特許異議申立
2024-700758
発光素子封止用樹脂組成物、光源装置及び光源装置の製造方法
- 審判番号
- 2024-700758
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-017598
- 登録番号
- 7432776
- 請求日
- 2024年08月09日
- 審決日
- 2026年01月09日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】日東電工株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人青藍国際特許事務所
- 【権利者代理人】鎌田 耕一
- 【権利者代理人】森本 圭亮
- 【異議申立人】筒井 雅人
- 【異議申立人】武田 朋美
- 審判長/審判官
- 審判長 波多江 進
- 審判官 東松 修太郎
- 審判官 野村 伸雄
- 分類
- P1651.121-ZAA(H10H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7432776号発明「発光素子封止用樹脂組成物、光源装置及び光源装置の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7432776号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10、13〕、11、12について訂正することを認める。
特許第7432776号の請求項10~13に係る特許を取り消す。
特許第7432776号の請求項1~9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
1 本件特許の出願から特許掲載公報の発行までの手続の経緯
特許第7432776号(以下「本件特許」という。)について、出願から特許掲載公報の発行までの手続の経緯の概略は、以下のとおりである。
令和5年 2月 8日 :特許出願(特願2019-141644号
(出願日 令和元年7月31日)を原出願とす
る分割出願)
令和6年 2月 7日 :特許権の設定登録
同月16日 :特許掲載公報の発行
2 本件特許異議申立ての手続の経緯
本件特許異議申立ての手続の経緯は、以下のとおりである。
令和6年 8月 9日付け:特許異議申立人である筒井雅人(以下「申立
人1」という。)による請求項1~12に係
る特許に対する特許異議の申立て
同月16日付け:特許異議申立人である武田朋美(以下「申立
人2」という。)による請求項1~12に係
る特許に対する特許異議の申立て
同年11月14日付け:取消理由通知書
令和7年 1月 6日 :面接審理
同月17日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同月30日付け:訂正請求があった旨の通知書
同年 3月 4日付け:申立人1による意見書の提出
同日付け:申立人2による意見書の提出
同年 3月31日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 6月11日 :特許権者による意見書(以下、この意見書を
単に「意見書」という。)及び訂正請求書
(以下、この訂正請求書による訂正を「本件訂
正」という。)の提出
同年 7月11日付け:訂正請求があった旨の通知書
なお、令和7年7月11日付けの通知書において、申立人1、2に対して期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人1、2は応答しなかった。
第2 本件訂正について
1 本件訂正の請求の趣旨
本件訂正の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~13について訂正することを求める、というものである。
2 本件訂正前後の特許請求の範囲の記載
(1) 本件訂正前の特許請求の範囲の記載
本件訂正前(本件特許の設定登録時)の特許請求の範囲の請求項1~12の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有し、
下記の要件(I)及び要件(II)からなる群より選ばれる少なくとも1つが成立する、
発光素子封止用樹脂組成物。
(I)前記樹脂組成物の粘度が250℃の条件下で1000~10000mPa・sである。
(II)前記重合体(P2)における前記構成単位(A)の含有率が80モル%以上である。
【化1】
[図:0001435161000001.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]
【請求項2】
下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有する、
発光素子封止用樹脂組成物。
【化2】
[図:0001435161000002.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]
ただし、前記樹脂組成物は、下記式(L)で表される構造単位を有する含フッ素ポリマー(A)、及び、有機ケイ素化合物(B)からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物を除く。
【化3】
[図:0001435161000003.jpg]
前記式(L)中、X1及びX2は、同一又は異なり、H又はFである。X3は、H、F、CH3又はCF3である。X4及びX5は、夫々同一又は異なり、H、F又はCF3である。Rfは、炭素数4~40の含フッ素炭化水素基、又は、炭素数5~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基である。aは0~3の整数である。b及びcは同一又は異なり、0又は1である。
前記式(L)中のRfは、下記式(Rf)で表される含フッ素炭化水素基である。
-(R-O)n-R’n’-CH2-x{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}xOH1-y{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}y (Rf)
前記式(Rf)中、Rは、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。R’は、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。Xa及びXbは、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。R1、R2及びR3は、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。Yは、同一又は異なり、炭素数1~50の加水分解性金属アルコキシド部位である。nは、0~20の整数であり、n’は、0~10の整数である。mは、1~12の整数である。xは、0~2の整数であり、yは、0又は1である。ただし、xが0のとき、yは1である。
【請求項3】
前記重合体(P2)の粘度は、250℃の条件下で、1,000~10,000mPa・sである、
請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記重合体(P2)の重量平均分子量は、50,000~1,000,000である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記重合体(P2)は、カルボニル含有基、ヒドロキシル基、エポキシ基、イソシアネート基及びシアノ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有する構成単位(B)を含まない、
請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記重合体(P2)のガラス転移温度(Tg)は、80℃~160℃である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記構成単位(A)が下記式(2)で表される、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【化4】
[図:0001435161000004.jpg]
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物によって発光素子が覆われるように、前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布することと、
前記樹脂組成物の粘度を増加させることによって、前記発光素子を封止する封止部材を形成することと、
を含む、光源装置の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布する前に、前記樹脂組成物を加熱することをさらに含む、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記樹脂組成物を冷却することによって、前記樹脂組成物の粘度を増加させる、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
発光素子と、
前記発光素子を封止する封止部材と、を備え、
前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有し、
下記の要件(I)及び要件(II)からなる群より選ばれる少なくとも1つが成立する、光源装置。
(I)前記封止部材は、前記重合体(P2)を有する樹脂組成物から形成され、前記樹脂組成物の粘度が250℃の条件下で1000~10000mPa・sである。
(II)前記重合体(P2)における前記構成単位(A)の含有率が80モル%以上である。
【化5】
[図:0001435161000005.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]
【請求項12】
発光素子と、
前記発光素子を封止する封止部材と、を備え、
前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有する、光源装置。
【化6】
[図:0001435161000006.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]
ただし、前記光源装置は、下記式(L)で表される構造単位を有する含フッ素ポリマー(A)、及び、有機ケイ素化合物(B)からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物から形成された硬化物を封止部材として備える光源装置を除く。
【化7】
[図:0001435161000007.jpg]
前記式(L)中、X1及びX2は、同一又は異なり、H又はFである。X3は、H、F、CH3又はCF3である。X4及びX5は、夫々同一又は異なり、H、F又はCF3である。Rfは、炭素数4~40の含フッ素炭化水素基、又は、炭素数5~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基である。aは0~3の整数である。b及びcは同一又は異なり、0又は1である。
前記式(L)中のRfは、下記式(Rf)で表される含フッ素炭化水素基である。
-(R-O)n-R’n’-CH2-x{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}xOH1-y{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}y (Rf)
前記式(Rf)中、Rは、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。R’は、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。Xa及びXbは、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。R1、R2及びR3は、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。Yは、同一又は異なり、炭素数1~50の加水分解性金属アルコキシド部位である。nは、0~20の整数であり、n’は、0~10の整数である。mは、1~12の整数である。xは、0~2の整数であり、yは、0又は1である。ただし、xが0のとき、yは1である。」
(2) 本件訂正後の訂正特許請求の範囲の記載
本件訂正後の訂正特許請求の範囲の請求項1~13の記載は、次のとおりである。下線は訂正箇所を示す。
「【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】(削除)
【請求項6】(削除)
【請求項7】(削除)
【請求項8】(削除)
【請求項9】(削除)
【請求項10】
発光素子と、
リード電極と、
前記発光素子を封止する封止部材と、
を備えた光源装置の製造方法であって、
前記光源装置は、前記発光素子及び前記リード電極を電気的に接続するためのボンディングワイヤをさらに備え、
前記製造方法は、
樹脂組成物を加熱することと、
加熱された前記樹脂組成物によって前記発光素子及び前記ボンディングワイヤが覆われるように、前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布することと、
前記樹脂組成物を冷却して前記樹脂組成物の粘度を増加させることによって、前記発光素子を封止する前記封止部材を形成することと、
を含み、
前記樹脂組成物は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有し、
前記重合体(P2)は、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有し、
下記の要件(I)及び要件(II)からなる群より選ばれる少なくとも1つが成立する、
光源装置の製造方法。
(I)前記樹脂組成物の粘度が250℃の条件下で1000~10000mPa・sである。
(II)前記重合体(P2)における前記構成単位(A)の含有率が80モル%以上である。
【化1】
[図:0001435161000008.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]
【請求項11】
発光素子と、
前記発光素子と接触して前記発光素子を封止する封止部材と、
前記封止部材の側面に接しており、前記封止部材の形状を保持するリフレクタと、
前記封止部材の上に配置され、前記封止部材と接している薄膜と、
を備え、
前記薄膜は、厚さが前記封止部材よりも小さく、
前記薄膜の側面が前記リフレクタに接しており、
前記封止部材は、前記薄膜及び前記リフレクタに取り囲まれており、
前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)(ただし、発光素子のパッド電極を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換した重合体を除く)を有し、
前記重合体(P2)のガラス転移温度が80℃~160℃であり、
下記の要件(I)及び要件(II)からなる群より選ばれる少なくとも1つが成立する
、光源装置。
(I)前記封止部材は、前記重合体(P2)を有する樹脂組成物から形成され、前記樹脂組成物の粘度が250℃の条件下で1000~10000mPa・sである。
(II)前記重合体(P2)における前記構成単位(A)の含有率が80モル%以上である。
【化2】
[図:0001435161000009.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]
【請求項12】
発光素子と、
前記発光素子と接触して前記発光素子を封止する封止部材と、
前記封止部材の側面に接しており、前記封止部材の形状を保持するリフレクタと、
前記封止部材の上に配置され、前記封止部材と接している薄膜と、
を備え、
前記薄膜は、厚さが前記封止部材よりも小さく、
前記薄膜の側面が前記リフレクタに接しており、
前記封止部材は、前記薄膜及び前記リフレクタに取り囲まれており、
前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)(ただし、発光素子のパッド電極を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換した重合体を除く)を有し、
前記重合体(P2)のガラス転移温度が80℃~160℃である、光源装置。
【化3】
[図:0001435161000010.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]
ただし、前記光源装置は、下記式(L)で表される構造単位を有する含フッ素ポリマー(A)、及び、有機ケイ素化合物(B)からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物から形成された硬化物を封止部材として備える光源装置を除く。
【化4】
[図:0001435161000011.jpg]
前記式(L)中、X1及びX2は、同一又は異なり、H又はFである。X3は、H、F、CH3又はCF3である。X4及びX5は、夫々同一又は異なり、H、F又はCF3である。Rfは、炭素数4~40の含フッ素炭化水素基、又は、炭素数5~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基である。aは0~3の整数である。b及びcは同一又は異なり、0又は1である。
前記式(L)中のRfは、下記式(Rf)で表される含フッ素炭化水素基である。
-(R-O)n-R’n’-CH2-x{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}xOH1-y{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}y (Rf)
前記式(Rf)中、Rは、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。R’は、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。Xa及びXbは、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。R1、R2及びR3は、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。Yは、同一又は異なり、炭素数1~50の加水分解性金属アルコキシド部位である。nは、0~20の整数であり、n’は、0~10の整数である。mは、1~12の整数である。xは、0~2の整数であり、yは、0又は1である。ただし、xが0のとき、yは1である。
【請求項13】
発光素子と、
リード電極と、
前記発光素子を封止する封止部材と、
を備えた光源装置の製造方法であって、
前記光源装置は、前記発光素子及び前記リード電極を電気的に接続するためのボンディングワイヤをさらに備え、
前記製造方法は、
樹脂組成物を加熱することと、
加熱された前記樹脂組成物によって前記発光素子及び前記ボンディングワイヤが覆われるように、前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布することと、
前記樹脂組成物を冷却して前記樹脂組成物の粘度を増加させることによって、前記発光素子を封止する前記封止部材を形成することと、
を含み、
前記樹脂組成物は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有し、
前記重合体(P2)は、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有する、
光源装置の製造方法。
【化5】
[図:0001435161000012.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]
ただし、前記樹脂組成物は、下記式(L)で表される構造単位を有する含フッ素ポリマー(A)、及び、有機ケイ素化合物(B)からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物を除く。
【化3】
[図:0001435161000013.jpg]
前記式(L)中、X1及びX2は、同一又は異なり、H又はFである。X3は、H、F、CH3又はCF3である。X4及びX5は、夫々同一又は異なり、H、F又はCF3である。Rfは、炭素数4~40の含フッ素炭化水素基、又は、炭素数5~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基である。aは0~3の整数である。b及びcは同一又は異なり、0又は1である。
前記式(L)中のRfは、下記式(Rf)で表される含フッ素炭化水素基である。
-(R-O)n-R’n’-CH2-x{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}xOH1-y{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}y (Rf)
前記式(Rf)中、Rは、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。R’は、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。Xa及びXbは、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。R1、R2及びR3は、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。Yは、同一又は異なり、炭素数1~50の加水分解性金属アルコキシド部位である。nは、0~20の整数であり、n’は、0~10の整数である。mは、1~12の整数である。xは、0~2の整数であり、yは、0又は1である。ただし、xが0のとき、yは1である。」
3 本件訂正の内容
本件訂正の内容は、一群の請求項である訂正後の請求項1~10、13についてなされた訂正事項1~10-2と、訂正後の請求項11に係る訂正事項及び訂正後の請求項12に係る訂正事項からなるものである。
(1) 訂正後の請求項1~10、13に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
ケ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
コ 訂正事項10-1
特許請求の範囲の請求項10に、
「前記樹脂組成物を冷却することによって、前記樹脂組成物の粘度を増加させる、請求項9に記載の製造方法。」
と記載されているのを、その記載を引用する請求項9のうち、請求項1の記載を引用する請求項8の記載を引用するものについて、独立形式に改め、
「発光素子と、
リード電極と、
前記発光素子を封止する封止部材と、
を備えた光源装置の製造方法であって、
前記光源装置は、前記発光素子及び前記リード電極を電気的に接続するためのボンディングワイヤをさらに備え、
前記製造方法は、
樹脂組成物を加熱することと、
加熱された前記樹脂組成物によって前記発光素子及び前記ボンディングワイヤが覆われるように、前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布することと、
前記樹脂組成物を冷却して前記樹脂組成物の粘度を増加させることによって、前記発光素子を封止する前記封止部材を形成することと、
を含み、
前記樹脂組成物は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有し、
前記重合体(P2)は、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有し、
下記の要件(I)及び要件(II)からなる群より選ばれる少なくとも1つが成立する、
光源装置の製造方法。
(I)前記樹脂組成物の粘度が250℃の条件下で1000~10000mPa・sである。
(II)前記重合体(P2)における前記構成単位(A)の含有率が80モル%以上である。
【化1】
[図:0001435161000014.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]」
に訂正する。
サ 訂正事項10-2
特許請求の範囲の請求項10に、
「前記樹脂組成物を冷却することによって、前記樹脂組成物の粘度を増加させる、請求項9に記載の製造方法。」
と記載されているのを、その記載を引用する請求項9のうち、請求項2の記載を引用する請求項8の記載を引用するものについて、独立形式に改め、
