特許異議申立
2018-700909
角型電線管用管継手、角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造、角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、角型電線管用管継手の継手本体
- 審判番号
- 2018-700909
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-070862
- 登録番号
- 特許第6325715号(P6325715)
- 請求日
- 2018年11月09日
- 審決日
- 2019年07月24日
- 公報発行日
- 2019年10月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】古河電気工業株式会社
- 【権利者代理人】井上 誠一
- 【異議申立人】西田 志有子
- 【異議申立人代理人】櫻井 雄三
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 信一
- 審判官 山澤 宏
- 審判官 石坂 博明
- 分類
- P1651.113-YAA(H02G) / P1651.121-YAA(H02G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6325715号発明「角型電線管用管継手、角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造、角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、角型電線管用管継手の継手本体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6325715号の明細書、及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕、〔10-16〕、17、18、19について訂正することを認める。
特許第6325715号の請求項1-17、19に係る特許を維持する。
特許第6325715号の請求項18に係る特許についての申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
特許第6325715号の請求項1乃至19に係る特許についての出願は、平成29年3月31日に特許出願され、平成30年4月20日にその特許権の設定登録がされ、同年5月16日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対して、同年11月9日に特許異議申立人 西田 志有子により特許異議の申立てがされた。そして、平成31年1月29日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成31年3月26日付けで特許権者により訂正の請求がされ、特許異議申立人に対して令和1年5月8日付けで訂正請求があった旨の通知をしたが、特許異議申立人から何ら応答がなされなかったものである。
第2.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
平成31年3月26日付けの訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は以下の訂正事項のとおりである。なお、下線は訂正部分を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項18を削除する。
(2)訂正事項2
明細書の【発明の名称】に
「角型電線管用管継手、角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造、角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、Π型固定部材、角型電線管用管継手の継手本体」
と記載されているのを、
「角型電線管用管継手、角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造、角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、角型電線管用管継手の継手本体 」に訂正する。
(3)訂正事項3
明細書の段落【0001】の【技術分野】に
「・・・角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、角型電線管用管継手に用いられるΠ型固定部材および角型電線管用管継手の継手本体に関する。」
と記載されているのを、
「・・・角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法および角型電線管用管継手の継手本体に関する。」に訂正する。
(4)訂正事項4
明細書の段落【0016】、【0054】に
「・・・角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、Π型固定部材、角型電線管用管継手の継手本体・・・」
と記載されているのを、
「・・・角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法、角型電線管用管継手の継手本体・・・」に訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0051】を削除する。
(6)訂正事項6
明細書の段落【0052】に「第5の発明は、」と記載されているのを、「第4の発明は、」に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0053】に「第4、第5の発明によれば、」と記載されているのを、「第4の発明によれば、」に訂正する。
2.訂正要件についての判断
(1)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.訂正事項1について
訂正事項1は、請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項1は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
イ.訂正事項2乃至4について
訂正事項2乃至4は、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項2乃至4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項2乃至4は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ.訂正事項5について
訂正事項5は上記訂正事項1に係る訂正に伴い、上記訂正事項1に対応する明細書中の記載を削除するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項5は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
エ.訂正事項6について
訂正事項6は、上記訂正事項5に係る訂正によって「第4の発明」として記載されていた内容を明細書から削除したことにより、それ以降に「第5の発明」と記載されていたのを、「第4の発明」と繰り上げる訂正である。すなわち、訂正事項6は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項6は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
オ.訂正事項7について
訂正事項7は、上記訂正事項5、6に係る訂正によって「第4の発明」を削除し「第5の発明」を「第4の発明」と訂正したことに伴い、それ以降に「第4、第5の発明によれば」と記載されていたのを、「第4の発明によれば」と訂正し、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項7は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
3.明細書の訂正と関係する請求項についての説明
訂正事項2乃至4は、「Π型固定部材」に関する記載を削除するものであって、特許請求の範囲に記載した全ての請求項に「Π型固定部材」は関係しており、請求項1乃至19に関係する訂正である。
