特許異議申立
2024-700138
フィブロイン様タンパク質の製造法
- 審判番号
- 2024-700138
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-045451
- 登録番号
- 7328390
- 請求日
- 2024年02月15日
- 審決日
- 2024年08月27日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】味の素株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人秀和特許事務所
- 【権利者】Spiber株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人秀和特許事務所
- 【異議申立人】三原 舞緒
- 審判長/審判官
- 審判長 福井 悟
- 審判官 北田 祐介
- 審判官 中村 浩
- 分類
- P1652.113-XA (C12P) / P1652.121-XA (C12P)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7328390号発明「フィブロイン様タンパク質の製造法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7328390号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~13〕について、訂正することを認める。
特許第7328390号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7328390号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~13に係る特許についての出願は、平成27年(2015年)5月21日(優先権主張 平成26年(2014年)5月21日)を国際出願日とする特願2016-521154号の一部を、令和2年2月26日に新たな特許出願とした特願2020-030922号の一部を、さらに令和4年3月22日に新たな特許出願としたものであって、令和5年8月7日にその特許権の設定登録がされ、令和5年8月16日に特許掲載公報が発行されたものである。
そして、その特許に対し、令和6年2月15日に特許異議申立人 三原 舞緒(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1)がされ、同年5月28日付けで取消理由が通知され、同年7月26日付けで特許権者から意見書が提出されるとともに訂正の請求(以下、「本件訂正の請求」という。)がされたものである。
なお、申立人は、特許異議申立書において、意見書提出の機会を希望しているが、下記第2のとおり、本件訂正の請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許異議の申立てのされた請求項1を削除するとともに、特許異議の申立てのされていない請求項2~13について、他の請求項(請求項1)の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項を引用しないものとするもの、又は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、本件訂正により特許異議の申立てがされた請求項が全て削除され、特許異議の申立ての対象が存在しないこととなる(審判便覧67-06の3.(3)のなお書き)ため、特別の事情があるといえるから、申立人に意見書を提出する機会を与えることはしなかった(特許法第120条の5第5項ただし書)。
第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
本件訂正の内容は、次のとおりである。(下線は、訂正箇所について当審が付したものである。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記発現誘導後において、菌体増加割合、菌体増加割合の傾き、および累積比増殖速度から選択される1またはそれ以上が低下している、請求項1に記載の方法。」
と記載されているのを、独立形式に改め、
「フィブロイン様タンパク質をコードする遺伝子を有するエシェリヒア・コリを培地で培養すること、
フィブロイン様タンパク質をコードする遺伝子の発現を誘導すること、
前記発現誘導後の期間に流加培地を流加すること、および
フィブロイン様タンパク質を採取することを含む、フィブロイン様タンパク質の製造法であって、
前記発現誘導後の期間に生育因子制限下で培養が行われることにより、前記発現誘導後の菌体増殖が前記発現誘導前よりも低減されていることを特徴とし、
前記発現誘導後において、菌体増加割合、菌体増加割合の傾き、および累積比増殖速度から選択される1またはそれ以上が低下しており、
フィブロイン様タンパク質が、下記(A)または(B)に記載のタンパク質:
(A)フィブロイン;
(B)フィブロインが有する反復配列と同様の配列を有する繊維状タンパク質
であり、
前記フィブロインが有する反復配列と同様の配列が、下記式(I)に示される配列であり:
REP1-REP 2 ・・・(I)
前記タンパク質(B)が、前記式(I)に示される配列を2回またはそれ以上の繰り返し数で有し、
各繰り返しにおいて独立に、前記REP1が、アラニン及びグリシンから選択される1またはそれ以上のアミノ酸の連続配列からなる2~20残基のアミノ酸配列であり、
各繰り返しにおいて独立に、前記REP2が、グリシン、セリン、グルタミン、及びアラニンから選択される1またはそれ以上のアミノ酸を含む2~200残基のアミノ酸配列であって、グリシン、セリン、グルタミン、及びアラニンの合計残基数がREP2の総アミノ酸残基数の40%以上であるアミノ酸配列である、方法。」
に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「請求項1または2に記載の方法。」と記載されているのを、「請求項2に記載の方法。」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。」と記載されているのを、「請求項2又は3に記載の方法。」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。」と記載されているのを、「請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。」と記載されているのを、「請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。」と記載されているのを、「請求項2~6のいずれか1項に記載の方法。」に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8に「請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。」と記載されているのを、「請求項2~7のいずれか1項に記載の方法。」に訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。」と記載されているのを、「請求項2~8のいずれか1項に記載の方法。」に訂正する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。」と記載されているのを、「請求項2~9のいずれか1項に記載の方法。」に訂正する。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項11に「請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。」と記載されているのを、「請求項2~10のいずれか1項に記載の方法。」に訂正する。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項12に「請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。」と記載されているのを、「請求項2~11のいずれか1項に記載の方法。」に訂正する。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項13に「請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。」と記載されているのを、「請求項2~12のいずれか1項に記載の方法。」に訂正する。
