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特許異議申立

2020-700149

学習方法、コンピュータプログラム、分類器、及び生成器

審判番号
2020-700149
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-222302
登録番号
特許第6569047号(P6569047)
請求日
2020年03月04日
審決日
2020年12月02日
公報発行日
2021年04月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社アクセル
  • 【権利者代理人】鈴木 均
  • 【権利者代理人】池田 雅人
  • 【異議申立人】滝沢 純平
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 聡史
  • 審判官 渡邊 聡
  • 審判官 相崎 裕恒
分類
P1651.121-YAA(G06T) / P1651.113-YAA(G06T) / P1651.537-YAA(G06T)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6569047号発明「学習方法、コンピュータプログラム、分類器、及び生成器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6569047号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、6、7〕、8、9、10、11について訂正することを認める。 特許第6569047号の請求項1-11に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6569047号の請求項1-11に係る特許(以下、各請求項に係る特許をそれぞれ、本件特許1などという。)についての出願は、平成30年11月28日に出願されたものであって、令和元年8月16日にその特許権の設定登録がされ、令和元年9月4日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対して特許異議申立人滝沢純平(以下、申立人という。)により特許異議の申立てがあり、次のとおりに手続が行われた。 令和2年 3月 4日  :申立人による請求項1-11に係る特許に対する異議の申し立て 令和2年 6月18日付け:取消理由通知書 令和2年 9月18日  :特許権者による意見書の提出及び訂正請求 令和2年11月 2日  :申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、以下のア~カとおりである。(下線は訂正箇所) ア 訂正事項1 請求項1の 「画像データに対して畳み込みを行なう畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワーク、又は、画像データを出力する畳み込みニューラルネットワークを、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで学習する 学習方法。」の記載を、 「画像データに対して畳み込みを行なう畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワーク、又は、画像データを出力する畳み込みニューラルネットワークの学習方法であって、 画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップと、 前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップと をコンピュータに実行させる学習方法。」の記載に訂正する。 イ 訂正事項2 請求項2の 「画像データが入力された場合に、前記画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワークに、 視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを与え、 前記畳み込みニューラルネットワークを分類器として学習する、学習方法。」の記載を、 「画像データが入力された場合に、前記画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワークの学習方法であって、 画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップと、 前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを与え、前記畳み込みニューラルネットワークを分類器として学習するステップと をコンピュータに実行させる学習方法。」の記載に訂正する。 ウ 訂正事項3 請求項8の 「前記定義データに基づく畳み込みニューラルネットワークに、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを与え、」の記載を、 「画像データファイルをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減し、 前記定義データに基づく畳み込みニューラルネットワークに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを与え、」の記載に訂正する。 エ 訂正事項4 請求項9の 「前記分類用の畳み込みニューラルネットワークから出力される画像データ、又は前記分類用の畳み込みニューラルネットワークへ与える画像データの内の所定の割合の画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減し、」の記載を、 「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力される画像データ、又は前記他の画像データの内の所定の割合の画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減し、」の記載に訂正する。 オ 訂正事項5 請求項10の 「コンピュータに、入力された画像データの分類を出力させるように、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用の画像データと、該画像データの分類ラベルとを含む教師データによって学習されてある分類器。」の記載を、 「画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させるフィルタを介して画像データを入力可能であり、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むととに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用の画像データと、該画像データの分類ラベルとを含む教師データによって、コンピュータにより入力された画像データの分類を出力させるように、学習されてある分類器。」の記載に訂正する。 カ 訂正事項6 請求項11の 「コンピュータに、入力された任意のデータに基づく画像データを出力させるように学習されてある生成器。」の記載を、 「コンピュータにより入力された任意のデータに基づく画像データを出力させるように学習されてある生成器。」の記載に訂正する。 (2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 訂正事項1について 訂正事項1は一群の請求項〔1、6、7〕に対して請求されたものである。 a)訂正の目的の適否 訂正前の請求項1の記載では「画像データに対して畳み込みを行なう畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワーク、又は、画像データを出力する畳み込みニューラルネットワークを」、「学習する学習方法」において、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで学習する」構成のみが特定されていたのに対し、訂正後の請求項1の記載では、「画像データに対して畳み込みを行なう畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワーク、又は、画像データを出力する畳み込みニューラルネットワークの学習方法」において、「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」を有し、「前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップと/をコンピュータに実行させる」(/は改行を示す。以下同様。)構成が特定されたといえる。すなわち、訂正事項1により、訂正前には特定されていなかった、「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」を有すること、学習用データが「前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データ」であること、及び「(学習方法の各ステップを)コンピュータに実行させる」ことがさらに特定されたといえる。 したがって、訂正事項1により、訂正前には特定されていなかった構成が新たに特定されたのであるから、訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 b)新規事項の有無について 本件特許明細書には、以下のとおりの記載がある。(下線は当審で付与した。) 「【0015】 図1は、本実施の形態における画像処理装置1の構成を示すブロック図であり、図2は画像処理装置1の機能ブロック図である。画像処理装置1は、制御部10、画像処理部11、記憶部12、通信部13、表示部14及び操作部15を備える。なお画像処理装置1及び画像処理装置1における動作について以下では、1台のサーバコンピュータとして説明するが、複数のコンピュータによって処理を分散するようにして構成されてもよい。 【0016】 制御部10は、CPU(Central Processing Unit )等のプロセッサ及びメモリ等を用い、装置の構成部を制御して各種機能を実現する。画像処理部11は、GPU(Graphics Processing Unit)又は専用回路等のプロセッサ及びメモリを用い、制御部10からの制御指示に応じて画像処理を実行する。なお、制御部10及び画像処理部11は、一体のハードウェアであってもよい。また制御部10及び画像処理部11は、CPU、GPU等のプロセッサ、メモリ、更には記憶部12及び通信部13を集積した1つのハードウェア(SoC:System On a Chip)として構成されていてもよい。」 「【0022】 画像処理装置1の制御部10は、記憶部12に記憶してある画像処理プログラム1Pに基づき、学習処理実行部101、及び画像処理実行部102として機能する。また画像処理部11は、記憶部12に記憶してあるDLライブラリ121L、定義データ、パラメータ情報、及び分類器ライブラリ122Lに基づきメモリを用いて分類器112として機能する。同様にして画像処理部11は、記憶部12に記憶してあるDLライブラリ121L、定義データ、パラメータ情報、及び生成器ライブラリ123Lに基づきメモリを用いて生成器113として機能する。 【0023】 学習処理実行部101は、記憶部12に記憶してあるDLライブラリ1L、及び分類器ライブラリ122Lと、後述するように与えられる教師データとに基づき、畳み込みニューラルネットワーク(以下、CNN(Convolutional Neural Network )と呼ぶ)を分類器112とするべく、パラメータを学習する処理を行なう。また学習処理実行部101は、記憶部12に記憶してあるDLライブラリ1L、及び生成器ライブラリ123Lと、後述するように与えられる教師データとに基づき、CNNを生成器113とするべく、パラメータを学習する処理を行なう。」 「【0028】 制御部10は学習処理実行部101により、記憶部12のDLライブラリ121L、分類器ライブラリ122L及び生成器ライブラリ123Lに基づき、ネットワークを図3のように定義したデータを作成しておく。制御部10は、学習処理実行部101の機能により作成された定義データに基づいて、生成器113及び分類器112を作成する(ステップS1)。 【0029】 制御部10は、生成器113由来の画像データ群として、種となるデータから未知のクラスを予測する予測メソッドによって画像データ群を生成器113から出力させる(ステップS2)。制御部10は、出力された画像データ群に生成器113で作成された画像データであることを示すラベルを付与する(ステップS3)。 【0030】 制御部10は、生成器113由来でない画像データ群の教師データとして、分類器112の学習用に予め用意してある画像データに対し、情報量が削減させた画像データと、削減させない画像データとを設定情報に基づいて取得する(ステップS4)。ステップS4において制御部10は、予め用意してある画像データの内の所定の割合の画像データに対し、図3におけるフィルタを経由させるようにネットワークを定義してもよい。予め用意してある画像データは、学習の目的に応じた被写体が写っている写真画像、目的に応じたイラストが含まれている画像等である。制御部10は、得られた画像データに、生成器113由来でない画像データであることを示すラベルを付与する(ステップS5)。 【0031】 ステップS4における「削減されている画像データ」は、人間の視覚上判別しにくい成分を欠損させた画像データとする処理を行なうフィルタによって取得される。分類器112の学習用の画像データを作成するフィルタの一例として、デジタル画像の圧縮アルゴリズムを適用する。フィルタは例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)におけるDCT(Discrete Cosine Transform ;離散コサイン変換)、又はWavelet変換とすることが可能である。学習処理実行部101はその他、チャネル又は帯域毎の量子化を施すフィルタを用いて、情報が削減されている画像データを得てもよいし、チャネル又は帯域で分解して一定以下をデータカットするフィルタ用いて、情報が削減されている画像データを取得してもよい。 【0032】 ステップS4における「設定情報」は、学習用に用いられる画像データ群に含まれる、削減されている画像データの割合、又は削減度合いに対する数の分布として記憶部12に定義データとして定義されている。一例では、削減されている画像データの削減度合いは一定の割合であり、削減されている画像データが所定の割合含まれるように定義されている。他の例では、学習用の画像データの全てが、削減されている画像データである。また、視覚上判別し易い部分の重要度を上げるようにして、チャネル又は帯域に視覚的な重みを与えた画像データ群を用いてもよい。また、図5に示すように、SN比が高い即ち削減する情報量が多い画像データを少なく、削減する情報量が少ない画像データは多くなるような数の分布として定義されていてもよい(図5A)。削除する情報量の多さは、量子化の荒さなどで分布してもよい。図5は、学習用の画像データの数のSN比に対する分布の一例を示す図である。図5に示すように、所定の分布を有する学習用データ以外にも、情報量を一律に削減した画像データ群によって学習が行なわれてもよいし(図5B)、削減される情報量の多少に対する画像データの数が一定となるような分布を有する学習用データを用いて学習が行なわれてもよい(図5C)。その他、情報量を一律に削減した画像データ群を50%、削減していない画像データ群を50%含む等、適宜設定されるとよい。」 以上の記載によれば、画像処理装置1は1台のサーバコンピュータとして説明され、学習処理実行部101は、画像処理装置1の制御部10の一つの機能であるから、学習処理方法は、コンピュータにより実行されることが記載されている。 また、『「削減されている画像データ」は、人間の視覚上判別しにくい成分を欠損させた画像データとする処理を行なうフィルタによって取得される』のであるから、本件発明1の「(ニューラルネットワークの)学習方法」は、「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」を有していることは、本件特許明細書に記載されている。 さらに、「削減されている画像データの削減度合いは一定の割合であり、削減されている画像データが所定の割合含まれるように定義されている。」、「情報量を一律に削減した画像データ群を50%、削減していない画像データ群を50%含む等、適宜設定されるとよい。」の記載からみて、「前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」も本件特許明細書に記載されている。 したがって、訂正事項1にて新たに特定された構成は、特許明細書に記載された事項であって新規事項の追加に該当しない。 c)特許請求の範囲の拡張・変更について 上記訂正は、a)、b)で検討したとおり、特許明細書に記載された事項の範囲内で特許請求の範囲を減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものということもできない。 イ 訂正事項2について 訂正事項2は一群の請求項〔2、7〕に対して請求されたものである。 a)訂正の目的の適否 訂正前の請求項2の記載では「畳み込みニューラルネットワークを分類器として学習する、学習方法。」において、「画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワークに、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを与え」、「学習する、学習方法」の構成のみが特定されていたのに対し、訂正後の請求項2の記載では、「画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワークの学習方法」において、「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」を有し、「前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを与え、前記畳み込みニューラルネットワークを分類器として学習するステップと/をコンピュータに実行させる」構成が特定されたといえる。すなわち、訂正事項2により、訂正前には特定されていなかった、「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」を有すること、学習用データが「前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データ」であること、及び「(学習方法の各ステップを)コンピュータに実行させる」ことがさらに特定されたといえる。 したがって、訂正事項2により、訂正前には特定されていなかった構成が新たに特定されたのであるから、訂正事項2は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 b)新規事項の有無について 訂正事項2により請求項2に新たに特定された構成は、訂正事項1と比較して実質上異なるところがなく、当該新たな構成は、上記アb)にて検討したとおり、特許明細書に記載された事項であって新規事項の追加に該当しない。 c)特許請求の範囲の拡張・変更について 上記訂正は、a)、b)で検討したとおり、特許明細書に記載された事項の範囲内で特許請求の範囲を減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものということもできない。 ウ 訂正事項3について a)訂正の目的の適否 訂正前の請求項8の記載では「コンピュータに」、「畳み込みニューラルネットワークを分類器として学習する処理を実行させるコンピュータプログラム」において、「前記定義データに基づく畳み込みニューラルネットワークに、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを与え」る構成のみが特定されていたのに対し、訂正後の請求項6の記載では、「コンピュータに」、「畳み込みニューラルネットワークを分類器として学習する処理を実行させるコンピュータプログラム」において、「画像データファイルをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減」する処理を有すること、及び「前記定義データに基づく畳み込みニューラルネットワークに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを与え」る処理を有することが特定されたといえる。 すなわち、訂正事項3により、訂正前には特定されていなかった、「画像データファイルをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減」する処理、「前記定義データに基づく畳み込みニューラルネットワークに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを与え」る処理がさらに特定されたといえる。 したがって、訂正事項3により、訂正前には特定されていなかった構成が新たに特定されたのであるから、訂正事項3は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 b)新規事項の有無について 訂正事項3により請求項8に新たに特定された構成は、訂正事項1にて新たに付加された「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」、「前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」と同等の構成であり、当該新たな構成は、上記アb)にて検討したとおり、特許明細書に記載された事項であって新規事項の追加に該当しない。 c)特許請求の範囲の拡張・変更について 上記訂正は、a)、b)で検討したとおり、特許明細書に記載された事項の範囲内で特許請求の範囲を減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものということもできない。 エ 訂正事項4について a)訂正の目的の適否 訂正前の請求項9の記載は以下のとおりである。 「コンピュータに、 任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワークの定義データと、 前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データが入力された場合に、前記画像データに基づく画像の分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワークの定義データとを記憶し、 前記分類用の畳み込みニューラルネットワークから出力される画像データ、又は前記分類用の畳み込みニューラルネットワークへ与える画像データの内の所定の割合の画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減し、 前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク、及び、前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークをGANによって学習する 処理を実行させるコンピュータプログラム。」 訂正後の請求項9の記載は以下のとおりである。 