そして、請求項1乃至19の全てについて訂正を請求している。
したがって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。
また、訂正事項5は、訂正事項1の訂正に伴って削除された請求項18に関する記載を削除するものであり、請求項18に関係する訂正である。
さらに、訂正事項6、7は、訂正事項5の削除に伴って、請求項19に関する発明を「第4の発明」とするものであり、請求項18、19に関係する訂正である。
そして、請求項18、19について訂正を請求している。
したがって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。
4.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第4項乃至第6項の規定に適合するので、本件訂正を認める。
第3.特許異議の申立について
1.本件発明
本件訂正により訂正された訂正請求項1乃至19に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」乃至「本件特許発明19」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1乃至19に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
雄型嵌合部と雌型嵌合部の間において、管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成される電線管の小径部中央で切断した電線管同士を接続する管継手であって、
前記管継手は、継手本体と、Π型固定部材からなり、
前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部から、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され、
前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、
前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、
前記Π型固定部材が上方から前記切欠き部へ挿入されて前記継手本体に固定される際に、前記筒状部の側面上部に、前記Π型固定部材の前記段部が載置され、前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入されることで、前記Π型固定部材が前記継手本体へ固定されることを特徴とする角型電線管用管継手。
【請求項2】
前記継手本体の前記切欠き部に対応する位置の前記筒状部の側面内側には、係合段部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の角型電線管用管継手。
【請求項3】
前記Π型固定部材の前記段部より下方の所定位置に、前記両足部の外側に向けて係合部が形成され、前記係合段部と、前記係合部とが相互に上下方向に係合することを特徴とする請求項2に記載の角型電線管用管継手。
【請求項4】
前記Π型固定部材の前記天面部の内周面が略円弧形状またはアーチ形状であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の角型電線管用管継手。
【請求項5】
前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記開口部に挿入された時に、前記両足部が、前記底部の外面から突出しないことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の角型電線管用管継手。
【請求項6】
前記切欠き部より奥側の前記継手本体の前記筒状部には、前記筒状部の内周面全周を取り囲むように止水部材が配置されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の角型電線管用管継手。
【請求項7】
前記止水部材は水膨張部材であり、前記水膨張部材は、ポリエステル繊維とポリアクリル酸ナトリウム繊維とバインダー樹脂を含む不織布であることを特徴とする請求項6に記載の角型電線管用管継手。
【請求項8】
前記止水部材はゴムパッキンで有り、前記筒状部の内周面には溝が形成され、前記溝に前記ゴムパッキンが嵌め込まれていることを特徴とする請求項6に記載の角型電線管用管継手。
【請求項9】
前記継手本体と前記Π型固定部材は、それぞれ高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、PC樹脂、ABS樹脂またはPC樹脂のポリマーアロイのいずれかからなることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の角型電線管用管継手。
【請求項10】
角型の電線管と角型電線管用の管継手の接続構造であって、
前記電線管は、雌型嵌合部と雄型嵌合部と管体からなり、前記管体の両端に接続部として前記雌型嵌合部と前記雄型嵌合部を有し、前記雄型嵌合部を前記雌型嵌合部に差し込んで接続することが可能であり、前記雄型嵌合部と前記雌型嵌合部の間において、前記管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成され、
前記管継手は、前記電線管の小径部の中央で切断した電線管同士を接続することが可能であり、
前記管継手は、継手本体と、Π型固定部材からなり、
前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部より、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され、
さらに、前記Π型固定部材の前記天面部の内周面は、円形状の小径部に整合する形状かあるいは大径部より小さく小径部に干渉しない形状に形成されていて、
前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、
前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、
前記電線管の小径部の切断端部が、前記継手本体の前記円筒部に、管軸方向の奥側に向けてそれぞれ前記継手本体の両側から挿入されて対向して配置され、
さらに、前記継手本体の前記筒状部には、小径部が前記切欠き部に位置するように、少なくとも小径部の切断部位から前記電線管の大径部、小径部、大径部の順に配置されていて、
前記Π型固定部材が上方から前記切欠き部へ挿入されて前記継手本体に固定される際に、前記筒状部の側面上部に、前記Π型固定部材の前記段部が載置され、前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入されることで、前記Π型固定部材が前記継手本体へ固定されることを特徴とする角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項11】
前記Π型固定部材の前記天面部の内周面が、前記電線管の小径部の円断面の上部の少なくとも一部に当接するか、あるいは小径部に整合する略円弧形状で小径部を覆うように接触することが可能なことを特徴とする請求項10に記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項12】
前記Π型固定部材の前記天面部の内周面は、前記切欠き部の側面の上部に、前記Π型固定部材を載置したときに、大径部より小さく、前記電線管の小径部に干渉しないように所定距離離間して、前記電線管の小径部の円断面の上部を囲うように覆う形状であることを特徴とする請求項10に記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項13】
前記筒状部の開口径は、大径部が収納可能な大きさに形成され、さらに、前記筒状部の長さは、前記筒状部に挿入される前記電線管の小径部を挟んだ一対の大径部の全長と略一致するように形成されることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれかに記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項14】
