特許異議申立
2023-700199
電線処理装置
- 審判番号
- 2023-700199
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-102393
- 登録番号
- 7149225
- 請求日
- 2023年02月21日
- 審決日
- 2023年06月22日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】新明和工業株式会社
- 【権利者代理人】後藤 高志
- 【権利者代理人】山根 広昭
- 【異議申立人】島村 悦子
- 審判長/審判官
- 審判長 林 毅
- 審判官 脇岡 剛
- 審判官 稲垣 良一
- 分類
- P1652.113-Y (H02G) / P1652.121-Y (H02G) / P1652.537-Y (H02G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7149225号発明「電線処理装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7149225号の請求項に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7149225号の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、令和元年5月31日に出願され、令和4年9月28日にその特許権の設定登録がされ、令和4年10月6日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和5年2月21日に特許異議申立人 島村 悦子(以下、「異議申立人」という。)により、特許異議の申立てがなされた。
第2 申立理由の概要
1.申立理由1(新規性)
本件の請求項1、2、3及び6に係る発明は、下記甲第1号証に記載された発明であって、本件請求項1、2、3及び6に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから、取り消すべきものである。(特許異議申立書第1頁「(1)申し立ての理由の要約」、第25頁7行~末行)
2.申立理由2(進歩性)
本件の請求項1、2、3及び6に係る発明は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものであって、本件請求項1、2、3及び6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消すべきものである。(特許異議申立書第1頁「(1)申し立ての理由の要約」、第25頁7行~末行)
3.申立理由3(サポート要件)
本件の請求項1及び2に係る発明は、本件特許発明の課題を解決し得ない技術を含むものであり、いわゆるサポート要件を充足していない。
よって、本件請求項1及び2に係る特許は、特許法第36条第6項第1項に規定する要件を満たしていないから、取り消すべきものである。(特許異議申立書第1頁「(1)申し立ての理由の要約」、第26頁1行~4行)
4.証拠
甲第1号証:特許第6068206号公報
第3 本件特許発明
特許第7149225号の請求項1、2、3及び6に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」、「本件特許発明2」、「本件特許発明3」、「本件特許発明6」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1、2、3及び6(以下、それぞれ「請求項1」、「請求項2」、「請求項3」及び「請求項6」という。)に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
心線と前記心線の周囲を囲む被覆材とを有する電線を処理する電線処理装置であって、
前記電線を後方に送り出すと共に測長する電線供給装置と、
前記電線供給装置の後方に配置され、前記電線を切断する上側および下側の切断刃と、前記電線供給装置の後方かつ前記切断刃の前方に配置された上側および下側の前ストリップ刃と、前記切断刃の後方に配置された上側および下側の後ストリップ刃と、を有するカッター装置と、
前記電線供給装置よりも後方かつ前記前ストリップ刃よりも前方に配置され、前記電線の把持および把持の解除が可能に構成されたクランプと、
前記クランプを前記前ストリップ刃の前方の加工位置と前記加工位置と異なる他の位置との間で移動させるクランプアクチュエータと、
少なくとも一部が前記切断刃と前記前ストリップ刃との間、および、前記切断刃と前記後ストリップ刃との間に配置され、前記クランプの前記加工位置への移動に伴って搬送される前記電線の搬送方向と反対の方向に開いた形状に形成され、前記電線の後方への送り出しを案内するガイド部材と、
前記クランプを前記他の位置から前記加工位置へ移動させると共に、前記クランプが前記加工位置に到達した後に前記電線の送り出しおよび測長を終了するように、前記クランプアクチュエータおよび前記電線供給装置を制御する制御装置と、