2 一群の請求項
本件訂正の請求による訂正は、訂正前の請求項2~13が直接又は間接的に訂正前の請求項1を引用していることから、訂正前の請求項1~13は、一群の請求項である。したがって、本件訂正の請求は、一群の請求項に対して請求されたものである。
3 訂正の目的の適否、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の範囲に記載した事項の範囲内か否か及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)請求項1の訂正について
訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)請求項2の訂正について
訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であるところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
そして、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)請求項3の訂正について
訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことと整合させるために、請求項3の引用請求項から請求項1を削除する訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)請求項4の訂正について
訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項1~3のいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことと整合させるために、請求項4の引用請求項から請求項1を削除する訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(5)請求項5の訂正について
訂正事項5は、訂正前の請求項5が請求項1~4のいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことと整合させるために、請求項5の引用請求項から請求項1を削除する訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(6)請求項6の訂正について
訂正事項6は、訂正前の請求項6が請求項1~5のいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことと整合させるために、請求項6の引用請求項から請求項1を削除する訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(7)請求項7の訂正について
訂正事項7は、訂正前の請求項7が請求項1~6のいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことと整合させるために、請求項7の引用請求項から請求項1を削除する訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(8)請求項8の訂正について
訂正事項8は、訂正前の請求項8が請求項1~7のいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことと整合させるために、請求項8の引用請求項から請求項1を削除する訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(9)請求項9の訂正について
訂正事項9は、訂正前の請求項9が請求項1~8のいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことと整合させるために、請求項9の引用請求項から請求項1を削除する訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(10)請求項10の訂正について
訂正事項10は、訂正前の請求項10が請求項1~9のいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことと整合させるために、請求項10の引用請求項から請求項1を削除する訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして、訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(11)請求項11の訂正について
訂正事項11は、訂正前の請求項11が請求項1~10もいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことと整合させるために、請求項11の引用請求項から請求項1を削除する訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして、訂正事項11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(12)請求項12の訂正について
訂正事項12は、訂正前の請求項12が請求項1~11のいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことと整合させるために、請求項12の引用請求項から請求項1を削除する訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして、訂正事項12は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(13)請求項13の訂正について
訂正事項13は、訂正前の請求項13が請求項1~12のいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことと整合させるために、請求項13の引用請求項から請求項1を削除する訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして、訂正事項13は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
4 独立特許要件
(1)請求項1の訂正について
請求項1の訂正は、特許異議の申立がされている請求項1に対してされたものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(2)請求項2~13の訂正について
請求項2~13の訂正は、上記2の(2)~(13)のとおり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするもの又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正の請求は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法同条第4項並びに同法同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1~13について訂正することを認める。
第3 特許異議の申立てについて
上記第2のとおり、本件特許の請求項1は、適法な訂正により削除されたから、本件特許の請求項1に対して特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、申立ての対象となる請求項が存在しない。
したがって、本件特許の特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定によって却下すべきものである。
第4 結語
よって、結論のとおり決定する。
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