特許異議申立
2024-700198
拡大画像の取得およびストレージ
- 審判番号
- 2024-700198
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-542389
- 登録番号
- 7337937
- 請求日
- 2024年03月04日
- 審決日
- 2024年08月20日
- 公報発行日
- 2024年09月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
- 【権利者代理人】田中 伸一郎
- 【権利者代理人】須田 洋之
- 【権利者代理人】大塚 文昭
- 【権利者代理人】近藤 直樹
- 【権利者代理人】那須 威夫
- 【権利者代理人】鈴木 信彦
- 【異議申立人】野尻 文人
- 審判長/審判官
- 審判長 千葉 輝久
- 審判官 木方 庸輔
- 審判官 高橋 宣博
- 分類
- P1651.561-Y (G06T) / P1651.537-Y (G06T) / P1651.113-Y (G06T) / P1651.121-Y (G06T)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7337937号発明「拡大画像の取得およびストレージ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7337937号の請求項1~15に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7337937号(以下「本件特許」という。)の請求項1~15に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)1月17日(優先権主張平成31年1月22日)を国際出願日とする出願であって、令和5年8月25日にその特許権の設定登録がされ、同年9月4日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許に対し、令和6年3月4日に特許異議申立人野尻 文人により特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~15に係る特許発明(以下それぞれ「本件発明1」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定されるとおりのものである。
なお、当審にて各請求項の記載を1A~15Bに分説した。以下それぞれ「記載1A」等という。また、記載1A~記載15Bにより特定される各発明特定事項を、以下それぞれ「発明特定事項1A」等という。
【請求項1】
(1A) 組織サンプルの関心領域の拡大画像を生成するための顕微鏡と、
(1B) 前記顕微鏡によって生成された前記拡大画像を取得および格納するためのカメラと、
(1C) 複数の検出機械学習モデルを画定するデータを記憶するメモリであって、
(1D) 各検出機械学習モデルは、組織サンプルの関心領域の拡大画像を処理して前記組織サンプルの精細化された関心領域を画定するデータを生成するように構成されており、
(1E) 各検出機械学習モデルは、増加していく倍率レベルのシーケンスにおけるそれぞれの倍率レベルに関連付けられ、関連付けられた倍率レベルで拡大画像を含む訓練サンプルのそれぞれのセットで訓練される結果として、関連付けられた倍率レベルで拡大画像を処理するように特化されている、メモリと、
(1F) 増加していく倍率レベルの前記シーケンスにおける倍率レベルごとに、
(1G) 現在の倍率レベルで前記組織サンプルの1つまたは複数の関心領域を、関心領域ごとに、
(1H) 前記現在の倍率レベルで前記組織サンプルの前記関心領域の拡大画像を生成するために前記顕微鏡を使用すること、
(1I) 前記現在の倍率レベルで前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像を取得および格納するために前記カメラを使用すること、および
(1J) 前記現在の倍率レベルでの前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像に基づいて、1つまたは複数の精細化された関心領域を画定するデータを生成すること
(1K)を含めて、画像化する
ように構成されたコントローラと
を含み、
(1L) 前記データを生成することは、前記現在の倍率レベルに関連付けられた前記検出機械学習モデルを用いて、前記現在の倍率レベルでの前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像を処理し、前記1つまたは複数の精細化された関心領域を画定する前記データを生成することを備え、
(1M) 各精細化された関心領域が前記組織サンプルの前記関心領域の適切なサブセットに対応し、前記組織サンプルの前記精細化された関心領域が、前記増加していく倍率レベルのシーケンスからの次の倍率レベルで画像化されるべき前記関心領域を提供する、
(1N) む画像化システム。
【請求項2】
(2A) 前記現在の倍率レベルでの前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像に基づいて、1つまたは複数の精細化された関心領域を画定するデータを生成することが、
(2B)前記1つまたは複数の精細化された関心領域を画定するデータを生成するために、前記現在の倍率レベルでの前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像を検出モデルを使用して処理することを含む、
(2C)請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
(3A) 前記検出モデルが、癌性であると予測される前記組織サンプルの部分に対応する精細化された関心領域を画定するデータを生成するように構成される、
(3B)請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
(4A) 前記検出モデルが1つまたは複数のニューラルネットワークを含む、
(4B)請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
(5A) 前記増加していく倍率レベルのシーケンスにおける特定の倍率レベルごとに、前記コントローラが、前記特定の倍率レベルでの拡大画像を処理するように特化されている特定の検出モデルを使用する、
(5B)請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
(6A) 前記現在の倍率レベルで前記組織サンプルの前記関心領域の拡大画像を生成するために顕微鏡を使用することが、前記顕微鏡に、前記現在の倍率レベルで前記組織サンプルの前記関心領域の拡大画像を生成させるために、(i)前記顕微鏡のステージの位置、(ii)前記顕微鏡の倍率設定、または(iii)両方を調節することを含む、
(6B)請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
(7A) 1つまたは複数のデータ処理装置によって実行される方法であって、増加していく倍率レベルのシーケンスにおける倍率レベルごとに、
(7B) 現在の倍率レベルで組織サンプルの1つまたは複数の関心領域を、関心領域ごとに、
(7C) 前記現在の倍率レベルで前記組織サンプルの前記関心領域の拡大画像を生成するために顕微鏡を使用すること、
(7D) 前記現在の倍率レベルで前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像を取得および格納するためにカメラを使用すること、および
(7E) 前記現在の倍率レベルでの前記関心領域の前記拡大画像に基づいて、1つまたは複数の精細化された関心領域を画定するデータを生成すること
を含めて、画像化することを備え、
(7F)前記データを生成することは、前記現在の倍率レベルに関連付けられた検出機械学習モデルを用いて、前記現在の倍率レベルでの前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像を処理し、前記1つまたは複数の精細化された関心領域を画定する前記データを生成することを備え、
(7G)前記現在の倍率レベルに関連付けられた前記検出機械学習モデルは、関連付けられた倍率レベルでの拡大画像を含む訓練例のセットで訓練される結果として、前記現在の倍率レベルでの拡大画像を処理するように特化されており、
(7H) 各精細化された関心領域が前記組織サンプルの前記関心領域の適切なサブセットに対応し、前記組織サンプルの前記精細化された関心領域が、前記増加していく倍率レベルのシーケンスからの次の倍率レベルで画像化されるべき前記関心領域を提供する、
(7I)方法。
【請求項8】
(8A) 前記現在の倍率レベルでの前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像に基づいて、1つまたは複数の精細化された関心領域を画定するデータを生成することが、前記1つまたは複数の精細化された関心領域を画定するデータを生成するために、前記現在の倍率レベルでの前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像を検出モデルを使用して処理することを含む、
(8B)請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(9A) 前記検出モデルが、癌性であると予測される前記組織サンプルの部分に対応する精細化された関心領域を画定するデータを生成するように構成される、
(9B)請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(10A) 前記検出モデルが1つまたは複数のニューラルネットワークを含む、
(10B)請求項8に記載の方法。
【請求項11】
(11A) 前記増加していく倍率レベルのシーケンスにおける特定の倍率レベルごとに、コントローラが、前記特定の倍率レベルでの拡大画像を処理するように特化されている特定の検出モデルを使用する、
(11B)請求項8に記載の方法。
【請求項12】
(12A) 前記現在の倍率レベルで前記組織サンプルの前記関心領域の拡大画像を生成するために顕微鏡を使用することが、前記顕微鏡に、前記現在の倍率レベルで前記組織サンプルの前記関心領域の拡大画像を生成させるために、(i)顕微鏡のステージの位置、(ii)前記顕微鏡の倍率設定、または(iii)両方を調節することを含む、
(12B)請求項7に記載の方法。
【請求項13】
(13A) 1つまたは複数のコンピュータによって実行されるとき、増加していく倍率レベルのシーケンスにおける倍率レベルごとに、
(13B) 現在の倍率レベルで組織サンプルの1つまたは複数の関心領域を、関心領域ごとに、
(13C) 前記現在の倍率レベルで前記組織サンプルの前記関心領域の拡大画像を生成するために顕微鏡を使用すること、
(13D) 前記現在の倍率レベルで前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像を取得および格納するためにカメラを使用すること、および
(13E) 前記現在の倍率レベルでの前記関心領域の前記拡大画像に基づいて、1つまたは複数の精細化された関心領域を画定するデータを生成すること
(13F)を含めて、画像化することを備えた操作を前記1つまたは複数のコンピュータに実行させる命令でエンコードされた1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、
(13G)前記データを生成することは、前記現在の倍率レベルに関連付けられた検出機械学習モデルを用いて、前記現在の倍率レベルで前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像を処理し、前記1つまたは複数の精細化された関心領域を画定する前記データを生成することを備え、
(13H)前記現在の倍率レベルに関連付けられた前記検出機械学習モデルは、関連付けられた倍率レベルでの拡大画像を含む訓練例のセットで訓練される結果として、前記現在の倍率レベルでの拡大画像を処理するように特化されており、
(13I) 各精細化された関心領域が前記組織サンプルの前記関心領域の適切なサブセットに対応し、前記組織サンプルの前記精細化された関心領域が、前記増加していく倍率レベルのシーケンスからの次の倍率レベルで画像化されるべき前記関心領域を提供する、
(13J)1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項14】
(14A) 前記現在の倍率レベルでの前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像に基づいて、1つまたは複数の精細化された関心領域を画定するデータを生成することが、前記1つまたは複数の精細化された関心領域を画定するデータを生成するために、前記現在の倍率レベルでの前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像を検出モデルを使用して処理することを含む、
(14B)請求項13に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項15】
(15A) 前記検出モデルが、癌性であると予測される前記組織サンプルの部分に対応する精細化された関心領域を画定するデータを生成するように構成される、
(15B)請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
第3 特許異議の申立ての理由の概要
特許異議申立人が申し立てた申立て理由(以下「申立理由」という。)は、以下のとおりのものである。
・申立理由1:請求項1~15について
特許法第17条の2第3項(同法第113条第1号)(補正の要件)
・申立理由2:請求項1~15について
特許法第36条第6項第1項(同法第113条第4号)(サポート要件)
・申立理由3:請求項1~15について
特許法第36条第6項第2号(同法第113条第4号)(明確性)
・申立理由4:請求項1~15について甲第1号証~甲第6号証
特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号)(新規性)
・申立理由5:請求項1~15について 甲第1号証~甲第6号証
特許法第29条第2項(同法第113条第2号)(進歩性)
・甲第1号証:“Molecular regulation of de novo Golbi biogenesis”, Naga Venkata Gayathri Vegesna, 2017年1月2日.
