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特許異議申立

2023-701236

止水装置

審判番号
2023-701236
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-114102
登録番号
7281852
請求日
2023年11月22日
審決日
2024年03月26日
公報発行日
2024年04月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社ケイ・メック
  • 【権利者代理人】弁理士法人いしい特許事務所
  • 【異議申立人】株式会社 鈴木シャッター
  • 【異議申立人代理人】廣瀬 哲夫
  • 【異議申立人代理人】服部 秀一
  • 【異議申立人代理人】鈴木 佑子
  • 【異議申立人】伊澤 武登
審判長/審判官
  • 審判長 住田 秀弘
  • 審判官 藤田 年彦
  • 審判官 蔵野 いづみ
分類
P1651.55 -Y (E06B) / P1651.537-Y (E06B) / P1651.113-Y (E06B) / P1651.121-Y (E06B) / P1651.161-Y (E06B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条の2
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7281852号発明「止水装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7281852号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7281852号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、平成30年5月23日に出願された特許出願2018-99044号の一部を令和4年7月15日に新たな特許出願としたものであって、令和5年5月18日にその特許権の設定登録がされ、同年同月26日に特許掲載公報が発行され、同年11月22日に、本件特許に対し、特許異議申立人株式会社鈴木シャッター(以下「申立人A」という。)による特許異議の申立てと、特許異議申立人伊澤武登(以下「申立人B」という。)による特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(符号A等は分説のため当審で付した。)。 「【請求項1】 A 間隔を空けて設置された左右の支持体と、 B 左右の前記支持体に着脱可能に取り付けられて立設される止水板と C を備えた止水装置であって、 前記止水板は、 D 前記支持体に対して前後方向に移動されるとともに前記支持体に係止されることで前記支持体に接続されるとともに、 E 少なくとも起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材を備えている、 止水装置。」 第3 申立理由の概要 1 申立人Aの申立理由の概要 申立人Aは、特許異議申立書において、証拠方法として甲第1号証~甲第18号証(以下「甲A1」~「甲A18」という。)を提出し、本件特許に対し申立理由1~2(以下「理由A1」~「理由A2」という。)を主張している。 (1)理由A1(新規事項) 令和4年7月15日提出の手続補正書による補正(以下「本件補正1」という。)により特定された「起立面部における前記支持体と当接する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材」(以下「本件補正事項1」という。)、及び令和4年8月3日提出の手続補正書による補正(以下「本件補正2」という。)により特定された「起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材」(以下「本件補正事項2」という。)のうちのパッキン部材が「切れ目なくまたがって連続して」設けられている旨の記載は、本件特許の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載がなく、新規事項を追加するものであり、特許法第17条の2第3項の規定に違反して補正されたものであり、本件特許は、同法第113条第1号の規定に該当し、取り消されるべきものである。 (2)理由A2(進歩性) 本件発明は、甲A12に記載された発明と、甲A13~甲A17または甲A18に記載された公知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件特許は、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。 <証拠方法> ・甲A1:特開2019-203309号公報(親出願) ・甲A1の1:特許法第17条の2の規定による補正の掲載(親出願) ・甲A2:親出願の最初の拒絶理由通知(親出願の審査経過) ・甲A3:親出願の最初の拒絶理由通知に対応する手続補正書(親出願の審査経過) ・甲A4:親出願の最初の拒絶理由通知に対応する(第1回目の)意見書(親出願の審査経過) ・甲A5:親出願の最後の拒絶理由通知(親出願の審査経過) ・甲A6:親出願の最後の拒絶理由通知に対応する手続補正書(親出願の審査経過) ・甲A7:親出願の最後の拒絶理由通知に対応する意見書(親出願の審査経過) ・甲A8:特許第7126684号公報(本件の親出願) ・甲A9:特開2022-137253号公報(本件の公開公報) ・甲A10:第1回目の上申書(本件の出願経過) ・甲A11:第2回目の上申書(本件の出願経過) ・甲A12:特開2001-98792号公報 ・甲A13:特開2016-191280号公報 ・甲A14:特開2001-329759号公報 ・甲A15:特開2005-180131号公報 ・甲A16:特開2016-205121号公報 ・甲A17:特開2017-8644号公報 ・甲A18:特開2007-132130号公報 2 申立人Bの申立理由の概要 申立人Bは、特許異議申立書において、証拠方法として甲第1号証~甲第6号証(以下「甲B1」~「甲B6」という。)を提出し、本件特許に対し申立理由1~6(以下「理由B1」~「理由B6」という。)を主張している。 (1)理由B1(新規事項) 本件補正事項1及び2に係る「パッキン部材」の「切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層」とされる事項は、当初明細書等に記載されておらず、また、当業者によって当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項であるということもできないから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項の規定に違反して補正されたものであり、本件特許は、同法第113条第1号の規定に該当し、取り消されるべきものである。 (2)理由B2(サポート要件) 本件特許の発明の詳細な説明には、本件発明の「切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材」は記載も示唆もなく、止水板を迅速且つ容易に設置できる止水装置を提供する(【0006】)という本件発明の課題を解決するために足りると認識できる範囲のものと認めることができず、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、本件特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 (3)理由B3(明確性) 本件発明の請求項1の「切れ目なくまたがって連続して設けられた」及び「厚み方向に単層」との記載が明確ではなく、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本件特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 (4)理由B4(新規性) 本件発明は、甲B1、甲B2、甲B3、甲B4又は甲B5に記載された発明であり、本件特許は、特許法第29条第1項第3号に該当するから、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 (5)理由B5(進歩性) 本件発明は、甲B1に記載された発明に基づいて、甲B2に記載された発明に基づいて、甲B3に記載された発明及び周知技術(甲B1、甲B2、甲B4、甲B5)に基づいて、甲B4に記載された発明及び周知技術(甲B1~甲B3)に基づいて、または、甲B5に記載された発明及び周知技術(甲B1~甲B3)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件発明に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。 (6)理由B6(拡大先願) 本件発明は、本件特許の出願遡及日前に出願され、本件特許の出願遡及日後に甲B6により出願公開がされた他の特許出願である特願2018-20568号の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一(発明者も出願人も同一ではない。)であるから、本件特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 <証拠方法> ・甲B1:特開2018-71221号公報 ・甲B2:特開2016-223120号公報 ・甲B3:特開2018-48535号公報 ・甲B4:特開2017-2612号公報 ・甲B5:特開2008-180061号公報 ・甲B6:特開2019-138015号公報(特願2018-20568号) 第4 甲号証の記載 1 甲A12 甲A12には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。 「【0004】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため本発明は構造物の入口両側に該構造物に密着固定する対向溝形立柱と、該立柱の溝内に左右両端部を挿入可能な防水板とよりなり、該防水板の底面及び左右両端部正面に弾性止水ゴムを設け、該弾性止水ゴムを床面及び上記溝の正面側内面に同時に圧接させるクレセントを防水板の正面と、上記立柱の正面とに掛渡すように形成してなる防水装置防水板が複数個よりなり、防水板の接続部に弾性止水ゴムを介在させ、かつ該接続部の背面を上記床面に出没又は着脱自在の進入防止柵柱で支持するようにした上記第1発明記載の防水装置によって構成される。 【0005】 【発明の実施の形態】ビル、地下駐車場の入口1’の両側の壁又は柱1”、1”にステンレス製溝形立柱2,2を溝2’の開口部を対向させて密着固定する。 【0006】上記立柱2は図3に示すようにコ字形溝形形材の正面板2aの先端部を反対向小コ字形状に溝2’の内部に屈曲し、受板(正面側内面2”)を形成し、背面板2bを上記壁又は柱1”に皿ボルト9,9で密着固定する。 【0007】アルミ製中空防水板3の左右両端部3’、3’の内面をステンレス板3aで補強し、該両端部3’、3’の正面に縦溝10,10を形成し、該縦溝10,10内にネオプレン(登録商標)ゴムによる中空弾性止水ゴム4の基部を嵌合し正面を上記縦溝10,10から正面側に突出させ、突出部を上記受板の内面に接する(図3)。 【0008】又上記防水板3の底部内面をステンレス板3bで補強し、底面にネオプレンゴムによる中空弾性止水ゴム4’を設ける(図4)。 【0009】上記防水板3の左右両側正面にはクレセント6の本体6’を設け、立柱2,2の正面にクレセント6の腕6”の先端ローラ6aを案内するカム6bを皿ボルト11で固定する。 【0010】豪雨又は洪水の予報に際し、図1(イ)図に示すように防水板3の左右両端部3’、3’を立柱2,2の対向溝2’、2’内に挿入して立柱2,2間を防水板3で閉鎖し、クレセント6の腕6”を垂直方向から図1(ロ)図、図2(ロ)図及び図3に示すように水平に回動すると先端ローラ6aが上記カム6bの斜面6b’(図4)に案内されて正面側に移動するから上記縦溝10から突出する中空弾性止水ゴム4が受板に圧接し、対向溝2’の正面側内面2”と防水板3とは止水される。 【0011】又上記腕6”を水平に回動させる前に上記ローラ6aがカム6bの上端突起6b”の下面に接し、完全に水平に回動させると該ローラ6aが上記突起6b”に圧接して防水板3を図1(イ)図位置から(ロ)図位置に下降させ、底面3”の中空弾性止水ゴム4’を床面5に圧接し、該底面3”と床面5とは止水され、対向溝2’の正面側内面2”即ち受板と縦溝10から突出した中空弾性止水ゴム4との止水とは上記クレセント6の腕6”の垂直から水平への一発回動によって同時に行われる。」 「 [図:0001409159000001.jpg] 」 「 [図:0001409159000002.jpg] 」 「 [図:0001409159000003.jpg] 」 「 [図:0001409159000004.jpg] 」 そうすると、甲A12には、次の発明(以下「甲A12発明」という。)が記載されていると認められる(符号a等は分説するために付与した。引用箇所の段落番号を併記した。以下同様。)。 「a ビル、地下駐車場の入口1’の両側の壁又は柱1”、1”にステンレス製溝形立柱2,2を溝2’の開口部を対向させて密着固定し(【0005】)、 b 上記立柱2,2はコ字形溝形形材の正面板2aの先端部を反対向小コ字形状に溝2’の内部に屈曲し、受板(正面側内面2”)を形成し(【0006】)、 c 防水板3の左右両端部3’、3’の正面に縦溝10,10を形成し、該縦溝10,10内にネオプレンゴムによる中空弾性止水ゴム4の基部を嵌合し正面を上記縦溝10,10から正面側に突出させ、突出部を上記受板の内面に接するようにし(【0007】)、 d 上記防水板3の底面にネオプレンゴムによる中空弾性止水ゴム4’を設け(【0008】)、 e 上記防水板3の左右両側正面にはクレセント6の本体6’を設け、立柱2,2の正面にクレセント6の腕6”の先端ローラ6aを案内するカム6bを皿ボルト11で固定し(【0009】)、 f 防水板3の左右両端部3’、3’を立柱2,2の対向溝2’、2’内に挿入して立柱2,2間を防水板3で閉鎖し、クレセント6の腕6”を垂直方向から水平に回動すると先端ローラ6aが上記カム6bの斜面6b’ に案内されて正面側に移動するから上記縦溝10から突出する中空弾性止水ゴム4が受板に圧接し(【0010】)、 g 上記腕6”を水平に回動させる前に上記ローラ6aがカム6bの上端突起6b”の下面に接し、完全に水平に回動させると該ローラ6aが上記突起6b”に圧接して防水板3を下降させ、底面3”の中空弾性止水ゴム4’を床面5に圧接し、該底面3”と床面5とは止水され、対向溝2’の正面側内面2”即ち受板と縦溝10から突出した中空弾性止水ゴム4との止水とは上記クレセント6の腕6”の垂直から水平への一発回動によって同時に行われる(【0011】) h 防水装置(【0004】)。」 2 甲A13 甲A13には、次の事項が記載されている。 「【0022】 縦止水ゴム(第1止水ゴム)5は、止水板4の屋内側面4aの扉幅方向の両端部に一対が配設されている。縦止水ゴム5は、屋内側面4aにおいて扉幅方向の端部に、止水板4の短手方向(高さ方向)全長に亘って配設されている。縦止水ゴム5は、図5に示すように、止水板4が枠体3に設置された状態で、止水板4と枠体3の縦枠部材31との間に介在する。このとき、縦止水ゴム5は、縦枠部材31に押圧されて弾性変形している。一対の縦止水ゴム5は、一対の縦枠部材31に密着している。このため、一対の縦止水ゴム5は、止水板4と一対の縦枠部材31の当接部との間を水が流れることを抑制する。すなわち、一対の縦止水ゴム5は、一対の縦枠部材31において屋外空間側から屋内空間側に水が浸入することを抑制する。 【0023】 底面止水ゴム(第2止水ゴム)6は、止水板4の床面Fと対向する面、すなわち、止水板4の底面に長手方向(扉幅方向)全長に亘って配設されている。底面止水ゴム6は、図5に示すように、止水板4が枠体3に設置された状態で、止水板4と床面Fとの間に介在する。このとき、底面止水ゴム6は、床面Fに押圧されて弾性変形している。このため、底面止水ゴム6は、床面Fに密着している。このため、底面止水ゴム6は、止水板4と床面Fの当接部との間を水が流れることを抑制する。すなわち、底面止水ゴム6は、屋外空間側から屋内空間側に水が浸入することを抑制する。」 「 [図:0001409159000005.jpg] 」 「 [図:0001409159000006.jpg] 」 そうすると、甲A13には、次の技術事項(以下「甲A13技術」という。)が記載されている。 「a 縦止水ゴム(第1止水ゴム)5は、止水板4の屋内側面4aの扉幅方向の両端部に一対、止水板4の短手方向(高さ方向)全長に亘って配設され、止水板4が枠体3に設置された状態で、止水板4と枠体3の縦枠部材31との間に介在し、このとき、縦止水ゴム5は、縦枠部材31に押圧されて弾性変形して、一対の縦枠部材31に密着し(【0022】)、 b 底面止水ゴム(第2止水ゴム)6は、止水板4の床面Fと対向する面、すなわち、止水板4の底面に長手方向(扉幅方向)全長に亘って配設され、止水板4が枠体3に設置された状態で、止水板4と床面Fとの間に介在し、このとき、底面止水ゴム6は、床面Fに押圧されて弾性変形して、床面Fに密着している(【0023】)。」 3 甲A14 甲A14には、次の事項が記載されている。 「【0014】また、止水板6の下面と接地板2の上面との一方及び止水板6の端縁部とレール材1との対向面一方には、ゴムなどのパッキング材7が設けてある。 【0015】上記のパッキング材7は、図示の場合止水板6の下面全長と止水板6の端部表面の全長にそれぞれ接着剤などを介し取付けてあるが、接地板2の上面及びレール材1の内面に設けることもある。 【0016】8は、レール材1の上端側に設けた止水板6の下向き加圧力の付与第1加圧装置である。 【0017】上記の第1加圧装置8は、図示の場合レール材1の平行板の上部内面に溝9を設けて、この両溝9にナット板10の両側縁を抜き差し自在に差し込み、ナット板10にねじ込んであるボルト11を回動操作により降下させながら、ボルト11の下端にボルト11がフリーに回転するよう設けてある押し板12を止水板6の上面に押し付けながらパッキング材7を圧縮するようにし、溝9からナット板10を取り外して止水板6の落し込みや抜き取りに支障のないようにしたが、カムや楔その他の手段による第1加圧装置8によって止水板6を下方に押し下げてもよい。 【0018】13はレール材1と止水板6との間のパッキング材7を圧縮する第2加圧装置である。 【0019】上記の第2加圧装置13は、図示の場合止水板6の室内側面両端部に支軸14を介し楔片15の末端部を回動自在に取付けて、この楔片15をその末端から連なるレバー16により回動させながら止水板6とレール材1との間隙に食い込ませてパッキング材7を圧縮するようにしたが、ボルトの回動操作による(第1加圧装置8と同構造の)押し付け手段などで行なうことも可能である。」 「 [図:0001409159000007.jpg] 」 「 [図:0001409159000008.jpg] 」 「 [図:0001409159000009.jpg] 」 「 [図:0001409159000010.jpg] 」 「 [図:0001409159000011.jpg] 」 そうすると、甲A14には、次の技術事項(以下「甲A14技術」という。)が記載されている。 「a 止水板6の下面と接地板2の上面との一方及び止水板6の端縁部とレール材1との対向面一方には、ゴムなどのパッキング材7が設けてあり(【0014】)、 b 上記のパッキング材7は、止水板6の下面全長と止水板6の端部表面の全長にそれぞれ接着剤などを介し取付けてあり(【0015】)、 c 第1加圧装置8は、レール材1の平行板の上部内面に溝9を設けて、この両溝9にナット板10の両側縁を抜き差し自在に差し込み、ナット板10にねじ込んであるボルト11を回動操作により降下させながら、ボルト11の下端にボルト11がフリーに回転するよう設けてある押し板12を止水板6の上面に押し付けながらパッキング材7を圧縮するようにし(【0017】)、 d 第2加圧装置13は、止水板6の室内側面両端部に支軸14を介し楔片15の末端部を回動自在に取付けて、この楔片15をその末端から連なるレバー16により回動させながら止水板6とレール材1との間隙に食い込ませてパッキング材7を圧縮する(【0018】)。」 4 甲A15 甲A15には、次の事項が記載されている。 「【0008】 本願発明の実施例について図1~図7に基づいて説明する。防水扉装置1は建物や駐車場等の出入口の通路部の床面(下面)Fに埋設された収納凹部体2に防水扉3を配設し、その防水扉3を図3に示す収納凹部体2の開口を閉塞する水平位置(傾倒位置)と図6に示す出入口を閉塞する起立位置とに後述の起倒装置31により起倒可能となっている。