「発光素子と、
リード電極と、
前記発光素子を封止する封止部材と、
を備えた光源装置の製造方法であって、
前記光源装置は、前記発光素子及び前記リード電極を電気的に接続するためのボンディングワイヤをさらに備え、
前記製造方法は、
樹脂組成物を加熱することと、
加熱された前記樹脂組成物によって前記発光素子及び前記ボンディングワイヤが覆われるように、前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布することと、
前記樹脂組成物を冷却して前記樹脂組成物の粘度を増加させることによって、前記発光素子を封止する前記封止部材を形成することと、
を含み、
前記樹脂組成物は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有し、
前記重合体(P2)は、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有する、
光源装置の製造方法。
【化5】
[図:0001435161000015.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]
ただし、前記樹脂組成物は、下記式(L)で表される構造単位を有する含フッ素ポリマー(A)、及び、有機ケイ素化合物(B)からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物を除く。
【化3】
[図:0001435161000016.jpg]
前記式(L)中、X1及びX2は、同一又は異なり、H又はFである。X3は、H、F、CH3又はCF3である。X4及びX5は、夫々同一又は異なり、H、F又はCF3である。Rfは、炭素数4~40の含フッ素炭化水素基、又は、炭素数5~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基である。aは0~3の整数である。b及びcは同一又は異なり、0又は1である。
前記式(L)中のRfは、下記式(Rf)で表される含フッ素炭化水素基である。
-(R-O)n-R’n’-CH2-x{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}xOH1-y{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}y (Rf)
前記式(Rf)中、Rは、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。R’は、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。Xa及びXbは、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。R1、R2及びR3は、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。Yは、同一又は異なり、炭素数1~50の加水分解性金属アルコキシド部位である。nは、0~20の整数であり、n’は、0~10の整数である。mは、1~12の整数である。xは、0~2の整数であり、yは、0又は1である。ただし、xが0のとき、yは1である。」
に訂正し、訂正後の請求項13とする。
(2) 訂正後の請求項11に係る訂正
特許請求の範囲の請求項11に
「発光素子と、
前記発光素子を封止する封止部材と、を備え、
前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有し、」
と記載されているのを、
「発光素子と、
前記発光素子と接触して前記発光素子を封止する封止部材と、
前記封止部材の側面に接しており、前記封止部材の形状を保持するリフレクタと、
前記封止部材の上に配置され、前記封止部材と接している薄膜と、
を備え、
前記薄膜は、厚さが前記封止部材よりも小さく、
前記薄膜の側面が前記リフレクタに接しており、
前記封止部材は、前記薄膜及び前記リフレクタに取り囲まれており、
前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)(ただし、発光素子のパッド電極を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換した重合体を除く)を有し、
前記重合体(P2)のガラス転移温度が80℃~160℃であり、」
に訂正する。
(3) 訂正後の請求項12に係る訂正
特許請求の範囲の請求項12に
「発光素子と、
前記発光素子を封止する封止部材と、を備え、
前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有する、」
と記載されているのを、
「発光素子と、
前記発光素子と接触して前記発光素子を封止する封止部材と、
前記封止部材の側面に接しており、前記封止部材の形状を保持するリフレクタと、
前記封止部材の上に配置され、前記封止部材と接している薄膜と、
を備え、
前記薄膜は、厚さが前記封止部材よりも小さく、
前記薄膜の側面が前記リフレクタに接しており、
前記封止部材は、前記薄膜及び前記リフレクタに取り囲まれており、
前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)(ただし、発光素子のパッド電極を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換した重合体を除く)を有し、
前記重合体(P2)のガラス転移温度が80℃~160℃である、」
に訂正する。
4 本件訂正の適否についての判断
(1) 訂正後の請求項1~10、13についての訂正
ア 訂正事項1~9
(ア) 訂正の目的の適否
訂正事項1~9に係る訂正は、訂正前の請求項1~9を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項1~9に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものである。
(イ) 新規事項の追加の有無
訂正事項1~9に係る訂正は、訂正前の請求項1~9を削除するものであるから、新規事項を追加するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、訂正事項1~9に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
前記(ア)及び(イ)に照らせば、訂正事項1~9に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1~9に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合する。
(エ) 独立特許要件の存否
訂正事項1~9に係る訂正は、特許異議の申立てがされている請求項に係るものであるから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
(オ) 小括
以上のとおり、訂正後の請求項1~9についての訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合し、同条9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件は課されない。
イ 訂正事項10-1
(ア) 訂正の目的の適否
訂正事項10-1は、訂正前の請求項10に係る発明のうち、請求項1、8及び9の記載を引用するものについて限定し、それらの請求項の記載を引用しない形式で記載するとともに、
(A)「発光素子と、リード電極と、前記発光素子を封止する封止部材と、を備えた光源装置の製造方法であって、前記光源装置は、前記発光素子及び前記リード電極を電気的に接続するためのボンディングワイヤをさらに備え、」との記載により、本件訂正前の請求項8の特定事項である「光源装置の製造方法」における「光源装置」をさらに限定するものであり、
(B)「加熱された前記樹脂組成物によって前記発光素子及び前記ボンディングワイヤが覆われるように、前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布することと、」との記載により、本件訂正前の請求項8の特定事項である「樹脂組成物によって発光素子が覆われるように、前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布すること」をさらに限定するものであり、
(C)「前記重合体(P2)は、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有し、」との記載により、本件訂正前の請求項1の特定事項である「重合体(P2)」をさらに限定するものである。
したがって、訂正事項10-1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
(イ) 新規事項の追加の有無
訂正事項10-1のうち、
a 前記(ア)における(A)の点は、願書に添付した明細書の【0051】の「本実施形態の光源装置10は、発光素子2及び封止部材1を備える。封止部材1は、発光素子2を封止している。」との記載、【0056】の「光源装置10は、例えば、基板3、リード電極4、ボンディングワイヤ5、リフレクタ6及び薄膜7をさらに備える。基板3は、封止部材1及び発光素子2を支持している。」との記載及び【0057】の「発光素子2及びリード電極4は、ボンディングワイヤ5によって電気的に接続されている。」との記載から見て、新たな技術的事項を導入するものではない。
b 前記(ア)における(B)の点は、訂正前の請求項9の「前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布する前に、前記樹脂組成物を加熱することをさらに含む」との記載及び願書に添付した明細書の【0057】の「封止部材1は、例えば、リード電極4の一部及びボンディングワイヤ5も封止している。」との記載から見て、新たな技術的事項を導入するものではない。
c 前記(ア)における(C)の点は、願書に添付した明細書の【0036】の「重合体(P2)を重合するための重合開始剤は、全フッ素化された化合物であってもよい。」という記載と、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより得られた重合体が、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより得られた末端基を有することは、必然であることから見て、新たな技術的事項を導入するものではない。
d そして、訂正事項10-1のその余の点は、いずれも訂正前の請求項1、8、9、10に記載されている。
e したがって、訂正事項10-1は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
前記(ア)及び前記(イ)に照らせば、訂正事項10-1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項10-1に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合する。
(エ) 独立特許要件の存否
訂正事項10-1に係る訂正は、特許異議の申立てがされている請求項に係るものであるから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
(オ) 小括
以上のとおり、訂正後の請求項10についての訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び同項ただし書4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合し、同条9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件は課されない。
ウ 訂正事項10-2
(ア) 訂正の目的の適否
訂正事項10-2は、訂正前の請求項10に係る発明のうち、請求項2、8及び9の記載を引用するものについて限定し、それらの請求項の記載を引用しない形式で記載するとともに、
(A)「発光素子と、リード電極と、前記発光素子を封止する封止部材と、を備えた光源装置の製造方法であって、前記光源装置は、前記発光素子及び前記リード電極を電気的に接続するためのボンディングワイヤをさらに備え、」との記載により、本件訂正前の請求項8の特定事項である「光源装置の製造方法」における「光源装置」をさらに限定するものであり、
(B)「加熱された前記樹脂組成物によって前記発光素子及び前記ボンディングワイヤが覆われるように、前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布することと、」との記載により、本件訂正前の請求項8の特定事項である「樹脂組成物によって発光素子が覆われるように、前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布すること」をさらに限定するものであり、
(C)「前記重合体(P2)は、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有し、」との記載により、本件訂正前の請求項2の特定事項である「重合体(P2)」をさらに限定するものである。
したがって、訂正事項10-2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
(イ) 新規事項の追加の有無
前記(ア)における(A)~(C)に係る訂正は、前記ア(イ)で検討したのと同様の理由により、新たな技術的事項を導入するものではない。
そして、訂正事項10-2のその余の点は、いずれも訂正前の請求項2、8、9、10に記載されている。
したがって、訂正事項特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
前記(ア)及び前記(イ)に照らせば、訂正事項10-2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項10-2に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合する。
(エ) 独立特許要件の存否
訂正事項10-2に係る訂正は、特許異議の申立てがされている請求項に係るものであるから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
(オ) 小括
以上のとおり、訂正後の請求項13についての訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び同項ただし書4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合し、同条9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件は課されない。
(2) 訂正後の請求項11に係る訂正
ア 訂正の目的の適否
訂正後の請求項11に係る訂正は、
(A)本件訂正前の請求項11の「発光素子を封止する封止部材」について、「発光素子と接触」することを限定し、
(B)本件訂正前の請求項11の「光源装置」が、「前記封止部材の側面に接しており、前記封止部材の形状を保持するリフレクタと、前記封止部材の上に配置され、前記封止部材と接している薄膜と、を備え、前記薄膜は、厚さが前記封止部材よりも小さく、前記薄膜の側面が前記リフレクタに接しており、前記封止部材は、前記薄膜及び前記リフレクタに取り囲まれて[いる]」ことを限定し、
(C)本件訂正前の請求項11の「重合体(P2)」について、「発光素子のパッド電極を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換した重合体を除く」ことを限定し、
(D)本件訂正前の請求項11の「重合体(P2)」について、「前記重合体(P2)のガラス転移温度が80℃~160℃であ[る]」ことを限定するものである。
したがって、訂正後の請求項11に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加の有無
(ア) 前記アにおける(A)に係る訂正は、願書に添付した明細書の【0061】の「本実施形態における光源装置10の製造方法は、例えば、上述した樹脂組成物によって発光素子2が覆われるように、樹脂組成物を発光素子2に塗布することと、樹脂組成物の粘度を増加させることによって封止部材1を形成することと、を含む。」との記載や、図1の記載から見て明らかであるから、新たな技術的事項を導入するものではない。
(イ) 前記アにおける(B)に係る訂正のうち、「前記封止部材の側面に接しており、前記封止部材の形状を保持するリフレクタと、前記封止部材の上に配置され、前記封止部材と接している薄膜と、を備え、」は、願書に添付した明細書の【0056】の「光源装置10は、例えば、基板3、リード電極4、ボンディングワイヤ5、リフレクタ6及び薄膜7をさらに備える。」、【0058】の「リフレクタ6は、封止部材1の側面に接しており、封止部材1の形状を保持していてもよい。」、【0059】の「薄膜7は、封止部材1の上に配置されており、例えば、封止部材1に接している。」との各記載から見て、新たな技術的事項を導入するものではない。
前記アにおける(B)に係る訂正のうち、「前記薄膜は、厚さが前記封止部材よりも小さく、」は、図1の記載から見て薄膜の厚さが封止部材よりも小さいことは明らかであるから、新たな技術的事項を導入するものではない。
前記アにおける(B)に係る訂正のうち、「前記薄膜の側面が前記リフレクタに接しており、」は、願書に添付した明細書の【0059】の「薄膜7の側面は、例えば、リフレクタ6に接している。」との記載から見て、新たな技術的事項を導入するものではない。
前記アにおける(B)に係る訂正のうち、「前記封止部材は、前記薄膜及び前記リフレクタに取り囲まれて[いる]」は、願書に添付した明細書の【0059】の「封止部材1は、例えば、薄膜7及びリフレクタ6に取り囲まれている。」との記載から見て、新たな技術的事項を導入するものではない。
(ウ) 前記アにおける(C)に係る訂正は、願書に添付した明細書の【0036】に「重合体(P2)を重合するための重合開始剤は、全フッ素化された化合物であってもよい」ことが記載された上で、【0064】に記載された実施例1においては、「パーフルオロ過酸化ベンゾイル」が重合開始剤として使用されており、末端官能基は当該重合開始剤に由来してC6F5になっていると認められ、CF3とは異なることからみて、新たな技術的事項を導入するものではない。
(エ) 前記アにおける(D)に係る訂正は、願書に添付した明細書の【0037】の「重合体(P2)のガラス転移温度(Tg)は、例えば、80℃~160℃である。」との記載から見て、新たな技術的事項を導入するものではない。
(オ) したがって、訂正後の請求項11に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
前記ア及びイに照らせば、訂正後の請求項11に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正後の請求項11に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合する。
エ 独立特許要件の存否
訂正後の請求項11に係る訂正は、特許異議の申立てがされている請求項に係るものであるから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
オ 小括
以上のとおり、訂正後の請求項11についての訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合し、同条9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件は課されない。
(3) 訂正後の請求項12に係る訂正
ア 訂正の目的の適否
訂正後の請求項12に係る訂正は、
(A)本件訂正前の請求項12の「発光素子を封止する封止部材」について、「発光素子と接触」することを限定し、
(B)本件訂正前の請求項12の「光源装置」が、「前記封止部材の側面に接しており、前記封止部材の形状を保持するリフレクタと、前記封止部材の上に配置され、前記封止部材と接している薄膜と、を備え、前記薄膜は、厚さが前記封止部材よりも小さく、前記薄膜の側面が前記リフレクタに接しており、前記封止部材は、前記薄膜及び前記リフレクタに取り囲まれて[いる]」ことを限定し、
(C)本件訂正前の請求項12の「重合体(P2)」について、「発光素子のパッド電極を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換した重合体を除く」ことを限定し、
(D)本件訂正前の請求項12の「重合体(P2)」について、「前記重合体(P2)のガラス転移温度が80℃~160℃であ[る]」ことを限定するものである。
したがって、訂正後の請求項12に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加の有無
(ア) 前記アにおける(A)~(D)に係る訂正は、前記2(イ)で検討したのと同様の理由により、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正後の請求項12に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
前記ア及びイに照らせば、訂正後の請求項12に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正後の請求項12に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合する。
エ 独立特許要件の存否
訂正後の請求項12に係る訂正は、特許異議の申立てがされている請求項に係るものであるから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
オ 小括
以上のとおり、訂正後の請求項12についての訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合し、同条9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件は課されない。
5 本件訂正についての小括
以上のとおり、本件訂正のうち、訂正後の請求項1~9、11、12についての訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合し、同条9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件は課されない。
また、本件訂正のうち、訂正後の請求項10、13についての訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び同項ただし書4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合し、同条9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件は課されない。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1~10、13]、11、12について訂正することを認める。
第3 取消理由(決定の予告)の概要
1 取消理由(決定の予告)について
本件特許について、当審において令和7年3月31日付けで、特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次の内容を含むものである。
取消理由(決定の予告)2(進歩性欠如)
本件特許の請求項1~12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内または外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、引用文献1に記載された発明、引用文献8に記載された技術事項及び周知技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~12に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
2 引用文献
引用文献1:国際公開第2014/178288号
引用文献2:特開2018-157085号公報
引用文献3:特開2007-273562号公報
引用文献4:特開2006-294925号公報
