特許異議申立
2024-700402
波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物
- 審判番号
- 2024-700402
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-077493外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7374840
- 請求日
- 2024年04月26日
- 審決日
- 2025年02月20日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】住化ポリカーボネート株式会社
- 【権利者代理人】山尾 憲人
- 【権利者代理人】言上 惠一
- 【権利者代理人】福政 充睦
- 【異議申立人】山内 慶子
- 分類
- P1652.113-YAA(C08L) / P1652.121-YAA(C08L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7374840号発明「波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7374840号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕について訂正することを認める。
特許第7374840号の請求項1~6、8~10及び12に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7374840号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~12に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)4月24日(優先権主張 2019(令和1年)8月8日)を出願日とする特願2020-77493号であって、令和5年10月27日にその特許権の設定登録(請求項の数12)がされ、同年11月7日に特許掲載公報が発行され、その後、本件特許に対し、令和6年4月26日に特許異議申立人 山内 慶子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1~6、8~10及び12)がされたものである。
特許異議の申立てにおける手続の経緯は、次のとおりである。
令和6年 8月 9日付け:取消理由通知書
同年10月11日 :意見書及び訂正請求書(特許権者)
同年10月21日作成:応対記録(最終応対日10月8日)
同年11月 7日付け:通知書(申立人宛て)
なお、上記通知書に対する申立人の応答はなかった。
第2 訂正の適否
1 請求の趣旨
令和6年10月11日に提出された訂正請求書による訂正の請求における請求の趣旨は、「特許第7374840号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~12について訂正することを求める。」というものである。
2 令和6年10月11日に提出された訂正請求書の訂正の内容
上記訂正請求書に記載された訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1について、
「波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物」の後に、
「であって、
下記、(i)~(iii)の少なくともいずれか一つを満たす、波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物。
(i)前記着色剤(B)が、700nm以上900nm未満に極大吸収波長を有する色素を含む着色剤(B2)を含むこと;
(ii)波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物が、Lidarカバー用波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物であること;及び
(iii)前記リン酸エステル系化合物又はリン酸(C)が、リン酸(C2)を含むこと。」を追加して、請求項1を訂正する。
請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~12も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2について、
「前記着色剤(B)が、吸収極大波長が700nm未満の色素を含む着色剤(B1)、および/または700nm以上900nm未満に極大吸収波長を有する色素を含む着色剤(B2)を含む、」という記載を、「前記着色剤(B)が、吸収極大波長が700nm未満の色素を含む着色剤(B1)を含む、」という記載で置き換えて、請求項2を訂正する。
請求項2を直接又は間接的に引用する請求項4~6、8~12も同様に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項7について、
「請求項2及び4~6のいずれか1項」という記載を、「請求項1」という記載で置き換えて、請求項7を訂正する。
請求項7を直接又は間接的に引用する請求項8~12も同様に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項8について、
「請求項1~7に記載のいずれか1項」という記載を、「請求項1~7のいずれか1項」という記載で置き換えて、請求項8を訂正する。
請求項8を直接又は間接的に引用する請求項9~12も同様に訂正する。
(5)一群の請求項について
