特許異議申立
2021-700214
搬送用什器
- 審判番号
- 2021-700214
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-137024
- 登録番号
- 6747119
- 請求日
- 2021年02月26日
- 審決日
- 2022年01月12日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】コクヨ株式会社
- 【権利者代理人】赤澤 一博
- 【権利者代理人】宮澤 岳志
- 【異議申立人】赤松 智信
- 審判長/審判官
- 審判長 島田 信一
- 審判官 出口 昌哉
- 審判官 藤井 昇
- 分類
- P1652.121-YAA(A61G) / P1652.537-YAA(A61G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6747119号発明「搬送用什器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6747119号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、4、5〕について訂正することを認める。
特許第6747119号の請求項1及び3~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6747119号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成28年7月11日に出願され、令和2年8月11日にその特許権の設定登録がされ、同年8月26日に特許掲載公報が発行された。
その後、その請求項1及び3~5に係る特許について、令和3年2月26日に特許異議申立人赤松智信(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年6月22日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年8月25日に訂正請求書及び意見書が提出され、同年9月7日付けで特許異議申立人に対して訂正請求があった旨を通知(特許法第120条の5第5項)して意見を求めたが、その指定期間内に意見書の提出はなかった。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和3年8月25日付けの訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、「特許第6747119号の明細書及び特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、4及び5について訂正することを求める。」というものであり、その訂正の内容は以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記リーダ支持体が支持する非接触ICカードリーダが前記天板の上面よりも下方にあり、」と記載されているのを、「前記リーダ支持体が支持する非接触ICカードリーダが前記天板の下面よりも下方にあり、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項4及び5も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
願書に添付した明細書の段落【0008】に「前記リーダ支持体が支持する非接触ICカードリーダが前記天板の上面よりも下方にあり、」と記載されているのを、「前記リーダ支持体が支持する非接触ICカードリーダが前記天板の下面よりも下方にあり、」に訂正する。
また、訂正事項1は、引用関係にある訂正前の請求項1、4及び5に対して請求されたものであり、請求項〔1、4及び5〕は一群の請求項である。そうすると、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとに請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否等
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1は、訂正前の請求項1に「前記リーダ支持体が支持する非接触ICカードリーダが前記天板の上面よりも下方にあり、」と記載されているのを、「前記リーダ支持体が支持する非接触ICカードリーダが前記天板の下面よりも下方にあり、」に訂正することで、「天板」との関係において「非接触ICカードリーダ」の位置をより具体的に限定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無
「非接触ICカードリーダ」と「天板」について、願書に添付した明細書の段落【0042】には、「非接触ICカードリーダ8は、天板4の側縁の近傍かつ天板4よりも少しく下方に偏倚した高さに位置し、」と記載され、同【0047】には、「非接触ICカードリーダ8は天板4の下方にあり、」と記載され、これらの記載に併せて図1,2、4及び5の記載を総合すると、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項2は、訂正事項1により訂正された特許請求の範囲の請求項1、4及び5の記載と明細書の記載の整合性を図るための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無
上記(1)のイのとおりであり、訂正事項2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
3 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び、同第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、4及び5〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記「第2」で述べたとおり、本件訂正は認められたので、本件特許の請求項1~5に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」~「本件発明5」ともいう。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「 【請求項1】
キャスタが取り付けられて移動が可能であり天板が設けられた什器本体と、
前記什器本体に支持されるとともに非接触ICカードリーダを保持しこれを外方に向けた姿勢で前記天板の外縁の近傍に位置づけるリーダ支持体とを具備し、
前記リーダ支持体が支持する非接触ICカードリーダが前記天板の下面よりも下方にあり、当該非接触ICカードリーダがその外面を直立または略直立させた姿勢をとる搬送用什器。
【請求項2】
キャスタが取り付けられて移動が可能であり天板が設けられた什器本体と、
前記什器本体に支持されるとともに非接触ICカードリーダを保持しこれを外方に向けた姿勢で前記天板の外縁の近傍に位置づけるリーダ支持体とを具備し、
前記リーダ支持体が、非接触ICカードリーダを保持するための保持部と、前記什器本体における天板と天板の外縁に沿って伸びるステーとの間隙に挿入されてステーに掛け止められる掛止部とを備えている搬送用什器。
【請求項3】
キャスタが取り付けられて移動が可能であり天板が設けられた什器本体と、
前記什器本体に支持されるとともに非接触ICカードリーダを保持しこれを外方に向けた姿勢で前記天板の外縁の近傍に位置づけるリーダ支持体とを具備し、
前記リーダ支持体が、非接触ICカードリーダを保持するための保持部と、非接触ICカードリーダの背面と保持部との間に介在して両者の間に所定寸法の距離を形成するスペーサとを備えている搬送用什器。
【請求項4】
前記什器本体に物品を引っ掛けておくことのできるフックが設けられており、そのフックに非接触ICカードリーダに接続するコードを掛けることが可能な請求項1、2または3記載の搬送用什器。