を備えた電線処理装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記クランプが前記他の位置から前記加工位置への移動を開始した時以降に前記電線の送り出しおよび測長を開始するように、前記クランプアクチュエータおよび前記電線供給装置を制御するように構成されている、請求項1に記載の電線処理装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前後方向および左右方向に延びる上ガイド板と、前後方向および左右方向に延び、前記上ガイド板から下方に離間した下ガイド板と、を有し、
前記上ガイド板は、上側の切断刃と上側の前ストリップ刃との間に配置された前部と、上側の切断刃と上側の後ストリップ刃との間に配置された後部と、前記前部と前記後部との間に形成され、前記上側の切断刃が上下に挿通する溝部と、を含み、
前記下ガイド板は、下側の切断刃と下側の前ストリップ刃との間に配置された前部と、下側の切断刃と下側の後ストリップ刃との間に配置された後部と、前記前部と前記後部との間に形成され、前記下側の切断刃が上下に挿通する溝部と、を含んでいる、請求項1または2に記載の電線処理装置。
【請求項6】
前記切断刃と前記前ストリップ刃との間、および、前記切断刃と前記後ストリップ刃との間にて開口する吸引口を有し、剥ぎ取られた被覆材を吸引する吸引機構を備え、
前記ガイド部材は、前記吸引口の周囲の少なくとも一部を囲んでいる、請求項1~5のいずれか一つに記載の電線処理装置。」
第4 甲第1号証の記載事項
1.甲第1号証の記載
甲第1号証(以下、「甲1」という。)には、図面と共に次の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。また【図1】(a)については、その一部を当審で拡大したものである。)
「【0008】
具体的には、第1の発明では、電線を供給する電線供給部と、供給された電線を切断し、該切り離された電線及び電線供給部側の電線の端部の被覆材に切り込んで剥ぎ取るカッタユニットと、剥ぎ取り後の電線の端部の端末処理を行う前段と後段の端末処理部とを備えた電線加工装置を前提とし、
上記カッタユニットは、
上記電線供給部から供給された電線を切断する切断刃と、
上記切り離された電線及び電線供給部側の電線の端部の被覆材にそれぞれ切り込んで剥ぎ取る一対のストリップ刃とを有し、
上記一対のストリップ刃は、上記切断刃を挟み込むように上記電線の供給方向に並んで配置され、
上記カッタユニットにおける上記切り離された電線側の端部を処理する上記後段の端末処理部側には、上記一対のストリップ刃によって剥ぎ取られた被覆材を吸引する吸引管の吸引口が配置されており、
上記吸引口は、上記カッタユニットの、前段の端末処理部と電線を介して反対側の、上記切断刃及び一対のストリップにできるだけ近付いた位置に配置されている。
・・
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、
上記吸引口には、複数の突起部が設けられ、該突起部が上記切断刃と上記一対のストリップ刃との間に挿入されている。
・・
【0014】
第4の発明では、第1~第3のいずれか1つの発明において、
上記電線供給部は、供給する電線の長さを測長する測長ユニットを備え、
上記電線供給部側の電線の端部を上記端末処理部で処理した後に上記電線供給部で繰り出して測長しながら、上記カッタユニット上へ戻るように構成されている。
【0015】
上記の構成によると、旋回しながら電線を繰り出して測長を行っても、吸引管に接触することがないので、さらに処理時間を短縮することができる。
・・
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態にかかる電線加工装置に設けられたカッタユニット及び吸引部を拡大して示し、(a)が吸引口側から見た斜視図で、(b)が吸引部の背面側から見た斜視図である。
・・
【図6】内旋回しながら測長する様子を示す平面図である。
【図7】測長工程を示す平面図である。
・・
【図10】従来技術にかかる電線加工装置が電線を送り出して次の電線の加工を行う様子を示す図7相当図である。
・・
【0019】
-電線加工装置の構成-
まず、電線加工装置1の構成について簡単に説明する。図2は本発明の実施形態の電線加工装置1の簡略化したレイアウトを示す。電線加工装置1は、鋼板等の部材を組み立てたベース2を備え、このベース2に所定長さの電線50の両端部の端末処理工程を連続的に行う種々の機器が配置されている。図2に示すように、電線50が巻かれた巻取ロール(図示せず)側を前段(フロント側)とし、電線50の先端側を後段(リア側)としている。そして、原則として前段電線50Fの処理に用いる装置のそれぞれには、参照符号に「F」を付し、後段電線50Rの処理に用いる装置のそれぞれには、参照符号に「R」を付している。電線50は、例えば銅線などの導体で構成される芯線を絶縁体よりなる被覆材51で覆ったものよりなる。
【0020】
詳しくは図示しないが、電線加工装置1は、電線供給部を有し、この電線供給部は、伸線機、電線送給ベルト及び測長ユニット3とを備えている。電線50は、伸線機により巻取ロールで巻かれた際の巻き癖が矯正された後、電線送給ベルトで端末処理工程に送られ、測長ユニット3で電線50の長さを測定するように構成されている。