引用文献5:Journal of Fluorine Chemis
try、(オランダ)、2018、214、p.63-6
7
引用文献6:特表2007-504125号公報
引用文献7:Macromolecules、(米)、2005、Vo
l.38、No.10、p.4237-4245
引用文献8:日本化学会誌、2001、No.12、p.659-66
8
第4 当合議体の判断
1 判断の概要
本件訂正後の請求項10~13に係る特許は、後記2において述べるように、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
2 取消理由(進歩性欠如)について
(1) 本件発明の認定
ア 本件特許の請求項10~13に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本件発明10」などという。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項10~13に記載された事項により特定されるものであり、その請求項の記載は、前記第2の2(2)のとおりである。
イ ここで、検討の便宜上、本件発明10~13の構成を次のとおり構成X、構成X’、構成Y、と構成Aから構成L、L’までに分説する。
<本件発明10>
X 発光素子と、
リード電極と、
前記発光素子を封止する封止部材と、
を備えた光源装置の製造方法であって、
A 前記光源装置は、前記発光素子及び前記リード電極を電気的に接続す
るためのボンディングワイヤをさらに備え、
B 前記製造方法は、
樹脂組成物を加熱することと、
加熱された前記樹脂組成物によって前記発光素子及び前記ボンディン
グワイヤが覆われるように、前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布す
ることと、
前記樹脂組成物を冷却して前記樹脂組成物の粘度を増加させることに
よって、前記発光素子を封止する前記封止部材を形成することと、
を含み、
C 前記樹脂組成物は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重
合体(P2)を有し、
前記重合体(P2)は、全フッ素化された化合物を重合開始剤として
用いて重合することにより導入された末端基を有し、
D 下記の要件(I)及び要件(II)からなる群より選ばれる少なくと
も1つが成立する、
X’ 光源装置の製造方法。
D1 (I)前記樹脂組成物の粘度が250℃の条件下で1000~10000mPa・sである。
D2 (II)前記重合体(P2)における前記構成単位(A)の含有率が80モル%以上である。
C’ 【化1】
[図:0001435161000017.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]
<本件発明11>
E 発光素子と、
前記発光素子と接触して前記発光素子を封止する封止部材と、
前記封止部材の側面に接しており、前記封止部材の形状を保持するリ
フレクタと、
前記封止部材の上に配置され、前記封止部材と接している薄膜と、
を備え、
F 前記薄膜は、厚さが前記封止部材よりも小さく、
前記薄膜の側面が前記リフレクタに接しており、
G 前記封止部材は、前記薄膜及び前記リフレクタに取り囲まれており、
H 前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合
体(P2)(ただし、発光素子のパッド電極を構成する金属に対して
結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるC
F3に置換し た重合体を除く)を有し、
I 前記重合体(P2)のガラス転移温度が80℃~160℃であり、
J 下記の要件(I)及び要件(II)からなる群より選ばれる少なくと
も1つが成立する、
Y 光源装置。
J1 (I)前記封止部材は、前記重合体(P2)を有する樹脂組成物か
ら形成され、前記樹脂組成物の粘度が250℃の条件下で1000~
10000mPa・sである。
J2 (II)前記重合体(P2)における前記構成単位(A)の含有率
が80モル%以上である。
H’ 【化2】
[図:0001435161000018.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]
<本件発明12>
E 発光素子と、
前記発光素子と接触して前記発光素子を封止する封止部材と、
前記封止部材の側面に接しており、前記封止部材の形状を保持するリ
フレクタと、
前記封止部材の上に配置され、前記封止部材と接している薄膜と、
を備え、
F 前記薄膜は、厚さが前記封止部材よりも小さく、
前記薄膜の側面が前記リフレクタに接しており、
G 前記封止部材は、前記薄膜及び前記リフレクタに取り囲まれており、
K 前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合
体(P2)(ただし、発光素子のパッド電極を構成する金属に対して
結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるC
F3に置換した重合体を除く)を有し、
I 前記重合体(P2)のガラス転移温度が80℃~160℃である、
Y 光源装置。
K’【化3】
[図:0001435161000019.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]
ただし、前記光源装置は、下記式(L)で表される構造単位を有する含フッ素ポリマー(A)、及び、有機ケイ素化合物(B)からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物から形成された硬化物を封止部材として備える光源装置を除く。
【化4】
[図:0001435161000020.jpg]
前記式(L)中、X1及びX2は、同一又は異なり、H又はFである。X3は、H、F、CH3又はCF3である。X4及びX5は、夫々同一又は異なり、H、F又はCF3である。Rfは、炭素数4~40の含フッ素炭化水素基、又は、炭素数5~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基である。aは0~3の整数である。b及びcは同一又は異なり、0又は1である。
前記式(L)中のRfは、下記式(Rf)で表される含フッ素炭化水素基である。
-(R-O)n-R’n’-CH2-x{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}xOH1-y{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}y (Rf)
前記式(Rf)中、Rは、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。R’は、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。Xa及びXbは、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。R1、R2及びR3は、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。Yは、同一又は異なり、炭素数1~50の加水分解性金属アルコキシド部位である。nは、0~20の整数であり、n’は、0~10の整数である。mは、1~12の整数である。xは、0~2の整数であり、yは、0又は1である。ただし、xが0のとき、yは1である。
<本件発明13>
X 発光素子と、
リード電極と、
前記発光素子を封止する封止部材と、
を備えた光源装置の製造方法であって、
A 前記光源装置は、前記発光素子及び前記リード電極を電気的に接続す
るためのボンディングワイヤをさらに備え、
B 前記製造方法は、
樹脂組成物を加熱することと、
加熱された前記樹脂組成物によって前記発光素子及び前記ボンディン
グワイヤが覆われるように、前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布す
ることと
、前記樹脂組成物を冷却して前記樹脂組成物の粘度を増加させること
によって、前記発光素子を封止する前記封止部材を形成することと、
を含み、
L 前記樹脂組成物は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重
合体(P2)を有し、
前記重合体(P2)は、全フッ素化された化合物を重合開始剤として
用いて重合することにより導入された末端基を有する、
X’ 光源装置の製造方法。
L’【化5】
[図:0001435161000021.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]
ただし、前記樹脂組成物は、下記式(L)で表される構造単位を有する含フッ素ポリマー(A)、及び、有機ケイ素化合物(B)からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物を除く。
【化6】
[図:0001435161000022.jpg]
前記式(L)中、X1及びX2は、同一又は異なり、H又はFである。X3は、H、F、CH3又はCF3である。X4及びX5は、夫々同一又は異なり、H、F又はCF3である。Rfは、炭素数4~40の含フッ素炭化水素基、又は、炭素数5~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基である。aは0~3の整数である。b及びcは同一又は異なり、0又は1である。
前記式(L)中のRfは、下記式(Rf)で表される含フッ素炭化水素基である。
-(R-O)n-R’n’-CH2-x{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}xOH1-y{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}y (Rf)
前記式(Rf)中、Rは、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。R’は、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。Xa及びXbは、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。R1、R2及びR3は、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。Yは、同一又は異なり、炭素数1~50の加水分解性金属アルコキシド部位である。nは、0~20の整数であり、n’は、0~10の整数である。mは、1~12の整数である。xは、0~2の整数であり、yは、0又は1である。ただし、xが0のとき、yは1である。」
(2) 各甲号証等並びに各甲号証等に記載された発明及び技術事項の認定
ア 各甲号証等
申立人1及び申立人2から提出された証拠は以下のとおりである。
(ア) 申立人1から提出された証拠
甲第1号証:国際公開第2014/178288号
甲第2号証:特許第7225054号公報
甲第3号証:特開2021-24901号公報
甲第4号証:特表2007-504125号公報
甲第5号証:Macromolecules、(米)、2005、
Vol.38、No.10、p.4237-4245
参考資料1:日本化学会誌、2001、No.12、
p.659-668
これらを、以下、「申立1」を冒頭に付けた上で「第」及び「号証」を略して「申立1甲1」などという。
(イ) 申立人2から提出された証拠
甲第1号証:特開2015-133505号公報
甲第2号証:特開2013-87162号公報
甲第3号証:Journal of Fluorine Chemis
try、(オランダ)、2018、214、p.63-6
7
甲第4号証:特開2021-24901号公報
甲第5号証:特開平4-189880号公報
甲第6号証:特公昭43-29154号公報
甲第7号証:特表2007-504125号公報
これらを、以下、「申立2」を冒頭に付けた上で「第」及び「号証」を略して「申立2甲1」などという。
イ 引用文献
本決定では、以下の文献を引用文献とする。なお、前記アに記載した各甲号証等に対応する引用文献については、括弧内にその旨を記載してある。
引用文献1:国際公開第2014/178288号(申立1甲1)
引用文献2:特開2018-157085号公報
引用文献3:特開2007-273562号公報
引用文献4:特開2006-294925号公報
引用文献5:Journal of Fluorine Chemis
try、(オランダ)、2018、214、p.63-6
7(申立2甲3)
引用文献6:特表2007-504125号公報(申立1甲4、申立2
甲7)
引用文献7:Macromolecules、(米)、2005、
Vol.38、No.10、p.4237-4245
(申立1甲5)
引用文献8:日本化学会誌、2001、No.12、
p.659-668(申立1参考資料1)
引用文献9:特開2007-242246号公報
引用文献10:特開2003-234008号公報
ウ 引用文献1に記載された事項及び引用方法発明の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項
本件特許出願前に日本国内又は外国において発行された引用文献1には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体が後記(イ)の引用方法発明及び後記(ウ)の引用装置発明1、2の認定に直接用いた箇所に付したものであり、以降の他の文献に記載された事項についても同様である。
a [0006]~[0013]
「発明が解決しようとする課題
[0006]
上述のように、紫外線発光素子の封止樹脂として、フッ素系樹脂及びシリコーン樹脂等の使用が提案されているが、シリコーン樹脂は、紫外線を多量に被爆すると劣化が進むことが分かっている。特に、紫外線発光素子の高出力化が進められており、出射光のエネルギ密度が上昇する傾向にあり、また、それに伴う消費電力の増加により発熱も増加して、当該発熱や高エネルギ密度の紫外線による封止樹脂の劣化が問題となる。
[0007]
また、フッ素系樹脂は、耐熱性に優れ、紫外線耐性も高いことが知られているが、ポリテトラフルオロエチレン等の一般的なフッ素樹脂は、不透明である。当該フッ素系樹脂は、ポリマー鎖が直線的で剛直であり、容易に結晶化するため、結晶質部分と非晶質部分が混在し、その界面で光が散乱して不透明となる。
[0008]
そこで、例えば、上記の特許文献3では、紫外線発光素子の封止樹脂として、非晶質のフッ素樹脂を使用することで、紫外線に対する透明性を高めることが提案されている。非晶質のフッ素樹脂としては、結晶性ポリマーのフッ素樹脂を共重合化してポリマーアロイとして非晶質化させたものや、パーフルオロジオキソールの共重合体(デュポン社製の商品名テフロンAF(登録商標))やパーフルオロブテニルビニルエーテルの環化重合体(旭硝子社製の商品名サイトップ(登録商標))が挙げられる。後者の環化重合体のフッ素樹脂は、主鎖に環状構造を持つため非晶質となり易く、透明性が高い。
[0009]
例えば、上記の特許文献3に示されるように、非晶質フッ素樹脂は、大別して、金属に対して結合可能な官能基を有する結合性フッ素樹脂と金属に対して難結合性の官能基を有する非結合性フッ素樹脂の2種類がある。そこで、上記の特許文献3では、LEDチップを搭載する基台表面及びLEDチップを覆う部分に、結合性フッ素樹脂を用いて、基台等とフッ素樹脂間の結合性を高めることが提案されている。同様に、非晶質フッ素樹脂を提供するメーカも、結合性フッ素樹脂の使用を推奨しているところがある。
[0010]
しかしながら、本願発明者等の鋭意研究により、結合性の非晶質フッ素樹脂を、窒化物半導体の紫外線発光素子のパッド電極を被覆する箇所に使用した場合に、紫外線発光素子のp電極及びn電極に夫々接続する金属電極配線間に順方向電圧を印加して紫外線発光動作を行うと、紫外線発光素子の電気的特性に劣化の生じることが確認された。具体的には、紫外線発光素子のp電極及びn電極間に抵抗性のリーク電流経路が形成されることが確認された。ここで、非晶質フッ素樹脂が、金属と結合可能な反応性の末端官能基を有する結合性の非晶質フッ素樹脂であると、高エネルギの紫外線が照射された当該結合性の非晶質フッ素樹脂において、光化学反応により反応性の末端官能基が分離してラジカル化し、パッド電極を構成する金属原子と配位結合を起こして、当該金属原子がパッド電極から分離すると考えられる。更に、発光動作中はパッド電極間に電界が印加される結果、当該金属原子がマイグレーションを起こして、抵抗性のリーク電流経路が形成され、紫外線発光素子のp電極及びn電極間が短絡するものと考えられる。
[0011]
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、紫外線発光動作に伴う封止樹脂に起因する電気的特性の劣化を防止し、高品質、高信頼度の紫外線発光装置を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0012]
本願発明者は、鋭意研究により、非反応性の末端官能基を備えた重合体または共重合体で構成される非晶質フッ素樹脂を使用することで、紫外線発光動作に伴う封止樹脂に起因する電気的特性の劣化を防止できることを見出し、以下に示す本発明に至った。
[0013]
上記目的を達成するため、本発明では、窒化物半導体からなる紫外線発光素子と前記紫外線発光素子を被覆する紫外線透過性の封止樹脂を備えてなる紫外線発光装置であって、前記封止樹脂の内の少なくとも前記紫外線発光素子のパッド電極と接触する特定部分が、第1タイプの非晶質フッ素樹脂であり、前記第1タイプの非晶質フッ素樹脂を構成する重合体または共重合体の末端官能基が、前記パッド電極を構成する金属に対して結合性を呈しない非反応性の末端官能基であることを第1の特徴とする紫外線発光装置が提供される。」
b [0023]~[0062]、図1~図2
「[0023]
本発明に係る紫外線発光装置(以下、適宜「本発明装置」と称する)の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。尚、以下の説明で使用する図面では、説明の理解の容易のために、要部を強調して発明内容を模式的に示しているため、各部の寸法比は必ずしも実際の装置と同じ寸法比とはなっていない。以下、本発明装置に使用される紫外線発光素子が窒化物半導体からなる紫外線発光ダイオードである場合を想定して説明する。
[0024]
図1は、サブマウント1に紫外線発光素子2を載置してなる本発明装置の一構成例の概略を模式的に示す断面図である。図2は、サブマウント1(基台に相当)の平面視形状を示す平面図(A)と断面形状を示す断面図(B)である。サブマウント1は、絶縁材料からなる基材10の表面の一部に、アノード側の第1金属電極配線11とカソード側の第2金属電極配線12が夫々形成されてなり、基材10の側壁部13の厚みD1が、側壁部13より内側の中央部分の厚みD2より大きく、側壁部13に囲まれた空間内に、紫外線発光素子2を封止する封止樹脂3を収容可能に構成されている。更に、側壁部13の上面に、紫外線発光素子2から出射される紫外線を透過する半球状の石英ガラスからなる集光レンズ4が固定されている。封止樹脂3は、レンズ4によって覆われることで、側壁部13に囲まれた空間内に固定される。また、第1及び第2金属電極配線11,12は、上記中央部分の基材10に設けられた貫通電極(図示せず)を介して、基材10の裏面側に設けられたリード端子14,15と接続している。サブマウント1を別のプリント基板等の上に載置する場合に、当該プリント基板上の金属配線とリード端子14,15との間で電気的な接続が形成される。尚、レンズ4の紫外線透過特性は使用する紫外線発光素子2の発光波長に適合していれば良い。また、レンズ4は、石英ガラス製以外に、例えば、封止樹脂3の表面を例えば球面等の集光性曲面に成形して構成しても良い。更に、レンズ4は、集光性レンズ以外に、使用目的に応じて光を拡散させるレンズであっても良く、また、必ずしも設ける必要はない。
…(中略)…
[0030]
本実施形態では、封止樹脂3として、非晶質フッ素樹脂を使用する。特に、第1及び第2金属電極配線11,12、パッド電極16,17、及び、バンプ材料5等の金属が露出した箇所(以下、「金属露出箇所」)を被覆する封止樹脂3の一部(特定部分に相当)には、下記の第1タイプの非晶質フッ素樹脂を使用する。第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、上記金属に対して結合性を呈しない非反応性の末端官能基を備えた重合体または共重合体で構成される非晶質フッ素樹脂である。当該第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、より具体的には、重合体または共重合体を構成する構造単位が含フッ素脂肪族環構造を有し、上記末端官能基がCF3等のパーフルオロアルキル基である。つまり、第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、上記金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を有していない。
[0031]
また、含フッ素脂肪族環構造を有する構造単位としては、環状含フッ素単量体に基づく単位(以下、「単位A」)、または、ジエン系含フッ素単量体の環化重合により形成される単位(以下、「単位B」)が好ましい。
[0032]
単位Aの単量体は、含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子間に重合性二重結合を有する単量体、または、含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子と含フッ素脂肪族環外の炭素原子との間に重合性二重結合を有する単量体である。単位Aの単量体としては、下記の化1に示す化合物(1)または下記の化2に示す化合物(2)が好ましい。
…(中略)…
[0034]
[図:0001435161000023.jpg]
[0035]
化1中のX11、X12、X13、X14、及び、化2中のY11、Y12は、夫々独立に、フッ素原子、パーフルオロアルキル基、または、パーフルオロアルコキシ基である。X11、X12、X13、X14、Y11及びY12におけるパーフルオロアルキル基としては、炭素数が1~7であることが好ましく、炭素数1~4であることがより好ましい。
…(中略)…
[0045]
化合物(2)においては、Y11及びY12が相互に結合して、Y11及びY12が結合した炭素原子とともに、含フッ素脂肪族環を形成していても良い。該含フッ素脂肪族環としては、4~6員環が好ましい。該含フッ素脂肪族環は、飽和脂肪族環であることが好ましい。該含フッ素脂肪族環は、その環骨格中に、エーテル性酸素原子(-O-)を有していても良い。この場合、含フッ素脂肪族環中のエーテル性酸素原子の数は、1または2が好ましい。化合物(2)の好ましい具体例としては、下記の化8~化9に示す化合物(2-1)~(2-2)が挙げられる。
…(中略)…
[0047]
[図:0001435161000024.jpg]
[0048]
第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、上記単位Aの単量体の単独重合体であっても良く、上記単位Aの単量体と、それ以外の他の単量体との共重合体であっても良い。但し、当該共重合体中、単位Aの単量体の割合は、当該共重合体を構成する全繰り返し単位の合計に対し、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、100モル%であっても良い。当該他の単量体としては、単位Aの単量体と共重合可能なものであれば良く、特に限定されない。具体的には、後述するジエン系含フッ素単量体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)等が挙げられる。
…(中略)…
[0059]
第1タイプの非晶質フッ素樹脂の平均分子量は、3000~100万が好ましく、1万~30万がより好ましく、10万~25万が更に好ましい。尚、上記単量体の環化重合方法、単独重合方法及び共重合方法としては、例えば特開平4-189880号公報等に開示された公知の方法を適用できる。
[0060]
尚、重合処理後の非晶質フッ素樹脂の末端官能基には、後述する反応性の末端官能基やその他不安定な官能基が形成されている可能性があるため、例えば特開平11-152310号公報等に開示された公知の方法を用いて、フッ素ガスを当該重合処理後の非晶質フッ素樹脂と接触させることで、これらの反応性の末端官能基や不安定な末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換することで、本発明装置で使用する第1タイプの非晶質フッ素樹脂が得られる。