【請求項5】
病院または診療所で使用されるナースカートであって、
非接触ICカードリーダが病院または診療所において患者の身体に関するデータを取得する機器と交信し当該機器からデータを読み出すためのものである請求項1、2、3または4記載の搬送用什器。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1、4及び5に係る特許に対して、当審が令和3年6月22日付けの取消理由通知書で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
[取消理由]
本件特許は、特許請求の範囲の請求項1の「前記リーダ支持体が支持する非接触ICカードリーダが前記天板の上面よりも下方にあり」という記載が発明の詳細な説明に記載されたものであるとはいえないので、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、本件特許の請求項1、4及び5に係る特許は、取り消されるべきものである(この取消理由は、特許異議申立理由の1つである。)。
2 当審の判断
本件訂正により、本件訂正前の請求項1の「前記リーダ支持体が支持する非接触ICカードリーダが前記天板の上面よりも下方にあり、」という記載は、「前記リーダ支持体が支持する非接触ICカードリーダが前記天板の下面よりも下方にあり、」という記載に訂正されたから、特許請求の範囲の記載は、発明の詳細な説明の記載に整合するようになり、発明の詳細な説明に記載された「非接触ICカードリーダ8」が位置している範囲を拡張するものではないようになり、上記1の取消理由通知書に記載した取消理由は解消した。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由の概要
取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。
[特許異議申立理由]
本件特許の請求項1、3に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された周知の技術事項1に基いて、
本件特許の請求項4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された周知の技術事項1、甲第2、10号証に記載された技術事項に基いて、
本件特許の請求項5に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された周知の技術事項1、甲第11、12号証に記載された技術事項に基いて、
いずれも、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。
また、本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の甲第5号証に記載された発明及び甲第6号証に記載された周知の技術事項2、甲第7~9号証に記載された周知の技術事項3に基いて、
本件特許の請求項4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の甲第5号証に記載された発明及び甲第6号証に記載された周知の技術事項2、甲第7~9号証に記載された周知の技術事項3、甲第2、10号証に記載された技術事項に基いて、
本件特許の請求項5に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の甲第5号証に記載された発明及び甲第6号証に記載された周知の技術事項2、甲第7~9号証に記載された周知の技術事項3、甲第11、12号証に記載された技術事項に基いて、
いずれも、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件の請求項1及び3~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。
[証拠方法]
甲第1号証:KOKUYO 2014 ファニチャー編,
コクヨ株式会社 コクヨファニチャー株式会社 コクヨS&T株式会社,
平成25年12月発行,p.812
甲第2号証:特開2015-43494号公報
甲第3号証:特開2011-203371号公報
甲第4号証:特開平8-260785号公報
甲第5号証:特開2007-15775号公報
甲第6号証:特開2007-34789号公報
甲第7号証:特開2012-43034号公報
甲第8号証:特開2013-41575号公報
甲第9号証:特開2013-47897号公報
甲第10号証:KOKUYO 2015 ファニチャー編,
コクヨ株式会社 コクヨファニチャー株式会社 コクヨS&T株式会社,
平成26年12月発行,p.808
甲第11号証:特開2005-225261号公報
甲第12号証:国際公開第2012/133221号
上記の甲第1~12号証(以下それぞれ「甲1」~「甲12」ともいう。)は、特許異議申立人が提出したものである。
2 当審の判断
2-1 各甲号証に記載された事項及び発明
(1)甲1について
(1-1)甲1に記載された事項
甲1の812ページには、画像が掲載されているとともに、以下の事項が記載されている。
(1a)
[図:0001384078000001.jpg]
(1-2)甲1に記載された発明
ア
摘記(1a)の「オプション」の「バーコードリーダーボックス」の画像を参照すると、バーコードリーダーボックスにバーコードリーダーを収容していることが看取できるところ、左上の「ナーシングカート」「ナーシングカートフリー」の画像には、バーコードリーダーボックスが認められ、このバーコードリーダーボックスにも、同様に、バーコードリーダーを収容することが想定されていることが明らかである。
イ
摘記(1a)の全ての画像を参照すると、左上の「ナーシングカート」「ナーシングカートフリー」の画像から、「キャスター」が取り付けられ、「天板」が設けられた「本体」と、「天板」から下方に延びる板状部材の先端部に設けられた、「バーコードリーダーボックス」とを具備する、「ナーシングカート」が看取できる。
ウ
上記ア、イから、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲1発明]
「キャスターが取り付けられ、天板が設けられた本体と、
天板から下方に延びる板状部材の先端部に設けられた、バーコードリーダーを収容したバーコードリーダーボックスとを具備する、
ナーシングカート。」
(2)甲2について
甲2には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様である。)。
(2a)
「【0029】
画像読取部8は、コンタクトガラス10上に載せられた原稿の画像をスキャナ(図示せず)によって読み取るように構成される。
【0030】
原稿供給装置9は、給紙トレイ11を上面に備えると共に、第2排紙トレイ12を給紙トレイ11の下方に備えている。原稿供給装置9は、画像読取の際に、給紙トレイ11に載置された原稿を供給機構(図示せず)によりコンタクトガラス10上に供給し、画像読取後に、コンタクトガラス10上の原稿を供給機構(図示せず)により第2排紙トレイ12へと排出する。即ち、給紙トレイ11及び第2排紙トレイ12は、画像読取部8で画像が読み取られる原稿の搬送に用いられる。また、原稿供給装置9は、コンタクトガラス10を覆うカバー部材として装置本体2に対して開閉可能に取り付けられる。
【0031】
また、装置本体2の上部には、操作部14が備えられる。操作部14は、装置本体2の正面側(前方)の外装面において胴内排紙空間4の位置とは逆側である左右方向の一方側の端部(右側端部)に取り付けられる。操作部14は、例えば、画像読取部8の前方に配設される。また、操作部14は、例えば、テンキーやスタートキー等の操作キーと、タッチパネルとを備えて、印刷枚数や印刷濃度等の設定についてユーザーの操作指示を受け付ける。
【0032】