【0021】
電線加工装置1は、CPUやメモリなどを備えるプロセッサによって構成される制御部としての制御装置4(図2にのみ示す)を備え、この制御装置4は、電線加工装置1の各種センサの信号に基づいて電線加工装置1の各種の制御対象機器の動作を制御するようになっている。
【0022】
ベース2上には、カッタユニット5が配置されている。このカッタユニット5は、電線供給部から供給された電線50を切断する電線切断刃5Cと、供給されてくる前段電線50F及び切断されて切り離された後段電線50Rの端部の被覆材51にそれぞれ切り込んで剥ぎ取る一対のストリップ刃5F,5Rとを有する。電線切断刃5Cは、電線50の供給方向に対して垂直に配置され、一対のストリップ刃5F,5Rは、電線切断刃5Cに対して平行に電線50の供給方向に(図2の上下方向の供給ライン上に)ほぼ一直線上に並べられている。
【0023】
また、ベース2上には、電線50を掴んで移動させる一対のクランプ10F,10Rが設けられている。
【0024】
さらに、ベース2上には、一対の端末処理部としての圧着機20F,20Rが設けられている。詳しくは図示しないが、圧着機20F,20Rは、それぞれプレス部材を備え、端子53のインシュレーションバレルが電線50の被覆材51にかしめられ、ワイヤバレルが芯線にかしめられるようになっている。
【0025】
そして、本発明の特徴として、図1及び図2に示すように、カッタユニット5における後段の圧着機20R側には、一対のストリップ刃5F,5Rによって剥ぎ取られた被覆材51を吸引する吸引管30の吸引口31が配置されている。吸引口31は、カッタユニット5の可動域を避けるように電線切断刃5C及び一対のストリップ刃5F,5Rにできるだけ近付けて配置され、それぞれの刃の間に例えば水平に延びる合計4つの突起部31aが挿入され、被覆材51のカスを確実に吸引できるようになっている。吸引口31は、例えば樹脂成形品よりなるので、複雑な形状でも成形が容易である。吸引管30は、例えば図示しない真空ポンプに連結され、吸引されたカスは、所定箇所に集められるようになっている。
・・
【0027】
-本実施形態の電線加工装置の作動-
次いで、本実施形態の電線加工装置1の作動について説明する。まず、図2に示すように、前の工程で圧着機20Fで圧着された端子53が電線50の先端に取り付けられている。送り動作停止後に電線50がクランプ10F,10Rに把持される。
【0028】
次いで、切断工程において、測長されて送り出されてきた電線50を電線切断刃5Cで挟み込んで切断する。次いで、図3に示すストリップ位置まで切断後の後段電線50Rと、未だ連続した状態にある供給側の前段電線50Fとをそれぞれ後退させる。
【0029】
次いでストリップ工程において、ストリップ刃5F,5Rが芯線に傷をつけないように被覆材51に切り込みを入れる。次いで、ストリップ刃5F,5Rで被覆材51を引っかけた状態で、図4に示すように各電線50F,50Rを後退させると、被覆材51のカスが飛び出す。このとき、図1に示すように、吸引口31がストリップ刃5F,5Rのきわめて近くに配置され、しかも突起部31aが突出しているので、カスは確実に吸引管30に吸い込まれていく。
【0030】
次いで、端末処理工程において、圧着機20F,20Rに向かってクランプ10F,10Rが旋回する。次いで、図5に示すように端子53が前段及び後段でそれぞれ圧着される。
【0031】
次いで、例えば図示しないセンサなどの検査部で端子53が良好に圧着されたことを確認後に再びカッタユニット5に向かって旋回する。このとき前段のクランプ10Fは、端子53が圧着されたことにより、前段電線50Fの先端の長さが伸びているが、吸引管30は、カッタユニット5の圧着機20F側に配置されていないため、後退することなく旋回できる。しかも圧着機20Fとの接触が回避される領域を超えると、旋回と共に測長ユニット3で測長しながら電線50が送り出される。
【0032】
一方で、後段側では、図7に示すように、端子圧着された後段電線50Rを保持するクランプ10Rは、後退することなく旋回し、再びカッタユニット5側へ戻される。この時、クランプ10Rは、その途中の排出トレイ40の上部で後段電線50Rを離し排出トレイ40に排出するため、吸引管30に干渉することなくカッタユニット5に戻ることができる。このように後退動作を行わずに後段電線50Rを排出させることができるので、後段電線50R側でも処理時間を短縮できる。
【0033】
この効果は、従来技術と比較すると明らかである。従来のものでは、図8に示すように、クランプ110Fは、圧着後そのまま旋回すると、吸引管130Fに端子153が接触してしまう。このため、図9に示すように、戻り動作を行うと共に旋回動作を行う。そして、クランプ110Fで電線150をカッタユニット105まで旋回させてから図10に示すように、測長ユニット103で測長を行っている。しかも、図9においては、後段の圧着機120Rで圧着後の電線150Rは、クランプ110Rの手前の排出トレイ140に排出するために戻り動作を行っている。