…(後略)…」
「[図1]
[図:0001435161000025.jpg]
[図2]
[図:0001435161000026.jpg]
」
c [0063]~[0094]、図4
「[0063]
次に、本発明装置の作製方法の概略を、図4を参照しながら、簡単に説明する。先ず、図4(A)に示すように、ダイシングされた紫外線発光素子2のベアチップをサブマウント1の第1及び第2金属電極配線11,12上に、バンプ材料5を使用して、周知のフリップチップ実装により固定する(工程1)。具体的には、パッド電極16と第1金属電極配線11が物理的且つ電気的にバンプ材料5を介して接続し、パッド電極17と第2金属電極配線12が物理的且つ電気的にバンプ材料5を介して接続する。これにより、紫外線発光素子2のp電極28と第1金属電極配線11が、紫外線発光素子2のn電極29と第2金属電極配線12が、夫々電気的に接続される。
[0064]
次に、図4(B)に示すように、第1タイプの非晶質フッ素樹脂を、含フッ素溶媒、好ましくは、非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した塗工液6を、サブマウント1の側壁部13に囲まれた空間内に、剥離性の良いテフロンニードル等を用いて注入した後、図4(C)に示すように、塗工液6を徐々に加熱しながら溶媒を揮発させて、サブマウント1の側壁部13の内壁面、第1及び第2金属電極配線11,12の上面、第1及び第2金属電極配線11,12の間の基材10の露出面、紫外線発光素子2の上面及び側面、紫外線発光素子2の下面側のサブマウント1の上面との間の間隙18内に、夫々、第1タイプの非晶質フッ素樹脂の樹脂膜3aが形成される(工程2)。尚、工程2における溶媒の揮発に当たっては、樹脂膜3a内に気泡が残らないように、溶媒の沸点以下の低温域(例えば、室温付近)から溶媒の沸点以上の高温域(例えば、200℃付近)まで徐々に加熱して、溶媒を揮発させることが重要である。
[0065]
次に、図4(D)に示すように、サブマウント1の側壁部13に囲まれた空間内の工程2で形成された樹脂膜3aの内側及び上方の空間内に、固体状の第1タイプの非晶質フッ素樹脂を入れて、例えば、250℃~300℃の高温で溶融させ、その後徐々に冷却して樹脂膜3bを成型する(工程3)。
[0066]
最後に、レンズ4を側壁部13の上面に固定して(工程4)、図1に示す本発明装置が作製される。図4に例示する作製方法では、封止樹脂3は、樹脂膜3aと樹脂膜3bで構成される。レンズ4は、例えば、上記特許文献1に開示されているように、接着剤により側壁部13の上面に固定されるか、或いは、レンズ4と側壁部13に設けられた嵌合構造により側壁部13の上面に固定される。尚、レンズ4の固定方法は、上記の例示した方法に限定されるものではない。
…(中略)…
[0075]
図4に例示する作製方法では、樹脂膜3bを工程3の溶融成型により形成したが、工程2と同様の塗工液6を用いて溶媒を揮発させる方法を繰り返して行い、樹脂膜3bを形成するようにしても良い。
[0076]
また、樹脂膜3bに使用する非晶質フッ素樹脂は、樹脂膜3aに使用する第1タイプの非晶質フッ素樹脂であっても良く、或いは、第1及び第2金属電極配線11,12、パッド電極16,17、及び、バンプ材料5を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を備えた重合体または共重合体で構成される第2タイプの非晶質フッ素樹脂であっても良い。尚、第2タイプの非晶質フッ素樹脂における重合体または共重合体を構成する構造単位としては、第1タイプの非晶質フッ素樹脂の構造単位と同じものを使用できる。また、第2タイプの非晶質フッ素樹脂の反応性の末端官能基としては、COOH基、NH2基、COOR基、Si(OR)n基、COF基、SiCl3基、N=C=O基、OH基、CF=CF2基、OR基、CF2H基等が挙げられる。尚、Rはアルキル基を表す。」
「[図4]
[図:0001435161000027.jpg]
[図:0001435161000028.jpg]
[図:0001435161000029.jpg]
[図:0001435161000030.jpg]
」
「[0077]
本発明装置は、上記金属露出箇所を被覆する封止樹脂3の一部(図4に示す例では、樹脂膜3a)として、当該金属に対して結合性を呈しない非反応性の末端官能基を備えた重合体または共重合体で構成される第1タイプの非晶質フッ素樹脂を使用する点に特徴がある。
…(中略)…
[0094]
以上より、本発明装置では、少なくとも上記金属露出箇所を被覆する封止樹脂3の一部(樹脂膜3a)が、非反応性の末端官能基を備えた第1タイプの非晶質フッ素樹脂であるので、上述の反応性の末端官能基に起因する発光出力不良の発生が効果的に抑制されることが、上記各検証実験により確認された。」
d [0096]~[0100]
「[0096]
<別実施形態>
上記実施形態では、本発明装置の好適な実施形態の一例を詳細に説明した。本発明装置の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形実施が可能である。以下に、本発明装置の別の態様につき説明する。
…(中略)…
[0098]
〈2〉上記実施形態では、図1に例示する形状のサブマウント1に1つの紫外線発光素子2のベアチップを載置して、本発明装置を構成する場合を例示した。しかし、サブマウント1を使用する場合において、その形状、構造及び材料は、上記実施形態で例示したものに限定されるものではない。例えば、サブマウント1の側壁部13の内壁を傾斜面とし、紫外線を反射する金属面を設けても良い。更に、1つのサブマウント1に紫外線発光素子2を1つずつに載置せず、複数の紫外線発光素子2のベアチップを別の基板に直接載置し、個々の紫外線発光素子2を封止樹脂3で個別に封止するようにしても良い。
…(中略)…
[0100]
また、上記実施形態では、紫外線発光素子2をサブマウント1上に、所謂フリップチップ実装する場合を例示したが、紫外線発光素子2の発光をチップ上面から取り出す場合等において、紫外線発光素子2のベアチップの裏面を、サブマウント1、プリント基板、或いは、リードフレーム上に載置し、パッド電極16,17と第1及び第2金属電極配線11,12等との接続を、ワイヤーボンディングにより行っても構わない。」
(イ) 引用方法発明の認定
a 引用文献1の[0100]の「上記実施形態では、紫外線発光素子2をサブマウント1上に、所謂フリップチップ実装する場合を例示したが、紫外線発光素子2の発光をチップ上面から取り出す場合等において、紫外線発光素子2のベアチップの裏面を、サブマウント1、プリント基板、或いは、リードフレーム上に載置し、パッド電極16,17と第1及び第2金属電極配線11,12等との接続を、ワイヤーボンディングにより行っても構わない。」との記載から、当業者であれば、引用文献1の[0063]の「工程1」について、紫外線発光素子2のベアチップの裏面を、サブマウント1、プリント基板、或いは、リードフレーム上に載置し、パッド電極16,17と第1及び第2金属電極配線11,12等との接続を、ワイヤーボンディングにより行う形態を把握できる。
b 前記(ア)に摘記した引用文献1の記載事項及び前記aに記載した当業者が把握できる技術事項から、引用文献1には、化合物(2-2)を単量体とした単独重合体である第1タイプの非晶質フッ素樹脂を溶媒に溶解した塗工液6を用いる図4に概略が示された紫外線発光装置の作製方法について、次の発明(以下「引用方法発明」という。)が記載されているものと認められる(引用方法発明の認定に用いた段落番号等を参考までに括弧内に付してある。以下同じ。)。
<引用方法発明>
「紫外線発光装置の作製方法であって、([0023]、[0063])
第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、第1及び第2金属電極配線11,12、パッド電極16,17、及び、バンプ材料5等の金属が露出した箇所を被覆する封止樹脂3の一部に使用され、上記金属に対して結合性を呈しない非反応性の末端官能基を備えた重合体または共重合体で構成される非晶質フッ素樹脂であり、より具体的には、重合体または共重合体を構成する構造単位が含フッ素脂肪族環構造を有し、上記末端官能基がCF3等のパーフルオロアルキル基であり、つまり、第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、上記金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を有しておらず、([0030])
含フッ素脂肪族環構造を有する構造単位としては、環状含フッ素単量体に基づく単位(以下、「単位A」)が好ましく、([0031])
単位Aの単量体は、含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子と含フッ素脂肪族環外の炭素原子との間に重合性二重結合を有する単量体であり、単位Aの単量体としては、下記の化2に示す化合物(2)が好ましく、([0032]、[0034])
[図:0001435161000031.jpg]
化2中のY11、Y12は、夫々独立に、フッ素原子、パーフルオロアルキル基、または、パーフルオロアルコキシ基であり、Y11及びY12におけるパーフルオロアルキル基としては、炭素数が1~7であることが好ましく、炭素数1~4であることがより好ましく、([0035])
化合物(2)の好ましい具体例としては、下記の化9に示す化合物(2-2)が挙げられ、([0045]、[0047])
[図:0001435161000032.jpg]
第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、上記単位Aの単量体の単独重合体であっても良く、([0048])
第1タイプの非晶質フッ素樹脂の平均分子量は、3000~100万が好ましく、1万~30万がより好ましく、10万~25万が更に好ましく、([0059])
第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、フッ素ガスを重合処理後の非晶質フッ素樹脂と接触させることで、反応性の末端官能基や不安定な末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換することで得られ、([0060])
紫外線発光素子2のベアチップの裏面を、サブマウント1、プリント基板、或いは、リードフレーム上に載置し、パッド電極16,17と第1及び第2金属電極配線11,12等との接続を、ワイヤーボンディングにより行い(工程1)、これにより、紫外線発光素子2のp電極28と第1金属電極配線11が、紫外線発光素子2のn電極29と第2金属電極配線12が、夫々電気的に接続され、([0063]、[0100]、前記a)
第1タイプの非晶質フッ素樹脂を、含フッ素溶媒、好ましくは、非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した塗工液6を、サブマウント1の側壁部13に囲まれた空間内に、剥離性の良いテフロンニードル等を用いて注入した後、塗工液6を徐々に加熱しながら溶媒を揮発させて、サブマウント1の側壁部13の内壁面、第1及び第2金属電極配線11,12の上面、第1及び第2金属電極配線11,12の間の基材10の露出面、紫外線発光素子2の上面及び側面に、夫々、第1タイプの非晶質フッ素樹脂の樹脂膜3aが形成され(工程2)、([0064])
サブマウント1の側壁部13に囲まれた空間内の工程2で形成された樹脂膜3aの内側及び上方の空間内に、固体状の第1タイプの非晶質フッ素樹脂を入れて、例えば、250℃~300℃の高温で溶融させ、その後徐々に冷却して樹脂膜3bを成型し(工程3)、([0065])
レンズ4を側壁部13の上面に固定する(工程4)、([0066])
紫外線発光装置の作製方法」
(ウ) 引用装置発明1及び引用装置発明2の認定
a 引用文献1の[0065]には、「サブマウント1の側壁部13に囲まれた空間内の工程2で形成された樹脂膜3aの内側及び上方の空間内に、固体状の第1タイプの非晶質フッ素樹脂を入れて、…樹脂膜3bを成型する」と記載されているところ、この記載を、[0075]の「図4に例示する作製方法では、樹脂膜3bを工程3の溶融成型により形成したが、工程2と同様の塗工液6を用いて溶媒を揮発させる方法を繰り返して行い、樹脂膜3bを形成するようにしても良い。」という記載及び[0064]の工程2についての「第1タイプの非晶質フッ素樹脂を、含フッ素溶媒、好ましくは、非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した塗工液6を、サブマウント1の側壁部13に囲まれた空間内に、剥離性の良いテフロンニードル等を用いて注入した後、図4(C)に示すように、塗工液6を徐々に加熱しながら溶媒を揮発させて、サブマウント1の側壁部13の内壁面、第1及び第2金属電極配線11,12の上面、第1及び第2金属電極配線11,12の間の基材10の露出面、紫外線発光素子2の上面及び側面、紫外線発光素子2の下面側のサブマウント1の上面との間の間隙18内に、夫々、第1タイプの非晶質フッ素樹脂の樹脂膜3aが形成される(工程2)」という記載を踏まえて読むと、引用文献1には、図1に示された構成例に係る紫外線発光装置について、サブマウント1の側壁部13に囲まれた空間内の工程2で形成された樹脂膜3aの内側及び上方の空間内に、第1タイプの非晶質フッ素樹脂を、含フッ素溶媒、好ましくは、非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した塗工液6を用いて溶媒を揮発させる方法を繰り返して行い、樹脂膜3bを形成する方法を採用した形態が記載されていることを、当業者は把握することができる。
b 引用文献1の[0065]には、「サブマウント1の側壁部13に囲まれた空間内の工程2で形成された樹脂膜3aの内側及び上方の空間内に、固体状の第1タイプの非晶質フッ素樹脂を入れて、…樹脂膜3bを成型する」と記載されているところ、この記載を、[0075]の「図4に例示する作製方法では、樹脂膜3bを工程3の溶融成型により形成したが、工程2と同様の塗工液6を用いて溶媒を揮発させる方法を繰り返して行い、樹脂膜3bを形成するようにしても良い。」という記載、[0064]の工程2についての「第1タイプの非晶質フッ素樹脂を、含フッ素溶媒、好ましくは、非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した塗工液6を、サブマウント1の側壁部13に囲まれた空間内に、剥離性の良いテフロンニードル等を用いて注入した後、図4(C)に示すように、塗工液6を徐々に加熱しながら溶媒を揮発させて、サブマウント1の側壁部13の内壁面、第1及び第2金属電極配線11,12の上面、第1及び第2金属電極配線11,12の間の基材10の露出面、紫外線発光素子2の上面及び側面、紫外線発光素子2の下面側のサブマウント1の上面との間の間隙18内に、夫々、第1タイプの非晶質フッ素樹脂の樹脂膜3aが形成される(工程2)」という記載及び[0076]の「樹脂膜3bに使用する非晶質フッ素樹脂は、樹脂膜3aに使用する第1タイプの非晶質フッ素樹脂であっても良く、或いは、第1及び第2金属電極配線11,12、パッド電極16,17、及び、バンプ材料5を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を備えた重合体または共重合体で構成される第2タイプの非晶質フッ素樹脂であっても良い」という記載を踏まえて読むと、引用文献1には、図1に示された構成例に係る紫外線発光装置について、サブマウント1の側壁部13に囲まれた空間内の工程2で形成された樹脂膜3aの内側及び上方の空間内に、第2タイプの非晶質フッ素樹脂を、含フッ素溶媒、好ましくは、非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した塗工液6を用いて溶媒を揮発させる方法を繰り返して行い、樹脂膜3bを形成する方法を採用した形態が記載されていることを、当業者は把握することができる。
c 引用文献1の[0098]の「サブマウント1の側壁部13の内壁を傾斜面とし、紫外線を反射する金属面を設けても良い。」との記載から、当業者であれば、図1に示された構成例に係る紫外線発光装置について、サブマウント1の側壁部13の内壁を傾斜面とし、紫外線を反射する金属面を設けた実施態様を把握できる。
d 前記(ア)に摘記した引用文献1の記載事項及び前記a、cに記載した当業者が把握できる技術事項を踏まえると、引用文献1には、化合物(2-2)を単量体とした単独重合体である第1タイプの非晶質フッ素樹脂を溶媒に溶解した塗工液6を用いて作製された図1に示された構成例に係る紫外線発光装置について、次の発明(以下「引用装置発明1」という。)が記載されているものと認められる。
<引用装置発明1>
「紫外線発光装置であって、([0023])
サブマウント1に紫外線発光素子2を載置してなり、([0024])
サブマウント1は、基材10の側壁部13の厚みD1が、側壁部13より内側の中央部分の厚みD2より大きく、側壁部13に囲まれた空間内に、紫外線発光素子2を封止する封止樹脂3を収容可能に構成されており、([0024])
封止樹脂3は、レンズ4によって覆われることで、側壁部13に囲まれた空間内に固定され、([0024])
封止樹脂3は、樹脂膜3aと樹脂膜3bで構成され、([0066])
第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、第1及び第2金属電極配線11,12、パッド電極16,17、及び、バンプ材料5等の金属が露出した箇所を被覆する封止樹脂3の一部に使用され、上記金属に対して結合性を呈しない非反応性の末端官能基を備えた重合体または共重合体で構成される非晶質フッ素樹脂であり、より具体的には、重合体または共重合体を構成する構造単位が含フッ素脂肪族環構造を有し、上記末端官能基がCF3等のパーフルオロアルキル基であり、つまり、第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、上記金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を有しておらず、([0030])
含フッ素脂肪族環構造を有する構造単位としては、環状含フッ素単量体に基づく単位(以下、「単位A」)が好ましく、([0031])
単位Aの単量体は、含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子と含フッ素脂肪族環外の炭素原子との間に重合性二重結合を有する単量体であり、単位Aの単量体としては、下記の化2に示す化合物(2)が好ましく、([0032]、[0034])
[図:0001435161000033.jpg]
化2中のY11、Y12は、夫々独立に、フッ素原子、パーフルオロアルキル基、または、パーフルオロアルコキシ基であり、Y11及びY12におけるパーフルオロアルキル基としては、炭素数が1~7であることが好ましく、炭素数1~4であることがより好ましく、([0035])
化合物(2)の好ましい具体例としては、下記の化9に示す化合物(2-2)が挙げられ、([0045]、[0047])
[図:0001435161000034.jpg]
第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、上記単位Aの単量体の単独重合体であっても良く、([0048])
第1タイプの非晶質フッ素樹脂の平均分子量は、3000~100万が好ましく、1万~30万がより好ましく、10万~25万が更に好ましく、([0059])
第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、フッ素ガスを重合処理後の非晶質フッ素樹脂と接触させることで、反応性の末端官能基や不安定な末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換することで得られ、([0060])
第1タイプの非晶質フッ素樹脂を、含フッ素溶媒、好ましくは、非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した塗工液6を、サブマウント1の側壁部13に囲まれた空間内に、剥離性の良いテフロンニードル等を用いて注入した後、塗工液6を徐々に加熱しながら溶媒を揮発させて、サブマウント1の側壁部13の内壁面、第1及び第2金属電極配線11,12の上面、第1及び第2金属電極配線11,12の間の基材10の露出面、紫外線発光素子2の上面及び側面に、夫々、第1タイプの非晶質フッ素樹脂の樹脂膜3aが形成され、([0064])
サブマウント1の側壁部13に囲まれた空間内の工程2で形成された樹脂膜3aの内側及び上方の空間内に、第1タイプの非晶質フッ素樹脂を、含フッ素溶媒、好ましくは、非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した塗工液6を用いて溶媒を揮発させる方法を繰り返して行い、樹脂膜3bを形成し、(前記a)
サブマウント1の側壁部13の内壁を傾斜面とし、紫外線を反射する金属面を設け、([0098]、前記c)
紫外線発光素子2のベアチップの裏面を、サブマウント1、プリント基板、或いは、リードフレーム上に載置し、パッド電極16,17と第1及び第2金属電極配線11,12等との接続を、ワイヤーボンディングにより行う、([0100])
紫外線発光装置」
e 前記(ア)に摘記した引用文献1の記載事項及び前記b、cに記載した当業者が把握できる技術事項を踏まえると、引用文献1には、化合物(2-2)を単量体とした単独重合体である第2タイプの非晶質フッ素樹脂を溶媒に溶解した塗工液6を用いて作製された図1に示された構成例に係る紫外線発光装置について、次の発明(以下「引用装置発明2」という。)が記載されているものと認められる。
<引用装置発明2>
「紫外線発光装置であって、([0023])
サブマウント1に紫外線発光素子2を載置してなり、([0024])
サブマウント1は、基材10の側壁部13の厚みD1が、側壁部13より内側の中央部分の厚みD2より大きく、側壁部13に囲まれた空間内に、紫外線発光素子2を封止する封止樹脂3を収容可能に構成されており、([0024])
封止樹脂3は、レンズ4によって覆われることで、側壁部13に囲まれた空間内に固定され、([0024])
封止樹脂3は、樹脂膜3aと樹脂膜3bで構成され、([0066])
第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、第1及び第2金属電極配線11,12、パッド電極16,17、及び、バンプ材料5等の金属が露出した箇所を被覆する封止樹脂3の一部に使用され、上記金属に対して結合性を呈しない非反応性の末端官能基を備えた重合体または共重合体で構成される非晶質フッ素樹脂であり、より具体的には、重合体または共重合体を構成する構造単位が含フッ素脂肪族環構造を有し、上記末端官能基がCF3等のパーフルオロアルキル基であり、つまり、第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、上記金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を有しておらず、([0030])
含フッ素脂肪族環構造を有する構造単位としては、環状含フッ素単量体に基づく単位(以下、「単位A」)が好ましく、([0031])
単位Aの単量体は、含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子と含フッ素脂肪族環外の炭素原子との間に重合性二重結合を有する単量体であり、単位Aの単量体としては、下記の化2に示す化合物(2)が好ましく、([0032]、[0034])
[図:0001435161000035.jpg]
化2中のY11、Y12は、夫々独立に、フッ素原子、パーフルオロアルキル基、または、パーフルオロアルコキシ基であり、Y11及びY12におけるパーフルオロアルキル基としては、炭素数が1~7であることが好ましく、炭素数1~4であることがより好ましく、([0035])
化合物(2)の好ましい具体例としては、下記の化9に示す化合物(2-2)が挙げられ、([0045]、[0047])
[図:0001435161000036.jpg]
第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、上記単位Aの単量体の単独重合体であっても良く、([0048])
