特許異議申立
2024-700205
識別支援システム、識別支援クライアント、識別支援サーバ、及び識別支援方法
- 審判番号
- 2024-700205
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-533014
- 登録番号
- 7343585
- 請求日
- 2024年03月04日
- 審決日
- 2024年09月30日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】富士フイルムメディカル株式会社
- 【権利者代理人】松浦 憲三
- 【権利者代理人】大原 一樹
- 【権利者代理人】松村 潔
- 【権利者代理人】松浦 憲政
- 【異議申立人】IPセイル 合同会社
- 審判長/審判官
- 審判長 畑中 高行
- 審判官 木方 庸輔
- 審判官 高橋 宣博
- 分類
- P1652.121-Y (G06V)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7343585号発明「識別支援システム、識別支援クライアント、識別支援サーバ、及び識別支援方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7343585号の請求項1及び6~8に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7343585号(以下「本件特許」という。)の請求項1~8に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)7月9日(優先権主張 令和元年7月17日)を国際出願日とする出願であって、令和5年9月4日にその特許権の設定登録がされ、同年9月12日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許に対し、令和6年3月4日に特許異議申立人IPセイル合同会社により特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~8に係る特許発明(以下それぞれ「本件発明1」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち、特許異議の申立てがされた請求項1及び6~8は、以下のとおりである。
なお、各請求項について当審にて1A~8Qの発明特定事項に分説した。分説した各発明特定事項を、以下それぞれ「発明特定事項1A」等という。
また、下線は、強調のために当審にて付した。
(本件発明1)【請求項1】
(1A)薬剤の画像を取得する画像取得部と、
(1B)前記画像に含まれる文字列を文字ごとに抽出して前記文字列を示す第1のテキストを生成するテキスト化部と、
(1C)前記第1のテキストを薬剤の識別に用いられる表現に基づいて修正して第2のテキストを生成するテキスト修正部と、
(1D)薬剤のコード及び/または名称を示す識別情報と、薬剤に付された文字を示す文字情報と、がテキストとして記憶された薬剤マスタと、
(1E)前記第2のテキストを前記薬剤マスタと照合して、前記第2のテキストが示す薬剤の候補である候補薬剤についての前記識別情報を取得する照合部と、
(1F)前記候補薬剤についての前記識別情報を出力する出力部と、
を備え、
(1G)前記テキスト修正部は、前記抽出した文字の前後関係を用いて前記第1のテキストを修正し、
(1H)前記薬剤マスタは前記文字情報についてのレイアウト情報を有し、
(1I)前記照合部は前記レイアウト情報に基づいて前記照合を行う
(1J)識別支援システム。
(本件発明6)【請求項6】
(6A)薬剤の画像を取得する画像取得部と、
(6B)前記画像に含まれる文字列を文字ごとに抽出して前記文字列を示す第1のテキストを生成するテキスト化部と、
(6C)前記第1のテキストを薬剤の識別に用いられる表現に基づいて修正して第2のテキストを生成するテキスト修正部と、
(6K)前記第2のテキストを示す情報を識別支援サーバに送信するクライアント側送信部と、
(6L)前記第2のテキストが示す薬剤の候補である候補薬剤について、薬剤のコード及び/または名称を含む識別情報を前記識別支援サーバから受信するクライアント側受信部と、
(6F)前記候補薬剤についての前記識別情報を出力する出力部と、
を備え、
(6G)前記テキスト修正部は、前記抽出した文字の前後関係を用いて前記第1のテキストを修正する
(6M)識別支援クライアント。
(本件発明7)【請求項7】
(7D)薬剤のコード及び/または名称を示す識別情報と、薬剤に付された文字を示す文字情報と、がテキストとして記憶された薬剤マスタと、
(7N)薬剤についてのテキスト情報を識別支援クライアントから受信するサーバ側受信部と、
(7E)前記テキスト情報を前記薬剤マスタと照合して、前記テキスト情報が示す薬剤の候補である候補薬剤についての前記識別情報を取得する照合部と、
(7O)前記取得した前記識別情報を前記識別支援クライアントに送信するサーバ側送信部と、
を備え、
(7H)前記薬剤マスタは前記文字情報についてのレイアウト情報を有し、
(7I)前記照合部は前記レイアウト情報に基づいて前記照合を行う