・・」
「
【図1】(a)
[図:0001399403000001.jpg]
【図2】
[図:0001399403000002.jpg]
【図5】
[図:0001399403000003.jpg]
【図6】
[図:0001399403000004.jpg]
【図7】
[図:0001399403000005.jpg]
」
2.甲第1号証に記載された発明
(1)上記1の段落【0008】によると、甲1には、電線を供給する電線供給部と、供給された電線を切断し、該切り離された電線及び電線供給部側の電線の端部の被覆材に切り込んで剥ぎ取るカッタユニットと、剥ぎ取り後の電線の端部の端末処理を行う端末処理部とを備えた電線加工装置であって、上記カッタユニットには、切断刃と、一対のストリップ刃とを有し、上記カッタユニットの端末処理部側には、剥ぎ取られた被覆材を吸引する吸引管の吸引口が配置されている、電線加工装置が記載されているといえる。
(2)上記1の段落【0021】の記載、及び、図2(制御装置4)によると、甲1の上記電線加工装置は、電線加工装置の各種の制御対象機器の動作を制御する制御装置を備えているといえる。
(3)上記1の段落【0020】、【0031】の記載、図6及び図7によると、甲1の上記電線供給部は、電線送給ベルトと測長ユニット3とを用いて電線を送り出しながら測長するものであるといえる。ここで、上記1の図2(下部の矢印「供給方向」)によると、上記電線供給部が電線を送り出しながら測長する方向は、カッタユニットの方向であることが見て取れる。
よって、甲1の上記電線供給部は、電線をカッタユニットの方向に送り出しながら測長するものであるといえる。
(4)上記1の図1(切断刃5C)及び図2(同5C)によると、甲1の上記切断刃は、カッタユニットの上側及び下側にそれぞれ設けられたものであることが見て取れる。
また、上記1の図1(ストリップ刃5F、5R)及び図2(同5F、5R)によると、甲1の上記一対のストリップ刃は、上記切断刃の前方に配置された上側および下側のストリップ刃5Fと、上記切断刃の後方に配置された上側及び下側のストリップ刃5Rとによって構成されていることが見て取れる。
よって、甲1の上記カッタユニットは、上側及び下側にそれぞれ設けられた切断刃と、上記切断刃の前方に配置された上側および下側のストリップ刃5Fと、上記切断刃の後方に配置された上側及び下側のストリップ刃5Rとを備え、供給された電線を切断し、該切り離された電線及び電線供給部側の電線の端部の被覆材に切り込んで剥ぎ取るものであるといえる。
(5) 上記1の段落【0023】、【0030】、【0031】の記載及び図2(クランプ10F、10R)によると、甲1の上記電線加工装置は、電線を把持するクランプ10Fを備えているといえる。ここで、上記1の段落【0030】~【0032】の記載、図5(クランプ10F)及び図6(クランプ10F)によると、上記クランプ10Fは、ストリップ刃5Fよりも前方に配置され、ストリップ刃5Fの前方の位置と圧着機20Fの前方の位置との間を移動するものであるといえる。
また、上記1の段落【0024】、【0027】の記載によると、上記圧着機20Fは、電線の先端に端子を取り付けるものであるから、甲1の上記端末処理部に対応することは明らかである。
よって、上記電線加工装置はクランプを備え、上記クランプは、ストリップ刃5Fよりも前方に配置され、ストリップ刃5Fの前方の位置と上記端末処理部の前方の位置との間を移動するものであるといえる。
(6)上記1の段落【0025】、【0029】の記載及び図1(突起部31a)によると、甲1の上記吸入口には、切断刃とストリップ刃5Fとの間、および、切断刃とストリップ刃5Rとの間に配置された突起部が設けられていることが見て取れる。
よって、上記カッタユニットの端末処理部側には、切断刃とストリップ刃5Fとの間、及び、切断刃とストリップ刃5Rとの間に配置された突起部が設けられた吸引口が配置されているといえる。
(7)上記(1)~(6)のとおりであるから、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「電線を供給する電線供給部と、
供給された電線を切断し、該切り離された電線及び電線供給部側の電線の端部の被覆材に切り込んで剥ぎ取るカッタユニットと、
剥ぎ取り後の電線の端部の端末処理を行う前段と後段の端末処理部と、
電線を把持するクランプと、
電線加工装置の各種の制御対象機器の動作を制御する制御装置と、
を備えた電線加工装置であって、
上記電線供給部は、電線をカッタユニットの方向に送り出しながら測長するものであり、
上記カッタユニットは、上側及び下側にそれぞれ設けられた切断刃と、上記切断刃の前方に配置された上側および下側のストリップ刃5Fと、上記切断刃の後方に配置された上側及び下側のストリップ刃5Rとを備え、
上記クランプは、ストリップ刃5Fよりも前方に配置され、ストリップ刃5Fの前方の位置と上記端末処理部の前方の位置との間を移動するものであり、
上記カッタユニットの端末処理部側には、切断刃とストリップ刃5Fとの間、及び、切断刃とストリップ刃5Rとの間に配置された突起部が設けられた吸引口が配置されている、