「コンピュータに、 任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワークの定義データと、 前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データが入力された場合に、前記画像データに基づく画像の分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワークの定義データとを記憶し、 前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力される画像データ、又は前記他の画像データの内の所定の割合の画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減し、 前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク、及び、前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークをGANによって学習する 処理を実行させるコンピュータプログラム。」 すなわち、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減」する対象の画像データが、訂正前は、「分類用の畳み込みニューラルネットワークから出力される画像データ、又は前記分類用の畳み込みニューラルネットワークへ与える画像データの内の所定の割合の画像データ」であるのに対し、訂正後は「画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力される画像データ、又は前記他の画像データ」に変更する訂正であるといえるから、当該記載を変更する訂正について検討する。 まず、本件発明9の特定事項が「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データが入力された場合に、前記画像データに基づく画像の分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワーク」の構成を共に含むことからみて、本件発明9は、発明の詳細な説明【0026】-【0039】、図3にある実施の形態を特定しているものと捉えることが妥当である。 特許明細書には、以下のとおり記載されている。 「【0026】 図3は、分類器112及び生成器113の概要を示す説明図であり、図4は、学習処理手順の一例を示すフローチャートである。図3及び図4を参照して学習処理実行部101による学習処理について説明する。図3に示すように、生成器113はGANによって学習される。このため図3に示すように生成器113の出力を入力するように分類器112及び生成器113が接続されている。 【0027】 分類器112は、学習されるパラメータにより定義される複数段の畳み込み層を含んで構成される。分類器112の構成はこれに限らず、プーリング層、全結合層等を含んでもよい。生成器113は、学習されるパラメータにより定義されるネットワークにより、入力された任意のデータから画像データを出力する。生成器113は、転置畳み込み層、畳み込み層、アップサンプリング等のネットワークを適宜組み合わせて画像データを出力するように構成されている。 【0028】 制御部10は学習処理実行部101により、記憶部12のDLライブラリ121L、分類器ライブラリ122L及び生成器ライブラリ123Lに基づき、ネットワークを図3のように定義したデータを作成しておく。制御部10は、学習処理実行部101の機能により作成された定義データに基づいて、生成器113及び分類器112を作成する(ステップS1)。 【0029】 制御部10は、生成器113由来の画像データ群として、種となるデータから未知のクラスを予測する予測メソッドによって画像データ群を生成器113から出力させる(ステップS2)。制御部10は、出力された画像データ群に生成器113で作成された画像データであることを示すラベルを付与する(ステップS3)。 【0030】 制御部10は、生成器113由来でない画像データ群の教師データとして、分類器112の学習用に予め用意してある画像データに対し、情報量が削減させた画像データと、削減させない画像データとを設定情報に基づいて取得する(ステップS4)。ステップS4において制御部10は、予め用意してある画像データの内の所定の割合の画像データに対し、図3におけるフィルタを経由させるようにネットワークを定義してもよい。予め用意してある画像データは、学習の目的に応じた被写体が写っている写真画像、目的に応じたイラストが含まれている画像等である。制御部10は、得られた画像データに、生成器113由来でない画像データであることを示すラベルを付与する(ステップS5)。」 「【0033】 図3及び図4に戻り説明を続ける。 制御部10は学習処理実行部101の機能により、ステップS3及びステップS5により得られるラベル付きの画像データ群を分類器112に与え(ステップS6)、分類器112の損失関数を算出して学習させる(ステップS7)。これにより分類器112は、上述したように、予め用意されている画像データについては情報量が削減されている画像データを所定の割合で含む学習用の画像データ群を用いて学習される。 【0034】 続いて制御部10は、学習処理実行部101の機能により、ステップS7の後の分類器112を含むネットワークの内の生成器113に、種となるデータを与える(ステップS8)。 【0035】 ステップS8において生成器113に与えられる教師データは、入出力で対となる画像データであってもよい。この場合、教師データとなる画像データ群は、情報量が削減されていない画像データであってもよいが、情報量が削減された画像データを所定の割合で含むとしても、全ての画像データが、情報量が削減されていてもよい。 【0036】 制御部10は、ステップS8によって生成器113から出力される画像データ群に基づいて生成器113における損失関数を算出して学習させる(ステップS9)。このとき制御部10は、分類器112の重み係数は固定とし、分類器112からの出力(生成器113由来のデータであるか否かのラベル)から、生成器113のパラメータを更新する。なお生成器113が上述したように、対となった画像データ(教師データ)を入力して学習するように定義されている場合、生成器113からの出力と、出力側の教師データとを分類器112に入力した場合の差分によって生成器113のパラメータを更新する。また、教師データとなる画像データと、生成器113から出力される画像データとを直接的に比較した差分を損失関数に含めて生成器113を学習させてもよい。 【0037】 分類器112の学習時は、生成器113の学習は行なわず、生成器113の学習の際には分類器112の重み等のパラメータは固定させて実行する。なお、分類器112の学習と生成器113の学習とを同時に行なうように、定義データを作成して実行してもよい 【0038】 制御部10は、学習処理実行部101の機能により、分類器112の出力結果が所定基準を満たすか否かを判断する(ステップS10)。制御部10は、所定基準を満たさないと判断された場合(S10:NO)、処理をステップS2に戻し、ステップS2-S9の処理を繰り返し実行する。 【0039】 ステップS10において所定基準を満たすと判断された場合(S10:YES)、学習処理を終了させる。ステップS10における「所定基準」は例えば、分類器112の精度が半分、即ち生成器113由来の画像データであることを正確に分類できなくなったか否かである。他の例では「所定基準」は学習が所定回数以上であるかである。学習が十分に進行したか否かを判断するために他の基準を用いてもよい。」 図3 これらの記載によれば、請求項9の「画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」、「分類用の畳み込みニューラルネットワーク」、「所定の割合の画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減」する構成は、それぞれ、生成器113に含まれる畳み込みニューラルネットワーク、分類器112に含まれる畳み込みニューラルネットワーク、フィルタに相当することは明らかである。 そして「分類用の畳み込みニューラルネットワークから出力される画像データの内の所定の割合の画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減」することは、発明の詳細な説明や図面の記載からみて、分類器112から出力される画像データに対してフィルタ処理を行うことであるといえるが、そのような構成は当該実施例に記載はない。 これに対して、画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力される画像データ(の内の所定の割合の画像データ)の視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減する(フィルタ処理を行う)こと、及び「生成器113由来でない画像データ群の教師データとして、分類器112の学習用に予め用意してある画像データに対し情報量を削減させる(フィルタ処理を行う)ことは記載されている。 してみると、上記訂正前請求項9の「前記分類用の畳み込みニューラルネットワークから出力される画像データ、又は前記分類用の畳み込みニューラルネットワークへ与える画像データの内の所定の割合の画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減し」の特定事項は、特許明細書の上記記載からみて、「生成器から出力される画像データの一部に対してフィルタ処理を行うこと、又は生成器113由来でない画像データの一部に対しフィルタ処理を行うこと」を特定していると捉えるのが自然であり、上記実施例の構成は「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力される画像データ、又は前記他の画像データの内の所定の割合の画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減し」と記載することが正しい記載であるいえるから、訂正事項4は、誤記の訂正を目的とするものである。 b)新規事項の有無について 訂正後の請求項9の記載は、上記a)で検討したとおり、本件特許明細書の実施の形態に沿うように訂正されたものであるから、新規事項の追加に該当しない。 c)特許請求の範囲の拡張・変更について 上記訂正は、a)で検討したとおり、特許請求の範囲の誤記を発明の詳細な説明の実施の形態に沿うように訂正したものであり、訂正前の特許請求の範囲の記載をみても、本件特許明細書全体の記載を参酌すれば、訂正後の特許請求の範囲に記載された特定事項以外の構成を特定していると理解することはあり得ないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものということもできない。 オ 訂正事項5について a)訂正の目的の適否 訂正事項5は、以下のとおり、二つの訂正に分けて検討する。 a-1)訂正前の請求項10の「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用の画像データ」との記載を、訂正後の請求項10の「画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させるフィルタを介して画像データを入力可能であり、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むととに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用の画像データ」との記載とする訂正について 上記訂正は、学習用の画像データに関して、訂正前は「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む」ことのみを特定していたのに対し、訂正後は「画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させるフィルタを介して画像データを入力可能であり、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むととに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用の画像データ」と特定することで、「画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させるフィルタを介して画像データを入力可能であり、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含む」こと、及び「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む」ことを特定事項としている。 したがって、上記訂正により、訂正前には特定されていなかった構成が新たに特定されたのであるから、当該訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 a-2)訂正前の請求項10の「コンピュータに、入力された画像データの分類を出力させるように、・・・教師データによって学習されてある分類器。」との記載を、訂正後の請求項10の「教師データによって、コンピュータにより入力された画像データの分類を出力させるように、学習されてある分類器。」との記載とする訂正について 上記訂正は、訂正前の「コンピュータに、入力された画像データの分類を出力させるように」の記載を、訂正後の「コンピュータにより入力された画像データの分類を出力させるように」の記載と改め、さらに、訂正前の「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用の画像データと、該画像データの分類ラベルとを含む教師データによって」の前に記載されていたものを、訂正後の「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用の画像データと、該画像データの分類ラベルとを含む教師データによって」の後に記載されるように訂正したものである。 上記記載を改める訂正により、「コンピュータ」が「(により)入力された」に係ることが明確となり、また、記載の順を改めることにより、「画像データの分類を出力させるように」の記載が「学習されてある」に係ることが明確となった。 したがって、上記訂正は、訂正前の記載では、特定事項の係り受けが明確でない記載であったものを、その係り受けを明確となるように訂正したといえるから、当該訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 b)新規事項の有無について 上記訂正事項のうちa-1)は、上記アb)で検討したのと同様新規事項に該当しない。 訂正事項a-2)についての検討は、以下のとおりである。 分類器が「画像データの分類を出力させるように、学習されてある」ことは、特許明細書の【0033】に「画像データ群を分類器112に与え(ステップS6)、分類器112の損失関数を算出して学習させる(ステップS7)。これにより分類器112は、上述したように、予め用意されている画像データについては情報量が削減されている画像データを所定の割合で含む学習用の画像データ群を用いて学習される。」との記載があるから、発明の詳細な説明に記載されている。 また、当該学習における一連の処理は、特許明細書【0033】に「制御部10は学習処理実行部101の機能により、ステップS3及びステップS5により得られるラベル付きの画像データ群を分類器112に与え(ステップS6)、分類器112の損失関数を算出して学習させる(ステップS7)。」とあるように、制御部の制御の基に行われる処理であるが、特許明細書の【0015】に「図1は、本実施の形態における画像処理装置1の構成を示すブロック図であり、図2は画像処理装置1の機能ブロック図である。画像処理装置1は、制御部10、画像処理部11、記憶部12、通信部13、表示部14及び操作部15を備える。なお画像処理装置1及び画像処理装置1における動作について以下では、1台のサーバコンピュータとして説明するが、複数のコンピュータによって処理を分散するようにして構成されてもよい。」と記載されるように、制御部を含む画像処理装置がコンピュータからなることも記載されているから、「コンピュータ」が「(により)入力された」に係ることも特許明細書に記載されている。 したがって、訂正事項a-1)、a-2)は、共に本件特許明細書に記載されているから、新規事項の追加に該当しない。 c)特許請求の範囲の拡張・変更について 上記訂正は、a)、b)で検討したとおり、特許明細書に記載された事項の範囲内で特許請求の範囲を減縮し、あるいは、明瞭でない記載が明瞭となるように訂正するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものということもできない。 カ 訂正事項6について a)訂正の目的の適否 上記訂正は、訂正前の請求項11の「コンピュータに、入力された任意のデータに基づく画像データを出力させるように学習されてある生成器。」の記載を、訂正後の請求項11の「コンピュータにより入力された任意のデータに基づく画像データを出力させるように学習されてある生成器。」の記載と改めることで、「コンピュータ」が「(により)入力された」に係ることが明確となった。 したがって、上記訂正は、訂正前の記載では、特定事項の係り受けが明確でない記載であったものを、その係り受けを明確となるように訂正したといえるから、当該訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 b)新規事項の有無について 【0036】の「制御部10は、ステップS8によって生成器113から出力される画像データ群に基づいて生成器113における損失関数を算出して学習させる(ステップS9)。このとき制御部10は、分類器112の重み係数は固定とし、分類器112からの出力(生成器113由来のデータであるか否かのラベル)から、生成器113のパラメータを更新する。なお生成器113が上述したように、対となった画像データ(教師データ)を入力して学習するように定義されている場合、生成器113からの出力と、出力側の教師データとを分類器112に入力した場合の差分によって生成器113のパラメータを更新する。また、教師データとなる画像データと、生成器113から出力される画像データとを直接的に比較した差分を損失関数に含めて生成器113を学習させてもよい。」の記載によれば生成器の学習は、制御部の制御の基に行われる処理である。そして、制御部を含む画像処理装置がコンピュータからなることは、上記カで検討したように特許明細書に記載されているから、「コンピュータ」が「(により)入力された」に係ることも特許明細書に記載されている。 したがって、訂正事項6は、本件特許明細書に記載されているから、新規事項の追加に該当しない。 c)特許請求の範囲の拡張・変更について 上記訂正は、a)、b)で検討したとおり、特許明細書に記載された事項の範囲内で特許請求の範囲の明瞭でない記載が明瞭となるように訂正するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものということもできない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、6、7〕、8、9、10、11について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1ないし11に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」などという。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 【本件発明1】 画像データに対して畳み込みを行なう畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワーク、又は、画像データを出力する畳み込みニューラルネットワークの学習方法であって、 画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップと、 前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップと をコンピュータに実行させる学習方法。 【本件発明2】 画像データが入力された場合に、前記画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワークの学習方法であって、 画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップと、 前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを与え、前記畳み込みニューラルネットワークを分類器として学習するステップと をコンピュータに実行させる学習方法。 【本件発明3】 任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワークと、 前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データが入力された場合に、前記画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワークとを用い、 視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含 む学習用データを用い、 前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク、及び、前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークをGAN(Generative Adversarial Networks)によって学習する 学習方法。 【本件発明4】 前記分類用の畳み込みニューラルネットワークの損失関数を、前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、及び前記他の画像データの両方、又はいずれか一方の内の所定の割合の画像データの情報量を削減させて前記分類用の畳み込みニューラルネットワークに与えて算出し、 前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークの損失関数を、前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力される画像データの情報量を削減させずに前記分類用の畳み込みニューラルネットワークに与えて算出する 請求項3に記載の学習方法。 【本件発明5】 前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークの損失関数を、前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力される画像データの内の所定の割合の画像データの情報量を削減させて前記分類用の畳み込みニューラルネットワークに与えて算出し、 前記分類用の畳み込みニューラルネットワークの損失関数を、前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、及び他の画像データの両方、又はいずれか一方の内の所定の割合の画像データの情報量を削減させずに前記分類用の畳み込みニューラルネットワークに与えて算出する 請求項3に記載の学習方法。 