訂正前の請求項2~12は、訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正後の請求項1~12は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物」について、「(i)前記着色剤(B)が、700nm以上900nm未満に極大吸収波長を有する色素を含む着色剤(B2)を含むこと」、「(ii)波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物が、Lidarカバー用波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物であること」及び「(iii)前記リン酸エステル系化合物又はリン酸(C)が、リン酸(C2)を含むこと」の少なくともいずれか一つを満たすものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、当該訂正は、本件請求項1、2及び11、並びに、本件特許の願書に最初に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。)の段落【0020】、【0037】及び【0081】の記載を根拠とするものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~12についても同様であり、請求項7及び11の独立特許要件については後記4のとおりである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2に記載された「着色剤(B)」について、「着色剤(B1)」及び/又は「着色剤(B2)」から「着色剤(B2)」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
請求項2の記載を直接又は間接的に引用する請求項4~6、8~12についても同様であり、請求項11の独立特許要件については後記4のとおりである。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正事項1の訂正に伴い、訂正前の請求項7において、引用先の請求項を「請求項2及び4~6」から「請求項1」に変更するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
請求項7の記載を直接又は間接的に引用する請求項8~12についても同様であり、請求項7及び11の独立特許要件については後記4のとおりである。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項8において、「請求項1~7に記載のいずれか1項」を「請求項1~7のいずれか1項」に訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
4 独立特許要件について
上記「第1 手続の経緯」で述べたとおり、本件特許異議の申立ては、本件請求項1~12に係る特許のうち請求項1~6、8~10及び12に係る特許に対して申立てられたものであり、請求項7及び11に係る特許に対しては申立てられていない。
そして、訂正事項1~3による訂正前の請求項7及び11についての訂正は、上記3で述べたとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、これらは独立して特許を受けることができるものでなければならない。
そこで、訂正後の請求項7及び11に係る発明の独立特許要件について検討すると、後記「第5 当審の判断」で述べるように、本件訂正後の請求項1~6、8~10及び12に係る発明には、特許を受けることができないとすべき理由があるとはいえないから、これらの請求項を引用する本件訂正後の請求項7及び11に係る発明についても、同様に特許を受けることができないとすべき理由があるとはいえず、また他に特許を受けることができない理由を発見しないため、本件訂正後の請求項7及び11に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。
したがって、訂正事項1~3による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第7項の規定を満たす訂正であるといえる。
5 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5ないし7項の規定に適合するものであるから、本件訂正を認める。
第3 本件発明
上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1~12に係る発明(以下、順に「本件発明1」のようにいう。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、極大吸収波長が900nm未満の色素を含む着色剤(B)、及びリン酸エステル系化合物又はリン酸(C)を含み、
前記リン酸エステル系化合物又はリン酸(C)が、下記一般式(I)で示されるリン酸エステル系化合物またはリン酸からなる群から選択される少なくとも一種を含み、
式(I):
O=P(OH)n(OR)3-n
[一般式(I)中、Rはアルキル基またはアリール基であり、各々同一でも異なっていてもよく、nは2の整数を示す。]
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、
着色剤(B)を0.01~2.0質量部で含み、
リン酸又はリン酸エステル系化合物(C)について、リン酸エステル系化合物(C1)を0.005~0.3質量部で含む又はリン酸(C2)を0.0001~0.004質量部で含むことを特徴とする、波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物であって、
下記、(i)~(iii)の少なくともいずれか一つを満たす、波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物。
(i)前記着色剤(B)が、700nm以上900nm未満に極大吸収波長を有する色素を含む着色剤(B2)を含むこと;
(ii)波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物が、Lidarカバー用波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物であること;及び
(iii)前記リン酸エステル系化合物又はリン酸(C)が、リン酸(C2)を含むこと。
【請求項2】
前記着色剤(B)が、吸収極大波長が700nm未満の色素を含む着色剤(B1)を含む、請求項1記載の波長選択透過性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項3】