前記円筒部は、前記電線管の小径部の直径より大きく大径部の径より小さく形成され、前記円筒部の円断面部の長さは、前記電線管の小径部の長さに等しいかそれより長く形成されることを特徴とする請求項10から請求項13のいずれかに記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項15】
管軸方向の断面において、前記電線管の小径部の管軸方向の略中央に、外周方向に突出する2つの突部が相互に対向して対称に形成され、前記突部の間の中央に溝が形成され、前記溝で切断された前記電線管の切断部側を前記管継手で接続することを特徴とする請求項10から請求項14のいずれかに記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項16】
前記電線管と前記管継手の管軸方向の係合は、前記Π型固定部材の内面上部の一部と前記両足部とが、前記電線管の略正方形状の大径部の側面に当接して係合することを特徴とする請求項10から請求項15のいずれかに記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項17】
角型の電線管と管継手の接続方法であって、
前記電線管は、雌型嵌合部と雄型嵌合部と管体からなり、前記管体の両端に接続部として前記雌型嵌合部と前記雄型嵌合部を有し、前記雄型嵌合部を前記雌型嵌合部に差し込んで接続することが可能であり、前記雄型嵌合部と前記雌型嵌合部の間において、前記管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成され、
前記管継手は、前記電線管の小径部の中央で切断した電線管同士を接続することが可能であり、
前記管継手は、継手本体と、Π型固定部材からなり、
前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部より、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され、
さらに、前記Π型固定部材の前記天面部の内周面は、円形状の小径部に整合する形状かあるいは大径部より小さく小径部に干渉しない形状に形成されていて、
前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、
前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、
前記継手本体の前記円筒部に、前記電線管の切断端部である小径部を管軸方向の奥側に向けて配置できるようにそれぞれ前記継手本体の両端部から前記電線管を挿入して、
さらに、前記継手本体の前記筒状部には、小径部が前記切欠き部に位置するように、少なくとも小径部の切断部位から前記電線管の大径部、小径部、大径部の順に配置されていて、
前記Π型固定部材を上方から前記切欠き部に装入して前記継手本体に固定する際に、前記切欠き部の側面の上部に、前記Π型固定部材を、前記天面部の側面が前記電線管の大径部の側面に接するように載置することで、前記Π型固定部材の前記両足部を、前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入し、前記Π型固定部材を前記継手本体へ固定することを特徴とする角型電線管と角型電線管用管継手の接続方法。
【請求項18】
(削除)
【請求項19】
中央に円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有していて、
前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、
前記切欠き部に対応する位置の前記筒状部の側面内側には、係合段部が形成され、前記切欠き部に対応する略矩形状部の底部の両側部には、Π型固定部材の両足部が挿入可能な開口部を有することを特徴とする角型電線管用管継手の継手本体。」
2.取消理由通知に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
訂正前の請求項18に係る発明についての特許に対して平成31年1月29日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
本件出願の請求項18に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、請求項18に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。
引用文献1:特開2002-276878号公報 (甲第3号証)
(2)当審の判断
当審が取消理由で指摘した請求項18は削除されたため、当該取消理由は解消した。
3.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)申立理由の概要
訂正前の請求項1乃至17、19に係る特許は、下記の甲第1号証に記載の発明に、甲第2~9号証に記載された技術事項を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものであって、請求項1乃至17、19に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
甲第1号証: 特開2009-279907号公報
甲第2号証: 実願昭62-64296号(実開昭63-172214号公報)のマイクロフィルム
甲第3号証: 特開2002-276878号公報
甲第4号証: 特開2009-19294号公報
甲第5号証: 特開平9-112764号公報
甲第6号証: 特開2009-250343号公報
甲第7号証: 実願昭59-39581号(実開昭60-151222号公報)のマイクロフィルム
甲第8号証: 特開平11-351461号公報
甲第9号証: 実公平42-682号公報
(2)引用文献の記載
ア.甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審において付加した。以下、同じ。)
(ア)「【0024】
この発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1及び図2は、この発明の一実施形態に係る取付装置1によって止水用の吸水膨張性不織布(被覆材)2が一体的に貼り付けられた合成樹脂製の管継手(管材)3を示している。
【0025】
管継手3は、電線や光ファイバーケーブルを挿通させる地中埋設型の合成樹脂製のケーブル保護管4、4同士を接続するためのものである。この管継手3は、ブロー成形によって成形されており、雌型接続部としての角筒状部5と、雄型接続部としての円筒状部6とを管軸方向に連続させた構造となっている。角筒状部5は、管径方向の断面が略正方形状に形成されており、その開口端付近にはフランジ部7が全周に亘って形成され、その管軸方向の中央付近には径外方向へ膨出した膨出部8が全周に亘って形成されている。また、角筒状部5の内周面には、膨出部8よりも開口端側において一対の金属製の抜け止め片9、9が互いに対向して取り付けられ、膨出部8よりも奥側においてシート状の吸水膨張性不織布2が全周に亘って一体的に貼り付けられている。吸水膨張性不織布2は、例えば吸水性及び保水性に優れた高吸水性ポリマーを合成樹脂製の不織布に含有させたものであって、水を吸収して膨張する能力を有している。円筒状部6は、管径方向の断面が略円形状に形成されており、その開口端付近には外周に傾斜案内面を有するフランジ部11が全周に亘って形成され、その管軸方向に間隔をあけて径外方向へ膨出した複数の膨出部12・・が全周に亘って形成されている。また、円筒状部6の外周面には、膨出部12、12間の凹所において円環状のパッキン13が外嵌されている。
【0026】
一方、ケーブル保護管4は、図3に示すように、管径方向の断面が略正方形状の凸部20・・と管径方向の断面が略円形状の凹部21・・とを管軸方向に交互に有する管壁25を備えている。また、管壁25の一方の端部には、雌型アダプター22が一体的に形成され、他方の端部には、雄型アダプター23が一体的に形成されている。そして、雌型アダプター22を他のケーブル保護管4の雄型アダプター23に外嵌するとともに、雄型アダプター23を別のケーブル保護管4の雌型アダプター22に内嵌することで、ケーブル保護管4・・が継ぎ足し配管されるようになっている。
【0027】