(7P)識別支援サーバ。
(本件発明8)【請求項8】
(8A)薬剤の画像を取得する画像取得工程と、
(8B)前記画像に含まれる文字列を文字ごとに抽出して前記文字列を示す第1のテキストを生成するテキスト化工程と、
(8C)前記第1のテキストを薬剤の識別に用いられる表現に基づいて修正して第2のテキストを生成するテキスト修正工程と、
(8D)薬剤のコード及び/または名称を示す識別情報と、薬剤に付された文字を示す文字情報と、がテキストとして記憶された薬剤マスタと
(8E)前記第2のテキストとを照合して、前記第2のテキストが示す薬剤の候補である候補薬剤についての前記識別情報を取得する照合工程と、
(8F)前記候補薬剤についての前記識別情報を出力する出力工程と、
を有し、
(8G)前記テキスト修正工程では、前記抽出した文字の前後関係を用いて前記第1のテキストを修正し、
(8H)前記薬剤マスタは前記文字情報についてのレイアウト情報を有し、
(8I)前記照合工程では前記レイアウト情報に基づいて前記照合を行う
(8Q)識別支援方法。
第3 特許異議の申立ての理由の概要
特許異議申立人が申し立てた申立て理由(以下「申立理由」という。)は、以下のとおりである。
本件発明1及び6~8は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲第1号証~甲第3号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1及び6~8は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号の規定により、取り消されるべきものである。
甲第1号証: 国際公開2018/190394号
甲第2号証: 特開平2-90384号公報
甲第3号証: 特開2009-98867号公報
(甲第1号証~甲第3号証を、以下それぞれ「甲1」~「甲3」という。)
第4 当審の判断
1 各甲号証の記載、並びに、甲各号証に記載された発明又は技術
(1)甲1の記載及び甲1に記載された発明(甲1発明)
ア 甲1の記載
甲1には、次の記載がある。なお、下線は当審で付したものである。
「[0077] 印刷出力部4は、目視鑑査後のユーザ入力に従って、目視鑑査後の薬剤に関する薬剤データ(例:薬剤名、製造元または成分を示すデータ)を表すジャーナルを印字する。薬剤データには、薬剤固有の画像を示す画像データが含まれていてもよい。」
「[0090] また、図1に示すように、薬剤仕分装置1の上記各部材(ハードウェア)を統括して制御するコンピュータ60を備える。コンピュータ60は、制御部(ソフトウェア)として主に、搬送制御部61、仕分制御部62、撮像制御部63、判別部64、画像分類部65、操作入力部66、表示制御部67、RFID制御部68、および印刷出力制御部69を備える。搬送制御部61、仕分制御部62、撮像制御部63、判別部64、および画像分類部65については、後述の各処理の説明において詳細に説明する。」
「[0092] また、コンピュータ60は記憶部80を備える。記憶部80は、例えば、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理する薬剤データベース(薬剤マスタ)と、第1カメラ131が撮像した画像データとを記憶する。また、記憶部80は、判別部64の判別結果と、仕分制御部62が決定した薬剤の仕分位置とを紐付けたデータを記憶する。このデータは、仕分開始から仕分完了までの、薬剤と仕分位置とを紐付けた仕分状況データともいえる。」
「[0139] 照明器134は、撮像制御部63の制御により、薬剤の撮像時に、薬剤に照射される光を出射する。照明器134は、図6の(a)および図7に示すように、薬剤に可視光を照射する可視光照射部(第1照射部134aおよび第2照射部134b)と、薬剤に紫外光を照射する紫外光照射部134cとを備える。第1照射部134aおよび第2照射部134bは、可視光として白色光を薬剤に照射する。第1照射部134aはバー形状の可視光源(バー照明)であり、第2照射部134bはリング形状の可視光源(リング照明)である。第1カメラ131は、第1照射部134aまたは第2照射部134bから出射され、薬剤で反射した可視光を受光することにより、可視光に基づく画像(可視光画像)を取得する。撮像制御部63は、第1カメラ131が取得した可視光画像を示す画像データを、判別部64に出力する。」
「[0158] 判別部64は、可視光画像および/または紫外光画像のそれぞれにおいて画像解析を実行することにより、当該画像に含まれる薬剤の特徴を抽出する。換言すれば、判別部64は、薬剤の特徴を抽出する特徴抽出部の機能を有する。薬剤の特徴としては、例えば、大きさ、形状、刻印、プリント、割線、代表色(刻印またはプリントが付された領域の色)が挙げられる。OCR(Optical Character Recognition)等を行った場合には、薬剤の特徴として、刻印またはプリントにより表された薬剤名または製造元を示す識別情報、使用期限等のその他の情報が抽出される。また、紫外光画像の場合には、薬剤の特徴として、画像中の薬剤における代表色が挙げられる。判別部64は、抽出した各薬剤の特徴を、薬剤の画像データに紐づけて記憶部80に記憶する。なお、薬剤の特徴抽出は、公知の技術により行われてもよい。
