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特許異議申立

2024-700543

遮熱性水系塗料

審判番号
2024-700543
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-102076外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
7394403
請求日
2024年06月07日
審決日
2024年08月02日
公報発行日
2024年08月30日
結論
維持
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-Y (C09D) / P1651.121-Y (C09D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7394403号発明「遮熱性水系塗料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論
特許第7394403号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。

理由

目次 ▾ 16項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

特許第7394403号(以下「本件特許」という。)に係る特許出願は、令和3年6月18日に出願され、令和5年11月30日にその特許権の設定登録がされ、同年12月8日に特許掲載公報が発行されたものである。

その後、令和6年6月7日に特許異議申立人藤江 桂子(以下「申立人」という。)により特許異議申立書(以下「申立書」という。)が提出され、請求項1ないし9に係る発明の特許に対して特許異議の申立てがされた。

第2 本件特許発明

本件特許の請求項1ないし9に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明9」といい、合わせて「本件特許発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
遮熱性水系塗料と骨材とを含む、遮熱性舗装用コーティング材であって、
前記遮熱性水系塗料が、1液型であり、エマルション系バインダー、遮熱材、及び繊維を含み、保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まず、かつ前記繊維が、無機繊維又は疎水性の有機繊維である、遮熱性舗装用コーティング材。
【請求項2】
続きを表示(全20行)
前記エマルション系バインダーが、アクリル樹脂系エマルション又はポリエステル系エマルションである、請求項1に記載の遮熱性舗装用コーティング材。
【請求項3】
前記繊維の平均繊維径が、0.1μm以上である、請求項1又は2に記載の遮熱性舗装用コーティング材。
【請求項4】
前記繊維の平均繊維長が、1.0mm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の遮熱性舗装用コーティング材。
【請求項5】
前記繊維が、無機繊維である、請求項1~3のいずれか一項に記載の遮熱性舗装用コーティング材。
【請求項6】
前記骨材として、アルミナ骨材を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の遮熱性舗装用コーティング材。
【請求項7】
遮熱性水系塗料と、骨材とを混合することを含む、遮熱性舗装用コーティング材の製造方法であって、
前記遮熱性水系塗料が、1液型であり、エマルション系バインダー、遮熱材、及び繊維を含み、保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まず、かつ前記繊維が、無機繊維又は疎水性の有機繊維である、遮熱性舗装用コーティング材の製造方法。
【請求項8】
樹脂バインダー、遮熱材、繊維、及び骨材を含み、保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まない遮熱性舗装用コーティングであって、前記繊維が、無機繊維又は疎水性の有機繊維であり、かつ前記樹脂バインダーが、(メタ)アクリル樹脂エマルション、スチレン-(メタ)アクリル樹脂エマルション、ポリエステル-(メタ)アクリル樹脂エマルション、シリコーン-(メタ)アクリル-エステル樹脂エマルション、EVA-アクリル-エステル樹脂エマルション、ポリエステル系エマルション、又はポリエステル系エマルションから得られるバインダーを含む、遮熱性舗装用コーティング。
【請求項9】
請求項8に記載の遮熱性舗装用コーティングを基体の表面に含む、遮熱性舗装構造体。」

第3 特許異議申立理由(以下、「申立理由」という。)の概要

申立人は、申立書において、概ね以下の申立て理由を主張するとともに、証拠方法として以下に示す各甲号証を提出している。

なお、申立ての理由の要点(申立書の第3頁)の「○1(「○1」等は丸数字を表す。)特許法第29条第1項」における

「・請求項3-5
甲第3号証に記載された発明。」

との記載は、申立書第19頁第1~34行、第27頁第1~9行及び第27頁第31行~第28頁第3行の記載から、

「・請求項3-4
甲第3号証に記載された発明。
・請求項5
甲第2号証及び甲第3号証の何れの文献にも記載された発明。」

の誤記と認められる。

また、申立ての理由の要点(申立書の第3頁)の「○2特許法第29条第2項」における

「・請求項3-5
甲第3号証に記載された発明に記載された発明、あるいはさらに甲第1号証または第2号証に記載された発明から容易想到。」

との記載は、申立書第19頁第1~34行、第27頁第1~9行及び第27頁第31行~第28頁第3行の記載から、

「・請求項3-4
甲第3号証に記載された発明から容易想到。
・請求項5
甲第2号証及び甲第3号証の何れの文献に記載された発明から容易想到。」

の誤記と認められる。

(1)特許法第29条第1項

本件特許発明1~3,7~9は、甲第1号証に記載された発明である。

本件特許発明1~3,5,7~9は、甲第2号証に記載された発明である。

本件特許発明1~5,7~9は、甲第3号証に記載された発明である。

(2)特許法第29条第2項

本件特許発明1~3,7~9は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

本件特許発明1~3,5,7~9は、甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

本件特許発明1~5,7~9は、甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

本件特許発明6は、甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証の何れに記載された発明と、甲第4号証記載事項から、当業者が容易に発明をすることができたものである。

[証拠方法]

甲第1号証:特開昭63-156871号公報
甲第2号証:特開昭59-8747号公報
甲第3号証:特開平11-285667号公報
甲第4号証:特開平8-67831号公報
甲第5号証:特開2019-14771号公報
甲第6号証:特開2005-60453号公報

第4 各甲号証の記載

1 甲第1号証

(1)甲第1号証の記載事項

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甲第1号証には、以下の記載がある(当審で下線を付した。以下同様。)。

ア 第1頁左下欄第5~14行

「2.特許請求の範囲
2種類以上のモノマーを組合せたガラス転移点が、20℃以下である重合体を中心層とし、次いでガラス転移点40℃以上である2種類以上のモノマーを重合させて外層とした多層構造を有するポリマーの水性エマルジョン中の固形分100重量部に対して、造膜助剤1~20重量部、骨材100~400重量部、着色顔料5~50重量部および分散剤0.5~3重量部を添加してなるカラー舗装材。」

イ 第2頁左上欄第8~12行

「 即ち、従来は水系カラー舗装材では困難とされていた運動場、サイクリング道路、商店街通路、ビルの屋上、などのような過酷な条件の場所にも本発明の水系カラー舗装材なら充分適用可能である。」

ウ 第2頁左上欄第13~17行

「 本発明のカラー舗装材に用いる水性エマルジョンは、一般に用いられている通常の単層エマルジョンと比較して形成される皮膜が柔軟性を有し、タックが少なく、また、皮膜の温度が上昇してもタックが少いという特異な性能を有している。」

エ 第2頁右上欄第2~10行

「 本発明に用いる自己架橋型多層構造エマルジョンは、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル等のアクリル系架橋反応性モノマーの1種又は2種以上を含み、2種類以上のモノマーを組合せたガラス転移点が、20℃以下からなる重合体を中心層とし、次いでガラス転移点40℃以上からなる2種類以上のモノマーを重合させて外層としたものが好適である。」

オ 第3頁右上欄第2行~8行

「 骨材としては、例えば、珪砂、アスベスト、寒水石、石粉、繊維類、炭酸カルシウム、ガラスピーズなどがあり、水性エマルジョン固形分100重量部に対して、100~400重量部必要であり、この範囲をはずれるとカラー舗装材として、耐摩耗性、耐水性、耐ブリスター性、接着性が劣るので好ましくない。」

カ 第3頁右上欄第9~16行

「 着色顔料は、例えば、酸化チタン、ベンガラ、群青、酸化クロム、クロムイエロー、カーボンブラックなどの無機顔料及び、アゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料などが挙げられる。
その使用量は、水性エマルジョン固形分100重量部に対して、5~50重量部必要であり、この範囲をはずれるとカラー舗装材の適度な着色度にならず、且つ耐候性に悪影響を及ぼす。」

キ 第3頁左下欄第9~14行

「 本発明のカラー舗装材は、常温乾燥型であるため、加熱操作などは一切不要であり、通常の塗装方法、例えばスプレー、レーキ、コテなどを使用して下地、例えばアスファルトコンクリート、コンクリート、モルタルなどの表面に直接塗装施工できる。」

ク 第3頁左下欄第15~17行

「 具体的な施工場所としては、簡易道路、テニスコート、遊歩道路、屋内外プールサイド、運動場、サイクリング道路、建物の屋上などが挙げられる。」

ケ 第3頁右下欄第17行~第4頁左上欄第3行

「実施例-1.
合成例で得たエマルジョン固形分で100部にデキサノール9部、硅砂7号130部、石粉100部、酸化鉄系ベンガラ30部、ポリアクリル酸ソーダ2部、ヒドロキシエチルセルロース(NEC)0.4部及び消泡剤1部を添加し、充分分散混合して本発明のカラー舗装材を得た。」

コ 第4頁左上欄第4~10行

「実施例-2.
合成例で得たエマルジョン中の固形分100部に対してブヂルセロソルブ10部、硅砂7号100部、硅砂8号200部、酸化鉄系ベンガラ30部、ポリアクリル酸ソーダ2部、とドロキシエチルセルロース0.1部及び消泡剤1部を添加し、充分分散混合して本発明のカラー舗装材を得た。」