上記のケーブル保護管4・・は、ハンドホール間において配管されるが、定尺のものを継ぎ足し配管すると、ハンドホール間の長さとケーブル保護管4・・の長さが合わなくなることがある。そこで、図4に示すように、任意のケーブル保護管4の管壁25を長さ調整しながら切断して雄型アダプター23側を切り落とし、その切断端部に上記の管継手3の角筒状部5を外嵌させるとともに、その管継手3の円筒状部6を他のケーブル保護管4の雌型アダプター22に内嵌させて、管継手3を介してケーブル保護管4、4同士を接続することで、ケーブル保護管4・・全長をハンドホール間の長さに合うように調整可能としている。この接続状態において、管継手3の角筒状部5側の抜け止め片9、9が切断したケーブル保護管4の凸部20に係合して、そのケーブル保護管4の抜けが防止されている。また、管継手3の角筒状部5と切断したケーブル保護管4の凸部20との間には吸水膨張性不織布2が介在しており、この吸水膨張性不織布2が地中の水分を吸収して膨張することで、管継手3と切断したケーブル保護管4との接続部分に生じる隙間を塞いで良好な止水性が確保される。さらに、管継手3の円筒状部6と他方のケーブル保護管4の雌型アダプター22との間にはパッキン13が介在して、管継手3と他方のケーブル保護管4との接続部分に生じる隙間を塞いで良好な止水性が確保される。」
(イ)「【0054】
例えば、この発明の取付装置を使用して被覆材を取り付ける管材としては、上記実施形態のような角筒状部と円筒状部とを管軸方向に連続させた構造の管継手だけに限らず、図17に示すような一対の角筒状部5、5を管軸方向に連続させた構造の管継手や、図18に示すような角筒状部5と螺旋波形筒状部70を管軸方向に連続させた構造の管継手であっても良い。さらに、管継手だけに限定されず、ケーブル保護管、ダクト用ホースやパイプ、給排水用ホースやパイプ、食品等の輸送用ホースやパイプ、クリーナー用ホースやパ
イプ等の各種管材であっても良い。さらにまた、管材に取り付ける被覆材としては、吸水膨張性不織布だけに限定されず、管材を保護したり、管材の吸音性や断熱性等を高めるための各種被覆材であっても良い。」
(ウ)「図1
」
(エ)「図3
」
(オ)「図4
」
(カ)「図17
」
・上記(イ)及び図17(上記(カ))の管継手3の実施例は、上記(ア)及び図1に記載される管軸方向の一端を角筒状部5、他端を円筒状部6とした管継手3の実施例において、他端も円筒状部6に代えて角筒状部5としたものであって、角筒状部5の構成は上記(ア)及び図1と同じものである。
・上記(ア)の段落【0026】には、ケーブル保護管4は、管径方向の断面が略正方形状の凸部20と管径方向の断面が略円形状の凹部21とを管軸方向に交互に有する管壁25を備え、また、管壁25の一方の端部には、雌型アダプター22が一体的に形成され、他方の端部には、雄型アダプター23が一体的に形成されていることが記載されている。
また、上記(ア)の段落【0027】には、管継手3の角筒状部5には、任意のケーブル保護管4の管壁25を長さ調整しながら切断して雄型アダプター23側を切り落とし、その切断端部が外嵌させることが記載され、図17(上記(カ))の角筒状部5が両側にある管継手3においては、管軸方向の両側から切断したケーブル保護管4が接続されることから、図17の管継手3は切断したケーブル保護管4同士を接続する管継手と認められる。
したがって、甲第1号証には、管径方向の断面が略正方形状の凸部20と管径方向の断面が略円形状の凹部21とを管軸方向に交互に有する管壁25を備え、該管壁25の一方の端部には雌型アダプター22が、他方の端部には雄型アダプター23が一体的に形成されているケーブル保護管4を切断した後に、切断したケーブル保護管4同士を接続するための管継手3が記載されているといえる。
・上記(ア)の段落【0027】には、ケーブル保護管4の切断端部に管継手3の角筒状部5を外嵌させることが記載されている。
また、図17によれば、管継手3は、一対の角筒状部5、5を管軸方向の両端に有し、一対の角筒状部5、5の間に円筒状の部分を有することが看取でき、また、上記(ア)の段落【0025】には、前記角筒状部5は、管径方向の断面が略正方形状に形成されており、また、角筒状部5の内周面には、一対の金属製の抜け止め片9、9が互いに対向して取り付けられることが記載されている。
・さらに、図1及び図4によれば、管継手3の角筒状部5には、凹部21を挟んで凹部21の両側に配置される凸部20が挿入され、さらに、円筒状の部分に切断端部である凹部21が挿入されていることが看取できる。
・上記(ア)の段落【0027】には、接続状態において、前記管継手3の角筒状部5側の抜け止め片9、9が切断したケーブル保護管4の凸部20に係合して、そのケーブル保護管4の抜けが防止されることが記載されている。
したがって、図17に示される管継手に注目し甲第1号証の記載及び図面によると、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が開示されていると認められる。
「管径方向の断面が略正方形状の凸部20と管径方向の断面が略円形状の凹部21とを管軸方向に交互に有する管壁25を備え、該管壁25の一方の端部には、雌型アダプター22が、他方の端部には、雄型アダプター23が一体的に形成されているケーブル保護管4を切断した後に、切断したケーブル保護管4同士を外嵌し接続するための管継手3において、
前記管継手3は、一対の角筒状部5、5を管軸方向の両端に、一対の角筒状部5、5の間に円筒状の部分を有し、
該角筒状部5は、ケーブル保護管4の切断端部が外嵌され、管径方向の断面が略正方形状に形成されており、また、角筒状部5の内周面には、一対の金属製の抜け止め片9、9が互いに対向して取り付けられるものであって、 角筒状部5には、凹部21を挟んで凹部21の両側に配置される凸部20が挿入され、さらに、前記円筒状の部分に切断端部である凹部21が挿入され、接続状態において、前記管継手3の角筒状部5側の抜け止め片9、9が切断したケーブル保護管4の凸部20に係合して、そのケーブル保護管4の抜けが防止される、
管継手3。」
イ.甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、図面と共に以下の事項が記載又は示されている。
(ア)「2 実用新案登録請求の範囲
波形管の端部に外嵌され、筒状本体に設けた嵌合凹所内のスリツトから、嵌合固定部に一体形成されたリブを差し込み、波形管の谷部に該リブを圧入嵌合させて該筒状本体を波形管に固定する波形管接続具であつて、
上記筒状本体には、その嵌合凹所に隣接した係合部を形成し、上記嵌合固定部には、上記係合部に係合する被係合部を形成するとともに、
上記筒状本体のスリツトは、該嵌合凹所内に円周方向に沿つてかつ分割して形成され、上記嵌合固定部のリブは、上記スリツトに対応して分割して形成され、スリツトへの差込時に、その先端部が波形管の谷部に圧入嵌合するように突設したことを特徴とする波形管接続具。」(明細書1頁4-18行)
(イ)「[産業上の利用分野]
本考案は、外周部に環状の山条を一定の間隔で多数設けた波形管を接続するための波形管接続具に関する。
[従来の技術]
建築物の屋内配線、輸送機器内の配線などに使用される可撓性の配線保護用導管として、外周部に環状の山条を一定の間隔で多数設けた波形管が使用されている。
この種の波形管を相互に接続し或いは他の部材と接続するために、従来、特公昭60-28215号公報に示されるようなソケット筒状の接続管が提案されている。
この接続管は、波形管の端部に外嵌可能なソケット筒の外周壁に窓が設けられ、この窓からC形の止め部材をソケット筒内に差し込み、止め部材の両側先端部を波形管の谷部に圧入嵌合してソケット筒を波形管の端部に固定する構造である。
[考案が解決しようとする問題点]
しかしながら、この従来の接続具は、止め部材を嵌入するためにソケット筒に設けられた窓が、ソケット筒の外周壁のほぼ半周を連続開口して形成されているため、ソケット筒の強度が著しく低下し、ソケット筒が破損したり、外力によって波形管から外れることがあった。
本考案は、上記の問題点を解決するものであって、筒状本体の外周壁のスリットと係合部のみ開口し、このスリットと係合部に嵌合固定部のリブと被係合部を嵌合する構造としたため、筒状本体の外周壁の強度を充分確保でき、筒状本体が破損したり、外力によって波形管から容易に外れることのない波形管接続具を提供することを目的とする。」(明細書1頁19行-3頁12行)