[0159] 判別部64は、各薬剤の特徴を薬剤データベースと照合することにより薬剤の種類を判別する。換言すれば、判別部64は、抽出した薬剤の特徴に基づいて、パターンマッチング等を用いて、薬剤データベースの中から、撮像された薬剤に関する薬剤データの候補を絞込む薬剤データ抽出部の機能を有する。この場合、例えば、上述した大きさ、形状、刻印、プリント、割線、および代表色の少なくとも1つを用いて薬剤データの候補を絞込む。その後、判別部64は、OCR等を行い、刻印またはプリントに表された識別情報等を読取り、パターンマッチング等を用いて上記候補の中から薬剤の種類をさらに絞込む。」
「[0176] 判別部64は、薬剤の種類の判別結果を仕分制御部62に出力する。例えば、薬剤の種類を1つに特定できた場合、または所定数以内の候補数に絞込んだ場合には、当該薬剤に関する薬剤データを判別結果として出力する。この場合、判別部64は、当該薬剤に関する薬剤データを、当該薬剤の画像データに紐づけて記憶部80に記憶する。」
「[0250] 判別部64は、図13の(c)に示すように、上記認識処理によって、例えば、実際の文字「A」を文字「4」(図中の符号Ch1)として認識し、実際の文字「R」を文字「0」(図中の符号Ch2)として認識する。また、判別部64は、上記認識処理によって、例えば、実際の文字「E」の一部を文字「1」(図中の符号Ch3)として認識し、実際の割線の一部を文字「1」(図中の符号Ch4)として認識する。また、判別部64は、図13の(d)に示すように、上記認識処理によって実際の文字「102」を文字「102」として、読み取っている。」
「[0252] 判別部64は、文字(上記部分)の大きさが所定範囲の大きさで、かつ当該文字の並びに直線性があるか否かを判定する。符号Ch3が付された部分は、所定範囲の大きさを有していないため、認識する文字から除外される。また、符号Ch1、Ch2及びCh4が付された部分は、その並びに直線性が無いものとして除外される。一方、実際の文字「102」については、画像において、「1」、「0」及び「2」の各部分の大きさが所定範囲の大きさを有しており、かつその並びに直線性があるものとして判定される。」
「[0473] <その他の種々の処理又は動作例>
(文字認識)
次に、判別部64による文字認識処理の別例について説明する。ここで、記憶部80には、例えば、薬剤名を示す識別情報に紐付けて、文字、刻印及び割線等を含む薬剤の画像を示す画像データ(マスタ画像)を、薬剤のマスタ情報として記憶しているものとする。この画像データは、薬剤データベースにより管理されても構わない。またこの場合、判別部64は、配置領域Arにおいて第1カメラ131により撮像された薬剤の画像について、記憶部80に記憶された複数の画像データとのパターンマッチングを行うものとする。」
「[0475] そこで本例では、薬剤に示された記号の種類(例:文字(数字及び英字等)、メーカーマーク、及び割線)、大きさ及び角度を示す、薬剤に示された記号を特定するための記号特定情報を、予め識別情報に紐付けて登録しておく。判別部64は、記号特定情報を参照することで、薬剤の種類を特定する。」
「[0478] 次に、情報生成装置は、図36の(b)~(d)に示すように、画像Imaを回転させながら、薬剤のマスタ情報に含まれる画像データとのパターンマッチングを行うことで、記号特定情報を取得する。例えば、図36の(b)の状態においては、パターンマッチングを行うことで、画像Imr1から「1」を取得する。このとき、情報生成装置は、画像Imr1における「1」をなぞるように線を引くことで、「1」を形成する複数の画素を特定する。これにより、情報生成装置は、画像Imr1における「1」の大きさを特定する。またこのときに、文字の種類を数字と特定しても構わない。また、情報生成装置は、図36の(a)に示す画像Imaの位置を基準としたときの、当該基準からの画像Imr1の角度も取得する。これにより、情報生成装置は、画像Imr1における「1」の角度を特定する。図36の(c)及び(d)の状態においても、画像Imr2における「2」、画像Imr3における「3」のそれぞれの大きさ及び角度を特定する。」
「[0480] 判別部64は、撮像された薬剤の画像について、記憶部80に記憶された複数の画像データとのパターンマッチングを行うことで、マッチングスコアが高い順に複数(例:10種類)の薬剤の種類を絞込む。判別部64は、絞込んだ複数の薬剤のそれぞれについて、撮像された画像を記号特定情報と照合する(撮像された画像に記号特定情報を当てはめる)。判別部64は、絞り込んだ薬剤の、撮像された画像のうち、記号特定情報との一致度が最も高い薬剤の画像を特定し、当該薬剤が、当該記号特定情報に紐付けられた薬剤の種類(薬剤名)であることを特定する。」
「[図36]
[図:0001416481000001.jpg]
」
イ 甲1に記載された発明(甲1発明)