【本件発明6】 画像データを出力する畳み込みニューラルネットワークの損失関数を、前記ニューラルネットワークから出力される画像データ、又は前記畳み込みニューラルネットワークへ る画像データの内の所定の割合の画像データの情報量を削減させて算出する 請求項1に記載の学習方法。 【本件発明7】 情報量を削減させた画像データは、視覚上判別しにくい成分から優先的に欠損させて作成する 請求項1から6のいずれか1項に記載の学習方法。 【本件発明8】 コンピュータに、 画像データが入力された場合に、前記画像データに基づく画像の分類を出力するように定義された畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワークの定義データを記憶し、 画像データファイルをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減し、 前記定義データに基づく畳み込みニューラルネットワークに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを与え、 前記畳み込みニューラルネットワークを分類器として学習する 処理を実行させるコンピュータプログラム。 【本件発明9】 コンピュータに、 任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワークの定義データと、 前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データが入力された場合に、前記画像データに基づく画像の分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワークの定義データとを記憶し、 前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力される画像データ、又は前記他の画像データの内の所定の割合の画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減し、 前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク、及び、前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークをGANによって学習する 処理を実行させるコンピュータプログラム。 【本件発明10】 画像データを入力する入力層と、 前記画像データに基づく画像の分類を出力する出力層と、 畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワークを含む中間層と を備え、 画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させるフィルタを介して画像データを入力可能であり、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むととに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用の画像データと、該画像データの分類ラベルとを含む教師データによって、コンピュータにより入力された画像データの分類を出力させるように、学習されてある分類器。 【本件発明11】 任意のデータを入力する入力層と、 前記データに基づいて生成される画像の画像データを出力する出力層と、 畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワークを含む中間層と を備え、 前記出力層から出力された画像データを、前記出力層から出力された画像データであるか否かを分類する分類用の畳み込みニューラルネットワークを含むGANにより、前記出力層から出力された画像データ、又は、前記分類用の畳み込みニューラルネットワークへ与える画像データの内の所定の割合の画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減した学習用データを用いて学習されており、 コンピュータにより入力された任意のデータに基づく画像データを出力させるように学習されてある生成器。 第4 取消理由通知に記載した取消理由について (1)取消理由の概要 訂正前の請求項1~11に係る特許に対して、当審が令和2年6月18日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 ・理由1(新規性) 本件特許の請求項(1、2、8、10)に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物(引用例1、引用例2、引用例4)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 ・理由2(進歩性) 本件出願の請求項(1、2、6、7、8、10)に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物(引用例1ないし引用例12)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・理由3(サポート要件) 本件特許の請求項(1、2、6~11)に係る発明は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、当該請求項に係る特許は、当該規定に違反してされたものである。 ・理由4(明確性) 本件特許の請求項(3~5、9、11)に係る発明は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、当該請求項に係る特許は、当該規定に違反してされたものである。 (2)各引用例の記載 (A)引用例1 渡辺他、深層学習を用いたクラウド型画像分類システムの開発、平成30年7月27日発行、岐阜県情報技術研究所研究報告第19号、6-9頁 http://www.gitec.rd.pref.gifu.jp/files/reports/2017/information_2017_03.pdf 上記引用例1には、以下の記載がある。 「1.はじめに 近年,人工知能(AI,Artificial Intelligence)分野の一つの技術である深層学習(Deep Learning)が注目を集めている.深層学習は,ニューラルネットワークの一種で,既に,画像認識の分野では,畳み込みニューラルネットワーク(CNN,Convolutional Neural Network)を用いることがデファクトスタンダードとなり,その高い認識精度から外観検査や自動運転等,産業界での活用が期待されている.」(6頁左欄1行-8行) 「2.畳み込みニューラルネットワーク 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は,図1に示すとおり,入力層,畳み込み層,プーリング層,全結合層,及び出力層から構成されるのが一般的であり,畳み込み層とプーリング層を交互に接続した構造を持つことに特徴がある.」(6頁右欄下から13行-同8行) 「CNNの認識精度は,年々向上しているが,層が深くなる傾向にある.そのため,本研究で事前に用意したCNNについては,層の深さの比較ができるよう,単純な4層CNNと,AlexNetを参考にした8層CNN,及びVGGNetを参考にした12層CNNの3種類を構築した.図2に各CNNの構成図を示す.各CNNにおいては,入力層で32×32にリサイズ処理したグレースケール画像を生成した後,畳み込み層とプーリング層を数回繰返しながら特徴量を抽出することにより,全結合層で特徴量に基づき分類し,出力層で各クラスに分類される確率に変換した結果を生成する.なお,本研究においては,畳み込み層と全結合層の数をCNNの層数として数え,出力層も全結合層に含めている.」(7頁左欄12行-23行) 「3.画像分類実験 前章で構築した各CNNの画像分類性能を評価するため,実験用に撮影した画像データを用いて,種類(クラス)別に分類する実験を行った.また,CNNとの比較のため,他手法による画像分類実験も行った. 3.1 実験概要 実験に用いる画像データは,陶器の裏面にある焼印を対象として,画像ファイルを連続して記録することができるAndroidアプリケーション(岐阜県セラミックス研究所が開発)により取得した.なお,分類対象とする焼印は5種類とした. 画像データの取得にあたっては,撮影対象を等速回転させ,JPEG形式によりファイルに記録した.撮影では,各種類200枚の画像データを1セットとして,照明や,カメラと対象との距離,及び角度を変更し,8000枚(各種類1600枚)の画像データを取得した.また,別途取得した画像データ500枚(各種類100枚)について,画像位置を水平方向に移動させたり,サイズを変更したりして,画像データを加工し,2000枚(各種類400枚)の画像データを用意した. 実験では,これらの10000枚の画像データについて,交互にサンプリングし,一方を学習用,他方を評価用として利用した.さらに,別途評価用として,撮影条件の異なる2000枚(各種類400枚)の画像データを取得し,実験を行った.実験では,先に取得した評価用の画像データをTest-A,別途取得した評価データをTest-Bとして,画像分類精度の差を評価した.実験に用いた画像データにおける各画像のラベル(クラス名)と学習データの例を図3に示す. 画像分類性能の評価にあたっては,前章で述べたCNNの構成に基づき,5クラスに分類する出力層を持つCNNを構築した.また,CNNの分類精度との比較のために,昨年度開発したシステムで利用したBag-of-Features(BoF)により特徴量を抽出し,Support Vector Machine(SVM)により分類処理を行う方法(BoF+SVM)についても分類精度を求めることにした. 各CNNでは,入力画像のサイズを32×32としていることから,BoF+SVMにおいても入力画像のサイズをCNNと同一とした.しかし,このサイズで特徴量抽出を実行すると,昨年度の実験で使用した局所特徴量の中には,十分な数のキーポイント(特徴量が記述された画像上の特徴点)が得られない局所特徴量もあったため,最も多くのキーポイントが得られたSIFTを特徴量抽出に使用した.また,VisualWord(クラスタリングされた特徴量の代表)数は1000として,コードブック(Visual Wordから構成される辞書)を生成した.」(7頁左欄下から2行-8頁左欄9行) 「CNNにより画像を分類するためには,予め学習モデルを生成しておく必要がある.CNN学習モデル作成機能では,データセット,CNNの種類を選択した後,学習を繰り返す回数(エポック数)を入力し,学習ボタンをクリックすることで学習モデルを生成する仕様とした.学習モデルの生成に要する時間は,入力する画像サイズ,CNNの種別,エポック数等により異なるが,3章の実験における4層CNNの学習モデル作成時間は1分弱であった.」(9頁左欄下から12行-同5行) 以上の記載によれば、引用例1には、以下の引用発明(以下、引用発明1という。)が記載されている。 「5クラスに分類する出力層を持つCNNを構築し、 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は,入力層,畳み込み層,プーリング層,全結合層,及び出力層から構成され、 各CNNでは,入力画像のサイズを32×32とし、 実験用に撮影した画像データを用いて,種類(クラス)別に分類する 畳み込みニューラルネットワーク(CNN,ConvolutionalNeural Network)を用いた画像認識(分類)方法において、 JPEG形式によりファイルに記録することにより取得した画像データを複数(10000枚)用意し、 これらの画像データについて,交互にサンプリングし,一方を学習用,他方を評価用として利用することで畳み込みニューラルネットワークを学習する方法。」 (B)引用例2 渡邊他、画像データ源の違いによる道路景観推定精度の比較、平成30年3月5日、第10回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム論文集、H5-5 https://db-event.jpn.org/deim2018/data/papers/91.pdf 上記引用例2には、以下の記載がある。 「本研究では,土地被覆図の他に,航空写真およびストリートビュー画像を学習データとして用い,景観推定精度の比較を行う.なお,学習手法としては畳み込みニューラルネットワークを用いた.」(1頁7-8行) 「本研究では,土地被覆図に加え,航空写真およびストリートビュー画像を入力画像としたとき,画像データ源の違いによる景観推定精度の比較を行う.また,機械学習手法として,画像識別において精度向上が期待できる畳み込みニューラルネットワークを採用する.比較を行った結果,土地被覆図を入力画像としたときの推定精度が最も高いことを示した.」(1頁右欄11-16行) 「定義1:道路ネットワーク.道路ネットワークは有向グラフG = (V,E) で表現される.ここで,Vは道路ノード集合であり,E⊆V×V は道路リンク集合である.」(2頁右欄2行-4行) 「定義2:道路ノード.道路ノードvi∈V は交差点や道路の終端を表す.vi はその地理座標系の位置座標として経度vi.x および緯度vi.y をもつ.」(2頁右欄5行-7行) 「定義3:道路リンク. 道路リンクek = (vi,vj) ∈E は,始点ノードviから終点ノードvjへ向かう有向リンクである.本稿では簡略化のため,ekの始点ノードをek.s,終点ノードをek.dとして表す.」(2頁右欄8行-11行) 「定義4:景観ラベル.景観ラベルとしてS={rural,mountain,water,urban}の4種類のラベルを定義する.各要素は,順に田園系,山林系,水辺系,都市系に対応する.なお,これら4種類のラベルは先行研究の予備実験により定義されたものである. 本研究で取り組む課題は,与えられた道路リンクekについて,その道路リンクから見える景観ラベルsi∈Sを推定することである.」(2頁右欄下から18行-同11行) 「4. 入力画像データの取得および拡張 与えられた道路リンクekにおける土地被覆図,航空写真,ストリートビュー画像を取得する.ここでは,各画像データの取得方法とデータ拡張を説明する. 4. 1 土地被覆図の取得 先行研究 にしたがって,道路リンクek 周辺の土地被覆図を取得する.まず,地理座標系における位置座標(x,y) から土地被覆図上の座標(x′,y′) へのマッピングする.得られた(x′,y′) 周辺の土地被覆図画像を道路リンクek の画像データとする.具体的な手順は以下のとおりである:」(2頁右欄下から10行-最下行) 「(1) (x,y) を含む土地被覆図の画像ファイルを選択する.土地被覆図の画像データセットには,経度1°,緯度1°ごとに画像ファイル(TIF形式)が分割されて保存されている.対象の経度・緯度ごとに\LCN**E***.tif" というファイル名で保存されている.例えば,経度134°,緯度34°に対応する画像ファイルは\LCN34E134.tif" となる.」(3頁左欄1行-6行) 「(2) 選択した画像ファイルにおける位置座標(x,y) に対応する座標(x′,y′)を求める.」(3頁左欄11行-12行) 「(3) 座標(x′, y′)を中心としたd×dの矩形領域Dを設定する.」(3頁左欄17行-18行) 「(4) 領域D内に含まれる画像を道路リンクekの画像データとする.」(3頁左欄19行-20行) 「4. 2 航空写真の取得 先行研究にしたがって,道路リンクek 周辺の航空写真を取得する.ここでは,Google Static Maps APIを用いて,道路リンクの位置座標(ek.x,ek.y) を中心とした航空写真を取得する.・・・ 得られたJPEG 画像を道路リンクekの画像データとする.」(3頁左欄21行-29行) 「4. 3 ストリートビュー画像の取得 Google Street View Image APIを用いて道路リンクekのストリートビュー画像を取得する.ここでは,道路リンクの位置座標(ek.x,ek.y) および進行方向 をAPIに指定することで,その位置座標から進行方向のストリートビュー画像を取得する.・・・ また,同様に逆方向θ′のストリートビュー画像も取得する.得られた2 枚のJPEG画像を道路リンクekの画像データとする.」(3頁右欄1行-10行) 「5. 畳み込みニューラルネットワークによる景観ラベル推定 本研究では,画像認識の推定に優れている畳み込みニューラルネットワーク(以降,CNN)を用いて景観ラベルの推定を行う.本研究で用いるCNNの構造を図3に示す.図3に示すとおり,畳み込み層6層,全結合層3層の9層で構成されている.・・・ このCNNに画像データおよび教師ラベルを入力し学習モデルを構築する.得られた学習モデルに対し,推定対象の画像データを入力することで景観ラベルを推定する.」(3頁右欄下から8行-4頁左欄下から13行) 「6. 景観ラベル推定精度の比較 入力画像データとして土地被覆図,航空写真,ストリートビュー画像を与えたとき,CNNによる景観推定精度を比較する. 6.1 データセット 実験用データセットとして淡路島の道路ネットワークデータを用いる.OpenStreetMapの道路ネットワークデータから淡路島の領域内のみのデータを抽出した.抽出した道路ノード数は102,506件,道路リンク数は106,025件である. この道路リンクから無作為に2,000件の道路リンクを抽出し,教師ラベルとして景観ラベルを付与した.景観ラベルはクラウドソーシングにより付与した.ワーカに道路リンクに対応するストリートビュー画像を提示し,相応しいと思われる景観ラベルとして「田園系」,「山林系」,「水辺系」,「都市系」,「その他」の中から選択してもらった―ワーカには各景観ラベルにどのような景観が含まれるかについて例示している―.なお,ワーカには複数選択を許可している.1 件の道路リンクに対し,3名のワーカにラベル付けを行ってもらった.このとき,2名以上のワーカによる回答が一致した景観ラベルをその道路リンクの教師ラベルとして採用した. 景観ラベルが付与された道路リンク数を表1の(a)行に示す.これらの道路リンクに対応する土地被覆図,航空写真,ストリートビュー画像の各画像データを取得した.ただし,ストリートビュー画像に関してはすべての道路リンクに対して取得できるというわけではない.そこで,画像データ源間におけるデータ数を公平にするため,ストリートビュー画像が得られた道路リンクのみを実験対象とする.表1の(b)行にストリートビュー画像の取得に成功した道路リンク数を景観ラベル別に示す. また,景観ラベル間で画像データ数を均等にするため,4.4節で述べたデータ拡張によるオーバーサンプリングを行った.データ拡張後の景観ラベル別の画像データ数は表1の(c)行に示すとおりである. (c)行に示した画像データをさらに無作為に2分割し,学習データとテストデータに分ける.表1の(d) および(e)行に,それぞれ景観ラベルごとの学習データ数およびテストデータ数を示す.本実験では,これら(d)および(e)行に示した学習データおよびテストデータを用いて評価を行う.」(4頁左欄下から12行-右欄下から5行 「6. 3 画像データ源ごとの混同行列に基づく分析 表2 に画像データ源ごとの混合行列を示す.(a)土地被覆図,(b)航空写真,(c)ストリートビュー画像をそれぞれデータ源としたときの混同行列である.例えば,(a) において,正解ラベルがrural の画像に対し,rural と予測された数は396 件,mountain と予測された数は123 件であることを示す.」(5頁左欄20行-25行) 以上の記載によれば、引用例2には、以下の引用発明(以下、引用発明2という。)が記載されている。 「土地被覆図の他に、航空写真およびストリートビュー画像を学習データとして用い、景観推定を行う方法における畳み込みニューラルネットワーク(以降、CNN)の学習方法であって、 景観推定は、道路リンクから見える景観ラベルsi∈Sを推定するものであり、 学習手法としては畳み込みニューラルネットワークを採用し、 景観ラベルとしてS={rural,mountain,water,urban}の4種類のラベル(田園系、山林系、水辺系、都市系に対応する)を定義し、 与えられた道路リンクekにおける、土地被覆図、航空写真、ストリートビュー画像を取得する各画像データの取得方法は 土地被覆図の画像データセットには、経度1°、緯度1°ごとに画像ファイル(TIF形式)が分割されて保存されており、 地理座標系における位置座標(x, y) から土地被覆図上の座標(x′,y′) へのマッピングを行い、得られた(x′,y′) 周辺の土地被覆図画像を道路リンクekの画像データとし、 道路リンクek 周辺の航空写真の取得は、Google Static Maps APIを用いて、道路リンクの位置座標(ek.x, ek.y) を中心とした航空写真を取得し、得られたJPEG 画像を道路リンクekの画像データとし、 Google Street View Image APIを用いて道路リンクekのストリートビュー画像を取得することは、 道路リンクの位置座標(ek.x, ek.y) および進行方向をAPIに指定することで、その位置座標から進行方向のストリートビュー画像を取得することと、 同様に逆方向θ′のストリートビュー画像も取得し、得られた2枚のJPEG画像を道路リンクekの画像データとすることであり、 画像認識の推定に優れているCNNを用いて景観ラベルの推定を行うものであって、 CNNの構造は、畳み込み層6層、全結合層3層の9層で構成され、 このCNNに画像データおよび教師ラベルを入力し学習モデルを構築し、得られた学習モデルに対し、推定対象の画像データを入力することで景観ラベルを推定することであり、 データ拡張後の景観ラベル別の画像データをさらに無作為に2分割し、学習データとテストデータに分け、学習データおよびテストデータを用いて景観ラベルを推定する 景観ラベル推定方法におけるCNNの学習方法。」 (C)引用例3 河村他、画像処理とニューラルネットワークを利用した耐候性鋼材のさび外観評価、平成20年12月、第24回ファジィ システム シンポジウム公演論文集、472-477頁 https://www.jstage.jst.go.jp/article/fss/24/0/24_0_104/_pdf/-char/ja 上記引用例3には、以下の記載がある。(以下において、<丸1> 等の表記は、丸つき数字を表す。) 「そこで本研究では,学習可能なニューラルネットワーク(Neural Network:以下NN)を用いて,耐候性鋼材のさび外観をデジタルカメラで撮影した「さび画像」を,各評点に分類する識別器(以下,さび画像分類NN)を開発した.また,さび画像分類NNの入力として,フーリエ変換,ウェーブレット変換,および同時生起行列による画像特徴量を用いた場合の識別精度への影響を検討した.」(472頁左欄7行-14行) 「2. さび画像分類NN 2.1 NN さび画像分類NNは,図1 に示されるように,入力層,3 層の中間層,出力層の計5 層から構成される.さび画像分類NN へ入力する画像特徴量は,次の3 つおよびそれらの組合せとした. <丸1> FFT:フーリエ変換により得られるスペクトルの形状に着目した特徴量[次元数 5] <丸2> WT:ウェーブレット変換により得られる画像の周波数エネルギーの分布特性を表す特徴量[次元数 2×m:最大解像度m] <丸3> GLCM:同時生起行列により得られる画像の局所的特徴を表す特徴量[次元数 12]」(472頁左欄15行-27行) 「4.2 実験<丸2> :教師データ数の適合率への影響 本実験はNN へ入力する教師データ数に着目し,特徴量FFT,GLCM および特徴量WT それぞれを入力データとした場合の教師データ数が適合率へ及ぼす影響を調べた.