・甲第2号証:“Developing an Automated Microscope Integrated with Deep Learning Postprocessing to Conduct Preliminary Cancer Diagnosis”, Jamison LaRoche 外、2018年4月26日.
・甲第3号証:“Micropilot: automation of fluorescence microscopy-based imaging for systems biology”, Christian Conrad 外、2011年1月23日.
・甲第4号証:“Microscopy in Infectious Disease Research-Imaging Across Scales”, Vibor Laketa、2018年4月13日.
・甲第5号証:“OpenHiCAMM: High-Content Screening Software for Complex Microscope Imaging Workflows”, Benjamin W. Booth 外、2018年4月27日.
・甲第6号証:“Automated detection of fluorescent cells in in-resin fluorescence sections for integrated light and electron microscopy”, J. Delpiano 外、2018年4月26日.
(甲第1号証~甲第6号証を以下それぞれ「甲1」等という。)
第4 当審の判断
1 申立理由1(補正の要件)について
(1)本件特許異議申立書の申立理由1に係る記載
特許異議申立人は、本件特許異議申立書の3(4)B.B-1(第7~10ページ)の記載によれば、本件特許に係る特許出願において、令和5年4月17日付け手続補正書による請求項1、7及び13についての補正が特許法第17条の2第3項に規定する補正の要件に違反する補正であるから、請求項1~15に係る特許を同法第113条第1号の規定により取り消すべき旨を主張している。
具体的には、当該補正により、本件特許の請求項1に以下の記載a及びbが追加されたが、当該補正の内容は、本件特許に係る出願の当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されていない旨を主張している。
なお、記載aを当審にてa1~a3に分説した。分説した記載を以下それぞれ「記載a1」等という。
・記載a:「(a1) 複数の検出機械学習モデルを画定するデータを記憶するメモリであって、
(a2) 各検出機械学習モデルは、組織サンプルの関心領域の拡大画像を処理して前記組織サンプルの精細化された関心領域を画定するデータを生成するように構成されており、
(a3) 各検出機械学習モデルは、増加していく倍率レベルのシーケンスにおけるそれぞれの倍率レベルに関連付けられ、関連付けられた倍率レベルで拡大画像を含む訓練サンプルのそれぞれのセットで訓練される結果として、関連付けられた倍率レベルで拡大画像を処理するように特化されている、メモリ」
・記載b:「前記データを生成することは、前記現在の倍率レベルに関連付けられた前記検出機械学習モデルを用いて、前記現在の倍率レベルでの前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像を処理し、前記1つまたは複数の精細化された関心領域を画定する前記データを生成することを備え」
(2)申立理由1に対する当審の判断
本件特許に係る出願の当初明細書には以下の記載がある。なお、下線は、当審により強調のために付した。
「【0035】
特に、現在の倍率レベルでのサンプルの関心領域の画像ごとに、システムは、検出モデルを使用して画像を処理して、1つまたは複数の対応する精細化された関心領域を生成する。組織サンプルの精細化された関心領域は、増加していく倍率レベルのシーケンスにおける次の倍率レベルで(すなわち、プロセス300の次の反復で)画像化されるべき関心領域を提供する。場合によっては、現在の倍率レベルでサンプルの所与の関心領域の拡大画像を処理することによって生成される各精細化された関心領域は、サンプルの適切なサブセットに対応し、特に、所与の関心領域のサブセットである。
【0036】
検出モデルは、例えば、特定の特性を有する精細化された関心領域を画定するデータを生成するように訓練された機械学習モデル(例えば、線形モデル、サポートベクトルマシンモデル、ランダムフォレストモデル、またはニューラルネットワークモデル)とすることができる。特定の例では、サンプルは、組織サンプルとすることができ、機械学習モデルは、異常(例えば、癌性)である予測される組織サンプルの部分に対応する精細化された関心領域を画定するデータを生成するように訓練され得る。以下にいくつかの例が続く。」
「【0039】
システムは、異なる倍率レベルでのサンプルの関心領域の拡大画像を処理するために異なる検出モデルを使用することができる。すなわち、システムは、プロセス300の各反復で異なる検出モデルを使用することができる。例えば、システムは、パラメータ値の第1のセットを有する第1の機械学習モデルを使用して、第1の倍率レベルでの拡大画像を処理し、パラメータ値の第2のセットを有する第2の機械学習モデルを使用して、第2の倍率レベルでの拡大画像を処理することができる。この例では、パラメータ値の第1のセットは、第1の倍率レベルでの訓練拡大画像を含む訓練例に基づいて第1の機械学習モデルを訓練することによって決定され得る。同様に、パラメータ値の第2のセットは、第2の倍率レベルでの訓練拡大画像を含む訓練例に基づいて第2の機械学習モデルを訓練することによって決定され得る。異なる倍率レベルでの拡大画像を処理するように特化されている検出モデルを使用することによって、システムは、システムが単一の検出モデルを使用してすべての倍率レベルでの拡大画像を処理する場合よりも正確である精細化された関心領域を生成することができる。」
そうすると、本件特許に係る出願の当初明細書に記載された「システム」は、複数の「訓練された機械学習モデル」によって「関心領域を生成する」ものであり、「異なる倍率レベルでのサンプルの関心領域の拡大画像を処理するために異なる検出モデルを使用」するから、本件特許の請求項1に当該補正により追加された記載a2である「各検出機械学習モデルは、組織サンプルの関心領域の拡大画像を処理して前記組織サンプルの精細化された関心領域を画定するデータを生成するように構成されており」との構成は、本件特許に係る出願の当初明細書に記載されている。
また、本件特許に係る出願の当初明細書に記載された「システム」は、複数の「検出モデル」によって「増加していく」複数の「倍率レベル」について、それぞれの倍率レベルにおいて「関心領域を提供する」ものであり、「異なる倍率レベル」に「特化されている検出モデル」を作成している。このとき、機械学習に用いられる訓練サンプルは、当然に、各倍率レベルにおけるデータのセットである。よって、本件特許の請求項1に当該補正により追加された記載a3である「各検出機械学習モデルは、増加していく倍率レベルのシーケンスにおけるそれぞれの倍率レベルに関連付けられ、関連付けられた倍率レベルで拡大画像を含む訓練サンプルのそれぞれのセットで訓練される結果として、関連付けられた倍率レベルで拡大画像を処理するように特化されている」との構成は、当初明細書に記載されている。
そして、機械学習モデルを確定する各パラメータのデータは、モデルに係る情報として記憶されていることは当然であり、そのようなデータの記憶をモデル内のメモリで行うことも、当業者が当然に想起する事項であり、本件特許に係る出願の当初明細書の範囲のものと認められるから、本件特許の請求項1に追加された記載a1である「複数の検出機械学習モデルを画定するデータを記憶するメモリ」との構成は、当初明細書に記載された範囲のものと認められる。
また、本件特許に係る出願の当初明細書のシステムは、複数の「検出モデル」は、「異なる倍率レベル」「に特化されている検出モデル」を作成しているから、本件特許の請求項1に追加された記載bである「前記データを生成することは、前記現在の倍率レベルに関連付けられた前記検出機械学習モデルを用いて、前記現在の倍率レベルでの前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像を処理し、前記1つまたは複数の精細化された関心領域を画定する前記データを生成する」との構成は、本件特許に係る出願の当初明細書に記載されている。
(3)申立理由1についてのまとめ
上記(1)及び(2)のとおり、当該補正は、本件特許に係る出願の当初明細書に記載されているから、特許法第17条の2第3項に規定された補正であり、同法第113条第1号に該当しない。
また、同様の補正がなされた請求項7及び13、並びにこれらを引用する請求項2~6、8~12、14及び15に係る発明についても同様である。
したがって、当該補正に係る本件特許の請求項1~15に係る発明は、同項に規定された補正であり、同法第113条第1号に該当しない。
2 申立理由2(サポート要件)について
(1)本件特許異議申立書の申立理由2に係る記載
本件特許異議申立人は、本件特許異議申立書の3(4)B.B-2(第10~11ページ)の記載によれば、本件特許の特許請求の範囲は、申立理由1と同様の理由により、本件特許の発明の詳細な説明に記載されておらず、特許法第36条第6項第1号に掲げる要件(サポート要件)を満たさないから、請求項1~15に係る特許を同法第113条第4号の規定により取り消すべき旨主張している。