サ 上記ケ及びコより、エマルジョンに各材料を添加し、充分分散混合してカラー舗装材を得ることが見てとれる。

(2)上記(1)を総合すると、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1-1発明」~「甲1-3発明」という。)が記載されていると認められる。

<甲1-1発明>

「多層構造を有するポリマーの水性エマルジョン中の固形分100重量部に対して、造膜助剤1~20重量部、骨材100~400重量部、着色顔料5~50重量部および分散剤0.5~3重量部を添加してなる水系カラー舗装材であるカラー舗装材であって(特許請求の範囲及び第2頁左上欄第8~12行)、
多層構造エマルジョンは、アクリル系架橋反応性モノマーの1種又は2種以上を含み(第2頁右上欄第2~10行)、
骨材としては、繊維類などがあり(第3頁右上欄第2行~8行)、
着色顔料は、酸化チタンなどの無機顔料及び、アゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料などが挙げられ(第3頁右上欄第9~16行)、
カラー舗装材は、常温乾燥型であるため、スプレー、レーキ、コテなどを使用して、アスファルトコンクリート、コンクリート、モルタルなどの表面に直接塗装施工でき(第3頁左下欄第9~14行)、
施工場所としては、簡易道路、遊歩道路、サイクリング道路などが挙げられる(第3頁左下欄第15~17行)、
カラー舗装材。」

<甲1-2発明>

「多層構造を有するポリマーの水性エマルジョン中の固形分100重量部に対して、造膜助剤1~20重量部、骨材100~400重量部、着色顔料5~50重量部および分散剤0.5~3重量部を添加してなる水系カラー舗装材であるカラー舗装材の製造方法であって(特許請求の範囲及び第2頁左上欄第8~12行)、
多層構造エマルジョンは、アクリル系架橋反応性モノマーの1種又は2種以上を含み(第2頁右上欄第2~10行)、
骨材としては、繊維類などがあり(第3頁右上欄第2行~8行)、
着色顔料は、酸化チタンなどの無機顔料及び、アゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料などが挙げられ(第3頁右上欄第9~16行)、
カラー舗装材は、常温乾燥型であるため、スプレー、レーキ、コテなどを使用して、アスファルトコンクリート、コンクリート、モルタルなどの表面に直接塗装施工でき(第3頁左下欄第9~14行)、
施工場所としては、簡易道路、遊歩道路、サイクリング道路などが挙げられ(第3頁左下欄第15~17行)、
エマルジョンに各材料を添加し、充分分散混合してカラー舗装材を得た(第3頁右下欄第17行~第4頁左上欄第3行、第4頁左上欄第4~10行及び上記(1)サ)、
カラー舗装材の製造方法。」

<甲1-3発明>

「多層構造を有するポリマーの水性エマルジョン中の固形分100重量部に対して、造膜助剤1~20重量部、骨材100~400重量部、着色顔料5~50重量部および分散剤0.5~3重量部を添加してなる水系カラー舗装材であるカラー舗装材により形成される皮膜であって(特許請求の範囲、第2頁左上欄第8~12行及び第2頁左上欄第13~17行)、
多層構造エマルジョンは、アクリル系架橋反応性モノマーの1種又は2種以上を含み(第2頁右上欄第2~10行)、
骨材としては、繊維類などがあり(第3頁右上欄第2行~8行)、
着色顔料は、酸化チタンなどの無機顔料及び、アゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料などが挙げられ(第3頁右上欄第9~16行)、
カラー舗装材は、常温乾燥型であるため、スプレー、レーキ、コテなどを使用して、アスファルトコンクリート、コンクリート、モルタルなどの表面に直接塗装施工でき(第3頁左下欄第9~14行)、
施工場所としては、簡易道路、遊歩道路、サイクリング道路などが挙げられる(第3頁左下欄第15~17行)、
カラー舗装材により形成される皮膜(第2頁左上欄第13~17行)。」

2 甲第2号証

(1)甲第2号証の記載事項

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甲第2号証には、以下の記載がある。

ア 特許請求の範囲

「2. 特許請求の範囲
(1) アクリル酸エステル 44~96重量%
(2) メタクリル酸エステル及び/又はスチレン
0~55重量%
(3) メタクリル酸グリシジル、N-メチロールアク1ノルアミド、アクリルアミド、アクリル酸グリシジルから選ばれた1種又は2種以上
0.1~5重量%
(4) 不飽和カルボン酸 0.5~5重量%
前記(1)~(4)の単量体を構成単位とする乳化共重合体エマルジョン固形分で100重量部、造膜助剤1~20重量部、骨材250~650重量部、着色顔料5~30重量部及び分散剤0.5~3重量部から成るカラー舗装材料。」

イ 第1頁右下欄第15行~第2頁左上欄第6行

「 本発明者らは、これらの問題点を解決すべく鋭意研究の結果、アクリル系架橋基を導入したアクリル酸エステル系乳化共重合体エマルジョンに造膜助剤、骨材、着色顔料及び分散剤を混合分散して成る常温乾燥型水系カラー舗装材料は耐水性、耐摩耗性、接着性、耐衝撃性、耐油性、耐候性などが優れ、特に接着性、耐水性が格段に優れ、実用上充分適用出来ること。即ち、従来は水系で困難とされていた運動場、サイクリング道路、商店街道路、ビルの屋上、などの過酷な条件の場所にも充分適用可能であることを発見し、本発明を完成するに至った。」

ウ 第3頁右上欄第19行~左下欄第4行

「 骨材は、例えば硅砂、アスベスト、寒水石、石粉、繊維類、炭酸カルシウム、ガラスビーズなどがあり、その使用量は該エマルジョン固形分100重量部に250~650重量部必要であり、この範囲をはずれるとカラー舗装材料は耐摩耗性、接着性、耐水性が劣るので好ましくない。」

エ 第3頁左下欄第5~13行

「 着色顔料は、例えば酸化チタン、弁柄、群青、酸化クロム、カドミウムイエロー、クロムイエロー、鉛白、カーボンブラックなどの無機顔料及びアゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、アントラキノン系、フタロシアニン系などの有機顔料などが挙げられる。その使用量は該エマルジョン固形分100重量部に5~30重置部必要であり、この範囲をはずれるとカラー舗装材料の適度な着色度にならず、且つ耐候性に悪影響を及ぼす。」

オ 第3頁右下欄第4~12行

「 本発明のカラー舗装材料は常温乾燥型であるため、加熱装置などは一切不要であり、通常の塗装方法、例えばスプレー、レーキ、コテなどを使用して下地、例えばアスファルト、コンクリート、アスファルトコンクリート、モルタルなどの表面に直接塗装施工できる。具体的な施工場所としては、簡易道路、テニスコート、遊歩道路、屋内外プールサイド、運動場、サイクング道路、建物の屋上などが挙げられる。」

カ 第4頁右上欄第14行~左下欄第1行

「実施例1.
合成例1で得たエマルジョン固形分で100部にポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル5部、硅砂7号311部、アスベストW-45 17部、酸化クロム系オキサイドグリーンGN11部及びトリポリ燐酸ソーダ1部、消泡剤0.5部を添加し、充分分散混合して本発明のカラー舗装材料を得た。」

キ 第4頁左下欄第2~8行

「実施例2.
合成例2で得たエマルジョン固形分で100部にジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート6部、硅砂7号592部、アスベストW-35 16部、酸化鉄21部、トリポリ燐酸ソーダ2部、消泡剤1部を添加し、充分分散混合して本発明のカラー舗装材料を得た。」

ク 第4頁左下欄第9~16行

「実施例3.
合成例1で得たエマルジョン固形分で100部にテキサノール3部及びフタル酸ジブチル3部、硅砂7号200部、硅砂8号200部、アスベストW-35 15部、酸化鉄15部、トリポリ燐酸ソーダ2部、消泡剤1部を添加し、充分分散混合して本発明のカラー舗装拐料を得た。」

ケ 第4頁左下欄第17行~右下欄第4行

「実施例4.
合成例2で得たエマルジョン固形分で100部にテキサノール6部、硅粉200部、硅砂6号100部、硅砂7号100部、アスベストW-35 15部、酸化クロム系オキサイドグリーンGN(バイエル社製)1.5部、トリポリ燐酸ソーダ2部、消泡剤1部を添加し、充分分散混合して本発明のカラー舗装材料を得た。」