極大吸収波長が900nm未満の色素を含む着色剤(B)は、アントラキノン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、メチン系色素、アゾ系色素、キノリン系色素、フタロシアニン系色素、及び複素環系色素から選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の波長選択透過性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項4】
前記極大吸収波長が700nm未満の色素を含む着色剤(B1)が、アントラキノン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、メチン系色素から選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の波長選択透過性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項5】
前記極大吸収波長が700nm末満の色素を含む着色剤(B1)が、アントラキノン系色素を含む、請求項2又は4に記載の波長選択透過性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項6】
前記アントラキノン系色素が、Solvent Yellow 163、Disperse Violet 28、Solvent Blue 97、Solvent Green 28、Solvent Green 3、Disperse Blue 60からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項5に記載の波長選択透過性芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
【請求項7】
700nm以上900nm未満に極大吸収波長を有する色素を含む着色剤(B2)は、フタロシアニン系色素、アントラキノン系色素及び複素環系色素から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の波長選択透過性芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
【請求項8】
一般式(I)で示される化合物が、モノステアリルアシッドホスフェイトを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の波長選択透過性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項9】
熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、着色剤、軟化剤、帯電防止剤、衝撃性改良剤及び展着剤を含有する群から選択される少なくとも1種を更に含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の波長選択透過性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の波長選択透過性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を含有する波長選択透過性ポリカーボネート樹脂成形品。
【請求項11】
Lidarカバーである、請求項10に記載の波長選択透過性樹脂成形品。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形することを含む、波長選択透過性ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。」
第4 特許異議申立書に記載された申立理由及び取消理由通知書に記載した取消理由
1 申立理由の概要
申立人は、証拠方法として甲第1~6号証(以下、「甲1」~「甲6」という。)を提出し、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)において、概要、以下の申立理由を主張する。
(1)申立理由1(甲1を主引例とする新規性・進歩性)
本件特許の請求項1~6、8~10及び12に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~6、8~10及び12に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(2)申立理由2(甲2を主引例とする新規性・進歩性)
本件特許の請求項1~6、8~10及び12に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~6、8~10及び12に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(3)証拠方法
甲1:特開2009-35691号公報
甲2:国際公開第2017/146196号
甲3:特開2012-219169号公報
甲4:特開2006-195399号公報
甲5:特開2006-301147号公報
甲6:特開2012-184415号公報
2 取消理由の概要
請求項1~6、8~10及び12に係る特許に対して、取消理由通知書において通知した取消理由は、申立理由1と同じ内容の取消理由1である。
第5 当審の判断
1 取消理由1及び申立理由1(甲1を主引例とする新規性・進歩性)について
上記取消理由1及び申立理由1は、いずれも甲1を主引例とする新規性・進歩性についてのものであるから、まとめて検討する。
(1)甲1に記載された発明
甲1には、【0150】、【0151】及び【0159】の【表2】の記載を基に、実施例2の黒色樹脂組成物に着目すると、以下の発明が記載されている。