(2)申立理由2に対する当審の判断
上記1(2)と同様の理由により、本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の発明の詳細な説明に記載したものである。
(3)申立理由2についてのまとめ
上記(1)及び(2)のとおり、本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の発明の詳細な説明に記載したものであり、特許法第36条第6項第1号に掲げる要件を満たすものである。
よって、本件特許の請求項1に係る発明は、同法第113条第4号に該当しない。
また、同様の記載がある本件特許の請求項7及び13、並びにこれらを引用する請求項2~6、8~12、14及び15に係る発明についても、同様である。
したがって、本件特許の請求項1~15に係る発明は、同法第36条第6項第1号に掲げる要件を満たすものであり、同法第113条第4号に該当しない。
3 申立理由3(明確性)について
(1)本件特許異議申立書の申立理由3に係る記載
本件特許異議申立人は、本件特許異議申立書の3(4)B.B-3(第11~13ページ)の記載によれば、本件特許請求の範囲の記載(記載1C~1Kを以下に再掲し、当審にて強調のために下線を付した。)の動作について、以下の主張(ア)~(エ)によって、特許法第36条第6項第2号に掲げる要件(明確性)を満たさないから、請求項1~15に係る特許を同法第113条第4号の規定により取り消すべき旨主張している。
「(1C) 複数の検出機械学習モデルを画定するデータを記憶するメモリであって、
(1D) 各検出機械学習モデルは、組織サンプルの関心領域の拡大画像を処理して前記組織サンプルの精細化された関心領域を画定するデータを生成するように構成されており、
(1E) 各検出機械学習モデルは、増加していく倍率レベルのシーケンスにおけるそれぞれの倍率レベルに関連付けられ、関連付けられた倍率レベルで拡大画像を含む訓練サンプルのそれぞれのセットで訓練される結果として、関連付けられた倍率レベルで拡大画像を処理するように特化されている、メモリと、
(1F) 増加していく倍率レベルの前記シーケンスにおける倍率レベルごとに、
(1G) 現在の倍率レベルで前記組織サンプルの1つまたは複数の関心領域を、関心領域ごとに、
(1H) 前記現在の倍率レベルで前記組織サンプルの前記関心領域の拡大画像を生成するために前記顕微鏡を使用すること、
(1I) 前記現在の倍率レベルで前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像を取得および格納するために前記カメラを使用すること、および
(1J) 前記現在の倍率レベルでの前記組織サンプルの前記関心領域の前記拡大画像に基づいて、1つまたは複数の精細化された関心領域を画定するデータを生成すること
(1K)を含めて、画像化する
ように構成されたコントローラと
を含み」
・主張(ア) 請求項1の「コントローラ」と、「単に1つのみの倍率レベルの画像化を実行するコントローラとの違いが明確でない」(本件特許異議申立書の第12ページ第4~5行)。
・主張(イ) 「コントローラが、増加していく倍率レベルのシーケンスにおいて各拡大ないし倍率レベルのステップをどのように実行するかに関する記載に関する構成について記載していません」。
・主張(ウ)
主張(ウ1)「「増加していく倍率レベルのシーケンスにおける各倍率レベル」の特徴はどうであるか」が明確でない。
主張(ウ2)「シーケンスが実行される1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体の要求はどのようなものであるか」が明確でない。
主張(ウ3)「「シーケンス」(当審注:鉤括弧閉じるは当審にて補足)はどれくらいの拡大を含むものであるか、など」が明確でない。
・主張(エ)「シーケンスの可能な意味についても」「何ら記載されていない」。
(2)申立理由3に対する当審の判断
まず、上記(1)の主張(ア)について検討する。
本件特許の請求項1には、「複数の検出機械学習モデル」、「各検出機械学習モデル」と記載されていることから、「検出機械学習モデル」が複数(2つ以上)であることは明白である。
また、各「検出機械学習モデル」が「増加していく倍率レベルのシーケンスにおけるそれぞれの倍率レベルに関連付けられ」るとの記載から、「倍率レベル」も複数あることは明白である。
そして、訓練の結果であるモデルのデータが「メモリ」に格納され、訓練方法の各手順が「コントローラ」により制御されるものである。
そうした「検出機械学習モデル」のそれぞれは、関連付けられた倍率レベルである「増加していく倍率レベルの前記シーケンスにおける倍率レベル」において、「1つまたは複数の精細化された関心領域を画定するデータを生成する」ものであるから、「コントローラ」が、複数(2つ以上)の「検出機械学習モデル」を制御することは、明白である。
よって、本件特許の請求項1に係る発明(本件発明1)は、明確である。
次に、上記(1)の主張(イ)~(ウ)について検討する。
請求項1の記載1Dには「関心領域を画定するデータを生成するように構成され」と記載されているから、「コントローラ」は、「検出機械学習モデル」をそのように制御するものであることが明白である。そして、コントローラの具体的な構成は、関心領域を画定する機械学習モデルに関する周知の技術から当業者が適宜設計しうる事項である。
そうすると、主張(イ)~(ウ)において、その他記載が無い又は明確でないと主張している事項については、「必須の特徴」とはいえず、本発明において特定が不要の構成との趣旨であることは明らかである。
続いて、上記(1)の主張(エ)について検討する。
辞書『デジタル大辞泉』(小学館)によれば、「シーケンス」は、「連続」又は「連続して起こる順序」を意味する単語であり、その意味は明確である。
また、請求項1の記載1Eにある「増加していく倍率レベルのシーケンス」との記載も、倍率レベルが複数あり、それらの倍率レベルは連続しており、かつ、増加するとの意味であることは、明確である。
(3)申立理由3についてのまとめ
上記(1)及び(2)のとおり、請求項1に係る発明は明確であり、特許法第36条第6項第2号に掲げる要件を満たすものである。
よって、本件発明1は、同法第113条第4号に該当しない。
また、本件特許の請求項7及び13、並びにこれらを引用する請求項2~6、8~12、14及び15に係る発明(本件発明2~6、8~12、14及び15)についても同様である。
したがって、本件発明1~15は、同法第36条第6項第2号掲げる要件を満たすものであり、同法第113条第4号に該当しない。
4 申立理由4及び5(新規性及び進歩性)について
(1)本件特許異議申立書の申立理由4及び5に係る記載
特許異議申立人は、本件特許異議申立書の3(4)BのB-4(第13~28ページ)の記載によれば、請求項1~15に係る発明が、甲1~甲6のそれぞれに記載された発明であることにより特許法第29条第1項第3号に該当するから、また、甲1~甲6のそれぞれに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであることにより特許法第29条第2項に違反するから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものとしている。
(2)各甲号証の記載と各甲号証に記載された発明
ア 甲1の記載と甲1に記載された発明
(ア)甲1の記載
「7.3.7 Automated imaging of Mitotic cells
I used adaptive feedback microscopy (Tischer et al. 2014) to identify cells in the early stages of mitosis (pro-metaphase) similar to previous publication method (Conrad et al. 2011). Online image analysis used to classify cells was based on supervised machine learning trained by example. The imaging was done using a confocal microscope SPSA with the HCS software extension (or matrix screener). We set up a low magnification pre-scan (512x512 and zoom: 1X) and these images were analysed online using the Cell cognition software package (Held et al. 2010). This cell cognition software package includes a classifier that needs to be trained beforehand with a training set of images, in order to identify the cells of interest.