更に、装置本体2の上部には、カードリーダー(情報読取部)15を保持するカードリーダーホルダー16を収容するためのカードリーダー収容部17が設けられる。カードリーダー収容部17は、装置本体2の正面側において操作部14よりも排紙方向側(左右方向の他方側、例えば左側)の位置で後方に向かって凹設され、例えば画像読取部8の前方に配設される。カードリーダー収容部17は、複合機1の通常の使用状態では収容部カバー18で装置本体2の正面側が覆われる。即ち、収容部カバー18が装置本体2の正面側の外装面の一部を構成する。カードリーダーホルダー16及びカードリーダー収容部17は、合わせてカードリーダー保持部を構成する。カードリーダー15、カードリーダーホルダー16、カードリーダー収容部17及び収容部カバー18、並びにそれらの周辺の構成については、詳細を後述する。」
(2b)
「【0044】
カードリーダー収容部17は、図8に示されるように、カードリーダー15の検知面47を装置本体2の正面側に向けた状態でカードリーダー15及びカードリーダーホルダー16を収容可能な寸法の空間を有して形成される。また、カードリーダー収容部17は、収容部カバー18を取り付けるためのカバー係合凹部40が左右両端に形成され、更に、カードリーダーホルダー16を取り付けるためのホルダー係合凸部41を上下両端に備えている。ホルダー係合凸部41は、カードリーダーホルダー16がカードリーダー収容部17に装着されるときにカードリーダーホルダー16のホルダー係合凹部44に係合する。
・・・
【0047】
更に、カードリーダーホルダー16は、図8?図12に示されるように、カードリーダー収容部17に取り付けるためのホルダー係合凹部44を背面の上下両端に備える。更に、カードリーダーホルダー16は、図9?図12に示されるように、カードリーダー15の接続ケーブル48を引き出すための引出口45を左右方向の他端部(左側端部)に備え、また、図9に示されるように、カードリーダー15の接続ケーブル48の余剰部分を収容するためのケーブル収容部46を背面に備えている。カードリーダーホルダー16は、自身のホルダー係合凹部44とカードリーダー収容部17のホルダー係合凹部41とによってカードリーダー収容部17に対して着脱可能になっている。
・・・
【0059】
更に、本実施形態では、面ファスナー43及び面ファスナー49を用いてカードリーダー15をカードリーダーホルダー16に取り付ける構成を説明したが、この構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、図13?図15に示されるように、カードリーダーホルダー16の取付面42にスペーサー51を貼り付けると共に、スペーサー51の正面側の表面に面ファスナー52を貼り付けて、スペーサー51の面ファスナー52とカードリーダー15の面ファスナー49を接合することによりカードリーダー15をカードリーダーホルダー16に装着するように構成されてもよい。スペーサー51は、例えば、スポンジやゴム等の弾性部材で形成される。」
(2c)
図1,7、13は、以下のとおりである。
[図:0001384078000002.jpg]
[図:0001384078000003.jpg]
[図:0001384078000004.jpg]
(3)甲3について
甲3には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(3a)
「【0027】
画像読取部20のスキャナユニット20Aは、原稿に光を照射する露光ランプを具備する移動枠体21をその内部に含む。この他、図示は省略しているが、スキャナユニット20Aには、原稿からの反射光を光電変換して画像データを生成するCCD(Charge Coupled Device)センサや、このCCDセンサに前記反射光を導くための光学系等が内蔵されている。さらに、スキャナユニット20Aの上面には、載置原稿の読み取り用の第1プラテンガラス22と、自動給紙される原稿の読み取り用の第2プラテンガラス23とが備えられている。
【0028】
自動原稿給紙ユニット20Bは、自動搬送機構203の動作により、原稿トレイ201に載置された原稿シートを、第2プラテンガラス23の原稿読み取り位置へ給送するとともに、読み取り後の原稿シートを原稿排出トレイ202へ排出する。なお、ユーザが原稿シートを手置きする場合は、自動原稿給紙ユニット20Bが上方へ開かれ、第1プラテンガラス22上に原稿シートが載置される。」
(3b)
「【0042】
第1側面502には、図略のヒンジ機構が備えられ、スキャナユニット20Aの前面側に配置されている。従って、操作パネルユニット50は、第1側面502の側を回動軸とし、その前方側が上下方向に首振り移動することで、姿勢変更させることが可能である。これによりユーザは、タッチパネル53の角度を自身が操作し易い角度に設定することができ、車椅子に搭乗したユーザ等に対しても操作パネルユニット50の操作性を良好にすることができる。
【0043】
カードリーダユニット90は、複写機1の利用管理を行うために付設されるオプションユニットであって、ユーザが保有する図略のICカードと無線通信を行い、前記ICカードに記憶されている識別情報を用いて、当該ICカードの所有者が複写機1の利用資格を有するか否かの認証を行う。前記識別情報は、例えば、社員IDや所属部署等、ユーザの属性を特定可能なデータである。
【0044】
カードリーダユニット90は、ユニット本体91と、該ユニット本体91を操作パネルユニット50の装着部54に取り付けるための連結部92とを備える。ユニット本体91には、カードリーダユニット90の動作制御及び各種演算を行うCPU、搬送波に信号波を重畳させる変調を行う変調回路、ICカード側からの信号波を復調させる復調回路、ICカードと無線電波の送受信を行うアンテナ、及び、認証処理を行う認証用CPU等を内蔵している。
・・・
【0048】
連結部92が装着部54へ機械的に連結されることにより、カードリーダユニット90は操作パネルユニット50と一体化する。すなわち、図4に示すように、操作パネルユニット50が上下方向に揺動すると、これに追従してカードリーダユニット90も上下方向に揺動する。従ってユーザは、複写機1の本来の操作のために操作パネルユニット50を姿勢変更させるだけで、カードリーダユニット90についても、自身が操作し易い姿勢に設定することができる。例えば、車椅子に搭乗したユーザは、図4に点線で示すように、操作パネルユニット50の角度を、自身が操作し易い角度に姿勢変更させれば、カードリーダユニット90の操作面91Hもまた、自身が操作し易い角度に姿勢変更される。すなわち、ICカードを操作面91Hにかざす作業を、容易に行うことができる。
【0049】
次に、具体的な取り付け構造の一例として、ビス止め接続方式を採用したカードリーダユニット90A、及びこれに対応した装着部540を図5に例示する。図5は、カードリーダユニット90Aの分解斜視図である。カードリーダユニット90Aは、取り付け金具93、上カバー94、下カバー95、カードリーダのユニット本体96及びスペーサ97を備えている。
【0052】
ユニット本体96は、上記で説明したユニット本体91と同じカードリーダ機能及び認証機能を有している。ユニット本体96からは電気ケーブル96Cが接続され、この電気ケーブル96Cは、下カバー95に設けられたケーブル孔954から引き出されている。スペーサ97は、ユニット本体96と取り付け金具93との間に介在され、ユニット本体96の表面(カード読取面)を、上カバー94の裏面に可及的に接近させるためのスペーサである。
【0054】
以上のようなカードリーダユニット90Aによれば、取り付け金具93、上カバー94及び下カバー95を用いて、カードリーダ機能を有するユニット本体96を簡便に操作パネルユニット50Aへ事後的に取り付けることができる。」
(3c)
図1~5は、以下のとおりである。
[図:0001384078000005.jpg]
【図5】
[図:0001384078000006.jpg]
(4)甲4について
甲4には、以下の事項が記載されている。
