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特許異議申立

2024-700010

N-アセチルノイラミン酸の発酵生産

審判番号
2024-700010
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-521610
登録番号
7305630
請求日
2024年01月09日
審決日
2024年12月24日
公報発行日
2025年05月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】クリスチャン.ハンセン・ハー・エム・オー・ゲー・エム・ベー・ハー
  • 【権利者代理人】弁理士法人川口國際特許事務所
  • 【異議申立人】山田 友則
審判長/審判官
  • 審判長 福井 悟
  • 審判官 加々美 一恵
  • 審判官 深草 亜子
分類
P1651.113-YAA(C12N) / P1651.121-YAA(C12N) / P1651.16 -YAA(C12N) / P1651.537-YAA(C12N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第29条の2、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7305630号発明「N-アセチルノイラミン酸の発酵生産」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7305630号の明細書および特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書および訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~15〕について訂正することを認める。 特許第7305630号の請求項1~9、11~15に係る特許を維持する。 特許第7305630号の請求項10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯の概要 特許第7305630号の請求項1~15に係る特許についての出願は、平成30年10月17日(パリ条約に基づく優先権主張 2017年10月17日 欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、令和5年6月30日にその特許権の設定登録がされ、令和5年7月10日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和6年 1月 9日 : 特許異議申立人山田友則(以下「申立人」という。)による請求項1~15に係る特許に対する特許異議の申立て 令和6年 2月27日付け: 取消理由通知書 令和6年 5月29日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和6年 7月16日 : 特許権者による手続補正書(令和6年5月29日提出訂正請求書を対象とするもの)の提出 なお、当審から令和6年9月4日付けで申立人に対して訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を、期間を指定して行ったが、当該期間内に申立人からは応答がなかった。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 本件訂正の内容は以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1における「・・・非天然微生物が、エスケリキア・コリである、非天然微生物。」との記載を、「・・・非天然微生物が、エスケリキア・コリであり、PEPシンターゼの過剰発現に起因して、野生型微生物と比較して増強したPEP生合成を有する、非天然微生物」とする。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項6における「N-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」との記載を、「グルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項7における「N-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」との記載を、「グルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項11における「請求項1~10のいずれか一項に記載の非天然微生物」との記載を、「請求項1~9のいずれか一項に記載の非天然微生物」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項12における「請求項1~11のいずれか一項に記載の非天然微生物」との記載を「請求項1~9及び11のいずれか一項に記載の非天然微生物」に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項13における「請求項1~12のいずれか一項に記載の非天然微生物の使用」との記載を「請求項1~9、11及び12のいずれか一項に記載の非天然微生物の使用」に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項14における「a)請求項1~12のいずれか一項に記載の非天然微生物を提供するステップ」との記載を「a)請求項1~9、11及び12のいずれか一項に記載の非天然微生物を提供するステップ」に訂正する。 (9)訂正事項9 本件明細書の【0081】における「N-アセチル-グルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」との記載を「グルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」に訂正する。 (10)訂正事項10 本件明細書の【0082】における「N-アセチル-グルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」との記載を「グルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」に訂正する。 (11)一群の請求項 訂正前の請求項1~15について、請求項2~15はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~15に対応する訂正後の請求項1~15は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的の適否 訂正事項1は、「PEPシンターゼの過剰発現に起因して、野生型微生物と比較して増強したPEP生合成を有する、」という限定を訂正前の請求項1に追加する訂正である。したがって、訂正事項1は、訂正前の請求項1の発明の範囲を減縮するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項1は、訂正前の請求項10に記載された構成を訂正前の請求項1に追加するものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、訂正前の請求項10に記載された構成を訂正前の請求項1に追加することにより訂正前の請求項1の発明の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的の適否 訂正前の請求項6では、「N-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」との記載が誤記であったため、訂正事項2は、当該誤記を「グルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」との正しい記載に訂正したものである。当該訂正が誤記の訂正であることは、以下のとおりである。 本件明細書の【0083】における、「N-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアセチラーゼは、nagA遺伝子によってコードされている。」との記載、本件明細書の【0084】における「グルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ(EC 3.5.99.6)は、グルコサミン6-ホスフェート(GlcN6P)の可逆の異性化-脱アミノ化を触媒して、フルクトース6-ホスフェート(Fru6P)を形成する。グルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼは、nagB遺伝子によってコードされている。エスケリキア・コリのnagBのタンパク質コード領域のヌクレオチド配列は、配列番号40によって表されている。」との記載、本件明細書の【0085】における「さらなる及び/又は代替的な実施形態において、非天然微生物は、N-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアセチラーゼ及び/又はグルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼが機能しなくなるように遺伝子操作されている。さらなる及び/又は代替的な実施形態において、非天然微生物は、N-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアセチラーゼ及びグルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼをコードする遺伝子の1つ以上を完全に欠失させるように、これらの遺伝子のうちの1つ以上の発現を損なわせるように、又はこれらの遺伝子のうちの少なくとも1つのタンパク質コード領域に突然変異を導入し、その結果、変更されたヌクレオチド配列によってコードされているポリペプチドが、変更されていないヌクレオチド配列によってコードされている酵素の酵素活性を有さないようにすることによって、対応する酵素のうちの1つ以上の活性を無効とするように、遺伝子操作されている。」との記載、本件明細書の【0193】における「ゲノムの欠失は、Datsenko及びWanner(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:6640~6645(2000))の方法に従って生じさせた。N-アセチルグルコサミンの分解を防ぐために、以下の遺伝子をエスケリキア・コリ株BL21(DE3)のゲノムから欠失させた:N-アセチルグルコサミン特異的PTS酵素II(nagE)、N-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアセチラーゼ(nagA)及びグルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ(nagB)。・・・」との記載に基づけば、酵素の活性が無効化されるのは、「N-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアセチラーゼ及びグルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼからなる群から選択される酵素のうちの1つ以上」であって、「N-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアセチラーゼ及びN-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼからなる群から選択される酵素のうちの1つ以上」でないことは明らかである。 