コ 上記カ~ケより、エマルジョンに各材料を添加し、充分分散混合してカラー舗装材料を得ることが見てとれる。

(2)上記(1)を総合すると、甲第2号証には、以下の発明(以下「甲2-1発明」~「甲2-3発明」という。)が記載されていると認められる。

<甲2-1発明>

「(1)アクリル酸エステル
(2)メタクリル酸エステル及び/又はスチレン
(3)メタクリル酸グリシジル、N-メチロールアク1ノルアミド、アクリルアミド、アクリル酸グリシジルから選ばれた1種又は2種以上
(4)不飽和カルボン酸
前記(1)~(4)の単量体を構成単位とする乳化共重合体エマルジョン固形分で100重量部、造膜助剤1~20重量部、骨材250~650重量部、着色顔料5~30重量部及び分散剤0.5~3重量部から成る常温乾燥型水系カラー舗装材料であるカラー舗装材料であって(特許請求の範囲及び第1頁右下欄第15行~第2頁左上欄第6行)、
サイクリング道路、商店街道路などの過酷な条件の場所に適用可能であり(第1頁右下欄第15行~第2頁左上欄第6行)、
骨材は、アスベスト、繊維類などがあり(第3頁右上欄第19行~左下欄第4行)、
着色顔料は、酸化チタン、鉛白などの無機顔料及びアゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料などが挙げられ(第3頁左下欄第5~13行)、
カラー舗装材料は常温乾燥型であるため、スプレー、レーキ、コテなどを使用して、アスファルト、コンクリート、アスファルトコンクリート、モルタルなどの表面に直接塗装施工できる(第3頁右下欄第4~12行)、
カラー舗装材料。」

<甲2-2発明>

「(1)アクリル酸エステル
(2)メタクリル酸エステル及び/又はスチレン
(3)メタクリル酸グリシジル、N-メチロールアク1ノルアミド、アクリルアミド、アクリル酸グリシジルから選ばれた1種又は2種以上
(4)不飽和カルボン酸
続きを表示(全11行)
前記(1)~(4)の単量体を構成単位とする乳化共重合体エマルジョン固形分で100重量部、造膜助剤1~20重量部、骨材250~650重量部、着色顔料5~30重量部及び分散剤0.5~3重量部から成る常温乾燥型水系カラー舗装材料であるカラー舗装材料の製造方法であって(特許請求の範囲及び第1頁右下欄第15行~第2頁左上欄第6行)、
サイクリング道路、商店街道路などの過酷な条件の場所に適用可能であり(第1頁右下欄第15行~第2頁左上欄第6行)、
骨材は、アスベスト、繊維類などがあり(第3頁右上欄第19行~左下欄第4行)、
着色顔料は、酸化チタン、鉛白などの無機顔料及びアゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料などが挙げられ(第3頁左下欄第5~13行)、
カラー舗装材料は常温乾燥型であるため、スプレー、レーキ、コテなどを使用して、アスファルト、コンクリート、アスファルトコンクリート、モルタルなどの表面に直接塗装施工でき(第3頁右下欄第4~12行)、
エマルジョンに各材料を添加し、充分分散混合してカラー舗装材料を得た(第4頁右上欄第14行~左下欄第1行、第4頁左下欄第2~8行、第4頁左下欄第9~16行、第4頁左下欄第17行~右下欄第4行及び上記(1)コ)、
カラー舗装材料の製造方法。」

<甲2-3発明>

「(1)アクリル酸エステル
(2)メタクリル酸エステル及び/又はスチレン
(3)メタクリル酸グリシジル、N-メチロールアク1ノルアミド、アクリルアミド、アクリル酸グリシジルから選ばれた1種又は2種以上
(4)不飽和カルボン酸
前記(1)~(4)の単量体を構成単位とする乳化共重合体エマルジョン固形分で100重量部、造膜助剤1~20重量部、骨材250~650重量部、着色顔料5~30重量部及び分散剤0.5~3重量部から成る常温乾燥型水系カラー舗装材料であるカラー舗装材料(特許請求の範囲及び第1頁右下欄第15行~第2頁左上欄第6行)で形成したコーティングであって、
サイクリング道路、商店街道路などの過酷な条件の場所に適用可能であり(第1頁右下欄第15行~第2頁左上欄第6行)、
骨材は、アスベスト、繊維類などがあり(第3頁右上欄第19行~左下欄第4行)、
着色顔料は、酸化チタン、鉛白などの無機顔料及びアゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料などが挙げられ(第3頁左下欄第5~13行)、
カラー舗装材料は常温乾燥型であるため、スプレー、レーキ、コテなどを使用して、アスファルト、コンクリート、アスファルトコンクリート、モルタルなどの表面に直接塗装施工できる(第3頁右下欄第4~12行)、
カラー舗装材料で形成したコーティング。」

3 甲第3号証

(1)甲第3号証の記載事項

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甲第3号証には、以下の記載がある。

ア 【請求項1】

「【請求項1】1.a.ガラス転移温度(以下、「Tg」という。)が-20~10℃の合成樹脂エマルションを含有し、顔料容積濃度(以下、「PVC」という。)が30~50%の下記水性塗料組成物Aを第一層として塗装し、
2.第一層が乾燥後に、続いてその表面に、b.Tgが0~20℃の架橋形合成樹脂エマルションを含有し、PVCが40~60%の下記水性塗料組成物Bを第二層として塗装することを特徴とする床被覆用水性塗料組成物の施工方法。
水性塗料組成物A:c.繊維長5~30μm、繊維径0.05~1μmの無機質繊維、d.粒径が45~250μmの無機質粉体を混合した無機質粉粒体を含有する。
水性塗料組成物B:c.繊維長5~30μm、繊維径0.05~1μmの無機質繊維、e.粒径が0.5~45μmのものと45~1000μmのものを混合した無機質粉粒体を含有する。」

イ 段落【0024】~【0025】

「【0024】
【発明の実施の形態】本発明の水性塗料組成物Aで使用する合成樹脂エマルションは、Tgが-20~10℃であれば特に限定されるものではなく、製造方法も通常の合成樹脂エマルションの重合方法によるものである。
【0025】この際に使用される重合性モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-ブチルアクリレート等のアクリル系モノマー、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等のメタクリル系モノマー、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル等からTgが前述の範囲になるように適宜選択して使用することができる。但し、Tgや耐久性を考慮した場合には、アクリル系モノマーとスチレンモノマーとの共重合エマルションが好ましい。」

ウ 段落【0027】

「【0027】次に水性塗料組成物Bで使用する合成樹脂エマルションとしては、架橋形であり、Tgが0~20℃のものであれば特に限定されるものではない。重合性モノマーとしては、前述の水性塗料Aの合成樹脂エマルションと同様のものに加えて、架橋反応を生じる官能基モノマーの組み合せの何れかを含有することが必要である。」

エ 段落【0028】

「【0028】本発明では、水性塗料組成物Aとして、前述の非架橋形合成樹脂エマルションを使用して、その顔料容積濃度(以下、「PVC」という。)を30~50%に調整して第一層として塗装し、水性塗料組成物Bとして、前述の架橋形合成樹脂エマルションを使用して、そのPVCを40~60%に調整して第二層として、第一層乾燥後にその表面に塗装する。これにより、比較的柔らかいアスファルトのような下地面においても、第一層がこれに追従し、表面の耐摩耗性については第二層が形成する強固な塗膜により十分なものとなる。」

オ 段落【0036】

「【0036】次に無機質粉体または無機質粉粒体とは、水性塗料組成物Aにおいては粒径が45~250μmのものを、水性塗料組成物Bにおいては、粒径が0.5~45μmと45~1000μmのものを混合したものであり、一般に塗料中に体質顔料として配合するものであれば特に限定されるものではない。このような無機質粉体としては、重質炭酸カルシウム、寒水石、カオリン、クレー、珪藻土、タルク、バライト粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、珪砂、石英粉等があげられる。各水性塗料組成物において粒径が範囲外となると、無機質繊維との複合作用である乾燥収縮の緩和効果が十分に発揮されない。」

カ 段落【0037】

「【0037】本発明の各水性塗料組成物は、前述の各構成成分以外にも通常塗料に配合することが可能な各種の添加剤、すなわち分散剤、増粘剤、湿潤調整剤、防腐剤、抗菌剤、防藻剤、難燃剤等を配合することができる。また、着色顔料や着色骨材等の配合により色彩を付与することが可能である。」

キ 段落【0057】、【表1】、【表2】及び【表3】

「【0057】(配合例1~配合例20)本発明の効果確認のために第一層(下層)、第二層(上層)となる各水性塗料組成物について製造した。これらの水性塗料組成物の製造に用いた原料は、表1に記載したものを用い各配合は表2および表3に記載のようにした。
【表1】
[図:0001413385000001.jpg]
【表2】
[図:0001413385000002.jpg]
【表3】
[図:0001413385000003.jpg]
」

ク 表1より、「着色顔料は、酸化チタン、黄色酸化鉄、べんがら等である」ことが見てとれる。

ケ 段落【0078】

「【0078】
【発明の効果】本発明は、溶剤形塗り床材に含有される、有害な揮発性有機化合物の含有量が比較的少なく、従来の溶剤形や無溶剤形の場合のような、最適塗膜を得るための配合比率への注意を必要とはしない、一液で常温硬化可能な水性の塗り床材である。さらに、塗装下地がアスファルトのような比較的柔らかいものの場合でも、下地に追従できるとともに、塗膜表面の耐摩耗性等の強度は十分有している。また、水の蒸発を必然とする水性塗材の硬化機構により、低温時の反応性の遅さや、水分蒸発による肉痩せを原因とするクラックの発生等の問題を解決し、凹凸の激しい床面において第一層により平滑面を形成し、第二層によって耐摩耗性に優れる表面を形成する床面被覆施工方法である。また、第二層の施工に際し、型材を用いて凹凸模様を形成する場合においても、型材と第一層表面との隙間に第二層の水性塗料組成物がにじみ込まないような状態となっているため、凸部境界部の稜線が明確でシャープな凸部模様を形成することが可能であるという効果がある。」