第1タイプの非晶質フッ素樹脂の平均分子量は、3000~100万が好ましく、1万~30万がより好ましく、10万~25万が更に好ましく、([0059])
第1タイプの非晶質フッ素樹脂は、フッ素ガスを重合処理後の非晶質フッ素樹脂と接触させることで、反応性の末端官能基や不安定な末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換することで得られ、([0060])
第1タイプの非晶質フッ素樹脂を、含フッ素溶媒、好ましくは、非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した塗工液6を、サブマウント1の側壁部13に囲まれた空間内に、剥離性の良いテフロンニードル等を用いて注入した後、塗工液6を徐々に加熱しながら溶媒を揮発させて、サブマウント1の側壁部13の内壁面、第1及び第2金属電極配線11,12の上面、第1及び第2金属電極配線11,12の間の基材10の露出面、紫外線発光素子2の上面及び側面に、夫々、第1タイプの非晶質フッ素樹脂の樹脂膜3aが形成され、([0064])
サブマウント1の側壁部13に囲まれた空間内の工程2で形成された樹脂膜3aの内側及び上方の空間内に、第2タイプの非晶質フッ素樹脂を、含フッ素溶媒、好ましくは、非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した塗工液6を用いて溶媒を揮発させる方法を繰り返して行い、樹脂膜3bを形成し、(前記b)
第2タイプの非晶質フッ素樹脂における重合体または共重合体を構成する構造単位としては、第1タイプの非晶質フッ素樹脂の構造単位と同じものを使用でき、第2タイプの非晶質フッ素樹脂の反応性の末端官能基としては、COOH基、NH2基、COOR基、Si(OR)n基、COF基、SiCl3基、N=C=O基、OH基、CF=CF2基、OR基、CF2H基等が挙げられ、Rはアルキル基を表し、([0076])
サブマウント1の側壁部13の内壁を傾斜面とし、紫外線を反射する金属面を設け、([0098]、前記c)
紫外線発光素子2のベアチップの裏面を、サブマウント1、プリント基板、或いは、リードフレーム上に載置し、パッド電極16,17と第1及び第2金属電極配線11,12等との接続を、ワイヤーボンディングにより行う、([0100])
紫外線発光装置」
エ 引用文献2、3に記載された事項及び粘度数値周知技術の認定
(ア) 引用文献2に記載された事項
本願の出願前に日本国内又は外国において発行された引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「【0021】
<<<光波長変換組成物>>>
光波長変換組成物は、入射する光を他の波長の光に変換するための組成物である。光波長変換組成物は、量子ドットと、窒素原子を含むシリコーン樹脂(以下、このシリコーン樹脂を「特定のシリコーン樹脂」と称する。)とを含んでいる。光波長変換組成物は、量子ドットおよびシリコーン樹脂の他、溶剤、光散乱性粒子、蛍光体等を含んでいてもよい。例えば、光波長変換組成物を光波長変換シートとして用いる場合には、光波長変換組成物は、光散乱性粒子を含むことが好ましい。なお、本明細書において、「シート」とは、フィルムとも呼ばれるような部材も含む概念である。
【0022】
光波長変換組成物は、組成物の状態でも使用してもよく、また光波長変換組成物を硬化させて、硬化物である後述する光波長変換部材の状態で使用してもよい。
【0023】
光波長変換組成物の粘度は、100mPa・s以上10000mPa・s以下であることが好ましい。光波長変換組成物の粘度が、100mPa・s以上であると、塗布後の形状を容易に保つことができ、また10000mPa・s以下であると、光波長変換組成物の塗布を容易に行うことができ、また良好なレベリング性を得ることができる。」
「【0064】
<<光波長変換部材>>
光波長変換部材13は、上記光波長変換組成物の硬化物である。したがって、光波長変換部材13は、量子ドット18と、上記特定のシリコーン樹脂の硬化物からなるバインダ樹脂19とを含んでいる。図1に示される量子ドット18は、第1の量子ドット18Aと、第1の量子ドット18Aとは異なる波長域の発光帯を有する第2の量子ドット18Bとを含んでいる。例えば、発光素子12として青色発光ダイオードを用いた場合には、色域を広げる観点から、第1の量子ドット18Aとして、青色光を緑色光に変換する量子ドットを用い、第2の量子ドット18Bとして、青色光を赤色光に変換する量子ドットを用いることが好ましい。量子ドット18や上記特定のシリコーン樹脂は、光波長変換組成物の欄で説明した量子ドットや特定のシリコーン樹脂と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
【0065】
光波長変換部材13は、凹部11Aに充填され、発光素子12を覆うことによって発光素子12を封止している。すなわち、光波長変換部材13は、発光素子12を封止する封止部材としても機能している。」
(イ) 引用文献3に記載された事項
本願の出願前に日本国内又は外国において発行された引用文献3には、以下の事項が記載されている。
「【0068】
上述したように、本発明の実施形態にかかる半導体発光装置において半導体発光素子を覆って設けられる多層構造は、種々の形状で構成することができる。その形状に応じた任意の方法で、多層構造を形成することが可能である。
【0069】
図11には、断面における外周の形状が放物線状の多層構造が示されている。こうした形状の多層構造は、樹脂の粘性と温度とを制御することによって、所望の形状に成型しやすく、例えば以下の方法により製造することができる。まず、基板4の半導体発光素子が搭載される平面に、半導体発光素子2をマウントする。半導体発光素子2の第1の主電極と基板4の配線42とを、電気的に接続するとともに、第2の主電極と配線43とを、ワイヤ5を介して電気的に接続する。この後、半導体発光素子2の点灯試験を行なう。
【0070】
点灯試験後、ディスペンサを使用して、点灯確認が行なわれた基板4の表面に樹脂を滴下塗布する。塗布後、直ちに樹脂を硬化させて、多層構造を製作する。樹脂の粘度、表面張力、基板のぬれ性、あるいは温度等の製造条件を調節することによって、多層構造3の断面における外周形状を放物線形状にすることができる。こうした形状を得るには、例えば、樹脂の粘度は、2~10Pa・s程度とすることができる。また、温度は樹脂の硬化温度に合わせて常温(25℃)~200℃程度とすればよい。」
(ウ) 粘度数値周知技術の認定
前記(ア)及び(イ)に摘記した引用文献2及び引用文献3の記載事項から見て、次の事項は本願の出願時点の周知技術(以下「粘度数値周知技術」という。)であると認められる。
<粘度数値周知技術>
「発光装置において発光素子を樹脂で封止する際に、樹脂の形状を保ちやすくするために、封止樹脂の粘度を2000mPa・s~10000mPa・sに設定すること」
オ 引用文献4に記載された事項及び樹脂供給・硬化周知技術の認定
(ア) 引用文献4に記載された事項
本願の出願前に日本国内又は外国において発行された引用文献4には、以下の事項が記載されている。
「【0030】
[2]封止部形成用材料供給工程(第1の工程)
次に、図5(c)に示すように、このバンク5の内側に、封止部形成用材料6を供給する。
ここで、封止部4の構成材料として熱可塑性樹脂を用いる場合には、例えば、加熱により熱可塑性樹脂を溶融させた溶融物や、熱可塑性樹脂を適当な溶媒に溶解した溶液等を、封止部形成用材料6として用いることができる。
…(中略)…
【0034】
[3]封止部形成用材料の固化または硬化工程(第2の工程)
次に、図5(d)に示すように、封止部形成用材料6が供給されたバンク5の上部に、スタンパ(転写用型)7を載置し、スタンパ7を下方に向かって押圧する。そして、この状態(封止部形成用材料6にスタンパ7を押し付けた状態)で、封止部形成用材料6を固化または硬化させる。
…(中略)…
【0036】
また、封止部形成用材料6を固化または硬化させる方法としては、封止部形成用材料6の種類に応じて適宜選択され、特に限定されない。
封止部形成用材料6が、例えば、熱可塑性樹脂の溶融物である場合には、冷却(自然冷却、強制冷却)による方法が挙げられ、熱可塑性樹脂を含有する溶液である場合には、加熱、減圧等により脱溶媒する方法等が挙げられる。…(後略)…」
(イ) 樹脂供給・硬化周知技術の認定
前記(ア)に摘記した引用文献4の記載事項から見て、次の事項は本願の出願時点の周知技術(以下「樹脂供給・硬化周知技術」という。)であると認められる。
<樹脂供給・硬化周知技術>
「発光素子を封止する際に、加熱により溶融させた樹脂材料を供給した後、冷却により樹脂材料を固化または硬化させて成形すること」
カ 引用文献5に記載された事項及び引用文献5技術事項の認定
(ア) 引用文献5に記載された事項
本願の出願前に日本国内又は外国において発行された引用文献5には、以下の事項が記載されている。()内の翻訳は、当合議体が作成したものである。
(概要1~4行)
「ABSTRACT
Aiming at improving the flexibility of polymer films, the copolymers of perfluoro(2-methylene-4-methyl-1,3-dioxolane) (PFMMD) and chlorotrifluoroethylene (CTFE) with different compositions were prepared by radical polymerization using perfluorobenzoyl peroxide (PFBP) as the initiator, and their thermal, mechanical, and optical characteristics were investigated.」
(概要
ポリマーフィルムの柔軟性を向上させることを目的として、パーフルオロベンゾイルパーオキサイド(PEFB)を開始剤とするラジカル重合により、組成の異なるパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)(PFMMD)とクロロトリフルオロエチレン(CTFE)の共重合体を調製し、その熱的、機械的、光学的特性を調べた。)
(64ページ左欄下から1行~右欄1行)
「The glass transition temperature (Tg) of PFMMD homopolymer is measured to be around 135℃, and of CTEF homo polymer is reported to be 45-75℃.」
(PFMMDホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は約135℃と測定され、CTEFホモポリマーのガラス転移温度は45~75℃と報告されている。)
(イ) 引用文献5技術事項の認定
前記(ア)に摘記した引用文献5の記載事項から、引用発明5には、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキシラン)(PFMMD)について、次の技術事項(以下「引用文献5技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
<引用文献5技術事項>
「パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキシラン)(PFMMD)について、
PFMMDホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は約135℃と測定されること」
キ 引用文献6、7に記載された事項及びPFMMD重合開始剤周知技術の認定
(ア) 引用文献6に記載された事項
本願の出願前に日本国内又は外国において発行された引用文献6には、以下の事項が記載されている。
「【0059】
[実施例2]
<パーフルオロ-4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソランのポリマー化>
実施例1で得られたパーフルオロ-4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソランの100gとパーフルオロベンゾイルパーオキサイドの1gをガラスチューブにいれ、これを2サイクルの冷凍/解凍真空機で脱気した後、アルゴンを再充填し、50℃で数時間加熱した。内容物は固体となったが、さらに70℃で一晩70℃加熱すると、100gの透明な棒状物が得られた。…(後略)…」
(イ) 引用文献7に記載された事項
本願の出願前に日本国内又は外国において発行された引用文献7には、以下の事項が記載されている。()内の翻訳は、当合議体が作成したものである。
(概要1~3行)
「Abstract
A perfluorinated monomer, perfluoro-2-methylene-4-methyl-1,3-dioxolane (PFMMD), was synthesized by various methods. The monomer was polymerized in bulk and/or in the solution by a free radical mechanism using perfluorodibenzoyl peroxide and/or perfluorodi-tert-butyl peroxide as an initiators.」
(概要
パーフルオロモノマーであるパーフルオロ-2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン(PFMMD)を様々な方法で合成した。モノマーは、開始剤としてパーフルオロジベンゾイルパーオキサイドおよび/またはパーフルオロジ-tert-ブチルパーオキサイドを用いて、フリーラジカル機構によりバルクおよび/または溶液中で重合された。)
(4240頁右欄下から22~19行)
「Polymer Preparation. In the polymerization of PFMMD initiated by perfluorodibenzoyl peroxide, the reaction order with respect to initiator is 0.47, a slightly lower than 0.50 given by classical theory.」
(ポリマーの調製 パーフルオロベンゾイルパーオキサイドによって開始されるPFMMDの重合では、開始剤に対する反応次数は0.47であり、古典的理論で与えられる0.50よりわずかに低い。)
(4241頁左欄11~12行)
「Polymerization of PFMMD in bulk was also initiated by perfluorodi-tert-butyl peroxide.」
(PFMMDのバルク重合は、パーフルオロジ-tert-ブチルパーオキサイドによっても開始された。)
(ウ) PFMMD重合開始剤周知技術の認定
前記(ア)及び(イ)に摘記した引用文献6及び引用文献7の記載事項からみて、次の事項は本願の出願時点の周知技術(以下「PFMMD重合開始剤周知技術」という。)であると認められる。
<PFMMD重合開始剤周知技術>
「パーフルオロ-2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン(PFMMD)を、パーフルオロジベンゾイルペルオキサイド等の全フッ素化された過酸化物を重合開始剤として重合すること」
ク 引用文献8に記載された事項及び引用文献8技術事項の認定
(ア) 引用文献8に記載された事項
本願の出願前に日本国内又は外国において発行された引用文献8には、以下の事項が記載されている。
(663頁右欄)
「5 ペルフルオロ(4-ビニルオキシ-1-ブテン)重合体の末端基変性
ペルフルオロポリマーの主鎖構造は一般に耐熱性が高いが,開始剤あるいは連鎖移動剤の断片からなる末端基の多くはペルフルオロアルキル基を除いては耐熱性に劣る。そして,これらの熱的に不安定な末端基は空気中で200-350℃に加熱することによりフルオロカルボニル基-COFとなる。BVE重合体においても,開始剤としてIPPなどの炭化水素系開始剤を用いて合成した場合,加熱処理により末端を-COFに変性した後,水,アルコール等で処理するとカルボキシル基,アルキルエステル基に容易に置換できる。さらに 3-アミノプロピルトリメトキシシラン,4-アミノフェニルトリメトキシシランなどと反応させることにより末端アルコキシシランに変性可能である。…(中略)…
しかし,このような末端基は紫外光の透過には妨げとなり,また,押し出しフィルムや射出成形などの溶融成型時には熱分解を起こし成形機の腐食の原因となるため安定化処理することが必要な場合もある。このような要求に対しては,重合開始剤として,ペルフルオロ(ジアシルパーオキシド)[(RfCOO)2→Rf・+CO2](Rfはペルフルオロアルキル基)を用いることにより末端を安定なペルフルオロアルキルとすることができる。また,高温でフッ素ガスにより処理することによっても安定な構造となる。」
(イ) 引用文献8技術事項の認定
前記(ア)に摘記した引用文献8の記載事項から、引用発明8には、ペルフルオロポリマーについて、次の技術事項(以下「引用文献8技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
<引用文献8技術事項>
「ペルフルオロポリマーについて、
開始剤の断片からなる末端基の多くはペルフルオロアルキル基を除いては耐熱性に劣るところ、
重合開始剤として、ペルフルオロ(ジアシルパーオキシド)を用いることにより末端を安定なペルフルオロアルキルとすることができ、
高温でフッ素ガスにより処理することによっても安定な構造となること」
ケ 引用文献9、10に記載された事項等及び封止構造周知技術の認定
(ア) 引用文献9に記載された事項等
a 引用文献9に記載された事項
本願の出願前に日本国内又は外国において発行された引用文献9には、以下の事項が記載されている。
「【0030】
[I.面発光装置]
本発明の第1実施形態に係る照明装置である面発光装置は、光学部材が、互いに対向する出射面と反射面とを有する導光板として形成され、光源が導光板の一端面又は対向する二端面に接合され、光源からの光を導光板の端面から入射させて出射面から出射させるように構成されたものである。そして、光源が、凹部を有するパッケージと、パッケージの凹部内に配置される半導体発光素子と、半導体発光素子を封止する封止部材とを備えて構成されるとともに、上述の(i)~(iii)の特徴を備えてなるものである。
…(中略)…
【0041】
(封止部材)
本発明において、LED素子202を覆う封止部材203は、パッケージ201の上面より突出するように設けられており、その突出する部分が弾性体からなることを特徴としている。封止部材は、その全てが弾性体である必要はなく、少なくともパッケージ上面よりも突出する部分が弾性体であればよい。
【0042】
…(中略)…パッケージ上面より突出する部分を含む上部層203(a)が弾性体からなり、下部層203(b)が弾性を有しない非弾性体、或いは弾性率の低い弾性体からなるようにすることで、接合時にパッケージ上面から突出する部分の弾性体が変形されるときに、突出部だけでなくその内部にまで歪みが生じ、その歪み応力によって素子電極とリード電極とを接合しているワイヤが破損したり、素子と基体とを接合しているマウント樹脂部が破損して位置ズレが生じるなどの課題を起こし難くすることができる。このように二層構造或いは二層以上の多層構造とすることで、封止部材の部位によって異なる機能をもたせることができる。二層構造とする場合、その境界の位置は特に問わないが、パッケージ上面に突出する部分は少なくとも上部層として弾性体を用い、好ましくはパッケージ上面よりやや下までを弾性体とすることで、外力によって上部層である弾性体だけが剥離することのないようにすることができる。…(中略)…
【0096】
図4は、本発明の第2実施形態に係る半導体照明装置の構成を模式的に示す断面図である。図4において、図1~3と同一の構成要素については、同一の符号を用いて表わしている。図4に示す半導体照明装置400は、本発明の第1実施形態に係る面発光装置に用いられたLED光源102と同様、パッケージ201と、LED素子202と、封止部材203とからなるLED光源102を備えると共に、LED光源102のパッケージ201の上方に外部光学部材としてアウターレンズ401が設けられる。アウターレンズ401の下面には、LED光源102の封止部材203の突出形状に相当する形状で、当該突出形状と同等若しくは若干小さめの寸法に設計された凹部が設けられ、当該凹部にLED光源102の封止部材203の突出部分が嵌合するようになっている。これにより、LED光源102の上面にアウターレンズ401を実装するときに、接合部分にかかる外力によって弾性体である封止部材203の形状を変化させて、アウターレンズ401の凹部内面とLED光源102の上面(特に封止部材203の上面)とを密着性よく接合することができ、光を効率よくアウターレンズ401内に入光させることができる。
【図4】
[図:0001435161000037.jpg]
」
b 引用文献9に記載された事項から当業者が把握できる事項
当業者であれば、引用文献9の図4から、非弾性体である下部層203(b)よりも弾性体である上部層203(a)の厚さが小さいこと、弾性体である上部層203(a)がパッケージ201と接するように設けられることを把握できる。
(イ) 引用文献10に記載された事項等
a 引用文献10に記載された事項
本願の出願前に日本国内又は外国において発行された引用文献10には、以下の事項が記載されている。
「【0010】
【発明の実施の形態】…(中略)…そのLED光源102は図2に示すように、凹部を有するパッケージ201と、その凹部内に実装されたLED素子202と、このLED素子202を封止する封止部203とからなるものであり、封止部203がパッケージ上面より突出するよう設けられると共に、突出した部分が弾性体であることを特徴とするものである。これにより、導光板の端面にLED光源を実装させるときに、接合部分にかかる外力によって弾性体の形状を変化させて導光板端面とLED光源とを密着性よく接合することができ、光を効率よく導光板内に導入することができる。…(中略)…
【0012】(封止部203)本発明において、LED素子を覆う封止部は、パッケージの上面より突出するように設けられており、その突出する部分が弾性体からなることを特徴としている。封止部は、その全てが弾性体である必要はなく、少なくともパッケージ上面よりも突出する部分が弾性体であればよい。例えば、図2は2層構造の封止部を示しており、上部層203(a)と下部層203(b)とから構成されているが、このように、パッケージ上面より突出する部分を含む上部層203(a)が弾性体からなり、下部層203(b)が弾性を有しない非弾性体、或いは弾性率の低い弾性体からなるようにすることで、接合時にパッケージ上面から突出する部分の弾性体が変形されるときに、突出部だけでなくその内部にまで歪みが生じ、その歪み応力によって素子電極とリード電極とを接合しているワイヤが破損したり、素子と基体とを接合しているマウント樹脂部が破損して位置ズレが生じるなどの問題を起こしにくくすることができる。このように2層構造或いは2層以上の多層構造とすることで、封止部の部位によって異なる機能をもたせることができる。2層構造とする場合、その境界の位置は特に問わないが、パッケージ上面に突出する部分は少なくとも上部層として弾性体を用い、好ましくはパッケージ上面よりやや下までを弾性体とすることで、外力によって上部層である弾性体だけが剥離することのないようにすることができる。
【図2】
[図:0001435161000038.jpg]
」
b 引用文献10に記載された事項から当業者が把握できる事項
当業者であれば、引用文献10の図2から、非弾性体である下部層203(b)よりも弾性体である上部層203(a)の厚さが小さいこと、弾性体である上部層203(a)がパッケージ201と接するように設けられることを把握できる。
(ウ) 封止構造周知技術の認定
前記(ア)a、b及び(イ)a、bに示した引用文献9及び引用文献10の記載事項等からみて、次の事項は本願の出願時点の周知技術(以下「封止構造周知技術」という。)であると認められる。
<封止構造周知技術>
「LED素子の封止部材について、非弾性体である下部層と外部光学部材との間に、下部層より厚さが小さくパッケージから突出する、シリコーン等の弾性体からなる上部層を設けることにより、封止部材と外部光学部材とを密着性よく接合するとともに、パッケージ上面よりもやや下までを弾性体とし、弾性体がパッケージに接するようにすることにより、外力によって弾性体である上部層だけが剥離することのないようにすること」