上記アで摘記した記載から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、下記甲1発明を当審にて1a~1gの構成に分説した。分説した構成を、以下それぞれ「構成1a」等という。また、甲1における記載箇所を、( )内に示した。
(甲1発明)
(1a) 第1カメラ131は、薬剤で反射した可視光を受光することにより、可視光画像を取得し、([0139])
(1b) 判別部64は、可視光画像において画像解析を実行することにより、当該画像に含まれる薬剤の特徴を抽出し、OCRを行った場合、薬剤の特徴として、刻印またはプリントにより表された薬剤名を示す識別情報が抽出され、([0158])
(1c) コンピュータ60は記憶部80を備え、記憶部80は、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理する薬剤データベース(薬剤マスタ)を記憶し、([0092])
(1d) 判別部64は、各薬剤の特徴を薬剤データベースと照合することにより薬剤の種類を判別し、換言すれば、抽出した薬剤の特徴に基づいて、パターンマッチング等を用いて、薬剤データベースの中から、撮像された薬剤に関する薬剤データの候補を絞込む薬剤データ抽出部の機能を有し、OCRを行い、刻印またはプリントに表された識別情報等を読取り、パターンマッチング等を用いて上記候補の中から薬剤の種類を絞込み、([0159])
(1e) 判別部64は、実際の文字「A」を文字「4」として認識し、実際の文字「R」を文字「0」として認識し、実際の文字「E」の一部を文字「1」として認識し、実際の割線の一部を文字「1」として認識するものについて、文字の大きさが所定範囲の大きさで、かつ当該文字の並びに直線性があるか否かを判定し、所定範囲の大きさを有していない場合、認識する文字から除外され、その並びに直線性が無い場合、除外され、([0250][0252])
(1f) 判別部64は、薬剤の種類の判別結果を出力し、薬剤の種類を1つに特定できた場合、または所定数以内の候補数に絞込んだ場合には、当該薬剤に関する薬剤データを判別結果として出力する([0176])
(1g) 薬剤仕分装置1。([0090])
ウ 甲1に記載された技術(甲1技術)
甲1において、上記アで摘記した記載のうち、段落[0473]以降には、「その他の種々の処理又は動作例」として、次の技術(以下「甲1技術」という。)が記載されている。
なお、甲1における記載箇所を、( )内に示した。
(甲1技術)
甲1発明の判別部64による文字認識処理の別例において、([0473])
薬剤に示された記号の大きさ及び角度を示す、薬剤に示された記号を特定するための記号特定情報を、予め識別情報に紐付けて登録し、
判別部64は、記号特定情報を参照することで、薬剤の種類を特定し、([0475])
情報生成装置は、画像Imaを回転させながら、薬剤のマスタ情報に含まれる画像データとのパターンマッチングを行うことで、記号特定情報を取得し、画像Imaの位置を基準としたときの、当該基準からの画像Imr1の角度も取得する技術。([0478][図36])
(2)甲2の記載及び甲2に記載の技術(甲2技術)
ア 甲2の記載
甲2には、次の記載がある。下線は、強調のために当審にて付した。
「画像入力部1は原稿のイメージをスキャナ2から読込み、画像メモリ3に格納する。文字切出し部4は画像メモリ3に格納された原稿イメージから一文字毎のイメージを切出し、文字画像メモリ5に格納する。前処理部6は文字画像メモリ5に格納された一文字のイメージに正規化、平滑化などの処理を施す。
文字認識部7は前処理後の一文字のイメージの特徴抽出を行い、抽出した特徴と文字認識辞書メモリ8上の文字認識辞書の特徴との比較を行い、候補文字(数候補)のコードを認識結果として認識結果メモリ9に書出す。」(5頁19行~6頁10行)
「誤認識修正部17は、「誤認識フラグ」のたっている位置の第1候補文字コードおよび前後の文字コードの文字種を判定し、その文字種の並びと文字種出現ルール(第6図)との照合を行い、あるルール番号で一致した場合は、そのルール番号に記述された正解文字種の候補文字に誤認識位置の文字を修正する。
例えば第7図に示した認識結果の場合、誤認識検出部16は「ファイりング」の「り」の位置にフラグをたてる。誤認識修正部17は、「り」の前後の文字種の並びは「カタカナ-ひらがな-カタカナ」であって文字種出現ルール(第6図)のルール番号1に一致するので、正解文字種をカタカナと推定し、第1候補のひらがな「り」を第2候補のカタカナ「リ」に修正する。」(11頁8行~12頁2行)
イ 甲2に記載された技術(甲2技術)
上記アで摘記した記載から、甲2には、次の技術(以下「甲2技術」という。)が記載されているといえる。
(甲2技術)
画像入力部1は原稿のイメージをスキャナ2から読込み、原稿イメージから一文字毎のイメージを切出し、文字認識部7は前処理後の一文字のイメージの特徴抽出を行い、抽出した特徴と文字認識辞書メモリ8上の文字認識辞書の特徴との比較を行い、候補文字のコードを認識結果として認識結果メモリ9に書出し、誤認識修正部17は、第1候補文字コードおよび前後の文字コードの文字種を判定し、その文字種の並びと文字種出現ルールとの照合を行い、正解文字種の候補文字に誤認識位置の文字を修正する技術。