(2)上記(1)を総合すると、甲第3号証には、以下の発明(以下「甲3-1発明」~「甲3-3発明」という。)が記載されていると認められる。

<甲3-1発明>

「ガラス転移温度(以下、「Tg」という。)が-20~10℃の合成樹脂エマルションを含有し、顔料容積濃度(以下、「PVC」という。)が30~50%の下記水性塗料組成物Aを第一層として塗装し、第一層が乾燥後に、続いてその表面に、Tgが0~20℃の架橋形合成樹脂エマルションを含有し、PVCが40~60%の下記水性塗料組成物Bを第二層として塗装する床被覆用水性塗料組成物であって(【請求項1】)、
水性塗料組成物Aが繊維長5~30μm、繊維径0.05~1μmの無機質繊維、粒径が45~250μmの無機質粉体を混合した無機質粉粒体を含有し(【請求項1】)、
水性塗料組成物Bが繊維長5~30μm、繊維径0.05~1μmの無機質繊維、粒径が0.5~45μmのものと45~1000μmのものを混合した無機質粉粒体を含有し(【請求項1】)、
水性塗料組成物Aで使用する合成樹脂エマルションに使用される重合性モノマーとしては、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー等を使用することができ、アクリル系モノマーとスチレンモノマーとの共重合エマルションが好ましく(【0025】)、
続きを表示(全12行)
水性塗料組成物Bで使用する合成樹脂エマルションの重合性モノマーとしては、前述の水性塗料Aの合成樹脂エマルションと同様のものに加えて、架橋反応を生じる官能基モノマーの組み合せの何れかを含有し(【0027】)、
水性塗料組成物Aを第一層として塗装し、水性塗料組成物Bを第二層として、第一層乾燥後にその表面に塗装し、これにより、比較的柔らかいアスファルトのような下地面においても、第一層がこれに追従し、表面の耐摩耗性については第二層が形成する強固な塗膜により十分なものとなり(【0028】)、
無機質粉体または無機質粉粒体とは、水性塗料組成物Aにおいては粒径が45~250μmのものを、水性塗料組成物Bにおいては、粒径が0.5~45μmと45~1000μmのものを混合したものであり、一般に塗料中に体質顔料として配合するものであり(【0036】)、
無機質粉体としては、珪砂等があげられ(【0036】)、
着色顔料や着色骨材等の配合により色彩を付与することが可能であり(【0037】)、
着色顔料は、酸化チタン、黄色酸化鉄、べんがら等であり(【0057】及び上記(1)ク)、
一液で常温硬化可能な水性の塗り床材である(【0078】)、
床被覆用水性塗料組成物。」

<甲3-2発明>

「ガラス転移温度(以下、「Tg」という。)が-20~10℃の合成樹脂エマルションを含有し、顔料容積濃度(以下、「PVC」という。)が30~50%の下記水性塗料組成物Aを第一層として塗装し、第一層が乾燥後に、続いてその表面に、Tgが0~20℃の架橋形合成樹脂エマルションを含有し、PVCが40~60%の下記水性塗料組成物Bを第二層として塗装する床被覆用水性塗料組成物(【請求項1】)を製造する製造方法であって、
水性塗料組成物Aが繊維長5~30μm、繊維径0.05~1μmの無機質繊維、粒径が45~250μmの無機質粉体を混合した無機質粉粒体を含有し(【請求項1】)、
水性塗料組成物Bが繊維長5~30μm、繊維径0.05~1μmの無機質繊維、粒径が0.5~45μmのものと45~1000μmのものを混合した無機質粉粒体を含有し(【請求項1】)、
水性塗料組成物Aで使用する合成樹脂エマルションに使用される重合性モノマーとしては、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー等を使用することができ、アクリル系モノマーとスチレンモノマーとの共重合エマルションが好ましく(【0025】)、
続きを表示(全13行)
水性塗料組成物Bで使用する合成樹脂エマルションの重合性モノマーとしては、前述の水性塗料Aの合成樹脂エマルションと同様のものに加えて、架橋反応を生じる官能基モノマーの組み合せの何れかを含有し(【0027】)、
水性塗料組成物Aを第一層として塗装し、水性塗料組成物Bを第二層として、第一層乾燥後にその表面に塗装し、これにより、比較的柔らかいアスファルトのような下地面においても、第一層がこれに追従し、表面の耐摩耗性については第二層が形成する強固な塗膜により十分なものとなり(【0028】)、
無機質粉体または無機質粉粒体とは、水性塗料組成物Aにおいては粒径が45~250μmのものを、水性塗料組成物Bにおいては、粒径が0.5~45μmと45~1000μmのものを混合したものであり、一般に塗料中に体質顔料として配合するものであり(【0036】)、
無機質粉体としては、珪砂等があげられ(【0036】)、
着色顔料や着色骨材等の配合により色彩を付与することが可能であり(【0037】)、
着色顔料は、酸化チタン、黄色酸化鉄、べんがら等であり(【0057】及び上記(1)ク)、
一液で常温硬化可能な水性の塗り床材であり(【0078】)、
各原料を配合して製造する(【0057】)、
床被覆用水性塗料組成物の製造方法。」

<甲3-3発明>

「ガラス転移温度(以下、「Tg」という。)が-20~10℃の合成樹脂エマルションを含有し、顔料容積濃度(以下、「PVC」という。)が30~50%の下記水性塗料組成物Aを第一層として塗装し、第一層が乾燥後に、続いてその表面に、Tgが0~20℃の架橋形合成樹脂エマルションを含有し、PVCが40~60%の下記水性塗料組成物Bを第二層として塗装する床被覆用水性塗料組成物を塗装して形成した塗膜であって(【請求項1】及び【0028】)、
水性塗料組成物Aが繊維長5~30μm、繊維径0.05~1μmの無機質繊維、粒径が45~250μmの無機質粉体を混合した無機質粉粒体を含有し(【請求項1】)、
水性塗料組成物Bが繊維長5~30μm、繊維径0.05~1μmの無機質繊維、粒径が0.5~45μmのものと45~1000μmのものを混合した無機質粉粒体を含有し(【請求項1】)、
水性塗料組成物Aで使用する合成樹脂エマルションに使用される重合性モノマーとしては、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー等を使用することができ、アクリル系モノマーとスチレンモノマーとの共重合エマルションが好ましく(【0025】)、
続きを表示(全12行)
水性塗料組成物Bで使用する合成樹脂エマルションの重合性モノマーとしては、前述の水性塗料Aの合成樹脂エマルションと同様のものに加えて、架橋反応を生じる官能基モノマーの組み合せの何れかを含有し(【0027】)、
水性塗料組成物Aを第一層として塗装し、水性塗料組成物Bを第二層として、第一層乾燥後にその表面に塗装し、これにより、比較的柔らかいアスファルトのような下地面においても、第一層がこれに追従し、表面の耐摩耗性については第二層が形成する強固な塗膜により十分なものとなり(【0028】)、
無機質粉体または無機質粉粒体とは、水性塗料組成物Aにおいては粒径が45~250μmのものを、水性塗料組成物Bにおいては、粒径が0.5~45μmと45~1000μmのものを混合したものであり、一般に塗料中に体質顔料として配合するものであり(【0036】)、
無機質粉体としては、珪砂等があげられ(【0036】)、
着色顔料や着色骨材等の配合により色彩を付与することが可能であり(【0037】)、
着色顔料は、酸化チタン、黄色酸化鉄、べんがら等であり(【0057】及び上記(1)ク)、
一液で常温硬化可能な水性の塗り床材である(【0078】)、
床被覆用水性塗料組成物を塗装して形成した塗膜。」

第5 当審の判断

1 本件特許発明1について

(1)甲1-1発明を主引用発明として

ア 対比

本件特許発明1と甲1-1発明とを対比する。

(ア)主剤と硬化剤を反応させて硬化して塗膜を形成する2液型の塗料及び自然乾燥などにより塗膜を形成する1液型の塗料は、本件特許の特許出願時において技術常識である。

そして、甲1-1発明において、「カラー舗装材」は、「水系カラー舗装材」であり、常温乾燥型であるため、「スプレー、レーキ、コテなど」を使用して、「アスファルトコンクリート、コンクリート、モルタルなど」の表面に「直接塗装施工」でき、1液型の塗料であることは明らかである。