本実験は,実験に用いる教師データの枚数を,10 枚,20 枚,…,50 枚の計5 通りを行った.なお,汎化性の検証には,各評点の画像30枚を検証用データとして用いた.また,学習回数は3000 回で行った. 実験<丸2> の結果を図4 および図5 に示す.図4 より,特徴量WT とGLCM は,特徴量FFT よりも汎化性が高く,教師データの枚数が増加すれば,汎化性が増加していく傾向が見られた.一方で,特徴量FFTは,教師データ数の増加による汎化性の上昇が,特徴量WT よりも鈍く,教師データ枚数50 枚になると汎化性が減少した.また,図5 では,特徴量FFT,GLCM において,学習データの枚数が増加すると,再現性の減少が見られた.これら2 つの点から特徴量WT は,特徴量FFT およびGLCM と比較して,さびを分類するための特徴が効果的に抽出されていると考えられる.」(475頁左欄5行-最下行) 以上の記載によれば、引用例3には以下の事項が記載されている。 「学習可能なニューラルネットワーク(Neural Network:以下NN)を用いて,耐候性鋼材のさび外観をデジタルカメラで撮影した「さび画像」を,各評点に分類する識別器(以下,さび画像分類NN)に対して、教師データとして、WT:ウェーブレット変換により得られる画像の周波数エネルギーの分布特性を表す特徴量を入力データとして、学習を行うこと。」 (D)引用例4 辻他、多重構造とした畳み込みニューラルネットワークによる劣化したナンバープレート画像の平仮名認識、平成30年5月、信号処理(Journal ofSignal Processing)、Vol.22,No3,121-134頁 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsp/22/3/22_121/_pdf/-char/en 上記引用例4には、以下の記載がある。 「一般的に、畳み込みニューラルネットワーク(以下、CNN)は学習データに応じて柔軟に特徴量を決定する仕組みをもち、多様な劣化に対応できる。・・・そこで、本研究では、多重解像度画像を処理するため、CNNを多重構造とする手法を提案する。」(122頁右欄18行-28行) 「3.1 全体構成 全体構成を示す模式図を図5に示す。図5における記号の説明を下記に示す。 ・L1からL7:図3のL1からL7 ・CL:正解ラベル 図5の実線部分と点線部分は、それぞれ学習時とテスト時における、使用部分と不使用部分を表す。ただし、図5の破線部分についてはどの階層の特徴特徴量を抽出するかにより、複数通りの構成が考えられる。本研究では、tを2以上、7以下の整数とし、1番目の階層からt番目の階層までを使用する構成とした。候補数はtにより調節することができ、tを大きくすればするほど候補数が増える。図5で各認識結果の重複を除去と記載したブロックの処理は、各階層で得られる平仮名の全種類(1種類以上、7種類以下)を求めるために行う。」(125頁左欄6行-21行) 図5には、「(a)学習時」において、「学習画像」を入力とする「多重解像度画像を生成」により出力される「L1」、「L2」・・・「L7」(画像の階層を示すものであり、L1は学習画像、L2~L7は学習画像を縮小した画像である)、及び「CL」(正解ラベル)が「CNN」に入力され、「テスト画像」、「各認識結果の様子」及び「認識結果」が「不使用部分である」こと、及び、「(b)テスト時」において、「テスト画像」を入力とする「多重解像度画像を生成」により出力される「L1」、「L2」・・・「L7」が「CNN」に入力され、「CNN」の出力が「各認識結果の重複を除去」に入力されて、「認識結果」を出力し、「学習画像」が「不使用部分」であること、が図示されている。 「3.2 各CNNの構成 使用した各CNN(図5でCNNと記載したブロック)のネットワークの構造を図6、各CNNの緒元を表3に示す。」(125頁左欄下から7行-同4行) 図6には、「各CNNのネットワーク構造」として「入力画像」が「畳み込み層1」に入力され、「活性化関数1」「最大値プーリング1」「畳み込み層2」「活性化関数2」「最大値プーリング2」「ドロップアウト1」「平坦化層」「全結合層1」「活性化関数3」「ドロップアウト2」「全結合層2」「活性化関数4」を経て、「認識結果」が出力されることが図示されている。 「各CNNにおける認識手順を以下に示す。 (i)防犯カメラ画像の劣化強度を大まかに分類する。実務的には分類数を3程度とするのが適当である。そして理想的な環境で撮影したナンバープレートが画像に対し、劣化モデルを用いて、分類ごとに学習画像を用意する。」(125頁右欄下から4行-126頁左欄2行) 「(ii)テスト画像の劣化強度を大まかに推定する。実務的には劣化種別を区別せず、全体的な劣化強度を、周波数スペクトラムに基づいて推定する方法が有効である。劣化種別ごとに、より詳細に推定する場合には、ぼけ、ノイズ、画像圧縮について、それぞれ、文献[10]、文献[11]、文献[12]の手法を用いる。」(126頁左欄5行-右欄3行) 「(iii)(i)で用意した学習画像のうち、(ii)で推定した劣化強度に最も近い学習画像を選び、CNNを学習する。」(126頁右欄6行-8行) 「(iv)学習したCNNでテスト画像を認識する。」(126頁右欄9行) 「4.2.2 画像劣化モデル 本研究では、文献[9]で定式化されている劣化のうち、防犯カメラ画像において主要項となる、ぼけ、解像度低下、ノイズを考慮した。さらに、文献[9]において定式化されていないが、圧縮による劣化と、認識対象となる平仮名画像をナンバープレート画像から切り出す際に生じる切り出し誤差も、防犯カメラ画像の文字認識では無視することができない。よって本実験では、圧縮による劣化と切り出し誤差も考慮した。本実験における劣化付与手順を以下にまとめる。 (i)・・・略・・・ (ii)(i)の劣化を付与した画像gをJPEG方式で圧縮し、画像g’を生成する。 (iii)・・・略・・・ 実験用画像には学習画像とテスト画像があるが、それぞれの画像に本実験の評価目的に適合する諸元を与えた。」(128頁左欄1行-右欄3行) 「4.2.3 実験用画像の諸元 学習画像は、表1の各範囲で各劣化強度を網羅的に組み合わせて生成した。 ・・・ 以下、表1の各劣化について具体的に説明する。 解像度は、近年増加傾向にあるフルHD画質の防犯カメラ画像において、頻度が高い値に固定した。この値は、画角が約60度のカメラで、カメラから5メートル離れた位置にあるナンバープレートをフルHD画質で撮影したときの値である。 他の劣化については、環境光やカメラの違いによる変動が大きいため、変化させた。 JPEG圧縮については、提案手法の汎化能力を検証するため、平仮名領域におけるJPEGブロックの位置が、学習画像の場合とテスト画像の場合とで異なるように設定した。 対象とした平仮名は、ナンバープレートに使用されている42種類の平仮名である。学習画像とテスト画像の総数は、それぞれ10,752枚、189,000枚とした。」(128頁右欄4行-下から3行) 図5 図6 以上の記載によれば、引用例4には、以下の引用発明(以下、引用発明4という。)が記載されている。 「学習画像と正解ラベル(CL)をCNNに入力することでCNNを学習するCNNの学習方法であって、 CNNは入力画像に対して畳み込み処理を行う畳み込み層を含むニューラルネットワークであり、 CNNに対してテスト画像を与えると、結果として認識結果が出力され、 入力画像は、理想的な環境で撮影したナンバープレートが画像に対し、劣化モデルを用いて、分類ごとに用意した学習画像であり、 劣化モデルは、文献[9]で定式化されている劣化である、ぼけ、解像度低下、ノイズを考慮し、さらに、文献[9]で定式化されていない、圧縮による劣化と切り出し誤差も考慮したものであり、その際、劣化を付与した画像gをJPEG方式で圧縮して画像g’を生成する手順を含む、 CNNの学習方法。」 (E)引用例5 加藤他、4 出力の畳み込みニューラルネットワークを用いた超解像、平成28年8月、第15 回情報科学技術フォーラム講演論文集、第3分冊,23-28頁 http://www.ipsj.or.jp/10jigyo/fit/fit2016/RI-005.pdf 上記引用例5には、以下の記載がある。 「1. はじめに 近年,ディジタルカメラ,携帯型情報端末,4Kテレビなど,あらゆる映像機器の高解像度化が進んでいるが,高解像度の表示機器に低解像度の画像を入力する際には,何らかの解像度変換技術が必要となる.従来の線形フィルタによる補間法では,拡大後の画像にボケやジャギーといった画像の劣化が生じる問題がある.一方,元の画像に含まれない高周波成分を推定・復元する技術は,「超解像」と呼ばれ研究が盛んに行われている.」(23頁左欄1行-9行) 「一方,Chao ら [9],[10] はニューラルネットワークを用いた超解像 (SRCNN) を提案し,驚異的に画質を向上させた.この手法では,Bicubic 法によって仮拡大した低周波成分画像から畳み込みニューラルネットワーク (CNN)を用いて,対応する高周波成分画像を生成する.事前学習においては,低周波成分画像を入力,高周波成分画像を教師信号とすることにより,end-to-end でCNNを訓練する.」(23頁左欄17行-23行) 「3. 提案手法 画像の2×2 倍拡大を行うためには,1 つの入力画素あたり4 つの画素を出力する構造が必要である.本章では,Bicubic 法を使用せずにCNN のみで超解像を実現するため,3 種類のアーキテクチャを提案する.」(24頁右欄1行-5行) 「4. 実験 本章ではCNN のトレーニングを行った後,超解像処理後の画質について評価を行い,最後に最新の超解像技術を含む7 手法について処理時間を含めた性能評価を行う. 4.1. 実験条件 比較手法は以下の5 つである. i) Bicubic 法 ii) 従来手法:Bicubic 法 + CNN (SRCNN) iii) Type A:4並列のCNN (4P) iv) Type B:4つの出力チャンネルを持つCNN (4CH) v) Type C:回転平均を用いた4CH (4CH-R)」(25頁右欄下から7行-26頁左欄4行) 「4.2. CNNのトレーニング まず91 枚の画像[10]を教師信号としてCNNのトレーニングを行う.入力用の低解像度画像はこれら91枚をBicubic 法により1/2倍に縮小したものとする.」(26頁右欄1行-4行) 以上の記載によれば、引用例5には、以下の引用発明(以下、引用発明5という。)が記載されている。 「ディジタルカメラ,携帯型情報端末,4Kテレビなどの画像において、元の画像に含まれない高周波成分を推定・復元する超解像をニューラルネットワークを用いて行う方法に用いるニューラルネットワークの訓練方法であって、 ニューラルネットワークを用いて超解像を行う方法は、Bicubic法によって仮拡大した低周波成分画像から畳み込みニューラルネットワーク (CNN)を用いて、対応する高周波成分画像を生成する方法であり、 事前学習においては、低周波成分画像を入力、高周波成分画像を教師信号とすることにより、end-to-end でCNNを訓練し、 CNN のトレーニングにおいて、91枚の画像を教師信号として用意し、これら91枚をBicubic 法により1/2倍に縮小したものを入力用の低解像度画像とする、 畳み込みニューラルネットワーク (CNN)を用いた高周波成分画像生成方法におけるニューラルネットワークの訓練方法。」 (F)引用例6(特開2018-121298号公報) 上記引用例6には、以下の記載がある。 「【0002】 近年、表示機器のダイナミックレンジが拡大され、ハイダイナミックレンジ(HDR)対応の表示機器が増加している。このHDR対応の表示機器における放送方式の規格として、SMPTE ST2084が提案されている。SMPTE ST2084では、入力信号に対する出力輝度値を規定した電気-光学変換特性は、各表示輝度において人間の視覚特性で輝度変化を識別可能な輝度差を表したBartenCurve(非特許文献1参照)に基づいて設計されている。」 「【0030】 まず、輝度識別視覚特性の例を図8に示す。図8に示す輝度識別視覚特性は、各輝度おける、人間が識別可能な輝度の変化量の割合の最小値を示したものである。人間の視覚特性では、輝度によって認識可能な最小の輝度の変化量が異なるため、輝度に対して非線形に変化する。図8の特性は、横軸に示す任意の表示輝度の被写体の輝度変化に対する、縦軸に示す輝度変化の割合がグラフよりも大きい場合に、人間の視覚特性として、輝度変化をより認識しやすい(認識可能)という関係を表している。この輝度識別視覚特性とカメラ・モニタ階調特性を比較するために、カメラ・モニタ階調特性のセンサ出力信号の変化量に対する表示輝度の変化量(傾き)の割合(変化割合)を算出し、輝度識別視覚特性と同じ軸にプロットした図を図9に示す。図9中の点線が輝度識別視覚特性を表し、記号×の集合でプロットされたものがカメラ・モニタ階調特性である。カメラ・モニタ階調特性は、カメラガンマ特性とモニタ階調特性による階調変換で発生するビット圧縮や値の飛びによって、離散的な値となる。」 以上の記載によれば、引用例6には、カメラで生成される画像について「人間の視覚特性では、輝度によって認識可能な最小の輝度の変化量が異なる」こと、すなわち、画像データから「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させる」ことで、人間の視覚に影響を与えずに画像データの情報量を削減できることが開示されている。 (G)引用例7 上口他、ウェーブレット変換による情報圧縮、平成8年5月、MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY Vol.14 No,3、243-251頁 https://www.jstage.jst.go.jp/article/mit/14/3/14_243/_pdf 上記引用例7には、以下の記載がある。 「本論文においては,ウェーブレット変換の情報圧縮への適用について述べる。信号や画像の圧縮原理は,そのパワーが低域へ集中することを利用したビットの割り当て,すなわち最適量子化であり,周波数分解の手法として離散コサイン変換法やサブバンド符号化法などが実用化されている。本稿で取り上げるウェーブレット変換法もその一つで,信号を多重解像度に分解し,最適量子化を行う.ウェーブレット変換による多重解像度解析はフィルタバンクとして構成することが可能であり,サブバンド符号化と同様なフィルタ操作で実現できる.また,空間的に局在する基底関数の優れた性質により,他法で指摘されていた欠点を抑制する効果がある.本論文ではウェーブレット変換法について,他法と比較しながら,その特長について述べる.」(243頁要旨の欄) 「本論文ではウェーブレット理論の特徴を情報圧縮の観点から捉える.情報圧縮の対象として信号(あるいは画像)を考えたとき,それらを周波数に分解し,パワーの偏りを利用してビット数を有効に割り当てる方法が用いられ,離散コサイン変換や帯域通過フィルタがこれまで利用されてきた〔1,2〕.ウェーブレットも多重解像度解析の概念を用いて,周波数分解を行う〔3,4〕。そこで,信号圧縮に対する従来の方法について簡単に触れた後,ウェーブレットの理論とその適用について述べる。」(244頁左欄13行-23行) 「1.周波数分解を用いた信号圧縮の一般的方法 一般に信号や画像は1次マルコフ過程〔5)に従い,強い自己相関をもつ。よって周波数領域では低周波成分に大きなパワーが集中することがウィナー・ヒンチン(Wiener―Khintchine)の定理〔5〕から導かれる。これにより低周波に長いビット長を与え,高周波に短いビット長を与えて表現すれば,情報を圧縮することができる(最適量子化).圧縮された情報は,その圧縮方法に固有な再構成アルゴリズムにて復元される。 この考え方に基づくもっとも基本的な方法である離散コサイン変換法は信号長をある長さのブロックに分割し,それを離散コサイン変換して得られた係数に最適量子化を施すものである〔1,2〕.離散コサイン変換は離散フーリエ変換の変形で,実数対実数の正規直交変換である。 しかし, この方法にはいくつかの問題点が指摘されている。・・・最後に,基底関数が長いと,周波数分解能が高くなるため,信号を見たときにノイズを目立たせる原因となる.これらの性質から,実際に離散コサイン変換法を適用するには,信号の劣化を防ぐための何らかの処理を必要とする。」(244頁左欄24行-右欄17行) 「サブバンド符号化法は,帯域通過型フィルタを用いたフィルタバンクにて信号をいくつかの周波数帯域に分解し帯域ごとに最適なビット数を割り当てることで,最適量子化を行うものである〔1,6,7).・・・また,オクターブ分割では,高域になるに従ってフィルタ長が短くなるので,量子化ノイズが伝播する範囲を空間的に局在させ,視覚的に目立たせなくすることができる.」(244頁右欄18行-245頁左欄7行) 「ウェーブレット変換を用いた信号圧縮は,サブバンド符号化の特長を積極的に利用したもので,多重解像度解析をベースとするフィルタバンクとして構成される.次章にて,ウェーブレット変換による多車解像度解析〔3,4)について述べ,フィルタバシクとして構成できることを示す。なお,ウェーブレット変換は直交型,非直交型に分けられるが,効率のよい分解を行うために,以下の記述では直交型を用いる。」(245頁左欄8行-16行) 「離散コサイン変換では高周波で生じる量子化ノイズが基底関数によってそのブロック内へ展開され,また,周波数分解能が高いため,それを際立たせる.サブバンド符号化においても,等分割では基底関数の長さが高域と低域で等しく,同様の劣化が起きる。しかしウユーブレット変換やオクターブ分割を用いたサブバンド符号化では,高周波では低周波に比べて基底関数の長さが短いため,量子化誤差の影響をかなり局在させることができる。このことは,実際に信号や画像を扱う上で非常に重要である。本論文におけるこれまでの議論は,対象となる信号が1次のマルコフ過程に従うとの仮定をしてきた.しかし,信号の微分値が急激に変化する部分(画像では輪郭に相当する)ではこの仮定は成立しない。ウェーブレットやオクターブ分割サブバンド符号化では,そのような部分で生じる量子化ノイズをなるべく局在させることができる。視覚特性を考慮しても,変動の大きな部分におけるノイズは目立たないので効果的である。ブロック歪みに関しても,サブバンド符号化やウェーブレットはある程度の重複を持たせてデータを扱うため,固定長でオーバラップをさせずにデータを取り出す離散コサイン変換法に比べてかなり低減できる. 上記の議論は1次元信号を対象として扱ってきたが,容易に2次元信号,すなわち画像へ適用できる。まず, 1方向に対してフイルタ操作を行い,さらに直交方向に対して同様にフィルタ操作を行う。これにより4分割フィルタバンクが構成できる。Fig.10は画像に対するフィルタバンクの例と,その多重解像度表現である。」(249頁右欄下から8行-250頁左欄下から6行) 以上の記載によれば、引用例7には「i)強い自己相関をもつ画像は、低周波に長いビット長を与え、高周波に短いビット長を与えて表現すれば,情報を圧縮することができる(最適量子化)が、基底関数が長いと、周波数分解能が高くなるため、信号を見たときにノイズを目立たせる原因となり、これらの性質から、実際に離散コサイン変換法を適用するには、信号の劣化を防ぐための何らかの処理を必要とすること、ii)また、サブバンド符号化法は、オクターブ分割により、高域になるに従ってフィルタ長が短くなるので、量子化ノイズが伝播する範囲を空間的に局在させ、視覚的に目立たせなくすることができること、iii)ウユーブレット変換やオクターブ分割を用いたサブバンド符号化では、高周波では低周波に比べて基底関数の長さが短いため、量子化誤差の影響をかなり局在させることができ、ウェーブレットやオクターブ分割サブバンド符号化では、そのような部分<信号の微分値が急激に変化する部分(画像では輪郭に相当する)>で生じる量子化ノイズをなるべく局在させることができ、視覚特性を考慮しても、変動の大きな部分におけるノイズは目立たないので効果的であること」が記載されており、これらをまとめると、画像を圧縮するときは、圧縮するときに生じる視覚的なノイズ(量子化ノイズ)を考慮していることが理解できる。 (H)引用例8 小箱、電子化文書の画像圧縮ガイドライン、平成23年5月、月刊 IM、Vol.50 No.5、21-24頁 https://www.jiima.or.jp/pdf/5_JIIMA_guideline.pdf 上記引用例8には、以下の記載がある。 「電子化における画像圧縮は、ファイルサイズを削減する目的で非可逆圧縮が多く使われています。可逆圧縮では画質劣化の心配はありませんが、非可逆圧縮では、ファイルサイズを小さくするほど画像品質(見読性)が劣化するため注意が必要となります。」(21頁左欄8行-12行) 「(1)課題と目標 ファイルサイズの削減と画像品質(画質)のバランスが圧縮のポイントであり、以下の課題が存在します。 ・ 圧縮する文書の種類(内容)によって、出力されるファイルサイズが異なる。 ・ 画質の評価は主観的なものであり、良否判断が難しい。 これら課題を踏まえ、電子化に関わる利用者の参考になることを目指して検討を進めています。」(21頁左欄15行-22行) 「(2)圧縮方式 カラー画像の圧縮に対応し、規格化と普及が進んでいる圧縮方式として、JPEGおよびJPEG2000を対象にしました。」(21頁左欄23行-25行) 「(4)文字の色 JPEGは視覚的に感度の低い情報を間引く方式を採用しています。そのため、淡い文字は変換によって解像度の情報が失われやすい傾向にあります。また淡い色は元来、圧縮しなくても視覚的なコントラストが低いため見読性が低く、重要な情報は濃い文字で記載する必要があります。」(23頁右欄3行-8行) 以上の記載によれば、引用例8には「電子化における画像圧縮方式としてJPEGは規格化と普及が進んでいること、また、JPEGは視覚的に感度の低い情報を間引く方式を採用していること」という事項が記載されている。 (I)引用例9 渡邊他、畳み込みニューラルネットワークを用いた花画像の分類、平成28年3月、情報処理学会第78回全国大会講演論文集、第2 分冊、197-198頁 https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=162629&file_id=1&file_no=1 上記引用例9には、以下の記載がある。 「花の画像分類については、これまでも研究がなされているが、正面など、向きを定めて撮影した画像を用いた研究[1]が多い。実際には同じ花でも、様々な状況で撮影した花の画像があり、環境に左右されない分類手法が必要である。 そこで本研究では、畳み込みニューラルネットワークを用いて花画像の分類を行い、多くのデータを集めることが困難な花に対し、上記の環境に対応する画像の拡張手法を考案した。」(197頁左欄8行-16行) 「2.畳み込みニューラルネットワーク 畳み込みニューラルネットワークは深層学習(Deep Learning)の手法の1つであり、特に画像認識の分野で顕著な成績を収めている[2]。 脳の神経科学の知見を基礎とし、画像の局所的な特徴抽出を行う畳み込み層と、局所毎に特徴をまとめるプーリング層を繰り返していく構造となっている。この構造により、微小な変位に対する不変性を獲得している[3]。」(197頁左欄17行-25行) 「3.実験方法 本研究の主な内容は「データ収集・モデルの構築・花の種類判定」である。 まず、Googleの画像検索を利用して、花画像を収集した。本研究で主に使用したのは、26種類15250枚の画像である。 次にこれらの画像を用いてモデルを構築した。Deep Learningの学習には、フレームワークであるCaffeを利用した、ニューラルネットの構成はAlexNet[4]とし、学習の際は、ILSVRC2012のデータセットで学習済みのCaffenetのモデル[5]を用いて、Fine-tuningによる学習を行った。