電線加工装置」
第5 当審の判断
1.申立理由1(新規性)、及び、申立理由2(進歩性)について
(1)本件特許発明1
ア.本件特許発明1と甲1発明との対比
(ア)甲1発明は、電線を切断し、電線の被覆材の剥ぎ取り、電線の端部の端末処理を行うという、電線の処理を行うものであるところ、電線とは「心線と心線の周囲を囲む被覆材とを有する」ものであることが技術常識であるから、甲1発明の電線加工装置は、「心線と心線の周囲を囲む被覆材とを有する電線を処理する」ものであると認められる。
よって、甲1発明の「心線と心線の周囲を囲む被覆材とを有する電線を処理する」電線加工装置は、本件特許発明1の「心線と心線の周囲を囲む被覆材とを有する電線を処理する電線処理装置」に相当する。
(イ)甲1発明のカッタユニットは、「電線処理装置」において電線の処理を行うための部位であるから、甲1発明の電源供給部は、電線をカッタユニットの方向に送り出しながら測長するものであるといえる。
ここで、本件特許明細書の段落【0029】の「電線処理装置1は、電線5を後方(図1の上方)に送り出すと共に測長する・・」との記載及び図1によると、本件特許発明1の「前記電線を後方に送り出すと共に測長する電線供給装置」によって「後方に送り出す」ことは、「電線処理装置」において電線の処理を行うための部位が存在する方向に送り出すものであると解される。
そうすると、甲1発明における電線供給部は、電線を後方に送り出すと共に測長するものであるといえるから、本件特許発明1の「前記電線を後方に送り出すと共に測長する電線供給装置」に相当する。
(ウ)上記(イ)で説示したとおり、本件特許発明1における「電線供給装置の後方」とは、電線供給装置からみて電線の処理を行うための部位が存在する方向であると解されるから、甲1発明の切断刃は、電線供給部の後方に配置されたものであるといえる。同様に、ストリップ刃5Fは、電線供給部の後方かつ切断刃の前方に配置され、ストリップ刃5Rは、電線供給部の後方かつ切断刃の後方に配置されたものであるといえる。
そうすると、甲1発明の「上側及び下側にそれぞれ設けられた切断刃」は、本件特許発明1の「前記電線を切断する上側および下側の切断刃」に相当する。また、甲1発明の「上記切断刃の前方に配置された上側および下側のストリップ刃5F」と「上記切断刃の後方に配置された上側及び下側のストリップ刃5R」とは、本件特許発明1の「前記電線供給装置の後方かつ前記切断刃の前方に配置された上側および下側の前ストリップ刃」と「前記切断刃の後方に配置された上側および下側の後ストリップ刃」とに相当する。
してみると、甲1発明のカッタユニットは、「電線供給装置の後方」に配置され、「前記電線を切断する上側および下側の切断刃」と、「前記電線供給装置の後方かつ前記切断刃の前方に配置された上側および下側の前ストリップ刃」と、「前記切断刃の後方に配置された上側および下側の後ストリップ刃」とを有するものであると認められるから、本件特許発明1の「前記電線供給装置の後方に配置され、前記電線を切断する上側および下側の切断刃と、前記電線供給装置の後方かつ前記切断刃の前方に配置された上側および下側の前ストリップ刃と、前記切断刃の後方に配置された上側および下側の後ストリップ刃と、を有するカッター装置」に相当する。
(エ)クランプとは、対象物に対する把持及び把持の解除を行うものであることが技術常識であるから、甲1発明のクランプは、電線の把持および把持の解除が可能に構成されたクランプであると認められる。
また、上記(イ)で説示したとおり、本件特許発明1における「電線供給装置の後方」とは、電線供給装置からみて電線の処理を行うための部位が存在する方向であると解されるから、甲1発明のクランプは、電線供給部よりも後方かつストリップ刃5Fよりも前方に配置されたものであるといえる。
そうすると、甲1発明のクランプは、本件特許発明1の「前記電線供給装置よりも後方かつ前記前ストリップ刃よりも前方に配置され、前記電線の把持および把持の解除が可能に構成されたクランプ」に相当する。
(オ)各種の加工装置において、クランプは、クランプアクチュエータによって移動させられることが技術常識であるから、甲1発明は、クランプをストリップ刃5Fの前方の位置と上記端末処理部の前方の位置との間を移動させるための「クランプアクチュエータ」を備えていると認められる。
そして、甲1発明のストリップ刃5Fの前方の位置は、電線の切断や被覆の剥ぎ取りを行う、すなわち、電線に対する加工を行うためにクランプが当該対象となる電線を把持する位置であることは明らかであるから、「前ストリップ刃の前方の加工位置」であり、また、甲1発明の上記端末処理部の前方の位置は「前記加工位置と異なる他の位置」であるといえる。
よって、甲1発明は、クランプを「前ストリップ刃の前方の加工位置」と「前記加工位置と異なる他の位置」との間で移動させるための「クランプアクチュエータ」を備えているといえる。
以上のとおりであるから、甲1発明における上記「クランプアクチュエータ」は、本件特許発明1の「前記クランプを前記前ストリップ刃の前方の加工位置と前記加工位置と異なる他の位置との間で移動させるクランプアクチュエータ」に相当する。