前記収納凹部体2は上方を開口した箱型形状であって、出入口の床面Fに形成された長方形状の収納凹部4に設置されている。収納凹部4に沿って縁材5が取り付けられ、縁材5の下面を収納凹部体2の上端面2aに当接させてある。収納凹部体2の前板2b側にはシール材(パッキン部材)6を備えた扉枠7が左、右に一対立設されている。また、収納凹部体2の前板2bには水平方向のシール材(パッキン部材)8が取り付けてあり、そのシール材8の両端を、扉枠7の垂直方向のシール材6下端側と連続させてある。尚、シール材6は、シール材6と対応する防水扉3のシール側端部(基端部)3b側両端部分に形成された切り欠き部を通過し、水平位置にある防水扉3と干渉しないようになっている。」 「【0022】 更に、第1当接部34aと第2当接部11bとが当接した状態から防水扉3が起立位置まで起立される起立終期では、防水扉3の荷重及び防水扉3の起立により第1リンク34及び第2リンク35に夫々を回転しようとする力が作用しているが、第1リンク34の下方向への回転が第1当接部34aと第2当接部11bの当接によって規制されており、第1上枢軸14aと第2上枢軸36aの距離は一定なので第2リンク35も回転が規制されることになり、防水扉3は揺動ベース11を介して枢軸12を中心にして回転することとなり、防水扉シール側端部3bが前記とは逆に前板2bに対して前後方向に近づいていき、回動アーム24が支持アーム22に対して略直線状となると、図6に示すように起立位置で防水扉3がシール材6,8に圧接して停止する。」 「 [図:0001409159000012.jpg] 」 「 [図:0001409159000013.jpg] 」 「 [図:0001409159000014.jpg] 」 「 [図:0001409159000015.jpg] 」 「 [図:0001409159000016.jpg] 」 「 [図:0001409159000017.jpg] 」 「 [図:0001409159000018.jpg] 」 そうすると、甲A15には、次の技術事項(以下「甲A15技術」という。)が記載されている。 「a 防水扉装置1は建物や駐車場等の出入口の通路部の床面(下面)Fに埋設された収納凹部体2に防水扉3を配設し、その防水扉3を収納凹部体2の開口を閉塞する水平位置(傾倒位置)と出入口を閉塞する起立位置とに起倒装置31により起倒可能となっており、 b 収納凹部体2の前板2b側にはシール材(パッキン部材)6を備えた扉枠7が左、右に一対立設され、 c 収納凹部体2の前板2bには水平方向のシール材(パッキン部材)8が取り付けてあり、そのシール材8の両端を、扉枠7の垂直方向のシール材6下端側と連続させてあり(以上【0008】)、 d 回動アーム24が支持アーム22に対して略直線状となると、起立位置で防水扉3がシール材6,8に圧接して停止する(【0022】)。」 5 甲A16 甲A16には、次の事項が記載されている。 「【0041】 図16に示すように、本実施形態の側方水密部材2は、断面視概略三角形状を備えた長尺部材であり、底面20、立ち上がり面21、傾斜面22、上端面23及び下端面24(図15(B)参照)を備えており、底面20を第2面部11に当接させて取り付けられており、立ち上がり面21と傾斜面22で形成される鋭角(図示の例では45度)の先端部が縦枠19の第1見付面190との圧接部となっている。側方水密部材2は、例えば、両面接着テープあるいは/および接着剤を用いて固定される。 【0042】 図15に示すように、本実施形態の下方水密部材3は、上面30、垂下面31、傾斜面32、左右の側端面33(図14参照)を備えており、上面30をパネル本体1の下面13に当接させて取り付けられており、垂下面31と傾斜面32で形成される鋭角(図示の例では45度)の下端部が床面FLとの圧接部となっている。図15(C)に示すように、パネル本体1の第2面部11の下端は、下面13を超えて下方に突出して垂下片110を形成しており、垂下片110は、下方水密部材3の垂下面31の上半部に当接している。下方水密部材3は、例えば、両面接着テープあるいは/および接着剤を用いて固定される。 【0043】 図15(B)に示すように、パネル本体1の第2面部11の幅方向両端部には、全高に亘って側方水密部材2が突設されており、さらに、側方水密部材2の下端面24は、パネル本体1の下面13を超えて下方に突出している。パネル本体1の下面13には、全幅に亘って下方水密部材3が設けてある。側方水密部材2の下端面24と下方水密部材3の先端部(垂下面31と傾斜面32で形成される下端部)は同一水平面上にあり、側方水密部材2の側端部(底面20と傾斜面22で形成される開口幅方向の外方の端部)と下方水密部材3の側端面33は同一垂直面上にある。側方水密部材2の下方の突出部の底面20と下方水密部材3の長さ方向両端部の垂下面31は接触ないし近接しており、止水パネルは、幅方向両端の側方水密部材2及び下端の下方水密部材3によって三方において水密部材が連続状に設けてある。側方水密部材2、下方水密部材3は、弾性部材であり、止水パネルの取付時の押圧力である程度圧縮され、圧縮状態で縦枠19の第1見付面190、床面FLに密着して水密構造を提供する。なお、通常時(外力が作用しない状態)において、側方水密部材2の下方の突出部の底面20と下方水密部材3の長さ方向両端部の垂下面31が近接(僅かに離間している)している態様であっても、床面FLに圧接された状態では、側方水密部材2及び下方水密部材3が弾性変形して密着状態となる。」 「 [図:0001409159000019.jpg] 」 「 [図:0001409159000020.jpg] 」 「 [図:0001409159000021.jpg] 」 「 [図:0001409159000022.jpg] 」 「 [図:0001409159000023.jpg] 」 「 [図:0001409159000024.jpg] 」 そうすると、甲A16には、次の技術事項(以下「甲A16技術」という。)が記載されている。 「a 側方水密部材2は、断面視概略三角形状を備えた長尺部材であり、底面20、立ち上がり面21、傾斜面22、上端面23及び下端面24を備えており、底面20を第2面部11に当接させて取り付けられており、立ち上がり面21と傾斜面22で形成される鋭角の先端部が縦枠19の第1見付面190との圧接部となっており(【0041】)、 b 下方水密部材3は、上面30、垂下面31、傾斜面32、左右の側端面33を備えており、上面30をパネル本体1の下面13に当接させて取り付けられており、垂下面31と傾斜面32で形成される鋭角の下端部が床面FLとの圧接部となっており、パネル本体1の第2面部11の下端は、下面13を超えて下方に突出して垂下片110を形成しており、垂下片110は、下方水密部材3の垂下面31の上半部に当接しており(【0042】)、 c 側方水密部材2の下方の突出部の底面20と下方水密部材3の長さ方向両端部の垂下面31は接触ないし近接しており、止水パネルは、幅方向両端の側方水密部材2及び下端の下方水密部材3によって三方において水密部材が連続状に設けてある(【0043】)。」 6 甲A17 甲A17には、次の事項が記載されている。 「【0026】 側端部止水部材3は、例えばゴムや軟質な樹脂等の弾性部材によって帯状に形成され、壁止水部21における壁部W側の面の幅方向両側端部に設けられるとともに、地面Gから止水本体部2Aの上端まで上下方向に延びている。また、側端部止水部材3の下端部31は地面Gと壁部Wとの間の角部Cに当接し、この下端部31が角止水部材として機能する。即ち、本実施形態において角止水部材は側端部止水部材3と一体に形成されている。また、側端部止水部材3は、図4に示すように、一部が止水本体部2A及び押圧部材6から側方(幅方向)に突出している。 【0027】 底面止水部材4は、例えばゴムや軟質な樹脂等の弾性部材によって帯状に形成され、壁止水部21の下端且つ裏面(壁部W及び地面G側の面)側に設けられるとともに、壁止水部21の下端が折り曲げられることで地面Gに載置され、止水本体部2Aの下端に連なり壁部Wから離れる方向に延びる。また、底面止水部材4は、壁止水部21の幅方向全体に亘って設けられるとともに、側端部止水部材3の下端部31に壁部Wの反対側から密着する。即ち、底面止水部材4は角止水部材としての下端部31と連続的に設けられるとともに、側端部止水部材3よりも壁部Wから離れた位置まで延びている。底面止水部材4は、図4に示すように、一部が止水本体部2A及び押圧部材6から側方(幅方向)に突出しており、この突出寸法は側端部止水部材3の突出寸法と略等しい。」 「 [図:0001409159000025.jpg] 」 「 [図:0001409159000026.jpg] 」 「 [図:0001409159000027.jpg] 」 「 [図:0001409159000028.jpg] 」 そうすると、甲A17には、次の技術事項(以下「甲A17技術」という。)が記載されている。 「a 側端部止水部材3は、ゴムや軟質な樹脂等の弾性部材によって帯状に形成され、壁止水部21における壁部W側の面の幅方向両側端部に設けられるとともに、地面Gから止水本体部2Aの上端まで上下方向に延びており、側端部止水部材3の下端部31は地面Gと壁部Wとの間の角部Cに当接し、この下端部31が角止水部材として機能する、即ち、角止水部材は側端部止水部材3と一体に形成されており、側端部止水部材3は、一部が止水本体部2A及び押圧部材6から側方(幅方向)に突出しており(【0026】)、 b 底面止水部材4は、ゴムや軟質な樹脂等の弾性部材によって帯状に形成され、壁止水部21の下端且つ裏面(壁部W及び地面G側の面)側に設けられるとともに、壁止水部21の下端が折り曲げられることで地面Gに載置され、止水本体部2Aの下端に連なり壁部Wから離れる方向に延び、底面止水部材4は、壁止水部21の幅方向全体に亘って設けられるとともに、側端部止水部材3の下端部31に壁部Wの反対側から密着する、即ち、底面止水部材4は角止水部材としての下端部31と連続的に設けられるとともに、側端部止水部材3よりも壁部Wから離れた位置まで延びており、底面止水部材4は、一部が止水本体部2A及び押圧部材6から側方(幅方向)に突出しており、この突出寸法は側端部止水部材3の突出寸法と略等しい(【0027】)。」 7 甲A18 「【0002】 従来、防災用止水板の止水方法としては、(a)図4に示すように、防水シール材として平形スポンジゴム1を止水板2の裏面の両側と、下縁に設け、砂袋、クサビ、レバー等で止水面3に強く押付ける方法と、(b)図5に示すように、P形L形水密ゴム4を防水シール材として用いる方法と、(c)図6の(イ)、(ロ)に示すように、両側の止水面3,3’(壁面)と床面に突縁5,5’をそれぞれ設け、止水板2には取付部材6,6’で平形スポンジゴム等から成る防水シール材7,7’を装着し、閉鎖時は突縁5,5’と防水シール材7,7’が噛み合うようにして防水を行う方法等があった。 【0003】 ところが、前記(a)の止水方法は、使用時に常に、止水面(壁面と床面)に強く均等に押し続けることが困難で、しばしば水密を保てない場合があり、また、重量不足や高水圧での漏水を起こし易いという問題があった。 【0004】 また、(b)の止水方法は、変形ゴムが止水面に残り、見栄えを悪くするばかりでなく、しばしば作業中ゴムを破損することがあった。 【0005】 また、(c)の止水方法は、止水面に設けた突縁が美観を損なうと共に、通行を妨げ、バリアフリーを阻害し、しかも、床の止水面に設けた突縁5’が通行により上端が毀損し、次第に防水性が劣化するという問題があった。」 「【0013】 図1及び図3において、10は止水板、11は両側部の止水面(壁面)、11’は底部の止水面(床面)、12,12’は止水板10の裏面に取付部材13,13’によって装着された平形スポンジゴムから成る防水シール材で、この防水シール材12,12’の防止面の略中央部には、防水シール材12,12’の長手方向に断面が円形又は半円形の硬質の線状止水ゴム14,14’が接着剤で取付けてある。なお、止水ゴム14,14’は図3に示すように一連の止水ゴムを用いる。図中15は止水面11である壁面に取付けた受枠、16は取っ手である。 【0014】 以上のように、止水面11,11’には、突縁を設けず、止水板10の裏面に平形スポンジゴムから成る防水シール材12,12’を取付部材13,13’で装着すると共に、その防水シール材12,12’の防水面の略中央部に円形部を突出させた線状の止水シール材、即ち断面が円形又は半円形の硬質の線状止水ゴム14,14’を取付けたので、水圧が止水板10に加わった時、平形スポンジゴムのみを用いた防水方法に比し、線状止水ゴム14,14’の取付部のシール圧が大きいため、防水性が格段に向上し、防水シール材12,12’と線状止水ゴム14,14’による防水効果が相俟って優れた防水効果を得ることが出来る。」 「 [図:0001409159000029.jpg] 」 「 [図:0001409159000030.jpg] 」 「 [図:0001409159000031.jpg] 」 「 [図:0001409159000032.jpg] 」 「 [図:0001409159000033.jpg] 」 「 [図:0001409159000034.jpg] 」 そうすると、甲A18には、次の技術事項(以下「甲A18技術」という。)が記載されていると認められる。 「a 両側部の止水面(壁面)11,底部の止水面(床面)11’には、突縁を設けず(【0013】、【0014】)、 b 止水板10の裏面の両側と下縁に平形スポンジゴムから成る防水シール材12,12’を取付部材13,13’で装着すると共に、その防水シール材12,12’の防水面の略中央部に円形部を突出させた線状の止水シール材、即ち断面が円形又は半円形の硬質の線状止水ゴム14,14’を取付け(【0002】、【0014】)、 c 止水ゴム14,14’は、一連の止水ゴムを用いる(【0013】)。」 8 甲B1 甲B1には、次の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、止水パネルの取付構造に係り、詳しくは、建物開口部の下方部位に取り付けて防水構造を構成する止水パネルの取付構造に関するものである。 ・・・ 【0012】 図1、図3、図4に示すように、止水パネルは、開口幅方向に横長の長方形のパネル本体4を備えている。パネル本体4は、建物開口部に設置した時に室外側に面する第1面部40と、第1面部40の反対側の第2面部41と、上面42と、下面43と、左右の側面44と、を備えており、第2面部41を室内側に向けて、建物開口部の下方部位の室外側に取り付けられる。パネルの側面44は密閉されている。パネル本体4の上面42には取手45が設けてある。本明細書において、パネル本体4の幅方向とは、左右方向、すなわち横幅方向を意味する。幅方向外側は、パネル本体4の左右の端部に近い側を意味し、幅方向内側は、パネル本体4の幅方向中央に近い側を意味する。止水パネルは、さらに、パネル本体4の第2面部41の幅方向両端部位に設けた左右の側方水密部材5と、パネル本体4の下面43に設けた下方水密部材6と、左右の側方水密部材5にそれぞれ隣接してパネル本体4の第2面部41に設けた左右の当接部材7と、パネル本体4の第2面部41の幅方向両端にそれぞれ設けた固定手段8と、パネル本体4の第2面部41の幅方向両端にそれぞれ設けた垂直押し込み量判定手段9と、を備えている。 【0013】 図7に示すように、固定手段8は、帯状のベルト80と、ベルト80の第1端部800に設けた掛止部81と、ベルト80の第2端部801に設けた締め具82と、からなる。止水パネルは、下方水密部材6を床面FLに圧接し、固定手段8の掛止部81を建物開口部両端の縦枠3の室内側角部に掛止させた状態で、固定手段8の締め具82によってベルト80を引張することで、下方水密部材6を床面FLに圧接させ、かつ、側方水密部材5を縦枠3の第1見付面30に圧接した状態で、建物開口部の室外側下方部位に取り付けられる。固定手段8の締め具82を締めた後で、さらに、パネル本体4を上から下方向に押し付けて下方水密部材6を床面FLに圧接することで、良好な水密性能が得られる。 ・・・ 【0017】 パネル本体4の第2面部41の幅方向両端部には、全高に亘って側方水密部材5が突設されており、側方水密部材5の下端面は、パネル本体4の下面43を超えて下方に突出している。パネル本体4の下面43には、全幅に亘って下方水密部材6が設けてある。側方水密部材5の下端面と下方水密部材6の下端部は略同一水平面上にある。パネル本体4には、幅方向両端の側方水密部材5及び下端の下方水密部材6の三方において水密部材が連続状に設けられている。側方水密部材5及び下方水密部材6は、弾性部材であり、止水パネルの取付時の押圧力である程度圧縮され、圧縮状態で縦枠3の第1見付面30、床面FLに密着して三方連続状の水密構造を提供する。本実施形態では、側方水密部材5、下方水密部材6は、シリコーンスポンジから形成されているが、その他、クロロプレンゴム、EPDM等から形成してもよい。・・・ ・・・ 【0037】 本実施形態に係る止水パネルの取付について説明する。止水パネルのパネル本体4は、建物開口部の開口幅寸法よりもやや大きい幅寸法を備えており、建物開口部の室外側に位置して、左右の縦枠3間に当該縦枠3を跨ぐように左右の縦枠3間に取り付けられる。」 「 [図:0001409159000035.jpg] 」 「 [図:0001409159000036.jpg] 」 「 [図:0001409159000037.jpg] 」 「 [図:0001409159000038.jpg] 」 「 [図:0001409159000039.jpg] 」 「 [図:0001409159000040.jpg] 」 「 [図:0001409159000041.jpg] 」 そうすると、甲B1には、次の発明(以下「甲B1発明」という。符号a等は分説するために付した。)が記載されていると認められる。 「a 止水パネルの取付構造であって(【0001】)、 b 止水パネルは、パネル本体4を備え、 c パネル本体4は、建物開口部に設置した時に室外側に面する第1面部40と、第1面部40の反対側の第2面部41と、上面42と、下面43と、左右の側面44と、を備え、 d 止水パネルは、パネル本体4の第2面部41の幅方向両端にそれぞれ設けた固定手段8を備え(以上【0012】)、 e 止水パネルは、固定手段8の掛止部81を建物開口部両端の縦枠3の室内側角部に掛止させた状態で、固定手段8の締め具82によってベルト80を引張することで、下方水密部材6を床面FLに圧接させ、かつ、側方水密部材5を縦枠3の第1見付面30に圧接した状態で、建物開口部の室外側下方部位に取り付けられ、さらに、パネル本体4を上から下方向に押し付けて下方水密部材6を床面FLに圧接することで、良好な水密性能が得られ(【0013】)、 f パネル本体4の第2面部41の幅方向両端部には、全高に亘って側方水密部材5が突設されており、側方水密部材5の下端面は、パネル本体4の下面43を超えて下方に突出し、パネル本体4の下面43には、全幅に亘って下方水密部材6が設けてあり、 g パネル本体4には、幅方向両端の側方水密部材5及び下端の下方水密部材6の三方において水密部材が連続状に設けられ、側方水密部材5及び下方水密部材6は、弾性部材であり、圧縮状態で縦枠3の第1見付面30、床面FLに密着して三方連続状の水密構造を提供し、側方水密部材5、下方水密部材6は、シリコーンスポンジから形成されているが、その他、クロロプレンゴム、EPDM等から形成してもよく(【0017】)、 h 止水パネルの取付について、止水パネルのパネル本体4は、左右の縦枠3間に取り付けられる(【0037】) 止水パネルの取付構造。」 9 甲B2 甲B2には、次の事項が記載されている。 「【0012】 本実施形態に係る止水パネル2を用いる止水装置1は、図1に示すように、開口部100を止水するものであり、止水パネル2と、第1止水部材3R,3Lと、第2止水部材4と、一対の押圧機構5R,5Lと、一対の固定機構6R,6Lと、保持機構7R,7Lと、一対の位置決め機構8R,8Lとを備える。ここで、開口部100は、構造物の屋内側と屋外側とを連通するものであり、例えば、高い意匠性が要求される店舗の入り口などを構成する。また、構造物は、開口部100を有していればよく、所定の敷地を囲む屋根のない塀なども含まれる。この場合は、屋内側とは囲いの内側となり、屋外側とは囲いの外側となる。開口部100は、少なくとも一対の枠部材200R,200Lと、設置面300とにより形成されている。一対の枠部材200R,200Lは、幅方向において離間して設置されるものであり、床や、地面などの設置面300から立設されている。本実施形態における開口部100は、開閉体が設けられていない場合について説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、扉、自動扉、シャッターなどの開閉体が存在していてもよい。