(3)甲3の記載及び甲3に記載された技術(甲3技術)
ア 甲3の記載
甲3には、次の記載がある。下線は、強調のために当審で付した。
「【0041】
図10のステップS1001では、ステップS404で得られた文字列領域のうち301に当たる領域の元画像に対するステップS405の文字認識結果に対し、認識支援辞書とのマッチングを行う。認識支援辞書とは、ナンバープレートで使用されうる陸運局名及び分類番号の組み合わせを登録したものである。マッチングの結果、ステップS405で得られた文字認識結果と一致すれば、それを当該ナンバープレートの文字列として確定する。」
「【0045】
ステップS1005では、ステップS404で得られた文字列領域のうち301に当たる領域の元画像に対するステップS405の文字認識結果に対し、認識支援辞書による修正を試みる。具体的には、陸運局名部分の文字認識結果に対し、認識結果の一部が一致するなどの理由で正解とされるべき地名が類推される場合に、認識結果を修正する。文字の誤認識を修正可能であれば、それを当該ナンバープレートの文字列として確定する。」
イ 甲3に記載された技術(甲3技術)
上記アで摘記した記載から、甲3には、次の技術(以下「甲3技術」という。)が記載されている。
(甲3技術)
ステップS404で得られた文字列領域のうち301に当たる領域の元画像に対するステップS405の文字認識結果に対し、認識支援辞書により修正し、
具体的には、陸運局名部分の文字認識結果に対し、認識結果の一部が一致するなどの理由で正解とされるべき地名が類推される場合に、認識結果を修正し、文字の誤認識を修正可能であれば、それを当該ナンバープレートの文字列として確定し、
認識支援辞書とは、ナンバープレートで使用されうる陸運局名及び分類番号の組み合わせを登録したものである技術。
2 本件発明1と甲1発明との対比・判断
(1)本件発明1と甲1発明との対比
ア 発明特定事項1Aについて
甲1発明は、構成1aによれば「第1カメラ131は、薬剤で反射した可視光を受光することにより、可視光画像を取得」するものである。ここで、甲1発明の「可視光画像」は、本件発明1の発明特定事項1Aの「画像」に相当するから、甲1発明の「第1カメラ131」は、本件発明1の発明特定事項1Aの「画像取得部」に相当し、甲1発明の、薬剤の可視光画像を取得する第1カメラ131は、本件発明1の発明特定事項1Aである「薬剤の画像を取得する画像取得部」に相当する。
イ 発明特定事項1Bについて
甲1発明の「判別部」は、構成1bによれば「可視光画像において画像解析を実行することにより、当該画像に含まれる薬剤の特徴を抽出し、OCRを行った場合、薬剤の特徴として、刻印またはプリントにより表された薬剤名を示す識別情報が抽出され」るものである。
ここで、OCRとは、画像に含まれる文字列を文字ごとに抽出して認識し、文字情報をテキスト化することであるから、甲1発明の判別部は、画像に含まれる文字列を文字ごとに抽出して認識し、文字情報をテキスト化する構成を備えるものといえる。
そうすると、甲1発明のOCRによって薬剤の可視光画像から薬剤名を示す識別情報を抽出する「判別部」は、本件発明1の発明特定事項1Bである「前記画像に含まれる文字列を文字ごとに抽出して前記文字列を示す第1のテキストを生成するテキスト化部」に相当する構成を備えるといえる。
ウ 発明特定事項1Cについて
本件発明1は、発明特定事項1Cである「前記第1のテキストを薬剤の識別に用いられる表現に基づいて修正して第2のテキストを生成するテキスト修正部」との事項を備えるのに対し、甲1発明は、テキストの修正に関する構成を備えない点で、両者は相違する。
エ 発明特定事項1Dについて
甲1発明は、構成1cによれば「薬剤データベース(薬剤マスタ)」は、「複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理する」ものであり、構成1dによれば「判別部」は、「各薬剤の特徴を薬剤データベースと照合することにより薬剤の種類を判別」するものであるから、「薬剤データベース(薬剤マスタ)」は、「薬剤の特徴」と「薬剤の種類」を照合できるデータを記憶しているものである。
ここで、構成1bによれば「OCRを行った場合、薬剤の特徴として、刻印またはプリントにより表された薬剤名を示す識別情報が抽出され」るから、上記イのOCRに関する記載を参酌すると、「薬剤の特徴」には、薬剤に付された刻印またはプリントにより表された薬剤名の識別情報である文字情報のテキストが含まれる。
そして、上記のようにOCRを行うことによって、薬剤に付された刻印またはプリントにより表された薬剤名を示す識別情報の文字情報がテキストとして抽出されるから、当該刻印またはプリントは、文字を刻印またはプリントしたものであるといえる。
してみると、上記「薬剤の特徴」である薬剤に付された刻印またはプリントにより表された薬剤名を示す識別情報の文字情報のテキストは、薬剤に付された文字を示す情報であるといえる。
よって、甲1発明の「薬剤データベース(薬剤マスタ)」には、「薬剤の特徴」である「薬剤に付された文字を示す情報」が「テキストとして記憶」されているといえる。