(4a)
「【0021】前記本体2は、天板21,側板22,23、底板24、背板(図示せず)からなる前面開放の直方体形状に形成される。
・・・
【0036】かかる構成の電気錠10は、コントローラから出力される扉開の許否信号により制御される。すなわち、図において、コントローラ5は、収納部3の一つ、本実施例では図上右最上段の収納部3aを専用スペースとして使用し、その前面の扉4aを機構的に開扉不可能な構造として設けられる。
【0037】このコントローラ5は、図6に示したように、記憶回路の他、電気錠10に対し開錠指令信号を送るための電気錠制御回路を有するCPU51と、IDカード用のインターフェースであるIDカードリーダ52と、入力用キーボード53と、液晶ディスプレイ54とを備えて構成されており、図6に示すように、CPU51は右最上段の収納部3a内に収納配設され、これに対応する扉4aにはIDカードリーダ52のIDカード挿入口52aと、入力用キーボード53と、液晶ディスプレイ54がその表面に表れるようにして埋設されている。
・・・
【0039】また、IDカードは、特定者のみが携帯し若しくは使用でき、該特定者であることを確認するため、個人コード、氏名、役職コード等が登録されている。このようなIDカードとしては、磁気ストライプに上記データが磁気記録された磁気カード、ICメモリに上記データが記録されたICカード等を用いることができるが、複製が困難で、しかも大量のデータを記録できるICカードを用いることが好ましい。なお、IDカードリーダ52としては、磁気カードを用いた場合には、磁気ヘッドを備えた磁気カードリーダを、ICカードを用いた場合には、端子の電気的接触、光、電磁誘導又は微弱電波により読み取りするカードリーダを用いる。」
(5)甲5について
(5-1)甲5に記載された事項
甲5には、図面とともに以下の事項が記載されている
(5a)
「【0006】
商品を個別に読み取りする従来のハンディーな非接触リーダライタの機能に加え、商品を積み上げした状態で一括しても安定に読み取りできるリーダライタ付き装置であって、移動式のピッキングカートの提供を課題とするものである。」
(5b)
「【0011】
図1のように、ピッキングカート1は、本体が走行用キャスター13付きの移動式カートから構成されている。ピッキングカート1は、ハンディー式非接触リーダライタ2を備えることが必須の構成である。当該ハンディー式非接触リーダライタ2は、リング状のアンテナ2Aを有し、そのケーブル2Cは制御装置2Bに接続している。図1では制御装置2Bは、処理装置でもあるPC(パーソナルコンピュータ)5の背面にあって全部の形状は見えていない。ピッキングカート1は、読み取りした商品データを表示するディスプレイ6を備えることも非常に好ましい構成である。非接触リーダライタ2自体にディスプレイを備える機種もあるが、大量のデータ表示は通常は不可能だからである。
ディスプレイ6に加えて、読取した商品データを処理する処理装置やメモリを備えることも必要になるが、通常、これらはタブレットPC(パーソナルコンピュータ)5として一体の形態にされたものが市販されており、パネル状の薄型のものを使用できる。
【0012】
非接触リーダライタ2は、25cm?35cm離れている非接触ICタグ4も読み取りできる出力の大きいものが好ましい。衣料品等の商品3を積み上げして読み取りする場合は、その程度の高さにはなるからである。
図1の場合は、アンテナ2Aが円形のリングの中に納まったハンディー式非接触リーダライタ2であって、操作者が手(図示を省略)に持って商品3に付した非接触ICタグ4を読み取りしている状態を示している。アンテナ2Aの納まる円形リング面に直交する方向の両面に電波が放射するが、個別に商品3を読み取りする場合は商品3に付された非接触ICタグ4をアンテナに接近させて読み取りする。
ピッキングカート1は、ハンドルバー12を押して必要な場所に移動できる。ハンドルバー12はピッキングカート1の対向する側と双方に有する形態であってもよく、また全く無くてもよい。ディスプレイ6は操作者の操作側に対してパネル面を自由に回転でき、いずれの側からも視認できるようにされているのが好ましい。表示面の傾斜角度も調整できるのが好ましい。
【0013】
図2は、ピッキングカートの正面図を示している。この状態では、非接触リーダライタ2は、商品載置棚8の下側のリーダライタ固定板10に水平に固定され、円形状リングアンテナ2Aの中心が商品載置棚8のほぼ中心に位置するようにされている。
図1、図2では非接触リーダライタ2は1台であって、手に持って使用する場合と、固定して使用する場合を交互に状態を変えて使用するようになっているが、固定した状態の非接触リーダライタと固定しない状態の非接触リーダライタの2台を有していて、切り替え操作により選択して使用するようにしてもよい。
【0014】
非接触リーダライタ2は、商品載置棚8面に直接取り付けするものであってもよい。ただし、一定位置に安定した水平状態で固定するためには、固定具等を設ける必要があり、商品載置棚8面を何もない平面状態にしておくためには、その下面側位置に取り付けするのが好ましいと考えられる。非接触リーダライタ2のケーブルは制御装置2Bに接続するようにされている。ケーブルには同軸ケーブルが使用される。有効ケーブル長は、2.0m程度である。
【0015】
商品載置棚8はプラスチック板、ガラス板または木質板からなるので、下側からの電波を透過することができる。この状態で、商品載置棚8面に積み上げした商品(衣料品等)3に付された非接触ICタグ4から商品データを一括して読み取りすることができる。例えば、包装されたYシャツであれば、数点を一括して読み取りできる。
非接触リーダライタ2が、非接触ICタグ4を読み取りした際は、発信音を発するのが好ましい。例えば、非接触ICタグ4の1個を読み取りした場合は、「ピッ」と発信し、5個を読み取りした場合は、「ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ」と5回発信するようにする。これにより商品載置棚8面に過剰に商品3を積み上げして、電波が届かない場合でも、積み上げした商品3の数と発信音の数を比較して、正しく読み取りしたか読み取りしなかった商品があるか否かの確認ができる。」
(5c)
図1~4は、以下のとおりである。
[図:0001384078000007.jpg]
[図:0001384078000008.jpg]
(5-2)甲5に記載された発明
ア
図1及び図2から、「走行用キャスター13付きの移動式カートから構成されている」「本体」には、「商品載置棚8」が設けられていることが看取できる。
このことに併せ、図1及び図2を参照すると、「走行用キャスター13付きの移動式カートから構成されている」「本体」、「商品載置棚8」、「リーダライタ固定板10」及び「ピッキングカート1」の関係は、走行用キャスター13付きの移動式カートから構成されている、商品載置棚8が設けられた本体と、リーダライタ固定板10とを具備した、ピッキングカート1として特定できる。
イ
図2を参照すると、「商品載置棚8の下側のリーダライタ固定板10」は、商品載置棚8の下側に支持されたリーダライタ固定板10として特定できる。
ウ
上記ア、イ、摘記(5b)及び図1、2から、甲5には、次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲5発明]
「走行用キャスター13付きの移動式カートから構成されている、下側からの電波を透過することができる商品載置棚8が設けられた本体と、
商品3に付した非接触ICタグ4を読み取る、円形状リングアンテナ2Aの中心が商品載置棚8のほぼ中心に位置するようにされている非接触リーダライタ2が、水平に固定され、商品載置棚8の下側に支持されたリーダライタ固定板10とを具備した、
ピッキングカート1。」
(6)甲6について
甲6には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(6a)
「【0029】
<2.ショッピングカートの構成>