(ウ)「この筒状本体1の外周側には嵌合固定部2を嵌合するための一段低い嵌合凹所4が設けられている。この嵌合凹所4には中間に嵌合凹所の底面より突出した壁部5が設けられ、壁部5の上下(図面中)に筒状本体1の円周方向に沿って、かつ壁部5によって分割されたスリット6a、6bが形成されている。7a、7b、7c、7dは、筒状本体1の嵌合凹所内に形成された側壁である。8a、8bは嵌合凹所4に隣接した係合部で、本実施例では嵌合凹所4の長手方向一杯に開口しその上部にカバー部8c、8dが設けられている。」(明細書5頁7-18行)
(エ)「次に、嵌合固定部2は、嵌合固定部2に一体形成されたリブ10a、10bと筒状本体1の係合部8a、8bに係合される被係合部11a、11bから成る。このリブ10a、10bは、スリット6a、6bに差し込まれるように嵌合固定部2の内部へ突出形成して設けられている。嵌合固定部2は略U字形に形成され、中央内部に筒状本体1の壁部5に密接する嵌合部12が全体より低くなって設けられている。」(明細書6頁4-14行)
(オ)「第1図
」
以上総合すると、甲第2号証には、以下の技術事項(以下、「甲2記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。
「波形管3の端部に外嵌され、筒状本体1に設けた嵌合凹所内のスリツト6a、6bから、嵌合固定部2に一体形成されたリブ10a、10bを差し込み、波形管の谷部に該リブを圧入嵌合させて該筒状本体1を波形管に固定する波形管接続具であって、
前記筒状本体1には、外周側に嵌合固定部2を嵌合するための一段低い嵌合凹所4が設けられ、そして、該嵌合凹所4には中間に嵌合凹所の底面より突出した壁部5が設けられ、該壁部5の上下の筒状本体1の円周方向に沿って、かつ壁部5によって分割されたスリット6a、6bが形成され、また、前記嵌合凹所4に隣接して係合部8a、8bが設けられ、さらに、嵌合凹所4の長手方向一杯に開口してその上部にカバー部8c、8dが設けられており、
前記嵌合固定部2は、嵌合固定部2に一体形成されたリブ10a、10bと筒状本体1の係合部8a、8bに係合される被係合部11a、11bから成り、前記リブ10a、10bは、スリット6a、6bに差し込まれるように嵌合固定部2の内部へ突出形成して設けられており、また、嵌合固定部2は略U字形に形成され、中央内部に筒状本体1の前記壁部5に密接する嵌合部12が全体より低くなって設けられている、
波形管接続具。 」
ウ.甲第3号証の記載事項
甲第3号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】スプール部を有する雄継手部材と、雌継手部材と、前記雌継手部材のハウジングに開口する窓部から軸方向と直角な方向から挿入され前記雄継手部材と雌継手部材とを結合するリテーナーと、前記雌継手部材の内部に装着されるOリングと備えた配管用継手において、
前記雄継手部材のスプール部が係合して当該雄継手部材の端末を抜けないように保持する保持部を前記リテーナーに設け、前記雄継手部材と前記リテーナーの保持部とが協働して当該雌継手部材と雄継手部材との相対的な回転を阻止する回り止め手段を構成することを特徴とする配管用継手。」
(イ)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配管用継手に係り、特に、機械の流体回路などでパイプやチューブ同士の接続に用いられるクイックコネクター形の配管用継手に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車の燃料供給系では、燃料パイプを接続する管継手にクイックコネクター形の継手が用いられている。
【0003】クイックコネクター形の継手は、接続すべきパイプにそれぞれ取り付けられる雌継手部材、雄継手部材と、これらを結合するリテーナーを主要な構成要素としており、ボルト等の締結要素を用いることなく、雄継手部材を雌継手部材に挿入するだけでワンタッチで簡単にパイプ同士を接続することができる。」
(ウ)「【0016】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来のクイックコネクター形の配管継手では、回り止め防止用のカバー等を、配管の接続部位、配管の曲がり具合、管のサイズ、振動系などの実際の配管状況に応じて、個別に用意して取り付けなければならないため、その分、部品点数が増えコストが高くなるとともに、実際の配管作業の工数が増えるという問題がある。しかも、取り付ける部位の形状、寸法等の制約が大きく、配管状況が異なってくると、他の配管接続箇所には、流用できないこともあり、汎用性という点で問題があった。
【0017】そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、カバー等を別途設けることなく、しかも、実際の配管接続状況でのさまざまな制約を受けることなく、雌継手部材と雄継手部材との間の相対的な回転を確実に防止することができ、振動等に起因するOリングの摩耗を防止して長期間に亘ってシール性能を維持できるようにしたクイックコネクター形の配管用継手を提供することにある。」
(エ)「【0018】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するために、本発明は、スプール部を有する雄継手部材と、雌継手部材と、前記雌継手部材のハウジングに開口する窓部から軸方向と直角な方向から挿入され前記雄継手部材と雌継手部材とを結合するリテーナーと、前記雌継手部材の内部に装着されるOリングと備えた配管用継手において、前記雄継手部材のスプール部が係合して当該雄継手部材の端末を抜けないように保持する保持部を前記リテーナーに設け、前記雄継手部材と前記リテーナーの保持部とが協働して当該雌継手部材と雄継手部材との相対的な回転を阻止する回り止め手段を構成することを特徴とするものである。」
(オ)「【0021】第1実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態による配管用継手を示す斜視図である。この図1において、参照符号40は、配管用継手の全体を示す。この配管用継手40は、雌継手部材42と、雄継手部材44と、これらを結合するリテーナー46とから構成されている。図2(b)は、雌継手部材42と雄継手部材44がリテーナー46によって完全に結合されている接続状態を示す縦断面図である。
【0022】本実施形態は、基本的に、横から雌継手部材42に差し込む形式のリテーナー46によって、雌継手部材42と雄継手部材44を結合する形式の配管用継手であれば適用することができる。この実施形態は、本発明を特に雌継手部材42に雄継手部材44を完全に挿入しないかぎり、リテーナ46を雌部材44の窓部から差込んでもリテーナー46が正常にロック作動しないようにする疑似ロック防止構造を有しているクイックコネクター形の配管用継手に適用した実施の形態である。この種のクイックコネクター形継手での擬似ロックとは、雄継手部材44が雌継手部材42に完全に差込まれていない状態のまま、雄継手部材44がOリング52aまたは52bに接し、内部をシールする状態のことをいう。
【0023】図1において、雌継手部材42は、チューブ43を取り付ける側である圧入取付部45と円筒状のハウジング47とが一体となっているもので、図2(b)に示すように、内部には段付きの通路48が軸方向に貫通形成されている。ハウジング47は、雄継手部材44が挿入される側の連結部49を含み、この連結部49の側面には、リテーナ46を軸方向と直角な方向から挿入するための窓部50が形成されている。ハウジング47は、このような連結部49から、これよりも順次小径になる第1の円筒部49a、第2の円筒部49bにつながり、さらに圧入取付部45に連続するようになっている。また、図2(b)に示すように、ハウジング47の第1円筒部49aの内部には、スペーサ51を間において0リング52a、52bが装着されている。53は、0リング52a、52bの脱落を防止するためのトップハットである。
【0024】一方、雄継手部材44には、その先端から所定の距離だけ離れた位置に、外周部を周回するスプール部54が形成されている。このスプール部54に雌継手部材42の窓部50から差込まれたリテーナー46が係合すると、雄継手部材54が抜けないように拘束される。