また、「薬剤の種類」は、甲1の段落[0480]に「薬剤の種類(薬剤名)」と記載されているように、薬剤名と等価であるといえるから、甲1発明の「薬剤データベース(薬剤マスタ)」は、「薬剤の種類」である「薬剤名」が記憶されているといえる。
そして、構成1fによれば「判別部」は、「薬剤の種類の判定結果を出力」し、「薬剤の種類を1つに特定できた場合、または所定数以内の候補数に絞込んだ場合には、当該薬剤に関する薬剤データを判別結果として出力し」、甲1の段落[0077]に「薬剤に関する薬剤データ(例:薬剤名、製造元または成分を示すデータ)」と記載されているように、「薬剤データ」には「薬剤名を示すデータ」が含まれるから、上記「判別部」は、上記「薬剤データベース(薬剤マスタ)」に記憶されている「薬剤名」を出力することとなり、「薬剤名」はテキストであるから、上記「薬剤名」は上記「薬剤データベース(薬剤マスタ)」に「テキストとして記憶」されているといえる。
そうすると、本件発明1の発明特定事項1Dである「薬剤マスタ」と甲1発明の「薬剤データベース(薬剤マスタ)」とは、「薬剤の名称に関する情報と、薬剤に付された文字を示す情報と、がテキストとして記憶された薬剤マスタ」(以下「発明特定事項1D’」という。)である点で共通する。
一方で、「薬剤の名称に関する情報」が、本件発明1の発明特定事項1Dでは「薬剤のコード及び/または名称を示す識別情報」であるのに対し、甲1発明では「薬剤名」である点で相違する。
オ 発明特定事項1E及び1Fについて
甲1発明の「判別部」は、構成1dによれば「各薬剤の特徴を薬剤データベースと照合することにより薬剤の種類を判別し、」「薬剤データベースの中から、撮像された薬剤に関する薬剤データの候補を絞込む薬剤データ抽出部の機能を有し、OCRを行い、刻印またはプリントに表された識別情報を読取り、パターンマッチング等を用いて薬剤データの候補を絞込」むものであり、構成1fによれば「薬剤の種類の判別結果を出力」し、「薬剤の種類を1つに特定できた場合、または所定数以内の候補数に絞込んだ場合には、当該薬剤に関する薬剤データを判別結果として出力する」ものである。
ここで、甲1発明の「判別部」は、「薬剤データの候補を絞込」み、「薬剤の種類を絞込」む処理を行うものであり、また、「薬剤の種類の判別結果を出力」し、「薬剤の種類を1つに特定できた場合、または所定数以内の候補数に絞込んだ場合には、当該薬剤に関する薬剤データを判別結果として出力する」ものである。
さらに、上記エによると、「薬剤の特徴」には「薬剤に付された刻印またはプリントにより表された薬剤名を示す識別情報の文字情報のテキスト」が含まれ、「薬剤データ」には「薬剤名を示すデータ」が含まれ、また、「薬剤の種類」は「薬剤名」である。
そうすると、甲1発明における構成1d及び1fの「判別部」と、本件発明1における発明特定事項1Eの「照合部」及び発明特定事項1Fの「出力部」とは、「テキストを前記薬剤マスタと照合して、前記テキストが示す薬剤の候補である候補薬剤についての薬剤の名称に関する情報を取得する照合部」(以下「発明特定事項1E’」という。)及び「前記候補薬剤についての前記薬剤の名称に関する情報を出力する出力部」(以下「発明特定事項1F’」という。)である点で共通する。
一方で、甲1発明は、上記ウで述べたとおり、本件発明1の発明特定事項1Cである「前記第1のテキストを薬剤の識別に用いられる表現に基づいて修正して第2のテキストを生成するテキスト修正部」を備えていないことから、照合部において上記薬剤マスタと、照合するテキストが、本件発明1の発明特定事項1Eでは、修正された「第2のテキスト」であるのに対し、甲1発明ではそのような修正された「第2のテキスト」ではない点、及び上記エと同様に、「薬剤の名称に関する情報」が、本件発明1の発明特定事項1E及び1Fでは「(薬剤のコード及び/または名称を示す)識別情報」であるのに対し、甲1発明では「薬剤名(を示すデータ)」である点で、両者は相違する。
カ 発明特定事項1Gについて
本件発明1は、発明特定事項1Gである「前記抽出した文字の前後関係を用いて前記第1のテキストを修正」する「前記テキスト修正部」との構成を備えるのに対し、甲1発明は、上記ウと同様に、テキストを修正する構成を備えない点で、両者は相違する。
キ 発明特定事項1Hについて
本件発明1の発明特定事項1Hに記載されている「レイアウト情報」は、「文字情報についてのレイアウト情報」である。そして、本件特許の明細書に「テキスト化部106は画像に含まれる文字列のレイアウト(例えば、「左上から順次右上、左下、右下へ」、「二段組み」、「フリーレイアウト」等)を検出することが好ましく、この場合、薬剤マスタ202も文字列についてのレイアウト情報(文字情報についてのレイアウト情報)を有していることが好ましい」(段落【0031】)と記載されるとおり、本件発明1の「レイアウト情報」は、薬剤の表面に印字されている文字どうしの相対的な位置関係を表す配置についての情報であると認められる。
一方で、甲1発明には、レイアウトに関する情報についての記載はない。