(3) 本件発明10について
(i) 要件(I)が成立する場合
ア 対比
(ア) 対比分析
要件(I)が成立する場合の本件発明10と引用方法発明を対比する。
a 構成X、X’について
(a) 構成X、X’は、本件発明10が「発光素子と、リード電極と、前記発光素子を封止する封止部材と、を備えた光源装置の製造方法」の発明であることを特定するものである。
(b) 引用方法発明の「紫外線発光装置の作製方法」は、本件発明10の「光源装置の製造方法」に相当する。
(c) 引用方法発明の「紫外線発光素子2」は、本件発明10の「発光素子」に相当する。
(d) 引用方法発明の「第1及び第2金属電極配線11,12」は、本件発明10の「リード電極」に相当する。
(e) 引用方法発明の「樹脂膜3a」は、「紫外線発光素子2の上面及び側面」も含めた位置に「形成され」るものであるから、本件発明10の「封止部材」に相当するとともに、本件発明10でいう「紫外線発光素子2を封止する」ものであるといえる。
(f) したがって、本件発明10と引用方法発明は、構成X、X’の点で一致する。
b 構成Aについて
(a) 構成Aは、「前記光源装置は、前記発光素子及び前記リード電極を電気的に接続するためのボンディングワイヤをさらに備え[る]」ことを特定するものである。
(b) 引用方法発明の「ワイヤーボンディング」における「ワイヤー」は、本件発明10の「ボンディングワイヤ」に相当し、引用方法発明の「紫外線発光装置」は、本件発明10でいう「ボンディングワイヤをさらに備え[る]」ものであるといえる。そして、引用方法発明は、「パッド電極16,17と第1及び第2金属電極配線11,12等との接続をワイヤーボンディングにより行い(工程1)、これにより、紫外線発光素子2のp電極28と第1金属電極配線11が、紫外線発光素子2のn電極29と第2金属電極配線12が、夫々電気的に接続され[る]」ものであるから、引用方法発明の「ワイヤー」は、本件発明10でいう「前記発光素子及び前記リード電極を電気的に接続するための」ものであるといえる。
(c) したがって、本件発明10と引用方法発明は、構成Aの点で一致する。
c 構成Bについて
(a) 構成Bは、「前記製造方法は、樹脂組成物を加熱することと、加熱された前記樹脂組成物によって前記発光素子及び前記ボンディングワイヤが覆われるように、前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布することと、前記樹脂組成物を冷却して前記樹脂組成物の粘度を増加させることによって、前記発光素子を封止する前記封止部材を形成することと、を含[む]」ことを特定するものである。
(b) 引用方法発明の「第1タイプの非晶質フッ素樹脂を、含フッ素溶媒、好ましくは、非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した塗工液6」は、本件発明10の「樹脂組成物」に相当する。
そして、引用方法発明の「第1タイプの非晶質フッ素樹脂を、含フッ素溶媒、好ましくは、非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した塗工液6を、サブマウント1の側壁部13に囲まれた空間内に、剥離性の良いテフロンニードル等を用いて注入[する]」ことは、それ以前の工程で「サブマウント1」に「紫外線発光素子2のベアチップ」を「載置し、パッド電極16,17と第1及び第2金属電極配線11,12等との接続を、ワイヤーボンディングにより行[う]」ことも勘案すれば、本件発明10の「樹脂組成物によって前記発光素子及び前記ボンディングワイヤが覆われるように、前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布すること」に相当する。
一方、「前記発光素子に塗布」する「樹脂組成物」について、本件発明10は「樹脂組成物を加熱することと、」「を含み、」、「加熱された前記樹脂組成物」を塗布するのに対して、引用方法発明は、加熱した塗工液6を紫外線発光素子2に塗布するものではない。
(c) 次に、引用方法発明の「塗工液6を徐々に加熱しながら溶媒を揮発させて」、「紫外線発光素子2の上面及び側面に、」「第1タイプの非晶質フッ素樹脂の樹脂膜3aが形成され[る]」ことは、「溶媒を揮発させ」れば粘度が増加することが技術常識であることを踏まえれば、本件発明10の「樹脂組成物の粘度を増加させることによって、前記発光素子を封止する封止部材を形成すること」に相当する。一方、「樹脂組成物の粘度を増加させる」際に、本件発明10では「前記樹脂組成物を冷却[する]」のに対して、引用方法発明では「加熱しながら溶媒を揮発させて」いる。
(d)以上の検討結果を踏まえると、本件発明10と引用方法発明は、構成Bの観点において次の(d1)の点で一致し、後記(d2)の点で相違する。
(d1)構成Bの観点での一致点
「前記製造方法は、」「樹脂組成物によって前記発光素子及び前記ボンディングワイヤが覆われるように、前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布することと、」「樹脂組成物の粘度を増加させることによって、前記発光素子を封止する前記封止部材を形成することと、を含[む]」点。
(d2)構成Bの観点での相違点
本件発明10は、「樹脂組成物を加熱することと、」「を含み、」、「加熱された前記樹脂組成物」を塗布し、「前記樹脂組成物を冷却して」前記樹脂組成物の粘度を増加させるのに対して、引用方法発明は、加熱した塗工液6を紫外線発光素子2に塗布するものではなく、樹脂組成物の粘度を増加させる際に加熱しながら溶媒を揮発させている点。
d 構成C、C’について
(a)構成C、C’は、「前記樹脂組成物は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有し、前記重合体(P2)は、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有[する]」ことを特定するものである。
「【化1】
[図:0001435161000039.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]」
(b) 引用方法発明の「上記単位Aの単量体の単独重合体」は、本件発明10の「重合体(P2)」に相当する。
そして、引用方法発明では、「単位Aの単量体としては、」「化2に示す化合物(2)が好ましく」、「化合物(2)の好ましい具体例としては、」「化9に示す化合物(2-2)が挙げられ」るところ、引用方法発明の「化9に示す化合物(2-2)」を「単位Aの単量体」とした「上記単位Aの単量体の単独重合体」は、本件発明10でいう「式(1)で表される構成単位(A)を含む」ものである。
したがって、本件発明10と引用方法発明は、「前記樹脂組成物は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有[する]」点で一致する。
「【化1】
[図:0001435161000040.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]」
(c) 次に、本件発明10の「前記重合体(P2)は、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有[する]」との特定事項は、最終的に得られた生産物自体、すなわち、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合された重合体(P2)を有する発光素子封止用樹脂組成物自体を意味するものと解するところ、引用方法発明の「単独重合体」である「第1タイプの非晶質フッ素樹脂」は、「第1及び第2金属電極配線11,12、パッド電極16,17、及び、バンプ材料5等の金属」(以下「特定金属」という。)に対して「結合性を呈する反応性の末端官能基を有して[いない]」ものであり、「フッ素ガスを重合処理後の非晶質フッ素樹脂と接触させることで、反応性の末端官能基や不安定な末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換することで得られ[た]」ものであるものの、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有するものであるか不明である。
(d) 以上の検討結果を踏まえると、本件発明10と引用方法発明は、構成C、C’の観点において次の(d1)の点で一致し、後記(d2)の点で相違する。
(d1)構成C、C’の観点での一致点
「前記樹脂組成物は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有[する]」点。
「【化1】
[図:0001435161000041.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]」
(d2)構成C、C’の観点での相違点
「前記重合体(P2)」について、本件発明10は、「全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有[する]」のに対して、引用方法発明は、「フッ素ガスを重合処理後の非晶質フッ素樹脂と接触させることで、反応性の末端官能基や不安定な末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換することで得られ」たものであるものの、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有するものであるか不明である点。
e 構成D、D1について
(a) 要件(I)が成立する場合の構成D、D1は、「下記の要件(I)」「が成立する」ことを特定するものである。
「(I)前記樹脂組成物の粘度が250℃の条件下で1000~10000mPa・sである。」
(b) 引用方法発明の「塗工液6」は、その粘度が不明である。したがって、「樹脂組成物の粘度」について、要件(I)が成立する場合の本件発明10は、「250℃の条件下で1000~10000mPa・sである」のに対し、引用方法発明は、粘度が不明である。
(c) 以上の検討結果を踏まえると、要件(I)が成立する場合の本件発明10と引用方法発明は、構成D、D1の観点において次の(c1)の点において相違する。
(c1)構成D、D1の観点での相違点
「樹脂組成物の粘度」について、要件(I)が成立する場合の本件発明10は、「250℃の条件下で1000~10000mPa・sである」のに対し、引用方法発明は、不明である点。
(イ)一致点及び相違点の認定
前記(ア)の対比分析を踏まえると、要件(I)が成立する場合の本件発明10と引用方法発明の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点1>
「発光素子と、
リード電極と、
前記発光素子を封止する封止部材と、
を備えた光源装置の製造方法であって、
前記光源装置は、前記発光素子及び前記リード電極を電気的に接続するためのボンディングワイヤをさらに備え、
前記製造方法は、
樹脂組成物によって前記発光素子及び前記ボンディングワイヤが覆われるように、樹脂組成物を前記発光素子に塗布することと、
樹脂組成物の粘度を増加させることによって、前記発光素子を封止する前記封止部材を形成することと、
を含み、
樹脂組成物は、
下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有する、
光源装置の製造方法
【化1】
[図:0001435161000042.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]」である点。
<相違点1>
本件発明10は、「樹脂組成物を加熱することと、」「を含み、」、「加熱された前記樹脂組成物」を塗布し、「前記樹脂組成物を冷却して」前記樹脂組成物の粘度を増加させるのに対して、引用方法発明は、加熱された塗工液6を紫外線発光素子2に塗布するものではなく、樹脂組成物の粘度を増加させる際に加熱しながら溶媒を揮発させている点。
<相違点2>
「重合体(P2)」について、本件発明10は、「全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有[する]」のに対し、引用方法発明は、特定金属に対して「結合性を呈する反応性の末端官能基を有して[いない]」ものであり、「フッ素ガスを重合処理後の非晶質フッ素樹脂と接触させることで、反応性の末端官能基や不安定な末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換することで得られ[た]」ものであるものの、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有するものであるか不明である点。
<相違点3>
「樹脂組成物の粘度」について、要件(I)が成立する場合の本件発明10は、「250℃の条件下で1000~10000mPa・sである」のに対し、引用方法発明は、不明である点。
イ 相違点1についての判断
引用方法発明においては、「塗工液6を徐々に加熱しながら溶媒を揮発させて」「第1タイプの非晶質フッ素樹脂の樹脂膜3a」を「形成」しているが、前記(2)オ(イ)で樹脂供給・硬化周知技術として認定したとおり、「発光素子を封止する際に、加熱により溶融させた樹脂材料を供給した後、冷却により樹脂材料を固化または硬化させて成形すること」は周知技術であるから、引用方法発明において、樹脂膜3aを形成するに際して、塗工液6を徐々に加熱しながら溶媒を揮発させることに代えて、樹脂供給・硬化周知技術を採用して、加熱した塗工液を供給した後、冷却により第1タイプの非晶質フッ素樹脂を固化または硬化させて樹脂膜3aを形成することは、当業者が適宜なし得た設計的事項である。
ウ 相違点2についての判断
引用方法発明の「第1タイプの非晶質フッ素樹脂」は、「化9に示す化合物(2-2)」(技術常識を踏まえれば、当該「化合物(2-2)」はパーフルオロ-2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン(PFMMD)である。)を「単位Aの単量体」とした「上記単位Aの単量体の単独重合体」であるところ、引用方法発明から出発した当業者は、PFMMDの重合に関するPFMMD重合開始剤周知技術(前記(2)キ(ウ)参照。)や、PFMMDを包含するパーフルオロポリマーに関する引用文献8技術事項(前記(2)ク(イ)参照。)に接することができる。
そして、引用方法発明では、「フッ素ガスを重合処理後の非晶質フッ素樹脂と接触させること」により、「反応性の末端官能基や不安定な末端官能基を非反応性の末端官能基」に「置換」しているところ、引用方法発明から出発した当業者は、引用文献8技術事項から、「開始剤の断片からなる末端基」を「安定な構造」とするのに際して、「フッ素ガスにより処理する」方法とともに、「重合開始剤」として全フッ素化した化合物を用いる方法があることを認識するとともに、PFMMD重合開始剤周知技術から、引用方法発明で「単量体」として用いられる「化合物(2-2)」(PFMMD)の重合開始剤として、全フッ素化された過酸化物が用いられることを認識する。
そうすると、引用方法発明において、引用文献8技術事項を考慮しつつ、PFMMD重合開始剤周知技術を適用することで、引用方法発明における「化9に示す化合物(2-2)」を「単位Aの単量体」として「上記単位Aの単量体の単独重合体」を重合した後、「フッ素ガスを重合処理後の非晶質フッ素樹脂と接触させること」により「反応性の末端官能基や不安定な末端官能基を非反応性の末端官能基」に「置換」する方法に代えて、「化9に示す化合物(2-2)」を「単位Aの単量体」とし、パーフルオロジベンゾイルペルオキサイド等の全フッ素化された過酸化物を重合開始剤として「上記単位Aの単量体の単独重合体」を重合する方法を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、そのようにして得られた重合体は、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有するものであるから、当業者は、引用方法発明、引用文献8技術事項及びPFMMD重合開始剤周知技術に基づいて、相違点2に係る本件発明10の構成に至る。
エ 相違点3についての判断
発光素子を樹脂で封止する際に、発光素子全体を覆うように適切な形状に樹脂を形成する必要があることは、当業者にとって自明な課題であるところ、引用方法発明から出発した当業者は、「発光装置において発光素子を樹脂で封止する際に、樹脂の形状を保ちやすくするため」の粘度数値周知技術(前記(2)エ(ウ)参照)に接することができる。
そうすると、引用方法発明において、「樹脂膜3a」を形成する際に形状が保たれるようにするために粘度数値周知技術を適用し、「樹脂膜3a」を形成する温度での「塗工液6」の粘度を2000mPa・s~10000mPa・sに設定することは、当業者が容易に想到し得たことである。
次に、相違点3に係る要件(I)が成立する場合の本件発明10において、粘度が「250℃の条件下」である点について検討する。まず、粘度が「250℃の条件下」であることの技術上の意義は、本件特許の登録時の明細書には明記されておらず明らかではない。そして、前記相違点1における説示のように、引用方法発明において、塗工液6を徐々に加熱しながら溶媒を揮発させることに代えて、樹脂供給・硬化周知技術を採用して、加熱した塗工液を供給した後、冷却により第1タイプの非晶質フッ素樹脂を固化または硬化させて樹脂膜3aを形成する際に、粘度を設定する温度を、樹脂の形状を保つという観点から最も粘度が低くなる樹脂材料を加熱により溶融させる温度に応じて決定することは当業者が容易になし得たことであり、その具体的な温度を250℃とすることは、当業者が適宜なし得た設計的事項である。
以上のとおり、当業者は、引用方法発明、粘度数値周知技術及び樹脂供給・硬化周知技術に基づいて、相違点3に係る要件(I)が成立する場合の本件発明10の構成に至る。
オ 総合検討
前記イ~エで検討したとおり、要件(I)が成立する場合の本件発明10は、引用方法発明、引用文献8技術事項、粘度数値周知技術、樹脂供給・硬化周知技術及びPFMMD重合開始剤周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、前記相違点1~3を総合的に検討しても、要件(I)が成立する場合の本件発明10の奏する効果は、要件(I)が成立する場合の本件発明10の構成が奏するものとして、引用方法発明、引用文献8技術事項、粘度数値周知技術、樹脂供給・硬化周知技術及びPFMMD重合開始剤周知技術に基づいて当業者が予測することができない顕著な効果であるとはいえない。
カ 特許権者の主張について
(ア) 特許権者の主張1
a 特許権者の主張について
特許権者は、意見書において、以下のような主張をしている(以下「特許権者の主張1」という)。
引用文献1では、ワイヤボンディング実装とは全く異なるフリップチップ実装の例について、封止部材(樹脂膜3a及び3b)の形成方法を開示しているに過ぎず、樹脂膜3aの形成方法(工程2)や樹脂膜3bの形成方法(工程3)では、少なくとも、発光素子に塗布する前に予め樹脂組成物を加熱して(上記の加熱工程)、加熱された樹脂組成物を発光素子(及びボンディングワイヤ)に塗布する操作(上記の塗布工程)が実施されない。特に、引用文献1のフリップチップ実装の例では、はんだなどのバンプ材料5が用いられるため、バンプ材料5が溶解する可能性や、作業の安全性などを考慮すると、当業者は、通常であれば、加熱された樹脂組成物を発光素子に塗布する操作(上記の塗布工程)を避けるはずである。
b 特許権者の主張の検討
特許権者の主張1は、引用方法発明がフリップチップ実装であることを前提とする。しかしながら、前記(2)ウ(イ)bで認定したとおり、引用方法発明は、「パッド電極16,17と第1及び第2金属電極配線11,12等との接続を、ワイヤーボンディングにより行[う]」ものであるから、特許権者の主張1はその前提において誤っており、採用することはできない。
(イ) 特許権者の主張2
a 特許権者の主張について
特許権者は、意見書において、以下のような主張をしている(以下「特許権者の主張2」という)。
本件発明10の製造方法は、ワイヤボンディング実装である光源装置の作製に特に適している。本件発明10で特定された塗布工程では、樹脂組成物の粘度が低下しているため、塗布時において、ボンディングワイヤの位置ずれや脱落が抑制され、ワイヤ同士が接触して短絡することも抑制される。また、ワイヤボンディング実装であっても、封止部材によって隙間なく発光素子を封止しやすく、ワイヤボンディング実装では、通常、はんだなどのバンプ材料を利用しないため、加熱された樹脂組成物によってバンプ材料が溶解するなどのリスクもない。
b 特許権者の主張の検討
特許権者が主張する効果は、本件特許の明細書に記載されておらず、本件特許の明細書の記載から推論できるものでもないから、参酌することはできない。
また、前記(2)ウ(イ)で認定したとおり、引用方法発明は、「パッド電極16,17と第1及び第2金属電極配線11,12等との接続を、ワイヤーボンディングにより行[う]」ものである。そして、塗布される樹脂組成物について適切な粘度を選択すれば、ボンディングワイヤの位置ずれや脱落、ワイヤ同士の接触による短絡を防止できることは技術常識であるから、特許権者が主張する効果は、引用方法発明、引用文献8技術事項、PFMMD重合開始剤周知技術、粘度数値周知技術及び樹脂供給・硬化周知技術から当業者が予測可能なものにすぎない。
したがって、特許権者の主張2は、採用することはできない。
(ウ) 特許権者の主張についてのまとめ
以上のとおり、特許権者の主張はいずれも採用することができない。
(ii) 要件(II)が成立する場合
ア 対比
(ア) 対比分析
要件(II)が成立する場合の本件発明10と引用方法発明を対比する。
a 構成X、X’、構成A~Cについて
構成X、X’、構成A~Cについては、前記(i)ア(ア)a~dで説示したのと同様である。
b 構成D、D2について
(a) 要件(II)が成立する場合の構成D、D2は、「下記の」「要件(II)」「が成立する、」ことを特定するものである。
「(II)前記重合体(P2)における前記構成単位(A)の含有率が80モル%以上である。」
(b) 引用方法発明の「化9に示す化合物(2-2)」を「単位Aの単量体」とした「上記単位Aの単量体の単独重合体」は、要件(II)が成立する場合の本件発明10でいう「前記重合体(P2)における前記構成単位(A)の含有率」が100モル%である場合に相当するから、引用方法発明の「上記単位Aの単量体の単独重合体」は、要件(II)が成立する場合の本件発明10の要件(II)を満たす。
(c) そうすると、要件(II)が成立する場合の本件発明10と引用方法発明は、構成D、D2の点で一致する。
(イ) 一致点及び相違点の認定
前記(ア)の対比分析を踏まえると、要件(II)が成立する場合の本件発明10と引用方法発明の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点2>
「発光素子と、
リード電極と、
前記発光素子を封止する封止部材と、
を備えた光源装置の製造方法であって、
前記光源装置は、前記発光素子及び前記リード電極を電気的に接続するためのボンディングワイヤをさらに備え、
前記製造方法は、
樹脂組成物によって前記発光素子及び前記ボンディングワイヤが覆われるように、樹脂組成物を前記発光素子に塗布することと、
樹脂組成物の粘度を増加させることによって、前記発光素子を封止する前記封止部材を形成することと、
を含み、
前記樹脂組成物は、
下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有し、
下記の要件(II)が成立する、
光源装置の製造方法
(II)前記重合体(P2)における前記構成単位(A)の含有率が80モル%以上である。
【化1】
[図:0001435161000043.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]」である点。
<相違点4>
本件発明10は、「樹脂組成物を加熱することと、」「を含み、」、「加熱された前記樹脂組成物」を塗布し、「前記樹脂組成物を冷却して」前記樹脂組成物の粘度を増加させるのに対して、引用方法発明は、加熱された塗工液6を紫外線発光素子2に塗布するものではなく、樹脂組成物の粘度を増加させる際に加熱しながら溶媒を揮発させている点。
<相違点5>