To do so, images were acquired for 24 hr with HeLa-GalNacT2-GFP H2B-mCherry expressing stable cell line with the low magnification pre-scan. These set of images were used to train the classifier in Cell cognition software for pro-metaphase during mitosis. This was done by picking positive and negative examples of cells and annotating them to two different classes. Cells showing a condensing DNA to enter metaphase were picked and annotated as pro-metaphase and all other cells showing interphase morphology, dead cells etc., were annotated as others. After successful annotation and training of the software with good number of examples, the training set was saved. The communication between Leica matrix screener software and Cell cognition was established using a python script similar to previous publication (Hilsenstein 2014). Once a mitotic cells are detected, a high magnification (512x512 and zoom: 4X) time-lapse imaging was started and the mitotic cell was imaged every 2.5 min for 2 channels (Golgi and nucleus) with 20 z-slices at a distance of 1 μm for 30 time points. Upon completion of the high magnification imaging, the software was set-up to switch back to the low magnification mode to find cells of interest. This process was looped and images were acquired for 24 hr. The analysis of this time-lapse data is described in section (see 7.5.4).」(第100~101ページ)
(当審仮訳: 7.3.7 有糸分裂細胞の自動画像化
私は、以前に発表された方法(Conrad et al.2011)と同様に、適応フィードバック顕微鏡法(Tischer et al.2014)を使用して、初期段階の有糸分裂(前中期)細胞を特定した。細胞の分類分けに使用されるオンライン画像解析は、例によって訓練された監督された機械学習に基づいていた。画像化は、HCSソフトウェア拡張(またはマトリックススクリーナー)を備えた共焦点顕微鏡SP5Aを使用して行われた。我々は、低倍率のプレスキャン(512×512、ズーム:1X)を設定し、これらの画像は、細胞認識ソフトウェアパッケージ (Held et al. 2010)を使用して、オンラインで分析された。この細胞認識ソフトウェアパッケージは、関心の細胞を特定するため、画像の訓練セットを使用して事前に訓練する必要がある分類器が含まれている。
これを行うために、低倍率プレスキャンで安定した細胞株を発現するHeLa-GalNacT2-GFP H2B-mCherryを使用して画像を24時間に亘って取得した。これらの画像セットは、有糸分裂中の前中期の細胞認識ソフトウェアで分類器を訓練するために使用された。これは、細胞の正の例と負の例を選択し、2つの異なるクラスに注釈を付けることで行われた。DNAが凝縮して中期に入る細胞は、選択され、前中期として注釈が付けられ、間期を示している他のすべての細胞、死細胞などは、その他として注釈が付けられた。注釈が正常に追加された後、十分な数のサンプルを使用してソフトウェアを訓練したため、訓練セットが保存された。ライカマトリックススクリーナーソフトウェアと細胞認識との間の通信は、以前の出版物(Hilsenstein 2014)と同様のPythonスクリプトを使用して確立された。有糸分裂細胞が検出されたら、30時点について1μmの距離にある20Zスライスで、高倍率(512×512、ズーム:4X)タイムラプス画像化が開始され、有糸分裂細胞を、2チャネル(ゴルジと核)で2.5分ごとに画像化した。高倍率画像化が完了すると、ソフトウェアは、関心の細胞を見つけるために、低倍率モードにスイッチバックするように設定された。このプロセスがループされ、画像は24時間取得された。このタイムラプスデータの分析については、後述のセクション(7.5.4を参照)で説明されている。)
(イ)甲1に記載された発明(甲1発明)
上記(ア)によれば、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
(甲1発明)
「適応フィードバック顕微鏡法を使用して、
初期段階の有糸分裂細胞を特定し、
細胞の分類分けに使用されるオンライン画像解析は、訓練された機械学習に基づき、
低倍率のプレスキャン(512×512、ズーム:1X)を設定し、これらの画像は分析され、
有糸分裂細胞が検出されたら、高倍率(512×512、ズーム:4X)タイムラプス画像化が開始され、
高倍率画像化が完了すると、関心の細胞を見つけるために、低倍率モードにスイッチバックするように設定され、
このプロセスがループさせる
適応フィードバック顕微鏡法。」
イ 甲2の記載と甲2に記載された発明
(ア)甲2の記載
「 Final Prototype
The frame of the prototype was constructed from 10x10mm extruded aluminum, which provides solid support and convenient mounting locations. The volume of the device is 200x2500x2500mm. The gantry mechanism was implemented by employing three sets of 8mm diameter lead screws and linear rails. The lead screws are powered by NEMA 17 stepper motors. An Arduino outfitted with a 3 axis GRBL driver shield is used to drive the motors. The Arduino receives G-code commands from Python programs via serial port connection to control the X-Y motion of the microscope slide holder and controls the Z axis to focus the images. A 12V, 240W power supply provides power to the motors through the shield. A CMOS digital microscope is utilized in this project to capture images at an approximate 1Ox magnification. This microscope camera was mounted to the moveable platform above the slide area. Images from the USB microscope are sent to and saved in a Nvidia Jetson. The Jetson executes the motor control code and processes the images within the neural network.
Training and Testing:
Functionality of the prototype was tested by training the neural network with preliminary samples, and verified by testing new samples. The pathology division at University of Massachusetts Medical School provided biopsy specimens from fine needle aspirations. These samples were collected to test patients for thyroid cancer. Ten slides were scanned using the device, and employed for training and initial verification. All of the images were visually inspected for cell clusters, and coordinates of the boxes input into the training algorithms of the region-based convolutional neural network. The neural network is trained through back propagation, by passing forward and back images through many convolutional layers in order to extract specific characteristics associated with the desired regions. The neural network is optimized or trained by reducing the error in epoch after epoch, as the desired outcomes are predetermined. 20 percent of bounded samples were not included in the training sets and used to validate accurate identification of cell clusters by the neural network. After the neural network had been trained, it was loaded on the NVIDIA Jetson to provide immediate identification of cell clusters on newly scanned samples.
Results
The team successfully produced an automated microscope with an artificial intelligence post-processing. The device takes approximately two and a half minutes to scan an entire microscope, and an additional three minutes to process the images through the artificial intelligence. If internet connection is available, the device will upload the files to Google Drive, however the speed of that is limited by the internet connection in the current area of operation.
The artificial intelligence is able to identify clusters of cells in many different shapes, sizes and colors, however it struggles with smaller or lighter cell clusters even though they were included in the sample. This is adequate for the device's desired operation. A secondary segmentation deep learning architecture that was also investigated, which demonstrated improved performance in identifying clusters.
Future Work
This project is the first step towards what could be a possible breakthrough in the field of medicine. The artificial intelligence can be adapted to identify any kind of cell (stained or unstained) given the proper camera and magnification. This could identify cancer cells, sickle cells, and anything you are able to place under a microscope.」(第4ページ第14行~第6ページ第13行)
(当審仮訳: 最終プロトタイプ
プロトタイプのフレームは、10x10mmの押し出しアルミニウムで作られ、これは、しっかりとした支持体と便利な取り付け位置を提供する。デバイスの容量は、200×250×250mmである。ガントリー機構は、8mm直径送りネジとリニアレールを3セット採用して構成した。送りネジは、NEMA 17ステッパモータによって駆動力を供給される。3軸GRBLドライバーシールドを装備したArduinoを使用してモータを駆動する。Arduinoシリアルポート接続を介してPythonプログラムからGコードコマンドを受け取り、顕微鏡スライドホルダのX-Y運動を制御し、Z軸を制御して画像の焦点合せを制御する。12V、240W電源は、シールドを介してモータに電力を供給する。CMOSデジタル顕微鏡は、このプロジェクトでは、約10倍の倍率で画像をキャプチャするために利用される。この顕微鏡カメラは、スライド領域の上の可動プラットフォームに取り付けられた。USB顕微鏡からの画像は、Nvidia Jetsonに送信され、その中に保存される。Jetsonは、モータ制御コードを実行し、そしてニューラルネットワーク内で画像を処理する。
訓練とテスト:
プロトタイプの機能は、事前にニューラルネットワークを訓練することによってテストされた。サンプルを使用し、新しいサンプルをテストすることによって検証された。マサチューセッツ医科大学の病理学部門は、細針吸引による生検標本を提供した。これら患者の甲状腺がんを検査するためにサンプルが収集された。デバイスを使用して10枚のスライドがスキャンされ、訓練と初期認証のために使用された。すべての画像は、細胞クラスタについて視覚的に検査され、ボックスの座標が、領域ベースの畳み込みニューラル ネットワークの訓練アルゴリズムに入力された。ニューラルネットワークは、所望の領域に関連する特定の特徴を抽出するため、多くの畳み込み層を介して画像を前方および後方に渡すことにより、逆伝播を通じて訓練される。ニューラルネットワークは、望ましい結果があらかじめ決められているので、エポックごとにエラーを削減することによって最適化または訓練される。有界サンプルの20%は、訓練セットに含まれておらず、ニューラルネットワークによる細胞クラスタの正確な識別を検証するために使用された。ニューラルネットワークが訓練された後、ニューラルネットワークは、新しくスキャンされたサンプル上の細胞クラスタを即座に識別するために、NVIDIA Jetsonにロードされた。
結果
チームは人工知能後処理を備えた自動顕微鏡の製造に成功した。デバイスが全体をスキャンするには約2分半かかる。顕微鏡を使用し、人工知能顕微鏡を通して画像を処理するのにさらに3分かかる。インターネット接続が利用可能な場合、デバイスはファイルをGoogleドライブにアップロードする。ただし、その速度は現在の運用領域のインターネット接続によって制限される。
人工知能は、さまざまな異なる形、サイズおよび色の細胞クラスタを識別することができるが、サンプルに含まれていても、細胞塊が小さかったり、軽い場合には困難が伴う。これは、デバイスの目的の動作には十分である。二次セグメンテーション深層学習アーキテクチャも調査され、実証され、クラスタを識別する際のパフォーマンスが向上したことを実証した。
将来の仕事
このプロジェクトは、医薬の分野において何が可能なブレイクスルーなるかということに向けての最初のステップである。人工知能は、適切なカメラ及び倍率を与えられた任意の種類の細胞(着色又は無着色)を特定するよう構成することができる。このことは、癌細胞、鎌状細胞、及び顕微鏡の下に置くことができる任意の物を特定することができる。)
「The proposed microscope has the X and Y axes mounted together on the base of the device. This is the case because it allows complete left and right, forward and back, motion of the test bed carrying the slide beneath a "fixed" camera and lens position. The Z axis holds the microscope lens and camera, and is capable of moving in the up and down relative to the slide test bed.」(第27ページ第6~10行)
(当審仮訳:提案された顕微鏡は、デバイスのベース上に一緒に搭載されたX軸とY軸とを有する。これは、この構造が”固定”カメラ及びレンズ位置の下方にスライドを支持する試験ベッドの完全な左右、前後への動作を可能にするが故に、このようになっているものである。Z軸は、顕微鏡レンズとカメラを保持し、スライドする試験ベッドに対して上下に動くことができる。)
「 Additional High Magnification Camera
This prototype could be greatly enhanced by outfitting the device with a secondary microscope of greater magnification. The current microscope is used as a scanning device and identifies clusters at the tissue level. A secondary scope should be added in order to provide images that the cellular level. It would be impractical to image the entire microscope area with a lens of 1OOx or 200x magnification, but after the cell clusters have been quickly identified, the secondary camera could image strictly the clusters in much greater detail. This additional scope would allow training and possible diagnosis of cancer using the integrated artificial intelligence. Benign colloid node cells could be compared to those with papillary thyroid cancer.」(第42ページ第12~末行)
(当審仮訳: 追加の高倍率カメラ
このプロトタイプは、デバイスにより倍率の高い二次顕微鏡を装備することで大幅に強化される可能性がある。現在の顕微鏡は、スキャン装置として使用されており、組織レベルでクラスタを識別する。細胞レベルの画像を提供するには、二次スコープを追加する必要がある。顕微鏡の領域全体を画像化することは非現実的である。倍率100倍または200倍のレンズを使用するが、細胞クラスタがすぐに識別された後、二次カメラはクラスタをより詳細かつ厳密に画像化できる。この追加の範囲は、統合された人工知能を使用した訓練と癌の診断が可能になる。良性コロイド結節細胞は、甲状腺乳頭がんの細胞と比較できる。)
(イ)甲2に記載された発明(甲2発明)
上記(ア)によれば、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。
(甲2発明)
「顕微鏡カメラ(SB顕微鏡)からの画像は、ニューラルネットワーク内で画像を処理され、
事前にニューラルネットワークを訓練され、
人工知能は、適切なカメラ及び倍率を与えられた任意の種類の細胞を特定し、
顕微鏡は、カメラを保持し、
顕微鏡は、スキャン装置として使用されており、組織レベルでクラスタを識別し、細胞レベルの画像を提供し、
二次カメラはクラスタをより詳細かつ厳密に画像化する
プロトタイプ。」
ウ 甲3の記載と甲3に記載された発明
(ア)甲3の記載
「To fill this gap, we developed the Micropilot software that effecttively replaces a human expert at the microscope to identify cells of interest and automate even complex fluorescence microscopy-based imaging assays (Supplementary Software). Micropilot provides a machine learning-based module that can be rapidly trained by the user to automatically identify desired cell states during an unattended, fast, low-resolution prescanning mode. Upon identification of a cell of interest Micropilot switches to a complex imaging mode that automatically runs desired complex high-resolution and high-information-content imaging assays such as high-resolution three-dimensional (3D) time-lapse imaging or FRAP. After completion of the desired complex imaging procedure, Micropilot returns to the low-resolution prescanning mode to identify additional cells of interest (Fig. 1a). We used Lab View for the main Micropilot program and C for the image analysis routines. We tested Micropilot on the Microsoft Windows platform.