よって、本件発明1は、発明特定事項1Hである「前記薬剤マスタは前記文字情報についてのレイアウト情報を有し」との構成を備えるものであるが、甲1発明は、レイアウト情報に関する構成を備えない点で、両者は相違する。
ク 発明特定事項1Iについて
甲1発明は、上記キのとおり、レイアウト情報に関する構成を備えない。
よって、本件発明1は、発明特定事項1Iである「前記照合部は前記レイアウト情報に基づいて前記照合を行う」との構成を備えるものであるが、甲1発明は、そのような照合を行わない点で、両者は相違する。
ケ 発明特定事項1Jについて
甲1発明の発明特定事項1gである「薬剤仕分装置1」は、薬剤を仕分けることで識別を支援するシステムといえるから、上記ウ~クで述べた発明特定事項1C~1Iに係る相違点を除いて、本件発明1の発明特定事項1Jに記載の「識別支援システム」であるといえる。
(2)本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点
上記(1)のア~ケによると、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点で一致し、以下の各相違点で相違する。
[一致点]
(1A)薬剤の画像を取得する画像取得部と、
(1B)前記画像に含まれる文字列を文字ごとに抽出して前記文字列を示す第1のテキストを生成するテキスト化部と、
(1D’)薬剤の名称に関する情報と、薬剤に付された文字を示す情報と、がテキストとして記憶された薬剤マスタと、
(1E’)テキストを前記薬剤マスタと照合して、前記テキストが示す薬剤の候補である候補薬剤についての前記薬剤の名称に関する情報を取得する照合部と、
(1F’)前記候補薬剤についての前記薬剤の名称に関する情報を出力する出力部と、
を備える
(1J)識別支援システム。
[相違点]
・相違点1 (発明特定事項1C及び1G)
本件発明1は、発明特定事項1Cである「前記第1のテキストを薬剤の識別に用いられる表現に基づいて修正して第2のテキストを生成するテキスト修正部」及び発明特定事項1Gである「前記テキスト修正部は、前記抽出した文字の前後関係を用いて前記第1のテキストを修正」する事項を備えるのに対し、甲1発明は、これらのテキストの修正に関する構成を備えない点。
・相違点2 (発明特定事項1D~1F)
「薬剤の名称に関する情報」が、本件発明1の発明特定事項1D~1Fでは「薬剤のコード及び/または名称を示す識別情報」であるのに対し、甲1発明では「薬剤名(を示すデータ)」である点。
・相違点3 (発明特定事項1E)
薬剤マスタと照合するテキストが、本件発明1では「修正された第2のテキスト」であるのに対し、甲1発明では修正された「第2のテキスト」ではない点。
・相違点4 (発明特定事項1H及び1I)
本件発明1は、発明特定事項1Hである「前記薬剤マスタは前記文字情報についてのレイアウト情報を有し」、及び発明特定事項1Iである「前記照合部は前記レイアウト情報に基づいて前記照合を行う」との構成を備えるのに対し、甲1発明は、これらのレイアウト情報に関する構成を備えず、そのような照合も行わない点。
(3)本件発明1と甲1発明との相違点に対する判断
上記(2)で挙げた相違点について検討する。
ア 相違点1について
甲2技術は、「画像入力部1は原稿のイメージをスキャナ2から読込み」「誤認識修正部17は、第1候補文字コードおよび前後の文字コードの文字種を判定し、その文字種の並びと文字種出現ルールとの照合を行い、正解文字種の候補文字に誤認識位置の文字を修正する」ものである。
また、甲3技術は、「文字認識結果に対し、認識支援辞書により修正」するものである。
よって、甲2技術は、本件発明1の発明特定事項1Cの「テキスト」を「修正する」「テキスト修正部」を備える点で共通し、また、甲3技術は、発明特定事項1Gの「前記テキスト修正部」が「テキストを修正」する構成を備える点で共通する。
しかし、甲1発明は、構成1dによれば「判別部」は、「抽出した薬剤の特徴に基づいて、パターンマッチング等を用いて、薬剤データベースの中から、撮像された薬剤に関する薬剤データの候補を絞込む薬剤データ抽出部の機能を有する」ものであり、抽出した薬剤の特徴に基づいて薬剤データの候補を直接絞り込むものである。
また、甲1発明は、構成1eによれば「実際の文字「A」を文字「4」として認識し、実際の文字「R」を文字「0」として認識し、実際の文字「E」の一部を文字「1」として認識し、実際の割線の一部を文字「1」として認識するものについて、文字の大きさが所定範囲の大きさで、かつ当該文字の並びに直線性があるか否かを判定し、所定範囲の大きさを有していない場合、認識する文字から除外され、その並びに直線性が無い場合、除外され」るものである。
以上の記載から、甲1発明は、各文字の認識の誤りについては、薬剤を判別する文字から除外された上で、パターンマッチング等から、撮像された薬剤に関する薬剤の候補を絞り込むものである。
そうすると、甲1発明には、パターンマッチング等を行う前に、文字の認識の誤りを修正する構成に変更する動機がない。
よって、甲1発明を、相違点1に係る構成を備える発明とすることは、当業者が容易になし得たものではない。
イ 相違点2について