したがって、本件特許発明1の「遮熱性水系塗料」と、甲1-1発明の「カラー舗装材」は、「1液型であ」る「水系塗料」である点で共通する。

(イ)甲1-1発明の「多層構造を有するポリマーの水性エマルジョン」は、本件特許発明1の「エマルション系バインダー」に相当する。

(ウ)甲1-1発明の「酸化チタン」や「アゾ系やフタロシアニン系有機顔料」は、本件特許発明1の「遮熱材」に相当する。

(エ)本件特許発明1の「無機繊維又は疎水性の有機繊維」のうちの「繊維」と、甲1-1発明の「繊維類」は、「繊維」である点で共通する。

(オ)本件特許発明1において、「遮熱性水系塗料」が「遮熱材」及び「繊維」を含み、「遮熱性舗装用コーティング材」が「遮熱性水系塗料」と、「骨材」とを含むことと、甲1-1発明において、「カラー舗装材」が「酸化チタンなどの無機顔料」及び、「アゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料」などが挙げられる「着色顔料」と、「繊維類」などがある「骨材」とを含むことは、「舗装用コーティング材」が「骨材」を含み、「遮熱材」や「繊維」が原料の候補の一つとして挙げられる点で共通する。

(カ)甲1-1発明の「カラー舗装材」が「常温乾燥型」であることや甲第1号証に保水性ゲル又は吸水性樹脂について記載されていないことから、甲1-1発明において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」は明らかであり、本件特許発明1において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」に相当する。

(キ)以上を総合すると、本件特許発明1と甲1-1発明とは、少なくとも相違点1において相違する。

<相違点1>

本件特許発明1では、「遮熱性水系塗料」が「遮熱材」及び「繊維」を含み、「遮熱性舗装用コーティング材」が「遮熱性水系塗料」と、「骨材」とを含むのに対し、甲1-1発明では、「カラー舗装材」が「遮熱材」、「繊維」及び「骨材」のすべてを含むことが特定されていない点。

イ 判断

甲1-1発明は「骨材としては繊維類などがあり」とあるように「繊維類」はあくまで「骨材」の一つとして挙げられているのみであり、「骨材」と「繊維類」とを共に含むものではない。また、甲第1号証にその点を示唆する記載もない。

したがって、本件特許発明1と甲1-1発明との間に実質的な相違点が存在するから、本件特許発明1は、甲1-1発明ではない。

また、甲第1号証全体の記載及び他の全ての証拠の記載を見ても、甲1-1発明において、「着色顔料」として「酸化チタン」又は「アゾ系やフタロシアニン系有機顔料」を選択するとともに、「骨材」と「繊維類」とを共に含むものとする動機付けがあるとは言えない。

そして、本件特許発明1は、相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすことにより、遮熱性コーティングの強度又は柔軟性を高めるとの格別の効果を奏するものである。

よって、本件特許発明1が、甲1-1発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。

ウ 小括

以上のとおりであるから、本件特許発明1は甲1-1発明ではない。

また、本件特許発明1は、甲1-1発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。

(2)甲2-1発明を主引用発明として

ア 対比

本件特許発明1と甲2-1発明とを対比する。

(ア)主剤と硬化剤を反応させて硬化して塗膜を形成する2液型の塗料及び自然乾燥などにより塗膜を形成する1液型の塗料は、本件特許の特許出願時において技術常識である。

そして、甲2-1発明において、「カラー舗装材料」は、「常温乾燥型水系カラー舗装材料」であり、「スプレー、レーキ、コテなど」を使用して、「アスファルト、コンクリート、アスファルトコンクリート、モルタルなど」の表面に「直接塗装施工」できることから、1液型の塗料であることは明らかである。

したがって、本件特許発明1の「遮熱性水系塗料」と、甲2-1発明の「カラー舗装材料」は、「1液型であ」る「水系塗料」である点で共通する。

(イ)甲2-1発明の「乳化共重合体エマルジョン」は、本件特許発明1の「エマルション系バインダー」に相当する。

(ウ)甲2-1発明の「酸化チタン」、「鉛白」、「アゾ系、フタロシアニン系有機顔料」は、本件特許発明1の「遮熱材」に相当する。

(エ)甲2-1発明の「アスベスト」は、本願特許発明1の「無機繊維」に相当する。

(オ)本件特許発明1において、「遮熱性水系塗料」が「遮熱材」及び「繊維」を含み、「遮熱性舗装用コーティング材」が「遮熱性水系塗料」と、「骨材」とを含むことと、甲2-1発明において、「カラー舗装材料」が「酸化チタン、鉛白などの無機顔料」及び、「アゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料」などが挙げられる「着色顔料」と、「アスベスト」などがある「骨材」とを含むことは、「舗装用コーティング材」が「骨材」を含み、「遮熱材」や「繊維」が原料の候補の一つとして挙げられる点で共通する。

(カ)甲2-1発明の「カラー舗装材料」が「常温乾燥型」であることや甲第2号証に保水性ゲル又は吸水性樹脂について記載されていないことから、甲2-1発明において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」は明らかであり、本件特許発明1において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」に相当する。

(キ)以上を総合すると、本件特許発明1と甲2-1発明とは、少なくとも相違点2において相違する。

<相違点2>

本件特許発明1では、「遮熱性水系塗料」が「遮熱材」及び「繊維」を含み、「遮熱性舗装用コーティング材」が「遮熱性水系塗料」と、「骨材」とを含むのに対し、甲2-1発明では、「カラー舗装材料」が「遮熱材」、「繊維」及び「骨材」のすべてを含むことが特定されていない点。

イ 判断

(ア)相違点2の検討

甲2-1発明は「着色顔料は、酸化チタン、鉛白などの無機顔料及びアゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料などが挙げられ」、「骨材は、アスベスト、繊維類などがあり」とあるように、「酸化チタン、鉛白などの無機顔料」や「アゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料」はあくまで「着色顔料」の一つとして挙げられ、「アスベスト」や「繊維類」はあくまで「骨材」の一つとして挙げられているのみであり、「酸化チタン、鉛白などの無機顔料」や「アゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料」と、「骨材」と、「アスベスト」や「繊維類」とを共に含むものではない。また、甲第2号証にその点を示唆する記載もない。

したがって、本件特許発明1と甲2-1発明との間に実質的な相違点が存在するから、本件特許発明1は、甲2-1発明ではない。

また、甲第2号証全体の記載及び他の全ての証拠の記載を見ても、甲2-1発明において、「着色顔料」として「酸化チタン」、「鉛白」又は「アゾ系、フタロシアニン系有機顔料」を選択するとともに、「骨材」と、「アスベスト」や「繊維類」とを共に含むものとする動機付けがあるとは言えない。

そして、本件特許発明1は、相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすことにより、遮熱性コーティングの強度又は柔軟性を高めるとの格別の効果を奏するものである。

よって、本件特許発明1が、甲2-1発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。

(イ)小括

以上のとおりであるから、本件特許発明1は甲2-1発明ではない。

また、本件特許発明1は、甲2-1発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。

(3)甲3-1発明を主引用発明として

ア 対比

本件特許発明1と甲3-1発明とを対比する。

(ア)甲3-1発明において、「床被覆用水性塗料組成物」は、「一液で常温硬化可能な水性の塗り床材」であることから、本件特許発明1の「遮熱性水系塗料」と、甲3-1発明の「床被覆用水性塗料組成物」は、「1液型であ」る「水系塗料」である点で共通する。

(イ)甲3-1発明の「合成樹脂エマルション」は、本件特許発明1の「エマルション系バインダー」に相当する。

(ウ)甲3-1発明の「酸化チタン」は、本件特許発明1の「遮熱材」に相当する。

(エ)甲3-1発明の「無機質繊維」は、本件特許発明1の「無機繊維」である「繊維」に相当する。

(オ)甲3-1発明の「着色骨材」は、本件特許発明1の「骨材」に相当する。

なお、甲3-1発明には、「無機質粉体」として「珪砂」が挙げられているが、甲3-1発明における「無機質粉体」は「体質顔料として配合されるもの」である。

ここで、体質顔料は、塗料の量を増やしたり艶を消すために配合されるものであり、一方、骨材は、すべり止めや塗膜の強度を増大するために配合されるものであるというのが例示するまでもない技術常識であるから、体質顔料であれば直ちに骨材であるとは言えない。

そのため、本件特許発明1の「骨材」と、甲3-1発明の「珪砂」は一致するとは言えない。

(カ)本件特許発明1において、「遮熱性水系塗料」が「遮熱材」及び「繊維」を含み、「遮熱性舗装用コーティング材」が「遮熱性水系塗料」と、「骨材」とを含むことと、甲3-1発明において、「床被覆用水性塗料組成物」が「酸化チタン、黄色酸化鉄、べんがらなど」である「着色顔料」と、「無機質繊維」を含有することは、「舗装用コーティング材」が「無機繊維」である「繊維」を含み、「遮熱材」が原料の候補の一つとして挙げられる点で共通する。

(キ)甲3-1発明の「床被覆用水性塗料組成物」が「常温硬化可能な水性の塗り床材」であることや甲第3号証に保水性ゲル又は吸水性樹脂について記載されていないことから、甲3-1発明において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」は明らかであり、本件特許発明1において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」に相当する。