【0025】リテーナー46は、一体成形されたプラスチック製のU字形の部材で、その本体52は、両側に平行に延びる脚部55a、55bを含む。この脚部55a、55bの内側には、対向し合ったリブ56a、56bが一体形成されており、このリブ56a、56bは、雄継手部材44の外周部に嵌合するようになっている。
【0025】リテーナー46は、一体成形されたプラスチック製のU字形の部材で、その本体52は、両側に平行に延びる脚部55a、55bを含む。この脚部55a、55bの内側には、対向し合ったリブ56a、56bが一体形成されており、このリブ56a、56bは、雄継手部材44の外周部に嵌合するようになっている。」
(カ)「【0028】この実施形態では、図1、図3、4に示されるように、雄継手部材44には、非円形の横断面形状を有する非円形部として、雄継手部材44の管体の一部を両側からつぶして形成した平坦面60a、60bが形成されている。一方、リテーナー46の方では、平坦面60a、60bを固定する固定部がリブ56a、56bに一体で設けられている。この場合、リブ56a、56bに設けた固定部61a、61bは、雄継手部材44の非円形部の形状に対応して、平坦面60a、60bに密着する平坦な面を有する凸部からなっている。
・・・中略・・・
【0031】そして、雌継手部材42と雄継手部材44がリテーナー46で結合された状態では、図3、図4に示されるように、雄継手部材44の非円形部である平坦面60a、60bの全体が、リテーナー46のリブ56a、56の対向し合う固定部61a、61bの内側面に密着するように当たっていることから、振動等が伝わっても雌継手部材42と雄継手部材44との間には相対的な回転が生じないように両者を結合することができる。このため、両者の相対的な回転は完全に阻止されるので、接続後に雌継手部材42内部の0リング52a、52bが雄継手部材44との摩擦によって摩耗するようなことを防止でき、シール性能を長期間にわたって維持することが可能となる。」
(キ)「図1
」
(ク)「図4
」
以上総合すると、甲第3号証には、以下の技術事項(以下、「甲3記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。
「スプール部54を有する雄継手部材44と、雌継手部材42と、前記雌継手部材42のハウジングに開口する窓部から軸方向と直角な方向から挿入され前記雄継手部材44と雌継手部材42とを結合するリテーナー46と、前記雌継手部材42の内部に装着されるOリングと備えた配管用継手において、
前記リテーナー46は、一体成形されたプラスチック製のU字形の部材で、その本体52は、両側に平行に延びる脚部55a、55bを含み、該脚部55a、55bの内側には、対向し合ったリブ56a、56bが一体形成されており、該リブ56a、56bは、雄継手部材44の外周部に嵌合するようになっており、
前記雌継手部材42と前記雄継手部材44が前記リテーナー46で結合された状態では、前記雄継手部材44の非円形部である平坦面60a、60bの全体が、リテーナー46のリブ56a、56の対向し合う固定部61a、61bの内側面に密着するように当たって、振動等が伝わっても前記雌継手部材42と前記雄継手部材44との間には相対的な回転が生じないように両者を結合することができる、
配管用継手。」
エ.甲第4号証の記載事項
甲第4号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(ア)「【0002】
地中に埋設された電線やケーブルを保護するためのケーブル保護管のような管を相互に接続する管継ぎ手部分には、確実かつ充分な防水機能・止水機能が求められている。このような部位に用いられる止水部材として、吸水膨張性樹脂の繊維を利用した不織布状の止水部材が知られており、そのような吸水膨張性樹脂繊維としては、例えば、ランシール(登録商標 東洋紡績株式会社製品)やベルオアシス(登録商標 カネボウ合繊株式会社製品)などの製品が市販されている。
【0003】
しかしながら、これら吸水膨張性樹脂繊維は、ポリアクリル酸ナトリウム塩を主成分とした樹脂繊維であり、純水やイオン濃度の低い水(以下淡水と記載する)には、充分な吸水膨張性を発揮して止水効果を発揮するものであるが、海水などのイオン濃度の高い水(以下単に海水と記載する)に対しては、イオンの存在によって、樹脂の吸水膨張性が阻害されるものであった(以下、これら吸水膨張性樹脂繊維を淡水膨張性樹脂繊維と記載する)。従って、これらの止水部材を海水の浸入が予想される地域において管継ぎ手に使用することは困難であり、淡水に対しても海水に対しても確実かつ充分な防水機能・止水機能を発揮できる止水部材が求められていた。」
(イ)「【0046】
以下、本発明の実施例を説明する。淡水膨張性樹脂を含み淡水膨張性を有する不織布として、淡水膨張性樹脂繊維であるランシール(登録商標 東洋紡績株式会社製品)とポリエステル繊維を7:3の混合比率で混紡した不織布(目付け300g/平方メートル)を使用した。
海水膨張性熱可塑性樹脂として、アクアコーク(登録商標 住友精化株式会社製品)を使用した。アクアコークをイソプロピルアルコール(IPA)にて溶解し、樹脂溶液とした。」
以上総合すると、甲第4号証には、以下の技術事項(以下、「甲4記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。
「継手の止水部材として、ポリエステル繊維またはポリアクリル酸ナトリウム繊維を用いること。」
オ.甲第5号証の記載事項
甲第5号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パイプの接続に用いるパイプジョイントに係るものであって、特に、電気ケーブルを地中に埋設する場合に、電気ケーブルを被覆して用いるパイプの接続に好都合なものである。」
(イ)「【0033】この内周パッキン(23)は、図1に示す如く、内周表面に環状段部(24)を突設し、この環状段部(24)に、接続する2本のパイプ(22)の先端部を突当て接触する事が可能である。また、内周パッキン(23)は、本体筒(20)の内周に凹設した係合凹部(25)に挿入係合し、内周側の表面を本体筒(20)の内周面と同一の径で形成している。このように形成すると、開口部(21)にパイプ(22)を挿入しても、内周パッキン(23)の両端部にパイプ(22)の先端部が引っ掛かるおそれがなく、内周パッキン(23)のズレ、脱落等を防止する事が可能となる。」
以上総合すると、甲第5号証には、以下の技術事項(以下、「甲5記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。
「継手本体の奥側には、筒状部の内周面全周を取り囲むように止水部材であるパッキンが配置されること。」
カ.甲第6号証の記載事項
甲第6号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
本発明は、凸部(大径部)と凹部(小径部)を管軸方向に交互に有する樹脂製の波形管の一端部を受容して同種又は異種の樹脂製波形の保護管を接続するための接続雌部構造に関するものである。本発明の接続雌部構造は、樹脂製波形管の一端部に設けられてもよく、異なる形状の樹脂管に接続する接続雄部構造を有する管継手の接続雌部ないし同じ構造の接続雌部が筒状管で接続された管継手の接続雌部であってもよい。」
(イ)「【0015】
本発明の樹脂製波形管の接続雌部構造を構成する樹脂材料は、公知の熱可塑性樹脂を特に限定なく使用することができ、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂等を例示することができる。これらの中でも、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂の使用が、低コストであり、しかも土中埋設時の耐久性に優れている点で好ましい。」
以上総合すると、甲第6号証には、以下の技術事項(以下、「甲6記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。
「継手の材料として、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂を用いること。」
キ.甲第7号証の記載事項
甲第7号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(ア)「実用新案登録請求の範囲