また、本実施形態における枠部材200R,200Lは、例えば、金属製の方立である。 ・・・ 【0026】 一対の第1止水部材3R,3Lは、図1に示すように、枠部材200R,200Lと止水パネル2との間をそれぞれ止水するものである。第1止水部材3R,3Lは、止水パネル2の屋内側の側面2bの幅方向における両端部にそれぞれ設けられている。本実施形態における第1止水部材3R,3Lは、一対の側面部材24R,24Lに保持されている。第1止水部材3R,3Lは、同一形状であり、止水パネル2の上下方向における両端部までの長さを有する帯状に形成されている。第1止水部材3R,3Lは、弾性部材であり、弾性変形が大きい軟質ゴム、あるいは発泡ゴムなどである。ここで、第1止水部材3R,3Lは、第1止水部材3Rを枠部材200Rと屋内外方向において対向させた際に、第1止水部材3Lが枠部材200Lと屋内外方向において対向するように、止水パネル2に対する幅方向の間隔が設定されている。・・・ 【0027】 第2止水部材4は、設置面300と止水パネル2との間を止水するものである。第2止水部材4は、止水パネル2の底面2d、すなわち上下方向における下方側の面に設けられている。本実施形態における第2止水部材4は、下段パネル材23に保持されている。第2止水部材4は、止水パネル2の幅方向における両端部までの長さを有する帯状に形成されている。第2止水部材4は、幅方向における両端部が第1止水部材3R,3Lとそれぞれ連結されている。例えば、第2止水部材4の幅方向における両端部が止水パネル2の屋内側の側面2bに延在しており、側面2bにおいて第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4とが屋内外方向において重なっている。第2止水部材4は、弾性部材であり、弾性変形が大きい軟質ゴム、あるいは発泡ゴムなどであり、第1止水部材3R,3Lと共通の断面形状としてもよいが、止水パネル2の自重および押圧機構5R,5Lによる押圧力により変形することを考慮して、外力が作用していない状態で、第1止水部材3R,3Lよりも厚く形成するようにしてもよい。」 「【0051】 次に、本実施形態に係る止水装置1の設置方法について説明する。・・・ ・・・ 【0053】 次に、ユーザーは、図10に示すように、止水パネル2を傾斜状態に配置する。ここで、傾斜状態とは、止水パネル2が設置面300に接地、すなわち第2止水部材4が設置面300に接地し、かつ、枠部材200R,200Lに対して屋外側に傾斜した状態である。なお、止水パネル2を傾斜状態に配置するときは、第1止水部材3R,3Lの両方の下端部が枠部材200R,200Lに密接するように、止水パネル2の下端部を枠部材200R,200Lに押し当てながら設置面300に置くようにする。このとき、上述のように、位置決め機構8R,8Lにより、枠部材200R,200Lに対する止水パネル2の幅方向における位置は、第1止水部材3R,3Lが幅方向において枠部材200R,200Lからはみ出ることのない位置に位置決めされる。次に、ユーザーは、止水パネル2の傾斜状態を維持したまま、固定機構6R,6Lを枠部材200R,200Lに固定する。・・・ 【0054】 次に、ユーザーは、止水パネル2を傾斜状態から立位状態とする。・・・ 【0055】 次に、ユーザーは、止水パネル2が立位状態で、保持機構7R,7Lのフック72を回転軸73周りに一方向に回転させ、係止溝72bにノブ65の軸部65aをそれぞれ挿入させる。ここで、止水パネル2が立位状態において、幅方向から見た場合に、軸部65aよりも回転軸53が屋外側に位置している。従って、止水パネル2は、外力が作用しない場合、立位状態を維持することができず、傾斜状態になろうとする。しかしながら、保持機構7R,7Lにより、止水パネル2の立位状態を保持することで、一対の枠部材200R,200Lに対する止水パネル2の位置関係を保持するので、第1止水部材3R,3Lが枠部材200R,200Lと密接、および第2止水部材4が設置面300と密接した状態を維持することができる。・・・」 「 [図:0001409159000042.jpg] 」 「 [図:0001409159000043.jpg] 」 「 [図:0001409159000044.jpg] 」 「 [図:0001409159000045.jpg] 」 「 [図:0001409159000046.jpg] 」 「 [図:0001409159000047.jpg] 」 「 [図:0001409159000048.jpg] 」 そうすると、甲B2には、次の発明(以下「甲B2発明」という。符号a等は分説するために付した。)が記載されていると認められる。 「a 止水パネル2と、第1止水部材3R,3Lと、第2止水部材4と、一対の押圧機構5R,5Lと、一対の固定機構6R,6Lと、保持機構7R,7Lと、一対の位置決め機構8R,8Lとを備える止水装置1であって、 b 一対の枠部材200R,200Lは、幅方向において離間して設置され(以上【0012】)、 c 一対の第1止水部材3R,3Lは、枠部材200R,200Lと止水パネル2との間をそれぞれ止水するものであり、止水パネル2の屋内側の側面2bの幅方向における両端部にそれぞれ設けられ、止水パネル2の上下方向における両端部までの長さを有する帯状に形成されている弾性部材であり、弾性変形が大きい軟質ゴム、あるいは発泡ゴムなどであり、第1止水部材3Rを枠部材200Rと屋内外方向において対向させた際に、第1止水部材3Lが枠部材200Lと屋内外方向において対向するように、止水パネル2に対する幅方向の間隔が設定され(【0026】)、 d 第2止水部材4は、設置面300と止水パネル2との間を止水するものであり、止水パネル2の底面2dに設けられ、止水パネル2の幅方向における両端部までの長さを有する帯状に形成され、幅方向における両端部が第1止水部材3R,3Lとそれぞれ連結され、第2止水部材4の幅方向における両端部が止水パネル2の屋内側の側面2bに延在しており、側面2bにおいて第1止水部材3R,3Lと屋内外方向において重なっている弾性部材であり、弾性変形が大きい軟質ゴム、あるいは発泡ゴムなどであり(【0027】)、 e 設置方法について(【0051】)、 e1 ユーザーは、止水パネル2を傾斜状態に配置し、 e2 位置決め機構8R,8Lにより、枠部材200R,200Lに対する止水パネル2の幅方向における位置は、位置決めされ、 e3 次に、ユーザーは、固定機構6R,6Lを枠部材200R,200Lに固定し(以上【0053】)、 e4 次に、ユーザーは、止水パネル2を傾斜状態から立位状態とし(【0054】)、 e5 次に、ユーザーは、止水パネル2が立位状態で、保持機構7R,7Lのフック72を回転軸73周りに一方向に回転させ、係止溝72bにノブ65の軸部65aをそれぞれ挿入させ、 e6 保持機構7R,7Lにより、止水パネル2の立位状態を保持することで、一対の枠部材200R,200Lに対する止水パネル2の位置関係を保持する(【0055】) 止水装置1。」 10 甲B3 甲B3には、次の事項が記載されている。 「【0029】 [共通基本実施形態] 本発明の実施形態に係る着脱式止水装置1A,1B,1Cは、図1(c)、(d)、図4(a)、図6(a)、図9(a)に示すように、建物Tの出入口Dを形成する開口部Kの左右に立設した支持柱50と、左右支持柱50に近接して設置され増水時に建物内T1への進水防止を図る着脱自在の止水板2a,2b,2cと、を有する着脱式止水装置1A,1B,1Cであって、止水板2a,2b,2cは、建物内T1に進水する水を止水する止水面4を正面5に有する正面視矩形状に形成し、下底面8には止水時に床面Fと水密に当接する弾性体からなる床面止水部11を配設すると共に、止水面4の裏面6の左右側には止水時に左右支持柱50と水密に当接する弾性体からなる左右支持柱止水部12を配設し、更に、止水板2a,2b,2cの左右側には、開口部Kと直交する進水方向Sと同方向に形成された止水板係止面13を備え、左右支持柱50には、進水方向Sと同方向に形成された支持柱係止面53を備え、しかも、止水板係止面13と支持柱係止面53には、止水板2a,2b,2cと支持柱50とを一体に係止可能な対の係合部20aを形成している。 ・・・ 【0034】 係合部20aは、図3(b)、(c)に示すように、受け部材21と操作部材22からなるパチン錠20aにより構成しており、フック27を形成した受け部材21に対して操作部材22の台座23に連設したジョイント25を係止し、操作レバー24をフック27と逆方向に回動させることでジョイント25も同方向に変位して所定の付勢力を維持することができる。 ・・・ 【0037】 なお、本実施形態に係る係合部20aはパチン錠であるが、進水方向Sと同方向に形成された止水板係止面13と支持柱係止面53に設置できるものであれば本実施形態に限定されず如何なる構造の係合部を用いてもよい。 ・・・ 【0048】 [第1実施形態] 第1実施形態に係る着脱式止水装置1Aは上述した共通基本実施形態の構成において、図2(a)~(c)、図3(a)に示すように、止水板2aの左右側端面9を止水板係止面13とし、左右支持柱50の外側面52を支持柱係止面53として構成している。 【0049】 止水板2aは、正面5を止水面4とした所定厚みを有する長方形状の第一矩形ブロック体3xで形成しており、下底面8に床面止水部11を、裏面6の左右側に支持柱止水部12を配設している。」 ・・・ 【0054】 また、床面止水部11は、弾性体である発泡ウレタンからなり、第一矩形ブロック体3xの下底面8全体を被覆するよう帯状に形成しているが、床面止水部11は発泡ウレタンに限定されるものではなく弾性を有し床面Fと密着当接して止水可能な材料であればよい。 【0055】 また、支持柱止水部12は、弾性体である発泡ウレタンからなり、第一矩形ブロック体3xの裏面6の左右側縁部10を垂直方向に所定幅だけ被覆するように帯状に形成しているが、支持柱止水部12は発泡ウレタンに限定されるものではなく弾性を有し支持柱50と密着当接して止水可能な材料であればよい。 【0056】 なお、帯状の支持柱止水部12の下端は、状況に応じて第一矩形ブロック体3xを超えて床面止水部11まで延在させてもよい。 ・・・ 【0058】 このように構成された着脱式止水装置1Aは、水害時において、図3(a)、図4(a)に示すように、出入口Dの開口部Kに立設する支持柱50に対し止水面4を建物外T2に向けて止水板2aを近接させ、止水板係止面13と支持柱係止面53が略面一となるように配置し、これらの面13,53に配設された係合部20aにより固定され出入口Dに設置される。」 「 [図:0001409159000049.jpg] 」 「 [図:0001409159000050.jpg] 」 「 [図:0001409159000051.jpg] 」 「 [図:0001409159000052.jpg] 」 そうすると、甲B3には、次の発明(以下「甲B3発明」という。符号a等は分説するために付した。)が記載されていると認められる。 「a 開口部Kの左右に立設した支持柱50と、着脱自在の止水板2aと、を有する着脱式止水装置1Aであって、 b 止水板2aは、下底面8には止水時に床面Fと水密に当接する弾性体からなる床面止水部11を配設すると共に、止水面4の裏面6の左右側には止水時に左右支持柱50と水密に当接する弾性体からなる左右支持柱止水部12を配設し、 c 止水板2aの左右側には、止水板係止面13を備え、 d 左右支持柱50には、支持柱係止面53を備え、 e 止水板係止面13と支持柱係止面53には、止水板2aと支持柱50とを一体に係止可能な対の係合部20aを形成し(以上【0029】)、 f 係合部20aは、受け部材21と操作部材22からなるパチン錠20aにより構成し(【0034】)、 g 係合部20aはパチン錠であるが、如何なる構造の係合部を用いてもよく(【0037】)、 h 止水板2aは、正面5を止水面4とした所定厚みを有する長方形状の第一矩形ブロック体3xで形成しており、下底面8に床面止水部11を、裏面6の左右側に支持柱止水部12を配設し(【0049】)、 i 床面止水部11は、弾性体である発泡ウレタンからなり、第一矩形ブロック体3xの下底面8全体を被覆するよう帯状に形成しているが、床面止水部11は発泡ウレタンに限定されるものではなく弾性を有し床面Fと密着当接して止水可能な材料であればよく(【0054】)、 j 支持柱止水部12は、弾性体である発泡ウレタンからなり、第一矩形ブロック体3xの裏面6の左右側縁部10を垂直方向に所定幅だけ被覆するように帯状に形成しているが、支持柱止水部12は発泡ウレタンに限定されるものではなく弾性を有し支持柱50と密着当接して止水可能な材料であればよく(【0053】)、 k 帯状の支持柱止水部12の下端は、第一矩形ブロック体3xを超えて床面止水部11まで延在させてもよく(【0056】)、 l 水害時において、出入口Dの開口部Kに立設する支持柱50に対し止水面4を建物外T2に向けて止水板2aを近接させ、止水板係止面13と支持柱係止面53が略面一となるように配置し、これらの面13,53に配設された係合部20aにより固定され出入口Dに設置される(【0058】) 着脱式止水装置1A。」 11 甲B4 甲B4には、次の事項が記載されている。 「【0016】 本実施形態に係る止水部材3R,3L,4を用いる止水装置1は、図1に示すように、開口部100を止水するものであり、止水パネル2と、第1止水部材3R,3Lと、第2止水部材4と、一対の押圧機構5R,5Lと、一対の固定機構6R,6Lと、保持機構7R,7Lと、一対の位置決め機構8R,8Lとを備える。ここで、開口部100は、構造物の屋内側と屋外側とを連通するものであり、例えば、高い意匠性が要求される店舗の入り口などを構成する。また、構造物は、開口部100を有していればよく、所定の敷地を囲む屋根のない塀なども含まれる。この場合は、屋内側とは囲いの内側となり、屋外側とは囲いの外側となる。開口部100は、少なくとも一対の枠部材200R,200Lと、設置面300とにより形成されている。本実施形態における一対の枠部材200R,200Lは、止水対象であり、幅方向において離間して設置されるものであり、設置面300から立設されている。本実施形態における設置面300は、止水対象である、床や、地面などである。本実施形態における開口部100は、開閉体が設けられていない場合について説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、扉、自動扉、シャッターなどの開閉体が存在していてもよい。また、本実施形態における枠部材200R,200Lは、例えば、金属製の方立である。 ・・・ 【0026】 一対の第1止水部材3R,3Lは、図1に示すように、枠部材200R,200Lと止水パネル2との間にそれぞれ介在することで、止水するものである。第1止水部材3R,3Lは、止水パネル2の屋内側の側面2bの幅方向における両端部にそれぞれ設けられている。第1止水部材3R,3Lは、側面部材24R,24Lの挿入空間部24bにそれぞれ保持されている。第1止水部材3R,3Lは、同一形状であり、止水パネル2の上下方向における両端部までの長さを有する帯状に形成されている。ここで、第1止水部材3R,3Lは、第1止水部材3Rを枠部材200Rと屋内外方向において対向させた際に、第1止水部材3Lが枠部材200Lと屋内外方向において対向するように、止水パネル2に対する幅方向の間隔が設定されている。本実施形態における第1止水部材3R,3Lは、枠部材200R,200Lの幅方向における幅よりも狭い幅で形成されている。また、第1止水部材3R,3Lは、第1止水部材3Rの幅方向における開口部100側の端部を枠部材200Rの幅方向における開口部100側の端部と一致させた場合に、第1止水部材3Lの幅方向における開口部100側と反対側の端部が枠部材200Lの幅方向における開口部100側と反対側の端部と同じまたはこの端部よりも開口部100側に位置するように、止水パネル2に対して設けられている。なお、第1止水部材3R,3Lは、止水パネル2の上下方向における下方側端部から上方に向かって形成されていればよく、この場合は止水装置1が想定する止水すべき設置面300からの高さよりも高い位置まで形成されていればよい。第1止水部材3R,3Lは、図5および図6に示すように、挿入部31と、突出部32とを備える。 【0027】 挿入部31は、挿入空間部24bに挿入され、保持されるものである。挿入部31は、弾性部材であり、突出部32を構成する材料の硬度よりも高い硬度の材料で構成されている。・・・ 【0028】 突出部32は、止水パネル2の外部に突出して形成されるものである。突出部32は、止水パネル2による開口部100の止水時に、止水対象である枠部材200R,200および挿入空間部24bを形成する部材、すなわち一対の壁部材24f,24gに接触するものである。突出部32は、弾性部材であり、挿入部31を構成する材料の硬度よりも低い硬度の材料で構成されている。・・・ 【0029】 第2止水部材4は、図1に示すように、設置面300と止水パネル2との間に介在することで、止水するものである。第2止水部材4は、止水パネル2の底面2d、すなわち上下方向における下方側の面に設けられている。本実施形態における第2止水部材4は、下段パネル材23の挿入空間部23cに保持されている。第2止水部材4は、止水パネル2の幅方向における両端部までの長さを有する帯状に形成されている。第2止水部材4は、幅方向における両端部が第1止水部材3R,3Lとそれぞれ連結されている。例えば、第2止水部材4の幅方向における両端部が止水パネル2の屋内側の側面2bに延在しており、側面2bにおいて第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4とが屋内外方向において重なっている。または、第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4との間に、第2止水部材4の幅方向における両端部と、第1止水部材3R,3Lの下方側端部とを連結する連結止水部材を介在させる。本実施形態における第2止水部材4は、第1止水部材3R,3Lと共通の断面形状であるが、これに限定されるものではなく、止水パネル2の自重および押圧機構5R,5Lによる押圧力により変形することを考慮して、外力が作用していない状態で、第1止水部材3R,3Lよりも突出部42の挿入方向における長さを長く形成するようにしてもよい。第2止水部材4は、図6に示すように、挿入部41と、突出部42とを備える。 【0030】 挿入部41は、挿入空間部23cに挿入され、保持されるものである。挿入部41は、弾性部材であり、突出部42を構成する材料の硬度よりも高い硬度の材料で構成されている。・・・ 【0031】 突出部42は、止水パネル2の外部に突出して形成されるものである。突出部42は、止水パネル2による開口部100の止水時に、止水対象である設置面300、および挿入空間部23cを形成する部材、すなわち一対の壁部材23g,23hに接触するものである。突出部42は、弾性部材であり、挿入部41を構成する材料の硬度よりも低い硬度の材料で構成されている。・・・」 「【0053】 次に、本実施形態に係る止水装置1の設置方法について説明する。図8は、実施形態に係る止水部材を用いた止水装置(立位状態)の動作説明図である。図9は、実施形態に係る止水部材を用いた止水装置(傾斜状態)の動作説明図である。なお、図8および図9においては、止水パネル2、第1止水部材3R,3L、第2止水部材4を模式的に作図(二点鎖線)している。ここで、位置決め機構8R,8Lは、止水装置1を設置する前に予め、位置決め部材82の本体部材81に対する幅方向における位置が調整されている。また、固定機構6R,6Lは、止水装置1を設置する前に予め、接触部材61の対向面201と接触する部分同士の幅方向における距離が開口部100の幅よりも狭くなるように、ノブ65により調整されている。 【0054】 ユーザーは、豪雨、津波、河川の氾濫などの水害時に、外部である屋外からの氾濫水などの水が建造物の屋内に開口部100から浸入すると予想される場合に、開口部100とは異なる場所で保管されている止水装置1を開口部100の屋外側まで運搬する。次に、ユーザーは、止水パネル2の向きを第1止水部材3R,3Lが屋内外方向において開口部100と対向する向きとする。 【0055】 次に、ユーザーは、図9に示すように、止水パネル2を傾斜状態に配置する。ここで、傾斜状態とは、止水パネル2が設置面300に接地、すなわち第2止水部材4が設置面300に接地し、かつ、枠部材200R,200Lに対して屋外側に傾斜した状態である。なお、止水パネル2を傾斜状態に配置するときは、第1止水部材3R,3Lの両方の下方側端部が枠部材200R,200Lに密接するように、止水パネル2の下方側端部を枠部材200R,200Lに押し当てながら設置面300に置くようにする。このとき、上述のように、位置決め機構8R,8Lにより、枠部材200R,200Lに対する止水パネル2の幅方向における位置は、第1止水部材3R,3Lが幅方向において枠部材200R,200Lからはみ出ることのない位置に位置決めされる。