(ク)以上を総合すると、本件特許発明1と甲3-1発明とは、少なくとも相違点3において相違する。

<相違点3>

本件特許発明1では、「遮熱性水系塗料」が「遮熱材」及び「繊維」を含み、「遮熱性舗装用コーティング材」が「遮熱性水系塗料」と、「骨材」とを含むのに対し、甲3-1発明では、「床被覆用水性塗料組成物」が「遮熱材」、「繊維」及び「骨材」のすべてを含むことが特定されていない点。

イ 判断

(ア)相違点3の検討

甲3-1発明は「着色顔料や着色骨材等の配合により色彩を付与することが可能であり」、「着色顔料は、酸化チタン、黄色酸化鉄、べんがら等であり」とあるように、「着色顔料」や「着色骨材」は「色彩を付与する」ための任意の材料であり、「酸化チタン」はあくまで「着色顔料」の一つとして挙げられているのみであることから、「酸化チタン」と「無機質繊維」と「着色骨材」とを共に含むものではない。また、甲第3号証にその点を示唆する記載もない。

したがって、本件特許発明1と甲3-1発明との間に実質的な相違点が存在するから、本件特許発明1は、甲3-1発明ではない。

また、甲第3号証全体の記載及び他の全ての証拠の記載を見ても、甲3-1発明において、酸化チタン」と「無機質繊維」と「着色骨材」とを共に含むものとする動機付けがあるとは言えない。

そして、本件特許発明1は、相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすことにより、遮熱性コーティングの強度又は柔軟性を高めるとの格別の効果を奏するものである。

よって、本件特許発明1が、甲3-1発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。

(イ)小括

以上のとおりであるから、本件特許発明1は甲3-1発明ではない。

また、本件特許発明1は、甲3-1発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。

2 本件特許発明7について

(1)甲1-2発明を主引用発明として

ア 対比

本件特許発明7と甲1-2発明とを対比する。

(ア)主剤と硬化剤を反応させて硬化して塗膜を形成する2液型の塗料及び自然乾燥などにより塗膜を形成する1液型の塗料は、本件特許の特許出願時において技術常識である。

そして、甲1-2発明において、「カラー舗装材」は、「水系カラー舗装材」であり、常温乾燥型であるため、「スプレー、レーキ、コテなど」を使用して、「アスファルトコンクリート、コンクリート、モルタルなど」の表面に「直接塗装施工」でき、1液型の塗料であることは明らかである。

したがって、本件特許発明7の「遮熱性水系塗料」と、甲1-2発明の「カラー舗装材」は、「1液型であ」る「水系塗料」である点で共通する。

(イ)甲1-2発明の「多層構造を有するポリマーの水性エマルジョン」は、本件特許発明7の「エマルション系バインダー」に相当する。

(ウ)甲1-2発明の「酸化チタン」や「アゾ系やフタロシアニン系有機顔料」は、本件特許発明7の「遮熱材」に相当する。

(エ)本件特許発明7の「無機繊維又は疎水性の有機繊維」である「繊維」と、甲1-2発明の「繊維類」は、「繊維」である点で共通する。

(オ)本件特許発明7において、「遮熱性水系塗料」が「遮熱材」及び「繊維」を含み、「遮熱性舗装用コーティング材」が「遮熱性水系塗料」と、「骨材」とを含むことと、甲1-2発明において、「カラー舗装材」が「酸化チタンなどの無機顔料」及び、「アゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料」などが挙げられる「着色顔料」と、「繊維類」などがある「骨材」とを含むことは、「舗装用コーティング材」が「骨材」を含み、「遮熱材」や「繊維」が原料の候補の一つとして挙げられる点で共通する。

(カ)甲1-2発明の「カラー舗装材」が「常温乾燥型」であることや甲第1号証に保水性ゲル又は吸水性樹脂について記載されていないことから、甲1-2発明において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」は明らかであり、本件特許発明7において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」に相当する。

(キ)本件特許発明7において、「遮熱性水系塗料」が「遮熱材」及び「繊維」を含み、「遮熱性舗装用コーティング材」の「製造方法」が「遮熱性水系塗料」と、「骨材」とを「混合」することを含むことと、甲1-2発明において、「エマルジョン」に「各材料」を添加し、充分分散「混合」してカラー舗装材を得ることは、「各材料を混合することを含む、舗装用コーティング材の製造方法」である点で共通する。

(ク)以上を総合すると、本件特許発明7と甲1-2発明とは、少なくとも上記1(1)アで示した相違点1において相違する。

イ 判断

(ア)相違点1の検討

上記1(1)イにおいて検討したとおりである。

(イ)小括

以上のとおりであるから、本件特許発明7は甲1-2発明ではない。

また、上記1(1)イと同様に、本件特許発明7は、甲1-2発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。

(1)甲2-2発明を主引用発明として

ア 対比

本件特許発明7と甲2-2発明とを対比する。

(ア)主剤と硬化剤を反応させて硬化して塗膜を形成する2液型の塗料及び自然乾燥などにより塗膜を形成する1液型の塗料は、本件特許の特許出願時において技術常識である。

そして、甲2-2発明において、「カラー舗装材料」は、「常温乾燥型水系カラー舗装材料」であり、「スプレー、レーキ、コテなど」を使用して、「アスファルト、コンクリート、アスファルトコンクリート、モルタルなど」の表面に「直接塗装施工」できることから、1液型の塗料であることは明らかである。

したがって、本件特許発明7の「遮熱性水系塗料」と、甲2-2発明の「カラー舗装材料」は、「1液型であ」る「水系塗料」である点で共通する。

(イ)甲2-2発明の「乳化共重合体エマルジョン」は、本件特許発明7の「エマルション系バインダー」に相当する。

(ウ)甲2-2発明の「酸化チタン」、「鉛白」、「アゾ系、フタロシアニン系有機顔料」は、本件特許発明7の「遮熱材」に相当する。

(エ)甲2-2発明の「アスベスト」は、本願特許発明7の「無機繊維」に相当する。

(オ)本件特許発明7において、「遮熱性水系塗料」が「遮熱材」及び「繊維」を含み、「遮熱性舗装用コーティング材」が「遮熱性水系塗料」と、「骨材」とを含むことと、甲2-2発明において、「カラー舗装材料」が「酸化チタン、鉛白などの無機顔料」及び、「アゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料」などが挙げられる「着色顔料」と、「アスベスト」などがある「骨材」とを含むことは、「舗装用コーティング材」が「骨材」を含み、「遮熱材」や「繊維」が原料の候補の一つとして挙げられる点で共通する。

(カ)甲2-2発明の「カラー舗装材料」が「常温乾燥型」であることや甲第2号証に保水性ゲル又は吸水性樹脂について記載されていないことから、甲2-2発明において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」は明らかであり、本件特許発明7において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」に相当する。

(キ)本件特許発明7において、「遮熱性水系塗料」が「遮熱材」及び「繊維」を含み、「遮熱性舗装用コーティング材」の「製造方法」が「遮熱性水系塗料」と、「骨材」とを「混合」することを含むことと、甲2-2発明において、「エマルジョン」に「各材料」を添加し、充分分散「混合」してカラー舗装材を得ることは、「各材料を混合することを含む、舗装用コーティング材の製造方法」である点で共通する。

(ク)以上を総合すると、本件特許発明7と甲2-2発明とは、少なくとも上記1(2)アで示した相違点2において相違する。

イ 判断

(ア)相違点2の検討

上記1(2)イにおいて検討したとおりである。

(イ)小括

以上のとおりであるから、本件特許発明7は甲2-2発明ではない。

また、上記1(2)イと同様に、本件特許発明7は、甲2-2発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。

(1)甲3-2発明を主引用発明として

ア 対比

本件特許発明7と甲3-2発明とを対比する。

(ア)甲3-2発明において、「床被覆用水性塗料組成物」は、「一液で常温硬化可能な水性の塗り床材」であることから、本件特許発明7の「遮熱性水系塗料」と、甲3-2発明の「床被覆用水性塗料組成物」は、「1液型であ」る「水系塗料」である点で共通する。

(イ)甲3-2発明の「合成樹脂エマルション」は、本件特許発明7の「エマルション系バインダー」に相当する。

(ウ)甲3-2発明の「酸化チタン」は、本件特許発明7の「遮熱材」に相当する。

(エ)甲3-2発明の「無機質繊維」は、本件特許発明7の「無機繊維」である「繊維」に相当する。

(オ)甲3-2発明の「着色骨材」は、本件特許発明7の「骨材」に相当する。

なお、甲3-2発明には、「無機質粉体」として「珪砂」が挙げられているが、甲3-2発明における「無機質粉体」は「体質顔料として配合されるもの」である。

ここで、上記1(3)ア(オ)に示したように、体質顔料であれば直ちに骨材であるとは言えない。

そのため、本件特許発明7の「骨材」と、甲3-2発明の「珪砂」は一致するとは言えない。

(カ)本件特許発明7において、「遮熱性水系塗料」が「遮熱材」及び「繊維」を含み、「遮熱性舗装用コーティング材」が「遮熱性水系塗料」と、「骨材」とを含むことと、甲3-2発明において、「床被覆用水性塗料組成物」が「酸化チタン、黄色酸化鉄、べんがらなど」である「着色顔料」と、「無機質繊維」を含有ことは、「舗装用コーティング材」が「無機繊維」である「繊維」を含み、「遮熱材」が原料の候補の一つとして挙げられる点で共通する。