Micropilot relies on a robust communication channel to read the low-resolution prescan microscope images, interrupt the scan to analyze them and reconfigure the microscope for the desired complex imaging procedure (Fig. 1b,c). Pseudocode examples are listed in Supplementary Table 1. The hardware prerequisites for such automatic imaging systems are (i) motorization of the microscope stage, (ii) automatic changing of objectives and/or laser scanner zoom, and (iii) switching of fluorescence filter and/or laser lines. The microscope system should also provide multipositioning or grid scanning along with autofocus capabilities. Micropilot can remotely control any microscope offering interfaces to this specification. We implemented Micropilot for Leica SPS, μManager, Olympus ScanR, PerkinElmer Ultra View ERS and Zeiss 510. Certainly, μManager as an open-source micro-scope control software allocates most freedom for users in terms of further developments.」(第246ページ右欄第8~39行)
(当審仮訳:このギャップを埋めるために、我々は、次のような効果をもたらすマイクロパイロットソフトウェアを開発した。このソフトウェアは、人間の専門家に代わって顕微鏡で関心の細胞を識別し、複雑な蛍光顕微鏡検査も自動化するものである(補足ソフトウェア)。マイクロパイロットは、ユーザによって迅速に訓練できる機械学習ベースのモジュールを提供し、ユーザが必要なセル状態を自動的に識別する無人、高速、低解像度のプレスキャンモードの間に、所望の細胞の状態を自動的に特定することができる。関心の細胞が特定されると、マイクロパイロットは、複雑な画像化に切り替わり、高情報コンテンツ画像化アッセイである三次元(3D)タイムラプス画像化又はFRAPのような所望の複雑な高解像度及び情報内容画像化組立体を自動的に実行する。所望の複雑な画像化手続きの完了後、マイクロパイロットは、追加の画像を識別するために低解像度のプレスキャンモードに戻り、追加の関心の細胞を特定する(図1a)。我々は、メインのマイクロパイロットプログラムのためにはLabViewを使用し、画像解析ルーチンのためにはCを使用した。我々は、Microsoft Windowsプラットフォーム上で、マイクロパイロットをテストした。
マイクロパイロットは、堅牢な通信チャネルに依存して読み取りを行い、それらを分析する他にはスキャンを中断し、所望の複雑な画像化手順(図1b、c)のためには、顕微鏡を再構成する。擬似コードの例は、補足表1にリストされている。このような自動画像システムのためのハードウェアの前提条件は、(i)顕微鏡ステージの電動化、(ii)対物レンズおよび/またはレーザースキャナーのズームの自動変更、および(iii)蛍光フィルタおよび/またはレーザーラインの切り替えである。顕微鏡システムは、オートフォーカス化と共に、マルチポジショニングまたはグリッドスキャンも提供する必要がある。マイクロパイロットは、この仕様へのインターフェイスを提供するあらゆる顕微鏡製品をリモート制御できる。我々は、マイクロパイロットを、ライカSP5、μManager、オリンパスScanR、パーキンエルマーUltra View ERSとZeiss510に実装した。確かに、オープンソース顕微鏡制御ソフトウェアとしてのμManagerは、更なる発展におけるユーザにとってほとんどの自由を提供するものである。)
「Figure 1
Schematic workflow of Micropilot. (a) After autofocussing different positions to find the best focal plane (yellow frame), low-resolution prescan images (optionally maximum z-dimension projections, gray frames) are presented to the automatic classification. If a cell is selected, a complex imaging protocol is executed; otherwise the system continues to prescan. After completion of the complex imaging protocol, the system loops back to prescan mode, continuing at the sample position where it stopped for the complex imaging mode. (b) Communication steps executed by the different microscope systems (red outlines) and the Micropilot software (blue outlines). The microscope sends the image path either via windows registry or socket interface to Micropilot. In the synchronous modes, each positive classification launches the complex imaging mode. In the asynchronous mode, microscope and Micropilot send and receive messages via transmission control protocol or internet protocol (TCP/IP), allowing classification of several different positions before launching the complex imaging protocol for a list of positions. (c) After reading the low-resolution image, Micropilot segments, extracts the feature set per object and classifies the cells during scanning to return eventually the positions of interest. After the criteria are met (time or number of positions) Micropilot deploys the complex imaging and the microscope switches back to prescan mode (a).」(第247ページ左欄(図1の説明の欄)第1~31行)
(当審仮訳「図1:マイクロパイロットのワークフロー
(a)最適焦点面(黄色枠)を発見するために異なる位置にオートフォーカスした後、低解像度のプレスキャン画像(選択的最大z-次元投影;グレー色枠)が自動分類のために提供される。細胞が選択される場合、複雑な画像プロトコルが実行され、それ以外の場合、システムはプレスキャンを続ける。複雑な画像化プロトコルの完了後、システムはプレスキャンモードに戻り、停止したサンプル位置で複雑な画像化モードを続行する。(b)異なる顕微鏡システム(赤色の枠)及びマイクロパイロットソフトウェア(青色の枠)によって実行されるコミュニケーションステップ。顕微鏡は、ウインドウズレジストリ又はソケットインターフェイス経由でマイクロパイロットに画像パスを送信する。同期モードでは、それぞれの肯定的な分類は、複雑な画像化モードを起動する。非同期モードでは、顕微鏡とマイクロパイロットは、伝送制御プロトコルまたはインターネットプロトコル(TCP/IP)を介したメッセージの送受信を行い、位置のリストのために複雑な画像化プロトコル起動する前にいくつかの異なる位置における分類を可能にする。(c)低解像度画像を読み込んだ後、マイクロパイロットセグメントは、オブジェクト当たりの特徴セットを抽出し、スキャン中に細胞を分類し、最終的には関心のある位置に戻る。基準が満たされた後(時間又は位置数)、マイクロパイロットは、複雑な画像化を展開し、顕微鏡はプレスキャンモード(a)に戻る。)
(イ)甲3に記載された発明(甲3発明)
上記(ア)によれば、甲3には、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。
(甲3発明)
「顕微鏡で関心の細胞を識別し、
訓練できる機械学習ベースのモジュールを備え、
関心の細胞が特定されると、複雑な画像化に切り替わり、高情報コンテンツ画像化アッセイを自動的に実行し、
所望の複雑な画像化手続きの完了後、追加の画像を識別するために低解像度のプレスキャンモードに戻り、追加の関心の細胞を特定し、
低解像度のプレスキャン画像が自動分類のために提供され、複雑な画像化プロトコルの完了後、システムはプレスキャンモードに戻る
ソフトウェア。」
エ 甲4の記載と甲4に記載された発明
(ア)甲4の記載