「PC-1(ビスフェノール型芳香族ポリカーボネート 三菱エンジニアリングプラスチック社製 ユーピロン(登録商標)S-3000FN、平均分子量22500)31重量部、PC-2(ビスフェノール型芳香族ポリカーボネート 三菱エンジニアリングプラスチック社製 ユーピロン(登録商標)H-4000FN、平均分子量1550)16重量部、PCC-1(製造例1に記載の脂環式ポリエステル樹脂 固有粘度0.666dl/g、末端カルボン酸濃度5.1eq/g)48重量部、C-1(アンスラキノン系紫色染料 バイエル社製、Macrolex Violet 3R)0.08重量部、C-2(アンスラキノン系青色染料 三菱化学社製、Diaregin Blue H3G)0.01重量部、C-3(アンスラキノン系緑色染料 有本化学工業社製 Oil Green 5602)0.08重量部、C-4(メチン系黄色染料 バイエル社製 Macrolex Yellow 6G)0.05重量部、SEBA-1(エポキシ変性スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体 ダイセル化学工業社製エポフレンドAT-501 スチレン含有量40重量%)5重量部、E-1(モノステアリルアシッドホスフェートの亜鉛塩とジステアリルアシッドホスフェートの亜鉛塩の混合物 堺化学工業社製 LBT-1830)0.02重量部、F-1(O=P(OH)n(OC18H37)3-n’(n’=1及び2の混合物)で表されるリン酸エステル 旭電化工業社製 アデカスタブ AX-71)0.01重量部からなる、黒色樹脂組成物。」(以下、「甲1発明」という。)
(2)本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「PC-1(ビスフェノール型芳香族ポリカーボネート 三菱エンジニアリングプラスチック社製 ユーピロン(登録商標)S-3000FN、平均分子量22500)」及び「PC-2(ビスフェノール型芳香族ポリカーボネート 三菱エンジニアリングプラスチック社製 ユーピロン(登録商標)H-4000FN、平均分子量1550)」は、本件発明1の「芳香族ポリカーボネート樹脂(A)」に相当する。
甲1発明の「C-1(アンスラキノン系紫色染料 バイエル社製、Macrolex Violet 3R)」は、甲3の段落【0103】の記載から最大吸収波長、すなわち極大吸収波長が560nmであり、甲1発明の「C-2(アンスラキノン系青色染料 三菱化学社製、Diaregin Blue H3G)」は、甲4の【0133】及び甲5の【0023】及び図3の記載から極大吸収波長が600nm~700nmの範囲内であることは明らかであり、甲1発明の「C-3(アンスラキノン系緑色染料 有本化学工業社製 Oil Green 5602)」は、甲6の【0127】の記載からSolvent Green 3であり、本件明細書の【0084】の(b4)成分に相当し、甲1発明の「C-4(メチン系黄色染料 バイエル社製 Macrolex Yellow 6G)」は、本件明細書の【0088】の(b5)成分に相当することから、いずれも本件発明1の「極大吸収波長が900nm未満の色素を含む着色剤(B)」に相当する。
甲1発明の「F-1(O=P(OH)n(OC18H37)3-n’(n’=1及び2の混合物)で表されるリン酸エステル 旭電化工業社製 アデカスタブ AX-71)」は、本件明細書の【0094】の(c1)成分に相当することから、本件発明1の「リン酸エステル系化合物又はリン酸(C)を含み、前記リン酸エステル系化合物又はリン酸(C)が、下記一般式(I)で示されるリン酸エステル系化合物またはリン酸からなる群から選択される少なくとも一種を含み、
式(I):
O=P(OH)n(OR)3-n
[一般式(I)中、Rはアルキル基またはアリール基であり、各々同一でも異なっていてもよく、nは2の整数を示す。]」に相当する。
甲1発明は、PC-1及びPC-2の合計含有量が47重量部であり、C-1~C-4の合計含有量が0.22重量部であり、PC-1及びPC-2の100重量部あたりのC-1~C-4の含有量は約0.47(=0.22×100÷47)重量部であるから、本件発明1の「芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、着色剤(B)を0.01~2.0質量部で含み、」との特定事項を満たす。
甲1発明は、F-1の含有量が0.01重量部であり、PC-1及びPC-2の100重量部あたりのF-1の含有量は約0.02(=0.01×100÷47)重量部であるから、本件発明1の「リン酸又はリン酸エステル系化合物(C)について、リン酸エステル系化合物(C1)を0.005~0.3質量部で含む又はリン酸(C2)を0.0001~0.004質量部で含む」との特定事項を満たす。
甲1発明の「黒色樹脂組成物」は、一般的な技術常識として、物質が可視光を透過させずに、可視光を吸収した場合は、物質の色は黒色になることは明らかであり、特定の波長を透過しないものと解されるとともに、赤外光等の可視光以外の波長を吸収する成分を含有していないことから、特定の波長を透過するものと解される。よって、甲1発明の「黒色樹脂組成物」は、「波長選択透過性」であることは明らかであり、さらに、ポリカーボネート成分を含有していることから、本件発明1の「波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物」に相当する。
そうすると、両者は次の点で一致する。
「芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、極大吸収波長が900nm未満の色素を含む着色剤(B)、及びリン酸エステル系化合物又はリン酸(C)を含み、
前記リン酸エステル系化合物又はリン酸(C)が、下記一般式(I)で示されるリン酸エステル系化合物またはリン酸からなる群から選択される少なくとも一種を含み、
式(I):
O=P(OH)n(OR)3-n
[一般式(I)中、Rはアルキル基またはアリール基であり、各々同一でも異なっていてもよく、nは2の整数を示す。]
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、
着色剤(B)を0.01~2.0質量部で含み、
リン酸又はリン酸エステル系化合物(C)について、リン酸エステル系化合物(C1)を0.005~0.3質量部で含む又はリン酸(C2)を0.0001~0.004質量部で含む、波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点1