次に、ショッピングカート1の構成について説明する。図2は、ショッピングカート1の外観構成を示す図である。図に示すように、ショッピングカート1は、商品を収容する収容カゴ21と、自由に方向を変更可能な車輪である4つのキャスター22と、ユーザたる顧客8が把持しつつ操作するためのハンドル23とを備えて構成されている。
【0030】
ショッピングカート1は、このような一般的なショッピングカートの基本的な構成要素とともに、電気的な構成要素を備えている。すなわち、ハンドル23の前方には、顧客8に各種の情報を示すための表示パネル111を備えたコンソール部11が設けられている。この表示パネル111は、タッチパネルとして機能を有し、各種のユーザ操作を受け付けることが可能である。
【0031】
また、収容カゴ21の手前側(顧客8が操作する側)には、ICタグ(RFIDタグ)の情報を読み取るICタグリーダ12が設けられる。そして、収容カゴ21の下部には、収容カゴ21に収容された商品の重量を計量するロードセルなどで構成される計量部13が設けられる。さらに、4つのキャスター22の車軸には、それぞれキャスター22の回転を検出するダイナモなどの回転検出器14が設けられている。この回転検出器14は、ショッピングカート1の移動を検出することになる。」
(6b)
図2は、以下のとおりである。
【図2】
[図:0001384078000009.jpg]
(7)甲7について
甲7には、以下の事項が記載されている。
(7a)
「【0023】
ICカードリーダ30は、利用客がレジ4の前に買物カート5を移動した際に、買物カート5に取り付けられているICカード10からカートIDを検出する。このICカードリーダ30には、ICカードリーダ30を一意に識別するリーダIDが付与されている。ICカードリーダ30にはリーダID:「レジ前」が付与されている。そして、ICカードリーダ30は、ICカード10からカートIDを検出すると、そのカートIDを自身のリーダIDとともにサービス制御装置40に送信する。また、ICカードリーダ30は、検出したカートIDをサービス提供装置50に送信する。なお、このICカードリーダ30は、例えば、RFIDタグリーダなどのICタグリーダである。」
(8)甲8について
甲8には、以下の事項が記載されている。
(8a)
「【0021】
本発明の一実施形態では、前記特性コードリーダには、ICカードリーダ、RFIDタグリーダ、バーコードリーダ、2次元バーコードリーダ、QRコード(登録商標)リーダ、磁気ストライプカードリーダ又はその組み合わせのうちのひとつが選択される。」
(9)甲9について
甲9には、以下の事項が記載されている。
(9a)
「【0019】
(全体構成)
図1に示す非接触通信装置1は、例えば、ICカードリーダやその他のRFIDタグリーダライタ等として構成されるものであり、例えば所定の載置面に載置した状態、或いは所定の壁面等に固定された状態で使用可能とされている。この非接触通信装置1は、ICカード等の非接触通信媒体を通信対象とし、電磁波を媒介として非接触通信媒体に記憶された情報を読み取ったり、或いは非接触通信媒体に情報を書き込んだりするように構成されている。」
(10)甲10について
甲10の808ページには、画像が掲載されているとともに、以下の事項が記載されている。
[図:0001384078000010.jpg]
(11)甲11について
甲11には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(11a)
「【0002】
従来より、病院等の各種医療機関においては、検温、血圧テェック等、回診(巡室)時の器材を収納し、ベッドサイドで記録ができるいわゆるメディカルワゴン(台車)が使用されている。
【0003】
かかるメディカルワゴンでは、複数のメディカルワゴンを広い収納スペースを要することなくコンパクトに収納するため、複数のワゴンを相互に重複収納、即ち、一のワゴンを他のワゴンの後方に挿入して相互に重複収納(以下、ネスティングという。)される。
【0004】
近年では、各種医療機関においていわゆる電子カルテシステムの導入が増えており、これに対応すべく、ノート型パソコン(マウスを含む)、各種磁気カードリーダーライター等の載置物が載置される載置台が設けられたメディカルワゴンが使用されている。
・・・
【0008】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、台車の収納作業が容易に行えると共に、複数の台車を広い収納スペースを要することなくコンパクトに収納することができる台車を提供することを目的とする。
・・・
【0042】
以下、本実施形態の台車をネスティングする方法について説明する。ここでは、収納する複数の台車の各載置台2上には、ノート型パソコン10が載置されている。図8を参照して、まず、第1の台車(左端の台車)において、載置台2の支持杆7,7を両手で把持する等して支持杆7,7のボルト7a,7aをガイド部材8,8の鉤状穴8b,8bの下端にて係止させ、載置台2を操作位置にて固定する(図1、図2、および図6参照)。次に、第2の台車(左端から2番目の台車)を用意し、載置台2の支持杆7,7を両手で把持する等して各支持杆7のボルト7a,7aをガイド部材8,8のスリット穴8a,8aの下端にて係止させ、載置台2を所望位置にて固定する(図1および図2参照)。次いで、第1の台車の後方側に第2の台車の前方側(荷物保持部3、下方支柱4a,4a、および前輪5,5)を挿入すると、第1の台車の荷物保持部3の内部に第2の台車の荷物保持部3が挿入され、且つ、第2の台車の下方支柱4a,4a、保持フレーム4d、および下部フレーム4e,4eには、それぞれ第2の台車の下方支柱4a,4a、保持フレーム4d、および下部フレーム4e,4eが沿うように近接されると共に、第2の台車の載置台2および該載置台2上のノート型パソコン10が、第1の台車の一部に接触することなく、第2の台車が第1の台車の後方に挿入される。
・・・
【0055】
さらに、上記実施形態では、載置物をノート型パソコン10としたが、その他、各種磁気カードリーダーライター等が含まれていても勿論良い。また、軸状部材(被係合部材)としてボルト7aを使用したが、その他、ピン等を使用しても良い。」
(11b)
図1、図2は、以下のとおりである。
[図:0001384078000011.jpg]
[図:0001384078000012.jpg]
(12)甲12について
甲12には、以下の事項が記載されている。
(12a)
「[0012] ICカードリーダ108は近距離無線通信のインターフェースであり、ICカードリーダ108の仕様は例えば周知のFelica(登録商標)である。
クレードル111に備えられている赤外線通信機能は例えば周知のIrDA(Infrared Data Association)である。
これらの通信インターフェースは何れも血糖値等のデータをプレインテキスト形式のストリームデータとして送受信する。
・・・
[0020] 近距離無線通信部403の実体はICカードリーダ108であり、病棟用血糖計103及び個人用血糖計102の近距離無線通信部213と双方向通信を行い、血糖値データをダウンロードするためのインターフェースである。
赤外線通信部404はクレードル111に内蔵されており、病棟用血糖計103の赤外線通信部214と双方向通信を行い、血糖値データをダウンロードするためのインターフェースである。
近距離無線通信部403と赤外線通信部404は、両方共血糖計と双方向通信を行うので、これらを通信部と総称できる。」
2-2 甲1発明を主たる発明とした29条2項(進歩性)
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1とを対比する。
(ア)
甲1発明の「キャスター」、「天板」及び「本体」は、それぞれ、本件発明1の「キャスタ」、「天板」及び「什器本体」に相当する。