「Machine-learning technology gives computers ability to learn patterns in the data without being explicitly programmed and then predict those patterns in the new data. Spearheaded by large IT companies such as Google, Microsoft, IBM and others, machine learning techniques are already present in many aspects of modern society from web searches and speech recognition in smartphones to self-driving vehicles [88]. They have proved to be very powerful at discovering the intricate structure of high-dimensional data such as bioimages [89] which typically contain multiple phenotypes whose discriminating morphologies are not easily described by a few parameters. If a car can already segment, classify and understand its complex surrounding environment and make autonomous decisions by harnessing the power of deep neural networks, we can ask ourselves, why microscopes would not be able to do the same within the field of biomedical research. Automated acquisition and analysis approaches using machine learning are expected to have a major impact on how microscopy is performed in biomedical research in the future. This would increase the objectivity, reproducibility and sensitivity of analysis of very heterogeneous pathophysiological processes, as well as be able to identify new and rare phenotypes that might escape human attention. However, the restrictions and limitation of machine learning approach as well as the extent of tis applicability in biomedical research still need to be carefully evaluated by the scientific community before adopting it for a wider use.」(第9頁右欄第1~31行)
(当審仮訳:機械学習テクノロジーは、コンピュータに対して、意識せずにプログラミされたデータのパターンを学習し、次いで、それらのパターンを新しいデータにおいて予測する能力をもたらすものである。Google、Microsoft、IBMなどの大手IT企業が主導して、機械学習技術はすでに多くの分野に存在しており、ウェブ検索及び自動運転のためのスマートフォンにおける音声認識から見た現代社会の多くの側面に存在している[88]。それらは、高次元の複雑な構造を発見する生体画像[89]において非常に強力であることが証明されており、そのような生体画像などのデータには、通常、少ないパラメータでは簡単に説明できない形態を識別する複数の表現型が含まれている。もし自動車が複雑な周囲環境をすでにセグメント化し、分類し、理解することができ、かつ、深層ニューラルネットワークの力を活用することによって自律的意思決定を実行できるのであれば、我々は、なぜ顕微鏡が生物医学研究の分野で同じことができないのかということを自問できる。機械学習を用いた自動取得及び分析アプローチは、顕微鏡が将来の生物医学研究において大きな影響を与えるものと期待される。これは、非常に不均一な病態生理学的プロセスの分析の客観性、再現性、感度を増大させるだけでなく、それと同様に、人間から逃れる可能性のある新しくて珍しい表現型を特定することを可能にするものである。ただし、機械学習アプローチとその生物医学研究への応用における制限と限界は、それをより幅広い用途に採用する前に、事前に科学界によって慎重に評価されるべき必要性は依然として存在する。)
(イ)甲4に記載された発明(甲4発明)
上記(ア)によれば、甲4には、以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されている。
(甲4発明)
「深層ニューラルネットワークを活用し、
データのパターンを学習し、新しいデータにおいて予測し、
高次元の複雑な構造を発見する生体画像に適用され、
機械学習を用いた自動取得及び分析アプローチは、顕微鏡に適用される
機械学習テクノロジー。」
オ 甲5の記載と甲5に記載された発明
(ア)甲5の記載
「Transparent Methods
OpenHiCAMM workflow manager, data model and module management
OpenHiCAMM is written in the Java 1.8 programming language as a plugin for μManager 1.4.x. While compatible with the basic ImageJ and μManager distribution, for image processing, we require the extended and standardized plugins election provided by Fiji. At its core is a custom workflow manager providing following functionality: 1) A common interface for modules implementing either hardware control or image processing tasks; 2) Configuration of a modularized workflow and module specific parameters; 3) Resolving dependencies and ordered execution of the modules; 4) Metadata and image storage management; 5) Response toe vents from the hardware; and 6) A graphical user interface for designing workflows, configuring storage and modules and starting/stopping and resuming workflows.
OpenHiCAMM itself is platform agnostic but μManager hardware support depends on the operating system. We developed and tested the C++ code for PL200 slide loader hardware adapter on Macintosh OSX 10.10 (or newer) also tested it under Linux.
The source code is available on Github (https://github.com/bdbp/OpenHiCAMM).」(第11ページ第1~15行)(当審仮訳: 透明な方法
OpenHiCAMMワークフローマネージャ、データモデルおよびモジュール管理
OpenHiCAMMは、μManager 1.4.xのプラグインとしてJava 1.8プログラミング言語で作成されている。基本的なImageJおよびμManagerディストリビューションと互換性があるが、画像処理に関しては、フィジーが提供する拡張および標準化されたプラグインの選択が必要である。その根幹にあるのは、次の機能を提供カスタムワークフローマネージャである。1)モジュールの共通インターフェイスハードウェア制御タスクまたは画像処理タスクのいずれかを実装する。2)モジュール化されたワークフローとモジュール固有のパラメータの構成。3)モジュールの解決依存関係と順序付けの実行。4)メタデータと画像のストレージ管理。5)ハードウェアからのイベントへの対応。6)ワークフローの設計、ストレージとモジュールの構成、およびワークフローの開始/停止と再開のためのグラフィカルユーザインターフェイス。
OpenHiCAMM自体はプラットフォームに依存しないが、μManagerハードウェアのサポートはオペレーティングシステムに依存する。我々は、PL200スライドローダハードウェアアダプタ用のC++コードを開発し、Macintosh OSX10.10(またはそれ以降)上でテストし、また、Linuxでもテストした。
ソースコードはGithub (https://github.com/bdgp/OpenHiCAMM)で入手できる。)
(イ)甲5に記載された発明(甲5発明)
上記(ア)によれば、甲5には、以下の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されている。
(甲5発明)
「モジュールの画像処理タスクを実装し、
モジュール固有のパラメータの構成を有する
方法。」
カ 甲6の記載と甲6に記載された発明
(ア)甲6の記載
「Development of automated workflow
Our workflow for automated detection of cells was implemented in Matlab and is available for download https://github.com/jdelpiano/irfCellSegmentation. A graphical user interface was developed for easy access of the workflow to users with no experience in programming. The worldlow consisted of the following steps. First, an optional denoising step may be applied to images if required. Due to its excellent results in tests with simulated fluorescence, the Matlab implementation of the block-matching and 3D filtering algorithm was used (Dabov et al., 2007), assuming a good estimation of the noise level sigma.」(第117ページ左欄下から12行目~末行)
(当審仮訳:自動ワークフローの発展
細胞の自動化された検出のための我々のワークフローは、Matlabに実装されており、https://github.com/jdelpiano/irfCellSegmentationからダウンロードして入手することができる。グラフィカルユーザインターフェイスは、プログラミングの経験がないユーザがワークフローに簡単にアクセスできるように開発された。ワークフローの構成は次の手順よりなるものである。まず、必要に応じて、オプションのノイズ除去ステップが、画像に適用される。模擬蛍光を使用したテストにおける優れた結果により、ブロックマッチングおよび3DフィルタリングアルゴリズムのMatlab実装が使用され(Dabov et al., 2007)、ノイズレベルシグマの良好な推定が仮定される。)
(イ)甲6に記載された発明(甲6発明)
上記(ア)によれば、甲6には、以下の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されている。
(甲6発明)
「Matlabに実装されている、
細胞の自動化された検出のためのワークフロー。」
(3)申立理由4及び5に対する当審の判断
ア 甲1に基づく新規性と、甲1を主引例とする進歩性について
(ア)甲1発明と本件発明1との対比
上記(2)ア(イ)によれば、甲1発明の「適応フィードバック顕微鏡法」に用いられる顕微鏡、「訓練された機械学習」によるモデルは、それぞれ、本件発明1の「顕微鏡」、「検出機械学習モデル」に相当する。