(カ)上記「第4 1」の図1(突起部31a)によると、甲1発明の突起部は、切断刃とストリップ刃5Fとの間、及び、切断刃とストリップ刃5Rとの間に配置されものであって、クランプのカッタユニットへの移動に伴って搬送される前記電線の搬送方向と反対の方向に開いた形状に形成されたものであると認められる。
よって、本件特許発明1の「ガイド部材」と甲1発明の突起部とは、「前記切断刃と前記前ストリップ刃との間、および、前記切断刃と前記後ストリップ刃との間に配置され、前記クランプの前記加工位置への移動に伴って搬送される前記電線の搬送方向と反対の方向に開いた形状に形成」されている部材である点で共通する。
(キ)甲1発明の電線加工装置が備えるクランプアクチュエータおよび電線供給部については、上記(イ)、(オ)で説示したとおりであるところ、甲1発明の制御装置は、電線加工装置の各種の制御対象機器の動作を制御するものであることからすると、上記制御装置が、クランプを「他の位置から前記加工位置へ移動させる」と共に、クランプが「前ストリップ刃の前方の加工位置」に到達した後に「電線の送り出しおよび測長を終了する」ように制御するものであることは、当業者にとって自明の事項である。
(ク)上記(ア)~(キ)のとおりであるから、本件特許発明1と甲1発明とは、次の点で一致し、また、一応相違する。
<一致点>
「心線と前記心線の周囲を囲む被覆材とを有する電線を処理する電線処理装置であって、
前記電線を後方に送り出すと共に測長する電線供給装置と、
前記電線供給装置の後方に配置され、前記電線を切断する上側および下側の切断刃と、前記電線供給装置の後方かつ前記切断刃の前方に配置された上側および下側の前ストリップ刃と、前記切断刃の後方に配置された上側および下側の後ストリップ刃と、を有するカッター装置と、
前記電線供給装置よりも後方かつ前記前ストリップ刃よりも前方に配置され、前記電線の把持および把持の解除が可能に構成されたクランプと、
前記クランプを前記前ストリップ刃の前方の加工位置と前記加工位置と異なる他の位置との間で移動させるクランプアクチュエータと、
前記クランプを前記他の位置から前記加工位置へ移動させると共に、前記クランプが前記加工位置に到達した後に前記電線の送り出しおよび測長を終了するように、前記クランプアクチュエータおよび前記電線供給装置を制御する制御装置と、
を備えた電線処理装置。」
<一応の相違点>
本件特許発明1の「ガイド部材」は、「前記切断刃と前記前ストリップ刃との間、および、前記切断刃と前記後ストリップ刃との間に配置され、前記クランプの前記加工位置への移動に伴って搬送される前記電線の搬送方向と反対の方向に開いた形状に形成」されている「前記電線の後方への送り出しを案内するガイド部材」であるのに対して、甲1発明の「突起部」は、「前記切断刃と前記前ストリップ刃との間、および、前記切断刃と前記後ストリップ刃との間に配置され、前記クランプの前記加工位置への移動に伴って搬送される前記電線の搬送方向と反対の方向に開いた形状に形成」されている部材であって、「前記電線の後方への送り出しを案内するガイド部材」であることが特定されていない点。
イ.判断
上記一応の相違点について検討する。
本件特許明細書の段落【0005】、【0011】、【0056】によると、本件特許発明1の「前記電線の後方への送り出しを案内するガイド部材」は、クランプが加工位置にあるときに電線供給装置が電線を送り出した場合に、電線の先端部が切断刃または後ストリップ刃に突き当たることを防止するものであると認められる。そして、本件特許明細書の段落【0056】及び図5によると、上記「前記電線の後方への送り出しを案内するガイド部材」の具体的実施形態として、待機状態にある上下の前ストリップ刃11の間隔、および、上下の後ストリップ刃12の間隔よりも狭い間隔の電線の案内路G1を形成したものが示されている。
他方、上記「第4 1」の段落【0025】、【0029】の記載及び図1(突起部31a)によると、甲1発明の「突起部」は、被覆材のカスを確実に吸引するためのものであるところ、当該「突起部」の間隔は、待機状態にある上下の前ストリップ刃11の間隔、および、上下の後ストリップ刃12の間隔よりも狭いものであるとはいえない。
そうすると、当業者の技術常識を参酌したとしても、甲1発明において、クランプが加工位置にあるときに電線を送り出した場合、電線の先端部が切断刃または後ストリップ刃に突き当たることを防止することができるものとは認められないから、本件特許発明1と甲1発明とは、同一ではない。
また、上記で説示したとおり、甲1発明の「突起部」は、被覆材のカスを確実に吸引するためのものであるといえるところ、甲1においては、クランプが加工位置にあるときに電線を送り出した場合のガイドとして用いることについて記載されておらず、甲1全体の記載、及び、技術常識を参酌しても、上記「突起部」を、当該ガイドとして用いる理由があるともいえない。
したがって、本件特許発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
以上のとおりであるから、本件特許発明1と甲1発明とは、同一ではなく、また、本件特許発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件特許発明2、3及び6について