これらの相当関係を踏まえると、甲1発明の「キャスターが取り付けられ、天板が設けられた本体」は、キャスタが取り付けられており移動が可能であることは明らかであるから、本件発明1の「キャスタが取り付けられて移動が可能であり天板が設けられた什器本体」に相当する。
(イ)
甲1発明の「バーコードリーダー」と、本件発明1の「非接触ICカードリーダ」とは、「非接触リーダ」において共通している。
甲1発明の「バーコードリーダーボックス」は、「リーダ支持体」に相当する。
これらのことと、甲1発明の「バーコードリーダーを収容したバーコードリーダーボックス」が「バーコードリーダー」を保持しているといえること、及び、支持すれば保持もできることを踏まえると、甲1発明の「天板から下方に延びる板状部材の先端部に設けられた、バーコードリーダーを収容したバーコードリーダーボックス」と、本件発明1の「前記什器本体に支持されるとともに非接触ICカードリーダを保持しこれを外方に向けた姿勢で前記天板の外縁の近傍に位置づけるリーダ支持体」とは、「非接触リーダを保持したリーダ保持体」において共通している。
(ウ)
甲1発明の「ナーシングカート」は、本件発明1の「搬送用什器」に相当する。
以上から、本件発明1と甲1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点1-1>
「キャスタが取り付けられて移動が可能であり天板が設けられた什器本体と、
非接触リーダを保持したリーダ保持体とを具備する、
搬送用什器。」
<相違点1-1>
「非接触リーダを保持したリーダ保持体」について、本件発明1では、「前記什器本体に支持されるとともに非接触ICカードリーダ」を保持し「これを外方に向けた姿勢で前記天板の外縁の近傍に位置づけるリーダ支持体」であって、「前記リーダ支持体が支持する非接触ICカードリーダが前記天板の下面よりも下方にあり、当該非接触ICカードリーダがその外面を直立または略直立させた姿勢をとる」のに対して、甲1発明では、「天板から下方に延びる板状部材の先端部に設けられた、バーコードリーダーを収容したバーコードリーダーボックス」である点。
イ 判断
相違点1-1について、以下検討する。
(ア)
甲1発明の「バーコードリーダー」は、「バーコードリーダーボックス」に「収容」されており、「バーコードリーダーボックス」から、取り出して使用するものといえる。そして、「バーコードリーダー」を、取り出して(要するに、手で持って)使用することで、種々の位置のバーコード(例えば、天板の上に置かれた書類のバーコード、手に持った書類のバーコード、机の上の書類のバーコードなど)を読み取ることが可能であるといえる。
このような機能を備える、バーコードリーダーを、バーコードを読むものとは限らない非接触ICカードリーダに変えようとする動機付けはない。
(イ)
また、甲1の摘記(1a)の右上の画像を参照すると、この画像に示されているのと同様に、甲1発明の天板の高さも、800~1000mm程度であると認められ、その高さは、天板の上の物を使うために妥当な高さといえる。
この天板の高さを踏まえ、摘記(1a)の左上の画像を参照すると、甲1発明の「天板から下方に延びる板状部材の先端部に設けられた、バーコードリーダーを収容したバーコードリーダーボックス」の位置は、天板から、少なくとも100mm(10cm)以上離れていることが明らかであって、天板の外縁の近傍に位置づけられているものではなく、天板からある程度離れているから、バーコードリーダーをバーコードリーダーボックスから、容易に取り出すことができるといえる。
このような「バーコードリーダーボックス」を、ボックスでない他の支持体の態様にする動機付けはないし、さらに、他の態様の支持体にした上で、「本体」に支持して天板の近傍に位置づける動機付けもない。
(ウ)
甲2~4について、以下のことがいえる。
a
「てん‐ばん【天板】」とは、「箪笥(たんす)などの最上部の板。」[広辞苑第六版]を意味するところ、甲2の「コンタクトガラス10」は、上方に「原稿供給装置9」が存在しているから、最上部の板とはいえず、天板とはいえない。
また、この「原稿供給装置9」は、板状とはいえないから、天板とはいえない。
そして、仮に、甲2の「コンタクトガラス10」と本願発明1の「天板」とが、「板」の限りで共通しているとしても、甲2の「コンタクトガラス10」の外縁は、図7等に示すように、ある程度の幅を有する枠で囲まれているから、「カードリーダー15」は、「コンタクトガラス10」すなわち「板」の外縁の近傍に位置づけられているものではない。
b
甲3の「第1プラテンガラス22」と「カードリーダユニット」の「ユニット本体96」についても、上記aと同様のことがいえる。
c
甲4には、「天板21」及び「IDカードリーダ52」が記載されているが、「IDカードリーダ52」は「天板21」の外縁の近傍に位置づけられていないし(図5参照)、「ICカードを用いた場合には、端子の電気的接触、光、電磁誘導又は微弱電波により読み取りするカードリーダを用いる」ことが記載されているが、この「カードリーダー」を、どのように配置するかは記載されていない。
d
したがって、甲2~4には、上記相違点1-1に係る本件発明1の構成における「非接触ICカードリーダを保持しこれを外方に向けた姿勢で前記天板の外縁の近傍に位置づけるリーダ支持体」(以下「構成A」ともいう。)は、記載も示唆もされていない。
(エ)
そうすると、甲2(摘記(2b)、図7、図13等)、甲3(図7)に、「リーダ支持体が支持するICカードリーダがその外面を直立または略直立させた姿勢をとる発明技術」(異議申立人が異議申立書の20ページ「(ス)」で主張する「周知の技術事項1」、以下「周知技術1-1」ともいう。)が記載されているとしても(なお、甲4の図5ではカードを水平に挿入することが明らかであるから、甲4には周知技術1-1は記載されているとはいえない。)、上記(ア)及び(イ)のとおり、甲1発明において、「バーコードリーダーを収容したバーコードリーダーボックス」を、上記相違点1-1に係る本件発明1の「非接触ICカードリーダを保持しこれを外方に向けた姿勢で前記天板の外縁の近傍に位置づけるリーダ支持体」(構成A)にする動機づけはないし、甲1発明に、上記(ウ)のとおり構成Aが開示されていない甲2~4に記載された技術事項(周知技術1-1)を適用してみても、上記相違点1-1に係る本件発明1の構成にはならない。
(オ)
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2~4に記載された周知の技術事項1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件発明3について
ア 対比
本件発明3と甲1との対比は、上記(1)アにおける「本件発明1」を「本件発明3」に読み替えたとおりのことがいえる。
以上から、本件発明3と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点3-1>
「キャスタが取り付けられて移動が可能であり天板が設けられた什器本体と、
非接触リーダを保持したリーダ保持体とを具備する、
搬送用什器。」
<相違点3-1>
「非接触リーダを保持したリーダ保持体」について、本件発明3では、「前記什器本体に支持されるとともに非接触ICカードリーダ」を保持し「これを外方に向けた姿勢で前記天板の外縁の近傍に位置づけるリーダ支持体」であって、「前記リーダ支持体が、非接触ICカードリーダを保持するための保持部と、非接触ICカードリーダの背面と保持部との間に介在して両者の間に所定寸法の距離を形成するスペーサとを備えている」のに対して、甲1発明では、「天板から下方に延びる板状部材の先端部に設けられた、バーコードリーダーを収容したバーコードリーダーボックス」である点。
イ 判断
相違点3-1について、以下検討する。
(ア)
甲2(摘記(2b)、図7、図13等)の「スペーサ51」、甲3(摘記(3b)、図5等)の「スペーサ97」を参照すると、甲2、甲3には、「非接触ICカードリーダの背面と保持部と両者の間に所定寸法の距離を形成するスペーサを備える発明技術」(異議申立人が異議申立書の21ページ「(ソ)」で主張する「周知の技術事項1」、以下「周知技術1-3」ともいう。)が記載されているといえる。