次に、ユーザーは、止水パネル2の傾斜状態を維持したまま、固定機構6R,6Lを枠部材200R,200Lに固定する。ここでは、ユーザーは、接触部材61を対向面201に幅方向において対向させた状態で、ノブ65を一方向に回転させ、押圧部材52に対して軸部65aの先端部を対向面201側に移動させ先端部が接触する接触部材61を対向面201に向けて移動させる。ユーザーは、さらにノブ65を同一方向に回転させ、接触部材61を第1緩衝部材62を介して対向面201と接触させるとともに、第2緩衝部材63を介して屋外側面202と接触させる。ユーザーは、さらに、ノブ65を同一方向に回転させ、対向面201に接触した接触部材61により枠部材200R,200Lを幅方向においてそれぞれ押圧することで、接触部材61を枠部材200R,200Lに対して突っ張らせることで、接触部材61を枠部材200R,200Lに対して固定する。固定機構6R,6Lが枠部材200R,200Lに固定されると、止水パネル2はユーザーにより支持しなくても、傾斜状態を維持する。このとき、止水装置1を幅方向から見た場合に、軸部65aと、回転軸53と、止水パネル2および設置面300の接地点を結ぶ線がくの字状となる。 【0056】 次に、ユーザーは、止水パネル2を傾斜状態から立位状態とする。ここで、立位状態とは、幅方向から見た場合に、止水パネル2が枠部材200R,200Lに沿った状態をいう。ユーザーは、止水パネル2を屋内側に向けて押す。これにより、止水パネル2の上下方向における上方部分は、固定機構6R,6Lの中心、すなわち軸部65aを中心に矢印C方向に回転する。止水パネル2の上下方向における上方部分の回転中心は、枠部材200R,200Lに対する相対移動を行えない軸部65aであるため、回転軸53の軌跡により、枠部材200R,200Lに近づきながら、上下方向のうち下方に移動する。従って、第2止水部材4には、下方の押圧力Pが作用し、弾性変形する。つまり、第2止水部材4は、止水パネル2が傾斜状態から立位状態となることで、止水パネル2により設置面300に押圧され、図8に示すように、設置面300と密接する。この状態では、突出部32は、弾性圧縮された状態で、枠部材200R,200Lと、爪部24h,24iとにそれぞれ接触する。また、第1止水部材3R,3Lは、止水パネル2が傾斜状態から立位状態となることで、枠部材200R,200Lとそれぞれ密接する。この状態では、突出部42は、弾性圧縮された状態で、設置面300と、爪部23i,23lとにそれぞれ接触する。 【0057】 次に、ユーザーは、止水パネル2が立位状態で、保持機構7R,7Lのフック72を回転軸73周りに一方向に回転させ、係止溝72bにノブ65の軸部65aをそれぞれ挿入させる。ここで、止水パネル2が立位状態において、幅方向から見た場合に、軸部65aよりも回転軸53が屋外側に位置している。従って、止水パネル2は、外力が作用しない場合、立位状態を維持することができず、傾斜状態になろうとする。しかしながら、保持機構7R,7Lにより、止水パネル2の立位状態を保持することで、一対の枠部材200R,200Lに対する止水パネル2の位置関係を保持するので、第1止水部材3R,3Lが枠部材200R,200Lと密接、および第2止水部材4が設置面300と密接した状態を維持することができる。これにより、第1止水部材3R,3Lにより枠部材200R,200Lと止水パネル2との間を止水し、第2止水部材4により設置面300と止水パネル2との間を止水する。この状態で、屋外側から開口部100を介して屋内側に水が浸入しようとすると、止水パネル2により開口部100から屋内側への水の浸入が防止される。止水パネル2の屋外側の水位が上昇すると、水圧を止水パネル2の側面2aが受けることになり、水圧が止水パネル2に対して屋内外方向における屋内側に作用する。これにより、第1止水部材3R,3Lによる枠部材200R,200Lに対する押圧力Pが増加し、第1止水部材3R,3Lと枠部材200R,200Lとの密接が高まり、枠部材200R,200Lと止水パネル2との間の止水をより確実に行うことができる。」 「 [図:0001409159000053.jpg] 」 「 [図:0001409159000054.jpg] 」 「 [図:0001409159000055.jpg] 」 「 [図:0001409159000056.jpg] 」 「 [図:0001409159000057.jpg] 」 「 [図:0001409159000058.jpg] 」 「 [図:0001409159000059.jpg] 」 「 [図:0001409159000060.jpg] 」 そうすると、甲B4には、次の発明(以下「甲B4発明」という。)が記載されていると認められる。 「a 止水パネル2と、第1止水部材3R,3Lと、第2止水部材4と、一対の押圧機構5R,5Lと、一対の固定機構6R,6Lと、保持機構7R,7Lと、一対の位置決め機構8R,8Lとを備える止水装置1であって、 b 一対の枠部材200R,200Lは、幅方向において離間して設置され(以上【0016】)、 c 一対の第1止水部材3R,3Lは、枠部材200R,200Lと止水パネル2との間にそれぞれ介在することで、止水するものであり、止水パネル2の屋内側の側面2bの幅方向における両端部にそれぞれ設けられ、 d 第1止水部材3R,3Lは、止水パネル2の上下方向における両端部までの長さを有する帯状に形成され、第1止水部材3Rを枠部材200Rと屋内外方向において対向させた際に、第1止水部材3Lが枠部材200Lと屋内外方向において対向するように、止水パネル2に対する幅方向の間隔が設定され、 e 第1止水部材3R,3Lは、挿入部31と、突出部32とを備え(以上【0026】)、 f 挿入部31は、挿入空間部24bに挿入され、保持される弾性部材であり、突出部32を構成する材料の硬度よりも高い硬度の材料で構成され(【0027】)、 g 突出部32は、弾性部材であり、挿入部31を構成する材料の硬度よりも低い硬度の材料で構成され(【0028】)、 h 第2止水部材4は、設置面300と止水パネル2との間に介在することで、止水するものであり、止水パネル2の底面2dに設けられ、止水パネル2の幅方向における両端部までの長さを有する帯状に形成され、 i 第2止水部材4の幅方向における両端部が止水パネル2の屋内側の側面2bに延在しており、側面2bにおいて第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4とが屋内外方向において重なっている、または、第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4との間に、第2止水部材4の幅方向における両端部と、第1止水部材3R,3Lの下方側端部とを連結する連結止水部材を介在させるものであり、 j 第2止水部材4は、挿入部41と、突出部42とを備え(以上【0029】)、 k 挿入部41は、挿入空間部23cに挿入され、保持される弾性部材であり、突出部42を構成する材料の硬度よりも高い硬度の材料で構成され(【0030】)、 l 突出部42は、弾性部材であり、挿入部41を構成する材料の硬度よりも低い硬度の材料で構成され(【0031】)、 m 設置方法について(【0053】)、 m1 ユーザーは、止水パネル2を傾斜状態に配置し、 m2 位置決め機構8R,8Lにより、枠部材200R,200Lに対する止水パネル2の幅方向における位置は、位置決めされ、 m3 次に、ユーザーは、固定機構6R,6Lを枠部材200R,200Lに固定し(以上【0055】)、 m4 次に、ユーザーは、止水パネル2を傾斜状態から立位状態とし(【0056】)、 m5 次に、ユーザーは、止水パネル2が立位状態で、保持機構7R,7Lのフック72を回転軸73周りに一方向に回転させ、係止溝72bにノブ65の軸部65aをそれぞれ挿入させ、 m6 保持機構7R,7Lにより、止水パネル2の立位状態を保持することで、一対の枠部材200R,200Lに対する止水パネル2の位置関係を保持する(以上【0057】) 止水装置1。」 12 甲B5 甲B5には、次の事項が記載されている。 「【背景技術】 ・・・ 【0004】 前記各従来技術において、それぞれの止水板の底部におけるパッキンは適当な押圧手段により床面へ押圧圧縮されるが、底部のパッキンは一層であるため、当該パッキンのゴム硬度(例えばJIS K 6253 に準拠するデュロメータタイプEで測定したときの硬さ)が大きいと、床面にはタイル等が貼ってなくても通常少なからず凹凸による不陸があるので、不陸差(凹凸差)の部分で止水が不十分になる。 他方、底部のパッキンのゴム硬度が小さい場合には、適切な厚み(圧縮方向の量)のものを選ぶことにより圧縮状態で前記不陸部へパッキンが追随し易い。しかし、床面の前記のような不陸をカバーするのに必要十分な厚みでゴム硬度の小さいパッキンは、圧縮状態で前記不陸部の低レベル方向(止水板の前面側又は背面側)へ部分的に過大膨出し、結果として必要な止水を確保できなかった。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明の課題は、前記のような止水板の特に底部における止水性能の改善にあり、その目的は、構造物の出入口の床面にある程度の不陸があっても当該部分に必要十分な止水性能を確保することができる止水板を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明に係る止水板は前記課題を解決するため、構造物の出入口へ堰板状に設置される板本体と、設置状態における前記板本体の背面(構造物の内側に面する面)の両端部分へ縦方向に沿って密に接着された側部止水パッキンと、設置状態における前記板本体の底部へ全長にわたって密に接着された底部止水パッキンとを備え、前記底部止水パッキンは、設置状態において前記出入口の床面へ接するゴム硬度の小さい下部ゴム層と、前記下部ゴム層よりもゴム硬度の大きい上部ゴム層との少なくとも二層からなることを最も主要な特徴とするものである。 【発明の効果】 【0008】 本発明に係る止水板によれば、その設置時に前記板本体を適当な押圧手段により床面に押圧して底部パッキンを圧縮すると、下部ゴム層の圧縮量が相対的に大きいために、床面にタイル等の目地溝その他の凹凸によりある程度の不陸があっても、当該不陸に追随して十分な止水性能を発揮する。 また、設置状態での圧縮量は下部ゴム層よりも小さいが上部ゴム層も同時に圧縮されるので、相対的に柔らかい下部ゴム層は、厚みが小さくても床面の不陸が過大でなければ底部における止水は十分に確保できる。同様な理由により、押圧による圧縮時に下部ゴム層が前記不陸部の低レベル方向へ部分的に過大膨出することはないので、底部パッキンの前記止水性が阻害されることもない。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 以下本発明の最適実施の形態を説明する。 図1は本発明に係る一実施形態の止水板を使用した止水板設置構造の一形態を示すもので、設置状態を背面側から見た概略斜視図、図2は図1の止水板設置構造における左端部分の部分破断拡大斜視図、図3は図1の矢印A-Aに沿う部分拡大断面図である。 【0010】 この実施形態の止水板1は、構造物の出入口7へ堰板状に設置される板本体10と、設置状態における前記板本体10の背面(構造物の内側に面する面)の両端部分へ縦方向に沿って密に接着された側部止水パッキン11と、設置状態における前記板本体10の底部へ全長にわたって密に接着された底部止水パッキン12(図2,3)とから構成されている。 前記底部止水パッキン12は、設置状態において前記出入口7の床面へ接するゴム硬度の小さい下部ゴム層120と、当該下部ゴム層120よりもゴム硬度の大きい上部ゴム層121との少なくとも二層から構成されている。 ・・・ 【0012】 この実施形態において、側部止水パッキン11及び底部止水パッキン12との板本体10に対する接着にはコーキングタイプの接着剤が使用され、したがってそれらの板本体10への接着状態は密になっている。また、以下の各部材相互の接着にも同様なコーキングタイプの接着剤を使用するのが好ましい。 前記底部止水パッキン12は、前記止水板1の板本体10の底部へ密に接着された本体止水部12aと、当該本体止水部12aの背面側へ位置しかつ前記側部止水パッキン11の厚みt2(図3)とほぼ同じ幅w2の補助止水部12bとから構成されている。前記補助止水部12bの両端部上面は対応する側部止水パッキン11の底面と密に接着され、本体止水部12aと補助止水部12b相互も密に接着されている。 ・・・ 【0014】 なお、構造物の出入口7の床面における不陸が小さい場合には、前記本体止水部12aのみで底部止水パッキン12を構成することができる。この場合には、側部止水パッキン11の下端部を底部止水パッキン12の厚み分だけ延ばし、当該側部止水パッキン11の下部前面と底部止水パッキン12の両端部背面とを密に接着する。 ・・・ 【0016】 各止水パッキン11,12には耐久性の面から合成ゴムを使用するのが好ましく、この実施形態では、側部止水パッキン11及び各上部ゴム層121,123には同じゴム硬度のプロロブチレンゴム又はプロロピレンゴムの板が使用され、各下部ゴム層120,122には同じゴム硬度のシリコーンゴムの板が使用されている。 ・・・ 【0019】 止水板設置構造の第1形態 前記のように構成された止水板1を、構造物の出入口7への第1の設置構造について以下説明する。 出入口7の両側壁70に、例えばシリコーンその他の樹脂からなるコーキング材(図示しない)を介して、断面方形の支柱部材(例えばステンレスの中空状角パイプ)5を複数のボルト(図示ない)等により直立状に固定する。出入口7の構造上側壁70に例えば柱が突出しているような場合には、当該柱を支柱部材5として使用する。 当該各支柱部材5,5の正面(出入口7で外側に面する面)へ各側部止水パッキン11が接触し、床面へ底部止水パッキン12が接触する状態に止水板1を配置する。 この状態で、適当な押圧具により板本体10を各支柱部材5と床面とに向けて押圧し、各側部止水パッキン11と底部止水パッキン12とを必要量圧縮させる。 【0020】 前記押圧具は他の構造のものでも差し支えないが、より小さな力で手軽に操作できることと設置作業員の個人差による各止水パッキン11,11,12への加圧力の差を小さくするためには、以下説明するように各ラッシングベルト2,3,4を使用するのが好ましい。・・・ ・・・ 【0027】 前記床面方向への締付け圧力により底部パッキン12が圧縮されると、本体止水部12aの相対的に厚みとゴム硬度の小さい下部ゴム層120は圧縮量が相対的に大きい(ただし、圧縮した状態は図示されていない)ために、床面にタイル等の目地溝その他の凹凸によりある程度の不陸があってもそれによく追随して必要な止水性能を発揮する。 上部ゴム層121も下部ゴム層120のそれよりも小さいけれども同時に圧縮されるので、相対的に柔らかい下部ゴム層120は、厚みが小さくても床面の不陸が過大でなければ底部における止水は十分に確保できる。同様な理由により、圧縮時に下部ゴム層120が前記不陸部の低レベル方向へ部分的に過大膨出することはないので、底部パッキンの前記支止水性が阻害されることもない。 底部止水パッキン12の補助止水部12bはその上部ゴム層123が板本体10の背面下部へ接着されており、床面方向へ作用する締付け圧力は本体止水部12aに対してのみならず補助止水部12bに対してもほぼ同様に作用するから止水性能はさらに向上する。」 「 [図:0001409159000061.jpg] 」 「 [図:0001409159000062.jpg] 」 「 [図:0001409159000063.jpg] 」 そうすると、甲B5には、次の発明(以下「甲B5発明」という。)が記載されていると認められる。 「a 板本体10と、前記板本体10の背面の両端部分へ縦方向に沿って密に接着された側部止水パッキン11と、板本体10の底部へ全長にわたって密に接着された底部止水パッキン12とから構成されている止水板1であって、 b 前記底部止水パッキン12は、設置状態において前記出入口7の床面へ接するゴム硬度の小さい下部ゴム層120と、当該下部ゴム層120よりもゴム硬度の大きい上部ゴム層121との少なくとも二層から構成され(以上【0010】)、 c 前記底部止水パッキン12は、前記止水板1の板本体10の底部へ密に接着された本体止水部12aと、当該本体止水部12aの背面側へ位置しかつ前記側部止水パッキン11の厚みt2とほぼ同じ幅w2の補助止水部12bとから構成され、前記補助止水部12bの両端部上面は対応する側部止水パッキン11の底面と密に接着され、本体止水部12aと補助止水部12b相互も密に接着され(【0012】)、 d 前記本体止水部12aのみで底部止水パッキン12を構成することができ、この場合には、側部止水パッキン11の下端部を底部止水パッキン12の厚み分だけ延ばし、当該側部止水パッキン11の下部前面と底部止水パッキン12の両端部背面とを密に接着し(【0014】)、 e 側部止水パッキン11及び各上部ゴム層121,123には同じゴム硬度のプロロブチレンゴム又はプロロピレンゴムの板が使用され、各下部ゴム層120,122には同じゴム硬度のシリコーンゴムの板が使用され(【0016】)、 f 止水板1の、構造物の出入口7への設置構造について、 f1 出入口7の構造上側壁70に例えば柱が突出しているような場合には、当該柱を支柱部材5として使用し、 f2 当該各支柱部材5,5の正面へ各側部止水パッキン11が接触し、床面へ底部止水パッキン12が接触する状態に止水板1を配置し、 f3 この状態で、適当な押圧具により板本体10を各支柱部材5と床面とに向けて押圧し、各側部止水パッキン11と底部止水パッキン12とを必要量圧縮させ(以上【0019】)、 f4 前記押圧具は他の構造のものでも差し支えない(【0020】) 止水板1。」 13 甲B6 甲B6には、次の事項が記載されている。 「【0028】 2.止水板1の構造 本実施形態の止水板1は、概ね、建物開口101に当接設置する止水板本体2と、止水板本体2(建物開口とは反対の面、即ち止水板本体2のうちの建物外部側107にある面)の下方に配設され、建物開口101側斜め上方に止水板本体2を付勢する複数(本実施形態では3つ)の揺動片3と、止水板本体2を下方(床面109側)に押し付ける押圧機構103(本実施形態では、止水板本体2の左右端側に各1つ)と、止水パッキン13と、を具備して構成されている。 ・・・ 【0031】 <押圧機構103> 本実施形態の止水板本体2は、床面109に載置した状態で開口端縁111に当接したうえで、止水板本体2を下方(床面109側)に押し付ける押圧機構103を具備しており、配置調整後に止水板本体2を短時間かつ簡便確実に建物間口101に固定設置することができる。押圧機構103としては、例えば特開2017-160693号公報に開示された機構を採用できる。 【0032】 <止水パッキン13A及び止水パッキン13B> 止水板本体2の間口方向両端部には、図1に示すように、止水板本体2の高さ方向に延びる止水パッキン13Aが配設されている。止水パッキン13Aは、ゴム材料、樹脂材料若しくは樹脂発泡体又は空気袋体等で構成することができ、止水板1に水圧が負荷されたときに弾性変形して水圧を受け止め、かつ止水板本体2と開口端縁111との間から漏水しないように密封する、いわゆるシール材あるいはパッキンとしての機能を持つ。なお、止水パッキン13Aは開口端縁111側に取り付けられてもよい。 【0033】 また、止水板本体2の下側水平部には止水パッキン13Bが配設されている。当該止水パッキン13Bについても、ゴム材料、樹脂材料若しくは樹脂発泡体又は空気袋体等で構成することができ、止水板1の自重や設置時の押圧力によって弾性変形し、止水板本体2と床面109との間から漏水が発生しないように密封する。なお、止水パッキン13Aと止水パッキン13Bとは、連続した単一の部材として構成してもよい。また、所望の止水性が期待できるのであれば、これら止水パッキン13は必須の構成要素でないことは言うまでもない。」 「【0048】 3.止水板本体2と揺動片3との接続 続いて、図4(a)及び(b)を用いて止水板本体2と揺動片3との接続について説明する。図4(a)及び(b)は、止水板本体2と揺動片3との接続を示す図であって、図4(a)は、止水板本体2に揺動片当接部7を具備した止水板本体2下部の側面図であり、4(b)は、揺動片3に止水板本体当接部4を具備した止水板本体2下部の側面図である。以下、床面109方向をP2、反対の方向をP1として説明する。 ・・・ 【0059】 続いて、止水板1が備える押圧機構103を用いて止水板本体2を方向P2に押圧する(この押圧行為は、止水板1の自重によってなされてもよいことは先述した通りであるが、本説明では押圧機構103を用いた場合をもって、以下の説明を行う。)。