学習の最大繰り返し数を、10000回とした。 そして、構築されたモデルで、ある花の画像が何の花だと判定されるのかを調べた。」(197頁左欄26行-右欄3行) 「5.1訓練データの拡張方法 撮影された花に考えられる状態として、「小さい・複数・位置・傾き・日向日陰」等が考えられる。そこで、入手できた画像を正面から撮影した3枚(i)のみとし、これを以下のように拡張した(図2)。また、すべての画像において3段階の明度をつけた。 (ii)1枚の画像サイズを変えた画像を載せたもの (iii)サイズを変えた画像を敷き詰めたもの (iv)複数をランダムに配置させたもの (v)縦又は横の長さだけ変えたもの」 以上の記載によれば、引用例9には、以下の引用発明(以下、引用発明9という。)が記載されている。 「畳み込みニューラルネットワークを用いて花画像の分類を行う方法におけるモデル構築方法であり、 Googleの画像検索を利用して、花画像を収集し、 入手できる画像が少ない花の訓練データにおける対策として、入手できた画像を正面から撮影した3枚(i)のみとし、これを(ii)1枚のサイズを変えた画像を載せたもの、(iii)サイズを変えた画像を敷き詰めたもの、(iv)複数枚をランダムに配置させたもの、(v)縦又は横の長さだけ変えたもの、として拡張した画像とし、さらに、すべての画像において3段階の明度をつけたものを組み合わせて学習させるようにした、モデル構築方法。」 (J)引用例10 内田他、畳み込みニューラルネットワークの研究動向、平成29年12月、電子情報通信学会技術研究報告、vol. 117, no.362、25-3 8頁 https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=162629&file_id=1&file_no=1 上記引用例10には、以下の記載がある。 「1. はじめに 畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Networks; CNN) (以降CNN)は,主に画像認識に利用されるニューラルネットワークの一種である.CNN の原型は,生物の脳の視覚野に関する神経生理学的な知見[24] を元に考案されたNeocognitron [10] に見ることができる.Neocognitronは,特徴抽出を行なう単純型細胞に対応する畳み込み層と,位置ずれを許容する働きを持つ複雑型細胞に対応するpooling 層とを交互に階層的に配置したニューラルネットワークである.Neocognitron では自己組織化による学習が行われていたが,その後,LeCun らによりCNN のbackpropagationを用いた学習法が確立され,例えばLeNet [31] は,文字認識において成功を収めた. 2000 年代においては,画像認識分野では,SIFT [36] 等の職人芸的に設計された特徴ベクトルと,SVM 等の識別器を組合せた手法が主流となっていた.その時代においてもニューラルネットワークの研究は進められており,ついに2012 年の画像認識コンペティションImageNetLarge Scale Visual RecognitionCompetition (ILSVRC) において,AlexNet と呼ばれるCNNを用いた手法が,それまでの画像認識のデファクトスタンダードであったSIFT + FisherVector + SVM [43] というアプローチに大差をつけて優勝し,一躍深層学習が注目されることとなった.それ以降のILSVRC では,CNN を用いた手法が主流となり,毎年新たなCNN のモデルが適用され,一貫して認識精度の向上に寄与してきた.そしてILSVRC で優秀な成績を収めたモデルが,画像認識やその他の様々なタスクを解くためのデファクトスタンダードなモデルとして利用されてきた.」(1頁左欄1行-27行) 「2. ILSVRC で振り返るCNN の進化 本章では,2012 年から2017 年までのILSVRC のクラス分類タスク(以降では単にILSVRC)において優秀な成績を収めたモデルを順に振り返り,CNN がどのような進化を辿ってきたかを概観する. 2. 1 AlexNet AlexNet [29] は,2012 年のILSVRC において,従来の画像認識のデファクトスタンダードであったSIFT + FisherVector+ SVM [43] というアプローチに大差をつけて優勝し,一躍深層学習の有効性を知らしめたモデルである.現在では比較的小規模なモデルということもあり,ベースラインとして利用されることもある. 表1 にAlexNet の構造を示す.Filter size は各フィルタ処理のカーネルサイズを示し,Stride はそれらの適用間隔を示す.AlexNet は,畳み込み層を5 層重ねつつ,pooling 層で特徴マップを縮小し,その後,3 層の全結合層により最終的な出力を得る.基本的なアーキテクチャの設計思想はNeocognitronやLeNet を踏襲している.学習時には,当時のGPU のメモリ制約から,各層の特徴マップをチャネル方向に分割し,2 台のGPU で独立して学習するというアプローチが取られた.幾つかの畳み込み層および全結合層では,より有効な特徴を学習するため,もう1 台のGPU が担当しているチャネルも入力として利用している.」(1頁右欄下から7行-2頁左欄16行) 「4. 1 データベース 各種アーキテクチャを精度比較するデータベースとして,小規模なCIFR10 およびCIFAR100,大規模なImageNet,Places およびPlaces2,COCO などある.CIFAR10 およびCIFAR100は10 クラスまたは100 クラスの一般物体認識データセットである.画像サイズが32×32 ピクセル,学習データ数が5 万枚,評価データが1 万枚となっており,比較的短時間で学習することができる. 一方,ImageNet はILSVRC で利用されているデータセットである.ILSVRC の位置特定(Object localization:LOC) タスクでは,1000 クラスの物体の認識と位置特定の精度を競っている.学習データは120 万枚,テストデータは10 万枚あり,画像サイズは一定ではない.多くのアーキテクチャでは,画像サイズを224×224 または229×229 にリサイズして入力している. ImageNet と同様の大規模なPlaces データセットは,1000万枚規模となっており,400 クラス以上の屋内または屋外シーンを対象とした画像から構成されている.また,COCO データセットは,物体検出やセマンティックセグメンテーション,人体の骨格検出だけでなく,画像に対するキャプションデータも付与されている大規模なデータセットである.ILSVRC と同様にPlaces とCOCO データセットを利用したコンペティションも開催されている. 本稿では,各種アーキテクチャの精度比較にCIFAR10 およびCIFAR100 を用いる.また,ImageNet データセットについても代表的なアーキテクチャの比較に用いる.」(11頁左欄下から19行-右欄6行) 以上の記載によれば、引用例10には、以下の引用発明(以下、引用発明10という。)が記載されている。 「主に画像認識に利用されるニューラルネットワークの一種である畳み込みニューラルネットワーク(ConvolutionalNeural Networks; CNN)による画像認識方法における画像学習方法であって、 その画像認識方法の一つであるAlexNet と呼ばれる手法は、 畳み込み層を5 層重ねつつ,pooling 層で特徴マップを縮小し,その後,3 層の全結合層により最終的な出力を得る構成を有し、 各種画像データを入力して学習データとして用いる、 画像認識方法における画像学習方法。」 (K)引用例11(国際公開第2018/203374号) 上記引用例11には、以下の記載がある。 「[0024]次に、第1着色処理部13で用いられる第1学習済モデルの学習方法について説明する。図2は、第1学習済モデルの学習方法の一例を示したブロック図である。第1学習済モデルを学習するためのモデルはどのようなものであってもよいが、例えば、敵対的生成モデルを採用することが好ましい。この敵対的生成モデルは、図2に示すように、線画データであるサンプルデータから着色画像を生成することを学習するジェネレータと、ジェネレータが生成した着色済縮小データと予め用意された着色済のテストデータとを区別することを学習するディスクリミネータとで構成され、ジェネレータはディスクリミネータを騙すように着色を学習し、ディスクリミネータは騙されないように区別することを学習し、これら両方の学習を進めていく。」 (L)引用例12(国際公開第2018/048507) 上記引用例12には、以下の記載がある。 「A computer-implemented method for generating a synthetic image of ananatomical portion based on an origin image of the anatomical portion acquiredby an imaging device using a first imaging modality, the methodcomprising: receiving the origin image of the anatomical portion acquired by the imagingdevice using the first imaging modality; receiving a convolutional neural network model trained for predicting thesynthetic image based on the origin image; and converting, by at least one processor, the origin image to thesynthetic image through the convolutional neural network model, the syntheticimage resembling a second imaging modality depiction of the anatomical portion,wherein the second imaging modality differs from the first imaging modality. 」(請求項1) 「The method ofclaim 1, further comprising: receiving a plurality of training origin imagesacquired using the first imaging modality; receiving a plurality of training destination images acquired using thesecond imaging modality, each training destination image corresponding to a trainingorigin image; determining aconvolutional neural network architecture; and training the convolutional neural network model using the trainingorigin images and corresponding training destination images.」(請求項4) 「The method ofclaim 4, whereintraining the convolutional neural network model further includes: converting the training origin images to synthetic images using theconvolutional neural network model; determining a difference between the synthetic images and thecorresponding training destination images; and updating the set of model parameters of the convolutional neuralnetwork model based on the difference. 」(請求項11) 「The method ofclaim 1 1, wherein the difference is measured by a loss function calculated based onthe synthetic image and the destination image. 」(請求項13) (訳:特表2019-534763参照) 「【請求項1】 第1の撮像モダリティを使用して撮像装置によって取得された解剖学的部分の原画像に基づいて前記解剖学的部分の合成画像を生成するためのコンピュータ実施方法であって、 前記方法は、 前記第1の撮像モダリティを用いて前記撮像装置によって取得された前記解剖学的部分の原画像を受信することと、 前記原画像に基づいて前記合成画像を予測するためにトレーニングされた畳み込みニューラルネットワークモデルを受信することと、 少なくとも1つのプロセッサによって、前記畳み込みニューラルネットワークモデルを介して前記原画像を前記合成画像に変換することであって、前記合成画像は、前記解剖学的部分の第2の画像モダリティによる描写に似ており、前記第2の画像モダリティは前記第1の画像モダリティと異なることと を有することを特徴とする方法。」 「【請求項4】 請求項1記載の方法において、 前記第1の撮像モダリティを使用して取得された複数のトレーニング原画像を受信することと、 前記第2の撮像モダリティを使用して取得された複数のトレーニングデスティネーション画像を受信し、各トレーニングデスティネーション画像はトレーニング原画像に対応することと、 畳み込みニューラルネットワークアーキテクチャを決定することと、 前記トレーニング原画像および対応するトレーニングデスティネーション画像を使用して前記畳み込みニューラルネットワークモデルをトレーニングすることと を更に有することを特徴とする方法。」 「【請求項11】 請求項4記載の方法において、 前記畳み込みニューラルネットワークモデルをトレーニングすることは、 前記畳み込みニューラルネットワークモデルを用いて前記トレーニング原画像を前記合成画像に変換することと、 前記合成画像と、前記対応するトレーニングデスティネーション画像との間の差を決定することと、 前記差に基づいて前記畳み込みニューラルネットワークモデルのモデルパラメータのセットを更新することと を更に有する ことを特徴とする方法。」 「【請求項13】 請求項11記載の方法において、 前記差は、前記合成画像と前記デスティネーション画像とに基づいて計算された損失関数によって測定される ことを特徴とする方法。」 以上の記載によれば、「畳み込みニューラルネットワークモデルを介して前記原画像を前記合成画像に変換する際に、前記合成画像と前記デスティネーション画像とに基づいて計算された損失関数によって、合成画像と、前記対応するトレーニングデスティネーション画像との間の差を決定する」ことが記載されている。 (3)当審の判断 事案にかんがみ、理由3、理由4の検討を行った後、理由1、理由2の検討を行う。 (3-1)理由3、理由4について 理由3、理由4については取消理由通知書の第2にて、 「(A)請求項1~2、6~11について(理由3) (B)請求項3~5について(理由4) (C)請求項9について((C-1)理由3、(C-2)理由4) (D)請求項10について(理由4) (D)請求項11について(理由4)」 (なお「(D)請求項11について(理由4)」の(D)は(E)の誤記であるから、以下では(E)と読み替えて記載する。) と分けて検討しているから、以下(A)~(E)について、それぞれ、「取消理由(A)」~「取消理由(E)」などと称し、以下で順に検討する。 (a)取消理由(A)について 取消理由(A)は、請求項の記載において、畳み込みニューラルネットワークを学習するための学習データが、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データ」であることしか特定されておらず、学習データにかかるデータ拡張の方法についての特定がなされていないから、課題に対応する特定事項を有さず、サポート要件を満たしていないというものである。 これに対して、特許権者は、訂正請求書と同時に提出された意見書にて以下のとおり主張している。 『本件特許発明の登録時明細書の[発明の詳細な説明]には、段落0006に「・・・画像に対するニューラルネットワークを用いた学習に、人間の視覚を考慮させた学習方法、学習モデル、分類器及び生成器を提供すること」という課題(以下「課題X」)と、段落0002に「教師データの数の水増し」という課題(以下「課題Y」)とが記載される。 仮に、本件特許発明の本来の課題が課題Yである場合、「一の画像データについて、情報を欠損させないで学習に用い、且つ、情報を欠損させて学習に用いる(一の画像データで2回学習する)構成」が請求項に記載されることが、サポート要件を満たすために必須の可能性がある。 しかし、段落0002における『したがって教師データの数を水増しするために、画像データに対し拡大縮小、回転、反転、シフト、色変換、ノイズ付加等のデータ拡張を実施することで、認識性能の向上が達成できることが知られている(特許文献1等)。』という記載から明らかな通り、課題Yは、特許文献1(特開2015-095212号公報)の従来技術の解決課題として明細書に期され、本件特許発明の課題として記載されていない。したがって、本件特許発明の本来の課題は、課題Xであることは明らかであり、課題Yを解決する構成は本件特許発明にとって必須ではない。また、請求項1~11に記載の本特許発明は、何れも「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データでニューラルネットワークを学習する」という課題Xを解決するための構成を具備する。』 すなわち、上記主張により、本件特許に係る発明の解決する課題は、「画像に対するニューラルネットワークを用いた学習に、人間の視覚を考慮させた学習方法、学習モデル、分類器及び生成器を提供すること」であることが明確となり、当該課題を解決するための解決手段として、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データでニューラルネットワークを学習する」という構成を有することが明確となったから、取消理由(A)は解消した。 (b)取消理由(B)について 取消理由(B)は、請求項3~5に係る特許は、その請求項の記載からみて、取消理由(A)と同様、課題を解決する手段を有しておらず、上記課題との関係からみて不明確であるというものである。 これに対して、上記取消理由(A)で検討したとおり、本件特許に係る発明の課題はは、「画像に対するニューラルネットワークを用いた学習に、人間の視覚を考慮させた学習方法、学習モデル、分類器及び生成器を提供すること」であり、当該課題解決のための手段として「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データでニューラルネットワークを学習する」という構成を有することが明確となったから、取消理由(B)は解消した。 (c)取消理由(C)について 取消理由(C)は、概略、訂正前請求項9の「前記分類用の畳み込みニューラルネットワークから出力される画像データ、又は前記分類用の畳み込みニューラルネットワークへ与える画像データの内の所定の割合の画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減し」の構成が、発明の詳細な説明に記載されておらず、また、明確でもないというものである。 これに対して、特許権者は請求項9の記載を「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力される画像データ、又は前記他の画像データの内の所定の割合の画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減し」の記載と改めることにより、上記「第2(2)エ」で検討したとおり、発明の詳細な説明に記載された構成と矛盾がなく、また、明確となった。 したがって、取消理由(C)は解消した。 (d)取消理由(D)について 取消理由(D)は、概略、訂正前請求項10の「コンピュータに、入力された画像データの分類を出力させるように、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用の画像データと、該画像データの分類ラベルとを含む教師データによって学習されてある分類器。」の構成が、明確でないというものである。 これに対して、特許権者は請求項10の記載を「教師データによって、コンピュータにより入力された画像データの分類を出力させるように、学習されてある分類器。」の記載と改めることにより、上記「第2(2)オ」で検討したとおり、明確となった。 したがって、取消理由(D)は解消した。 (e)取消理由(E)について 取消理由(E)は、概略、訂正前請求項11の「コンピュータに、入力された任意のデータに基づく画像データを出力させるように学習されてある」の構成が、明確でないというものである。 これに対して、特許権者は請求項11の記載を「コンピュータにより入力された任意のデータに基づく画像データを出力させるように学習されてある」の記載と改めることにより、上記「第2(2)カ」で検討したとおり、明確となった。 したがって、取消理由(E)は解消した。 (3-2)理由1、理由2について 理由1、理由2については、複数の請求項に係る発明に対し、複数の引用例を主たる引例として取消理由を通知しているので、各請求項に係る発明ごとに検討する。 (a)本件発明1について (a-1)引用例1を主たる引用例とした取消理由についての検討 本件発明1と引用発明1とを対比すると、両発明は、 「画像データに対して畳み込みを行なう畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワークの学習方法であって、 視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップと をコンピュータに実行させる学習方法。」の点で一致し、 本件発明1が「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップと、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」を有するのに対して、引用発明1が「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」の構成を有するのみである点で相違する。 上記相違点について検討するに、引用発明1では、ニューラルネットワークの学習において用いられる画像データが、そもそも「JPEG形式によりファイルに記録することにより取得した画像データ」であることから、上記一致点を有するものであって、上記学習データとして、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いについて、格別の技術的意義を見出したものではないのに対し、本件発明1では、「画像に対するニューラルネットワークを用いた学習に、人間の視覚を考慮させた学習方法、学習モデル、分類器及び生成器を提供することを目的と」し、学習データとして「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いに着目して、これらの画像データを双方含んで学習するための構成として、上記相違点の構成を採用したものである。 