そして、甲1発明の「適応フィードバック顕微鏡法」は、「初期段階の有糸分裂細胞を特定」し、「高倍率画像化」するものであるから、この動作を行う甲1発明の「顕微鏡」は、本件発明1の発明特定事項1Aである「組織サンプルの関心領域の拡大画像を生成するための顕微鏡」に相当する。
また、甲1発明は、顕微鏡の画像を電子化して扱うものであるから、本件発明1の発明特定事項1Bである「前記顕微鏡によって生成された前記拡大画像を取得および格納するためのカメラ」に相当する構成を備えると認められる。
そして、甲1発明の訓練された機械学習によるモデルを利用することから、当該モデルを構成する情報を記憶するメモリを備えることは、自明である。そうすると、甲1発明と本件発明1は、本件発明1の発明特定事項1Cにおける「検出機械学習モデルを画定するデータを記憶するメモリ」に相当する構成を備える点で共通する。
しかし、本件発明1の発明特定事項1Cは、「複数」の検出機械学習モデルを画定するデータを記憶することを特定しているが、甲1発明は、訓練された機械学習によるモデルが「複数」ではない点で相違する。
そうすると、甲1発明は、「検出機械学習モデル」が複数であることを含む発明特定事項1D~1Mを備えていない点で、本件発明1と相違する。
そして、甲1発明の「適応フィードバック顕微鏡法」で用いられるシステムは、上記の相違点を除いて、本件発明1の発明特定事項1Nにおける「画像化システム」に相当する。
よって、本件発明1と甲1発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
(一致点)
(1A) 組織サンプルの関心領域の拡大画像を生成するための顕微鏡と、
(1B) 前記顕微鏡によって生成された前記拡大画像を取得および格納するためのカメラと
(1C’) 検出機械学習モデルを画定するデータを記憶するメモリ
とを含む
(1N) 画像化システム。
(相違点)
・本件発明1は、「検出機械学習モデル」が「複数」であるのに対し、甲1発明は、訓練された機械学習によるモデルが「複数」ではない点。また、本件発明1は、「検出機械学習モデル」が「複数」であることを前提とした発明特定事項である発明特定事項1D~1Mを備えているのに対し、甲1発明は、これらを備えていない点。
(イ)甲1発明に基づく本件発明1についての判断
上記(ア)のとおり、本件発明1と甲1発明とは相違点を有するから、本件発明1は、甲1発明ではない。
また、上記相違点に係る構成は、上記(2)のとおり、甲2~甲6にも記載されていないから、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
(ウ)甲1発明に基づく本件発明2~15についての判断
請求項1に係る発明(本件発明1)と同様の発明特定事項を有する請求項7及び13に係る発明(本件発明7及び13)も、上記(ア)及び(イ)のとおりであるから、本件発明1と同様に、甲1発明ではなく、また、甲1発明及び甲2~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
また、請求項1、7又は13を引用する請求項2~6、8~12、14及び15に係る発明(本件発明2~6、8~12、14及び15)についても同様に、甲1発明ではなく、また、甲1発明及び甲2~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
よって、本件発明2~15は、甲1発明ではなく、また、甲1発明及び甲2~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
イ 甲2に基づく新規性と、甲2を主引例とする進歩性について
(ア)甲2発明と本件発明1との対比
上記(2)イ(イ)によれば、甲2発明の「顕微鏡」、「カメラ」、「ニューラルネットワーク」は、それぞれ、本件発明1の「顕微鏡」、「カメラ」、「検出機械学習モデル」に相当する。
そして、甲2発明の「プロトタイプ」は顕微鏡を備え、「顕微鏡」はプロトタイプの備える構成により「組織レベル」において「適切なカメラ及び倍率を与えられた任意の種類の細胞を特定」し、「細胞レベルの画像を提供」するものであるから、甲2発明の「顕微鏡」は、本件発明1の発明特定事項1Aである「組織サンプルの関心領域の拡大画像を生成するための顕微鏡」に相当する。
そして、甲2発明の「ニューラルネットワーク」は、事前に訓練されることから、訓練の結果である情報を記憶していることは自明である。よって、甲1発明と本件発明1は、本件発明1の発明特定事項1Cにおける「検出機械学習モデルを画定するデータを記憶するメモリ」に相当する構成を備える点で共通する。
しかし、本件発明1の発明特定事項1Cは、「複数」の検出機械学習モデルを画定するデータを記憶することを特定しているが、甲2発明は、ニューラルネットワークが「複数」ではない点で相違する。
そうすると、甲2発明は、「検出機械学習モデル」が複数であることを含む発明特定事項1D~1Mを備えていない点で、本件発明1と相違する。
そして、甲2発明の「プロトタイプ」を実現するシステムは、上記の相違点を除いて、本件発明1の発明特定事項1Nにおける「画像化システム」に相当する。
よって、本件発明1と甲2発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
(一致点)
(1A) 組織サンプルの関心領域の拡大画像を生成するための顕微鏡と、
(1B) 前記顕微鏡によって生成された前記拡大画像を取得および格納するためのカメラと
(1C’) 検出機械学習モデルを画定するデータを記憶するメモリ
とを含む
(1N) 画像化システム。
(相違点)
・本件発明1は、「検出機械学習モデル」が「複数」であるのに対し、甲2発明は、ニューラルネットワークが「複数」ではない点。また、本件発明1は、「検出機械学習モデル」が「複数」であることを前提とした発明特定事項である発明特定事項1D~1Mを備えているのに対し、甲2発明は、これらを備えていない点。
(イ)甲2発明に基づく本件発明1についての判断
上記(ア)のとおり、本件発明1と甲2発明とは相違点を有するから、本件発明1は、甲2発明ではない。
また、上記相違点に係る構成は、上記(2)のとおり、甲1及び甲3~甲6にも記載されていないから、本件発明1は、甲2発明、並びに甲1及び甲3~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
(ウ)甲2発明に基づく本件発明2~15についての判断
請求項1に係る発明(本件発明1)と同様の発明特定事項を有する請求項7及び13に係る発明(本件発明7及び13)も、上記(ア)及び(イ)のとおりであるから、本件発明1と同様に、甲2発明ではなく、また、甲2発明、並びに甲1及び甲3~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
また、請求項1、7又は13を引用する請求項2~6、8~12、14及び15に係る発明(本件発明2~6、8~12、14及び15)についても同様に、甲2発明ではなく、また、甲2発明、並びに甲1及び甲3~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
よって、本件発明2~15は、甲2発明ではなく、また、甲2発明、並びに甲1及び甲3~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
ウ 甲3に基づく新規性と、甲3を主引例とする進歩性について
(ア)甲3発明と本件発明1との対比
上記(2)ウ(イ)によれば、甲3発明の「顕微鏡」、「訓練できる機械学習ベースのモジュール」は、それぞれ、本件発明1の「顕微鏡」、「検出機械学習モデル」に相当する。
そして、甲3発明の「ソフトウェア」は「顕微鏡」を用いて「関心の細胞が特定されると、複雑な画像化に切り替わり、高情報コンテンツ画像化アッセイを自動的に実行」するものであるから、この動作を行う甲3発明の「顕微鏡」は、本件発明1の発明特定事項1Aである「組織サンプルの関心領域の拡大画像を生成するための顕微鏡」に相当する。
また、甲3発明は、顕微鏡の画像を電子化して扱うものであるから、本件発明1の発明特定事項1Bである「前記顕微鏡によって生成された前記拡大画像を取得および格納するためのカメラ」に相当する構成を備えると認められる。
そして、甲3発明は、訓練できる機械学習ベースのモジュールを利用することから、当該モジュールを構成する情報を記憶するメモリを備えることは、自明である。そうすると、甲3発明と本件発明1は、本件発明1の発明特定事項1Cにおける「検出機械学習モデルを画定するデータを記憶するメモリ」に相当する構成を備える点で共通する。
しかし、本件発明1の発明特定事項1Cは、「複数」の検出機械学習モデルを画定するデータを記憶することを特定しているが、甲3発明は、訓練できる機械学習ベースのモジュールが「複数」ではない点で相違する。
そうすると、甲3発明は、「検出機械学習モデル」が複数であることを含む発明特定事項1D~1Mを備えていない点で、本件発明1と相違する。
そして、甲3発明の「ソフトウェア」により動作するシステムは、上記の相違点を除いて、本件発明1の発明特定事項1Nにおける「画像化システム」に相当する。
よって、本件発明1と甲3発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
(一致点)
(1A) 組織サンプルの関心領域の拡大画像を生成するための顕微鏡と、
(1B) 前記顕微鏡によって生成された前記拡大画像を取得および格納するためのカメラと
(1C’) 検出機械学習モデルを画定するデータを記憶するメモリ
とを含む
(1N) 画像化システム。
(相違点)
・本件発明1は、「検出機械学習モデル」が「複数」であるのに対し、甲3発明は、訓練できる機械学習ベースのモジュールが「複数」ではない点。また、本件発明1は、「検出機械学習モデル」が「複数」であることを前提とした発明特定事項である発明特定事項1D~1Mを備えているのに対し、甲1発明は、これらを備えていない点。
(イ)甲3発明に基づく本件発明1についての判断
上記(ア)のとおり、本件発明1と甲3発明とは相違点を有するから、本件発明1は、甲3発明ではない。
また、上記相違点に係る構成は、上記(3)のとおり、甲1~甲2及び甲4~甲6にも記載されていないから、本件発明1は、甲3発明、並びに甲1~甲2及び甲4~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
(ウ)甲3発明に基づく本件発明2~15についての判断
請求項1に係る発明(本件発明1)と同様の発明特定事項を有する請求項7及び13に係る発明(本件発明7及び13)も、上記(ア)及び(イ)のとおりであるから、本件発明1と同様に、甲3発明ではなく、また、甲3発明、並びに甲1~甲2及び甲4~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
また、請求項1、7又は13を引用する請求項2~6、8~12、14及び15に係る発明(本件発明2~6、8~12、14及び15)についても同様に、甲3発明ではなく、また、甲3発明、並びに甲1~甲2及び甲4~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
よって、本件発明2~15は、甲3発明ではなく、また、甲3発明、並びに甲1~甲2及び甲4~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
エ 甲4に基づく新規性と、甲4を主引例とする進歩性について
(ア)甲4発明と本件発明1との対比