押圧機構103は、上述のとおり、例えば特開2017-160693号公報に開示された機構が採用でき、操作レバーを倒す操作を行うことで、回転軸芯が固定された固定回転軸が回転し、当該軸の回転に連動して押圧部が開口内壁に当接し、更にレバーを倒すと、軸芯が回転移動する回転軸が回動し、その結果、押圧部が開口内壁に当接押圧しながら、止水板本体2を方向P2側に押圧することができる。」 「 [図:0001409159000064.jpg] 」 「 [図:0001409159000065.jpg] 」 「 [図:0001409159000066.jpg] 」 そうすると、甲B6には、次の発明(以下「甲B6発明」という。)が記載されていると認められる。 「a 止水板本体2と、止水板本体2を下方(床面109側)に押し付ける押圧機構103と、止水パッキン13と、を具備して構成される止水板1であって(【0028】)、 b 止水板本体2は、床面109に載置した状態で開口端縁111に当接したうえで、止水板本体2を下方(床面109側)に押し付ける押圧機構103を具備しており、配置調整後に止水板本体2を短時間かつ簡便確実に建物間口101に固定設置することができ(【0031】)、 c 止水板本体2の間口方向両端部には、止水板本体2の高さ方向に延びる止水パッキン13Aが配設され、止水パッキン13Aは、ゴム材料、樹脂材料若しくは樹脂発泡体又は空気袋体等で構成することができ、止水板本体2と開口端縁111との間から漏水しないように密封し(【0032】)、 d 止水板本体2の下側水平部には止水パッキン13Bが配設され、当該止水パッキン13Bについても、ゴム材料、樹脂材料若しくは樹脂発泡体又は空気袋体等で構成することができ、止水板本体2と床面109との間から漏水が発生しないように密封し、 e 止水パッキン13Aと止水パッキン13Bとは、連続した単一の部材として構成され(以上【0033】)、 f 押圧機構103は、操作レバーを倒す操作を行うことで、回転軸芯が固定された固定回転軸が回転し、当該軸の回転に連動して押圧部が開口内壁に当接し、更にレバーを倒すと、軸芯が回転移動する回転軸が回動し、その結果、押圧部が開口内壁に当接押圧しながら、止水板本体2を(【0059】)床面109方向(【0048】)P2側に押圧することができる(【0059】) 止水板1。」 第5 当審の判断 1 理由A1、理由B1(新規事項)について (1)当初明細書等の記載 本件補正事項1及び2の「起立面部における前記支持体と対峙(当接)する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材」に関して、当初明細書等には、以下の記載がある。 「【0029】 図3~図5に示すように、止水板3A,3Bは、矩形板状の形態を有し、前後の起立面部31,31における左右の幅方向端部位31a,31aのそれぞれに、係止突起部32と起立面部パッキン部材33とを備えている。係止突起部32は、前後に延びる軸部32bの先端に幅広の頭部32aを有している。起立面部パッキン部材33は、上下方向に延びる弾性体で形成されている。なお、止水板3A,3Bの内部は、中空部分を有する構造であってもよい。 【0030】 図1、図2及び図8~図10に示すように、左右の支持体2L,2Rは、止水板3A,3Bの起立面部31の幅方向端部位31aが対向配置される止水板取付け面部21の上下2箇所に、係止突起部32を係止するための係止穴22を備えている。係止穴22は、上下縦長で下方側が幅狭の鍵穴状であり、係止突起部32の頭部32aを挿通可能な頭部挿通穴22aと、頭部挿通穴22aから下方に向けて延びる軸部挿通溝22bを有している。 【0031】 止水板3A,3Bが支持体2L,2Rに取り付けられる際には、係止突起部32の頭部32aを係止穴22の頭部挿通穴22aに挿入した後、止水板3A,3Bを下方へスライドさせて、係止突起部32の軸部32bを係止穴22の軸部挿通溝22bに位置させる。これにより、止水板3A,3Bは、支持体2L,2Rに、前後に引き抜き不能に接続される。また、起立面部31の幅方向端部位31aに設けられた起立面部パッキン部材33が止水板取付け面部21に密接することで、止水板3A,3Bと支持体2L,2Rとの間の水密性が確保される。」 「【0042】 また、起立面部パッキン部材33は、上下に延びる水膨張性止水材33aと、水膨張性止水材33aを左右で挟んで上下に延びる左右の耐水性止水材33b,33bとで構成されている。水膨張性止水材33aは、例えば水膨張ゴム製である。耐水性止水材33bは、例えば断面D字形の中空のゴム製である。起立面部パッキン部材33が水膨張性止水材33aを含む左右3重構造に形成されているので、起立面部31と止水板取付け面部21との間の水密性を高めることができる。 【0043】 なお、平面視で前後に並ぶ2本の起立面部パッキン部材33,33の端部は、止水板3Aの上下の水平面部34,34のそれぞれに設けられる前後方向パッキン部材35に連続している。すなわち、前後2本の起立面部パッキン部材33と上下2本の前後方向パッキン部材35は、連続して環状に設けられている。なお、前後方向パッキン部材35は、水膨張性止水材35aと左右の耐水性止水材35b,35bとで構成されており、起立面部パッキン部材33と同様に、左右3重構造に形成されている。」 「【0048】 図3及び図4に示すように、止水板3Aの上下の水平面部34,34のそれぞれに、左右方向に延びる弾性体からなる水平面部パッキン部材36と、上述の前後方向パッキン部材35が設けられている。前後方向パッキン部材35は、水平面部34の左右の幅方向端部位にそれぞれ設けられている。水平面部パッキン部材36の左右両端部は、左右の前後方向パッキン部材35に隙間なく接続されている。」 「【0079】 止水板3Aを下方へスライドさせるように押し込むと、係止突起部32の頭部32aは、頭部保持部30の頭部スライド面30aに沿って、支持体2L,2Rの止水板取付け面部21から離れるように斜め下向きに移動する。このとき、止水板3Aの起立面部31は、止水板取付け面部21に近づくように変位し、起立面部パッキン部材33が止水板取付け面部21に密着当接するとともに押圧変形する。」 「【0082】 また、係止突起部32の頭部32aが頭部保持凹部30bに嵌り込んだ状態で、止水板3Aの下側の前後方向パッキン部材35(図3等参照)及び水平面部パッキン部材36が床面Fに密着当接するとともに押圧変形する。これにより、止水板3Aと床面Fとの間に高い水密性を確保できる。また、止水板3Aの下側のストッパ突起部37の先端側が床面Fのストッパ受け凹部40に挿入されるので、水圧に起因する止水板3Aの湾曲を低減でき、止水板3Aの湾曲に起因する水密性の低下や止水板3Aの破損を防止できる。」 「 [図:0001409159000067.jpg] 」 「 [図:0001409159000068.jpg] 」 「 [図:0001409159000069.jpg] 」 「 [図:0001409159000070.jpg] 」 「 [図:0001409159000071.jpg] 」 上記記載によれば、当初明細書等には、以下の事項(以下「当初明細書等記載事項」という。符号a等は分説のため当審で付した。)が記載されていると認められる。 「a 止水板3A,3Bは、矩形板状の形態を有し、前後の起立面部31,31における左右の幅方向端部位31a,31aのそれぞれに、上下方向に延びる弾性体で形成された起立面部パッキン部材33を備え(【0029】)、 b 起立面部31の幅方向端部位31aに設けられた起立面部パッキン部材33が(【0031】)支持体2L,2Rの止水板取付け面部21に密接するとともに押圧変形する(【0079】)ことで、止水板3A,3Bと支持体2L,2Rとの間の水密性が確保され(【0031】)、 c 平面視で前後に並ぶ2本の起立面部パッキン部材33,33の端部は、止水板3Aの上下の水平面部34,34のそれぞれに設けられる前後方向パッキン部材35に連続し、すなわち、前後2本の起立面部パッキン部材33と上下2本の前後方向パッキン部材35は、連続して環状に設けられており(【0043】)、 d 止水板3Aの上下の水平面部34,34のそれぞれに、左右方向に延びる弾性体からなる水平面部パッキン部材36と、上述の前後方向パッキン部材35が設けられ、前後方向パッキン部材35は、水平面部34の左右の幅方向端部位にそれぞれ設けられ、水平面部パッキン部材36の左右両端部は、左右の前後方向パッキン部材35に隙間なく接続され(【0048】)、 e 止水板3Aの下側の前後方向パッキン部材35及び水平面部パッキン部材36が床面Fに密着当接するとともに押圧変形することにより、止水板3Aと床面Fとの間に高い水密性を確保でき(【0082】)、 f 起立面部パッキン部材33は、上下に延びる水膨張性止水材33aと、水膨張性止水材33aを左右で挟んで上下に延びる左右の耐水性止水材33b,33bとで構成され、左右3重構造に形成されているので、起立面部31と止水板取付け面部21との間の水密性を高めることができ(【0042】)、 g 前後方向パッキン部材35は、水膨張性止水材35aと左右の耐水性止水材35b,35bとで構成されており、起立面部パッキン部材33と同様に、左右3重構造に形成されている(【0043】)。」 (2)本件補正事項1及び2と当初明細書等との対応 ア 「起立面部における前記支持体と対峙(当接)する領域に設けられた」について 当初明細書等記載事項の「b 起立面部31の幅方向端部位31aに設けられた起立面部パッキン部材33が支持体2L,2Rの止水板取付け面部21に密接する」ことからすれば、起立面部31の幅方向部位31aは、支持体2L,2Rの止水板取付け面部21と対峙(当接)する領域といえる。 したがって、「b 起立面部31の幅方向端部位31aに設けられ」「支持体2L,2Rの止水板取付け面部21に密接する」「起立面部パッキン部材33」は、本件補正事項1及び2の「起立面部における前記支持体と対峙(当接)する領域」「に」「設けられた」「パッキン部材」に対応する。 イ 「床面に対峙する水平面部に設けられた」について 当初明細書等記載事項の「止水板3Aの」「下側の」「水平面部34」「前後方向パッキン部材35」「が床面Fに密着当接する」(c、e参照)ことからすれば、「止水板3Aの」「下側の」「水平面部34」は、床面に対峙する領域といえる。 したがって、当初明細書等記載事項の「止水板3Aの」「下側の」「水平面部34」「に設けられ」「床面Fに密着当接する」「前後方向パッキン部材35」(c、e参照)は、本件補正事項1及び2の「床面に対峙する水平面部」「に」「設けられた」「パッキン部材」に対応する。 ウ 「切れ目なくまたがって連続して設けられた」について 当初明細書等記載事項の「c 平面視で前後に並ぶ2本の起立面部パッキン部材33,33の端部は、止水板3Aの上下の水平面部34,34のそれぞれに設けられる前後方向パッキン部材35に連続し、すなわち、前後2本の起立面部パッキン部材33と上下2本の前後方向パッキン部材35は、連続して環状に設けられて」いることは、起立面部パッキン部材33と前後方向パッキン部材35とが連続した環状の一体の部材として設けられていることと解される。そうすると、「b 起立面部31の幅方向端部位31aに設けられ」「支持体2L,2Rの止水板取付け面部21に密接する」「起立面部パッキン部材33」と、「止水板3Aの」「下」側「の水平面部34」「に設けられ」「床面Fに密着当接する」「前後方向パッキン部材35」(c、e参照)とからなるパッキン部材は、「起立面部31」「における」「支持体2L,2R」と「対向配置され」る「幅方向端部位31a」と、「止水板3Aの」「下」側「の水平面部34」とに切れ目なくまたがって連続して設けられているパッキン部材といえるから、上記ア及びイの検討を踏まえれば、本件補正事項1及び2の「起立面部における前記支持体と対峙(当接)する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた」「パッキン部材」に対応する。 なお、当初明細書等記載事項の「止水板3Aの」「下」側「の水平面部34」「に設けられ」た「左右方向に延びる弾性体からなる水平面部パッキン部材36」は、その「左右両端部」が「左右の前後方向パッキン部材35に隙間なく接続され」(d参照)ていることからすれば、水平面部パッキン部材36は、前後方向パッキン部材35とは別の部材であって、前後方向パッキン部材35と一体の部材である起立面部パッキン部材33とも別の部材であるから、本件補正事項1及び2の「起立面部における前記支持体と対峙(当接)する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた」「パッキン部材」に対応しないことは明らかである。 エ 「厚み方向に単層の」について 一般に、パッキン部材とは、接続する一方の部品と他方の部品との間に挟まれて押圧変形して液体や気体などの流体が漏れないようにする部材であることからすれば、パッキン部材の厚み方向とは、接続する一方の部品と他方の部品との間に挟まれてパッキン部材が押圧変形する方向と解するのが相当である。そうすると、当初明細書等記載事項におけるパッキン部材の厚み方向とは、起立面部パッキン部材33においては、起立面部31の幅方向端部位31aと支持体2L,2Rの止水板取付け面部21との間に挟まれて押圧変形する(b参照)方向であって、起立面部パッキン部材33の上下方向及び3重構造に形成される左右方向に広がる面と垂直方向であり、前後方向パッキン部材35においては、止水板3Aの下側と床面と床面Fとの間に挟まれて押圧変形する(e参照)方向であって、前後方向及び3重構造に形成される左右方向に広がる面と垂直方向である。そうすると、当初明細書等記載事項の「b 起立面部31の幅方向端部位31aに設けられ」「支持体2L,2Rの止水板取付け面部21に密接する」「起立面部パッキン部材33」と、「止水板3Aの」「下」側「の水平面部34」「に設けられ」「床面Fに密着当接する」「前後方向パッキン部材35」(c、e参照)は、いずれも、厚み方向には、水膨張性止水材33a,35a、または、水膨張性止水材33a,35aを左右で挟んで延びる左右の耐水性止水材33b,33b,35b,35bのいずれかの単層構造といえるから、本件補正事項1及び2の「起立面部における前記支持体と対峙(当接)する領域と、床面に対峙する水平面部とに」「設けられた厚み方向に単層のパッキン部材」に対応する。 オ 小括 上記ア~エより、本件補正事項1及び2の「起立面部における前記支持体と対峙(当接)する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材」は、当初明細書等に記載されていると認められる。 (3)申立人A、申立人Bの主張について ア 「切れ目なく」「連続して」について 申立人Aは、本件補正事項1及び2の「切れ目なく」「連続して」との記載について、当初明細書の段落【0043】には、起立面部パッキン部材33の端部が前後方向パッキン部材35に連続している旨の記載があり、【0048】には水平面部パッキン部材36の左右両端部は、左右の前後方向パッキン部材35に隙間なく接続されている旨の記載があることから判断して、起立面部パッキン部材33と前後方向パッキン部材35とは一体的に連続しているから切れ目なく連続しているのに対し、水平面部パッキン部材36と前後方向パッキン部材35とは隙間なく接続されたものであって、例えば図3から明らかなように、起立面部パッキン部材33と前後方向パッキン部材35とのあいだには切れ線がなく一体であると認められるのに対し、水平面部パッキン部材36と前後方向パッキン部材35とのあいだには縦線が施されていて別部材になっているものと認められ、別部材となっているもの同士を接続する場合に、その接続面は切れ目と表現されるものと思料するところ、本件補正事項1及び2では、パッキン部材同士を、別のパッキン部材同士の接続面が切れ目となって存在しているにも関わらず「切れ目なく連続」したものとして、恰も「切れ目のない」一体に連続したものとして記載しており、斯かる記載は当初明細書等に何らの記載がないだけでなく、示唆される何らの記載もない旨主張する。 同様に、申立人Bは、本件補正事項1及び2の「切れ目なくまたがって連続して設けられた」とは、例えば、「起立面部パッキン部材33」と「前後方向パッキン部材35」と「水平面部パッキン部材36」とが、切れ目のない一体成形された単一の部材から構成されたものと解されるが、そのような構成は、当初明細書等(【0029】、【0034】、【0041】~【0043】、【0048】~【0051】)には、記載も示唆もない旨主張する。 しかしながら、上記(2)ウで示したとおり、当初明細書等記載事項の「b 起立面部31の幅方向端部位31aに設けられ」「支持体2L,2Rの止水板取付け面部21に密接する」「起立面部パッキン部材33」と、「止水板3Aの」「下」側「の水平面部34」「に設けられ」「床面Fに密着当接する」「前後方向パッキン部材35」(c、e参照)とからなるパッキン部材が、本件補正事項1及び2の「起立面部における前記支持体と対峙(当接)する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた」「パッキン部材」に対応するのであり、当初明細書等記載事項の「止水板3Aの」「下側の」「水平面部34」「に設けられ」た「左右方向に延びる弾性体からなる水平面部パッキン部材36」は、前後方向パッキン部材35とは別の部材であるから、本件補正事項1及び2の「起立面部における前記支持体と対峙(当接)する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた」「パッキン部材」に対応しないことは明らかである。 したがって、申立人A、申立人Bの主張は採用できない。 イ 「またがって」について 申立人Aは、本件補正事項1及び2の「またがって」との記載について、何を「またがって」いるのか意味不明であり、これに対応して、当初明細書等において、止水板3Aの起立面部31,31に備えられた起立面部パッキン部材33と、止水板3Aの下側の水平面部34に設けられた前後方向パッキン部材35について「またがって」いる点は、当初明細書等に何ら記載がなく、新規事項である旨主張する。 しかしながら、本件補正事項1及び2の「起立面部における前記支持体と対峙(当接)する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材」における「またがって」とは、起立面部における前記支持体と対峙(当接)する領域と、床面に対峙する水平面部とにまたがっていることは明らかである。 そして、上記(2)ウで示したとおり、当初明細書等記載事項の「b 起立面部31の幅方向端部位31aに設けられ」「支持体2L,2Rの止水板取付け面部21に密接する」「起立面部パッキン部材33」と、「止水板3Aの」「下」側「の水平面部34」「に設けられ」「床面Fに密着当接する」「前後方向パッキン部材35」(c、e参照)とからなるパッキン部材は、「起立面部31」「における」「支持体2L,2R」と「対向配置され」る「幅方向端部位31a」と、「止水板3Aの」「下」側「の水平面部34」とにまたがって設けられているパッキン部材であり、本件補正事項1及び2の「起立面部における前記支持体と対峙(当接)する領域と、床面に対峙する水平面部とに」「またがって」「設けられた」「パッキン部材」に対応する。 したがって、申立人Aの主張は採用できない。 ウ 「厚み方向に単層のパッキン部材」について 申立人Aは、本件補正事項1及び2の「厚み方向に単層のパッキン部材」について、「厚み方向」が、当初明細書等に記載がなく、そして当初明細書の段落【0042】、【0043】では、起立面部パッキン部材33、前後方向パッキン部材が「3重構造」に形成されている旨、記載されており、この「3重構造」は「3層構造」に該当すると判断され単層ではなく、本件補正事項1及び2の「厚み方向に単層」のパッキン部材は当初明細書等に記載されない新規事項でもある旨主張する。 同様に、申立人Bは、当初明細書等記載事項の「起立面部パッキン部材33」、「前後方向パッキン部材35」及び「水平面部パッキン部材36」は、それぞれ「3重構造」に形成されており(【0042】、【0043】、【0049】)、本件補正事項1及び2の「厚み方向に単層」ではない旨主張する。 しかしながら、上記(2)エで示したとおり、当初明細書等における、前後2本の起立面部パッキン部材33と上下2本の前後方向パッキン部材35とが連続した環状の一体のパッキン部材の厚み方向とは、起立面部パッキン部材33においては、上下方向及び3重構造に形成される左右方向に広がる面と垂直方向であり、前後方向パッキン部材35においては、前後方向及び3重構造に形成される左右方向に広がる面と垂直方向である。そして、当初明細書等の「起立面部31」「における」「支持体2L,2R」と「対向配置され」る「幅方向端部位31a」「に設けられた起立面部パッキン部材33」と、「止水板3Aの」「下」側「の水平面部34」「に設けられ」「床面Fに密着当接する」「前後方向パッキン部材35」は、いずれも、厚み方向には、水膨張性止水材33a,35a、または、水膨張性止水材33a,35aを左右で挟んで延びる左右の耐水性止水材33b,33b,35b,35bのいずれかの単層構造であるから、本件補正事項1及び2の「起立面部における前記支持体と対峙(当接)する領域と、床面に対峙する水平面部とに」「設けられた厚み方向に単層のパッキン部材」に対応する。 