したがって、本件発明1と引用発明1とは、そもそも、学習データ関して「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いを有するという点について着目しているか否かという前提において相違するのであるから、上記相違点について、引用発明1から本件発明1を容易に想到し得たということはできない。 また、他の引用例を参酌しても、上記相違点を容易とする技術は開示されていない。 したがって、本件発明1は、引用例1に記載された発明ではなく、また、引用発明1及び他の引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明であるということはできない。 (a-2)引用例2を主たる引用例とした取消理由についての検討 本件発明1と引用発明2とを対比すると、両発明は、 「画像データに対して畳み込みを行なう畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワークの学習方法であって、 視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップと をコンピュータに実行させる学習方法。」の点で一致し、 本件発明1が「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップと、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」を有するのに対して、引用発明2が「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」の構成を有するのみである点で相違する。 上記相違点について検討するに、引用発明2では、ニューラルネットワークの学習において用いられる画像データが、そもそも「Google Static Maps APIを用いて、道路リンクの位置座標(ek.x, ek.y) を中心とした航空写真を取得し、得られたJPEG 画像」、及び「土地被覆図の画像データセットには、経度1°、緯度1°ごとに画像ファイル(TIF形式)が分割されて保存されており」の画像であることから、上記一致点を有するものであって、上記学習データとして、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いについて、格別の技術的意義を見出したものではないのに対し、本件発明1では、「画像に対するニューラルネットワークを用いた学習に、人間の視覚を考慮させた学習方法、学習モデル、分類器及び生成器を提供することを目的と」し、学習データとして「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いに着目して、これらの画像データを双方含んで学習するための構成として、上記相違点の構成を採用したものである。 したがって、本件発明1と引用発明2とは、そもそも、学習データ関して「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いを有するという点について着目しているか否かという前提において相違するのであるから、上記相違点について、引用発明2から本件発明1を容易に想到し得たということはできない。 また、他の引用例を参酌しても、上記相違点を容易とする技術は開示されていない。 したがって、本件発明1は、引用例2に記載された発明ではなく、また、引用発明2及び他の引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明であるということはできない。 (a-3)引用例3を主たる引用例とした取消理由についての検討 本件発明1と引用発明3とを対比すると、両発明は、 「画像データに対して処理を行うニューラルネットワークの学習方法であって、 視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップと をコンピュータに実行させる学習方法。」の点で一致し、以下の相違点1、相違点2で相違する。 相違点1 「画像データに対して処理を行うニューラルネットワーク」が、本件発明1では「画像データに対して畳み込みを行なう畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワーク、又は、画像データを出力する畳み込みニューラルネットワーク」であるのに対し、引用発明3のニューラルネットワークは、上記特定事項を有していない点。 相違点2 本件発明1が「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップと、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」を有するのに対して、引用発明3が「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」の構成を有するのみである点で相違する。 上記相違点2について検討するに、引用発明3では、ニューラルネットワークの学習において用いられる画像データが、そもそも「WT:ウェーブレット変換により得られる画像の周波数エネルギーの分布特性を表す特徴量を入力データとし」た画像データであることから、上記一致点を有するものであって、上記学習データとして、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いについて、格別の技術的意義を見出したものではないのに対し、本件発明1では、「画像に対するニューラルネットワークを用いた学習に、人間の視覚を考慮させた学習方法、学習モデル、分類器及び生成器を提供することを目的と」し、学習データとして「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いに着目して、これらの画像データを双方含んで学習するための構成として、上記相違点2の構成を採用したものである。 したがって、本件発明1と引用発明3とは、そもそも、学習データ関して「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いを有するという点について着目しているか否かという前提において相違するのであるから、上記相違点2について、引用発明3から本件発明1を容易に想到し得たということはできない。 また、他の引用例を参酌しても、上記相違点を容易とする技術は開示されていない。 したがって、本件発明1は、引用例3に記載された発明ではなく、また、引用発明3及び他の引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明であるということはできない。 (a-4)引用例4を主たる引用例とした取消理由についての検討 本件発明1と引用発明4とを対比すると、両発明は、 「画像データに対して畳み込みを行なう畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワークの学習方法であって、 視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップと をコンピュータに実行させる学習方法。」の点で一致し、 本件発明1が「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップと、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」を有するのに対して、引用発明4が「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」の構成を有するのみである点で相違する。 上記相違点について検討するに、引用発明4では、ニューラルネットワークの学習において用いられる画像データが、そもそも「劣化を付与した画像gをJPEG方式で圧縮して画像g’を生成する手順」により生成された画像データであることから、上記一致点を有するものであって、上記学習データとして、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いについて、格別の技術的意義を見出したものではないのに対し、本件発明1では、「画像に対するニューラルネットワークを用いた学習に、人間の視覚を考慮させた学習方法、学習モデル、分類器及び生成器を提供することを目的と」し、学習データとして「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いに着目して、これらの画像データを双方含んで学習するための構成として、上記相違点の構成を採用したものである。 したがって、本件発明1と引用発明4とは、そもそも、学習データ関して「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いを有するという点について着目しているか否かという前提において相違するのであるから、上記相違点について、引用発明4から本件発明1を容易に想到し得たということはできない。 また、他の引用例を参酌しても、上記相違点を容易とする技術は開示されていない。 したがって、本件発明1は、引用例4に記載された発明ではなく、また、引用発明4及び他の引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明であるということはできない。 (a-5)引用例5を主たる引用例とした取消理由についての検討 本件発明1と引用発明5とを対比すると、両発明は、 「画像データを出力する畳み込みニューラルネットワークの学習方法であって、 学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップと をコンピュータに実行させる学習方法。」の点で一致する。 ここで、引用発明5の学習データは「ディジタルカメラ,携帯型情報端末,4Kテレビなどの画像」であって、これらの画像は、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データあることは技術常識であるから、この点も考慮すれば、一致点は、以下のとおりであるといえる。 一致点 「画像データを出力する畳み込みニューラルネットワークの学習方法であって、 視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップと をコンピュータに実行させる学習方法。」 したがって、引用発明5と本件発明1とは以下の相違点で相違する。 相違点 本件発明1が「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップと、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」を有するのに対して、引用発明5が「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」の構成を有するのみである点で相違する。 上記相違点について検討するに、引用発明5では、ニューラルネットワークの学習において用いられる画像データが、そもそも「ディジタルカメラ,携帯型情報端末,4Kテレビなどの画像」であって、これらの画像は、一応視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データともいえるから上記一致点を有するものであって、上記学習データとして、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いについて、格別の技術的意義を見出したものではないのに対し、本件発明1では、「画像に対するニューラルネットワークを用いた学習に、人間の視覚を考慮させた学習方法、学習モデル、分類器及び生成器を提供することを目的と」し、学習データとして「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いに着目して、これらの画像データを双方含んで学習するための構成として、上記相違点の構成を採用したものである。 したがって、本件発明1と引用発明5とは、そもそも、学習データ関して「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いを有するという点について着目しているか否かという前提において相違するのであるから、上記相違点について、引用発明5から本件発明1を容易に想到し得たということはできない。 また、他の引用例を参酌しても、上記相違点を容易とする技術は開示されていない。 したがって、本件発明1は、引用例5に記載された発明ではなく、また、引用発明5及び他の引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明であるということはできない。 (a-6)引用例9を主たる引用例とした取消理由についての検討 引用発明9において、学習に用いる画像は「Googleの画像検索を利用して」収集した(花)画像である。 上記画像のフォーマットについて格別の記載はないが、上記「Googleの画像検索を利用して」収集した画像は、通常インターネットので検索されるウェブページにアップロードされた画像のことであり、上記アップロードされた画像には、JPEGフォーマットの画像(覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像)が多いが、まれに、RAW画像やTIFF形式の画像など(覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像)が含まれることが想定される。 したがって、引用発明9において学習に使用される画像データは、「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」や「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」が想定されるものの、学習時にこれらを共に利用することまでは特定されていないと捉えることができる。 また、引用発明9では、「入手できる画像が少ない花の訓練データにおける対策として、入手できた画像を正面から撮影した3枚(i)のみとし、これを(ii)1枚のサイズを変えた画像を載せたもの、(iii)サイズを変えた画像を敷き詰めたもの、(iv)複数枚をランダムに配置させたもの、(v)縦又は横の長さだけ変えたもの、として拡張した画像とし、さらに、すべての画像において3段階の明度をつけたものを組み合わせて学習させるようにした」とあるから、上記「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」や「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」を入手した後、入手できた画像を用いて学習すること(上記(i))、入手した画像に対して各種画像処理((ii)~(v)の処理)、及び(i)~(v)の画像に対して明度を異ならせる処理を行った画像を用いて学習することも行っているから、得られた画像に対して画像処理を行い、画像処理を行う前の画像と画像処理を行った後の画像とを用いて学習を行っている。したがって、上記引用発明9の構成と、本件発明1の「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」、「前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」と対比すれば、「画像データを画像処理手段に入力し、当該画像データに対して画像処理を行うステップ」、「前記画像処理を行う前の画像を含むとともに、前記画像処理を行った後の画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」である点で一致しているといえる。 もっとも、「画像データを画像処理手段に入力し、当該画像データに対して画像処理を行うステップ」、「前記画像処理を行う前の画像を含むとともに、前記画像処理を行った後の画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」が、本件発明1では「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」、「前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」であるのに対し、引用発明9では、「画像データを画像処理手段に入力し、当該画像データに対して処理を行うステップ」、「前記画像処理を行う前の画像を含むとともに、前記画像処理を行った後の画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」である点で相違する。 以上まとめると、本件発明1と引用発明9とは、 「画像データに対して畳み込みを行なう畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワークの学習方法であって、 画像データを画像処理手段に入力し、当該画像データに対して処理を行うステップと、 前記画像処理を行う前の画像を含むとともに、前記画像処理を行った後の画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップであって、 前記ニューラルネットワークを学習するステップの学習用データは、視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データである前記ニューラルネットワークを学習するステップ、 をコンピュータに実行させる学習方法。」の点で一致し、 本件発明1が「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップと、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」を有するのに対して、引用発明9では「画像データを画像処理手段に入力し、当該画像データに対して処理を行うステップと、前記画像処理を行う前の画像を含むとともに、前記画像処理を行った後の画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップであって、前記ニューラルネットワークを学習するステップの学習用データは、視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データである前記ニューラルネットワークを学習するステップ」の構成を有するのみである点で相違する。 上記相違点について検討するに、引用発明9では、ニューラルネットワークの学習において用いられる画像データが、そもそも「Googleの画像検索を利用して収集した画像」であることから、「前記ニューラルネットワークを学習するステップの学習用データは、視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」の一致点を有するものであって、上記学習データとして、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いについて、格別の技術的意義を見出したものではなく、したがって、画像処理の内容として「(ii)1枚のサイズを変えた画像」、「(iii)サイズを変えた画像を敷き詰めたもの」、「(iv)複数枚をランダムに配置させたもの」、「(v)縦又は横の長さだけ変えたもの」、「すべての画像において3段階の明度をつけたもの」などの処理を採用することで『「小さい・複数・位置・傾き・日向日陰」等』の状態の画像を得る(拡張)することを目的としている。 これに対し、本件発明1では、「画像に対するニューラルネットワークを用いた学習に、人間の視覚を考慮させた学習方法、学習モデル、分類器及び生成器を提供することを目的と」し、学習データとして「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いに着目して、これらの画像データを双方含んで学習するための構成として、上記相違点の構成を採用したものである。 したがって、本件発明1と引用発明9とは、そもそも、学習データ関して「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いを有するという点について着目しているか否かという前提において相違するのであるから、上記相違点について、引用発明9から本件発明1を容易に想到し得たということはできない。 また、他の引用例を参酌しても、上記相違点を容易とする技術は開示されていない。 したがって、本件発明1は、引用例9に記載された発明ではなく、また、引用発明9及び他の引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明であるということはできない。 (a-7)引用例10を主たる引用例とした取消理由についての検討 本件発明1と引用発明10とを対比すると、両発明は、 「画像データに対して畳み込みを行なう畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワークの学習方法であって、 学習用画像データで前記ニューラルネットワークを学習するステップと をコンピュータに実行させる学習方法。」の点で一致し、 本件発明1が「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップと、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」を有するのに対して、引用発明1が「学習用画像データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」の構成を有するのみである点で相違する。 上記相違点について検討するに、引用発明10では、ニューラルネットワークの学習において用いられる画像データがについて格別特定されておらず、上記学習データとして、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いについて、格別の技術的意義を見出したものではないのに対し、本件発明1では、「画像に対するニューラルネットワークを用いた学習に、人間の視覚を考慮させた学習方法、学習モデル、分類器及び生成器を提供することを目的と」し、学習データとして「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いに着目して、これらの画像データを双方含んで学習するための構成として、上記相違点の構成を採用したものである。 したがって、本件発明1と引用発明10とは、そもそも、学習データ関して「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いを有するという点について着目しているか否かという前提において相違するのであるから、上記相違点について、引用発明10から本件発明1を容易に想到し得たということはできない。 また、他の引用例を参酌しても、上記相違点を容易とする技術は開示されていない。 したがって、本件発明1は、引用例10に記載された発明ではなく、また、引用発明10及び他の引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明であるということはできない。 (b)本件発明2について まず、本件発明1と本件発明2とを対比する。 