本件発明1は「(i)前記着色剤(B)が、700nm以上900nm未満に極大吸収波長を有する色素を含む着色剤(B2)を含むこと;(ii)波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物が、Lidarカバー用波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物であること;及び(iii)前記リン酸エステル系化合物又はリン酸(C)が、リン酸(C2)を含むこと」の少なくともいずれか一つを満たすのに対し、甲1発明はそのような特定がない点
上記相違点1について検討する。
ア 「(i)前記着色剤(B)が、700nm以上900nm未満に極大吸収波長を有する色素を含む着色剤(B2)を含むこと」(以下、条件(i)という。)について
甲1発明のC-1~C-4はいずれも「吸収極大波長が700nm未満の色素を含む着色剤(B1)」であり、甲1発明が、「700nm以上900nm未満に極大吸収波長を有する色素を含む着色剤(B2)」を含まないことは明らかであるから、条件(i)は実質的な相違点である。
また、甲1は、【0058】~【0065】に「少なくともアンスラキノン系染料を含む2種類以上の染料からなる着色剤(C)」を用いることが記載され、「本発明に用いる着色剤(C)としては、中でもアンスラキノン系染料と、メチン系染料とを用いることが好ましく、中でもアンスラキノン系染料としては、紫、青、緑等の濃色系染料を、そしてメチン系染料としては黄色等の明色系染料を用いることで、深みと清澄感が高く、漆黒性に優れる黒色樹脂組成物が得られるので好ましい。」(【0065】)と記載されているが、「700nm以上900nm未満に極大吸収波長を有する色素を含む着色剤」を用いることについての記載も示唆もない。
そうすると、甲1には、甲1発明において、「700nm以上900nm未満に極大吸収波長を有する色素を含む着色剤(B2)」を含む動機付けとなる記載はない。
したがって、甲1発明に条件(i)の特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
イ 「(ii)波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物が、Lidarカバー用波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物であること」(以下、条件(ii)という。)について
甲1発明は、「Lidarカバー用」との記載がないことから、条件(ii)は実質的な相違点である。
また、甲1には、「特にその表面において高級感を必要とされる様々な樹脂成形体への応用が期待され、具体的には例えば、自動車内外装部品や、高級感が必要とされる各種家具・調度や家電製品等の電気・電子機器製品の外装部品等への応用が期待できる。」(【0016】)と記載されているが、「Lidarカバー用」であることについての記載も示唆もない。
そうすると、甲1には、甲1発明において、「Lidarカバー用」とする動機付けとなる記載はない。
したがって、甲1発明に条件(ii)の特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
ウ 「(iii)前記リン酸エステル系化合物又はリン酸(C)が、リン酸(C2)を含むこと」(以下、条件(iii)という。)について
甲1発明は、「リン酸」を含むものではないから、条件(iii)は実質的な相違点である。
また、甲1には、【0082】~【0095】に「リン系化合物(F)」を用いることが記載され、【0106】には、「本発明においては、上記成分以外に他の樹脂および各種樹脂添加剤を使用することが出来る。例えば、各種樹脂添加剤としては、難燃剤、耐候性改良剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、防菌剤、フィラー・充填材などが挙げられる。」と記載されているが、「リン酸」を用いることについての記載も示唆もない。
そうすると、甲1には、甲1発明において、「リン酸」を含む動機付けとなる記載はない。
したがって、甲1発明に条件(iii)の特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
上記ア~ウのとおりであるから、甲1発明に相違点1に係る本件発明1の特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
そして、本件発明1は、相違点1に係る特定事項を有することにより、「通常の装置を用いて成形加工して、成形品を製造することができ、その成形の間に光学特性に実質的な変化を生ずることがない」(【0010】)及び「適切に波長選択性を有し、光学特性に変化を実質的に生じない成形品を提供する」(【0010】)という効果を奏する。
よって、本件発明1は甲1発明ではないし、甲1発明及び甲1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(3)本件発明2~6、8~10及び12について
本件発明2~6、8及び9は波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物に関するものであり、本件発明10は波長選択透過性ポリカーボネート樹脂成形品に関するものであり、本件発明12は波長選択透過性ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法に関するものであるが、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件発明1の発明特定事項を全て有するものである。
そして、上記(2)で検討したとおり、本件発明1は、甲1発明ではないし、甲1発明及び甲1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、本件発明1の発明特定事項を全て含む本件発明2~6、8~10及び12は、甲1発明ではないし、甲1発明及び甲1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(4)申立理由1及び取消理由1についてのまとめ
よって、取消理由1及び申立理由1はその理由がない。
2 申立理由2(甲2を主引例とする新規性・進歩性)について
