引用商標
引用商標は、別掲1に示すとおり、「OYSTER」の文字を横書きしてなるものであって、本件商標と同様に「牡蠣(カキ)」の意味を有する英語の成語として、一般に親しまれているものであるから、引用商標からは、「オイスター」の称呼及び「牡蠣(カキ)」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは、共に「OYSTER」の文字を書してなり、そのつづりを共通にすることから、外観において紛らわしく類似するものといえる。また、両商標からは共に「オイスター」の同一の称呼及び「牡蠣(カキ)」の同一の観念を生じるものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのある同一又は類似の商標というべきである。
(2)商品の類否
ア 商品の類否の判断基準
商標法において、商品の区分は、商品の類似の範囲を定めるものではない(商標法第6条第1項)と規定されており、商品の類否の判断は、取引の実情、すなわち商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品との関係にあるかどうか等を総合的に考慮して判断すべきであると解される(東高裁平成8年3月21日判決 平成7年(行ケ)第161号及び知財高裁平成28年2月17日判決 平成27年(行ケ)第10134号)。
イ そこで検討するに、第9類「腕時計型携帯情報端末」は、腕時計のような形をした手首に巻いて用いるタイプの商品であり、演算処理や通信といった電子機器の機能に加え時計機能をも有しているものである。
また、腕時計型携帯情報端末は、別掲2に示すとおり、コンピューターメーカーばかりではなく、腕時計メーカーも製造、販売していることが認められ、さらに、別掲3のとおり、腕時計型携帯情報端末は家電量販店や時計専門店で販売されている。
そして、腕時計型携帯情報端末の購入者は、時計に関心を有する一般消費者であり、ネットショッピングや小売店(時計専門店)などで腕時計を購入しようとする一般の消費者にとって、腕時計型携帯情報端末は、通常の腕時計と並んで購入対象となるものであり、販売価格が大きく異なるともいえないことからすれば、腕時計型携帯情報端末と腕時計の需要者層は重複しているということができる。
ウ そうすると、本件商標の指定商品中「腕時計型携帯情報端末」と引用商標の指定商品中「時計」の範ちゅうに含まれる「腕時計」とは、その性質、用途等において関連性の強い商品であるというのが相当であり、また、事業者(生産部門、販売部門)、需要者の範囲が一致するといえるものである。
したがって、「腕時計型携帯情報端末」と「腕時計」とは、類似する商品であるといえる。
(3)小括
上記(1)及び(2)のとおり、本件商標と引用商標とは類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品「腕時計型携帯情報端末」と引用商標の指定商品中の「腕時計」とは類似する商品であるから、本件商標は、第9類「腕時計型携帯情報端末」について、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 むすび
以上によれば、本件商標は、その指定商品中、第9類「腕時計型携帯情報端末」について、商標法第4条第1項第11号に該当し、これに違反して登録されたものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第9類「腕時計型携帯情報端末」の商品については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その余の申立ての理由について論及するまでもなく同法第43条の3第2項の規定により、その指定商品中、「結論掲記の指定商品」について、その登録を取り消すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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