「重合体(P2)」について、本件発明10は、「全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有[する]」のに対し、引用方法発明は、特定金属に対して「結合性を呈する反応性の末端官能基を有して[いない]」ものであり、「フッ素ガスを重合処理後の非晶質フッ素樹脂と接触させることで、反応性の末端官能基や不安定な末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換することで得られ」たものであるものの、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有するものであるか不明である点。
イ 相違点4、5についての判断
相違点4、5は相違点1、2と同じものであるところ、相違点4、5に対する判断も、前記(i)イ及びウで説示した相違点1、2に対する判断と同様である。
ウ 総合検討
前記イで検討したとおり、要件(II)が成立する場合の本件発明10は、引用方法発明、引用文献8技術事項、樹脂供給・硬化周知技術及びPFMMD重合開始剤周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、前記相違点4、5を総合的に検討しても、要件(II)が成立する場合の本件発明10の奏する効果は、要件(II)が成立する場合の本件発明10の構成が奏するものとして、引用方法発明、引用文献8技術事項、樹脂供給・硬化周知技術及びPFMMD重合開始剤周知技術に基づいて当業者が予測することができない顕著な効果であるとはいえない。
エ 特許権者の主張について
特許権者の主張については、前記(i)カで検討したのと同様であり、いずれも採用することはできない。
(4) 本件発明11について
(i) 要件(I)が成立する場合
ア 対比
(ア) 対比分析
要件(I)が成立する場合の本件発明11と引用装置発明1を対比する。
a 構成Yについて
(a) 構成Yは、本件発明11が「光源装置」の発明であることを特定するものである。
(b) 引用装置発明1の「紫外線発光装置」は、本件発明11の「光源装置」に相当する。
(c) したがって、本件発明11と引用発明は、構成Yの点で一致する。
b 構成Eについて
(a) 構成Eは、本件発明11の「光源装置」が、「発光素子と、前記発光素子と接触して前記発光素子を封止する封止部材と、前記封止部材の側面に接しており、前記封止部材の形状を保持するリフレクタと、前記封止部材の上に配置され、前記封止部材と接している薄膜と、を備え[る]」ことを特定するものである。
(b) 引用装置発明1の「紫外線発光素子2」は、本件発明11の「発光素子」に相当する。
(c) 引用装置発明1の「封止樹脂3」は、本件発明11の「封止部材」に相当する。そして、引用装置発明1の「封止樹脂3」は、「紫外線発光素子2を封止する」ものであるから、本件発明11でいう「前記発光素子を封止する」ものであるといえる。また、引用装置発明1の「封止樹脂3」は、「樹脂膜3aと樹脂膜3bで構成され」るものであり、「封止樹脂3」の一部である「樹脂膜3a」が「紫外線発光素子2の上面及び側面」も含めた位置に「形成され」ることを踏まえれば、引用装置発明1の「封止樹脂3」、本件発明11でいう「前記発光素子と接触して」いるものであるといえる。
(d) 引用装置発明1の「サブマウント1の側壁部13の内壁」に「設け」られた「紫外線を反射する金属面」は、本件発明11の「リフレクタ」に相当する。そして、引用装置発明1における「紫外線を反射する金属面」は、それが「設け」られた「側壁部13に囲まれた空間内に、紫外線発光素子2を封止する封止樹脂3を収容可能に構成され」るものであるから、本件発明11でいう「前記封止部材の側面に接して[いる]」といえる。
また、引用装置発明1の「封止樹脂3」は、「レンズ4によって覆われることで、」「紫外線を反射する金属面」が「設けられ」た「側壁部13に囲まれた空間に固定される」ものであり、このことより、「紫外線を反射する金属面」が「封止樹脂膜3」の形状を保持しているということができる。そうすると、引用装置発明1の「紫外線を反射する金属面」は、本件発明11でいう「前記封止部材の形状を保持する」ものであるといえる。
(e) 「光源装置」について、本件発明11は、「前記封止部材の上に配置され、前記封止部材と接している薄膜と、を備え[る]」のに対して、引用装置発明1は、そのような薄膜を備えない。
(f) 以上の検討結果を踏まえると、本件発明11と引用装置発明1は、構成Eの観点について次の(f1)の点で一致し、後記(f2)の点で相違する。
(f1)構成Eの観点での一致点
「光源装置」が「発光素子と、前記発光素子と接触して前記発光素子を封止する封止部材と、前記封止部材の側面に接しており、前記封止部材の形状を保持するリフレクタと、」「を備え[る]」点。
(f2)構成Eの観点での相違点
「光源装置」が、本件発明11は、「前記封止部材の上に配置され、前記封止部材と接している薄膜と、を備え[る]」のに対して、引用装置発明1は、そのような薄膜を備えない点。
c 構成Fについて
(a) 構成Fは、本件発明11の「薄膜」について、「前記薄膜は、厚さが前記封止部材よりも小さく、前記薄膜の側面が前記リフレクタに接して[いる]」ことを特定するものである。
(b) 前記b(e)で説示したように、引用装置発明1は、本件発明11でいう「薄膜」を備えない。
(c) 以上の検討結果を踏まえると、本件発明11と引用装置発明1は、構成Fの観点について、次の(c1)の点で相違する。
(c1) 構成Fの観点での相違点
本件発明11は、「前記薄膜は、厚さが前記封止部材よりも小さく、前記薄膜の側面が前記リフレクタに接して[いる]」のに対して、引用装置発明1は、そのような薄膜を備えない点。
d 構成Gについて
(a) 構成Gは、本件発明11の「封止部材」について、「前記封止部材は、前記薄膜及び前記リフレクタに取り囲まれて[いる]」ことを特定するものである。
(b) 引用装置発明1の「封止樹脂3」は、「紫外線を反射する金属面」が「設け」られた、「側壁部13に囲まれた空間内に固定され[る]」ものであるから、本件発明11でいう「前記リフレクタに取り囲まれて[いる]」ものであるといえる。一方、引用装置発明1は「薄膜」を備えていない。
(c) 以上の検討結果を踏まえると、本件発明11と引用装置発明1は、構成Gの観点について次の(c1)の点で一致し、後記(c2)の点で相違する。
(c1)構成Gの観点での一致点
「封止部材は、」「前記リフレクタに取り囲まれて[いる]」点。
(c2)構成Gの観点での相違点
「封止部材」について、本件発明11は、「前記薄膜」「に取り囲まれて[いる]」のに対して、引用装置発明1は、薄膜を備えていない点。
e 構成H、H’について
(a) 構成H、H’は、本件発明11の「封止部材」について、「前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)(ただし、発光素子のパッド電極を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換した重合体を除く)を有[する]」ことを特定するものである。
「
[図:0001435161000044.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]」
(b) 引用装置発明1の「上記単位Aの単量体の単独重合体」は、本件発明11の「重合体(P2)」に相当する。そして、引用装置発明1は、「単位Aの単量体としては、」「化2に示す化合物(2)が好ましく」、「化合物(2)の好ましい具体例としては、」「化9に示す化合物(2-2)が挙げられ」るところ、引用装置発明の「化9に示す化合物(2-2)」を「単位Aの単量体」とした「上記単位Aの単量体の単独重合体」は、本件発明11でいう「式(1)で表される構成単位(A)を含む」ものである。
(c) また、引用装置発明1の「封止樹脂3」を構成する「樹脂膜3a」及び「樹脂膜3b」は、どちらも「第1タイプの非晶質フッ素樹脂」からなるものであり、「第1タイプの非晶質フッ素樹脂」は、前記(a)で検討した「上記単位Aの単量体の単独重合体」であるから、引用装置発明1における「封止樹脂3」は、本件発明11でいう「重合体(P2)を有[する]」ものであるといえる。
(d) したがって、本件発明11と引用装置発明1は、「前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)」「を有[する]」点で一致する。
「【化2】
[図:0001435161000045.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]」
(e) その一方で、引用装置発明1の「封止樹脂3」を構成する「上記単位Aの単量体の単独重合体」である「第1タイプの非晶質フッ素樹脂」は、「フッ素ガスを重合処理後の非晶質フッ素樹脂と接触させることで、反応性の末端官能基や不安定な末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換することで得られ[る]」ものである。
(f) 以上の検討結果を踏まえると、本件発明11と引用装置発明1は、構成H、H’の観点について次の(f1)の点で一致し、後記(f2)の点で相違する。
(f1)構成H、H’の観点での一致点
「前記封止部材は、」「下記式(1)」「で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有[する]」点。
「【化2】
[図:0001435161000046.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]」
(f2)構成H、H’の観点での相違点
「重合体(P2)」について、本件発明11は、「発光素子のパッド電極を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換した重合体を除く」ものであるのに対し、引用装置発明1は、「フッ素ガスを重合処理後の非晶質フッ素樹脂と接触させることで、反応性の末端官能基や不安定な末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換することで得られ[る]」ものである点。
f 構成Iについて
(a) 構成Iは、本件発明11において、「前記重合体(P2)のガラス転移温度が80℃~160℃であ[る]」ことを特定するものである。
(b) 引用装置発明1の「上記単位Aの単量体の単独重合体」のガラス転移温度は不明である。
(c) そうすると、本件発明11と引用装置発明1は、構成Iの観点について次の(c1)の点で相違する。
(c1)構成Iの観点での相違点
「前記重合体(P2)」の「ガラス転移温度」について、本件発明11は、「80℃~160℃であ[る]」のに対して、引用装置発明1は、不明である点。
g 構成J、J1について
(a) 要件(I)が成立する場合の構成J、J1は「下記の要件(I)」「が成立する」ことを特定するものである。
「(I)前記封止部材は、前記重合体(P2)を有する樹脂組成物から形成され、前記樹脂組成物の粘度が250℃の条件下で1000~10000mPa・sである。」
(b) 引用装置発明1の「第1タイプの非晶質フッ素樹脂を、含フッ素溶媒、好ましくは、非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した塗工液6」は、要件(I)が成立する場合の本件発明11の「重合体(P2)を有する樹脂組成物」に相当する。
(c) 引用装置発明1の「封止樹脂3」を構成する「樹脂膜3a」及び「樹脂膜3b」は、いずれも「塗工液6を用いて」「形成」されるものであるから、要件(I)が成立する場合の本件発明11でいう「樹脂組成物から形成され[る]」ものであるといえる。
(d) したがって、要件(I)が成立する場合の本件発明11と引用装置発明1は、「前記封止部材は、前記重合体(P2)を有する樹脂組成物から形成され[る]」点で一致する。
(e) その一方で、引用装置発明1の「塗工液6」は、その粘度が不明である。したがって、「前記樹脂組成物の粘度」について、要件(I)が成立する場合の本件発明11は、「前記樹脂組成物の粘度が250℃の条件下で1000~10000mPa・sである」のに対して、引用装置発明1は、不明である。
(f) 以上の検討を踏まえると、要件(I)が成立する場合の本件発明11と引用装置発明1は、構成J、J1の観点について次の(f1)の点で一致し、後記(f2)の点で相違する。
(f1)構成J、J1の観点での一致点
「前記封止部材は、前記重合体(P2)を有する樹脂組成物から形成され[る]」点。
(f2)構成J,J1の観点での相違点
「前記樹脂組成物の粘度」について、要件(I)が成立する場合の本件発明11は、「250℃の条件下で1000~10000mPa・sである」のに対し、引用装置発明1は、不明である点。
(イ)一致点及び相違点の認定
前記(ア)の対比分析を踏まえると、要件(I)が成立する場合の本件発明11と引用装置発明1の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点3>
「発光素子と、
前記発光素子と接触して前記発光素子を封止する封止部材と、
前記封止部材の側面に接しており、前記封止部材の形状を保持するリフレクタと、
を備え、
前記封止部材は、前記リフレクタに取り囲まれており、
前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有し、
前記封止部材は、前記重合体(P2)を有する樹脂組成物から形成される、
光源装置
【化2】
[図:0001435161000047.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]」である点。
<相違点6>
「光源装置」について、本件発明11は、「前記封止部材の上に配置され、前記封止部材と接している薄膜と、を備え」、「前記薄膜は、厚さが前記封止部材よりも小さく、前記薄膜の側面が前記リフレクタに接しており、前記封止部材は、前記薄膜」「に取り囲まれて[いる]」のに対して、引用装置発明1は、そのような薄膜を備えない点。
<相違点7>
「重合体(P2)」について、本件発明11は、「発光素子のパッド電極を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換した重合体を除く」ものであるのに対し、引用装置発明1は、「フッ素ガスを重合処理後の非晶質フッ素樹脂と接触させることで、反応性の末端官能基や不安定な末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換することで得られ[る]」ものである点。
<相違点8>
「前記重合体(P2)」の「ガラス転移温度」について、本件発明11は、「80℃~160℃であ[る]」のに対して、引用装置発明1は、不明である点。
<相違点9>
「前記樹脂組成物の粘度」について、要件(I)が成立する場合の本件発明11は、「250℃の条件下で1000~10000mPa・sである」のに対し、引用装置発明1は、不明である点。
イ 相違点6についての判断
引用装置発明1は、封止樹脂3がレンズ4によって覆われる構成であり、当業者であれば、封止樹脂3とレンズ4の密着性を高める動機があるといえる。そうすると、当該動機に基づいて、前記(2)ケ(ウ)で説示した封止構造周知技術を適用し、封止樹脂3とレンズ4の間に、封止樹脂3より厚さの小さい弾性体からなる上部層を設け、当該弾性層をリフレクタに接するようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。そして、そのような構成においては、弾性体からなる上部層は封止樹脂3に対して「上に配置され」るといえるし、弾性体からなる上部層がリフレクタに接していることも勘案すると、封止樹脂3は弾性体からなる上部層に取り囲まれているといえ、そのようにすることにより、当業者は、相違点6に係る本件発明11の構成に至る。
ウ 相違点7についての判断
前記(3)(i)ウで説示した相違点2に対する判断と同様に、引用装置発明1において、引用文献8技術事項を考慮しつつ、PFMMD重合開始剤周知技術を適用することにより、「化9に示す化合物(2-2)」を「単位Aの単量体」とし、パーフルオロジベンゾイルペルオキサイド等の全フッ素化された過酸化物を重合開始剤として「上記単位Aの単量体の単独重合体」を重合する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、このようにして当業者が容易に想到した構成における単位Aの単量体の単独重合体は、発光素子のパッド電極を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換した重合体ではないから、当業者は、引用装置発明1、引用文献8技術事項及びPFMMD重合開始剤周知技術に基づいて、相違点7に係る本件発明11の構成に至る。
エ 相違点8についての判断
引用装置発明1における「化9に示す化合物(2-2)」を「単位Aの単量体」とした「単独重合体」である「第1タイプの非晶質フッ素樹脂」は、本件特許登録時の明細書の【0017】に好ましいことが記載された式(2)で表される構成単位からなるものであり、引用装置発明1における「第1タイプの非晶質フッ素樹脂の平均分子量」は、同明細書の【0037】に記載された「重合体(P2)の重量平均分子量」と同程度であるところ、引用文献5技術事項(前記(2)カ(イ)参照。)に、引用方法発明の「化9に示す化合物(2-2)」を「単位Aの単量体」とした「単位Aの単量体の単独重合体」と同じものである「PFMMDホモポリマー」のガラス転移温度が約135℃であることが示されていることも考慮すれば、引用方法発明の「化9に示す化合物(2-2)」を「単位Aの単量体」とした「単位Aの単量体の単独重合体」のガラス転移温度は、本件発明11で特定されている「80℃~160℃」に含まれるものと認められる。
したがって、相違点8は実質的な相違点ではない。
オ 相違点9についての判断
前記(3)(i)イ及びエで説示した相違点1及び3に対する判断と同様に、引用装置発明1において、樹脂供給・硬化周知技術及び「封止樹脂3」を形成する際に形状が保たれるようにするために粘度数値周知技術を適用し、「封止樹脂3」を形成する温度での「塗工液6」の粘度を2000mPa・s~10000mPa・sに設定することは、当業者が容易に想到し得たことであり、当該温度を250℃とすることは、当業者が適宜なし得た設計的事項である。
カ 総合検討
前記イ~オで検討したとおり、要件(I)が成立する場合の本件発明11は、引用装置発明1、引用文献8技術事項、粘度数値周知技術、樹脂供給・硬化周知技術、PFMMD重合開始剤周知技術及び封止構造周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、前記相違点6~9を総合的に検討しても、要件(I)が成立する場合の本件発明11の奏する効果は、要件(I)が成立する場合の本件発明11の構成が奏するものとして、引用装置発明、引用文献8技術事項、PFMMD重合開始剤周知技術、粘度数値周知技術、樹脂供給・硬化周知技術及び封止構造周知技術に基づいて当業者が予測することができない顕著な効果であるとはいえない。
キ 特許権者の主張について
(ア) 特許権者の主張3
a 特許権者の主張について
特許権者は、意見書において、以下のような主張をしている(以下「特許権者の主張3」という)。
引用文献1は、本件発明11で特定されたリフレクタや薄膜について開示していない。引用文献1では、封止樹脂3の側面全体が基材10の側壁に接している構成が示されており、封止樹脂3の側面に接するリフレクタについて、引用文献1は記載も示唆もしていない。
また、引用文献1では、基材10の側壁についても樹脂膜3aで被覆することが開示されており、引用文献1の基材10の側壁をリフレクタに置き換え、薄膜の構成をさらに追加することを検討できたとしても、リフレクタが樹脂膜3aで被覆されることとなるため、薄膜の側面をリフレクタに接触させることはできない。
b 特許権者の主張の検討
前記(2)ウ(イ)bで認定したとおり、引用装置発明1は「サブマウント1の側壁部13の内壁を傾斜面とし、紫外線を反射する金属面を設け、紫外線を反射する金属面に第1タイプの非晶質フッ素樹脂の樹脂膜3aが形成され[る]」ものであるから、特許権者の、引用文献1が封止樹脂3の側面に接するリフレクタを開示していない旨の主張は、引用文献1の記載に基づくものではなく、採用することはできない。
また、引用装置発明1において「第1タイプの非晶質フッ素樹脂の樹脂膜3aが形成され[る]」構成を設けた技術的意義は、紫外線発光素子のパッド電極と接触する特定部分を被覆する樹脂膜3aに、第1タイプの非晶質フッ素樹脂を用いることにより、反応性の末端官能基に起因する発光出力不良の発生が効果的に抑制されることである(引用文献1の[請求項1]、[0010][0077]、[0094]参照)。このような樹脂膜3aの技術的意義を踏まえると、樹脂膜3aは紫外線発光素子のパッド電極と接触する特定部分を被覆すれば足りると解するのが相当であるから、前記イで説示したように、引用装置発明1に封止構造周知技術を適用して封止樹脂3より厚さの小さい弾性体からなる上部層をリフレクタに接するようにすることを阻害する事由とはならない。
したがって、特許権者の主張3は、採用できない。
(イ) 特許権者の主張4
a 特許権者の主張について
特許権者は意見書において、以下のような主張をしている(以下「特許権者の主張4」という)。
本件発明11では、重合体(P2)のガラス転移温度が80℃~160℃と比較的高い値であるため、重合体(P2)を含む封止部材は、比較的硬く、光源装置から剥離しやすい傾向があるところ、本件発明11の光源装置では、封止部材が薄膜及びリフレクタに取り囲まれており、薄膜は、封止部材の上で、その側面がリフレクタに接するように配置されているため、光源装置から封止部材が剥離することを十分に抑制できる傾向がある。
b 特許権者の主張の検討
薄膜による封止部材の剥離防止の効果は、本件特許の明細書に記載されている効果ではなく、また、本件特許の明細書の記載から当業者が推論できるものでもないから、特許権者の主張する当該効果を参酌することはできない。
また、前記(2)ケ(ウ)で認定した封止構造周知技術は、「シリコーン等の弾性体からなる上部層を設けることにより、封止部材と外部光学部材とを密着性よく接合するとともに、パッケージ上面よりもやや下までを弾性体とし、弾性体がパッケージに接するようにすることにより、外力によって弾性体である上部層だけが剥離することのないようにする」ものであるところ、上部層が剥離しなければ下部層も剥離しないから、特許権者の主張する薄膜による封止部材の剥離防止の効果は、引用装置発明1及び封止構造周知技術から当業者が予測可能なものである。
したがって、特許権者の主張4は採用できない。
(ウ) 特許権者の主張についてのまとめ
以上のとおり、特許権者の主張はいずれも採用できない。
(ii) 要件(II)が成立する場合
ア 対比
(ア) 対比分析
要件(II)が成立する場合の本件発明11と引用装置発明2を対比する。
a 構成Y、E~G、Iについて
構成Y、E~G、Iについては、前記(i)ア(ア)a~d、fで説示した、本件発明11と引用装置発明1との対比と同様である。
b 構成H、H’について
(a) 構成H、H’は、本件発明11の「封止部材」について、「前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)(ただし、発光素子のパッド電極を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換した重合体を除く)を有[する]」ことを特定するものである。
「
[図:0001435161000048.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]」
(b) 引用装置発明2の「第2タイプの非晶質フッ素樹脂における重合体または共重合体」は、本件発明11の「重合体(P2)」に相当する。そして、引用装置発明2では、「第2タイプの非晶質フッ素樹脂における重合体または共重合体を構成する構造単位」は「第1タイプの非晶質フッ素樹脂の構造単位と同じものを使用でき[る]」ものであるるところ、「第1タイプの非晶質フッ素樹脂」は「単位Aの単量体の単独重合体であっても良く」、「単位Aの単量体としては、」「化2に示す化合物(2)が好ましく」、「化合物(2)の好ましい具体例としては、」「化9に示す化合物(2-2)が挙げられ[る]」ことを勘案すれば、引用装置発明2における、「第1タイプの非晶質フッ素樹脂の構造単位と同じ」、「化9に示す化合物(2-2)」に由来する「単位A」を「使用」し、「単位Aの単量体の単独重合体」とした「第2タイプの非晶質フッ素樹脂における重合体または共重合体」は、本件発明11でいう「式(1)で表される構成単位(A)を含む」ものであるといえる。また、引用装置発明2では、「第2タイプの非晶質フッ素樹脂の反応性の末端官能基としては、COOH基、NH2基、COOR基、Si(OR)n基、COF基、SiCl3基、N=C=O基、OH基、CF=CF2基、OR基、CF2H基等が挙げられる」から、引用装置発明2の「第2タイプの非晶質フッ素樹脂における重合体または共重合体」は、本件発明11でいう「発光素子のパッド電極を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換した重合体を除[く]」ものであるといえる。