したがって、訂正事項2は、「N-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」との誤記を「グルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」に正す訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記アのとおり、訂正事項2は誤記の訂正を目的とするものであって、明らかに願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであるし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 独立特許要件 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (3)訂正事項3 訂正事項3は、訂正前の請求項7の「N-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」を「グルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」に訂正するものであって、訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、独立特許要件については上記(2)と同様である。 (4)訂正事項4~8 ア 訂正の目的の適否 訂正事項4は特許請求の範囲の請求項10を削除するものであって、訂正事項5~8はそれに伴い、引用元請求項から請求項10を削除するものであるから、訂正事項4~8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項4は、請求項10を削除するというものであって、訂正事項5~8はそれに伴い、引用元請求項から請求項10を削除するものであるから、訂正事項4~8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項4は、請求項10を削除するというものであって、訂正事項5~8はそれに伴い、引用元請求項から請求項10を削除するものであるから、訂正事項4~8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項4~8に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (5)訂正事項9、10 訂正事項9、10は、上記(2)及び(3)で記載した訂正事項2及び3に係る訂正と同様、訂正前における「N-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」との誤記を「グルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼ」に正す訂正である。 よって、訂正事項9、10は、訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、独立特許要件については上記(2)(3)と同様である。 3 訂正の適否の小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号および第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、本件特許の明細書および特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書および訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~15〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 本件訂正は上記第2のとおり認められたので、本件訂正後の請求項1~15に係る発明(以下、請求項の項番にしたがい「本件訂正発明1」等といい、本件訂正発明1~15をまとめて「本件訂正発明」ということがある。同様に本件訂正前の請求項1~15に係る発明を「本件発明1」、「本件発明」などという。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~15に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 【請求項1】 Neu5Acを生産することができる非天然微生物であって、前記非天然微生物が、少なくとも1つの異種酵素を含むシアル酸生合成経路を有し、微生物の天然のシアル酸異化経路が、機能しなくなっており、Neu5Acの発酵生産の間に炭素源として使用されない糖類をインポートするための少なくとも1つのホスホエノールピルビン酸:糖ホスホトランスフェラーゼ系が、機能しなくなっており、前記微生物が、外因性の炭素源を得るためにホスホエノールピルビン酸:糖ホスホトランスフェラーゼ系を使用することなく、発酵ブロス中に存在する外因性の炭素源を単独の炭素源として利用することができ、シアル酸生合成経路が、酵素グルタミン-フルクトース-6-ホスフェートアミノトランスフェラーゼ、グルコサミン-6-ホスフェートN-アセチルトランスフェラーゼ、N-アセチルグルコサミン2-エピメラーゼ、N-アセチルノイラミン酸シンターゼ、及びHAD様スーパーファミリーの糖ホスファターゼを含み、非天然微生物が、エスケリキア・コリであり、PEPシンターゼの過剰発現に起因して、野生型微生物と比較して増強したPEP生合成を有する、非天然微生物。 【請求項2】 シアル酸生合成経路の酵素の少なくとも1つが、異種酵素である、請求項1に記載の非天然微生物。 【請求項3】 天然のシアル酸異化経路が、機能しなくなっている、請求項1又は2に記載の非天然微生物。 【請求項4】 シアル酸異化経路に関与する酵素をコードする遺伝子のうちの1つ以上の発現が損なわれているという点で、又はシアル酸異化経路に関与する酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子のタンパク質コード領域のヌクレオチド配列が変更されており、その結果、変更されたタンパク質コードヌクレオチド配列によってコードされているポリペプチドが、変更されていないヌクレオチド配列によってコードされている酵素の酵素活性を有さないという点で、シアル酸異化経路に関与する酵素をコードする遺伝子のうちの1つ以上が非天然微生物のゲノムから欠失している、請求項1~3のいずれか一項に記載の非天然微生物。 