上記(2)エ(イ)によれば、甲4発明の「顕微鏡」、「深層ニューラルネットワーク」は、それぞれ、本件発明1の「顕微鏡」、「検出機械学習モデル」に相当する。
そして、甲4発明の「機械学習テクノロジー」は「顕微鏡」を用いて「生体画像」において「高次元の複雑な構造を発見する」するものであるから、この動作を行う甲3発明の「顕微鏡」は、本件発明1の発明特定事項1Aである「組織サンプルの関心領域の拡大画像を生成するための顕微鏡」に相当する。
また、甲4発明は、顕微鏡の画像を電子化して扱うものであるから、本件発明1の発明特定事項1Bである「前記顕微鏡によって生成された前記拡大画像を取得および格納するためのカメラ」に相当する構成を備えると認められる。
そして、甲4発明は、深層ニューラルネットワークを利用することから、当該深層ニューラルネットワークを構成する情報を記憶するメモリを備えることは、自明である。そうすると、甲4発明と本件発明1は、本件発明1の発明特定事項1Cにおける「検出機械学習モデルを画定するデータを記憶するメモリ」に相当する構成を備える点で共通する。
しかし、本件発明1の発明特定事項1Cは、「複数」の検出機械学習モデルを画定するデータを記憶することを特定しているが、甲4発明は、深層ニューラルネットワークが「複数」ではない点で相違する。
そうすると、甲3発明は、「検出機械学習モデル」が複数であることを含む発明特定事項1D~1Mを備えていない点で、本件発明1と相違する。
そして、甲3発明の「機械学習テクノロジー」により動作するシステムは、上記の相違点を除いて、本件発明1の発明特定事項1Nにおける「画像化システム」に相当する。
よって、本件発明1と甲3発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
(一致点)
(1A) 組織サンプルの関心領域の拡大画像を生成するための顕微鏡と、
(1B) 前記顕微鏡によって生成された前記拡大画像を取得および格納するためのカメラと
(1C’) 検出機械学習モデルを画定するデータを記憶するメモリ
とを含む
(1N) 画像化システム。
(相違点)
・本件発明1は、「検出機械学習モデル」が「複数」であるのに対し、甲4発明は、深層ニューラルネットワークが「複数」ではない点。また、本件発明1は、「検出機械学習モデル」が「複数」であることを前提とした発明特定事項である発明特定事項1D~1Mを備えているのに対し、甲4発明は、これらを備えていない点。
(イ)甲4発明に基づく本件発明1についての判断
上記(ア)のとおり、本件発明1と甲4発明とは相違点を有するから、本件発明1は、甲4発明ではない。
また、上記相違点に係る構成は、上記(3)のとおり、甲1~甲3及び甲5~甲6にも記載されていないから、本件発明1は、甲4発明、並びに甲1~甲3及び甲5~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
(ウ)甲4発明に基づく本件発明2~15についての判断
請求項1に係る発明(本件発明1)と同様の発明特定事項を有する請求項7及び13に係る発明(本件発明7及び13)も、上記(ア)及び(イ)のとおりであるから、本件発明1と同様に、甲4発明ではなく、また、甲4発明、並びに甲1~甲3及び甲5~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
また、請求項1、7又は13を引用する請求項2~6、8~12、14及び15に係る発明(本件発明2~6、8~12、14及び15)についても同様に、甲4発明ではなく、また、甲4発明、並びに甲1~甲3及び甲5~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
よって、本件発明2~15は、甲4発明ではなく、また、甲4発明、並びに甲1~甲3及び甲5~甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
オ 甲5に基づく新規性と、甲5を主引例とする進歩性について
(ア)甲5発明と本件発明1との対比
上記(2)オ(イ)によれば、甲5発明に本件発明1の発明特定事項1A及び1Bに関する記載は無いから、本件発明1と甲5発明は、本件発明1の発明特定事項1A及び1Bを備えるのに対し、甲5発明はそれらの構成を備えない点で相違する。
また、甲5発明の「モジュール」、「モジュール固有のパラメータ」は、それぞれ、本件発明1の「モデル」、「モデルを画定するデータ」に相当する。
そして、甲5発明の「方法」は、「モジュール」が「実装」されるものであるから、当該モジュールを構成する情報を記憶するメモリを備えることは、自明である。そうすると、甲5発明と本件発明1は、本件発明1の発明特定事項1Cにおける「モデルを画定するデータを記憶するメモリ」に相当する構成を備える点で共通する。
しかし、本件発明1の発明特定事項1Cは、モデルが「複数」であり、「検出機械学習」モデルであることを特定しているが、甲5発明は、そのような特定がない点で相違する。
そうすると、甲5発明は、「検出機械学習モデル」が複数であることを含む発明特定事項1D~1Mを備えていない点で、本件発明1と相違する。
そして、甲5発明の「方法」が動作するシステムは、上記の相違点を除いて、本件発明1の発明特定事項1Nにおける「システム」に相当する。
よって、本件発明1と甲5発明は、以下の一致点で一致し、その余の点で相違する。
(一致点)
(1C’) モデルを画定するデータを記憶するメモリ
を含む
(1N’) システム。
(イ)甲5発明に基づく本件発明1についての判断
上記(ア)のとおり、本件発明1と甲5発明とは相違点を有するから、本件発明1は、甲5発明ではない。
また、上記一致点に含まれない、相違する構成は、特に発明特定事項1D~1Mについて、上記(3)のとおり、甲1~甲4及び甲6にも記載されていないから、本件発明1は、甲5発明、並びに甲1~甲4及び甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
(ウ)甲5発明に基づく本件発明2~15についての判断
請求項1に係る発明(本件発明1)と同様の発明特定事項を有する請求項7及び13に係る発明(本件発明7及び13)も、上記(ア)及び(イ)のとおりであるから、本件発明1と同様に、甲5発明ではなく、また、甲5発明、並びに甲1~甲4及び甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
また、請求項1、7又は13を引用する請求項2~6、8~12、14及び15に係る発明(本件発明2~6、8~12、14及び15)についても同様に、甲5発明ではなく、また、甲5発明、並びに甲1~甲4及び甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
よって、本件発明2~15は、甲5発明ではなく、また、甲5発明、並びに甲1~甲4及び甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
カ 甲6に基づく新規性と、甲6を主引例とする進歩性について
(ア)甲6発明と本件発明1との対比
上記(2)カ(イ)によれば、甲6発明の「細胞の自動化された検出のためのワークフロー」は、本件発明1の「組織サンプルの関心領域」「を生成する」動作に相当するから、甲6発明の「ワークフロー」における動作と、本件発明1の発明特定事項1Aは、「組織サンプルの関心領域を生成する」との動作が共通する。
しかし、本件発明1の発明特定事項1Aは、関心領域の「拡大画像」を生成するための「顕微鏡」であるが、甲6発明には、そのような構成について記載されていない点で相違する。
また、甲6発明に本件発明1の発明特定事項1Bに関する記載は無いから、本件発明1は、発明特定事項1Bを備えるのに対し、甲6発明はそれらの構成を備えない点で相違する。
ここで、甲6発明の「ワークフロー」は、本件発明1の発明特定事項1Cにおける「モデル」に相当する。そして、甲6発明の「ワークフロー」は、コンピュータソフトウェアである「Matlab」に「実装」されるものであるから、当該ワークフローを構成する情報を記憶するメモリを備えることは、自明である。そうすると、甲6発明と本件発明1は、本件発明1の発明特定事項1Cにおける「モデルを画定するデータを記憶するメモリ」に相当する構成を備える点で共通する。
しかし、本件発明1の発明特定事項1Cは、モデルが「複数」の「検出機械学習」であることを特定しているが、甲6発明の「ワークフロー」は、そのような特定がない点で相違する。
そうすると、甲6発明は、「検出機械学習モデル」が複数であることを含む発明特定事項1D~1Mを備えていない点で、本件発明1と相違する。
そして、甲6発明の「ワークフロー」は、上記の相違点を除いて、本件発明1の発明特定事項1Nにおける「システム」に相当する。
よって、本件発明1と甲6発明は、以下の一致点で一致し、その余の点で相違する。
(一致点)
(1A’) 組織サンプルの関心領域を生成し、
(1C’) モデルを画定するデータを記憶するメモリ
とを含む
(1N’) システム。
(イ)甲6発明に基づく本件発明1についての判断
上記(ア)のとおり、本件発明1と甲6発明とは相違点を有するから、本件発明1は、甲6発明ではない。
また、上記一致点に含まれない、相違する構成は、特に発明特定事項1D~1Mについて、上記(3)のとおり、甲1~甲5にも記載されていないから、本件発明1は、甲6発明、及び甲1~甲5の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
(ウ)甲6発明に基づく本件発明2~15についての判断
請求項1に係る発明(本件発明1)と同様の発明特定事項を有する請求項7及び13に係る発明(本件発明7及び13)も、上記(ア)及び(イ)のとおりであるから、本件発明1と同様に、甲6発明ではなく、また、甲6発明、及び甲1~甲5の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
また、請求項1、7又は13を引用する請求項2~6、8~12、14及び15に係る発明(本件発明2~6、8~12、14及び15)についても同様に、甲6発明ではなく、また、甲6発明、及び甲1~甲5の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
よって、本件発明2~15は、甲6発明ではなく、また、甲6発明、及び甲1~甲5の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。
(4) 申立理由4及び5のまとめ
上記(1)~(3)のとおり、本件発明1~15は、甲1発明~甲6発明のいずれでもないから、特許法第29条第1項第3号に違反しない。
また、本件発明1~15は、甲1発明~甲6発明のいずれか、及び甲1~甲6のうちその余の各甲号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第5 本件特許異議申立人の主張について
各甲号証に基づく申立理由4及び5(本件特許異議申立書における取消理由4及び5)の特許異議申立人の主張は、いずれも、申立理由3(本件特許異議申立書における取消理由3)において明確でないとされた「倍率レベル」すなわち「検出機械学習モデル」の数について、これを問わない(1を含む)とした場合の主張であると認められる。
しかし、上記「第4」の3で述べたとおり、本件特許の請求項1に係る発明において、「倍率レベル」及び「検出機械学習モデル」の数が複数(2つ以上)であることは、明確である。
よって、特許異議申立人の当該主張は、採用できない。
第6 むすび
請求項1~15に係る特許は、申立理由1~5によって取り消すことはできない。
また、他に請求項1~15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-700198