(c) また、引用装置発明2の「封止樹脂3」は、「樹脂膜3aと樹脂膜3bで構成され[る]」ものであり、「封止樹脂3」の一部である「樹脂膜3b」が「第2タイプの非晶質フッ素樹脂」からなるものであるから、前記(b)での検討を踏まえれば、引用装置発明2の「封止樹脂3」は、本件発明11でいう「重合体(P2)」「を有[する]」ものであるといえる。
(d) したがって、本件発明11と引用装置発明2は、構成H、H’の点で一致する。
g 構成J、J2について
(a) 要件(II)が成立する場合の構成J、J2は、「下記の」「要件(II)」「が成立する」ことを特定するものである。
「(II)前記重合体(P2)における前記構成単位(A)の含有率が80モル%以上である。」
(b) 引用装置発明2における、「第1タイプの非晶質フッ素樹脂の構造単位と同じ」、「化9に示す化合物(2-2)」に由来する「単位A」を「使用」し、「単位Aの単量体の単独重合体」とした「第2タイプの非晶質フッ素樹脂における重合体または共重合体」は、要件(II)が成立する場合の本件発明11でいう「前記重合体(P2)における前記構成単位(A)の含有率」が100モル%である場合に相当するから、引用装置発明2の上記の「第2タイプの非晶質フッ素樹脂における重合体または共重合体」は、要件(II)が成立する場合の本件発明11の要件(II)を満たす。
(c) したがって、要件(II)が成立する場合の本件発明11と引用装置発明2は、構成J、J2の点で一致する。
(イ)一致点及び相違点の認定
前記(ア)の対比分析を踏まえると、要件(II)が成立する場合の本件発明11と引用装置発明2は次の点で一致し、次の点で相違する。
<一致点4>
「発光素子と、
前記発光素子と接触して前記発光素子を封止する封止部材と、
前記封止部材の側面に接しており、前記封止部材の形状を保持するリフレクタと、
を備え、
前記封止部材は、前記リフレクタに取り囲まれており、
前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)(ただし、発光素子のパッド電極を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換した重合体を除く)を有し、
下記の要件(II)が成立する、
光源装置
(II)前記重合体(P2)における前記構成単位(A)の含有率が80モル%以上である。
【化2】
[図:0001435161000049.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]」である点。
<相違点10>
「光源装置」について、本件発明11は、「前記封止部材の上に配置され、前記封止部材と接している薄膜と、を備え」、「前記薄膜は、厚さが前記封止部材よりも小さく、前記薄膜の側面が前記リフレクタに接しており、前記封止部材は、前記薄膜」「に取り囲まれて[いる]」のに対して、引用装置発明2は、そのような「薄膜」を備えていない点。
<相違点11>
「前記重合体(P2)」の「ガラス転移温度」について、本件発明11は、「80℃~160℃であ[る]」のに対して、引用装置発明2は、不明である点。
イ 相違点10、11についての判断
相違点10、11は相違点6、8と同じものであるところ、相違点10、11に対する判断も、前記(i)イ及びエで説示した相違点6、8に対する判断と同様である。
ウ 総合検討
前記イで検討したとおり、要件(II)が成立する場合の本件発明11は、引用装置発明2及び封止構造周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、前記相違点10、11を総合的に検討しても、要件(II)が成立する場合の本件発明11の奏する効果は、要件(II)が成立する場合の本件発明11の構成が奏するものとして、引用装置発明2及び封止構造周知技術に基づいて当業者が予測することができない顕著な効果であるとはいえない。
エ 特許権者の主張について
特許権者の主張は、前記(i)キで検討したのと同様であり、いずれも採用できない。
(5) 本件発明12について
ア 対比
(ア) 対比分析
本件発明12と引用装置発明2を対比する。
a 構成Y、E~G、Iについて
構成Y、E~G、Iについては、前記(4)(i)ア(ア)a~d、fで説示したことと同様である。
b 構成Kについて
(a) 構成K、K’は、本件発明12の「封止部材」について、以下の構成K1、構成K2により特定するものである。
(a1) 構成K1
「下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)(ただし、発光素子のパッド電極を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換した重合体を除く)を有[する]」こと。
「【化3】
[図:0001435161000050.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]」
(a2) 構成K2
「ただし、前記光源装置は、下記式(L)で表される構造単位を有する含フッ素ポリマー(A)、及び、有機ケイ素化合物(B)からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物から形成された硬化物を封止部材として備える光源装置を除く」こと。
「【化4】
[図:0001435161000051.jpg]
前記式(L)中、X1及びX2は、同一又は異なり、H又はFである。X3は、H、F、CH3又はCF3である。X4及びX5は、夫々同一又は異なり、H、F又はCF3である。Rfは、炭素数4~40の含フッ素炭化水素基、又は、炭素数5~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基である。aは0~3の整数である。b及びcは同一又は異なり、0又は1である。
前記式(L)中のRfは、下記式(Rf)で表される含フッ素炭化水素基である。
-(R-O)n-R’n’-CH2-x{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}xO
H1-y{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}y (Rf)
前記式(Rf)中、Rは、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。R’は、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。Xa及びXbは、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。R1、R2及びR3は、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。Yは、同一又は異なり、炭素数1~50の加水分解性金属アルコキシド部位である。nは、0~20の整数であり、n’は、0~10の整数である。mは、1~12の整数である。xは、0~2の整数であり、yは、0又は1である。ただし、xが0のとき、yは1である。」
(b) 構成K1については、実質的に構成H、H’と同じであり、その対比分析は前記(4)(ii)ア(ア)bで説示したことと同様である。
したがって、本件発明12と引用装置発明2は、構成K1の点で一致する。
(c) 次に、構成K2について対比する。
引用装置発明2の「紫外線発光装置」の「封止部材3」は、「樹脂膜3aと樹脂膜3bで構成され」るものであるところ、「樹脂膜3a」は、「化9に示す化合物(2-2)」を「単位Aの単量体」とした「上記単位Aの単量体の単独重合体」からなる「第1タイプの非晶質フッ素樹脂」以外のものを含んでおらず、「樹脂膜3b」は、「化9に示す化合物(2-2)」を「単位Aの単量体」とした「上記単位Aの単量体の単独重合体」からなる「第2タイプの非晶質フッ素樹脂」以外のものを含んでいないから、「第2タイプの非晶質フッ素樹脂を、含フッ素溶媒、好ましくは、非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した塗工液6」及び「第2タイプの非晶質フッ素樹脂を、含フッ素溶媒、好ましくは、非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した塗工液6」は、本件発明12でいう「式(L)で表される構造単位を有する含フッ素ポリマー(A)、及び、有機ケイ素化合物(B)からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物」には該当しない。したがって、引用装置発明2の「紫外線発光装置」は、本件発明12において除かれる「式(L)で表される構造単位を有する含フッ素ポリマー(A)、及び、有機ケイ素化合物(B)からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物から形成された硬化物を封止部材として備える光源装置」ではないといえる。
したがって、本件発明12と引用装置発明2は、構成K2の点で一致する。
(イ)一致点及び相違点の認定
前記(ア)の対比分析を踏まえると、本件発明12と引用装置発明2の一致点と相違点は次のとおりである。
<一致点5>
「発光素子と、
前記発光素子と接触して前記発光素子を封止する封止部材と、
前記封止部材の側面に接しており、前記封止部材の形状を保持するリフレクタと、
を備え、
前記封止部材は、前記リフレクタに取り囲まれており、
前記封止部材は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)(ただし、発光素子のパッド電極を構成する金属に対して結合性を呈する反応性の末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換した重合体を除く)を有する、
光源装置
【化3】
[図:0001435161000052.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]
ただし、前記光源装置は、下記式(L)で表される構造単位を有する含フッ素ポリマー(A)、及び、有機ケイ素化合物(B)からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物から形成された硬化物を封止部材として備える光源装置を除く。
【化4】
[図:0001435161000053.jpg]
前記式(L)中、X1及びX2は、同一又は異なり、H又はFである。X3は、H、F、CH3又はCF3である。X4及びX5は、夫々同一又は異なり、H、F又はCF3である。Rfは、炭素数4~40の含フッ素炭化水素基、又は、炭素数5~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基である。aは0~3の整数である。b及びcは同一又は異なり、0又は1である。
前記式(L)中のRfは、下記式(Rf)で表される含フッ素炭化水素基である。
-(R-O)n-R’n’-CH2-x{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}xO
H1-y{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}y (Rf)
前記式(Rf)中、Rは、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。R’は、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。Xa及びXbは、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。R1、R2及びR3は、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。Yは、同一又は異なり、炭素数1~50の加水分解性金属アルコキシド部位である。nは、0~20の整数であり、n’は、0~10の整数である。mは、1~12の整数である。xは、0~2の整数であり、yは、0又は1である。ただし、xが0のとき、yは1である。」である点。
<相違点12>
「光源装置」について、本件発明12は、「前記封止部材の上に配置され、前記封止部材と接している薄膜と、を備え」、「前記薄膜は、厚さが前記封止部材よりも小さく、前記薄膜の側面が前記リフレクタに接しており、前記封止部材は、前記薄膜」「に取り囲まれている」のに対して、引用装置発明2は、そのような「薄膜」を備えていない点。
<相違点13>
「前記重合体(P2)」の「ガラス転移温度」について、本件発明12は、「80℃~160℃であ[る]」のに対して、引用装置発明2は、不明である点。
イ 相違点12、13についての判断
相違点12、13は相違点6、8と同じものであるところ、相違点12、13に対する判断も、前記(4)(i)イ及びエで説示した相違点6、8に対する判断と同様である。
ウ 総合検討
前記イで検討したとおり、本件発明12は、引用装置発明2及び封止構造周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、前記相違点12、13を総合的に検討しても、本件発明12の奏する効果は、本件発明12の構成が奏するものとして、引用装置発明2及び封止構造周知技術に基づいて当業者が予測することができない顕著な効果であるとはいえない。
エ 特許権者の主張について
特許権者の主張については、前記(4)(i)キで検討したものと同様であり、採用できない。
(6) 本件発明13について
ア 対比
(ア) 対比分析
本件発明13と引用方法発明を対比する。
a 構成X、X’、A及びBについて
構成X、構成X’、構成A及び構成Bについては、前記(3)(i)ア(a)a~cで説示したことと同様である。
b 構成Lについて
(a) 構成Lは、本件発明13の「前記樹脂組成物」について、以下の構成L1、構成L2により特定するものである。
(a1) 構成L1
「前記樹脂組成物は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有し、前記重合体(P2)は、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有する」こと。
「【化5】
[図:0001435161000054.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]」
(a2) 構成L2
「ただし、前記樹脂組成物は、下記式(L)で表される構造単位を有する含フッ素ポリマー(A)、及び、有機ケイ素化合物(B)からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物を除く」こと
「【化6】
[図:0001435161000055.jpg]
前記式(L)中、X1及びX2は、同一又は異なり、H又はFである。X3は、H、F、CH3又はCF3である。X4及びX5は、夫々同一又は異なり、H、F又はCF3である。Rfは、炭素数4~40の含フッ素炭化水素基、又は、炭素数5~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基である。aは0~3の整数である。b及びcは同一又は異なり、0又は1である。
前記式(L)中のRfは、下記式(Rf)で表される含フッ素炭化水素基である。
-(R-O)n-R’n’-CH2-x{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}xO
H1-y{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}y (Rf)
前記式(Rf)中、Rは、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。R’は、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。Xa及びXbは、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。R1、R2及びR3は、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。Yは、同一又は異なり、炭素数1~50の加水分解性金属アルコキシド部位である。nは、0~20の整数であり、n’は、0~10の整数である。mは、1~12の整数である。xは、0~2の整数であり、yは、0又は1である。ただし、xが0のとき、yは1である。」
(b) 構成L1については、構成C、C’と実質的に同じであり、その対比分析は前記(3)(i)ア(ア)dで説示したことと同様である。
(c) 次に、構成L2について対比する。
引用方法発明の「塗工液6」は、「化9に示す化合物(2-2)」を「単位Aの単量体」とした「上記単位Aの単量体の単独重合体」からなる「第1タイプの非晶質フッ素樹脂」と「含フッ素溶媒」以外のものを含んでいないから、構成L2において除かれる「式(L)で表される構造単位を有する含フッ素ポリマー(A)、及び、有機ケイ素化合物(B)からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物」ではないといえる。
したがって、本件発明13と引用方法発明は、構成L2を具備する点で一致する。
(イ)一致点及び相違点の認定
前記(ア)の対比分析を踏まえると、本件発明13と引用方法発明の一致点と相違点は次のとおりである。
<一致点6>
「発光素子と、
リード電極と、
前記発光素子を封止する封止部材と、
を備えた光源装置の製造方法であって、
前記光源装置は、前記発光素子及び前記リード電極を電気的に接続するためのボンディングワイヤをさらに備え、
前記製造方法は、
樹脂組成物によって前記発光素子及び前記ボンディングワイヤが覆われるように、前記樹脂組成物を前記発光素子に塗布することと、
樹脂組成物の粘度を増加させることによって、前記発光素子を封止する前記封止部材を形成することと、
を含み、
樹脂組成物は、下記式(1)で表される構成単位(A)を含む重合体(P2)を有[する]、
光源装置の製造方法
【化5】
[図:0001435161000056.jpg]
[式(1)中、Rff1~Rff4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff1及びRff2は、連結して環を形成してもよい。]
ただし、前記樹脂組成物は、下記式(L)で表される構造単位を有する含フッ素ポリマー(A)、及び、有機ケイ素化合物(B)からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物を除く。
【化3】
[図:0001435161000057.jpg]
前記式(L)中、X1及びX2は、同一又は異なり、H又はFである。X3は、H、F、CH3又はCF3である。X4及びX5は、夫々同一又は異なり、H、F又はCF3である。Rfは、炭素数4~40の含フッ素炭化水素基、又は、炭素数5~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基である。aは0~3の整数である。b及びcは同一又は異なり、0又は1である。
前記式(L)中のRfは、下記式(Rf)で表される含フッ素炭化水素基である。
-(R-O)n-R’n’-CH2-x{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}xOH1-y{(CXaXb)mCR1HCR2R3Y}y (Rf)
前記式(Rf)中、Rは、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。R’は、同一又は異なり、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されている炭素数1~5の含フッ素アルキレン基である。Xa及びXbは、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。R1、R2及びR3は、夫々同一又は異なり、H、ハロゲン原子、又は、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基である。Yは、同一又は異なり、炭素数1~50の加水分解性金属アルコキシド部位である。nは、0~20の整数であり、n’は、0~10の整数である。mは、1~12の整数である。xは、0~2の整数であり、yは、0又は1である。ただし、xが0のとき、yは1である。」である点。
<相違点14>
本件発明13は「樹脂組成物を加熱することと、」「を含み、」、「加熱された前記樹脂組成物」を塗布し、「前記樹脂組成物を冷却して」前記樹脂組成物の粘度を増加させるのに対して、引用方法発明は、加熱された塗工液6を紫外線発光素子2に塗布するものではなく、樹脂組成物の粘度を増加させる際に加熱しながら溶媒を揮発させている点。
<相違点15>
「重合体(P2)」について、本件発明13は、「全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有[する]」のに対し、引用方法発明は、特定金属に対して「結合性を呈する反応性の末端官能基を有して[いない]」ものであり、「フッ素ガスを重合処理後の非晶質フッ素樹脂と接触させることで、反応性の末端官能基や不安定な末端官能基を非反応性の末端官能基であるCF3に置換することで得られ[た]」ものであるものの、全フッ素化された化合物を重合開始剤として用いて重合することにより導入された末端基を有するものであるか不明である点。
イ 相違点14、15についての判断
相違点14、15は相違点1、2と同じものであるところ、相違点14、15に対する判断も、前記(3)(i)イ及びウで説示した相違点1、2に対する判断と同様である。
ウ 総合検討
前記イで検討したとおり、本件発明13は、引用方法発明、引用文献8技術事項、樹脂供給・硬化周知技術及びPFMMD重合開始剤周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、前記相違点14、15を総合的に検討しても、本件発明13の奏する効果は、本件発明13の構成が奏するものとして、引用方法発明、引用文献8技術事項、樹脂供給・硬化周知技術及びPFMMD重合開始剤周知技術に基づいて当業者が予測することができない顕著な効果であるとはいえない。
エ 特許権者の主張について
特許権者の主張については、前記(3)(i)カで検討したのと同様であり、いずれも採用できない。
(7) 取消理由(進歩性欠如)のまとめ
以上の検討をまとめると、以下のとおりである。
本件発明10、13は、引用方法発明、引用文献8技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明10、13に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
本件発明11は、引用装置発明1、引用文献8技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用装置発明2、引用文献8技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもあるから、本件発明11に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
本件発明12は、引用装置発明2、引用文献8技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明12に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
第5 むすび
以上のとおり、本件発明10~13に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、本件発明10~13に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、請求項1~9に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、請求項1~9に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-700758