したがって、申立人A、申立人Bの主張は採用できない。 (4)まとめ 以上から、本件補正事項1及び2は、本件特許の当初明細書等に記載されている事項であり、本件特許の当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえないから、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願についてされたものではない。 2 理由B2(サポート要件)について 申立人Bは、本件発明は「止水板を迅速且つ容易に設置できる止水装置を提供すること」(【0006】)を課題とするが、明細書等には本件発明の「切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材」は記載も示唆もなく、この構成によって、課題が解決できると認識できない旨主張するので、以下検討する。 本件特許に係る出願手続において、明細書又は図面についての補正はなく、本件特許に係る明細書及び図面の記載は、上記1(1)の当初明細書等の記載と同じである。 そうすると、本件発明の「起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材」は、上記1(2)で当初明細書等に記載されていると判断したのと同様に、明細書又は図面に記載されたものであるといえる。 また、本件発明は、従来の止水装置では、止水板を設置する際には、左右の支持体の対向溝に止水板を落し込むために、止水板を支持体の対向溝よりも高い位置まで持ち上げる必要があり、重量が大きい止水板を支持体の対抗溝よりも高い位置まで人力で持ち上げるのは非力な作業者では困難であるという現状を改善すべく、止水板を迅速且つ容易に設置できる止水装置を提供することを課題とし(【0002】~【0006】参照)、課題解決手段として「前記止水板は、前記支持体に対して前後方向に移動されるとともに前記支持体に係止されることで前記支持体に接続される」との構成を備えることにより、止水板を前後へスライドさせることで、止水板を支持体の高さ以上に持ち上げなくても止水板を支持体に接続できるので、止水板を迅速且つ容易に設置できることとなり(【0008】参照)、上記課題を解決するものと認められる。 そして、本件発明は、上記課題解決手段に加えて、「前記止水板」が「少なくとも起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材を備えている」ことから、パッキン部材のうち止水板の起立面部に設けた部分に上向きの力が加わった状態で止水板が支持体に取り付く構成であっても、止水板の起立面部に設けたパッキン部材部分と水平面部に設けたパッキン部材部分との間に隙間が形成されず、水密性を維持できるという効果を奏しつつ、上記課題を解決するものといえる。 したがって、申立人Bの主張は採用できない。 以上のとおり、本件発明の「切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材」は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、この構成を含む本件発明は、本件発明の課題を解決すると認識できるから、特許法第36条第6項第1号の要件に適合するものである。 3 理由B3(明確性)について (1)「切れ目なくまたがって連続して設けられた」について 申立人Bは、請求項1の「切れ目なくまたがって連続して設けられた」との記載は(ア)パッキン部材を、全体として、例えば、一体成形された単一の部材から構成することを意味するのか、(イ)パッキン部材を構成する複数の部材同士を接着剤等の接合手段を用いて物理的に接合して構成することを意味するのか、(ウ)パッキン部材を構成する複数の部材同士が単に接している状態を意味するのか、あるいは、(エ)上記(ア)~(ウ)以外の構成を意味するのか、技術的に明らかでなく、また、本件明細書には、前後2本の起立面部パッキン部材33と上下2本の前後方向パッキン部材35は、連続して環状に設けられること(【0043】)、及び、水平面部パッキン部材36の左右両端部は、左右の前後方向のパッキン部材35に隙間なく接続されていること(【0048】)が記載されているが、この構成は、上記(ア)~(エ)のどの構成に対応したものかも明らかでない旨主張する。 しかしながら、請求項1の「起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた」「パッキン部材」のうちの「切れ目なくまたがって連続して設けられた」とは、起立面部における前記支持体と対峙する領域の設けられたパッキン部材と、床面に対峙する水平面部に設けられたパッキン部材とが、切れ目なくまたがって連続していることであり、切れ目なくまたがって連続しているのであるから、両パッキン部材は別の部材ではなく一体の部材であることを意味することは明らかである。 また、このことは、上記1(2)ウの検討を踏まえれば、発明の詳細な説明の記載と整合するものである。 したがって、請求項1の「切れ目なくまたがって連続して設けられた」との記載は明確であり、申立人Bの主張は採用できない。 (2)「厚み方向に単層」について 申立人Bは、請求項1の「厚み方向に単層」との記載について、本件明細書には、「厚み方向」の説明はなく、「厚み方向に単層」とは、どのような層構造を構成しているのか技術的に明らかでなく、また、本件明細書には、「起立面部パッキン部材33」、「前後方向パッキン部材35」及び「水平面部パッキン部材36」は、それぞれ「3重構造」に形成されており(【0042】、【0043】、【0049】)、「厚み方向に単層」ではない旨主張する。 しかしながら、上記1(2)エで述べたように、パッキン部材の厚み方向とは、接続する一方の部品と他方の部品との間に挟まれてパッキン部材が押圧変形する方向と解するのが相当である。そうすると、請求項1の「起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに」「設けられた」「パッキン部材」の「厚み方向」とは、起立面部における支持体と対峙する領域においては、起立面部と支持体との間に挟まれてパッキン部材が押圧変形する方向であり、床面に対峙する水平面部においては、床面と水平面部との間に挟まれてパッキン部材が押圧変形する方向である。そして、「厚み方向に単層」とは、起立面部における支持体と対峙する領域においては、起立面部と支持体との間に挟まれてパッキン部材が押圧変形する方向にパッキン部材が単層であり、床面に対峙する水平面部においては、床面と水平面部との間に挟まれてパッキン部材が押圧変形する方向にパッキン部材が単層であることを意味することは明らかであって、明確である。 また、このことは、上記1(2)オで示したように、発明の詳細な説明とも整合するものである。 したがって、申立人Bの主張は採用できない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件発明の「切れ目なくまたがって連続して設けられた」及び「厚み方向に単層」との記載は明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件に適合するものである。 4 理由A2(進歩性)について (1)本件発明と甲A12発明の対比 ア 甲A12発明の構成aの「立柱2,2」は、「ビル、地下駐車場の入口1’の両側の壁又は柱1”、1”に」「密着固定」されたものであるから、入口1’の間隔を空けて設置された左右のものといえる。 また、甲A12発明の構成fの「立柱2,2」は、「防水板3の左右両端部3’、3’を」「対向溝2’、2’内に挿入して」、「縦溝10から突出する中空弾性止水ゴム4が受板に圧接」するものであるから、対向溝2’、2’内の受板で防水板3を支持するものといえる。 したがって、甲A12発明の「立柱2,2」は、本件発明の「A 間隔を空けて設置された左右の支持体」に相当する。 イ 甲A12発明において、構成cの「防水板3」は、「左右両端部3’、3’の正面に縦溝10,10を形成し、該縦溝10,10内にネオプレンゴムによる中空弾性止水ゴム4の基部を嵌合し正面を上記縦溝10,10から正面側に突出させ、突出部を上記受板の内面に接するように」するものであり、受板(正面側内面2”)が、立柱2のコ字形溝形形材の正面板2aの先端部を反対向小コ字形状に溝2’の内部に屈曲して形成されたものであるから(b参照)、防水板3は、左右の立柱2、2に接するように取り付けられて立設されるものといえる。 また、防水板の技術常識に鑑みれば、防水板3が左右の立柱2、2に取り外し可能に取付けられることは明らかである。 したがって、甲A12発明の「防水板3」は、本件発明の「B 左右の前記支持体に着脱可能に取り付けられて立設される止水板」に相当する。 ウ 甲A12発明の「h 防水装置」は、本件発明の構成Cの「止水装置」に相当する。 エ 甲A12発明において、「f 防水板3の左右両端部3’、3’を立柱2,2の対向溝2’、2’内に挿入して」「クレセント6の腕6”を垂直方向から水平に回動すると」「上記縦溝10から突出する中空弾性止水ゴム4が受板に圧接」することは、防水板3が、中空弾性止水ゴム4が受板に圧接するように受板に近づく方向に移動されることとなるといえるから、「受板(正面側内面2”)」が「形成」された「立柱2,2」(b参照)に対して前後方向に移動されるといえる。 したがって、本件発明の「前記止水板」が「D 前記支持体に対して前後方向に移動されるとともに前記支持体に係止されることで前記支持体に接続される」ことと、甲A12発明の構成fとは、「前記止水板」が「D’前記支持体に対して前後方向に移動されるとともに前記支持体に接続される」点で共通する。 オ 甲A12発明において、「c 防水板3の左右両端部3’、3’’の正面に」「形成」された「縦溝10,10内に」「基部を嵌合」され「正面を上記縦溝10,10から正面側に突出させ、突出部を上記受板の内面に接するように」される「ネオプレンゴムによる中空弾性止水ゴム4」と、「d 上記防水板3の底面に」「設け」られ「床面5に圧接(g参照)」する「ネオプレンゴムによる中空弾性止水ゴム4’」とからなるものは、防水板の正面である起立面部における立柱2,2の受板と対峙する領域と、防水板3の床面5に対峙する底面である水平面部とに設けられた中空弾性止水ゴム4、4’であるパッキン部材といえる。 また、中空弾性止水ゴム4、4’は、いずれもネオプレンゴムのみからなるものであるから、いずれの方向からみても単層のものといえるところ、上記1(2)エで述べたのと同様に、押圧変形する方向を厚み方向とみれば、厚み方向に単層であるといえる。 したがって、本件発明の「前記止水板」が「E 少なくとも起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材を備えている」ことと、甲A12発明の構成c、d、gとは、「前記止水板」が「E’少なくとも起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに設けられた厚み方向に単層のパッキン部材を備えている」点で共通する。 そうすると、本件発明と甲A12発明とは、 「A 間隔を空けて設置された左右の支持体と、 B 左右の前記支持体に着脱可能に取り付けられて立設される止水板と C を備えた止水装置であって、 前記止水板は、 D’前記支持体に対して前後方向に移動されるとともに前記支持体に接続されるとともに、 E’少なくとも起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに設けられた厚み方向に単層のパッキン部材を備えている、 止水装置。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1](構成D) 本件発明は「前記支持体に係止されることで」止水板が支持体に接続されるのに対し、甲A12発明は、防水板3の左右両端部3’、3’を立柱2,2の対向溝2’、2’内に挿入し、クレセント6の腕6”を垂直方向から水平に回動して、縦溝10から突出する中空弾性止水ゴム4を有するアルミ製中空防水板3が、立柱2に形成された受板に圧接して立柱2に接続されるものであり、立柱2に「係止されることで」防水板3が立柱2に接続されるものではない点。 [相違点2](構成E) 本件発明は、止水板が備えるパッキン部材が、起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに「切れ目なくまたがって連続して」設けられているのに対し、甲A12発明は、「防水板3の左右両端部3’、3’の正面に」「形成」された「縦溝10,10内に」「基部を嵌合」され「正面を上記縦溝10,10から正面側に突出させ、突出部を上記受板の内面に接するように」される「ネオプレンゴムによる中空弾性止水ゴム4」と、「上記防水板3の底面に」「設け」られ「床面5に圧接」する「ネオプレンゴムによる中空弾性止水ゴム4’」とは別の部材であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって連続して」設けられるものではない点。 (2)判断 事案に鑑み、まず相違点2について検討する。 (甲A13技術~甲A17技術の適用について) 甲A13技術において、構成aの「止水板4の屋内側面4aの扉幅方向の両端部に一対、止水板4の短手方向(高さ方向)全長に亘って配設され」る「縦止水ゴム(第1止水ゴム)5」と、構成bの「止水板4の床面Fと対向する面、すなわち、止水板4の底面に長手方向(扉幅方向)全長に亘って配設され」る「底面止水ゴム(第2止水ゴム)6」とは、それぞれ別に特定されていることからすれば、別の部材と解するのが相当であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって連続して」設けられているものではない。 甲A14技術において、構成aの「止水板6の下面」に「設け」られる「パッキング材7」と「止水板6の端縁部」に「設け」られる「パッキング材7」とは、同一の「パッキング材7」との用語が用いられているものの、「b 上記のパッキング材7は、止水板6の下面全長と止水板6の端部表面の全長にそれぞれ接着剤などを介し取付けてあ」るとして、「それぞれ」「取付けてあ」ることからすれば、別の部材と解するのが相当であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって連続して」設けられているものではない。 甲A15技術において、構成b、cの「左、右に一対立設され」た「扉枠7」が「収納凹部体2の前板2b側に」「備え」る「垂直方向のシール材6」と、構成cの「収納凹部体2の前板2bに」「取り付け」られた「水平方向のシール材8」は、「防水扉3」に備えられるものではなく、本件発明の「止水板が備えるパッキン部材」に相当しない。 また、構成cによれば「シール材8の両端を、扉枠7の垂直方向のシール材6下端側と連続させてあ」るものの、両者は、それぞれ別に特定されていることからすれば、別の部材と解するのが相当であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって連続して」設けられているものではない。 甲A16技術において、構成cによれば、「止水パネル」に「設け」られる「幅方向両端の側方水密部材2」と、「下端の下方水密部材3」とは、「連続状に設けてある」ものの、「側方水密部材2の下方の突出部の底面20と下方水密部材3の長さ方向両端部の垂下面31は接触ないし近接して」いることからすれば、別の部材と解するのが相当であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって連続して」設けられているものではない。 甲A17技術において、構成aの「壁止水部21における壁部W側の面の幅方向両側端部に設けられるとともに、地面Gから止水本体部2Aの上端まで上下方向に延びており、側端部止水部材3の下端部31は地面Gと壁部Wとの間の角部Cに当接し」「一部が止水本体部2A及び押圧部材6から側方(幅方向)に突出して」いる「側端部止水部材3」と、構成bの「壁止水部21の下端且つ裏面(壁部W及び地面G側の面)側に設けられるとともに、壁止水部21の下端が折り曲げられることで地面Gに載置され、止水本体部2Aの下端に連なり壁部Wから離れる方向に延び」「壁止水部21の幅方向全体に亘って設けられるとともに、側端部止水部材3の下端部31に壁部Wの反対側から密着する」「底面止水部材4」とは、両者が「密着する」ことからすれば、別の部材と解するのが相当であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって連続して」設けられているものではない。 そうすると、甲A13技術~甲A17技術は、いずれも、相違点2に係る本件発明の、止水板が備えるパッキン部材が、起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに「切れ目なくまたがって連続して」設けられていることに相当する構成を備えるものではないから、甲A12発明に適用したとしても、相違点2に係る本件発明の構成に想到することはできない。 (甲A18技術の適用について) 甲A18技術において、「b 止水板10の裏面の両側」「に」「取付部材13」「で装着」される「平形スポンジゴムから成る防水シール材12」「の防水面の略中央部に円形部を突出させた線状の止水シール材、即ち断面が円形又は半円形の硬質の線状止水ゴム14」と、「b 止水板10の裏面の」「下縁に」「取付部材13’で装着」される「平形スポンジゴムから成る防水シール材12’」「の防水面の略中央部に円形部を突出させた線状の止水シール材、即ち断面が円形又は半円形の硬質の線状止水ゴム14’」とは、「一連の止水ゴム」(c参照)であるから、「切れ目なくまたがって連続して」設けられているものといえる。 しかしながら、甲A18技術の「線状止水ゴム14,14’」は、「止水板10」に「装着」される「平形スポンジゴムから成る防水シール材12、12’」に「取付け」られるものであり、線状止水ゴム14,14’のみで止水板10に取り付けられるものではなく、パッキン部材としては、防水シール材12,12’とともに二層のパッキン部材を構成するものといえる。 そうすると、甲A18技術を甲A12発明に適用し得たとしても、「厚み方向に単層のパッキン部材」とはならず、本件発明に想到することはできない。 (相違点2に係る本件発明の構成の効果) 相違点2に係る本件発明の構成は、止水板に設けた厚み方向に単層のパッキン部材が、少なくとも起立面部における支持体と当接する領域と、床面上に配置される水平面部とに切れ目なくまたがって連続しているので、パッキン部材のうち止水板の起立面部に設けた部分に上向きの力が加わった状態で止水板が支持体に取り付く構成であっても、止水板の起立面部に設けたパッキン部材部分と水平面部に設けたパッキン部材部分との間に隙間が形成されず、水密性を維持できるという有利な効果を奏するものと認められる。 (申立人Aの主張について) 申立人Aは、本件発明の「またがって」なる文言が何を意図しているか不明であり、これを削除し「切れ目なく連続に設ける」点を、「起立面部パッキン材33」と「水平面部パッキン部材35」とが、「両パッキン部材33、35同士の端部が接触等により切れ目なく連続している」ものを意図しているのであれば、かかる構成は甲A13~甲A17において出願前に公知の技術であって何ら新規のものではない旨主張する。 しかしながら、本件発明において、パッキン部材が、起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに「切れ目なくまたがって連続して」設けられるとは、上記3(1)で述べたように、両パッキン部材は別の部材ではなく一体の部材であることを意味する。そうすると、かかる構成は甲A13~甲A17に開示されるものではない。 したがって、申立人Aの主張は採用できない。 また、申立人Aは、本件発明の「切れ目なく連続に設ける」点を、「起立面部パッキン材33」と「水平面部パッキン部材35」とが、「両パッキン部材33、35同士が継ぎ目がなく一連のものとなって折曲状態で切れ目なく連続している」ものを意図しているのであれば、実質的に止水板に設けられ、躯体側部材に当接して止水する機能を有したパッキン部材を切れ目のない折曲状態で連続したものとすることは甲A18において出願前に既に公知となっていて何ら新規のものではない旨主張する。 しかしながら、甲A18技術の「線状止水ゴム14,14’」は、上記(甲A18技術の適用について)で検討したように、「止水板10」に「装着」される「平形スポンジゴムから成る防水シール材12、12’」に「取付け」られるものであり、線状止水ゴム14,14’のみで止水板10に取り付けられるものではなく、パッキン部材としては、防水シール材12,12’とともに二層のパッキン部材を構成するものといえるから、甲A18技術を甲A12発明に適用したとしても、「厚み方向に単層のパッキン部材」とはならず、本件発明に想到することはできない。 