上記(1)のとおり、本件特許発明1と甲1発明とは、同一ではなく、また、本件特許発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないところ、本件特許発明2、3及び6は、本件特許発明1の構成をさらに限定するものであるから、本件特許発明2、3及び6と、甲1発明とは、同一ではなく、また、本件特許発明2、3及び6は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないことは明らかである。
(3)異議申立人の主張について
ア.異議申立人の主張
異議申立人は、特許異議申立書において、概ね以下のとおり主張している。
「本件特許発明1における「電線の送り出しをガイドする」とは、「上下にガイド板が存在する間の空間を、電線の先端が揺れながら進行する状況下において、大きく揺れた電線の先端が上下のガイド板に当たってそれ以上は上下に行けないようにする」という、きわめて原始的な電線の動作に関する作用に過ぎず、その程度の機械的な作用の認識は、甲1の突起部31aの構造と、その間を進む電線の動作・作用として、甲1に接した当業者が甲1に記載されているに等しい事項として当然に把握できる事項である。」(特許異議申立書第12頁)
したがって、甲1の「突起部31a」は、本件特許発明1の「ガイド部材」に相当するから、本件特許発明1は、新規性が欠如しており、取り消すべきものである。
なお、仮に本件特許発明1が、甲1に記載された発明でないとしても、甲1発明に、甲1に示唆されている事項を単に付加した発明に過ぎず、進歩性が欠如しており、取り消すべきものである。
そして、本件特許発明2、3及び6についても同様に、新規性が欠如しており、取り消すべきものであり、また、進歩性が欠如しており、取り消すべきものである。(特許異議申立書第25頁)
イ.異議申立人の主張に関する検討
上記(1)で説示したとおり、甲1発明の「突起部」は、被覆材のカスを確実に吸引するために用いるものであるといえるところ、クランプが加工位置にあるときに電線供給装置が電線を送り出した場合のガイドとして用いることについて記載されておらず、甲第1号証全体の記載、及び、技術常識を参酌しても、上記「突起部」を、当該ガイドとして用いる理由があるともいえない。
そうすると、上記アの「本件特許発明1における「電線の送り出しをガイドする」とは、・・きわめて原始的な電線の動作に関する作用に過ぎず、その程度の機械的な作用の認識は、甲1の突起部31aの構造と、その間を進む電線の動作・作用として、甲1に接した当業者が甲1に記載されているに等しい事項として当然に把握できる事項である」とは認められない。
したがって、本件特許発明1と甲1発明とは同一ではなく、また、本件特許発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
そして、同様の理由で、本件特許発明2、3及び6は、甲1発明とは同一ではなく、また、本件特許発明2、3及び6は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
以上のとおりであるから、上記異議申立人の主張は認められない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件特許発明1、2、3及び6は、甲1発明と同一とはいえないから、請求項1、2、3及び6に係る特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるということはできない。
また、本件特許発明1、2、3及び6は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできないから、請求項1、2、3及び6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできない。
2.申立理由3について
(1)サポート要件の判断について
特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との記載を対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆が無くとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
(2)請求項1、2について
本件特許明細書の段落【0005】、【0006】、【0008】、【0009】によると、「発明が解決しようとする課題」として「切断刃およびストリップ刃が前後に配置された電線処理装置において、タクトタイムを短縮する」ことが記載されているところ、本件明細書に記載された前記課題は、クランプが加工位置にあるときに、電線の先端部が切断刃または後ストリップ刃に突き当たってしまうことを防止することができるという従来技術を前提としたものであるから、請求項1に係る発明が解決しようとする課題には、測長時に電線の先端部が切断刃または後ストリップ刃に突き当たってしまうことを防止することを含んでいると解される。