(1)甲2に記載された発明
甲2には、[0125]、[0131]の[表1]、[0133]の[表2]、[0145]及び[0148]の[表3]の記載を基に、実施例A3の樹脂組成物のペレットに着目すると、以下の発明が記載されている。
「ポリブチレンテレフタレートホモポリマー(A1)(ノバデュラン5008)70質量部と、ポリカーボネート樹脂(A2c)(ユーピロンH4000)30質量部と、リン系安定剤(安定剤1、アデカスタブAX-71)0.1質量部と、フェノール系安定剤(安定剤2、アデカスタブAO-60)0.4質量部と、離型剤(ユニスターH476)0.7質量部と、ニグロシン(NUBIAN BLACK TH-807)0.014質量部、及び着色剤例1(アントラキノン染料1(最大吸収波長628nm C.I.ソルベントブルー104)0.66質量部、ペリノン染料1(最大吸収波長472nm C.I.ソルベントレッド179)0.58質量部及びアントラキノン染料3(最大吸収波長446nm C.I.ソルベントイエロー163)0.56質量部)0.386質量部を、ステンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合し、得られた混合物を、30mmのベントタイプ2軸押出機(日本製鋼所社製、「TEX30α」)のメインホッパーに投入し、ガラス繊維(GF)43質量部はホッパーから7番目のサイドフィーダーより供給し、押出機バレル設定温度C1~C15を260℃、ダイを250℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量40kg/時間の条件で混練してストランド状に押し出して得られた、樹脂組成物のペレット。」(以下、「甲2発明」という。)
(2)本件発明1について
本件発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明の「ポリカーボネート樹脂(A2c)(ユーピロンH4000)」は、本件発明1の「芳香族ポリカーボネート樹脂(A)」に相当する。
甲2発明の「アントラキノン染料1(最大吸収波長628nm C.I.ソルベントブルー104)」、「ペリノン染料1(最大吸収波長472nm C.I.ソルベントレッド179)」及び「アントラキノン染料3(最大吸収波長446nm C.I.ソルベントイエロー163)」は、いずれも本件発明1の「極大吸収波長が900nm未満の色素を含む着色剤(B)」に相当する。
甲2発明の「リン系安定剤(安定剤1、アデカスタブAX-71)」は、甲2の[0133]の[表2]の下から3行目に「O=P(OH)n(OC18H37)3-nのn=1,2の混合物」と記載されており、当該混合物はリン酸エステル系化合物であるから、本件発明1の「リン酸エステル系化合物又はリン酸(C)を含み、前記リン酸エステル系化合物又はリン酸(C)が、下記一般式(I)で示されるリン酸エステル系化合物またはリン酸からなる群から選択される少なくとも一種を含み、
式(I):
O=P(OH)n(OR)3-n
[一般式(I)中、Rはアルキル基またはアリール基であり、各々同一でも異なっていてもよく、nは2の整数を示す。]」に相当する。
甲2発明は、「ポリカーボネート樹脂(A2c)」の含有量が30質量部であり、「着色剤例1」の含有量が0.386質量部であり、「ポリカーボネート樹脂(A2c)」の100質量部あたりの「着色剤例1」の含有量は約1.29(=0.386×100÷30)質量部であるから、本件発明1の「芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、着色剤(B)を0.01~2.0質量部で含み、」との特定事項を満たす。
甲2発明の「樹脂組成物のペレット」は、特定の波長を吸収する「着色剤例1」以外に、赤外光等の可視光以外の波長を吸収する成分を含有していないことから、特定の波長を透過するものと解される。よって、甲2発明の「樹脂組成物のペレット」は、「波長選択透過性」であることは明らかであり、さらに、ポリカーボネート成分を含有していることから、本件発明1の「波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物」に相当する。
そうすると、両者は次の点で一致する。
「芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、極大吸収波長が900nm未満の色素を含む着色剤(B)、及びリン酸エステル系化合物又はリン酸(C)を含み、
前記リン酸エステル系化合物又はリン酸(C)が、下記一般式(I)で示されるリン酸エステル系化合物またはリン酸からなる群から選択される少なくとも一種を含み、
式(I):
O=P(OH)n(OR)3-n
[一般式(I)中、Rはアルキル基またはアリール基であり、各々同一でも異なっていてもよく、nは2の整数を示す。]
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、
着色剤(B)を0.01~2.0質量部で含む、
波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物。」
そして、両者は次の点で相違する。
・相違点2
リン酸又はリン酸エステル系化合物(C)の含有量に関して、本件発明1は「リン酸エステル系化合物(C1)を0.005~0.3質量部で含む又はリン酸(C2)を0.0001~0.004質量部で含む」のに対し、甲2発明は、そのような特定がない点
・相違点3
本件発明1は「(i)前記着色剤(B)が、700nm以上900nm未満に極大吸収波長を有する色素を含む着色剤(B2)を含むこと;(ii)波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物が、Lidarカバー用波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物であること;及び(iii)前記リン酸エステル系化合物又はリン酸(C)が、リン酸(C2)を含むこと」の少なくともいずれか一つを満たすのに対し、甲2発明はそのような特定がない点
上記相違点2について検討する。