1.スリーブ(1)の外周面上に肉厚部(5)を設け、この肉厚部(5)の上面からスリーブ(1)内に至る挿入口(6)を設け、さらに肉厚部(5)の両下端に係止穴(7)を設けると共に、略コ字状に形成され両端外面に突起部(9)を有し、内周面に嵌入部(10)を有したロック部材(8)を、前記挿入口(6)から挿入して配線管(4)を固定することを特徴とする配線管接続構造。」(明細書1頁5-13行)
(イ)「ロック手段(2)は、スリーブ(1)の外周面上に肉厚部(5)を設け、この肉厚部(5)の上面からスリーブ(1)内に至る挿入口(6)を設け、さらに肉厚部(5)の両下端に係止穴(7)を設け、前記挿入口(6)からロック部材(8)を挿入して配線管(4)を固定する構造としている。このロック部材(8)は、弾性機能を有する合成樹脂等より作成されており、略コ字状に形成され両端外面に突起部(9)を設け、内周面に鍔状の嵌入部(10)を設けている。又、配線管(4)は前記ロック部材(8)の嵌入部(10)が嵌り込む形状の谷部(11)を有した蛇腹管としている。」(明細書3頁4-16行)
(ウ)「以上に述べた如く、この考案はスリーブに独特のロック手段を付加することにより、配線管接続のための専用工具を不要とし、しかも配線管の接続をワンタッチで行うことができるようにしたものであり、実用的効果に優れている。」(明細書4頁18行-5頁2行)
・図4によれば、ロック部材の内周面の径は、スリーブ1の挿入口6に、ロック部材を挿入したときに、配線管4の山部より小さく、谷部と干渉しないように所定距離離間し、谷部の円断面の上部を覆うものであることが看取できる
以上総合すると、甲第7号証には、以下の技術事項(以下、「甲7記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。
「スリーブ(1)の外周面上に肉厚部(5)を設け、この肉厚部(5)の上面からスリーブ(1)内に至る挿入口(6)を設け、さらに肉厚部(5)の両下端に係止穴(7)を設けると共に、略コ字状に形成され両端外面に突起部(9)を有し、内周面に嵌入部(10)を有したロック部材(8)を、前記挿入口(6)から挿入して配線管(4)を固定することによって、配線管の接続をワンタッチで行うことを可能とした際に、ロック部材の内周面の径が、スリーブ1の挿入口6にロック部材が挿入したときに、配線管4の山部より小さく、谷部と干渉しないように所定距離離間し、谷部の円断面の上部を覆うものであること。」
ク.甲第8号証の記載事項
甲第8号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(ア)「【請求項2】 管壁(1)が、管軸方向において断面方形壁部分(2)と断面円形壁部分(3)とが交互に配設形成されている管体(P)であって、断面円形壁部分(3)が、その幅方向中央部に断面コの字形の環状突条部(4)を備え、かつ、その両側に所定の間隔を隔てた箇所に環状の切断目印部(5),(5)を備えてなる合成樹脂製波形管。」
以上総合すると、甲第8号証には、以下の技術事項(以下、「甲8記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。
「管体の断面円形壁部分の幅方向中央部に断面コの字形の環状突条部(4)を備え、その両側に所定の間隔を隔てた箇所に環状の切断目印部(5),(5)を備えること。」
ケ.甲第9号証の記載事項
甲第9号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(ア)「本考案は可撓性蛇腹ホースの等間隔個処にその周面に環状切込溝を刻設し、該切込溝両側部分に平坦部分を設けて、その使用時前記切込溝に刃物を当接適宜切断行わしめると共に、該平坦部分をして被連接物体に容易に接続行わしめるを目的とする可撓ホースに係るものである。」
以上総合すると、甲第9号証には、以下の技術事項(以下、「甲9記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。
「可撓性蛇腹ホースの等間隔個処にその周面に環状切込溝を刻設し、該切込溝両側部分に平坦部分を設けて、その使用時前記切込溝に刃物を当接適宜切断すること。」
(3)当審の判断
ア.本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1発明とを対比すると以下のとおりである。
a.甲1発明の「雌型アダプター22」、「雄型アダプター23」が、それぞれ、本件特許発明1の「雌型嵌合部」、「雄型嵌合部」に相当する。
さらに、甲1発明の「凸部20」は、管径方向の断面が略正方形状のものであるから、本件特許発明1の「略矩形状の山部としての大径部」に相当し、また、甲1発明の「凹部21」は、管径方向の断面が略円形状のものであるから、本件特許発明1の「円形状の谷部としての小径部」に相当する。
したがって、甲1発明の「管径方向の断面が略正方形状の凸部20と管径方向の断面が略円形状の凹部21とを管軸方向に交互に有する管壁25を備え、該管壁25の一方の端部には、雌型アダプター22が、他方の端部には、雄型アダプター23が一体的に形成されているケーブル保護管4」は、本件特許発明1の「雄型嵌合部と雌型嵌合部の間において、管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成される電線管」に相当する。
b.甲1発明の「切断端部」は、管壁25の凹部21であるから、凹部21で切断されているものと認められる。
したがって、甲1発明の「ケーブル保護管4を切断した後に、切断したケーブル保護管4同士を外嵌し接続するための管継手3」は、本件特許発明1の「電線管の小径部中央で切断した電線管同士を接続する管継手」に相当する。
c.また、甲1発明の「管継手3」は、管継手3と他の部材を組合わせて継手を構成するものではなく、管継手3の本体部分のみで構成されていると認められることから、本件特許発明1の「前記管継手は、継手本体からなり」に相当する。
但し、「管継手」が、本件特許発明1では、「Π型固定部材からなり、前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部から、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され」るものであるのに対して、甲1発明では、そのような固定部材から形成されていない点で相違する。
d.甲1発明の「円筒状の部分」には、切断端部である凹部21が挿入されるものであるから、甲1発明の「前記管継手3は、一対の角筒状部5、5を管軸方向の両端に、一対の角筒状部5、5の間に円筒状の部分を有」することは、本件特許発明1の「前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有している」に相当する。
但し、本件特許発明1では、「前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、前記Π型固定部材が上方から前記切欠き部へ挿入されて前記継手本体に固定される際に、前記筒状部の側面上部に、前記Π型固定部材の前記段部が載置され、前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入されることで、前記Π型固定部材が前記継手本体へ固定される」るのに対して、甲1発明では、そのような特定を有していない点で相違する。
e.そして、甲1発明の「ケーブル保護管4」は、管径方向の断面が略正方形状の凸部20を備え角形であり角型電線管と認められることから、甲1発明のケーブル保護管4の接続を行う「管継手3」は、本件特許発明1の「角型電線管用管継手」に相当する。
そうすると、両者は、
「雄型嵌合部と雌型嵌合部の間において、管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての大径部と、円形状の谷部としての小径部が交互に形成される電線管の小径部中央で切断した電線管同士を接続する管継手であって、
前記管継手は、継手本体と、
前記継手本体は、中央に小径部を挿入できるように円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有している、
角型電線管用管継手。」
の点で一致し、次の点で相違する。
(相違点1)