したがって、申立人Aの主張は採用できない。 (3)まとめ 以上のとおりであるから、相違点1について検討するまでもなく、本件発明は、甲A12発明及び甲A13技術~甲A17技術または甲A18技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 5 理由B4(新規性)、理由B5(進歩性)について 5-1 甲B1を主引用例とした場合 (1)本件発明と甲B1発明の対比 ア 甲B1発明の構成hの「左右の縦枠3」は、その「間に」「止水パネルのパネル本体4」が「取り付けられる」ものであるから、止水パネルを支持する支持体といえ、本件発明の「A 間隔を空けて設置された左右の支持体」に相当する。 イ 甲B1発明の構成hの「止水パネル」は、「左右の縦枠3間に取り付けられる」ものであるから、左右の縦枠3に沿って立設されるものといえ、また、止水パネルの技術常識に鑑みれば、取り外し可能であることは明らかであるから、本件発明の「B 左右の前記支持体に着脱可能に取り付けられて立設される止水板」に相当する。 ウ 甲B1発明の構成aの「止水パネルの取付構造」は、本件発明の構成Cの「止水装置」に相当する。 エ 甲B1発明の構成eの「止水パネル」が「固定手段8の掛止部81を建物開口部両端の縦枠3の室内側角部に掛止させた状態で、固定手段8の締め具82によってベルト80を引張することで」「側方水密部材5を縦枠3の第1見付面30に圧接した状態で、建物開口部の室外側下方部位に取り付けられる」ことは、止水パネルが、縦枠3の第1見付面30に側方水密部材5を圧接するように縦枠3の第1見付面30に対して近づく方向である前後方向に移動されるとともに、固定手段8の掛止部81が縦枠3に係止されることで縦枠3に接続されることとなるといえるから、本件発明の「前記止水板」が「D 前記支持体に対して前後方向に移動されるとともに前記支持体に係止されることで前記支持体に接続される」ことに相当する。 オ 甲B1発明の「f パネル本体4の第2面部41の幅方向両端部には、全高に亘って側方水密部材5が突設されており」「パネル本体4の下面43には、全幅に亘って下方水密部材6が設けてあ」ることは、パネル本体4の起立面部である第2面部41における縦枠3の室外側の第1見付面30に対峙する領域である幅方向両端部と、床面FLに対峙するパネル本体4の下面43とに水密部材5,6を備えているといえる。 また、構成gの「側方水密部材5、下方水密部材6は、シリコーンスポンジから形成されている」ことは、側方水密部材5、下方水密部材6は、シリコーンスポンジのみから形成されているのであるから、いずれの方向からみても単層のものといえるところ、上記1(2)エで述べたのと同様に、押圧変形する方向を厚み方向とみれば、厚み方向に単層であるといえる。 したがって、本件発明の「前記止水板」が「E 少なくとも起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材を備えている」ことと、甲A12発明の構成f、gとは、「前記止水板」が「E’少なくとも起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材を備えている」点で共通する。 そうすると、本件発明と甲B1発明とは、 「A 間隔を空けて設置された左右の支持体と、 B 左右の前記支持体に着脱可能に取り付けられて立設される止水板と C を備えた止水装置であって、 前記止水板は、 D 前記支持体に対して前後方向に移動されるとともに前記支持体に係止されることで前記支持体に接続されるとともに、 E’少なくとも起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材を備えている、 止水装置。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点](構成E) 本件発明では、パッキン部材が、起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに「切れ目なくまたがって」連続して設けられているのに対し、甲B1発明では、縦枠3の室外側の第1見付面30に密着するパネル本体4の第2面部41の幅方向両端部に設けられた側方水密部材5と、床面FLに密着するパネル本体4の下面43に設けられた下方水密部材6とは、それぞれ別に特定されていることからすれば、別の部材であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものではない点。 (2)判断 ア 新規性について 本件発明と甲B1発明とは、上記相違点において相違するから、本件発明は、甲B1に記載された発明ではない。 イ 進歩性について 甲B1発明において、側方水密部材5と下方水密部材6とを、一体の部材として、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものとして、相違点に係る本件発明の構成とする動機付けは見出せない。 そして、相違点に係る本件発明の構成は、上記4(2)の(相違点2に係る本件発明の構成の効果)で述べたように、有利な効果を奏する。 したがって、本件発明は、甲B1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 申立人Bの主張について 申立人Bは、甲B1発明は、「パネル本体4には、幅方向両端の側方水密部材5及び下端の下方水密部材6の三方において水密部材が連続状に設けられ、縦枠3の第1見付面30、床面FLに密着して三方連続状の水密構造を構成する」ことから、「側方水密部材5」と「下方水密部材6」とは、「連続状に設けら」れ、「三方連続状の水密構造」をなすことで、切れ目なくまたがって連続して設けられているものと解するのが自然であるから、本件発明との実質的な相違点はなく、また、仮に、実質的な相違点があるとしても、相違点に係る本件発明の構成は、甲B1発明に基いて当業者が容易になし得る程度のことにすぎない旨主張する。 しかしながら、本件発明において、パッキン部材が、起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに「切れ目なくまたがって連続して」設けられるとは、上記3(1)で述べたように、両パッキン部材は別の部材ではなく一体の部材であることを意味する。 そして、上記(1)の[相違点]で述べたように、甲B1発明において、縦枠3の室外側の第1見付面30に密着するパネル本体4の第2面部41の幅方向両端部に設けられた側方水密部材5と、床面FLに密着するパネル本体4の下面43に設けられた下方水密部材6とは、それぞれ別に特定されていることからすれば、別の部材であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものではなく、本件発明と相違するから、本件発明は、甲B1に記載された発明ではない。 また、上記(2)イで述べたように、甲B1発明において、側方水密部材5と下方水密部材6とを、一体の部材として、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものとして相違点に係る本件発明の構成とする動機付けは見出せず、相違点に係る本件発明の構成は有利な効果を奏するから、当業者が容易になし得る程度のことにすぎないとはいえない。 したがって、申立人Bの主張は採用できない。 5-2 甲B2を主引用例とした場合 (1)本件発明と甲B2発明の対比 本件発明と甲B2発明とを対比すると、少なくとも以下の相違点で相違する。 [相違点](構成E) 本件発明では、パッキン部材が、起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに「切れ目なくまたがって」連続して設けられた「厚み方向に単層」のものであるのに対し、甲B2発明では、構成cの、止水パネル2の屋内側の側面2bの幅方向における両端部にそれぞれ設けられ、枠部材200R,200Lと対向する一対の第1止水部材3R,3Lと、構成dの、設置面300と止水パネル2との間を止水するものであり、止水パネル2の底面2dに設けられ、止水パネル2の幅方向における両端部までの長さを有する帯状に形成され、幅方向における両端部が第1止水部材3R,3Lとそれぞれ連結され、第2止水部材4の幅方向における両端部が止水パネル2の屋内側の側面2bに延在しており、側面2bにおいて第1止水部材3R,3Lと屋内外方向において重なっている第2止水部材4とは、重なり得ることからすれば、別の部材であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものではなく、また、止水パネル2の屋内側の側面2bにおいて両者が重なっており、上記1(2)エで述べたのと同様に、押圧変形する方向を厚み方向とみれば、重なる部分では二層となり、厚み方向に単層とはいえない点。 (2)判断 ア 新規性について 本件発明と甲B2発明とは、上記相違点において相違するから、本件発明は、甲B2に記載された発明ではない。 イ 進歩性について 甲B2発明において、第1止水部材3R,3Lと、第2止水部材4とが、側面2bにおいて屋内外方向において重なっていることを考慮しても、両者を一体の部材として、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものとして相違点に係る本件発明の構成とするする動機付けは見出せない。 そして、相違点に係る本件発明の構成は、上記4(2)の(相違点2に係る本件発明の構成の効果)で述べたように、有利な効果を奏する。 したがって、本件発明は、甲B2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 申立人Bの主張について 申立人Bは、甲B2発明は、「第2止水部材4の幅方向における両端部が止水パネル2の屋内側の側面2bに延在しており、側面2bにおいて第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4とが屋内外方向において重なるように構成され、第2止水部材4は、幅方向における両端部が第1止水部材3R,3Lとそれぞれ連結されている」ことから、「第1止水部材3R,3L」と「第2止水部材4」とは、「重なるように構成され」、「それぞれ連結されている」ことで、切れ目なくまたがって連続して設けられているものと解するのが自然であるから、本件発明との実質的な相違点はなく、また、仮に、実質的な相違点があるとしても、相違点に係る本件発明の構成は、甲B2発明に基いて当業者が容易になし得る程度のことにすぎない旨主張する。 しかしながら、本件発明において、パッキン部材が、起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに「切れ目なくまたがって連続して」設けられるとは、上記3(1)で述べたように、両パッキン部材は別の部材ではなく一体の部材であることを意味する。 そして、上記(1)の[相違点]で述べたように、甲B2発明では、構成cの、止水パネル2の屋内側の側面2bの幅方向における両端部にそれぞれ設けられ、枠部材200R,200Lと対向する一対の第1止水部材3R,3Lと、構成dの、設置面300と止水パネル2との間を止水するものであり、止水パネル2の底面2dに設けられ、止水パネル2の幅方向における両端部までの長さを有する帯状に形成され、幅方向における両端部が第1止水部材3R,3Lとそれぞれ連結され、第2止水部材4の幅方向における両端部が止水パネル2の屋内側の側面2bに延在しており、側面2bにおいて第1止水部材3R,3Lと屋内外方向において重なっている第2止水部材4とは、重なり得ることからすれば、別の部材であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものではなく、本件発明と相違するから、本件発明は、甲B2に記載された発明ではない。 また、上記(2)イで述べたように、甲B2発明において、第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4とを、一体の部材として、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものとして相違点に係る本件発明の構成とする動機付けは見出せず、相違点に係る本件発明の構成は、上記4(2)の(相違点2に係る本件発明の構成の効果)で述べたように、有利な効果を奏するから、当業者が容易になし得る程度のことにすぎないとはいえない。 したがって、申立人Bの主張は採用できない。 5-3 甲B3を主引用例とした場合 (1)本件発明と甲B3発明の対比 本件発明と甲B3発明とを対比すると、少なくとも以下の相違点で相違する。 [相違点](構成E) 本件発明では、パッキン部材が、起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに「切れ目なくまたがって」連続して設けられているのに対し、甲B3発明では、構成jの、止水板2aを形成する(h参照)第一矩形ブロック体3xの裏面6の左右側縁部10を垂直方向に所定幅だけ被覆するように帯状に形成されて配設された支持柱止水部12と、構成iの、止水板2aを形成する(h参照)第一矩形ブロック体3xの下底面8全体を被覆するよう帯状に形成されて配設されたた床面止水部11とは、構成kの、帯状の支持柱止水部12の下端は、第一矩形ブロック体3xを超えて床面止水部11まで延在させてもよいものであることを考慮しても、それぞれ別に特定されていることからすれば、別の部材と解するのが相当であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものではない点。 (2)判断 ア 新規性について 本件発明と甲B3発明とは、上記相違点において相違するから、本件発明は、甲B3に記載された発明ではない。 イ 進歩性について 甲B3発明において、構成kの、帯状の支持柱止水部12の下端は、第一矩形ブロック体3xを超えて床面止水部11まで延在させてもよいものであることを考慮しても、支持柱止水部12と床面止水部11とを、一体の部材として、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものとする動機付けは見出せず、相違点に係る本件発明の構成とすることは容易になし得たことではない。 そして、相違点に係る本件発明の構成は、上記4(2)の(相違点2に係る本件発明の構成の効果)で述べたように、有利な効果を奏する。 したがって、本件発明は、甲B3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 申立人Bの主張について 申立人Bは、甲B3発明は、「床面止水部11は、第一矩形ブロック体3Xの下底面8全体を被覆するよう帯状に形成され」ており、また、「帯状の支持柱止水部12の下端は、第一矩形ブロック体3Xを超えて床面止水部11まで延在させて構成されている」ことから、「帯状の支持柱止水部12の下端」であって、「第一矩形ブロック体3Xを超えて床面止水部11まで延在させて構成されている」部分が、「第一矩形ブロック体3Xの下底面8全体を被覆するよう帯状に形成され」ている「床面止水部11」に対して、当接して重なるように配置されていることは技術的に明らかであることからみると、「支持柱止水部12」と「床面止水部11」は、当接して重なるように配置されることで、切れ目なくまたがって連続して設けられているものと解するのが自然であり、本件発明との実質的な相違点はなく、また、仮に、実質的な相違点があるとしても、「止水板」に設ける「パッキン部材」を、少なくとも起立面部における支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに、「切れ目なくまたがって連続して」配設することは、かかる技術分野の周知技術であるから(例えば、甲B1の【0017】、甲B2の【0027】、甲B4の【0029】、甲B5の【0012】、【0014】等参照)、甲B3発明において、「帯状の支持柱止水部12の下端」であって、「第一矩形ブロック体3Xを超えて床面止水部11まで延在させて構成されている」部分を、「第一矩形プロック体3Xの下底面8全体を被覆するよう帯状に形成され」ている「床面止水部11」に対して、切れ目なくまたがって連続して設けるように構成することは、当業者にとって格別困難なことではなく、したがって、相違点に係る本件発明の構成は、甲B3発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易になし得るものといえる旨主張する。 しかしながら、本件発明において、パッキン部材が、起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに「切れ目なくまたがって連続して」設けられるとは、上記3(1)で述べたように、両パッキン部材は別の部材ではなく一体の部材であることを意味する。 そして、上記(1)の[相違点]で述べたように、甲B3発明では、構成jの、止水板2aを形成する(h参照)第一矩形ブロック体3xの裏面6の左右側縁部10を垂直方向に所定幅だけ被覆するように帯状に形成されて配設された支持柱止水部12と、構成iの、止水板2aを形成する(h参照)第一矩形ブロック体3xの下底面8全体を被覆するよう帯状に形成されて配設されたた床面止水部11とは、構成kの、帯状の支持柱止水部12の下端は、第一矩形ブロック体3xを超えて床面止水部11まで延在させてもよいものであることを考慮しても、それぞれ別に特定されていることからすれば、別の部材と解するのが相当であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものではない、本件発明と相違するから、本件発明は、甲B3に記載された発明ではない。 仮に、申立人Bが主張するように、「帯状の支持柱止水部12の下端」であって、「第一矩形ブロック体3Xを超えて床面止水部11まで延在させて構成されている」部分が、「第一矩形ブロック体3Xの下底面8全体を被覆するよう帯状に形成され」ている「床面止水部11」に対して、当接して重なるように配置されるものであったとしても、重なり得ることからすれば、別の部材と解するのが相当であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものではない点で本件発明と相違し、さらに、重なる部分では二層になることから、本件発明の構成Eの「単層」とはならない点でも本件発明と相違するから、本件発明は、甲B3に記載された発明ではない。 また、上記(2)イで述べたように、甲B3発明において、構成kの、帯状の支持柱止水部12の下端は、第一矩形ブロック体3xを超えて床面止水部11まで延在させてもよいものであることを考慮しても、支持柱止水部12と床面止水部11とを、一体の部材として、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものとする動機付けは見出せず、そして、相違点に係る本件発明の構成は、上記4(2)の(相違点2に係る本件発明の構成の効果)で述べたように、有利な効果を奏するから、当業者が容易になし得る程度のことにすぎないとはいえない。 したがって、申立人Bの主張は採用できない。 5-4 甲B4を主引用例とした場合 (1)本件発明と甲B4発明の対比 本件発明と甲B4発明を対比すると、少なくとも以下の相違点で相違する。 [相違点](構成E) 本件発明では、パッキン部材が、起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに「切れ目なくまたがって」連続して設けられているのに対し、甲B4発明では、構成c、dの、「止水パネル2の屋内側の側面2bの幅方向における両端部にそれぞれ設けられ」、「止水パネル2の上下方向における両端部までの長さを有する帯状に形成され」、「枠部材200R,200Lと」「屋内外方向において対向する」「第1止水部材3R,3L」と、構成hの、「設置面300と止水パネル2との間に介在」し、「止水パネル2の底面2dに設けられ」、「止水パネル2の幅方向における両端部までの長さを有する帯状に形成され」る「第2止水部材4」は、「i 第2止水部材4の幅方向における両端部が止水パネル2の屋内側の側面2bに延在しており、側面2bにおいて第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4とが屋内外方向において重なっている、または、第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4との間に、第2止水部材4の幅方向における両端部と、第1止水部材3R,3Lの下方側端部とを連結する連結止水部材を介在させるものであ」ることからすれば、別の部材であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものではない点。 (2)判断 ア 新規性について 本件発明と甲B4発明とは、上記相違点において相違するから、本件発明は、甲B4に記載された発明ではない。 イ 進歩性について 甲B4発明では、「i 第2止水部材4の幅方向における両端部が止水パネル2の屋内側の側面2bに延在しており、側面2bにおいて第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4とが屋内外方向において重なっている、または、第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4との間に、第2止水部材4の幅方向における両端部と、第1止水部材3R,3Lの下方側端部とを連結する連結止水部材を介在させるものであ」るものであることを考慮しても、第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4とを、別の部材ではなく、一体の部材として、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものとする動機付けは見出せず、相違点に係る本件発明の構成とすることは容易になし得たことではない。 そして、相違点に係る本件発明の構成は、上記4(2)の(相違点2に係る本件発明の構成の効果)で述べたように、有利な効果を奏する。 したがって、本件発明は、甲B4発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 申立人Bの主張について 申立人Bは、甲B4発明は、「第2止水部材4の幅方向における両端部が止水パネル2の屋内側の側面2bに延在しており、側面2bにおいて第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4とが屋内外方向において重なるように構成、または、第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4との間に、第2止水部材4の幅方向における両端部と、第1止水部材3R,3Lの下方側端部とを連結する連結止水部材を介在させることで、第2止水部材4は、幅方向における両端部が第1止水部材3R, 3 Lとそれぞれ連結されている」ことから、「第1止水部材3R,3L」と「第2止水部材4」とは、「それぞれ連結されている」ことで、切れ目なくまたがって連続して設けられているものと解するのが自然であり、本件発明との相違点は実質的な相違点ではなく、また、仮に、相違点が実質的な相違点であるとしても、「止水板」に設ける「パッキン部材」を、単一の材料(素材)から形成することは、かかる技術分野の周知技術であるから(例えば、甲B1の【0017】、甲B2の【0026】~【0027】、甲B3の【0054】~【0055】等参照)、甲B4発明において、「第1止水部材3R,3L」及び「第2止水部材4」を、単一の材料(素材)から形成することで、「厚み方向」に「単層」の構造に構成することは、当業者にとって格別困難なことではなく、したがって、上記相違点に係る本件発明の構成は、甲B4発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易になし得るものといえる旨主張する。 しかしながら、本件発明において、パッキン部材が、起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに「切れ目なくまたがって連続して」設けられるとは、上記3(1)で述べたように、両パッキン部材は別の部材ではなく一体の部材であることを意味する。 そして、上記(1)の[相違点]で述べたように、甲B4発明では、構成c、dの、「止水パネル2の屋内側の側面2bの幅方向における両端部にそれぞれ設けられ」、「止水パネル2の上下方向における両端部までの長さを有する帯状に形成され」、「枠部材200R,200Lと」「屋内外方向において対向する」「第1止水部材3R,3L」と、構成hの、「設置面300と止水パネル2との間に介在」し、「止水パネル2の底面2dに設けられ」、「止水パネル2の幅方向における両端部までの長さを有する帯状に形成され」る「第2止水部材4」は、「i 第2止水部材4の幅方向における両端部が止水パネル2の屋内側の側面2bに延在しており、側面2bにおいて第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4とが屋内外方向において重なっている、または、第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4との間に、第2止水部材4の幅方向における両端部と、第1止水部材3R,3Lの下方側端部とを連結する連結止水部材を介在させるものであ」ることからすれば、別の部材であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものではなく、本件発明と相違するから、本件発明は、甲B4に記載された発明ではない。 また、上記(2)イで述べたように、甲B4発明において、第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4とを、一体の部材として、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものとして相違点に係る本件発明の構成とする動機付けは見出せず、相違点に係る本件発明の構成は、上記4(2)の(相違点2に係る本件発明の構成の効果)で述べたように、有利な効果を奏するから、当業者が容易になし得る程度のことにすぎないとはいえない。 したがって、申立人Bの主張は採用できない。 5-5 甲B5を主引用例とした場合 (1)本件発明と甲B5発明の対比 本件発明と甲B5発明を対比すると、少なくとも以下の相違点で相違する。 [相違点](構成E) 本件発明では、パッキン部材が、起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに「切れ目なくまたがって」連続して設けられた「厚み方向に単層の」パッキン部材であるのに対し、甲B5発明では、構成a、f2の「板本体10の背面の両端部分へ縦方向に沿って密に接着され」、「各支柱部材5,5の正面へ」「接触」する「側部止水パッキン11」と、構成a、f2の「板本体10の底部へ全長にわたって密に接着され」、「床面へ」「接触する」「底部止水パッキン12」とは、「d 前記本体止水部12aのみで底部止水パッキン12を構成することができ、この場合には、側部止水パッキン11の下端部を底部止水パッキン12の厚み分だけ延ばし、当該側部止水パッキン11の下部前面と底部止水パッキン12の両端部背面とを密に接着し」ていることからすれば、別の部材であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものではなく、また、「b 前記底部止水パッキン12は、設置状態において前記出入口7の床面へ接するゴム硬度の小さい下部ゴム層120と、当該下部ゴム層120よりもゴム硬度の大きい上部ゴム層121との少なくとも二層から構成され」ているから、上記1(2)エで述べたのと同様に、押圧変形する方向を厚み方向とみれば、少なくとも二層からなり、「厚み方向に単層」とはいえない点。 (2)判断 ア 新規性について 本件発明と甲B5発明とは、上記相違点において相違するから、本件発明は、甲B5に記載された発明ではない。 イ 進歩性について 甲B5発明では、「側部止水パッキン11」と「底部止水パッキン12」とは、「d 前記本体止水部12aのみで底部止水パッキン12を構成することができ、この場合には、側部止水パッキン11の下端部を底部止水パッキン12の厚み分だけ延ばし、当該側部止水パッキン11の下部前面と底部止水パッキン12の両端部背面とを密に接着し」ているものの、両者を一体の部材として、相違点に係る本件発明の「切れ目なくまたがって」連続して設けられている構成とするする動機付けは見出せない。 また、甲B5発明において、「b 前記底部止水パッキン12は、設置状態において前記出入口7の床面へ接するゴム硬度の小さい下部ゴム層120と、当該下部ゴム層120よりもゴム硬度の大きい上部ゴム層121との少なくとも二層から構成され」るのは、底部のパッキンが一層であると、パッキンのゴム硬度が大きいと不陸差(凹凸差)の部分で止水が不十分になり、ゴム硬度が小さい場合、圧縮状態で不陸部の低レベル方向(止水板の前面側又は背面側)へ部分的に過大膨出し、結果として必要な止水を確保できなかったという課題を解決するために(【0004】~【0006】参照)、上記構成bとしたものであり(【0007】参照)、側部止水パッキン11と底部止水パッキン12とを、同じ素材とすると、上記課題を解決することができなくなるから、甲B5発明において、相違点に係る本件発明の「厚み方向に単層の」構成とすることは、阻害要因があるというべきである。 したがって、本件発明は、甲B5発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 申立人Bの主張について 申立人Bは、甲B5発明は、「底部止水パッキン12は、板本体10の底部へ密に接着された本体止水部12aと、当該本体止水部12aの背面側へ位置しかつ側部止水パッキン11の厚みt2とほぼ同じ福w2の補助止水部12bとから構成」されているところ、「補助止水部12bの両端部上面は対応する側部止水パッキン11の底面と密に接着され、本体止水部12aと補助止水部12b相互も密に接着されている」ことから、「側部止水パッキン11」と「底部止水パッキン12」とは、「密に接着」されることで、切れ目なくまたがって連続して設けられているものと解するのが自然であり、また、甲B5には、「側部止水パッキン11」と「底部止水パッキン12」の実施形態について、「この実施形態では、側部止水パッキン11及び各上部ゴム層12 1, 1 2 3には同じゴム硬度のプロロプチレンゴム又はプロロヒ°レンゴムの板が使用され、各下部ゴム層120,122には同じゴム硬度のシリコーンゴムの板が使用されている。」(【0016】)、及び「前記底部止水パッキン12は、設置状態において前記出入口7の床面へ接するゴム硬度の小さい下部ゴム層120と、当該下部ゴム層120よりもゴム硬度の大きい上部ゴム層121との少なくとも二層から構成されている」(【0010】)と記載されているが、本件発明の「パッキン部材」を「厚み方向に単層」とする構造は技術的に明らかでなく、また、その技術的意義も明らかでないから、甲B5発明の「側部止水パッキン11」及び「底部止水パッキン12」との技術的な差異を見いだすことができず、相違点は実質的な相違点ではないし、また、仮に、実質的な相違点があるとしても、「止水板」に設ける「パッキン部材」を、単一の材料(素材)から形成することは、かかる技術分野の周知技術であるから(例えば、甲B1の【0017】、甲B2の【0026】~【0027】、甲B3の【0054】~【0055】等参照)、甲B5発明において、「側部止水パッキン11」と同様に、「底部止水パッキン12」をも、単一の材料(素材)から形成することで、「厚み方向」に「単層」の構造に構成することは、当業者にとって格別困難なことではなく、したがって、上記相違点に係る本件発明の構成は、甲B5発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易になし得るものといえる旨主張する。 しかしながら、本件発明において、パッキン部材が、起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに「切れ目なくまたがって連続して」設けられるとは、上記3(1)で述べたように、両パッキン部材は別の部材ではなく一体の部材であることを意味し、また、パッキン部材が「厚み方向に単層」であることは、上記3(2)で述べたように、起立面部における支持体と対峙する領域においては、起立面部と支持体との間に挟まれてパッキン部材が押圧変形する方向にパッキン部材が単層であり、床面に対峙する水平面部においては、床面と水平面部との間に挟まれてパッキン部材が押圧変形する方向にパッキン部材が単層であることを意味する。 そして、上記(1)の[相違点]で述べたように、甲B5発明では、構成a、f2の「板本体10の背面の両端部分へ縦方向に沿って密に接着され」、「各支柱部材5,5の正面へ」「接触」する「側部止水パッキン11」と、構成a、f2の「板本体10の底部へ全長にわたって密に接着され」、「床面へ」「接触する」「底部止水パッキン12」とは、別の部材であり、一体の部材ではないから、「切れ目なくまたがって」連続して設けられているものではなく、また、「b 前記底部止水パッキン12は、設置状態において前記出入口7の床面へ接するゴム硬度の小さい下部ゴム層120と、当該下部ゴム層120よりもゴム硬度の大きい上部ゴム層121との少なくとも二層から構成され」ているから、押圧変形する方向に少なくとも二層からなり、「厚み方向に単層」とはいえず、本件発明と相違するから、本件発明は、甲B5に記載された発明ではない。 さらに、上記(2)イで述べたように、甲B5発明において、「側部止水パッキン11」と「底部止水パッキン12」とは、「d 前記本体止水部12aのみで底部止水パッキン12を構成することができ、この場合には、側部止水パッキン11の下端部を底部止水パッキン12の厚み分だけ延ばし、当該側部止水パッキン11の下部前面と底部止水パッキン12の両端部背面とを密に接着し」ているものの、両者を一体の部材として、相違点に係る本件発明の「切れ目なくまたがって」連続して設けられている構成とするする動機付けは見出せない。 そのうえ、「止水板」に設ける「パッキン部材」を、単一の材料(素材)から形成することが周知技術であったとしても、上記(2)イで述べたように、甲B5発明において、側部止水パッキン11と底部止水パッキン12とを、同じ素材とすると、課題を解決することができなくなるから、甲B5発明において、相違点に係る本件発明の「厚み方向に単層の」構成とすることは、阻害要因がある。 したがって、申立人Bの主張は採用できない。 6 理由B6(拡大先願)について (1)本件発明と甲B6発明の対比 ア 甲B6発明の構成bの「開口端縁111」は、「止水板本体2を」「建物間口101に固定設置する」際に「止水板本体2」が「床面109に載置した状態で」「当接」するものであり、建物間口101を形成するから左右方向に間隔を空けて設置されたものといえ、当接により止水板本体2を支持するものといえるから、本件発明の「A 間隔を空けて設置された左右の支持体」に相当する。 イ 甲B6発明の構成bの「止水板本体2」は、「床面109に載置した状態で開口端縁111に当接したうえで」「建物間口101に固定設置」されるものであるから、床面109から上方に延びる建物間口101を形成する左右の開口端縁111に取り付けられて立設されるものといえ、止水板の技術常識に鑑みれば、着脱可能に取り付けられることは明らかであるから、本件発明の「B 左右の前記支持体に着脱可能に取り付けられて立設される止水板」に相当する。 ウ 甲B6発明の構成aの「止水板本体2」「を具備して構成される止水板1」と、構成bの「開口端縁111」とからなるものは、本件発明の構成Cの「止水装置」に相当する。 エ 甲B6発明は、構成bの「止水板本体2は、床面109に載置した状態で開口端縁111に当接したうえで、止水板本体2を下方(床面109側)に押し付ける押圧機構103を具備しており」、「建物間口101に固定設置」されるものであるから、止水板本体2が開口端縁111に近づいて当接するように開口端縁111に対して前後方向に移動されるものといえ、本件発明の「前記止水板」が「D 前記支持体に対して前後方向に移動されるとともに前記支持体に係止されることで前記支持体に接続される」ことと、甲B6発明の構成bとは、「前記止水板」が「D’前記支持体に対して前後方向に移動されるとともに前記支持体に接続される」点で共通する。 オ 甲B6発明において、「c 止水板本体2の間口方向両端部には、止水板本体2の高さ方向に延びる止水パッキン13Aが配設され、止水パッキン13Aは」「止水板本体2と開口端縁111との間から漏水しないように密封し」、「d 止水板本体2の下側水平部には止水パッキン13Bが配設され」、「止水板本体2と床面109との間から漏水が発生しないように密封し」、「e 止水パッキン13Aと止水パッキン13Bとは、連続した単一の部材として構成され」ることは、止水板本体2が、開口端縁111と対峙する間口方向両端部と、床面109と対峙する下側水平部とに連続した単一の部材として構成される止水パッキン13A,13Bを備え、止水パッキン13A,13Bは、床面109に対峙する下側水平部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材といえる。 したがって、甲B6発明の構成c、d、eは、本件発明の「前記止水板」が「E 少なくとも起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材を備えている」ことに相当する。 そうすると、本件発明と甲B6発明とは、 「A 間隔を空けて設置された左右の支持体と、 B 左右の前記支持体に着脱可能に取り付けられて立設される止水板と C を備えた止水装置であって、 前記止水板は、 D’前記支持体に対して前後方向に移動されるとともに前記支持体に接続されるとともに、 E 少なくとも起立面部における前記支持体と対峙する領域と、床面に対峙する水平面部とに切れ目なくまたがって連続して設けられた厚み方向に単層のパッキン部材を備えている、 止水装置。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点](構成D) 本件発明は、止水板が「前記支持体に係止されることで」支持体に接続されるのに対し、甲B6発明は、「b 止水板本体2は、床面109に載置した状態で開口端縁111に当接したうえで、止水板本体2を下方(床面109側)に押し付ける押圧機構103を具備しており、配置調整後に止水板本体2を短時間かつ簡便確実に建物間口101に固定設置することができ」、「f 押圧機構103は、操作レバーを倒す操作を行うことで、回転軸芯が固定された固定回転軸が回転し、当該軸の回転に連動して押圧部が開口内壁に当接し、更にレバーを倒すと、軸芯が回転移動する回転軸が回動し、その結果、押圧部が開口内壁に当接押圧しながら、止水板本体2を床面109方向P2側に押圧することができる」ものであって、一般に、「係止」が、本件特許に係る図11に示されるように、一方の部材の係合部が、他方の部材の係合部と関係して、予め定められた位置関係で停止状態とされることを意味するものであることからすれば、止水板本体2が具備する押圧機構103の押圧部が当接押圧する開口端縁111の開口内壁の位置が一定となるとは限らず、両者が予め定められた位置関係で停止状態とされるものとはいえないから、止水板本体2が開口端縁111に「係止されることで」開口端縁111に接続されるものではない点。 (2)判断 ア 同一性の判断 上記相違点に係る本件発明の構成は、止水板が「前記支持体に係止されることで」支持体に接続されることにより、止水板を迅速且つ容易に設置できるという効果を奏すると認められ、甲B6発明の押圧部が開口内壁に当接する押圧機構103との相違が、課題解決のための具体化手段における微差ということはできず、実質的な相違点であるというべきである。 したがって、本件発明は、甲B6発明と同一ではない。 イ 申立人Bの主張について 申立人Bは、甲B6発明は、「止水板1の止水板本体2には、止水板本体2を下方に押し付ける押圧機構10 3が設けられ、止水板本体2は、床面109に載置した状態で開口端縁111に当接したうえで、押圧機構103により固定設置され」るものであるから、止水板本体2は、開口端縁111に係止されることで開口端縁111に接続されるものといえる旨主張する。 しかしながら、上記[相違点]で述べたように、一般に、「係止」が、本件特許に係る図11に示されるように、一方の部材の係合部が、他方の部材の係合部と関係して、予め定められた位置関係で停止状態とされることを意味するものであることからすれば、止水板本体2が具備する押圧機構103の押圧部が当接押圧する開口端縁111の開口内壁の位置が一定となるとは限らず、両者が予め定められた位置関係で停止状態とされるものとはいえないから、止水板本体2が開口端縁111に「係止されることで」開口端縁111に接続されるものではない。 したがって、申立人Bの主張は採用できない。 第6 むすび 以上のとおり、本件発明に係る特許は、申立人Aの主張する理由A1及び理由A2、並びに、申立人Bの主張する理由B1~理由B6によっては取り消すことができない。また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701236

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