甲2発明は、「ポリカーボネート樹脂(A2c)」の含有量が30質量部であり、「リン系安定剤(安定剤1、アデカスタブAX-71)」の含有量が0.1質量部であり、「ポリカーボネート樹脂(A2c)」の100質量部あたりの「リン系安定剤」の含有量は約0.33(=0.1×100÷30)質量部であるから、「0.005~0.3質量部」の範囲外であり、本件発明1の「リン酸エステル系化合物(C1)を0.005~0.3質量部で含む又はリン酸(C2)を0.0001~0.004質量部で含む」との特定事項を満足しない。
したがって、相違点2は実質的な相違点である。
また、甲2には、「安定剤の含有量は、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂材料100質量部に対し、好ましくは0.001~2質量部である。」([0099])と記載され、「(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂材料として、ポリブチレンテレフタレートホモポリマー(A1)とポリカーボネート樹脂(A2c)を併せて含む場合、ポリカーボネート樹脂(A2c)の含有量は、(A1)と(A2c)の合計100質量%に対し、5~50質量%であることが好ましく、より好ましくは10~45質量%であり、更に好ましくは15~45質量%である。」([0054])と記載されているが、「ポリカーボネート樹脂(A2c)」に対して安定剤の含有量を調節することについては記載されていない。
さらに、甲2には、安定剤の含有量が、熱可塑性ポリエステル系樹脂材料100質量部に対する安定剤の含有量について、「安定剤の含有量が0.001質量部未満であると、樹脂組成物の熱安定性や相溶性の改良が期待しにくく、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、2質量部を超えると、過剰量となりシルバーの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向がある。」([0099])と記載されているにとどまり、「高温で成形加工しても光学特性に実質的な変化が生じないこと」(本件明細書の【0008】)については記載も示唆もない。
そうすると、甲2発明において、「ポリカーボネート樹脂(A2c)」の100質量部あたりの「リン系安定剤」の含有量を「約0.33質量部」から「0.005~0.3質量部」の範囲内に調節する動機付けはない。
そして、本件明細書には、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対するリン酸エステル系化合物の含有量が「0.005~0.3質量部」である実施例1,2,5及び7の熱安定性及び信頼性の評価がいずれも「○」であるのに対し、当該リン酸エステル系化合物の含有量が0質量部である比較例1及び比較例2の熱安定性の評価が「×」であり、当該リン酸エステル系化合物の含有量が0.5質量部である比較例3の信頼性の評価が「×」であることが記載されている。
したがって、相違点2に係る特定事項を有することにより、熱安定性及び信頼性を共に満足し、「通常の装置を用いて成形加工して、成形品を製造することができ、その成形の間に光学特性に実質的な変化を生ずることがない」(【0010】)及び「適切に波長選択性を有し、光学特性に変化を実質的に生じない成形品を提供する」(【0010】)という効果を奏するといえる。
ここで、申立人は申立書において、甲2の[0089]及び[0099]の記載を根拠として、「本件発明1における「リン酸エステル系化合物又はリン酸(C)」の含有量の範囲は、甲第2号証に記載された「リン系安定剤」などの「安定剤」の含有量の範囲と同一ではないものの、甲第2号証に記載された範囲と概ね重複するものである。」(33頁6~20行)と主張している。
しかしながら、本件明細書の[0099]の「(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂材料」は、「ポリブチレンテレフタレートホモポリマーと、ポリブチレンテレフタレートコポリマー、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はポリカーボネート樹脂の少なくとも1種とを含む」(請求項1)ものであり、ポリカーボネート樹脂は、ポリブチレンテレフタレートホモポリマーと併用する樹脂成分の選択肢の1つに過ぎないことから、上記[0099]の記載のみでもって、直ちにポリカーボネート樹脂に対する安定剤の含有量の範囲を特定することはできない。
したがって、上記主張は採用できない。
よって、本件発明1は甲2発明ではないし、甲2発明及び甲2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(3)本件発明2~6、8~10及び12について
本件発明2~6、8及び9は波長選択透過性ポリカーボネート樹脂組成物に関するものであり、本件発明10は波長選択透過性ポリカーボネート樹脂成形品に関するものであり、本件発明12は波長選択透過性ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法に関するものであるが、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件発明1の発明特定事項を全て有するものである。
そして、上記(2)で検討したとおり、本件発明1は、甲2発明ではないし、甲2発明及び甲2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、本件発明1の発明特定事項を全て含む本件発明2~6、8~10及び12は、甲2発明ではないし、甲2発明及び甲2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(4)申立理由2についてのまとめ
よって、申立理由2はその理由がない。
第6 結語
上記第5のとおり、本件特許の請求項1~6、8~10及び12に係る特許は、取消理由及び申立書に記載した申立ての理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~6、8~10及び12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700402