管継手が、本件特許発明1では、「Π型固定部材からなり、前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部から、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され」るものであるのに対して、甲1発明では、そのような固定部材から形成されていない点。
(相違点2)
本件特許発明1では、「前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、前記Π型固定部材が上方から前記切欠き部へ挿入されて前記継手本体に固定される際に、前記筒状部の側面上部に、前記Π型固定部材の前記段部が載置され、前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入されることで、前記Π型固定部材が前記継手本体へ固定される」のに対して、甲1発明では、そのような特定を有していない点。
相違点1及び相違点2について検討する。
甲第2号証は、甲第2号証の明細書1頁19行-3頁12行に記載されるように、従来、止め部材を挿入するためにソケット筒に形成されていた窓が、ソケット筒の外周壁のほぼ半周を連続開口して形成されているため、ソケット筒の強度が著しく低下していたことを課題として、窓をスリットとして小さくしたものである。
一方、甲1発明の管継手3は、管継手3自体(角筒状部5の内周面)に設けられる抜け止め片9でケーブル保護管4の接続を行うものであって、窓が設けられるものではなく、窓の形成による強度の低下という課題は存在しない。さらに、甲1発明において管継手3にスリットを設ければ強度が低下することは明らかであるから、甲1発明に甲第2号証に記載の技術事項を適用すべき動機付けが存在しない。
また、甲第3号証のものは、雄継手部材44と雌継手部材42との結合に関して、雄継手部材44と雌継手部材42の相対的な回転を確実に防止することを課題として、リテーナー46に固定部61a、61bを設け、雄継手部材44に平坦面60a、60bを設けたものである。
しかしながら、甲1発明は、断面が略正方形状の凸部20を有するケーブル保護管4を管継手3の角筒状部5に挿入し結合するものであって、継手同士の結合に関するものではなく、さらに、略正方形状のケーブル保護管4と角筒状部5の結合では相対的な回転は生じないことから、甲1発明に甲第3号証に記載の技術事項を適用すべき動機付けが存在しない。
さらに、甲第7号証には、スリーブ(「継手本体」に相当)に切欠を設け、該切欠にロック部材(「Π型固定部材」に相当)を挿入することで配線管の接続をワンタッチで行うことを可能としたものが記載されいる。
しかしながら、甲第7号証のロック部材には外方に向けて突出する段部がなく、さらに、甲1発明は、抜け止め片9でケーブル保護管4の接続を行うのものであって、すでにワンタッチ接続が可能なものであるから、甲1発明において抜け止め片9に代えて、甲第7号証の技術事項を適用すべき動機付けが存在しない。
また、甲第4乃至甲第6号証、甲第8号証、甲第9号証には、継手本体に切欠を設け、該切欠に固定部材を挿入する記載はされていない。
したがって、本件特許発明1は、甲1発明、甲第2号証-甲第9号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。
イ.本件特許発明2乃至9について
本件特許発明2乃至9は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を付加して限定したものであるから、本件特許発明2乃至9は、上記ア.と同様の理由により、甲1発明、甲第2号証-甲第9号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。
ウ.本件特許発明10について
本件特許発明10は、本件特許発明1の管継手に切断された角型の電線管を接続した角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造であって、本件特許発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本件特許発明10は、上記ア.と同様の理由により、甲1発明、甲第2号証-甲第9号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。
エ.本件特許発明11なしい16について
本件特許発明11乃至16は、本件特許発明10の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を付加して限定したものであるから、本件特許発明11乃至16は、上記ア.と同様の理由により、甲1発明、甲第2号証-甲第9号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。
オ.本件特許発明17について
本件特許発明17は、本件特許発明10の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造を方法の観点から記載したものであるから、本件特許発明17は、上記ア.と同様の理由により、甲1発明、甲第2号証-甲第9号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。
カ.本件特許発明19について
本件特許発明19と甲1発明とを対比すると以下のとおりである。
a.甲1発明の「ケーブル保護管4」は、管径方向の断面が略正方形状の凸部20を備えるものであり角形と認められることから、本件特許発明19の「角型電線管」に相当する。
また、引用発明の「管継手3」は、ケーブル保護管4のためのものであるから、本件特許発明19の「角型電線管用管継手」に相当する。
そして、引用発明の「管継手3」は、継手のみからなるものであり、さらに、甲1発明の「管継手3」の「角筒状部5、5」は、断面が略正方形状である。
したがって、甲1発明の「一対の角筒状部5、5を管軸方向の両端に、一対の角筒状部5、5の間に円筒状の部分を有」する「管継手3」は、本件特許発明19の「中央に円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有している角型電線管用管継手の継手本体」に相当する。
但し、本件特許発明19では、「前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、前記切欠き部に対応する位置の前記筒状部の側面内側には、係合段部が形成され、前記切欠き部に対応する略矩形状部の底部の両側部には、Π型固定部材の両足部が挿入可能な開口部を有する」のに対して、甲1発明では、そのような特定を有していない点で相違する。
そうすると、両者は、
「中央に円筒部を有し、前記円筒部を挟んで対向するように管軸方向に対称に配置された略矩形状の筒状部を有している、
角型電線管用管継手の継手本体。」
の点で一致し、次の点で相違する。
相違点3
本件特許発明19では、「前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、前記切欠き部に対応する位置の前記筒状部の側面内側には、係合段部が形成され、前記切欠き部に対応する略矩形状部の底部の両側部には、Π型固定部材の両足部が挿入可能な開口部を有する」のに対して、甲1発明では、そのような特定を有していない点。
相違点3について検討する。
甲第2、3、7号証には、継手本体に切欠き部を形成することは記載されているが、上記ア.で検討したように、甲1発明に甲第2、3、7号証に記載の技術事項を適用すべき動機付けが存在しない。
また、甲第4乃至甲第6号証、甲第8号証、甲第9号証には、継手本体に切欠を設ける記載はされていない。
したがって、本件特許発明19は、甲1発明、甲第2号証-甲第9号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。
4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した異議申立ての理由によっては、請求項1乃至17、19に係る特許を取り消すことはできない。また、他に取り消すべき理由を発見しない。
また、本件請求項18に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項18に対して特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-700909