(キ)甲3-2発明の「床被覆用水性塗料組成物」が「常温硬化可能な水性の塗り床材」であることや甲第3号証に保水性ゲル又は吸水性樹脂について記載されていないことから、甲3-2発明において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」は明らかであり、本件特許発明7において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」に相当する。

(ク)本件特許発明7において、「遮熱性水系塗料」が「遮熱材」及び「繊維」を含み、「遮熱性舗装用コーティング材」の「製造方法」が「遮熱性水系塗料」と、「骨材」とを「混合」することを含むことと、甲3-2発明において、各原料を配合して製造することは、「各材料を混合することを含む、舗装用コーティング材の製造方法」である点で共通する。

(ケ)以上を総合すると、本件特許発明7と甲3-2発明とは、少なくとも上記1(3)アで示した相違点3において相違する。

イ 判断

(ア)相違点3の検討

上記1(3)イにおいて検討したとおりである。

(イ)小括

以上のとおりであるから、本件特許発明7は甲3-2発明ではない。

また、上記1(3)イと同様に、本件特許発明7は、甲3-2発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。

3 本件特許発明8について

(1)甲1-3発明を主引用発明として

ア 対比

本件特許発明8と甲1-3発明とを対比する。

(ア)甲1-3発明において、カラー舗装材は、常温乾燥型であることから、甲1-3発明において「多層構造を有するポリマーの水性エマルジョン」が常温乾燥したものは、本件特許発明8の「樹脂バインダー」に相当する。

(イ)甲1-3発明の「酸化チタン」や「アゾ系やフタロシアニン系有機顔料」は、本件特許発明8の「遮熱材」に相当する。

(ウ)本件特許発明8の「無機繊維又は疎水性の有機繊維」である「繊維」と、甲1-3発明の「繊維類」は、「繊維」である点で共通する。

(エ)甲1-3発明の「アクリル系架橋反応性モノマーの1種又は2種以上を含」む「多層構造エマルジョン」は、本件特許発明8の「(メタ)アクリル樹脂エマルション」に相当する。

(オ)本件特許発明8における、「樹脂バインダー」、「遮熱材」、「繊維」及び「骨材」を含む「遮熱性舗装用コーティング」と、甲1-3発明における、「水性エマルジョン」、「酸化チタンなどの無機顔料」及び「アゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料」などが挙げられる「着色顔料」、「繊維類」などがある「骨材」を含む「カラー舗装材」により形成される皮膜は、「樹脂バインダー」、「骨材」を含む「舗装用コーティング」であって、「遮熱材」や「繊維」が原料の候補の一つとして挙げられる「舗装用コーティング」である点で共通する。

(カ)甲1-3発明の「カラー舗装材」が「常温乾燥型」であることや甲第1号証に保水性ゲル又は吸水性樹脂について記載されていないことから、甲1-3発明において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」は明らかであり、本件特許発明8において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」に相当する。

(キ)以上を総合すると、本件特許発明8と甲1-3発明とは、少なくとも上記1(1)アで示した相違点1において相違する。

イ 判断

(ア)相違点1の検討

上記1(1)イにおいて検討したとおりである。

(イ)小括

以上のとおりであるから、本件特許発明8は甲1-3発明ではない。

また、上記1(1)イと同様に、本件特許発明8は、甲1-3発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。

(2)甲2-3発明を主引用発明として

ア 対比

本件特許発明8と甲2-3発明とを対比する。

(ア)甲2-3発明の「乳化共重合体エマルジョン」が常温乾燥したものは、本件特許発明8の「樹脂バインダー」に相当する。

(イ)甲2-3発明の「酸化チタン」、「鉛白」、「アゾ系、フタロシアニン系有機顔料」は、本件特許発明8の「遮熱材」に相当する。

(ウ)甲2-3発明の「アスベスト」は、本願特許発明8の「無機繊維」に相当する。

(エ)甲2-3発明の「(1)アクリル酸エステル」、「(2)メタクリル酸エステル及び/又はスチレン」、「(3)メタクリル酸グリシジル、N-メチロールアク1ノルアミド、アクリルアミド、アクリル酸グリシジルから選ばれた1種又は2種以上」、「(4)不飽和カルボン酸」「前記(1)~(4)の単量体を構成単位とする乳化共重合体エマルジョン」は、本件特許発明8の「(メタ)アクリル樹脂エマルション」に相当する。

(オ)本件特許発明8における、「樹脂バインダー」、「遮熱材」、「繊維」及び「骨材」を含む「遮熱性舗装用コーティング」と、甲2-3発明における、「乳化共重合エマルジョン」、「酸化チタン、鉛白などの無機顔料」及び、「アゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料」などが挙げられる「着色顔料」、「アスベスト」などがある「骨材」を含む「カラー舗装材料」で形成したコーティングは、「樹脂バインダー」、「骨材」を含む「舗装用コーティング」であって、「遮熱材」や「繊維」が原料の候補の一つとして挙げられる「舗装用コーティング」である点で共通する。

(カ)甲2-3発明の「カラー舗装材料」が「常温乾燥型」であることや甲第2号証に保水性ゲル又は吸水性樹脂について記載されていないことから、甲2-3発明において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」は明らかであり、本件特許発明8において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」に相当する。

(キ)以上を総合すると、本件特許発明8と甲2-3発明とは、少なくとも上記1(2)アで示した相違点2において相違する。

イ 判断

(ア)相違点2の検討

上記1(2)イにおいて検討したとおりである。

(イ)小括

以上のとおりであるから、本件特許発明8は甲2-3発明ではない。

また、上記1(2)イと同様に、本件特許発明8は、甲2-3発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。

(3)甲3-3発明を主引用発明として

ア 対比

本件特許発明8と甲3-3発明とを対比する。

(ア)甲3-3発明において、カラー舗装材は、常温硬化可能であることから、甲3-3発明において「合成樹脂エマルション」が常温硬化したものは、本件特許発明8の「樹脂バインダー」に相当する。

(イ)甲3-3発明の「酸化チタン」は、本件特許発明8の「遮熱材」に相当する。

(ウ)甲3-3発明の「無機質繊維」は、本件特許発明8の「無機繊維」である「繊維」に相当する。

(エ)甲3-3発明において、「合成樹脂エマルション」に使用される「重合性モノマー」としては、「アクリル系モノマー」、「メタクリル系モノマー」等を使用することができ、「アクリル系モノマーとスチレンモノマーとの共重合エマルション」が好ましいことから、甲3-3発明の「合成樹脂エマルション」は、本件特許発明8の「(メタ)アクリル樹脂エマルション」又は「スチレン-(メタ)アクリル樹脂エマルション」に相当する。

(オ)甲3-3発明の「着色骨材」は、本件特許発明8の「骨材」に相当する。

なお、甲3-3発明には、「無機質粉体」として「珪砂」が挙げられているが、甲3-3発明における「無機質粉体」は「体質顔料として配合されるもの」である。

ここで、上記1(3)ア(オ)で示したように、体質顔料であれば直ちに骨材であるとは言えない。

そのため、本件特許発明8の「骨材」と、甲3-3発明の「珪砂」は一致するとは言えない。

(カ)本件特許発明8における、「樹脂バインダー」、「遮熱材」、「繊維」及び「骨材」を含む「遮熱性舗装用コーティング」と、甲3-3発明における、「合成樹脂エマルション」、「酸化チタン、黄色酸化鉄、べんがらなど」である「着色顔料」、「無機質繊維」を含む「床被覆用水性塗料組成物」を塗装して形成した塗膜は、「樹脂バインダー」、及び「繊維」を含む「舗装用コーティング」であって、「遮熱材」が原料の候補の一つとして挙げられる「舗装用コーティング」である点で共通する。

(キ)甲3-3発明の「床被覆用水性塗料組成物」が「常温硬化可能な水性の塗り床材」であることや甲第3号証に保水性ゲル又は吸水性樹脂について記載されていないことから、甲3-3発明において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」は明らかであり、本件特許発明8において「保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まないこと」に相当する。

(ク)以上を総合すると、本件特許発明8と甲3-3発明とは、少なくとも上記1(3)アで示した相違点3において相違する。

イ 判断

(ア)相違点3の検討

上記1(3)イにおいて検討したとおりである。

(イ)小括

以上のとおりであるから、本件特許発明8は甲3-3発明ではない。

また、上記1(3)イと同様に、本件特許発明8は、甲3-3発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。

4 本件特許発明2~6,9について

本件特許発明2~6,9は、本件特許発明1又は本件特許発明8の構成をすべて含み、更に減縮したものであるから、上記1,3と同様の理由により、申立人が提出した証拠に記載された発明と同一ではない。

また、本件特許発明2~6,9は、申立人が提出した証拠に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。