よって、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、請求項1に係る発明が解決しようとする課題として「クランプが加工位置にあるときに測長しようとした場合、電線の先端部が切断刃または後ストリップ刃に突き当たってしまうことを防止する」ことが記載されているといえる。
また、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、「クランプが加工位置にあるときに電線供給装置が電線を送り出した場合、電線に多少の曲がり癖が残っていたとしても、電線はガイド部材に案内されて真っ直ぐに送り出される」(段落【0011】)ことが記載されており、前記ガイド部材は、「クランプが加工位置にあるときに測長しようとした場合、電線の先端部が切断刃または後ストリップ刃に突き当たってしまうことを防止する」との課題を解決するための手段であるといえる。
そうすると、請求項1に係る発明においては、「クランプが加工位置にあるときに測長しようとした場合、電線の先端部が切断刃または後ストリップ刃に突き当たってしまうことを防止する」との課題を解決するために、「少なくとも一部が前記切断刃と前記前ストリップ刃との間、および、前記切断刃と前記後ストリップ刃との間に配置され、前記クランプの前記加工位置への移動に伴って搬送される前記電線の搬送方向と反対の方向に開いた形状に形成され、前記電線の後方への送り出しを案内するガイド部材」を備えるものであると認められる。
以上のとおりであるから、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、発明の詳細な説明に記載された発明であると認められる。
また、請求項1を引用する請求項2に係る発明も、同様の理由によって、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、発明の詳細な説明に記載された発明であると認められる。
(3)異議申立人の主張
ア.異議申立人の主張
異議申立人は、特許異議申立書において、概ね以下のとおり主張している。
請求項1に係る発明については、「『クランプが前記加工位置に到達した後に前記電線の送り出し及び測長を終了する』では、『電線の送り出し及び測長を開始する』時点に関し何ら規定していないのであるから、本件特許かつ名の課題『タクトタイムを短縮』(段落0009)を解決し得ない技術を「特許請求の範囲」に含むことになり、いわゆるサポート要件(特許法第36条第6項第1号)を充足していない。」(特許異議申立書第24頁「(A)請求項1の構成要件Gにおけるサポート要件不備」の2段落目)
請求項2に係る発明について「『クランプが前記他の位置から前記加工位置への移動を開始した時点以降に前記電線の送り出し及び測長を開始する』では、『電線の送り出し及び測長を開始する』時点が、『加工位置への移動を開始したとき以降』いつでもよいのであるから、現請求項2記載発明は、本発明の課題『タクトタイムを短縮』(段落0009)を解決し得ない技術を『特許請求の範囲』に含むことになり、いわゆるサポート要件(特許法第36条第6項第1号)を充足していない。」(特許異議申立書第24頁「(B)請求項2の構成要件H.におけるサポート要件不備」の2段落目)
イ.異議申立人の主張に関する検討
上記(1)で説示したとおり、請求項1に係る発明は、「クランプが加工位置にあるときに測長しようとした場合、電線の先端部が切断刃または後ストリップ刃に突き当たってしまうことを防止する」との課題を解決するために、「少なくとも一部が前記切断刃と前記前ストリップ刃との間、および、前記切断刃と前記後ストリップ刃との間に配置され、前記クランプの前記加工位置への移動に伴って搬送される前記電線の搬送方向と反対の方向に開いた形状に形成され、前記電線の後方への送り出しを案内するガイド部材」を備えるものであるから、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、発明の詳細な説明に記載された発明であると認められる。
また、請求項1を引用する請求項2に係る発明も、同様の理由によって、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、発明の詳細な説明に記載された発明であると認められる。
(3)まとめ
以上のとおり、請求項1ないし2に係る発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、発明の詳細な説明に記載された発明であるから、請求項1ないし2に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に違反してされたものであるということはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、2、3及び6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、2、3及び6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700199