本件発明2は、 (あ)「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」、 (い)「前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを与え、前記畳み込みニューラルネットワークを分類器として学習するステップ」 を備えている。 (あ)の構成は、本件発明1の「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」と相違がない。 (い)の構成は、本件発明1が「前記ニューラルネットワークを学習するステップ」がであったのに対し、本件発明2が「前記畳み込みニューラルネットワークを分類器として学習するステップ」である点で相違するものの、学習データとして用いるデータは、共に「前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データ」である点で共通する。 そして上記本件発明1と本件発明2とで共通する構成は、上記(a)で検討したとおり、引用発明1ないし引用発明5及び引用発明9、引用発明10に特定された構成との相違点であって、上記引用発明及び他の引用例の記載から容易に発明をすることができた構成であるということはできない構成である。 したがって、本件発明2は、上記(a)で検討したのと同様の理由により、上記引用発明ではなく、また、上記引用発明および他の引用例に記載された事項から容易に発明をすることができたものではない。 (c)本件発明6について 本件発明6は、本件発明1を特定する請求項1の記載を引用し、更に限定する構成を付加した発明であるから、本件発明1について検討したのと同様、上記各引用例に記載された発明であるということはできないし、また上記各引用例に記載された事項に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明ということはできない。 (d)本件発明7について 本件発明7は、本件発明1ないし6を特定する請求項1ないし6の記載を引用し、更に限定する構成を付加した発明である。このうち、請求項1及び請求項6の記載を引用する本件発明7については、本件発明1について検討したのと同様、また、請求項2の記載を引用する本件発明7については、本件発明2について検討したのと同様、上記各引用例に記載された発明であるということはできないし、また上記各引用例に記載された事項に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明ということはできない。 (e)本件発明8について 本件発明8は、本件発明8を特定する請求項8の記載からみて、本件発明1の方法の発明のカテゴリをコンピュータプログラムのカテゴリに変えた発明であると認める。 したがって、本件発明8は本件発明1について検討したのと同様、上記各引用例に記載された発明であるということはできないし、また上記各引用例に記載された事項に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明ということはできない。 (f)本件発明10について まず、本件発明10と本件発明2とを対比する。 本件発明10は、 (あ)「画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させるフィルタを介して画像データを入力可能であり」、 (い)「前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むととに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用の画像データと、該画像データの分類ラベルとを含む教師データによって、コンピュータにより入力された画像データの分類を出力させるように、学習されてある分類器」 の構成を備えている。 (あ)の構成は、本件発明2の「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」と対応している。 (い)の構成は、本件発明2が「畳み込みニューラルネットワークを分類器として学習するステップをコンピュータに実行させる学習方法」がであったのに対し、本件発明10が「該画像データの分類ラベルとを含む教師データによって、コンピュータにより入力された画像データの分類を出力させるように、学習されてある分類器」である点で相違するものの、学習データとして用いるデータについて、共に「前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むととに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用の画像データ」を含む点で共通する。 そして上記本件発明2と本件発明10とで共通する構成は、上記(b)で検討したとおり、引用発明1ないし引用発明5及び引用発明9、引用発明10に特定された構成との相違点であって、上記引用発明及び他の引用例の記載から容易に発明をすることができた構成であるということはできない構成である。 したがって、本件発明10は、上記(b)で検討したのと同様の理由により、上記引用発明ではなく、また、上記引用発明および他の引用例に記載された事項から容易に発明をすることができたものではない。 (g)申立人の意見について 申立人は、訂正後の上記本件発明(1、2、6-8、10)について概略以下のように述べている。 (g-1)欠損するデータを生成する手段(構成A)、欠損データと非欠損データの双方を用いてニューラルネットワークを学習する(構成B)は、いずれも単なる公知の技術に過ぎないものであり、これらを具備することによって、引用例1-12を根拠として審判官合議体により否定された新規性・進歩性が生じることはない。(意見書2ページ1-7行) (g-2)構成A、構成Bはいずれも、引用例-12に記載されており、単なる公知の技術に過ぎない。引用例1-12は全てニューラルネットワークを画像データで学習させることについての文献であり、同一の技術分野に関するものであり、いずれの文献を採用するかは、当業者であれば当然に動機があるものであり、阻害要因は存在しない。(意見書7ページ下から13行-8ページ2行) (g-3)そもそも、欠損データを用いる場合に、その欠損データを生成する手段を備えること(構成A)は当然のことであり、また、複数の画像データを用いる場合に、欠損データと非欠損データの双方を用いること(構成B)も当然のことであって、そのような点に発明の新規性や進歩性が認められることはあり得ない。(意見書8ページ3-7行) (g-4)ニューラルネットワークを学習するために「JPEG画像」が用いられていることが明記されている以上、引用例2には、構成Aについても開示されていることは明らかである。(意見書8ページ14-16行) (g-5)令和2年9月18日訂正により、本件特許に「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」などのフィルタの構成が新たに付加されたが、当該フィルタがどのようなフィルタであるか不明確である。(意見書第2(1)による主張) (g-6)(令和2年9月18日の)訂正後の、例えば請求項1の記載において、「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」(第1のステップ)、「前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」(第2のステップ)とあるが、ステップ1とステップ2との関係が明確ではない。(意見書第2(2)、(3)による主張) (g-7)意見書第2(4)による主張(画像データに対して畳み込みを行なう畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワーク、又は、画像データを出力する畳み込みニューラルネットワークはサポート要件を満たさない。) 上記意見に対する当審の判断は以下のとおりである。 (g-1)、(g-2)について 上記意見は、いずれも構成A、構成Bはいずれも、引用例1-12の何れかに記載されるとおり周知であって、また、各引用例はいずれもニューラルネットワークの学習に関するものであるから、引用例1-12に記載された公知の技術を適宜組み合わせることは容易に為し得たことであるというものであるが、各引用例に記載された発明は、既に記憶された画像としてJPEGフォーマット(情報量が削減された画像)、TIFFフォーマットの画像(情報量が削減されていない画像)が用意され、これらを用いてニューラルネットワークを学習することは開示されているが、情報量が削減されていない画像を入力し、わざわざ、上記画像の情報量を(フィルタにより)削減することで情報量が削減された画像を生成し、上記情報量が削減されていない画像とともに情報量が削減された画像を用いてニューラルネットワークを学習することは開示されていない。 このことは、先に判断したように、本件発明(1、2、6-8、10)では、「画像に対するニューラルネットワークを用いた学習に、人間の視覚を考慮させた学習方法、学習モデル、分類器及び生成器を提供することを目的と」し、学習データとして「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いに着目して、これらの画像データを双方含んで学習するための構成として、上記相違点の構成を採用したものであって、本件発明1と各引用例に記載された発明とは、そもそも、学習データ関して「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」と「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」との違いを有するという点について着目しているか否かという前提において相違するのである。 したがって、各引用例に記載された発明から本件発明(1、2、6-8、10)を容易に想到し得たということはできない。 (g-3)について 「欠損データを用いる場合に、その欠損データを生成する手段を備えること(構成A)は当然」、「複数の画像データを用いる場合に、欠損データと非欠損データの双方を用いること(構成B)も当然」と述べているが、その根拠について示しておらず、当業者にとって周知・慣用の事項であるとも認めることができないから、上記主張を採用することはできない。 (g-4)について 『「JPEG画像」が用いられていることが明記されている以上、引用例2には、構成Aについても開示されている』との主張については、引用例2は、元来JPEG圧縮されて記憶された画像を用いているから、ニューラルネットワークの学習装置(方法)としては、構成Aを備えていない。 したがって、上記主張を採用することはできない。 (g-5)について 「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」におけるフィルタについては、発明の詳細な説明【0031】に具体例が開示されている。 上記記載によれば、当該フィルタとして、「デジタル画像の圧縮アルゴリズム」、「JPEG(Joint Photographic Experts Group)におけるDCT(Discrete Cosine Transform ;離散コサイン変換)、Wavelet変換」、「チャネル又は帯域毎の量子化を施すフィルタ」、「チャネル又は帯域で分解して一定以下をデータカットするフィルタ」などと記載されているから、これらに共通する技術思想を採用するフィルタを用いることを想定していることは明らかであって、ひるがえって、上記例示された技術思想を越える処理は、開示されていないと捉えるべきであって、請求の範囲に記載された「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」におけるフィルタは、上記想定されている技術範囲内のフィルタのみを指すことは明らかであって、サポート要件は満たしている、 したがって、上記主張を採用することはできない。 (g-6)について 第1のステップは「画像データをフィルタに入力し、当該画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減するステップ」と特定され、 第2のステップは「前記視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データを含むとともに、前記視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データで前記ニューラルネットワークを学習するステップ」と特定されている。 したがって、これらのステップの関係は明確であり、上記主張を採用することはできない。 (g-7)について 上記主張は、訂正前からある記載についての意見であるから、格別合議体が言及する必要は無いが、概略、発明の詳細な説明には、「画像データに対して畳み込みを行なう畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワーク」と「画像データを出力する畳み込みニューラルネットワーク」が記載され、それぞれのニューラルネットワークは、共に学習データとして「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」とともに「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」を用いて学習することは開示されているから、サポート要件は満たしている。 以上のとおりであるから、本件発明(1、2、6-8、10)についての申立人の意見は採用することはできない。 第4 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (a)本件発明3について (a-1)引用例1を主たる引用例とした申立人の主張についての検討 本件発明1と引用発明1とを対比すると、両発明は、 「画像データが入力された場合に、前記画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワークとを用い、 視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い、 前記分類用の畳み込みニューラルネットワークを学習する 学習方法。」の点で一致し、 本件発明3が「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」を有し、上記分類用の畳み込みニューラルネットワークに入力される画像が、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データ」であり、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い」て学習するニューラルネットワークが「前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク、及び、前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」であるのに対し、引用発明1では、「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」を備えておらず、したがって、上記分類用の畳み込みニューラルネットワークに入力される画像が、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ」を含まず、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い」て学習するニューラルネットワークが「前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク」のみである点(相違点1)、及び、本件発明3では「畳み込みニューラルネットワークをGAN(Generative Adversarial Networks)によって学習する」のに対し、引用発明1では、「GAN(Generative Adversarial Networks)によって学習する」の特定事項を備えていない点(相違点2)で相違する。 上記相違点1について検討する。 上記相違点1は、本件発明3では、分類用の畳み込みニューラルネットワークを学習するに際して、「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」をさらに備え、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データ」を入力することにより学習するという構成を備えることを前提としているのに対し、引用発明1は、概略、単に分類用の畳み込みニューラルネットワークの学習を、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用いて行うことしか特定しておらず、引用例1の記載からは、上記本件発明3の前提となる構成を見て取ることができないことから生じる相違点である。 すなわち、本件発明3と引用発明1とは、その前提となる構成において相違があるのであるから、引用発明1から本件発明3を容易に想到し得たということはできない。 また、他の引用例を参酌しても、上記相違点を容易とする技術は開示されていない。 したがって、本件発明3は、引用例1に記載された発明ではなく、また、引用発明1及び他の引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明であるということはできない。 (a-2)引用例2を主たる引用例とした申立人の主張についての検討 本件発明3と引用発明2とを対比すると、両発明は、 「画像データが入力された場合に、前記画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワークとを用い、 視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い、 前記分類用の畳み込みニューラルネットワークを学習する 学習方法。」の点で一致し、 本件発明3が「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」を有し、上記分類用の畳み込みニューラルネットワークに入力される画像が、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データ」であり、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い」て学習するニューラルネットワークが「前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク、及び、前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」であるのに対し、引用発明2では、「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」を備えておらず、したがって、上記分類用の畳み込みニューラルネットワークに入力される画像が、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ」を含まず、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い」て学習するニューラルネットワークが「前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク」のみである点(相違点1)、及び、本件発明3では「畳み込みニューラルネットワークをGAN(Generative Adversarial Networks)によって学習する」のに対し、引用発明2では、「GAN(Generative Adversarial Networks)によって学習する」の特定事項を備えていない点(相違点2)で相違する。 上記相違点1について検討する。 上記相違点1は、本件発明3では、分類用の畳み込みニューラルネットワークを学習するに際して、「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」をさらに備え、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データ」を入力することにより学習するという構成を備えることを前提としているのに対し、引用発明2は、概略、単に分類用の畳み込みニューラルネットワークの学習を、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用いて行うことしか特定しておらず、引用例2の記載からは、上記本件発明3の前提となる構成を見て取ることができないことから生じる相違点である。 すなわち、本件発明3と引用発明2とは、その前提となる構成において相違があるのであるから、引用発明2から本件発明3を容易に想到し得たということはできない。 また、他の引用例を参酌しても、上記相違点を容易とする技術は開示されていない。 したがって、本件発明3は、引用例2に記載された発明ではなく、また、引用発明2及び他の引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明であるということはできない。 (a-3)引用例3を主たる引用例とした申立人の主張についての検討 本件発明3と引用発明3とを対比すると、両発明は、 「画像データが入力された場合に、前記画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワークとを用い、 視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い、 前記分類用の畳み込みニューラルネットワークを学習する 学習方法。」の点で一致し、 本件発明3が「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」を有し、上記分類用の畳み込みニューラルネットワークに入力される画像が、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データ」であり、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い」て学習するニューラルネットワークが「前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク、及び、前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」であるのに対し、引用発明3では、「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」を備えておらず、したがって、上記分類用の畳み込みニューラルネットワークに入力される画像が、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ」を含まず、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い」て学習するニューラルネットワークが「前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク」のみである点(相違点1)、及び、本件発明3では「畳み込みニューラルネットワークをGAN(Generative Adversarial Networks)によって学習する」のに対し、引用発明3では、「GAN(Generative Adversarial Networks)によって学習する」の特定事項を備えていない点(相違点2)で相違する。 上記相違点1について検討する。 