しかしながら、上記(1)イ(ウ)で述べたとおり、甲2、甲3、甲4には、「非接触ICカードリーダを保持しこれを外方に向けた姿勢で前記天板の外縁の近傍に位置づけるリーダ支持体」(構成A)は、記載も示唆もされておらず、「ICカードリーダを保持しこれを外方に向けた姿勢で天板の外縁近傍に位置づける発明技術」(異議申立人が異議申立書の21ページ「(ソ)」で主張する「周知の技術事項1」、以下「周知技術1-2」ともいう。)は、記載も示唆もされていない。
そして、上記相違点3-1に係る本件発明3の構成は、構成Aを含んでいるから、上記(1)イ(ア)~(エ)における「本件発明1」及び「相違点1-1」をそれぞれ「本件発明3」及び「相違点3-1」に読み替えたとおりのことがいえる。
そうすると、仮に、甲1発明に周知技術1-3を適用することができたとしても、構成Aを想到することはできないから、上記相違点3-1に係る本件発明3の構成にはならない。
(イ)
したがって、本件発明3は、甲1発明及び甲2~4に記載された周知の技術事項1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件発明4及び5について
甲10には「天板」が記載されているが(摘記(10a)参照)、「非接触ICカードリーダ」は記載も示唆もされていないし、甲12には、「ICカードリーダ108」は記載されているが(摘記(12a)参照)、天板自体が記載も示唆もされていないから、これらにおいて、非接触ICカードリーダと天板との関係を特定することはできず、甲10、甲12には、構成Aが記載も示唆もされていない。
また、甲11には天板といえる「各種磁気カードリーダーライター等の載置物が載置される載置台」が記載されているが(摘記(11a)参照)、リーダ支持体が記載されておらず、構成Aは記載も示唆もされていない。
そして、本件発明4及び5は、本件発明1又は本件発明3の発明特定事項を全て含み、さらに請求項4及び5の発明特定事項を付加して限定したものであるから、上記(1)、(2)と同様の理由により、本件発明4及び5は、甲1発明、及び、甲2~4に記載された周知の技術事項1、甲2、10、11、12に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)小括
したがって、本件発明1及び3~5は、甲1発明、及び、甲2~4に記載された周知の技術事項1、甲2、10、11、12に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2-3 甲5発明を主たる発明とした29条2項(進歩性)
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲5発明とを対比する。
(ア)
甲5発明の「キャスター13」、「商品載置棚8」及び「本体」は、それぞれ、本件発明1の「キャスタ」、「天板」及び「什器本体」に相当する。
これらの相当関係を踏まえると、甲5発明の「走行用キャスター13付きの移動式カートから構成されている、下側からの電波を透過することができる商品載置棚8が設けられた本体」は、本件発明1の「キャスタが取り付けられて移動が可能であり天板が設けられた什器本体」に相当する。
(イ)
甲5発明の「非接触リーダライタ2」は、「商品3に付した非接触ICタグ4を読み取る」ものであるから、甲5発明の「非接触リーダライタ2」と、本件発明1の「非接触ICカードリーダ」とは、「非接触ICリーダ」において共通している。
甲5発明の「リーダライタ固定板10」は、「リーダ支持体」に相当する。
甲5発明の「リーダライタ固定板10」は、「商品載置棚8の下側に支持されたリーダライタ固定板10」であって、「本体」に支持されているとはいえない。
これらのことを踏まえると、甲5発明の「商品3に付した非接触ICタグ4を読み取る、円形状リングアンテナ2Aの中心が商品載置棚8のほぼ中心に位置するようにされている非接触リーダライタ2が、水平に固定され、商品載置棚8の下側に支持されたリーダライタ固定板10」と、本件発明1の「記什器本体に支持されるとともに非接触ICカードリーダを保持するリーダ支持体」とは、「非接触ICリーダを保持するリーダ支持体」において共通している。
(ウ)
甲5発明の「商品3に付した非接触ICタグ4を読み取る、円形状リングアンテナ2Aの中心が商品載置棚8のほぼ中心に位置するようにされている非接触リーダライタ2が」、「商品載置棚8の下側に支持されたリーダライタ固定板10」に「水平に固定され」る構成は、「非接触リーダライタ2」が「商品載置棚8」の下面より下方にあることが明らかであるから、上記(イ)を踏まえると、甲5発明の当該構成と、本件発明1の「前記リーダ支持体が支持する非接触ICカードリーダが前記天板の下面よりも下方にある」構成とは、「前記リーダ支持体が支持する非接触ICリーダが前記天板の下面よりも下方にある」構成において共通している。
(エ)
甲5発明の「ピッキングカート1」は、本件発明1の「搬送用什器」に相当する。
以上から、本件発明1と甲5発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点1A>
「キャスタが取り付けられて移動が可能であり天板が設けられた什器本体と、
非接触ICリーダを保持するリーダ支持体とを具備し、
前記リーダ支持体が支持する非接触ICリーダが前記天板の下面よりも下方にある、
搬送用什器。」
<相違点1A>
「非接触ICリーダを保持するリーダ支持体」について、本件発明1では、「前記什器本体に支持されるとともに」非接触IC「カード」リーダを保持し「これを外方に向けた姿勢で前記天板の外縁の近傍に位置づける」リーダ支持体であり、前記リーダ支持体が支持する非接触IC「カード」リーダが前記天板の下面よりも下方にあるのに対して、甲5発明では、「商品3に付した非接触ICタグ4を読み取る、円形状リングアンテナ2Aの中心が商品載置棚8のほぼ中心に位置するようにされている非接触リーダライタ2が、水平に固定され、商品載置棚8の下側に支持されたリーダライタ固定板10」である点。
<相違点2A>
本件発明1では、「当該非接触ICカードリーダがその外面を直立または略直立させた姿勢をとる」のに対して、甲1発明では、そのように特定されていない点。
イ 判断
相違点について、以下検討する。
イ-1 相違点1Aについて
(ア)
本件発明1において特定する「これを外方に向けた姿勢」の「外方」は、明細書の段落【0042】の「非接触ICカードリーダ8は、・・・外側方に向けた姿勢をとる。」という記載などから、外側方を意味していると一応解される。
甲5発明では、「商品載置棚8の下側に支持されたリーダライタ固定板10」に「水平に固定され」た「非接触リーダライタ2」が、「下側からの電波を透過することができる商品載置棚8」の上の「商品3に付した非接触ICタグ4を読み取る」から、「非接触リーダライタ2」は、上方に向いており、これを外側方(外方)に向け、さらに「商品載置棚8」(天板)の外縁の近傍に位置づける動機付けはないといえる。
ここで、仮に、本件発明1において特定する「これを外方に向けた姿勢」の「外方」が、上方を含むとしても、甲5発明において、「非接触リーダライタ2」を上方(外方)に向けた姿勢で「商品載置棚8」(天板)の外縁の近傍に位置づける、要するに、「商品3に付した非接触ICタグ4を読み取る、円形状リングアンテナ2A」を「商品載置棚8」(天板)の外縁の近傍に位置づけると、非接触リーダライタ2の電波の範囲が商品載置棚8の上方だけでなく、商品載置棚8の周囲の上方にまで広がって、ピッキングカート1の近くにある商品陳列棚の商品や隣のピッキングカート1に置かれた商品などの非接触ICタグ4の情報を読みとってしまうような誤動作が生じるおそれがあるから、当業者であれば、甲5発明において、「非接触リーダライタ2」を「商品載置棚8」(天板)の外縁の近傍に位置づけるようなことはしない。
(イ)