5 申立書における申立人の主張の検討

(1)申立人の主張

申立人は、申立書において、以下の点を主張している。

(主張1)甲第1号証に記載された発明との対比

申立書第14頁第32行~第15頁第19行

「(アー1)本件特許発明1と甲1-1発明とを対比する。
・・・
したがって、両者は、以下の点で一致する。
A)遮熱性水系塗料と
続きを表示(全12行)
B)骨材とを含む、遮熱性舗装用コーティング材であって、
C)前記遮熱性水系塗料が、1液型であり、
D)エマルション系バインダー、
E)遮熱材、及び
F)繊維を含み、
G)保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まず、かつ
H)前記繊維が、無機繊維又は疎水性の有機繊維である、
I)遮熱性舗装用コーティング材」

申立書第20頁第17行~第21頁第9行

「(キー1)本件特許発明と甲1-7発明とを対比する。
・・・
したがって、両者は、以下の点で一致する。
O)遮熱性水系塗料と、骨材とを混合することを含む、遮熱性舗装用コーティング材の製造方法であって、
続きを表示(全11行)
C2)前記遮熱性水系塗料が、1液型であり、
D2)エマルション系バインダー、
E2)遮熱材、及び
F2)繊維を含み、
G2)保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まず、かつ
H2)前記繊維が、無機繊維又は疎水性の有機繊維である、
P)遮熱性舗装用コーティング材の製造方法」

申立書第22頁第35行~第23頁第30行

「(クー1)本件特許発明8と甲1-8発明とを対比する。
・・・
したがって、両者は、以下の点で一致する。
Q)樹脂バインダー、
続きを表示(全11行)
E3)遮熱材、
F3)繊維、及び
B3)骨材を含み、
G3)保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まない遮熱性舗装用コーティングであって、
H3)前記繊維が、無機繊維又は疎水性の有機繊維であり、かつ
R)前記樹脂バインダーが、(メタ)アクリル樹脂エマルション、スチレン-(メタ)アクリル樹脂エマルション、ポリエステル-(メタ)アクリル樹脂エマルション、シリコーン-(メタ)アクリル-エステル樹脂エマルション、EVA-アクリル-エステル樹脂エマルション、ポリエステル系エマルション、又はポリエステル系エマルションから得られるバインダーを含む、
S)遮熱性舗装用コーティング。」

(主張2)甲第2号証に記載された発明との対比

申立書第15頁第20行~第16頁第4行

「(アー2)本件特許発明1と甲2-1発明とを対比する。
・・・
したがって、両者は、以下の点で一致する。
A)遮熱性水系塗料と
続きを表示(全12行)
B)骨材とを含む、遮熱性舗装用コーティング材であって、
C)前記遮熱性水系塗料が、1液型であり、
D)エマルション系バインダー、
E)遮熱材、及び
F)繊維を含み、
G)保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まず、かつ
H)前記繊維が、無機繊維又は疎水性の有機繊維である、
I)遮熱性舗装用コーティング材」

申立書第21頁第10行~第22頁第2行

「(キー2)本件特許発明7と甲2-7発明とを対比する。
・・・
したがって、両者は、以下の点で一致する。
O)遮熱性水系塗料と、骨材とを混合することを含む、遮熱性舗装用コーティング材の製造方法であって、
続きを表示(全11行)
C2)前記遮熱性水系塗料が、1液型であり、
D2)エマルション系バインダー、
E2)遮熱材、及び
F2)繊維を含み、
G2)保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まず、かつ
H2)前記繊維が、無機繊維又は疎水性の有機繊維である、
P)遮熱性舗装用コーティング材の製造方法」

申立書第23頁第31行~第24頁第28行

「(クー2)本件特許発明8と甲2-8発明とを対比する。
・・・
したがって、両者は、以下の点で一致する。
Q)樹脂バインダー、
続きを表示(全11行)
E3)遮熱材、
F3)繊維、及び
B3)骨材を含み、
G3)保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まない遮熱性舗装用コーティングであって、
H3)前記繊維が、無機繊維又は疎水性の有機繊維であり、かつ
R)前記樹脂バインダーが、(メタ)アクリル樹脂エマルション、スチレン-(メタ)アクリル樹脂エマルション、ポリエステル-(メタ)アクリル樹脂エマルション、シリコーン-(メタ)アクリル-エステル樹脂エマルション、EVA-アクリル-エステル樹脂エマルション、ポリエステル系エマルション、又はポリエステル系エマルションから得られるバインダーを含む、
S)遮熱性舗装用コーティング。」

(主張3)甲第3号証に記載された発明との対比

申立書第16頁第5~23行

「(アー3)本件特許発明1と甲3-1発明とを対比する。
・・・
・・・
したがって、両者は、以下の点で一致する。
続きを表示(全13行)
A)遮熱性水系塗料と
B)骨材とを含む、遮熱性舗装用コーティング材であって、
C)前記遮熱性水系塗料が、1液型であり、
D)エマルション系バインダー、
E)遮熱材、及び
F)繊維を含み、
G)保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まず、かつ
H)前記繊維が、無機繊維又は疎水性の有機繊維である、
I)遮熱性舗装用コーティング材」

申立書第22頁第3~33行

「(キー3)本件特許発明7と甲3-7発明とを対比する。
・・・
したがって、両者は、以下の点で一致する。
Q)樹脂バインダー、
続きを表示(全11行)
E3)遮熱材、
F3)繊維、及び
B3)骨材を含み、
G3)保水性ゲル又は吸水性樹脂を実質的に含まない遮熱性舗装用コーティングであって、
H3)前記繊維が、無機繊維又は疎水性の有機繊維であり、かつ
R)前記樹脂バインダーが、(メタ)アクリル樹脂エマルション、スチレン-(メタ)アクリル樹脂エマルション、ポリエステル-(メタ)アクリル樹脂エマルション、シリコーン-(メタ)アクリル-エステル樹脂エマルション、EVA-アクリル-エステル樹脂エマルション、ポリエステル系エマルション、又はポリエステル系エマルションから得られるバインダーを含む、
S)遮熱性舗装用コーティング。」

(2)当審における判断

(主張1)について、上記1(1)イで検討したとおり、上記甲第1号証には、「カラー舗装材」が「遮熱材」、「繊維」及び「骨材」のすべてを含む構成は記載されておらず、申立人主張のように、本件特許発明1,7及び8と甲第1号証に記載された発明が、「遮熱性水系塗料」と「骨材」とを含む、「遮熱性舗装用コーティング材」であって、「前記遮熱性水系塗料」が、「エマルション系バインダー」、「遮熱材」、及び「繊維」を含む点で一致するとは言えず、また、この点に関する相違点1について検討、判断したとおり、甲1-1発明、甲1-2発明及び甲1-3発明に基いて容易に発明できたものでない。

以上のように、申立人の主張は採用できない。

(主張2)について、上記1(2)イで検討したとおり、上記甲第2号証には、「カラー舗装材料」が「遮熱材」、「繊維」及び「骨材」のすべてを含む構成は記載されておらず、申立人主張のように、本件特許発明1,7及び8と甲第2号証に記載された発明が、「遮熱性水系塗料」と「骨材」とを含む、「遮熱性舗装用コーティング材」であって、「前記遮熱性水系塗料」が、「エマルション系バインダー」、「遮熱材」、及び「繊維」を含む点で一致するとは言えず、また、この点に関する相違点2について検討、判断したとおり、甲2-1発明、甲2-2発明及び甲2-3発明に基いて容易に発明できたものでない。

以上のように、申立人の主張は採用できない。

(主張3)について、申立人が認定した甲3-1発明、甲3-7発明及び甲3-8発明における「珪砂」について、上記1(3)アで検討したとおり、「珪砂」が「骨材」であるとは言えない。

したがって、本願特許発明1,7,8の「骨材」と、甲3-1発明、甲3-7発明及び甲3-8発明における「珪砂」は一致するとは言えない。

また、上記1(3)イで検討したとおり、甲第3号証には、「水性塗料組成物」が「遮熱材」、「繊維」及び「骨材」のすべてを含む構成が記載されておらず、申立人主張のように、本件特許発明1,7,8と甲第3号証に記載された発明が、「遮熱性水系塗料」と「骨材」とを含む、「遮熱性舗装用コーティング材」であって、「前記遮熱性水系塗料」が、「エマルション系バインダー」、「遮熱材」、及び「繊維」を含む点で一致するとは言えず、また、この点に関する相違点3について検討、判断したとおり、甲3-1発明、甲3-2発明及び甲3-3発明に基いて容易に発明できたものでない。

以上のように、申立人の主張は採用できない。

第6 むすび

したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~9に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に請求項1~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

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2024-700543

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  • 2024-700901異議申立 / 2026-01-21 / 訂正認容導電性顔料ペースト、合材ペースト、及びリチウムイオン電池用電極
    共通の審決分類: 113・C09D、121・C09D
  • 2025-700554異議申立 / 2025-12-04 / 訂正認容導電性インキおよびその製造方法、導電性印刷物、導電体およびその製造方法、ならびに…
    共通の審決分類: 113・C09D、121・C09D

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