上記相違点1は、本件発明3では、分類用の畳み込みニューラルネットワークを学習するに際して、「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」をさらに備え、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データ」を入力することにより学習するという構成を備えることを前提としているのに対し、引用発明3は、概略、単に分類用の畳み込みニューラルネットワークの学習を、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用いて行うことしか特定しておらず、引用例3の記載からは、上記本件発明3の前提となる構成を見て取ることができないことから生じる相違点である。 すなわち、本件発明3と引用発明3とは、その前提となる構成において相違があるのであるから、引用発明3から本件発明3を容易に想到し得たということはできない。 また、他の引用例を参酌しても、上記相違点を容易とする技術は開示されていない。 したがって、本件発明3は、引用例3に記載された発明ではなく、また、引用発明3及び他の引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明であるということはできない。 (a-4)引用例4を主たる引用例とした申立人の主張についての検討 本件発明3と引用発明4とを対比すると、両発明は、 「画像データが入力された場合に、前記画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワークとを用い、 視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い、 前記分類用の畳み込みニューラルネットワークを学習する 学習方法。」の点で一致し、 本件発明3が「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」を有し、上記分類用の畳み込みニューラルネットワークに入力される画像が、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データ」であり、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い」て学習するニューラルネットワークが「前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク、及び、前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」であるのに対し、引用発明4では、「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」を備えておらず、したがって、上記分類用の畳み込みニューラルネットワークに入力される画像が、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ」を含まず、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い」て学習するニューラルネットワークが「前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク」のみである点(相違点1)、及び、本件発明3では「畳み込みニューラルネットワークをGAN(Generative Adversarial Networks)によって学習する」のに対し、引用発明4では、「GAN(Generative Adversarial Networks)によって学習する」の特定事項を備えていない点(相違点2)で相違する。 上記相違点1について検討する。 上記相違点1は、本件発明3では、分類用の畳み込みニューラルネットワークを学習するに際して、「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」をさらに備え、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データ」を入力することにより学習するという構成を備えることを前提としているのに対し、引用発明4は、概略、単に分類用の畳み込みニューラルネットワークの学習を、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用いて行うことしか特定しておらず、引用例4の記載からは、上記本件発明3の前提となる構成を見て取ることができないことから生じる相違点である。 すなわち、本件発明3と引用発明4とは、その前提となる構成において相違があるのであるから、引用発明4から本件発明3を容易に想到し得たということはできない。 また、他の引用例を参酌しても、上記相違点を容易とする技術は開示されていない。 したがって、本件発明3は、引用例4に記載された発明ではなく、また、引用発明4及び他の引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明であるということはできない。 (a-5)引用例5を主たる引用例とした申立人の主張についての検討 本件発明3と引用発明5とを対比すると、両発明は、 「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワークと、 視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い、 前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークを学習する 学習方法。」の点で一致し、 本件発明3が「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データが入力された場合に、前記画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワークとを用い」の構成を有し、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い」て学習するニューラルネットワークが「前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク、及び、前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」であるのに対し、引用発明5では、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データが入力された場合に、前記画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワークとを用い」の構成を有しておらず、したがって、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い」て学習するニューラルネットワークが、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」のみである点(相違点1)、及び、本件発明3では「畳み込みニューラルネットワークをGAN(Generative Adversarial Networks)によって学習する」のに対し、引用発明5では、「GAN(Generative Adversarial Networks)によって学習する」の特定事項を備えていない点(相違点2)で相違する。 上記相違点1について検討する。 上記相違点1は、本件発明3では、分類用の畳み込みニューラルネットワークを学習するに際して、「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」をさらに備え、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データ」を入力することにより学習するという構成を備えることを前提としているのに対し、引用発明4は、概略、単に画像生成用の畳み込みニューラルネットワークの学習を、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用いて行うことしか特定しておらず、引用例5の記載からは、上記本件発明3の前提となる構成を見て取ることができないことから生じる相違点である。 すなわち、本件発明3と引用発明5とは、その前提となる構成において相違があるのであるから、引用発明5から本件発明3を容易に想到し得たということはできない。 また、他の引用例を参酌しても、上記相違点を容易とする技術は開示されていない。 したがって、本件発明3は、引用例5に記載された発明ではなく、また、引用発明5及び他の引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明であるということはできない。 (a-6)引用例9を主たる引用例とした申立人の主張についての検討 「第4(3)(3-2)(a)(a-6)」で検討したように、引用発明9において学習に使用される画像データは、「視覚上判別しにくい成分を欠損させていない画像データ」や「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データ」が想定されることは明らかである。 これを前提に、本件発明3と引用発明9とを対比すると、両発明は、 「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力する処理を行う画像処理部と、 画像処理部から出力された画像データが入力された場合に、前記画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワークとを用い、 視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い、 前記分類用の畳み込みニューラルネットワークを学習する 学習方法。」の点で一致し、 「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力する処理を行う画像処理部」が、本件発明3では「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」であるのに対し、引用発明9では「入手できた画像を正面から撮影した3枚(i)のみとし、これを(ii)1枚のサイズを変えた画像を載せたもの、(iii)サイズを変えた画像を敷き詰めたもの、(iv)複数枚をランダムに配置させたもの、(v)縦又は横の長さだけ変えたもの、として拡張した画像とし、さらに、すべての画像において3段階の明度をつけ」るという処理部である点(相違点1)、前記画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワークに入力される画像が、本件発明3では「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データ」であるのに、引用発明9では上記処理部で処理された画像のみである点(相違点2)、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用いて学習するニューラルネットワークが、本件発明3では「前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク、及び、前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」であるのに対し、引用発明9では「前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク」のみである点(相違点3)、本件発明3では「畳み込みニューラルネットワークをGAN(Generative Adversarial Networks)によって学習する」のに対し、引用発明9では、「GAN(Generative Adversarial Networks)によって学習する」の特定事項を備えていない点(相違点4)で相違する。 上記相違点1~3について検討する。 上記相違点1~3は、本件発明3では、分類用の畳み込みニューラルネットワークを学習するに際して、「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」をさらに備え、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データ」を入力することにより学習するという構成を備えることを前提としているのに対し、引用発明9では、入手できる画像が少ない花の訓練データにおける対策として、入力画像に各種処理を行い画像を水増しすることで、学習用の画像を増加させるために、画像生成のための処理手段を有している点で相違するといえる。上記引用発明9の画像生成のための処理手段について、「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」とし、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い」、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークを学習する」という相違点について、確かに、引用例5には、「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い」、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークを学習する」構成が開示されているものの、上記引用例5のものは、ニューラルネットワークを用いた超解像 (SRCNN)により、画質を向上させることを目的とするものであって、上記引用例5に記載された「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い」、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークを学習する」構成を、引用発明9に適用することは当業者が容易に為し得たことであるということはできない。 また、他の引用例を参酌しても、上記相違点を容易とする技術は開示されていない。 したがって、本件発明3は、引用例9に記載された発明ではなく、また、引用発明9及び他の引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明であるということはできない。 (a-7)引用例10を主たる引用例とした申立人の主張についての検討 本件発明3と引用発明10とを対比すると、両発明は、 「画像データが入力された場合に、前記画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワークとを用い、 前記分類用の畳み込みニューラルネットワークを学習する 学習方法。」の点で一致し、 本件発明3が「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」を有し、上記分類用の畳み込みニューラルネットワークに入力される画像が、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データ」であり、学習するニューラルネットワークが「前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク、及び、前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」であるのに対し、引用発明10では、「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」を備えておらず、したがって、上記分類用の畳み込みニューラルネットワークに入力される画像が、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ」を含まず、学習するニューラルネットワークが「前記分類用の畳み込みニューラルネットワーク」のみである点(相違点1)、及び、ニューラルネットワークの学習において、本件発明3では「視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用い」、「GAN(Generative Adversarial Networks)によって学習する」のに対し、引用発明10では当該特定事項を有していない点(相違点2)で相違する。 上記相違点1について検討する。 上記相違点1は、本件発明3では、分類用の畳み込みニューラルネットワークを学習するに際して、「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」をさらに備え、「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データ」を入力することにより学習するという構成を備えることを前提としているのに対し、引用発明10は、概略、単に分類用の畳み込みニューラルネットワークの学習を、視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減させた画像データを所定の割合で含む学習用データを用いて行うことしか特定しておらず、引用例10の記載からは、上記本件発明3の前提となる構成を見て取ることができないことから生じる相違点である。 すなわち、本件発明3と引用発明10とは、その前提となる構成において相違があるのであるから、引用発明10から本件発明3を容易に想到し得たということはできない。 また、他の引用例を参酌しても、上記相違点を容易とする技術は開示されていない。 したがって、本件発明3は、引用例10に記載された発明ではなく、また、引用発明10及び他の引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明であるということはできない。 (b)本件発明4、本件発明5について 本件発明4、本件発明5は、本件発明3を特定する請求項3の記載を引用し、更に限定する構成を付加した発明であるから、本件発明3について検討したのと同様、上記各引用例に記載された発明であるということはできないし、また上記各引用例に記載された事項に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明ということはできない。 (c)本件発明7について 本件発明7は、本件発明1ないし6を特定する請求項1ないし6の記載を引用し、更に限定する構成を付加した発明である。このうち、請求項3ないし5の記載を引用する本件発明7については、本件発明3について検討したのと同様、上記各引用例に記載された発明であるということはできないし、また上記各引用例に記載された事項に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明ということはできない。 (d)本件発明9について まず、本件発明3と本件発明9とを対比する。 本件発明9は、 (あ)「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワークの定義データ」、 (い)「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データが入力された場合に、前記画像データに基づく画像の分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワークの定義データ」 を備えている。 (あ)の構成は、本件発明3の「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」と対応する。 (い)の構成は、本件発明3の「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データが入力された場合に、前記画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワーク」の構成に対応する。 そして上記本件発明3と本件発明9とで対応する上記構成は、上記(a)で検討したとおり、引用発明1ないし引用発明5及び引用発明9、引用発明10に特定された構成との相違点であって、上記引用発明及び他の引用例の記載から容易に発明をすることができた構成であるということはできない構成である。 したがって、本件発明9は、上記(a)で検討したのと同様の理由により、上記引用発明ではなく、また、上記引用発明および他の引用例に記載された事項から容易に発明をすることができたものではない。 (d)本件発明11について まず、本件発明3と本件発明11とを対比する。 本件発明11は、 (あ)「任意のデータを入力する入力層と、 前記データに基づいて生成される画像の画像データを出力する出力層と、 畳み込み層を含む畳み込みニューラルネットワークを含む中間層と を備え、 コンピュータにより入力された任意のデータに基づく画像データを出力させるように学習されてある生成器」、 (い)「前記出力層から出力された画像データを、前記出力層から出力された画像データであるか否かを分類する分類用の畳み込みニューラルネットワークを含むGANにより、前記出力層から出力された画像データ、又は、前記分類用の畳み込みニューラルネットワークへ与える画像データの内の所定の割合の画像データの視覚上判別しにくい成分を欠損させて情報量を削減した学習用データを用いて学習されており」 の構成を備えている。 (あ)の構成は、本件発明3の「任意のデータが入力された場合に、特定の画像データを出力するように定義された畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」と対応する。 (い)の構成は、本件発明3の「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データ、又は他の画像データが入力された場合に、前記画像データの分類を出力するように定義された畳み込み層を含む分類用の畳み込みニューラルネットワーク」の構成に対応する。 そして上記本件発明3と本件発明11とで対応する上記構成は、上記(a)で検討したとおり、引用発明1ないし引用発明5及び引用発明9、引用発明10に特定された構成との相違点であって、上記引用発明及び他の引用例の記載から容易に発明をすることができた構成であるということはできない構成である。 したがって、本件発明11は、上記(a)で検討したのと同様の理由により、上記引用発明ではなく、また、上記引用発明および他の引用例に記載された事項から容易に発明をすることができたものではない。 申立人は、本件発明3-5、9、11について、本件発明1、2、6-8、10に係る発明と発明のカテゴリが異なるだけの実質同一の発明であると主張するが、先に検討したとおり、本件発明3-5、9、11は、概略、「入力された任意のデータに基づく画像データを出力させる畳み込み層を含む画像生成用の畳み込みニューラルネットワーク」と「前記画像生成用の畳み込みニューラルネットワークから出力された画像データを分類する分類用の畳み込みニューラルネットワーク」とを備えるという前提の構成が、そもそも、本件発明1、2、6-8、10に係る発明と異なり、上記前提の構成について記載された証拠が提出されていないのであるから、上記申立人の主張は採用することができない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし11に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1ないし11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2020-700149

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