甲6~9について、以下のことがいえる。
a
甲6の図2から、「キャスタが取り付けられて移動が可能であ」る、「ICタグリーダ(RFIDタグリーダ)がその外面を直立または略直立させた姿勢をとる搬送用什器」(異議申立人が異議申立書の20~21ページ「(セ)」で主張する「周知の技術事項2」に類似する技術事項)が看取できるが、甲6の「ショッピングカート1」の「商品を収容する収容カゴ21」には、天板が存在していないから異議申立人が異議申立書の20~21ページ「(セ)」で主張する「周知の技術事項2」である「キャスタが取り付けられて移動が可能であり天板が設けられ什器本体と、ICタグリーダ(RFIDタグリーダ)がその外面を直立または略直立させた姿勢をとる搬送用什器」は記載されておらず、上記相違点1Aに係る本件発明1の構成の「非接触ICカードリーダを保持しこれを外方に向けた姿勢で前記天板の外縁の近傍に位置づけるリーダ支持体」(以下「構成B」ともいう。構成Bは構成Aと同じである。)は、記載も示唆もされていない。
b
甲7(摘記(7a)参照)、甲8(摘記(8a)参照)、甲9(摘記(9a)参照)には、ICカードリーダとRFIDタグリーダが置き換え可能であること(異議申立人が異議申立書の20~21ページ「(セ)」で主張する「周知の技術事項3」といえる。)が記載されているが、いずれも、天板は記載されていないから、構成Bは、記載も示唆もされていない。
(ウ)
上記(ア)、(イ)のとおりであるから、当業者であれば、甲5発明において、「非接触リーダライタ2」を、外方に向けたり「商品載置棚8」の外縁の近傍に位置づけたりすることはしないし、甲5発明に、上記(イ)のとおり構成Bが開示されていない、甲6~9に記載された技術事項(異議申立人が主張する「周知の技術事項2」、「周知の技術事項3」)を適用してみても、上記相違点1Aに係る本件発明1の構成にはならない。
イ-2 相違点2Aについて
(ア)
甲5発明は、「リーダライタ固定板10」が「固定」している「非接触リーダライタ2」が「商品載置棚8」の下面よりも下方にあるが(上記ア(ウ)参照)、このような「商品載置棚8」の下面よりも下方にある状態で、「非接触リーダライタ2」がその外面を直立または略直立させた姿勢をとるようにすると、また、その際に、「非接触リーダライタ2」を非接触ICカードリーダにすると、「商品載置棚8」上の「商品3に付した非接触ICタグ4」を実質的に読み取ることができなくなり、甲5に記載された「商品を積み上げした状態で一括しても安定に読み取りできる」という課題(摘記(1a)参照)が解決できなくなるから、「非接触リーダライタ2」を非接触ICカードリーダにしてその外面を直立または略直立させた姿勢をとるようにする、すなわち、「当該非接触ICカードリーダがその外面を直立または略直立させた姿勢をとる」という上記相違点2Aに係る本件発明1の構成とすることには、阻害要因が存在する。
(イ)
そうすると、甲6の記載などを根拠として(上記イ-1(イ)a参照)、「非接触ICタグリーダがその外面を直立または略直立させた姿勢をとる」ことが周知技術であるといえたとしても、甲5発明に、この周知技術を適用することはできない。
(ウ)
したがって、甲5発明に、甲6に記載された上記の周知技術を適用して、上記相違点2Aに係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たとはいえない。
イ-3
したがって、本件発明1は、甲5発明、及び、甲6に記載された周知の技術事項2、甲7~9に記載された周知の技術事項3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件発明4及び5について
甲10には「天板」が記載されているが(摘記(10a)参照)、「非接触ICカードリーダ」は記載も示唆もされていないし、甲12には、「ICカードリーダ108」は記載されているが(摘記(12a)参照)、天板自体が記載も示唆もされていないから、これらにおいて、非接触ICカードリーダと天板との関係を特定することはできず、甲10、甲12には、構成Bが記載も示唆もされていない。
また、甲11には天板といえる「各種磁気カードリーダーライター等の載置物が載置される載置台」が記載されているが(摘記(11a)参照)、リーダ支持体が記載されておらず、構成Bは記載も示唆もされていない。
そして、本件発明4及び5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに請求項4及び5の発明特定事項を付加して限定したものであるから、上記(1)と同様の理由により、本件発明4及び5は、甲5発明、及び、甲6に記載された周知の技術事項2、甲7~9に記載された周知の技術事項3、甲2、10、11、12に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)小括
したがって、本件発明1、4及び5は、甲5発明、及び、甲6に記載された周知の技術事項2、甲7~9に記載された周知の技術事項3、甲2、10、11、12に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2-4 特許異議申立人の主張について
(1)特許異議申立人の主張
異議申立人は、異議申立書の23ページ「(5)むすび」において、「本件特許発明1、3~5は、甲1記載事項(甲第1号証)、甲5発明(甲第5号証)、甲10記載事項(甲第10号証)、甲11記載事項(甲第11号証)、甲12記載事項(甲第12号証)、上記周知の技術事項1(甲第2号証乃至甲第4号証)、上記周知の技術事項2(甲第6号証)、及び上記周知の技術事項3(甲第7号証~甲第9号証)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである」と主張している。
(2)検討
ア
この主張は、どの発明に、どのような技術を、どのようにして適用するのか理解することができないから採用できないが、念のため、この主張に関して、以下のことを検討する。
イ
甲1の「天板」、甲10の「天板」、甲11の「載置台2」は、いずれも、天板であるが、甲1,甲10、甲11には、「非接触ICカードリーダ」は記載も示唆もされていない。
そして、甲2、3、6~9及び12には、天板自体が記載も示唆もされていない。
そうすると、これらの甲1~3及び6~12において、において、非接触ICカードリーダと天板との関係を特定することはできない。
ウ
また、甲4については、2-2 イ(ウ)cで述べたとおりであり、「IDカードリーダ52」は「天板21」の外縁の近傍に位置づけられていないし、甲5については、上記2-3で述べたとおりである。
エ
上記イ、ウ踏まえると、甲1~12には、相違点1-1に係る本件発明1の構成、及び、相違点3-1に係る本件発明3の構成が有している構成A、並びに、相違点1Aに係る本件発明1の構成が有している構成Bが記載も示唆もされていない。
オ
そうすると、甲1発明や甲5発明に、甲1~12に記載された技術事項を適用しても、上記の各相違点に係る構成にはならない。
したがって、上記の主張は採用できない。
2-5 まとめ
したがって、本件発明1及び3~5は、甲1発明、及び、甲2~4に記載された周知の技術事項1、甲2、10、11、12号証に記載された技術事項に基いて、また、本件発明1、4及び5は、甲5発明、及び、甲6に記載された周知の技術事項2、甲7~9に記載された周知の技術事項3、甲2、10、11、12号証に記載された技術事項に基いて、いずれも、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
よって、本件発明1及び3~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1及び3~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1及び3~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-700214