「薬剤名」等の名称が長い場合、直接「薬剤名」を表現せずに、識別情報で表現することは、常套手段であるから、甲1発明において、「薬剤名」に代えて「薬剤の名称を示す識別情報」を使用することは、当業者が適宜なし得ることである。
また、薬剤を判別するために「薬剤コード」を使用することも常套手段であるから、甲1発明において「薬剤名」に代えて「薬剤のコードを示す識別情報」を使用することも、当業者が適宜なし得ることである。
ウ 相違点3について
上記アで検討したとおり、甲2技術及び甲3技術は、それぞれ本件発明1の発明特定事項1Cのうち、「テキスト」を「修正する」「テキスト修正部」、及び、発明特定事項1Gのうち「前記テキスト修正部」は、「テキストを修正」する構成を備える点で共通する。
しかし、上記アの検討と同様に、甲1発明には、薬剤マスタと照合するテキストを修正されたテキストとする動機がない。
よって、甲1発明を、相違点3に係る構成を備える発明とすることは、当業者が容易になし得たものではない。
エ 相違点4について
上記2(1)キで述べたとおり、甲1発明にはレイアウトに関する情報についての記載はない。
また、甲2及び甲3にもレイアウトに関する記載は見当たらない。
なお、甲1技術によれば、「薬剤に示された記号の大きさ及び角度を示す、薬剤に示された記号を特定するための記号特定情報を、予め識別情報に紐付けて登録しており」、「判別部64」は、「画像を回転させながら、薬剤のマスタ情報に含まれる画像データとのパターンマッチングを行うことで、記号特定情報を取得」し、「記号特定情報を参照すること」により、「薬剤の種類を特定」するものである。
しかし、薬剤に示された記号の大きさ及び回転の角度は、文字どうしの相対的な位置関係を表す情報ではなく、得られた画像に対して識別するために文字を正規化するための情報にとどまるものである。
そうすると、甲1技術における「薬剤に示された記号の大きさ及び角度を示す、薬剤に示された記号を特定するための記号特定情報」は、本件発明1の「レイアウト情報」に相当しない。
よって、甲1発明を、相違点4に係る構成を備える発明とすることは、当業者が容易になし得たものではない。
オ まとめ
上記ア、ウ、エのとおりであるから、本件発明1は、甲1発明、並びに、甲1技術、甲2技術及び甲3技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本件発明6と甲1発明との対比・判断
本件発明6は、本件発明1の発明特定事項1C及び1Gに対応する、発明特定事項6C及び6Gを備えるものであるから、本件発明1と同様に、甲1発明と、発明特定事項6C及び6Gを備えない点(上記2(2)の相違点1)で相違する。
よって、上記2(3)アでの検討と同様に、本件発明6は、甲1発明、並びに甲2技術及び甲3技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 本件発明7と甲1発明との対比・判断
本件発明7は、本件発明1の発明特定事項1H及び1Iに対応する、発明特定事項7H及び7Iを備えるものであるから、本件発明1と同様に、甲1発明と、発明特定事項7H及び7Iを備えない点(上記2(2)の相違点4)で相違する。
そして、上記2(3)エでの検討と同様に、本件発明7は、甲1発明、並びに甲2技術及び甲3技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 本件発明8と甲1発明との対比・判断
本件発明8は、本件発明1の発明特定事項1C、1G~1Iに対応する、発明特定事項8C、8G~8Iを備えるものであるから、本件発明1と同様に、甲1発明と、発明特定事項8C、8G~8Iを備えない点(上記2(2)の相違点1~3)で相違する。
そして、上記2(3)のア~エでの検討と同様に、本件発明8は、甲1発明、並びに甲2技術及び甲3技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
6 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、特許異議申立書の第20頁(3(5)イ(ア))において、「甲第1号証の薬剤仕分け装置、甲第2号証の文字認識装置、及び甲第3号証の文字認識方法は、撮像された画像に基づく文字認識技術を利用するものであり、互いに密接に関連した技術分野に属する」として、甲1発明に甲2記載事項を適用することに特別な困難性や阻害要因はないと主張している。
しかし、上記2(3)アのとおり、甲1発明において、文字の認識の誤りは判断から除外する装置において、除外せずに修正する甲2技術を適用することは、動機がないものである。
よって、特許異議申立人の当該主張は、採用できない。
7 まとめ
上記1~6のとおり、本件発明1は、甲1発明、並びに甲2技術及び甲3技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第5 むすび
本件特許の請求項1及び6~8に係る特許は、申立理由によって取り消すことはできない。また、他に、本件特許の請求項1及び6~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700205