【請求項5】 N-アセチルマンノサミンキナーゼ、N-アセチルマンノサミン-6-ホスフェートエピメラーゼ、N-アセチルノイラミン酸アルドラーゼ及びシアル酸パーミアーゼをコードする遺伝子の群から選択される遺伝子のうちの1つ以上の発現が損なわれているという点で、又はこれらの遺伝子のうちの少なくとも1つのタンパク質コード領域のヌクレオチド配列が変更されており、その結果、変更されたヌクレオチド配列によってコードされているポリペプチドが、変更されていないヌクレオチド配列によってコードされている酵素の酵素活性を有さないという点で、N-アセチルマンノサミンキナーゼ、N-アセチルマンノサミン-6-ホスフェートエピメラーゼ、N-アセチルノイラミン酸アルドラーゼ及びシアル酸パーミアーゼをコードする遺伝子の群から選択される遺伝子のうちの1つ以上を欠失させるように遺伝子操作されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の非天然微生物。 【請求項6】 N-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアセチラーゼ及びグルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼからなる群から選択される酵素のうちの1つ以上の活性が、無効とされている、請求項1~5のいずれか一項に記載の非天然微生物。 【請求項7】 酵素N-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアセチラーゼ及び/若しくはグルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼをコードする遺伝子の一方若しくは両方を欠失させることによって、これらの酵素の一方若しくは両方の発現を損なわせることによって、又は一方若しくは両方の遺伝子のタンパク質コード領域を突然変異させ、その結果、それぞれの変更されたヌクレオチド配列によってコードされているポリペプチドが、変更されていないヌクレオチド配列によってコードされている酵素の酵素活性を有さないようにすることによって、N-アセチルグルコサミン-6-ホスフェートデアセチラーゼ及び/又はグルコサミン-6-ホスフェートデアミナーゼの活性を無効とするように遺伝子操作されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の非天然微生物。 【請求項8】 炭水化物をインポートするための、少なくとも1つのホスホエノールピルビン酸(PEP)依存性の糖輸送ホスホトランスフェラーゼ系が、機能しなくなっている、請求項1~7のいずれか一項に記載の非天然微生物。 【請求項9】 スクロースプロトンシンポーター、ラクトースプロトンシンポーター及びグルコースプロトンシンポーターからなる群から選択される糖類/H+シンポーターを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の非天然微生物。 【請求項10】(削除) 【請求項11】 機能的PEPカルボキシラーゼ、機能的グルタメートシンターゼ、機能的WzxCタンパク質、機能的UDP-グルコース:ウンデカプレニルホスフェートグルコース-1-ホスフェートトランスフェラーゼ、機能的β-ガラクトシドパーミアーゼ、機能的β-ガラクトシダーゼ、機能的YjhCタンパク質、機能的フコースイソメラーゼ、機能的フクロキナーゼ及び機能的N-アセチルグルタミンアミノアシラーゼからなる群から選択される1つ以上を欠いている、請求項1~9のいずれか一項に記載の非天然微生物。 【請求項12】 グルタミンシンターゼの過剰発現に起因して、野生型微生物と比較して増強したグルタミン合成を有する、請求項1~9及び11のいずれか一項に記載の非天然微生物。 【請求項13】 Neu5Acを生産するための、請求項1~9、11及び12のいずれか一項に記載の非天然微生物の使用。 【請求項14】 Neu5Acを生産し得る非天然微生物を使用する発酵によってNeu5Acを生産するための方法であって、 a)請求項1~9、11及び12のいずれか一項に記載の非天然微生物を提供するステップ、 b)非天然微生物を、発酵ブロス中で、非天然微生物がNeu5Acを生産することを許容する条件下で培養するステップ、及び c)Neu5Acを発酵ブロスから回収するステップ を含む方法。 【請求項15】 発酵ブロスが、非天然微生物を生育させるための炭素源であって、グルコース、キシロース、スクロース、フルクトース、ラクトース、グリセロール、合成ガス及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭素源を含有する、請求項14に記載の方法。 第4 取消理由通知に記載した取消理由の概要 令和6年2月27日付けの取消理由通知書に記載した取消理由の概要は以下のとおりである。 (拡大先願)この出願の請求項1~9、13~15に係る発明は、その出願の日前の外国語特許出願であって、その出願後に国際公開がされた下記の外国語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の外国語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記外国語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができず(同法第184条の13参照)、上記の請求項に係る発明の特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 甲第9号証:PCT/EP2017/084593号(国際公開第2018/122225号、特表2020-503066号公報) 第5 判断 上記第2で示したように本件訂正は認められた結果、本件訂正発明1は、本件訂正前の請求項10に係る発明に減縮された。そして、上記第4で示したように、本件訂正前の請求項10には、取消理由が通知されていないので、本件訂正発明1は明らかに取消理由が解消している。本件訂正発明1を直接的又は間接的に引用する本件訂正発明2~9、11~15についても同様である。 第6 取消理由通知で採用しなかった異議申立理由について 1 取消理由通知で採用しなかった異議申立理由 申立人は、取消理由通知で採用しなかった異議申立理由(以下、「申立理由」という。)として、以下の旨を申し立てている。 (1)甲1を主引用発明とする新規性、進歩性欠如 本件発明1~9、13~15は、甲第1号証として提出した国際公開第2015/037698号(以下、「甲1」という。)に開示されているか、又は甲1に記載された発明を主引用発明として当業者が容易に想到できたものである。よって、本件発明1~9、13~15に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、また、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2)甲9を引用発明とする拡大先願 本件発明11は、甲第9号証として提出した特表2020-503066号公報(以下、「甲9」という。)に記載された発明と同一で、しかも、本願の発明者が甲9に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が甲9の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができず(同法第184条の13参照)、本件発明11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3)サポート要件 本件発明が解決しようとする目的は、「産業規模で、そして安価な炭素源を単独の炭素源として使用して、シアル酸をより効率的に生産し得る微生物を提供すること」にある。 そして、本件特許明細書では、実施例に記載の態様により、非天然微生物であるエスケリキア・コリがNeu5Acを生産できることを確認したに過ぎない。 上記課題の解決について、微生物を改変する遺伝子は極めて重要である。本件明細書の実施例では、複数種の特定の遺伝子の特定の組み合わせを改変したエスケリキア・コリによるNeu5Acの生産のみが確認されている。本件発明1は、改変する遺伝子を具体的に特定しておらず、多数の態様を包含するものである。したがって当業者にとって、本件発明1におけるすべての態様が本件発明の課題を解決するとは、合理的に予測することができない。 すなわち、本件発明1~15は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものであって、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしておらず、本件発明1~15に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 2 判断 (1)甲1を主引用発明とする新規性、進歩性欠如 上記第2で示したように本件訂正は認められた結果、本件訂正発明1は、本件訂正前の請求項10に係る発明と同一になった。そして、本件訂正前の請求項10には、新規性、進歩性欠如を理由とする異議申立てはなされておらず、甲1を確認しても、本件訂正前の請求項10に記載された「PEPシンターゼの過剰発現に起因して、野生型微生物と比較して増強したPEP生合成を有する」「非天然微生物」は記載も示唆もされていない。とすると、本件訂正発明1には新規性、進歩性欠如を理由とする申立理由は存在しないし、本件訂正発明1を直接的又は間接的に引用する本件訂正発明2~9、11~15についても同様に申立理由は存在しない。 (2)甲9を引用発明とする拡大先願 上記第5で示したものと同様に、本件訂正前の請求項10には、拡大先願を理由とする異議申立てはなされておらず、甲9を確認しても、本件訂正前の請求項10に記載された「PEPシンターゼの過剰発現に起因して、野生型微生物と比較して増強したPEP生合成を有する」「非天然微生物」は記載も示唆もされていないので、本件訂正発明1には拡大先願を理由とする申立理由は存在せず、本件訂正発明1を直接的又は間接的に引用する本件訂正発明11についても同様に拡大先願を理由とする申立理由は存在しない。 (3)サポート要件 本件訂正発明1では、「シアル酸生合成経路が、酵素グルタミン-フルクトース-6-ホスフェートアミノトランスフェラーゼ、グルコサミン-6-ホスフェートN-アセチルトランスフェラーゼ、N-アセチルグルコサミン2-エピメラーゼ、N-アセチルノイラミン酸シンターゼ、及びHAD様スーパーファミリーの糖ホスファターゼを含」むことが特定されている。 ここで、本件明細書の【0027】と図1を参酌すると、原料から、グルタミン-フルクトース-6-ホスフェートアミノトランスフェラーゼ、グルコサミン-6-ホスフェートN-アセチルトランスフェラーゼ、HAD様スーパーファミリーの糖ホスファターゼ、N-アセチルグルコサミン2-エピメラーゼ、N-アセチルノイラミン酸シンターゼの順に酵素反応が進行することで、所望の生成産物であるNeu5Acを得ることができる生成過程が存在することが読み取れるので、実施例に記載された非天然のエスケリキア・コリ株以外であっても、本件訂正発明1の発明特定事項により、シアル酸が効率的に生産できることを当業者は理解できる。 とすると、仮に申立人の主張するように、本件訂正発明1において、改変する遺伝子を具体的に特定しておらず、本件訂正発明1が多数の態様を包含するものであるとしても、少なくとも本件訂正発明1は、その発明特定事項により、「産業規模で、そして安価な炭素源を単独の炭素源として使用して、シアル酸をより効率的に生産し得る微生物を提供する」という本件明細書の【0019】に記載された課題を解決できることを当業者が認識し得ると認められる。 本件訂正発明1を直接的又は間接的に引用し、その発明特定事項を全て包含する本件訂正発明2~9、11~15についても同様である。 第7 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~9、11~15に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~9、11~15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 本件特許の請求項10に係る特許は、上記第2のとおり、本件訂正により削除され、請求項10に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700010

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